1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
會計法等の特例に關する法律案(政府提出)(第六號)
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昭和二十二年三月五日(水曜日)午前十一時六分開議
出席委員
委員長 武藤常介君
伊藤郷一君 小川原政信君
近藤鶴代君 松永佛骨君
太田秋之助君 古賀喜太郎君
山下春江君 稻村順三君
川越博君 伊藤幸太郎君
出席國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
大藏事務官 野田卯一君
大藏事務官 河野一之君
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本日の會議に付した議案
會計法等の特例に關する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=0
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001・武藤常介
○武藤委員長 これより會議を開きます。前日に續いて質疑にはいります。太田秋之助君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=1
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002・太田秋之助
○太田(秋)委員 昨日私の質問を後囘しにして保留いたしておきたいと申しましたのでありましたが、私の質問せんとすることは、直接本法案には關係がないのでありまして、この問題は豫算委員會でお伺いすることが便宜かとも存じておりましたが、私は豫算委員になつておりません關係から、この機會に、大藏省所管に屬する税收入の一端である戰時補償特別税の件についてお伺いしたいのであります。これは主管が財務局か、あるいは銀行局になつておるか、あるいは兩方に關連するかとも思いますが、今日はその主管の局長も大臣もお見えになりませんから、一應主計局の方から御連絡をお願いするというような意味で、私の質問をしたいと思うのであります。
特殊經理會社というものがありまして、政府の命ずるところによつてそれぞれの經理をしております。その特殊經理會社より除外の認可を受けておつた——これは私どもの地方における地方木材株式會社のことでありますが、特殊經理會社より除外を受けた以後において、まつたく豫期しなかつた戰時補償特別税を課せられることに相なつたのであります。これは御承知のごとく終戰後、すなはち昭和二十年八月十五日以降において、陸海軍經理部より支拂を受けた木材代金の全額を返還納税するのでありまして、一例をあげますれば、私どもの福島縣地方木材會社は、政府よりさきに解散を命ぜられております。それは昭和二十年の十一月ころより解散の内命に接しておるものですから、解散の準備に着手したのであります。その當時さきに木材統制法により、企業整備によつて接收した製材工場を、元の所有者に返還することといたしたのであります。また當時手持の立木素材等の原木一切を、後繼團體であるところの木材生産組合というものをつくりまして、この方に買入原價をもつて引繼いだのであります。しかして後繼團體ができまして、この團體におきまして進駐軍の用材、または戰災復興用材等の割當供出に、何らの支障を及ぼさないというような構想の下に切替えまして、地木社は昭和二十一年三月三十一日限りで、木材生産の業務を停止して、その後解散認可もありましたので、特殊經理會社より除外の認可も受けたのであります。この特殊經理會社より除外されますと、獨自の立場によつて整理をしなければならぬ責任があるのであります。かような責觀任念の下に、專心解散の清算經理を進行中であるのでありますが、しかるに後繼組合員に讓り渡したところの製材工場の代金、あるひは木材原木の代金、並びに陸海軍より終戰後に支拂を受けましたところの木材代金が、二百六十萬六千七百五十一圓あるのであります。これらを合計しますと、現在一千三百六十七萬三千八百四十四圓七十錢というものが、昨年の八月に第二封鎖預金として舊勘定に棚上げとなつておるのであります。資本金一千萬圓の株式會社が、一千三百萬圓以上を棚上げせられまして、これがために戰時補償特別税はとうてい税務署のおつしやるように、新圓をもつて納入しろということを申されてもその資力はないのであります。營業を廢止して、解散會社は何ら新圓の收入の途を今日もつておらないのであります。殊に會社の所有するところの財産を、あげて後繼組合員に記帳價格をもつて引渡したのであります。この代金は先に申したように、すべてをあげて第二封鎖となつておる關係上、まつたく清算の經理が行き詰つて、いかんとも方法がありません。これらの打開方法につきましては、農林省の總務局金融課を通じて、大藏大臣に申請いたしておきましたが未だ何らの認可になりません。もちろんその打開方法という申請の趣旨は、舊勘定預金をもつて戰時補償特別税に相當額を物納として許可していただきたいということが一つ、さらに一千萬圓の株式の解散に際して、株式の拂戻しについても、第二封鎖預金をもつて株主にこれを移動する。封鎖預金を移動して支拂いの經理決濟をつけるということも許していただきたいというようなことを申請してあるのでございますが、この點につきましてもまだ何らありません。