1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案(大野伴睦君外一名提出)
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案(鈴木義男君外六名)
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案(原彪之助君提出)
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案(徳田球一君外二名提出)
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本委員は昭和二十二年三月二十七日(木曜日)議長の指名で次の通り選定された。
有田二郎君 大石倫治君
神田博君 佐藤乕次郎君
辻寛一君 松浦東介君
村上勇君 山口喜久一郎君
山村新治郎君 藥師神岩太郎君
稻本早苗君 佐伯忠義君
椎熊三郎君 堀川恭平君
八木佐太治君 山崎岩男君
山下春江君 淺沼稻次郎君
佐竹晴記者 鈴木義男君
田原春次君 中村高一君
平野力三君 池上隆祐君
石崎千松君 石田一松君
松原一彦君 細迫兼光君
徳田球一君 中野四郎君
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同月二十八日(金曜日)午前十一時二十九分委員長理事互選のため次の委員が參集した。
有田二郎君 大石倫治君
神田博君 佐藤乕次郎君
辻寛一君 松浦東介君
村上勇君 山口喜久一郎君
山村新治郎君 藥師神岩太郎君
稻本早苗君 佐伯忠義君
椎熊三郎君 堀川泰平君
八木佐太治君 山崎岩男君
山下春江君 淺沼稻次郎君
佐竹晴記君 鈴木義男君
田原春次君 中村高一君
平野力三君 地上隆祐君
石崎千松君 石田一松君
松原一彦君 細迫兼光君
徳田球一君 中野四郎君
〔年長者松原一彦君投票管理者となる〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=0
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001・松原一彦
○松原投票管理者 先例によりまして、私が年長のゆえをもつて投票管理者となり、これより委員長の互選を行います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=1
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002・椎熊三郎
○椎熊委員 委員長には山口喜久一郎君を推薦いたしたいと思います。御贊同を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=2
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003・松原一彦
○松原投票管理者 椎熊君の意見に御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=3
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004・松原一彦
○松原投票管理者 御異議なしと認めます。よつて山口喜久一郎君は委員長に御當選になりました。委員長山口喜久一郎君に本席を讓ります。(拍手)
〔山口喜久一郎君委員長席に着く〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=4
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005・山口喜久一郎
○山口委員長 私がただいま御推薦により本委員會の委員長を引受けることになりました。何分どうぞよろしくお願いいたします。
引續き理事の互選を行います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=5
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006・椎熊三郎
○椎熊委員 理事はその數を四名とし、委員長において御指名あらんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=6
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007・山口喜久一郎
○山口委員長 椎熊君の意見に御異議はありませんか。
〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=7
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008・徳田球一
○徳田委員 この問題はなかなか重大でありますから、小會派といえども無視するわけにはいかぬと思います。それで昨日も小會派に特に一名づつ、無所屬、農民黨、共産黨おのおの一人づつになつておりまするから、その方面からも、一人を理事に入れてもらいたい、理事を五名にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=8
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009・山口喜久一郎
○山口委員長 徳田君の御意見に對して他に御意見はありませんか。
〔「贊成」と呼ぶ者あり。〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=9
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010・山口喜久一郎
○山口委員長 贊成の方が多いようでありますから、徳田君の御意見を採用するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=10
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011・山口喜久一郎
○山口委員長 しからばさよう決定いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=11
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012・椎熊三郎
○椎熊委員 四名というのは先にきまつているのです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=12
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013・山口喜久一郎
○山口委員長 速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=13
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014・山口喜久一郎
○山口委員長 速記を始めて下さい。それでは理事を五名といたしまして、
神田博君 椎熊三郎君
淺沼稻次郎君 石田一松君
中野四郎君
を理事に指名いたします。零時三十分まで暫時休憇いたします。
午前十一時三十二分休憇。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=14
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015・会議録情報2
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昭和二十二年三月二十八日(木曜日)午後一時三十七分開議
出席委員
委員長 山口喜久一郎君
理事 神田博君 理事 椎熊三郎君
理事 淺沼稻次郎君 理事 石田一松君
理事 中野四郎君
有田二郎君 大石倫治君
佐藤乕次郎君 辻寛一君
松浦東介君 村上勇君
山村新治郎君 藥師神岩太郎君
稻本早苗君 大久保傳藏君
小川半次君 堀川恭平君
八木佐太治君 山崎岩男君
山下春江君 佐竹晴記君
鈴木義男君 辻井民之助君
中村高一君 加藤鐐造君
木下榮君 石崎千松君
松原一彦君 細迫兼光君
徳田球一君
同日委員山村新治郎君、稻本早苗君、佐伯忠義君、田原春次君、平野力三君及び池上隆祐君辭任につき其の補闕として坂東幸太郎君、大久保傳藏君、小川半次君、辻井民之助君、加藤鐐造君及び木下榮君を議長において選定した。
出席國務大臣
國務大臣 男爵 幣原喜重郎君
遞信大臣 一松定吉君
内務大臣 植原悦二郎君
出席政府委員
内務政務次官 林連君
内務事務官 林敬三君
内務事務官 小林與三次君
委員長の許可を得た出席者
小澤佐重喜君 原彪之助君
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本日の會議に付した議案
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案(大野伴睦君外一名提出)
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案(鈴木義男君外六名提出)
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案(原彪之助君提出)
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案(徳田球一君外二名提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=15
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016・山口喜久一郎
○山口委員長 休憇前に引續き會議を開きます。これより衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案の各案を一括議題といたします。提案者の説明を順次許します。小澤佐重喜君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=16
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017・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 日本自由黨竝びに日本進歩黨を代表いたしまして、ただいま上程されました衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案の趣旨辯明をいたしたいと存じております。まず順序といたしまして、修正箇所の案文を朗讀することが適當であると考えますけれども、内容が非常に簡單である割合に、案文が非常に複雜多岐にわたつておりますので、時間等の點も考慮いたしまして、これを省略さしていただきたいと存ずるのであります。何とぞお手許に配付してありまする修正案によつて御諒解を願いたいと存じます。要するに本修正案の内容は、いわゆる中選擧區單記制の實現を目途としておるのでありますから、ここに私が新しく御説明を申し上げるまでもなく、既に諸君は長い御經驗と御檢討とを積まれておる問題であります。
まず選擧區制について考えてみますると、選擧區制の問題は、從來小選擧區制あるいは大選擧區制、中選擧區制というように研究されてまいつたのでありますが、わが國において小選擧區制で總選擧が施行されたことは、六囘の經驗をもつものであります。しかしながらこの六囘の經驗の結果は、少くとも次に述べるような欠陷のあることが、明瞭にされたのであります。その欠陷の第一は、選擧區域が非常に狹小でありますので、その區域内の地方的人物のみが多く選出されまして、中央政治界に活動する大人物が、當選困難であつたということであります。その欠陷の第二は、選擧抗爭が非常に激烈になりまして、その結果は當然の事實であるところの、情實と投票買收という點が横行することに相なつてまいつておつたのであります。第三は、あるいは今後はこの弊害はないかも知れませんが、政府の官權濫用による干渉が非常に行われやすい。從つて常に政府黨が大勝しておつたというのが、われわれの苦い經驗の一つであります。その欠陷の第四は、議員の行動が常に地方的問題にのみ傾きまして、ややともしますと中央の問題には、きわめて冷淡であるというような欠點を有しておつたのであります。以上の欠點というものは、ごくおもだつたものだけを申し上げたのでありますが、このような趣旨におきまして、私どもはこの小選擧區を再び繰返すことのできないことは、言うまでもないのであります。
次に大選擧區制でありますが、このいわゆる大選擧區制におきましても、わが國では七囘の總選擧が施行されております。從いましてわれわれはこの大選擧區制によつて、次に述べるような大きな欠陷のあつたことを發見いたしたのであります。その欠陷の第一は、府縣の區域に廣狹の差があるので、これに準じて定員が割當てられるので、最低は四人、最高は二十三人というような、大きな巾の定員の差が生ずることに相なります。そうした選擧區が實現する結果、選擧人の候補者を選擇する範圍を、非常に不均衡にする。ある人は四人を選定するだけの自由しか有しないにもかかわらず、ある人は二十三人という大きな數の選擇をする自由を有するというような結果になりまして、これは決して公平な制度ではないと考える次第であります。その欠陷の第二は、選擧區域が非常に廣大であるから、候補者が全區域にわたつて運動をなすことが、困難な事情に立ち至ります。現に私どもが昨年の選擧で經驗いたしましたが、少くともこの區域の四分の一、五分の一の範圍しか、われわれの政見を發表することができなかつたということは、私自身實に苦い經驗をなめておるのであります。從つてその政見というものを、選擧民諸君に十分に徹底させることができないという非難があるのであります。その欠陷の第三は、選擧區域がただいまのように、非常な廣大であるために、選擧運動の費用というものが、從つて増大になつてまいります。こうしたことははたして私どもの忍び得ることであるかどうか。こういう點が大選擧區制に對する欠陷でありまして、私どもはどうしてもこの制度を改めなければならぬと考えるのであります。
最後に本修正案の内容であるいわゆる中選擧區制でありますが、この制度のもとにおいては、わが國では前後六囘の總選擧が行われてまいりました。この制度は前述いたしました小選擧區制と大選擧區制の欠點をいずれも除去いたしまして、きわめて中正を得たものでありまして、わが國の選擧區制としては、これにまさるものは斷じてないものであることを、あえて確信をいたすものであります。
さらに現行法の制限連記制でありますが、この制度は選擧界の實情に疎いところの、いわゆる官僚の空想を實現したものでありまして、昨年一囘の總選擧の執行によりまして、直ちに次に述べるような大きな欠陷を暴露したことは、既に皆さんの身をもつて御經驗なされた通りであると信ずるのであります。まずその第一の欠陷は、選擧法が施行せられまして以來、わが國の選擧人は自分の信ずるただ一人の候補者に投票するのほかに、他の候補者に投票するような觀念を有しないから、かりに二人もしくは三人を連記するの自由を與えましても、やはり自分の信ずる候補者ただ一つ以外には、何物も考えないという傾向が多分にあるのであります。從いまして他の候補者の人物も識見も十分に研究いたしませんから、結局第二、第三の候補者に對しては、投票するの熱意を有しません。その熱意を有しない結果といたしましては、その投票というものはまつたく不まじめなる投票たることを免れないのでありまして、既に昨年の選擧にあたりましては、その實例が各所に現われておつたということは、皆さんもよく御承知の通りであります。その欠陷の第二は、制限連記制においては、選擧人は公然政策の異る候補者に投票することは、決して珍しくないのであります。すなわちこれをたとえて申し上げますならば、第一に進歩黨の候補者に投票し、第二に共産黨の候補者に投票し、第三に社會黨の候補者に投票するというような投票も、またたくさんにあつたのであります。このような投票はまつたく無意味であるばかりでなく、むしろ非常に有害であるということは、これまた私が申し上げるまでもないのであります。その第三は、制限連記制によつて比例代表の實をあげることができるように考える者もありまするが、これは單に一面の觀測であつて、他面より見まするならば、かえつてはなはだしく反比例の結果を生ずることあるは、ここに實例をあげるまでもなく、容易に想像し得ることであると思うのであります。
以上のような次第でありまして、中選擧區單記制こそは、わが國選擧界の現状に適する、最も公正なる制度たることを深く確信して、ここに修正案を提出するものであります。何とぞいろいろな御意見もございましようけれども、どうぞ大乘的見地に立ちまして、殊に別表の選擧區劃の問題等につきましては、いろいろな考えが各人によつて生じて來ることと考えますが、以上申し上げました通り、どうぞこの理想的選擧制度の實現のために、眞劍に本修正案を御檢討の上、全會一致をもつて可決あらんことを希望して、趣旨辯明にかえる次第であります。(拍手)
なお最後に申し上げたいことは、ただいまお手許に配付してありまする修正案のうち、最後に附則のついておるのは不用でありますので、削つていただきたいと思います。あるいは削つてある點もありましようが、もし削つてない場合は、最後の附則の分は削つていただきたいと存じます。以上をもつて趣旨辯明にかえます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=17
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018・山口喜久一郎
○山口委員長 徳田球一君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=18
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019・徳田球一
○徳田委員 共産黨の修正案を趣旨辯明いたします。趣旨辯明に先だちまして、一言この問題について、私たちの考えを述べたいと思うのであります。大體選擧法の改正は、ただに代議士だけの、いわゆる議員だけの問題ではないのでありまして、これは選擧權者に非常に重大なる關係があると思われるのであります。ですから議員だけの都合によつて、あるいは議員だけの考えによつて、この選擧法を改正するということは非常に有害であると思われます。そうして同時にこれが憲法に定めておりますところの選擧人、すなわち國民全體の權利を侵害するものと思うのであります。從つてかかる人民全體に對して利害關係のあるものに對しましては、どしても全人民に十分納得させるだけの討議、討論が全國民間に行われることが必要であると信ずるのであります。從つて新憲法におきましては、かかる重大なる問題はすべて公聽會を開きまして、公聽會において十分なる論議をした後に、議會に提出されることになつているのであります。しかるに今囘の改正はただに一般國民に對してこの問題を提出して論議をしなかつたのみか、議會においてわれわれがこれを論ずるときにおきましても、非常に不都合にできている。大體政府の改正案が出ておりますのに、もしそれに修正を加えるといたしますれば、もつと早くこの修正案を出していただけば、われわれもいろいろ論議する餘地もあつたのでありますが、われわれはこれを昨日の晩受取りまして、今日の朝から直ちにこれを審議しなければならない立場に置かれているのであります。かくのごときは全體といたしまして、この修正案提出ということが非常に不合理にできていると思うのであります。この點をわれわれは十分論議しておくべきであると思います。從つてこの修正案がこの議會を通過いたしたとしましても、これは全體といたしまして國民に非常なる不滿を與える。かつ形式上は法律上の効果を有しましても、實質上はこれはほとんど法律じやなく、民主主義的な法律でなくて、これは一つの專制君主の法令勅令といつたものに變る危險があるのであります。これはなるほど今の君主がこれを專斷をもつてやつたわけではありませんけれども、しかし一部の僅かの人間の論議によりまして、これを一般の法律と同じような効果を有するならば、實質上におきましては、結局これは君主專制と同じ結果に陷るのであります。そういう意味におきまして、かかる内容をもつて、直ちにここで論議せられるということは非常に私は不當のことと信ずるのであります。そういたしまして、しかるがゆえにわが黨のこの修正案もきわめて不當であると私は思う。實はかかる修正案をかかる場所で出すべきではないと信ずるのであります。しかしながら一たびこれが自進兩黨から、かかる根本的問題につきまして修正案が出ました以上は……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=19
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020・山口喜久一郎
○山口委員長 徳田君に御注意しますが、共産黨の修正案に對する趣旨辯明に止めていただきたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=20
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021・徳田球一
○徳田委員 それを前提としなければこの趣旨辯明が屆きませんから、私たちの提出したものでも實際上から言えばこれは不合理だというのです。だからその趣旨を辯明しなければいかぬ。だからこの趣旨も併せて一つ辯明したいので言うのでありますから……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=21
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022・山口喜久一郎
○山口委員長 あとで質疑の時間もありますから……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=22
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023・徳田球一
○徳田委員 それは質疑もやりますが、しかし辯明は辯明でやはりこれは全體を一貫しなければなりませんから……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=23
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024・山口喜久一郎
○山口委員長 なるべくその線に沿うてお願いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=24
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025・徳田球一
○徳田委員 その點を言いたいと思うのであります。だからわれわれといたしましても、かかる修正案を出したくはないのでありますけれども、一たびこれが出れば、これに對してやはり反對をしなければならぬ。反對するには對案をもつて反對しなければこれは無意味でありますから、それゆえにわれわれはこの反對の内容を十分明らかにしまして、從つてまたこれの對案をここに提出したわけであります。
さてわが黨の修正案は次のごときものであります。これは諸君のお手許に既に差上げてあると思いますけれども、早々の間にできたものでありますから、少々落ちてる點もありますので、少し改めもしなければなりませんが、この點の關係上これを讀みつつ説明をしていきたいと思うのであります。衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案、現行規定中の第一條を全部削るのであります。これは全體的に言いまして、わが黨の提案は全國を一選擧區としますところの完全連記制でありますから、從つてここの選擧法に出ております「衆議院議員ハ各選擧區ニ於テ之ヲ選擧ス、選擧區及各選擧區ニ於テ選擧スヘキ議員ノ數ハ別表ヲ以テ之ヲ定ム」ということは、これは全部なくなるのは當然であります。すなわち別表なるやかましいものを、これを出さぬことにしているのであります。この別表なるものがなかなかのくせ者でありまして、これをなくすということは非常に重大なる意義を有すると信ずるのであります。これまでこの選擧法の改正におきまして、何が問題になるかと言いますれば、大選擧區にしろ、中選擧區にしろ、小選擧區にしろ、その選擧區の分割が非常に問題なるのである。殊にこれが政黨が非常に大きな力をもつてこれを出しますときには、その大きな力、過半數の力をもつている政黨の便宜のように、この選擧區が改正せらるるるのであります。從つてそこには非常な利害關係が各黨に相反しまする結果、いがみ合いまして、何としてもこれは合理性をもつてこの選擧區を改訂することはできないのであります。現在におきましても非常にいがみ合つていることは、この選擧區の別表が非常に物を言つているのであります。なおかつこれは一つの政黨が出しましても、その政黨に所屬せらるるところの代議士諸君の間にも、非常に利害關係が複雜いたしまして、そのために各黨内部にも、大渦亂を起す非常な大きながんになつているのであります。私たちの聞き及ぶところにおきましても、今囘の自進兩黨のお出しになつたこの別表につきましても、各黨内に、自進兩黨内にも非常に異論があるそうでありまして、なかなかこれは紛亂のもとになつているのであります。從つてこれが一たび通過いたしましても、今後この紛亂はやはり續くのであります。これがいよいよ續きますれば、またぞろこれは一定の時期、ごく近い將來におきまして、再びこの別表を改正することが問題になるのである。そうするとその時に、それならばこれは合理性をもつて解決できるかと言いますと、これがまたできない。この別表につきましては、もう一つ大きな問題があるのであります。これはなにかと言いますと、現在の府縣制、府縣の區畫及び郡の區畫、町村の區畫も、すべてこれは明治初年に大體定まつたのでありまして、そのために現在の高度に發達した新しい近代的な生活と、實際の區畫は、もう既に合わなくなつておる。わが黨のごときは特に近代産業の發達に伴つて起つてきております勞働者を基礎にしておりますために、勞働者の實際上の生活とかかる行政區畫とはまつたく矛盾し、相反した行政區畫では、どうにもならない大きな惱みを感じておるのであります。從つてかかる行政區畫を基臺といたしておりますところの選擧區というものは、實際上役に立たない。むしろ非常に不合理にできておるということであるのであります。從つてまた實際上選擧區を區分いたしますことによつて、産業に從事しております勞働者諸君、及び行政官廳の下級の使用人諸君におきまして、この行政區の區畫を基臺といたしました選擧方法に、非常なる不利益をこおむるのであります。今度のこの中選擧區に分割せられましたために、勞働組合の政治的な關心の高まつておるのに、非常に大きな冷水をかけておるのであります。そういうわけでありまして、從つてこの選擧區を區分するということは、實際上非常に不合理ができるし、また困難の問題であるのであります。これが新しい近代的な生活條件によりまして、行政區畫も變更しなければならないのでありますけれども今直ちにこの行政區畫を整理いたしまして、しかる後にこの選擧區を定めるということは、これは不可能のことでありまして――それはもちろんできないことはありません、それはできるでありましようけれども、しかしこれは投票の管理だとか、その他のいろいろの事務を遂行いたしますために、かかる行政區畫と一致しない選擧區を區分いたしましても、これは實際上役に立たないのであります。かかる結果、これは百尺竿頭一歩どころか數歩を進めまして、ここにこの選擧區の區分というものを一掃いたしまして、これを全面的に全國を一選擧區にすることが、ぜひ必要であると思うのであります。この全國の比例代表、いわゆる全國を一選擧區とすることに關しましていろいろの議論がありますが、即に實施されている國は、皆成績をあげておるのであります。それに對しまして反對をいたします人々その言分は、それは小さい國だからそうだと、こう言うのでありますが、日本は現在は非常に小さくなつております。まつたく小さくなつております。非常に小さくなつておるのであります。それのみか、もう一つは實際上交通が非常に頻繁になりまして、交通が發達いたしますと、實際の廣さよりは、實際上にはぐんぐんこれは小さくなるのであります。われわれが産業の復興を云々し日本の人民の生活の改善と向上を云々する以上、將來に對しては實質上日本という國はうんと小さくなるということは當然だと思います。小さくすべき必要がある。從つてこれが小さくなればなるほど、全國を一つにいたしましても、なんら差支えないことになると思うのであります。同時にラヂオの施設でありますが、このラヂオの施設ということは、非常に重大なる問題でありまして、これは日本を小さくするのみならず、全世界が今や急速に小さくなりつつある。生活の面におきまして實質上非常に小さくなりまた密接なる關係をもつようになつてきたのであります。これはただに日本のみならず、全世界にわたりまして、このラヂオの發達ということは、非常に重大なる關係をもつておるのであります。今囘の選擧のみならず、先囘の選擧からこのラジオの利用ということは、非常に重大なる意義を有したのでありますが、今度もまたこのラジオの利用を、十分われわれは選擧に運用しなければならないと思うのであります。從つて今さきに自由黨、進歩黨の代表者として小澤君が、選擧區を小さくしなければならないという理由の一つに、これは廣過ぎてまわれないからそうするのだと言われておりましたが、これはラジオを運用することによつてまわらなくてもいい。坐つてやつておつてもいい。あえて足を勞することなしに問題を解決するのでありまして、これらの點は何ら差支えないと思われる。次に文書であります。われわれが文書を運用することによつて、現在存しまする新聞その他の運用のみならず、政黨の活動を文書に大いによることになりますれば、これまた足を勞せずして、政黨の諸政策は皆文書によつて訴えられておるのであります。ですからかかるものを、まわれないから小さくしなければならないという理由は何らない。まわらなくてもよろしい。われわれはこの大選擧區において、一歩も踏んだことのない大島、八丈島あるいは伊豆七島の全部から多數の投票を得ておる。私は千數百の投票を得ておるのでありまして、わが黨に對しても相當多數の投票を得ておる。これらは何ら足を踏み入れて直接話さなくてもいい實際上の證據だと私は信ずるのであります。今後またそうしなければならない。殊に問題は、時間が非常に限られておりまして、わずか二十五日でありますから、二十五日間にむりやり方々歩こうたつて無理でありまして、これは中選擧區にしても無理である。もしこれが小選擧區になりましても、事實上はこれまた無理である。一番いいことは一軒々々行つて、膝づめで懇談をして、首を抱いてやり、足をさすつてやつて、親切に教えてやればなおさらいいのでありますが、しかしながらそういうことは事實できない。またかかることをすることは禁止されておるような状態でありますが、かかる状態においてわれわれはまわれないということを理由にするのは、無意味のことであると信ずるのであります。同時にこの問題は非常に重大でありますが、G・H・Qからもたびたび聲明せられております通り、個人本位であつてはいけない。政黨本位でなければいけないということを示されておるのである、從つて小澤君の主張のように、個人がまわれない、ああの、こうの言うのは、これは個人を中心としておるのである。これは選擧の本旨にまつたく反するものと言わざるを得ない。ですから政黨が本位とすれば、あえて一々まわらなくともよろしい。また選擧の時期だけの問題ではない。政黨は終始働いておりますが、全體の總合的の結果が選擧に現われなければならない。從つてわれわわれの議會における論議、諸行動も、端的に言いますればこれはやはり選擧運動の一つである。終始いつでもそうである。われわれの議會における論議も、議會外における諸行動も、すべて選擧と關係があるのでありまして、これを選擧と切離すことは實際できないのである。選擧を形式的に考えるからそうなるのでありまして、選擧はすべての政黨の行動の實際上の結果を收獲するところに、選擧の有意義なところがあると思うのであります。特にこれは政黨本位でやれという趣旨におきましては、かかる趣旨の選擧に特別の活動はなしでも選擧ができるという、拔くべからざる確信をもつて、初めてこれはほんとうの政黨本位の選擧ができると思うのであります。從つてこの區畫を定めるということは無意味でありまして、これは全國的にどうしても一選擧區にすることが、正しいのであります。さらにもう一つ問題になりますのは、この選擧區の問題を一々論議しますのはすべて過去の成績をもつて云々するのであります。すなわち日本人は政治的な訓練が非常に少ない。日本人は選擧においては個人の關係のみを見て、それにだけ投票するというふうなことを考えられておるのでありまして、なるほどこれまでの過去におきましてはそういう傾向は、はなはだしかつたのであります。ことに天皇制の專制の時代には、まつたくこの政治問題を扱うことを彈壓されておつたのでありますから、從つて選擧人の限界は狹く、目先の自分の前にいる人間を評價することによつて投票したのであります。政黨の存在はほとんど無意味であつたのであります。またその政黨の問題におきましても、個人を通じての政黨との連繋を問題にしておつたのであります。眞に政黨の政策を論じ、その政黨の性格に對しまして十分なる認識をもち、政治行動の訓練を積んでおらなかつたためにかかる結果に陷つたのであります。しかるに終戰後におきましては、かかる状態は非常な速度をもつて改善せられつつあるのであります。殊に組合運動が非常に盛んになりまして、勞働組合、また農民の運動といたしましての農民組合、あるいは農民委員會などの運動が、非常に盛んになりました結果は、今や急速にこの政治的訓練は強くなつて來たのである。勞働者自身、自分自身の利益を守つて、自分自身の要求を貫徹するためには、何としてもやはり政治的に進出せねばならないということを非常に痛切に感じたのである。また感じつつあるのである。これは有名なる二・一ストライキが、この政治的活動を最も重視しなければならないという覺悟を與えたのであります。現にそれ以後組合の政治に關する自覺は非常に高まりました。今囘の選擧におきましては、特に組合からの候補者を押し立て、自分からの利益をその組合の支持するところの人によりまして達したいという熱望は猛烈であるのであります。しかるにかかる状態を、かかる勞働者の要求を貫徹せしめますためにはどうしてもこれは行政區畫ではいけないのであります。この發展していく國民の自覺、政治的な訓練、これを見逃して、過去の成績ばかりに立脚しておりますところの選擧法の改正というものは無意味であると私は思うのであります。單に過去がこうあつたからこうするというだけでは何にもならぬ。しかもこの將來に向つて發展していくところの國民の政治的な訓練に對しまして、議會はこれを開發し、これを啓蒙し、政治的より高い水準にこれを導いていくということが國會の義務でありまして、かくしてのみ初めて民主主義は達成せらるるのでありますから、この將來に向つてのわれわれの運動、將來に向つて日本を民主主義的に改善していこうとするこの動向に對しまして、われわれが熱意を失つて、單に過去の状態のみにとらわれるとするならば、これは選擧法の改正ではなくして、改惡の方へ墮落せざるを得ないと信ずるのである。從つてわが黨といたしましては、この將來の大發展を啓蒙し、これを引上げて行く方向に選擧法を改正する方が正しいと信ずるのである。かくいたしまして、この全國を一選擧區とするところの完全比例代表制をわが黨は主張して、ここに改正案を提出したのであります。
もう一つ辯明をしなければならないことがあります。それはこの全國完全比例代表では實際上の實施に際しまして、特に地方的利益、地方的な經驗知識をもつておられるところの代表者を選ばれるのに非常に障害になりはしまいかということであります。しかしこれはそうではないと思うのである。と申しますのは、何と言いましても、地方的にそれぞれの團體がありまして、そのみずからの地方的から有力な人物を出したいと思うのは、これは當然であります。またその地方で十分これを知つておる人を選出したいというのも、これも當然であります。從つてこの地方の利益と切離して、遊離さして候補者を選定し、その候補者に向つて黨が宣傳するならば、その黨は必ずや投票を多く獲得することはできない。失敗すると思われるのであります。從つていずれの黨におきましても、かかる亂暴なことはしない。事實上北海道におきましては、北海道の利益を十分に代表し、北海道の事實を十分に知り得るところの人間を、必ず黨はこれを北海道の地位によりまして、名簿の中にも高順位に、上の順位に置いておくことは當然である。それぞれの縣においてもそれぞれまたそうあるべきであるのであります。しかしながらこれが實際上、全體の日本の生活におきまして、經濟的にも政治的にも非常に弱い所、ウエイトが非常に少い所はどうしてもあとまわしになるのは當然である。しかしこれは當然であつてもちつとも差支えない、と言うのは、これまでは地方の利益を代表する方々のみ出たために、非常な弊害を釀したということは、小選擧區につきまして特に小澤君が強調せられたところである。從つてかかる地方のみに固著するということは、全體といたしまして有害でありますから、かかる地方の利益もしくは地方の事情を十分知らざる人間のみ出てくるという非難は當らないのでありまして、實際上の實行におきましては十分地方の人々の利益も代表しこれと十分結びつき得る可能性を有すると思うのであります。これが大體の趣旨でありまして、この點はいかなる選擧法にもまさる選擧法であるということを申し添えておきたいのであります。もしこれが否決せられるようでありますれば、大選擧區比例代表が用いられ、これもいかぬと言いますれば、現在のような大選擧區連記制を用いなければならぬということになりますので、この全國比例代表というのは最も完成された、最も高い水準に發展したところの選擧法と言うべきでありますから、われわれはこの點を特に強調したい。但しわれわれは少數黨であります結果、やはりこれは全體の意見に相當妥協しなければ實際上運用ができません結果、これには妥協する用意は十分あるのであります。それゆえに現行法の持續につきましても、われわれは何ら異論を言う者ではありません。しかしながら、これをさらに改惡いたしまして、中選擧區連記にし、または中選擧區單記にするという、こういう下の方へだんだん向つていくことに對しては、何といたしましてもこれは反對せざるを得ないのである。
