1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
會計檢査院法を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)(第六七號)
皇室經濟法の施行に關する法律案(政府提出、貴族院送付)(第七〇號)
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昭和二十二年三月二十九日(土曜日)午後一時四十九分開議
出席委員
委員長代理理事 山崎岩男君
理事 森崎了三君 理事 森本義夫君
小川原政信君 加藤一雄君
藥師神岩太郎君 石原登君
星一君 村島喜代君
吉川兼光君 原國君
三月二十五日委員原彪之助君辭任につき、その補闕として川島金次君を議長において選定した。
三月二十七日委員川島金次君辭任につき、その補闕として石川金次郎君を議長において選定した。
三月二十八日會計檢査院法を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)皇室經濟法の施行に關する法律案(政府堤出、貴族院送付)の審査を本委員に付託された。
出席國務大臣
國務大臣 金森徳次郎君
出席政府委員
法制局次長 佐藤達夫君
法制局事務官 宮内乾君
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本日の會議に付した議案
會計檢査院法を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
皇室經濟法の施行に關する法律案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00419470329&spkNum=0
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001・山崎岩男
○山崎委員長代理 會議を開きます。
委員長は本日やむを得ぬ事情によつて缺席いたされましたので、理事たる私が委員長代理としまして議事を進めます。まず昨日本委員會に付託されました會計檢査院法を改正する法律案、皇室經濟法の施行に關する法律案の二法案について、政府當局より提案理由の説明を求めます。金森國務大臣。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00419470329&spkNum=1
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002・金森徳次郎
○金森國務大臣 會計檢査院法を改正いたしまする法律案の理由の御説明を申し上げたいと存じます。
檢査院法は、御承知のごとく、明治憲法が制定せられましたのに伴いまして、明治二十二年に制定されたのでありまするが、その後ほとんど特別な意味をもつ改正もなくて現在に至つております。
ところで今囘日本國憲法が施行されるに至りまして、憲法の上で別段特に激しい變化を豫想しておるわけではありませんけれども、憲法の全精神から推しまして、この檢査院の制度につきましては、相當本質的な改正を加えることが必要となつたわけでございます。
何ゆえにそういう改正が必要となつたかと申しますと、この改正憲法のもとにおきましては、會計檢査院というもののはつきりした獨立性を認めまして、政府から何らの影響をさせることもなく、十分に公正に會計檢査をしなければならぬ。
こういう建前でありまするので、主としてその檢査院の獨立性というものに重點を置きまして、なおこの會計檢査の重要なることに顧みまして、その能率を發揮させることと、それからまた權限を擴めまして、相當手廣に會計上の檢査をさせる。大體この三つの着想に基きまして、いろいろの制度を變えたわけであります。
その改正に基きまして、會計檢査院の組立方のことを申しますと、今までの會計檢査院は天皇に直隷をいたしまして、國務大臣に對しましては、獨立の地位をもつており、そしてまた中には相當たくさんの會計檢査官がありまして、それが大きな問題は十數人の檢査官で相談して解決する。こういうことになつておつたのであります。今囘の改正においては、まず天皇に直隷することがなくなつたのであります。これは憲法改正の必然の結果であります。内閣に獨立するということになるのは、これまた憲法改正の必然の結果でありますが、今まで十數人の檢査官で總會議で決定し、そのほかに部會で問題を決定しておつた。そういうやり方を本質的に改めまして、今囘は檢査院の審議の仕方を二つにわけまして、物の値打を判斷する。いいとか惡いとかいうことを判斷するのは三人の檢査官が合議できめることにしたのであります。ちようど裁判所の裁判官が何人かの合議できめるのと同じように、三人の檢査官のごく自由な、ほかから影響されない考えで合議をしてきめる。こういうことにいたしました。それから實際複雜な會計檢査を精密にいたしまするためには、特別の事務總局というものを設けまして、その事務總局に今の豫想におきましては數百人の職員がはいりまして、間違いのない調査をする。そういうことにいたしております。檢査官の會議は、いわば決定機關でありまして、その下にありますところの事務總局というものは、執行の機關である。こういうふうに申し上げたらよかろうと、思つております。
