1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
所得税法を改正する法律案(政府提出)(第二五號)
法人税法を改正する法律案(政府提出)(第二六號)
特別法人税法の一部を改正する等の法律案(政府提出)(第二七號)
土地台帳法案(政府提出)(第二八號)
家屋台帳法案(政府提出)(第二九號)
地方税法の一部を改正する法律案(政府提出)(第三〇號)
地方分與税法を改正する法律案(政府提出)(第三一號)
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昭和二十二年三月二十日(木曜日)午前十時五十四分開講
出席委員
委員長 金光義邦君
理事 神田博君 理事 宮前進君
理事 稻村順三君
安部俊吾君 菊池長右ェ門君
厚東常吉君 武田信之助君
神戸眞君 菅原エン君
八木佐太治君 松永義雄君
川島金次君 中崎敏君
石崎千松君 木下榮君
出席國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
内務事務官 柏村信雄君
大藏政務次官 北村徳太郎君
大藏事務官 前尾繁三郎君
大藏事務官 浦邊喜久造君
大藏事務官 忠佐市君
委員長の許可を得た出席者
議員 奧村又十郎君
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本日の會議に付した議案
所得税法を改正する法律案(政府提出)
法人税法を改正する法律案(政府提出)
特別法人税法の一部を改正する等の法律案(政府提出)
土地台帳法案(政府提出)
家屋台帳法案(政府提出)
地方税法の一部を改正する法律案(政府提出)
地方分與税法を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=0
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001・金光義邦
○金光委員長 會議を開きます。前尾政府委員。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=1
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002・前尾繁三郎
○前尾政府委員 昨日奧村委員より御質問のありました昭和二十二年度の酒類の配給計畫の中で、用途によりますパーセンテージその他を申上げます。特別配給用が六十四萬石でございます。パーセンテージにいたしますと四〇%、それから家庭用が七十二萬九千石、四六%、それから特殊用が六萬石で四%、業務用が十六萬四千石で一〇%、こういうことになつております。もつともこれは基準酒で申上げているのでございます。御承知のように、ビールでありますと、ビール六本が酒一升、燒酎でありますと、八合が酒一升に當るというふうな計算でやつているわけであります。總計百五十九萬三千石になつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=2
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003・金光義邦
○金光委員長 この際委員外の發言を許します。奧村又十郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=3
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004・奧村又十郎
○奧村又十郎君 ただいまの家庭用並びに特別配給用及び特殊用の昭和二十二年度の用途別の酒類の配給計畫は諒承いたしましたが、一級酒と二級酒は大體どういうパーセントになるか、お示しを願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=4
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005・前尾繁三郎
○前尾政府委員 一級酒、二級酒の用途別で割當はいたしておりません。ただいまのところ、清酒の中で十八萬石だけが一級酒になつております。なお清酒の總體の量は百一萬五千石でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=5
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006・奧村又十郎
○奧村又十郎君 私の質問は終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=6
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007・稻村順三
○稻村委員 議事進行について……。どうもまだ實際いうと、三分の一の定數にも滿たないようでありますから、もう少し、せめて法規上の定數に達するまで暫時休憩せられたらどうかと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=7
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008・金光義邦
○金光委員長 いかがでございましようか。期日もあまりないようでございますし、このまま會議を進めまして……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=8
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009・稻村順三
○稻村委員 質問通告者もまだきていないような状態でありますから……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=9
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010・金光義邦
○金光委員長 今菅原エン君がみえておりますから、菅原エン君に御質疑を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=10
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011・菅原エン
○菅原委員 私のお尋ねいたしたいことは、主として農業所得に關する問題でございます。昨日中崎委員より御質問の供米の促進を阻む課税の不公平ということに對しまして、政府の御答辯は何となく冷淡過ぎるような感じがいたしましたことを遺憾に思うものでございます。供米の問題と税の問題は無關係であると申されますようなお言葉をもつてしては、彼ら農民は恐怖の中に追いこまれるばかりと思うような感じがいたすのでございます。農民の所得は粒々辛苦汗の結晶でありますから、農産物の價格と課税の率を常にこまかく考えざるを得ないのが彼らの立場でございます。そうして彼ら日常の社會生活は、大體におきまして納税額を基本としたところをもつて形式づけられておりますがゆえに、大藏御當局の御想像のほかにあるのではないかと思うのでございます。きのうのような冷淡なお心構えを拜聽いたしますれば供米の問題に影響するところが少からざるものがあると思うのでございます。供米の不振ということは、單に農民のことではなくて、都市の遲配缺配ということをめぐる大きい騷ぎの根本をなすものでございますから、この問題につきまして大藏當局は何とか手心を考えてくださるというような温かいお氣持をもつて農民を見てくださるわけにはいかないものでございましようか、御答辯お願い申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=11
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012・前尾繁三郎
○前尾政府委員 農業所得につきまして昨日申し上げました供米との關係という意味で、所得税におきまして、もちろん所得があればそれに對して課税をするという意味でございます。供米に支障を來すようなことはもちろん愼しむべきことであることは、われわれもよく存じておるのでありますが、ただ實際にそれだけの收入があればやはりそれに從つて課税するというのがこれは當然のことだと思うのでございます。ただわれわれといたしましては實際の所得に從つて課税するのでありまして、別にたとえばやみで流すというようなことがなければ當然公定價格によりまして課税すべきものだと考えておるのでございます。またやみ所得があつたといたしましても、必要經費がやみであります場合には、もちろん實際の支出に從つて計算いたしておるのでございます。いたずらに恐怖心を起させるというようなことは、嚴に愼しむべきことではありまするが、反面におきまして相當やみ收入があるというような場合に、課税から除外するというようなことがありますると、かえつてまだ他の所得者に對して不均衡である。殊に先般もやみに對しては課税の充實を期するようにというような増加所得税の際に附帶決議もあつたような次第でございます。われわれは決して恐怖心を起させるつもりはありません。ただ實際にそういう收入があつた場合におきましては、その收入に從つて課税をするというだけの意味でございますから御諒承を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=12
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013・菅原エン
○菅原委員 公定價格の米一俵の價をもつてしましてはお酒二升を購い得るものにあらずと申すような實情でございますが、酒税の引上げによつて、濁酒の氾濫を招くということを推察いたします。そのことにつきましては、政府はどんなお考えをおもちでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=13
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014・前尾繁三郎
○前尾政府委員 米一升と酒一升というのが昔の價格でございます。現在の酒價というものは、ほとんど税金でございます。別にその原價が引上つておるわけではございません。酒税の引上げはもちろん少いほどよいのでありまするが、敗戰後の現在の状況から考えまして、やはり財源をこちらに求めるということが必要でございます。殊にわが國におきまして所得税が第一の地位を占めましたのは昭和十年ころでございます。それまでは酒税が一番首位であつたわけでございます。來年度の租税收入のうちで二割五厘が酒税でございまするが、昭和十年前におきましては、二割五分くらいが酒税の占める割合でございました。そういうような點から考えましても、今囘の引上げは現在の財政状況としてはやむを得ないのだというようにお考え願いたいと思います。なお密造酒が相當氾濫いたしておりますことは、われわれもよく存じておるのでありまするが、これにつきましては、やはり取締りを嚴にいたしまして、酒税の確保とともに不衞生的な消費が行われないよう十分税務署を強化いたしまして、取締りにあたりたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=14
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015・菅原エン
○菅原委員 濁酒によります罰金の國庫收入は大體年々増加の傾向をたどつておるのでございましようか、また減少するようにみえるものでございましようか、最近十箇年ないし五箇年くらいの數字をお示しいただきたいものでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=15
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016・前尾繁三郎
○前尾政府委員 密造酒の數字というものは、これは實際密造でございまするからわからないのでございます。最近におきましては、酒不足で相當殖えてまいつておりますことと、一つは税務署が非常に手不足でございます。そういうような點から申しますれば、この密造につきましては、最近におきましてかなり増加してまいつておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、今後におきましては税務署の手も殖えてまいつておりますので、相當嚴重に取締り得ると考えておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=16
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017・菅原エン
○菅原委員 私の伺つたのは罰金のことでございましたが、それにはちつとも觸れておられないようでございます。どういうふうにして取締つておるのでございましようか。大抵いなかでは罰金を納めるというような形になつておるのでございますが……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=17
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018・前尾繁三郎
○前尾政府委員 最近の數字を申し上げますと、昭和十八年が百二十二萬四千圓、昭和十九年が三百二十二萬圓、昭和二十年が三百九十八萬五千圓というような數字になつていくぶん殖えておるような状況でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=18
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019・菅原エン
○菅原委員 その濁酒につぶされますお米の數量は、大體において何百萬石くらいを豫想されておりましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=19
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020・前尾繁三郎
○前尾政府委員 先ほど申し上げましたように、密造に當てられている米の數がどのくらいであるかということは全然わからないのでありまするが、われわれは世間ではよく言われまするように、何百萬石ということはもちろんないと信じております。まず百萬石以下と思つております。昨年もある縣で少し統計的に考えた數字で全國を推してみますと、六、七十萬石程度になつたような次第でありまして、殖えましても百萬石にはなつていないと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=20
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021・菅原エン
○菅原委員 大藏省の方では濁酒を公認して、それに課税する御意思はありませんでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=21
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022・前尾繁三郎
○前尾政府委員 ただいまのところそういうことは考えておりません。實際といたしまして、現在酒類に割當てられた米の數量はごく僅少でございます。自由勝手につくるということになりますと、非常な惡弊を生ずるわけでございます。濁酒につきましては、むしろ衞生上の點、あるいは風紀上の點からいたしまして、將來これをなるべく禁止するという方向で進んでまいつている方針につきましては變りないつもりでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=22
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023・菅原エン
○菅原委員 第九十議會、第九十一議會におきまして、請願に、建議に提出されて採擇されましたところの供米完遂の農家に對してのみ許可するという委託釀造につきましては、御當局はどんなお考えをおもちになつておられましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=23
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024・前尾繁三郎
○前尾政府委員 超過供出の分につきましても委託釀造を認めるということについては、われわれも非常に賛成でございます。また最近いろいろと努力いたしております。だだ御承知のように、現在割當てられております米は食糧輸入等の關係で非常に僅少でございます。現在のところ超過供出の部分につきまして一割程度ならよかろうというようなことで、試みに埼玉縣について許可を得たのでありますが、できることなら全國的に何らかの方法で解決いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=24
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025・菅原エン
○菅原委員 その場合の税金は地方獨立税の中に織りこむものでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=25
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026・前尾繁三郎
○前尾政府委員 税を分與するというようなことは、われわれといたしましては考えておりません。と申しますのは地方税とのいろんな關連がございます。殊に國税として一番大きな收入をあげております酒税を分與するということにつきましては、理論的にもかなり問題があるのであります。また關係方面の意向からいたしましても、そういうことはただいまのところ望みないと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=26
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027・菅原エン
○菅原委員 濁酒の問題でございますが、これはただ見て見ぬふりをして過すというような現状のままでお進みになるというふうに受取れるのでございますけれども、こういうことは實際大藏當局では米をつぶす量から言つて小さいものだとおつしやるけれども、實際を見ておりますると、なかなか大きいものではないかと思うのでございます。片方には都市の人たちが遲配だ缺配だと申して大騷ぎしておりますのに片方ではお酒をのんで樂しんでおるというような世の中を見ますときに、何ということだろうと思わざるを得ないのでございますが、こういうことにつきましては、ほんとうに嚴重な取締りをもつて、濁酒などは徹底的に取締つていただきたいと思うのでございます。それにつきまして私がよく聞きますことは、田舍などにおきまして、濁酒をつくつておりますところにお役人がまわつてこられますと、やはり濁酒を召し上るそうでございます。ほんとうに濁酒が惡いものであつたならば、そのお盃を農民の顏にぶつつけるくらいの意氣こみをもつて農民を指導していただきたいと思うものでございますが、いかがでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=27
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028・前尾繁三郎
○前尾政府委員 先ほど申し上げましたように、われわれといたしましては濁酒の密造を默認しておるというようなことは絶對にございません。また役人と申されましたが、いかなる役人であるか存じませんが、いずれにしても濁酒を喜んでのむというような者もないと思います。われわれといたしましてはあくまで徹底的に取締りいたすよう考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=28
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029・菅原エン
○菅原委員 お酒の問題はこれで打切りまして、次の問題に移ります。昨日奧村委員の御提唱なさいますところの税務協力委員の設置のことは私も同感でございまして、ただ税務署側だけの獨善的な課税方法では非民主的に墮するきらいがございますし、また申告制を絶對に信頼いたしましても、正直者がばかをみるという世の中には變化はございませんでしよう。たとえば貧農階級の所得は、帳簿の面におきましてごまかすということは不可能なことでありますのに、押入一つの中にも何萬という所得の隱匿はできるのでございます。かような事實は、税務署の調査員の手に一任すべきものではないと思うのでございます。社會の各階級から構成されるところの税務協力委員の力にまつことが、大いにあると思うのでございます。税の民主化、税の公平均齊化を希望いたす意味におきまして、政府の御賛成を希望するものでございますが、御答辯をお願いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=29
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030・前尾繁三郎
○前尾政府委員 昨日も申し上げましたように、税務協力委員は、現在もあるのでございますが、それを法制化し強力なものにいたしたいと考えております。なお租税の民主化として、われわれは第三者の通報制というような制度も設けております。廣く民衆による監視というような意味からいたしまして、民衆に一々公表いたします紙面もございませんので、特殊なもの以外は税務署で負擔していくというような方法より、しかたがないのでありますが、これによりまして、廣く民衆による監視を求めるとともに、またその代表者である有力な方々に、各層から集まつていただいて、税務署を督勵するとともに、また監視していただくというような制度をつくりあげたいというように考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=30
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031・菅原エン
○菅原委員 豫定申告制度ということは、農業所得を申告いたすものなどには、實に煩雜きわまるものだと思うのでございます。從來の實績申告納税と比較いたしまして、どんな長所があるのでございましようか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=31
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032・前尾繁三郎
○前尾政府委員 今囘の豫定申告の制度は、すなわち豫算課税の制度でございます。從來の實績課税、すなわち前年の所得によりまして課税いたしますと、徴税の時期におきましては、税の觀測がよほど古くなつておりますので合わない。また所得の變動の非常に大きいときでありますと、その以前に消費をしてしまいまして、納税者も納税がしにくい。やはりそのときときの所得に從つて納税をするというような、今囘の改正案に出しております豫算申告納税制度、すなわち本年の所得に從つて、本年の税金を納めるという制度が、最も合理的であり、最近の實情に適合するものでございます。すなわち所得の發生時期と徴税の時期とを短縮する。言いかえれば、勤勞所得に源泉課税をやつておりますのと、大體同樣な方法でいくというのが、そのねらいでございます。ただ農業所得につきまして、米ばかりをつくつておりますような農民でございますと、十月以降に所得が發生いたします。こういうような場合には、豫定申告を出すのでなくて、その翌年の一月末日に確定申告だけを出したらよいというような途も、開いておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=32
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033・菅原エン
○菅原委員 道義の廢頽その極度に達しております今日、この豫定申告制にのみよりましては、課税の不公平ということは免れがたしと存じますが、どんなものでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=33
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034・前尾繁三郎
○前尾政府委員 豫算申告をしていただきましても、不當な申告、あるいは申告のないという場合におきましては政府は從來と同樣、それを更正決定しあるいはまた認定決定をする途も開かれておるのでございます。道義の廢頽いたしておりますことにつきましては、われわれもみておるのでありますが、十分指導してまいりますならば、必ずしも不成功に終るということは考えられないのでございます。むしろ私どもは從來通り信憑しがたい申告ばかりであつたといたしましても、最終の確定申告のあとで、全面的に更正決定をするくらいの覺悟で臨むならば、本年におきましてとりました増加所得税と同樣な効果を、發揮し得るものだというふうに考えておる次第でございます。ただこの實績納税について、十分な認識をもつていただきまして、十分協力していただくということが、道義を振興する一つの契機ではないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=34
