1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
帝國鐵道會計法を改正する法律案(政府堤出)(第四三號)
通信事業特別會計法を改正する法律案(政府提出)(第四四號)
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昭和二十二年三月二十日(木曜日)午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 大谷瑩潤君
理事 原侑君 理事 小笹耕作君
左藤義詮君 杉田馨子君
若林義孝君 稻本早苗君
白井秀吉君 最上英子君
川島金次君 澤田ひさ君
田中松月君 増井慶太郎君
丸山修一郎君
同日委員澁谷昇次君及び川島金次君辭任につき、その補闕として田中松月君及び氏原一郎君を議長において選定した。
出席國務大臣
遞信大臣 一松定吉君
出席政府委員
大藏事務官 河野一之君
大藏事務官 石原周夫君
運輸事務官 伊能繁次郎君
運輸事務官 田中不破三君
運輸事務官 加賀山之雄君
遞信事務官 大野勝三君
遞信事務官 白根玉喜君
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本日の會議に付した議案
帝國鐵道會計法を改正する法律案(政府提出)
通信事業特別會計法を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=0
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001・大谷瑩潤
○大谷委員長 これより會議を開きます。去る十九日帝國鐵道會計法を改正する法律案通信事業特別會計法を改正する法律案の審議を本委員會に付託されましたのでこれより兩案を一括議題として審議を進めるに御異議はございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=1
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002・大谷瑩潤
○大谷委員長 御異議なしと認めます。まず政府より兩案について説明を求めます。河野政府委員。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=2
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003・河野一之
○河野政府委員 帝國鐵道會計法を改正する法律案及び通信事業特別會計法を改正する法律案の提出の理由は、本會議において申上げました通り、國有鐵道事業及び通信事業に關する經理を企業的に明確ならしめ、もつてその建全な發達に資するため現行の帝國鐵道會計法及び通信事業特別會計法を改正いたさんとするものであります。すなわち、現在國有鐵道事業及び通信事業に關する經理につきましては、明治四十二年制定にかかる帝國鐵道會計法及び昭和八年制定にかかる通信事業特別會計法に基いてそれぞれ計理いたしているのでありまして、現行法におきましても、資本の制度を設け、複式簿記法に從つて計算整理し、事業の損益計算竝びに財産及び資本の増減計算を行い、一應事業の財政状況を明らかならしめる體制を備えているのでありますが、損益計算は、現金の収支を對象とする計算方法いわゆる現金主義によつております關係上、企業としての眞の損益とはいい得ないのでありまして、事業會計としての經理といたしましては遺憾ながら十分とは申し得ない状態にあるのであります。事業會計におきましては、損益の計算に正確性を與へ、もつて經營成績及び財政状態を明らかにすることが最も緊要なことでありまして、事業の健全なる發達をはかる上においても緊要なことと存ずるのであります。從いまして今囘は現金收支を記録計算の對象とする現金主義から、現金の収支如何を問うことなく、價値の増産異動に基いて記録計算するいわゆる發生主義への切替えによつて眞の經營成績及び財政状態を明らかにし、また決算制度についても企業的な決算制度に改正するとともに、兩會計における三勘定區分の制度を廢し、事業運營に一層の弾力性を與える等、經理方式を企業的に確立致さんとするものであります。
以上の理由によりまして、この二件の法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上速やかに御贊成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=3
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004・大谷瑩潤
○大谷委員長 石原政府委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=4
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005・石原周夫
○石原政府委員 ただいま二つの特別會計法の改正の法律案につきまして提出の理由の御説明があつたわけでありますが、それに若干補足をいたしまして、この條文の中の今囘の改正の重點となつておりますものにつきまして、補足御説明申し上げたいと思います。先ほどの理由の御説明のときに申し上げましたように、今囘の改正の第一の點は、先ほど發生主義という言葉で申し上げたのでありますが、平たく申し上げますれぱ民間の鐵道會社、あるいは通信會社というようなものと同じような方式で複式簿記法で計理をいたすということであります。從來の計理のいたし方が現金の收支を目安といたしておりましたのを切替えまして發生主義というようなあまり熟さない發音でありますが、それが中心でありますことは先ほど申し上げた通りであります。條文といたしましては兩特別會計法の第四條に、この會計においては國有鐵道事業のあるいは通信事業の經營成績及び財政状態を明らかにするため、財産の増成及び異動を、その發生の事實に基いて計理する、という規定があるのであります。これが今申し上げたような趣旨において計理をいたす原理をうち立てた次第であります。これに伴いまして計理のいたし方がそういうことに相なりますと、議會に提案をされまするところの歳入歳出の豫算とはどういう關係になるのかという問題が起るわけであります。それにつきましては第九條をごらん願いますると、毎會計年度に運輸大臣なり遞信大臣は歳入歳出豫算實施計畫書というものを出すということを謳つてあります。すなわちこの歳入歳出豫算實施計畫書というものがそれに基きまして損益の計算をいわゆる發生主義的に計理をいたすもとになるものでございまして、それと歳入歳出豫算との關係はこの實施計畫を行うのにあたりまして、どういうような現金の收支が必要であるか、その現金の收支を一體として現わしましたものが歳入歳出豫算に相なるのであります。從いまして歳入歳出豫算の現金の收支でつくられておりますものを實行にあたりましてはこの實施計畫によつてやる。これはその第二項をごらんになりますとわかるように、若干の勘定に分けまして、その勘定間の振替えということが當然起るのでありますが、そういうようなおのおの事業の實體に即しまして區分を立てまして計理をいたしてまいり、これによつて事業の内容が、損益がいかに相成つておるか、あるいはその間で用品の調達關係がどうなつておるかというようなことはおのおのの勘定の内容においてこれを明らかにいたすということに相成るわけであります。それからその實施計畫書が第九條の規定は所管大臣が大藏大臣に要求書として出します規定でありますが、それを受けまして第十一條に歳入歳出豫算に添付をいたします書類のことが書いてございますが、そこに歳入歳出豫算實施計畫書という言葉が現われておるわけであります。それからそれと關連をいたしまして、第十四條に歳入歳出豫算實施計畫に關連いたします規定がございます。すなわちこの會計で現實に實行いたします目安となりますものは歳入歳出豫算の實施計畫書の區分に從いまして、そのおのおのの勘定區分によりまして實施いたす次第であります。ここに財政法第三十一條第二項と書いてありますが、別途現在提案されておる財政法の中において、議會において豫算が成立をいたしました後において各省あるいは各廳が豫算の執行をいたします目安になりますものを配付をいたすという規定があるわけであります。普通の各省の場合におきましては豫算につけまして豫定經費要求書という豫算の細目が出るわけでありますが、それに從つて豫算を實施するのでありますが、鐵道、通信は先ほど申上げましたような特殊の理由によつて、實施計畫書というそういう發生主義で計理いたすべき筋合になつておるものについて實施する、というのは先ほど申しましたいわゆる發生主義ということに伴います條文であります。
第二點は若干技術的な問題になりますが、第十五條、第十六條、第十七條という關連をいたした規定がございます。これは從來の會計法におきましていわゆる振替拂いと稱されていたものであるのでありまするが、それは通信官署あるいは鐵道官署のようなものは現金を取扱います關係上、出納官吏が自分の手もとにもつております現金を歳出金に繰替えて使用することができた次第でありますが、その繰替えて使いました金は國庫から小切手をもつて支出せられたものではないのでありまして、手もとにあります現金を使つたものでございますから、いわゆるそこでは歳出にならなかつたのであります。そこで後におきまして支出官が小切手を切りまして繰替拂いで拂いました金を補填をいたすことをやつておりました。從つて國の支出には繰替拂いをいたしました爾後におきまして支出官が小切手を切つて資金を補填いたすときに、初めて歳出と相なつたわけであります。今囘これを十五、十六、十七條の内容は後ほどごく簡單に申し上げまするが、そういうふうに切りかえました理由はいろいろあると思いますが、そのうち二つのことが重要なことであります。その一つは先ほど申し上げました發生主義ということで、損益あるいは財産の變動というものをその發生の時期をもつて整理いたすことに相なりますと、從來は三月三十一日に一應會計年度は終了したのでありまするが、それからなお爾後におきまして整理をいたす期間があつたわけであります。ところが發生主義で損益を發生したその時期において締めてしまいますことに相なりますと、これを爾後において整理することは無意味になるわけであります。從いまして三月三十一日に一應一切の計算の締切りをいたすことになりますと、先ほど申し上げましたように繰替拂いの資金を爾後において補填をいたすことができなくなるわけであります。それが一點であります。それからもう一つは國の全體の資金の状況がどうなつておるか、どういふうに金が使われておるかという状況におきましても、先ほど申し上げましたように國の支出、歳出として現われますのは爾後において小切手を切つたときに初めて出るのでありますから、從いまして歳出を見、支出の現状を見ておりましては、少くともこの兩特別會計に關しまする限り現在までの状況を正確に把握し得ないことになります。その二點を考えまして今囘の改正におきましては、もちろん先ほど申し上げましたような支出官が小切手を切りまして自分で使う場合があるのでありまするが、それ以外の從來廣汎に使われておりました繰替拂いの制度で、その繰替拂いを扱いまする官吏が支出いたしますときをもちまして國の歳出といたすという整理をいたしたわけであります。從いましてその歳出は現實にあります金を使いますときに直ちに歳出になる。從つて歳出の數字は直ちにその鐵道通信兩官署の金の使い方を正確に反映いたすことになるわけであります。ただそれはもちろんあるわくの範圍内でしなければならないのでありまするから、十五條の第二項に、その支拂いの計畫のわくを定め、それに從いまして十六條以下で現實の支拂いをやつてまいることに相なるわけであります。ちよつと附加えて申しますれば、從來は日本銀行が全部國庫金につきましての一元的な管理をやつておつたのであります。それに關しまして先ほど來申し上げておりまする支出は、日本銀行の金から出すというのではないのでありまして、自分の手もとにありますところの現金を使いますから、從つて歳出金として日本銀行の手もとから出ないものが出てまいるという大きい例外をなすわけであります。これは事態を處理いたします性質上やむを得ないものであると一應考えております。あとに申し上げました點はきわめて技術的な點でありまして、第一に申し上げました點が今囘の兩會計法改正の趣旨でありますが、今囘の改正の重點となりました趣旨を條文について申し上げると大體そういうことになります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=5
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006・大谷瑩潤
○大谷委員長 これより質疑に入ります。川島金次君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=6
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007・川島金次
○川島委員 私はこの兩法案を基礎といたしまして、これに直接關係はないのでありますが、關連の事項として運輸、遞信兩大臣に御質問を申し上げたいと思うのでありますが、あいにく大臣が出席になりませんので、場合によつて大臣が出席されるような事情がありますれば、質問を保留してその機會に讓つてみたいと思います。そこでさしあたつてこまかいことになりますが、事務當局の方に一言お伺い申し上げます。一昨日の本會議に上程されたのでありますが、今度財政に關する徹底的民主化を目標としての財政法案が今議會で審議されておるわけであります。この財政法案と通信、鐵道兩特別會計の法案とは一連の密接な關係があるのではないかとも想像されておるのであります。そこで財政法案の三條によりますと、從來遞信、國鐵の事業料金の増減——値上とか値下の問題は、いつでもその當局自身の自由の決定にまつて、議會すなわち國民がそれに何らの關係をもつていなかつたのが實情であつたのでありますが、今度の財政法案がこの通り決定いたしますれば、自然的に運輸、通信兩方面における事業料金は必ず國會の議決を要する、すなわち國民全體の意向を尊重し、國民の意向によつてそれが定まることになつて來るのではないかと思います。從いましてこの事業料金の値上ということがここにはいつておりますので、その點念をおして聽いておきたいのですが、今後この財政法案が通過をいたしますれば運輸、通信事業に關係のある料金は、この事業料金の中にはいつて必ず國會の議決を經なければならない建前になるかどうか。それを一つ伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=7
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008・田中不破三
○田中(不)政府委員 今御質問になりました點は、あるいは大臣また鐵道總局長官の方からお答えされました方がよろしいとも存じまするが、私の知る範圍であるいは私の考えで一應答辯申し上げますならば、第三條に法律または國會の議決に基いてこれを決定するという形になつております以上、この條文の趣旨に從いましてこれに關する處置をとらなければならない、かく考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=8
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009・川島金次
○川島委員 そうすると、傳えられるところによりますと、遞信關係では四月一日から郵便料金以下電報、電話等に關する事業料金の大幅の値上が實施されるということが言われておる。現行法においてはなるほど四月一日から料金の値上をすることは、法律上何ら差支えないことであろう、しかしながら財政法案という畫期的な法案が目前に確立されることがわかつておる。しかもこの財政法案によれば、國會の議決を要するということは決定的になるのであります。そういう一連の關係を私は考えてみますると、事情は私いろいろお察し申し上げるのでありますが、この財政法案の精神を體しまして、四月一日から特に從來の法律に基いて、郵便その他の料金を値上をするということは、法律上は差支えないと思いまするが、精神的な建前において一考を要するのではないか、むしろ四月一日の大幅の料金の値上を延期いたされまして、この財政法案の確立をまつて、しかる後に當面の郵便料金の値上をされるということがこの精神に副うゆえんではないか、かように思うのですが、それに關連して遞信當局のお考えをこの際お聽かせ願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=9
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010・大谷瑩潤
○大谷委員長 ただいま政府委員が見えるそうですからしばらく……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=10
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011・川島金次
○川島委員 そのことは後ほどお伺いすることにしまして、運輸當局の方——伊能さんは見えませんね。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=11
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012・大谷瑩潤
○大谷委員長 もう少し經つて見えるそうです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=12
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013・川島金次
○川島委員 それでは簡單なことですが、ちよつと資料をお持合わせでありましたらお聽かせ願いたいのですが、現在の國鐵の總財産をお知らせ願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=13