殊に株主のことを考えてみますと、私の縣は第一縣廳で株式をもつています。また地方公共團體、いわゆる森林組合なども大株主となつて株をもつています。これらの資金は農林中央金庫より借入れた金をもつて株式を引受けておられるのでありまして、これらの影響するところが非常に多いのであります。會社の總勘定におきましても、さきに申したように、豫期せざる戰時補償特別税というものを負擔しなければならない關係上、總勘定は赤字を免れざる状態になつております。かようにいたしますと、どうしてもまつたく行き詰つて、新圓で納めろといつても納めることができない。どうしても舊勘定を利用させていただくしかないのであります。資力が缺乏しているのであります。かような實情にあるものでありますから、私は新勘定をもつて今の戰時補償特別税と株主の拂戻しに、これを利用させていただくということに、その打開の途を開けて欲しいということを申しておるのであります。今日會社の整理の状懸からいうと、若干のまだ取り立てすべき債權をもつてはいます。この債權もわずかのものであるけれども、この取引先は特別經理會社が多いのであります。軍需會社であるとか、あるいは他の府縣の木材會社でありますけれども、これは特別經理會社になつておりますので、この方は特別經理の結果、何パーセントのものを債務に對して拂つてくれるか、まだ未定であります。これを全額もらつたにしたところで、とうてい新圓の納税はおぼつかないのでありまして、いかにしても行き詰つておる私どもの縣の地木社の實情であります。かような關係でまつたく清算業務も混沌として進行しない。これがために非常に計算のロスも多くなるのであります。このことを速やかに許可をしていただきたい。この二點を許可をしていただきたいということを切望してやまないのでございます。こういうことにつきまして昨日大臣に直接お伺いしたいと思いましたが機會を失しましたので、今日ここで質問を申し上げた次第でありますから、どうか主計局次長さんからこの旨を御連絡くだすつて速やかにわれわれの立ち行くように、御同情あるお計らいを願ひたいということを申し上げておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=2
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003・河野一之
○河野政府委員 戰時補償特別税が、その對象につきまして一定の時期を限りました關係上、その前後におきまして非常に不公平と申しますか、非常にお氣の毒な状況に相なつておる向きがあることにつきましては、私どもはたびたび拜承いたしております。こういう問題は、太田さんの所は福島縣でございますが、そのほか四國の方面につきまして、あるいは松山でありましたか、たびたびこういうようなお話を伺つております。第二封鎖の移動の問題につきましては、御承知のような事情で、なかなか全般的の問題といたしまして非常に困難があるようでございます。戰時補償特別税の納税につきましては、ある程度第二封鎖から納められるような措置をとつておると思つておりますか、どういうふうな具體的な状況になつておりますか、私は直接その方面の係りでございませんので、銀行局及び主税局と連絡いたしまして、十分調査をいたしまして、御囘答申し上げたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=3
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004・太田秋之助
○太田(秋)委員 大變御親切な御答辯をいただきました。だんだん全國の地木社におきましても、いろいろ話を伺つてきますと、第二封鎖をもつて戰時補償特別税を納められるのだというような話も聞いておりますが、しかしかりに税務署に行つてこれを質問してみますと、まだそういうことは本省から何らの指示もないから、今直ちにこれを扱うわけにいかぬ。それから農林省の總務局の方に聽いてみますと、これは大藏省の了解、許可證さえ出れば第二封鎖でなく、いわゆる舊勘定を物納としてその税金に引當てて納入ができるのだというようなことも話されておりますが、しかしこれを實際問題に、納税をするところの所管税務署その他に聽いてみると、まだそこまで徹底しないからはつきりしないのであります、この點を速やかになんとかきめて、一千萬圓の會社が一千三百萬圓の封鎖舊勘定をもつておりましては、進退谷まつてしまう。この點を特に御配慮を願いたいということを希望しておきます。
それからもう一つ強く要望しなければならないことは、さきに申しました通り、この一千萬圓の會社が株式の解散配當をする際に、どうしても封鎖預金というものをもつて移動を認めてもらわなければ、これはいかんせん經理がつかないわけであります。私は地木社が一千三百萬圓の第二封鎖をもつておつて、各納付者に通帳をこまかく割つて第二封鎖にしても、各金融機關に經理をした結果、どれだけ第二封鎖に轉換できるかということは、現實に起る問題で、今日この移動を認めていただいても何ら差支えないのではないかこういうふうにも考えておるのであります。それから税金は御承知のごとく、昭和二十一年八月以前の所得税は第二封鎖をもつて政府は納入を認めてくれるようになつておるようであります。私どもの今申し上げた軍の關係といたしましても、終戰後にいただいた金だが二百六十萬圓以上ある。それが即刻銀行預金となつて、その他の財産を處分したものが集まつて千三百六十萬圓というものが預金となつたのであります。第二封鎖としたのはわれわれがきめた法律で、政府が一方的にきめたのでありますけれども、しかしながらこの理窟からいつて、金を縛つておきそうして經理をする。それから特別經理會社は除外だから、自己の責任において迷惑をしないように經理をしなければならないと言われておるが、封鎖預金をもつて個々に利用しなければ、實際もう經理の途がないのであります。これは常識的に考えても、いかんせん方法がないのでありますから、特にこのことをよく、御調査の上で善處するようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=4