さて次の問題は第四條であります。第四條は行政區畫の變更による云々というのでありますから、これは當然削除さるべきものであります。次は第二十七條でありますが、これは選擧區を分けてあるために、きわめて複雜の規定になつておりますが、そのために起るところの選擧區分によつて生ずる條文だけを削るのであります。すなはち選擧人は投票所にはおいて、左の區分に從い、投票用紙にみずから議員候補者一名または數名の氏名を記載して投函すべしという、このうちで、左の區分に從いと、いうのを削る必要があります。區分がありませんから……。それから議員候補者一名または數名、このまた數名は削るのであります。すなはち名簿に記載されてある各黨の立候補者の名前の一つだけ書けばいいのでありまして、これは全部それらの數名を書く必要はありません。かかる候補者を集めまして、これを總數にして勘定するのでありますから、このまたは數名を削るのであります。また一、二、三、選擧すべき議員の數三人以下の選擧區においては一人とかいう、こういうものは全部削るのであります。
それから第五十二條であります。これは第一項を削りまして、選擧したもののうち、左に掲げたるものは無效と改める。第五十二條の第二十七條第一項第三項云々という、この第一項の規定を全文削りまして、投票したもので左に掲げるものは無效とする、こういう記載であります。これはとにかく全國區に選擧法が改まる結果こういうことになつただけであります。それから五十二條の二、これも區畫を定めてあるからこういう厄介な規定をしなければならないのでありますが、選擧區がなくなりますからこれも全部削るのであります。それからもう一つ、これは申譯ない次第でありますけれども、早早の間に書いて出さなければならなかつた結果一つ落ちているのがありますので、これだけは御勘辨下さいまして、ここに挿入することを許されんことを希望するのであります。すなわち第六十八條の二項を改めるのであります。これは議員候補者の得票數その選擧區内の、ということになつておりますが、この選擧區内というものを削りまして、「議員得票數が」、と入れるのであります。すなわちこれは全體が選擧區でありますから、そういうふうにせざるを得ないのであります。これは單に手續上の問題でありますから、何ら諸君のお叱りを受けないだろうと思つて、特にここに挿入することを許されたいのであります。
第六十七條のものがちよつと落ちておりました。これは議員候補者たらんとする者は、の次に、及びそれぞれの黨はということを入れるのであります。すなわちこの問題は、この比例代表制によりますれば、黨が全體として立候補者の名簿を提出しなければならない。すなわち黨本位の選擧でありますから、何といたしましても個人々々の立候補の屆出ではいけないのであります。名簿を各黨が提出することが必要でありますので、この條項を改めざるを得なくなつているのであります。
第六十九條、これは全文削除いたしまして次のごとく改めるのであります。當選者は次の規定できめる。これがこの比例代表でどういうふうにして當選者をきめるかという根源でありますから、これを少し念入りに説明したいと思います。
一、總投票數の總計を議員定數で割り、この數を標準數として、それでそれぞれの黨の投票數を割つて得られた數を第一次のそれそれの黨の當選者數とする。すなわち標準數で各黨の取つたところの投票數を割ることによりまして、この黨の當選者とするのであります。これは議員定數がきまつておりまして、その議員定數によつて投票數の全部を割りますれば、これは平均的に當選し得る數になるのでありますから、たとえば十萬票というものが出ましたらば、この十萬票まで取つた人間を――その十萬票で全黨の、たとえば自由黨の取りました總數を割りまして、割つて得られただけの人間を第一次の當選者の數とするのであります。しかしながら、こういう方法でやりますと、黨がいくつもありますれば、その端數に差が生じまして、實際上定員に滿たざる場合が生ずるのであります。それで二の規定はこの定員に滿たない場合を補うためにできているのであります。前號によつても當選者が定員に滿たない場合には、それぞれの黨の殘りの投票數の按分比例によつて議員定數に滿ちるまで當選者數を繰り上げる、こういうわけであります。それでこれらの二つによつて議員の當選者の數が定まりました時に、いかにしてこれを具體的に人間にあてはめていくかと申しますれば、これが第三に書いてあるのであります。前二號によつて得られたる當選者數だけそれぞれの黨の提出した立候補者名簿によつて、上から順々にとつて決めるというのであります。これは各黨がそれぞれ自分の黨から選出さしたいという者を上から順位に書くのであります。自由黨ならば自由黨の總裁吉田茂さん、何さんと、こういうふうに書くのでありまして、從つてこれは各黨が自分の黨に重きをなし得るという人間を黨が定めるのでありますから、非常に合理的である。從つて吉田茂さんが現在のような選擧法によりますれば、きわめて危ない、土佐に行つてはたして當選するかどうか危ない。神奈川縣に行つて當選するかどうか危ない。どこへ行つて當選するか、事實上危ない。これはすべてそうであります。しかるに政黨というものは大世帶をもつているのでありますから、この大世帶においてやはりこれを統帥する人は、中央からなかなか動けないのであります。これは總裁のみならず、幹事長でありましても、總務でありましても、でき得る限りはこれは自分だけの選擧はしたくないはずであります、またそれはそうすべきものであります。そうしませんと、黨の統一がとれませんし、黨としての發展はなかなかできないのであります。しかるに、この方法によりますれば、こんな一人々々の運動をしなくてもよろしい。十分皆が皆の活動によりまして、この人々の、黨の全體を統べていくところの仕事をやりながら、完全に當選していくのでありますから、これくらいいいものはない。これは非常にいいことであると私は信ずるのであります。のみならず、政府はどうしても政黨本位の政府になるのでありますから、政府の重要なる地位に、皆政黨員が就かなければならないのでありますが、この政黨員がこんど選擧があるというと、自分の選擧場に行つて、そうして自分の政府の仕事はおろそかになつてしまう。おろそかにならなくとも、これに怠慢を生ずるということは當然であります。從つて政府はこの選擧期間中非常に腐敗墮落する危險を十分もつているのであります。かかる状態では、やはりこれは全國民に對しまして非常なる不幸をもたらすのみならず、また政黨政治を事實上困難ならしめる。すなわち政黨政治を腐敗隨落せしめる大きな原因になるのであります。從つてかかる人々は實際上政府の仕事をやつておりまして、何ら一足も選擧區に入れなくとも、また形式上の政治運動はやらなくとも、選擧運動はやらなくとも當選できるようにならなければ、これは政黨政治を發達せしむることはできないと信ずるのであります。從つてかかる方法は最も適當であります。殊に日本の現在のごとく非常なる激變期に際しまして、經濟危機は發生し、そしてこれがさらに社會秩序の方面におきましても重大なる影響を及ぼすような状態におきましては、政府の重要なる地位におられまする人々は、一時間といえどもこれをゆるかせにするわけにはいかないのでありますから、これは現在のような重大なる時期におきましては、特にこういう選擧法が必要である。
それから第七十三條の第二項であります。「一人ニシテ數選擧區ノ當選ヲ承諾スルコトヲ得ス」これは無意味でありますから全部削除するのであります。
それから第七十九條であります。これは全部削りまして、いわゆる繰上げ當選云々のもの、あるいは補闕選擧云云のものでありますが、これを全部削りまして、こういうふうに改めるのであります。第一項を削り、「議員に闕員を生じた時には、闕員議員の屬する黨より第六十九條第三號の規定によりこれを滿たす」すなわちここで繰上げていくのであります。それは各黨々によつて決定する。これでは選擧をやつて何黨が投票を得るかということを決定するのでありますが、この全國比例代表におきましては既に黨に對しての投票でありますから、人間のことは第二次であります。だから一人の人間に闕員を生じましたときとは、名簿に出しておりますところの次の人間を繰上げてちつとも差支えないのであります。繰上げ當選だとか、あるいは補闕選擧だとか、非常に金が要るとか、面倒であるとか、なんとかかんとかいう煩わしいことをここに一掃することができるのでありまして、あらゆる點におきましてこれは非常に有利であると信ずるのであります。
それから第百四十四條の三でありますが、これも全文削るのであります。これは「北海道支廳長ノ管轄區域ニ變更アルモ云々」というのであります。これは選擧區を區分してあるから生じた規定でありますから、これを全文削らなければならぬであります。かくいたしまして非常にこれは選擧法も何も簡單になります。取扱いも非常に簡單になります。それから買收その他選擧違反の點もこの選擧法をやりますれば非常に少くなるのであります。われわれはもつともつと改正を要求したいのでありますが、たとえば滿二十歳の選擧權でありますが、これを滿十八歳にするとか、その他いろいろわれわれの綱領に書いております問題を實質的に出したいのでありますけれども、この際は實際上最も必要とせられるものだけを出しまして、こういう選擧權の擴張その他のことには特に及ばなかつたのであります。でありますからこれだけがわれわれの黨の趣旨の全部ではないのでありまして、これ以上にもつと大きな要求をもつておるということを特に附け加えておきたいのであります。
その次には別表を全部削除するのであります。それからこの全文中のいろいろ勅令をもつて云々というのでありますが、これは勅令が消えまして今度は政令となりましたから、事實上政令に改まるでありましようが、しかしこれは政令にしても勅令にしても、われわれはおもしろくない。よくない。すなわちこの政令や勅令で改まりますと、どうしても官僚の專横を生ずる危險があるのでありまして、從つてこれらの文句をすべて國會の承認によつてということに改めたいのであります。これはいろいろ煩雜であろうということを言われるかも知れませんけれども、新憲法におきましては各種の常置委員會がありまして、特に法規委員會その他も設けられますので、こういうことを實際上處理するための機關は存しておるのでありますから、決して煩雜にもわたらなければ、またこういうために仕事が遲滯するようなことも生じないと思うのであります。特にこの選擧法においては、これの實質上の點が勅令やもしくは政令などでもつて左右されるということになりますれば、根本的にこの選擧の實質にゆがみを生ずる危險があるのであります。これは非常に有害であるのでありますから、特にこれは國會が承認するか否かという條件をつけなければ、非常な弊害を生ずると信ずるのであります。それゆえに特に勅令をもつて云々ということを國會の承認によつてと改めたいのであります。それから最後に全法文を口語體に改めるというのであります。これはなぜかと申しますれば、この法文はすべて文語體になつておるのでありまして、この文語體たるやなかなか理解しにくいところがあるのであります。殊にわが黨のごとき勞働者、農民その他一般市民の、普通にいわば下層と言われる人々の利益を代表する、これに根據をおきます黨においては、かかる何にすべし、何々しなければいかぬ。何々ならざるべからずというふうな。こういう實際生活から離れた文語體では、きわめて實際上これを理解するのに大衆が困難を生ずるのであります。これではやはりよくない。この文語體は非常に過去の時代の生活を反映しておるものでありまして、現在の人民の生活とは遊離しておるものでありますから、これを現在の生活と密接に關係のある現代的口語體に改めることをあえて主張する次第であります。私の趣旨辯明を終りました。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=25
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026・山口喜久一郎
○山口委員長 中村高一君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=26
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027・中村高一
○中村(高)委員 社會黨の修正案のうち、投票方法に關する部分の修正につきましての趣旨辯明を、きわめて簡單に御説明いたしたいと思います。まず簡單でありますので朗讀をいたします。「衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。第二十七條 選擧人ハ投票所ニ於テ名簿式投票用紙ニ自ラ議員候補者ヲ其ノ選擧區ノ定員ニ達スル迄記號ヲ附シテ投票スベシ」こういう方法であります。從來投票の方法は、みずから候補者の氏名を記戴するという方法によつて、今までの選擧は行われてきておるのでありまするが、われわれはこれを選擧人が一々候補者の氏名を記戴せずして、あらかじめ候補者の氏名の印刷いたしておきまして、その印刷されておりますところの候補者に記號をつけるだけでよろしいというのであります。しかしながらこれは候補者をただ單に羅列するというだけではないのでありまして、政黨ごとに候補者の氏名を列擧いたしておいて投票させるのであります。この名簿式投票用紙に多數の候補者が記載せられるのでありますから、その多數の候補者を選擇をする上におきまして、便宜のために政黨ごとに候補者の整理をいたして投票をさせる。こういうふうにいたしたいと思うのであります。その理由はもう説明するまでもなく明瞭でありまするが、從來のように投票は一々候補者の名前を記載するということでありますと、はなはだ複雜でありまして、特に婦人の有權者は現在の連記制の候補者三名の記憶をしていくことになかなか困難であるというような事例も先般の選擧にあつたのであります。一人くらいはよく覺えておられるけれども、二人、三人となると、なかなかあの場へ行つて思い出せないというような人さへあるのでありまして、特に婦人に多いようであります。これはまことに無理からんことでありまして、われわれのように常に選擧に携わつております者は、人の名前をよく記憶いたしまするが、選擧などに對して日ごろ何らの關心を持つていない人が、投票に出かけていつて思い出せないというような例も、必ずしも無理だとは言えないのであります。中には投票所へ行つてから一人も名前を思い出せなくて、だれでもいいから一人教えてくれないかと言つて聽かれたことがあるというような、はなはだしい例さへあるのでありますが、そういうような場合におきまして、この名簿式投票方法でありますならば、候補者の名前が全部記載されておるのでありますから、どの人に入れるか、どの人を自分は選擇するかということにつきましては、その選擇に非常に便宜でありますことは説明するまでもないのであります。また非常に多數の候補者のある場合において、定員に達するまで記號を付するということは、あるいは無理の場合もあるかもしれません。特に十人近い人に一々記號を付するということは、なかなかこれも困難であるかもしれませんが、その場合のためにはあらかじめ政黨で整理してありますから、そういう人のためには政黨に記號を付けまするならば、その政黨の候補者は全部一票を得るという方法になつているのでありますから、政黨に投票することによつてその政黨所屬の候補者全部に、一票ずつ投票することもできるし、あるいは個人的な選擇方法も許されておるのでありますから、場合によれば社會黨の候補者全部には入れる意思がないが、自由黨にも進歩黨にも、一人ぐらいは入れてもよいと言う人もあるかもしれません。そういう場合には、ちよつと理窟の上からいきますならばおかしいかもしれませんけれども、しかしながら個人選擇をするということも、また有權者の自由な意思によつて行えるのでありまするから、これまた禁止をする理由には相ならぬと思うのであります。かくいたしますることによつて、名簿式投票方法というものはきわめて便宜であり、またきわめて公平な選擧ができると思うのでありまして、既にアメリカその他におきましてこれを實施いたしているのでありまするから、日本においてこれが行えない理由は一つもないのであります。ただ多數の候補者でありまする場合において、記載をせられた順序によつて多少の優劣があるかもしれません。最初に名前のある人と一番しまいに名前のある人と比べましては、あるいはそこに多少公平性を欠く點があるかもしれませんが、これの記載の順序は各政黨に任せまするならば、政黨によつてその記載の順序を決定いたしまするから、これも大した爭いがないで決定ができると思うのであります。こういうような趣旨によりまして投票方法の改正をいたしたいと思つて本案を提案いたした次第でありますので、この修正案につきましても、何とぞ十分に御審議の上に贊成を得たいと思いまして、趣旨辯明をいたした次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=27
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028・山口喜久一郎
○山口委員長 これより質疑に入ります。佐竹晴記君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=28
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029・佐竹晴記
○佐竹委員 私はまず形式問題について二、三の點をお尋ねいたしておきたいと考えます。政府並びに提出者の御答辯を煩わしたいと思います。
ここに議題となつております修正案は議員提出の修正案でございます。その修正さるべき原案は政府提出の改正案でありまして、その政府提出の改正案は一昨日既に一部修正されまして本會議に付せられております。既に委員長の報告を終つておりますことは申し上げるまでもないのであります。そこで修正さるべき原案は本會議にあつて、ここには修正案だけこの委員會に付託されるというのでは案が二分されます。かくのごとく二分された修正さるべき原案を件わない修正案の委員付託、ないしは委員會の審議が、はたして適法であろうかどうか。まず根本の問題を究めておく必要があろうと存じます。この點まず御説明を煩わしておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=29
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030・山口喜久一郎
○山口委員長 私から見解だけお答えしておきます。本委員會としては、本會議より付託されたのでありますから、本委員會としては、本會議より委員會に付託されたる案件を審議するということは適法であると、かように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=30
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031・佐竹晴記
○佐竹委員 ここに委託されておりますのは、衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に對する修正案(大野伴睦君外一名提出)外三件委員といたしまして、われわれが委員に指名されております。すなわち議員提出の修正案に關する委員會であります。しかしこの修正案はもとがなければなりません。そのもとは政府提出の原案です。その政府提出原案を伴わないで、修正案だけを獨立の案件といたしまして、ここに審議することを、いかに委員付託されましても、この委員會において適法なりや否やということの審議を盡すことが、まずもつて必要であろうと存じます。すなわち付託されたから適法だというのでは答辯になりません。委員長といたしまして、何がゆえに適法なるかということをまずお示しを願つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=31
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032・山口喜久一郎
○山口委員長 適法なりや否やということは、本會議において論議すべきことでありまして、本委員會としては一旦付託されたる以上は、これを本委員會において審議することが適法であり、妥當であると、かように信じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=32
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033・佐竹晴記
○佐竹委員 この修正案によつて修正しようといたします政府原案の部分は、少くとも審議範圍内に屬するという御解釋でありますか、それを承つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=33
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034・山口喜久一郎
○山口委員長 佐竹君にお答えいたします。それは範圍内に屬するとも解釋できるでありましようが、また屬しないとも解釋できると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=34
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035・佐竹晴記
○佐竹委員 この委員會において審議すべき範圍が明確でなしに、この委員會の審議を續行することは困難と存じます。まず明確なる委員長の御答辯を伺いまして、どれだけの範圍内において審議をしてよろしいかということは、私どもはつきりした態度をもつて臨みたいと存じまするがゆえに、念を押しておきたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=35
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036・山口喜久一郎
○山口委員長 範圍ということになりますれば、これは狹義にも解釋できますし、廣義にも解釋ができます。私はその範圍とは、すなわち示されたる議案そのものであると、かように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=36
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037・淺沼稻次郎
○淺沼委員 ちよつと關連して…。そうすると範圍のことは別といたしまして、修正案の裏には政府原案並びに選擧法がついておるかどうか。ついておるとすればそれに對する審議は可能でありますから、今修正案が議題になつておるわけでありますが、その議題の背後には政府の一部改正案、並びにさらに委員會で審議した委員長報告を加えて、選擧法の原案そのものがついておるかどうかということを明確にして、ついておるということになれば範圍がきまるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=37
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038・山口喜久一郎
○山口委員長 ついておると解釋しても差支えないと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=38
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039・佐竹晴記
○佐竹委員 もしさようだといたしますれば、結局この修正をしようとする、すなわち修正さるべき政府原案は、當委員會における審議の範圍であるといわなければなりません。そうするとその政府提出の原案は、既に政府提出衆議院議員選擧法の一部改正委員會で一昨日決定を見ております。一旦審議決定しました以上、一事不再議の原則の適用さるべきは當然のことと思われます。從いまして、一旦決定いたしました委員會の決定を、他の委員會の審議にかけて覆えすというようなことがあり得ないことは、もちろんだと存じます。もし再議に付することができるというのでありましたならば、その法的根據というものがなければならぬと存じます。今衆議院規則第五十七條を見てみますると、「議院ハ期限ヲ定メ委員會ヲシテ審査ノ報告ヲ爲サシムルコトヲ得」とあります。五十八條には「委員會故ナク其ノ報告ヲ遲延スルトキハ議院ハ改メテ他ノ委員ヲ選任スルコトヲ得」とあります。かように、一旦委員會へ付議されましたときに、その委員會が審議決定をしないときには、初めて他の委員會にかけて審議決定するという、こういつた特例はございますが、付託されました委員會において審議決定を見て、報告をして、既に議了いたしております部分を含めて、當委員會において別途に審議するというがごときは、斷然これはあり得べからざることであると私は思うのであります。ゆえに私はこの點は特にひとつはつきりした態度をもつて臨んでおかれませんと、もしさらに修正されようとするもとの原案が、この委員會において審議する範圍だと、委員長のおつしやる通りであるといたしますならば、この委員會においてまたさらに政府提出のもとの原案を修正することもできましよう。すなはち議了いたしてやりますものと正反對の、たとえば私の提出いたしました修正案をさらにまたひつくり返す修正が、この委員會でまたできます。ゆえに私どもの審議權の範圍をまずもつてきめておいていただきませんと、私どもの發言の範圍がまたほかに及ぶとか、お前の發言はまた遷延策じやなかろうかといつて制限されますと困りますから、まず審議範圍をここにはつきりときめておいていただきたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=39
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040・山口喜久一郎
○山口委員長 お答えいたします。審議の範圍でありまするが、ただいまのお説のごとく、再びこれを修正することはできないと思います。すなわち、私の考えとしては、いわゆる政府原案の本委員會において審議されたるその延長だと少し平たく考えて、本委員會を運營していきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=40
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041・佐竹晴記
○佐竹委員 それだといたしますと、私がさきに七十九條に關します修正案を出しまして、私の修正部分が否決されて本會議へ送られております。それはどうです。又ここにかけてきたではありませんか。七十九條の第二項、こうここに書いてあります。これは一體どうしますか。これは委員長、本會議との關係もありましようから、この問題は一應御休憩願つても結構でありますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=41
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042・山口喜久一郎
○山口委員長 ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=42
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043・山口喜久一郎
○山口委員長 暫時休憩いたします。
午後三時二分休憩
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午後三時十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=43
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044・山口喜久一郎
○山口委員長 休憩前に引續き會議を開きます。佐竹晴記君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=44
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045・佐竹晴記
○佐竹委員 ただいまの形式問題について委員長から御答辯がありましたが、了解をいたしかねる點がございます。しかし議事遲延のおそれもございますので、問題は問題としておきまして質疑を進めてまいりたいと存じます。植原内務大臣はお出でになつておられましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=45
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046・山口喜久一郎
○山口委員長 植原内務大臣は、本會議の地方自治法案の方へ行つておられまするが、可及的速やかにこちらへ來てもらうように今申しておきました。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=46
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047・佐竹晴記
○佐竹委員 それではお尋ね申し上げたい點は、まず何がゆえにこうした重大な案件を、突如本會議において修正案として提出しなければならなかつたのか。よほどの必要がなければならないと思うのでありまして、急遽、しかも會期の迫りました今日、事務的原案に抱き合わせまして、かくのごとき重大なる根本的修正案を、しかも本會議において突如提案されようといたしまする根本の理由を承りたいと存じます。この點は提案者にお尋ねを申し上げたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=47
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048・山口喜久一郎
○山口委員長 小澤佐重喜君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=48
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049・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 佐竹君にお答えします。結論におきまして、本會議が切迫した閉會間際に出したことはあれでありますが、これは御承知の通りわが黨もしくは進歩黨におきましては、昨年の十月頃から種々檢討し、また各派へも御諒解を得て研究してまいつたのであります。このことは社會黨へもおそらく交渉してあつたわけであります。もちろん最終的に審議されたかどうかは各派によつて違いますが、新聞紙にも發表され、また自由黨、進歩黨というものは、少くともこの中選擧區單記制については、諸般の手續が濟み次第、本會議に提出するということは、正式にはあなたの方に通知しなくとも、一般的に考えられておつたのであります。しかしながら御承知の通り關係方面の諒解も得なければならぬので、ついその機會を失つておつたのでありますが、今囘諒解がつきましたので、少し遲くなりましたが、これを出したのであります。しかしこの修正案の是非という點につきましては、もちろん見方によつて違います。私どもはこれが現在の日本の選擧制度としては、最適當な案と確信しておりますがゆえに、そうした前提のもとに、立派な案であるとすれば、少々突然であつても、あるいは手續が從來と多少變つても、急いで來るべき選擧から適用することは當然だ。こういう考えのもとに、期間も遲延しましたが提出することになつたのであります。
それから委員會に提出せずに本會議に出した理由はどうかというお尋ねでありまするが、私どもは最初委員會に提出する考えであつたのであります。ところが委員會としては相當審議も進んでしまつて、質問も打切る状態になつているところへ、新しく出すということはかえつて委員會を紛糾させるから、むしろこれは本議で愼重に御審議願うことが適當であると考えまして、委員會には提出せずして本會議に出したような次第であります。以上お答えいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=49
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050・佐竹晴記
○佐竹委員 さきに政府提出になる衆議院議員選擧法中一部改正法律案の内務大臣の提案理由の説明といたしまして、かようにおつしやつておられます。「大選擧區制限連記制を骨子といたします現行衆議院議員選擧法につきましては、前囘の總選擧の結果等に鑑み論議のやかましいものがありまして、政府といたしましても選擧法全般にわたつて根本的再檢討を加えて來たのでありますが、最近における政治情勢の要請により、急速に選擧を行うことになりましたので、この際とりあえず選擧の執行に必要な日本國憲法の制定地方制度の改正及び參議院議員選擧法の制定等に伴う最小限度の規定の整備を行うことといたし、本改正案を立案した次第であります。」と述べられております。すなわち前の衆議院選擧法の一部を改正いたします法律案の審議にあたりましては、内務大臣は急速に選擧を行うことの必要な政治情勢の要請によつて、とりあえず最小限度の規定の整備が必要であるので、この際この事務的提案をするのである。大選擧區制あるいは制限連記制といつたようなことを骨子といたしまする根本的問題には、しばらく觸れないことにする。今囘はこれに觸れないことにして、今度は事務的改正だけに止めようとするのだと、内務大臣は御説明になつているのであります。しかるに何がゆえにかその後に至りまして、急遽この改正案を議員提出修正案といたしまして、しかも本會議に抱き合わせてこれを出さなければならぬかということについては、そこに特別の深い意義がなければならぬと存じます。お互いに研究をしておつたところ、立派な案ならばこれはいつ出してもいいじやないか、自分たちは前から考えていたことである。別に突然出すわけでもない。いい案が得られたならば少々突然であつても、出してもいいという御説明だけでは、とうてい私どもは承服することができないのであります。そこにはもつと深い掘り下げた政治的必要というものがあるに相違なかろうと私どもは考える。ざつくばらんにひとつ掘り下げて提案者の御説明も承りたいし、ちようど内務大臣もお見えでございますから、ここに議員提出修正案を提出いたしますることに關連して、政府といたしまして前に事務的改正だけで、これは滿足するよりほかにはなかつたとおつしやつて、事務的改正案を出しておきながら、今度議員から突如根本的な修正をしてきたことに對して政府といたしましてはどういうふうにお考えになるのか、政府御自身にこの改正を必要とするお考えがあるのか、また政府がそういう必要があるといたしまするならば、政府の側においていかなる必要によつて急速にこういう根本的な修正を企てることの必要があるのか。政府の御意向をもつぶさにお聽かせを願いたいと考えます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=50
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051・植原悦二郎
○植原國務大臣 佐竹君にお答えいたします。何も包むこともなくすべてざつくばらんでありますが、ただいま佐竹君のお讀みになつた通りの趣意によりまして、政府はこの選擧法の改正案を出したのであります。その際にも申し上げた通り、現行の大選擧區制連記というものは、かなり世間でも非難のあるもので、欠陷のある選擧法だけれども、政府としてはとりあえず差迫つた選擧があるので、必要なる技術的の改正案を出したのだ。でここに――ここにというよりは問題となつている別表は、議員の方々の提出で、政府としては議員方の御決定になることに從うていくよりいたし方ないのだ。現行の選擧法の不備なることについては提案の際に御説明申しておいた通り、それが議員方のお考えによつて改まるならばまことに結構なことだと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=51
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052・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 御質問の趣旨は、先ほど私が申し上げた以外に、特段の理由があつたのではないかというお話であります。私どもといたしましては特段な理由は斷じてございません。ただ巷間傳うるところによると、いろいろなうわさがあります。しかしこれは一つのうわさとして私どもは聞いておる程度でありまして、私自身といたしましては、要するに最適の制度であると信じた以上は、そうした制度は一日も早く實行すべきだという、先ほどの言明以外に何もございません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=52
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053・佐竹晴記
○佐竹委員 私もう一つざつくばらんにお尋ねを申し上げたいと存じますが、今の小澤さんの御發言のうちにもありましたように、世間にいろいろとうわさされております。どうもこの法律案を、こうやつて修正案を出す根本的の理由については、共産黨が進出するのだからこれを抑えなければならぬ。この案を出したならば婦人代議士に多大なる影饗があるだろうけれどもしかたがないとか、あるいは社會黨に對してもいろいろと考慮がめぐらされておる。かように言われるのであります。私どもはそのうわさの立ちますることについては、そこに何らかの根據がなくして、偶然に出てくるものではあるまいと考えます。おそらくそういうような話が出てくるところには、火のないところには煙は立たないような工合に、何かしら潜んでいるのではないかと思われます。そういつたような目標のもとにこの改正が行われるといたしまするならば、これは由々しき問題であります。思想の問題を選擧區制をいじることによつて解決し得るなどと考えたならば、とんでもない間違いであります。選擧法を操ることによつて、自分たちの思想を活かそうなどというがごとき、これはまことに淺薄なる考え方であります。おそらく私は政府といたしましても、さようにはお考えになつていないだろう。提案者といたしましてもさようのお考えはないだろうと思われますが、しかしもしそんな掘り下げた深刻な理由がないといたしまするならば、急遽抱合せで出してくるという必要を、ちよつとも私どもは認めるわけにはまいりません、もしそういつた工合に根本的な理由というものがあるといたしまするならば、それはそれでもう了解ができます。それがないといたしまするならば、何がゆえにこうまで慌てて、しかも抱合せで本會議で修正案を出してこなければならないのか。それはどうしても私どは考えられません。私ども承るところによりますれば、齋藤國務相がしばしばその筋へ御諒解を得るために足を運ばれておつたということを了承いたしております。その後植原内務大臣が御就任なさいまして、しばしばまたその筋へ御諒解を求めに行かれたと承つております。しこうして小澤提出議員より先ほどおつしやつておられまする通り、諒解を得たのでここに提出することになつたと言われております。その諒解は提案者たる小澤さんあたりが行つて諒解を得られたものではありますまい。おそらく内務大臣がおいでになつて諒解を得られたことであろうと存じます。といたしまするならば、先ほど内務大臣のおつしやつておられるように、政府は何も知らぬことだ。議員の方でおかえになるならば、御修正なさいますならば、それは御自由になることであつて、私どもの關知しないところだといつたような工合におつしやいますことは、いかにもこれは白つばくれた御言分のようにしか聞えません。笑みを含めてざつくばらんにお答えいたしましようとおつしやつておられまする言葉と、腹の底に何かしら食い違いがあるかのごとく感せられてなりません。もう少しこういういつたような腹を打割つて一つ御説明願いたい。實はこうこうなんだ。政府としてはこういう見地に立つてこういう思想は取締ろうと思つておる。保守黨と言われようと反動と言われようと、おれたちはおれたちとしてこういつたような指導精神をもつておるのだという工合におつしやるならば、はつきりおつしやつた方がよかろうと思う。もしまたそんなことはないといたしまするならば、こういつたような理由によつて出してくるところの理由というものが私どもには解せません。私どもの納得のいきますように、一つ掘り下げて御説明を煩わしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=53