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014・田中不破三
○田中(不)政府委員 ちよつとただいま持合わせておりませんから後ほどお答えすることにいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=14
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015・川島金次
○川島委員 その資料をお持ちくださるついでに、まことに恐縮ですが、現在の國鐵における運轉可能になつておりまする機關車、貨車、客車、電車あるいはラツセル等のいわゆる可働臺數竝びに修繕をすれば使うことのできる臺敷、こういうことと、いま一つは戰災に遇いましたそれらの車輛の處分はどういうことになつておりますか。それをも一緒にひとつお知らせ願いたい。それをお願いしておきます。
それからこれは伊能さんに、あるいは大臣に實はお伺いを申し上げたいと思つておる事柄なのでありますが、なかなか見えそうもありませんから、當局の方にしかるべき御答辯を煩わしたいと思うのであります、去月の末に惹起いたされました八高線における大事故というものは、おそらく國鐵未曾有の慘事であつたとわれわれは考えておる。まことに被害者の人々竝びに家族のためにわれわれは衷心から同情の意を表しておるものであります。そこでこの八高線の事故の原因というものは一體どこにあつたかという問題が非常に國民的關心の焦點になつておるのであります。新聞紙上の傳えるところによれば、あるいは機關士あるいは機關助手等の過失ではないかという事柄がせんだつての新聞に大きく取扱われておるのであります。しかしながら一面におきましてその後の檢察當局の調査あるいは私どもが見聞してまいりましたところによりますると、その事故の責任が從業員の全體の責任ではない。一面においては今日の國鐵の路線のきわめて不安な不完備の状態にあつたことが一つ。第二には機關車制動機及び客車に連結されておりまする制動機の著しい不完備、こういつたことが非常な原因にもなつておつたのではないかと私どもは想像をいたしておる。またその事柄が新聞紙上にも、またその他の人々の間からも言われておるのであります。從つて私は必ずしも運轉乘務員の全體の責任ではなかつたのではないか。かりに一歩を讓りまして、乘務員の過失であつたということが一部分でありましたといたす場合に、私どもはこの國鐵の從業員の事柄について年來少なからず關心をもつておる一人でございますが、そこで最近の運轉乘務員に關する勤務ぶりというものをいろいろと私どもは關心をもつて人に聞いたり見たりしてまいつておるのであります。當局の本省におられる方にはその苦勞、實情というものはよくわからぬと私は思うのでありますが、最近における列車機關車乘務員の勤務の状況というものは、いろいろの經濟事情の變化に伴いまして、以前よりは非常な相違を來しておるということは、既に當局もお認めになつておることだらうと思うのであります。殊に勤務時間の問題、それと併せて休養時間の十分な餘裕がないということにも疲勞の一つの原因があるのではないかと思うのと、もう一つには石炭のカロリーが御承知の通り今日ではきわめて低下しておる。戰前において國鐵の使用しておりました石炭のカロリー炭質というものは非常に優秀であつた。ところが昨今の石炭事情でこれはやむを得ない事柄ではありまするけれども、炭質の著しい低下、それに伴う機關車乘務員の過度なる勤務ぶりということが、往往にして機關車乘務員の疲勞に著しく拍車をかけておるというのが今日の實情ではないかと思うのであります。そこでかりに一歩を讓りまして運轉士の過失であるといたしましても、その過失のよつて來る本質的な原因がそのような勤務の状況、あるは待遇の状況、あるいは炭質の低下による著しい疲勞、そういつた事柄が終み合つて、いろいろの乘務員等において過度の疲勞から事故の頻發を招くというような事柄になつてきているのではないかと非常に私は心配をしておるのでありますが、この八高線の事故に鑑みまして、運輸當局はそういつた點につきましてどのような考え方を今日もつておられますか。それについてひとつお話を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=15
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016・田中不破三
○田中(不)政府委員 八高線の過般の事件につきましては非常に遺憾に存じておりまして、大臣初めこの會議におきましても、あるいは各關係の委員會その他におきましても遺憾の意を表されておるところでございますが、これは今も川島委員からお話のございました通りに施設關係、また運轉關係、各方面の各原因が重なり合いまして起つたように聞き及んでおるのでありますが、私自身直接關係の政府委員でございませんので、十分な御答辯はできかねるのでございまするが、ちようど御承知のようにあの箇所は相當な勾配があり、相當な曲線がありまして、それに速度が加わりましてあの大きな事故をひき起すことになつたのであります。この點いずれもが十分に改善されますればこういう事故は起らなかつたということは言えるのでございますが、ただいまの國鐵の状態で十分なことができませずに、そのままになつておりました關係上こういうことに相なつたのであります。ただいまの運轉手あるいは機關車乘務員の勤務時間、これらのことにつきましても勤務時間の緩和、あるいは休養時間、あるいは休養施設等につきましても十分の考慮を拂わなくてはならぬということは、かねてから運輸省といたしましても考えておるところでありますが、いまだ十分の域に達しておりません。最近におきましても引き續いてその研究を續けておるわけであります。せつかく實現に努力しておるわけでございます。
石炭のカロリーの問題につきましては、戰前は御承知のように六千五百前後というのが普通の石炭のカロリーの状態であつたのでありますが、現今におきましては五千から五千五百の間というのが普通の石炭のカロリーの状態ではないかと思います。そういうふうにして非常に下つております。從いまして今申されましたように乘務員の非常な過度の疲勞を來す。石炭をくべる囘數も非常に多くなるということは御説の通りに言えるのでありまして、この點につきましては運輸省としましても生産者に向つて、石炭の數量のみならず炭質の改善ということにまで及んでもらいたいということをしばしばお願いしておるわけでありまするが、何しろただいまのところでは御承知のような石炭事情でございまして、質よりも量という點で十分なる炭質の改良というところにまで及んでおらない状態でございます。この點は御説のように乘務員に對して相當な影響を來しておるということは言えるのでありますが、これもなかなか當局の思つておりまする通りの實現が期せられないのはまことに私どもも殘念に存じておるところでございます。大體以上をもつて御答えを終りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=16
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017・大谷瑩潤
○大谷委員長 遞信省の政府委員が見えましたから前の質問をしていただきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=17
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018・川島金次
○川島委員 遞信當局にお伺いいたします。さきに國鐵の當局にお伺いした事柄でありますが、遞信關係において現在保有いたしておりまするところの財産状況、それをまず資料がありましたならばお教えを願いたい。それから電話の全國的な數、それから戰災に遭つて未だに復舊しておらない電話の戸數、それをまずお聽かせを願いたいと思うのです。資料をおもち合わせでありませんでしたならば後刻でも差支えないのでありますが、今おもちでしたならばお教えを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=18
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019・大野勝三
○大野政府委員 ただいまのお尋ねにお答えする前に、先ほどちようど私ほかの委員會に出ておりまして不在をいたしておりました際に、お尋ねになりましたという事柄につきましてお答え申し上げたいと思います。通信料金の値上げを今年の四月一日から實施する計畫でいろいろ準備を進めておるということであるが、そのようなことは今度新しく提案されておる財政法の精神から言つて、すべて國會の議決を經るように取運ぶべきではないかというような御趣旨のお尋ねであつたかと伺いますが……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=19
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020・川島金次
○川島委員 その通りです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=20
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021・大野勝三
○大野政府委員 實は御承知のように郵便料金につきましては、郵便法の改正法律案を議會の方に提出をいたしまして、ただいま委員會で御審議を願つておるところでございますが、それ以外の通信料金は法律でございませんで、從來より命令をもつて定められておりますので、法律案としては議會の御審議を煩わさないことになつておりますことはお尋ねの趣旨の通りでございます。しかしながら財政法がすべて國の獨占いたしております企業の料金については國會の議決を經るようにという趣旨の規定を新たに設けられました精神は、これはまつたく私どもも通信料金の場合にもその通り適用さるべきものと考えておる點においては、御質問のお心持とまつたく同感でございますが、何さまこの通信會計の現状が、二十一年度以來非常に急激に赤字に轉入いたしまして、來年度におきましては人件費だけでも六十四億という多額の經費を必要といたしておりますが、これに對應いたしまして現在の料金で期待されております收入は、郵便、電信電話、爲替、貯金の取扱手數料等を含めまして十七億餘りでございます。六十四億の人件費に對して業務收入が十七億見當というのでは、どうにもこれは會計のバランスを保つてまいることができません。のみならずこの人件費は決して本年度あるいは來年度に限つてこれだけのものが要るというような性質のものではございませんで、おそらくはこの今日の經濟情勢あるいは社會情勢の續くかぎり殖えはいたしましても、減るという豫測は非常に立ちにくいような状況にあるもの、從いまして當分少くともこれだけの人件費は通信會計としては負擔していかなければならないものと考えられる性質のものでございます。そのほかに物件費その他の値上りも非常に大きくございまして、そういつた人件費、物件費を通じての業務運營の經費というものが非常に事業の料金收入の方とバランスを失することに相なりましたので、特別會計として本來企業的に運營さるべき通信事業といたしまして、この際料金の是正はどうしてもやむを得ないというふうに考えられまして、今年の四月一日から通信料金全體の是正をいたすことに相なつた次第でございます。そういうわけでございますので、ただいま計畫をいたしております料金は全體で約五十一億の増收を豫定をいたしておるのでございます。ところがこの料金の内容をそれぞれ決定いたしますまでの間には、御承知のように政府部内といたしましても物價廳その他大藏省等の關係筋との協議がございますが、そのほかに司令部方面とも十分打合せをいたす必要がございまして、來年度の豫算編成までにはこの内容がかたまりません。そこでやむを得ず來度年の豫算といたしましては、この業務費の方の赤字に相當いたします五十二億九千四百萬圓というものを借入金で計上してあるのでございます。ところがただいま申しました料金の是正によりまして、約五十一億の増收を豫定いたしておりますので、ほぼこの借入金として現在豫算の上で計上されておりますものは、實際にはこの新料金の施行によつて大部分カバーされるということに相なるわけでございますが、來年度豫算にはこれが間に合いませんので、おそらく次の議會に歳入の見積替えという形でもう一遍國會の御審議を煩わすということになろうかと思うのでございます。しかしながらその時までこの料金全面の是正について時期をおくらせますと、ただいま申します通り、總額において五十一億にのぼりますものでございますから、これが一月おくれましても四億何千萬圓という開きになつてまいります。そういたしますとますます結局はこれがまわりまわつて國民の負擔増加という形になつてまいりますので、やはりこれは、いろいろ財政法の精神などは仰せの通りよくわかるのでございますが、この際已むを得ず本年四月より實施するというために、ただいまその計畫を進め、郵便料金につきましては郵便法の改正案の御審議をお願いしておるという次第でございますので、どうぞその點御諒察をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
それから次に、ただいまお尋ねになりました通信事業の資産の内容でございますが、これはまだはつきりと金額等はかたまつておりませんが、少し推定を加えまして昭和二十一年度の年度末の現在額の見込みを申し上げてみますと、土地が二億九千萬圓餘、建物が六億五千九百萬圓、工作物三千一百萬圓餘、電信電話線路が十億三千四百餘萬圓、電信電話機械が四億二千八百餘萬圓、無線電信電話の設備が三億三千八百餘萬圓、船舶が四千五百萬圓であります。これは百萬圓以下の單位を切捨てましたので總額は少し狂つてくるかもしれませんが、以上總計をいたしますと二十八億二千七百餘萬圓と相なるのでございます。次にお尋ねになりました電話の數でございますが、ただいまもつている資料が少し古いので恐縮でございますが、昭和二十年度末におきまして合計で百四萬二千六百三十四という加入者の數になつております。その内譯は單獨加入がほとんど大部分でございまして、百二萬四千二十五、その他が共同線の加入及び連接加入ということになつております。そのうち御承知の戰爭中に供出で出しましたものや、あるいは戰爭中戰災によつて燒けましたものが約五十八萬箇ぐらいあるのでございます。現在なおこれらのもので未復舊、未復活に殘つておりますものが約三十八萬ぐらいあると思いますが、これを將來四箇年の間に復舊していこうというのがただいまの計畫に相なつているのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=21
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022・川島金次
○川島委員 私は財政法の精神から言いまして政府事業料金の問題をお尋ねいたしたいのであります。遞信局關係の經理の内容についてはおつしやるごとく私どもも想像しており、まことにやむを得ない改正だとは思つているのでありますが、たまたま政府自體が財政法という民主的な畫期的な法案をつくつて、しかも今や目前に議會の議決を經ようとしている切迫した問題であります。しかもそれが一日も早く憲法の施行と同時に實施をされなければならぬという矢先きになつているときに、どのような經理の状況であろうと私はまずもつてこの財政法の精神を十分に尊重するということが建前でなければならぬと思う。そういうような觀點から、四月一日から實施されると言われておりまする遞信省の事業料金の値上は、この財政法の確立を待つて、しかもその精神に則つて、議會の議決、すなわち國民全體の意思によつてそれを實施することの方が政治的にも必要なことであり、また好ましいことであろう、こういう考え方をもつてただいまの質問をしたわけであります。事情はよくわかつております。原則としては、財政法ができ上る矢先でありまして、かりに五月三日とすれば一箇月、その一箇月の間に經理上の都合はあるといたしましても根本的に決定いたしました財政法の精神をここで實施するということの方がきわめて政治的にも好ましい事柄ではないか。また事業料金の値上げによつて一般國民の受けます感じ方においても、これは財政法の精神に基いて國民が議會できめたのだということになりますれば、おのずからそこに違つたものが生まれてくるということになりまして、それが經濟的な作用にまで好ましい影響があるのではないかと考えますので、實はそのようなお尋ねを申し上げたのであります。いずれまたこのことにつきましては機會がありますれば、大臣のお考え方についてさらに私はお尋ねをしたい。かように考えているのであります。
次ぎに伊能さんが見えましたので國鐵の問題に移つてお尋ねをいたします。ただいま實は事務當局の方に八高線の問題に關連した從業員の待遇問題について、またその他八高線の事故の原因等につきまして私の見解を加えながらお尋ねを申し上げたのであります。そこで私は大きな問題としてお尋ねをしておきたいのは、この八高線の事故の責任が大部分において從業員の過失であるという裁判當局の判決でも受けるようなことがありました場合に對する國鐵當局の態度というものは相當に重要な事柄でなければならぬ。かりに從業員の過失だということであの大事件が惹起されたということになつたと假定しますと、そのような場合になつたときに、國鐵當局はあの八高線の路線の不備、あるいは一切の施設の不備ということも十分に認識されているのではないかと思うのであります。そういうような實際的な状況にありまして、その上に從業員が過失だということでその罪を問われるようなことがありといたしましたときに、國鐵當局はそれをその通りだとただ簡單に片ずけて、當局自身がそれに對する責任を感じないという建前をとることは重大な問題になるのではないかとも思われます。この際八高線に關するところの將來の事柄でありますけれども、從業員の過失だということに決定されるような場合に對しまして、國鐵當局首腦部はどういう態度をとられていくことがよいか、それに對する當局の心構えがありましたならば御意見を承つておきたい。かように思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=22