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035・菅原エン
○菅原委員 この煩雜な申告のために税務署の方では職員を増加しなければならぬというようなことはございませんでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=35
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036・前尾繁三郎
○前尾政府委員 今囘の制度は、必ずしも煩雜とは限らないと思うのでございまするが、課税の技術上、なおこの申告納税に從つて、かなり税務署を殖やし、申告のしやすいように、納付者の便利なようにという點からも考えておりますので、一萬人以上の税務署員を増員する計畫でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=36
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037・菅原エン
○菅原委員 國費の膨脹という戰爭の結果、並びにその跡始末は、國民の力でつけなければならぬことは當然のことでございます。ゆえに政府はその簡單な方法として、増税の途をおとりになつたものと存じます。法律を制定して、納入告知書を配つておけば、ひとりでにはいる。もし怠れば差押處分に處するというのが、租税徴收の現在でございます。大藏省は告示一つでもつて、お酒でもタバコでも、その値上げがすぐ斷行されるにもかかわらず、國民はそれを欲しないのでございます。國民の欲しないことなればこそ、嚴密に愼重に審議いたさねばならぬこの問題なのでございますが、解散を間近にいたしまして、閑散なこの委員會におきまして、不十分なる審議をもつてすることは、まことに殘念なことでございます。働けど働けど生活が樂にならぬという階級の上に輕くして、酒池肉林の歡樂境に醉う人あれば、その人々の上に重き課税ということをお願い申しまして、私の質問を打切といたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=37
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038・金光義邦
○金光委員長 神田博君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=38
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039・神田博
○神田委員 簡單に二、三御質問してみたいと思います。財産税の申告期限がもうとうにまいつておりまして、また徴收も開始しておるのでございますが、先般來しばしば大藏大臣その他から、財産税は大體四百三十五億圓とる。足らないようなことがあれば、免税點の引上をやつて補うのだ。こういうことを言われておるのでありますが、大體各税務地方局の集計ができておるだろうと思いますが、どのくらいの見込高に相なつておりますか。お聽きいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=39
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040・前尾繁三郎
○前尾政府委員 財産税につきましては、四百三十五億の收入見込みを、豫定いたしておつたのでございます。しかしその際われわれは申告納税によりまして、申告のあるものは大體九割だという見込みでやつておつたのでございます。ただいまのところ實際の集計は、全部集まつておりません。二月十五日後におきましても相當、期限後の申告がございます。ただ二月十五日の申告の状況で申し上げますと、概略八割程度の申告、すなわち九割の申告があるというふうに考えておりましたものが、現在においてはまだ八割程度でございます。その後の期限後の申告によりまして、大體見込み、九割までは申告納税があるものだというふうな豫想がされるのでございます。その數字を申し上げます。申告による分が四百三十五億のうち、三百九十一億というふうに考えておつたのでありますが、實際二月十五日の現在でみますと、三百四十二億ということになつております。そのうち現金納付による分が、最初は八十二億というふうに考えておりましたのが百二十四億という數字になつております。それから物納は最初二百八十九億と考えておつたのでありますが、百八十五億という物納の關係になつております。また延納につきましては十八億と考えておつたのでありますが、實際は三十二億という數字になつております。なお物納につきまして舊勘定預金の六十七億と豫定しておつたものが三十九億、それから國債二十四億と考えておりましたものが十三億、國債以外の有價證券が七十二億と考えておりましたものが二十五億、土地、建物その他で百二十六億と考えておりましたものが百七億となつております。先ほど申し上げましたように、從來から一割は更正決定というふうに考えておつたのでありますが、これから更正決定をいたしますならば、おそらく最初豫算しましたもの以上にとれる見込みでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=40
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041・神田博
○神田委員 もう一つお伺いしたいと思います。補償打切りに伴う政府の債務の打切り、あるいは既に支拂つたもので補償打切りに伴つて國庫にもどつてくるものが千十七億になる、こういうことをこの前の議會で説明されておつたのでありまして、これはもう各會社からみな出ているはずでありますが、どういうことになつておりますかちよつとお聽かせ願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=41
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042・前尾繁三郎
○前尾政府委員 戰時補償特別税の關係につきましては、金融機關を經由いたしますが、その金融機關の手續が遲れておりますので、ただいまのところ税務署にはまだ到達していないような状況でございまして、その全貌は今のところまだ全然判明いたしません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=42
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043・神田博
○神田委員 財産税の方は大體豫定通りにいかれるということでありますが、ただいま承りますと、戰時補償打切りに伴う關係がはつきりしないようなお話でありますが、これは相當期日が經つておりますのに、やはり全然おわかりにならぬでしようか。これは國庫の財政に非常な影響をもつているわけでありますし、また企業再建等にも非常に關係の深い問題なのでありますから、もし一部でもおわかりになつているなら、わかつている程度で結構ですから御答辯願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=43
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044・前尾繁三郎
○前尾政府委員 戰時補償特別税につきましては、總額が六百六十九億だつたと思つております。そのうち税務署に直接まいります分、あるいは歳入になります分が百五十七億というふうに考えておつた次第でありますが、實際はただいまのところ半分程度しかはいつておりません。しかし先ほど申し上げましたように、ほとんど大部分が金融機關を通じているのでございます。金融機關のいろいろな關係によりまして金融機關の手續が遲れております。ただ期限がまいりますと、保險金その他はそのまま効力を失うわけでございますので、それらはもう既にはつきり課税にはなつているのでございますが、その報告がただいまのところわからないというような状況にある次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=44
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045・神田博
○神田委員 ただいまお尋ねいたしましたことは、まだ資料がないので十分な御返事を得なかつたのでありますが、それでは直接この税法の方でお聽きしたいと思います。この税制調査會の答申を見ましても、物品税等につきましては、免税點の引上げ、税率の引下げ等、課税上適當な措置をとるようにというふうになつております。物品税の問題につきましては、昨年の議會におきましていろいろ論議があつたのでありますが、昭和二十二年度の税制改革は、調査會等をつくつて、その諮問に答えるようにしたい。言いかえれば物品税は決して良税だと思つておらぬ。隨分急いでつくつた關係もあるので、各物品間の課税の衡平を缺いている點もあるように思う。そういうことについても、十分考慮したいと言われておつたように記憶しておりますが、今囘の物品税の改正案を見ますと、ただ一律に横すべりをしたというふうに見えるのでありますが、各品目の内容についてあまり考慮を拂われておらなかつた。たとえばこの物品税の中にあります丙類の履物等の問題でありますが、これは課税價格が十圓からかけられるということになつておりまして、この前のお話では、大體マル公があつて、そのマル公の範圍で免税點を設けているので非課税になるものが相當ある。學校の兒童の關係とか、あるいは普通のげたの關係なんかは課税されないのだというような御答辯でありましたが、マル公のきめ方が非常に安いのでありまして、こういうものは民間できめておらないで、物價廳がきめる。今きまつているのは大藏省が當時きめたのでありますが、マル公が安いから免税點をマル公にこだわつていなければならないということをよく聞くのであります。これは意味のないことではないかと考えます。この點につきまして御答辯願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=45
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046・前尾繁三郎
○前尾政府委員 物品税につきましては、あまりいい税ではないということも聞くのでございますが、しかし敗戰後の現状におきましては、むしろ賣上税にまで擴げるべきだという説もございます。われわれといたしましても、現在の物品税は米、みそ、醤油に課税されるならば賣上税と同樣な形態になるのでありますが、賣上税よりもむしろ進歩した形態だというふうに考えておりますので、これを合理化していくという方向でまいりたいと思つているのでございます。ただ今囘の改正につきましては、他の税につきましては、相當増税をやつております際でございますので、思い切つた税率の引下げその他のことを行うわけにまいりません。あるいは御不滿の點があるかと存じますが、まあ一律に引下げかねるという方向でまいつたわけでございます。なお免税點の引上げにつきましては、もちろん最近の状況によりまして相當大幅に引上げなければならないというふうに考えているのでございますが、公定價格との關係につきましてはやはり公定價格が守られているというふうに、われわれは見ざるを得ないのでございますので、その公定價格を基準といたしまして、免税點を考えるという態度でいくほかはないのでございます。別に、いわゆる市場價格と申しますか、公定價格によらないところの價格で、この免税點を考えていくということは、むしろ政府の考えが二途にわかれることになります。やはり公定價格に從つて、この引上げを行つていきたいと考えているのでございますが、最近の實情によりまして、げたその他履物類につきましては、相當大幅に引上げるつもりでおりますので、その點御諒承願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=46
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047・神田博
○神田委員 ただいま免税點の引上げについては、十分考慮したいという結構な、私どもの希望に副うような御答辯でありましたが、しかしマル公をやはり免税點の基準にするのだということについては變りがないというような御答辯でありました。私この點につきましては、先ほども申し上げたようなわけで、數字としては、一應そういうことになるのでありますが、最近物價廳のやり方を見ておりますと、やはり基本物資につきましてマル公をきめていく。そうして第二次、第三次製品というものをきめてまいりますので、非常にその間時日がかかつているようであります。そういつた關係で、物價廳のマル公だけを目當にされて、課税の免税點をおきめになるということは、大藏當局としては、一番簡單なやり方だと考えますが、國民大衆といたしましては、どうも少しまだるつこいのじやないか。ものによりましては、免税點の考え方を、今日のようなインフレ下にとにかく毎月上つていくというような際には、その用途なり、あるいは種類等によつて、免税點を設けるというようなことも、必要なのじやないか。こういつた敗戰の再建をはかる場合に、各種の税をとらねばならぬことについては、われわれも賛成でありますが、しかしそのとることによつて、勤勞大衆、あるいはまた零細な生活をしている方面に、負擔を強いるというようなことになりがちなのでありまして、この點につきましては、十分ひとつ御考慮の上で、免税點の引上げを考えていただきたい。重ねてでありますが、もう一度こだわらないでやつていただけるか。言いかえますれば、物價廳の價格というものをどうしてもとつていかねばならぬものかどうか。私が申し上げましたように、それを參考にすることは結構だが、全部でない、あるいはまた用途別なり品種なり等から考えまして、適當な免税の方法を考えるということを併用していくという考えがおありになるかどうか、その點をお聽きしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=47
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048・前尾繁三郎
○前尾政府委員 公定價格の關係でございますが、私の方はもちろん公定價格と關連をもたして考えてはおるのでありますが、一つはこれは基準でございますので、公定價格とまつたく一致しなくてはならぬという考え方ではもちろんございません。なお物品税の税率等につきましては、四月一日から實施いたしますので、その際に免税點につきましても、當然改定いたすつもりで、ただいまのところ折衝しておる次第であります。また用途によつて免税するものをきめるということは、非常に課税技術が困難になつてまいります。もちろん現在の税務官吏では、一一用途によつて課税か、非課税かというようなことの判別が困難でありますとともに、そういうことをいたしますと、それと非常に限界がはつきりしないまつたく特殊なものが、隨分出てくるというようなおそれがあるのでございまして、それにつきましては、ただいまのところ、われわれは用途別で免税するというような考え方はもつていないのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=48
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049・神田博
○神田委員 今度は地方税の方で少しお尋ねしたいと思います。地租、家屋税、營業税を地方の財源に委讓する。これは多年の懸案でもありますし、今囘の税制改革に必要な特徴のある進歩的な扱い方だと考えまして、私どもも同感にたえないのであります。前に三税の委讓につきましては論議があつたのでありますが、戰災の再建をはかつていかなければならない都市が多いわけであります。また府縣もそういうことになるわけでありますが、こういつた戰災の市町村の財政というものにつきまして、今囘の税制の改正は、どういうふうにお考えになつておられるか。たとえば家屋税を委讓したといたしましても、戰災地の家屋というものは、ごらんのようなバラックの建設、あるいは未建設というようなわけでありまして、そう税源として貴重な役をなすまでには至つてないように考えるのでありますが、戰災市町村等につきましては、もちろん分與税等の配付につきまして、十分御考慮を拂われることと考えまするが、この邊につきまして、今度の税制改革ではどういうような御考慮を拂われておられるか。御説明していただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=49
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050・柏村信雄
○柏村政府委員 お答えいたします。ただいま還付税制度を廢止したことについてお話がありましたが、この點につきましては、實質上は從來と性格においては變らないということになるわけであります。ただいま戰災都市の財源の付與についてどういうことを税制改正について考えたかというお話でありましたが、私どもの考えといたしましては、とりあえずの戰災復興に要する費用等につきましては、國庫の補助による分以外は、これをとりあえず起債に求めていくというふうに考えております。しかしながら戰災都市において、その他いろいろ財政需要も多くありますし、しかもそれの裏づけとなるべき財源というものは、ただいまお話のように相當枯渇しておりますので、これは昨年の税制改正におきまして、大都市、都市、町村の三ブロツクに分割する分與税の方法といたしまして、大都市は人口の三倍をとる。都市は二倍、町村は一倍ということにいたしまして、戰災を強くこうむつておるような團體に對して、分與税が多分にいくような方法を講じたわけでありましてなおそのほかといたしまして、戰災都市の減收を補填する意味におきまして、道府縣におきましては、この前には第四種配付——今度は一種殖えまして第五種分與額となりますが、市町村におきましては臨時特別配付税というものを設けたわけでありますが、その點は今囘の改正におきましても、もとにもどさずに、そのまま踏襲をしているようなわけでありまして、これによつて大體戰災都市の財政を賄つていけるのではないかというふうに考えておるわけであります。なおこのほかに從來分與税の財源として國税の遊興飮食税というものを考えておりましたのでありますが、今囘遊興飮食税を地方に委讓いたしまして、遊興税としてこれを徴收することにいたしたわけでありますが、これなども主として大都市、都市方面に財源が附與されることになるというふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=50
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051・神田博
○神田委員 都市の財源ということはなかなかこれは容易なことではないのでありまして、今政府委員の答辯もありましたが、なるほど當面の問題については起債等によつて賄つていく。しかしいつまでもいつまでも借金でやつていくことも、また借金を濟さなければならないというようなことに相なるわけでありますから、なかなか個々の市町村にとつては容易でないと、私考えるのであります。かような市町村にとりまして、何か公營事業を認めていくというようなことを考えておられるかどうか。さらにもう一つは必ずしも戰災市町村に限らず、府縣にいたしましても、併せまして、過去において電氣事業等を縣營なりあるいは市營なりでやつておつた縣あるいは市があつたわけでありまして、戰時中電力の統制というようなことにつきまして、電源その他配電關係をあげて配電會社及び送電會社に吸收された。かようなものを再び還元さしてやるというようなことにつきまして考慮を拂われておるかどうか。この點は非常に重大問題でありまして、内務省の希望だけの御答辯を得ましても、どうかと思うのでありますが、しかしこの點は特に地方財政の問題につきまして、あるいはまた地方自治という點につきまして、内務省が最も大きな關心をもつておられるわけでありますから、内務省がよほど強い考えをおもちになつておられるかどうかということも、併せてこの際聽き得ますならば非常に參考になることでありますので伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=51
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052・柏村信雄
○柏村政府委員 ただいまのお話で起債によるだけではどうもいかぬじやないかということでありますが、これはとりあえず目前の必要に迫られたものについて起債でいくということでありまして、この償還等に要する財源措置については、別途考えるつもりでおるわけであります。なお根本といたしましては、やはり戰災都市といえども、自力で更生していくという復興の意欲をわき立たせる必要があると思うのでありまして、その點は各方面においてやはり十分お考え願いたいというように考えておるわけであります。なおこの都市の復興また發展という點につきまして、ただいま公營事業の問題に觸れられましたのでありますが、この點については、まつたく御趣旨に同感でありまして、關係方面とも十分打合わせまして、できるだけ御趣旨に副うように取計らいたいというふうに考えておるわけであります。ただ事業の個々の問題になりますと、たとえば電氣事業等におきまして、あまりに狹い區域の都市等にこれを行わせることが適當かどうかという點は、なお考慮を要するものがあるかと思いますが、しかしながら戰時中におきまするいろいろの統制というものが、戰後におきましてはこれを復元していくというような方向になることも十分考えられるのでありまして、個々の事業につきまして、具體的に積極的に研究を進めてまいりたいというように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=52
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053・神田博
○神田委員 營業税の課税の方法について少しお尋ねしたいと思います。營業税の課税については、純益を課税の對象としていく。これは今までと變りないわけでありますが、調査の方法が從來國税でありますから税務署がこれを當然やつておつたわけでありますが、今度は地方税になります關係上、府縣でこの純益の算定をなさることと思うのであります。地租、家屋税等につきましては、土地台帳とかあるいは家屋台帳というような法案が出ておりまして、税務署においてこれをやつていく、營業税の方だけが地方でおやりになるようになつておるようでありますが、はたしてしかりといたしますれば、相當これは地方の徴税機關を擴充しなければならぬじやないか、ただ擴充しただけでは、その目的を達するわけにはいかないのでありまして、數府縣にまたがるあるいはまた營業の種類等によりましては、相當專門的な知識をもたなければならないというわけでありまして、國税から地方に委讓されて、純益の計算等につきまして、地方地方が府縣によつて異なるようなことがあつてもどうかと思うのでありまして、あるいはまたその當該府縣においても、調査する財務關係者の考え方で異なるというのでありましては、負擔に非常なでこぼこが出てくるということになるのでありますが、一應純益の調査をどこでどういうふうにしてやるのか、お示し願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=53
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054・柏村信雄
○柏村政府委員 營業税の課税標準の決定を、今囘は府縣でやることになるわけでありますが、しかしながら、これにつきましては、もちろん所得税の事業所得、それから法人税の普通所得というものの申告を參考といたしますし、なお税務署等とは十分密接な連絡を保ちまして、その決定について府縣間の不均衡のないように取計らつていきたいというように考えておるわけであります。なお市町村につきましても税務署、府縣と三者協力いたしましてこれを行つていく、從つて地租、家屋税について、國において決定することにより、全國的な調整を保つとほぼ同樣な結果が得られるというふうに考えておるわけであります。なお税務陣容につきましては、昨年來地方の財政の自主化ということを強く慫慂いたしてまいりまして、各地方においてもそのつもりで鋭意陣容の刷新強化ということに努めておるわけでありますが、今囘大幅に地方税の獨立税が殖えるということからいたしまして、財源措置におきましても相當考えておりまするし、なお今後とも十分この點については努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=54