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005・武藤常介
○武藤委員長 小川原君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=5
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006・小川原政信
○小川原委員 昨日大臣の説明を聞きまして、今度の繰替え方はよろしい。かように考えます。その際に稻村氏からも質問がありました特別會計のことでほぼわかつておりますが、私のまだお尋ねしてみたい點があるのであります。現在日本の特別會計というものはいくつになつているか、三十數件あるということを承知をいたしておるが、あまりに多くてどれだけが實際かということはわからぬのであります。その數がいくつになつているか。その中に企業に屬するところの會計がいくつあるか。企業でないところの特別會計がいくつあるか。まずもつてこの三點をお聽きして、それからお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=6
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007・河野一之
○河野政府委員 特別會計の數は特殊財産資金を除き二十五であります。今年度廢止しますものは、爲替交易調整特別會計、公債金特別會計で、學校特別會計も廢止したいと思つております。特別會計の性質でありますが、從來は地域特別會計というものがございました。今囘これはございません。元來企業に屬するものといたしましては通信事業と帝國鐵道、大藏省においては專賣局、印刷局、造幣局、それから商工省所管の現在燃料局と言つておりますが、アルコール專賣事業と改めることになつております。合計いたしまして六つあると存じます。そのほかに資金に屬する會計がございますが、これは貿易資金、金資金、預金部國債整理基金、こういつたものがいわゆる資金會計といつております。そのほか行政的事業會計というものがございまして、たとえば保險の會計、厚生保險、農業保險、森林火災保險、漁船再保險簡易生命保險、郵便年金、食糧管理、薪炭需給調節、こういうような、ほんとうの企業ではございませんが、國の行政の一部といたしまして、特別に會計を立てて行政をやつている、こういつた會計がございます。從來の學校特別會計、これは今年度もあるわけでありますが、この學校會計がどちらに屬するか、いろいろ議論がありましたがこれは營造物會計というように從來しておつたようであります。この學校特別會計には、別に學校資金というものをもつておりまして、その建前は、學校特別會計に豫算の殘餘が出ますと、これを積立てておきまして、その積立てた資金で學校の運動場を買う、あるいは演習林を買う、あるいは建物を建てるとか、金が餘つておりますと國債に運用するというような、そういう資金であります。今度學校特別會計をやめますが、學校資金は殘す。特別會計でありませんけれども、特別會計に近い資金というようなものになつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=7
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008・小川原政信
○小川原委員 よくわかりました。この特別會計の中で一般會計に繰入れた方がよろしいものもあります。それから性質上、考えて、繰入れなければならぬものもあると私は承知をいたすのであります。なるべく手數を省く。日本の行政を見ておると、手數のために行政をやつておる。ほんとうに政治の眞價を發揮するための政治力というものは、非常にそれがために殺がれる。そういうむだなことは再建にあたりましてやめた方がよろしいと考える。そういう事務的なことはなるべく省いて人材の節約、物資の節約ということをして、仕事というものが早く確實にでき上るという方法でなければならぬ。その上からいつても、特別會計の上で整理していくべきものがあると考えるのであります。いかように思召になりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=8
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009・河野一之