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023・伊能繁次郎
○伊能政府委員 ただいま川島さんから過般惹起しました八高線の事故の原因につきまして、またその責任につきましてお尋ねがございましたあの事故自體の當面の原因につきましては、御承知のように先般來大臣竝に私どもからその内容を公にいたしたような次第でございまして、たまたまああいうきわめて條件の惡い線路の状態、線路自體においては御承知のごとく非常によく整備せられた線路であつたのでありまするが、ロケーシヨンその他きわめて下り勾配である、カーブであるという條件の惡い所におきまして、機關士が當面下り勾配に際しての速度の節制を誤つたことに端を發しておつたその他に副因といたしましては、旅客がたまたま朝の通勤で非常に超滿員の状況にあつたこと、また結果的に戰時中客車の新製がほとんどできなかつたという状態におきまして、また本線關係等におきまして戰時中、二千數百輛の客車、これはほとんど鋼製車、スチール・カーが大部分でありましたが、これが戰災に遭つたというようなことがらからして、全體として客車の質も落ちており、たまたまあの線路における客車が木製車であつたというようなことからいたしまして、事故の結果を非常に大きな事態に立ち至らしめたということに相なつておるわけでありまして、事故の發生の原因がたまたま下り勾配、カーブに際しての速度の節制を誤つたということに起因しておりますが、ああいうような事故を惹起いたしましたこと自體におきましては、鐵道全體として私どもも今後絶對にああいう事故を引起さぬように萬全の措置を講じなければならぬということにつきましては、責任を痛感しておる次第でございます。從いましていろいろ事故の原因につきましては、檢察當局と當方と現地の實地檢證その他を行いまして調査をした結果、大體の意見の一致を見ましたために、ああいうような發表をいたした次第でございますが、今後あの問題が業務上の過失としていかに處理せられまするかは、まだ懸案中になつておりますので、この點についてはただいまのところ申上げる限りではございませんが、ああいう事故を起しました責任につきましては、單に一機關士のみならず、鐵道全體の責任であると存じておる次第であります。從いまして當面の監督の責にあずかつております鐵道局長も、これについて非常な責任を痛感いたしまして、みずからをいかに處理すべきかというようなことについても、自分の所見を大臣まで明らかにいたしたような次第で、これが責任の内容につきましては、私ども單に機關士のみならず、監督の責にあつた者その他につきましてもしかるべく處理をいたしたい。かように考えております。しかしながら根本の問題は、今後ああした事態を發生せしめないためにあらゆる努力と具體的な施策とを講じなければならぬ、かように考えまして、この點につきましては先般他の議員の方々からもいろいろ御質問がございましたので、私どもからお答えをいたしておいた次第でございますが、御承知のごとく機關車乘務員は戰時中二十一歳になりますと、ほとんど九〇パーセント以上兵役にとられてしまいました。從いましてまつたく賽の川原のようなもので、積み上げれば全部とられるという形でありましたために、必然的に技能も落ちてまいつたのであります。その後終戰後一年有半を經まして、逐次技能の優秀な者も歸つてまいつたのでありますが、それも永らく本來の仕事から離れておつたというような關係、また從來からおりました者につきましても、極力再訓練をやるということに努力は續けてまいりましたが、御承知のように工場といわず、機關區といわず川島君もよく御存じだらうと存じますが相當な戰災を受けまして、また教育施設の教習所等につきましても、東京を初めといたしまして、大阪、廣島、名古屋、門司等いずれも戰災をこうむるような次第で、教育等につきましても十分私どもが滿足のいくような程度にまでは施すことができませんでしたが、かようなことでは再び今後こういう事態を引起すようなことがあつては相ならんということで、最近におきましては從事員、殊にああした重大な責任を負つておる機關車乘務員から、まず全員の適性檢査を科學的に實施をいたしつつありまするし、また勞働組合側と協議をいたしまして、ああいう機關士等級制、責任の重いものに對しては身分給與その他につきましても、それぞれの責任に應じた優遇方法を講ずるというような問題、また根本の車輛の整備につきましても、戰時中戰災をこうむりましたものの代替として、連合軍その他の格別の援助によりまして、軍關係の工廠の轉換を急速に實施をいたします。また濱松のごとく、爆撃のみならず鑑砲射撃等も受けました工機部の急速な復舊等によりまして、車輛の整備、施設の充實、職員の訓練、待遇の改善というような各般の見地から作業の合理化をも合わせ行いまして、今後に對處してまいりたい。かようなつもりでおるような次第で、先般のような事故を起したことにつきましては、まことに申しわけない次第で、深く責任を痛感しておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=23
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024・川島金次
○川島委員 大分親切な答辯でありますが、私最近この問題に關連して非常に痛感しておることが一つあるのです。こういうことをお尋ねしておることは、私の眞の狙いとするところはここにあるのです。どうも新聞紙上や一般に傳えられておるところによりますと、何か責任の所在というものが單に從業員にある。こういう印象を強く國民が受けるような報道がされておる。まことに私はこれは從業員のためにも遺憾なことである。國鐵自體のこの施設がすでにこの經濟事情でほとんどがたがたの状態、そういうことが國民には印象づけられないで、その原因がいろいろ重なつておるにかかわらず、究極の責任は何かというと、從業員の過失だというような印象を強めることは、私はその結果及ぼすところは、從業員全體の士氣に大きな作用がある。こういう私は考え方をもつておるので、當局にの問題をしつこく聽くような有樣であります。 私はむしろ從業員も成ほど速度の問題、乘客が殺到した。あるいは木製車だ、あるいはまたそこが勾配だ、しかしそういうことと關連して考えれば、單に從業員一人の責任ではない。むしろ國鐵全體がその責任を負うべき性質のものではないか。それをカバーされてしまつて、ひとり從業員だけが何か過失をしたという強い印象を殊に與えておるということを私はまことに從業員の人たちの立場を同情した場合にしつこく言わざるを得ないのであります。そこでどうぞ檢察當局のいろいろの調査あるいは裁判等が今後あるでしようが、そのときにはそれは國鐵全體の責任だという建前で當局は從業員の當面の人たちにも十二分の同情と理解とをもつて、これが最善の措置をしていただくようにそれぞれ親切な連絡をすべきではないかということを實は私の意見としてお願い申し上げる次第であります。それから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=24
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025・大谷瑩潤
○大谷委員長 川島君にちよつと御相談いたしますが、まだたくさんあるようでしたら、もう十二時を過ぎましたから午後の時間にまわされたらいかがですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=25
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026・川島金次
○川島委員 それではもう一言、これは遞信大臣にお聽きしたいのですが、大臣がおられませんから大臣でなくてもよいのです。これは選擧を控えて、當面の問題としてきわめて重大な問題であります。地方においてももちろんでありますが、衆議院、參議院、知事の選擧が最近ありまして、それにはそれぞれの放送時間が立候補者に與えれれまして、ラジオ放送ができる段取りになつております。まことに結構だと私は思つております。ところが幸か不幸か現在全國に電力の消費規正が行われておりまして、日ならずしてこれら立候補者の演説放送が開始されることになつておりますが、現状のままではせつかく立候補者の放送がされましてもそのラジオを聽取する國民は半分以下ではないかと思うのであります。せつかく民主的の選擧を展開する上に、これはマツカーサー司令部も非常に強く國民に要求しておつて、本人の政策や、本人の選擇について愼重にせよと國民に訴えておるときに、唯一の政見發表、また國民の判斷の資料となるべきラジオ放送が、たまたま現在の状態ではおそらく六割も七割も聽取できないのではないかという實情になつておる。遞信當局としては、この重要なラジオの放送のこの問題に對して、どのような處理をするのであるか、それに對しての遞信當局のお心構えを聽かしていただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=26
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027・大野勝三
○大野政府委員 ラジオ放送が今度の選擧について非常に大切な役割をもつておりますことは全くお話の通りでございまして、せつかくの放送が電力電源の關係で十分に聽取されないというようなことがあつてはまつたくこれは畫龍點晴を欠くことになりますので、十分事務的に、實は電力の方を主管しております商工省とこの政見發表のラジオ放送の際にはその地域に電力制限のないように配意の申し入をいたしております。一般にはもうだんだん陽氣も緩んでまいりましたから、電源の關係もやがてよくなつてまいると想像されますので、實際放送の行われます際には今日よりもずつと條件のよくなることと期待しておりますが、今申しましたようなわけで、さらに事務的には商工省局と緊密な連絡をとつて遺憾のないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=27
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028・川島金次
○川島委員 だんだん緩和される點はありましようが、直ぐ開始されます。これは私の近所の一例でありますが、電力が五時、七時という肝腎のときに來ない。それが一地域ならよいが、あるところには來ておるが、あるとこには來ていない。ある日にはある一方に電力が來ておらない、ある日は一方に來ていない。そうなると自然候補者の演説もたまたま全面的に電力が來ておるときにはその候補者は全體に聽いてもらえるが、ところが時間によると一時ある大きな地域に電力が來ないためにせつかく效送に立つても聽かれないということがあり、こういう不公正なことが起る。選擧は公正でなければならんのでありますが、そういう影響が非常に大きい。從つて遞信當局としてはできるなら、五時、七時というのが放送時間であらうと思いますが、その放送中の地域に對しては何等か萬全の策をもつて公正にその放送が聽取者によつて聽かれるという建前をぜひとつておくことが選擧の公正を期する建前からいつて必要なことではないかと思うのであります。選擧に非常に重大な關係をもつので、極力一つ實現するようにお骨折を願いたいと希望する次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=28
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029・大谷瑩潤
○大谷委員長 午前中はこの程度にいたしまして、午後は一時半から再開いたします。質疑終了後討論採決に入りたいと思います。これにて休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
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午後一時四十七分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=29
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030・大谷瑩潤
○大谷委員長 午前に引き續き質疑を續行いたします。川島金次君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=30
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031・川島金次
○川島委員 それではちよつと法案の關係のことをお伺いしますが、鐵道會計、多分遞信省關係にもあると思いますが、第四條の二行目にある財産の増減及び異動というところに關することですが、財産の増減ということは結局價格の問題にも影響があると思うのです。財産の増減の場合に經濟事情によつておのずから財産の評價額が違つて來ると思うのですが、この會計法においてはその財産増減の根據というものをその經濟の事情の變化に伴つて財産評價額をかえて行くものであるか。それともその施設をしたときの財産價格でそれを基本としての増減を定めるということになるのか、その點を一つお聽きしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=31
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032・石原周夫
○石原政府委員 ここにあります財産の増減という點につきましては、今お尋ねの點に關連いたしまして、二つの場合に分けて考えられるものと思います。一つは、現在ございます財産の處分でありますとか、あるいは償却でありますとか、そういつた現在あります財産の問題と、それから將來増加をいたしますところの財産の問題、ここで財産と申しておりますのは積極、消極の財産を含む意味でありますので、負債の増加の場合もこの財産の意味に解釋いたすわけであります。そこでどういうような價額に相なるかという點につきましては、まず現在ありますところの財産におきましては、現在の評價額、帳簿價額がございますので、それに基きました整理をいたすことに相なります。それから新規に増加いたします部分につきましては、その新規に増加いたします時の取得價格なり、あるいは借金でありますならば借入金額というような、その時の價額によつて決するということに相なります。そこで當然非常な食違いが出てくるのではないかという御疑念があると思うのでありますが、その點につきましては、本來ならば、全面的な再評價をいたしまして、それによりまして、新規の増加あるいは減少の分と、それから從來の分とを分けるということなしに一體に見られるということにすべきが理想なのでありますが、現在の状況におきましては急速に全面的な再評價いたすということは困難であると思われますので、さしあたりは、先ほど申し上げましたように、從來の分につきましては、從來の價額できめる、新規の分については新規に、たとえばある建設をしました場合におきまして、その建設に要しました費用をもつて評價をいたす、こういうことに相なると思います。將來の問題といたしましては、再評價をしまして、それによつて償却なども十分適正なものが得られるように、兩省當局におきまして現在お考えを願つておるのでありますが、さしあたつてのところは、今申し上げたようなことに相なろうと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=32
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033・大谷瑩潤
○大谷委員長 大臣が御出席になりましたから、御質問があればどうぞ。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=33
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034・川島金次
○川島委員 遞信大臣に一言お伺い申し上げます。先ほど實は事務當局にちよつとお尋ねをいたしたのでありますが、事務當局の方のお答えを求めるのはいささか無理があるではないかと思いますので、重ねて大臣にお尋ねを申し上げます。大臣も御承知のごとく、今度財政の民主化という建前から、財政法を御提出になりまして、目下議會で審議中であるのであります。この財政法案の第三條によりますと、この法案實施の以後においては、從來運輸關係の賃金、料金等の問題はもちろんでありますが、遞信關係の事業料金にしても、すべて國會の議決に基いて定めなければならないということになるのであります。この事柄はわれわれが多年主張した事柄でありまして、國民の負擔に非常なつながりをもつております租税外の專賣の品物、あるいはまた政府事業の賃金、料金こういつた問題が、從來は大部分がその所管の大臣の權能の範圍内において決定されて、國民の意思というものはほとんど無視もしくは輕視されて來たのであります。その事柄につきまして、私どもは、こういう國民の生活に密接な關係がある問題については、すべからく議會の議決を要するように變えなければならぬということはわれわれ年來の主張であつたのであります。この財政法案を見ますと、われわれの主張がここに實現されてまいつたような結果になつてまいつているのであります。そこでお尋ねいたしたいことは、四月一日に大體において遞信省は郵便料金その他の大幅の値上げを實施することになつていると聞いているのであります。なるほど遞信省の現状の經理關係をお察し申し上げますれば、事情まことにやむを得ざるものありと私どももある程度は同感の意を表せざるを得ないものがあるのでありますけれども、折角財政の徹底的民主化をはかるという建前において財政法案が上程され、しかもこの財政法案の實施は昭和二十二年四月一日からこれを施行するということになつているのであります、こういう畫期的財政法がせつかくできて、その法案の精神によつて、遞信關係の事業料金についても、國會の議決に基いてということになつたのでありますがいろいろの事情はあるのでありましようが、この財政法の確定をまつて、改めて遞信事業料金の改正などにつきましても議會に上程して、いわゆる議會の議決によつて、國民の全體の納得のもとに料金の大幅の改正をすることがきわめて至當なることではないか、私はかように考える一人でありますが、これについて大臣の御所見をお聽かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=34
