1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
會計檢査院法を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)(第六七號)
皇室經濟法の施行に關する法律案(政府提出、貴族院送付)(第七〇號)
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昭和二十二年三月三十日(日曜日)午後三時二十分開議
出席委員
委員長 天野久君
理事 山崎岩男君 理事 森本義夫君
小川原政信君 藥師神岩太郎君
石原登君 星一君
村島喜代君 石川金次郎君
吉川兼光君 大津桂一君
原國君
出席國務大臣
國務大臣 金森徳次郎君
出席政府委員
法制局次長 佐藤達夫君
法制局事務官 井手成三君
法制局事務官 宮内乾君
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本日の會議に付した議案
會計檢査院法を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
皇室經濟法の施行に關する法律案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=0
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001・天野久
○天野委員長 これより會議を開きます。會計檢査院法を改正する法律案、皇室經濟法の施行に關する法律案の二法案を一括して議題といたし、質疑に入ります。石川金次郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=1
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002・石川金次郎
○石川委員 第一條の會計檢査院の獨立の性格について一應明らかにしておきたいと存じましてお尋ねいたします。國家の統治作用は立法、行政、司法と三つにわかれまして、おのおの相侵すことなしとする考え方、すなわち三權分立の思想が、日本の憲法においても、また原則をなしておると存じます。そこで會計檢査院は行政の一分野を擔當しておるものであるか、あるいは行政にも司法にも立法にも屬せずして、憲法から直接に生れ出てくるところの機關であるか、つまり國家の經濟行爲、國家の財政行爲を監視監査する一つの機關として、憲法より直接生れ出でたる獨立の機關となるのかということをお伺いしたいのであります。これをお伺いいたします理由は、會計檢査院法の各條文を讀んでまいりますのにも、また將來權限等の問題が發生いたしました場合における一つの解釋のしかたといたしましても、お伺いしておくのが當然だと存じますので、お伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=2
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003・金森徳次郎
○金森國務大臣 ただいまのお尋ねの點は、學問上申しますると、いろいろ込み入つた説明ができようかと存じますけれども、具體的な日本の制度から申しますれば、會計檢査院は立法、司法、行政のいずれでもない特別な地位をもつておると考えております。ごく廣い學問上の見地から申しますれば、これは立法でもなく裁判でもございませんで、行政ということにはいることにはなりますけれども、しかし内閣の統轄いたしまする行政とは違いまして狹い意味におきましては、行政以外の獨立の地位をもつておると考えております。現在の會計檢査院法におきましては、檢査院は天皇に直隸しというような言葉がありまして、幾分言葉の感じにおきましては、行政に近いという感じをもつておりまするが、今囘の制度におきましては、さような天皇に直隸しということもないのでありまして結局憲法そのものの規定から流れ出でて、どこにも隸屬しない獨立なものと思つております。そこでかようなほんとうの獨立の地位をもつておるということから、いろいろその獨立を保障する制度が生れてくるのでありまして、一つは人事權の問題であります。人事をどうするかということになりましてこれに完全なる獨立を與えるというふうの希望が強いわけであります。しかし人事というものは、結局國家的に全般的な統制をしなければなりませんので、任命をするのはやはり内閣が任命するよりほかに適當な途がないのであります。この點は裁判官を任命いたします場合と同じようであります。しかしその任命の手續といたしましては、必ず檢査官につきましては國會の兩議院の同意を經なければ任命ができないというふうになつておりまして、この點におきましては實質的に獨立性が強められております。またもう一つの問題は檢査院が自分の會計をどうするかという問題でありまして、もし檢査院の豫算を政府の方で勝手に削ることになりますると、これは會計の方から獨立を害されてしまいます。今度の建前におきましては、そこの面倒な問題を調節いたしまするために、豫算全體としては内閣で組む。それは歳入と併せて考えなければなりませんから、内閣で全責任を負つて豫算を組むということになつております。しかし豫算の請求は會計檢査院ですることにする。もし會計檢査院の請求と政府の意見と食い違つた場合にどうするかと申しますると、政府は自分の意見は自分の意見として國會に出しますけれども、會計檢査院の請求した費目は精密にそのまま添付して參考書類として必ず國會に出さなければならぬ。國會で政府の意見と會計檢査院の意見とを對照させてそうしてみずからの判斷で最後の決定をさせる。こういうことになつておりまして、今申し上げました點はこの檢査院法にはありませんが、財政法の中にはつきり書いてあるのであります。人事の面と財政の面は完全に獨立させられております。
それから仕事の面の獨立はどうなるかと申しますると、これはこの法律の中にはつきりしておりまするように、どこからも特別な指揮監督を受けませんで、これは法律の定むる通りに會計檢査院はやつていく。こういうことになつておりますから、學問上のわずかの連絡から申しますれば、これは行政に屬すると形式的には言えるのであります。しかし現實の制度といたしましては、まつたく一般の行政と違つた獨立のものと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=3
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004・石川金次郎
○石川委員 ただいまの御説明でよくわかつてまいりましたが、そこでいわゆる豫算の面における一つの獨立がございませんと、結局憲法上の直接獨立機關と相なりましても、獨立機關の本質を達成し得ないことになると存じますが、ただいまの御説明で、書面によつて議會に會計檢査院が必要とする經費の説明ができるということになつておるのでありますが、これは會計檢査院からその豫算書をもつてまいりまして、議會直接にこれを説明するという方法はとられないかどうか。その點をお聽きしたいのであります。直接口頭によつて私たちがお伺いいたしますることによつて、會計檢査院の事業もわかつてまいりますると同時に、會計檢査院による國家の經濟行爲、財政行爲に對して、私たちは大いに期待するところがございますものですから、この點をお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=4
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005・金森徳次郎
○金森國務大臣 今お尋ねの點は、檢査院自身の豫算を國會へ直接にもつてきて説明ができるか、こういうお尋ねだと思つておりまするが、これは檢査院から直接にもつてくるわけではございません。と申しまするのは、憲法の中に豫算を編成するのは内閣であるということがはつきり書いてありまするので、かつまたこの豫算というものははいつてくる金の方を念頭におきませんと切盛りができません。それで全體の編成はこれは政府がいたします。そこで直接責任は政府がもちまするがゆえに、政府がみずから豫算の全體を組んで國會に提出する。その責任者はあくまでも内閣である、こういうことになつておる、けれども會計檢査院から出しました請求で政府の出したものと違いまする部分は、そのままそつくり會計檢査院のものと同じものを出して國會に提出するわけであります。それにつきましてもし國會にお疑いがあるという場合には、直接會計檢査院の關係者を呼び出してお聽きになることができるように、今囘の國會法等でできておりますがゆえに、大體の御趣旨はここで守られておると考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=5
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006・石川金次郎
○石川委員 財政の面からではなく人の面、職員任命の點からお聽きしたいのでありますが、會計檢査院法によりますと、なるほど檢査官の任命にいたしましても、その他の職員の任命にいたしましても獨立性はもつておるようであります。しかしこの場合におきましても内閣がこれを任命する、もしくは總理大臣がこれを任命するという規定が出ておるのでありますが、そうなりますと、内閣でありましても、總理大臣でありましても、たとえば會計檢査院長の任命につきましては内閣はこれを拒否ができない、檢査官がこれを選擧いたしましたものについては拒否權をもつていない、こう見て差支えないでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=6
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007・金森徳次郎