○河野政府委員 御趣意よくわかりました。特別會計はなるべく設置しない方針で現在のところ進んでおります。その意味におきまして、學校特別會計爲替交易調整といつたような特別會計、それから公債金というような會計を今度廢止するわけでありますが、貿易資金もこれを廢止するかしないか、決定いたしておりませんが、貿易公廳ということに相なりますれば、廢止するかどうか、もう一囘檢討してみたいと思つております。そのほかの會計につきましては、これは事業會計でありますが、これはいろいろな理由がございまして、一般會計のごとく租税負擔國民の負擔で歳出を賄うというような性質のものと多少違いますので、これはどうしても別の會計に立てていかねばならぬのではないかと考えております。但し今囘の財政法で提出するわけでございますが、その財政法においては特別會計については一般會計とは大分異なつた取扱いをいたしたいと思つております。何と申しましてもこれは專賣というか、一種の事業でありまして、その事業自身として收支を明らかにする、こういう事業でありますので豫算の拘束を受けるのはどういうものであろうか。たとえば汽車が増發されれば石炭も要るし、その他の經費も要る。一方收入もあるといつたようなことで、これを豫算の歳出がいくらになつているからそれ以上は出していけないといつた性質のものではないのでありまして、こういう會計は國の會計とは全然別の經理をやつていく。歳出歳入という考え方でなしに、そのバランスの尻といつたような借入金をいくらやる。それから鐵道の建設をいくらやるというような、いわゆる資金の部面と事業の部面とをはつきり分離していこうと思つております。從つてこういう豫算の立て方にするので、この事業會計は一般會計の方に入れて經理することはいかがかと考えております。公債金特別會計を今囘廢止したいと考えておりますが、これはできた當初においては相當意味があつたのでありまして、申し上げますと市場の状況によつて公債を發行し、その公債の收入を必要とする各會計、あるいは鐵道であるとか通信であるとか、あるいは一般會計で、それに必要な收入は必要な都度に借入れていく、こういう立て方にしている次第であります。從來經濟界の状態が尋常である場合においては、公債を募集し得る時期と、それを必要とし得る時期とが違つておりましたので、そういうやり方でやつておつたわけでありますが、今のような計畫的な經濟になつた場合においてはそういう必要がなくなつたので、これをやめるという考え方にいたしたわけでございます。それから學校特別會計をやめましたのは、先程資金の點も申し上げたのでありますが、大體學校の會計というものはだんだんと資金を積み立てていつて、その資金で學校の經營をやつていく、こういう考え方にいたしておりましたが、最近の状況においても學校全體の經費は約七億ほどに相なつておりますが、五億七八千萬圓の金を一般會計から注ぎ込んでおるのであります。こういう會計でありますと、まつたく自收自辨という特別會計の性質にも反するわけでありまして、特別に立てておく必要がないということで、これを全部一般會計に移してしまう。但し病院その他の相當大きな經費もあります。それから收入も上りますので、その學校の中の事業的性質を有するものは、一般會計の中で多少區別して經理していくという考え方をしたいと思つております。それから爲替交易調整という特別會計をやめますが、これは戰時中内外地間の物資交流について、内地と外地の價格が非常に違うので、その間を調整するという意味でできたもので、從つて現在のごとき状況においては、その存立の意義を失つたので廢止するのは當然と考えます。今度の議會にはまだ提出できないかとも存じますが、目下考究中の特殊財産資金という會計があります。これは戰時中敵産の運營をやつていた特別會計であつて、その後連合國財産の管理運營をやる特別會計に變つている。ポツタム勅令でそういうようにやり方を變えたので、當然廢止すべきであるが、まだ廢止になつておらないわけであります。それから特別會計の整理の問題であるが、鐵道、通信という事業會計においては、御承知の通り資本勘定、業務勘定、用品勘定に分れていて、おのおの特別會計的な性質をもつてをり、特別會計の中の一種の特別會計であるが、こういうものを全然やめまして、ある程度特別會計整理の目的には合致していると考えております。それから金資金という特別會計があるが、御承知の通り日本銀行の金の評價替をやつて、それを資金としてできた會計であつて、産金の奬勵、あるいは金の増産などにそれを使つておつた。それが現在の状況においては、それを廢止してもよいのではないかと考えていますが、金の事務を日本銀行に全面的に移讓してやるか、官でやるか。いろいろの問題があるので、態度としてはきめかねておりますが、今年度としては一應置いておこうということになつています。その他會計についてはたくさんありますが、なるべくつくらない。又用のなくなつた會計は即時やめたい。こういう方針で從來やつてきています。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=9
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010・小川原政信
○小川原委員 よくわかりました。そういう方針であれば大變結構と考える。昨日大臣からお話があつたが、まだそれまでは行かんということであるか、大藏省の會計の立て方が、今度の提案によつてよくわかつた。これを他の省にもやらせた方がよいと思うが、それについては他の省の大臣と、大藏大臣がよく御懇談になればよいことはできると思う。大藏省の御方針としてはそれをおやりになるつもりかどうか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=10
