1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
國有財産法の一部を改正する法律案(政府提出)(第五二號)
作業會計法を改正する法律案(政府提出)(第五四琥)
燃料局特別會計法を改正する法律案(政府提出)(第五五號)
造幣局特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出)(第五六號)
國有林野事業特別會計法案(政府提出)(第五七號)
勞働者災害補償保險特別會計法案(政府提出)(第五八號)
公債金特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案(政府提出)(第五九號)
企業再建整備法等の一部を改正する法律案(政府提出)(第六〇號)
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昭和二十二年三月二十二日(土曜日)午前十一時二十七分開議
出席委員
委員長 大谷瑩潤君
理事 原侑君 理事 小笹耕作君
理事 西村榮一君
左藤義詮君 杉田馨子君
若林義孝君 稻本早苗君
氏原一郎君 澤田ひさ君
田中松月君 丸山修一郎君
三月二十日 國有財産法の一部を改正する法律案(政府提出)、作業會計法を改正する法律案(政府提出)、燃料局特別會計法を改正する法律案(政府提出)、造幣局特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出)、國有林野事業特別會計法案(政府提出)、勞働者災害補償保險特別會計法案(政府提出)、公債金特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案(政府提出)及び企業再建整備法等の一部を改正する法律案(政府提出)の審査を本委員に付託された。
出席政府委員
大藏政務次官 北村徳太郎君
大藏事務官 野田卯一君
大藏事務官 伊原隆君
大藏事務官 加藤八郎君
大藏事務官 河野一之君
大藏事務官 石原周夫君
大藏事務官 今泉兼寛君
專賣局長官 杉山昌作君
厚生事務官 石丸敬次君
厚生事務官 友納武人君
厚生技官 三木行治君
農林技官 中尾勇君
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本日の會議に付した議案
國有財産法の一部を改正する法律案(政府提出)
作業會計法を改正する法律案(政府提出)
燃料局特別會計法を改正する法律案(政府提出)
造幣局特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出)
國有林野事業特別會計法案(政府提出)
勞働者災害補償保險特別會計法案(政府提出)
公債金特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案(政府提出)
企業再建整備法等の一部を改正する法律案(政府提出)
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午前十一時二十七分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=0
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001・大谷瑩潤
○大谷委員長 これより會議を開きます。去る二十日國有財産法の一部を改正する法律案、作業會計法を改正する法律案、燃料局特別會計法を改正する法律案、國有林野事業特別會計法案、勞働者災害補償保險特別會計法案、公債特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案、企業再建整備法等の一部を改正する法律案の審議を本委員會に付託されました。これより各案を一括議題として審議を進めるに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=1
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002・大谷瑩潤
○大谷委員長 御異議がなければまず政府委員より各案について説明を求めます。北村徳太郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=2
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003・北村徳太郎
○北村政府委員 本委員會に託せられました國有財産法の一部を改正する法律案、作業會計法を改正する法律案、燃料局特別會計法を改正する法律案、造幣局特別會計法の一部を改正する法律案、國有林野事業特別法案、勞働者災害補償保險特別會計法案、公債金特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案及び企業再建整備法等の一部を改正する法律案について提案の理由を御説明致します。
まず初めに國有財産法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
國有財産法は國有の不動産その他一定の動産及び權利を管理し又は處分するために必要な規定を定めた法律でありますが、新憲法の實施に伴い、その趣旨に則りまして必要と認められる部分の改正を行うとともに、國有財産の管理又は處分につきまして、現行國有財産法施行以來の實績に徴し、且つ新しい事態に即應して、これを一層嚴正適實に行うため、現行國有財産制度につき應急的措置として、必要最小限度の改正を加えようとするものであります。
さらに諸般の要請に合致する國有財産制度をつくるため、現行制度に根本的檢討を加え、これに基いて關係法制を急速に整備しなければならない實情であります。これにつきましては、内閣に國有財産法制調査會を設置し、國有財産に關する法制の審議立案を擔當させ、その作成いたしました法律案を次の國會の常會に提出するようにいたすため、これに關する必要な規定をなさんとするものであります。
以上はこの改正法律案を提出いたしました理由の骨子でありますが、本法案の内容につきまして、おもな點に關してその概要を申し述べますと、國有財産所管廳の行う管理及び處分の權限竝びに國有財産事務の總轄大臣である大藏大臣の總轄事務の内容に關する事項であります。これにつきましては、現行法の規定は明確を欠くきらいがありますので、國有財産中公共用財産、公用財産及び營林財産については、その維持、保存及び運用はそれぞれの所管廳でこれを行いますけれども、雜種財産につきましては、法律で定める場合のほかは、すべて國有財産の總轄大臣である大藏大臣がこれを管理し、または處分することに明定いたしました。一方總轄大臣としての大藏大臣は必要のある場合は所轄廳の行いまする國有財産の管理または處分につきまして、隨時報告を求め實地監査を行い、または閣議の決定を經て必要な措置を求める等、その總合調整をはかり得ることといたしたのであります。
第二に國有財産を讓與または無償貸付をする場合は結局物を通じて豫算を執行すると同樣の結果となりますので、これらはすべて法律によらなければならないことにいたしたのであります。しかしながら無償貸付につきましては、その相手方及び用途によりましては國有財産運用上、現下の社會的諸情勢との調和を考慮いたさなければなりませんので、公共團體が公共用、公用もしくは公益事業に供するため必要のある場合は、これをなし得ることに定めたのでありますが、借受後の使用状況その他管理が良好と認められないときは、この契約を解除することといたしたのであります。なお無償貸付をしたものにつきましては、内閣において、これを翌年度開會の國會の常會に報告するのであります。
第三には國有財産の交換につきましては、これを土地及び建物以外の土地の定着物に限つて國または公共團體が公共用、公用もしくは公益事業に供するため必要あるときは、これを他の同一種目の物件と交換をなし得ることに限定いたしたのであります。
第四に國有財産にかかわる貸付契約の解除を行い得る場合も、國または公共團體におきまして公共用、公用もしくは公益事業に供するため必要が生じた場合のみに限定することとし借受人はこれによつて生じた損害につき賠償を求めることができますが、この請求を受けた當該財産の所管廳はこれを會計檢査院の審査に付することができることといたしたのであります。
第五に賣拂代金等の延納につきましては、公共團體は教育もしくは社會事業を營む團體についてのみ、五年以内の範圍でこれを認めることといたしたのであります。これは、この種の團體の營む業務等がもつ社會的重要性に對する財産處分上の措置として必要と認められるによるものであります。しかしながらこの場合におきましても、當該財産の管理が適當でない等、延納の繼續を不適當と認められるときはその契約を解除することといたしたのであります。
第六に國有財産に關する報告につきましては、國有財産増減總計算書は毎年度、國有財産現在額總計算書は毎五年ごとに議會に報告していたのでありますが、國有財産の現況を常に明確にしておくため、今後は國有財産現在額、總計算書を毎年度國會に報告することといたしたのであります。
第七に國有財産法制調査會に關しましては、この調査會は國有財産制度を根本的に檢討し、これに關する法制を急速に審議立案するものでありまして、委員は審議の促進をはかるため少數とし、會長を加えて七名以内といたしたのであります。調査會で作成した法律案は、内閣におきまして、これを次の國會の常會に提出することとしたのであります。
次に作業會計法を改正する法律案、燃料局特別會計法を改正する法律案及び造幣局特別會計法の一部を改正する法律の三件について、一括御説明いたします。專賣局及び印刷局の事業、アルコール專賣事業及び造幣局の事業は、從來それぞれ作業會計法、燃料局特別會計法及び造幣局特別會計法によりまして、經理されており、かついずれも同質の事業でありますが、これらの會計におきましては、特別會計としての獨立性が十分でなく、たとえば固定資本及び据置運轉資本は、これらの會計でみずから支辨することなく、專ら一般會計において支辨してまいつたというような事情でありまして、またその經理の方法も概ね現金の收支を中心とする建前でありまして、ただ損益計算において複式簿記法による計算を加味しておる状況であり、本來の企業的運營の状況を把握するに十分でなかつたのであります。從いまして、今次の改正におきましては、一面設備費等の資本的支出をこれらの會計の負擔とすることといたすとともに、その財源もまたこれらの會計において起債し得ることとして、獨立して採算し得る基礎をつくるとともに、他面國有鐵道事業特別會計等におけると同樣、いわゆる發生主義の原則により經理せしめることといたしたのであります。
次に國有林野事業特別會計法案について申し上げます。これは、今般いわゆる林政の統一によりまして内地、北海道の國有林のほか、從來の御料林も一體として運營せられることとなつたのでありますが、この機會におきまして、從來一般會計において運營せられておりました國有林野の事業を、企業的に經理することが適當と考えられますので、ここに特別會計を設置することといたしまして、その經理の方法につきましても、いわゆる發生主義の原則によりまして、財産の増減、移動を現金の收支によらず、その發生の事實に基いて經理することといたし、もつてその經營の成績及び財政状況を明らかならしめんといたすものであります。
次に勞働者災害補償保險特別會計法案について申し上げます。今囘別途提出の勞働者災害、補償保險法に基きまして、國が管理いたします勞働者災害補償保險事業につきましては、その性質上特別會計を設置してこれを經理するのが適當と存ぜられますので、この特別會計法案を提出いたしたのであります。
最後に公債金特別會計法ほか四法律の廢止等に關する法律案について御説明いたします。この法律案の内容は、一、特別會計の廢止に關するもの、二、特別會計法の一部改正等に關するもの、三、借入金の借入に關するもの等でありますが、まず特別會計の廢止に關するものについて申し上げます。これは現行特別會計のうち比較的その存置の意義の稀薄になりました公債金、爲替交易調整、特殊財産資金及び學校の五、特別會計を廢止いたさんとするものであります。なお學校特別會計の廢止に伴いまして、諸學校の震災復舊營繕費について特段の定めをなした法律の規定も不用となりますのでこれを廢止し、また從來の大學及び學校資金につきましては、そのうち現金及び有價證券の形になつておりますものにつきましては、今後これを一般會計所屬の資金とし、また學校に對する奬學を目的とする寄附金について委任經理の方法を殘すことといたしたのであります。
次に特別會計法の一部改正等に關するものでありますが、そのうちまず第一は、今囘別途提出いたしました財政法案第六條において、歳計剩餘金の二分の一以上を公債及び借入金の償還に充當することといたしましたのに伴いまして、從来歳計剩餘金による公債、借入金の償還に關する規定のありました國債整理基金特別會計法その他關係法律の規定に所要の改正を加えることといたしました。
第二は、勞働基準法案に伴いまして、勞働者の災害補償に關する制度の改正がありましたのと、健康保險の積立の現状に鑑みまして、その一部を勞働者のための福祉施設費に充てる途を開くことといたしましたので、厚生保險特別會計法に所要の改正を加えることといたしました。
第三は、食糧管理及び薪炭需給調節の兩特別會計における事業の運營を圓滑にするため、その所要資金を賄いますために、兩會計における證券の發行または借入金の借入れの限度額を増額いたすため、兩特別會計法の一部に所要の改正を加えることといたしましたのと、帝國鐵道及び通信事業の兩會計の事務勘定における昭和二十一年度の追加經費または帝國鐵道會計における歳入不足補填の財源に充てるため、借入金の増額を必要といたしますので、昭和二十一年法律第五十五號に規定する借入金の借入の限度額を増額する等所要の改正を加えることといたしたのであります。
第四は、さきに緊急勅令に基きまして、臨時軍事費特別會計を廢止し、その後における處理は、一般會計において行うことといたしたのでありますが、將來この整理上必要となるべき公債及び借入金をなし得る途を開きおくとともに、整理の終るまでの間における國庫金出納上の不足を補うために、借入金となし得ることにいたそうとするものであります。
次に企業再建整備法等の一部を改正する法律案につき説明いたします。企業再建整備法の實施につきましては、このほど資産の評價基準、未拂込株金の徴收方法等に關する要綱も定まりまして、今後いよいよ具體的實行の段階にはいることに相なつたのであります。しかしやむ得ない種々の事情によりまして、法律の具體的實施が當初の豫想より若干遲れることになりました結果、その後の新たな事態に應じ、また評價基準等の決定に伴いまして、企業再建整備法及び會社經理應急法に若干修正を必要といたします點を生じましたので、本法案を提案いたした次第であります。