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055・神田博
○神田委員 私が想像しておりましたように、府縣において純益を調査するなお税務署等とも十分連絡の上、課税の均衡が保てるようにいたしたい、こういう御答辯でありましたが、これは一口で申しますと、簡單に御答辯できるのでありますが、實際に行いますには、相當苦心を要することと考えます。運用にあたりましては、十分そういう點まで考えなければならないのでありますが、このたびの税制改正によつて、それならば一體どの程度機構が増していくのか、地方廳といたしまして、今度の税制改革によつてどの程度人件費あるいはこの徴税費が増すのか、おわかりになりましたらお示し願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=55
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056・柏村信雄
○柏村政府委員 營業税につきまして純益を府縣できめていくということがなかなか困難ではないかというお話でありまするが、國税につきましては、豫算申告制度でまいるわけであります。しかしながら地方税に移りました營業税につきましては、從來通り實績をとつていきたいというふうに考えておるわけであります。從いまして、國において更正決定いたしたものを基礎資料といたしまして賦課していくということになるわけでありまして、この點は御懸念のないように措置ができるのではないかというふうに考えております。また税務陣容の強化でありまするが、これにつきましては、今囘の税制改正におきまして、そのための所要財源としてはつきり記憶いたしませんが大體二億九千萬圓程度じやなかつたかと思いますが、財源として見積つておるわけでありまして、これによつて陣容を強化していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=56
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057・神田博
○神田委員 今度提案されておりますこの地方税法の一部を改正する法律案の第四十八條の八項でありますが「營業税ヲ課スベキ營業ノ種類及營業税ノ課税標準ノ算定ニ關シテハ本法ニ定ムルモノヲ除クノ外政令ヲ以テ之ヲ定ム」とありますが、この營業税の種類は今までよりも殖えるのか減るのか、どういうことにお考えになつておるのか、お聞かせ願いたいと思います。なおこの四十八條の三の「特別ノ必要アル場合ニ於テハ營業税ノ課税標準ニ關シテハ營業ノ種類ヲ限リ内務大臣ノ許可ヲ受ケ第四十八條ノ規定ニ依ル純益ノ外他ノ標準ヲ併セ用ヒ又ハ第四十八條ノ規定ニ依ル純益ニ依ラザルコトヲ得」こういうことを言つておりますがこれはどういうことをお考えになつておりますか、具體的に何か例がおありになるだろうと思いますが、お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=57
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058・柏村信雄
○柏村政府委員 營業税の種類につきましては、原則として從來のものを踏襲してまいりたいというふうに考えております。ただ特別必要ある場合におきまして、主務大臣の許可を得たものをこれに加えていくというふうに考えているわけであります。
なお次の御質問でありますが、第四十八條の三の、特別必要ある場合の純益によらない場合と申しますのは、たとえば露店商でありますとか、そういうふうなものにつきましては、むしろ純益の算定が非常に困難であるというような場合に、等級によつてこれを賦課するようなこともしたい。ただそれがあまり濫に流れないために、主務大臣の許可を要するというふうにいたしているわけであります。なおこれにつきましては、關係方面の意向もありまして、たとえば營業等については免許税的なものをとることも考えてはどうかというような慫慂もあつたわけでありますが、これについてはなお研究せねばならぬと考えておりまするが、そういう場合のことも含めまして、さように規定いたしておるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=58
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059・神田博
○神田委員 四十八條の三の場合はよくわかりましたが、この四十八條の八項の營業税を課すべき營業の種類の追加というのは——私は前段の方はわかりましたが、後段の、追加すべきものがあればというお話でありますが、そういうものが今豫想されているかということを伺つたのでありまして、豫想されてなければ、ないというふうにお答え願いたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=59
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060・柏村信雄
○柏村政府委員 現在は特別豫想をいたしておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=60
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061・神田博
○神田委員 最後にもう一つ主税局長にお伺いしたいと思います。昨日の御質問に少しダブるような感じもないではありませんが、總括的にちよつと一言お尋ねしておきたいと思います。戰災に遭つた者、なお外地から引揚げてきた者と、戰災に遭わない者とのいろいろな關係におきまして、非常な差がついていることは、これはもう何人も否定し得ない事實であります。今囘の税制改正にあたりまして、さような點につきまして、この大戰爭は國民が全部跡始末の責任があるわけでありまするので、税制の上からこのような均衡を得ていない點を均衡を得せしむるというようなことをお考えになつてこの税制を立案されたかどうか。あるいは今囘はさような點についてはなかつたけれども、この次の税制改革においては十分それらの點については調整をはからなければならないというふうにお考えになられたかどうか、根本的な問題でありますがお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=61
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062・前尾繁三郎
○前尾政府委員 戰災者と非戰災者、あるいは引揚民等につきまして、實際上非常に生活の點から申しまして差異のあることにつきましては、お話の通りであると考えます。しかし實際のことを申しますと、ちようどその當時に何らか新しい税法を考えれば、あるいは妥當なものがあつたかもわかりません。現在といたしましては、既に引揚者あるいは戰災者もいわゆる新圓階層となつて、非常に裕福にやつている面も多々あるのであります。また家屋等にいたしましても、既に轉々と讓渡されているというような關係にも相なつております。それらをひつくるめて整理いたしましたのが財産税でございます。財産税によつてまあかなり戰災者非戰災者の關係は調整されるというような關係になつているのでございます。今囘の改正は所得税等に關係いたしておりますので、所得はあくまで本然の所得を對象といたしております關係上、そこに別に戰災者非戰災者あるいは引揚民というような區別をして立案は全然いたしておりません。また將來も今となりましてはそういうことを織りこんだ税法は困難であろうというように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=62
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063・神田博
○神田委員 財産税の徴收によつて、戰災者、非戰災者あるいは引揚者、非引揚者の關係が調整されたことは事實でありましよう。しかし財産税をおとりになるという點につきましては、もちろんいろいろの財政上の理由もあれば、政治上の理由もあつたのでありますが、概ね要約いたしますれば、日本の今日の富というものは、戰爭によつて形成せられておつたのだ、戰爭はもうからないものだということを教えるために、財産税をとるのだ、あるいはとらせるのだ、というような説明が流布せられておつたように私承知いたしております。はたしてしかりといたしますれば、敗戰によつて新圓階級ができた。あるいはまたインフレによつて手持品であるとか、あるいは山林であるとかいうようなものが、非常な莫大な値上りをしておる。戰爭によつてもうけた、戰爭というものはもうからないものだということを教えることが、財産税の課税をされた一つの理由であつたように考えておるのでありましてしからば敗戰というものももうからないものであるということをなお一層教えることが、國民道義を高揚させるに必要ではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、税制の上からそれを考えていくということも一つの大きな點だろうと思うのでありますが、ただいまの主税局長の御答辯によりますと、そういうことは考えられなかつたという御答辯でありましたが、財産税を立案された當時の状況は、戰爭はもうからぬものだということを教えなければならぬということが含まれておつたように私承知いたしておるのでありますが、そういうことが一つの理由でありますならば、敗戰したということはもうかるものではない、むしろ國家の再建に非常な苦痛が伴わなければならないということを教える必要があるのではないか。なお國民負擔の問題は、所得税一本であるから、所得にだけ税を考えていつたということになりますと、家を失つた者、あるいはその他いろいろ戰災によつて失つた者は所得がやはり失わない者と同じに考えられていくのでありますから、いつまでたつても、燒けた者あるいは引揚げてきた者は、過去の生活を追つかける餘裕がないというように考えるのであります。同じ國民がこの敗戰の再建にともどもに協力しなければならないのは當然でありますが、戰爭の被害を受けた者と被害を受けなかつた者との差は、いつまでも續いていくのではないか。これは何らか税制の上に考える必要があるのではないかというように思うのでありますが、これらの點につきまして、いま一度御答辯を承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=63
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064・前尾繁三郎
○前尾政府委員 財産税の目的につきましては、この戰爭はもうからないものだという目的をもつておつたのではございません。最初の構想によりますと、個人財産増加税、法人戰時利得税それから財産税、こういう三本建になつておつたのであります。それで法人戰時利得税と個人財産増加税につきましては、これは戰爭はもうからないものだというような、いわゆる戰時利得の剥奪ということを目的といたしておつたのであります。普通の財産税につきましては、當初から富の再配分ということを中心として考えておつたのでございます。法人戰時利得税並びに個人財産増加税につきましては、その課税技術が非常に困難だというので、構想が全然變りまして、御承知のような戰時補償特別税という形態をとつたのでございます。從いまして戰時補償特別税がいわゆる戰時利得の剥奪ということに役立つたのでありまして、財産税は當初の考え通り富の再配分というような使命をもつて、先ほど申し上げましたように、戰災者、非戰災者、あるいは引揚者、そういうようなものもすべて織りこんだ富の再配分というような考え方で進んでおつた次第でございます。先ほど申し上げましたようにあるいは戰災直後でありますと、ある程度の調整する別個の税も考えられたと思うのでございますが、ただいまとなつてまいりますと、戰災者といえども、いわゆる新圓階級となつて非常に所得の増加しておるというような面も多々ありますので、ただいまとしては、これらを調整するというような方法は非常に困難になつてまいつているのでございます。なお財産税は昨年の三月三日現在の財産に對して課税をいたしているのでございます。その後のいわゆる新圓所得というようなものに對する課税は、これが相當の期間を經ちますとあるいは財産増加税というような形態が考えられるのじやないかと思うのでありますが、ただいまのところいわゆる三月三日以後の所得というようなものは、今囘の増加所得税で課税の充實を期しますならば、まずそれによつて十分な課税ができる。また本年の所得につきましても、豫算申告所得税でこれが課税の充實が徹底いたしますれば、大體において公平なる課税ができ、いわゆる新圓階層も十分公平なる課税によつて適正を期することができるというふうに考えているのでございます。財産増加税あるいは新財産税というようなものは、所得税で押えきれなかつたものが相當生じました場合に、新たに考えらるべき問題でありまして、ただいまのところは、増加所得税あるいは今囘の所得税で十分であるというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=64
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065・神田博
○神田委員 私の質疑は以上で打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=65
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066・金光義邦
○金光委員長 この際前尾政府委員より發言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=66
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067・前尾繁三郎
○前尾政府委員 昨日奧村委員から御質問のありました自由預金の點につきましてお答えいたします。自由預金は全國銀行自由預金の總額は昨年の十二月末現在におきまして三百九十七億五千百萬圓であります。その中、定期預金は二十五億四千九百萬圓と相成つております。
次に中崎委員から昨日御質問のありました點をお答え申し上げます。本年の豫算に出ておりますところの營業所得、あるいは農業所得、あるいは日傭勞務者の所得、勤勞所得というような點は昨日申し上げたのでありますが、昨年のそれに對應する數字はどうかという御質問でございます。御承知のように昨年の課税は一昨年の所得によつて見積られたものであり、また決定になつたものでございます。從いまして昨年の所得を嚴重に調べたものはないのでございますが、ただ増加所得税その他から推定した金額を申し上げますと、營業所得においては五百三十四億農業所得その他の所得については四百二十二億、日傭勞務者のいわゆる丙種事業所得というようなものは百三十四億、勤勞所得税については六百九億という數字に相なります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=67
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068・金光義邦
○金光委員長 それでは午後一時半まで休憩いたします。
午後零時二十分休憩
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午後二時三分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=68
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069・金光義邦
○金光委員長 休憩前に引續き會議を開きます。菊池長右ェ門君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=69
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070・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 私は簡單に局長さんにお伺いいたしたいと思いますが、現在の税法を基本としてどういうふうに改正しても、要するに今言われておるところの新圓階級に對する所得というものはなかなかそれを捕捉することができないだろうと思うのであります。先刻の局長さんの答辯を伺つておりましても、要するにかすに時日をもつてして、現われたならばそのときに徴收になるというような御答辯のように伺つたのですが、政府の方針としては、見えないところの所得はそのまま見逃しておいて、いつかのときにあるいは財産によつて現われてくるか、あるいは正當な營業の面に現われたときとるというような御方針なのですか、どうですか、その點をお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=70
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071・前尾繁三郎
○前尾政府委員 新圓階級のいわゆる新圓所得を捕捉いたします方法といたしましては、既に御承知のように、昨年の三月にやりました臨時財産調査というような式の捕捉のしかたをすればこれは完璧でございます。しかし現下の通貨不安その他の状況から考えますと、そういう方法をとることにつきましては、現状としては不適當だとわれわれは考えておる次第であります。しからばどういう方法によるかということを具體的に申し上げますと、第一には、ただいまお話のように、何らかの表現財産となつて現われましたとき、すなわち不動産を買入れるとか、家屋を建築するとか、そういうふうな状況でその資金を追究していくのであります。第二といたしましては、その人の消費状況、すなわち所得はその人の消費いたしましたものと、貯蓄になつたもの、この兩者を合わせたものが所得でございますから、消費の状況から考えて、その人の所得が大體において捕捉されるわけでございます。この方法でいけば、必ずしもその時期をずつと遲らすというようなことはございません。ただ問題といたしましては、たんす預金になつておるような面についてはわからないということになるのでございます。しかしたんす預金にしておるというような面は、むしろ農村等に多いのでございまするが、農村等におきましては、隣組あるいは組合等に諮問をいたしまして、各人の状況を調査いたしますれば、大體において捕捉されるのでございます。
第三のやり方といたしましては、いろいろな資料で調査するのでございます。たとえば土建業者等におきましては、進駐軍その他の請負にどういう金が出ておるかということは、その契約しております官廳その他を調べまするとわかります。またこれは現實において最近やつておりまするが、十分効果を上げておる次第でございます。そういうような資料からだんだんさかのぼつて探究していきますれば、大體において捕捉されるのでございます。もちろんやみはやみでありますから、完璧につかまえるということにはまいりません。しかし隣組その他のいろいろな話、殊に私ども今囘初めて開きます第三者の通報制というものに期待をもつておる次第でございます。またそれを組織化しましたところの税務協力委員というような制度によりまして、また十分その方面の御協力を得ることができるというふうに確信いたしております。ただいま申し上げましたような方法でまいりますれば、大體においてわれわれの常識に合つた正義觀を滿足させるような課税ができるものというように確信いたしておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=71
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072・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 次に漁業による所得は非常に變動のはげしいものであつて、今までの所得額を決定するには、前三年あるいは五年の漁獲高を平均して所得額を算定しておつたような實情だつたのでありますが、今度の改正によりますれば、豫算課税であつて、本人の申告によつて大體所得額が決定されるというような改正のようでありますが、漁不漁の關係が非常に重大な影響をもつているのでありますから、そういうような點に對しては、實際に措置せられるにはどういうような方法をとられるか、この點をお伺いしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=72
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073・前尾繁三郎
○前尾政府委員 漁業所得につきましても、前三箇年間の平均をとるというようなお考え方につきましては、實際問題といたしまして、この變動が非常にはげしいときには、殊に經濟が膨脹してまいりますようなときには、あまり適合いたさないのでございます。また逆にだんだん不景氣になつてまいりますようなときには、かえつて納税もしにくいというような關係に相なりますので、既に昭和十九年でございましたか、これを廢止いたしたのでございます。今囘實績課税をやめまして豫算課税制度にいたしますと、前年の一年間の實績によつて課税するという場合よりも非常に合理的になつてまいるのでございます。前年の一箇年の實績によつて本年課税するということになりますと、昨年は非常にもうかつた。しかし今年はだめだという場合に、漁業所得者は割合に消費がはげしいのでございまして、納税資金をもつていないというような場合が非常に多いのでございます。ところが今囘の豫算課税制度にいたしますと、そのときそのときすなわち三月の實績に從いまして、そのときの状況によつて納税していくということになるのでございます。一年間を見積るわけでございますので、この間にどういうふうに推定するかということになりますと、漁期の季節的な問題がございます。それは大體においてその前年あたりの、あるいは前三箇年くらいを考えて、それから推定していただいても結構だと思うのでありますが、そういうような季節的の變動を考えていただく。またその年の實情は、要するに三月に現われましたところによつて、特に春の漁が多かつたということに相なりますと、それが一年間續くという考え方ではなしに、特別によかつたということは條件に入れずに、既に三月間はよかつたのでありますから、その間の所得はもちろん入れて、そして一年間を平常な状況にあるものとして御推定を願つたら結構だと思うのでございます。そういうようにしてまいりますと、むしろ一番合理的な課税が、事業所得において行われるというように、われわれは確信しておるのでございます。もちろん從來よりはぱつたり不漁だつたというようなことになりますと、その間幾分納税し過ぎるということになるのでありますが、既に次の三月間の實績によつて、今度は一年のその年の特殊な状況を織りこんだ一年間の所得を推定していただいて、拂い過ぎになつておるというようなことになりますと、そのときの納期におきまして税金に充當していただくというような關係になりますので、かなり合理的に課税ができるというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=73
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074・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 いかにも局長さんのお話では合理的にいくと聞えるのですが、實際問題として今までも、要するに所得のないときは所得税はかからぬというのが建前であるからして、非常に不漁によつてほとんど赤字のみの經營であつたと言えば所得税がかからぬのが原則でありましようけれども、今までのやり方は税務署の強硬な態度ももちろんその原因でありましようが赤字の場合でも所得税は何年かやはり納税しなければならぬというような實情にあつたのですが、今のお話によれば、あるいは三月目に非常に不漁になつて赤字が出た場合には、全然あとの所得税は納めなくてもよいというようなことに實際問題としてなるでしようか。どういうものでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=74
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075・前尾繁三郎
○前尾政府委員 今囘の課税方法を申告納税制度に改めましたゆえんも、そこにあるのでございまして、もちろん從來から赤字の場合には課税をしないという方針には變りはなかつたのでありますが、ややもすると近所づきあいというような意味合いからいたしまして、引下げるにしても、ある程度の課税をするというような状況にあつたのでございまするが、今囘の申告納税制度によりますると、その點はまじめな申告であるというふうに税務署が考えますときには、更正決定その他の手續をとるということはまずないのでございます。また個別的に特にいい、あるいは特にやみ所得があるというようなものに對しましては、個別的に調査して、なお場合によりましては加算税をとるなり、罰則を適用するなりいたして、その間不均衡のないというふうな課税の行き方になし得る制度に變りましたのであります。その點は從來よりはよほど合理的になると信じておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=75