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011・河野一之
○河野政府委員 會計制度については、大藏省が全面的責任をもつているのでありますが、これは一旦立てた制度を根本的に變えることは非常な困難があり、特に一應その制度に慣れておるので、これを變えることになると、その知識から養つていかなければならぬということで、なかなか摩擦がある問題であります。昨年以來豫算制度の改正については、いろいろ政府部内で研究しており、殊に通信、鐵道については、全面的に改めていくということで、通信、鐵道側に申し入れ、快く御承諾をいただいて、爾來研究を遂げて、今日の特別會計の豫算においては、全面的に變つた形ででてくると存じます。大體國の會計は御協賛を願う豫算におきましては、現金收支の會計でありまして、現金がいくらはいつていくら出ていくという會計の立て方になつております。それを事業會計におきましては、昭和二十二年度から債權、債務を收入支出に立てる。三月三十一日までにいくらの債務を負つた。あるいはいくらの債權をもつておるということで、會社と同じようなバランスシートをつくつて、そしてそれを議會に提出するというようなかつこうで行くことになると思います。この點につきましては鐵道、通信當局にも非常な御協力をいただきまして、ようやく成案を得た次第でございます。御趣旨のような點につきましては、十分今後も努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=11
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012・小川原政信
○小川原委員 私の心配いたしておりますところは、實際の問題から考えて見まして、一般會計におきましても政府の考えておられるところと、現實の間に非常な喰い違いがあるのであります。これは例にならぬでしようけれども、大きな例が一つあります。終戰に際しましていろいろの品物が退藏されておる。政府の手を離れるときには、陸海軍に對して何々の經費としてとつておいて、そうして大砲がどうだつた、彈がどうだつたということではなくして、食べ物がどうであつた、着物がどうだつたというようなことは、大體の見當の上において、これは政府といたして大藏省が知つておらなければならぬはずである、それにもかかわらずたくさんの米が退藏されたり、衣料品がどつさり退藏されておる。そして考えてみますと、この國有財産というものが税金から出ておつて、そして大元の大藏省が何も知らなんだ。しかしここに一萬點なら一萬點賣らなければならぬと、そういうことを言うのでありませんで、十萬點あつたものが、三萬點ぐらいなくなつた。しかしながらあとの五萬點ぐらいだけは大藏省が知つておるという大づかみなことは、國として知つておらなければならぬと思います。それにたくさんの放出物があるにもかかわらず、それがどこに行つたかわからぬ。そしてその期間がわずかの期間かというと、終戰後一年この方になりまして、まだ退藏物資をもつておる者がある。そしてそれを賣つて非常に利得をあげておる。こういうことでありますと國家の會計法というものは一體何が會計法なんだかわからぬ。ただ縣廳の役人が罫紙を何枚使つたということを記帳して、そして會計檢査院から來て、それは數が違つておるじやないかというようなことに大きな目が行つて、さつぱり實際大きな欠陷があるということを知らない。一體どういうことになつておるか、われわれ國民から見ると非常に不思議な點がある。こういうことは一體どこに欠陷があつたのか、今後はこういう欠陷がないように、どこを押えて行くか、こういう心配をわれわれはもつのであります。これは三千年來例のないことでありますから、例に引くことはできませんけれども、國民としては非常な疑惑をもつておるのでありますから、これは一つ事務的に考えて、その欠陷を見つけ出して、そしてそれを押えていただかなければならぬ。意識しておつて役所が違つておる點があるというのは何であるかと申しますると、一體公定價格と今の價格と非常に違つておる。豫算は大藏省が公定價格によつて計上されたのであります。しかし公定價格の豫算だけでは實際來てくれない。役所が人夫を傭う時に、やつぱり公定價格では來ませんからして、公定價格の何倍かを人夫賃金に支拂う。それで數量とか單價において變えなければならぬ。それからすべての品物もそうである。そうすると會計法がここにあるのだけれども、これは會計檢査院から行つて調べてもわからない。そうすると國家の公用金というものが、結局何に使われておるかわからなくなつてしまうということになつて、會計の紊亂というものが起り、國費というものを違つた使い方をする不心得の者が出てきても、その結果が何萬圓、何百萬圓と使つた後でなければわからないということにもなるのであります。そういうことははなはだ面白くない。こう考えるのでありまするが、そういう點について國民の納得のできるような御説明をいただきたい。われわれこういう質問をすることは、會計の事務に暗いからこういう質問をするのかもしれませんが、あなた方のような專門家が考えてみれば、こういうことになるのだという點を、明らかに示していただきたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=12
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013・河野一之