次に、この改正案の主要な點について御説明をいたします。改正の第一點といたしましては、特別經理株式會社の特別損失を負擔し、減資すべき資本金を、指定時すなわち昨年八月十一日午前零時現在の資本金とし、指定時後新たに増資をした場合の新資本には、特別損失を負擔せしめないことを明示することであります、すなわち最近特別經理株式會社のうちには所要の事業資金を調達するため増資をしようとするものがありますので、特にこの點を明らかにする必要が認められるに至つたのであります。
第二は、特別經理會社の資産を承繼しますところの第二會社は、從來は新設會社に限られておりましたが、その範圍を擴張して、特別經理株式會社の資産の出資または讓渡を受けるため、その資本を倍額以上に増加する會社をもこれに加えまして、かかる會社を第二會社として、その増資手續等の簡易化を圖ることであります。
第三は、特別經理株式會社に對する、指定時以前の原因に基く債權すなわち舊債權のうちには、在外負債未拂込株金の拂込請求權等、その性質上一般の舊債權と同樣に、一律に取扱うことの必ずしも適當でないものがありますので、命令をもつて別段の定めをなし、一般の舊債權と若干異なる取扱いをなし得るようにすることであります。
第四は、第二會社設立等の場合における特別經理株式會社の指定時後の新債務の承繼、あるいは特別經理株式會社の合併、資本の減少につきまして、整備計畫の認可のありまして後に、債權者に異議の申立の機會を與え、もつて債權者の保護をはかることであります。
第五は特別經理株式會社の減資しなければならない場合を明らかにし、さらに資産の評價換による評價益、資産の讓渡益等に對する免税の規定を明確にする等、資産の評價基準、未拂込株金の徴收方法等の決定に伴つて、必要な若干の改正を行うことであります。
第六は特別經理株式會社の事業年度の延長であります。すなわち整備計畫の認可があり、特別損失の額が定まつて、債權債務關係の整理確定いたしますまでの間は、會社の經理上、未確定の要素が少くなく、たとえ決算をいたしましても、後に更正を必要とすることとなりますので、この間において通常通り決算をいたしますことははなはだ困難であります、そこで指定時すなわち昨年八月十一日から整備計畫の認可等のあります日までを、一つの事業年度として、その間に到來する會社の定款の決算期の決算は、これを省略せしめようとするものであります。
第七は特別經理會社でない會社でありましても、戰時補償特別税を課せられ、または在外資産を有する會社は、再建整備上必要な場合におきましては、特別經理會社と同樣に、整備計畫の認可を申請することができるものとし、認可を受けました場合には、その整備計畫は、特別經理會社の整備計畫と同樣の效力を有するものとして、簡易な手續によつて、それを實行することができるようにすることであります。
最後に指定時後特別經理會社が舊勘定において資産を處分した場合に、その處分代金を新勘定の事業經營のため使用し得る途を開き、また指定時後整備計畫の認可のありますまでに、解散、合併あるいは組織變更をすることになつた特別經理會社の新勘定及び舊勘定の取扱いその他に關しまして、特例を設けることができるように、會社經理應急措置法の一部を改正することといたしておるのであります。以上八法律案につき提案の理由を御説明いたしました何とぞ相なるべく速やかに御審議の上御贊成あらんことを希望いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=3
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004・大谷瑩潤
○大谷委員長 午前中はこの程度にいたしまして午後は一時より再開いたします。これにて暫時休憇いたします。
午前十一時四十八分休憩
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午後二時六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=4
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005・大谷瑩潤
○大谷委員長 午前に引續き會議を開きます。質疑に移ります。小笹君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=5
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006・小笹耕作
○小笹委員 この際國有財産の一部の改正法律案につきまして、二、三點お尋ねいたしたいと思います。同三條の四に「大藏大臣各省各廳ノ長ノ行フ國有財産ノ管理及處分ニ付其ノ適正ヲ期スル爲之ヲ總轄スヘシ」ということに相なつておるのでありまして、この總轄事務の内容はどういうようなものでありますか、その點をお尋ねいたしたいと思います。なお大藏大臣を國有財産事務の總轄大臣としたのはどういう理由でありますか、この點をまずお尋ねをいたしたいのであります。
その次に、國有財産の讓與について、現行法と改正法とはどういうふうに違つておりますか、この點を明らかにしていただきたいのであります。
それから第三の問題は國有財産法制調査會の任務と、その構成はどうなつておりますか、この點も御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=6
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007・加藤八郎
○加藤政府委員 お答えいたします。第一のお尋ねでございました國有財産に關する總轄事務というのはどういうことかという點でございまするが、この國有財産の管理というものは各省大臣もやつておりますし、また處分の一部分を各省大臣がやつておりますような實情にありまするので、この管理、運用、處分を適實にするためには、どうしてもこれを一ところにまとめて總合統一するということが當然に必要になつてくるのであります。その事務を大藏大臣がやるのでありまして、すなわちどういうことかと申しますと、この國有財産の管理、運用、處分に關する必要な規定を定めたり、あるいは臺帳の樣式を一定したり、國有財産の現状を明確ならしむるためにいろいろな報告書を一括して議會に提出するというような、いろいろな仕事をいたすのであります。從來とも國有財産に關する總轄事務は大藏大臣がこれを管理するというふうになつておりまして、非常に簡單でございましたけれども、第三條の四に規定を設けまして、その内容を明らかにいたしたい、かように考えた次第でございます。
なお大藏大臣をどうして總轄大臣にしているかという點でございますが、これも從來の法律にも大藏大臣が總轄事務を擔當することになつておりますし、國有財産の事務と申しますものは、いわば物の會計、あるいは豫算でありまして、こういうことは財政を所管する大藏大臣がこれに當ることが最も適當であろう、かように考えまして、この規定を設けた次第でございます。
それから第二の讓與に關する點でございますが、現在讓與に關する規定は國有財産法の第五條にございまして、大體三つの項目を掲げてございます。その一つの帝室用または公共團體において公共用もしくは公用に供するため必要あるとき、第二は、公共用財産または公用財産の用途を廢止した場合に勅令の定むるところによりまして、これをその維持保存の費用を負擔したるものに、またはその用途に代るべき他の施設をなしたものに、その他の縁故者又は關係者に讓與するというのが第二であります。第三は神社寺院又は佛堂の合併したる場合において、これによりましてその供用を止めました國有財産を、その合併したる神社寺院又は佛堂に讓與するとき、こういう三つの場合を規定いたしたのであります。そのうち一番後に申しました神社寺院佛堂關係の讓與の點は今囘さきに御審議をいただきました社寺境内地の處分に關する法律におきまして整理がつきますので、その規定を同法におきまして廢止してございます。殘るのは一と二でございますが、こういうものをこの際改めまして、法律をもつて特別に定めた場合だけこれを讓與しよう、こういうようにいたしたのでございます。と申しますのは現在のように公共團體において公供用又は公用に供するというような規定でございますと、政府におきまする自由裁量の範圍が從來非常に廣うございまして、これでははなはだ官廳が勝手なことをして讓與をするというようなおそれもありまするので、これを具體的に法律をもつて定められた場合だけやるようにいたした方がよかろうと考えるのであります。國有財産を讓與するということは、場合によりますと議會の協贊を經ないで國の財産を減らす、すなわち財政的な支出に影響するようなことにもなりまするので、こういう場合はすべて具體的に法律をもつてきめる場合に限るというふうにいたした方がよかろうと考えた次第であります。それで現在でも個個に具體的に讓與を規定しておる場合がございますので、たとえて申しますと、國有林野法の第五條であるとか、あるいは河川法の第四十四條、道路法の第六十二條というようなふうに、たくさん具體的に讓與をなし得る場合がございます。それでそういうふうに今後も必要あれば、そういう具體的の場合を上げまして、讓興することにいたすつもりでございます。
なお第三點について國有財産法制調査會のことをお尋ねでございましたが、まず第一に法制調査會の仕事はどういうことかと申しますと、國有財産法制調査會は、最近の情勢によりまして、現在の國有財産の法制というものは隨分古い法律でありますので、必ずしも現在の情勢には適合しておりませんので、これを新情勢に適合いたしますように國有財産に關する法制を審議いたしまして、この調査會におきまして一つの法律案をつくるようにいたしておるのであります。この點は從來のこういう準備とはよほど違つてまいつた點がありますが、それは政府におきまして法律をつくるというのが從來の取扱いでありまして、こういう調査會は所管大臣の諮問に應じて答申をする、その答申を參考にして政府が法律案をつくるというような建前が從來の取扱いでありますが、このたびはこの法制調査會自體が一つの法律案をつくるのだというふうにいたしてあるのでございます。從いましてこの調査會におきまして國有財産法を改正する法律を一つつくりまして、次の國會常會に提出するというような運びに相なるのでございます。なおその組織等につきましては、なるべく事情に精通した少數の人々によりまして、十分に檢討することがもつとも效果的であると考えまして、この人數も會長を加えまして七名程度にいたす考であります。なお會長は大藏大臣をもつてこれに充てるようにいたしております。あとの委員は會計檢査院その他關係各廳の官吏を、あるいは學識經驗のある民間の方方を入れまして十分に審議檢討いたしたい。かように考えておる次第でございます。以上をもちましてお答えといたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=7
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008・小笹耕作
○小笹委員 お尋ねいたしました三點について、ただいま御答辯をいただいて了承したのであります。その他の點についてお尋ねをいたしたいと存ずるのでありますが、地方木材株式會社はすでに解散をいたしまして、現在清算を非常に急いでおりまして、その筋からも命がありますので、急速にこの終了をいたしたいと努力をいたしておるのであります。都市の地方木材會社の中には、相當多額の戰時保險を有しておるのでありまして、その一部は昭和二十年の八月十五日、終戰以前に借入金をもつて相殺いたしたものが相當多いのでありますが、その後戰時補償特別措置法によりまして、借りておりました中央農林金庫あるいは市内の銀行より求償を受けておるのでありますが、それらの地木社は既に解散いたしまして、すべての資産を換價いたしまして預金にしておつた關係上、ほとんど全部が第二封鎖になつてしまつたのであります。今日清算をいたそうといたしますと、第一封鎖ではそれが返せぬのでありまして、どうしても第二封鎖で支拂わなければならぬような現状であるのでありまして、それは何ら規定がないように思ひますが、第一封鎖がなければ第二封鎖預金で金融機關にこれを返すことができますか。この點お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=8
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009・伊原隆
○伊原政府委員 私からお答え申し上げます。ただいまのお話がございました木材統制會社が解散いたすにつきまして、戰時補償特別税の對象になりました保險金はどういうふうにして返すかという問題でありますが、第二封鎖預金につきましては銀行からの借入金と第二封鎖預金の相殺という問題につきまして、非常に借入金とこの第二封鎖とが密接なる關連性のあります場合には、これを相殺することを認めておるのでありますが、ただいまのお話の木材統制會社の問題等につきましては、それが第二封鎖預金と一方あります借入金等との關係がどの程度の關連性がありますかという具證的の問題について決まるわけだと思います。なお第二封鎖預金と借入金の相殺につきましては、これがあまり緩く行われますと、小口の個人等の第二封鎖預金をもつております預金者を害することになるものでありますから、大藏省銀行局といたしましても相當嚴重な態度をもつて臨んでおりますので、その具體的の問題がどういうふうに扱われますか、私ちよつとここでは存じておりません。しかし問題によりましては十分研究をいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=9
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010・小笹耕作
○小笹委員 私が申上げましたのは借入金と相殺いたしましたのは終戰前に相殺いたしたのでありまして、從いまして終戰後の特別處置によつて銀行なりその他の金融機關からその會社に對して求償權があるのです。その求償を木材會社が受けている、それに對して第一封鎖で拂えば非常に結構でありますが、第一封鎖預金がないのでありまして、どうしてもその求償權に對して應ずるためには、第二封鎖預金で支拂わなければ支拂う方法がないのであります。從いまして、その清算もできぬで困つているような状態になつております。この點がおわかりになればひとつ御指示を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=10
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011・伊原隆