○金森國務大臣 法律上の特別の制限がなければ拒否できないものと考えております。そうしてこの場合に特別の制限も何もございませんので、結局拒否できないということになるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=7
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008・石川金次郎
○石川委員 そこで第二條を中心としてお聽きしたいと思いますが、會計檢査院という官廳が「檢査官會議と事務總局を以てこれを組織する。」こういうことになつておるのでありますが、あとでもだんだんお伺いしたいと存じますが、まず檢査官會議と事務總局、この二つをもつて組織するということに相なりますと、この條文を讀んでまいりますうちに、會計檢査院と言つております文句が會計檢査官と讀切れないような文句があると存じます。この點について會計檢査院となつて外部に對しまするときには、事務總局、檢査官會議、この二つの連絡がなければ一つの官廳として現われてこないかどうかをお伺いしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=8
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009・金森徳次郎
○金森國務大臣 この組立ては骨組を申し上げませんとはつきりいたしませんが、着想は今までの官廳の組立てよりもよほど特色をもつておりまして、今までの日本の行政事務におきましては、判斷をする者と事實上の調べをする者とが大體同じ人間がやつておつた。その結果といたしまして、ほんとうに貴重な仕事をする人がこつこつと事務的な仕事をいたしまして、またこつこつと事務的な仕事をしておるべきはずの者が大きな方針に關する決定をしたりいたしまして、ここに權限の混雜が起るのが常であります。それが行政部局の中におきまして下剋上というようなことが起りましたり、あるいはまたほんとうの責任者がこまかいことをやつておるがために能率を失うというようなことにもなつております。そこで今囘の會計檢査院法、またそればかりでなく、裁判所等の制度におきましても、實際方針を決定するという者は一番重要なる職員にこれをやらせる。しかしながらそれの基礎材料になるものは別に事務官をおいてやらせるこういうふうな建前で裁判所もさような考えをもつて組織されておりまするし、會計檢査院もまたその考えであります。會計檢査院に當嵌めてみますと通常の調べ事務をいたしますのは、これは事務總局がするのであります。しかしそれはただ調べるということに重點をおいておりまして、檢査の適否とかあるいは各官廳の會計事務のやり方について何か注文をつけるとかいうような、いわば政治的な意義をもつている點につきましてはこれは檢査官のみが合議してこれを決定する、こういうふうの立場になつております。そこで今お尋ねになつた二つのものが一緒にならなければ仕事はできないかということでありますが、結果においては二つのものが一緒にならなければ仕事はできないわけであります。けれどもそれは一方は通常の事務をやる、すなわち下ごしらえをするということです。それから一方の檢査官の方はほんとうの味のある部分の仕事をする、こういうことでありまして、その二つが伴つて全體のこの會計檢査院の働きになつていくというふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=9
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010・石川金次郎
○石川委員 少し飛びますが、第二十四條において會計檢査院というのがあります。二十五條にも會計檢査院とありますが、これは會計檢査官の意味でありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=10
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011・金森徳次郎
○金森國務大臣 會計檢査院という官廳の名前にしておりますところは、やはりこれは官廳を現わしておるのでありまして、會計檢査官そのものを文字自身は現わしているわけではありません。しかし會計檢査院の働きをいたしまするのは、結局檢査官の決定を待つて仕事をするわけであります。ですから少し考え方が違つておりますけれども、實際におきましては檢査官とお考えくだすつてよろしゆうございますけれども、通常大藏大臣と大藏省というような言葉で區別しておりますのと同じくらいの言葉のあやに差があるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=11
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012・石川金次郎
○石川委員 私の考えが混亂しているのかも知れませんが、裁判所の場合をみましても、裁判所で訴訟法上に構成されております裁判長と、私達が行政的にみてまいります裁判長とは必ずしも同一の觀念ではありません。訴訟法上における裁判長は訴訟法上の觀念をもつておるのであります。そのような意味におきまして、この會計檢査院法中第二十六條には「會計檢査院は、檢査上の必要により檢査を受けるものに帳簿、書類若しくは報告の提出を求め、又は關係者に質問し若しくは出頭を求めることができる。」とあつて、こういうように外に働きかけてまいります場合には、會計檢査院が檢査官會議と事務總局をもつてこれを組織いたしまするならば、會計檢査院の意思表示をここでは檢査官のみではできないのであつて、どういうようにして會計檢査院の意思を決定していくかという點であります。もとでありますれば、院長が會計檢査院を統轄するという文字がありましたので明らかでありましたが……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=12
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013・金森徳次郎
○金森國務大臣 お尋ねの次第はよくわかりました。會計檢査官はお説のごとく裁判所のような働きをしております。裁判所にまた行政事務があると同じように、この會計檢査院にもさような仕事があるわけであります。それを誰が擔任するかと申しますと、實質は事務總局がそれを擔任をいたしまして表に現われます場合は會計檢査院の長すなわち會計檢査院長がその事務を擔任する、つまり行政事務につきましては會計檢査院長が表に立つというふうの考え方をいたしております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=13
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014・石川金次郎
○石川委員 例を裁判長に取つて申し上げますと、證人に出頭を命じますのは個々に組織してあります裁判長が、その訴訟を取扱つて出頭を求めるというかつこうになつております。二十六條の會計檢査院は、ここは檢査官が、檢査官會議によつて決定せられたことによつてこの命令を出すというように考えますが、事務總局もこれによつてやれるということになりますと、非常に複雜になつて、事務執行にめんどうを來すのではないか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=14
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015・金森徳次郎
○金森國務大臣 さように非常にめんどうにお考えくださいますと、私の用いました言葉が不正確なことに結局歸着いたしますが、私が事務總局を使つてと申しましたのは、庶務を擔任いたしますのは事務總局がやつておるのであります。外部に向つて正式に働くのは會計檢査院長が働くのであります。それから會計檢査院長がさような命令を出します根底におきましては、檢査官の會議が必要な場合には用いられておるということになるわけでありまして、それで職分はわかるであろうと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=15
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016・石川金次郎
○石川委員 それではさらに進めまして五條についてお伺いしたいのでありますが、これは國務相から親切に御説明がありましたが、七年といたしまして一囘限り再任を許されているようでありますが、これを五年といたしまして、よい人でありますならば何囘もこれは再任されることができるということにお考えになりませんでしようか。たとえば檢査官の任命は國會の同意を經て内閣が任命をするのでありますから、この任期を七年にいたしました理由と、一囘限りしか再任はできないのだということの理由をもつとはつきりお伺いしておきたいと存ずるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=16
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017・金森徳次郎