○河野政府委員 ごもつともなお尋ねでありまして、從來物品につきましては非常に經理が亂れておつたということにつきましては、まことに申譯ない次第であります。殊に終戰後ああいう事態が起りましたことでありますが、現在物品につきましては、金の收支と違つて多少ルーズに考えられておつた向きがあるのではないかと思います。殊に陸海軍には兵備品會計規則がありまして、これは軍の機密に屬するもので、兵器彈藥は一般の物品會計とは別になつておりまして、軍の經理に一任されておつた。それから食糧その他については委任經理になつておりまして、これは政府の一般の物品經理のほかにあつたものでありまして、勝手なことができると申すとはなはだ語弊がありますが、軍の目的に從いまして、割合その點ルーズにできておつたかと思います。そういうような點がああいう事態を起した全部の原因ではありませんが、相當な因をなしておりはせぬかと思います。今後兵備品會計もなくなるので、その事態は變つてきておりますが、たとえば現金問題については、一錢一厘といえども豫算がなくては支出ができない。ところがそれで買いました紙とか、あるいは什器その他につきましては、これは壞れてもちつとも經理監督の途がないということで、非常に不合理だと思つております。それで今囘財政法が出ますとともに會計法も提出いたしますが、それには物品の經理について相當詳細な規定をおきたいと思います。もちろんこまかい内容は、省令あるいは勅令できめることになると思います。物品規則は大體四種類ほどございまして、まず事務用の物品、紙とかその他消耗的なもの、それから机、いすというようなもの、それから事業用の物品、これは專賣局の煙草をつくる機械であるとか、油とか、石炭であるとか、そういうようなものが事業物品でございます。そ、れからそのほかに、これはどういうような名前を使いますか、用度外の物品と申しますか、官廳の事業に使わない不用物品があります。机でもいすでも、壞れたら用度外でありますから不用物品であります。それから專賣局のタバコ、その他賣拂いを目的としておる物品があります。もう一つは官において保管を受けておる物品がございます。これはいろいろございますが、たとえば犯罪でもつて證據品として押收した物品、それからその他供託局の指定によりまして供託を受けておるものもありましようし、そういつた保管物品、大體官廳の物品は四種類ございます。その四種類につきましておのおの取扱いを變えていかなければならぬのではないか。また監督の方法も變えていく。現在は物品會計官吏がございまして、それに對して物品出納命令官というものがおります。物品出納命令官が、こういう物品の出し入れをしろということを命令いたしまして、それによつて物品會計官吏が仕事をする。そうして記帳していく。現在高は年度末に調べることになつておりますが、とにかくこれは金の支出よりは役人の氣持の問題になりますが、非常に考え方が違つておると思います。多少紙の使い方であるとか、あるいは機械の使い方であるとか、その實質的な點に觸れず、單に出すだけをやつておるという點が相當にあると思います。こういう點については十分今まで研究を遂げておりますが、監督の方法も十分屆かせまして、御趣旨に副うようにどうしてもやつていかなければならぬ。こういう覺悟で現在進んでおります。これには相當なエキスパートも要りますし、その仕事をするには扱つておる人は相當大勢の人でありますので、それの教育の問題からかかつていかなければならぬのではないかということまで考えておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=13
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014・小川原政信
○小川原委員 各省を聽いてみますと、各省によりまして、妙な古い豫算があるのであります。その豫算が續けられて大藏省から金を出す。そうして現在も人に聽いてみると、どうしてこういうものをと聽きますと、これをやめてしまうと金をもらえないからやるのだ。その金をどうするかというとほかの方に流用する。こういう點があるのです。これは實に不可解な點だと思うのです。要らないものは要らないもので切り落してしまつて、そうして要るものは大藏省で出してやつたらいいだろう。それを干渉して流用して他の省で使つて、この議會で協賛を經ました目的以外に使われておるということがありましても、それは途によつてはよろしいでありましようが、もう何年も古くなつてしまつた要らないものを計上する必要はない。こういう風に私は考える。それをどうしてそこへ殘しておかなければならぬかということは、大藏省と各省との間に、まつたくこの金の使い途において、あるいは要求なり、あるいは使途なりにつきまして、圓滑なるところの連絡がないということ、これははなはだ國務の醜態であると私は思うのであります。それでありますから、會計は實際に即した方法で各省ともにやつていただきたい。こういう考え方で、まずもつてさきに申しました通り、各省も大藏省と同じ會計決に改められる意思があるかないかということをお尋ねしておるのでありますが、この點はどうか一つ改めていただきたい。私の質問の中にあなたのお答えだけでできないものが相當あろうと思うのであります。あるいは局長、あるいは大臣によつてやられるものがあろうと思いますが、どうかこの點は大臣に傳えておいていただきたい。そうして會計法というものをもつと運營のしやすいようにして、要らないところの豫算を計上させないで要るところの豫算はどこまでも計上さしてやるというふうに、役人の方の頭をかえていただくようにお勸めしておきたいと思います。これに對する御答辯がございましたら、それで私の質問はございません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=14