○伊原政府委員 その具體的な問題といたしましては、よく研究をいたしておりませんので、なおよく研究いたしまして申上げますが、あるいは第二封鎖預金から戰時補償特別税を支拂いますことは、ただいまの私の記憶ではむずかしいのではないかと思いますが、よく研究をいたしまして後ほどお答え申上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=11
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012・小笹耕作
○小笹委員 山林當局にお尋ねをいたしたいと思います。憲法の改正によりまして、今日國有財産となりまする御料林の面積なり蓄積量はどのくらいあるか、これを御指示願いたいのであります。現在の國有林のそれを加えました總面積及び蓄積量がどれくらいに達するか、これも御發表願いたいのであります。現在のわが國の國有林の管理機構を見まするに、全國の國有林の三八%以上を占めます北海道の國有林の管理は内務省にあるのでありまして、他の府縣にございます國有林の管理は農林省の所管となつているのであります。わが國の國有林の行政はきわめて不自然な管理形態であるのでありまして、林政上多年のがんでありますので、今囘御料林が國有林となるその機會に、國有林全部を一元的に農林省において所轄すべきものと考えるのでありますが、政府の方針としていかなる方針を有せられるか、この點をお尋ねいたしたいと思います。わが國の森林は戰時中過伐に濫伐を重ねまして、しかも搬出上きわめて便利な所からどしどし伐りましたために、交通の非常に便利な土地に接近したような所の山林は非常に荒れているのであります。從いまして、國土保安上、治水上からきわめて由々しいところの結果を招來いたしているのであります。一面また奧地の方の森林は少しも手がつかぬというような現状であるのでありますが、國土保安の意味から申しますと、全部の國有林を對象といたしまして、これで計畫を立てていかなければならんと考えるのであります。今日過伐を重ねておりまするにもかかわりませず、木炭なりあるいは薪炭の需要は益益緊急を要するのであります。また一面におきましては、これらの資源を保存して、これを育成しなければならんという大きな使命を持つておりまして、要するに違つた使命がここに同時に起つてきておるのでありまして、いずれも重要なものであるのであります。これはどうしても全國の國有林を一元的に對照いたしまして、これまで過伐を重ねたところの山林はこれを一時休養せしめまして、他の未開發の未利用山林を急速に伐採いたしまして、全國的ににらみ合わせまして、適正なる計畫を立てていかなければならんと考えるのであります。森林行政の統一ということが、今囘程痛切に必要を感ずるときはないのでありまして、この點につきまして政府は農林省にこれを一括一元的に管理せしむべきものと考えるのでありますが、政府はこれに對していかなる御方針を有せられるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=12
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013・中尾勇
○中尾政府委員 お答えいたします。今囘の新憲法によりまして、御料林が國有になります面積は、内地と北海道を合わせまして、面積におきましては、約百三十萬町歩餘の面積に相なるのであります。蓄積で申上げますと、大體六億五千萬石程度の材積に相なるのであります。そのうち北海道での御料林の面積は、約八十九萬町歩、材積が四億一千萬石程度に相なるのであります。それから内地におきます御料林が、面積で約四十三萬町歩ございまして、材積で二億三千四百萬石ということに相なるのであります。御料林を國林有に併合いたしますと同時に、先刻お話になりましたように實は戰後におきますわが國の森林の状態をみますると、戰前に比べまして面積におきまして約半分に相なつております。戰前四千六百萬町歩程度ありましたものが、敗戰の結果、約半分を失いまして現在では二千四百萬町歩程度と相なつておるのであります。また材積におきましても、戰前に百億程度でありましたものが、領土喪失と戰時中におきます過伐のために約四割を喪失いたしまして、現在約六十億近くの蓄積と相なつておるのであります。從いまして非常に狹く、しかも少くなりましたこの蓄積をもつて、將來八千萬同胞の民生の安定を圖つていかなければならないというような關係になつたのでありまして、八千萬同胞に對しまして林産物の需給を圓滑にいたしますためには、どうしてもこの狹い面積におきまして、單位面積あたりの成長量をできるだけ増加する。できるだけ生産力を高めるという方法を講じていかなければ、とうてい供給の圓滑を期していくことはできないというような情勢にあるのであります。そういう情勢にありまするのに、先刻もお話にありました通りに、從來わが國の森林行政は内務省及び宮内省及び農林省とこの三つにわかれて行政せられておつたのであります。そのうち宮内省所管でありました御料林は、今囘國有林に屬することに新憲法によつて相なつたのでありますが、北海道の國有林竝びに民有林、これは内務省所管となつておりまして、實際北海道廳において所管しておつたのでありますが、以上申し上げましたような戰後の内地の森林の情勢から見ましても、どうしても今後は内地におきます狹い森林を一つの統一ある機構にまとめまして、統一ある方針をもつて計畫から實行までしていかなけれで、とうてい所期の生産力の増嵩というようなこともできないではないかというふうに考えまして、實は多年の懸案でありますこの北海道の國有林を農林省所管に統一いたしまして、そうして一貫した方針をもちまして經營いたしたい、經營していかなければならないというふうに考えておつたのでありますが、たまたま本年の一月の豫算措置に關する閣議におきまして、この北海道の國有林も農林省に統一することに相なりましたので、農林省といたしましてはその閣議の決定の方針に從いまして、特別會計を編成いたしまして、この議會に提出をいたしておるような次第でございます。農林省といたしましてはあくまでこの實行は一貫した方針のもとに計畫から實行までいかなければならないと考えますし、當然北海道の國有林も今度移管になりました御料林、内地の國有林と一緒に同一の方針のもとに經營をしていく方針でございます。なお今後の木材需給の問題につきましてお話があつたのでありますが、御説の通り戰時中におきましては里山と申しますか、とにかく便利な部落に近い山は相當過伐になつておりまして、今後生産を増加していきます上には、どうしても御説の通り奧地林分の開發にまたなければならない實情にあるのであります。政府といたしましてはこの奧地林分の開發にあたりまして、前年度、二十一年度以來奧地林分の開發の林道の經費を相當計上いたしまして、ただいまそれに努力をいたしております。さらに二十二年度におきましてもこの奧地林分の開發と同時に、既設の林道の林道網の擴充をはかりまして、そうして奧地におきます未利用状態の箇所の開發に努力をいたしたいと考えまして、ただいまその方針に基きまして實行をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=13
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014・小笹耕作
○小笹委員 次に本年度の國有林の拂下げ豫定額はどのくらいでありますか、またその拂下げの方法はどういうような方法でありますか、從來のようなやはり斫伐組合をしてやらせますか、この點もお尋ねをいたしたいのであります。新たにできまする日本林業會に拂下げをするとか、あるいはまた日本林業會に拂下げの斡旋をさすような方法をお考えになつておりますか、この點もお伺いいたしたいと思ひます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=14
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015・中尾勇
○中尾政府委員 二十二年度におきます國有林の拂下げの豫定でありますが、これは官行斫伐において、内地も御料林も北海道も合わせて、全部の國有林から約千八百萬石を豫定しておるのであります。この内譯は内地で約一千萬石、もとの御料林で約三百萬石、それから北海道の國有林で約五百萬石、合計千八百萬石を豫定しております。そのほかただいま申しましたのは素材としてのものでありますが、製材といたしまして約三十六萬石を豫定しておりまして、これを丸太に換算いたしますと約六十六萬石に相なりますので、結局斫伐によるものが千八百六十六萬石ということになります。そのほか立木のまま拂下げますものが約七百五十萬石程度あるのであります。この七百五十萬石は、立木の材積でなく立木を處分いたしまして生産される素材の見込み材であります。これが七百五十萬石になつております。これは大體内地で二百八十六萬石、御料林で百十七萬石、北海道で三百四十萬石、という一應の豫定をいたしておりまして、これによつて實行をいたすことに相なつております。また第二の問題の拂下げの方針でありますが、これはこの前の議會にも申し上げておいたのでありますが、素材においてはこれは大體拂下げます數量をその當該府縣の林業會、林業組合に知らせまして、そうしてその分配は林業會の意向を十分參酌いたしまして、契約は個人と營業者と契約するということにいたしていくつもりであります。なお今の斫伐組合のお話もありましたが、斫伐組合のありますのは全般にあるのではなく、ただいまのところ大阪營業局と高知の營業局につくつておるのでありますが、この斫伐組合は拂下げだけでなく、造林あるいは土木の事業というような、事業方面の營業をもいたしておる組合でありまして、拂下げもこの組合だけに拂下げるということはいたさないようにしておるのであります。拂下げはできるだけ公平に分配されるように、今の林産組合、林業會方面とよく連絡をとつて、拂下げていくということを考えております。なお立木も大體それに準じた拂下げ方針をとるのでありますが、とにかく立木を拂下げる人は、實際實行力のある、木材は今需給が逼迫しておりますので、この逼迫した需給をできるだけ緩和するだけの力のあるような人に拂い下げる方針をとつておるのであります。今度新たにできます日本林業會にこれらのことを斡旋させるというような話は、私初耳でありまして、そういうことは考えておりません。その點併せて申し上げておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=15
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016・大谷瑩潤
○大谷委員長 次に氏原一郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=16
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017・氏原一郎
○氏原委員 まず第一に國有財産法に關連をいたしまして一、二お伺いいたしたいと存じます。それ以外に本委員會に付託されておりますところの特別會計に關する法案と豫算案との關係について大藏當局に一言伺いたいと思います。衆議院は既に明年度の豫算案を決定いたしまして、貴族院に囘付いたしております。ところがこれらの豫算の裏ずけとなるべき法案が、この委員會のみならず、幾多の委員會に付託されて、今審議をなしつつあるのであります。本委員會に付託されております國有林野事業特別會計法案ないしは勞働者災害補償保險特別會計法案のごときは、これは當然豫算案と竝行して議會の審議を求むべきものではなかつたかと思います。從いまして、豫算案がかりに議會を通過するということになりましても、もしこれらの特別會計案が議會において審議未了になりますならば、自然的にその豫算案が成立しない、こういう結果になるのではないかということを私ども考えるのでありますが、この點について大藏當局の御見解を伺いたい。
〔委員長退席、小笠委員長代理着席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=17
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018・石原周夫
○石原政府委員 ただいまの豫算と今ここで御審議を願つております特別會計法案との關係につきましてお答えを申し上げます。先に御審議を願いました昭和二十二年度の一般會計竝びに特別會計の豫算案は、今ここに御審議を願つております特別會計法案あるいはその改正法案の趣旨に從いましてできておりますことは今お尋ねの通りであります。であれば少くとも同時に提出をしなければならないではないかというお尋ねでありますが、それも性質上そういうわけ合に相なるものであると存じております。それで事務當局といたしましては、少くともこれらの法律案、改正案が先ごろ提出されました特別會計の豫算と同時に提出をいたすように非常な努力をいたしたのでありますが、現在法律及び豫算につきましていろいろな御承知のような事情がございましたので、われわれの努力にもかかわりませず、若干期日が遲れまして、そのために今御指摘のような事態が生じたわけであります。その點ははなはだ事務當局として遺憾に存じております。この法案が提出せられ、それが議決をせられました曉において兩者が合體してまいる、こういう現在の形になつておるわけであります。最後にお尋ねのございました、この法案が通らなくて豫算だけが通ればどういうことに相なるかという點でございますが、それは非常に困難な事態ができるということは申し上げられます。もちろん個々の場合におきましていろいろ違いが出てまいるのでありますが、大體におきまして非常な困難な事態になるとは思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=18
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019・氏原一郎
○氏原委員 重ねてお尋ねいたします。最後の御答辯の點でありますが、例を國有林野事業特別會計にとります。農林省の一般會計豫算には私有林に關する助成指導の經費を組んでおりますが、國有林野八百萬町歩に對します經費はすべて特別會計で處理しておる、この法案をもし衆議院なり貴族院が審議未了にいたすとしますと、具體的に言うならば、一應豫算だけが切離してかりに審議が終つても、これが審議ができなかつた場合には、明年度の國有林野管理經營に關する經費の支出は、特別會計の法律が成立しないがために事實上は運用できない、こういうことに相なることになるのでありますが、これを具體的な問題として御答辯願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=19
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020・石原周夫
