1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
学校教育法案(政府提出)(第三五號)
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昭和二十二年三月二十日(木曜日)午後二時三十九分開議
出席委員
委員長 椎熊三郎君
理事 小川原政信君 理事 及川規君
左藤義詮君 庄司一郎君
森山ヨネ君 永井勝次郎君
山下ツね君 伊藤恭一君
平川篤雄君 松本瀧藏君
三月二十日委員松原一彦君辭任につきその補闕として平川篤雄君を議長に於て選定した。
出席國務大臣
文部大臣 高橋誠一郎君
出席政府委員
文部政務次官 青木孝義君
文部事務官 日高第四郎君
文部事務官 剣木亨弘君
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本日の會議に付した議案
學校教育法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=0
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001・椎熊三郎
○椎熊委員長 これより會議を開きます。
政府提出學校教育法案を議題として討論に付します。討論は通告によりこれを許します。左藤義詮君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=1
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002・左藤義詮
○左藤委員 私は日本自由黨並びに日本進歩黨を代表いたしまして、本案に賛成をいたすものであります。しかし本案は日本の再出發の基礎をなす非常に重要なものでありますが、それがこの差迫つた短い期間に提出をせられまして十分な審議を重ねる餘裕がなかつたということは、やむを得ざる事情は了承いたしますが、はなはだ殘念であると存ずるのであります。またこの法案によつて四月をもつて發足すべき新制度の豫算の點につきまして、はなはだ不十分であります。國家財政の現状やむを得ぬとは申しますけれども、これだけ畫期的な改正をいたしますのにはなはだ貧弱な豫算で、これで十分な施設ができるか、また教員組織の完璧が期し得られるか、教科書等の準備も至つていない。巧遲よりも拙速と申されるかもしれませんが、こういうままで發足しますことは、せつかくの新制度が青年學校の燒直しのような、むしろせつかくの門出に、國民に非常に失望の印象を與えるということを、私は憂うるのでありまして、その點につきましては、文部省が十分な政治力を發揮して、與えられた豫算の中においてまた追加豫算その他の方法において、責任をもつて新制度の充實を期せられることを、特に要望したいと思うのであります。第三に、勞働協約の點につきまして、いろいろ質問がございました。今度地方に教育の中心が移るということとにらみ合わせましていろいろ問題があると思うのであります。先般の教員のゼネストのようなことの再び起りませんように、この點につきましても當局としては十分な用意と決心とがなければならぬと思うのであります。第八條と第十條との間に矛盾がある。第八條の規定がもし從來の文部省がやりました扱いで方ありますと、はなはだ教育の民主化を害することになる。われわれとしてはこのままで白紙委任状を渡すことはできない。私たちはこういうことを思うのでありますがしかし「免許状その他資格に關する」ということは、輕いライセンスと言うか、あるいは資格審査と言うかそういうことだとすると、この第八條によつて官僚的な統制をやる、あるいは學問の自由、あるいは私學の發刺たる特色の發揮を決して妨げるものでない、こういうことが文部省の言明でありまするから私はそれを信じまして、今後この第八條を實施いたします場合これを審査すべき委員會等につきましては、あくまでも民主的に公明に行われるように、その責任を全部文部大臣にお預けをしまして、教育民主化の徹底を希望して、この法案を通過せしめたいと思うのであります。その他十分の時間がございましたらいろいろ檢討すべき問題は多いのでございまするが速やかに再出發をしなければならぬ日本の教育に對する熱意というものが、世界の信用を囘復し、平和會議を促進する。こういう意味から考えまして政府は全力を注いでわれわれが決議をいたしました教育優先のあの決議の精神が活かされるように、不退轉の努力を要望いたします。なおまた本法の運用にあたつては、委員會等においてわれわれの心配しておりますことを十分にくみ取り、また將來はこの法案そのものに對しても一層の改善を期することを政府に嚴に要望いたしまして、あえて本法案に賛成いたすものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=2
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003・椎熊三郎
○椎熊委員長 永井勝次郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=3
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004・永井勝次郎