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076・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 次に今までの所得税法にもそういうふうになつておるのですが、所得を得るに必要な經費は、これを控除するというのが、規定にはあるのですか、今までの所得税の調査會においても、はたして所得を得るに必要な經費というものが、具體的にどれどれのものを所得を得るに必要な經費として認めるかどうかということが、非常に問題であつたのであります。それで今までのやり方は、ほとんど地方別に田あるいは畑とかいろいろな課税の標準があつて、東北地方のある縣においては一反歩いくらに見るというようなことであつて、その中に、要するに控除額の中に所得を得る途というような經費が見込んであるのだというような課税の方針であつたように現われておるのですが、この具體的な例として、所得を得るに必要な經費というものはどういうような點をお認めになるか、この點をはつきり御明示を願いたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=76
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077・前尾繁三郎
○前尾政府委員 所得を得るに必要な經費と申しますのは、從來から勅令によつて具體的のものを明記しておつたのでございますが、今囘は税法にその點をはつきり出したのでございます。その具體的例といたしましては、これは所得税法十條でございますが「總收入金額から控除すべき經費は、種苗、蠶種又は肥料の購買費、家畜等の飼養料、仕入品の原價、原料品の代價、土地、家屋その他の物件の修繕費又は借入料、土地家屋その他の物件又は業務に係る公租公課使用人の給料、收入を得るために必要な負債の利子」と例示してございまするが、要するに所得を得るために必要な經費ということになるのでございます。ただ常識的に申しまして、非常に世上誤られやすいのはその但書になつております「家事上の經費及びこれに關連する經費」すなわち家事關連の費用が普通にはそれもやはり必要經費だというように誤られやすいのでございます。たとえばよくいわれることでありまするが、所得というのは實際貯蓄し得る——自分の消費に充てて食うのは食つて、あとに殘つた金だというように考えられるのでございますが、それを勤勞所得についてお考え願えればはつきりいたすのでございまして、その所得の中から皆われわれ勤勞者はほとんど生活に使つてなお足りないというような場合でも、やはりこれは所得でございます。それに對して分類所得税なり總合所得税を納めてきた次第でございます。そういう關係が、割合他の事業者におきましては誤られて考えられやすいのでございます。あるいは家事關連の經費が誤つて考えられておるために、限界が非常にむずかしい。實際必要經費だと考えておるのに税務署は引いてくれないというような非難があつたのではないかと思つておる次第でございます。先ほど申し上げましたように、從來の賦課決定でまいりますと、税務署がまず積極的に調査をしなけばならぬということに相なりますので、いきおい一律にある一定の基準を設けまして課税をするというようなことになつておつたのでありますが、今囘の申告納税制度によりますと、更正決定の參考資料としていろいろの基準はやはり設けていきたいというふうに考えてはおるのでございまするが、個別的に調査する機會が年中惠まれるのでございまして、從來のように四月から一せいに調査會に出して五月に一せいに決定しなければならぬというようなことはなくなりますので、そういうような意味からいたしますと、必要經費の調査ということが、特に念入りに調査し得るというように考えておるのでございます。ただ從來の標準率にいたしましても、個々的にいろいろ調べましたものを綜合いたしまして、一定の妥當な割合をつくつておるのでありますが、これは物指でございまするので、個々の場合におきましては適合しないというようなことも、相當多かつたと思うのでございます。それらの點につきましては、更正決定その他のやり方につきまして、十分研究いたしてどういうふうにやるかあるいはどういうふうに指導していくかということについては、今後なお研究していきたいと思つておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=77
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078・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 實際問題として法人の場合は必要な經費は決算において現われて、相當實際に控除されておるけれども、個人の場合は、税務署がなかなかそういつたような決算を認めない。實例をあげますれば、百萬圓をもつて一千町歩の山を買つて、それを十年經つて處分した場合に、百萬圓の借入に對する金利というものを十年間計算して、それを所得を得るに必要な經費として認めるかどうか。今までの例なれば、個人の場合にはそういつた借入金の利子とかいうようなものは、なるべく税務署は見ないように所得を決定するような態度が多かつたのですが今後は絶対にそういうことがないかどうか、はつきりと言明をお願いしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=78
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079・前尾繁三郎
○前尾政府委員 法人と個人とにつきましては、その計算方法が違つておるのでございます。法人につきましては總益金から總損金を引く、これは一つの資本を中心としたきめ方でございますので、支出したものは原則としてすべて必要經費になり、所得税等の課税對象にならないというような建前になつておる次第でございまして、その間個人との關係は相當違うのでございます。しかし借入金の利子につきましては、從來から引く建前になつておるのでございます。もちろん相當はつきりとした證明がございませんと、單に口約束で借りておるのだというようなことになりますと、かえつて脱税の具に供せられやすいのでございます。從つていきおいなかなか税務署は認めないという非難も聞いておるのでございまするが、しかしはつきりしております分につきましては、もちろん從來も引いており、將來につきましても、はつきりしました負債の利子は必要な經費として控除いたすつもりでございます。具體的に事例がございましたら、私の方からも注意することにいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=79
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080・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 はつきり現われるということは、具體的に言えばどういうことでしよう。たとえばさつき申し上げた山林のような場合には、その山林を擔保にして金を借りておれば、それははつきりしておるからして必要經費に認める、擔保にしないでただ借りておれば、それは不確實であるから認めないというのかどうか。要するにはつきり認定するという根據を、ひとつお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=80
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081・前尾繁三郎
○前尾政府委員 山林を擔保としております場合に限つて必要經費と認めるというわけではもちろんございません。實際その山林を買うのに使つたかどうかということが明瞭にされればよいのでございます。ただ個人の場合でありますと、自分の消費生活あるいは他の面におきまして、友人から金を借りてそれを使つてしまつたというような場合がかなりございます。從いまして山林を擔保にいたしておりましても負債の利子として引き得ない場合もございます。ただこの山林なら山林を買う時に、銀行なら銀行で金を借りたという場合ですと、銀行の證明書、あるいは友人からお借りになつた場合にはその方との契約書というようなものを必要に應じて御提出願つたら、十分證明あるものとして、われわれは取扱つていくつもりでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=81
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082・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 それから税制改正に關する法律案要綱の十のところですがこの五萬圓以下の所得税の算定の方法ですが、この五萬圓以下の所得者というものは、所得税納務者のほとんど大部分を占めているのではないかと思うのでありますが、所得金額に應じ、税表に掲げる一定の税額というようなきめ方でありますれば、五萬圓以下の所得者は今までのやり方と大した違いはないのじやないかと考えられるのですが、實際の取扱いとしてはどういうことになりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=82
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083・前尾繁三郎
○前尾政府委員 五萬圓以下の所得者につきまして、簡易税表をつくつて計算の手數を省略する。これは五萬圓以下の人に對して輕減する意味ではございません。その表は所得税法の別表第一、最後にございます。すなわち五萬圓以下の人がおそらく大多數でございますが、そういう方につきましては超過累進税というのは非常にめんどうな手續のように考えられやすいのでございます。これらの方につきましては百圓刻み、あるいは二百圓刻みというようなことで、たとえて申しますと、一萬圓から一萬二百圓までの人は、扶養家族がなければ千四十圓、あるいは扶養家族が一人であれば八百圓というふうに早見表でわかるような仕組にして、それで納めていただいたら結構だということにしたのに過ぎないのでございます。五萬圓以上の方についてもそういう表をつくるのもあるいはいいかしれませんが、この税率が相當多額になつてまいりますのと、五萬圓以上の所得があるような方でありますと、その税の取扱いについては十分おわかりになる方であると考えられますので、早見表ではなしに本文の税率によつて御計算願うというつもりでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=83
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084・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 所得を申告する場合に、一定の基準というものがある程度きまつておりますれば、非常に申告しやすいと思うのでありますが、基準というものを全然なくして實際の自分の仕事、あるいは田畑等の一年の收入から計算するということになれば、そのときの物價あるいは經濟界の變動等によつて非常な差が生じてくるだろうと思うのでありまするが、今後は所得額を決定する基準というものは全然お考えにならないのかどうか、これを伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=84
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085・前尾繁三郎
○前尾政府委員 所得の計算につきましては、大體わが國の從來の慣習によりますとあまり帳簿もつけていないということで、外國からみますと自分の所得がいくらであるかということに對する感覺が非常に薄いのでございますしかしこれは決していい習慣ではございません。將來はなるべく記帳するようなこと、並びに自分の所得がいくらであるかということに對して、自覺をもつていただくように馴致していきたいと考えておるのでありまするが、さしずめの方法といたしましては、申告納税をされる前に、税務署におきまして、ある程度の調査をいたしまして、業者の團體あるいは市町村役場の方その他に集まつていただきまして、最近の實情から推して普通ならこの程度でないかというような指導もいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=85
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086・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 そうすればやはりある程度の基準というものはおきめになる御方針なんですか。それともまた本人の申告によつて、たとえば田の場合公定で賣つた場合には一反歩の收入が何百圓になる。しかしやみで賣つた場合には何千圓になる。その一反歩の收入というものが非常に違つてくるだろうと思うのですが、そういう點はどうですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=86
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087・前尾繁三郎
○前尾政府委員 一定の基準というので、全國一律あるいは財務局管内一律というようないき方はしないつもりでございます。要するにその地その地の實情に應じて税務署におきましても調査して、大體この程度でないかというようなお話はいたして指導したいと思います。しかし各人ごとに非常に違つている所得でございますから、その基準に必ずしも從わなくちやならぬというのではないのでございます。自分自身で十分御計算なすつている方につきましては、それに從つて申告していただいたらいいということになるのでございます。ただわれわれの方でその申告がいいか惡いかということは、また一定の基準を設けて、その基準に合わない人については、具體的に調査するというような方法をとらなくちやならぬのではないかと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=87
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088・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 次に法人に對する超過所得ですが、今までの法人のこれに對する態度を見ますれば、超過所得が多くなれば税金にばかりとられるというので、利益があればむだに使つて、なるべく超過所得を出さぬようにする傾向が相當あつたように見受けるのでありますが、こういつたむだな經費をかけさせる税金はむしろ思い切つて廢止して、配當でも何でも多くして、各個人の所得にして、所得税でそれを徴收するという方が、税金をとる點においては樂でないかと思うし、また非常にむだが省けるのではないかと思いますが、今囘の改正によつて、いくらかは超過所得の税率は下げられたようでありますけれども、いつまでもこの超過所得税がありますれば、なるべく超過所得を納めないような決算をつくる傾向があると思いますので、この點お考えがあるか伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=88
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089・前尾繁三郎
○前尾政府委員 超過所得税の税率を引下げましたのは、ただいま仰せのような趣旨でございます。また營業税の税率等は、上積みになりました分については百パーセントというようなことに相なりますので、それではあまり妥當を缺くということが一つ。またその税率が高いために超過所得を出さないように、濫費の傾向にもなるというような趣旨でございました。しかし法人はやはり資本團體でございまして、また擔税力に應じて税金をとるということが税の本質でございます。個人におきましても相當最高率は引下げましたものの、相當急カーブの累進でもつて課税しているわけであります。法人につきましてもやはりその資本の割合に應じて、多く利益があがつているという面は、いずれにいたしましても擔税力が多い。それだけ勞力を要せずしてもうかつたという面も考えられるのでございまして、擔税力に應じたある程度の累進税を考えざるを得ないのであります。外國の立法例などを見ますと、その所得金額の大小によりまして累進税率を設けているというような制度もございますが、やはり資本團體でありますところの法人につきましては、資本に對する利益の割合というようなものを擔税力の目途といたしまして、適當な累進率をもつた課税をするということが必要でございますので、この超過所得に對する課税をやめるということにはわれわれ賛成し難いのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=89
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090・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 次に酒の税金が非常に高くなりまして、農村方面においては、こういつた非常に高い酒を買つて飮むよりも、おそらく濁酒の密造が相當盛んになるじやないかと思うのであります。消費面に對する税金からみますならば、もつと私は酒などは高くてもいいと思うのでありますが、生産方面に飮ませる酒といつたようなものは、相當思い切つて考慮する必要があろうと思うのであります。こういつたような點に對してのお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=90
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091・前尾繁三郎
○前尾政府委員 酒税の引上げにつきましては、われわれもできるならこういうような高い税にいたしたくないのであります。また殊に供出や重要産業の増産用という特配酒につきましては、そう引上げたくはないのでございます。あるいは特別の扱いもいたしたいのでございますが、それは技術的に非常にむずかしいことが一つと、また對外關係からいいましても、現在敗戰國のわが國といたしましては、酒をつくることを公に許されているわけではございません。食糧輸入その他を懇請して、やつとやつている際におきまして、酒をどんどんつくるというわけにはまいらないのでございます。ただ何としても財政上の面、それから重要産業に對する特配並びに農村の供出に對するもの、こういうような面で絶對に酒が必要であるというようなことから默認されているようなかつこうになつているのでございます。從いまして、今囘の酒税の引上げにいたしましてももし特配用のみと區別いたしますならば、明らかに家庭配給というようなことはやめなくてはならぬような運命にもなるのでございます。ただ業務用酒としてつくつております分に對しては、相當高率な、二百圓の加算というようなことになり、この思い切つた加算税の引上げが一般の配給酒の相當の引上げにかかわらず、かなり供出に對しても特典になるというふうな面をもたしているのであります。ただいまのところ財政事情から考えてこの程度に引上げなければ、賄い切れないという點を御諒承願いますれば、ほとんどすべてが供出用に使つているのだというような事情によつて、ただいまお話の點は御諒解願えるとわれわれは考えている次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=91
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092・菊池長右ェ門
○菊池(長)委員 私の質問はこれをもつて打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=92
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093・金光義邦
○金光委員長 松永君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=93
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094・松永義雄
○松永(義)委員 税とインフレーションの關係についてお尋ねしてみたいと思います。それは今度の税制改革案の趣旨がインフレ防止の意味を強く表わしていると思うのであります。ところが税が消費者に轉嫁されるという議論もあるようなわけで、それが殊に消費税について現われるということは、從來言い古されて來たことであります。ところが、それが直接税の面に現われて來ているのではないかと思うのであります。それはごく最近課税されております財産税及び増加所得税の税の負擔者は一體たれにあるかという點であります。その意味は、一つの品物を賣りますときに、たとえば工場主、製造家あるいは商人のような場合、財産税なり、増加所得税において、相當新圓を徴收されているのでありまして、そのために工場主なり、あるいは商人なりが新圓に窮乏するのあまり、そのかけられた税額を商品の値段の上に加算して、値段を高めていくという傾向が存在しているのであります。
〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕
もとより財産税なり、あるいは増加所得税という税種によりまして、多額の税金を徴收せられるのでありますからそれだけ通貨の面において縮小される從つて購買力が自然に減少してくると一應考えられるのであります。ところが、私が申し上げるまでもなく、インフレーションというものは、紙幣の面と物の面からくる。物の量が相當量ある場合においては、税金によりましてインフレーションを避けられるし、かつまた物價の値下りを來すことができる。ところが物の量があまりに少くてまたその物に對する需要が多いという場合においては、たとい税金で徴收しましても、購買力は衰えない。廣い範圍にそれが販賣せられればいいのですが、廣い範圍に賣るだけの物の量が少い、しかもその少い範圍においてなおかつ購買力が殘つておるというような場合におきましては、製造家あるいは商店なりが、この直接税である税金を販賣値段に加算し得るということが理論として存在しているばかりでなく、實際にあたつてそういうことを私どもは見たり聞いたりしておるのであります。税金をとれば一應インフレーションが避けられる、惡性インフレーションが未然に防止できるという考えでもつておやりになることは結構でありまするが、實際の面において、日一日と物價が高騰しつつあることは、顯著なる事實なのであります。それで大藏省においても、相當研究せられておるのでありましようが、そういう事實があるということを御承知であるかどうかそういうことを考えて今度の税制改革を立てられておるかどうかという點につきまして、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=94
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095・前尾繁三郎
○前尾政府委員 この轉嫁の現象は、經濟上の弱者に轉嫁するというのは、もちろん間接税におきましては、當然轉嫁を豫想してできておる税でございまするが、直接税におきましても、やはりその傾向はございます。というよりも、相當そういうようなおそれがあるのでございます。財産税につきましては、轉嫁するということは割合に少いと思います。しかし經常的な税になりますと、よほど課税の行き方をうまくやりませんと、どこも一律というような方法でまいりますと、どうしても轉嫁を引起しやすいのでございます。しかしあくまで財政の收支の均衡を保つということが、まずインフレ防止の第一要件でございます。しかし私どもは租税のみでインフレを防止でき得るとは絶對に考えておりません。そういうような轉嫁の現象が起らないいろいろな施策、すなわち物を増産する面で強い施策をとつていただく、あるいは配給のルートを正規に流す、それによつてよほど轉嫁の現象は起りにくくなるのでございます。そういうような増産の面、配給の面、あらゆる施策が總合されて、初めてインフレーションの防止をし得るのでございます。財政の收支の均衡を得たら、それでインフレーションが止るというだけではもちろんないのでございます。またインフレ防止の手段は最後の手段ではありまするが、税のみをもつて防止し得るというものでは絶對にないと、私は考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=95
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096・松永義雄