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035・一松定吉
○一松國務大臣 川島委員の御質問は新憲法の精神からいたしますればごもつともの御意見であると私も御同感であります。しかしながら、御承知のごとく、私の方の從業員の待遇改善ということが昨年の六、七月頃から既に問題になつておりまして、それらの改善をしなければ業務の運營について重大なる支障を來すというおそれがあつたばかりではなく、御承知のごとく官公職員が相結束して二・一ゼネストにはいるというような状況に立ち至りまして、何とかしてこれらの原因を突き止めて、これを改むべきは改めなければならぬという考えをもちましたのは、政府當局誰一人これに對して異論を唱える者はなかつたのでありまして、それがために、御承知の七月案、十二月の越年資金、一月の物價高による特別給與、二月七日の大藏省給與局の待遇改善に關する政府發表というようなことのために、非常に財政方面に窮迫の事情のありましたことは川島委員特に御承知の通りであります。こういう時に、何らかの措置を講じなければならぬといろいろ考えて、窮餘の策、遂に法律によつて料金を改訂しなければならぬというような、手續は料金値上げというようなことで、郵便法を一部改正してただいま皆樣の御審議を仰いでいるような次第であります。それと、從來にらみ合わせまして、郵便料金以外の遞信省の所管に關しまする手數料というようなものはその率に從つて今まで増加をしてまいつておつたのでありまして、それは仰せのごとく遞信省令というような一つの命令によつてこれをやつておつたのでありますが、今囘も、新憲法の趣旨に基きますれば、それはあなたの仰せになるようにした方が、非難もなく、最も合理的であるのでありまするが、何分先に申し上げましたような情勢のために、一日も待遇の改善をゆるがせにすることができないというようなせつぱ詰まつた状態に陷りましたために、今囘ほんとうの應急策としてかような手續をとることになつたのであります。ゆえに憲法實施の後においてそれらの點について何らかの改正をしなければならぬという事態に當面いたしますれば、それはこの憲法の精神に基いてそれらの省令を直ちに法律に改めるとか、あるいは國會の議決を經て、いわゆる委任命令によりて新憲法の政令という方面でそれを是正するような手段は當然とるべきものであると私は考えております。今囘のことは必要やむを得ざる應急處置であつたということに御諒承を賜りたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=35
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036・川島金次
○川島委員 やむを得ざる處置であるということは多少私どもも同意を表する點なきにしもあらずという考え方であるのであります。しかしかりそめにもこの財政法案というものは、憲法の實施に伴うわが國の財政に關する財政憲法だという考え方をわれわれはもつている。その財政憲法とも稱すべき財政法、民主的な精神を十二分に尊重するという建前において財政法ができたが、一方においてこの法律が實施され、一方において遞信省に關する事業料金の改正を從來の法令によつてやるということは、私は理論的にたやすく同意ができない感じでいるのであります。おそらくこの法律を實施して、改めて財政法によつて議會の議決にかけるとした場合に、その間わずかな期間ではないかと思うのです。今日の物價の事情、インフレの事情、あるいは待遇改善の事情、それらの點を總合的に考えた場合に、應急の處置としてそれをやるというその内容につきましては、われわれは一應うなずけるところがあるのですが、たまたま四月一日にそれが行われる、一方において財政法が四月一日から實施されるという機會におきまして、一箇月あるいは二箇月ぐらいの餘裕が何とかそこにとれないものか。そうして議會の議決によつて國民の意思による納得ずくで、國民生活に重大な關係をもつている料金その他のものをきめるということは、もとより財政法の精神に基き、ひいてはそれは憲法の精神にも繋がることであるので、私はそういう處置が一番好ましいのではないかと思うのであります。郵便料金その他のことにつきましても、もとより國民生活に重大な關係をもつものである。たとえば借入金で一箇月かその程度のことを埋合わせができるというようなことでありますれば、改めてこの財政法に則つて議會の議決、そうして國民の諒解と納得、さらに遞信從業員に對する國民の協力の意思をそこに表明してやることの方が、單なる内部的な經理の關係以外に、その値上の國民へ及ぼす心理的な作用、あるいはその心理作用は經理的にも影響があると思うのでありまして、そういうことがきわめて必要ではないか。その點につきまして、その關係を考慮せられて、借入金等によつて一時を補い、改めてこの財政法の精神に基いて議會の議決の手續をするという何らかの處置ができないものかということを大臣に重ねてお尋ね申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=36
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037・一松定吉
○一松國務大臣 理窟としては今の川島君の御質問は全幅の贊意を表します。しかしながら遞信省のとりました緊急處置のようなことは、あなた方の御協贊を経て發布せられ、五月三日からその效力を發生しようとしている憲法でも、豫め今遞信省のとつたようなことは認めている。あなたは憲法の法文を表面だけおとりになつて御議論なさるようですけれども、今あなたの御質問になつている財政法第三條の法律または國會の議決に基いて定めなければならないということは、施行の日は政令でこれを定めるということが財政法の附則第一條において規定されているのです。でありますからこれは緊急處置としては認めていただかなければならぬ。しかしあなたのおつしやるように憲法の精神に基いてということであれば、お説の通りです。しかしこれはやむを得なかつた處置である。從つてそのやむを得なかつた今度の處置は財政法の附則第一條においても認められているのですから、ここは一つ惡からず御諒承の上、今囘は御承認願つて、將來適當な時機にあなたの御趣旨に副うようにいたしたい。これが私の考えであつて先刻申し上げた通りであります。從つて今これを撤囘して、さらに適當な時機に法律をもつてするというような意思はただいまのところもつておりません。これらの事情を一つ御諒承願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=37
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038・川島金次
○川島委員 大臣が見えておりますから、序でにもう一つお尋ね申し上げたい。それは遞信院關係の從業員のことですが、これは運輸關係にも關係があることなのであります。實は私先般大藏省の税制改正に關する委員會において、いろいろお尋ねをいたした際に安本の方からもらいましたきわめて重要な資料でありますが、この安本關係のいわゆる標準生活生計費という問題についての設計圖ができている。これによりますと、普通五人家族の世帶におきましての最低生活費——生活費というよりはむしろこれは詳細に調査いたしますと、最低生存費にもなるのではないかというような感じのする設計圖があるのであります。これによりますと、大體において一箇月の生存最低費というものは五人世帶で千二百八十七圓九十二錢、これは安本において昨年末につくつたものだそうであります。從つてその後の物價の事情、殊に政府において最近一般公定價格の改定を餘儀なくされているようでありますが、そういう事柄を織込んで考えて見ますと、これは安本で作成した一つの參考資料ではありましようが、昨年末を基準として計算を立てた際においてすらも、最低生計費が千三百圓ということになる。ただいま申したごとく、その後の物價の騰貴率、さらにまた政府自身が全面的な公定價格の改定を實施しなければならぬという事柄になつていることは、先般大藏大臣も言明されているところであります。そういつたことを考えると、おそらくこの安本のつくつた最低生計費はさらに二割、三割の高率をもつて計算をいたさなければ成立たなくなることは明瞭であろうと思います、しかるに一方において遞信、運輸その他政府事業關係における從業員のいわゆる平均生計費は、未だ一千圓内外と私は記憶している。こういうことになると、またしても私はこの從業員一般の生存の支出が嵩んできて、生活不安がさらに釀成されるのではないかを恐れているものであります。大臣におかれては、遞信從業員のただいま決定されている平均給をもつて、安本の集めた資料に基く生計費とにらみ合わして、はたして妥當であるかどうかということについて御所見をお伺い申し上げたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=38
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039・一松定吉
○一松國務大臣 川島君のお述べになつたように、昨年末以來物價の昂騰が底止するところを知らない。それがために政府においても公定價格の改定を考慮しつつあるということは實際であります。こういう状況であるがために、官公職員なかんずくお示しの遞信省の從業員においても、物價高のために生活に窮乏を來していることは事實でありますから、でき得べき限りそういうことをなからしめて、少くとも最低生活の保障ということだけは考慮を拂つて、それらの手を打つて、これらの諸君が與えられたる椅子に安んじてその仕事を推進することのできるようにいたしたいということは、一人遞信大臣たる私のみの考えではございません。各閣僚全部その意見を持つております。今お示しの安本の二十一年末に作成した一箇月の生計費が千二百八十何圓ということだそうですが、これは私ども見ておりませんが、こういう給與改善は給與審議會を設け、そういう方面で各從業員の生活の資料を集めておりまして、これを基礎にして、最低生活の保障のできる程度に待遇を改善してやろうということで、しきりに今調査をしていることは川島さん御承知の通りであります。それができれば、遞信省竝びに官公職員のすべての者の平均一箇月の給與が相當引下げなければならないようになろうと思います。そういうことは急速に決定を見、これを實施することのできるよう今努力しておりますから、もうしばらくの間各官公職員とも我慢をしていただかなければならぬ。これが政府の財政が非常に豐かで、國民すべての者が相當贅澤をしているときに、官公職員だけが特別に窮乏の生活をしているのであれば許すべからざる事態でございますけれども、御承知の通り今日の敗戰國のわが國としては、國民全部が窮乏生活をしているのですから、互いに相樂しみ相助けて、窮乏の生活によつて時局を乘切ろうという國民全部の考えでありまするから、官公職員もしばらくの間給與改善についての委員會の決定を見るまで我慢していただきたいということが政府の考えでありまして、最低生活の保障もなにもしない。饑餓に陷つている職員を鞭打つて、無理な仕事をしてもらうという、さような考えは少しももつておりませんから、これらのことは今日の日本國民の窮乏生活に耐えて、國家再建を圖りつつあるという現實とにらみ合わせて、今しばらくの間御考慮をお願いしたい。こういうように御諒承を賜りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=39
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040・川島金次
○川島委員 それに關連してもう一つお伺いしたい。この間朝日新聞社で全國の勞働者、俸給生活状況を調査したものが出ました。それによると手もとに今持つていないのでよく覺えていませんが、賃金生活者は今日大體五五%がたけのこ生活で、たけのこ生活のできないものはどこかで借りる、それができないものは妻君に内職をさせる。あるいは本人が物を運んで、いわゆるやみ屋をやつて、賃金不足を補つている。俸給生活者のうちでは六五%がたけのこ生活であり、しかも官吏のうちでも、生活は破綻し、妻君が内職したり、本人が勤務の片手間に内職でもしなければ、ほんとうに生計が成り立たないという實情であります。かような問題が、官公勞の人達はもちろんであるが、全國的な勞働問題の一つの大きなものであることは大臣御承知の通りである。さらに問題になるのは、國務大臣としてもこの機會にお伺いしておきたいのでありますが、今度の豫算關係は、一般勞働者、勤勞者に非常に重大な重壓となつて現われてくるであらうということは、數字の上ではつきり言えるのであります。端的に申しますと、昭和二十二年度の租税收入は、大臣御承知のごとく、六百八十七億圓ほどある。その他の專賣益金等の收入が二百三十四億圓ある。これら租税収入のうちから法人税、特別法人税、遊興飲食税といつたいわゆる富裕な人々が比較的負擔するものを、十二三日取り除いて私が計算いたした結果によると、國民大衆が負擔する税は、今度の豫算によれば、純計五百七十三億六千餘萬圓になる。その他專賣益金から二百三十億圓ほど入る。これを計算すると、大體國民大衆の負擔する租税額竝びに收入額全體が八百億圓になる。八百億圓になるわけであります。先般來大藏大臣、財務當局その他の關係者との議會における質問應答に基きましていろいろ私の感じ方をもつて計算いたしたのでありますが、その八百億のうち中産以上の人たちがどのくらい税を負擔するであろうという私は勘どころをおきまして、その人員とその負擔額とを勘案いたしまして、それの部分が大體全體の三割を押えた。そうすると八百億の三割というものを除いた差引が五百五十億圓になります。この五百五十億圓というものはすなわち勞働者、あるいは零細耕作農民、あるいは俸給生活者の上にかかつてくる税金であるということに私は算定をいたしたのであります。そういうことにいたしますると、およそ日本の勞働者、耕作農民、あるいは俸給生活者、こういつた官公廳の人たちを加えました人數が——これは私餘分にみてあるのでありますが、千三百萬人と計算をいたしたのであります。その結果によりますと、一箇年の勞働者、俸給生活者、零細耕作農民が負擔をいたしまする直接の國税、あるいは間接のタバコ、酒類等も入りますが、それらの租税をひつくるめましてなんと大體において平均五千圓あるのです。そうすると今の日本の勞働者あるいはまた俸給生活者の平均收入というものは大體今度の官公廳における協定ができたその建前からいきましても、千百餘圓と私い記憶いたしておるのであります。そういうことを勘案いたしましてこの五千圓になんなんとする税を考えましたならば、昭和二十年の政府の財政政策の結果によりまして國民大衆の負擔いたします税額はただいま申し上げたように一箇年に五千圓近くになる。しかるに一方における賃金收入あるいは零細耕作農民の收入というものを勘案いたしまして、はたしてこれだけの租税を負擔しきれるものかどうか。もししきれないとすればそこにまた生活の破綻がある。しかしてその破綻の結果は一般官公廳にももちろん響いて生活不安となり、同時にまたそれが勞働不安ということになりますならば、官廳の業務の能率、あるいは生産の能率にも大きな問題が出てくるのではないかということを痛切に心配をしておるのでありますが、それに對して今度の財政が、政府の使用しております一般官公廳の定額所得階級に、いかに重大な負擔になるかということについて大臣はどのような考え方をもつておりましようか、ひとつ國務大臣としての御所見を承りたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=40
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041・一松定吉
○一松國務大臣 今大變專門的にわたる御質問がありましたが。これは大藏大臣の方で相當研究いたしておりまするから、適當な機會にひとつ大蔵大臣にそれを御質問願つて御所信を確めていただいたらば大變結構だと思うのであります。ただ私の國務大臣としての考えは、國民の全部に對して負擔を公正に、ある者に重税を課しある者を特に税を低くして保護するというようなそういう不公平不均一な課税の方法ということはよくないことでこれはもう議論の餘地はありません。でございますから、今あなたの三割くらい中産階級以上の人に税をかけて、あとの七割は大衆に税をかけるのだ、こういうような基礎はどこから割出されたか、それらのことももう少し具體的に示していただかなければ、はたしてあなたのその基礎がわれわれの納得のいくように中産以上の者が三割で、中産以下の大衆が七割の税金を負擔をしているということに直ちにこの通りでありますと承服はできません。ただ申し上げておきたいことは、今の政府の提案しておりますこの豫算というものは、ごく公正な立場において國民の擔税力を考慮してこういうような豫算を出しておるのである。これだけのことは私が國務大臣としてお答えできますがが、三割以上の者に對する税負擔力が少くて、七割以上が大衆課税であつて、この生活を脅威するという御意見には直ちに贊同はできません。これだけをお答えしておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=41