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054・植原悦二郎
○植原國務大臣 はつきりとお答えいたします。政府は選擧法によつて思想を取締るなどということを毛頭考えておりません。また政府は佐竹君の斷定なさるごとくに、抱合せて選擧法をどうこういたすということも斷じてございません。修正案は議員提出の修正案であります。政府としては政府の提出した選擧法があります。それを抱き合わせるとか抱き合わせないとかいうようなことは斷じてないのであります。政府の出したものに對して修正をするのは議員の權能であります。それに對して政府がかれこれ申すことはできません。
なおもう一つはつきり申し上げておかなければならないことがあります。政府として、内務大臣として關係筋方面に諒解を得に行つたとか、行かないとかいうことは斷じてないのでありますから、この點は誤解のないように、その誤解からいろいろの問題をひき起すおそれもあるのでありますがゆえに、この點は言葉づかいにおいても御注意下さいますように、政府は斷じてさようなことをいたしておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=54
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055・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 佐竹君のお話でありまするが、私自身といたしましては、選擧法の改正によつて思想問題をどうこうというようなことは、まつたく佐竹君と同感でありまして、そういうことはわれわれ提出者には微盡もございません。という點はこういう點からお考えになつても十分だと思います。私どもは九十一議會に本改正案を出す豫定であつたのであります。その當時においてそういううわさがあつたか、あるいは巷間傳えられておつたというと、その當時は全然そうしたうわさはないのであります。最近になつてそういううわさがあつたのであります。その一事をお考えになつても、私どもは中選擧區單記制、すなわちこの修正案というものは、まつたく信念に基いて進んでいるということは御諒解願えると存ずるのであります。なお私自身が關係方面の諒解を得たかというようなお話でありますが、もちろんあなたの御想像通り、私は一囘も行つたことはございません。私の方の大野幹事長と進歩黨の齋藤幹部が行かれて諒解を得られたと聞いでおります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=55
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056・佐竹晴記
○佐竹委員 内務大臣がお席を去られましたが、すぐおこしになられましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=56
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057・山口喜久一郎
○山口委員長 いま本會議の方に行かれましたが、すぐ歸つてこられるように、私から御注意は申し上げておきました。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=57
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058・佐竹晴記
○佐竹委員 ちようど幣原さんもおこしでございますから、政府は連帶の意味において幣原さんに一つお尋ねいたしまして、十分お答えを得られませんときは、またさらに内務大臣にお尋ね申し上げることにいたしましよう。
先ほど内務大臣は、はつきりお答えすると前提して、いろいろとお述べになりましたが、私どもにはそれがはつきりと受取れません。私どもはさきに別に委員會へかかりました選擧法の一部を改正する法律案、すなわち政府提出法律案の審議にあたりまして、これと別の修正をしようとするならば、その修正案とはこれは別なんだから、これと切離して、抱合せでなしに、獨立案としてお出しなさいませ、これはせつかく事務的の改正案ですから、小さな修正案を出しておいて、大きな修正案を議員提出で抱合せをするなどということは、これはとんでもないことだからひとつ切離しましようや、そこでこの政府提出の衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案において、事務的の修正だけはやつてのけましよう。區制の問題と連記、單記の問題を切離して、ひとつこの事務案だけは滿場一致で可決して、本會議でも無事通すようにしようでばございませんかと私どもは切に希望を述べた。そういてこれがだんだんいつて、議長室において懇談會にもなつた。そうして私どもは切にこれを進言した。ところが最後にいけませんと言う。そうして本會議へいつて抱合せに出しますとこうおつしやる。そんな必要が一體どこにあるのでございますか、と私どもは主張いたしたのであります。さほどに元の政府提出の法律案と、今度の修正案とはどうしても切離すことができない。抱合せでこなければならないということを、極力主張されまするその主たる原因といたしまして、政府當局が非常に強硬であるということを私どもは承つたのであります。特に内務大臣におかれても、あるいは幣原國務大臣におかれましても、強硬に、この案はひとつ速やかに今度議員提出で出てまいつておりまする修正案、今議題になつておりまする區制の問題と單記連記の問題、それを修正いたしますその案を、強く政府當局が主張して一歩も讓らぬ。いかんともすることができない。植原さんは特に強い意見をもつておる。幣原國務大臣も、進歩黨の總裁として、代議士會の席上に臨んで強硬な意見を述べておる。それまではそれほどにも考えておりませんでしたけれども幣原さんがあれほどに仰しやるのでございますから、私どももまいりました。もうその通りいたします。滿場一致さように決定することになりましたから、私どももざつくばらんに言う。これは抱合せで本會議へ出しますということを、進歩黨の議員の方々はわれわれに告白をしておる。さように政府部内が非常に強い意見をもつておつて、ただいま内務大臣の仰しやつたような、それは議員の方でやることなんだから、私どもは一向關知したところではない抱合せでやるなどということは愼んでもらいたい。注意をするなど仰しやつておるが、痛いところを衝かれるので、顧みて他を言うような注意を申し上げるなど、もつてのほかのお言葉を吐かなければならぬような心境になつてまいりましよう。そんなことでなしにひとつ掘下げて、どうしてもこれを出さなければならぬという、政府筋でも、またこれを提案されました提出議員の側においても、強い要求があるはずである。その強い要求をぜひひとつざつくばらんにお聽かせ願いたい。私は何もかも打明けて、そうして諒承を得まするならば、私どもは何をかその贊同を惜しみましよう。一切を承つてその必要であることが、國家のためにまことに當然であるということになれば、われわれが共鳴をいたしますならば、われわれ身をもつて贊成もいたしましよう。どうか打明けてその御説明を願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=58
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059・幣原喜重郎
○幣原國務大臣 今議題になつておりますこの案に關して、政府の立場は、意見は、既に先刻植原内務大臣より申されました。主管大臣から申されましたことに對して、私は何もこれに附け加えることはありません。しかしただいまのお話を承つてみますと、私個人としての意見、また政黨員としての意見であります。それなら私はここでお答えすべき筋でないと思います。私は自分の政黨員に對しましては、私の意見を言つております。それゆえにもし佐竹さんが私らの進歩黨に屬しておられるならば、私の意見は申し上げます。しかしこの委員會では申せません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=59
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060・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします、先ほど何囘も申し上げました通り、私の方では毛頭そういう考えはありません。そういう事實によつて出したのでありません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=60
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061・佐竹晴記
○佐竹委員 あまりむりに掘下げてお聽きをいたしましても、とうてい私の希望いたしますような答辯を得られませんことを了承いたしました。從つて少し話をかえて質問を進めてみたいと考えます。この問題が今や論爭の中心となるにつれまして、世間の者は選擧區及び單記制の問題を中心といたしまして、選擧法の改正をいたずらに政爭の具に供しておるというがごとき論評をせられるに至りました。あるいは黨利黨略のために自分の黨が何とか大きなものになりたいという一念からこの改正を行おうとし、これに反對する者は現行法によらずんばその黨勢を伸長することができないという見地に立つて、いわゆる黨利黨略のもとに論爭が續けらておるかのごとく論評せられるに至りましたことを、私どもははなはだ遺憾といたします。殊にその審議に伴いまして、私ども社會黨がいたずらに無謀の暴力を揮うがごとき見解を、既に新聞紙その他によつて論評せられるに至りました。私どもはまことに遺憾とする次第であります。われわれはこの議會における審議は、あくまでも言論をもつて正々堂々とその正否をきめるべきものであると考えておる。ところが私どもが前の別の委員會において、二十二日でございましたか委員會へ出席をいたしまして、幾多の疑問がございましたので質問をしようとすると、いきなり一言も發言をせしむることなしにこれを打切つてしまつた。また同僚の發議に對して急遽動議を出して、二十分の制限を加えてもつてこれを制限をいたしました。しかしそれほど何で急いで私どもの言論を抑壓しなければならないであろうか。午前の十時に開會しながら、午後の四時、五時ごろまで放たらかしておいて、別室において密議、謀議を凝らすのに時間をとつて、議場に出てまいりますや、いきなり發言を禁止した。一言の質疑もこれをなさしめず、あるいはまた二十分でもつて制限を加えて、これを抑壓しようとするがごとき、まつたく多數をもつてする謀略の政治を行おうとすることに對し、この憲法治下、かくのごとき非民主的行動は、許さるべきでない。われわれが少數のやむを得ない防衞方法といたしまして、幾多の、何と申しますか、語弊がありますが、作戰を續けてまいりました。この作戰はけだし相當の防衞行爲といたしましてやむを得ないことであることも、必ずやこれは見る目をもつていたしますれば諒解がつくであろうと思うのであります。われわれは斷じて單にこの案件を中心もいたしまして、黨利黨略のために爭つておるのではない。われわれの爭うゆえんのものは、民主政治をあくまでも護らんければならぬその防衞のために、幾多の行動を續けてまいつたのであります。われわれは思う。昨年改正したばかりの法律を、今すぐまたこれを改正しようとする。しかもわれわれの發言の一切を抑えて、本會議に急遽抱き合わせてこの修正を出してこようとする。もし多數の力によつてかようのことができるといたしますならば、それがまた常道であり、許すべき行動であり、正當なやりぶりであるといたしますならば、もしそれ社會黨が多數になつてごらんなさい。その次事務改正案一箇條出しておいて、會期まぎわの二三日前になつて、反對黨のあらゆる言論を一切抑壓しておいて本會議へまわし一擧に押し切つてそれをやつても、それが正しいということであるならば、その行動は先例となつて、必ずや他日またむしかえされるでありましよう。後世にかくのごとき非常によくない惡例を殘すおそれなしとしないと思うのであります。昨年これがいいとして改正されて、しこうしてまだただ一囘しか選擧をしてない。それに少々の弊害を見たからといつて、しかもただいま申し上げるがごとき多數をたのんでの暴擧をあえてしたる後、抱合せでもつて不合理なる修正を企てようとするがごときことが、将來の惡例となるおそれなきや。斷じて惡例となるおそれなしとおつしやいますならば、かくのごとき修正をいたしますることについての正當性について、いま一應詳しく、私どもの納得のいく御説明を煩わしておきたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=61
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062・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。先ほど來たびたび申し上げておるように、私の腹のうち、あるいはわが黨、あるいは進歩黨の腹のうちは全部お話してあります。從つて何囘同じことをお尋ねくださいましてもお答えする材料がないのであります。ただ先ほどの委員會の問題についていろいろお話がありましたが、これはでき得るだけ私は申し上げたくないのでありますけれども、ただ一方言論を抑壓したとかどうとかいう問題がありますが、およそ一人の發言者が三時間も四時間も發言しておるということは、まつたくそれだけのことは考えられませんので、おそらく委員長はこれはやはり引延し策であると考えて、そうなすつたのではないかと考えます。從つてそういう問題についてお話したくございません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=62
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063・佐竹晴記
○佐竹委員 惡例を殘すおそれありとごらんになつたのでしよう。その點によう觸れません。私は惡例を殘すおそれあることを憂慮せられて、御答辯のできないことと了承いたしましてさらに議論を進めてまいります。區制の問題でありますが、種々長短のあることを提案者としては御説明になりました。しかしおあげになりましたものは、これはどの參考書にも書いてありますが、一般的なものであります。あなたのおあげになりましたものは大小の弊害を高調されまして、中選擧區制に何の弊害もございませんような合理的なものであることを御説明になりました。しかしあなたの御説明にも明らかにされております通り、小選擧區による選擧が六囘行われた。中選擧による選擧も六囘行われた。大選擧區におけるところの選擧も七囘行われた。あなたのおつしやるほどにそこに弊害があるものといたしますならば、こんなに代り代りにすることはありますまい。それほど弊害のあるものをだれがこれを採用いたしましよう。一長一短があるのでいろいろと試みたことでございましよう。私どもはさきの委員會においても承知をいたしております。この選擧區制の問題は、次へ次へと波のように繰返してきておる。小選擧區になつてみたり、中選擧區になつてみたり、大選擧區になつてみたり、波のごとく動いてまいつております。一長一短あればこそこういう工合に動いてまいつております。あなたは小と大との缺點をあげるに急にして、中選擧區に關しまするところの、何らの考慮も拂つておらないのではないかと私どもは言わざるを得ないほどでありました。いま一つ御檢討を願いまして、しこうしてこの中選擧區を、さように中正を得たるものなるによりこれで十分などという、そんな簡單なものでなしに、中選擧區制にも長もあれば短もなければなりません。自分の提案だからこれでよろしいのだ、何らの缺點なしというがごときは私どもとうてい受取れません。おそらく提案者といたしましても、中選擧區に關しまするところの長短を御研究なさつていることと存じます。いかなる缺點があり、いかなる長があり、そうして比較研究いたしまするのに、大と小とに比してこちらの方がもつとよろしいという結論を得ない限り、中選擧區を支持いたしますほんとうの理論には私はならぬと存じます。あなたは中選擧區をさように何らの缺點なきものとして、これがもう完全な選擧區制であるとお考えになるのでございましようか。これを承りたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=63
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064・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。中選擧區が、完全なものであるかどうか。あるいは中選擧區には缺點がないかというようなお尋ねでありますが、これはもちろん缺點のない制度とは申し上げません。また理想的に申し上げますれば、まだまだよい制度があるいはあるかもしれません。なお具體的にその缺點はどうかと言えば、やはり大選擧區の缺點の幾分をもつかと思う。また小選擧區の缺點の幾分ももつと考えております。ただおのおのの缺點が、中選擧區になることによつて小選擧區の缺點が少くなり、また大選擧區の缺點が、中選擧區になることによつて少くなるという度合の程度でありまして、私の具體的意見というものは結局大選擧區の缺點、小選擧區の缺點はもちますが、その度合が違う、しかもこれはわれわれの經驗から徴してそうだという結論を申し上げておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=64
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065・佐竹晴記
○佐竹委員 中選擧區が大小のおのおのの長短の中にあつて、きわめて中庸を得たる適當なものであるとかようにおつしやいますが、中間にあるから常に正しいとはわれわれは考えません。この中選擧區の問題につきましては、殊に別表に相對比いたしまして、私どもの同僚議員よりこの點は詳しくお尋ねをする豫定に相なつております。從いまして、私どもは時間を省略いたしまする意味において、この點は私どもといたしましてはこの程度に止めておきまして、最後に制限連記制の問題について承つておきたいと存じます。先ほどのお話によりますれば、制限連記制は官僚の空想による立案であつて、非常に欠陷があるとおつしやいましたが、官僚の空想による欠陷とは何か、ひとつ具體的にお聽かせを願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=65
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066・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えします。官僚の空想ということは、當時私は議員でありませんでしたが、大體に、比例代表制で行くべきか、それとも從來の單記制で行くべきか。この點について非常に議會でも政府でも論議されたと考えております。そのいわゆる中間をとつて、比例代表制の思想を活かして、また單記制の欠點をためていこうというその考え方が官僚の空想だ。こういう意味で申し上げたのです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=66
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067・佐竹晴記
○佐竹委員 私はその御説明は、なんともどうも理解することができません。比例代表でいくべきか。單記制で行くべきか。その欠點を補う意味において中間をとつたと、こうおつしやいます。けれども、比例代表にも單記はございますよ。よくお聽きを願つておかなければなりませんが、比例代表は、私どもの出しております比例代表制は、單記移讓式比例代表でございます。比例代表と單記連記を混同なさいましては、これはとんでもないことであります。比例代表にも單記はある。比例代表と單記制の問題とを考え合わせて、その中間の今度の中選擧區單記制へもつていつた。いや大選擧區の制限連記制へもつていつたなどということは、これはちつとも説明になりません。先ほども、やじが、これは大臣級だと言つたが、おそらく大臣級だということは、わからぬ答辯をする代名詞のごとく聞えてなりません。私はそんなものぢやあるまいと思う。比例代表制と單記制とを彼此考覈いたしまして、その中間でいくなどということは、とんでもないことであります。そうじやないでしよう。立案者がここに御説明をなさいました官僚の空想による立案なんだから欠陷が多いと言うのには、もつとそこには何かしら肉もあれば骨もある。その連記制の内容について、どうしても官僚の立案したところの大選擧區制限連記については、とうてい容認することのできない官僚くさみと、官僚の空想による惡いところがあると、こういうふうにおつしやるのでありますから、その内容を明らかにされません限り、現行法を變えることにいたします私どもの氣持がどうも定まりません。そんな抽象的なお話でなしに、あなたがそれまで御説明なさるのでありますから、官僚の空想による立案なのだから、非常に缺陷があつてどうしてもこれを變えなければならないというその内容を、いま少し具體的にお示しを願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=67
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068・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。先ほど申しました點は、ちよつと佐竹君は誤解されておられるようですが、私はこの單記と比例代表との中間をとつて連記だという意味では全然ないのであります。つまり單記制では理想的な選擧ができないから、そこで比例代表制を採用したいのであるが、日本の現段階における國情においては、どうしても比例代表制を施行するにはまだ少し早い。そこで比例代表制の氣持を現わせる連記制というような考えのもとに、いわゆる當時の内務省においては考えたのだろうという一つの想像でその想像に對する文言をただいま申しました通り現わしたのであります。それ以外に官僚にはどういう考えをもつていたのか、毛頭わかりません。また大臣級なんてことをおつしやいましたが、私が大臣級ならあなたは總理大臣級だと私は考えます。(笑聲)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=68
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069・佐竹晴記
○佐竹委員 まさに顔負けをいたしまして、さように言われますと、どうもあとの質問を打切らせざるを得なくなつてまいります。多くを申しません。淺沼君からなおこの制限連記の問題について、あるいは區制の問題等について、多分詳しい質問があることと存じますが、ただ一點、政策のことなら、政黨に投ずるのだ。これが非常に弊害を生ずる。あるいは制限連記による比例代表を豫想いたしました今の御説明、これがどうしても今度御發案者のように、中選擧區單記にしなければならない唯一の理由であるともつていかれますその趣旨を、私どもはどうしてものみこむことができません。なるほどなかには政治を理解いたしませずに、まつたく相反します政黨へ投票をいたします者もありましよう。しかしそれがための政治教育も必要であります。連記制にいたしまするために、初めてそこにどうしても政黨を選ばねばなりませんぞ。しかも主張の反する政黨を入れてはなりませんぞ。もし保守政黨に入れておいて、一方非常に進歩的な政黨に入れたならば、せつかく入れた票が一方において無効になりますぞ。こういつたようなことを選擧民に教えます。政治訓練をして、そうしてうまく運用いたしますることによつて、この連記制も生きるようになることと思います。私どもは最近かようなことを聞く。五人の選擧區ならばむしろ完全連記でもつて、五人の候補者を選び出すだけの權利は、選擧權本來の性質としてあるのだ。三人の選擧區のところにおいては三票を投ずる權利がある。三票というのは語弊がありますが、三人を選ぶ權利がある。すなわち五人選擧區においては五人を選ぶ。三人のところは三人を選ぶ。これが選擧權本來の性質ではなかろうかという説をなす者がございます。この點に對しまして、提案者といたしましてはいかなるお考えをもたれているのでありましよか。もし二人のところへ二人連記でやりますと、勢の強い政黨へ固まつてしまつて、政治を一部の人が壟斷をするおそれがある。そのためにここに制限連記の必要があり、大選擧區制限連記があつて、現行法のごとき法律ができている。連記に關します弊害についてはこれを考慮して、そこに制限連記制にもつていつておりまするその事實を考えまして、昨年改正いたしましたばかりの法律として出ておる。たつた一囘の選擧でもつて、重大な欠陷が現われたといたしまして、改正をしなければならぬ。それだけの理由といたしましてのただいまの御説明は、とうてい私ども了承することはできません。さらに具體的に、たつた一囘の選擧でどれほど弊害を生じましたのか。これをも併せて御説明を煩わしたいと考えます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=69
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070・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。ただいまの完全連記と申しますか。つまり五人の定員に五人だけを投票し得る連記、あるいは三人のところで三人を投票し得る連記、これは理論的に私は正當だと考えております。しかしおよそ選擧というものは、單に理論だけでもいきませんし、その國の國情、あるいは國民の文化の程度、あるいは政治に關する國民の關心というような點が相當に考慮されて、初めてここに結論がくるのだと私は考えております。もちろんそうした政治教育で段々直していくという、先ほど徳田君の言われたような大きな上向いた考えをもつことは、至當ではないかという考え方は、もちろん正當であります。私はそういう部面は別な政治教育というような點について考慮すべきことと、こう考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=70
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071・佐竹晴記
○佐竹委員 内務大臣が退席されましたので、お聽きいたしたい點が殘つておりますが、これを留保いたしまして、私の質疑は打ち切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=71
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072・山口喜久一郎
○山口委員長 淺沼稻次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=72
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073・淺沼稻次郎
○淺沼委員 私は主として内務大臣に御質問をいたしたいと思つておりまして、内務大臣になるべく早く御出席あるように要求をしておきます。ただいま佐竹君から提案者に對して提案の理由について質したのでありますが、どうも私どもを納得させるところまでまいつておらないのであります。提案者の提案理由といたしましては、選擧區制に關しまして、小選擧區大選擧區あるいは中選擧區、これらの利害得失をあげまして、中選擧區が中正な途であるということでありまして、さらに制限連記には非常な弊害が伴うておるのであつて、その弊害を是正するためには單記の方がいいのである。こういう建前において立案をされたのである。しかもその立案は九十一議會に提案しようと思つて努力をしたのが間に合わずして、今期議會に至つて、ようやく提案するようなことに到達したのである。提案に至りますこの取扱方につきましては、この前の別の委員會におきましても、私どもが申し上げました通り、納得のいかない點があるのでありますが、議論は別にすることにしておきまして、一應私どもの考えておるように、昨日委員會が設けられまして、そこで愼重審議を期する機會を與えてくれたのでありますから、手續の問題は後で議論を申し上げることにして、まず最初に私は提案の理由について、もう少し割つた話を願いたいと思うのであります。およそ選擧法はなんといつても國會を構成いたしますところの組織法でありまして、これが改正ということは非常な重大な問題であると思うのであります。從いまして改正されるにつきましてはやはり改正されるべき理由がなければならぬと私は思うのでありまして、その理由は現在日本のおかれている立場から申し上げまするならば、選擧法を改正することによつて、どれだけ日本が民主化されるかということが、改正の根本でなければならぬと思うのであります。もし選擧法を改正することによつて、民主化しつつある日本が、かえつてその民主化の傾向を阻止するようなことになつて押進められるということになりまするならば、これは日本の國の前進に對しまする非常なる阻害になるのでありまして、これは避けなければならぬと思うのであります。この點につきまして提案者から詳細なる説明を聽かないことを、私は非常に遺憾に考えるのであります。かりに私どもの見解をもつていたしまするならば、もし中選擧區單記制の案が採用されまするならば、その結果からいたしまするならば、日本の民主化を阻害するような保守的な傾向が、日本にまた非常に殘存する結果を招來することになつて、私は日本の民主化のために喜ばざることであると考えるのであります。民主化のためにとつてはならない改正案のように私は考えられるのであります。そこで民主化と選擧法の改正について、提案者は一體いかような考えをもつているか。この點を私はまずお聽きしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=73
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074・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。私の修正案があるいは民主化ということに對して、反對な結果を來すのではないかというようなお尋ねでありまするが、私はもちろんそう考えておりません。殊にただいま淺沼君は、保守という言葉をお使いになりましたが、保守的立場というものは、必ずしも反民主化ではないと私は思います。私どもはそういう理由におきまして、決して民主化を妨害するものでもなければ、また封建性を持續しようというような考えは、この選擧法によつては考えてはおりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=74
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075・淺沼稻次郎
○淺沼委員 民主化のためには、やはり人民の意思が一番政治の上に反映するということが、私は民主化の第一要件でなければならぬと思うのであります。從いまして中選擧區制單記をとつた場合におきましては、はたして日本の國民のあらゆる層の意思が、政治の上に反映することができるかどうかということになりますると、大きな疑問ではなかろうかと思うのであります。少くともその形から申しまするならば、私どもが申しておりまする通り、比例代表制というものが、あらゆる層の國民の意見を政治に反映いたしまする最も理想的なものであらうと考えるのであります。しかしこれは議論としておのずから別に議論することにいたしまして、もう一點そこに關連してお伺いしておきたいと思いますことは、投票の對象が中選擧區單記ということになりますならば、必然的に私は個人ということになろうかと思うのであります。少くとも議院内閣責任政治が採用される今日におきましては、當然政黨中心の政治が行われなければならぬのでありまして、投票の對象も少くとも政黨であり、政策でなければならぬと思うのであります。しかしただいま提案されておりまする中選擧區制ということになりまするならば、必然にその投票の對象は、個人にならざるを得ないと私は信ずるのであります。從いまして提案者は、一體個人と政黨との關連についてどういうお考えをもつておられるのか。この際承つておけばさいわいだと存ずるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=75
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076・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。われわれ民主化を主張する國民といたしましては、どうしても近き將來に比例代表制を施行して、政黨を中心とした選擧の行われることが望ましいのであります。しかしながら現段階において、先ほども一言佐竹君への答辯のときに觸れましたように、比例代表制を施行することが、はたして日本の國情にあてはまつているかどうかという觀點に立ちますと、私は相當の疑義があるのであります。從いまして淺沼君のように、個人というよりも政黨に投票することはもちろん必要なのでありまして、その目的を達するまでには、比例代表制がきわめて理論的にはよろしいのでありますが、現在の國民の知識、あるいは教育、あるいは政治等に關する關心をもつかどうかという點を考慮いたしますと、やはり單記で行きまして、しかも政黨というものに對しては、非常に新らしい認識をもつように政治教育すべきだと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=76
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077・淺沼稻次郎
○淺沼委員 提案者の説明によりますと、政黨に對する考え方というものは、投票形式にこれを現わすことなくして、これを政治教育によつていこうとするところに狙いがあるようであります。しかし現行大選擧區、制限連記によりますと、大體において私は政治教育を前提とする政黨に對する投票の樣式が、これに現われていると思うのであります。すなわちこの弊害につきまして、先ほど提案者は、選擧民は政策の異なる黨派に投票をする。たとえば自由黨に投ずる人がさらに社會黨も書く。さらには共産黨も書く。こういうようなことは理不盡のように指摘されて、それがあたかも制限連記の弊害であるかのごとく言われたのであります。しかし私は制限連記で實際そういうような投票が行われましても、それが日本の民衆のもつておりまする政治的尺度それであるというような場合におきましては、それが現實の姿でありまするからやむを得ぬことだと思うのであります。從いまして、それをなるべく同じ政黨人を二名投票するように訓練をしてまいりますことが、私は政黨を尊重する所以であると、こう思うのでありまして、今やつておりますることの單にこの弊害だけを認めて、もとに返すという形がとられまするならば、政黨に投票し、あるいは政策に投票するということを、もう一遍中選擧區單記制によりまして、過去の個人中心の投票に返させるという結果に、私はなるという考をもつのであります。これに對して提案者の見解をもう一遍承つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=77
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078・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。大分ここまで來ますと。見解の相違ということにぶつかつて來ますが、大體私の考えは、いやしくも政治の基本をなすところの選擧權の行使に當つて、實際にその選擧權の、いわゆる熱意をもたない投票によつて當落が決定するというようなことは、斷じてこれを排撃しなければならないと思います。しかしそうしているうちにだんだんに政治教育ができて、國民も馴れる。そうして連記制の妙を發揮することになるのではないかという淺沼君のお考えに對しては、私は同感であります。しかしながら前段に申し上げましたように、投票というものはそうした教育の途中において、たとえ一囘でも熱意のない投票がさるるということは、かえつて私は弊があるという見解の下に、別を教育で國民の知識が發達するのを待つて、その時はそれをやればよいし、現段階ではやはり現在の國民感情に副うた單記でいくことが、最も適當と信じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=78
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079・淺沼稻次郎