○松永(義)委員 ただいまの主税局長のお話は、きわめて抽象的な結論であると私は考えます。私のお伺いしたいことは、現在直接税が値段の上に加算せられ、そうして消費者に轉嫁されているばかりでなく、日一日と物價が上りつつあるという事實をお認めになつているかどうか、この現在の事實をお認めになつているかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=96
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097・前尾繁三郎
○前尾政府委員 そういう傾向のありますことは、私も十分認めている次第でございます。しかしそれが税の關係から起つているというふうには考えておりません。最近の生産状況その他の事由がかなり響いてまいつていることは、われわれといたしましても十分考えている次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=97
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098・松永義雄
○松永(義)委員 そういう事實をお認めになつておれば、今度の税制改革の重大なる目的の一つであるインフレーション防止ということについては、われわれとしてはそう期待することができないということになるのではないかと思います。ただいま主税局長の言われました通りに、インフレ防止はただ税金の上ばかりでは達せられない、その他の方面のことを考えなければならぬといふことはもつともであります。そこで私はさらに今度は安定本部なりあるいは商工省にお尋ねしなければならぬ順序でありますが、さいわい大藏大臣がお見えになりましたから、續けて大藏大臣にお尋ねいたします。
もう一遍繰返して申し上げますが、ただいま私が主税局長にお尋ねしまして、主税局長の答辯によりますと、消費税が消費者に轉嫁されるということばかりでなく、最近の事實として、直接税、たとえば財産税あるいは増加所得税、それらの税金が徴收せられることから、製造家あるいは商人が新圓に窮乏するあまり、その直接税に支拂つただけの金を自分のところでつくつたり、賣つたりする物品の値段に加算して、そうして消費者に轉嫁する、事はそういうことばかりでなく、物價は日一日と騰貴している有樣である、せつかくここで税制改革案を出されて、インフレ防止ということが主たる目的の一つになつておりますが、現在のあまりにも物の不足している點からして、消費者に轉嫁されるということばりでなく、物價の面において大きな影響をしている、そういう事實が現在ある、こういう御答辯が今主税局長からあつたのでありますが、そういう事實を大藏大臣もお認めになつているのかどうかという點をまずお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=98
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099・石橋湛山
○石橋國務大臣 これは、商品については賣り手のマーケツトであるか、買い手のマーケツトであるかということで、税金というものが轉嫁される傾向が違うのであります。消費税であつても、非常に不景氣で物が餘つているときには、消費税さえも消費者に轉嫁されず、生産者が負擔することになる。それと逆に今日のごとく物が少く、しかも前途はまだ高いというふうに見られるような場合には、直接税がかえつて消費者にある程度轉嫁されるということは、これは理論的にあり得ることでございます。從つて今日そういう傾向がないとは言えないと思います。結局物價においては需要供給のバランスは考えられないのであります。ある程度の物價、價格というものが調節されて、そのでこぼこが均衡を囘復してそして物資が足りないなら足りないなりに需給の調節ができればそれについて租税轉嫁の傾向はなくなるのでありますけれども、現在はものにもよりましようが、大體さような均衡を囘復しておらぬものですから、さような弊害が現われておるかと思います。しかしそれはどれほど現れておるかというとそれは的確には申されぬことと思いますが、理論的に申してはその傾向があるということは一應言えると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=99
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100・松永義雄
○松永(義)委員 ただいまの主税局長の御答辯と大藏大臣の御答辯とどうも食い違いがあるということを責めるとか、責めないとかいうことではなく、實際問題としてそういう現象が現われて、きのう、きようそういう事實が現われつつあるという點なのであります。そこが重大なのでありまして、理論としては消費税にしても、直接税にしてもそれは轉嫁されるものであつて比較的直接税は轉嫁されにくいということが言われておるのでありますが、ただ現在増加所得税なり、あるいは財産税なりをとられておるところの工場主なり、あるいは商店なりが加算してこれを賣つておる。それが物價の全體の上に響いてくる。すなわちせつかく税制改革が出されてデフレーションをはかろうとしても目的を達し得ないような状態が今ぼつぼつ現われておるのではないかという事實についてどういう御意見がございますか。その點をひとつ。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=100
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101・菊池長右ェ門
○菊池委員長代理 ちよつと松永君に申し上げますが、大藏大臣は三十分か四十分の時間しかおられないそうです。八木君も中崎君も質疑の通告がありますから、なるべく簡單にお願いします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=101
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102・石橋湛山
○石橋國務大臣 それはいつかもそれと同じ問題が出たと思いますが、今物が足りないときには税金が消費者に轉嫁されると申しましたが、これはもうひとつ逆に申しますと、轉嫁されると言わぬでもよい。つまりそういうときには税金がなくても上るべき物價である。つまりそれだけ高くしても賣れるからそうなるのでありまして、だから口實としては生産者商人としては税金が上りましたから、これだけ上りましたと言いますけれども、おそらくそれは口實であつて、その税金の關係なしに物價は上るべき筋合だと思います。それはどつちでもよいことではありませんが、税金が上つたから物價が上つたということは一應は言えるかもわかりませんが、經濟的の現象から言えば、税金が上らなくてもそれは何かのチヤンスで上るべきものだと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=102
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103・松永義雄
○松永(義)委員 その點の議論はあまり長くしませんが、税金が上れば物價に拍車をかけるということは事實ではありませんか。せつかくいくらかでも新圓が吸收されて物價の値下りを來すだろうという萬一の望みすら失つて、そして逆な結果になりつつあるということは、結論において別に方策を安定本部なりにおいて講ぜられなければ、せつかく税制改革もその目的を達し得られないのではないかということになりはしないか。こういう點です。その點の質問は打切ります。
それから第二は、これまたわかりきつたようなことでありますが、昨年の税制の委員會におきまして、大藏大臣はまさかドイツの一ドル一萬マルクのようなことを考えておるのではない。札の購買價値の下落によつて國債を整理するということを考えておるのじやないということを言われた。ところが現在大藏大臣は元利を償還したつて、七、八十億じやないか、千億以上の豫算から見ればきわめて少いものだからそんなものを整理したつて言うに足りないじやないか、こういうふうにおつしやられたかのごとく私は聞いております。そのことは別にしまして、それを裏から見ますと公債の價値というものはまつたく値下りしてきた。そうして別の意味において公債というものは整理されつつあるということも言われないことはないのでありまして、戰爭前におきまする公債百圓券一枚の購買力と、現在の公債百圓券の購買力と比較してみれば、おそらく五十分の一になり百分の一になつておるのではないか。この先このままで進んでいきますれば、紙幣の購買價値がどんどん減つていく。そうしてせつかく公債をもつておつてもばかな目に遭うという結果になつてくるのじやないか。なるほど大藏大臣の言われたように、まさか一ドル五十圓かあるいは百圓、ある雜誌によると五百圓ということすら言うておるものがあるのでありますが、大藏大臣はその事實について、どうお考えになりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=103
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104・石橋湛山
○石橋國務大臣 ただいま一ドルがいくらになろうかということは、實際ははつきりしないのでありますが、しかしとにかく物價は上つた。通貨價値が下つたということは事實でありますから、むろん認めておるわけであります。從つて國債というものも、以前の百圓の國債が今日は實質的には幾分の一かしらぬけれども、下つておるということも事實であります。ただ問題はこの上にまだどんどんインフレーションがはげしくなり、ドイツのごとく一ドル何兆マルクというように、何兆圓になるということはむろん考えておらない。ある相當なところで食い止める。こう私は信じておるのであります。ドルの勘定はわかりません。いよいよ國際貿易でも開けます場合に、アメリカの物價も上つておる。日本の物價も上つておる。ただその程度が違いますから、以前のような爲替相場でないことは明らかであります。これも同じことで、非常にめちやくちやに圓が下つて一ドル何兆圓というようなことはむろんない。今のお話のように五十圓か百圓かしりませんけれども、とにかくその邊のところにあるのじやないか、こう考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=104
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105・松永義雄
○松永(義)委員 そうしますと、戰前の公債の問題でありますが、大藏大臣はしばしば公債の元利の償還を取消すことは、最も郵便局の貯金者に迷惑を與えるものだ、こういうことをしばしば申されておるのであります。その議論をさらに進めてみますと、その議論によつて最も被害を受けると想像されるものは戰前の貯金者ではないか。その當時貯金しておつたものは一升五十錢で買えた札の購買力をもつたものである。それを粒々辛苦して貯金した。それが郵便局において國債に變つた。國債に變つたが國債の價値が今百分の一かあるいは五十分の一になるというようなことになつておるのでありますが、戰前における貯金者がどれくらいインフレーションの政策によつて害毒をこうむつておるかという事實は誰しもが認めておるわけですが、大藏大臣はこれをお認めになつておるのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=105
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106・石橋湛山
○石橋國務大臣 むろん貨幣價値が變動があつたのでありますから、貨幣價値の高い時分の預金者は今日貨幣價値が下つた時分には損をしておるということは言うまでもありません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=106
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107・松永義雄
○松永(義)委員 ところが戰爭中に貯金した札というもの、また戰爭中において引受けを命ぜられた郵便局の國債というものの價値は、今日とはかなりの差があるのでありますけれども、しかし戰前の國債あるいは貯金者とは、その隔たりが相當なものであると思うのです。戰前の貯金者においては、とにかく一升五十錢で買えるというときの金を貯金したものである。ところが戰爭中においては、もう既に相當物價が上つてまいりまして、そうした札なりあるいはまた國債の價値というものは、戰前より相當下つておるではないかと思うのであります。そうした國債の整理とか、あるいはまたそれによつて受ける貯金者の被害というものは、それほど大なるものではないと考えるのでありますが、それに對して大藏大臣のお考えはいかがでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=107
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108・石橋湛山
○石橋國務大臣 これは物價指數なり何なりを見ればわかることでありますが、むろんお話のように、ずつと遠い時代、戰前と申しますか、古い時代の貨幣價値よりも戰爭中の貨幣價値は下つております。今日はまだそれよりも下つておる。そういうわけでありますから、お話の通り戰爭中の預金者は、それ以前の預金者よりも損害の程度が低いということは、それは事實であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=108
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109・松永義雄
○松永(義)委員 ほかにまだ質問があるようでありますから、私はこれで終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=109
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110・菊池長右ェ門
○菊池委員長代理 八木君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=110
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111・八木佐太治
○八木委員 この際に大藏大臣に一言お尋ねしたい點は財産税の問題でありますが、財産税が賦課される場合は、もちろん申告でありますが、その株價値を税務署の方において指定しておるのであります。具體的に申しますと、無盡會社の株でありますが、その株は五十圓の拂込みを四十圓に指定してきております。その指定した額によつて財産税をかけることになつておりますが、株主はその會社にも相當の關心をもつて調査いたしますと、會社は何ら財産がなくなつておる。それらの點について大藏省は無盡會社を監督するだけの責任がありますが、この無盡會社の内容について事實どういうふうな御見解をもつておられるかということを第一にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=111
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112・石橋湛山
○石橋國務大臣 各會社、法人の株價をきめましたのは大藏省が勝手にきめたわけではなく、中央及び各地方に委員會をつくつて、その協議にかけてきまつたのであります。御指摘の無盡會社はどこの無盡會社かわかりませんがさように内容が全然ないものを四十圓に評價しておるということは、もしそれが事實であれば心外でありますが、私ただいまその事實を存じません。これは銀行の株などは、新株など未拂込みの株を評價する場合には、市場價格がありまして、比較的新株が高く評價せられて、株主が迷惑するということがありますが、これは訂正いたしております。お話の無盡會社の場合ももし間違いであれば訂正するかと思います。これはなお私よりも事務當局の方がよくわかると思いますから、その方から答辯いたさせます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=112
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113・八木佐太治
○八木委員 その訂正でありますが、もし財産税が評價されてかけてしまつた場合に、財産税の拂いもどしということをされるのでありましようか。その點を伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=113
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114・前尾繁三郎
○前尾政府委員 ただいま大臣の申されましたところの實際の間違いでありますものについては、むろん訂正いたします。またその點をよくお話になりましたならば、その間違いが明瞭であります場合には、あるいは徴收を待つとか、そういう方法も考えられますが納めていただきました後でも、もちろん拂いもどしをいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=114
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115・八木佐太治
○八木委員 無盡會社なるものが今日戰災をこうむつて、その株價というものは補償打初りによつてその價値を失い、今無盡會社の加入者が不安をもちこの無盡會社の經營には非常に混亂を來しておるのでありますが、あの無盡會社を整理する御意思があるかどうかお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=115
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116・石橋湛山
○石橋國務大臣 無盡會社というものは、庶民金融機關として特殊な働きをしておるもので、これは相當その活動を期待しておるものでありますが、同時にまたその經營が過去においては隨分放漫なものもあります。近年大分整理をし、また監督を嚴重にしておりますので、大分改善せられたのでありますが、今度の補償打切りなどの影響を受けておる向きもあるようであります。いろいろな問題がありますので、これについてはよく考えて、それぞれ適當に指導していきたい。そういう考えで銀行局の方に私もよく申しまして補償打初り問題と關連して、どうせ整理しなければならぬのでありますからそのときに適當に整理したいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=116
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117・菊池長右ェ門
○菊池委員長代理 中崎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=117
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118・中崎敏
○中崎委員 最初にきのう大藏大臣にお預けしておきました日本銀行券の制限外發行税に關する問題でありますがあの制限外發行税を徴收されることになりますと、納付金の形において收入となつておるところのこの項目を、銀行券の發行税の形に改められる必要があるではないか、この問題を預けておいたのでありますが、この點について研究が濟んでおるかどうか、それについての御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=118
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119・石橋湛山
○石橋國務大臣 本年は豫算の上には日本銀行の納付金を科目に計上しておりません。でありますから、發行税が法律によつて新設されれば、それだけ増收になるわけであります。豫算の上にはその點は手續上差支えないと思います。別段豫算の組替えは必要がないと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=119
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120・中崎敏
○中崎委員 次にお尋ねをいたします。この國民所得に關しまして、税務當局からのお調べによりますと、昭和二十一年度は約千七百億になつておるようであります。二十二年度は二千七百九十四億。ざつと二千八百億になつておるわけであります。二十一年度と二十二年度の國民所得の割合をみますと、大體六割増になつているわけであります。ところで所得税の本年度の收入と昨年度の收入とを比較してみますと、ざつと三倍餘になつているわけであります。國民所得と所得税との間のこういつた開きは、どういうわけで生じてくるのかということをお尋ねいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=120
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121・石橋湛山
○石橋國務大臣 ただいまお尋ねの國民所得と申しますのは、實は税務當局が課税の必要上、課税推定の全人員の上から推定した、つまり課税對象になる所得であります。これは言うまでもなく、免税になる人は含んでおりません。その所得が増加している。しかるに税がその割に増加しないというお尋ねのようであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=121
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122・中崎敏
○中崎委員 あべこべです。税が三倍に多くなつているが、所得が六割しか殖えていない。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=122
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123・石橋湛山
○石橋國務大臣 二十一年度の所得税は事務當局の調べでは實績が、決算では増加所得を入れて二百三十億くらいになると思います。今年の所得税の見込みが四百何億で、二倍足らずくらいになつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=123
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124・中崎敏
○中崎委員 今年の所得税におきましては、免税點も考慮されております。さらにまた高率の所得税率というものが相當に引下げられているわけであります。この點から見まして、今の大藏大臣の話によつて見ただけでも、既に二倍見當の所得税の收入がある。ところが國民所得は六割見當の開きしかないということになるわけでありますがその間の食い違いについて説明を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=124
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125・石橋湛山
○石橋國務大臣 私はこういう數字は今初めて見たくらいですから、なぜそういう違いがあるかということはちよつとお答えしかねます。あとで調べてお答えいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=125
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126・中崎敏
○中崎委員 次に法人税の豫算が二十億となつているのでありますが、一方その他の所得税が四百十三億となつているのであります。その割合を見ますと、五%以下となつているわけであります。ところで實際經濟の實態というものは、ほとんど大きな法人を中心といたしまして、この多數の法人の所得というものが、非常に大きく占めるべきはずでありますのにかかわらず、法人税がその他の所得税に比較しましてわずか五%に及ばないということは、これは國民大衆にきわめて大きな負擔を課する一方、こうした事業家というような者に對するところの利益を著しく擁護するという、國民大衆の負擔、犧牲において、税制が成り立つているのじやないかという氣持をもつものでありますが、この點についての御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=126
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127・石橋湛山