そこで次に檢査官の任命等はどういうふうにするかと申しますと、これがさらに重大な問題でありまするが、檢査官の身分を十分獨立さしておきませんと、自然内閣の影響を受けるようなことになるわけであります。そこでその點を考えまして、檢査官は國會——兩議院の同意を經て、そうして内閣がこれを任命する。さらに天皇が認證せられるという形にしておりまして、最も愼重な取扱いをいたしております。會計檢査院の長はどうしてできるか。こう申しますとこれもまた今の三人の檢査官がお互いに選び合いまして、そうしてその互選の結果によつてできましたところの一人を會計檢査院の長とするわけであります。これが結局會計檢査院の事務全般を管理することになると存じます。檢査官の任期はどうかというと、初めから七年ときめてある。再任することができるかと申すと、一囘かぎりできる。つまり七年の任期を二囘重ねて十四年しかできない。三遍續けて再任せられることはあり得ないことになつている。これはかなり變つたことでありますが、身分の保障を非常に嚴重にいたしますので、結局その人の意見が大きな意味をもつてくる。それがあまり固定しておると、その會計檢査院の働きが固定するきらいがあるので、それを何年にしてよいかということはもとより議論のある問題ですが、まず二囘ぐらいで打切ることにする方が、諸般の見地からみて、彈力性、獨立性もあると考えるのであります。その他六十五歳になると、退官することになつている。また身體の故障あるいは職務上の義務に違反したという場合にどうして止めるかについては、結局同僚の裁きというか、他の檢査官の合議によつて、その事實を決定する。さらに國會兩議院の決議があつたときには退官することになつております。その點について非常に身分保障が完全になつたと考えております。現在の檢査官は十數人あつて、それも一つのよい意味をもつていますが、やはりものはあまりたくさんの人が相談し決定することは事情に適しない面があつて、三人位の檢査官が全責任をもつて決定することがよかろう。こういうことで、ひとまづ三人と限定いたしました。事務總局の方は、官房のほかに四局設け、その下にいろいろの職員をおいておりますが、この職員も相當に獨立性が認められておるのであつて、そのうちの一級の官吏は内閣で任免進退をすることはありますが、その根本は檢査官が合議で決定して、その決定に基くのでありますから、非常に獨立性をもつておることになります。
第二は檢査院はどんな仕事をするかという働きのなわ張りのことでありますが、それは憲法に豫定している仕事はもちろんでありますが、別に法律ができて、檢査の範圍をきめることももとより問題はありません。なお一般的に申しますれば、今までの檢査院の働きよりもう少し廣くいたしまして、この法律の中にこまかに書いてありますが、たとえて申しますと、國の方から資本金を出しておる法人の會計を檢査すること、あるいは國から資本金を出しておる法人が、さらにまたその金を他のものに出しておるような場合があると、その先までも會計檢査をすることができるということになつております。それはそういう新しい形が自然殖えたことにもよるのでありまして、新しい政治形態、國のその面の行政につり合うようにこの規定を完備したわけであります。その他いろいろこまかいことがありますが、そのうちの一、二のやや大きな點を申し上げますと、いままで委託檢査というものがあつて、會計檢査院が直接に檢査をいたしませんで、その部分に檢査を委託しておくということがあつたのであります。すべての場合についてやるわけではありませんが、比較的こまかい仕事、しかも數の多い場面、私の聞いているところでは、たとえば鐵道の切符を賣るという事務的な會計は直接の檢査をしなかつたのが普通でありまして、今度は會計檢査院の本質に顧みまして、全部直接に檢査する、こういう建前をとつたのであります。これはもとより實際は非常に困難なことでありますが、それにはしかるべき便法を設けて、とにかく直接檢査していくということにいたしております。