○淺沼委員 どうも見解の相違といえばおのずから別かもしれませんけれども、何となく選擧民に對しまして私の考えていることが、選擧民をなんだか知識の程度が低い、民度がまだ低いというように見るような感じがいたしまして、はなはだ遺憾に存ずるのでありますが、私は投票行使にあたりまして、制限連記だからといつて、中には興味的に投票した人もあろうと思うのでありますが、やはりその投票を投じまして、自分が國政に參與するんだという熱意に燃えて投票するのが、すべて投票人の心理であろうと私は思うのであります。中には二、三の興味中心に行われる人がなきにしもあらずと思うのでありますが、熱意なくしてやるというようなことは私は絶對にないと思います。私は國民をそういうように信用しなければならぬと思うのであります。その國民を信用した上に立つて、私どもは政治を運用してまいらなければならぬと、こう存ずるのであります。ただいま小澤君の答辯によりますと、熱意のない制限連記、さらにはまだ民度がそこまでいつておらない。私の説に共鳴はするけれども、民度がそこまでいつておらないということでありますが、私は民度がいつておらなければ、いくような方向に教育をしてまいることがわれわれに與えらたる任務でありまして、原則としましては、小澤君にいたしましても大選擧區比例代表制を認めておられるのであります。從いましてそれが認められることになりますならば、それに至る一つの過渡的な制度として、制限連記制というものが認められてしかるべきだと思うのであります。しかし制限連記よりまだ元へ還るのだ、中選擧區單記に還つた方が、日本の民度にぴつたり當るのだということになりますれば、私ははなはだ日本の民衆の選擧に關しまする考え方に對してひとつの侮辱的な考えをもつような氣がいたしまして遺憾に存ずるのでありますが、私は日本の國民は制限連記の中に、やはり政黨を中心として、さらには政黨の政策を中心として投票する熱意に燃えて、今までのように自由、進歩、社會と書くようなことなく、社會は社會、進歩は進歩、自由は自由という投票が、私は必ず現われる段階にきておると考えるのであります、しかしこれ以上申し上げることは意見になりまするから、これを申し上げまして私の提案者に對する提案理由のことについては一應打切りまして、案の扱い方について、私は政府に關連して聽いておきたいと思うのであります。
政府はどうして獨自的な立場に立つて選擧の改正法案を提案されなかつたかということを、私は伺つておきたいと思うのであります。五月三日以後の國會におきましては、國會の性質が變りまするから、これはおのずから別でありまするけれども、今まで、現在、私どもが開いておりまする議會におきましては、われわれは政府の案に對しまして、提案されたものに對して可否を決定する、いわば受動的な立場に立つておるのが現行憲法におきますところの議會の立場だと私は思うのであります。もちろん議院法その他において、議員から案件を出すことはできることになつておりますが、政府から出すものを先議することが、大體議院法による運營でありまするから、現在の議會におきまして法律を提案し、それを審議する場合におきましては、政府みずからが發案權をもつて提案されることが、一番望ましいと思うのであります。しかも衆議院議員選擧法のごときものになりまするならば、一應選擧をやつてみまして、その選擧によりまするところの弊害は認めておる。こうこういうような弊害があつたということを、内務大臣は明らかに認めておられるのであり、それを中心として、さらに研究も積まれたということを言つておられるのでありまするから、私は當然政府みずからの手によつて提案されてしかるべきものと考えるのであります。政府が提案されないことが、議案審議の上におきまして、非常な粉糾を來しておる大きな原因の一つにもなつておると思うのでありますが、私は何ゆえに政府が提案されなかつたかということを、一應伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=79
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080・植原悦二郎
○植原國務大臣 淺沼君にお答えいたします。私がしばしば説明いたしておりますから御諒解のことと思いますが、政府としては現行の選擧法の不備欠陷を十分認識しておる。殊に大選擧區制限連記の弊害などということは、政府のみならず、ほとんど世間一般にこれを認めて、ごく少數の人が異議を唱えるくらいで、輿論としてはこれを認めないものはないと思うのであります。(發言する者あり)けれども選擧區の問題は、個々の議員に對してかなり影響のあることでありますがゆえに、政府はきわめて短期の議會でもありますので、この場合は他の議會の、あるいは參議院その他の法案と、技術的に歩調を一にしなければならない部分、差迫つて改正する部分を政府で提案いたしまして、あとは議員諸君の御判斷にまつのが一番よろしいことだ。議員諸君も現行の選擧法の不備、連記の欠陷等はよく御諒承だから、議員各自がお考えになつて獨自の別表をおつくりになつて、これを御修正になるということはまことに結構なことだ。さように實は議員諸君の御意思に委ねることが、かような場合には最善と考えたのであります。淺沼君の御説によりますれば、今までの日本の政府のしきたりによれば、政府は原案を提案して、そうして議員はごく小部分を修正するというようなことであつたが、今囘の選擧法に對しては、政府の提案は主として技術的の方面であつて、議員の修正は區制にかかわる重大なることであるが、この點はどう考えるかというような御意向も加わつて、御質問のうちにあつたようでありますが、これは私が斷わらぬでも淺沼君よく御承知のことで、既に新憲法が實施される。國民もそれによつて訓練しなければならない。なるべく選擧に關すること、議會そのものに關すること、ぐらいだけでも、議員諸君が御提案になつた方がよろしい。さようなことをいたすことが新らしい憲法を迎えるために、一番上等なことではございますまいか。(拍手)さような意味において國會法も議員諸君が御苦心なすつてお取扱いなすつた。政府としては選擧に對しては、技術的の方面だけを提案して、他のことは議員の意思を尊重することが最も賢明なる方策であると考えておるのであります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=80
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081・淺沼稻次郎
○淺沼委員 内務大臣の答辯を伺つておりますと、大體議員の方でもつて考えるべきが當然だということを言われましたが、私はそのことも了承し得るのであります。しかし現在におきまするところの憲法のもとにおきましては、私どもは精神は新憲法の精神によつて運營してまいらなければならぬのでありまするが、形に現われておる運營というものは、舊憲法並びに現在ありまするところの規則によつてこれを行つてまいらなければならぬのであります。そこに非常なるところの苦痛があるということを私は感じなければならぬと思うのであります。現にただいま議會に任すのが當然だと言われておりましたが、私は言葉尻をとらえるわけではありませんけれども、内務大臣は過日私が解散に對してその時期は一體いつだ、あるはい會期延長についてどう考えるかと質問したのに對して、そのことは大權事項だから答の限りでないと、本會議の席上で言われました。しかるに過日この席上においては、會期延長は日はきまつておらないけれども、こうやるのだということを言われておつたのであります。私どもを絞めるのには新憲法の精神をもつて絞めるけれども、都合の惡いときにはやはり大臣みずからも舊憲法の精神の上に立つて、答辯をされておるという形が現われていると私は思うのであります。すなわち精神においては新憲法の精神において日本の政治は運用されてまいらなければならぬのでありまするが、しかし形式に現われてくる結果というものは、現在の憲法並びに議院法、衆議院規則によつて議會は運營されていかなければならぬし、他のことも同樣だと私は考えるのであります。從いましてそういうような運營をしていく場合において、政府の當然の責任としては、欠陷があるものだということがわかれば、政府みづからの發案によつてその欠陷を是正するために、法律案をつくつて議會に出すということは、政府として當然の責務でなければならぬと私は思うのであります。これは政府として當然の責務を果してもらうためにこういう要求するのであります。また議員に任するいうことでありますが、議會にはそれぞれ黨派があつて、議會の運營に當つておるのでありまして、それぞれの黨派は輿論を部分的には代表しておりますけれども、全體としての輿論を代表しておらぬと思うのであります。それぞれの黨派はそれぞれの員數がきまつて、その員數がきまつたことによつて輿論を代表しておるのでありまして、大多數の輿論というものはそれぞれの黨派が代表しておるわけではないのであります。從いまして政府みずからが缺點があれば發案權をもつて、さらに人民のあらゆる層から、もちろん貴衆兩院議員も加わることは當然であります。それ以外の學識經驗ある者、さらに人民の中から意見を聽きまして、それで案を得て、選擧が行われる前にこの處置をとることが、政府としては當然なさなければならぬ責務であつたろうと思います。やはりそういう意味において、内務大臣としての植原さんは、それは議員に任す方が妥當であろうというお考えでありましようか、幾分か責任を感ずる點もあるのでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=81
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082・植原悦二郎
○植原國務大臣 よくそれらのことは、多年議會の經驗を積まれたる淺沼君御承知のことだと思います。解散の問題はどうかと言われますれば、これは大權事項だと答えるよりはいたし方がありません。次にこの選擧法は明日上程されても、會期が延長されなければ取扱いができないじやないかという場合においては、會期延長のことも一つの大權事項でありますが、政府が責任をもつて提案した法律案、しかも重要なる法律案の通過に對しては政府が責任をもつのでありますから、はつきりと日が迫つて、會期を延長しなければならない場合には、政府としては最善を盡すために、さような措置をも考慮いたしますと答えるのが、政府當局としての當然のことであると思います。さらに淺沼君は何もかも政府でやれとおつしやるが、政府はなるほど必要なる事項に對しては、すべての國策に對して立案して、これを議會に對して責任をもつて出すことは申すまでもありません。現行憲法においても、衆議院議員はいかなる法案でも提出するところの權能も與えられておるのであります。殊に選擧法のごときは、私の承知しておるところでは、區制のごときは隨分昨年各黨の間で研究されておることであると思います。またそれに違いないと思います。そういう場合ならば、政府がまず必要なる技術的方面のことを提案して、その他のことは議員諸君の意思を尊重いたして、その決定にまつということが、現行憲法においても、民主主義の上においても、まことに妥當なる措置といたしておるのであります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=82
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083・淺沼稻次郎
○淺沼委員 どうも了解しかねますが、しかしこれ以上議論をいたしましても、お互い責任の追究みたいな形になるのでありまして、これ以上追究はいたしませんが、ただ私はもう一遍繰返して申し上げますが、今までの議會、現在の議會におきましては、やはり受動的な立場は議會であろうと思います。さらに五月三日以後の議會におきましては、議會みずからが起動的に動くのでありますから、起動的に動く議會と、受動的に動いております議會とは、おのずから相違があるということに氣がつかなければならぬと思うのであります。しかし提案されないものを、昔死んだ子供の年を數えるように、なぜしないと言つても始まらぬことでありますが、そこで私は政府にお伺ひいたしたいことは、政府は全然この修正案に無關心であるかのごとく、それとは關係ないようなことを常に言われておるのであります。しかし私はどうもそれが解せないのでありまして、最近三、四日の新聞を私ども注意して見ておりますと、過日閣議の席上において、衆議院議長竝びに兩黨幹事長を招致いたしまして、そこで原案でいくことをきめたというようなことが報じられております。閣議の内容については私ども知ることができないのでありますが、閣議は少くとも日本の政府の閣議でありまして、その閣議というものは懇談會は別としても、その閣議の席上には、それぞれ政黨の幹事長が加わるということはありえないことと思います。しかし新聞にはそう傳えております。非公式の閣僚竝びに兩黨幹事長の懇談會だと一歩讓つて考えましても、やはり私は政府の方々というものは、この修正案に對しては一役買つておるというのが現實の姿ではなかろうかと思うのであります。全然それとは知らない。自分のやつたのは自由黨の黨員とし、さらにあるいは自由黨の總裁とし、あるいは進歩黨の總裁とし、進歩黨の黨員としてやつたのだ。先ほど幣原さんの答辯を聽くと、自分の發言というものは進歩黨の總裁としての發言であるという。なるほど私は進歩黨の議員總會におけるところの發言であつたと假定いたしますならば、それは進歩黨總裁としての發言でありましよう。しかしまた進歩黨總裁であるけれども、國務大臣たることには變りはないのでありますから、閣議の目的その他からいうて、進歩黨總裁ということは言えぬのであります。しかし院内に閣僚の方々が集まつて、そこに進歩、自由の兩黨幹事長を呼んで、そこで原案でいくことにきめた。そういう申し合わせをしたならば、明らかにその會合は閣議の延長であるのでありまして、自由、進歩兩黨の協議會とは言えない。かくのごとき修正案に對して政府は全然關知しないという態度は了解しかねるのでありますが、内務大臣はこれについてどういう御見解でありますか。伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=83
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084・植原悦二郎
○植原國務大臣 淺沼君によく御諒解を願いたいと思いますが、新聞にいかなることがありましたか存じませんが、自進兩黨の幹事長や議長が閣議に加わつたとか、閣議の席にきて相談いたしたということは斷じてありません。政府がこの修正案に對して關心をもたないようにおつしやいましたが、非常なる關心をもつております。その關心をもつておることにはすこぶる強い關心をもつております。政府といたしましては現在の別表よりは、なお詳しくは承知いたしませんけれども、議員の方々が御提案になつた修正案の方が、日本の現状に對してよりよく適合するものだと思い、さようなものを議員多數の方によつて御提案になり、御決定なさることは、民主主義を一層前進せしむる上からいうても、選擧の公正を期する上からいうても、各候補者の政見を國民に徹底せしむる上から申しましても、選擧の費用に對してよほど注意をいたし得る。節約し得るという點からいいましても、すべての點においてよほどまさつておりますと思いますがゆえに、非常なる關心をもつておる。さようなものを議員の方々が御決定くだされば、政府は喜んでこれを迎える。多大の關心をもつておる。さよう御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=84
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085・淺沼稻次郎
○淺沼委員 私のお伺いいたすのは、政府が何も關心をもつておるかおらぬかということを伺つたわけではないのであります。しかしたまたま非常に關心をもつておられまして、提案された案に對しては贊成の態度を表明されたのでありますが、私は案のきまらぬうちに政府の態度を表明するという事例をみないのであります。案が決定した後に政府が同意するかしないかということは、議事運營の上において經驗したところでありますけれども、審議中の過程において政府は關心をもち、それに對して贊成たということを言われるのも少し國務大臣としては、これに反對しておる者もあるのでありますから、そういう點はよく御諒承の上に答辯されることが妥當ではなかろうかと思うのであります。これは何も言葉じりをとらえるわけではありませんが、政府が案に對して同意するかしないかと言うことは、議會運營の上におきましては重大なる問題でありまして、たとえばこの前の國會法につきましては、衆議院においては政府は同意を與えずして、そのまま貴族院に行つて審議の過程にあつたことも事實であります。政府は議員の行動中に對して、政府みずから意思表示をするということはあり得ないと思うのであります。われわれは議會の審議の行動中でありまして、行動中に政府の態度はこうだということになりますれば、その行政府の意見によつて、われわれの態度は相當束縛される形になる。この點内務大臣といたしましては、もつとお考えあつてしかるべきだと思うのであります。しかしこういうような議論はおのずから別といたしまして、關心をもつておられるという發言によりまして、政府が非常に案に對して同意的な立場に立つておられるということを了承し得たのであります。しかしそれはおのずから別の問題といたしまして、關與しておらないということでありましたが、もちろん原則的に言つて、閣議の席上に兩黨の幹事長、竝びに議長が加わるるというようなことはあり得ないことであります。もしそういうようなことがあり得たといたしまするならば、これは非常な大きな問題でありまして、そういうことのあり得ないことはもちろんでありますが、しかし新聞に記載されておることが必ずしもうそであるという斷定もなし得ないと思うのであります。これは内務大臣といたしまして、やはり新聞に出ていることがうそであり、それが日本の政治上に非常な影響をもつことでありまするならば、當然の處置として取消しが要求されるということになると思いますが、そういう處置がとられない限りにおいては、やはり民衆の中にはあれがほんとうだろうという考えをもつことは當然だろうと思います。そういう點から考えますならば、どういう形において關與しているかということは別として、私の申し上げることは關心ではない、修正案の作成についていかなる形において政府が關與したか。全然關與しておらぬということはあり得ないことだと思うのであります。これは同意をされつつある點から鑑みましても、これだけの別表を見て――さつきの答辯の中には費用の節約ができるというようなことを言つて贊成だと言われましたが、別表の改正ということは、人民の意思が一體どれだけ政治の上に反映するかということが基本的條件でありまするから、内務大臣としては少くとも私は費用の多いとか少いとかいうことよりも、日本の人民の意思というものが政治の上に反映するのには、どういう形の選擧區がいいか。またどういう投票の樣式がいいかということは、當然考えられなければならないことであります。その點から考えて、どういう考えをもつかということも併せて伺つておきたいのであります。私は關心ではなく、どの程度の關與をしているかということを、もう一遍明白にしていただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=85
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086・植原悦二郎
○植原國務大臣 お答えいたします。新聞記事について間違つているなら取消したらいいという御親切な御注意がありましたが、實は毎日々々新聞に議會の光景がありのままに寫つていると思えないことは、皆樣がお考えになつても毎日々々のことであろうと思いますが、さようなことをかれこれ申すわけではありませんが、閣議に兩黨の幹事長が加わつたとか、議會の議長が加わつたとかいうことは斷じてないのであります。その點はどうかよろしく御安心を願いたい。もし新聞にさようなことがありましたならば、この公の壇上から内務大臣責任をもつてさようなことは斷じてないと申し上げます。なお關與したかどうかということでありますが、政府がこの修正案に對して關與したというような事實もありません。ただ政府という範圍をどこまでにするかということになりますと、政府自體の定義に對しても大變むずかしいことでありますが、末端の官吏まで政府という範圍に入れますならば、あるいは別表をつくるときに、こういう關係はどうだとかいうようなことで、事務的の者がお手傳いをしたというようなことはありましようが、政府という政治に對して責任をもつ範圍においては、これに關與したということはないことを御承知願いたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=86
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087・淺沼稻次郎
○淺沼委員 政府という解釋の意味から言つて、私は内務大臣としては自由黨の黨員として關與しているという形がとられていると解釋したいのでありますが、どうも政府の行動を見ておりますと、自由黨、進歩黨の幹部としての行動よりも、政府としての行動の方が明確に出ているものでありますから、はなはだ遺憾に思う。先ほど來私がここで質疑應答している形の上においても、初めから意思表示をして、これに關心をもつばかりでなく贊成だと言われる、その範圍においてはすでに私は政府が度を越えているという形だけは感じられると思う。ところで末端ではこれに參與したことがあるかもしれんと言う、これは重大問題であります。少くとも私は官吏たる限り、政府大臣も末端官吏も同樣、すべて公務員であります。公務員は全體のために奉仕するものであつて、一方のために奉仕するものではありません。もしその公務員たる末端官吏が、一政黨の要求によつて別表作成にあたつたということでありますならば綱紀紊亂これよりはなはだきしものはない。これは重大な問題だと思います。
〔發言する者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=87
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088・山口喜久一郎
○山口委員長 靜肅に願ひます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=88
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089・淺沼稻次郎
○淺沼委員 私の申し上げるのはその末端で聽いたものに答えるという、その程度のものならおのずから別です。しかし幾分なりとも作成に關與しておつた、一體大臣の口から末端には關與した者があるかもしれんという答辯を伺つたのでありますが、そうなりますと全體のための奉仕が一部の奉仕に變るということになつて、綱紀上これは重大な問題であると感じないわけにはまいりません。もう一遍その點を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=89
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090・植原悦二郎
○植原國務大臣 お答えいたします。淺沼君もよく御承知でしようが、淺沼君が政府で大選擧區案のどんなものをもつているか、小選擧區案はどんなものをもつているか、中選擧區案はどんなものをもつているかと言えば、政府のもつている材料を、どの黨どの派ということなくこれを供給する。これはどうだというお尋ねがあればお答えをするということはよいことだと思つております。それが綱紀紊亂とは少しお言葉が大きいように考えますので、どうかその點はよろしく御承知を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=90
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091・淺沼稻次郎
○淺沼委員 その點は私が關與しているかと聽いたら、政府は關與しておらぬけれども、末端は關與しているかもしれないと言われるから、關與しておつたら大變だと言うのであります。何もプリント一枚もらつたとか、あるいは意見を聽きに行つて意見を聽かしてやつたことが關與だと言うのではありません。關與というのはそれに對して中へ加わつて作成にあたるということ、そういうことであれば官吏のやります仕事の限度を越えた關與になるから、そこで關與しておつたかどうかということを伺つているのでありまして、關與したという事實が現われてくればこれは綱紀紊亂になつているかもしれんということは、當然聽くべき筋合なのでありまして、何も大臣からそう大したことでないように言われることもなからうと存ずるのであります。かりにあつたとすればこれは重大な問題であります。
さらに私はもう一點伺つておきまけが、政府としての行動は、關心は持つておるが、しかしこの案については政府は關與しておらないという態度をあくまでも持續されているようであります。そこで關心をもつておる弊害のあることも認めた。弊害は先ほど小澤君からもあげられているのでありまして、投票に對する熱意がない。選擧民は政策の異なる黨派に投票をしておる。ただいま申し上げたこの二つの點を大體において現行法規の惡いことに言われておるのでありますが、政府も大體そういうようなお考えなのでありませうか。政府が弊害は認めておつて、國民の大多數はこれを承認しておるという形が言われておるのであります。なるほどその弊害は確かにあつたと思うのでありますが、その弊害は制度が惡いのではない。弊害というものは、結果から見れば日本の政治訓練の程度というものがかくさしておるということであつて、制度が惡いことではなからうと私は思うのであります。この制度でも、日本の國民の政治的訓練の程度が高まつてまいりますならば、確かに政黨政策を目標として投票する場合においては、連記でやつても、自由黨は自由黨の候補者に、さらに進歩黨は進歩黨の候補者に、社會黨は社會黨の候補者にという工合に、連記されるようになると私は思うのであります。一體どこに缺點があると政府自體ではお考えになるのか、伺つておきたいと思うのであります。これは大臣でなくても事務當局でも結構でありまして、弊害の點を箇條的にでもあげていただければ參考になると思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=91
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092・植原悦二郎
○植原國務大臣 ちよつとお許しをいただいておきますが、淺沼君は現行の別表についてでありましようか。現行の制度でしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=92
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093・淺沼稻次郎
○淺沼委員 別表ではありません。現行の制度であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=93
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094・植原悦二郎
○植原國務大臣 現行の制度の、殊に選擧區制にかかわることだと思うのですが、これは淺沼君もよくおわかりであつて、今の大選擧區制の二名ないし三名連記の選擧法が、非常な缺陷の多いものであるということは、ほとんど世の通論ではなからうかと思います。なお理窟の上から申しましても、小さな四人や五人の縣におります人は、一名の代表者しか出すことができません。もしその縣が十三名、十四名でありましたならば三名連記で出せますがゆえに、三人代表者を出すというような形になります。その一事をあげてもまことに不合理なものである。またやりました結果、各地でお聞きになると思いますが、反對黨を二つ合わせて書いたこともあるという。選擧のときにもしまつたく政策の違う反對黨を書いたならば、碁を打つときに白と黒とをもつて打つようなもので、碁にはならぬということを言いましたけれども、實際政治においても同じことであつて、違つた主張のものを一枚の紙に書いて、二人違つた代表者を出したならば、政治的に言いますとほとんど價値なきことだと思います。かようなことを考えましたならば、何囘も選擧をやつている淺沼君が議論のために議論をなさるのでなかつたならば、そのことはよく御承知だらうと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=94
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095・淺沼稻次郎
○淺沼委員 これは御諒解を得ておきたいと思うのでありますが、私は議論のために議論をしておりません。せつかく私どもに審議の時間を與えられているのでありますから、審議のあとに悔を殘さないように私は聽いているのであります。これはまた各派交渉會の決定によりまして、本會議で議決をいたしました主義に則つて私は聽いておるのでありまして、その點はぜひとも私どもの立場を御諒承願いたいと考えているのであります。これは委員長にもさよう御諒解を願つておきたいと私は思うのであります。ただ私どもが抽象的に制限連記制というものに缺點があると言つて、政府にもこれは缺點があるということを指摘されたのでありますが、私はどうも納得がいかないのであります。ということは少くとも選擧區制をきめ、あるいは投票の樣式をきめるということは、人民の意思というものが漏れなく國政に反映するような制度をとらなければならぬと思うのでありまして、しかも先ほど申し上げたのでありまするが、議員内閣、責任政治ということがとられるようなことになつてきた今日におきましては、當然政黨中心でなければならぬ。そうなつてまいりまするならば、大選擧區比例代表制、さらに全國を一選擧區といたします比例代表制が一番理想的なものだとも私は考えられるのであります。しかしそうはならぬのが現實でありまして、大選擧區比例代表制というのが現實の姿に合わないというのならは大選擧區制限連記制というものを採用するのが、比例代表制に至る一つの段階であると思うのであります。從いまして、今指摘されましたのは、政黨の政策の違うものに投票したのでは意義はないということを言われました。私もその點は考えるのでありますが、しかし日本の國民の今までの性質竝びに選擧に對する考え方というものは、個人も選べば政黨も選ぶ。これはやはり一つの對象であつたと思います。從つて進歩黨にもいい人がある。また社會黨の政策もいいというような立場から、二つに入れるということの現われてくることは、その現われてくることが惡いということでなくして、この見方というものは、日本の國民のもつている政治的自覺の程度がその程度であるということに考えなければならぬと思うのであります。制度が惡いというよりも、民度がそれまでに進んでいるかというと、進んでおらないというのが現實の姿である。それをどうやつて民主的な方向に進めていくかということが、やはり選擧制度の上にも取入れられてこなければならぬと思うのであります。そうなつてくれば、訓練よろしきを得れば、異つた黨派の者に投票を入れるということが、囘を重ねるごとになくなつていく。そうして投票というものはむだなものがなくなつていくという傾向になるのではなからうかと私は思うのであります。
〔山口委員長退席、神田委員長代理著席〕
これは提案者でありまするところの自進兩黨においても、この點は自進兩黨を代表した小澤君も認められているのでありまして、小澤君も比例代表には贊成だ、制限連記はその過程として行われたのだが、しかし制限連記は投票に對する熱意がなく、今大臣のあげた缺點があるから、單記制に還るという。そうすると先ほども私は小澤君に聞いたのでありますが、改めて大臣にお伺いすると、中選擧區單記制になると、投票の對象は個人になつて政黨にならない結果になるのではなからうか。少くとも政策及び政黨を對象としてやる場合におきましては、やはり比例代表あるいは制限連記、この方が政黨を中心とした投票になるのでありまして、これが中選擧區單記という場合においては、個人を對象とした投票になるという結果になろうとは私は思うのでありますが、この見解をもう一つ伺ひたいのであります。今あげられた點だけでは私はどうも了承がしかねるのでありまして、缺點があるならば、もう少し缺點をあげていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=95
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096・植原悦二郎
○植原國務大臣 第一に大選擧區比例代表の方がいいというお話のようであります。これは純理のみを追うてまいりましたりする場合においては、一應最も合理的のもののように考えられます。それには大選擧區比例代表を行う場合においては、その比例代表が單記でありましても、名簿式でありましても、また連記でありましても、もつぱら政黨によるものでありますがゆえに、政黨というものの基礎がかなり確立して、政黨による選擧でなければならない。淺沼君が、日本の國民の政治思想のまだ幼稚なことを指摘される通りに、今日は日本の政黨というものも、議會中に政黨の離合集散があつたりいたすがごとく、また無所屬だとか、あるいは何と申しますかいろいろの政黨の旗幟の判明しないものが、議會内において存在するような日本の状態におきましては、たとい大選擧區比例代表が理窟の上でよいものにしたところが、日本の今日においては實行不可能だと思います。これが私どもの考えであります。政府としてはまだ比例代表がいいかどうかということは、考えをきめたことはありませんが、私はその個人もよく選擧民に徹底し、その人の主義主張もよく徹底して、ほんとの主義主張で選擧し、しかもその代表者が選擧民とごく密接な關係をもち得るのは、小選擧區が一番よろしいと思う。またこれが議會政治を安定せしむる最善の方法なりと思います。選擧區が小さければ國民の意思が代表できないのだとということはない。英國においてはこれをよく實行しております。おそらく選擧法のことを研究したことで、英國ほど選擧法に對して研究を重ねておる國はありません。議會政治の古い國であるだけに研究しております。比例代表も、あらゆる方法をそこに行けば研究して、ロイヤル・コミシヨンのレポートがあります。最後にやはり議會中心のほんとの民意を代表する主義主張に基く政黨によつて政治を行うのは、一區一人の選擧區がいいというので、英國は今日においてもそれを固執しております。そういうようなわけで、どつちが理想かと言えば、私としてはさようなことを申し上げなければならない。淺沼君の縷々お説のごとく、大選擧區比例代表ということにも相當意味がありますけれども、日本の現状においてはそれを實行するということは、これはとうてい實行できない。目前に政黨の安定したもののないということでもよくおわかりであろうと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=96
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097・淺沼稻次郎
○淺沼委員 私の、見解をお伺いいたしましたのは、比例代表の批判とか、小選擧區の批判ということは、おのずから別として、中選擧區になれば、政黨に對する投票、政黨の政策に對する投票よりかも、個人を對象とした投票に變りはしないか。これに對する政府の見解はどうかということをお尋ねしたのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=97
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098・植原悦二郎
○植原國務大臣 實際問題として淺沼君にお答えした方がいいと思います。大選擧區でありましても、多く今のお出かけになつておる議員の方々は、その特別な出生地とか、あるいは特殊の關係のあるところを根據として、全縣下にわたつては散票を得ておるのが實情だと思います。それで議員の方々が修正案として御提出になつたその全部を、まだ私はつきりと拜見しておらないのでありますが、原則的に申しまするならば、中選擧區ならば、範圍が狹くなり、そうして多くの今出ている議員の方が自分の出産地あるいは事業關係で、自分の根據地とされておる限度に限られるようになりはせんか、そうなれば演説會をする囘數も多くなりまして、文書を配布することも多くなります。從つて個人を知るのみならず、主義政策の立場からいつても、今の制度よりはよく徹底せしめて、主義政策によつて、よりよく選擧が行われるようになると私は思います。(拍手)。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=98
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099・淺沼稻次郎
○淺沼委員 どうも私は解せない點があるのあります。政黨に對する批判ということが、その個人に變る憂はないかということを聽いておりますと、今の答辯を聽いておりますと、大體やはり個人の地盤あるいは事業關係というようなことが言われて答辯になつているのであります。そうなると、今の制限選擧の中には、確かに自由黨と進歩黨とか、保守ということを書けば無理はないのであります。社會黨、共産黨と書けば無理はない。しかし、社會黨と進歩黨、共産黨と自由黨と書くところは無理があるということが、よく批判の題材になるわけであります。しかしそれは個人を選ぶ票がそう現われてくるのでありまして、その個人を選ぶ票は、訓練の後には政黨竝びに政策を對象とした、進歩黨は進歩黨、自由黨は自由黨、さらに社會黨は社會黨、共産黨は共産黨と連記するような形が必ず現われてくる。それには訓練が必要であると私は思うのであります。それはもう政黨を對象とした目標に向つて正しく進んでいるのである。しかし大臣の答辯を聽いておりますと、折角そこまで制度を上げたものを、今度は個人の地盤、個人の出生地、個人の營業關係に返すという形が現われてきて、政黨政治の昔に還る――昔という言葉は惡いのでありますが、一歩退却ではなかろうか、こう考えるのでありまして、それはさようお考えにならないでしようか。
〔神田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=99
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100・植原悦二郎