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042・川島金次
○川島委員 大臣は專門家でないということは私もよく存じているのですが、今の私が三割程度という問題を基礎にいたしましたのは過般の財産税の場合におけるところの十萬圓、二十萬圓の程度の人たちの人數あるいはその負擔力、そういつたことももちろん檢討いたし、さらに勤勞所得税の収入の上において、一箇月千圓ないし二千圓程度の者の人數、あるいはその負擔の税の總額、そういつたものをあげればきりがないのでありますが、廣汎にわたつて私は調査をいたしまして、その結果この程度がいわゆる中堅以上の人數で、税額に相當するものは三割程度だと私はにらんだのであります。ただ根據がなくしてこういう數字を出したのではないのであります。それでただいま大臣は、そういう問題は主として大藏省の所管であると言つておられます。もとよりそうであります。あるいは給與審議會、もとよりその方面の專門家が集まつて研究されるのでありましようが——私は官公廳におけるいわゆる俸給生活者もしくはそれに附隨する勞働者——これは全國の勞働者、俸給生活者の問題にもなるのでありますが、政府の職にある大臣の各位におかれましては、こういう問題はすべからく私は大藏大臣や單なる給與審議會だけにお任せするという建前でいつてはならぬと思うのであります。日本の經濟再建のがんともいうべき問題になつているのはすなわち勞働者、俸給生活者の最低生活が保障されておらないことである。これをいかにして保障するかということが日本經濟の再建のかぎであると私は思います。それなくして、私は全面的とは申し上げませんけれども、經濟の再建あるいは國民生活の全面的な安定というものは保障し得られないのではないかという考え方をもちますので、私はこの際こういう數字をあげまして、大臣が專門外であるということは萬々承知でありますが、大臣が見えたので私はあえて御所見を伺いたいという氣持になつたので御質問を申し上げたのであります。私は大臣とこの問題について、いわゆる生計費に關する數字的な議論を申し上げようというのではありません。ただ今度の財政政策によりまして、國民大衆殊に勞働者勤勞大衆がいかに多くの負擔をせなければならぬかということだけは私は斷言しておいてさしつかえないのであります。その點はどうぞ大臣私は根據のないことから申し上げているのではない、ただこの根據が正確に科學的に當つていると私は自信はもつておりませんが、これに遠からざるところの状態になるということだけは、私は斷言できる自信をもつているのであります。從いまして問題はそういうことになりますと、ただ單に大藏大臣や、あるいはまた給與審議會などにお任せをするのでなくして、政府全體の人たちが日本の勞働者、日本の勤勞階級、殊に政府自身がお使いになつているところの俸給生活者の全面的な最低生活をいかにしたならば保障ができるかという、この問題に日夜最善最大の努力をするということが日本經濟再建の一大導因である。それなくして日本經濟の復興はできないという考え方をもつているので、實はちよつとお尋ねをいたしたのであります。この問題について議論をいたしますれば果しがありませんからこの邊で終りたいと思います。とにかく今度の昭和二十二年度の財政があなた方のお使いになつておりますところの官公廳の人たちに重大な壓力になつてまいるであらうということだけは斷言ができるのであります。どうぞこの點をもお考え下さいまして、今後も大藏大臣や給與審議會にだけお委せしなくて、十分に各大臣が結束して、これに對する最大最善の努力をなすべきであろうということを申し上げて、大臣への御質問を終りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=42
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043・一松定吉
○一松國務大臣 ただいまの御意見のうちで、お言葉を返えすわけではありませんが、つまり大衆により多く課税をして、中産階級以上の者に課税が少いというようなことは、それは何かのお考え違いではないかというような私の所信を飜す餘地はありません。ただあなたの仰せになるうちで、財産税を十萬圓に引上げたというようなことについては、これは前澁澤大藏大臣の時には、財産税を三萬圓ということが、免税點になつておつたことはあなたも御承知の通りであります。三萬圓ではどうも大衆に税金を多くかけることになるからというので、免税點を十萬圓に引上げ、十萬圓以下のものに對しては財産税をかけないということで各政黨の意見が一致して、それを政府が取上げて、財産税の免税點を十萬圓にしたということによつて、いかに大衆がこれによつて相當の利益を得ておるかということは、これはもう論ずるまでもありません。また勤勞所得税にしても、今までのような率では面白くないからというので、今囘御協贊を經まして、そうしてそれを四百圓以上に引上げたというようなことも、やはり大衆に對して課税を少くしよう。勤勞者に對して負擔を減少せしめようという立場においてやつたのでありまして、決して大衆からたくさん税金を取上げて、それ以上の者に税金を安くかけてやろうというような考えはもつておりません。これは一つ私はこの際明らかに申し上げておきます。
それからあなたが今根據のないことは自分は言わないと言われたことは、政治家が公の席において發言する場合においては、その御決心には私は敬意を表します。願わくはそういうような具體的に國民全部が納得するようなよい案がありますれば、御遠慮なく一つお示し賜われば、われわれはそれが國家國民のためにいいということであれば、直ちにこれを取上げて實施する決意があるということだけを御諒承賜わりたいのであります。
それから專門家でない大臣にこういうことを聽くのはどうであるかしらないが、國務大臣である以上はそのくらいの考えはあるべきではないかというあなたの御注意に對しては、全然同感であります。私自身は專門家でなくても、いやしくも閣僚の椅子を汚しておる以上は、そういうような大體のことはもちろん大綱をつかみ、この政治がよいか惡いかということくらいは承知していなければ國務大臣の資格はない。私はそういう考えで常に閣議にも臨んでおるし、すべての政治を運行する上において、そういう信念でやつておりますから、その邊は一つ御諒承を賜わりたい。あなたの言ういわゆる官公職員の待遇改善、もしくは官公職員の生活窮乏に非常な御同情を賜わつておるということにつきましては、私は非常にありがたい。そういうことであれば、政府の出した豫算等について、私をしてほんとうに言わしむれば、豫算返上論というようなことをお愼しみになつて、少くともその豫算は修正して、官吏の待遇改善に資するというような御態度に出ていただければありがたいが、もしこの豫算を返上するということになると新規にそれらの官吏の待遇を滿足するようにするには、新たに出したところの豫算の可決されるまでの間は、それらの從業員というものは、給與の改善ができないというような結果を招來するというようなことを考え合わせると、私どもは豫算返上論というような點についても、非常に國家のために心配しておる一人であるということだけをこの際申し上げておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=43
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044・川島金次
○川島委員 ただいまの御答辯でありますか、それとも討論であるかわからないのでありますが、私は申し上げたいと思います。問題はいまの豫算返上のことについて大臣は聲を勵ましてお話のようであります。まことに心外であります。われわれが豫算の返上を決意いたしましたのは、むしろ政府に責任があるという考え方であります。ただいま申し上げましたように、一體昭和二十二年度の財政並びにこの財政に伴う根抵をなす税制、これらをわれわれは勘案をいたしまして、きわめて重大な豫算であり、重大な税制であるという建前で私どもは臨んでおつたのであります。しかるに豫算案が出たのは大臣も御承知のごとく最近であります。しかもその豫算を審議する期間というものはきわめて僅少であります。東條内閣の時代においてすらもかくのごときことはなかつたであろうというような、きわめて僅少の間に審議を強要されるというような、實は言葉の表現は別といたしまして、われわれの感じ方から言えばそのような状態であの豫算を審議しなければならないというような有樣でありました。これは大臣よく御承知の通りであります。しかも財政の上に最も必要な歳入の根柢をなしますところの税制はつい四、五日前に出たのであります。一體財政を審議する場合におきまして、しかもその財政を構成するには、從來の税制ではあの財政の歳入は絶對に求められない。從來の税制からいきますれば、どう税務官が全國に網を張りまして税をとるにいたしましても、現状のままではあの一千百四十億の歳入の中の半分ぐらいは赤字になる。しかもその根抵をなすただいま申し上げた税制の改正案はつい數日前に出た。目下審議中であります。本來から申し上げるならば、税制が先になつて、しかもその税制の根抵に立つて財政政策を打ち立てて、歳入の根抵がそこに確立されておらなければならぬ。しかるにわれわれはむしろ一歩退いておるのです。一歩退いて、政府の事情やむを得ずとして、われわれは一歩退いた立場においてあの審議に入つたのであります。しかも入つているうちに税制の改正でも出るんじやないか。税制の改正が出るとすれば、これと並行して豫算に對する徹底したわれわれの態度をきめようじやないか。こういう考え方でおりましたところが、しかも豫算の本會議上程という日取りが政府のいろいろな事情で迫られて、われわれも要求された。從つて税制はできない。財政の全面的な檢討もできない。こういう事情であります上に、われわれはいろいろのこの豫算についての意見があつたのでありますけれども、それを修正するような暇も全然なかつたのであります。從つてわれわれは昭和二十二年の財政である豫算に對して一應出直してくる必要があるんだという建前で、實はあれは返上ということになつたのだと私は確信しておるのであります。そのような事情でありますので、ただいま大臣のお言葉でまことにわれわれは心外であると思います。そういう事情であることも大臣はよく御存じのことだと思う。しかも税制は根柢をすのです。 その根抵をなす税制はまだ議會で審議中であります。この税制がきまらなければ歳入がきまりません。從來の税制ではおそらく千百四十五億の歳入のうちの五割は赤字なのです。從つて理論的に言えば砂上の樓閣の豫算をわれわれは審議したという形にならざるを得ないようなことにもなる。しかしあえてわれわれはいろいろの事情を酌取りまして、あの審議に加わつているうちになんとか税制が出てくるんじやないかというような考え方で期待しておつたのですが、それがあの豫算の審議もいよいよ本會議に上程すという日になつて、初めて税制の改正案が出てきた。こういう事情にある。そういう事柄を大臣は十二分に御承知で、われわれの立場も御認識があるのではないかと思うのであります。いまの豫算返上論にまで大臣が及ばれましたことは、まことに私はそういう事柄でこの質問に臨んでおつたのではないのでありまするが、今の大臣のお言葉がありましたものですから、われわれの立場というものをこの際はつきりしておきたいと思つて申し上げる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=44
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045・一松定吉
○一松國務大臣 社會黨のお立場はどうである、こうであるというようなことは私はよく了知しておる。社會黨がこういう立場においてこういうような決議をしただろうということはよくわかつておる。しかしながらあなたの御質問の中で從業員の生活苦ということに論及せられた。それについて政府の給與改善とかいうような問題について論及せられたがために、そこまであなたが官公職員の生活の窮乏を考慮せられておるその御好意に對しては、私は政府當局としてまことに感謝するところである。その御態度であるならば官公職員の待遇の改善の一日も速やかに實施できるような方法である現豫算というものに對して、返上論ではまことにわれわれの期待に反したということを申し上げたのであります。むしろそれよりも修正でもしていただいた方がよかつたのであろうけれども、それは社會黨のいわゆるお立場上からそういうことに出たのはこれはやむを得ない。しかしそういうことをやつたのが惡いとか何とか言うのではない。あなたの待遇改善についての非常な御熱意をもつて官公職員の生活を擁護せられたその御熱意に對して、私はそれならば返上論よりも修正でもしていただいて一日も改善の速やかならん方に御留意賜つた方がありがたかつたと申し上げた。その豫算返上に對してあなたがいろいろ御意見を述べられましたが、私はその御意見に對して反駁はいたしません。ただ政府がこの豫算を出すことが遲れた。あるいは財政上の法律等を出すことが遲れたという。遲れた理由は私がここに申し上げなくてもあなたはよく御存じのはずなのだ。政府に怠慢も何もありません。政府は晝夜兼行でやつておる。やつておるが、あなたも御承知のような事情のために思うように行かない。そこは一つこの時局を收拾する各政黨の立場からこれらのことは十分に御考慮に入れておいて、そうして各法案並びに豫算に對する御審議を進めていただきたいということを、私は國務大臣として私があなたにお願いするのです。豫算を出すことが遲れたじやないかとか、あるいはその他の法案を出すことが遲れたじやないかということでなくて、遲れた事情は私がよく申し上げなくても御諒承のことだから、それらの點をあまり取上げて論議することは好みませんから、どうかそういうような點に對してお互いが國家を思うて意見を發表するのですから、いいことはいい、惡いことは惡いと正正堂々と意見を鬪わすことは結構ですが、十分おわかりになつておるようなことをその責任を政府に歸して云々するということは私はどうかと思う。こういうことを申し上げただけなのですからその點を御諒承賜わりたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=45
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046・川島金次
○川島委員 どうも大臣とこういう政治論をやるつもりで私はこの委員會に臨んだのではない。社會黨が豫算の返上論をしたとかしないとかいう問題をここで私は論じようと思つて來たのではない。しかしもし大臣がそういう政治論をここでやろうというならばやむを得ません。私もこれから始めてもよいです、社會黨を代表して。私は個人的の立場において社會黨から委員となつておる。社會黨代表ではない。私はあくまでも議員としてこの質問をしただけなのです。そこへたまたま大臣がいわゆる豫算返上論なんということをもち出して來て、それに對して何かわが黨があなたにとつては面白くないというような印象をもつたお言葉があつたので、ついに私もお言葉があればわれわれも社會黨の一員でありますから、それについてお話をしなければならぬという形になつてしまうのです。しかしそういうことを私は目的としておるのではない。豫算返上の問題とは別個に、今のいわゆる政府のやつておるところの財政政策問題、あるいは税制の問題、それと關連してあなたのお使いになつておりまする遞信從業員の關係ということだけに局限して私はここで大臣の御所見を親切に丁寧に承りたい。これだけの純粹の私の考え方であります。それ以外に何もない。しかしそういう事柄をつかまえて今度は社會黨ということとあなたという立場でもつて論議が始まるということになりますれば、これはまたきりのないことで、私はそういうことをここでやろうという氣持は初めからもつておらない。しかし大臣がそういうことで論議しようじやないかということになればこれは別なんです。私はそういう論議をしようという氣持でここに臨んでいないのです、ただ大臣がそういうことを言うから私は私の考えを申し上げたに過ぎないという形になる。しかしこれはいづれまた機會があるでしようから、そういう事柄についての論議は私のみならず、他の黨の方からもあると思いますからこれで私は一應打切つておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=46
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047・一松定吉
○一松國務大臣 私はなにもあなたに喧嘩を賣つたわけでもなんでもない、あなた御自身が、國務大臣としてこれらの財政問題について意見をもつていなければならぬじやないか、こういうようにこの本件の問題の審議よりほかに範圍を逸脱したような御意見がありましたために、それらの點について自分が國務大臣としてはこういう考えをもつておるのであるが、しかしながらそれはいわゆる專門家でないがゆえに、そういうこまかい專門的のことは大藏大臣に御質問になつていただいたならば結構であるが、自分としてはこういう考えをもつておるということを申し上げたのでありまして、あなたが一面には待遇改善問題について御心配していただいておる、その御決意に對して感謝の意を表するために、それならばこういうようなことをしていただいた方がよかつたじやないかということを申し上げたのでありますから、それらの點について別に私が故意にあなたを相手にここで政治論をやろうというような考えのないことだけは申し上げておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=47
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048・川島金次