○金森國務大臣 七年が大體よかろうというのは、これはまつたく腰だめでありまして、裁判官は十年、參議院議員は六年、こういうような計算がありますが、檢査官は大體七年がよかろう。こういう一應の腰だめをしたのであります。しかしそれは非常にぼんやりした考え方でないかというお尋ねもございましようが、この着想は三人の會計檢査官が順繰りにこう任期をつなぎ合わせてはしごのように切り替えていく。こういう考えをもつておりますので、一遍に三人の檢査官がなくなりますと、檢査の事務の連絡が切れるわけであります。そこで法律の一番終いの附則の第七條というところに、檢査官のうち二人の任期は、一人については三年他の一人については五年とする。こういうふうに書いてありますがつまりこの趣旨は、初め三人の檢査官がございましても、一人は三年目に任期がなくなつてしまう。他の一人は五年目に任期がなくなる。もう一人は七年目に任期がなくなるというふうで、これを外から見ますと、まず三年の間に一人迭りましてその次の二年間に一人、その次の二年間に一人が迭る。こういうふうにして順繰りに圓滑にいくというふうに考えておりまして、そういう切替えの工合を念頭におきつつほどよく年數を考えまして、一應七年という任期をつくつたのでありまして、これに絶對の確實性があるというわけではございません。まあそういう便宜から考えたのでございます。ところで次に問題が起りましたのは、一囘限り再任されることができるという規定は言いかえますと二度しか續かない。三遍目は任命されぬということになりまして、これは今までの法律の建前から申しますと、非常に變つた新しいことになつている。なぜこういう規定を設けたかと申しますと、檢査官というものは非常に獨立性がありまして、これはやめるといつても實は何ともやめる手もないのでありまして、中におらるる三人の人の間の議決によつてやめる。しかもほんとうにやめる人が出ますれば、あとの二人の意見でやめるということになるのでありまして、これは容易にやめられないのであります。身分の保障は嚴重にいたしましたけれども、他の一面においてそういう面からそこに特殊なる勢力とか慣習とかいうものが發達いたしますと、結局日本の會計檢査について沈滯の氣分が現われてくると思います。それを折衷いたしまして、どんなえらい人でも二囘目の再選で、それで打切つてしまう。これは一面からいうと無理なように見えますけれども、大きな眼で仕事の的確性、時代に遲れずしてほどよくいくということを確保いたすためには、こういう行き方がいいのではなかろうか。停年制などの考え方とほぼ類似しておりますが、別個の方法をもつて、まあ十四年も同じ頭でやつたならば、切り替え時期が來るではないか。こういう計畫をしたのでありまして、多少の新し味を含んでおるとともに、今後じつとよくその結果のよしあしを見て考えなければならぬ一つの企てであるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=17
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018・石川金次郎
○石川委員 あとでお聽きしようと思つておりましたが、附則の第七條であります。これが初めて任命される檢査官のうち二人の任期は第五條第一項の規定にかかわらず、一人については三年、他の一人については五年とするということになつておりますが、ただいまおつしやいましたところによると、一人は七年、他の一人は五年となるのでありますが、これはだれが一番先に三年でやめていくのか、そういうことはどこできまつてくるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=18
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019・金森徳次郎
○金森國務大臣 この點はこの規定に特別なものは何も定まつておりません。そうして參議院議員の選擧のように、法律をもつて投票數の少い人を任期を短くするという考え方もできますが、この場合は單純なる任命でありますので、それもできない。それで初め任命するときに條件を附して任命する何の何がしは何年間會計檢査院に赴任するのだ。こういう條件を附して、まず第一囘は任命する。それから先は不自然なことはなくなりますが、初めはやむを得ぬと考えます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=19
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020・石川金次郎
○石川委員 第七條の規定について伺いたいと思いますが、檢査官は禁錮以上の刑に處せられた場合でなければ官を失わないということになつたと思いますが、このもとの會計檢査院法の第六條、これは不明確な規定だと思いますが、今度これをなぜ禁錮以上の刑と決定せられたか、罰金刑に處せられた者はなぜ官を失わないことにいたしましたのか。こういう見解をとられました理由をお聽きしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=20
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021・金森徳次郎
○金森國務大臣 この問題は結局調和の問題と申しますか、身分の保障をいたしました限り、刑罰でその地位を失うというときに、あまり輕い刑罰にかかつて官を失うということになりますと、今日の刑罰制度はかなり複雜でありまして、思いもつかぬ輕い刑罰をこうむることが比較的あり易いのであります。そのために檢査官の地位が動いてしまうということはあまり面白くない。こう考えてそこではつきりした標準をもつてすれば、どこかに機械的につくらなければならぬことになりますが、大體今までこういう場合にどこに物さしがあるというわけではございませんけれども、罰金以下とそれから禁錮のものというのは、何かそこに實際のやり方においては犯罪の意味合いが違つておりますから、そこで當然にすつかり機械的にやめますのは禁錮以上の刑というところで押えて、鄭重を期しまして、それ以外の場合は懲戒というようなことにして、刑罰で當然に資格を失いますのは禁錮以上といたしまして、そのほかは結局第六條の職務上の缺點からくる退官という方に入れたわけでありますが、禁錮で押えましたのは、今後の官吏法全般につきましても、やはりその態度をとりまして、禁錮以上というところで自動的に官を失うということにいたしております。それの一つの現われである次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=21
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022・石川金次郎
○石川委員 これは官吏法全般を通じての考え方の現われであると言われますが、禁錮刑に處せられました者と、罰金刑に處せられました者との間には實質上、情状の點において、必ずしも禁錮刑に處せられた者が惡いとは考えられない。罰金刑に處せられた者もかなり罪質が惡いというようなことも考えられるのであります。ただ單に形式的に罰金と禁錮との線をお引きになるということは、會計檢査官自身の職責からみてどうかと思つておる次第であります。その點國務大臣の御意見をもう一應聽いておきたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=22
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023・金森徳次郎
○金森國務大臣 その點はどこで線を引くかということにつきましては、相當研究を要する點があろうと思います。今お話になりました問題も十分考慮しなければならぬのであつて、禁錮と罰金というところに、すべての場合に通じまして、はつきりした標準があるわけではございません。何しろ當然に官を失うというかなり強い規定であり、身分保障をいたしておりまする官につきまして、この點をゆるやかにしておきますると、思いもつかぬことで身分を失わしむるということがございまするので、その資格を尊重する意味におきまして、まず普通の場合に重しとされますところの禁錮というものをもつて物差としたわけであります。罰金以下のものにつきましては、別の方法をもつてその人の官吏としての適格なりや否やということを批判をするというふうにいたしたのであります。その點は何かもつといい標準がありますれば、それを今後考うる必要があろうかと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=23
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024・天野久
○天野委員長 石川君に申し上げますが、今本會議の都合で全部本會議に出席してもらいたいということですから暫時休憩いたします。
午後三時五十一分休憩
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午後四時二十九分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=24
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025・天野久
○天野委員長 休憩前に引續き會議を開きます。質疑を續けます。石川君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=25
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026・石川金次郎
○石川委員 十三條に關する問題でお聽きしたいのでありますが、ここに技官とありますが、この技官の職責が技術に從事することと十八條に決定してこの技官を二級または三級までとあります。一級というものを技官におかなかつた理由をお聽きしたいのであります。この技術者が事務官よりも劣るという意味であろうか。また會計檢査官においては、技術者は尊重する必要がないのだと、こうお考えであるのかをお伺いしておきたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=26