○植原國務大臣 私のお答えに誤解があつたようで、はなはだ遺憾でありますが、私は現行の選擧法のもとにおいて、大選擧區であつても、その方をよく知つている範圍において多くの投票が集まるということは、個人の場合もありましようが、多くは主義主張によつて立つ政黨というものが、ただ政黨という名でなくて、その主義主張を國民に徹底せしめて、選擧せしむることが必要であるという立場から申しているのでありまして、結局はその人を知り、その人の支持するところの主義主張を最もよく徹底するから、主義主張によつて選ぶようになる。それだからして、そういう立場になれば、政黨というものも國民によつてよりよく理解されるし、政黨というものが政治に對して責任をもつようになり、今の大選擧區よりは、原則として中選擧區の方がよりよい、こう御諒解を願いたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=100
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101・淺沼稻次郎
○淺沼委員 それで次に提案者にもう一つ伺つておきたいと思うのであります。この別表によりますと、大體三人以上五人という區になつているのであります。そこで三人以上五人ということを選んだ根據を、私はこの際伺つておきたいと思うのであります。しかも選擧區の區制の問題につきましては、現行區制と、さらにその前には中選擧區の區制があつたのでありまして、中選擧區の曾ての區制とも非常な變り方をしているのでありますが、この前の前の選擧に行われました中選擧區制の缺陷が、今度のこれで修正されている形だと思うのであります。こういう形の大體の荒筋が、その一區々々についてでなくして、最近行われた中選擧區單記制によりますところの選擧區制の缺陷というものが、どういうところにあつて、こういう工合に改められたかということと、もう一つは、三人以上五人ということに限られた點を、どういう工合で三人以上五人ということになつたのか、これも伺つておきたいと思うのであります。それから大體の原則からいけば、議員一人には人口比例は大體どのくらいになつているか、これもひとつこの際伺つておけば非常にいいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=101
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102・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答え申します。第一點でありますが、選擧法上あるいは選擧學理論上の根據によつたものではありません。ただ過去の經驗と現状に照らしまして、最高五人、最低を三人によつた、いわゆる便宜主義で決定した問題でありまして、別に根據はありません。それから人口の方は大體十五萬を基準としてやつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=102
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103・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そこでその便宜主義――どうも案をきめるのに便宜主義という提案理由の御説明であるということは、私どもはなはだ遺憾に考えるのであります。法律をきめるのに便宜主義できめられたのでは、國民は非常に困るような氣がいたします。表現が便宜という言葉を使つたので、實際は便宜でなくして、やはり一つの原則があつてやられたことだと、私はそう了承します。便宜でこれをきめられたのでは困るような氣がします。それでもう一つ附け加えてお聽きしたいと思いますことは、この前の前の選擧のとき使われた區制に對してどういうような。……
〔發言する者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=103
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104・山口喜久一郎
○山口委員長 靜肅に願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=104
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105・淺沼稻次郎
○淺沼委員 私今手許に持つておりませんが、制限連記制に變る前のときの區制があるわけであります。その事例によりますならば、東京の事例をあげて申しましても、そのときの事例とは大分變つております。また私は東京は變るのが當然だと考えるのであります。この前の中選擧區の場合におきましては、いわゆる五區、六區というものがありまして、それは人口から申し上げますならば、非常なる人口を擁しておつたにかかわらず、定員數が非常に少かつたのでありますから、これはもう變るということは當然だと思うのであります。東京の事例で考えてみますならば、三人區というものは三多摩にあつただけでありまして、東京には三人區という區はなかつたわけであります。それを分割をいたしまして、三人區、五人區というものが隨分多いのであります。さらに全國的にみましても、三人區が非常に多いように受取れます、こういう場合に人數を少くして、しかもこれに書かれております區制というものは、この前中選擧區制でやつたところの區制と非常に地域的に變つております。戰災その他によつて人口が移動いたしました結果變るというなら、これはやむを得ないと思うのでありますが、そうでなく便宜的に變つておるという點も――原則はどこかにあろうということは、私の推測でありまして、やはりどこかに便宜的なものも潛んでいるから、こういう工合に三人四人ということになつているのではないか。中選擧區でも五人から七人というようなことも考えられるわけであります。大體選擧區制、これをさらに考え直すという點からいけば、中選擧區と言つても五人から七人くらいのところまで考える點がある。この案でいくと大體三人というところが相當多いようです。あとは四人、五人、それ以上は出ておらぬのでありまして、これは私は便宜主義というものできめたことになろうと思うのでありますが、そんな便宜主義でないものがどうしてもあるように思うのであります。私はそのように了承したいと思うのでありますが、前の別表と今度の別表と變つておるのはどういうわけであるか。さらにそこには一貫せる理論というものが私はどうもあるような氣がするのでありまして、説明者が便宜という言葉を使つたが、私はあると了承いたしまして、一つもう一邊御答辯願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=105
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106・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 私の便宜主義ということは、いわゆる俗に言う便宜という意味でなくして、理論の構成をまつて、その理論通りだけが、選擧法の全般に亙つておるものでないと思うのです。たとえば先だつて問題になりました繰上當選の期間の問題が、現行法では一年になつておりますが、これを六箇月にするとか、あるいは一箇月にするとかいう問題も起きましたが、これはいわゆる一つの便宜主義、こうした問題を言つたのでありまして、都合よく便宜にやるとかいう便宜主義の意味ではありませんから、御諒承を願いたいのであります。それから區畫の問題でありますが、三人から五人、あるいは四人から七人、いずれも考え方があるのでありまして、必ずしも三人から五人が最上のものであつて、四人から七人がそれ以下のものだというような理論的根據は持つておりません。要は最低三人、最高五人という線を立てまして、その線に基いて地理的状況と人口とを基本として、そうして區畫をきめたのであります。殊に東京に至つては、前衆議院議員選擧法の區畫より非常に變つておる點は、お話にもありました通り、戰災でたとえば下谷とか淺草はほとんどゼロに近い。また本所、深川もそうである。從つて昔は、私の住んでおつた第二區で言えば本郷、神田、小石川、下谷という區でありましたが、これも非常に變つております。これはやはりおもに人口が移動いたしましまので、その結果こうした結果になつております。基本は何かと言えば、ただいま申し上げました通り、地勢上の關係が一つ、人口の増減が一つ、これが基本になつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=106
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107・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そこで便宜主義という言葉の中に、地勢上ということと、人口の配置ということの原則がはめられたわけであります。從つて初めから人口の配置とか地勢上の關係ということを言つておれば、必ずしもこの案は便宜主義でないということを了承するのでありますが、どうも便宜ということが初めに頭にはいつてしまえば、それぞれの黨派に便宜であつて、われわれの方には不便宜だということになつてしまうのでありまして、その點がはなはだ審議を進めるのに遺憾な點だと思うのであります。しかし人口の配置と、地勢の關係と、それからもう一つ風俗人情ということも當然原則の中にはいると思うのでありまして、風俗人情ということが大きな點だろうと思うのであります。これは地勢の中にはいるといえばはいるのでありますが、やはり選擧區というものを構成しております人民の中に、風俗人情が變つておるということになりますれば、圓滿なる投票行使はできないわけでありますから、自然そういうものの合致というような點も必要だらうと思うのであります。さらに行政區の關係もあると思うのでありまして、これは今郡制というものは廢止になつておりますけれども、形は殘つているはずでありまして、そういうような行政區の關係も考慮に入れて、いわゆる風俗人情、人口の配置、行政區の關係、さらに地勢上の關係、こういうような理論的根據の上に立つて、東京はどうやつたらいいか、さらに新潟はどうやつたらいいかというようなことが生れてくるのが、當然だと思うのであります。それから三人四人と切つたのは何も理窟はないということであります。しかし私はやはり三人に切り四人に切るということは、大體今の原則に從つて區をやる、その區の大小をきめていく場合におきましては、この少數、三人から五人をとつたのはどういうわけか、五人から七人といつたようなやはり案についてはこういうことを――私は規定を變えるについても、今の大選擧區制限連記というものが惡いといつて、急に大選擧區からすぐ小なる中選擧區制に還るというよりも、その間の段階というものを考える餘地があろうと思う。今の現行法が惡いから、一概にもとに還ることなくして、少しうしろの方へ還してみて、それから前に出ていくという形も私は出てくると思うのでありまして、その點で、三人から五人にきめたということについて、五人から七人という案もあるが、そういうことについては考慮されなかつたかどうか。そしてさらにもう一點伺いたいことは、選擧區が小さくなつても、連記制というものは捨てなくてもいいような氣がするのであります。選擧區がかりに小さくなつたと假定しても、連記制というものは生かしておいて、その連記制を通じて政治的訓練を人民に與えるということは、私は當然やつてしかるべきことだと考えるのでありますが、その選擧區を小さくして政黨訓練――訓練といつては語弊がありますが、人民の投票權行使に對しまするところの一つの方法としての連記制を捨てたということはやはり初めにこの欠點のみを考えて捨てたことになつている。もう一遍この點を伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=107
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108・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えします。その五人から七人というような問題も當然論議されました。しかしそれがどういうためにいいか惡いかというようなことは、ここで理由を省きますが、要するに結論において、われわれの多數が一致してただいまの三人から五人がいいという結論に到達したのであります。それから連記制を特に抛棄しなくてもいいではないかというお話でありますが、もちろん中選擧區であるか大選擧區であるかということと、單記か連記かということは別なことに存じております。從つて提案趣旨の説明も、連記でいかぬということは別に理由を申し上げておりません。從つて中選擧區であるから單記でなければならぬということの理論もなければ、また結論もこういう趣旨ではないのであります。連記には連記の欠陷があつたから單記にいたした。また選擧區については、大選擧區はいかぬから三人から五人の中選擧區に決定した、こういう趣旨であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=108
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109・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そういたしますと、小選擧區、中選擧區竝びに大選擧區に對しますところの弊害を提案者は説明をされました。しかしその説明をされて、中庸な途をとるといつて中選擧區を選ばれておるのでありますが、大選擧區竝びに小選擧區に對する弊害というものを私どもは提案理由だけでは了承しかねるのであります。しかしそれも議論になりますから申し上げないのでありますが、もう一遍私は念のために伺つておきたいと思いますことは、どうも理論的根據があると言つて二つの點をあげられたのでありますが、地勢上のことと人口配置の點をあげられたのでありますが、しかしそういう理由のもとにやつても、五人から七人ということも當然考えられるのであります。それが考えられずして三人から五人にしたのはやはりいろんな經驗の上に立つてと、こういうことを言われておるのでありますが、その經驗はどうも私はこの作成に當りました自進兩黨の經驗のみが織込まれておりまして、われわれの經驗は織込まれておらないのであります。從いまして私どもは今までの説明については了承しかねるのでありまして、三人から五人と言いますけれども、實際は三人が多いのであります、この三人のような少數にした理由を、くどいようですけれども、もう一遍聽かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=109
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110・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えします。先ほども申し上げました通り、三人から五人、あるいは五人から七人、あるいは五人から十人と、いろいろな案が考えられますが、結論において私どもは現在の段階において、三人から五人ということが最も適正だということを考えたのでありまして、(「買收のためだ」)決して特別に私どもの方でこういう理論だからこうだという點はございません。結論は、今買收というようなお話がありましたが、決して買收とかなんとかいう問題はないことは言うまでもありませんし、またこれが社會黨の不利になるというようなことも考えておりません。またわれわれの常識論でやつたというお話でありますが、もちろん發案者が自由黨と進歩黨でありますから、自由黨と進歩黨のいわゆる常識でありますが、この常識というものは、必ずしも社會黨あるいはその他の常識に反するとは、私どもは考えておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=110
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111・淺沼稻次郎
○淺沼委員 私は理論的根據を與えてもらいたいと思うのであります。いずれにいたしましても、法律をわれわれがつくる場合におきまして、何か理論的根據がなくして、單なる常識とか便宜とかいうことで法律をつくられると、國民は非常な迷惑であります。從いまして自由、進歩の常識は社會黨にも通ずるであろうと言つておるのでありますが、私は社會黨の立場から聽いておるのであります。何も社會黨の立場を固執してはおらぬのでありまして、國民の立場に立つて、國民が選擧權を行使するには、一體どういう選擧權が妥當であるかという立場から私は伺つておるのであります。そういう點も一つ御諒承の上に立つて常識、便宜ということをもう一遍私は理論的根據を與えたらどうなるか、法律からいけばこういうことを言うと言い過ぎますけれども、小澤君にいたしましても、法律を常に扱つておる辯護士でありますから、そういうような法律の執行の上において、やはりどういう經路をもつてつくり上げたかということになればこの法律は便宜上できたものである、常識上できたものであるというようなことであれば、私は法律をもつて論ずる人の側からもどうかということになると思うのでありまして、やはり自進兩黨の權威のためにも、常識とか便宜とかいうことにあらずして、かくのごとき理論的根據の上に立つて、しかも實際がこうであるからこういう修正をしたということの根據を示していただくことがいいではないかと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=111
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112・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答え申し上げます。大體に常識論やあるいは便宜論ということは非常にいかぬと思いますが、要するに法律というものは偉大なる常識が成文にあらわれたものでありまして、いわゆる常識に特例を設ける場合に便宜ということがあるのであります。やはり便宜という精神も法律には始終載つておるのであります。つまり常識と便宜というものが重つたものが一つの法律にあらわれておると私は確信しておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=112
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113・淺沼稻次郎
○淺沼委員 常識、便宜の話はこれ以上はせぬことにいたしますが、私は常識の上に法律がつくられるというようなことも、それは考えますけれども、自進兩黨、いわば日本の政治を擔當いたしておりますところの政府與黨といたしまして、しかも衆議院議員を選ぶ、國會を構成いたしまする選擧法改正にあたりまして、それが單なる常識もしくは便宜からあみ出された法案の修正案であるということは、私はこれはどうも解せないという言葉を使いたいのであります。少くとも私はやはり理論的根據があり、さらに理論的根據はこうだが、日本の現實のおかれておる状態はこうだ、だからこうでなければならぬというふうに來ないと、常識は私どもと提案者と違う點はあろうと思います。便宜の立場から考えても違うところがあつて、そういうところで議論しておると議論がどこまでいつても盡きないと思います。やはり一つの尺度に入れておいて、その尺度の内で議論をすれば、私は、自進兩黨と社會と立場は違つても、人民の政治をやるという點においては、全部が一體となつた形の上にあらわれてこなければならぬと思うのであります。法律というものはそうなつてあらわれてくるのであります。だから私はその立場を聽きたいのであります。そうして私どもが同調し得るように理論的根據があり、さらに理論的根據にあてはめて納得いくならば、これに贊成せざるを得ないのでありまして、また納得させるということが私はこの民主主義の政治の根本だろうと思うのであります。そういう意味合いにおいて納得するように、單なる常識とか便宜ということでなくて、ぜひ納得できる理論的根據竝びに日本のおかれておる立場、いろいろ先ほど伺つておりますと日本の國際的におかれておる立場のことも、私どもは了承しないわけではないのであります、しかしその了承しておりましても議會の内部におきまして、私ども議員として、かくあることが日本のおかれておる立場の上に立つて當然であると考えて議論を進めておるのでありまして、そういうような客觀的情勢竝びに日本の民衆の進んでおりますところの民度というものがどこにあるか。さらに政黨政治というものの將來に對してはどういうものであるかという根據の上に立つて、修正案というものは出てこなければならぬと思います。どうも先ほどから話されておるところをみますと、小選擧區の利害得失、大選擧區の利害得失、中庸選擧が中庸を得ておるという程度でありまして、それ以上伺い得ないのであります。殊に定員について、なにか定員のことを言えば、東京の話をすれば、私ども東京から選出されておりますから、東京の選擧區に關係するようにお考えになるかもしれませんが、私自身はそんな考えをもたずに、ただ提案者の理論的根據を伺いたいという立場から聽いておるのであります。どうも今までの答辯によりましては解せないのであります、そこで少し掘りくだいてお聽かせいただきたいと思うのであります。小選擧區制の欠點をあげておりまするが、これは大體今までの選擧の經驗に基いて、誰もがあげておりますところの欠點であります。それは、選擧區が小さいということ、それから選擧鬪爭が激烈である、官憲の干渉がひどい、議員の行動が地方的である、こういう弊害をあげておるのであります。しかし先ほど内務大臣は小選擧區が理想的であると言われておりまして、この點から申し上げますならば、内務大臣と提案者との間には意見の相違があるようであります。しかし民度がほんとうに進んでまいりまして、そうしてすべてのきめ方はデモクラテイツクにあらゆる政治が行われていくという段階に立つた場合においては、私は小選擧區制というものは、ひとつの理想の形態だと思うのであります。すなわち各個人の行動というものが、すべて選擧區の中で鏡のごとく照らし合わされて、それで投票が行使され、しかも個人々々の考え方というものは、民主主義の在り方、さらには日本の將來の進み方について一定する考え方をもちますから、それだけ民度が發展していきますならば、小選擧區制というものは、必ずしも捨てたものではないと思うのであります。しかしながら現在置かれております日本の民度竝びに政黨の發達の程度から考えて、大選擧區制を私は言うのであります。ところがこの小選擧區の弊害は中選擧區になつたら除去されるかということが大きな問題であります。私は中選擧區になつても同樣の弊害が伴うものであるということ、三人及び五人の候補を選ぶのはどういうものであるかということを聽いておる。三人、五人ということはほとんど小選擧區を少し大きくした程度のものでありまして、小選擧區の今あなたのあげた弊害というものは、これによつては弊害が同樣に行われる結果になるのではないでしようか。これによつて弊害が除かれるということの根據を私はあげていただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=113
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114・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えします。この點につきましては先ほど佐竹君にも同一の質問がありましてお答えしましたが、私は私の案が絶對無欠點のものだということを主張するものではないのであります。ただ小選擧にはこういう欠點がある、大選擧區にはこういう欠點があるが、中選擧區になつた場合においては、その欠點よりは少い欠點で止め得るからそうしたいという趣旨であります。從つてあるいは小選擧區の欠點をやはり大選擧區より小さいからもつかもしれない。また中選擧區は、小選擧區に比較して、大選擧區より小さいのであるが、小さいながら小選擧區より大きいものでありますから、大選擧區の欠陷ももつかもしれない。しかしながら、ただいま申し上げましたように、その欠陷を少くして少しでもいい方に向くということが、私どもの考え方でありまして、必ずしも絶對に何の欠點もないとは申し上げません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=114
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115・淺沼稻次郎
○淺沼委員 必ずしも無欠點とは言わないということで、はなはだ私どもいい答辯をいただいたと思うのでありますが、もし無欠點なものでないということになりますれば、ここでお互いに話合をつけたら、その修正に應ずるでありましようか。これは私どもにとりまして非常に重大な問題であります。無欠點でないと考えるならばこの修正に應ずるものでありましようか。それを私は知りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=115
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116・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。その出てくる案がわれわれの案よりもより以上のものでありますれば……。私だけはそういう考えをもつておりますが、おそらく私どもの考えとしてはそういうものがないものと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=116
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117・淺沼稻次郎
○淺沼委員 まあ小澤君だけは、案のよしあしによつて自分だけはよければ認めるということでありまして、これはこの案の取りまとめの時に、私は今のような發言のあつたということを了承しておくことにいたしまして、これ以上この答辯に對して質問はやらぬことにいたしておきます。ただ結局は、大體におきまして、あることもあり得るということで、この小選擧區のことはとらないようなことを言われておるのでありますが、そこで私はまだもう一點、しつこいようでありますけれども、三人區、四人區、五人區についてのこの分け方が、小選擧區と同じような結果になりはしないかということを私は言つておるのであります。ただいま小澤君があげたこの小選擧區に對する欠點は、現状の姿においては、中選擧區にもそのままあてはまるような結果になりはしないか。選擧區が矮小であつて、地方的人物が出る。選擧鬪爭が激甚で買收が盛んになる。官憲の彈壓干渉はなくなりますが、議員の行動が地方的になる。これは大選擧區よりも中選擧區になつた場合においては、小選擧區のもつ弊害をそのまま中選擧區にあてはまる結果になりはしないかと聽いておるのでありますが、どうも同じような氣がいたしますが、もう一遍伺いたい。同じ弊害を伴うという結果になるのじやないでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=117
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118・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。それは、小選擧區の欠點がわれわれの修正案である中選擧區に直ちにそのままいくということであれば、われわれの修正の根據は全然ないのであります。多少は小選擧區の欠陷は來るかもしれない。あるいは大選擧區の欠陷も多少は來るかもしれませんが、その來る度合が非常に少いという信念のもとに、私どもは中選擧區を主張しておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=118
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119・淺沼稻次郎
○淺沼委員 大體選擧區制に關しましてはよく提案者に聽くべきことは伺つたのでありまして、これ以上は質問はやめておきます。そこでもう一遍今度は政府提出の一部改正案に還りまして、修正案のうち、一部改正案に對する五十二條一項以下別表に至る間に、いろいろな修正案が出ておりますが、これで私は、この案は、先ほど佐竹さんからも出てそのまま議論を殘しておるわけでありますが、これも念のために一應伺つておきまして、それで私どもの案に對する態度決定の資料にしたいと思うのであります。これは委員長を通じて委員各位に聽くのでありまして、先ほど私この取扱についてはあとで相談をするということを申し上げたのでありますが、實は私どもが委員會において決定をいたしました事項に對してさらに修正案が出てきておるのであります。そこでこの點になりますと、一遍私どもが原案について可否を決定したものに對して、修正案がまたここに出てきておるのでありまして、實はこの案の扱い方について非常に苦慮しておるのであります。從いまして私は、委員長がこの案の取扱い方を休憩中にでももう一遍御相談になつて、議事の運營の上について、一方の委員會においては可決したが、一方の委員會においては委員のそれぞれが反對するといつたような形が現われるようなことがあつてはいけないと思うのでありまして、ひとつこの取扱を御相談願いたいと思うのであります。以上のことを申し上げまして、一應私の質問はこれでとりやめておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=119
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120・山口喜久一郎
○山口委員長 淺沼君にお答えいたします。案の取扱につきましては、休憩中に十分各位と御懇談申し上げることにいたしたいと存じます。食事のため休憩いたします。六時半より再開いたします。
午後五時五十分休憩
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午後七時十九分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=120
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121・山口喜久一郎
○山口委員長 休憩前に引續き會議を開きます。質疑に入ります。加藤(鐐)造君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=121
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122・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 既に同僚の佐竹、淺沼兩君から詳細に質問がありましたので、私はできるだけ重複を避けまして質問いたしたいと思います。しかし質問の要旨の中に多少重複した言葉が出てくるかもしれませんが、この點は御諒承願いたいと思います。先ほど發案者の御説明の中には、小選擧區制の欠陷と大選擧區制の欠陷だけをおあげになりまして、だからその中間をとつてこういう中選擧區單記制をとつたのだというお話がありましたが、どうもそれだけの説明ではわれわれは納得がいかないことは、先ほど淺沼君から繰返して御質問があつた通りであります。私はその點を繰返して質問はいたしません。しかしこの中選擧區制の長所をお伺いすることも必要でありますが、中選擧區制の欠陷もわれわれはよく檢討してみなければならないと思うのであります。中選擧區制と小選擧區制とは私は實質的には大同小異であると考えるのであります。一小選擧區で一、二名が三名ないし五名となりましても、そんなに大きな違いがあるわけではないと思うのであります。先ほど小澤君は小選擧區制の欠陷の中でも三四點をおあげになりましたが、その中で買收が容易であるという欠陷を御指摘になりました。非常に有權者が多くなりました今日におきまして、買收という問題は私はそれほど重要に考える必要はないという論者もありますけれども、しかし私はこの問題は今日の日本の情勢におきましては、相當重要に考えなければならない問題であると考えるのであります。私どもは昨年の選擧におきまして、いわゆる戰爭中にもうけて太つた軍需成金が多く立候補したというような事實を、われわれは見てきたのであります。今囘の選擧におきましては戰後の利得者、いわゆる露骨に申しますならば、やみでもうけた人が多く立候補するのではないかということが豫想されておるのであります。これらの人々が、選擧費用があるいは五萬圓に制限されましても、實際には相當莫大な選擧費用をばらまくのではないかということが豫想されておるのであります。そういう點から考えすまと、私はそこに中選擧區制になお買收の余地がある。一人々々は買收することはできなくても、いわゆる選擧ブローカーあるいはいろいろな團體の票をまとめる立場にある團體の代表者を買收し得るのではないか。この危險性が多分にあるということを考えなければならないと思うのであります。私はその點についての提案者の御見解をまず承りたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=122
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123・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 加藤君にお答えいたします。修正案の内容である中選擧區は、大體において小選擧區と同じようなものではないか。從つて小選擧區の弊害の一つである買收は、やはり簡單に行われるのではないかというような御質問でありますが、いわゆる中選擧區でありますがゆえに、大體に小選擧區にも似寄つております。しかしながら現行法の大選擧區にも似寄つておるのであります。現に私が出しております別表の中に、全國で定員五人の縣が十二、三ある點から見ましても、その點は一致しておるのであります。今日のような行政區畫を單位といたしておりまする關係上、極論しますとどうしてもそうなりますが、大體において中選擧區は中選擧區として、十五萬程度の人口に一人の定員をもたせる小選擧區とは、三倍もすなわち最低が四十五萬見當の一選擧區とする場合と、十五萬を單位として一選擧區とする場合は、買收などの場合におきましても非常に違うと思うのであります。私の縣の例をあげて申し上げるとおかしいのでありますが、現在の選擧區では百二十萬の人口がありますけれども、これを二つに割つて六十萬になつております。六十萬を買收するのと、百二十萬を買收するのと、十五萬を買收するのと、どう違うかという結論になりますが、それは數字の示しようがないのであります。十五萬の方が簡單か、また六十萬ならば困難か、百二十萬ならばなお困難かということになりますと、お互いに選擧をやつたわれわれとしては、六十萬というような大きな選擧區になると、その上は百二十萬にならなくてもやはり買收は困難になるのではないか。しかし絶對できないかといえば、それは今お示しのようなこともときにはあるかもしれません。ただ幾分なりともそれを少くしようというのが私の提案した趣旨であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=123
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124・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 幾分なりと買收が少くなるというだけでは、大選擧區制と比較して中選擧區が非常によいという根據にはならないと思うのであります。さらにこの問題と關連してお伺いしたいことは、提案者は一體今日の日本の議會を構成する國民の代表といたしまして、地域代表という點に重點をおいて選んだ方がよいか。あるいは職能代表という點に重點をおいて選んだ方がよいとお考ふになるか。この點をお伺いしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=124
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125・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。職能代表の長所も相當にあることと存じます。しかしながら現段階における日本の現状におきましては、やはり地域代表がよいと信じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=125
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126・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 先ほど小澤君は、小選擧區制の欠陷の中に、大人物が出ないということを御指摘になりました。私は衆議院にそれほど大人物ばかりが出なければならないとは考えません。しかしある程度の人格をもち、ある程度の識見をもつた人が議會を構成しなければ、日本の再建はできないと考えておるのであります。地域代表ということに重點を置き過ぎますと、結局衆議院議員というものが縣會議員に少し毛の生えたくらいのものになりまして――勿論縣會議員は識見がなくてもよいというわけではありませんけれども、やはり衆議院議員としての識見という點において缺ける點が多いのではないかと考えるのでございます。あまり地方に膠着した議員が出てまいりました曉におきましては、ただ小さな地方問題だけを取上げて論ずるというような傾向が強くなることは、私ども過去の實例に徴して明らかであると思うのでございます。この頃議會の出席率が惡いというようなことがしばしば言われておりますが、どうも選擧を控えて出席の惡い人を見ますと、この人々の考えがやはり地方問題に膠着しているということと、選擧區が地方に局限している人が多いという點が指摘し得ると思うのであります。こういうようなことは大選擧區制になれば私は是正し得るのではないかと思うのでございます。せんじ詰めて申しまするならば、識見の高い人、あるいは人格の高い、廣範圍の選擧民にその人格が認められる人の方が、今日の日本を再建する上において必要ではないかという點を考へるのでありますが、提案者はそれをどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=126