○川島委員 私一言最後に申し上げておきます。何か大臣が誤解しておるようでありますが、これだけははつきりさせておいていただきたい。先ほど私の財産税の問題に對して、大臣が私の言葉を受取つたことと違うのです。財産税を調べる場合にも、いかに小額の財産家が人數が多くて、そうしていかにそれが多くの財産税の中の何割かを占めておるかということを參考の材料にしたということを申し上げたのです。從つて日本のいわゆる所得者というものは、財産もそうでありますが小額者が非常に廣汎に多くて、しかもその負擔する税額というものが、從つて非常に大きいというこの觀點に立つて私は今の財産税ということを申し上げたので、財産税を十萬とか二十萬取つてよいとか惡いとかいうことを決して申し上げるのではないのです。ただこういう負擔じやその人數、それを計算する場合の參考材料に財産税なども見ただけなんであります。それをどうぞ誤解のないようにその點は御諒承を願いたい、こう思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=48
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049・一松定吉
○一松國務大臣 なにも誤解しておりません。私のあなたにお願いしたのは、あなたがいろいろ國家財政についてそれぞれ有力なる根據を檢討の結果御意見を發表なさるというのでありますから、私はその御態度には敬服しておる。でありまするからそういうような有力なる御根據があれば、それを一つ示していただけば、われわれはそれを、眞にこれは國家のためであるというのならばとり入れることに吝でない、ゆえにその御態度に出ていただきたい、こういうことを申し上げたのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=49
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050・川島金次
○川島委員 大臣のお言葉通り近く私の根據のある計數を出しまして、實は明日石橋さんにお話を申上げるところなんです。大いにやつてみますから御諒承願います。續いて、話が横道にはいつたような感じで恐縮でありますが、運輸當局の方にお伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=50
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051・大谷瑩潤
○大谷委員長 それでは遞信大臣がお歸りになりますので、他の方が大臣に……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=51
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052・川島金次
○川島委員 どうぞ。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=52
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053・大谷瑩潤
○大谷委員長 最上英子君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=53
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054・最上英子
○最上委員 これは財政問題とは別の問題でございますけれども、遞信大臣がお見えになつていらつしやいますから、一言お伺いしたいと思うのでございますけれども、實は田舍の郵便局長の件でございますが、局長が病氣で死亡いたしまして、その妻が局に大變に長い間局長の代理をしておりましたのでございますけれど、これは局長がなくなりました後、ぜひ婦人局長としてやつていきたい、その點について遞信大臣にぜひ承つていただきたいということを、私の所へ再三申してきておりますのでございますけれど、ぜひこれは一つ婦人局長として採用していただきたいと思うのでございます。大臣の御見解をひとつ承つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=54
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055・一松定吉
○一松國務大臣 局長死亡云々の問題は、いわゆる昔三等郵便局というのでありますが、今は特定郵便局、この特定郵便局長が死んだ、その妻が、局長在世中から局務に牽連してやつておつて、ぜひ今囘局長になりたいという希望があるというようなことは、これは私は必ずしも無理な主張だと思いません。ただ御承知のごとく、ただいま特定郵便局長の從來の採用のしかたにつきまして、非常に問題視されておるのであります。でありますから、これらの點はでき得べき限り特定郵便局長の代表竝びに遞信從業員の代表、竝びに遞信當局の代表、三者が集まりまして、それらの點について、十分に考究をして、そうして特定郵便局長の從來の採用方を改めるとか改めないとか、もしくは三等郵便局の撤廢問題をどうするとかいうことを研究した上で、遞信省の態度を決定したい、こういうことが過般の勞働協約において締結せられたのであります。でございますから、それのきまるまでの間に、その細君を局長にするがいいか惡いかということは、これは最も考えられるべき餘地があります。今日婦人が男子と同一の待遇を受ける權利を有したということでありますから、婦人局長必ずしも不當ではありませんから、それはいろいろ具體的の問題を研究した上で、私の態度を決定いたしたいと思いますので、具體的の事實を一つ書面に認めるとか、あるいはその他の方法によつてお示し願つた上で、さらに研究して適當な處置をとりたい、こういうように御承知願いたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=55
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056・最上英子
○最上委員 よくわかりました。次にもう一つお伺いしたいのでございますけれど、東京におります遞信省の從業員、局あたりに勤めております者は、食糧の關係だとか家が燒かれましている所がないというような關係から、地方へ轉勤したい、生れ故郷の局へ轉勤したいというような希望が大變ございますですけれど、これはぜひなんとかして食糧の關係、それから鐵道の今の状態からいいまして、住居がないとか、あらゆる點におきまして地方の轉勤を望んでおるのでございます。そういうようなことにつきまして、地方の一、二等局長にお話いたしましても、今勞働問題が大變やかましてなつておりまして、局長は認めても、組合の方で認めてくれないというような話がございますけれど、この組合の問題をなんとかして諒解を得て、その方が故郷へ歸るという意味におきまして、ぜひこの勞働組合でもそういうような規定を設けまして、採用するというような方針にいかないものでございましようか。これは遞信省の方ではどういうような轉勤方法のできるようなふうになつておりますものでございますか、その點ちよつとひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=56
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057・一松定吉
○一松國務大臣 生活その他の家庭の事情もしくは一身上の都合により他に轉勤をいたしたいというような場合には、いろいろな事情を調査いたしまして、それが最も事情やむを得ないという場合には、轉勤をさせることに吝かでありません。今あなたのお示しのうちに、遞信從業員組合が認めない云々というようなことは、斷じてさようなことはありません。從業員が官吏の任免黜陟權をもつておるのではありませんから、それらのことには少しも御心配ないように願います。但しある一、二のときに、轉任だとか、採用だとか、任免だとかいうことについて、從業員の意見を用いなければならぬというようなことの申し入れがありましたけれども、そういうようなことは今日指揮監督權、任免權をもつておる官廳が、從業員に左右されるというような道理はないのでありますから、それらのことは私どもの方で認めておりません。でありますからいろんな事情を調べまして、それが正しいのであるということであれば、轉出するということも、必ずしも不可能でないということを申し上げておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=57
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058・増井慶太郎
○増井委員 ちよつとお伺いしますが、先ほどお話を聽きますと、郵便料金を上げることが、遞信省方面の財政の關係のために上げなければならぬ、こういうような大臣のお話がありましたが、今後におきましてやはりインフレが持續しますと、現在のお定めになるところの賃金あるいは俸給におきましては、またやり切れぬことになります。そうした場合においては、やはり料金を上げるとかなんとかによつて補足しなければならぬというふうなことになつてくるものでありますか、ちよつと當局のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=58
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059・一松定吉
○一松國務大臣 インフレがますます高まつて、從業員の生活に困窮をきたすというような場合、待遇改善をしなければならぬことは、これは議論がございません。しかしながら、そのときに料金を上げるとか上げぬとかいうことを、今假定的な事實をとらえて責任ある私が、そのとき上げるのだとか、いや今日上げていただけばそのときはどんなことがあつても上げないとかいうような答辯は、ちよつと差控えたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=59
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060・大谷瑩潤
○大谷委員長 大臣に對する御質問はございませんか——それでは川島君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=60
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061・川島金次
○川島委員 運輸當局の方にちよつとお伺いします。先日の本會議で木村農林大臣は、東京都の遲配缺配を論じられました場合に、その遲配、缺配の原因の一つとして、先般のゼネストに非常に關係があるということを明瞭に答辯された。私の感じておるところによりますと、當時のゼネストに絡んで、旅客輸送はもちろんでありますが、貨物輸送などに何等ダイヤの點において貨車の數量の點においても關係がなかつたと私は感じているのであります。一體はたしてあのゼネストをめぐつて、輸送計畫にそれほど遲配、缺配がやむなきに至るほどの影響があつたのですか、その點をひとつお答えを願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=61
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062・加賀山之雄
○加賀山政府委員 お答え申し上げます。いわゆる二、一ゼネストの氣構えが輸送に影響したかどうかというお話でございましたが、これはわれわれの方でこれがどういう原因によつて少くなつたかということは、正確に把握できないのでございます。ちようどその當時東北、信越方面が非常に天候に障害がございまして、雪などに非常に禍いされまして、せつかくの米の輸送も一時停頓したという状態が續きまして、われわれといたしましては、これば必ずしもゼネスト氣構えのためばかりであるとは考えられないのでありますが、二月一日をちようど境といたしまして、その前後相當輸送力の障害をきたしております。その後二月の下旬に至りまして、天候の囘復に伴いまして、特にその當時秋田方面から米の臨時列車を出すというような手配も加わりまして、二月下旬には相當東京向けの米の到着が殖えたという事實がございます。われわれといたしましては、正確にこれはストライキの影響であるということをはつきり申し上げるわけにはいかない。ちようど天候などが一緒にかち合つたため、二月一日前後輸送がかなり停頓した、こういうように御承知願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=62
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063・川島金次
○川島委員 木村農相ははつきりと大部分はゼネスト關係にあつたのだと言わんばかりの口吻だつたのですか、そういうことは國鐵の使命の上からいつても、また從業員の立場からいつても重大な關連があるのではないか。今のお話によれば、その原因はよくわからない、むしろ雪害その他の方が多かつたのだというお話である。しかし大臣がかりそめにも自己の所管に關する米の遲配の責任の大部分が運輸省にあるということは、運輸省にとつてはまことに重大な問題でなければならない。私はこの問題を中心として、農林大臣は所管違いの運輸省にその責任を轉嫁したという感じ方を強く受けておる。今の御答辯によればゼネストも多少あつただろうけれども、的確な影響があつたとは斷言できないというお立場の説明のようであります。そうでございますれば、いずれこの問題についてはわれわれはわれわれとしてまた農林大臣に機會をみまして、それに對する所見をさらに伺つてみたいと思うのであります。
續いてお尋ねいたしますが、今國鐵關係では滯貨が日々數十萬トンあるということであります。そのうちに最も國民生活に重要な食糧、それから生産關係で重要な石炭、肥料、鐵鋼といつたものが含まれておるのかどうか。米の輸送あるいは石炭、肥料、鐵鋼等の輸送については、その計畫輸送と實際輸送とが完全に一致しておるのか。それとも今の滯貨の中にそういつた重要なものが混つておるのかどうか、それを一つお聽かせ願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=63
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064・加賀山之雄
○加賀山政府委員 お答え申し上げます。ただいまいわゆる鐵道在貨といたしまして百九十萬トンくらいのものを擁しております。これは今のところとしては殖えもせず、減りもしないという状態でございます。一方輸送の状況はどうかと申しますと、この三月一日以來、實は貨物の大増送月間をやろうではないかというので、われわれといたしましては、ここで貨物を運ぶか運べないかということは、經濟復興がなるかならないかという境目になるのである。そういうわけであらゆる方途を講じまして貨物の大増送をやつております。上旬中は目標に對しまして九六%の成績を上げたのでありますが、中旬に至りまして俄然勢がでてまいりまして、連日從來の記録を破つております。終戰後の記録を破つて連日突破いたしまして、昨日は二十九萬八千トンという數字を初めて出しました。われわれはこれを九百萬トン輸送と申しておるのでありますが、これは社線發も含めてのことであります。ただいまの數字は省線發のみの數字であります。社線はその約一割餘でありますので、それを加えますと三十二萬トンを越すという數字を出しております。貸車の運用效率のごときも終戰後一七、八%というあわれな状態を續けて參つたのでありますが、最近に至りまして二一・五という最高の記録を出しました。これは御承知の通り戰爭前、あるいは戰爭中においては三十數パーセントの記録をもつておりますので、この貨車の效率のよいということはわが國有鐵道の一つの大きな誇りであつたのでありますが、戰爭後特にその點は崩れてまいりまして、非常にみじめな、半分以下の效率しか上げえないということになつておりますが、ようやく少しずつここで盛り返えしてきております。こういう状態でありまして、一日三十萬トン餘のものを運んでおる。われわれといたしましては三日分ぐらいの滯貨を現にもつておる方が鐵道輸送としては非常にやりやすいのであります。滯貨が落ちていくということは非常に心細いのでありますが、百九十萬トンと申しましても、うち木材の滯貨が七十萬トンぐらいあります。殘りは百二十萬トン、この中にはもちろん多少重要物資も含まれておりますが、米、石炭に至りましてはほとんど僅かしか含まれておりません。石炭のごときは出るのをまつてポケツトから直ぐ貨車へという状況であります。米のごときも先ほども申しましたように、生産地方面は臨時列車を出しておるくらいでありまして、貨車の請求に對しましては直ぐ貨車を配車するということで、むしろ東北方面あるいは新潟、秋田方面等においては請求車を上まわつた配車を續けております。遺憾ながら米の出荷は至つて弱い、それ以上にまた大都市着のものが非常に少い、計畫しておりますものの半分ぐらいが到着しておるという状態でありまして、こういう重要物資の滯貨については今までのところ全然御心配いただかなくてもよい、輸送力としては十分あるというふうに御承知願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=64
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065・川島金次
○川島委員 よく去年から口癖のように米、重要物資の遲配、欠配があると直ぐ輸送關係と言われてきましたが、しかし今聽けば國鐵は萬全の努力をして大いに能率を上げておるというが、この状態とまことに矛盾しておることを同じ閣僚でありながら言つておる。まことに國鐵としては迷惑なことではないかと思うのであります。國鐵當局としてもしそういう事實がないとすれば、他の閣僚にはつきりと抗議すべきではないか、私はそういうふうに感ずるのであります。それでお尋ねをいたしたわけであります。
