1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案(政府提出)(第一七號)
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昭和二十二年三月二十四日(月曜日)午後四時二十三分開議
出席委員
委員長 岩本信行君
理事 小澤佐重喜君 理事 椎熊三郎君
理事 中村高一君
神田博君 細田忠治郎君
廣川弘禪君 山村新治郎君
西山富佐太君 五坪茂雄君
大久保傳藏君 山下春江君
鈴木義男君 佐竹晴記君
淺沼稻次郎君 大島多藏君
松原一彦君 石崎千松君
同日委員生方大吉君及び井上東治郎君辭任につき、その補闕として椎熊三郎君及び五坪茂雄君を議長において選定した。
同日理事荒木武行君の補闕として椎熊三郎君が理事に當選した。
出席政府委員
内務政務次官 林連君
内務次官 齋藤昇君
内務參與官 水田三喜男君
内務事務官 林敬三君
内務事務官 小林與三次君
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本日の會議に付した議案
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=0
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001・岩本信行
○岩本委員長 前日に引續きまして會議を開きます。議事進行について椎熊三郎君より發言を求められております。これを許します。
(「そんな不公平な態度ではいかぬ。」「通告順にやれ。」「椎熊君はここで書いて渡したぢやないか。」と呼び、その他離席する者、發言する者多く議場騷然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=1
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002・岩本信行
○岩本委員長 暫時休憩いたします。
午後四時二十九分休憩
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午後四時四十七分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=2
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003・岩本信行
○岩本委員長 休憩前に引續きまして會議を開きます。議事進行に關する發言を許します。淺沼稻次郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=3
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004・淺沼稻次郎
○淺沼委員 議事進行について非常な重大な問題でありますから、しかしこれは懇談的に進めるのが當然だと思うのでありまして、速記を止めていただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=4
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005・岩本信行
○岩本委員長 速記をちよつと止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=5
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006・岩本信行
○岩本委員長 速記をとつてください。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=6
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007・椎熊三郎
○椎熊委員 議事が非常に遲延しております。それを促進させるために、私は修正案の趣旨辯明は約二十分と時間をあらかじめ定めて、(ノーノー)萬一この時間内にその説明が終了しませんときは、殘餘の部分は文書によつて提出せしめて、これを記録に殘すことにしたい。右動議を提出いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=7
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008・岩本信行
○岩本委員長 椎熊君の動議を採決いたします。椎熊君の動議に御賛成の方は御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=8
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009・岩本信行
○岩本委員長 多數、多數によつて決しました。(「ノーノー」「しやべらせないのか」「フアッショだ」その他發言する者多し。)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=9
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010・岩本信行