○石原政府委員 ただいま御指摘になりました森林特別會計のごときもの——私先ほど全體の法律案について申し上げたのでありますが、森林特別會計のごとき新設の特別會計法につきましては御指摘のような事態があります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=20
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021・氏原一郎
○氏原委員 それならば大藏當局に特に私は繰返してお尋ねしなければなりませぬ。先刻來特別の事情がおありだとおつしやいましたが、それはおそらく連合軍總司令部のことだと存じます。しかし、いやしくも政府が豫算案を編成しまして、そうしてそれが總司令部のオーダを貰えたというような場合に新設の特別會計等については當然その豫算案と並行してその案を出して、そうして同時にオーダを貰うという行き方にならなければならないのでありますが、何かこの國有林野特別會計法のごときについては、豫算は認めてくれたけれども、法律には何かひつかかる所があつたというようなことで特にこれは遲れたのでありますか。それとも、連合軍の方の許可の問題でなしに、ただ事務當局としての法案の整理その他のためにこれが遲れたのでありますか。この問題はちよつと重要でありますので、もう一囘伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=21
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022・石原周夫
○石原政府委員 私からお答えを申し上げるのは適當であるかどうか存じませんが、一應私が法規を擔當いたしまして立案をいたしました者として御答辯を申し上げます。ただいま御指摘になりましたように、一應新しい特別會計の額で豫算を組み、それを一應折衝を經まして出したのでありますから、それは當然新しい特別會計の設置を豫想しているということは申すまでもないことであります。しかしながら、法規の關係におきまして、ここに現在御審議を願つておりますような案を得るまでには若干の期日を要したのでありますが、それに附加えて申し上げておきたいことは、別途審議を願つておりまする財政法案、あるいは會計法の改正法律案、それから前にこの委員會で濟みました鐵道、通信の料金特別會計法案、それから今ここに併託になつておりますところの關係法律案、こういうものをたくさん同時に本議會に提出いたしておるわけであります。從いまして、案全體を通じまして向う側との折衝をいたしておりましたので、時期の若干の食違いが生じまして、法規の全體の形におきましてこれでよろしいということに相なりますまでは必ずしも豫算と正確に同時期にまいりかねたという状況を御斟酌を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=22
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023・氏原一郎
○氏原委員 それではまあその問題はその程度にいたしまして、國有財産法に關連をしてお尋ねいたしたいと思います。第一にお尋ねいたしたい點は、現行法の第三條に「國有財産ニ關スル總轄事務ハ大藏大臣之ヲ管理スヘシ」とあります。改正法によりますと「大藏大臣各省各廳ノ長ノ行フ國有財産ノ管理及處分ニ付其ノ適正ヲ期スル爲之ヲ總轄スヘシ」というふうになつております。おそらく私は現行法第三條が改正法の第三條ノ四に實質において變つたものだと考えるものでありますが、その場合におきまして、現實的に申しますならば、現行法の第三條に明示せられておりまするところの大藏大臣の總轄事務の管理ということと、改正法の第三條ノ四に掲げられておりまする「大藏大臣各省各廳ノ長ノ行フ國有財産ノ管理及處分ニ付其ノ適正ヲ期スル爲之ヲ總轄スヘシ」というこのこととの間には、從來の大藏省の權限についてなんらの變更がないものですか。それともなんらかの變更があるべきことをお考えになつておりますか。この點お伺いしたいと思います。
〔小笹委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=23
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024・加藤八郎
○加藤政府委員 お答えいたします。現行法の第三條に「國有財産ニ關スル總轄事務ハ大藏大臣之ヲ管理スヘシ」と非常に具體的じやなしに、恐らくわからぬような抽象的にあらわれておりますので、その内容を明らかにしたいという考えをもちまして、第三條の四というふうに書替えたのであります。しかしその内容につきましては、從前とまつたく同一であるかという點につきましては、若干違うのでありまして、從來總轄事務として大藏大臣のもつておりました權限は、詳しくは國有財産法施行令という勅令をもちまして書いてあるのでございますが、どちらかと申しますと、この管理換をするとかないとかいう場合に協議を受けるとかいう受身の立場において適正を期しておつたのでありますが、しかしそれだけではどうも總轄することが萬全を期し得ないという考えをもちまして、この第三條の四の第二項にございますように、大藏大臣が必要と認めました場合には、各省各廳の長に對しまして、その管理に屬しまする國有財産に關するその状況の報告を求めるとか、あるいは實地監査を行うとか、あるいは閣議の決定を經まして、用途の變更もしくは目的の廢止または管理換その他必要なる措置を求めることができると、積極的に大藏大臣が必要と認めます場合には、國有財産の管理運用の萬全を期するために、こういうことができるというふうになつた點が違いでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=24
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025・氏原一郎
○氏原委員 しからばこの國有財産法施行令にありますところの管理換に關する規定等は、當然この法律改正と同時に、やはりあの施行令も全面的に改正をせられるべきものだということを豫想してよろしいのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=25
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026・加藤八郎
○加藤政府委員 現在の施行令の中には、この改正になつた新法におきましても、そのまま殘しておいて差支えないものも多數ございますし、それから今まで施行令で規定してございました事柄が、今度の改正法によりまして、法律の中に移つてきたものもございますので、そういうものにつきましては當然にその施行令を除きまして、法律の方でやつていくというようなことに相なります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=26
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027・氏原一郎
○氏原委員 次に現行法第十三條削除について伺いたいのでありますが、隣接地の所有者が國の行いますところの境界査定等に對して不服のある場合に訴願をするというような規定を削除せられたのでありますが、この點はどういう理由によつて削除せられたのでありますか。先ほどの政務次官の御説明にもその點はございませんので伺いたい。同時に第二十一條、二十二條、二+三條が削除せられましたが、これまた雜種財産については、土地の開拓または水面の埋立もしくは干拓をなす場合に、事業の成功を條件としてその財産の賣拂、讓與または貸付ができるというような規定がございます。その規定を全部削除せられたのでありますが、その理由をひとつ伺いたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=27
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028・加藤八郎
○加藤政府委員 第十三條を削除いたしましたのは、この林地の所有者がその境界査定に對しまして不服があるというような場合には、從來は訴願とか行政訴訟といつたような、まつたく行政的な裁判できめるというだけでございましたが、どうもそれでは殊に行政裁判所というようなものも今後なくなつてまいりますし、こういう場合の土地の境界査定についての不服というようなものは、むしろ一般の民事訴訟と申しましようか、裁判所において訴訟をしてはつきりさせるということが適當であろうと思いまして削つた次第であります。それからこの干拓、開墾といつたような場合の豫約の規定を廢止いたしましたのは、國有財産法制定以來この規定によりまして豫約をいたしましたことはほとんどないのであります。殊に最近は全然ございません。それでこういう場合の必要がある場合は、大規模に雜種財産についてこういう干拓、開墾というようなことをする場合でございますが、現在御承知のように國有地を開墾する場合には、自作農創設の趣旨をもちまして、農林省において緊急開拓というような國營で開墾をして、これを自作農に分讓するというような建前でありますので、あまり民間事業として大規模なものは考えられないのであります。從いましてますますそういう事情が必要でなくなつてまいりますし、もしそういう必要がございます場合には、國有財産法というよりも、別途そういう開墾あるいは干拓といつたような特別の法律の中に含めて規定した方がよかろうと考えまして、削除した次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=28
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029・氏原一郎
○氏原委員 厚生省の方はお見えになつていらつしやいましようか——おいでにならなければよろしうございます。それでは國有林野事業特別會計法案に關連をいたしましてお伺いいたしたいのでありますが、第一は、この法案は、畫期的な林政の改革でございます。私どもが多年主張いたしておりましたところの國有林及び御料林を統一して、しかも内務省に所管されておりました北海道の國有林をも統合いたしまして、農林省が一本でこれを管理經營をするうとい點から、まことに私どもとしてはこの特別會計の設置について贊意を表するものでございますが、しかしかくの如き重要なる林政の行わんとする場合において、政府はこの林政の改革統一という大きな問題を、何が故に林政調査會に付せずして、政府が一方的におやりになつたのでありますか、この問題が起りましたときに、既に林政調査會はできておつたはずでありますが、一囘たりともこの林政調査會の議に付せずして、一方的におやりになりましたことについての何か特別の理由がありますか、これを伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=29
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030・中尾勇
○中尾政府委員 ただいまお尋ねの點につきましては、本日實は第一囘の林政調査會を催しまして、その席上でもお話いたしたいことでありますが、實はお話の通りに、森林政策といたしまして重要問題でありますから、當然林政調査會に提案いたしまして、その議を經ていくのが至當だと考えたのでありましたが、御承如の通り大體閣議で豫算措置として決定いたしましたのが、既に一月の初めでありましたのと、いろいろの關係でこの林政調査會の開會の準備ができなくて、實はお諮りすることができなかつたのであります。しかしこの林政調査會におはかりいたしませんでしたが、この林政統一の問題と特別會計の問題は、大體前議會でも論議せられたことでもあり、また皆さんの御意向もこれに大體贊意を得ておつた問題でもありましたので、實は先刻申し上げましたようないろいろな都合がありまして、林政調査會におはかりすることができなかつたような次第であります。その點どうぞ惡からず御諒承お願いいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=30
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031・氏原一郎
○氏原委員 政府はいわゆる民主主義の事態に即應するためにいろいろ委員會等をおつくりになりますが、私はできるならこれら委員會が單なる有名無實のものでなくて、ほんとうの政府に對する協力機關として有效に動くように、これは各省の方もおいでになるようでありますが、今後はかように機構の大きな改正を行う場合には、大いに調査會等の意見を聽いて、その上でおやりを願いたいと思います。昨年の臨時議會等でこの問題が取上げられておつたといつても、それは議會の内部の問題であつて、林政調査會の委員は議會人のみでできておるのではありますまい。こういう點について今後政府當局は十分にお考えを願いたいと思います。
次に林政機構の改革と統一の問題についてお尋ねいたしたいのであります。わが國の森林は御承知の通り全面積の六割を占めておつて、これが管理經營は國土計畫はもちろん、全産業、國民生活の全般にわたつて非常に深い關係をもつておる。しかもこの森林が氣候、風土の關係上その資源の育成に適當であらというような事柄から考えまして、私どもは從來わが國の森林が十二分にその效率を發揮しえなかつたものは、およそ林政の不統一にその大きな原因があつたのではないかと思います。今囘二千三百五十七萬町歩の全森林面積のうちの八百萬町歩までが、政府が一本の特別會計で管理經營をするということに相なりましたことは、今後わが國林政の上において非常に大きな力になると信じまするが、この際一歩進んで次に私が申し上げるような林政機構の改革について具體的にお考えになる御意思はないか。また既にこの問題について何とか御研究が進められておるかということを伺いたいのであります。
第一は農林省の一局に過ぎませんところの現在の山林局を廢止して、少くとも内閣直屬の森林廳もしくは森林院といつた大きな機關をつくつて、現在の山林局、帝室林野局及び内務省に一部所管されております林政の一切を所管するところの大きな機關をつくる御意思はないか。
第二には營林局、帝室林野局の支部あるいは地方木炭事務所ないしは地方廳の林業關係の所管を統合いたしまして、都道府縣に地方林野局あるいは地方山林局といつた制度の組織をつくりまして、これによつて國有林、公有林、私有林一切を統合した林政を行つていく機關とする御意思はないか。