それからなお小さいことですが、これまた重要なことでありますのでお伺いしたい。國鐵の事故、殊に人間の事故、從業員の事故もそうでありますが、それ以外に旅客の事故が非常に目立つておるのではないかと私は想像するのであります。死者のごときも死亡者が一日に何名かある。負傷者のごときに至つてはたいへんな數——正確な數は忘れましたが、あるらしい。その中で旅客自身の責任に歸すべき事故もあると思いますが、鐵道自身の責任に歸すべき死傷者も相當あるのではないかと思うのでありますが、この際資料がありましたらそれに關する一つ最近の統計でもよろしいのですが、お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=65
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066・加賀山之雄
○加賀山政府委員 お答え申し上げます。第一の問題について、川島さんが輸送の面に何でも責任が轉嫁されるということは、放つておいてはいかぬじやないかという大變御理解あるお言葉でわれわれ感謝にたえないのでありますが、われわれといたしましては、一生懸命やつておるつもりでございますが、まだわれわれとしましては一千萬トンも、一千百萬トンも送りたい。また旅客輸送といたしましても、實に今のところ申し上げようのないような状態でありますので、農林當局等に對しましても、全然輸送に責任なくはない。われわれももつとやらなければいかぬ。ただわれわれとしては言つてさえもらえばどこへでも、あるいは輸送力を多少損をしても、重要物資のためには貨車をまわすことに、三月からそういう態勢でおるからということを申しておりますが、ただわれわれとしては、輸送に全然責任なしと口はばつたいことが言えない。かように考えておるのでございます。
第二點の旅客過失死傷人員、これは資料の數字も用意いたしておりますが、ここで申し上げてよければ申し上げます。運轉關係の死傷人員、これは仰せの通り殖えてまいつております。列車または車輛事故によるものといたしまして、實は現在のところでは——二十一年度の上半期までの資料でございますが、二十一年度上半期が三十五名、これは旅客の死でございます。おけがをなさつた方が二百十八名。職員の死が二十三名、けがが六十三名であります。これを過失の面からみますと、ただいまのは純然たる省の責任に屬するものでございますが、お客さまの過失等からまいりますものが、上半期の五百二十八名が死でございます。けがが千六百八十六名、職員は二百九名、それから七百二、そのほか準職員、作業員相當ございます。そういう状態でございます。これは二十一年度でございますが、それでは二十年度はどのくらいあつたかと申しますと、いわゆる列車または車輛事故によるものが一箇年を通じまして三百三十八名、これは死亡でございます。けがが六百六十九名、過失によるものが、旅客が六百九十三、けがが千四百八、ちようど二十年度と比べまして——二十年度も相當前からみると殖えておりまするのに、二十一年度は、いわゆるお客樣の過失によるものが上半期中で大體同じような數字になつております。非常に激増しておるのがわかるのであります。ここにまた別の點からみた數字もございますので、御參考に申し上げたいと思いますが、これは昭和二十一年の四月から二十二年の二月までの數字でございまして、いわゆる過失を内容別にしております。乘降場より墜落が、死が三十四、傷が八十二、合計百十六、飛乘りが、死が百四十、傷が二百八十三、計四百二十三、飛降り、死が百五十一、傷が三百九十七、合計五百四十八、列車または車輛に接觸、死が三十七、傷が百十六、合計百五十三、建造物に接觸、死が五十八、傷が三百七十七、合計四百三十五、留置物に接觸、死が二、傷が二十三、合計二十五、列車より墜落、死が五百三十一、傷が千四百二十三、合計千九百五十四、線路内に侵入、死が四十二、傷が二十四、計六十六、その他死が五十一、傷が二百七十というふうになつております。全部を合計いたしますと、死が千四十六、傷が二千八百九十五、從來の數字からみて非常に多くなつております。われわれとしてはただ單にこれを御本人の過失とばかり言つておられませんので、列車がもう少し緩やかになり、輸送力をつけることが根本にもなつておりますので、その點についてただいま石炭の面、あるいは關係筋の面にあらゆる努力をして折衝をしておる次第であります。遺憾ながら御推察の通り昭和十一年度等においては旅客の過失による死は百二十八、傷が四百八十六ということでありましたものが、約十倍近くなつておることはいかにも殘念なことに考えるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=66
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067・川島金次
○川島委員 最後に一こと申し上げます。先般の議會のときにも私意見を述べながらお伺いをしたのでありますが、運輸省の現場の長、主任にある程度の任命權を與えたらどうかということと、財政上の考慮を長、主任に拂つてやつたらどうか。御承知のごとく現場の長には傭人等の任命權はないのでございます。なるほど一應詮衡の手續の上において上司にそれを申請する。原則としては現場の長、主任が申請した人物を採用するという形にはなつておるようであるが、本質的には長、主任には任命權がない。もう一つ最近進駐軍その他の關係で現場の長、主任がいろいろの經費を必要とする點が大分殖えてきたように私は想像をしておる、しかるにそういうことすらもほとんど顧みられておらぬような形になつておる。こういうことは、現場の長主任の立場において、かりにガラス一枚事務所で壞れましても、そのガラスを自分で近くで買えるもの、あるいは間に合うものがあつても、これを利用してすぐに修理をすることはできない。いわゆる經理上の委任權をもつておらないということであるようであります。少くとも運輸省のそういう今の建前——いろいろな意味でそういう建前になつておるのでしようが、少くとも現場の長主任くらいには、最小限度の權能といいますか、責任といいますか、そういつたものを與えてやるということも、一種の現業に對する精神的な待遇改善の一つにもなるのではないか。そうして現場の長主任にある程度の權限を與えられ、責任を持たせるということは、その長主任のもとにおります一般從業員の勵みにもなり、そこにいろいろな精神的な好影響があるのではないかと思うのです、そういう意味合において、前囘の議會で私は平山さんにもそういうことをしたらどうかということを希望をしたのであります。その時に平山次官の話では、早速そういうことをひとつ實行に移してみたい、川島の言うことはもつともだということを言われたのであります。それがしかも昨年のうちにでも實施してみたいというようなことも言われておつたのでありますが、今もつてそれが實行に移つていないのであります。これに關しまして、何らか御實施をされるような御計畫でもありましようか。また計畫がなくても、ぜひともそういうことは最小限度に實現をしてやつた方がいろいろな意味において好ましい影響がくるのではないかということを私は考えておるのですが、それに對してのお考えをひとつお聽かせ願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=67
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068・加賀山之雄
○加賀山政府委員 ただいまの御質問に對しましてお答え申し上げます。任命權を現場長にもたしたらどうかということに關しましては、實はただいまのところでは、いわゆる見習傭員、もと傭人と言つておりました者以外は現場長に任命權がないのでございますが、實質上におきまして、たとえば昇給の問題でありますとか、あるいは轉任の問題でありますとか、そういうことにつきましては實質的に現場長の發言が非常に大きな力をもつておるのでありまして、最近特に勞働組合等におきましても、この問題につきましては非常に關心を強めてまいつておるのでありますが、現場長はそのまん中に立つて非常に公正妥當な判斷を立てるのに一番大切な人になつてまいつたのであります。ただ形式的に廣汎な人事權というものは、お言葉の通りまだ現場長に附與されておらないのでありますが、單に人事の問題のみならず、ある程度の處理をする權限を上から下の方になるべくもつていくという御趣旨に對しましては、われわれといたしましてもまつたく同感でありまして、ただその方法なり運用というものがどういうふうになるか、急激なやり方もかえつてむずかしい問題を起しやすい點もございますので、權限の問題として實はわれわれは今まだ研究をいたしておるのでありまして、そのために實施が遲れておる。この點につきましては申しわけないと存じております。
次に、特に進駐軍關係等の費用がかなりかかる。これも、私現場におりまして自分でも體驗しているのでありまして、ただいま現場長といたしましては、いわゆる交通協力會の名におきまして、これは現場長が中心になつて、地元の關係の交通の御協力を得るということで一部の豫算が使われるような建前にしておりますが、これはごくわずかなものでありまして、現場長が進駐軍のやはり理解を深めるために何とか多少の費用を見てくれということは前々から言われていることでありますが、これも實を申しますと非常に程度がございまして、むずかしい問題になつてまいりますと、ただいまのところといたしましては鐵道局あるいは管理部に止めておきまして、そうして、特に現場長が申出て、これはこういうことでやりたい、あるいはこういうことでやつたということに對しましては、管理部あるいは鐵道局等で特に面倒を見てやろう、こういうやり方をいたして、豫算を配付してまで、ということはいたしてないのでございます。これも運用さえうまくいきますれば問題はないことではないかと考えるのでありまして、その實績その他につきましてよく調査をいたしたいと考えております。
それから、これは午前中御質問がございました問題だそうでございますが、ついでに御囘答申し上げておきたいと思いますが、車輛の状態についての御質問に對しまして、第一に戰災車輛でありますが、蒸氣機關車が八百五十二輛、電氣機關車が三十九輛、電車が五百六十三輛、客車が二千二百二十八輛、貨車が九千五百五十七輛、そのうち廢車いたしましたものが、蒸氣機關車が十五、電氣機關車が二輛、電車が三百六十、客車が九百十、貨車が二千二百。これ以外のものは、現在修理を了えたもの、あるいは修理中のものでありますが、これにつきましては、修理が非常に進みまして、ほぼ九〇%は既に修理濟であるということでございます。それから、現在運用できる車輛といたしましては、蒸氣機關車が四千四百六十六、電氣が二百六十一、電車が千五百三十一、客車が一萬四百八十三、貨車が十一萬五千五百九十四、それから次に、修理すればさらに使用ができるという車輛でございますが、これは蒸氣機關車が千四百三十二、電氣が五十三、電車が三百九十八、客車が四百三十三、貨車が一千十八でございます。蒸氣機關車の修理中のものが非常に多いことが目立つのでございますが、古いものをそのまま無理に使つてまいつておりましたことと、もう一つは戰爭中つくりました機關車がどうもできが惡うございまして、ちよつと直してもまたすぐに惡くなるというような状態で、非常に數字が多くなつております。それからもう一つ國鐵の財産状況の御質問があつたそうでございますが、昭和二十年度末の財産は總額といたしまして約八十七億、そのうち固定財産は約六十九億、固定財産の内譯といたしましては土地約五億、建物約四億四千萬圓、工作物約二十九億、機械約一億八千萬圓、車輛が約十四億九千萬圓、自動車約二千萬圓船舶約四千萬圓、その他約十二億七千萬圓という内容になつております、こまかい計數は出ておりますが、概數でもつて申し上げた次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=68
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069・川島金次
○川島委員 今の財産の合計はこの時の時價による評價ですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=69
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070・加賀山之雄
○加賀山政府委員 そうであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=70
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071・川島金次
○川島委員 これに關連して最後に伺いますが、これと賠償撤去の問題と當然關連があるように私は聞いておるのですが、ポーレー案がいろいろ變つて來ておりますが、機關車、電氣機關車、貨車、客車等にわたつて相當數量賠償の豫定にしなければならない數量があるように聞きますが、それについて最近のお見透しでもありましたらちよつとお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=71
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072・加賀山之雄
○加賀山政府委員 お答え申し上げます。一時ちよつと新聞にもポーレー案の報告としてでておりましたが、まだ實際問題といたしましてどうなるかということははつきりいたさないのでございます。ただその當時報告案の中にもありましたものといたしましては、車輛といたしまして蒸氣の機關車が九百輛、電氣機關車が七十輛、貨車が三萬輛ということになつております。そのほかに車輛工場等のいわゆる車輛製造施設の賠償がかなりきびしいものでございまして、これは殘存能力として機關車を二百二十輛にしてしまう、客電車關係を八百輛、貨車は四千八百輛、これだけは殘存能力として殘してあとは全部撤去してしまう。向側の計算といたしましては機關車が一千七十輛の能力がある。從つて二百二十輛殘せば八百五十輛分の能力は撤去できるというような考え方をしております。客電車といたしましては二千輛の能力があるから八百輛殘して千二百輛分の能力を持つていく。それから貨車といたしましては一萬二千四百輛分の能力がありますからそのうち千八百輛を殘せば七千六百輛分の能力を撤去できる。こういうふうに一應なつておるのでございますが、問題は現物の車輛よりも、むしろこの車輛製造施設の賠償につきましてはわれわれといたしましては非常にこれは重大な問題でございますので、どうしてもこれだけは殘してもらわなければならぬという關係ははつきりいたしております、それで今まだ具體的に進んではおりませんが、準備はしておかなければならぬというふうに考えております。車輛製造施設のみでなく、現在もつている車輛の面からも先ほど申しましたボロだけ持つていつてもらえるならばまだたいした心配はない。それでも蒸氣機關車九百でありますとか、貨車の三萬、電氣機關車の七十輛はいずれも相當の數で問題でございますけれども、しかしそれにしてもいわゆるボロならばまだ問題は簡單でございますが、そういうわけにもまいりません。惡い部分があれば、これを修理して立派な状態において出さなければならぬということになりますと、この數字も非常に大きな數字でございまして、われわれといたしましては心痛いたしております。それに對する對策を十分立てており、第一段としては日本の再建のためにはこれだけのものはどうしても殘してもらわなければならぬということを計數的にもはつきりしておかねばなりませんので、その準備はいたしておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=72
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073・川島金次
○川島委員 日本の經濟上、國民の生活維持上國鐵が保有すべき最低水準をもつて交渉目標とする、差支えがないようでしたらそれをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=73
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074・加賀山之雄
○加賀山政府委員 一應は實は出したものはあるのでありますが、たとえば車輛なんかにつきましてはもつとこまかく車種別にもいかなければなるまいという關係で、詳しい數字はここで申上げたることはお許しを願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=74
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075・川島金次
○川島委員 ほかにも質問したいことがありますが、時間もありませんし、他の委員の方の質問もあることですから私の質問はこれで打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=75
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076・大谷瑩潤
○大谷委員長 増井君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=76
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077・増井慶太郎
○増井委員 この法案は私は大變いい法案と存じます。こうしていきますればすべての面について工合がよいと思います。現在は資材が少いけれども、鐵道の線路などを見ると大分惡くなつておりますけれども、あれは補修ができていますかどうか。それから、今後鐵道をやつていきます上につきまして電車の方がいいか、あるいは蒸氣機關車の方がいいか、どつちに向つて鐵道はお進みになりますか、それを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=77
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078・加賀山之雄