次にやや大きな働きの上の問題といたしましては、會計檢査院は精密な會計の檢査をいたしまして、そうして報告書をつくつて、それを國會に政府の手を經由して提出することになつております。すなわち檢査報告は、年々國會に提出せらるることになるのでありまして、その檢査報告の中には、今まで會計檢査院が各會計事務を扱つておるものに對しまして、いろいろ注文をつけて、法令や制度や行政に關しまして、改善を必要とする事項があるときに、意見を表示したり何かしておりまするが、それらのことも、みなその檢査報告に書くことにいたしました。なおかような檢査報告が國會に出まするときには、今まではただ書面を政府の手を經由して國會に出しただけでありまして、その辯明にあたりまするのは政府だけで辯明しておつたのであります。こういうふうにいたしますと、ものの道理といたしまして、政府のみが辯明の矢面に立ちまするがゆえに、せつかく會計檢査院でいろいろの研究をいたしましたことが、國會に直接映らないことになるおそれがあるのであります。そこで今囘はその缺點を改めまして、檢査報告につきまして、會計檢査院の方から檢査官を出席せしめて説明をするとか、あるいは直接に書面を出して説明をするということができるようにいたしました。これは國會の權能を相當擴めたことになるのであります。ただかようにいたしますると、一つの疑念が起りまして、そういうふうにすれば、國會の方では自分の會議であまり望まないようなときに、檢査官が出て來て説明をしたい、こう言わるるとどうなるであらうか、むりやりに説明を聽かなければならぬことになるのではないか、こういう疑いが起つてくるのでありますが、これは國會の中の事務の取扱い方の問題でありまして、このことは憲法の中にも、國會の内部のことは國會みずからきめらるる、正確に言えば、兩院みずからきめらるる、こういうことになつております。從つて特別な法律がない限りは、兩院みずからその順序をきめられてよかろうと思います。たとえて申しますると、委員會でなければ聽かないとかいうふうにおきめになつてもよろしいし、あるいは時期を指定して、そのときでなければ聽かない、こういうふうに御規定になつてもそれはもう議會の自治的な權能によることと思つております。
それが大體檢査院の方の仕事でありまするが、なおここにもう一つ申し上げたいのは、檢査院に關係することでありまするけれども、各官廳に會計の檢査の事務をとつております出納官吏あるいは出納員というものがありまして、これは會計法の規定に基きまして、現金や物品を扱つておる。その現金、物品の取扱いについては、一切の責任を負うておるのであります。そのときに、たとえばもつておる金を失つてしまつたとか、あるいは扱つておる物品を毀損させてしまつたとかいう場合にはどうなるかという問題が起ります。こういうことは、從來とも正確な規定が設けてありまして、結局會計檢査院から責任解除の判決を受けるのでなければ、その辨償責任を免るることができないというようなふうに今まで定まつておつたのであります。ところが今囘裁判の制度が變りますると、今までのように會計檢査院がその責任を最後まできめてしまう、たとえば賠償責任があるということを會計檢査院で決定せられますると、もうそれ以上に何らの救濟の途がないということになりまして、すべての問題を裁判所へもつていくということがそこで押しつけられてしまうことになります。これは今囘の憲法に伴つてやはりかえなければなりませんので、その點を考えまして——ほかの點をもなお考えまして、もしもそういう出納官吏が國に損害を與えた事實があつたような場合におきましては、ほんとうに善良な管理者の注意を怠つたために、さような事實ができたかどうかを審査して、辨償責任があるかないかを檢査院で決定をいたすというふうに、本法で規定をいたしました。さらにさように決定せられますればどうなるかと申しますと、本人としては、普通の裁判所に訴えて問題を最後に解決してもらうこともできるのであります。
なおそのほかにもいろいろこまかい規定がある。今までにない點を設けておりまするけれども、大體大きな筋というものは今申し上げたようなところに盡きると考えております。先ほど申しましたように、この檢査院の制度は、日本におきまして今までの檢査院の行き途よりも、はるかに進んだ行き方であり、これによりまして獨立制が強く増加したということになるのであります。