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127・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。加藤君の御質問のように、大人物の中央政界への進出はもとより念願するところであります。しかし嚴格に申し上げますと、一體大人物とはいかんということは相當むずかしい問題でありますが、先ほどもお話したように、現在の議員諸君はいわゆる大選擧區から出ているのでありまして、(「君ぐらいだよ大人物というのは」と呼ぶ者あり)みな大人物であると私も考えているのですが、しかし中選擧區にしたからといつて、現在の議員の大半の人が當選できぬというようなことは考えられないのであります。從いましてやはり小選擧區制よりは中選擧區制の方がそういう點においても便宜だという趣旨で、趣旨辯明の際に一つの例として申し上げたのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=127
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128・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 さらに連記制の問題でありますが、私は既に前質問者の兩君の質問と重複する點が多いので、できるだけ簡單にお伺いいたしまするが、先ほど來連記制によつて相異る政策をもつた政黨に同一人が投票する、こういう御意見がありましたが、しかし私はこれは深く考えてみまするならば、先ほど淺沼君からも御指摘のあつたように、現在の日本國民がまだ政黨を中心として候補者を選ぶという、はつきりした段階になつていない今日におきまして、從つて人を中心として選ぶ氣持が相當強い今日におきまして、私はそういう結果が現われるのも決して惡いことではないと考えるのであります。殊に日本再建の今日の過程におきましては、できるだけ國内の摩擦を避けて、建設的に政治を行わなければならない。そういう點から考えますと、考えようによつては一方に偏つてしまうよりも、いろいろな階層を代表する幾つかの政黨のある方がいいではないか、現在の過程におきましては各階層を代表する政黨のバランスの中に、徐々に民主主義の建設をやつていく方がよいのではないかとも考えるのであります。一擧に何れかの政黨に偏つてしまうということは、私は國内の摩擦があまり急激に現われてくるというふうにも考えられると思うのであります。そういう點から申しますと、この中選擧區制によつて、一擧に今日の與黨を絶對多數の盤石の上に置こうという今囘の提案は――私の斷定はあるいは獨斷だとおつしやるかもしれませんけれども、われわれはそういうふうに見ているのであります。從つて私の見解によりますれば、こうした中選擧區制を無理に出して、一擧に與黨が多數を占めようという考え方は、國内の對立を激化するものであると考えるのでありますが、この點についての御見解を承りたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=128
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129・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 只今の私の提案するものは、要するに與黨を殖やそうという趣旨で出しているのではないかという御質問と承りますが、私どもは毛頭そうした考えをもつておりません。むしろこの結果は社會黨あたりは相當多數になるのではないかとさえ考えております。從いまして私どもはかりに自由黨がよかろうが、社會黨がよかろうが、あるいは進歩黨に不利であろうが、いずれにいたしましても理想は理想として、あるいはよいものはよいとしてとつていくところに、われわれの狙いがあるものと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=129
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130・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 與黨を一擧にして多數をとるという意圖でないとおつしやいますけれども、しかし先ほど來各質問者から承りましたところの、いわゆる中選擧區制を急遽出された理論的根據がはつきりしない以上は、われわれはやはり、そうした黨利黨略に基いた意圖が十分あつたと見なければならないのであります。そういう意圖がないとお考えでありますならば、理論的な根據をはつきり示してもらはなければ、われわれは納得ができない。私はこれは淺沼君が繰返して御指摘になりましたから、繰返すのもどうかと思いますけれども、先ほど淺沼君が繰返して質問せられたにもかかわらず、提案者はその理論的な根據をお示しにならなかつた。常識で出したとかなんとか言つて逃げてしまわれたが、われわれははつきりと、どんな人でも納得のいくような理論的な根據が示されない限り、この案はきわめて黨利、黨略に基いた、不純な動機によつて提出された案であると、斷定せざるを得ないのでございます。もしそうでないとおつしやるならば、先ほどから大分時間が經つておりまするから、あるいはお考えになつたかもしれませんから、もう一應繰返して承つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=130
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131・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 御答えいたします。この前淺沼君にも申し上げましたが、三名ないし五名の中選擧區、あるいは五名ないし七名の中選擧區、あるいは七名ないし十名の中選擧區というようなことも考えられます。しかしながらそれに一定の理論をつけるということが、どうしてできましよう。かりに淺沼君が自分で主張しましても、五名と七名という理論的根據というものが、何人にも納得のできるように説明できないと同樣に、三名ないし五名ということも同じ理窟になる。そういう理論的根據というものは、要するに過去の經驗と實際に照らして、常識的に判斷して、そうして三名ないし五名が最も弊害が少く、かつ選擧もやりよいという、常識的な考えをもつということが、いわゆる理論的根據であると考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=131
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132・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 松原さんは内務大臣に對する質問があるようですし、私は主として提案者に聽こうと思つておりますから、一時松原さんの質問をはさんでいただいて結構であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=132
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133・山口喜久一郎
○山口委員長 松原一彦君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=133
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134・松原一彦
○松原委員 内務大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。今囘行われまする總選擧は、來るべき新しい國會の議員を選ぶ、歴史上にかつてない畫期的な、重い意義をもつた選擧と私は心得ております。從つて日本が古い衣を脱ぎ捨てて、ほんとうに心から新しい民主日本、平和日本を築くために、この國會議員の選擧はきわめて重大に取扱い、かつ愼重に取扱われねばならないものと信ずるのでございます。しかも昨年の秋、われわれが精魂をこめて、ここで審議いたしまして制定いたしました日本國憲法の初頭には、「日本國民は、正當に選擧された國會における代表者を通じて、行動し、われらとわれらの子孫のために、諸國民との協和による成果と、わが國全土にわたつて自由のもたらす惠澤を確保し、政府の行爲によつて再び戰爭の慘禍が發生しないようにすることを」云々と、かようにしるしてあります。一切の偏狹とあらゆる屈從、隷屬とをば取除いて、まことに明るい日本を築くために、この選擧こそは新日本の礎を築く選擧として、取扱わねばならないものと心得ておりまするが、この點に關しまする内務大臣の御所見を承りたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=134
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135・植原悦二郎
○植原國務大臣 松原君のお説の通りであります。とにかく新憲法は、すこぶる民主的な理想主義を包容しておる憲法であります。この憲法は民主的平和國家を建設する基礎工作だと思います。憲法にも述べられ、ただいまも御指摘になりました通り、日本はなんとしても今までの軍國主義的衣を捨てて、平和國家建設に邁進いたさなければならないので、その選擧としてすこぶるこれを重要視し、嚴正公平に行われることを切望しておることは、お説の通りであります。
〔傍聽席にて發言する者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=135
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136・山口喜久一郎
○山口委員長 傍聽席どうぞ靜肅に願います。今日はずつと各員におかれても、最も熱心に眞摯にやつておられるのでありますから、ひとつなるだけ傍聽席の方でも靜肅にお願いいたします。松原君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=136
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137・松原一彦
○松原委員 重ねてお伺いいたします。かくのごとき重大なる條件をもつた新國會の議員を選擧いたします選擧法の取扱が、解散が數日の後に豫定されておりますせつぱ詰まつたときに、かくのごとき紛糾の下に審議せられて、あわただしく行わねばならないということは、はたしてこれを重大に取扱い、かつまた愼重にお取扱いになつておるものと心得てよろしうございますか。お伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=137
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138・植原悦二郎
○植原國務大臣 松原君御承知でありましようけれども、選擧區というものはずいぶん長い間研究されておるのであります。昨年の議會においても、現行の憲法はむしろ官僚式な頭でつくつた憲法であるということを、おそらく松原君も否定なさるまいと思います。これにかわる選擧法については、新しい憲法を目がけて國民の代表者として當選せられた皆樣方の多數の意見、條理を盡し、しかも平和裡に御同樣に責任を感じて、直面するところの時局を認識して、新憲法を實施する責任を、皆樣方各自が御意識なすつて、御審議なさつておることと私は考えております。そのいき方についていささかも遺漏はない。むしろそれは皆樣方各自が、十分責任を御自覺なすつてのことと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=138
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139・松原一彦
○松原委員 重ねて伺います。ただいま内務大臣は、昨年の選擧法は舊憲法時代の選擧法であつて、それは不備なものであつた。であるから新しい選擧法によつて、愼重に重大に取扱うと言われる御用意には敬服いたします。それならば何ゆえに政府は餘日をたくさん殘して、その愼重に重大に取扱うべき選擧法を、御提案にならなかつたのであるか。議員の發議をまつて、あわただしくこれを定めねばならないほどに、昨年の案は間違つておつたものでありましようか。この點につきましては意見のわかるところであるかもしれませんが、それならば私は一歩を進めて伺いますけれども、この二月現内閣がつくりましたところのこの新憲法の下において審議せられました參議院法には、大選擧區制がとつてあるのでありますが、これは一體どういうことでありましようか。その點を伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=139
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140・植原悦二郎
○植原國務大臣 憲法の條文をごらんになりましたならばおわかりでありましようけれども、新しい憲法においては衆議院も參議院も國民の直接投票になつております。從つてもしこれが同じような選擧區でありましたならば、衆議院と參議院との區別がつきません。またそればかりでない。この選擧法も政府で提案いたしましたにいたせ、いずれも貴衆兩院の御贊成を得て成立いたしておるものであります。貴衆兩院は、參議院は衆議院と選擧區を異にすることが必要である。それゆえに一面においては現在の選擧區の各府縣、一面においては全國を一選擧區としての選擧區こういうことでお定めになつたのであります。もちろん全國一選擧區がはたして豫定通りうまく行われるか行われないかということは、まだ未知のものであります。これもすこぶる困難のものがありますが、とにかく國民の直接選擧、年齡も同じだ。參議院と衆議院とはその機能においても違う。從つてそのおこりも異にした方がよろしいという御意見で、これに對して貴衆兩院とも御同意になつて成立したものであることは御承知の通りであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=140
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141・松原一彦
○松原委員 すこぶる腑に落ちないお答えであります。憲法第四十一條によりますれば「國會は、國權の最高機關であつて國の唯一の立法機關である」四十二條に「國會は、衆議院及び參議院の兩議院でこれを構成する」とあります。國會議員としての資格におきましては、衆議院も參議院も變つたことはないと思います。ただ年齡において被選擧權の年齡に若干の差別はありまするが、その他においては國會議員としては何らの差別はないものと私は信じております。しかるに衆議院議員の選擧は、ただいまの一府縣をなお二つに割つたところもありますほどの小さい選擧區でもよろしいが、參議院の議員はどうしてもこれは、東京のような八人出るところですらも、今まで衆議院には二つに割つてあるものをば一單位とし、さらに超大選擧區ともいうべき、ちようど共産黨と同じ案であります。その選擧區においては共産黨の提案と一致いたしております。こういうふうな超大選擧區を設けて、そうして百人を選出するといつたような、未だかつて日本の政治史上に類例のない大選擧區をこの二月にとり、それに自由進歩兩黨の諸君は、ことごとく御贊成になつておるのであります。その御贊成になつた數箇月も經ざる今日に、衆議院議員の現行選擧區は大き過ぎて、これでは新國會を構成する議員の選擧に不都合であるという、非常な強い理由があつて今兩黨から御提案になつておりまするが、これはいかに政府が御強辯になりましようとも、政府そのものの御示唆のもとであることは私は信じて疑わないのであります。この點につきまして貴衆兩院議員の性格の上にいかなる差があつて、その差をば顯著にするために、一方には超大選擧區をとり、一方には現行選擧區をば、このせつぱ詰つたまぎわに愼重審議することも許さず、その成案をば委員會に掛ける、その日にまで國民の公聽にも訴えずして、そうして急迫せる事情のもとに國民を惑わせながら、慌しくやらなければならぬという理由がどこにありまようか。その貴衆兩院議員の差別とその選出の方法等は、かくのごとくにまで變えなければならない理由を明確にお示しを願いたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=141
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142・植原悦二郎
○植原國務大臣 まことに今御指摘になつた中にその御答辯は自ら出ることと私は確信いたしております。國會としては衆議院も參議院も、國會の構成の分子は同じであります。ただしその機能はすこぶる違うこと、その權能も違うことも御承知でありましよう。それゆえにこの兩者の間に、その兩者を選出するところの國民の資格は同一であります。しからばその機能といい、その職權といい、兩者の間に非常に開きがあるものであり、二院制度の原則として、二院を構成するものはむしろ衆議院と同一な權能をもつというよりは、衆議院が國會の中心となり、議會政治の中心となるのでありますがゆえに、參議院の方はどちらかといえば、衆議院が時と場合によりまして躁急にかられて、多數の意見のために、時としては急進的になるおそれのありまするときに、參議院の役目はこれを遲滯せしむる、衆議院の審議することを主として批評して、これを國民に訴えて、國民の判斷にゆだねるというのが新しい國會における二院制度の原則であり、參議院のとるべき途であることは御承知でありましよう。しからば同一の基礎の上においても、この兩者の權能と兩者の組織機能等において、差別あるものをつくろうとすれば、いかようにいたしたらよろしうございましよう。今までの貴族院ならば、貴族院を構成する組織方法において、衆議院と根本的に違つております。新しい憲法においては兩者の間に行わるべき國民の直接投票、その直接投票から起るもので、機能も職權も、またその務むべき任務も違いますものを差別せしめようとすれば、いかようにいたしたらよろしうございましよう。そういう立場に立ちますならば、できるだけ參議院の方は人數も少くし、そうして同じ國民を代表するにいたしましても、衆議院のような直接政治の中心となるよりは、むしろ批判的の立場になるということが、二院制度の參議院の素質を狙うところであるということを御諒承なさることが當然であろう思います。そういう立場におきますならば、この衆議院の選擧において、參議院と違う。さらに中選擧區をとり、參義院が府縣をとり、日本全國をとるというのは、まことに正しい理窟ではありますまいか。さように解釋することが當然であると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=142
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143・松原一彦
○松原委員 いかにも奇怪なる御説明を承りますが、批判的な地位に立つ參議院は超太選擧區からとつてもよろしい、國務の實體に當る議員は、今日現行の選擧法の選擧區から出してもよろしくない。もつと小さな選擧區から出さねばならないという差別を私は伺つておるのでありまして、同じ議員でありながらも、それならばどういう方法で差別をするかというお話がありましたが、常識におきましては、參議院は私どもは職能代表が出るのが至當だと心得ておつたのであります。しかしこれはいろいろむずかしい、今日まだ社會組織が完備しておりませんために、そのむずかしさがありますが、單に議員を直接選擧するという點におきまして、それほどまでに大きな、一方においては全國區という共産黨と同じ選擧區をばとつておきながら、頭の毛に火がつくように差迫つてかくのごとき重大な選擧區の問題をば、現行のままにしておかれず、さらに小さく割らねばならないという理由が私にはわからないのであります。これに贊成をしておいでになります政府は、特に植原内務大臣は、一人一選擧區、すなわちイギリス流の小選擧區が理想であるということを、しかもこれが政治の安定力をもつものであると言われておることをば、たびたび承つておるのでありますが、一方にはかくのごとき理想をもつておいでになりながら、一方におきましては飛び離れたる構想の上に、參議院議員の選擧法はできておるのであります。しかも現に全國に行われておるのであります。しかし私はここで承りたいと思う。私は今日幣原國務相に御質問を申そうと思つたのですが、御所用のようでありまするから御遠慮申しておるのでありますが、實は一昨年幣原内閣時代に現在の畫期的な選擧法ができたのであります。その時分に幣原首相は何と議會において説明されたか。私はここに幣原前首相がおられませんから、讀み上げることをはばかりますけれども、その時分にこの大選擧區制限連記制というものをば布かねばならない理由を、懇々と説明しておいでになるのであります。しかもその當時の責任ある幣原首相が、今國務相として副總理としておいでになる現内閣において、かくのごとき現行の選擧法のようなものをやれば、その結果ははかり知られざる弊害があり、現にその弊害にはこりはてた――今日提案者の御説明によりますると、選擧區の大小はまずおきまして、連記は經驗なき官僚の空想の下にこれは出たものであつて、きわめて杜撰至極なものであるという御説明であつたのであります。私は實はこれを聽いて驚いたのであります。官僚の空想によつて選擧法が行われたとなつたならば、ゆゆしき大事であります。植原内務大臣は、たびたびこの連記制については非常な嘲笑的な言葉すらもお用いになりまするが、そういうお粗末千萬な選擧法を布かれたところの責任者である幣原さんは、現にこの内閣における副總理であつて、今これをば改めることに向つて、黨員を鼓舞激勵しておられるように承つておるのであります。もし今行われておりまする選擧法が、そんなに官僚の空想のもとに築かれたものであつて、一刻も早く改めねばならないものであるとするならば、私は幣原國務相の責任を問わなければならない。われわれ欺かれたのであります。であるがゆえにこそ、選擧法のごとき重大至極をものは、輕卒に取扱つてはならない。愼重に取扱わなければならないということを申しておる。しかも一方に現に内務大臣のこの御管轄のもとに、日本には大選擧區の選擧が實行せられつつある。いかに國會の參議院と衆議院との性格が違おうとも、天地雲泥の差はあるはずはない。一方においては現行選擧法で行つてはどうしてもいけないというお下心があるらしい。一方においては全國大選擧區、東京を八人を一區とする、五人でなくちやならないと今は言つておられるにかかわらず、八人を一選擧區とするところの、未だかつてない大選擧區をもつてやりながら、一方にかくのごとき提案に御贊成になつておる政府の責任は一體どうか。だから私は申し上げる。選擧法なんというものは、もつと餘日を重ねて愼重にやつていいものである。私どもは決して幣原内閣のもとにできましたあの選擧法をば、官僚の空想であるなどとは夢にも思いません。私は相當進歩したものだと信じております。しかも大きな效果をあげておることは、マ元帥があの選擧の行われました直後に、まことに今囘の選擧は公正に行われ、滿足の結果を得たという發表をしておるのであります。これを非難する餘地がありますか。政府はこれを御否定になりますか。どうして一體かくのごとく幣原總理大臣時代につくつた選擧法というものは、官僚の架空の夢の中から生れたものであり、その選擧法というものは一刻もこのままにしてはおかれないものであるといつたような考え方が出るかを、與黨の方に私はお聽きしたい。與黨の諸君、この選擧法のもとに皆樣は選出せられたところの確信をもつた議員でおありではないか。もし官僚の空想のもとに生れたごとき議員でおありなさるならば、私は恥じてみずから席を去るべしと申し上げたい。この選擧法のもとに選出せられたる諸君が、みずからを卑しむがごとき言語を弄し、そしてこの選擧法をばどうあつても變えねばならないという理由は、私にはどうしても飮みこめないと思います。これは植原内相の重大なる責任問題だと思う。この發案に御贊成になつておる植原内務大臣の御所見を承りたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=143
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144・植原悦二郎
○植原國務大臣 幣原内閣においていかようなことを申したか、提案者に對して私はかれこれ申し上げる理由はありません。ただ私は、議員諸君がただいま提案になつて御審議になつておるところの、いわゆる中選擧區制は、諸君が多數で御決定になつた上には、私は現在の選擧法に數段まさるものなりと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=144
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145・松原一彦
○松原委員 この選擧區を縮小することが、現在の選擧法に數段まさるというお言葉を承りましたが、植原内務大臣は一人一選擧區の小選擧區の禮讚者であると私は承つておるのであります。私もたびたびこの論を繰返し承つておるのでありますが、しからば植原内相の理想の選擧區は、やはり一人一選擧區であるかどうか。重ねてこれを承りたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=145
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146・植原悦二郎
○植原國務大臣 しばしばお聽きくださつたという通り、私は議會中心の政治、しかも政黨政治、それがフランスなどのように小黨分立になりまして、政局を安定せしめないような選擧區ではいかぬ。私の考えておるような政黨ができまして、そして議會政治が中心で政局が安定するには、理想から申せば、私は一人一區制が一番よろしいと思います。それに近ずく制度ほど私はよりよきものだと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=146
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147・松原一彦
○松原委員 よく了承いたしました。植原内務大臣はかねて一人一選擧區が政治の安定性をもつということを、常にお説きになりますことを私は承知いたしております。イギリスの小選擧區制は確かに世界の模範的のものだと私も心得ております。あのくらいの政治訓練、政治常識をもつた國民ならば、ああいう立派な實績をあげることをも、決して否定いたしませんけれども、イギリスにも大學選擧區というものがあつて、比例選擧制をとつていることも、植原内務大臣は御承知と思います。イギリスは必ずしも一人一選擧區ではございません。大學選擧區における限りは、比例選擧法、しかもすこぶる複雜な比例選擧法をとつておるのであります。一體選擧區というものは、實にこれはむずかしいものであつて、いろいろな變遷があると思うのであります。明治二十二年に山縣内閣におきまして小選擧區から始まりましたが、これは明治三十三年まで十一年間續いておるのであります。しかし小選擧區制定の最初の責任者である山縣内閣總理大臣は、小選擧區の弊に懲りて、その十一年後自分が第二次山縣内閣をつくつた時分に、これを大選擧區に直しておるのであります。そしてこれが續くこと十九年間、大正八年に至つて、原内閣總理大臣時代、いわゆる政友會時代に、原内閣總理大臣は、小選擧區を布いて、また小選擧區に戻して確かに政局の安定を得たのであります。これは植原内務大臣などはよく御存じのはずであります。と申しますのは、その時分の政友會は、第一黨ではありますけれども、わずかに、百六十五人であつたのでありますが、この小選擧區制を強行することによつて、奇蹟的に二百七十八人の當選を見ておるのであります。小選擧區制は由來日本における限り、與黨側にきわめて有利なものであることは歴史の示すところであります。從つて奇蹟的なかくのごとき多數を得まして、政局はまさに安定いたしたのであります。多數の者を得れば政局が安定するということが正しい政治上の原則であるならば、この政友會内閣において安定は見たのでありますが、しかしながら日本の選擧史上において最も腐敗混濁せるところの、非常な醜態を演じましたのは、この原内閣時代の小選擧區であります。(拍手)ただいま提案になつておりまする五人區というものは、これは專門的見地からいえば、中選擧區というものであろうと思いますが、しかし今日のごとく交通が進み、通信機關が發達しますと、しかも日本全國をもつて一選擧區とするような大選擧區が容認せらるる時代におきましては、まさにこれは小選擧區であります。その弊害は原内閣時代の小選擧區と同じ轍を踏むものと私は信じて疑わないものであります。しかも政局は安定したとは申しますけれども、その安定ははたしてほんとうの安定であつたのでありましようか。原總理大臣は、大正十年何ゆえに刺し殺されたのでありましようか。しかもそれから間もなく、大正十三年の總選擧におきましては、この天下に榮華を誇つた二百七十八名の政友會、一時は三百名を越しましたが、それが次の總選擧においては、物の見事に百六人の少數に落ちたじやありませんか。一黨の專制、しかも與黨の多數の名をかりて、この選擧制度をば惡用するごときことがあつたならば、一度は安定するかしれませんけれども、政局は斷じて安定するものではないと私は確信いたします。私の憂にたえざるものはここにある。新日本の性格は、新日本の政治は、公明正大なる原則の上に打立てられなければならない。いかなる思想の者には門戸を狹める、あるいはこういう主張の者を議員に出してはならないというようなことが、毛筋ほどでもありましたならば、これは議院制度を毒するものであります。原則として許されないものであります。私は殘念ながら今囘のこの輕率なる改正の中に、脈々としてかくのごとき要求が伏在していることを見ることをば、日本憲政の發達史上に、しかも新國會を構成する、全國民の意思を最も朗らかに、最も正しく反映しなければならないこの重大なる過渡期において、私はこの點を眞に遺憾といたしまするがゆえに、先般來、この問題だけは愼重に扱わねばならない。輕率にしてはならないと、聲をからして申してまいつておるのであります。この點につきまして、一體永い歴史を御承知になりまする植原内相は何とお考えになりましようか。しかもその小選擧區はわずか六年しか續かないで、大正十四年普選の初まつた時分に、これは中選擧區に變つたのであります。この中選擧區が二十一年續いて、幣原内閣の時に第六囘目の改正があつて、ここに大選擧區制が布かれたのであります。もちろん昨年の春行われましたところのこの大選擧區制の新しい試みによつて現われました現象は、今植原内相が御指摘になりました通りに、たくさんな小さい政黨が續出して安定を欠いた形に見えたのであります。フランスにおけるごとき現象も生じたのでありますけれども、これは過渡期に起る必然の現象であつて、決して憂るには足りません。現に普選開始の當時の選擧におきましては、昭和三年二月二十日に行われました普選開始當時の選擧の結果にも、少數黨はたくさん現われております。選擧權を擴大して、新しい選擧法の下に選擧が行われますれば鬱血したるところの民心がこれに反映して、いろいろな異現象が生ずることは當然でありまして、この時分に現われました政黨の數はたくさんありましたが、當選した政黨の數は八黨であつたのであります。今日院内には、新しくできた日本農民黨を加えても、七つの黨派しかないのであります。黨派としては六つでありますが、無所屬を入れて七つであります。すなわち六つの政黨しかない。この普選開始の當時には、この日本の議會には八つの黨派が現われたのでありますが、しかしこれは選擧權を擴大して選擧法を變更した場合に起る當然な現象であります。これは決して永遠の憂ではないのであります。從つて安定することは、その後の推移において明らかなことであると私は思うのであります。こしうて日本の選擧區は五十九年の憲政史上、六囘の變更を經ておりますが、小選擧區から大選擧區になり、さらにそれが小選擧區に移り、その弊害にたえかねて中選擧區ができ、さらにもつと進んだところの大選擧區制が、この幣原内閣時代に出現して今日に及んでおりまするのが、それをそのまま延長して、參議院議員選擧には大選擧區、超大選擧區まで出現している。これが比例代表制度になりました時分に、私は初めて全國民の意思をば、公正に議會に反映するものと信じて實は非常な喜びをもつておつたのであります。その今日まで順調に發達してまいりました五十九年の歴史の跡を顧みましても、この匆卒の際にどうあつても引戻さなければならないというその意味が、私にはどうにも了解いたしかねる。この點につきまして重ねて植原内務大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=147
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148・植原悦二郎
○植原國務大臣 選擧區制の變遷に對して長い歴史から御推論になりましたが、この歴史を推論するにつきましては、かなり愼重なることでなければならないと思います。選擧區だけの問題が選擧の結果に現われたのではありません過去五十九年の日本の憲政の上の選擧の結果を見ますれば、御承知の通り、明治二十二年の選擧資格は三十、その後が選擧資格が直接國税十五圓、その後が十圓になり、さらに三圓になり、普通選擧になつたのであります。選擧資格を與へられた有權者が一區内においてどれだけあつて、いかなる結果をもたらしたか。こういう事實をはつきりと考慮に入れないで、擧擧區に對するところの歴史的の結果を議論することは、正しい結論に到達するものでないと信じております。明治二十二年の小選擧區が山縣内閣によりまして大選擧區にされた歴史、これは日本の政治史を知つている人ならば、この點は議論のない筈であります。山縣公は極端な反動政治家で、明治二十五年、二十六年、二十七年日清戰爭のあと、政黨の勢力が非常に伸びることを止めるがために、御承知の通り軍人のみに限つて大臣になるところの、陸海軍の省令をつくりました。それと同時に小選擧區では政黨の勢力が伸びていかぬというので、大選擧區をつくつた。この歴史のことを御存じあつたならば、ただいまのような御意見とは違つた結論に到達すると思います。また原内閣當時にできました小選擧區、なるほど原内閣のもとにおいて、小選擧區によつて政友會が多數を得ましたことは事實だが、その次には松原君指摘のことごとく敗けている。小選擧區が必ずしも政府黨に有利であるという立證は松原君おあげになつた事實から、直ちにこれを證明することはできないのであります。小選擧區でありましても、政府黨にときに便利なこともありましよう。不利なこともありましよう。これは國民の輿論が政治を決するので、むしろ小選擧區だ、大選擧區だということでなく、いろいろの複雜な問題がはいつてこなければ、ただ選擧區の問題のみをとらえての今の御推論は、これはここで議論をしても、將來の記録――日本の歴史の上にわれわれの言論として殘るのであまりす。私は少くともこれを考えれば、笑われるか笑われないか……。
〔發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=148
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149・山口喜久一郎
○山口委員長 靜肅に願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=149
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150・植原悦二郎
○植原國務大臣 これから皆樣方五年、十年經つてお話になれば、はつきりすることで、過去五十九年におけるところの選擧區について私の推論しておることは、松原君よりはもつと歴史の事實に基いた正確なものであることを、私斷言して憚らざるものであります。それゆえに小選擧區が必ずしも政府黨に有利とか、有利でないとかいうことは申されないのであります。そうして中選擧區でも、松原君御指摘になりましたように、日本で一番長く續いた選擧區の時代は何かといえば、小選擧區より大選擧區、その次が中選擧區、いま議員諸君が御提案になつている中選擧區は二十一年、少くも七囘の總選擧を續けて來たものに象つたのであります。その象つたものも、御承知のように初めは選擧權の資格は三圓であります。それが後に制限がなく、年齡が二十五歳になりまして、現在においては普通選擧で、男女とも同等の權能をもつ、二十歳以上のものが資格を有するのでありますから、これを考慮に入れますれば、より多く小さな選擧區ほど、政局を安定せしむるのみならず、國民の意思を代表せしむるに有利であるということは、いかなるところの政治學者も議論の餘地のないところだと確信して疑わないのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=150
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151・松原一彦
○松原委員 植原内務大臣に重ねて伺います。實に政治に經驗の多い博學の内務大臣、私はもちろんかけ出しの一年生の議員でございますから、深いことは存じません。この小選擧區、あるいは中選擧區、選擧區が小さくなれば、最も國民の意思を代表することができる。こういういまお話でありましたが、しからば伺います。百人をもつて一選擧區を構成し、一人を當選せしむる。こういう選擧區があつたといたしましたときに、ここに三人の候補者があつて、甲は三十五票をとつて、第一位となり、乙は三十四票、丙が三十一票となつた。三十五票は當選いたすのであります。しかるに投票はとつたけれども、當選せずして無效となつたいわゆる死票は、實に六十五票あるのであります。六十五人の意思は議會に反映せずして、三十五人のみの意思によつて議員を出すというような、こういう小選擧區の單記制が、はたして國民の總意を代表するものとお認めになりましようかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=151
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152・植原悦二郎
○植原國務大臣 先刻申した通り、選擧區の問題を論ずる場合においては、そこの有權者の數をも考慮いたさなければなりません。ところが三十人、五十人、百人というような、僅かな人間を計算しては、選擧區の問題は議論できないのであります。先刻來私が申し上げた通り、小選擧區であつても、その小選擧區の有權者の數がいかなる資格において、いかなる數があつたかということまでも考えなければ、正しい結論には到達せぬと私が申し上げたのも、その意味であることを御承知願いたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=152
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153・松原一彦