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027・宮内乾
○宮内政府委員 お答え申し上げます。ごもつともな御質問と存じます。大體におきましてここで考えております技官は、技術面の檢査、それも事務總局の方でやりますことについて檢査官の手足になりまして、實際の資料を揃えるための檢査と考えているわけであります。これも法案が出ます最初から問題で大變恐縮でございますが、一つの試みでございますので、將來これでやつてみて、なお一級の方に技官を必要とする實情が起りますれば、またこれは改正しなければならぬと思いまするが、會計檢査院の今までのやり來り、それから私どもが見てのここ當分の見透しから見まして、今は技官が一級をもつて充てられることの非常な責任をもつたところまで行かなくてもいいんじやなかろうか、こういう見透しでこれをつくつております。從つて將來一應これでやつてみて、また必要がございますれば、これらの點を改正してまいらなければならぬと思つております。なお現在の政局として御參考までに申し上げておきますが、なかなか御承知のように技官は官吏にしてしまおうと思つても適當な人がつかまらないのが現状でございます。そこで會計檢査院におきましても、現在の技術顧問員をおかれ、高級なものになると顧問員を委員長が囑託されまして、隨時囑託によつて賄う、こういう現状に相なつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=27
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028・石川金次郎
○石川委員 次に十一條についてお聽きしたいのであります。この法案を見てまいりますと、事務總局と檢査官會議との連絡という、その點について私まだ明確に認識することができません。この點をお聽きしたいのでありますが、結局會計檢査院の行動が檢査官會議によつて決定されているのかどうか。そして事務總局がその命令を受けて、總局としては何らの意思決定をしていかないのか、これを離れて一つの行動、一つの活動をなすの權限をもつているか。もつとも任命權につきましては事務總長がもつているものもございますけれども、會計檢査院としての重要な檢査行動、審査行動についてはどうかということをお聽きしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=28
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029・金森徳次郎
○金森國務大臣 第十一條に規定してありまするように、一から九までの項目はあげられておりまするが、會計檢査院のもつている職務のほかに向つて働きかけるものと、内側で措置する重要なるものとの全部を網羅しております。これは檢査官會議でこれを決することになつております。從つて事務總局は第十一條で決定の重要なるものをみんなとられておりまするからして、事務總局としては、個々の事實についての調査と判斷をするというだけの程度にとどまつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=29
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030・石川金次郎
○石川委員 關連してお伺いしたい。三十條でこの規定があります。「會計檢査院は、前條の檢査報告に關し、國會に出席して説明することを必要と認めるときは、」こう書いてある。ここで必要と認めるそのことは誰がきめるでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=30
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031・金森徳次郎
○金森國務大臣 第三十條の出席せしむるということは、院長が決する。つまり行政を統轄している院長が決するという考えをもつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=31
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032・石川金次郎
○石川委員 なるほど現行の會計檢査院法においては、「院長は院務を總理し」と書いてありまして、院長の決するところによりということは明らかでありますが、新しい法案のもとにおいては、その點が現れてまいりません。殊に第十五條の「事務總長は、事務總局の局務を統理し、公文に署名する」とあります。この公文は會計檢査院が發する公文であろうと推測されるのでありますが、國會に出席して説明せしむるということ、公文に署名するということ、そういう際に、これが事務總長によつて表示されるのか、院長が表示されるのかどうか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=32
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033・金森徳次郎
○金森國務大臣 今のお尋ねは結局事務總長の權能いかんということになりますが、この署名とかいうのはいくらか輕い意味でありまして、ちようど書記官長が公文に署名するという意味において、本體たる會計檢査院長の文書に對してさらに事務の面から確實を期するための署名をする、こういう考えをもつて規定しております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=33
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034・石川金次郎
○石川委員 會計檢査院の統轄者というか、現行法の第四條に現れている院務を總理する。一箇の官廳であるゆえに統轄總理者が必要であると思う。いかに民主主義的な組織になつても、最後に統轄總理する者が必要となつてくると思いますが、會計檢査院においては、院長が統轄總理するものであると解すべきものでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=34
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035・金森徳次郎
○金森國務大臣 お説の通り會計檢査院長が統轄總理するのであります。ところが既に御指摘になつているようにこの檢査院法の中にはこれが全部を統轄する意味において、規定をいたしております。かような規定の仕方が適當であるかどうかというお疑いも起るだろうと思いますが、この點は、實際の事情を申しますと、諸般の考慮の結果からかようになつたのでありまして、言葉だけでははなはだ不十分でありますが、他の考慮を加味して、判斷いたしますれば、結局仰せになつたように、會計檢査院の長が全部を統轄する。こういう解釋になると思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=35
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036・石川金次郎
○石川委員 この法律においては會計檢査院長は事務總長をも統轄監督すべきものという御趣旨で立法されたのであるかどうか御尋ねしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=36
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037・金森徳次郎
○金森國務大臣 もちろん會計檢査院の長は全體の事務を統轄しておりまするがゆえに、事務總局をも統轄しておるということになるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=37
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038・石川金次郎
○石川委員 それをこの明文におきません理由をひとつお聽きいたしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=38
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039・天野久
○天野委員長 ちよつと速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=39
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040・天野久
○天野委員長 それでは速記を始めてください。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=40
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041・石川金次郎
○石川委員 それでは私もまた一應研究してみることといたしまして、今度は別の方面のことをお尋ねいたします。それでは十四條の讀み方を聽きたいのでありますが、「二級官吏は、檢査官の同意を經て事務總長の指名するところにより、内閣總理大臣においてその任免、進退を行う。」それから十六條に「各局長は、事務總長の推薦により、檢査官の同意を經て一級の事務官のうちから、院長がこれを補する。」こう言つております。檢査官は各一人の檢査官を指すのか。あるいは檢査官の合議いわゆる檢査官會議を指すのか。これをお聽きしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=41
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042・金森徳次郎