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015・河野一之
○河野政府委員 從來既定費というものがございまして、その檢討が足りませんで、何とはなしに金がはいつておる。そしてそれが流用されて他に使われておるという弊のありますことは、御指摘の通りであります。明二十二年度の豫算につきましては、これは根つこから洗い直しまして、そういう點を十分檢討したつもりでおりますが、今後もまたその態度は續けていきたいと考えております。會計制度の問題の今後でありますが、今囘の財政法及び會計法で相當根本的の改革をいたしまして、さらに今後も研究を續けていきまして、御指摘の點は是正していきたいと考えております。御指摘のような點につきましては、今囘すぐ實行できるかどうか存じませんが、支拂いの都度認證するというような制度を考えてみたらどうかと思います。小切手を振出すときに、これはどういう目的のために何にいくら、俸給にいくら、何にいくら出すのだということを、そのときどきにチエツクしていくというような制度を、考えていかなければならぬのではないかというふうに考えております。現在では日本銀行に支拂豫算を令達いたしまして、各省大臣は勝手に、と申しますと語弊がございますけれども、その豫算の款項の範圍内においては、どうにでも使つていいというような制度になつておりますのを、豫算編成の目的に合致するように、どういうふうに使うかというところまで締め上げて監査する必要があるのではないかと思つております。從つて會計の監督機構は相當充實していきたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=15
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016・武藤常介
○武藤委員長 質疑はこれで打切ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=16
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017・武藤常介
○武藤委員長 それでは御異議なしと認めまして、質疑はこれで打切ります。午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
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午後一時三十一分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=17
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018・武藤常介
○武藤委員長 それではただいまより午前に引續いて會議を開きます。これより會計法等の特例に關する法律案を議題として討論に付します。討論を許します。小川原政信君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=18
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019・小川原政信
○小川原委員 會計法等の特例に關する法律案は、政府の御提案になりましたものを是なりと信じまして、自由黨はこれをこのまま本會議に報告することに一致いたしておりますので、私どももさように委員會において全部賛成であります。原案を支持いたしまして一言申し添えておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=19
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020・武藤常介
○武藤委員長 太田秋之助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=20
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021・太田秋之助
○太田(秋)委員 會計法等の特例に關する本法案は、政府の御説明を承りますと、昭和二十二年度限りの暫定の措置であるということでございます。從つて豫算の編成の形式を統一、簡易化かつ明瞭ならしめるということは、政府の御説明で了承いたしました。從いまして政府の御趣旨に賛意を表すると同時に、豫算の執行上最善の御注意をくださることを要望いたしまして、日本進歩黨を代表いたしまして原案に賛成いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=21
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022・武藤常介
○武藤委員長 稻村順三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=22