○松原委員 まことに奇怪なお話でありまして、そういうことはいかなる子供が聽いてももつともとは思はないのであります。(拍手)今多數の意思を議會に反映せしむる多數代表制、これは選擧の一つの原則となつておりまするが、しかしそれでは少數の意思が反映しないというところから比例代表制度が世界各國に行われまして、そして今日は多數代表制に加えて少數代表制、これを按分比例によつて全人民の意思をそのままそつくり議會というところへもつてきて、そうして總意を集めて論議する。もし一部のもののみが多數であるというので多數專制の弊が現われ、ごく少數意見者は、常に議會の門戸の中にはいることができないということになると、議會外の直接革命その他の暴動となることは、今日常に唱えられておる普通選擧、比例代表等の原則であります。それがゆえにこそ議會政治は、いつも間拔けな、のろまな、今日のごとく振わない、進まない、能率の低いものではありますけれども、これが革命暴動を防止するところの唯一無二の安全辨であると言われておるゆえんであると信じておるのであります。これは植原内相もよく御承知と思います。しかし私は公式論に拘泥するのではありません。日本のこどき被占領下における國、複雜なる外交關係、内部關係等をもつておる國におきましては、これはいろいろな手心を加えなければなりますまいし、政治的解決の手段もあろうと思います。しかし議論をすればはてしのないものがあるのであります、今植原内相は時のいろいろな條件を勘案してというお話でありますけれども、小選擧區、大選擧區においては、どうしても死票が多く現われるか現われないかという、嚴然たる事實があるのであります。その一つの例を申し上げましよう。明治四十五年五月十五日に行われましたる第十一囘の總選擧、これは大選擧區で行われたのでありますが、いわゆる當選者の得票を除いた死票は、一割八分七厘であつたのであります。大正四年三月の大選擧區、第十二囘の總選擧は、二割二分六厘であつたのであります。大正六年四月二十日の總選擧におきましては、二割三分一厘という一割臺ないし二割臺でありましたが、これが原内閣時代の小選擧におきましては、大正九年五月十日、第十四囘の總選擧の死票の數は三割一分五厘であります。續いて行われましたる大正十三年五月十日、第十五囘の總選擧における死票は、實に三割四分八厘というものを數えて、今日までかくのごとき死票を出した例はないのであります。爾來中選擧區に移りましてからは、お説の通りに中選擧區には非常なうまみのあることは私も心得ております。從つてこの死票は常に二割臺を前後いたしておるのであります。こういう意味から申しましても、選擧區は小さいほどいろいろな弊害があり、もう歴史に示す通りにまことに目も當てられないような慘憺たるものを出すのでありますからして、選擧區が小さくなればなりまするほど情實因縁がきき、買收がきき、郷土色彩の濃い、常に郷土の世話をする者が當選して、高橋是清先生のごとき、あるいは尾崎行雄先生のごとき方々が、小選擧區時代にいかに苦しめられたかは、植原内相もとくも御存じのことであります。これが選擧區が大きくなりまするというと、そういう常に結婚の仲人や、金の借り貸までこまめに世話をやつておるような郷土的小さい人物は當選せず、もつと大きい人物が廣く物色せられて當選するということも、これは明らかなる事實なのであります。私は今こんなことを喋々と申し述べる必要は毛頭ないのです。實は選擧區のごときは五人にきめてもよければ、七人にきめても、提案者が言われる通りに、これは常識で、時の情勢で判斷すればいいので、それはいかようにも相談のつく問題である。議員全體が納得すれば五人以下でいくこともよければ七人以下でもよく、そこには科學的根據はないのであります。論ずれば今のような小選擧區にはこういう弊害もある。大選擧區にはこういう弊害もあると言いますが、時の情勢に應じて選擧區を變更することは、實はいくら議論をしてもこれは盡きないのでありまするから、相談の上で全員が納得すれば、そんなにむずかしい問題ではない。片づく問題なのであります。その片づくむずかしくもなにもない問題を、もみにもんで今日ここまでまいつておる。ここに私はいかにも不明朗な、いかにも困りきつた、いかにもやつかい千萬な、どうしてこうまでもみにもませるかと、私はこのうち來瀕りに疑いぬいておるものなのであります。今御承知の通りに、院内には重大法案が山積し、一般の世間には半月以上の遲配、まつたく食うに食われず困りきつておる。それがたまたまいもを買いに一歩外へ出れば、これはやみとして檢擧せられてしまう。やみ買いもできない、配給はない。困りきつた人間が思想的に尖鋭化して、いろいろな方面に不安をもち來しておるということは内相も御承知の通り。その責任は内務大臣が治安の責をもつておいでになるのであります。外にはかくのごとき政治上のいわゆる大きな失態が現われており、この院内にはかくのごとき議案が山積しておる際、やみくもに夜中までこうして委員會を開いて、今夜中にもこれを押し切つてしまわなければならないというような、そういう輕率な取扱いが、この選擧法という重大問題にあつていいものかどうか。またこれを話合いにすれば、私は今夜即座にも片づく問題だと思う。提案者の方においても、五人區は七人區にしても別に御異存はないらしい御口吻があつた。社會黨は七人ならば結構滿足すると言つておる。それをばもみにもまして、どうあつても現行選擧法ではいけない。中選擧區單記制でなくてはいけないと、與黨をして頑張らしむるものの、その背後に政府のあることを私は確認するものであります。(拍手)しからば、かくのごとくもみにもんでやつておるところの、この責任は政府にあります。私はかように斷じて疑いません。これについて内務大臣は、いろいろさつきから形式的なお答えがありまするけれどもが、私は一笑にも價せぬものだと實は思つて聞いておつたのであります。實は私は先般來ずつとこの委員を務めまして、この選擧法の審議の經過を見ておるのでありますが、先般内務大臣が御説明になりましたところでは、これは一つの手續法の整理である。きわめて簡單なものであると、内務大臣はかように御説明になつて、委員はことごとくこれを了承し、きわめて簡單にこれを片づくようになつておつたのでありまするが、その後幣原進歩黨總裁が黨員を激勵して、代議士會において悲壯なる激勵の辭を述べられて、この激勵に感奮して黨員中のある方々は、もし社會黨が暴力をもつてするならば、血を見るもわれわれは斷じてこの案を押し通すということが言われたと傳えられておる、眞僞は知りませんけれども……。爾來この審議は悽愴の氣を帶びてまいつたのであります。與黨の側で數をもつて押し切る。どうあつても押し切る。しかも野黨の側でこれを阻止するならば、どうあつても、血を見てもこれは阻止させない。斷じて通してしまうという意氣込みが現われまして、その最も有能なる指揮官が委員に隱れて、そうして前線について、理事を承つて指揮をとるようになつた。これ以來この委員會は悽愴の氣を帶びた。平和なる民主國家、戰爭を抛棄したる第一年次とも申すべき、實は新しい國會をつくるべき一番大事なこの和やかなるべき議會が、まさに亂鬪、血の雨を降らさんがごとき姿をもつて推移するようなことになつたものであります。しかも社會黨の諸君は、どうかしてかようなことを阻止したいというところから、私は滿腔、原則としてこれには贊成をしておるのでありますが、どうかしてかくのごとき輕率なる措置をとらせてはならないというので、論議を盡すために少數黨の唯一の武器であるところの言論、演説によつてこれをば阻止しようとしたのであります。もちろん時間をかけております。思い切つて時間をかけております。これは合法的なものであつて、世界共通、許さるべき性質のものである。これを止めるべき何ものもないのであります。論議を盡せばものはわかる。やがてこの論議を盡すうちに、與黨の諸君も無理がわかるであろうと、私は贊成して聞いておつた。現にその證據には、昨晩のごとき現にわかつて、野黨側から修正意見を出す時に野黨の諸君は、それはそうだ、百條の二は削るべきものだと、そこに立派な啓蒙が行われたのであります。(拍手)論議は盡さねばならぬのであります。これが議員唯一の責任であり、またわれわれの權利だと私どもは信じておるのであります。それを阻止しようとし、しかもどうあつても押し切ろうという意思が表現せられたときにあの亂鬪となつたのでありまして、あの現象を見れば社會黨がいかにも亂暴をしたようで、ある大臣は私に血相を變えて、何という亂暴だと言つて叱りつけられまして、君は何でそんなことをするかと言われましたが、私はこの經緯をば一から十まで存じておるのでありますが、私は今囘のこの選擧法の提案のしかた、動機は知りませんけれども、推移を眺めまして、あの亂鬪になるのは、これを亂鬪になるように仕向けたところの與黨の責任であると私は思う。あのまん中におつて終始見ておつた私は斷じて申し上げたいのであります。決して私はこれは強辯ではないと思う。かくのごとく選擧法をして紛糾に陷れ、外には餓ひょう道に充つるといつたような時に、このようなる混亂の中に選擧法を議せねばならない必要があるのかどうか。それは議員に聽けと言われるだろうが、私はそうは思わないとさつきから言つておる。この點につきまして植原國務大臣の責任ある御答辯をお願いいたしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=153
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154・植原悦二郎
○植原國務大臣 ほかの方は多く御存知かどうか知らないが、松原君と私はずいぶん長い間、選擧肅正や選擧の問題を正しくしたいというて、ともに途を歩いてきたものであります。松原君はよく御承知だと私は思いますが、どうかこういう選擧法が議員諸君の間に、圓滑に進展して、よい結果を得ることを切望して止まざるものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=154
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155・松原一彦
○松原委員 私も同感であります。植原さんは、あのゆがめられたる翼贊選擧の抑壓によつて非常な苦戰に陷り、ついに落選せられたことを御同情申し上げる。(拍手)政府がある種の意圖のもとに選擧をゆがめますと、植原さんのごときも落選してしまう。選擧に政府がある種の意圖をもつて臨むことは罪惡なりと、お互いに叫んで參つたものであります。しかして植原さんこそ、そのときの被害者である。この被害者たる、しかも民主主義者、自由主義者である植原さん、選擧肅正をわれわれと一緒に唱えられた植原さんが、内務大臣の地位にお就きになつたならば必ずや公明正大、筋の通つた選擧をせられるものと私は今日まで確信している。今囘の行動は正にこれを裏切るものである。私は心から遺憾とするものであります。しかしこれは意見の相違だと言われるならば、いたし方はございませんけれども、しからば植原内務大臣にお尋ねする。まことに不祥な結果を招來しておりますが、この案はこうすれば決して滿場一致で通らない案であります。絶對に通らないことを私は信じますが、それでもなおかつ押し切つておやりになる御意思がありや否や、お伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=155
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156・植原悦二郎
○植原國務大臣 私は内務大臣として、選擧はどこまでも嚴正公平に扱うものであります。この選擧法は議員諸君がなるべく圓滑裡に、いい結果をもたらさんことを切望して止まぬものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=156
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157・松原一彦
○松原委員 重ねて私は内務大臣にお伺いいたします。どうかここは男らしく、政府も與黨もこういう案は一遍とり下げて、新議會において、全國のこの途の學者を集め、議員中のヱキスパートを網羅した委員會を組織し、十二分に研究の上、公聽會等を開いて、新たに最も時宜に適した選擧法を制定する御意思はないかどうか。この前のような輕率なことをすればこそ、とかく官僚の空想によつて生まれることになりました結果を考えてみましても、私はこの選擧法をもつともつと重大に取り扱いたい、内務大臣もおそらく私と同感であろうと思う。内務大臣の政治的良心に省みまして、どうか今日限りは現行選擧法において行い。そうして次に新たに、日を改めて選擧法を根抵から考え直すよう、お導きになるところのお心積りはないかどうか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=157
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158・植原悦二郎
○植原國務大臣 お答えいたします。私は議會においては、議員諸君の多數の御意向を尊重するものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=158
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159・松原一彦
○松原委員 これから上は申しません。よくわかりました。しかし私は最後まであきらめません。私は、どうあつても、かような輕率なことによつて新國會の選擧を行いたくないのであります。私は新國會をほんとうに立派なものにするためには、現行選擧法でよいと考えております。現行選擧法をこのまま一應行つて、それを内務大臣が至公至平にお扱いにさえなれば、一囘は二囘、二囘は三囘、積みかさねて、決して惡い結果は生じないと私は信ずるのであります。マ元帥が第一囘ですらも滿足せられたのであります。いわんや、玄人の内務大臣が采配をお振りになれば、今度の選擧が公正に行われることもまた期待せられるでありますから、私は最後まであきらめません。こういうふうな紛亂のうちに無理押しにやつたあともどりの選擧法でないように、どうか改めて立派な選擧法のできるまで、現行選擧法でいくよう希望を申し述べて、私の質問を終ります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=159
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160・山口喜久一郎
○山口委員長 加藤鐐造君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=160
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161・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 連合軍最高司令部におきましては、選擧には、政黨の代表者あるいは政策を中心として選べということを、過日來頻りに申されております。そうして政策のはつきりしない者に投票するのは、あたかも行先のわからない汽車に乘るようなものであるということを申しておるのであります。先ほど提案者は、大選擧區制によると、候補者の運動が不徹底である。運動が困難であるということを申し述べられましたが、政策を中心として選擧を行いますならば、私は選擧區が全國區であつても十分運動が徹底するものであると考えるのであります。從來のように情實選擧をやろうとするから、選擧區が大きいほど選擧運動が徹底しないことになる。私はそういう點で、自由黨あるいは進歩黨の提案者諸君は、今後の選擧は政策を中心としてやろうとするのでなくして、やはり從來の情實因縁、あるいは買收による方法をもつてやろうとしておられるというふうに考えざるを得ないのであります。私は前囘の選擧におきまして幾多の事例を見ておりますが、私の近くにこういう事實があるのであります。その候補者の名前は申しませんが、大政黨の幹部の地位の人でありました。
〔委員長退席、神田委員長代理着席〕
その人は政策を少しも發表せられない。演説會におきましても、あるいは公報におきましても、私は何も政策がない、自分の政黨の政策をよく知らないというようなことを、平然として言つておられる。そうして盛んに地方のいわゆるブローカーをかき集めて、買收せられたかどうか知りませんけれども、そうしたブローカー選擧をやられたのであります。その結果どうであつたかと申しますと、その人は自分の周圍の票は非常にたくさん集めたが、遠方の票はほとんど集まらなかつたのであります。私の縣におきましても相當有名な人物でありましたが、地元の票だけを集めて、少し離れた所の票は集まらないで落選したのであります。こういう事實はたくさんある。その他にもいわゆる中立あるいは無所屬で前囘立つた人々の中には、何ら政策をもたずして、そうして金の力で出ようとした人がたくさんにあつたのであります。その結果から判斷いたしまして、あくまで政策を中心として選擧をやれと、連合軍最高司令部の強調しておられるところは、これはまことに適切である、こう考えるのでありますが、提案者はそういう點から、一體政策を中心としての選擧を否定されるかどうか、伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=161
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162・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。大體に中選擧區にすると買收に便宜ではないかという點を主として論ぜられたようでありますが、この點につきましては、先ほど來たびたび申し上げましたように、そういうことをいろいろ聞きますと、何十萬人という買收なんということは私には想像もできないことであります。昔は一票何圓ということがあつたそうでありますが、そういうことは私どもには想像できませんし、先ほども申し上げました通り、つまり中選擧區と大選擧區とは、私の選擧區について申し上げますと、百二十萬が六十萬になつたために、一人の候補者が買收に便利だというようなことは、どうしても私は常識的には考えられないのであります。私の縣などは、現に同じ私どもの提案しておる、中選擧區をとりましても、ある地域、すなわち釜石あたりに行くには、東京に行くより日數を要するのでありまして、そういうような點から言いましても、東京あたりとは多少事情が違いますが、むしろ中選擧區の方が前段申し上げましたような理由で結構だと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=162
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163・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私は政策を中心として選擧をやらなければならないということを言つておるのであります。その點について提案者としての自由黨が、今後の選擧をあくまで政策を中心としてやつていかれるか、あなたがいくら否定されても、從來の選擧というものはあるいは因縁、情實、買收というものがつきものであつたのでありまするが、そういう點をこの際一掃して、あくまで政策を中心としての選擧をやらうという方針であるかどうか、この點をお伺いしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=163
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164・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。政黨が政策を中心にしないで進むというようなことは想像できないことでありまして、それ以上のことは御想像に御一任いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=164
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165・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私の想像に一任されれば、私どもの判斷ではこうした選擧法を提案されるという氣持は、いわゆる政策によつて爭つては不利であるから、なるへく選擧區を小さくして、因縁情實によつてやらうというお氣持であると斷定せざるを得ないのであります。先ほど來私は繰返して申しておりまする通り、政策を中心として選擧をやろうとしますれば、大政黨の政策というものは、その黨が發表すれば直ちに新聞がそれを載せまするから、天下に公表されておる、從つて多少不便な選擧區でありましても、必ずしもその選擧區のすみからすみまでまいらなくても、その政黨の政策は徹底するのであります。そういう點で先ほど來言葉をぼかしておられまするが、もし一應提案者のはつきりとした御答辯を承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=165
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166・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 今の加藤君の御質問はどう申されましても先ほど申し上げました通り、政策を中心としていくことには變りはありませんので、それ以外の點は大體私の答辯したことを御信用なさらずに、あなたの御主觀で斷定を下されるのでありますから、これ以上御答辯申し上げてもどうもならぬと思います。ただ一言申し上げたいことは、先ほど徳田君からもお話がありましたが、昔の時代と違つてラジオがあるではないか。ラジオが出たばかりでも選擧區というものは非常に短距離になつた。世界的にも短距離になつた。こういうような意味において、何も本人が政權發表に行かぬでも、あるいは公報などに載せぬでも、みな國民がそれぞれ各黨の政策はわかつておるわけだというふうなお話でありますが、それは理窟であります。現實の日本大衆の大半というものは、やはり新聞に出ていてもなお納得できない點を、候補者が行きましてそうしてお互いに懇談して、初めてその政策に共鳴し、あるいは反對するという機會が、むしろわれわれの選擧區には多いことを、殘念ではありますが、事實として認めなければならぬと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=166
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167・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 この改正によりまして、提案者ははたして何黨の進出を抑えようと企圖しておられるかということは――この政策は別といたしまして、これによつて婦人代議士が非常に減少することは、これは多くの人が豫想しておるところであります、この點につきましては、昨日でありましたか、一昨日でありましたか、自由黨の大野幹事長も婦人代議士に對しまして、君らは最後だからよく見ておけというようなことを言われて、婦人代議士が非常に憤慨されたという事實も私は聞いておるのでありますから、自由黨の大野幹事長が保證せられるごとく、婦人代議士が非常に減少するであろうことは、何人も豫想し得るのであります。この困難な日本の再建のために、婦人の非常な協力が必要であるということは申すまでもありません。また從來の封建的な桎梏の中に拘束せられておつたところの婦人を解放しなければ、日本の民主化が行われないということも、これは何人も否定することができないのであります。せつかく前囘の選擧におきまして非常に進出をいたしました婦人代議士を、またひつこめてしまうというようなことは、これは日本の民主化の上におきまして、婦人の協力というものが非常に減退するという結果になると私は思うのであります。この點について提案者はどういうふうにお考えになるか、お伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=167
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168・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。中選擧區單記制というものが、必ずしも婦人の進出を阻む制度ではないと思います。むしろ私は加藤君とは違つて去年の當時よりも婦人の政治に對する關心が非常にみなぎつておりますから、この制度をとつたからというて、必ずしも婦人が進出を阻まれるというようなことは毛頭ないと思います。しかしふだんそつちこつちの、いわゆる巷間傳えるところによると、これは婦人代議士には非常に不利であるということを言われる方もありますが私はそうしたことは杞憂に過ぎないものであると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=168
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169・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 これは結果を見ればすぐわかることでありますが、今ただ單に理論的に、婦人は人口の半分を占めておるから、別にこれによつて婦人の代議士が減るわけじやないという理窟をあくまで主張されるならば。これはやむを得ないことであります。あなたの御答辯が事實を無視したところのその場逃れの無責任な御答辯だと斷ずるよりほかはないのでございます。私はさいわい幣原國務相がおられまするから、政府のこの點に對する御見解を承りたい。前囘の選擧の際の投票の筆跡を見ましても、またあるいは二名連記、あろいは三名連記された場合に、候補者の名前を書かれた順序が大體において婦人があとになつている、この事實から見ましても、筆跡によつて婦人が案外婦人に投票しておらないという事實、これは微妙な婦人の氣持を現わしておると思いますが、しかしながら婦人が婦人に投票しないからといつて、われわれは婦人の代議士が出なくてもいいとは考えられないのであります。どうしても婦人の協力を政治の上に求めるためには、私はできるだけ婦人の政治への進出が必要だと考えるのでありますが、この點につきまして幣原國務相の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=169
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170・幣原喜重郎
○幣原國務大臣 婦人が今囘の選擧制によつて減りはしないかということについての、私の意見をお聽きになつたのでありますが、私は實は選擧の問題にはそう通じておるものではありません。經驗もございません。しかしながら私がここではつきり申し上げ得られることは、この法律の改正案というものは、決して婦人を減ずるなんというような考えは毛頭ありません。婦人の努力を政治の上に利用するということは、これはきわめて必要なことであり、有益なことであると思つております。そういつたような意味でこの改正案が出たものではないと私は確信いたします。また私はそういつたような結果を生じないように、私は自分で念願しております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=170
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171・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 先ほど來本修正案の提案が、黨利黨略に基いたものであるということを申し上げましたが、私はこの事實をこの修正案の重點と考えちれるところの別表の中に見出し得ると思うのであります。大體この別表は大正十四年でありましたが、改正になりました中選擧區制の別表を基礎としましてつくつたものであります。あの當時の選擧法は、確かに選擧の神樣と言われた安達謙藏氏の手によつて、きわめて黨利黨略の上に立つて立案せられたものであると、私の記憶に誤がなければその當時聽いておりました。その當時の別表に基いて、それに多少の修正が加えられておりますが、しかもその修正たるや、さらに現在の與黨の諸君の黨利黨略に基いて、修正が行われておるという事實を、われわれは見なければならないのであります。私はこの別表というものは、假りに中選擧區制がよいということにいたしましても、大正十四年當時の別表そのものを適用するということには、相當異議があるのであります。あの當時の別表というものが、その當時の與黨の黨利に基いてこしらえられたものではないといたしましても、やはりこの選擧區の問題につきましては、その當時と相當變化した情勢を考慮して行わなければならないと思うのであります。先ほど淺沼君でありましたか、大體一つの選擧區は風俗人情というものを基礎にして、その一つのブロツクの基礎として決定すべきではないかというお話がありましたが、私はさらに一つの經濟的な關係におけるブロツクというものを中心として、選擧區の單位をきめるべきではないかと考えるのであります。そういう點から考えますと、大正十四年にこしらえられた別表を、大體において踏襲するということは、これは私は不合理であると考えるのであります。その當時から今日までの、非常に變化を來したところの、經濟的な變化というものを考慮して改正を行わなければならないと思うのであります。そういたしますれば、相當ここに考慮が拂われなければならぬと思はれるにかかわらず、それがほとんど踏襲されており、しかもその結果、さらにそれに黨略を加味したところの修正が行われておるようでありますが、もしこの案を提案者が提案理由を十分われわれをして納得せしめられた上、われわれが同意するというようなことになつたといたしましても、この點は十分檢討しなければならないと思うのでありますが、さらにこれを檢討せられるところの氣持があるかどうかということをお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=171
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172・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします、先ほど淺沼君にお答えしたように、大體別表はまず人口、地理あるいは行政區畫、淺沼君の言つた人情習慣ということも含みます。また經濟も考慮します。こういうふうな諸般の事情を考慮して決定しましたが、大正十四年度と同じところももちろんございます。しかしながらこの十四年度の通り決定したところは、やはりただいま申し上げました原則を適用して、やはりそれが現状においてよいという結論に達したからこうした提案にしたのであります。
それから第二に、もしこの別表について疑があつた場合にどうかというお話でありますが、これはただ私が提案者の代表としてお話しておるのであります。私個人の考えといたしまして、われわれの案がなるほど惡いということが、われわれ自身において納得できる程度の良案であれば、それは結構だと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=172
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173・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 この別表の問題につきましては、他の質問者からさらに檢討があるそうでありますから、私はこの點についてあまり具體的に申し上げませんが、しかしこの別表というものが、いかに不合理なものであるか。あるいはまたさらに、黨利に基いて修正を加えられたかという例を一つ申し上げてみたい。最も明瞭な、しかも私が如實に事情を知つておるところの例を申し上げてみたい。おそらくこれをもつて他を推し得るであろうと私は考えるのでありますから申し上げますが、それは私の選出されておる岐阜縣の例であります。最初に新聞に發表になりましたときには、岐阜縣は三つの選擧區に分れまして、これは大正十四年當時そのままに、三つの選擧區に分けることになつて發表されたのであります。ところがその後つい數日前でありますがこれに變更が加えられたということが新聞に出ておりました。その變更せられた結果を見ますると、具體的に郡の名前等は申し上げませんが、三つの選擧區が二つになつております。その二つに割つた割り方が、いかにも機械的なんであります。一つの遷擧區のどてつ腹の中へ、他の選擧區からぐつと割込んできておる。そうして割込まれた選擧區がほとんど眞二つに割れておるのであります。わざわざ眞二つに割れるようにもつていつてくつつけられておる。こういう不可解なことをなぜしなければならないのか。二つに割られた結果、人の選擧區を通つて、しかも不便な山間僻地のことでございますから、汽車に乘りましても時間がかかる。まるきり一日かからなければ、その割られた他の地區へ行かれない。こういう結果になつておるのであります。私は岐阜縣のことは人口の割合からいろいろ調べておりますが、そういう割り方をしなくても、地理的にはつきりと二つに割り得るのであります。ところがそういうやり方をしないで、みようちくりんなことをされた。その裏にはいろいろ候補者と候補者との關係という問題が伏在しておる。そこであえて私は暴露しなくてもよいと思う。わからないとおつしやれば申し上げますが、ここに至りましたのは、ある代議士が懇請の結果であるというようなことが言われておる。私はこういう事實はほかにもあると思う。岐阜縣のごときは、わからないとおつしやるならば提案者の筆頭に出ておりまするところの大野伴睦君をここに呼んでいただいてお聽きしたい。實に不可解なこうした割り方をして、そうしてわれわれを納得させようというようなことを、どうしてあなた方は考えられるか。おそらく納得させようなどというようなことは、みじんも考えていないだろうと私は思う。だからこそ先日來むりおしに理窟を言わせないで、文句を言わせないで、ろくに質問をさせないで、一擧に押し切ろうとせられたのであると私は考える。あなた方はこの機會において、こういうやり方で押し切つて、結果においてはあなた方の勝利に歸するかもわからぬ。しかしながらそういうことをやられた岐阜縣の選擧民はどういうふうに考えるか。これは自由黨あるいは進歩黨の黨利黨略に基いて行われたということは、三歳の童子といえどもわかることなんだ。こういうことをやつて、あなた方はこの大事な日本を再建しなければならない時に、全國民の信頼をかち得るところの政黨になり得るというふうにお考えになるかどうか。その點をお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=173
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174・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。大體選擧區の割り方は非常にむずかしい問題だと思います。たとえば岐阜縣にしましても、あるいは東京都にしましても、十人なら十人、おそらく見解が異ると思うのであります。從いまして、この標準はどうしても先ほど申し上げました原則を主として、人口、それから地理というような點、あるいは經濟情勞等を考慮して、まず誰がここから立つというようなことは、もちろん考慮せずにおかれておつたのであります。しかしその後においで多少變更した點も聽いております。それはもちろん發案者の方でいろいろ意見もありましたが、ひらたく申し上げると、内部でも相當不滿な人もありますし、中選擧區になつたために、自分は當選はおぼつかないという例もたくさんあります。しかしながら自由黨の提案した案であつても、自由黨の議員がおつこちる場合であつても、われわれは大乘的な見地に立つた理論に立脚して進むのが適當ではないかというのが、現在のわれわれの心境であります。決して黨利黨略、あるいは自由黨の議員が當選するような割り方というものはあり得ない。そういうことはでき得ないと考えております。そういうような次第でありますから、ぜひ御諒承願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=174
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175・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 岐阜縣の場合では、なぜ最初にああいうふうに決定せられて、そうして途中から變更されたか。そうしてああいう畸形兒的なかつこうの選擧區の割り方をせられたか。その間の事情をお伺いいたします。
〔神田委員長代理退席、委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=175
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176・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。その具體的な事情は私詳細に存じておりませんから、いずれ適當な機會に知つておる人に聽いてお答えいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=176
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177・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 これについてよく事情を知つておられるところの大野幹事長、あるいはその他の人からお答えを願いたいと思います。この選擧區制の問題は同僚から詳細に質問されますから、それだけを保留をいたしまして、質問を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=177
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178・山口喜久一郎
○山口委員長 中村高一君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=178
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179・中村高一