○金森國務大臣 今の檢査官の同意というのは、もとより檢査官の合議の結果による同意という意味でありまして一人々々の檢査官というものを豫想しておるわけではございません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=42
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043・石川金次郎
○石川委員 そうするとこの條文の中にあります檢査官というのは、全部合議體を指すものと理解しなければならぬでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=43
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044・金森徳次郎
○金森國務大臣 檢査官とありましても、必ずしも全部合議體とも讀めませんので、個々の檢査官の一人々々の身分のことを書いてありますときは、これはもとより個人的の檢査官を指しております。しかし働きの面から見ますると、前後の關係で讀むわけではありまするが、第十四條の「檢査官の同意」ということは働きの面から規定をしておりますから、いきおい合議ということに解釋するよりほかの解釋は許されないというふうに存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=44
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045・石川金次郎
○石川委員 同一法文の中に同一文字が二重の概念をもち、二重の意義をもつておりますから非常に不便でありますが、この點については、將來御考慮になるお考えはございませんでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=45
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046・宮内乾
○宮内政府委員 お答え申し上げます。要するに「檢査官の同意」と書いてございますところは、最後の、何と申しますか、ある行爲をいたします主體が檢査官その人ではない。たとえば十四條の二項をごらん願いますと、「二級官吏は、檢査官の同意を經て事務總長の指名するところにより、」とありますが、これは檢査官と合議の上での同意を經まして事務總長が指名する、かように、檢査官の意思を受けて他の者が行爲をいたしますところは「同意を經て」という文字を使いまして、檢査官自體の行爲の場合と區別して書いてあるという趣旨に御諒承願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=46
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047・金森徳次郎
○金森國務大臣 今の同意というところは、あまりいい字でないように思いまして、これは適當な機會に十分考慮し得るものだろうと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=47
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048・石川金次郎
○石川委員 私が疑問をもちましたのは、十四條の一級官吏の場合には非常に念を入れて檢査官の合議で決する。二級官吏になつてまいりますと、檢査官の同意を經てというようになつている。そこで一級官吏は立派だから、二級官吏はもう少し立派でないからというようなふうに讀んでおつたのでありますが、この檢査官の合議でありましたならば、一級官吏も、二級官吏も、全部檢査官の合議と讀まなければならぬこう承知しなければならぬでしようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=48
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049・宮内乾
○宮内政府委員 御説の點は、決して一級官吏が立派であつて、二級官吏以下が云々という考えは毛頭もつておりません。非常にくどいことを申し上げるようですが、一項の方は、檢査官が合議で決する、こういうふうに續けてお讀みを願いまして、三項の方は、檢査官の同意を經て事務總長が指名する、こういうふうに續けてお讀みを願う、そのくらいのことしかちよつと御説明申し上げられません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=49
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050・石川金次郎
○石川委員 どうも少しわかりかねるのでありますけれども、十分お考えを願うことにいたしたいと存じます。そこで十五條について、また一つお聽きしたいのでありますが、院長と事務總長との關係は拜承いたしました。ところで國の支出を檢査いたしましたところの公文書、その他檢査官が職責を盡しましたところの公文書に對する署名者は、これはたれになりますか。十五條に「事務總長は、事務總局を統理し公文に署名する。」とありますが、議會にまわつてまいりまする公文自體も署名いたしまするのは、事務總長ということになるのでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=50
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051・金森徳次郎
○金森國務大臣 事務總局は結局會計檢査院の庶務を擔任する任務をもつているわけであります。そうして公文を出しますことは、結局その庶務の一部としてその事務を擔任しております。その庶務を擔任する部局の長たる資格において現實の作成について責任をもつ、内容ではありません。ただそういう文書を作成したということについて責任をもつ意味において公文に署名する、こういうふうに考えておりますが、會計檢査院から出す公文に署名をする、こういう意味になつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=51
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052・石川金次郎
○石川委員 そういたしますと、憲法に規定しております國の收支決算に對する文書の署名者もこれからは事務總長になるということに相なりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=52
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053・金森徳次郎
○金森國務大臣 檢査報告に對する署名はやはり事務總長がすることになると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=53
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054・石川金次郎
○石川委員 しかしながら私たちの考えによりますと、檢査官自體の責任を明らかにいたしますために、檢査官もしくは檢査官會議の議長の署名を必要とするものでないかと存じますが、その點はいかがですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=54
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055・金森徳次郎
○金森國務大臣 この署名という言葉が實はやや新しく、近ごろになつて多く使われてきているのでありまして、その趣旨はただ名を書くというだけでほんとうの作成者であるという意味はもつておりません。ほんとうの作成者の名前を書くことはもとよりのことであります。その他にもう一つ現實の文書を取扱つたという責任者の名前を書くのでありまして、たとえば議會で御提出になりました國會法案の第二十八條におきまして「事務總長は、議院の事務を統理し、公文に署名する」とありますが、今後の議會の事務總長が公文に署名をすると同じような立場をとるのでありまして、議長の名前ももとより出しますけれども、そのあとへもつていつて、事務を扱つたという立場において一つの署名をするというふうに考えております。具體的の例をとりますと、たとえば今貴族院にまわつております衆議院からお出しになつた法案でありますが、國會議員の歳費に關しまする法律案につきまして、この提出案をここに送付するという本文がありまして、それから衆議院議長山崎猛という名前が書いてありまして、それからその次へもつてきまして衆議院書記官長何某、こう書いてあります。そのあとの方の部分に該當する意味の署名をする、こういうことであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=55
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056・石川金次郎
○石川委員 そこでこの十五條の意味は、それではこの文書は會計檢査院において作成せられたるものである、こういうだけの意味の署名とお伺いしておかなければならぬでしようか。そうして實質上この内容についての責任は法規によりまして檢査官だと解していかなければならぬことに相なるのでありましようか。またその責任者を表示するということに相なるのでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=56
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057・金森徳次郎