第三には營林署、帝室林野局の出張所あるいは都道府縣の林産物檢査所、ないしは地方事務所の林業課等を統合いたしまして、地方森林局の下部組織として、一切の林業經營及び指導の仕事をさせていく。こういうことを考えます。すなわちこの三つを總合いたしますならば、要するに今囘の林政改革によつて宮内省及び内務省へ所管いたしておりました御料林竝びに北海道國有林が一應農林省の所管に統一されましたことは結構でありますか、しかし森林行政の本質から論じますならば、少くともこの機會に、一千三百五十七萬町歩の中の約三分の一強の國有林野を特別會計で經營ができるようになりました機會に、もう一歩進めて私有林に對する指導助成というようなことをもともに一つの會計の中において適切に實行するというところまでお進めになる御意思はないか、この問題であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=31
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032・中尾勇
○中尾政府委員 國有林を管轄いたす機構の問題でありますが、中央機構といたしまして實はただいま内閣の直屬として森林委員會をつくる意思はないかというようなお尋ねでありますが、この點につきましてはいろいろ私どもの方でも研究をいたしたのでありますが、實は現在の山林局を外局といたしまして、林野局というものを農林省の外局としてつくつて管理していくことにただいま大體話し合いが進みつつあるのであります。實はお話の通り、森林院のことも考えないではありませんでしたが、いろいろの都合でその點まではいかなかつたのであります。これらの點はいづれただいまお話になりました國有林、民有林と合わせた行政機構を考えたらというようなお話も承つたのでありますが、それらのことにつきましてもいろいろと研究はいたしております。もしそういうような全森林を一つの行政機構の下において行政するようなことになりました場合には、當然今の森林院等も考えられると思うのであります。ただいまのところでは大體の關係筋との打合せでは農林省の外局といたしまして發進することになつておるのであります。
また第二のお尋ねの都道府縣別の今の地方林野局というものを考え、民有林、國有林の行政を一括していつたらというようなお話であつたのであります。この點につきましても先刻もちよつと申し上げたのでありますが、いろいろと考え、また一部研究もいたしておりますけれども、なかなかこの問題は重大問題でもありますし、さらに愼重に研究いたしましてこの點を決定いたしていきたいと考えております。
なお第三番目の下部機構の營林署等の併合につきましても同じく考えておりますが、とにかく今日御料林及び北海道廳の國有林が農林省所管になりましたためにそのおのおのの所屬下にありました營林署あるいは擔當區の區域の併合等につきましては當然これはやらなければなりませんが、民有林との關係につきましては先刻も申しましたように、今後愼重研究いたして、善處して行きたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=32
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033・氏原一郎
○氏原委員 次に森林所有形態の問題について農林當局の御意見を伺つておきたいと思います。日本の産業の民主化を促進をするために特に封建的のあらゆる制度が濃厚に殘つておりましたところの農地制度については、これを打破しなければならないという建前の上に立つて第一次、第二次の農地改革が行われました。なお不徹底ではございますが、この計畫によりまして産業の民主化の線に沿うて進行中であるようであります。ところがこの森林の所有形態につきましても私は同樣にこの際農地改革に準じて林野に對するところのいわゆる所有形態の變革をやらなければならない時期ではないかと考えるのであります。殊に戰爭中の過伐、濫伐が日本の森林の荒廢を來しておる。そうしてまたそれ以前においてわが國の私有林というものはわづか十年ばかりの間にいわゆる一人當りの所有面積というものはだんだんと大きなところへ集中されて、小面積の所有者の株はだんだん減つていくというような實情にございます。それと何と申しまするか、林地はだんだんと大所有者に集められてしまうというような傾向が過去十年くらいの統計によりますると明かになつております。こういう場合におきまして私どもは森林を無制限に個人の所有にまかしておきまするというと、過伐、濫伐によつて荒廢をいたしましたわが國の森林をますます荒廢をさせる恐れがある。と申しまするのは、山林局長のお話にありましたように、わが國の森林面積は今囘の敗戰によりまして隨分廣い面積を失いましたのみならず、同時に莫大な蓄積をも失うておりまするので、結局ここしばらくの間日本の木材事業というものは實際の生産をずつと上廻つてくるのではないかということが考えられる。となりまするというと戰爭中は戰爭に協力するために過伐、濫伐を強行したが、今度はこの森林がいわゆる營利經濟、自由経濟の目的物、對象物として考えられるということになりまするというと、日本のいわゆる森林行政というものの本筋を押えるよりも前に、その林地の所有者の營利のために再び今度は過伐濫伐あるいは幼齡林の伐採というようなことが繰返されるのではないかというようなことも考えられるのであります。この意味合において、私は今日こそ農地改革の精神に準じて林地に對する所有形態の變革を考えなければならぬ時と思うのであります。具體的に申しまするならば、林地は一應これを國家で買取り、そうしてその買取りました森林林野の中で、その森林の所在いたしまする地元の人民の薪炭用、あるいは肥料用といつたようなものを確保いたしますためには、一世帶について、北海道についてはいくらにする、内地についてはいくらというような限度を定めて、それらの森林を部落ごとに共有林野としてこれを拂下げをする。これが管理經營は地もとにおきまするところの林政機關の監督のもとに、部落林野委員會とか、あるいはまた市町村の森林組合等にこれを管理させる。こういうような思い切つた林野制度に關する、林野の所有形態に關する變革を考慮しなければならぬ時期は今ではないかと考えるのでありますが、そのことを申し上げますることは、農林當局がもちろん御承知でありましようが、最近三千萬トンの石炭を確保しなければ日本經濟の再建がないという建前の上に立つて、杭木その他の生産が非常に急がれておりますにもかかわりませず、この坑木の生産がまことに成績が上らないというところから、民有林の杭木生産のために、私有林に對する國家管理による強制伐採という要求すらも、これは有力な石炭増産協力會の方から既に具體的に取上げられて、政府に對してこの點で相談があつたことと存じておるのでありますが、こういう工合でございまして、今日こそこの無制限に許されておりまするところの、林野に對する所有を制限いたしまして、これをもつと公共的な森林の目的に副い得るような一つの形態をつくるべきではないかというふうに考えるのであります。しかもこれは今囘の國有林野特別會計の設置とともに、眞劍に考えて具體化する必要がある問題ではないかと私たちは愚考する次第であります。この點に對する政府の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=33
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034・中尾勇
○中尾政府委員 お答えいたします。先刻もちよつと觸れたのでありますが、戰後における森林の現状、また最近における木材需給の現状等から考えまして八千萬同胞の民生を安定いたしますためには、どうしても林地の生産力を最高度に發揮しなければならんということを申し述べたのでありますが、ただいまもお話がありました通り、現在需要は非常に厖大なものがあり、供給は伴わない。むしろいまの戰災家屋の復興その他重要用途材の需要等を考えますと、需要に及ばないことはなはだしいような供給の状況であります。そういうような點から考えますと、森林行政にはこの際思いきつた手段を講ずる必要があるように思うのであります。この問題につきましてはいろいろと研究はいたしておりますが、しかしまだその成案を得るまでにいたつておりませんし、特にただいまお話の所有形態の變革ということまではまだ政府としては考えておりません。しかしいろいろ御意見の點もありますし、今後ともこれらの點については愼重に考究をして對策を立てていきたいと考えております。なお今枕木のお話もあつたのでありますが、三千萬トンの石炭の確保のためには約一千二百萬石のうち石炭については九百萬石の枕木を必要とするのであります。この生産につきましては、私等としてあらゆる努力を拂つておるのでありますが、いまの立木の賣買状況なりその他から推しましてある一面の不安もありますので、この際國家管理とまではいきませんけれども、臨時物資需給調整法に基きました生産命令というか、強制伐材についてただいま考究しております。これも枕木生産のために十分研究して善處いたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=34
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035・氏原一郎
○氏原委員 次に緊急植栽計畫の樹立について伺いたいと思います。先刻來小笹委員も申されておりましたように、我が國の森林が國有、御料、公有、私有を問わず、戰爭中濫伐過伐によりまして荒廢をいたしておりますことは政府ももちろん御承知のことだろうと思います。この現状をこのままで捨ておきますと、私は前段にも申し上げました通りまことに由々しき一大事が發生することを豫想いたしまして、まことに心を寒くするものであります。この際政府においてはいわゆる緊急植栽計畫を立てまして、特に水力發電の水源地區及び灌漑用水の水源地區一帶にわたりまして、その所有者が何人であろうということを問わないで、國において總合的な緊急植栽計畫をお立てになつて、これら地區の無立木地、伐採跡地を少くとも五箇年以内に解消するという御計畫を立て、實現をはかる御意思はないか。
第二はこれに關連をして荒廢林地の復舊でありますが、荒廢林地の復舊の經費については、從來大體國は地方廳に對する補助をもつてやつておりましたが、私はこの緊急植栽計畫を立てて、一面において無立木地竝びに伐採跡地の解消をすると同時に、荒廢林地の復舊ということはすべて國家が補助をしてやるというようななまぬるいやり方では絶對に成績が上らない。少くともこの際國費をもつてこの全國的な荒廢林地復舊事業というものを行いまして、林地の荒廢を防止するとともに、森林生産の實をあげ得るようにしなければならぬと思うのでありまするが、この點についての御意見を伺いたいと思います。
それから同時に、從來すべて造林事業というものが、常に大體におきまして針葉樹造林ということに重きをおかれまして、けやき、くり、くるみ、かし、ならといつたようないわゆる優良薪炭資源、あるいは家具用材資源といつたようなものの確保をはかるところの闊葉樹造林というものが常におろそかにせられておつた傾きがないのではありませんが、私は今後わが國におきましても、この闊葉樹造林というものをもつと科學的に研究をして、この方面へ力を入れませんければ、むしろ今後の薪炭資源、家具用材資源というような點において非常に困る時期が來るじやないかというようなことを考えますが、この點について御意見を伺いたいと思います。
それから厚生省の政府委員がお急ぎのようでありますから、簡單でございますから一つ伺つておきたいと思います。勞働者災害保險特別會計に關連をいたしてでございまするが、別の委員會でただいま審議をせられておりまするところの勞働者災害保險に關して、いろいろ既にこれらの問題が觸れておるかとも存じますけれども、大體この勞災というものは政府は何等の負擔をしない。その政府が何等の負擔をしないという理由は、勞務者に對して負擔をさせないから政府も負擔しないというのである。ところで勞務者に負擔をさせない、政府が負擔をしないということのために、從來この勞働者災害保險というものは、實際においてその對象となつて救濟をされなければならない勞働者の救濟という仕事が行われていないのであります。すなわちもつとかみくだいて申しますならば、せつかく勞働者災害保險という制度がありまするけれども、從來土建業者等は、この保險に對して政府が納むべきところの保險金を納めるというようなこともしなければ、同時に事故が起りましたような場合でも、ほとんどこれに對しては僅かの見舞金といつたようなことで問題を片付けてしまいまして、せつかくの政府の親心はそれほど徹底していなかつた。今囘の勞働基準法の制定と同時に、これらの事柄も非常に重要にとり上げられてまいりますることでございましようが、私はこの際少くともこの勞働者災害補償保險というものにつきましても、ある程度の勞務者の負擔を要求すると同時に、政府もまたこの保險に對して相當の負擔をいたしまして、あるいは健康保險その他の今日の社會保險と同樣の立場において、勤勞階級に對するところの災害補償の實をあげるということが考えられなければならないと思います。これは一例でありまするけれども、戰爭中中等學校の生徒が學徒動員で仕事に出ました。ある者はいわゆる土建もしくは林業等の屋外作業に從事をいたしました。ある者はそれが工場勞働者と同樣に工場に働いた。こういうような場合において、一方は健康保險法等によりまして、業務上の災害に對する以外のいわゆる保險給付をも受けることができましたのに、一方は業務上の災害に對する給付以外は何等の給付を受けることができなかつた。これは朝鮮からまいつておりました徴用工等にもこういう實例がございましたことは厚生省でも御承知の筈でございますが、こういうようなことで、私どもこの際勞働基準法の精神に基いて、かような法律が特別會計を設置されるというような機會において、この根本についてよほど考えてみる必要があるのではないか。勞務者にもある程度の負擔をさせると同時に、これは單なる土建、林業であるゆえをもつて業務上の災害に對する保險給付のみでなく、健康保險法によるものと同樣に取扱いをすべきもの、そうして勞務者に對して保險金の負擔をさせると同時に政府もまたこれに對して相當の負擔をしていくべきである、こういう根本的の問題についての御意見を伺いたいと思います。
それから保險局長さんから御囘答がいただけるかどうかわかりませんが、これは國民健康保險が御承知のごとく全面的にいわゆる潰れるかどうかという關頭に立つております。おそらく私は全國的にこの傾向は顯著であろうと思います。從いましてこの際國民健康保險というものに對する根本的な考え方をどうこうするということに觸れるのではございませんが、ただ現實の問題として國民健康保險組合等に使われておりまする全國數千の保健婦の問題でありまするが、これらの人々がいわゆる失業の一歩手前にある、全然熱意をもつて仕事をしようということも考えられません。ところで政府は、新憲法は第二十五條におきまして國民に對するところの公衆衞生のあらゆる施設等についての責任を國家は負うておる、そういうような場合においてこの公衆衞生の第一線の部隊として働かなければならないこの保健婦が、國民健康保險というものの、それ自體の今日の状態では事實において仕事ができないというようなまことに憂うベき状態でありまするが、これらの問題について政府當局は何等かの對策をおもちであるかどうかということを一つこの機會に伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=35