○岩本委員長 この際議事進行について佐竹晴記君から發言を求められておりますから、これを許します。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=10
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011・佐竹晴記
○佐竹委員 私は今朝十時過ぎこの委員室へまいりました。委員長もおられまして、しばらくお待ち下さいという御挨拶がありまして、委員長は下られたのであります。ところが午後四時に至りますまで開會をせられません。ただいまお話によりますれば、議事を圓滿に進行いたしますためにいろいろと協議をし、また社會黨のある幹部に相談をいたしておつたためだとおつしやるのであります。しかし私どもの聞くところによりますれば、閣議が院内において開かれた際、某閣僚はこの選擧法を、何がなんでも一擧に本日中に打切るべき旨を強調し、委員會の與黨側の委員を呼んで激勵をしたということが傳えられております。また一面某代議士會においては——これは速記を止めて下さい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=11
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012・岩本信行
○岩本委員長 速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=12
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013・岩本信行
○岩本委員長 速記をとつて下さい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=13
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014・佐竹晴記
○佐竹委員 院内において閣議を開いて、一擧にこの案を押切るということを某閣僚が強硬に主張し、與黨の委員にその策を授け、また某代議士會においては、血をみてもこれをやり切れというがごときことを幹部が、各代議士會の會員も激勵するがごときは、何たるこれは非民主的な行動でありましようか。(「その通り」)またこれほど遲れておりながらその席に臨みまするや、みづから遲延せしめたることを忘れて、正々堂々たるわれわれの言論を、一切數をもつて封殺しようとするがごときは何たる非民主的行動でありましようか。よつて委員長においては、ただいまの趣旨辯明について、二十分に制限せられたといたしましても、われわれの正々堂々たる議論に對しては、相當の時間をお與え願いますることを要望いたしますると同時に、その趣旨辯明に對しまする質疑應答に關しては、これを打切るべしとの動議も、また決定もあつておりません。從いましてその修正案に對する趣旨辯明に對しまする質疑應答は、これを十分に盡されんことを、特にこの際お願い申し上げておきたいと存ずる次第であります。なお午前十時に始めるといつてわれわれを招致しながら、午後四時に至るまで開會をしなかつたことは、委員長並びに與黨側の責任であると思う。よつて今後の動議において、夜十一時とか十二時とかいつた、遲くまで論議をせしむるがごとき状態に遲延せしむるがごときは、委員長並びに與黨側の責任であると存じまするがゆえに、遲らせた責任を感じ、今後は少くとも九時ないし十時ごろ、電軍で歸り得る時刻程度には散會を宣せられ、翌日において、頭をさわやかにして、ゆるりと論議のできるように、十分なる御配慮を願いたいことを、議事進行について發議をいたしておく次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=14
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015・岩本信行
○岩本委員長 暫時休憩いたします。
午後五時六分休憩
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午後九時三十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=15
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016・岩本信行
○岩本委員長 休憩前に引續きまして會議を開きます。お諮りいたすことがあります。理事の荒木武行君が委員を辭任せられました。つきましては、理事の補缺は先例によりまして委員長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=16
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017・岩本信行
○岩本委員長 御異議がないようでありますから、しからば椎熊三郎君を理事に御指名申し上げます。(拍手)
次に淺沼君より議事進行について發言を求められておりますからこれを許します。淺沼稻次郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=17
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018・淺沼稻次郎