○金森國務大臣 もとよりこれは會計檢査院から提出せられるものでありますがゆえに、これを統轄する會計檢査院長の名をもつて實質が作成され、從つてその名が書かれるのは當然であります。そのあとへもつていつて現實の事務を擔任したというその責任を現わすために事務總長が書くのでありまして、ほんとうを言えば連署するとか、副署するとかいう言葉が當つておると思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=57
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058・天野久
○天野委員長 しばらく休憩いたします。
午後四時五十六分休憩
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午後六時五十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=58
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059・天野久
○天野委員長 休憩前に引續き會議を開きます。質疑を續けます。石川金次郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=59
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060・石川金次郎
○石川委員 會計檢査院の檢査の範圍が非常に廣くなつたように思われます。たとえば二十三條において、國が出資をいたしまして、さらにその法人ないし會社が別會社に出資をいたしたといたしますならば、その會社の會計、こういうような仕事までやらなければならぬということに相なるのでありますが、そのために檢査官が三人、一級官吏が十一名規定されてあるようでありますが、これで間に合いますでしようか。さらにこの部局につきましても、ここに規定されてあります四局において間に合うか。大體將來この會計檢査院においてどれほどの人か豫定されるのかということをお聽きしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=60
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061・金森徳次郎
○金森國務大臣 會計檢査院の任務が非常に廣くなりましたことにつきまして、會計檢査院の職員の數も相當増加しなければならぬと考えております。しかし仕事の比例ばかりで人を限りなく増加すべき筋のものでもございませんので、なるべく能率を發揮せしめますように、今囘この部局の整備その他のところに十分の注意をして、人員の按配をいたしておりますが、大體の計算を申しますと、一級官が局長四人と、そのほか一級官の課長七人を加えまして、十一人になる豫定であります。二級官は課長たるもの、事務官たるもの、そのほかの事務官を加えまして合計八十九人になる豫定をいたしております。三級官は四百五十人を豫想いたしておりまして、この三つのもの、すなわち一級官、二級官、三級官を合わせますと五百五十人という定員になるわけであります。これを現在の職員に比べて申しますと、大よそ倍になつておると言い得るのでありまして、現在で申しますれば、部長三人、檢査官十四人、その他いろいろ合わせまして二百七十六人ばかりになつておりまして、ちようど倍になるような計算になります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=61
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062・石川金次郎
○石川委員 二十三條の働きについて聽きたいのでありますが、二十三條は會計檢査院は必要と認めますとき、あるいは内閣の請求がありましたときには、檢査するのだという事項が記載してあるのでありますが、私はまだ國會法を見ておりませんので、非常に見當違いの質問になるかもしれませんが、衆議院及び參議院の請求によつてまたこの檢査を求める方法は考えられなかつたかどうかをお聽きしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=62
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063・金森徳次郎
○金森國務大臣 その途はまだ直接には設けてないのでありまして、順序から申しますならば、國會がもし必要と認められますならば、それによつて第二十三條の適用の關係におきましてはたとえば内閣にその請求をせられまして、内閣においてこれを自己の考えに取入れて請求をするというのが普通の方法と存じております。議院内閣制が確立いたしますれば、かように内閣と國會との間も密接な關係をもちますので、内閣を通して請求するという結果に至りますことが、一つの途であろうと思つております。さらにもつと程度を高めまして、どうしても會計檢査院の働きの中に入れる必要があるということを國會が認められました場合に、第二十二條の第六號の規定によりまして、法律を制定するということが一番適當でありまして、從來と違いまして今後は國會はみずから法律を制定せられることでありますがゆえに、この方法もまたとり得ると考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=63
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064・石川金次郎
○石川委員 この二十六條の働きについてお聽きしたいのでありますが、ここに「檢査を受けるものに帳簿、書類若しくは報告の提出を求め、」こういうことになつておりますが、「檢査を受けるもの」となりますと、たとえば二十三條の各號に書いてありますかなりに廣い範圍のものが提出しなければならぬということになるのであります。全部提出を求めて、言う通り聽けばよろしいのでありますが、聽かなかつた場合、これは強制力をもち得なくてもよいのか、こういう場合強制力をもつことがはなはだ非民主的だと思われてこれをやめているのか、あるいは個人の獨立というような尊嚴を害する、こういうことで強制力をもち得ないのか、強制力なき調査が實行不能になるということも考慮せられたかどうかをお聽きしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=64
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065・金森徳次郎
○金森國務大臣 二十六條によりまして諸般の要求を會計檢査院からいたしましたときに、その要求を受けたものがこれに應じない場合は、結局第三十一條の第二項の規定がこれに對應する働きをもつておりまして、國の會計事務を處理する職員の範圍におきましては、結局懲戒の處分をその本屬長官その他の監督責任者に對しまして求めることができることとなるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=65
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066・石川金次郎
○石川委員 ところで國の會計事務を處理するものに對しましては、懲戒處分等の一つの強制力はありますけれども、國の工事の請負人、及び國に對する物品の納入その他の契約に關する會計であるとか、「國が資本金を出資したものが更に出資しているものの會計」となりますと、私人企業まで及んでいきまして、その場合帳簿、書類をもつておりますものは、その會社の一人の事務員が保管をなすとは限らないのでありますが、そういう場合においては、強制力の必要はないのかという點であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=66
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067・金森徳次郎
○金森國務大臣 さような場合、その強制力を及ぼしますることは、國以外の職員に對して強い影響を與うるということになりまするがゆえに、それに對して制裁規定は設けておりません。しかしそれではそういう場合に何ともしようがないのかと言えば、結局國といろいろな經濟的な關係をもつておりますものは、實質的にこれに影響をいたしまして、何かの監督規定がほかにありまするので、たとえば補助金を出しておる場合に、それに對して抑制を加うるという面におきましても、一般的なる監督規定がありまするので、それを適用して、調節をしていくという折衷的な考えをとつているわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=67
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068・石川金次郎
○石川委員 三十二條にまいりましてお伺いしたいのであります。三十二條の第一項の末尾に、「その辨償責任の有無を檢定する。」とありますが、まず檢定の性質をお伺いしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=68
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069・金森徳次郎