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036・中尾勇
○中尾政府委員 お答えいたします。第一の問題の緊急造林の問題でありますが、この造林の問題の重要性につきましてはいまさら申し上げるまでもないのであります。政府におきましてもこれは國土保安の上から申しましても、また森林資源の造成の上から申しましても速急實施を要する問題でありますので、前の議會においても申しました通りに、二十一年度から以降五ケ年間に二百七十二萬町歩の造林計畫を樹立いたしまして、それに向つてただいま努力をいたしておるのであります。二十一年度の豫定は大體四十七萬町歩の豫定をいたしておつたのでありますが、昨年の十月までに大體八萬町歩の造林を終つております。十月以降におきまして殘面積を實行いたさなければならないのでありまするが、御承知の通り戰時中苗圃が食糧増産のために轉移されたというような關係もありまして、苗木が非常に不足をいたしております。それと昨年の種子が非常に凶作であつた。この二つの點でこの造林事業の進捗上非常に憂慮をいたしておる次第でありますが、本年度の殘りの面積はできるだけ進捗をはかりたい、苗木におきましても二年生を利用し、あるいは挿木造林にするというような點。また三番目にお述べになりました特殊樹種の造林、闊葉樹の造林というような點も特に考えまして、伐採跡地において既に實生あるいは萠芽であります有用闊葉樹種等をできるだけ造林豫定地には殘しまして、そうして針葉樹の植栽數をある程度縮少いたしまして造林面積の増大をはかりたい。そういう方法をもちましてできるだけの造林をいたしていきたいというふうにただいま考えて實行いたしております。しかしただいまの見透しといたしましては四十七萬町歩全部を完成することは非常に困難なのではないかというふうに考えられますので、一層關係方面を督勵しましてただいま努力をしております。二十二年度においても最初の豫定は大體五十六萬町歩程度を植栽する豫定をもちまして進んで來ておつたのでありますが、ただいま申し上げましたように昨年の種子が非常に凶作であつた點が非常に打撃となりまして、この點來年度の植栽も五十六萬町歩全部の植栽を完遂することは非常に困難性があるのでありまするが、大體四十萬町歩程度の植栽は可能ではないかというふうに考えまして、それに向つてこの春事業から來年度の二十二年度の事業といたしましては、まず第一に極力苗木の養成に全力を注ぐ、種子の不況でありましたその對策といたしましては、天然生の稚苗を移植するとか、あるいは挿木苗の増植をはかるというような點で、極力苗木の養成を急がなければならぬということで、この二十一年度の春事業並びに二十二年度の事業におきましては苗木の養成にまず全力を注ごう、それから實際に大々的の造林にかかるのは二十三年度から實際の造林事業にかかつていこうということにただいま考えております。そういうふうに着々進めておるような次第であります。お説の通り水源涵養上必要なところは實行にあたりましては最優先的に實施する計畫であります。
それから第二番目の御質問の荒廢林地の復舊事業の點でありますが、これは事務當局の者といたしましてはお説の通り全額國庫負擔でやつてもらいたい、またやるべきものだと考えまして、關係當局方面にも折衝もいたしておつたのでありますが、現在の財政状態から鑑みまして容認せられるに至らなかつたのでありますけれども、さらにこの點につきましては今後關係方面と折衝努力をいたしたいと存ずるのであります。
なお三番目にお尋ねの濶葉樹の造林、これはただいまちよつと申し上げましたが、この必要なことは私も痛感いたしております。これは針葉樹の一般造林と同時に特殊樹種の増植につきましては一段と努力をしなければならないと存じまして、これは二十一年度から、くり、けやき、かし、うるし等につきまして實施をする計畫をいたしております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=36
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037・石丸敬次
○石丸政府委員 氏原さんの御質問に對してお答え申し上げます。數日前まで知事をしておりましたので、きわめて詳細なるお答えはできませんが、氏原氏と同じような杞憂を私もかつて懷いておつたのであります。要點は事業主の負擔のみによる保險で従業員がはたして救われるや否や、こういう點にあると思います。私は救われると、こういうふうに確信いたしております。と申しますのは、醫療給付にいたしましても、現金の給付にいたしましても、政府自體が保險についてはその責任者と相なつておるのであります。從いまして責任を負つておる政府自身がその責任を遂行しないということは、保險に關する限り私はないと確信しております。そこで事業主だけが負擔して政府は少しも負擔をしない、また勞務者が負擔をしないということの是非の問題が附隨してまいりますが、私はかように考えます。勞働基準法の原則は事業上の災害に關しては事業主が負擔するという大原則をもつて一貫しておるのでありまして、その勞働基準法の大原則の裏づけをする勞働者災害補償保險法はその原則を踏襲せざるを得ない。また踏襲することが當然であると考えております。
第二點は業務上の災害についての責任を勞働者が負うということはあり得ない。業務上の災害についての責任を勞働者自身が負うということは勞働基準法の原則に反する。勞働者の生活の向上、ひいては日本の再建、産業の興隆に決してよい效果は發揮し得ないであらうと考えるのであります。さらにまた最近における勞働者に對する一般の認識が向上されてまいりましたので、過去においてはさようなこともあつたかもしれませんが、將來において漸次事業主の方の認識も向上されてまいりますし、かたがた各方面を彼此考慮いたしまして、私は事業主のみの負擔によるこの保險がうまくいかないであらうということはないと確信いたしますと同時に、遂行上におきまして御説のようないろいろな事情がありますれば、十分一つ御意見を伺いまして、欠陷のある點は逐次改めまして、できるだけ事業が圓滿にまいりまするように事業主も勞働者も相携えて日本の産業再建のために貢獻のできるように盡力したいと存じておる次第でございます。
第三點の健康保險に關係しておりまする保健婦の問題でありますが、保健婦の實體についていろいろきわめて御同情のある御意見を伺いまして私は衷心から感謝する次第であります。國民健康保險の問題が根本的にいかになるかということと密接不離の關係に立つておりますので、厚生省といたしましては重大なる問題の一つとしてただいま考慮いたしておりますが、今直ちに具體的にお答え申し上げる段階に立つていないことをまことに遺憾に思いますが、御意見の點を十分考慮いたしまして、なるべく早く何とかの方法を講じたいと存じておる次第でございます。以上をもちましてお答えといたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=37
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038・氏原一郎
○氏原委員 御着任早々の保險局長さんに申し上げましてもむりなことであるかもしれませんが、局長さんは今業務上の災害に對する負擔を勞務者に負わせることは妥當でないとおつしやる。そうすれば健康保險、船員保險等の場合におきましても、業務上のいわゆる公務によるところの休業あるいは病氣といつたようなものについても、その健康保險の保險料金は勞務者もこれを負擔しておる。そうして勞務者の負擔した保險料の中から公務によるところの保險給付が行われておる。こういうことになりますと、政府委員の御答辯は健康保險の場合においても、かように業務上の保險給付と業務外の保險給付と二本建にしていかなければならぬという議論が起つてくる。私はそういう議論を政府委員とするのではなくして、一體この勞働基準法に基づいて勞働者災害保險というものをつくるということになるならば、なぜ業務上の分についても、業務外の分についても同じく健康保險と同樣に一部の負擔を政府もし、一部の負擔を勞務者にもさせて歩調を合わせるという方向にいかないのか。何がゆえにこの分、土建及び林業關係のものだけは、別個に勞務者には負擔させない、その代り業務外の災害に對しては給付しないという差別扱いするのか、この問題と一應歩調を一つにしておいて、現在のごとく幾つかにわかれておる厚生年金保險であるとか何だとかいうような社會保險を統合して、もつと強力なものにつくり上げるという方向へ進むのが妥當ではないかという基本的な私の考え方であります。この點に對する厚生省としての御意見を私は伺つておるわけでありますから、恐れ入りますがもう一囘この點を御明確にお願いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=38
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039・石丸敬次
○石丸政府委員 最初の御質問の前段については、他の政府委員から例を上げて御説明申し上げたいと思います。後段につきましては、まつたく私は御意見の通りに、同時に保險関係の諮問機關におきましてはやはり御説のような點に達しておるのであります。ただこれを具體化していくという段になりまして、各種の難點があるわけでありまして、ただいましきりにそういう方面の調査を進めてまいつておるのであります。いずれ成案を得ますれば御審議願いたい、かように存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=39
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040・友納武人
○友納政府委員 前段の點でございますが、健康保險、厚生年金におきましても、業務上の災害に對する負擔は事業主になつておるわけであります。業務上の災害の給付につきましては勞働者は負擔をしておらないということにつきましては、健康保險、厚生年金を通じて同じことであります。ただ土建、森林の勞務者に對しては、なぜ業務外の給付が社會保險にはないのかということでございますが、この點はおそらく技術上の問題でありまして、土建、森林のいわゆる屋外勞務著につきましては、雇傭期間が非常に短かかつたり、あるいは日雇であつたり、あるいは賃金の給與形態が非常にまちまちであつたりというような單純な技術的な問題で、從來森林、土建勞務者に對して業務外の保險がなかつたわけであります。今度つくります勞災補償保險につきましては、業務上の災害だけを全部一緒にいたしまして、土建、森林のみならず工場鑛山の勞務者を全部一括して一つの業務上だけの保險をつくる。業務外のものは工場、鑛山については健康保險、厚生年金というような形態になつたわけであります。從つて業務外の保險の範圍を土建、森林の方にどうやつて及ぼすかという技術的な研究問題といたしまして、將來厚生省として研究してまいりたいと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=40
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041・氏原一郎
○氏原委員 ただいまの私の最初の質問の、第二の國民健康保險組合の現状からいたしまする保健婦の問題についての御答辯でありまするが、この點については公衆衞生局長さんがお見え下さつたようでありますから、この際折り返して一つ伺つておきたいと思います。おそらく公衆衞生局の方で御献立になつておられることかと存じますが、ただいま相當長期の期間をもちまして、厚生省の方で、もちろんこれは前の厚生省時代の御計畫であるかどうか、あるいは研究所の御計畫であるかはつきりいたしませんけれども、とにかく公衆衞生に關する研究生を集めて相當長期の講習會のごときをやられておる。それに集まつております研究生と申しまするか、これはほとんど全部各府縣の有力な保健婦を集められておるのでありますが、かような工合に公衆衞生局の方では保健婦というものの今後の農村、都市における活動に大いに期待をされまして、厚生省で直接おやりにならないまでも、そういうような方向に向つて保健婦というものの尻をたたいている。その一面において、その保健婦が實際に給料を受けて仕事をしなければならん全國の國民健康保險組合というものは、既に非常な力の弱いものになつておる。さらにまた一面從來府縣の農業會等がたくさんの保健婦等を配置して活動しておりましたが、それも現在の情勢では、府縣の農業會そのものも根本的に何らか考えなければならんような状態になつている。そういうことになると、この保健婦が今後安んじて働くよりどころがだんだんなくなるという實情にあるのであります。もちろん政府の方針としては、保健婦のごときは、國あるいは都道府縣ないしは市町村のごとき公共團體に設置をして活動させるべきものであつて、國民健康保健組合、農業會という機關に設置すべきものでないということについて、根本的に私どもと意見が違うとするならば、別個の問題でありますが、いやしくもこの保健婦が活動しなければ、現在現實の問題として、大多數の保健婦のよりどころとなつております國民健康保健組合その他の團體が、やむを得ず保健婦を自分の手から放さなければならん。その一面において政府は保健婦事業の擴充ということを考えて、どんどん六箇月もの長い間優秀な保健婦を講習會で中央へ集めて訓練をやつておる。この間に思いをいたして私は矛盾を感じておるわけであります。このことは私どもが矛盾を感じておるだけではない。全國の保健婦全體が矛盾を感じておる。一體どうなるのか非常な不安をもつている。この際私はこれらの保健婦の今後のよりどころについて、政府の持つている方針を明確にしてもらいますことが、日本全體の保健婦に對する一つの指針を與えることになろうと思いますので、特に公衆衛生局長さんから、この問題について御意見を伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=41
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042・三木行治