○淺沼委員 私は本委員會の劈頭におきまして議事進行で發言を求めたのでありますが、議事の運營に關することであり、われわれ委員に關することであつたのでありますから速記を停止していただきまして、ざつくばらんなお話を申し上げて議事の圓滿なる進行について懇談會等を開かれて、進行願いたいということの提議をしたのであります。私の提議が容れられまして、懇談會は開催せられたのでありまするが、その私のあとに議事進行で立たれました進歩黨の椎熊君から、議員の修正案に對する説明の時間を二十分にすべしといふ動議が出まして、動議は成立いたしまして採決決定をみたのであります。このことはわれわれ議員にとりましては非常に重大な問題であります。およそ議員の發言をいかに扱うかということにつきましては、議員にとりましてこれほど重大な問題はないと思うのであります。これは何人も侵すことのできない議員の發言というものは權利でなければならぬと私は思うのであります。これを過日來委員長は委員の發言を可なり制限をするばかりでなく遂にはわれわれの同僚鈴木君の發言を禁止したのでありまするが、今囘は多數をもちまして時間を制限をいたしまして、禁止にひとしきような制限を加えたのであります。はなはだ私はこれを遺憾とするものであります。およそ今までの議事運營の點につきまして、發言者の時間を制限をいたしました事例はいくらもあろうと思うのであります。本會議における事例から申しまするならば、各派交渉會において各黨の意見が一致をいたしました結果、何分にするというようなことで、議事の制限をされているように私どもは考えられますし、加えて各種委員會におきましては、これまた同樣に理事會の決定を經まして、理事會でそれぞれ意見がまとまつたときに、それならば二十分でやろう。三十分でやろうというようなことがきめられておるのでありまして、少くとも私は多數をたのんで議員の意見の發表を束縛する、これが討論打切りあるいは質問打切りというような形において行われる場合におきましては、おのずから別でありますけれども、そうでない形において行われたということは、あまり事例を私どもはみないのであります。そういうような點から考えまして、これから議事を進めていく場合において、委員長は多分ただいま決定されました動議をそのまま活かして、二十分で趣旨辯明を制限するという形をとられようと思うのでありますが、もしそれで議事を進めていくということになりますならば、これまた議事は圓滑に進捗するわけにはまいらぬと私は感ぜざるを得ません。從いまして、私はこの決定を運用するにあたりましては、委員長としては非常に種々なる觀點を考慮されまして運用されていただかなければ、十分圓滿なる審議はできないということを私は考えざるを得ないのであります。そういう意味合いにおきまして、ぜひとも私は委員長が議事を運營するにあたりましては、議員のもつておりまする發言權を尊重されまして、形の上においては確かに多數によつてこれを決定をしたのでありまするが、しかし運用の上においては、それの運用は委員長の手腕によつて妙味を發揮されることは十分できるはずでありますから、その點を私は委員長に特に希望をしたいと思うのであります。
さらに附け加えてもう一點申し上げておきたいと思いますことは、本日懇談會の席上におきまして、自進兩黨の本委員會に對しまする、否ただいま議題に供せられておりまする、選擧法の一部改正に關する法律案に對する大體の態度が明確にされました。その點は私どもは過日來、もしこの委員會において修正意見を出されるならば、この委員會において出すなり、あるいは少くとも本會議において委員會の決定せるものに對して、さらに多數の議員がこれを修正するという、委員彈劾にひとしいような手續はとらぬようにしてもらいたいということを、強く希望しておつたのでありまするが、本日の懇談會の席上において明らかになりました點から申し上げますならば、私ども委員がここで決定をいたしまして、委員長報告が本會議議場においてなされる場合に、自進兩黨より委員長報告に對する修正動議が出るということが大體明白になつたのであります。從いまして委員長は委員として法案の審議を報告する結果は、われわれ委員も含めて委員長もともに本會議において彈劾する形において修正動議が出される形式がとられるということが明らかになりまして、私どもはどうしてもそういう形をとりたくないのであります。懇談會の席上におきましても強くそれを主張してまいつたのでありまするが、私は正式の委員會におきましても、そういう形はあくまでもとりたくないという考えをもち、われわれの同僚もそういう考えであると信ずるのでありまして、委員長は少くとも委員長の報告自體が、滿場一致で本會議を通過するように本委員會を進行していただきたい。少くとも本會議の席上において、委員長を含めたわれわれの審議の結果の報告は、全體の形において彈劾されることのないような形において、やつていただきたいということを念願をしておきます。これは一つの希望でありますが、議事進行の上におきまして、これを委員長は考慮に入れながら議事を進行していただきたいということを申し上げておく次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=18
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019・岩本信行