○中村(高)委員 今度の改正案につきましては、この委員會に付託されておりますものの中で、一番重要なのは別表の改正にあると存じます。これは提案者も非常に苦心をせられて御檢討の上に、こういう案ができ上つたものだと存ずるのでありまして、その苦心のほどはお察しができるのでありますが、また一面におきましては苦心をせられました案であるだけ、非常にたくさんのお聽きいたしたい點があるのでありますが、なるべく議論にわたります方面は他の委員諸君にお讓りいたしまして、別表について順次お尋ねをいたしたいと思うのであります。別表作成の根據につきましては、先ほど提案者の代表として答辯に立たれました小澤君から、大體のところ人口は十五萬をもつて一人とし、さらに地形、それから淺沼君が附加えられたような産業經濟方面の事情を勘案して、別表を作成せられたという御意見でありましたが、さように承つてよろしいのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=179
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180・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 その通りであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=180
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181・中村高一
○中村(高)委員 それではわかりやすいところからお尋ねしてまいります。まず東京の選擧區を七區にわけておりますが、人口竝びに地形はどういうところを根據にして七つにお分けになりましたか。そういつてみたところでお答えしにくいと存じますから、もつとつつこんでお尋ねをいたしますが、東京の第一區は定員四名が割當てられてあります。ところがこの人口は六十五萬七千三百八十三人であります。ところが同じ東京の第六區は人口六十八萬八千四百八十六人であります。その差わずかに三萬人でありますが、十五萬人を標準にして一人だというのに、この差はわずかに三萬人でありますが、これは何か根據があられるのでありましようか。地形竝びに人口で御説明を願いたいと存じます。
さらに東京の第四區は定員三名でありまして、人口五十萬七千六人であります。しかるに同じ東京の第五區は五十四萬三千八百七十七人であります。この差わずかに四萬人でありますが、定員は一名違つております。これは人口におきましては十五萬人という線に沿うておりませんが、何か地形の上におきましてそういうようにおわけになる根據がありまするかどうか、まず御説明を願いたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=181
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182・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 簡單ですから自席からお答えいたします。今中村君の御指摘になつた數字と、私の内務省から便宜いただいた數字とは違うようですが、さいわいに地方局長がおられますから、その點間違いあつてはなんですから、さきに地方局長がら御説明を願います。まず中村君の質問の數字が適切であるかどうか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=182
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183・山口喜久一郎
○山口委員長 ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=183
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184・山口喜久一郎
○山口委員長 それでは速記を始めて下さい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=184
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185・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 私の言うのは決して答辯を囘避する意味ではないのです。ただ中村君がただいま御指摘になつた數字と、私の知つておる數字とは違うので、さいわい内務當局がおられますから、あなたの數字が内務當局で調査したのと符合しておるかどうかを、内務當局からまず答辯してもらつてから……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=185
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186・中村高一
○中村(高)委員 そういうことを私は聽いておりません。ですから提案者が御答辯くだされば結構であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=186
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187・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたします。念のために申し上げますが、中村君の指摘になつた第一區の人口は、私の方では六十三萬一千八百五十四人と記憶ております。それから六區は八十三萬九千三百九十七人、それから四區は五十萬七千二人、五區は五十四萬三千八百七十七人、この數字が中村君の質問と一致しておるとすれば、これは東京府の割當人口を、さらに按分比例によつて決定した結果が、ただいまのように一定の定員數が出てくることになつておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=187
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188・中村高一
○中村(高)委員 それでは第一區は定員四名で第六區は五名でありまするけれども、その差はあなたの方の計算ではいくらという差になりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=188
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189・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 差額はもつておりませんが、ただいまの數字のそろばんでとればわかるので、あとは皆、按分比例で出しておりますから、差額の數は出しておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=189
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190・中村高一
○中村(高)委員 それではちよつと伺いますが、第六區の荒川區は多少違うかもしれませんが、これは官報によつたのでありますが、十萬八千五百七十三です、それでいいですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=190
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191・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 實はこの表は私の方で一區々々わけまして、區を組み合わせて、その區の合計だけを内務省からもらつて、それを按分比例にしましたものですから、各區の數は私はわかつておりません。(「それではこれは内務省の提案か」と呼ぶ者あり)人口のいかんということは内務省で調べるより途がないので、内務省から資料をもらつたのでず。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=191
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192・中村高一
○中村(高)委員 第四區と第五區のことでありますが、四區は大體五十萬でありまするが、五區は五十四萬で、わずかに四萬の違いのようでありまするが、これはどういう根據で一人定員を違えておるのでしようか。四萬では十五萬人とは非常に違うようでありまするが……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=192
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193・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 これは先ほどお答えした通り、この按分比例によつてやつた數字が四萬違つても、ここへ一人あてはまるようになるのです。ただ十五萬というのは、基本人口十五萬というのが平均十五萬になつておるという意味で、この按分比例をいたしますと非常に得な場合もあるし、損な場合もあります。從つてこのような四萬でも一人殖えるという場合ができ得るのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=193
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194・中村高一
○中村(高)委員 おそらく提案者も別に按分比例したわけでなく、ただそういうものだらうという前提から立論せられておるのだらうと思います。たとえば東京の第一區のごときにおきましては、定員四名ではありまするが、地形からいきますると、墨田と江東が隅田川を挾んで一つになつておるのでありまするが、そういうような點からいきまするならば、一區は必ずしも四名でなくて、地形の上からいきまするならば、川からこちらを一つの區にするというようなことが合理的だと思いまするが、川を挾んで墨田と江東を一區に加えた根據はどういうところにあるのでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=194
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195・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 たとえば川があるのにどうしてこれを一區にしたとか、橋があるのにどうだというようなことを論じ出してみたら、とうてい解決はつきません。見方によつてはいかようにも論ぜられるのでありまして、とにかく私どもは、從來の關係とか、戰災に遇つて人口が稀薄になつた區とか、そういう點を總合いたしまして、そうして原案のように決定しております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=195
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196・中村高一
○中村(高)委員 あまり明確ではありませんけれども、これは私の方も調査をいたしまして、さらに質問を續けたいと思います。數字のことでありまするから、的確を期して再度適當な機會にお尋ねしたいと思うのであります。
次は千葉縣でありまするが、千葉縣の第一區は定員四名でございます。第二區も定員が四名でありまするが、千葉縣のところをよくごらんを願いたいと思います。千葉縣の第一區は人口が、この官報による計算によりますると、六十九萬百四十七であります。第二區は定員同じく四名でありまするが、五十四萬七千八百六十六人で、その差がちようど十五萬あるのでありまするが、十五萬の差があつて同じ四名とは、どういう根據から出ているでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=196
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197・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 これは千葉縣に限らず、茨城縣でも全縣すべて先ほどのような一般縣の割當制をきめまして、これは按分比例で計算をした結果こうなるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=197
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198・中村高一
○中村(高)委員 按分比例ではそういうふうに出て來ないのです。按分比例だと一人差をつけなければならぬようになるのです。十五萬ですから、十五萬というとちようどきつかり一名に出てくるのでありまするから、按分比例ではそうなりません。按分比例では第一區の方が五名にならなければならぬのです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=198
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199・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 これは事務的問題でありますから、後刻計算しましてお答えします。
〔「事務的ではない」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=199
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200・中村高一
○中村(高)委員 かくのごとき別表は決して事務的ではありません。これはこの選擧區から立候補する人にとりましては、きわめて重大なことでありまして、定員一名が違うというふとによつて、あるいは落選する場合もあるし、當選をする人もあるというようなことになるのでありますから、その點につきましてはきわめて重要なことであります。按分比例でありまするならば、一人殖やさなければならぬのでありますが……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=200
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201・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 再びお答えしますが、私の事務的と言うことは、事務の關係を今計算しまして、中村君にお答えしようという意味であつて、それを事務的だから私は答えないという意味ではなかつたのです。私が今そろばんをとつてお答えするのは都合が惡いから、適當な機會にお答えしようという趣旨であります。しかしなお附け加えておきたいことは、第一區の六十九萬百四十七というのは、この割合を出しますと、四、四六六八になります。第二區の五十四萬七千八百六十六というのは三、五四六九になつております、いずれも四捨五入をいたしておりますから、第一區の方では四六六八という率が切捨てになつておりますし、また第二區の方では五四六九というのが繰上げになつている結果、この通りの數字になることと現在のところでは考えております。しかしこれは適當に計算たしまして、再びお答えすることにいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=201
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202・中村高一
○中村(高)委員 千葉縣の第三區は七十七萬五百五十五人になつております。これが定員五名になつておりまするが、そうするとその計算でいくと、どういう計算になりますか、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=202
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203・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 これは四・九八七二になつておりますから、五入いたしましまして五という數字が出てきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=203
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204・中村高一
○中村(高)委員 千葉縣については、小澤君の方もさらに計算をするということでありますから、私の方も再計算をいたしまして、もう一度またお尋ねをいたしたいと思います。
次は京都でありますが、これはなかなか疑問があるのであります。按分比例しても、どうしてもわからないのでありますが、これはあるいは私の方の計算違いかわかりません。京都の第一區は人口五十五萬四千六百八十一人ですが、同じ京都の第二區はそれより少し少くて、五十三萬五千九百三人で、少い方の二區が四名で、多い方の一區が三名であります。お答えの便宜があると思いますから、あなたの方の提出した別表の順に質問いたしてまいります。一區の方が三名で、二區は四名なんですが、どうもこれがおかしいのです。私の計算によると、二區の方が人口が少いのです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=204
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205・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 第一區は五十五萬四千六百八十一人、第二區は五十五萬六千七百四十人です。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=205
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206・中村高一
○中村(高)委員 二千人しか違わない。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=206
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207・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 それはそういう場合もあります。
〔發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=207
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208・中村高一
○中村(高)委員 二千人で一人違うというそろばんがどこから出てきますか。第二區の方は人口が少いんですよ。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=208
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209・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 お答えいたしますが、そういう場合は何も今度の選擧法に限らず、前の選擧法にもそういう場合があり得る。
〔發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=209
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210・中村高一
○中村(高)委員 京都の一區と二區の違いが二千人だという違いが出たのですが、二千人で四名と三名の一名の違いが出るという根據は、なかなか承服することができないように思いますが、提案者としてもいかがでしようか。わずか二千人しか違わないで一人違えるならば、どの區か、郡か何かを動かすとかいうようなことによつて、そういう不合理は訂正できると思いますが、そんなに無理に、たつた二千人で一名定員を殖やすということをせずとも、一つの郡をどこかに移動するとか、二つの郡を移動させることによつて、もつと合理的なものができると思いますが、そういう點についていかがでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=210
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211・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 先ほども申し上げました通り、別表に限らず、委員諸君がこうした方がいいじやないかという具體的案をおもちになつて、その案がわれわれの納得し得る程度のものでありますれば、いつでもそれに應する用意があります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=211
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212・中村高一
○中村(高)委員 今の第一區の方の人口は私のと小澤君のと合計が合うのですが、私はちやんと官報で計算しておるのです。どうも二區の方が少し少いように計算が立ちますけれども、これはあとでひとつそろばんを入れ直してみたいのです。しかし小澤君のような意見でも、とにかく二千人しか違わないのです。十五萬人につき一人の定員というのが大體の根據です。それをわずか二千人で一人を殖やすということは、何としても別表が杜撰で、まつたく粗製だということがわかると思うのです。この計算の上からそういう理解のできない點があるのですが、これは何か別の意味が含まれておるのではないでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=212
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213・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 先ほども申し上げました通り、具體的の選擧區の問題を、私が一人やつたのではありませんし、大體には地方的に擔當してやつたのでありますから、これを地方的の問題として一々私一人では囘答できませんが、前囘の峻阜縣のように、やはり一應その擔當者に相談をして、適當の時に御返事いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=213
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214・中村高一
○中村(高)委員 數字のことでありまするから、今ここで即答しろと小澤君に無理を言う氣持は私に少しもないのでありますが、これはなるべく十分に審議をして合理的なものをつくりたいから、委員の職責としてお尋ねをしておるのでありまして、毛頭小澤君を苦しめようという意思はないのでありますから、適當にひとつ御調査を願つて結構であります。
その次は大阪府でありまするが、大阪府の第四區と第五區を御覽を願いたいのであります。大阪府の第四區は定員四名、第五區は定員三名であります。ところがこの人口も計算をしてみまするというと、ほとんど違いがないのであります。第四區は四名で五區は三名でありますけれども、人口はほとんど違いがありません。四區の方が五十六萬九百八十八人、ところが第五區は五十五萬八千五十四人でありまするから、その差が二千人ないようであります。一千何人かの違いのようでありまするが、それで定員が一名違うのでありまするが、これも何かよほどの根據があるのか。あるいは按分比例から出るのか。あるいは何か提案者に納得のできないような事情でも伏在しておるのでありまするか。この邊のところも今お答えができまするならば、大阪府の第四區と五區について御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=214
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215・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 この點も私大阪府を知りませんから、同樣に御諒解願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=215
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216・中村高一
○中村(高)委員 これから順次私は人口から地形を分けた根據を聽いていこうと思うのでありますが、小澤君には今即答ができないようでありまするから、他にこれを立案せられた方がおいでにならぬのでありましようか。ならぬとしますならば、私が聽くことが意味のないようなことになつてしまいまして、一生懸命私は聽く。また調べて答えるというのでは、どうも聽くだけ時間がむだになるようでありまするが、委員長としていかにお取計らいくださるのでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=216
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217・山口喜久一郎
○山口委員長 中村君にお答えいたします。小澤君に先ほどちよつとこの點について伺つたのでありますが、小澤君の方では大體の人口の割當等に關することを、一部内務省と打合わせた點があるそうであります。さいわいに内務當局の方からも見えておりまするから、その點は内務省の方に一應御説明さすということに御諒承は願えませんか、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=217
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218・中村高一
○中村(高)委員 いや、内務省の方が答えてもそれはいいのですよ。人口がこの區は幾人だかということが、小澤君の調査では明確ではないから聽くというのならば、これは内務省からお答えを願つてもいいのですが、私の聽いておるのは、一區ずつこれをわけておりまする根據を聽いておるのであつて、私は必ずしも一區一區の人口などを聽いておるのではない。大阪なら大阪を五區にわけた。その各都市を何ゆえに――たとえば大阪の四區は布施市と南河内郡と中河内郡と分けております。この點を聽いておるのでありまして、必ずしもその一つ一つの人口について、問題にしておるわけではないのであります、何ゆえにこういう別表が出てきたかを聽いておるのであります。そういう一つ一つの人口でありまするならば、必ずしもこの委員會で聽かなくても、私はいくらでも聽く機會はありますから、そういう點でありましたならば聽く必要のないことであります。どうかひとつ別表作成についての説明を願いたいのであります。どうしてもできないということでありまするならば、今即答しろということは、あるいは數字のことでありまするから無理かと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=218
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219・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 そういう箇所はよそにもたくさんあります。要は先ほど申し上げました基準に基いて、その基準を適用してこれをわけたのであります。ただ具體的に、大阪に、ここに川があるとか、あるいは山があるとかいうことを説明しろという趣旨だと思いますが、そういう點だけはわからないのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=219
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220・中村高一
○中村(高)委員 それは何か小澤君が感違いしておるようであります。山や川ならば地圖がここにあるのですから、そんな無理なことで私は小澤君を責めようとは思つておりません。ひとつもあなたにそんな不都合なことを言うて責めるのではないのですが、この區をわけた根據をひとつ説明を願わなければ、どうしても別表の審議をする上については、なかなかこれは進みにくいことでありまして、別表作成についての根據、たとえば大阪を一區から五區までわけた根據、こういうことを聽いておるのでありまして、決してどこに川があつてどこに山のあることを、一々日本中のことを責めておるわけではありませんから、その點についてどうぞ誤解のないようにして答辯をいたいと思うのであります。そうすると大阪の四區と五區については、人口が私の申し上げたのが何か違つてでもおるということでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=220
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221・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 これはすべて先ほど申した通り、同じことになるのです。たとえば中村君の強く主張されることは、十五萬を基準にして一人という定員をきめるのに、わずか千人や二千人の違いで一方の區は四人となり、他の區は三人となるといふことは不都合じやないか、こういう趣旨だと思う。こういう考え方をすることがいかぬじやないか。これをわけるについては、特段のそこに根據がなくちやならぬじやないか。こういう具體的の特段の理由を述べろという趣旨と思います。特段の理由ということは、ただいま申し上げた通り、人口の點から計算し、また行政區畫から考え、地理的状況から、抽象的なことは答辯できますけれども、この第五區の内容であるとか、どこ郡とどこ郡とはこういう形だということを、答辯できないということは、私がさつきから申し上げている通りであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=221
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222・中村高一
○中村(高)委員 私はやはり四區五區というふうに出てきております理由をどうしても聽かなければ――これは別表作成というようなことに對しては、なかなか重大な關係のある點でありまするから、具體的なことを聽かなければ、審議しても意味がないことだと思うのであります。ただ計算は内務省に任してやるというようなやり方では、かくのごとき別表の作成については、はなはだ無責任であると思うから、私は尋ねるのであります。そうすると、大阪についてはよく納得することがでませんが、これも一つ御調査を願つて御答辯を願つて結構であります。
それでは次は神奈川縣にはいります。神奈川縣の第一區は定員四名でありまするが、これは人口が七十萬六千五百五十七人、第二區は定員同じく四名でありますが、人口は五十八萬九千八百八十五人で、その差約十二萬であります。先ほどの千とか二千とかいう違いでも一人でありながら、十二萬も違つて同じ四名ずつであるということははなはだ理解できにくい點でありますが、これも何か根據があるのでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=222
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223・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 要するに岩手縣以外のことは私は具體的なことは申し上げられません。ただこれを抽象的に申し上げれば、先ほどから申し上げた通りの標準で決定して、それを按分比例でやり、その比率を四捨五入したということだけは、全國に通じておるのであります。そういう具體的なことを聽かれても答辯はできません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=223
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224・山口喜久一郎
○山口委員長 ちよつと速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=224
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225・山口喜久一郎
○山口委員長 速記を始めてください。中村君、御質疑はこれでいいですね。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=225
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226・中村高一
○中村(高)委員 私のは別表でありまするから、保留いたしておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=226
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227・淺沼稻次郎
○淺沼委員 議事進行について……。ただいま中村君の質問によつて明らかにせられたのでありますが、私どもこれから審議を進めていく上においては、選擧區ごとの人口の數を知りたいと思うのであります。しかし質疑應答の中で一々この數字についてやつていては時間がかかると思いますから、もしできれは至急にその資料を提出していただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=227
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228・山口喜久一郎
○山口委員長 承知いたしました。石田一松君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=228
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229・石田一松
○石田委員 私は幣原國務大臣の出席を要求しておるのでありますが、もし小澤君だけに御質問の方がありましたならば、先ほどの例にならいまして、小澤君に對する質問をやる方だけ先にやつていただきたいと思います。いかがでございましよう。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=229
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230・山口喜久一郎
○山口委員長 しからばさようにいたしましよう。辻井民之助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=230
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231・辻井民之助
○辻井委員 私も京都府の別表について少し掘り下げて質問したいと考えておつたのでありますが、人口についてわれわれの方では官報を根據にして數をあげておりますが、提案者の方では人口の數とどうも一致せぬようであります。それから今淺沼君から要求のありました各區に對する正確な人口の資料を出してもらいまして、その上で質問をしたいと思います。われわれの調べましたところでは、たとえば一區と一區との人口の開きにしても、定員の多い方がかえつて人口が少いというようなことになつておりますが、どちらがほんとうかわかりませんので、正確な資料を出してもらいたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=231
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232・山口喜久一郎
○山口委員長 木下榮君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=232
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233・木下榮
○木下委員 私も辻井さんと同じような意見であります。それから幣原國務大臣と植原内務大臣に對する質問を保留いたしておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=233
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234・山口喜久一郎
○山口委員長 中野四郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=234
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235・中野四郎
○中野(四)委員 僕もやはり東京都の問題を別表について聽きたいと思つているのですが、小澤君とお互いに心やすい同志で論議をし合つていても切りがつかぬし、ましてけがをしておられていたいたしいような氣がするのでこれは資料をいただいてからお互いに審議を進めていくように、委員長の方で計らつてもらいたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=235
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236・山口喜久一郎
○山口委員長 幣原國務大臣が出席さるるまで暫時休憩いたします。
午後九時五十八分休憩
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午後十時十七分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=236
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237・山口喜久一郎
○山口委員長 引續き開會いたします。明日は午前十時より開會したします。本日はこれにて散會いたします。
午後十時十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211500X00119470328&spkNum=237
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