1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
教育基本法案(政府提出)(第一八號)
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昭和二十二年三月十七日(月曜日)午前十一時二分委員長補闕選擧のため次の委員が參集した。
左藤義詮君 上林山榮吉君
庄司一郎君 細川八十八君
椎熊三郎君 關根久藏君
森山ヨネ君 永井勝次郎君
山下ツね君 米山久君
伊藤恭一君 松原一彦君
平川篤雄君
〔年長者松原一彦君投票管理者となる〕
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=0
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001・松原一彦
○松原投票管理者 これより開會いたします。一昨十五日委員長の江川爲信君が委員を辭任されましたので、その補缺選擧を行わねばなりませんが、本日はあいにく理事の方がお見えになりませんので、私が年長のゆえをもつて投票管理者となり、これより委員長の補缺選擧を行います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=1
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002・上林山榮吉
○上林山委員 委員長補充の選擧について動議を提出いたしたいと存じます。この際緊急を要する事態でもありますので、投票を用いず椎熊三郎君を委員長に御推薦いたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=2
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003・松原一彦
○松原投票管理者 ただいまの御意見に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=3
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004・松原一彦
○松原投票管理者 御異議なしと認めます。よつて椎熊三郎君は委員長に當選いたしました。(拍手)委員長椎熊君に本席を讓ります。
〔椎熊三郎君委員長席に着く〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=4
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005・椎熊三郎
○椎熊委員長 ただいま全會一致の意思表示をもつて委員長に推薦せられました。教育基本法という重大なる法案に對して、委員長を勤めさせていただきますことは身に餘る光榮でございます。しかるに顧みて私はまことに不徳なものでございますので、この委員會を圓滿に繼續するにいたしましても、諸君の御熱心なる御支援、御同情がなければ、その重責を全うすることはできないと考えます。願わくはこの教育基本法という重大法案の精神に則りまして、不肖な者ではございまするが、どうかこの重責が全うできるように、諸君の御鞭撻、御支援をひとえに期待いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=5
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006・会議録情報2
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昭和二十二年三月十七日(月曜日)午前十一時六分開議
出席委員
委員長 椎熊三郎君
左藤義詮君 上林山榮吉君
庄司一郎君 細川八十八君
關根久藏君 森山ヨネ君
永井勝次郎君 山下ツね君
米山久君 伊藤恭一君
松原一彦君 平川篤雄君
三月十五日委員江川爲信君及び中田榮太郎君辭任につきその補闕として椎熊三郎君及び松原一彦君を議長に於て選定した。
三月十五日委員長江川爲信君委員辭任につき、その補闕として三月十七日椎熊三郎君が委員長に當選した。
三月十七日委員池村平太郎君、武藤嘉一君及び井田友平君辭任につきその補闕として細川八十八君、關根久藏君及び左藤義詮君を議長に於て選定した。
出席國務大臣
文部大臣 高橋誠一郎君
出席政府委員
文部事務官 剣木亨弘君
文部事務官 伊藤日出登君
文部事務官 辻田力君
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本日の會議に付した議案
教育基本法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=6
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007・椎熊三郎
○椎熊委員長 前囘の委員會におきまして質疑は終局いたしております。ゆえにこれより本案を議題として討論に付します。本案に對する修正の御意見が出ておりますので、その方を先にいたします。平川篤雄君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=7
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008・平川篤雄
○平川委員 私は國民協同黨を代表いたしまして、本法案に對する修正案を提出いたしたいと思います。第一に、第三條第二項「國及び地方公共團體は」の次に「學校の設立配置を適正にし、かつ」という言葉を挿入いたしたい。なおその條文の最後に「すべて國民はその教育を受けた學校の程度、種別等によつて差別されない」という言葉を挿入いたしたい。
次に第四條の義務教育の項第二項「國又は地方公共團體の設置する學校における義務教育については、授業料はこれを徴收しない」というのを「國又は地方公共團體は、その設置する學校における義務教育については、學費を負擔することを原則とするとしたい。最後に第十條教育行政の條文の後段「教育行政は、この自覺のもとに」の次に「獨立して」という言葉を挿入いたしたい。