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023・稻村順三
○稻村委員 日本社會黨におきましても、これは主として豫算編成上の技術でありますので、賛成はいたすのでありますが、これについて一個の希望條件があるのございます。今後この豫算方針を、なおさら各省あるいは各局別の豫算の編成についてもその形式を採用して、豫算を非常に簡素化していただきたい。それから、それによるところの今後の支出に關する監督も、さらに嚴重な監督をしていただきたいということであります。第二は、特別會計が非常に數が多いのでありまして、事業豫算以外のものは、できるだけ一般會計に繰入れるようにしてもらいたい。第三は本年度の特別會計が遲れるようになつておるようでありますけれども、これはでき得る限り豫算全部の豫算審議に十分な時間を與えるように、一日も早くこれの改定豫算を豫算總會に提示していただきたい。こういう三つの條件を附しまして、これに賛成する次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=23
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024・武藤常介
○武藤委員長 川越博君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=24
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025・川越博
○川越委員 、私は協同民主黨を代表いたしまして、本案に賛成の意を表します。本案につきましては、既に各黨の人々から賛成の意見、また貴重なる意見も開陳されましたので、附け加えることはないと思いますけれども、この際政府が練られたように、新豫算の形式がさらに平明に、そうして民主化するように、一段の努力をしていただきたい。それからもう一つは、本會議でも常に問題になつておる問題でありますが、關係方面との折衝もあることであつて、なかなか大藏省の努力にかかわらず遲れておることと存じます。一般豫算案、特別會計の豫算案は本年度はこういう状態でありましたけれども、今後政府においては、議會の審議權をほんとうに尊重する。その時間を與えるという意味において、十分にこの意思を體して實行していただきたい。それだけのことを希望いたしまして、本案に賛成をいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=25
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026・武藤常介
○武藤委員長 伊藤幸太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=26
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027・伊藤幸太郎
○伊藤(幸)委員 會計法等の特例に關する法律案につきましては、國民黨を代表いたしまして、全面的には大體賛成の意を表するものでございます。特にこの第一項、第二項に關することは、それぞれ改善だと思いますが、ただいまもお話のあつた通り、なるべくわかりやすく、しかもその運營については、十分愼重に善處せられんことを望みます。なお第三項の特別會計の歳出歳入に關するものも、ひとしく國民の經濟生活に重大な關係をもつものでありますから、一般總豫算とともににらみ合わせて、これを審議することが、一番適當と考えますが、政府當局においてたびたび言われます通り、本年度はやむを得ないことと考えます。ゆえに將來はなるべくならば同時に出して、相當審議期間を長く見て、愼重に審議せられ得るようお取計らいを願いたいということを希望して、原案に賛成するものでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=27
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028・武藤常介
○武藤委員長 討論は終結いたしました。これより採決いたします。原案に賛成の諸君は御起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=28
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029・武藤常介
○武藤委員長 起立總員。よつて本案は原案の通り可決せられました。
委員會を閉ずるにあたりまして、委員長といたしまして一言御挨拶を申し上げます。不肖委員長の職を汚しまして、きわめて不慣れにかかわりませず、委員各位の絶大なる御支援と御鞭撻をいただきまして、おかげをもちまして滯りなく相濟みましたことは、私の非常に喜ばしく存ずる次第でありまして、深く感謝の意を表する次第でございます。なお政府委員の各位にも、何かと御懇切なる御説明をいただきまして、深く感謝の意を表する次第でございます。はなはだ簡單でございますが、以上をもちまして私の御挨拶に代えます。(拍手)
本日はこれにて散會いたします。
午後一時三十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00319470305&spkNum=29
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