なおしまいぎわになりますが、この會計檢査院の獨立性が強くなつたということの一つの例をあげてみますと、會計檢査院というものは、結局官廳の一つでありまするから、自分に豫算をもたなければなりませんので、本年の豫算をいくら使うか、こういうことが現われてくるのであります。從來はさような豫算は政府におきまして決定して、そうして總豫算に載せまして國會の議決を經るということになつております。今後とてもその大筋はかえることはできないのであります。しかしもしも會計檢査院と政府と意見が違いまして、たとえば會計檢査院で百の豫算を要求いたしましたときに、政府で九十にこれを査定した。あとの十が問題になつて、會計檢査院と政府と意見が一致しないという場合がありますると、從來ならば、政府の意見で九十を押し通すということになりました。しかしそういう態度を徹底いたしますると、會計檢査院がほんとうに獨立して仕事をしようというときに十分に目的を達しないことになります。そこで今囘は責任は政府がとるのだからして、政府は九十に査定して總豫算をつくるが、しかしながら同時に檢査院の方の要求の内容を檢査院から出された通りに書きまして、それを添えて國會に出すのでありまして、國會は政府の提案と會計檢査院の要求とを見究めて、自分の判斷、最高機關の權能によつてこれをしかるべく決定をせらるるというようなふうになりまして、この點はかような獨立官廳の地位を非常に高めたことになると存じております。
大體會計檢査院の方の説明はこのくらいにいたしまして、次に皇室經濟法の施行に關する法律案の提案理由の方の御説明を申し上げたいと思います。これはきわめて簡單な法律でございまして、本來ならばもう少し複雜に書かなければならぬのでありまするが、事實やむを得ざる事柄がありまして、どうしてもなかみをこの際精密にきめることができないという立場に置かれておるのであります。皇室の經濟に關しまする問題は、今正直に言つて、いろいろな考えが錯綜しておる時代でありまして、この際はつきりときめるということには相當考慮の餘地があるのであります。しかしこれをきめませんと、五月三日以後の皇室の經濟が適當に動いていきません。だから確定してしまうのも工合が惡いし、きめなければ困るというこの二つの事情の中にはさまれまして、暫定的な考えをもつてこの法律をつくり上げたのであります。從つて案の中には種々なる未確定なものが含まれておるのであります。
そのなかみの第一は、皇室經濟法の第二條に規定してあります一定價額についての規定であります。皇室經濟法の規定、すなわち先に御協賛を得ましたところの皇室經濟法の第二條をごらんくださいますとわかりますけれども、この第二條のおもなる考え方は、皇室と皇室外の、たとえば國民というものとの双方の間に金錢その他の財物が動くことに制限を加えた意味の規定でありまして、皇室經濟法の規定によりますと、大體何萬圓以下のものは自由に、たとえば献納したり、あるいは賜つてよい、またそれより少し上のものは皇室經濟會議の議を經なければこれを授受することができないというふうになつておりまして、またそれを超えますものは、これは憲法の規定によりまして、國會の議を經なければ財物が兩者の間を動くことができない、こういうことになつておりまして、それに必要な、たとえば金額いくらという、そういう價額の定額をきめるということが豫想されておるのであります。この施行法におきましては、ほんとうから申しますと、その法律の中に豫想しておりますいくつかの定額をきめなければなりません。たとえば五萬圓以内とか、二十萬圓以内とかいうような金額を具體的にきめなければ、施行法の目的を達しないことになるわけであります。ところが先にも申しましたように、これをこまかに、正確にきめますことは、まだ時期が適當でないのであります。經濟的な物の値段の動きというものも非常に變つておりますし、そのほかにも原則的に考えなければならぬような大きな問題があるわけであります。そこでこまかい規定はすべてやめてしまいまして、この改正案におきましては、皇室の方から人民の方に移つていくものにつきましても、また人民の方から皇室の方に移つていくものにつきましても、五十萬圓までの金額すなわち通計して五十萬圓までのものは自由に流通さしてよろしい、こういうふうの規定に止めたのであります。これは經濟法の趣旨よりも少しあらつぽくなつております。なぜ五十萬圓にきめたかと申しますと、本來ならば實は五十萬圓では困るのであります。皇室の方はたくさんの宮樣方がおいでになります。その範圍におきまして、流通金額五十萬圓を超えれば、すぐに國會の議にかかるということでは困るはずでありますが、政府は新しい憲法施行後の國會には、いち早く完全な法律を出そう、こういうふうに豫想しておりますので、さしあたりのところ、この二月ばかりの間の必要なるものをきめますれば、目的が達すると存じております。ただ二月ばかりの間のことでありますがゆえに、あらつぽく五十萬圓とこういうように豫想しておきまして、それを超えたならば國會の議を經なければ、財物の授受ができないというふうにいたしましても、大體間に合うだろうと思つておりますし、さような限度できめますれば、ほかにとかくの支障を起すこともない、かように考えて、やや大づかみな規定を設けたわけであります。