○金森國務大臣 この檢定すると申しまするのは、結局三十二條の第一項の檢定と同じ種類のものでありまして、從來の會計檢査院法の定めによりますと、出納職員が物品を亡失、毀損いたしましたときに、行政的にその責任を確定をいたしまして、それが確定いたしますと、他に何らの救濟方法を認めないという、ほんとうの確定的な意味において、會計檢査院が働いたのであります。ところが今囘のこの檢査院法におきましては、國とその職員との間の義務の關係を行政の範圍内において確定するという意味をもつているのです。從つてもしもそれに對しまして不滿足がありますれば、行政訴訟に訴えて適當な——行政訴訟は少しく言葉が惡くありましたが、行政訴訟の意味をもつている一般の訴訟によりまして、ほんとうの裁判上の方法によつて確定し得る、こういう途を設けたわけであります。現在はそういう途はありませんので、これが最後の確定になつているのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=69
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070・石川金次郎
○石川委員 この點についてさらに伺つてみたいのでありますが、この檢定善良な管理者の注意義務を怠つた、こういうことの檢定をやりますものは、會計檢査院、こうなつております。この會計檢査院という檢査院は、たれを意味するのでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=70
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071・金森徳次郎
○金森國務大臣 第十一條の六號に「第三十二條の規定による出納職員の檢定」こういう言葉がありまして、これによりまして檢査官の會議でこれを決するということになるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=71
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072・石川金次郎
○石川委員 そうすると、ここの場合におきましては、この會計檢査院という讀み方は、會計檢査官と讀まなければならぬことになるのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=72
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073・金森徳次郎
○金森國務大臣 つまり會計檢査院の檢査官會議、同じことになるかもしれませんが、正確に言うとそういうことになると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=73
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074・石川金次郎
○石川委員 そこで檢定せられたという檢定の法律効果——いわゆる檢定された出納職員がどういう法律上の義務が發生してくるのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=74
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075・金森徳次郎
○金森國務大臣 この條文の第二項にありますように、この檢定がありましたときは、「本屬長官その他出納職員を監督する責任のある者は、前項の檢定に從つて辨償を命じなければならない」という規定がありますし、またその三項におきまして、「恩赦によらなければ減免されない。」こういうふうにありまして、この規定の實質的意義といたしまして、本人は辯償義務をここにもつことが明らかになつてきているわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=75
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076・石川金次郎
○石川委員 それで辨償義務がここから直ちに發生していくでありましようか。なるほど三十二條では、檢定されたと同時にその本屬長官が辨償を命ずる、そうなつてまいりますけれども、これは確定せられたるものではございません。三十二條はただ檢定をする、檢定をして賠償を命ぜられたといたしましても、最後のものではございません。最後に決定してまいりますものは司法裁判所でございます。そうしてまいりますと、辨償の義務が發生したということが法律上言えるかどうかという點であります。この點に對する御見解をお聽きしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=76
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077・金森徳次郎
○金森國務大臣 第三十二條の二項にありますごとく、國家を表わしております本屬長官その他が辨償を命じなければならないという言葉の内容によりまして、辨償義務はここに明らかになつているものと思うのであります。しかし裁判によつてその辨償義務の内容が動き得るということは、これはもとよりのことでありまして、こういうことを專門的の言葉で何と申しますか知りませんけれども、普通の個人の生活におきましても、保管物を失つた場合には、それについての客觀的判斷に從つて權利者が要求し得るというその程度のものだろうと思います、それに爭いがあれば最後に裁判所によつて確定せられ、國家が權力的にその給付を求め得るのは、その裁判の段階を經てからであるというのでありまして、訴訟上の結果による場合の前に實體的な權利がある、こう考えているわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=77
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078・石川金次郎
○石川委員 そうしますと、ここの檢定というのは、國家が違反者、善良なる管理者の注意義務を怠つたということに對して債權を取得したもの、請求權が發生したものだと、こういうふうに理解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=78
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079・宮内乾
○宮内政府委員 お説の通りになると考えております。檢定によりまして本屬長官その他監督責任者が辨償を命じなければならない、辨償を命じます前にポーテンシヤルな、潜勢的な一應責任を生じておりまして、具體的の事項は辨償を命ずる行爲によつて具體的に處理する、こういうように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=79
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080・石川金次郎
○石川委員 そうしてまいりますと、今度「第一項の辨償責任は恩赦によらなければ減免されない。」という規定がはいつておるのであります。ここで檢定の法律上の効果といたしまして、一つの請求權が國家に發生する、そうしてそれが司法裁判所の審理を經るのだ、本屬長官が辨償を命じたことによつて辨債が確定するものでないといたしましたならば、「第一項の辨償責任は恩赦によらなければ減免されない。」これはどういうことになるのでありましようか。この辨償責任というのは、裁判上確定したる辨償責任はと、こう讀まなければならないのか、それとも前にあるところの「辨償を命じなければならない。」と言われたその辨償のことであるかをお聽きしておきたいのであります。ただここには「辨償責任の有無を檢定する。」と三十二條で言つておりますので、辨償責任というのは會計檢査院が檢定するとあるのでありますが、この邊の理解をひとつ承つておきたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=80
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081・金森徳次郎
○金森國務大臣 第三項の意味はやや別な行政的意味をもつておりまして第一項の辨償責任が會計檢査院によつて確定いたしますと、それによつて國家と管理者との間に普通の債權關係が發生をいたします。普通の個人の場合でありますれば、そういう權利については、利益を放棄してとらずにおくということもできようと思います。しかしながら國の場合におきましてさような途が開かれておることは、結局會計の不正確あるいは不合理を來すことでありまするがゆえに、それを免除することはできないということを言いたいのであります。それはこの規定は第一次的に言つておるのでありまして、減免されない。すなわちなんとも手を着けないでその通りに辨償させなければならぬということがあるのであります。ただそれの唯一の例外は恩赦という方法である。恩赦が何であるかということは、この規定は直接に解決いたしておりません。恩赦という制度が別に適法なる手段、もとより法律を要することと思いまするが、それによつてできる場合にはこれは許してもよろしいけれども、これは許してはならぬ。こういうことでありますから。これは直接に第一項の債務に對するものであります。裁判の結果によつてその金額が増減するということは、權利そのものをもつておる内容を確定する道行でありますので、これはこの規定に觸れておるものではございません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=81
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082・石川金次郎
○石川委員 くどいようでありますがもう一度お伺いしたいのであります。辨償責任というものは數量に對する辨償責任、その敷量を一定度まで減額してくれというような恩赦もあり得ると思うのでありますが、結局この辨償責任の確定が裁判によつて確定せられるものと存じますから、この裁判によつて確定せられたる額が恩赦の對象になるということになりはしないでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=82