以上の修正の趣旨について申し述べます。先般質問の際に述べたように教育の機會均等の條項では教育を受ける國民の側の個人的理由、あるいはそれに關する事項は大體盡くされていると考えますが、しかしながら全般的に國民が均等の教育を受けるという點になると、少し曖昧に思われる。それには申し述べたように學校がまことに非科學的な根據で設立せられておるというような状況は、まず打破せられなければいけない。都市に學校が集中いたしておりまして、農村の子弟というものは――農村と申しましても、僻陬の農村の子弟と申しますものは、能力がありましても、學校が遠隔の地にあるという理由、またはその學校が近くにないために、學問に對する意欲が起らないというような理由、その他の理由によりまして、積極的にも消極的にも就學の機會を阻まれておるのであります。このようなことはまづ第一に是正せられなければならないと思うにもかかわらず、都市にはどんどん學校が建つておる。たとえば私立、公立にかかわりませず、ある有力者が學校の設立の問題を出しまして、資産のある――資産と申しましても、殊に現金をもつておるようなものが集つて校舍を寄附する、校地を寄附するというようなことで、大體體制が整つて、縣や文部省がそれを許可するというような状態であるのでありますが、田舍などにはいりますと、そういうようなことはほとんど考えることができない。かような事情によつて、だんだん都市に學校が集中をいたしまして、地方の文化の均霑ということはまことに偏破な状態になつておると考えられるのであります。これは第一に教育の機會均等という條項で考えていただかなければならないことであると存じております。それに對して文部當局の御答辯によりますと、第十條の教育行政のところに「教育は、不當な支配に服することなく、國民全體に對し直接に責任を負つて行われるべきものである。」という條項があるから、それでいいのではないか。こうおつしやるのでありますが、これは私は詭辯だと存ずるのであります。これは率直に理解をいたしますれば、「教育は、不當な支配に服することなく、國民全體に對し直接に責任を負つて行われるべきものである。」ということは、決してそのような意味をも含ませて考えられるような文章ではないと思います。つまりある種の權力、たとえば今までの教育が受けておりました政黨であるとか、あるいは財閥であるとか、官僚であるとかいうようなものの支配に服することなく、廣く國民全體に對して直接責任を負つて行われるべきものであるということが、主として言われておるのであつて、決して文部當局が言われるように私は理解することはできない。かような意味でまず「學校の設立配置を適正にし」という言葉をそこへ挿入を願いたいと思います。次に「すべて國民は、その教育を受けた學校の程度、種別等によつて差別されない」ということも、またはなはだ大切な問題だと思つておるのであります。われわれのつとに考えておりますることは、學閥の横暴であるとか、あるいは免許状、卒業證書というようなものの不當な評價というものが、いかに社會を蠧毒しておるかということを考えてみまするときに、この點についての考慮が最も深甚に拂われなければならないと思います。これは一つの特權を有しておることなのであります。かような特權を打破するということがやはり今後の教育の最も根本的な問題であると思う。しかるにこの教育基本法には、さようなことについて明確に意思表示をした點が缺けておりますので これを教育の機會均等の條項に加えまして、前にあります條文の裏から、積極的にこれを支持させようという考えなのであります。
それから次に第四條における修正につきましては、これは明らかであります。「原則とする」と申しましたことは、これは現在の状態というものを考えて、また將來地方公共團體というもののあり方というものを考えましてこういうふうにしたのでありまして、この地方公共團體のこれについての意思というものは、地方民の意思によつて決定せられるのであります。まず原則だけを確立しておく方が、私はいいのではないかと思います。教育の機會均等という意味も含めまして、ぜひともこの修正をいたしたいのであります。
最後に第十條の字句の修正でありますが この「獨立して」というのは、申すまでもなく教育財政を含めて獨立をさせたいのであります。最近の教員組合の爭議におきましても、從來の幾多の例に徴してみましても、いかに内務行政が教育行政に強い權力を暴力と言いたいまでふるつておつたか。また大藏省當局の意思というものが教育關係者の獨創的な意見というものをいかに阻んで來たかそれから幾多の政治的な團體というものが、地方におきまして個人の教員に至るまで不當な壓迫を加えてきたかということを考えますときに、これを毅然たる一つの獨立したものにするということが、最も大切なことのように思われる。これは教育界年來の宿望でありまして、ぜひとも實現をさせたいと思う。そういうような點につきましてこの條文を讀んでみますときに、なるほど「この自覺のもとに教育の目的を遂行するに必要な諸條件の整備確立を目標として行われなければならない。」ということは含んでおるということは私にもわかるのでありますが、しかしながら、この獨立ということは最も基本的な、最もわれわれの宿望するところでありまするがゆえに、特にはつきりさせたいという意味が一つ。いま一つは現に提出を豫定せられておりますところの教育行政法案が、内務省側の反對によつて行き惱みの状態にあるということは、これはうわさに過ぎないかもしれませんが、そういう情報を私どもは聞いておるのであります。かようなわけでありますので、ぜひともこれを明らかにしておかなければならないと思います。このことはこれからの政黨政治というようなものを考えてみますときに、教育者並びに教育に對して深甚の考慮を拂つております者は、ある種の危惧を抱いておるのでありますその危惧と申しますのは政府が迭りますたびにあるいは地方公共團體の首腦者が迭りますたびに教育の方針等がゆがめられる、ないしは變轉させられるのではないかというおそれを抱いておるのであります。