○石橋國務大臣 これは明白なことでありまして、法人というのは、この間たれからかお話があつたように、脱税などの目的で小さな法人がたくさんできていると言われますが、しかし數はどれほどあるか知りませんけれども、今までの大きな法人というのはほとんど皆だめです。よく財閥々々という財閥關係の會社というのは全部制限會社であつて、配當も何もない。ですから法人税のとれる源泉というものはほとんどなくなつてしまつたと言つてもいい。それでもこれだけ殘つているというのは、今の小法人が相當あつて、ちよこちよこいろいろなことをやつております。それらから税金がはいるからであつて、ここに數字もありますが、大法人の分はほとんどなくなつてしまつた。その關係で總額はあまり殖えません。從つてほかの所得税の方が多いということになります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=127
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128・中崎敏
○中崎委員 私が言いますのは、財閥とかいう特殊の、わずかばかりの事業家を擁護する氣持をもつて現在やつておられるというふうには、もちろん考えておりません。それらを含んだと申しますか、これらのものの現在の状態を見ますと、多く自分たちの匿してもつているところの財産、あるいは工場の設備という類のものをどしどし横流しにしている、これが實に莫大な額に上るものでありまして、これらに對しては直接課税の對象となつていないものが多いじやないか、こういうふうに考えているわけでありますが、そのほかの一般の法人というものは、日本經濟の生産面において、あるいは配分の面において、非常に大きな役割をもちそして大きな力をもつているわけであります。それがわずか二十億であり、しかもそのほかの所得税、勤勞大衆に課せられたものが四百十三億の多額に上つているということは、どうしても私は合點がいかぬのであります。この見地から見て、大藏大臣は、こうした勤勞大衆に屬するような中商工業というものよりも、そのほかのものの、温存に重點をおいておられるのではないかという懸念が濃厚なわけであります。それゆえに二十萬圓以下の法人とそれ以上の法人との税金の分擔割合がわかつておつたら一應お示し願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=128
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129・石橋湛山
○石橋國務大臣 御要求の資料は調べれば出ると思いますが、あるいはすぐには間に合わないかもしれませんから御諒承願います。
それから、今のお尋ねははなはだしい疑いでありまして、法人もとれるものならばうんととりたいのですから、決して御懸念はないのであります。特に法律を曲げてある法人を保護するというようなことはできはしないのであります。なおこれは二十一年度の決算を見ましても、さつき申しましたように、所得税は増加所得税を加えましてこれは本年度に繰越した二十億も含めたものでありますが、大體二百二十七八億圓になる豫定でありますが、法人税はその場合でも八億八千九百萬圓で終戰後非常に少いのでありますが、これは別段保護するわけでもなんでもない、配當も何もないのが大部分ですから、そういうことになります。小法人などに脱税を企てているもののあることも承知しておりますが、これをできるだけ捕捉することは個人における場合と同じことであります。ほとんど法人と言いましても、そういう法人となると、個人と違わないようなものになるのでありまして、これは税務署の機構によつて捕捉するようになります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=129
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130・中崎敏
○中崎委員 かりにこれを正しい税のかけ方をするといたしましても、こうした經濟の分野において、大きな役割をもつところの多數の法人があるが、この程度の税金を拂う資力がないということになれば、この課税の面から見た日本經濟界の前途は實に暗澹たるものがあるのではないかと思います。言いかえますと、こうした法人を中心にすべての物が生産されておるというのが現在の日本の状態であるわけでありますが、その法人の納める税金の源泉が、きわめて微々たるものであるということを考えてみたときに、大藏大臣がこうして四百十三億も一般勤勞大衆から税金をとられることについては、非常に大きな無理がいくのではないかと考えるわけであります。これは經濟界の實體から見たところの租税の徴收の行き方についてお尋ねするわけでありますが、この點についての見透しをお願いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=130
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131・石橋湛山
○石橋國務大臣 これはこういう意味において御質問の點も將來を考える點があると思います。それはかように法人が非常に振わない、法人税がとれないほど振わないということは、日本の經濟がいかに困難な状況にあるかということであります。そこから今度は給料をもらつておる者が現在ある。現在それらの會社がかなり赤字などを忍んで給料を拂つておるが、このままならばやがては給料も拂えない時期がくる。すなわち失業者が非常に殖えるということを、法人税の現状が示すのではあるまいか、こういう疑いが確かにかけられると思います。そうしてその懸念は確かにありますけれども、それ以外に、もしそういう意味でなく、ただ法人税というものがそんなにとれないということは、税の上において非常に前途を憂うべきだという質問の趣意であるならば——法人税は實に議論のあるものでありまして、アメリカ流で言えば、法人税はとらない、つまり全部の所得は結局個人に歸着するのでありますから、個人だけをおさえるのがほんとうだ、途中の法人というものに税をかけるのは間違いだという考え方もある。これは一つの理窟と思います。ただ日本の法人に特に課税したのは、いつからか覺えておりませんが、これは日本においても近々のことで、私は實は税のことはよく知りませんがドイツ流の考え方を入れて、法人というものは一つの人格をもつておるから別に課税するのが適當だという一つの理由からきておるのであります。ですから法人税をとらないということは、税の制度の上から言えば理窟のあることでありますから、税制としては必ずしも法人税をなくしたところで、別段憂うべきこととも思いません。その法人税があるにかかわらず、それが減つておることは、いかに産業界が疲弊しておるか、あるいはそれの活動が困難かということを知り得ますが、その意味においては、確かに憂うべき一つの現象と申していいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=131
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132・中崎敏
○中崎委員 この法人に關する超過所得税率を引下げてみましても、今のような經濟界における状態を反映しておるものとかりに率直に解釋しましても少くともわれわれはこの法人の形の中に隱れて、この非常時において財産なりあるいは所得が温存されるということを憂うるものであります。言いかえますと、實際において大きな軍需會社はもちろんでありますが、そのほか相當の資材を持ちこんだ會社がどしどしとその物を處分しておる。そうしてその處分は著しく高いやみの價格で處分しておる。ところがそれが實際に會社の會計にはいるかといえば、これは現在勞働者を賄うための賃金は相當の負擔ではありますが、これに引當てられるとともに、中には重役個人がそつくり——そつくりでもないですが、大部分をうまくせしめておる。あるいはまたこれに從業しておる從業員に組合の名前においてそういうふうなことをどしどしやつておる。そうしてこれらのもので肥えるものは重役であり、こうした一部の從業員である。こういうようなことが非常に大きな現在のあらゆる場面において考えられるのではないかというふうに思うのであります。はたしてそうであるとするならば、これは決して公定價格だけを税金の對象としておられるのではなくして、言いかえれば、實際にその事業にはいつてきたところのその金錢的な金額をもつて目標としておられるのは、これははつきりと申し上げることができるところであります。そういう意味においてこの事業のみを温存するというような結果になることについては、大いに反對せざるを得ないのではないか。否そういうものはむしろ税金として取立てられた場合には、その税金はいやが應でも拂つていく。ところがこの税金をやたらに引下げるというような方針、あるいは決算の面において赤字が出たというので、それに税金を取立てないという方針が、こうした一部の重役なり一部の從業員を肥らせておるなどというようなこと、これは事實でありまして私どもは實際において日常こういうことをもう到るところで見ておる状態でありまして、この點において大藏大臣もそうした實情をもう少し巷へ出てよく認識してもらいたいと思うのであります。この横流しその他の方法によるところの幹部なり從業員のこうした脱税というか、不當な庇護を受けるというか、そういうふうな實情について、どう考えられるかお尋ねしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=132
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133・石橋湛山
○石橋國務大臣 お話の點は、會社などが手持資材をもち出して賣つておるが、しかしそれはその會社の帳簿に載せずに、從業員がわけるとか、あるいは重役がわけるとか申しておるというお話であろうかと思います。そういうことは脱法行爲でありまして、それはそんなことを個人がやつておるのと同じことをやつておるわけでありますがこれは税とは直接關係のないことでありまして、そういうお話のような事實がないともあるとも私は申し上げませんが、あるとしましたところが、税とは別段關連のないところであると思います。これは別の物資調整法とか、あの方面から取締るべき事柄と存じます。いやしくも法人の帳簿にはいつてまいりますれば、これはむろん税金がかかるのであります。從つて今度の税法の改正によりまして、法人の超過所得税を若干引下げた。これは引下げ方がまだ足りぬと思いますけれども、その最高限を若干引上げたということはこれは説明でも申し上げましたように今までの日本のような法人の税を思い切つてかける——ある程度の利益、殊に今度は資本金が皆小さくなるのでありますが、その資本金に對してある率以上の利益は、ほとんど根こそぎ税金にとられるというようなことでは、經營者としても張合いがないでしようしまた從業者側も張合いのあることではありません。資本蓄積の上から言いましても、經營者に事業の興味をもたせる意味から言いましても、あまり高い税というものは、かえつて惡い影響を與える。そこでこれをできるだけ合法的に引下げるということを、これを私特に一つの方針としてとつたわけであります。これは日本の産業全體の上においてぜひ必要なことだと思います。なおまた餘裕があれば、もつと引下げる必要があるのではないかと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=133
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134・中崎敏
○中崎委員 ただいまの法人等が物資を帳簿につけないで流すという問題に對しても、私は納得がいかないのであります。これは物資調整法その他によつて取締りをすべきことはもちろんのことであります。ところが帳簿につけない物の處分によつて不當に利益することについて、もう少し實體を把握して、これに對して徴税するならば、二十億以上の税收があるのではないかと私は見ておるのであります。さらにまた法人税についてこの超過所得税の引下げをやられておりますが、これはこの事業を保護するという見地からだというふうに考えられますが、もしそうであるとするならば、法人だけがこの餘力がなくて、多くの税金の對象となつている個人企業、あるいは勤勞所得者に十分のこうした餘裕があると見ておられるかどうか。さらにまた、もし法人にこうした利益を温存さす必要があるとするならば、何ゆえにこの資本税に對する引上げをしておられるか。言いかえると、一面においては超過利得、超過所得に對しては税金をかけるわけでありますので、これはむしろ超過に對して税金をかけるのは當然でありますが、その見地よりも反對に、むしろ資本税に對してこれを引上げておられるという理由についてお尋ねいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=134
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135・前尾繁三郎
○前尾政府委員 法人の超過所得に對して税率を引下げている理由は、一つは從來の税率が臨時利得税の税率をそのまま引繼ぎ非常に高率でございます。しかも營業税がまた非常に高率になつて一五%、三割超過の税率が八五%、三割超過すると一〇〇%という税率になります。また一面から申しますと、所得と資本との關係が、資本が從前の金額で重要視されており、最近の所得は非常にその割合が膨れてきております。それらの關係から見るとほとんど一〇〇%とらなくてはならぬ部分が非常に多くなつてまいつております。それを平時的な税率に引直すというのが今囘の超過所得に對する税率の引下げであります。その反對のことは資本税の面において言える。すなわち所得が相當増加している。しかも所得と資本との關係が、先ほど超過所得の場合に申したと逆に見合いまして、資本の金額に對する所得の割合が非常に強く出てきている。從つてその補完税である法人資本税においては、資本に對する税率を引上げたのであります。その點は兩方相見合つているわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=135
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136・中崎敏
○中崎委員 どうもよくわかりませんが、この程度にして次に移ります。この企業整備再建に關する善後措置として生命保險中央會あるいは損害保瞼中央會に對して、補償の意味において支出された金額についてお尋ねします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=136
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137・石橋湛山
○石橋國務大臣 二百十億圓です。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=137
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138・中崎敏
○中崎委員 企業再建整備法によると百億圓をもつて金融機關の損害を補填することになつており、その百億圓の限度をもつて十分であることを大藏大臣から説明されております。ところが二十一年度の豫算には二百十億圓の金額が企業整備再建の措置として生命保險中央會、損害保險中央會に對して支出されているのであるが、それはわれわれの目から見ると、ひとしく金融機關である。しかも二十一年度豫算において百億圓の公債を發行して、この金融機關にやることになつている、結局三百十億圓が政府補償の打切として支出されることになり、われわれが企業整備再建法案において承認した百億圓を二百十億圓突破することになつておりますが、それについて大藏大臣の御所見をお伺いしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=138
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139・石橋湛山
○石橋國務大臣 その御趣旨はちよつと誤解があります。百億圓というのは金融機關を整備する結果生命保險などいわゆる第一封鎖に關するものの補償になるものであります。戰爭保險金の支拂は政府の負擔であります。金融機關の補償ではない。つまり中央會などに代辨させている形で、金融機關から金融させて、支拂いをしているものであります。これは政府が保險を受けて政府の金でやつている。だから五萬圓以下の戰爭保險を拂うというのは、政府の支拂いであつて、そのために二百十億圓支出する。こういうわけです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=139
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140・中崎敏
○中崎委員 私はこういう金融機關に對する政府補償ばかりでなく、政府が戰爭中支拂うと公約した一切の國家的債務に及ぶものだと解釋している。たとい保險が國家の保險であろうとも、これは戰爭を前提としてやつた國家保險である。國家が生命保險等に對して支拂うということを保證してやらした債務である。こういう意味においてもひとしく一般に政府が金融機關に對して保證した保證債務と同じに見るべきではないか。私ども法案を審議する場合においては、そういう觀念をもつて見ていたのであります。言いかえれば、この二つは全部含めて一つの對象として考えるべきもの、こう考えていたのでありまして、それについてはつきりした法律的根據を御説明願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=140
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141・石橋湛山
○石橋國務大臣 ここに法律をもつていませんが、もつてくればすぐ明白だと思います。さような法律は書いてないはずであります。またあのときの説明にも明白にそういうように申してあるはずであります。それは何かあなたの誤解です。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=141
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142・中崎敏
○中崎委員 私の考えでは、金融機關と申しますと、保險も無盡もすべて一切を含めたものと解釋するから、今の國家が最後の保險者であるという立場において、いわゆる再保險という立場も同じように、金融機關の對象として見るべきではないか、かように考えている。この問題はそれ以上私も深い研究をしておりませんから、今後の研究にまつことといたじます。それから水害並びに震災に對する損害について、政府の補助金と申しますか、これについての問題でありますが、去る九十議會におきまして、院議をもつてこの水害、震災に對する補助金の復活を要求しました。これが容れられて、豫算の上に措置をとられることになつたのでありますが、この豫算が終戰處理費などに使われて、實際二十一年度において支出されるものは千七百萬圓見當になつておる。實際の豫算面から申すと二億四千八百萬圓計上されたところの豫算が、實際においての支拂を認められるのは一千七百萬圓程度にすぎないということになるわけであります。ところが各府縣におきましては、こうした政府の豫算的措置を全面的に信用いたしまして、實際においてどしどしと二十一年度の災害復舊のために事業をやつている。現在これに對するところの支拂を既にしなければならぬというような金額が、政府の豫算の都合上支拂ができないというふうな結果になつている。大きな問題をここに起しているわけでありますが、それらの方面からの要求によりますと、二十二年度において豫算に計上されているところの二億五千萬圓を二十一年度のこの不足金にあてて貰わなければ、とうてい實際の今までやつた事業が繼續できないばかりでなく、支拂が現實にできないというような問題にぶつかつているわけであります。この點について大藏大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=142
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143・石橋湛山
○石橋國務大臣 私はその事實を存じません。しかし、そんなことはあるはずがありません。災害の補助金が終戰處理費に化けるなんという、そんなことは會計法上できるはずはありませんから、そんなことは絶對にありません。何かほかの事柄で、あるいは戰災地が困つているということはあり得ますが、今のお話のようなことはあるはずはございません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=143
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144・中崎敏
○中崎委員 現實においてそういう問題が起つておりますので、もしそういう事實がなくして、それで實際において二億四千八百萬圓の豫算に計上されたところの金額が支拂われていないとすれば、大藏大臣は責任をもつてこれを支出されますかどうかをお尋ねいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=144
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145・石橋湛山
○石橋國務大臣 豫算に計上してある限りは必ずお拂いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=145
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146・中崎敏
○中崎委員 次に農業技術員の問題について大藏大臣の御意見を求めたいと思います。今度各縣以下におきまして農業技術員を設置する必要上、一億九千五百萬圓という大きな豫算になつているようですが、これに對して各地方から頻々として半額國庫負擔によつてこれをやつてもらわなければ、各町村の現在の状態において、とうていこれの負擔にたえきれないというふうに申してきているわけでありますが、これに對して大藏大臣は、この補助をされる意向があるかどうかをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=146
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147・石橋湛山
○石橋國務大臣 これは豫算總會あるいは分科會においても御質問のあつたことでありますが、この問題は、昨年からの問題であります。農業技術員の保護と申しますか、これを尊重するということには、むろん異論はない。ただこれは農業會の制度と結びついた問題でありまして、農林省等でも研究してもらつているのであります。ただいまのところでは、今年ただちに補助金を殖やすという計畫はございません。なお、今後農業會をどういうようなあり方にするかということも研究してほしい、こう考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=147
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148・中崎敏
○中崎委員 これはもちろん農林省に直接關係した問題ではありますが、詮ずるところ國家の財政の部面からこれを支出するかどうかという問題になりますので、大藏大臣としての意向をお尋ねしたわけでありますが、そもそも農業技術員というものは、國家的な農業技術向上の要請に基いて、各地區においてこれをおかなければならぬというふうな實態になつているわけでありまして、この面において、實際において、農業會の現情が、とうていこれらの人々の經費を賄い得ないというような状態である。言いかえますと、一面農民に對しては苛酷だというほどの實際の農産物の供出を要請されている。しかもこれに對するところの農産物の價格というものは、とうてい現在物價の状態にマッチするだけの價格は與えられていない。こういう實情におきまして、國家がこうした農業技術振興の上に要請されているところの農業技術員に對して、實際に支拂えないという現情をまともに見られまして、これを何とかするというだけの責任は當然あるのじやないかというふうに考えているわけでありますが、これについていま一度大藏大臣のお考えをお聽きしたいと思います。これについてあるいは豫備費というものも三十億もあるわけでありますので、これをもつてその一部たりとも賄うというほどの親心があるかどうかということも、合わせてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=148
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149・石橋湛山
○石橋國務大臣 豫備金を三十億圓に殖やしたからといつて、あつちもこつちもとられると足りなくなるから、そう簡單に拂えません。農業技術員の問題は、事柄それ自身はわかつておるので、御意見は十分了承してなお私の方でも研究をいたします。しかしこれはさつきから申しますように、各町村、農業會、あすこらの關係、あるいは協同組合という問題も起つておるし、それらの點も合わせて研究する必要がある。こういうようなことで、農業技術員の問題もまだ懸案になつたままになつております。御意見は十分わかつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=149