○永井委員 本案はきわめて重大な案でありまするが、會期の非常に切迫した場合、これらのものが提案されまして、きわめて短期間に審議をしなければならないという時間的な制約のもとに、これが審議をし、十分にその意を盡すことのできませんでしたことは、はなはだ遺憾とする次第であります。今日の民主革命は、一方に古いものを破壞しつつ一面に建設をしていかなければならないのでありまして、その意味において教育の面においても、古いものを破壞しつつ新しいものの建設をする用意をしなければならないのでありますが、この建設の用意は教育基本法においても、あるいはこの學校教育法においても、單にこれは紙の上の設計でありまして、材料のことも、工費のことも、そういうことは一切お構いなしに、圖にただ設計だけをして、こういうものをつくりたいという希望的の意圖のもとに、過去のものを壞すだけは壞してしまつて、新しいものができるかどうか、やつてみなければわからぬというような、お先まつ暗な状態において發足をするとういことは、非常な危險を伴つていると考えるのであります。こういうことのために、かえつて教育の混亂を來して、教育の建設どころではなく、全體としての停滯を招來する素因をつくるものではないかということを、非常に憂うるのでありまして、この點に對しては當局は十分なる戒心をし、注意をもつて、これらの缺點を補うために努力せられんことを希望する次第であります。
わが日本社會黨は、國民協同黨とともに次の希望意見を附しまして本案に賛成をいたしたいと存ずるのであります。
一、本法の實施に當つては、民主的な措置により施行規則等を制定すること。
二、從來の青年學校の校舍、施設、教師等の活用について格別の注意を拂うとともに、勤勞青少年の定時制の教育を重んずること。
三、教師の臨時的な養成並びに恒久的な養成に關する方途を確立し、教育の革命的な刷新に萬全の基礎を固めること。
四、義務教育における教科書の編纂は廣く良識をとりいれうるよう民主的な措置を講ずること。
五、義務教育における教員の俸給は可及的速かに全額國庫負擔とすること。
六、盲、聾、唖學校の充實に格段の努力を拂うこと。
以上の希望を附しまして本案に賛成いたしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=4
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005・椎熊三郎
○椎熊委員長 平川篤雄君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=5
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006・平川篤雄
○平川委員 國民協同黨を代表して本案の賛成討論をいたしたいと思います。まず第一にこの法案並びに、先般通過いたしました教育基本法は、いずれも内外の注目をしている大切な法であるにもかかわらず、このような短期間に審議しなければならなくなつたことにつきまして、大變遺憾に存じております。次にこの法はどこまでもわくの法であつて、これをどんなふうに具體的ならしめるかということは、かかつて今後の努力にまたなければならぬと存じますが、いろいろな點においての質問に當局が答えられましたことをひとつ具體的に實現をさしていただきたいと思います。なかんずく現在文部大臣が教員組合に對してお結びになつておりますところの團體協約の内容、これは全部が全部妥當だとは申せないにいたしましても、今後制定せられる施行規則等の重要な内容をなすものであろうかと存じます。このようなことを考えます場合に、教員組合が勝とるという形でこのような法が制定せられるということは、やはりこれは好ましくないものと思うのでありますけれども、また同時に、そういうような一般の現場におる人たちの意見を進んで取入れるところに、教育全體を明るく圓滑に進めていく途があるのではないかと思いまするがゆえに、ひとつ施行規則等の制定にあたりましては、殊に教員組合あるいは文部刷新議員連盟というような民主的な民間團體の代表等を加えられまして、ひとつ民主的に御制定あらんことを切望する次第であります。なおそれに伴いまして、教育の行政法案をぜひ至急に御提出になるように政治的な力を發揮していただきたいと存じます。それから法案に見えますところの各種但書の規定でありますが、これをも文部御當局が言明をせられましたように、決して豫算というようなものにしばられて、いやいやながらその大事な教育をおろそかにするというようなことの絶對にないように、御約束を御履行いただきたいと考えております。
最後に社會黨との協同の希望條項の中にもありますけれでも、教員の養成につきましては、殊に今後の日本の秩序は教員の社會を中核として維持せられる、ないしは日本の良識のシンボルは、その社會にあるのだというような心構えで、徹底した飛躍的な構想をもつて具體化せられんことを望んでやまない次第であります。以上申し述べた希望を付しまして本案に賛成をいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=6
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007・椎熊三郎
○椎熊委員長 これにて討論は終局いたしました。引續き採決いたします。原案に賛成の諸君は起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=7
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008・椎熊三郎