○岩本委員長 次に社會黨佐竹君より修正案が提出せられております。趣旨辯明を許します。佐竹晴記君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=19
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020・佐竹晴記
○佐竹委員 私は衆議院議員選擧法の一部修正案に對しまする趣旨辯明をいたしたいと存じます。政府の提出されておりまする事務的な修正に關します意見を二、三點申し上げたいと存じます。
まず第一に衆議院議員選擧法七十九條三項中に「選擧ノ期日ヨリ一年以内」とありますのを「選擧ノ期日ヨリ一箇月以内」と改めたいと存じます。衆議院議員選擧法七十九條三項におきましては、いわゆる繰上當選の期間は一年とすることになつておりますが、これを今度の改正では、五日の期間に改めることになつておるのであります。すなわち政府の提案理由説明によりますれば、繰上當選を一箇年という長い期間を認めますときは、いわゆる次點者狙いの便乘的候補者の輩出を促す危險がある等、弊害を伴いますので、繰上補充は同點者を除き、當選人が未だ確定しない當選承諾期間内に限つてこれを認めることにいたしました。なお、現行法による當選承諾期間は十日でありますが、來るべき總選擧の特殊性に鑑みまして、選擧の結果をでき得る限り速やかに確定させますため、特にこれを五日に短縮することにしたのであります、と言われておるのであります。しかるに次點者を狙う候補者輩出などということはあり得べきことでないということは、松原委員より過般言われた通りでございまして、まことにその通りであります。次點ともなろうほどの人でございますならば、當選疑なしの確信に滿ちて立候補をするに相違ないと存じます。次點を狙つて候補したなどと言つたら、それはあまりにも當選を期して戰つた勇士を侮辱するものであります。また當選者の死亡や失格を狙つて、便乘して立候補する者があるなどという説明は、政府の提案理由の説明といたしましては、まことに不隱當であると言わなければならぬと存じます。もし一箇年を五日に短縮いたしまして、繰上當選の餘地をなからしめたといたしましても、多數の立候補者を制限する役割をつとめることは、おそらく不可能でありましよう。いかに政府のおつしやるように、この改正が行われましても、おそらく次點落選者が相次いで出るような、多數の立候補者を出すに至るであろうことは疑はない事實であると私は思うのであります。よつて政府説明のごとき理由のもとに本條修正をなすことは、私は承服することができません。他面いやしくも選擧によつて當落をきめました以上、當選しなかつた者が、他の何らかの理由によつて、當選者の地位に直るということは、選擧本來の精神ではありません。甲の區では落選者が繰上つて當選者となり、乙の區では當選者に變動がなかつたために、選擧による決定通りであるというのでは權衡がとれません。選擧本來の趣旨に徹するならば、選擧によつて民意の決定がありました以上、その後何の權衡もないことによつて、もし當選者について缺格者を出したときには再選擧をするということが、これは本來の精神に適うものでございましよう。今度の改正においても同點者について除外例を設けておりまするのは、如上の趣旨であるということを前提としてのみ解釋されるのであります。かようの趣旨においてこの改正が企てられるというならばそれはわかります。しかし次點者を狙うものを抑制いたしまするために改正をしようというその御説明、その御趣旨には私どもは賛同することができないのであります。ゆえに本來なら選擧によつて決戰が行われ、當落がきまりました以上、これで決定的に確定すべきものであるといたしますることが、純理に適うものであると言わなければならぬと存じますが、しかしごく短かい期間内におきまして當選者に變動があつた場合に、さらに選擧をやらなければならぬということは、あらゆる方面から見て容易ならぬ負擔でございますので、でき得るならば最小限度においてその負擔を輕くするという特例を設くることも實際問題としては考え得られぬことはございません。この趣旨において一年などという、あまりにも長い期間の除外例を認めますることは、これはどうであろうか。こういう趣旨に基いて、きわめて短かい期間内における當選者の變動がありました場合においては特例を設けるということにいたしますることは、これをある程度肯定をしなければならぬと存じます。かくのごとく適當な期間を置いて、一定の期間内に當選者に變動を生じましたときに、これを繰上當選者と認めるというのは、實際問題としてはある程度肯定しなければならないのでありますが、その期間はまた實際上の實情を斟酌いたしましてこれをきめなければならないと存じます。しかして五日の期間というのは、はなはだ短かい期間でございまして選擧の騷ぎのうちに五日は過ぎてしまうのであります。五日くらいならば、この期間を置いても置かぬでも大した相違はございません。この特例を設けようという趣旨は、ほとんど、取入れられないものと言わなければならぬと存じます。そこで實際問題としては、せめて一箇月くらいの期間を存せしめるということが實情に副うものではなかろうかと存ずるのでございます。この趣旨において第七十九條三項中の、いわゆる繰上當選期間を「一箇月以内」と改めることをもつて適當なるものと存ずる次第であります。