○加賀山政府委員 お答え申し上げます。第一段のレールの問題でございますが、御承知のように國有鐵道のレール、これは國有鐵道に限らず、一般會社線も同樣とお考え願いたいと思いますが、戰爭中非常に酷使をいたしました。終戰後になりましても鋼材の配當が思うに任せません、その點とまた枕木等につきましても十分に入手ができないというような状態でございまして、十分な補修ができておるということは申し上げられない。とにかく現在の輸送量と速度、これと併せてこれが運轉上の危險を生ずるということでは、これは大變でございますので、もちろん現在の資材の範圍内で最大限度の補修はやつております。やつておりますけれども、十分やつておるとは言えない。われわれの考えますところによりますれば、これは數字的には必ずしもはつきりいたしませんが、やらなければならぬ、半分程度よりやつていないというようなことになるのではないかと思います°
それから電化の問題でございますが、これは私は專門ではございませんので、レールの問題と同樣に多少漠然たるお答えで申譯ないと思いますが、國鐵といたしましてはできるだけ電化を進めていきたい。これは一つは石炭資源を節約して、日本の水力電氣を十分に使うという觀點からもそうでございますし、また勾配區間その他の輸送力の増強にもなります。あるいはトンネル區間等におきましては、接客上も非常にいい結果をもたらしますので、電化計畫といたしましては終戰後直ちに相當大きな第一次、第二次といつたふうに、電化計畫を立てて大いにやるつもりであつたのでありますが、現在のところといたしましてはあるいは資金、あるいは資材、そういう面からの關係もございまして、それをフルに推進して行くことはできないような状態になつておりまして、二十二年度といたしましても上越線はこの四月からずつと高崎まで電化されることになつております。續いて熊谷、上野間、それから大阪、米原間の電化をやる、こういうような状態でございまして、まだ東海道、山陽を續いて全部電化するというようなところまでは差當つては參らない。しかし國鐵としては將來十分發電計畫と、それから電化の計畫に力を注ぎたい氣持をもつているということを申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=78
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079・増井慶太郎
○増井委員 今電化のお話で大阪、米原間、上野、熊谷間をやるというお話ですが、既に東海道線におきまして沼津、靜岡間の計畫を進めておやりになるということになつて、土地の買收あるいは電柱の施設をずつとやりまして、そうして急にあれが中止になりました。なおかつその係員の方はその間ずつと今日まで、ただ遊んで給料をもらつておるので、非常に心苦しいということも聞いておりますけれども、そういうふうなすべての準備の整つたところからやられたい。しかも大阪方面は各方面に私鐵その他電車がありまして何本かの線も來ておりますけれども、東海道線の一番おもな沼津、濱松までほかの鐵道というものは全然ございません。一番旅客の混雜するところでほかに方法も全然ない、そういうところを先におやりになる、しかもその準備もある、人も遊んでおる、こういうところですから、ここを一番にやるべきじやないか、こう考えますけれども、本省の方では何ゆえ新たに手をつけなければならぬところからお始めになるか。しかも長距離において九州方面から來る人は大阪くらいまではよいでしようが、あれからあとずつと來るのに、非常に旅客も輻湊しておるというところに向つて何ゆえ緩和策として私ども思うところの、濱松あたりまでできますれば、線も二本になるということになりますからよいと思うが、そういうお考えにならぬかどうか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=79
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080・加賀山之雄
○加賀山政府委員 お尋ねの點はまことにごもつともな御質問と思うのでありまして、先ほど申し上げました通りに、第一次の計畫といたしましては、直ちに東海道を全部電化してしまおうという計畫を立てたのでございますが、その後いろいろな事情からいたしまして減らさなければならぬという状態に立至りました。その場合どこからやるかということで、現在沼津までやつておるのであるから、それを延ばす、あるいは準備も人員まで配置を一部したのであるから、實施の直ちにできるところからやつたらどうかという御趣旨のようでありますが、その點ももちろん考慮いたさないわけではないのでありますが、實は少い範圍でやる以上は最も效力のある效果の多いところからやつていきたい。御承知のように、大阪・米原間には大阪山トンネルというような、非常に輸送上、旅客輸送としても困難でありますが、貨物輸送の面においても非常に輸送力のこれが一つの支障になつておるところがございます。そういう點も併せて考慮いたしまして、向うを先にするということを決定いたしました次第で、これは二十二年度の問題としてはそうでございますが、結局この沼津・靜岡間の問題を捨てたわけではございませんので、これは資金、資材のでき次第、關係の向きとも諒解を取結びましてやつていきたい、これは依然としてわれわれは強い要求をもつておる次第でございます。從事員の點につきましては、名古屋方面に一部從事員を集結しておきましたのでありますが、米澤方面に新たに電化區間を起すということで、その方面に大分向け、現在におきましては配置轉換を終了いたしまして、今のところといたしましては剩員がおるはずはない、さように考えます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=80
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081・増井慶太郎
○増井委員 次に通信事業について伺いますが、現在の業務でありますと郵便、電話、電信その他が非常に輻湊しておつて、これまた十分に行きませんが、經理方法がこういうように改正されると、これが非常によく緩和され、急速にほんとうの使命を果すようになりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=81
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082・白根玉喜
○白根政府委員 お答えいたします。このたびの會計法關係の改正に伴いまして御趣旨のようにこの改正の趣旨が十分徹底するのには多少時間がかかると思いますが、それが徹底いたすことに相なりますと、仰せの通り從來に比しまして事業の經理關係が明らかになり、また仕事の取運びも非常にうまくいくようになる見込みでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=82
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083・増井慶太郎
○増井委員 現在世の中でもつてやみやみと言つておりますけれども、實際問題として規則がありますけれども、遞信省が役所としては大やみをやつておると言えるかもしれません。電話にいたしましても、普通電話にありましては長距離は絶對にその日にちやんとかかることはない。仕方がないから急報とやる。ところがこの急報というものが急報でなくてなかなかかからぬ。結局特急とこういうふうになつております。特急でもつてかけてもなかなかすぐとはかからぬ。しまいには定時通話。結局急を要するときには定時通話とか、あるいは特急の電話でなければならぬ。こういうことで事實は規則というものはあつても普通料金ではうまくいかぬ。やみ料金というわけではありませんけれども、規則によつて出すことにしてもそういう結果になりますから、こういうふうな點につきましてもぜひすべてのものがうまくいきますよう、こういう點につきましてやつてもらうことをよく今後お願いしたいと存じます。
なお今までの會計關係からいきますと電話の工事などを見ますと、私靜岡でございますけれども、靜岡市内におけるところの電話の工事などにおきましても、もし私どもは電話事業が民間事業であつたならば、靜岡市における電話がこのくらいのものが必要であるというときにおきましては、ケーブル線を地下に埋設するときにおきましても一囘で濟む。それが遞信省の事業ですと私どもが知つておる範圍におきましても五囘、六囘も掘り返してだんだん工事を進めていくというようなことになつておりますけれども、今後におきましてはそういうことについても融通がつくことになりますから、なるべく一囘で濟むことは一囘でやつてのけるということに御方針ができ得るものでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=83
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084・白根玉喜
○白根政府委員 お答えいたします。仰せの通り現状におきましては、たとえば市街の通話につきましても思うようにいかない。非常に一般公衆に對して御迷惑をかけておることは事實でございます。われわれといたしましてはその原因である根幹を改めるべく努力をいたしております。問題は御承知のように、電話に例を引いてみますと百萬餘ある中から半分以上は戰災を受けたのでございます。從いまして仰せのような正常なサーヴイスができるような状態にまでいくためには何をおいても復舊を急がなければならないのであります。できるだけ電話の復舊計畫を大きくもつてまいりまして、一日も早くせめて戰前の状態にまでにいきたいという努力を重ねてはまいつておるのでございますが、御承知のように資材の關係の問題もございまして、資材の面で許され、金の面で許される限度におきまして電話の復舊を取急いでおるのでございます。
なお從事員の取扱い、その他におきましてもあるいは是正すればサーヴイスの改善ができ、電話の話中、あるいは取消し等のないような状態になり得る面もございます。從いましてその點につきましては遞信省といたしまして從業員の勤勞意欲を相當高めるように努力いたしますと同時に、一面設備の點につきましてもなるべく早く復舊計畫を立てましてやつていきたいと存じておる次第であります。
なお遞信省の工事關係につきまして一遍にやれば道路も三囘も四囘もしないでよいので、一遍でやるように計畫的に敷設工事をやつたらどうかというようなお話はまつたく同感でございます、できるだけそのつもりでやつてはまいつたと思いますが、なお仰せのような事實があろうかと思いますので、私これは專門外でございますが、歸りまして關係の向きにも話しまして御趣旨の通りにいくべく努力いたしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=84
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085・増井慶太郎
○増井委員 今度鐵道も通信も特別會計になりますと從業員あたりの待遇の方法は、これがもし民間の會社であつたならば、各獨立した會社ができたということによつて、その收入のいかんによつて待遇の方法が特別にでき得るものであるが、鐵道の方はパスなんかで優遇されるが、郵便局では郵便切手を局員にくれるものでない。別に何らそういう方法もない。もし收入が餘計上つた場合には特に優遇の方法を鐵道、あるいは通信會計におきましても何かそういう方法をこれからやるのですか。現在一定の給料によつてやつておる。その事業分量の大きさとか、あるいはその成績が上つたということによつてその方法が講じ得られるものですか。どうですか。兩方の方にお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=85
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086・加賀山之雄
○加賀山政府委員 お答え申し上げます。從事員の給與に關しましては御承知のように、政府職員といたしましていわゆる給與審議會、あるいは政府職員待遇改善委員會ができまして、ここで全體のいわゆる調整をやる。給與としては統一するという建前にはまいつておりますので、今言われましたように、たとえ特別會計でございましても、それ以外に勝手なことをすることは、たとえ收入が殖えてもできないのではないかと私どもは考えるのでございます。ただ私どもの考えといたしまして特別會計であると言いますよりは、いわゆる現業官廳でございますので、現業の特殊性からくる給與というようなものは、いわゆる政府職員として統一された一本の給與のほかに、たとえば時間外の給與をやりますとか、あるいは危險作業に對する手當でございますとか、そういつた職務上あるいは能率上の特別の考え方を一般官廳とは別にしていかなければならぬのではないか。かように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=86
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087・増井慶太郎
○増井委員 終りました。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=87
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088・大谷瑩潤
○大谷委員長 帝國鐵道會計法を改正する法律案、通信事業特別會計法を改正する法律案に對する質疑はこれにて終了いたしました。これより兩案を一括議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。自由黨杉田馨子君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=88
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089・杉田馨子
○杉田(馨)委員 このたび日本國憲法制定に從つて提出されました本法律案の原案に大體贊成するものでございます。ただ政府は本法案の運營にあたつて、よろしきを得るように特に切望して贊成の意思を表するものでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=89
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090・大谷瑩潤
○大谷委員長 進歩黨小笹耕作君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=90
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091・小笹耕作
○小笹委員 ただいま上程になつておりまする二つの特別會計法でありますが、從來の會計方式をかえまして、複式簿記の方法に改めて、發生主義によつて一目企業の状況を知り得るように御改正になるのでありまして、きわめて進歩的だと存じますので、本案を異議なく承認いたしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=91
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092・大谷瑩潤
○大谷委員長 社會黨田中松月君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=92
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093・田中松月
○田中(松)委員 社會黨といたしましても、本案はきわめて進歩的でありますので、從來の惡い點を改めて改正するというにつきまして、贊成をいたしまします。ただ問題はきわめて廣汎でありまして、要は運營のいかんによることが重大でありますから、その點は特に一つ注意をしていただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=93
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094・大谷瑩潤
○大谷委員長 國民協同黨増井慶太郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=94
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095・増井慶太郎
○増井委員 私も國民協同黨を代表いたしまして、本案は非常にいい法案だと私は思いますので、もつと早く數年前にこの法案ができて、特別會計によつてすべてのことがうまくいつたならばというくらいに考える次第でございます。ただその運營をうまくやつていただくとより多くの效果があると存じますから、どうぞ政府においては極力その運營を誤らぬようにきわめてうまくやつていただくことを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=95
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096・大谷瑩潤
○大谷委員長 討論は終局いたしました。これより採決をいたします。各案とも原案に贊成の諸君は起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=96
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097・大谷瑩潤
○大谷委員長 起立總員、よつて各案はいずれも原案の通り可決いたしました。今日はこれにて散會をいたします。
午後四時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00619470320&spkNum=97
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