次に改正の第二の點は、皇室經濟法の第四條に豫想しておりますところの内廷費の定額をきめる規定であります。内廷費と申しますのは、前から御説明はいたしておりますが、念のため御説明申し上げますと、皇室の經費は大體三つにわけて考えております。一つは宮廷費、いはば表側の經費であります。一つは内廷費、これはいわば内側の經費であります。そのほかに皇族の御經費というふうに三つにわけて考えておるのでありますが、その中の内廷費でありまして、これは結局天皇と、内廷にある皇族の日常の費用、その他内廷の諸費にあてられるというふうのものであります。でありまするから、經濟状態の變動等の影響を受ける面が多いのでありまして、日常の生活費にあたるものが多いのであります。從つて金額の上におきましても、物價の趨勢の影響は非常に多いと思います。でありますから、今日先々までも見透してその定額を明確にするということには、相當の困難があるのであります。しかしそれかといつて二月ばかりの間をきめておく、こういうこともできないのであります。いろいろな計畫を立てまするには、先の方までも豫定しておかねばならぬ、これも折衷で二年間の有効期間を付しまして、そうして定額をきめたのであります。しかしその間におきましても、諸般の事情からこの金額をかえる方がよいというような場合が起りますれば、いつでもその額の變更について法律改正の手續をとるべき旨を定めておる次第であります。
次に第三の皇族費の問題でありますが、皇族費の關係におきまして考うべきものが二つあるのであります。一つは年々皇族方に差出すところの定額であります。もう一つは皇族が皇族から離れられて一般國民におなりになりまする場合に、一定の金額を一時金としてお渡しするというのであります。つまり年額として考えまする場合と、一時金として考える場合と、二つあるわけであります。そのうち年額として考えまする方を今囘は特に規定をしておるのでありまして、年額として皇族の御經費を支辨するのでありまするが、これをどういう計算によつてしたならばいいかと申しますると、經濟法で豫想しておりますように、まず標準額を一つきめまして、その標準額に從つてたとえば親王はその標準額通り、内親王はその何分の一とかいうふうにきめております。標準額をきめる必要があるのでありまするが、これも本格的のものは憲法施行後の最初の國會、これはいつ開かれますか、速かに開かれるとは思いまするけれども、いずれにしても結果が出まするまでには、少し遲れるものと思つております。そういうことを考えましてさしあたつて、十五萬圓をその算定の基礎と定めたのであります。ほんとうのものは今申しましたように、今後十分な研究を重ねまして、これを規定するというふうにしたいと考えております。次に前にちよつと申しました一時金の基準額であります。一時金というのは、ある基準額に十五年以下の數字をかけて算出するのでありまするが、その基本となりまする額も、皇室經濟法の趣旨から言えば、今囘きめておくことの必要があるはずであります。ところが一時金というものは相當先のことまでも考えなければなりませんし、またそのほかのお方の釣合とかいうことを考えなければなりませんので、今日これをきめますることはまだ少し研究が足りませんので、これも憲法が施行せられた後の最初の國會において十分お定めを願うことにいたしまして、今囘はそれをきめません。のみならず經濟法に書いてある一時金額の規定は適用しない。こういうふうの規定をおいたのであります。この結果といたしまして、かりにほんとうの法律が出ないうちに皇族の方が皇族から一般國民におなりになるという場合には、一時金は差出すことができないというような結果になります。それは法律としてははなはだ不十分なことでありますけれども、いずれにいたしましても、國會がほんとうに新しく開かれるのは遠くないことと思つておりますので、しばらくそこに猶豫をしておれば事に差支えはない、こういうふうに考えましてさような暫定的な規定を設けたのであります。
以上申し上げたところが、この二つの法律につきましての説明でございますが、どうぞ御審議をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00419470329&spkNum=2
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003・山崎岩男
○山崎委員長代理 本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十一時より開會いたします。本日はこれにて散會いたします。
午後二時十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00419470329&spkNum=3
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