○椎熊委員長 起立總員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
次に社會黨、國民協同黨共同提案による希望條項を付するという動議について採決いたします。同希望條項を付するに賛成の諸君は起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=8
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009・椎熊三郎
○椎熊委員長 起立總員よつて同希望條項を付するに決しました。これにて本委員會における議事は全部終りました。
この際委員長より一言御挨拶を申し上げます。學校教育法案はさきに本委員會を通過いたしまして、本會議においても滿場一致可決せられましたる教育基本法の委員會に付託に相なりました。十六日以來政府當局の御説明を承りまして、引續き質疑に入りまして、十七、十八日の兩日をもつて質疑は全部終了いたしたのであります。この質疑の模樣を申し上げますると、各黨ほとんど出席せられた全委員ことごとく發言せられております。その發言の内容につきましては、一々繰返して申しませんが、實に深き研究とまじめなる態度、熱心なる情熱をささげて、眞に建設的な御意見をもつてこの教育法案を審議されたことは、今期議會中における各般の委員會の状況等と見合わせまして、私は實にこの委員會こそ、ほんとうに立派な委員會であつたということを確信して疑いません。なかんずく最後の質疑の際におきましては、社會黨を代表せられて永井勝次郎君から、特に切實な問題について熱烈なる御質疑がありました。これに對して學校教育局長は、まつたく自分の赤心、誠意を被瀝しての御答辯がありましたが、御答辯半ばにおきまして、敗戰後の日本の今日の現状、しかも戰爭を放棄した日本の將來の問題を考え合わせて、遂に局長は答辯の言葉を發すること能わず、熱涙滂沱と下つて遂に聲をあげる状態でありました。委員長初め全委員はこの光景に感激いたしまして、全委員會はまつたく今日の敗亡日本の姿と、將來の發展過程等をにらみ合わせて、しばし全委員は涙にくれたのでございます。私個人的のことを申し上げてははなはだ失禮ですが、二十七箇年に及ぶ永い議會をながめてまいりました私は、かつてかくのごとき委員會を見たことがございません。問う者も答える者も、眞に國家のために憂えをともにして、熱涙をもつてこの議案を審議したということは、かつて私の經驗の上からは、體驗したことがないのであります。委員諸君がまじめに熱心に、そうして祖國復興のために熱情を捧げられたあの態度というものは、永く日本の將來のために記録せられておいて、價値ある委員會であつたことを私は考えるのであります。まさに政府富局のあの熱涙による答辨と、委員諸君のあの熱心なる御討議とによつて、戰爭を放棄したる日本は、必ずや平和文化の日本を復興せしめることができるであろう。日本の復興、文化的日本の建設はすなわちこの委員會から始まると申しても、決して過言ではないと私は確信いたします。國家再興のために、委員諸君並びに政府當路者の眞摯なる態度に對しては、私は滿腔の敬意を表するものであります。委員長はまことに不徳の者でございまして、この重要法案の委員長を勤むるの資格のある者ではございません。しかしながら委員諸君の熱心なる御支援、御同情によつて、大過なくこの重責を全うし得たことは、まことに私一身上にとりましても、一生涯の光榮でございます。深く委員諸君に感謝いたします。なおまた政府當路者に對しましては、御熱心なる答辯に對し、委員長から特にお禮を申し上げます。この際一言申し上げまして、この法案の委員會通過を諸君とともに祝福するとともに、諸君に對して、深甚の敬意を表する次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=9
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010・高橋誠一郎
○高橋國務大臣 一言御挨拶をさせていただきます。會期のはなはだ短いこの議會に、教育上きわめて重要な法案を提出いたしまして御審議を願いました事情をよく御諒察くださいまして、きわめて短い時日ではございましたが熱心にこれを御審議くださいまして、ただいま委員長からお話のありましたように貴い體驗と熱烈なる熱情とをこめて、十分に御檢討をくださいました上に、全會一致をもつてこの委員會を通過させていただきましたこと、われわれといたしましては深き感謝にたえないところでございます。もしさいわいにして本案が本議會を通過いたしましていよいよ實行に移されることと相なりましたならば、文部省といたしましては、その全力をあげて、これが施行に遺漏なきように努力いたしたいと考えておるのでございます。諸君の熱心なる御審議に對しまして、深き感謝をささげるものでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=10
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011・椎熊三郎
○椎熊委員長 これにて散會いたします。
午後三時四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210549X00619470320&spkNum=11
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