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083・金森徳次郎
○金森國務大臣 もとより裁判によつて確定せられたものが辨償責任の客體になるということは、その場合にはそれに相違ありません。しかし、この規定自身は裁判にいくということを當然には豫想しておりません。だからいわば國と個人との間において、國が一方的にその權利の有無をきめることで、きめた限りは國がこれを免除はできないということになります。裁判の方のことは、これは直接に觸れておりません。もしこの權利が裁判にいつて、そうして確定した後におきましてその金額について第三項の減免の規定が働くものかどうかということになりますと、この文字は直接にそこまでいつておりませんけれども、しかし裁判によつて確定したものも、結局第一項の辨償責任が裁判によつてもつと精密に確定された後のものでありまするがゆえに、それにも適用のあることは當然とせられております。第三項は規定自身は普通に裁判までいかないまでの間の場合を第一次的に豫想しておる規定だと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=83
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084・石川金次郎
○石川委員 豫想では辨償に對する嚴格な辨債が命ぜられた場合においては辨償責任はすぐに發生するのだ。その責任は恩赦によらなければ減免されない。こういうようにお考えになつたと思われますが、もしそうだといたしますと、この條文において、辨償責任が發生しておつたと決定いたしましても裁判の結果が辨償責任なしとなつた場合には、この一項はどうなるのでありましようか。私の申しようが惡いかもしれませんが、つまり裁判では責任がないとなつたが、檢査院が責任ありと檢定した。その結果は殘つていて、この恩赦という一項に引かかつている。ところが民事訴訟で辨償責任なしということになると、減免せられないという一項は働かないことになるのでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=84
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085・金森徳次郎
○金森國務大臣 その場合は辨償責任がないのでありまして、從つて恩赦で減免するという場合は起つてこないわけであります。なにか話がもつれているかと思いますが、この考え方は裁判にいかなくても、第一項で辨償責任ができてくるわけでありまして、裁判におきましても、第一項の辨償責任以外のものができるわけではありません。そこで第一項の辨償責任は恩赦で消えるということなります。裁判の結果辨償責任の實體がなくなりますれば、減免する問題は起らない。恩赦の働きは全然この場合は及ばないということになります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=85
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086・石川金次郎
○石川委員 三十五條の「利害關係人から審査の要求があつたとき」といつていることの利害關係はどういうものを指すのかお伺いしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=86
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087・宮内乾
○宮内政府委員 三十五條で申しております本當のねらいが——たとえが先きになつて恐縮でありますが、こういう場合と御諒解願いたい。國に物を請負で納入した。あるいは國の工事を請負つたものがその給付をいたした場合に、當然は拂うべき金が民間に長いこと拂われないで困るという實状が非常にある。そういう場合に、もう少しこういう會計事務については、こういう處理方法で、その結果の是正をしてくれまいか、こういう請求を民間のものが起したいという場合は十二分に豫想される。そういう場合に、この法文で書いているねらいは、そういう會計經理の取扱いに關して、利害關係のあるものが會計檢査院にもう少し是正してもらえる點がないであろうかという意味で審査の要求をいたす、こういうように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=87
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088・石川金次郎
○石川委員 その結果は利害關係人に結果を通知してくれることになりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=88
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089・宮内乾
○宮内政府委員 その點は實は非常に堅いものの考え方かどうかということが一つの考えのわかれ途でありますが今度の法案においては、普通の審査請求、異議申立のように、その結果をはつきり權利義務を確定するとか、そういうところまで檢査院がいたすことは將來はいざ知らず、當分の間としては檢査院の人手をもつても足りないし、別に財政上の爭いであれば裁判所がありますので、そこまでは考えませんでここに判定という言葉を使つてありますが、單なる意見ではありませんが、これはこういうようにした方が是正されるだろうという判斷の結果を、本屬長官あるいは責任者の方に言つてやる。それから事實上の措置としてこういう意見を自分の方では監督官廳その他の責任者に通知しておいたからということを申請者に申すことは、もちろん差支えございませんが、異議の申立と監督官廳の裁定處分というようながつちりとした法律構成でなく、ごく手輕に考えられて、初一歩この邊からやつていつてみたらどうか、こういうようなねらいをもちまして、今囘の法案にはただいまお尋ねの關係人への通知は事實上の行爲として取扱うように考えて、輕く取扱つて書いてございません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=89
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090・石川金次郎
○石川委員 私の質問はこれで打切りたいと思いますが、最後に國務大臣にお伺いしたいと思います。會計檢査院が日本國憲法より流れてまいりました獨立の直接機關であるということを伺いまして、國會が單に立法の機關でなく國家の最高機關であるという意味におきましては、一切の行政をも監査、監督すべき責任がある。國會はそういう性質をもつていると考えられるのでありますが、國會に附屬した一つの制度としての會計檢査院というものは構想せられないものであるか。政府がそういうような構想をなさる考え方があるかないかということをお聽きしたいのです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=90
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091・金森徳次郎
○金森國務大臣 お話は國會に從屬する會計檢査院をつくられたならばどうか。つまり憲法の會計檢査院の性質をそんなふうに構想したらどうか。こういうようなお尋ねと存じております。實質におきましては會計檢査院は國會と密接なる關係をもつている。從つてその方向に考えなければならぬことは當然でありますけれども、しかし他の一面からみますと、會計檢査院はいわば會計に關しまする一種の裁判所のようなものでありまして、時の勢いにとらわれずして長い目をもつて正確に會計の意見をつくつていくという建前のものであります。國會はどうしてもそのときどきの情勢によつて意見が變つていき、いわば四年の任期、六年の任期によつてかなりな變化をしていくものと思つているのであります。この二つの性質を考えてみますると、あまりぴつたりと國會に從屬せしめますることは、かえつて獨立にいわば裁判的にやらなければならぬ會計檢査院というものが一時の流れに沿いやすいことになつていくと思います。そこを考えまして、若干の獨立性を會計檢査院に認め、しかも政府の方の影響は極度にこれを防止して議會からもこれをある程度まで影響していくというふうにつくることが、結局常識的な結果になると思います。ごく形式的理論から申しますと、多少會計檢査院の位置が煮えきらぬような感じがいたしますけれどもこういうところにいくべきほんとうの道があるのではなかろうかと思つております。私はデモクラシーというものは確かに最善の方法に相違ございませんが、デモクラシーに伴つて起るところのときどきの波瀾は必ずしも正しいものではございません。どうしても少しは獨立させておく機關の方がよろしいのではなかろうか。かように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=91
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092・天野久
○天野委員長 ではこれでしばらく休憩いたします。
午後七時二十三分休憩
〔休憩の後會議を開くに至らなかつた〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210921X00519470330&spkNum=92
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