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150・中崎敏
○中崎委員 大體私の問題はこの程度にして打切りにしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=150
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151・菊池長右ェ門
○菊池委員長代理 松永君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=151
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152・松永義雄
○松永(義)委員 先ほど中崎君から御質問があつた點に觸れるのですけれども、税と生産との關係についてお尋ねしたい。工場におきまして手持品を賣却して利益を獲得する。毫も製造にこれを向けないで、原料をそのまま賣拂つてもうける會社があるということを聞いておるのであります。そこでそうした工場は極端な場合でありますが、そうでなくて、同じく物をつくるにしましても、再生産に役立つようなものをつくつておる工場と、また反對にただちにこれを消費してしまう。そういう品物をつくつておる工場と、二通りあるではないかと思うのであります。このことはよくいうのでありますが、投資の中に消費投資というのがある。あるいは生産投資というものがある。こういうことを聞いておるのです。具體的にいえば、いかなるものにしても今はそれは考えによつては必要でないものはないと考えられますけれども、しかし物の少いときは少いながらにもこれを重點的に再生産にその材料を向けていくのが、至當ではないかと思うのであります。ところが實際工場をみますと、そんな方面ばかりに材料を向けて、もうかるからといつて、大切な材料を使つてしまう。もつと必要な、たとえば再生産に役立つような旋盤の機械でもつくつたらいいではないか。あるいは農民が非常に要求しておる農機具の方へ材料を向けたらいいではないか。こう素人ながらも考えられるのであります。ところが實情をみますとなんでももうかる方へもうかる方へと材料を向けまして、今日の日本の實情からしますれば、適當でない方へ、惡く言えば濫費されておるような形があるのであります。從つてわれわれとしましてはそうした工場の中で、眞に再生産に役立つような製造をしているものと、それから直接今日のこの物の不足する状態において、平時においてはぜいたくではないかもしれぬが、今日のような世の中ではまあまあ遠慮してもらいたいと思うような物をつくつている工場と、その取扱いを異にしていく必要があるのではないか。すなわち税の上から所得税などをとるときに、そうした再生産的の製造をやつている工場と、また消費してそのまま消えてしまうような物をつくつている工場と、取扱いを異にしていくのが妥當ではないか。具體的に言うと、あめをつくるような工場は、そう重視していく必要はないと思う。こうしたものに對しては税金を特別にかける。しかしまた反對にほんとうに再生産に從事しているもの、それほどもうからなくてもそういう方面に努力してゐるものに對しては、相當の考えをもつ。すなわち再生産的の事業をやつている工場と、不必要な物をつくつている工場、そういうものに對して所得税、あるいはすべて廣い意味においての税金のかけ方について、何か考慮せられたことがありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=152
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153・石橋湛山
○石橋國務大臣 御意見非常におもしろい御意見として承りましたが、そういう考え方を今までは實はしておらないのであります。しかしただ現状のように一つの工場でもいろいろなものをやつておる。それからまた表面は何かほかのものをやるということであるが實際においてはそこでもつて他のことをやつている。なべ、かまをつくるところではないけれども、なべ、かまをつくつておるというようなことも現在はありますから、そういう場合には、税金で區別するということはむずかしかろうと思います。安定した平時でしたら、あるいはそういうこともあろうと思いますが、ただ今までもある事業においては所得税を免除するとかなんとかいうことはいたしております。つまり國家として保護しなければならぬと思われる事業には、特に税金を免除する、減少するということでありますから、その意味においてはお考えのことも今まである程度取入れられておると思います。
〔菊池委員長代理退席委員長着席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=153
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154・松永義雄
○松永(義)委員 そうした私の議論を伸ばしてきますと、同じく工場においても、その利益というものを再生産というか、生産の方に金を向けていく會社と、そのもうけた金を極端な言葉を使えば、だだら遊びに向けていく工場とがあると思います。すなわち營業費が非常にかさむ工場と、また個人の企業と同じように、同じく會社でありましても、生産の方にどんどん向けていく會社と二通りあるではないかと思います。これも税制調査會においてお話申し上げましたが、私個人の經驗にしましても、たとえば鈴木商店が臺灣銀行をつぶした。この鈴木商店を裏から見ますと、これでどうしてもうかるのかと思うようなことも平氣でやつておつた。そういうたことを見ている間に臺灣銀行あるいは鈴木商店の始末というものはああいうことになつたと思うのでありますが、同じ工場においていくらかでも上げてくる利益というものを、實際生産に向けていくものと、それから、そういうふうに勝手な方面に使つていくのと、二通りあるのではないかと思います。そういうものに對して同じような税率を課していくということは、どうかと思うのであります。平時ならばそれだけの餘裕があるでありましようが、こうした非常な窮迫した事情では、できるだけ生産の方へ生産の方へと金を向けていくのが適當ではないかと思うのであります。そういうことに對してお考えになつたことがございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=154
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155・石橋湛山
○石橋國務大臣 それは實際においてはある面において今までもやつておるのでありまして、經費が非常に膨脹するというのは、これは税だけではなく税はその金を使つてしまうのでありますからかけられない。それは正當の經費として認められるから、税はかけられないが、税務署においてそうむちやくちやな經費は認めないという査定の方法によつて、おのずから行われることと思います。それから蓄積を保護するという意味において、償却などに對してある程度の償却を認める。それから今度法人税においてもいくらかその税率を低くしておるというようなこともなるべく蓄積に對して負擔を輕くしてやる。こういう意味でありますからお考えのような考えはむろんはいつておる。それが十分に行われるかどうかということは、實際の税務の運營にも關することであります。だだら遊びしておる會社の經費をそのまま認めて、つまり蓄積が何もない會社に税金がかからないという結果になりますから、その點は運營の點で適當に善處いたしたいと思います。考え方はそういう方向にいつておると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=155
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156・川島金次
○川島委員 最初から變なものの言いまわしになりますが、大藏大臣には本年度の豫算、特に歳入、その歳入の根底である税率、税制をこういう形でいつて、はたして一般國民の擔税が可能かどうか、無理はないか。そういうことを考えたことはないか。それを一つ伺いたい。もう一度言いますと、今年度の財政の歳入、その歳入の根底をなす税制、この税制によつてあれだけの歳入を得ようといたしておるのでありますが、それについて國民の負擔力に無理があるということを少しでも感じたことがないか。それをお尋ねいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=156
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157・石橋湛山
○石橋國務大臣 何と申しますか、全體で申しますれば、これだけ窮屈な生活をしているところへ、とにもかくにもあれだけの負擔をする。これは終戰處理費——税というよりは國でもつて物の生産が隨分窮屈に減つているところへ、その三分の一以上も終戰處理費だけに使う。そのほか隱れている、その眼に見えない進駐軍の將兵が消費する物もあるわけでありますから、相當な割合の物資がその方に流れるから、國民生活は窮屈である。これが根本であります。それがおのずから税の上にも現われる。ですから全體として國民負擔が非常に苦しいものであるということは言うまでもないことであります。しかしながら税だけに限つて申せば、どうかと言えば、これはたとえば個人の所得税にいたしましても、とにもかくにも基礎控除を殖やし、家族控除を殖やす、税率も相當調整する、こういうわけでありますから、税だけで考えれば、つまり現在の日本の状況を前提として、その上につくるべき税制として考えれば、これは不當なやり方ではない。それからまた査定の數字においても、最近の實際の賃金給與というものの現状を見合つてやつているのでありますから、全體の日本經濟が非常に苦しいこと、國民の生活が困窮しているということが前提でありますので、その上における税制としては、これは無理なものでない、かように考えます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=157
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158・川島金次
○川島委員 そこでさらにお伺いします。間接税をもとより加えての話でありますが、國民の所得に比例して一體税はどの邊まで最大限かけてもよろしいか。その比率について大藏大臣が何か平素考えているところがあつたならば、それをお聽かせ願いたいと思います。いわば所得に對する國民の負擔というものは、おのずから限界があると思うが、その限界は今日の經濟事情、國民の所得事情、こういうことを見込んで最高限度はどの程度がいいか。どの程度まで許さるべきかということについて、何か平素お考えになつていることがありましたならばお示しを願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=158
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159・石橋湛山
○石橋國務大臣 これはなかなか抽象的には言えない。最高限度といいますが、平均に對する割合、それからその所得階級等に對する割合でありますから、なかなか平均的には言えぬと思います。しかし二十二年度の日本の状況では、今私は正確な數字は存じませんが、大體所得の二割程度ではないかというように考えている。これも非常に大ざつぱな見當に過ぎないのであります。率から言えば、諸外國においては最近どうなつておりますかよく知りませんが、相當所得税の率が高いのでありますから、ただ一つの數字から言えば日本の率はそう高いものでないと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=159
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160・川島金次
○川島委員 大藏大臣の今のお話は所得税を中心としてのお考えのようで、大ざつぱに言えば二割内外だ。實際において所得を中心として、しかも所得税に關する限りにおいて、二割とか二割五分の程度ならば、日本の現状に鑑みて私はあまり問題にしないつもりであります。但しここに私は、大藏大臣のお考えと違うかもしれませんが、私の調べたものがある。この私の調べたところによると、今度の租税の中の收入と、それから間接税はもちろんですが、專賣益金、タバコ等にまで及んでまいりますが、その負擔額が一體どのくらいになるのかということを、私は私なりに基礎をもつて調べたのであります。これが科學的な調査になるかならぬかは別問題でありますが、私の調べたところによると、日本の勞働者、俸給生活者等、一連のいわゆるわれわれが勤勞階級といつております大ざつぱな範圍の國民が負擔いたします租税というものは、結局において、一年に平均五千圓近くになるのではないかという計數が實は出ております。一體國民の所得に對する租税の最高限度というものはおのずからあるので、月々一千圓の俸給生活者に平均して四百圓も五百圓もの税をかけるべき性質のものでない。ところが、こういう數字が實は出てきた。大臣というよりは、むしろ大藏當局は、この税あるいは豫算によつて國民全體が一體どのくらいの負擔になつていくかという多少の御研究があつたのではないかと思うのですがその點についてお示し願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=160
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161・石橋湛山
○石橋國務大臣 何か數字があるようですが、今數字を見ておりませんからちよつとお答えできかねます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=161
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162・川島金次
○川島委員 實はこれは大藏大臣並びにその當局に參考のために申し上げたいのですが、まことにゆゆしい數字が私の數字ではでき上つたのです。それは私の計算のしかたが、技術的でもないし、科學的でもないし、いわゆる玄人筋の計算のしかたではないですが、それは自分でも承知してゐるのです。大體租税は六百八十七億ばかり——この租税の中に、ちよつと詳しくなりますが、増加所得税だとか、法人税、特別法人税、相續税、遊興飮食税、馬券税有價證券移轉税、あるいは關税、噸税こういつた一般の直接勤勞大衆には關係のないと見られる税種を全部この租税收入から差引いてしまう、そうすると、その殘りの税額というものは、歳入において大體五百七十三億ばかりになるわけであります。一方において專賣益金の方の金が相當ある、これも直接國民の負擔になる、しかもその總額を加えますと、約八百億圓になる。これは有産者ではない、國民をおしなべてのことでありますが、普通の國民が負擔すべき税の總額になるわけであります。それが國家の歳入になつてきている。その中で勤勞者、耕作零細農民、あるいは俸給生活者というような人たちがこの全體の九〇%を負擔してくるじやないか。こういう考え方になつきた。そこでさらに從來の勤勞所得税の税額の總額、人員、あるいは日本國内の勞働者全體の人數、あるいは零細耕作農民等の人員、あるいは從來納めておりました乙種事業所得の税額の總額、こういつた各面から計算をいたしまして、これは私の計算のしかたであるのですが、大體の八百億に上るところの總額の中の三割というものが、いわゆるわれわれの見ております勤勞階級以上の人たちの人員であり、税額だ、こういうふうに私は計算してみた。そうすると殘る五百五十億萬圓という租税は、これはわれわれの見ております零細耕作農民、勤勞大衆が直接間接に全部負擔していくのではないか。そうすると大よそ一年に、平均額にして四千六百圓というやうなことになるわけであります。これが當つているか當つていないか私は自信がないのですが、こういう計算のしかたで、大藏當局にも平素何か御研究なされたものがあるじやないかと思いますので、それを聽きながら、實は私の計算をいたしましたものと照し合せて、どういうことなるかということを聽きたかつたのですが、そこにないといたしますれば、私のこの計算のしかたでいきますと、實に一箇年平均四千六百圓、そしてこれをさらに日本の國内における零細耕作農民の數は三百四、五十萬ありますが、それを差引いた殘りの日本の勞働者、俸給生活者、いわゆる勤勞大衆、こういうものの今の五百五十億から一方の乙種事業所得の方面の大部分を差引いて、さらにその殘りの總額に對して日本の勞働者、勤勞階級の數で割つてみたのが今の税額になつてくる。そうすると、日本の一月現在の勤勞者の所得額の平均は、言うまでもなく一箇月に千百圓ばかりである。そうすると一箇月に千百圓の所得をもつた勤勞大衆、年に一萬二、三千圓の所得者にこの計數からいくとそれだけの税金がかかつてくるということになる。勤勞大衆は自然知らずしていろいろの直接税、間接税、あるいはまた專賣益金等における範圍内で、家計簿から支出される平均數量というものは、實に四十數パーセントといふことになります。これは的確なものだとは思いませんがこんなところにいくのではないか。そうすると日本の勤勞大衆というものは、この豫算と税額でいくと四六%ぐらいは税で國家に家計簿から支出しなければならぬという形になる。そういうことになつたといたしましたときに、殘るわずかな金の所得においては、今日の經濟事情のもとに、最低の生存の維持すらもできるかどうか、こういう形になつてくるのではないかと思うのであります。從つて私の見解から申し上げますると、今の豫算、そしてただいま私どもが審議しているこの税率、これを綜合いたしますると、そういう形になつて日本の勤勞階級、零細な耕作農民はこの税の負擔にたえ得ないで最低生活の水準すらも割るような結果になるのではないか、こういうことを私は心配をするようになつてきた。そこで私は大臣に、日本の國民の税の最高の負擔額はどの程度におくがよろしいかということの最初のお尋ねをしたわけであります。これに對して當局に何か別のお考え方があり、また御研究されたものがあるといたしますれば、それをお示し願つて、私のいろいろな立場で計算いたしましたものと突き合わせて眞劍にまじめに研究してみたい、こう思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=162
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163・石橋湛山
○石橋國務大臣 大變參考になる數字を伺いましてお禮を申し上げます。そういうような形の數字は大藏省でも計算はしておらないのです。今のお話の計算によると、四六%ぐらいの税の負擔になるということでありますが、そんな數字が出るかどうかということは川島君自身も言われる通り私もわからぬが、四六%がほんとうかどうか知りませんけれども、平均で言えば日本の今の税負擔は相當大きなものであるべきだと思います。それは先ほど言つた通りに、物資の上から見てもそうであります。ですからとにかく工業生産物であるとすれば三分の一以上は生産しながら日本國民の消費になつておらぬ。これは大變いい御研究ですから、安定本部でも大藏省でもそういう方面は研究してみましよう。これは相當なものでありましよう。しかしそれで日本人が食えるか食えないかという問題は税の問題ではないと思います。税の方からもそういう數字が出てくるということは、これは日本全體が占領下にある日本經濟の問題でありますから、それでは税を減らすことができるかと言えば、これはできない。ただよく諸君から議論が出るように、とり方をもつとかえるということは考えれば考えられるが、全體としての負擔ということになれば、いずれにしても免れないものだと思います。それはお話のようにまじめに研究してみたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=163
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164・川島金次
○川島委員 今の大藏大臣のお話はそのくらいになるだろうというきわめて平靜な言葉に私は受取つたのですが、これは非常に重大な問題だろうと思うのです。今度地方税制の改正が行われ從來縣民税が八十圓から百圓というのが今度は二百圓くらいになる。その國民の一人々々が家に歸れば縣民であり市町村民である。その市町村民の上には、地方財政の枯渇のために、そういう獨立税が設けられている。そのほかにさらに今度の税制改正において縣はもちろん市町村にまで相當な獨立税が設けられることは御承知の通りである。そういつたものをまだ計算に入れませんが、それをさらにわれわれのような立場にある一般勤勞階級の肩にかかつてくる税額を計算に入れますれば、おそらく所得の半分はその税のために支出をしなければならぬという状態になるのではないか。個々の問題はいろいろの事情があると思いますが、全體的に見ますと、そういう結果になる。大臣は税の問題と生活の問題とは別だと言われますが、税の問題と國民の生活の問題とは不可分、不離一體であろうと思う。税は國民がお互に毎日生活をしてその家計帳簿から支出をしていくことなので、税と國民生活は不可分一體のものである。税によつて國民はその所得を中心とした生活が左右されていく。税を納めなければほんとうに日本の再建ができぬ。經濟の復興も成らぬ。しかも税の負擔の方法がほんとうに國民が心から納得のできる公正なものであれば、私は別問題であろうと思う。いかに零細な所得階級といへども祖國を愛するの信念と精神とには變りがない。むしろへたな金持、へたな大口やみ成金よりはよほど一般大衆の方が祖國を愛する精神に燃え盛つておると思う。そういう大きな税負擔をしている大衆が存在している一面、手を拱きつつ相當の金をもうけておつて、しかも税務署がのみ取り眼でかけずりまわつてもつかまらないという、大口所得者が日本全國内には相當の數にわたつているのではないかと思います。そこで私は一千圓の月給をとつている者が、祖國の再建のためだ、これ以外にはないのだとして半分税にもつていかれてもよろしいでしよう。甘んじて國民大衆もついて行きましよう。それはあくまでも國民全體が公正な立場において祖國の難を負擔する、その苦難をお互いに分ち合うということが納得できる態勢であれば、これは繰返して申し上げるまでもなく、半分税にとられましても、國民は笑つてその生活の窮乏にたえながら、生産の面にも、あらゆる方面にも、總力を發揮していこうという氣持になると、私は確信いたします。しかしながら、現實の面は逆であるということを、私はこれまた強く大臣に申し上げることができるのであります。そういう事柄からいたしまして、わが黨は繰返して言うようでありますが、この國民的な公正な立場においてこの祖國をもち上げていこうではないか。もしそういう公正ならざる面があるとすれば、一方にただいま申し上げるように所得の大半を税に捧げなければならぬという、しかも最低生活の水準すらも維持のできない國民大衆がそれを負擔しておる。そして一方にはそうでない面が、大きく窮乏生活のただなかに追いこまれております國民の眼に映つておる。これでは私は日本のこの祖國の難を挽囘し再建するという建前で、國民全體がほんとうに血を搾り、肉を搾り、涙を搾つておるような氣持になつて起ち上るという形には、なり得ないのではないか。私はそこを心配するのであります。從つて今度の増加所得税等についても、隨分それは最初の計畫と違いまして、わずか四十五億くらいであつたものが、本年度の豫算には三十億も顏をのぞかせるというような、相當に努力をされておるのであります。その努力をされておりますことは、私も國民の一人として、税務當局の人たちの努力に十二分の敬意を表しておるのでありますが、しかし私はそれをやつてもなおかつ呑舟の魚ともいうべきものが逃げていく事實があるじやないかというようなことを考えましたときに、一方に國民大衆の租税というものを全體合わせれば四六%になる、そして地方税制が改正されて縣民税が強化され、さらに市町村民税が改正され、強化されることになれば五、六十億になる。おのずから大衆の生活の中心になる租税のかけ方というものは限度がある、その限度を越えてはならないと私は思う。限度を超える限りは、國内全體に公正にやらなければならぬという考え方をもつて、また大藏當局にもそういうことを強く要求をしたい。そういう見地に立ちましての大臣のお考えを、この際お聽かせを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=164
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165・石橋湛山