○三木(行)政府委員 ただいま保健婦の問題について、いろいろと失業者等も出てくるというような状態であるが、それに對して政府の方針はどうかという御質問でありますが、ただいま御指摘になりましたように、あるいは國民健康保險組合の業務が不振であるというような點その他から、苦干の失業する保健婦が出ることは私も承知しております。この點につきましては保險局とも緊密に連絡いたしまして、今日の國民健康保險組合というものがこのままでいいわけではないのでありまして、私どもはその立直りができますとともに、この保健婦がますます仕事ができるようにということを期待しておる次第であります。なお農業會その他の施設におきましても、この保健婦が十分に働き得ますように連絡をいたしておる次第であります。殊に私といたしましては、現在保健婦の總數は約一萬五千でありますが、保健所竝びに府縣等に勤勞いたしておるものは概ね五千でありまして、大部分は農業會及び國民健康保險組合でありますので、その點につきましてはぜひともこれらの所定の保健婦がその所屬が異つておつても、十分に緊密な連絡をとつて働けるように、失業等がないようなということで連絡を密にいたしておるわけであります。私どもといたしましては、決して府縣等の公共團體が保健婦事業の經營主體でなければならぬというようなことは考えておらない次第であります。よく連絡していきたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=42
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043・氏原一郎
○氏原委員 厚生省の方えの質問はこれで終りであります。
それでは引續いて農林省關係の政府委員の方にお尋ねいたしたいと思います。森林生産物の輸送の問題でありますが、御承知のごとく今日かくのごとく森林生産物の需要が高まつておりますにもかかわらず、その供給が必ずしも需要に伴わないということについては、幾多の理由がございましようが、なかんずく私は輸送という問題が非常に大きな隘路になつておることを認めざるをえないのであります。從いまして政府は少くとも戰災住宅の復興のために、あるいは近く決定をするでありましようところの賠償工場の撤去用材としての木材生産のために、ないしは現下何よりも先に要求せられておりまする石炭資材としての坑木の生産等のために、この生産を計畫の通りにいかないまでも、なるべくその生産力を高めていくということのためには、林産物の輸送力をもつと思い切つて擴充すると同時に、その機能の發揮のために努力しなくてはならないのではないかと考えるのであります。先刻小笹委員からもお話がありましたが、もはや輸送に便利な里山といつたものはほとんど伐り盡されておりまして、今日ではいわゆる奧山にのみ餘地が殘つておるようなわけでありますので、次に申しまする五つの事項について政府の見解を明らかにしていただきたいと思います。
第一は國有林を問わず、私有林を問わず大森林地帶と驛もしくは工場といつたものを連絡する森林鐵道の敷設について急速に調査を進めるべきではないかという問題であります。
第二は總合的な計畫によりまして、相當長期繼續作業の可能であります。森林團地と驛、土場等を連絡する森林軌道綱を完成すべきではないか。總合的計畫と申しますのは、ただ單に國有林だけを計畫の對象とするのではなくて、所有者のいかんを問わず相當長期の繼續作業ができそうな森林團地と驛、土場との連絡のために森林軌道網を完成すべきではないか。
第三は現在の林道の幅員を少くともトラツクの運行しうる程度に擴張いたしまして、同時に區間を奧地林に延長して、從來牛馬車、荷車、リヤカー程度の利用に止まつておりました林道の輸送力を擴充するという方向を定むべきではないか。
第四は國道、府縣道等の新設あるいは改良工事等と林道網との關連性をもつと重要に考えて、内務省の計畫あるいは地方の都道府縣の計畫する國道もしくは都道府縣道の新設ないしは改良計畫と、農林省のやりますところの林道の計畫とをもつと結付けていくことが非常に急ぐ問題ではないかと考えるのでありまするが。この點についての御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=43
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044・中尾勇
○中尾政府委員 ただいま輸送力増強のための林道の新設等についての御意見はごもつともと存じます。まつたく御同感でございますが、第一の問題の森林鐵道の敷設の件であります。これはお述べになりました通りに大森林とそれから今の驛附近の工場との間に森林鐵道を敷設することの必要なことは今さら申し上げるまでもないのでありますが、政府といたしましてもこの點は十分考慮をいたしております。また國有林につきましてはただいま、二十二年度におきましても敷設の計畫をいたしておるのでありますが、さらにこれは國有、民有を問わず、必要なところにおきましては敷設するということに今後十分考えていきたいと思いますが、さしあたり困難なのは軌條の入手であります。軌條の入手が非常に困難なために、森林鐵道あるいはその二番目にお述べになりました軌道を敷設することは非常に困難でありますが、國有林の方におきましては從來使用しておりました箇所の利用度が非常に薄くなつたような箇所もありますので、それらを總合的に利用いたしまして、最も重要なるところに敷設替えをすることに現在計畫をいたして實行を進めておるような次第であります。なお車道の幅員を増す、あるいは牛馬道の幅員を増してトラツクを通ずるようにせよという御意見であります。まことにごもつともと存じます。この輸送力の増強につきましては今のトラツク道に擴充改修いたす點につきましても十分考慮をいたしていきたいと考えております。なお最後にお述べになりました國道と府縣道との關連性についてでありますが、この點につきましてはお説の通り、内務省の關係當局とも十分連絡をとりますのはもちろんでありますが、さらに大事なことは、その實施につきましては當該府縣の係りと十分緊密なる連絡をとらなければならないと思いますし、從來からこの點は特に私といたしましてはやかましくいつて連絡をとらしておるのでありますが、まだ不十分なところもあるかも知れませんので、この點は特に今後注意をいたしまして關連をとるということにいたしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=44
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045・氏原一郎
○氏原委員 次に現下の實情に即しまして森林生産物の需給調整の方策について政府の御所見を伺いたい。時間がありませんからその要點だけを申し上げますが、そのつもりでお聽き願いたい。
第一が森林生産物は用材であると薪炭材であるとを問はず、所管官廳の總合的な斫伐計畫に合致するように許可制をとるということについて御意見を伺いたい。繰返えして申し上げますと、薪炭であろうと、用材であろうと、少くとも林地を森林所有者が伐採するという場合には民有林、國有林あるいは一切のものを通じましての總合的の斫伐計畫に合致するように、ある水源地區において非常に濫伐にならないように、またそれが他の産業に及ぼす影響がないように、いろいろの總合的の斫伐計畫に基いて許可制をとる、しかも生産許可を受けるものは森林組合でありますとか、森林の所有者でありますとか、製材業者、薪炭、木材の業者でありますというように、團體であろうと、個人であろうと、どんどん總合斫伐計畫に合致さえすれは許可する。こういうことを一つ現在の情勢からここ暫くの間考えなければならないのではないかと思うのであります。この點いかん。
第二には生産許可によつて生産せられた生産物はこれまた所管官廳の總合計畫の範圍によつてその用途を指定する。生産許可を受けて森林を伐採した場合にそこに今日最も國家が要望するところの坑木があるとするならば、その生産物の中の何割かを坑木にまわすというように、その生産許可を受けたものに對してはその用途を所管官廳に指定させる。
第三は所管廳は生産業者でありますとか、あるいは移出業者——輸出ではございません。移出業者、その他の生産者に對しまして、もちろんこれは薪炭も含むわけでありますが、生産物を地域外に移出をするとか、あるいは地元で消費するとかいうようにおおざつぱに分けましたものを、切符制で直接需要者に配給業者の組合または個人がそのまま配給する。今のようにやれ林業會だの、林産組合だの、やれなんだのというようないろいろな、日木地木は消えてしまつたけれども、日木地木に代つて同じように林産物を統制するような、ああいうややこしいことでなくて、生産物を地域外移出用と地元消費用とに分けておいて、直接移出業者に對しては生産者から切符をもつて行つて、そのまま移出のできるように、地元消費の配給業者等はそのまま生産業者から物が切符引換えに受け取られるような、こういう方向をとることはどうであるか。第四番は貯木場であるとか、工場であるとか、山元倉庫の施設をもう少し眞劍に考えてやつて、そうして需要期と生産期の間における製品の調節機構を完備する。このことが少しわが國の林業においては手遲れになつているのではないかと考えるのでありますが、これらの施設に對してもう少し積極的に動く御意思はないか。次は山元における製材、木工といつたような木材工業を奬勵いたしまして、輸送力をもつと輕減すると同時に、今日日本の國民に對して要請されておりますところの農山村工業といつたようなものをこの方向において開いて行く必要はないか。その次は國有林の官行斫伐事業製品でありますが、これらのものは原則的に戰災住宅の復興とか枕木とかあるいは坑木とか賠償施設の撤去用材といつたようなふうに、まずこれを優先的に確保する。今日政府は相當の値打のあるものを從來のいわゆる慣習にとらわれて、結局國有林材の林産組合であるとかいうような組合に拂下げをするというと、それはまた再び木材業者等の手に渡つてやみ價格で横流れをするようなおそれのある方向に向つて、これを流しておりまするが、さようなことはもうこの機會に、林政統一の一歩を踏み出しました機會にやめてしまつて、今日まず最も國家が要求している戰災住宅の復興用とか枕木あるいは坑木、賠償撤去用の用材というような方向にこれをまず確保するということをお考えになる必要〓ないか。それから次は原木の買付けとか事業費等にあてるために、林業用費の範圍をもつと擴大して、林産組合とか業者の團體とかいうようなものの外に、森林所在地における林業勞働者の協同體、林業勞働者の勞働組合もしくはその協同體に對して資金等を融通をする。そうして今日ややもすれば資金涸渇のためにやむを得ず、やみ取引とか横流し等をやつておりまする者もないとも言えませんが、そういうものを防止する方向を政府がおとりになる必要がある、こういう點について伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=45
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046・中尾勇
○中尾政府委員 第一の伐採の許可制でありますが、これはただいまも中央から生産命令を地方廳にやりますと、地方廳におきましては、大體用途別に森林組合連合會または傘下の森林組合、森林組合から個人の業者ということにずつと傘下の方に下して行きまして命令をいたしているのでありますが、これもただいまそういう方針ではやつておりますけれども、御承知の通り森林組合も全部でまだ三、四割程度であとはできていないというような状況にありますし、從いましてこの斫伐計畫というものもきつちりしたものはできておりませんが、大體その方向に向つて進んでおるのであります。しかし御意見のあるところはごもつともと存じますし、この點は許可制にするかどうかはもう少し研究はいたしたいと存じますが、斫伐計畫を計畫通りに實施するように、指導監督いたしていきたいと考えております。それから二番目の用途指定の點でありますが、これは大體現在國有林におきましては、立木を處分いたします際も、坑木適材ならば坑木適材と、一般用材というふうに、用途を大體指示いたしまして、用途指定まではいきませんが、指示いたしまして、處分をいたしております。また製品の處分は、これも大體用途を指示いたしまして、處分をいたしておるのでありますが、この用途指定の點につきましても、特に必要な坑木等につきましては、ある程度考えなければならないかとも存じますので、これもさらに研究してみたいと思ひます。それから第三の移出業者に切符制で取引を簡單にしろという御意見でございますが、今囘の木材の配給の方法、需給方式は大體切符制によることに相なつております。この切符制も今の消費者の切符、これは直接消費者に渡す切符であります。そのほか販賣業者に渡す切符がありまして、この販賣業者はこの切符をもちまして、生産地の業者と直接取引をし、また消費者の切符を持つております消費者は、販賣店にまいりますと、どこの販賣店にいきましても現物に換えることができるような仕組に相なつております。大體從來の相當ややこしかつた點はこれで解消すると思います。ただこの切符制にいたしますと生産と實際の配給の問題はきわめて重要な問題になつてまいりますし、とにかく生産を確保いたしませんと、給配の圓滑を期しがたいような點もありますので、今後は生産に向つて努力をし、その生産のできました範圍内におきまして、大體切符を切るように指導していきたいと考えております。なお四番目の山元倉庫の施設の擴充、ごもつともでございます。この點につきましては、特に薪炭、木炭につきまして痛切に感ずるのであります。この擴充につきましては特段に考えていきたいと存じております。なお今の用材の貯木場の點でありますが、これも現在の輸送状況その他から考えまして、狹すぎるような箇所もあるかと思いますが、この擴充につきましても實地の状況をみまして、できるだけ實地に即應するような方法をとつていきたい。もちろん先刻からお話がありました通りに、從前の生産箇所と今後の生産の箇所、つまり里附近の便利なところを伐つておりました場合の貯木場の設置箇所と、奧山を伐ります場合の設置箇所というものでは、おのずから違つてくる箇所もありますので、それらの問題を十分にらみ合わせまして擴充に努力していきたいと考えております。また今の山元製材の點、あるいは山元における木工を奬勵せよという點でありますが、私も御意見ごもつともと存じます。現在の小運送状況から考慮いたしまして、特に伐採箇所が山奧にありますと、山奧におきましてある程度加工をいたしまして、運搬する容積をできるだけ減じていくことは最も必要と思いますので、この點はできるだけ加工奬勵をいたしていきたいと考えております。