次いで同法九十六條の改正であります。九十六條の今度の改正案によりますれば、「何人ト雖學校ノ兒童、生徒及學生ニシテ年齡二十年未滿ノモノニ對スル特殊ノ關係アル地位ヲ利用シテ選擧運動ヲ爲スコトヲ得ズ」とございますが、この「年齡二十年未滿」というのを「十八歳未滿」と修正をいたしたいと存じます。私ども社會黨における選擧權を與うべき年齡は十八歳をもつて適當なりと考えております。從いまして選擧權を有するに至りましたその年齡に達しましたものは、選擧運動に參加することができるのであつて、選擧については一應能力者と見ることが穩當だと私どもは考えております。この趣旨において二十年未滿といたしておりまするものを「十八歳未滿ノモノ」と修正することが穩當ではないか。
次いで「地位ヲ利用シテ選擧運動ヲ爲スコトヲ得ズ」とございます次に「又學校兒童等ヲ選擧運動ニ使用スルコトヲ得ズ」という文字を追加いたしたいと考えるのでございます。すなわち「二十年未滿ノモノニ對スル特殊ノ關係アル地位ヲ利用シテ選擧運動ヲ爲スコトヲ得ズ」という、これだけでは「學校兒童等ヲ選擧運動ニ使用スルコトヲ得ズ」というのを、完全に含めているかどうかということについて疑義があると存じますので、この點を記入いたしまして明確にすることがいいではないかと、われわれは考える次第であります。
次いで百二條を「選擧運動ノ費用ハ公營トス」と修正をいたしたいと考えます。百二條におきましてはいろいろと細かな規定が設けられておりまするけれども、私どもは選擧運動の費用は本來公營たるべきものでなければならぬと信じております。よつて百二條における選擧運動のいろいろの費用に關します規定を「選擧運動ノ費用ハ之ヲ公營トス」という文字によつて、一切公營たらしむることが穩當であると考えまして、この修正をしようとするのであります。
次に百條ノ二を削除することに關してでありますが、すなわち現在の規定は「第百條ノ二内務大臣ハ選擧ノ期日後ニ於テ當選又ハ落選ニ關シ選擧人ニ挨拶スルノ目的ヲ以テ爲ス行爲ニ關シ命令ヲ以テ制限ヲ設クルコトヲ得」と規定いたしておりますが、今度の改正案におきましては、この條文を削るというのでございます。そうなりますと一體どうなることでありましよう。百條ノ二によつて發せられております命令は、衆議院議員選擧運動等取締規則の第六條でございます。第六條には「何人ト雖モ選擧ノ期日後ニ於テ當選又ハ落選ニ關シ選擧人ニ挨拶スルノ目的ヲ以テ左ノ各號ニ掲グル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ、一、選擧人ニ對シテ戸別訪問ヲ爲スコト、二、自筆ノ信書及當選又ハ落選ニ關スル祝辭、見舞等ノ答禮ノ爲ニスル信書ヲ除クノ外文書圖畫ヲ頒布スルコト、三、議員候補者一人ニ付二百枚以内ノ張札ヲ除クノ外文書圖畫ヲ貼付シ又ハ掲示スルコト、四、新聞紙又ハ雜誌ヲ利用スルコト、五、當選祝賀會其ノ他ノ集會ヲ開催スルコト、六、多衆集合シ又ハ自動車ヲ連ネ若ハ隊伍ヲ組ミテ往來スル等氣勢ヲ張ルノ行爲ヲ爲スコト、前項第三號ノ張札ハ長八十二糎幅五十五糎ヲ超ユルコトヲ得ズ」とあります。すなわちここにあげましたこれらの行爲は禁止されておつたのでありますが、その禁止の規定を削除するのであります。よつて今度は選擧の後においては、選擧が濟んだ後に、戸別訪問することもできれば、新聞紙または雜誌を利用して廣告することもできる。當選祝賀會を開く。集會を開催する。あるいは多衆集合し、または自動車を連ねて當選萬歳々々で練り歩くこともできるといつたようなことになりますることが、はたして穩當であり、正當のものでございましようか。(「内務省の改惡だ。」と呼ぶ者あり)私はこういつたような規定を削除いたしまして、自由にやらせるということになりましたならば、選擧がすんで、金を使つて祝賀會を開いて、大いに飮めや、食えや、歌えや、自動車を連ねて萬歳々々と叫び歩く。あるいはまた戸別訪問をやつて歩くようなものが出てまいりましたならば、それは次の選擧の必ず土臺になりましよう。將來に驚くべき醜惡な禍根を殘すものである。(拍手)(「政府は何を考えているんだ。」と呼ぶ者あり)事務的修正と言いながら、かくのごとき重大なる削除は、徹底的にこの際直さなければならぬ。これは私は與黨の方々もお考えを願いたい。(拍手)もしこういうことを自由にやられるということになつたならば、選擧を腐敗せしめるものは政府であるとわれわれは言わざるを得ないのであります。(拍手)私はこういう規定をつくるということはこの際考えて、削除せられんことを求める次第であります。
〔「當然だ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=20
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021・岩本信行
○岩本委員長 本日は圓滿裡にこの程度をもつて散會いたしまして、明日は午前十時より開會いたします。本日はこれにて散會いたします。(拍手)
午後九時五十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211501X00619470324&spkNum=21
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