○石橋國務大臣 先ほどの川島君の四六%とかいう數字をそのまま私は正しいと言つたわけではありませんが、ただ日本の國民の負擔が相當高率なものであるということは明らかであります。しかしながら、それはその四六%とかいうことにしましても、月千百圓の所得者が四六%負擔しておるのではない。その中には御指摘のような高額所得者、新圓階級からとつた税、つまり増加所得税等もはいるわけでありますから、増加所得税も必ずしも新圓所得者ばかりではないが、とにかく多額の新圓を得た者の税がはいつて、平均して今のようになつてくる。こう言うのであります。その點は全體としては相當の重い負擔をしているように見えるけれども、低い方の所得者が同じような負擔をしておるのだ、こういうふうには理解すべきものではないと思います。しかしまた川島君が、税務當局が非常に努力し、御指摘のような高額所得者の追求も隨分認めておるということを感謝します。と同時に、これはお話の通りとかくかような變動期においては、殊に脱税等も必ずしも故意の脱税ばかりでなく、おのずからそういうことも起りがちでありますから、十分注意をいたしまして、租税の負擔の不公正のないようにしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=165
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166・川島金次
○川島委員 今の私の計算のしかたというのは、ちよつとここでお斷りしますが、所得税のほか、増加所得税とか法人税とか、一切拔いた計算であります。相續税とか、遊興飮食税とかいうものは、これは國民大衆の納めるべきものでない。遊興飮食税の計算まで全部拔いてしまつて、ほんとうの所得税と、國民が直接間接納める税額を集めたものを土臺として計算を立てたのであります。しかも人員とか税額とか、いろいろの方法から勘定をして、三割をさらに取除いたのです。取除いて、殘り耕作者、勞働者あるいは俸給生活者の數を勘案してやつた數字なんです。從つて高額所得者は大部分ははいつていないと見ていい數字になつております。これは念のために申し上げておきます。
そこでこれと關連してお伺いいたしたいのですが、先ほど中崎君からもお話がありましたが、超過利得に對する税率の引下げ、この間もこういう御質問を申し上げたのですが、大藏大臣もよくこれはおわかりだろうと思うのですが、今の日本の經濟事情において、超過利得を得る法人というものはそう私は正常な形においてはないのではないかと思う。あるべき筋のものでないもしあるとすれば、それは今日の政府が厖大に支出しておりますところのいわゆる公共事業方面に關係のある新興會社、あるいはまた今日のインフレの波に乘つて盛んに金をもうけておりますところの旅館、料理店、これは盛んに個人經營でなしに、最近では少からぬ數に及んで法人組織にして、こういう方面の連中が實はいわゆる超過利得に値するような利潤を得ているのではないかという見透しを私はもつている。ほんとうの重要な、日本の國民の生活に缺くべからざる直接の生産に携わつておりまする石炭を初め、肥料會社にしても、あるいはまた鐵鋼會社にいたしましても、そういう重要な方面の超過利得なんてものは、當分の間日本の今の現状ではあり得ないのじやないか。眞劍に日本の經濟復興のために直接に關與しておりまする法人關係には、そういう超過利得はなくて、むしろこういう通貨増發のはなはだしいところへ計畫的にもあるいは無意識的にもぶつかつて波に乘つてもうけているただいま申しました進駐軍關係の新興會社、あるいは料理屋、旅館、温泉場こういつた方面の法人組織、そういつた連中、竝びに先ほど松永さんからも言われましたような、くだらない、あつてもなくても大して國民生活には關係のなさそうな方面の、時流に便乘したものをつくつている方面の法人、こういう方面の方がわれわれが想像以外に金をもうけている。そうして超過利得を出している。こういう連中こそ私は徹底的にひとつ税をむしろ上ぐべきだと思う。しかるにそういうのが多いという情勢にかかわらず、超過所得を今囘は利率を下げているということになりますと、どうも私は國民の一人として納得ができない。なぜそういう方面にひとつ目をつけて、むしろ現行税率あるいは現行税率を上げてまでもそういつた連中から税をとらないか、こういうことを私は考えたいのです。その點はいかがなものでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=166
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167・石橋湛山
○石橋國務大臣 そういうものもあるかもしれません。しかし二つからこれはいえるでしよう。一つは、そういうあなたのおつしやるようなものが非常に多い、私はそう多いとは思いませんが、そういうものばかりとかりにいたしましても、税率というものはむやみに上げたからといつて税が上るものじやない。むやみに税率を上げれば、それだけ逃げる。逃げるのをそれをなぜ押えないかとおつしやるかもしれませんが、事實においては、これは昔から言われる顯著な例は、寶石類でありまして、寶石類というものはどの國でも大して必要でないものでありますから關税などはうんと上げるのが例でありますが、これは上げれば、必ず脱税されるものであります。會社の利益などは寶石などのようにそう隱すわけにもいきますまいけれども、税金をとる、これは今度は上の方は根こそぎとらないというだけのことでありまして、相當今度の税率は高いのであります。租税の徴收の上から言いましても、必ずしも税率の高いことのみが、いいわけではない。ですから表面から見れば税率を下げるといえば頼りないように見えるかもしれませんが、私はそういうふうにのみ解釋すべきものではないと思います。
それからもう一つは今度會社が整理される。補償の打切りの關係で整理されまして、相當どこの會社も資本金が小さくなります。まじめな會社は小さくなります。當面の事情としてはそういう關係もあります。それからなお少し長い眼で見れば、いつも申す通りまじめな會社が資本の蓄積をだんだんしていく、あるいは新資本を投じていくというように、やはりあまりにひどい税率であるということは、まじめな意味の資本の蓄積に支障があると思います。
それからこれはさらに將來の問題になりましようけれども、海外から資本がはいるよすがにもなると思いますから、そういうようないろいろのことを考慮いたしまして、戰時中に定めた非常に高率な税は、ある程度下げる方が全體の上から申してよろしい、こう思つて定めたわけであります。しかしそれは殊にいつも兩面ありますから、百パーセント皆いいことばかり、何も缺點のないことばかりということはないのであります。從つて川島君の御指摘のような非難の起るべき事柄もあるいは生ずるでありましようし、ある意味からやむを得ない。全體そういう弊害もあるかもしれませんが、それを利益と見合つて適切に善處する、こういうつもりでおります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=167
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168・川島金次
○川島委員 大藏大臣の經濟企業は整備される、整備されるからそういつた利潤の刺激も與える必要があるという見方も一理あると私は思います。しかし經濟企業の整備というものは、私は必ずしもそう税率の上に國家が引下げをしてまでも刺激しなければならぬような事柄ではないと思うのです。今の日本の經濟事情ですれば、そういつた税率まで下げてやらなければならぬような重要産業で、しかも整備をした、整備をしたということは日本の全體的の經濟再建がねらいである、生産の増強ということがねらいであり、國民の最低生活の維持ということがねらいであると思う。そういうせつぱ詰まつた窮乏の日本において、經濟再建のために企業を整備する、擬制資本を打拂つて整備した會社が、すぐに二年や三年で超過利得もあるというようなことになることが一體どうかと私は思うのです。また超過利得まで得るほど整備をされておらないだろうし、また中途半端な整備ですぐにもうけがあるとも限らないですし、同時にまた最初言つたように今の窮乏の時代において、超過利得一割以上もある、どんどんもうかるというようなことは、普通の産業においては、おそらく少いのではないかと思います。そこに大藏大臣とわれわれの考えの違い、見方の違いがあるのですが、これはやつてみなければ、どういう方面にえらいもうける企業會社がどんどんできるかわかりませんが、私ども少くとも常識から言えば、ほんとうにまじめな企業整備をして立ち直つてくる會社というものは、そう右から左へ利潤が上つてくるという形にはならない。そういうまじめな會社であればあるほど、勞働者とのいろいろの連關も密接になり、そして勞働者のいわゆる待遇改善、賃金の配慮、そういうことも一層に考え及んでくる企業家であろうと思う。そういう企業家がはたしていかにいい事業であつても、右から左へ利潤が上り、そうして一割以上の超過利得を得るということは、ちよつと私には考えられないのです。それは勞働者をいい加減に使つて、犧牲にしながら、いい加減な仕事をする法人にはそういつたものがあろうかと思いますが、私どもの見解から言えば、そういう方面には少いというところでこういう議論が生れてくるのだろうと私は思うのです。しかし大藏大臣は私の見解とは違う。見方も違うようでありますから、これ以上議論いたしましても、はてしがないので、これはまたいずれかの機會に讓りたいと思います。
そこで大臣も急がれておるようでありますから、もう一言最後にお伺いいたします。この間大臣からいただきました安本の標準生計費の設計がありますがこの設計によりましても、大臣はこれをよくごらんになつたんじやないかと思いますが、五人世帶で、おそらくこれは最低生活費と思いますが、千三百圓ばかりになつておる。しかし國民の實際の生活を通し、また私の近所のほんとうの勞働をしておる、工場に通つておる人たちの實際の生活面、また私の近所の知つておる範圍の一般俸給生活者を通しての實際生活、これを基礎として考えてみますと、この安本の標準生活設計圖はまことに私は事實と相反するところ、あまり遠いとは申しませんが、大變な違いになるのではないかという考え方をもつております。一體今の親子五人の世帶においては千三百圓や千五百圓で、これが標準生計費でございますというような生活は私は斷じてといつてもよいのですが、できあがりません。まあ大藏大臣御自身も東京都民の一人として、毎日生活の體驗を積み重ねておるわけでありますが、奧樣によくお聽き下されば、なおこういうことがわかつてくると思うのですが、おそらく大臣はそういうこまかいことにまでは政務に忙しい身體でありますから、奧さんにその話を聽く餘裕もないと思いますが、私どもはほんとうに生活の中に日ごとに接觸をしておりまして、日々の生活を通して苦勞を續けておる一人であります。また私の近所隣り私の知人もそういう生活者が多いのであります。そういうことからみますと、この安本の計算なんというものは、せつかく苦心してつくられたものでありますから、一應その苦心には敬意を表するのでありまするが、この計算ではとても親子五人の生活は成り立ちません。しかも千二三百圓という中に豫算費があつたり、貯蓄費がある。千二、三百圓ぐらいで貯蓄ができたり、豫備費がおけるということはどういう基礎によつてこういう形になつたのであるか。私はほとんど常識では判斷できないようなことにぶつかつている。大藏大臣は定めしこれをごらんになり、調べられたこともあると思うのですが、この安本の計數に對してどのような御意見をもつておりますか。それをひとつお聽きかせ願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=168
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169・石橋湛山
○石橋國務大臣 そういういろいろなむずかしいことが出るものですから、數字をなるべく示したくないわけですが、それは前の膳國務大臣の時に相當苦心してつくられたものと思います。それはむしろ價格の掛合わせの問題だろうと思います。私も實はつくつた資料は知らないのですが、そこの數字に價値があるのは、現在の生産の上から見合つて物資がどれほど消費ができるかということの觀點から、物資の數量から計算して、それにある時の價格をかけたその結果が千三百圓とか千二百圓とか出たようです。貯蓄費と豫算費というのは、つまり價格の調節の意味で入れたものだということを聞きました。それですから、そこに出ている數字だけではあるいはわからぬかもしれません。またその時と今日では變つておるかもしれませんが、とにかく家庭に配給しておる物資の量の上から計算しておる。こういうことになつておるさように御諒承願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=169
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170・川島金次
○川島委員 そうすると、この安本の生計費というものは、現在の生活とはちよつと縁が離れておる。こう解釋してもいいのではないかと思います。今大藏大臣のおつしやる通り、この安本の計數がかりに一時にいたしましても既に、この計數を出した時と今日といろいろの事情が變つてきておる。こういうことを土臺にして今度の税を考えてみましても、私は一般の勤勞に携わるいわゆる中間以下の小額所得階級にとつては、非常に生活の上に大きな壓力を加えられるような形になつてくるということが、こういつた數字から見ましても心配されるのであります。そこで大藏大臣に最後に一言お伺いしておきます。これはこの間前尾さんにもちよつとお尋ねをいたしたのですが、今度の税金の上げ方についても、酒の問題、タバコの問題、これは配給でありますから安田銀行の頭取といえどもタバコの配給はわれわれと同じこと、酒についてもわれわれも三井の御曹子も同じであります。そういうことから考えてみましたときに、一般配給の政府の專賣品、もしくは國民の嗜好品と申しますけれども、實は必需品にも近い酒の税を大幅に値上げしてしまつて國民全體に一時に負擔を加重せしめるということは、相當考えものだと思います。そこで私はこの間も前尾さんに申し上げたのですが、私の考えとしては、そういう配給されるものの一般的な價格は、できるだけインフレーション阻止の上においても、國民生活の重壓を避ける上においても、据置きにしろ。そしてたとえばタバコの中にピース、コロナがあるごとくに、酒の方にも別なピース、コロナ級の酒をつくつて、かりに一本五百圓なら五百圓というようにして賣り出すことができますならば、私は一級酒、二級酒をああいうふうにあげなくとも濟むだろうと思う。たとえば、具體案をもつて申し上げれば、釀造米は六十五萬石だと思いますが、その六十五萬石の一割ないし一割五分でも別な酒をつくつてやつて、しかもそれを一升について五百圓くらいで飮んでもらう。そして新圓階級の新圓を吸收する。向うに酒を飮まして新圓を吸收するというポンプ作用にもなると思う。それをやれば、私の計算では約四、五十億浮いてくる。その四、五十億を浮かして一般國民の飮むところの勞働者の酒だとか何だとかいうものは、少くとも現状のままにすえおくということが、國民生活の上に響きが少くていいのではないかと思います。タバコのごときにおいても、今日ピースとコロナ級をおいてやつているのですが、そういう方面のことも同斷だろうと思います。大藏大臣はそういうことについて、どんなお考えをもたれますか、一つお聽かせ願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=170
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171・石橋湛山
○石橋國務大臣 この問題についてはいろいろ意見もあり、また實際研究もしたのであります。結局今囘の處置としては、決定いたしましたごときものができたのであるが、それ以外にいろいろ考えてみて、ただいまの酒の問題なども考えないわけではないのですがいろいろの關係から、實行困難であるということが發見されまして、決定通りいたしたわけであります。御意見の點ひとつよく承つておきますが、さようなわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=171
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172・川島金次
○川島委員 どうも大臣の言葉はちよつと受取れないのですが、今度の酒のごときも高級料理店に出す場合一級酒は百二十圓で賣つて大變な價格になるようであります。そういうことを考えますれば、私は特別な酒ができない理由がないと思うのです。そして國民に配給される價格はできるだけ吊り上げない方がいいだろうと思います。一方料理店へ渡す方は大分上げておる。あまりにこまかい話ですが、二級酒を考えても、三十三圓、それが今度九十圓になる。そうすると五十七圓ばかり一遍に上る。そして國民は一箇年に五六升配給されるから、そうすると三四百圓違つてくる。またタバコが上ればこれまた大きな値上りです。そのうちに郵便料金が上る。また鐵道運賃が上るという話です。そうすると國民一般には非常に大きな影響をもつので、まわりまわつて勤勞大衆が——當る當らないは別として、つい四六%も納めなければならぬことになつてきた。生産が大切だというとき、働く人たちの窮迫した生活の中に何とか親心を加えて、できるだけあらゆる努力を政府が拂つて、その生活の窮乏を救うわけにいかぬにしても、緩和するという温かい血の繋がつた、人情の繋がつた政治をしていくことが、經濟日本再建のためにまことに好ましいことだろうと思う。料理屋へ高い價格で賣りつける酒を出して、今の特別の酒ができないということはちよつと私には受取れぬのですが、どういうふうに受取つたらいいのでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=172
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173・石橋湛山
○石橋國務大臣 それは造石高の問題で、造石高が殖えれば酒のピース、コロナもできる。それには家庭配給を減らせば高い酒をつくることもできる。料理屋、飮食店にまわす酒は非常に僅かなもので、あるいはそれを上げることも可能かもしれませんが、數量が同じでありますから、それで全體の酒の方を減らすというまでには行き得なかつたわけであります。この間もちよつとここで申したのでありますが、何かの形で造石高を殖やそうとしているのですが殖やし得なかつた。ほかの委員からも自由販賣の酒というような話もあつたのでありますが、一體そんなことがやれるかどうか、まあ主なる問題は造石高であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=173
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174・川島金次
○川島委員 しつこいようでありますが、造石高をこれ以上殖やせない事情にあるということはよくわかつている一方一級酒と二級酒がある。國民に配給されるのは二級酒です。その一級酒を現在四十三圓から百二十圓に上げておる。それをもつと三百圓、五百圓に上げていただきまして、一方二級酒は現在のまますえおく。一級酒はわれわれはあるかどうか存じませんが、われわれ國民としては配給を受けたことが一遍もない。しかも國内には一級酒が相當流れておつて飮んでおる。だからそれを上げて、一般國民の飮んでおる配給酒はすえおくということになるわけだと私は思うのです。それですらもないといふ事情はどこにあるのでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=174
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175・前尾繁三郎
○前尾政府委員 一級酒の造石高は十二萬石でございます。また配給にまわしておる分も大部分は家庭配給にまわしておるわけでございます。ただ大都市方面にまわしておるわけで、特別の配給じやなしに、すべて家庭配給にまわしておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=175
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176・川島金次
○川島委員 一般の國民に配給の一級酒として百二十圓でまわすことも、これは大變な問題になるのであります。都會地の金持だけに一級酒をまわしてやる。裏長屋におる勞働者にまわすことになると、百二十圓というと負擔は大變です。國民は一級酒というようないい酒をうんと飮みたいという氣持はない。酒の好きな人は今の二級酒程度で結構です。國民には直接あまり負擔をかけないで、今の一級酒を別の酒にしつらえてうんと上げれば四十億や四十五億はわけがない。そういうことなら前尾さん、できるのじやないですか。どうでしよう。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=176
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177・前尾繁三郎
○前尾政府委員 ただいまのお話は先ほどから大臣も申されておりますように、石数の問題であります。また一級酒十二萬石を家庭配給から特別の配給に移すということになりますと、非常に家庭配給が——そうでなくても現在三合五勺程度しかまわつておりませんので、家庭配給も小量でほとんど意味がないのじやないかとまで言われているようなわけであります。もしそれ以外の配給酒、他の種類のものをまわすことができるかと申しますと、その大部分は産業特配でございます。從いまして現在の業務用酒以上に自由に賣らせるというようなことは、ただいまのところ可能ではないのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=177
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178・川島金次
○川島委員 私はほんとうにひとつやつてみようという氣になれば、こういうことはできるのだと思います。當局がほんとうに、それこそ變な言いまわしですが、やつてみよう、そうしてなるべく國民の家計簿から支出面になる要素はできるだけ避けていこうという確固たる氣持でいけば、そういうことはできるだろうと思う。國民の一般の配給品を上げれば必然的にいろいろなものが上る。酒を一級酒も二級酒も上げるというかけ聲だけで上つておる。もう配給されておる酒も實際上つておる。かけ聲だけで上るのです。それがやがてぐるぐるとまわつて、いろいろなことに物價を刺激してくる。それでなくても一般の公定價格をいよいよ改訂しなければならぬという事情になつている。石橋さんの健全財政でインフレは何とかなつて國民生活も落ちつくだろう。物價も落ちつく、そのうち給與審議會で賃金もきまる。やがて通貨も安定するだろうとお話になるけれども、私はそういう方面からまた崩れてくるという考え方をもつておる。せつかく大藏大臣がそういう苦心をして健全財政を立てられて、一方においては隨分中小工業者が困るような資金の抑制が始まつておる。隨分打撃を受けた者も多い。そういうことをやつておいてなおかつ一方には上手の手から水が漏るような形を知らず知らずにやられておる。それでは日本のインフレは止らないのであります。そこで私はさまつなことでありますけれども、そういう大きな響きをもつ問題として、こういう話を續けておるわけでありますが大藏大臣は何かお忙しいようでありますから大臣に對する質問は、これで一應打切つておきます。
續いて事務當局の方にお伺いをいたすのですが、この間當局から課税所得というものを、大體五項目教えてもらつたわけです。この課税所得の總額はわかつたのですが、今度はその總額の中の税としてはいつてくる金、それから課税所得のこれだけになつた人員、それがわかつておりましたら、この際お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=178
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179・前尾繁三郎
○前尾政府委員 甲種の事業所得すなわち營業所得につきましては、税額が二百二十五億、人員が百五十七萬人であります。それから農業所得、すなわち從來乙種の事業所得と申しておりました農業所得並びに生業所得、この税額が六十二億、人員別三百二十三萬人次に日雇勞務者、すなわち從來丙種事業所得と申しておりましたが、それが十一億でございます。人員は二百五萬人。次に勤勞所得でありますが、九十五億、人員は六百八十五萬人であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=179
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180・金光義邦
○金光委員長 暫時休憩いたします。
午後五時十一分休憩のまま散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211577X00219470320&spkNum=180
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