私どもはこれらの社會の秩序というようなものを考えますときに、それは教育による以外にはないというふうに考えます。軍隊の力もありませず、警察の力もなく、いろいろな治安維持法というようなものも廢止せられておりまして、われわれの言論その他の行爲というものは、すべて各個人の良識に判斷を委ねられるよりほかはない。秩序を維持するものは、單にこれは理性というようなもの、ないしはわれわれのもつております道義心というようなものが決定をするものだと思うのであります。このようなことを思えば思うほど眞實に政治に對して強力な批判を行うべきものとするためには、やはり確然と教育というものを獨立させる、自主性を確立すること以外には、私はないと考える。かような意味におきまして、ぜひとも獨立という項目を入れたいと思うのであります。この法案全體に對しまして、まことに立派であると私どもは敬意を表するのでありますが、ただいま申し上げましたことは、その中に含まれるものではありますけれども、事柄の重要性に鑑みまして、特にそれを明確化するというような意味において、この修正の意見を提出いたしたい次第であります。
なおわが國民協同黨の意見といたしまして、附帶決議をつけたいと考えております。その一つは、先ほど申し述べました教育行政法案の早急の提出であります。第二に、これは義務教育を滿六歳から滿十八歳まで十二箇年に延長をするように、できるだけ早く措置せられたいということであります。但しただいまのは、いわゆるパート・タイム制、定時制の高等學校のみを言うわけなのであります。その二つを附帶決議案として提出をいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=8
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009・椎熊三郎
○椎熊委員長 上林山君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=9
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010・上林山榮吉
○上林山委員 私は自由黨並びに進歩黨を代表いたしまして、教育基本法に關する意見を申し上げながら、原案に賛成せんとするものであります。本法は、言うまでもなく、新憲法の内容を充實するための、教育に關する憲章ともいうべき重大なる法案でありますので、政府當局はもちろん、われわれ議員としても、ないし教育關係者としても、相當關心をもつて臨んでおつたのでありますが、さきに教育刷新委員會の答申を得まして、ここに本法が提案されたといふことは、まことに私ども欣快にたえないのであります。もちろん現在においてもそうであり、將來に對する教育の重要性を考えますときに多少の意見もあり、かつまた希望ももつているのでありますが、現段階においては、これをもつて滿足するのが當然ではないだろうかということを考えるのであります。第一に、われわれが要望することの、現段階において實現できない點は、何といつても國家財政の現状が御承知の通り窮迫をしているという一點であり、かつ足らざるは政府の答辯にもありますごとく、あるいはまたわれわれ議會の要望も賢明に取入れられまして、これを行政の面によつて補つていただくということにならなければならぬのでありまして、そういうような意味から、經濟の面からいつて財政の面からいつていろいろな希望も非常に困難であるということと、その缺陷は、今申し上げますごとく、行政運營の活用によつてこれを強力に補う。こういう意味において、私どもは、本法案が通過した曉には教育の最高の目的を達し得るように希望をするものであります。こういう觀點からいたしまして、ただいま國民協同黨から修正の意見ないし附帶決議に對する御意見があつたのでありますが、私はこれらもそれぞれ理由のあることもありますけれども、今言つたような立場から、直ちにこれを取入れて修正するというような御意見には、反對の意思を表明するものであります。こういう意味合におきまして、政府の原案に賛成をするものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=10
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011・椎熊三郎
○椎熊委員長 お諮りいたします社會黨の委員の方がお見えになつておりませんので、この法案の重大性に鑑みて御出席になるまでしばらく待ちたいと思います。暫時休憩いたします。
午前十一時二十八分休憩
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午前十一時四十九分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=11
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012・椎熊三郎
○椎熊委員長 引續き會議を開きます。永井勝次郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=12
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013・永井勝次郎
○永井委員 私は日本社會黨を代表いたしまして、本案に以下述ぶるところの希望を附しまして、賛成の意を表したいと思うのであります。本法案は從來の教育行政概念からいたしますれば相當進歩的な部分が認められるのでありますが、生産勤勞大衆の立場からこれを檢討いたしますれば、第一に憲法に明記されました教育の機會均等に關する大原則を本案において具體的にすべきであるにもかかわりませず、最も重要な裏つけを缺いていることは、重大な缺陷と言わなければならぬと思うのであります。第二は學校教職員並びに學生の政治運動に關する自由の保障が、明確に規定されていないという點であります。第三は教育財源に關する明確なる保障が規定されていないという點であります。第四は勤勞青少年の教育が重大であるにもかかわらず、從來の青年學校教育においてすら滿十八歳までの義務を規定したにもかかわらず、本法案においてはこれが後退いたしまして滿十五歳と規定されていることは、これは適當にしてかつ十分なるこれら青少年に對する教育の保障を缺いているという點、この四つの點は、わが黨としては見逃しがたい重大なる點であると思うのであります。ゆえに能う限り速やかなる機會において、右の線に沿うて本法案を修正せられんことの希望を附しまして、本案に賛成いたしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=13
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014・椎熊三郎
○椎熊委員長 これにて討論は終局いたしました。引續き採決を行います。まず國民協同黨より提出されました修正案について採決いたします。同修正案に賛起の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=14
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015・椎熊三郎
○椎熊委員長 起立少數。よつて國民協同黨の修正案は否決せられました。次に原案について採決いたします。政府の原案に賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=15
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016・椎熊三郎
○椎熊委員長 起立多數。よつて本案は原案の通り可決せられました。
次に國民協同黨より提出されておりますところの附帶決議を付するという動議について採決いたします同附帶決議案に賛成の諸君は起立を願います。
〔賛成者超立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=16
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017・椎熊三郎
○椎熊委員長 起立少數。よつて同附帶決議案は否決せられました。
これにて本委員會における議事は全部終了いたしました。この際文部大臣より發言を求められております。これを許します。文部大臣高橋誠一郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=17
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018・高橋誠一郎
○高橋國務大臣 教育宣言もしくは教育上の大憲章とも稱すべき教育基本法につきまして、特に愼重なる御審議を賜わりましたことを、文部大臣といたしまして深く感謝するところでございます。なおこの席上において伺うことのできました各位の御意見につきましては、文部省におきましても、でき得る限り愼重にこれを研究いたしてみたいと考えているのでございます。この法案がさいわいにして議會を通過いたすことに相なりましたならば、文部省といたしましては、最善の努力によりまして、これを實際に活用し、運營してまいりたいと考えているのでございます。今囘の愼重なる御審議に對しまして、深く感謝する次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=18
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019・椎熊三郎
○椎熊委員長 この際委員長といたしまして私よりも一言御挨拶を申し上げます。
本案は去る三月十三日に本會議に上程せられまして、第一讀會において議長指名十八名の委員に付託せられました。翌十四日第一囘の委員會を開きまして、委員長竝に理事の互選を行い、引續き文部大臣より提案理由の説明がございました。次いで各委員より熱心なる質疑が行われまして、十四日、十五日兩日は各委員よりの質疑によつて終始いたしましたが、十五日をもつて質疑は終局いたしました。本日はさらに定刻より委員會を開きましたが、この間、前委員長は一身上の事情によりまして委員を辭職せられました。本日は私不肖の身をもつて委員長に推薦せられまして、この重責を汚すに至つたのであります。討論に入りましては、國民協同黨よりは修正意見あるいは附帶決議等、まことに時宜に適し當を得たる御意見を加えての御發言がありましたがこれは少數をもつて否決に相なりました。また社會黨よりは重大なる點について黨の方針を述べると同時に希望的の御意見がございましたが、これらに對しまして自由、進歩兩黨よりは上林君が兩黨を代表して原案賛成の御發言がありまして、これをもつて討論を終局したのであります。採決の結果は諸君御承知の通りでございます。
本案は日本再建のために最も重大なる基礎をなすべき、教育の根源を明らかにするところの重大法案でございまして、各委員におかれましても、この法案の性質に鑑みまして、質疑あるいは政府の應答におきましても、實に御熱心なるものがありまして、委員各位の研究においても、まことに傾聽すべき御意見が多數あつたのでございます。しかも終始一貫、幾多の御意見はございましたが、さしたる波瀾もなく、ここに原案を大多數をもつて可決することができましたことは、日本再建のために、慶賀に堪えないところでございます。私は委員長といたしまして、この熱心なる委員諸君の御檢討、御質問その他御意見等は詳細に本會議に報告いたしたいと存じております。この際不肖の身をもつて重大なる委員長の席を汚したる私は、諸君の御同情に對し、深甚なる感謝の意を表する次第でございます(拍手)。
これにて散會いたします。
午前十一時五十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00319470317&spkNum=19
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