それから斫伐製品の處分の問題でありますが、これも御意見ごもつともと存じます。斫伐製品はただいまでもできるだけ緊急需要のものに振り向けたいと思つて、その方面に處分をいたしておるのでありますが、先刻御指摘になりました林産組合にやつておりますのは、國有林材を個々の業者に直接に拂い下げますと、またただいま御指摘になりましたような問題も多々起つてまいりますし、これはできるだけ公平に配分していくという建前から、實は林産組合方面に處分をいたしており、また處分いたしませんまでも、林産組合で分配の案を立てて、そうしてその案によつて處分をしていくという方法をとつておるのでありますが、今後は御指摘のように枕木とか、坑木とか、あるいは梱包用資材とか、あるいは復興建築用材というような、きわめて重要な用途の方に差向けるように努めていきたいと存じております。實は特別會計の方にも計上いたしてあるのでありますが、大消費地におきます今の重要用途の入荷状況、配給状況がきわめて惡いのに鑑みまして、この二十二年度におきましては、斫伐製品の一部を大消費地まで國みずから運搬いたしまして、そうして今の重要用途方面に——これはもちろん建築用材といたしますと、復興院の方の建築許可證をもつたものに優先的に配給することに相なるのでありますが、配給をいたしまして、しかも價格におきましても、公定價格、あるいは特定價格によつて配給をいたしまして、現在やみ價格のみで動いておるような材界を幾分でも廓清していきたいというふうに考えております。また非常に材木が入手難で困つておられる今の戰災者等にも供給していきたいというので、約二百五十萬石程度を東京、名古屋、大阪の三大消費地に運搬をいたしまして處分する計畫をいたしておるのであります。もちろんこの場合におきましても、生産地におきます地元の生産事業、たとえば製材事業等には影響を及ぼしませんように、地元の生産事業との關連性は十分に考慮していくつもりであります。それから最後の林業の勞働組合、あるいはまたその共同體に資金融通の途を講ずるようにというお話でありますが、この點につきましては今後十分研究をいたしてみたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=46
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047・氏原一郎
○氏原委員 次は樹苗の養成の問題でありますが、昨年の議會におきまして、政府委員は烈々たる確信をもつて、われわれに九億萬本の山引苗の確保を聲明せられております。ところが先刻來のお話を聽いてみると、種子の作柄が非常に惡かつたというのでもつて、本年度の緊急造林計畫が計畫通りにいかないということを言われておりますが、さりといたしますならば、一體昭和二十一年度の緊急造林計畫の中で、現在まで八萬町歩だけ實行せられて、もつともそれは十月までの實績のごとくでありますが、その後において非常に樹苗が足りないために、事業がうまくいかない、こういうと、昨年の議會の林業會法の審議の當時に、九億萬本の苗木を確保するという確信をお示しになりましたことは、一體その種子の作柄が惡いということを全然豫想しないで、多分そういう結果、九億萬本の山引苗の確保は可能であろうというところから、われわれにお示しになつたのでありますか、それとも昨年度の種子の作柄があまりよくないということについては、ある程度までお見込みを立てて九億萬という數字をお示しになつたのでありますか、その點について念のために伺つておきたい。同時に、私の乏しい知識經驗をもつて考えますならば、少くとも五箇年間に、重要な水源地帶における無立木地、伐採跡地の解消のために政府が本腰を入れて仕事をなさろうとするならば、優良な山引苗十二億萬本というものを確保しなければ、とうてい現在の日本の森林荒廢を救うという仕事はできぬのじやないか、こういうふうに考えます。しかもどちらかと申しますと、現在の状態では農業生産物の價格が非常に高いのでありますから、もちろん米の供出價格といつたようなものは別でありますが、農業生産物全體にわたつて、野菜にしろ、その他の農業生産物の價格が非常に高いのでありますから、民間における樹苗の養成事業というものにあまり多くを期待し得ないというおそれがあり、從いまして私はこの十二億萬本の優良なる山引苗の大部分は、やはり國營樹苗養成事業といつたような方向でここしばらくは賄うていくということでなければ、結局山は青くならないといるように考えるのでありますが、この點についての御所見を伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=47
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048・中尾勇
○中尾政府委員 最初の二十一年度九億本の山引苗の點でありますが、これは實は昨年九億本あれば、二十一年度の四十七萬町歩の中の植栽が約三十萬町歩程度でありますから、間に合うだろうということを申し上げたのでありますが、この九億本と申しましたのは、大體あの當時電報照會で府縣からとりましたものでありましたが、二年生、三年生で大體六億近くの苗木は現在あるではないか、大體あるような見透しもありましたし、その不足の三億本につきましては、幼苗の繰上げ植栽、あるいは山引苗の移植、あるいはその直挿し等で大體賄うつもりでおつたのでありますが、その後十一月一日現在でこれを精査いたしました結果は、二年生、三年生で約三億本の數字に相なつたのであります。本年度はこれにさらに、松などは一年生をある程度植栽する。それから特にこの不足の状況が見えましたので、今の山地自生苗の幼苗の移植、また直挿し、あるいは挿木苗の増加養成等につきまして、特に關係方面に指示いたしまして努力をいたさせているのでありますけれども、以上申しましたような事情でありまして、本年度はある程度植栽ができない箇所ができるのじやないかというふうにおそれております。しかしこれもできるだけ努力はいたすつもりでおります。
それからその次にお申し述べになりました二十二年度以降、山引苗が、年間少くとも十二億萬本必要だ、それはごもつともであります。大體私らもそういうように考えております。この養成につきましては、昨年の九十議會でも申し述べましたように、これはできるだけ種子の採取と、それから幼苗の養成は一つ國營をもつてやつていきたい、特に種子の方は優良種子を採取しなければならない關係もありますので、これは大體國でやつていきたいというふうに考えております。それから今の幼苗の方もできるだけやりたい考えをもちまして、昨年議會後にすぐ營林局の部長會議を招集いたしまして、協議いたしました結果、二十一年度に約三億本の一年生を養成する計畫を立てまして、目下實行いたしておりますし、二十二年度はさらにこの本數を増加していく方法もとつております。これは年々増加していきまして、少くとも、一方民間養苗の關係もありますので、これを全部ということはできないのでありますが、約六、七割は國の力で養成してやつていきたいと考えまして、ただいま實行いたしておるような次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=48
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049・氏原一郎
○氏原委員 次は保安林制度の擴充と整備の問題でございますが、現行保安林制度というものは、はたして現實の事態と合致するかどうかということについては、局部的ではございますが、相當識者の間に問題になつております。特にこの戰爭のために荒廢した森林全體と、わが國産業との關連性を考えてみますと、たとえば水源涵養あるいは魚付、風致、砂防、頽雪、航行目標等々の保安林というものは、現行區域をそのまま存置する必要のない所もあれば、あるいは新しく編入いたしまして、この産業上の目的を達成するために、保安林制度を活用しなければならぬという議論が、相當全國的にやかましいのであります。この際政府は、この林政統一の機會において、現在の保安林の區域の變更、保安林の解除あるいは新編入等を斷行せられて、いわゆる森林によるところの産業保護に、完璧を期するということについて、基本的の調査を進められて、急速にこれを實現に移すということについて私は伺いたいのでありますが、この點についての政府のお考えを承りたい。
次は民有林の施業案の編成でございます。この問題は私は日本の理事者にとつて一番重要な問題であり、急ぐ問題だと考えますのに、從來どうもその成績が上らない。おそらく現在の民有林に對する施業案編成に對する施業は、四〇%にも達していないと考えるのであります。本年度の一般會計の豫算を見てみましても、政府は一千八百五十四萬五千圓というものを、民有林施業案編成のために支出せられる御計畫でありまして、相當重要に考えられておることは一應うなずけるのでございますが、これはいくら政府がこういうふうな補助をお出しになりましても、私は齒に布を着せずに申しますが、一體單に森林組合とか、あるいは森林組合聯合會とか、あるいは都道府縣の林業關係の指導員は、施業案編成ということに對する何らの熱意がないのであります。だから政府がせつかく支出いたしますところの莫大な施業案編成に對する經費の補助のごときも、これは實際においてはその目的のために使われないで、よそに流れております。こういうことでありましたならば、いつまで經ちましても、この民有林の施業案編成ということの仕事は終りますまい。この民有林の施業案編成が終りませんければ、いかに政府が農林省の外局とその林野局をつくられようとも、北海道の國有林の管理經營が農林省に移つて、農林省の外局において統一されようとも、日本の總合的な林業計畫、林政というものは不可能であると、こういうふうにおそれておる一人であります。この問題については少くとも政府は先ほど私が申しました通り林政機構の統一と強化をもう一段努力せられて、民有林に對するところの施業案のごときも、國みずからがこれを立てるというところまでいかなければ、絶對に効果ある目的を達し得るものではないと、こう考えるのでありますが、この點に對する御意見を伺いたい。もう一つは國有林野所在地元町村、もしくは都道府縣に對する交付金の問題であります。地方制度調査會の意見だと承知しておりまするが、大體國有林も、御料林も、この機會に一切を都道府縣の管理經營に任して、そして都道府縣の地方の財政が非常に窮乏しておる場合であるから、これらの國有林の經營によるところの収益は、都道府縣にこれを與うべきであるというような意見も出ておつたようであります。私ども少くとも林業に關係のあるものとしては、その意見には同ずることができませんけれども、さような議論が生まれてまいりまするところの根本的な理由は一、二あります。それは國有林をたくさん地元にもつておりまする町村が、ほとんど課税の對象にならないし、そしてまたそれは、ただ單に從來の地租とかいうような問題だけのものじやないのです。森林の生産によつて得たるところの收益に對する課税もできません。そういうわけで、國有林が村の面積の相當部分をしめておるような町村が、非常に財源的に困つておる。從いまして私は少くともこの際この國有林野の所在地元町村及び市町村、都道府縣に對する交付金というものは、餘ほど思い切つてこれを計上せられ、一面におきましては地元の森林管理に對する協力と、また一面におきましては國有林經營の大きな目的を達するところの、勞働の給源としての地元と提携していく。こういうことにならなければならない。地元が國有林に對する愛護の觀念をもつともたないことによつて、何百町歩の森林が、ほんの一瞬にして山火事のためになくなるということも考えられる。こういう點から、私は今後國有林野の所在地元の都道府縣、及び市町村等に對する交付金は、今政府が許された制度の範圍において支出いたしておりますものよりも、もつと思い切つたものを地方の財源として、一應民有林の所在地、それから民有林がある場合に、その町村なり、その府縣に對して、財源として與えられる程度に近いものでも、交付金として交付するのが妥當ではないか。こういうふうに考えるのでありますが、この問題についての御意見を伺ひたい。それだけまず一應お伺いしたいと思ひます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=49
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050・中尾勇
○中尾政府委員 お答えいたします。第一番の保安林整備と擴充。この問題はまことにごもつともな御意見であると存じます。御承知の通り、この戰爭中過伐、濫伐によりまして、山の方の森林の形體は相當變つてきてまいつておりますし、その他從來の保安林におきましても、相當開墾あるいは伐採等が行われておるところもあるのであります。これらの個所につきましては、早急整備竝びに擴充を要するところは擴充をする方針をもちまして、ただいま治水竝びに災害復舊の計畫を立てますために、二十一年度、二十二年度にわたりまして、各府縣の林地につきまして、實態調査をいたしております。これら實態調査ができ上りますと、治水、災害復舊關係の計畫と同時に、保安林の整備竝びにその擴充方面にも、その方の點を調査いたさしておりますので、その整備と擴充に努力をいたしていきたいと考えております。なお二番目の民有林の施業案の編成の點でありますが、これはやはり先刻も申し上げました通りに、大體ただいままで出ておりますのは、四割程度になつております。あと五箇年間で終了いたしまする計畫を立てまして、ただいま實施をいたしておりますが、これは技術員の不慣れの關係あるいは不足の關係等で十分の成果をあげるに至つておりませんことははなはだ遺憾に存ずるのでありますが、これが機構の擴充を期し、さらにこの編成事業に對します技術者の養成指導もいたしまして、計畫の五箇年間には必ずこの編成を終了するように努力をいたすつもりであります。さよう御諒承をお願いいたしたいと思うのであります。なおこれに關しまして國自ら編成したらよいではないかというような點につきましては、先刻の問題と關連いたしましてさらに研究をいたしてみたいと存じます。
それから今の地元交付金の問題でありますが、これも御意見ごもつともと存ずるのでありますが、ただいままで大體國有林所在府縣に交付いたします分、また國有林所在市町村に交付いたします分、この兩方を合わせまして、ただいままで大體、はつきり覺えはありませんが、百萬圓か百五十萬圓程度だつたと存ずるのでありますが、二十二年度の豫算では約五百六十萬圓程度を計上いたしております。しかしただいまもお話になりました通りにこれだけでは十分とは考えておりません。さらにこの點につきましてもただ交付金として交付するか、あるいはそのほかの方法によつて地元町村の經濟の促進をはかり、いろいろ研究をいたしまして善處していきたいと考えますので、御諒承をお願いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=50
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051・氏原一郎
○氏原委員 今囘國有林野の事業が特別會計として一本になつたが、昭和二十二年度の豫算關係を見てみますと一般會計に對して實に四億數千萬圓という莫大な繰入れをいたしており、その一面においてその國有林の所在地元町村及び府縣等に對して合わせて五百六十一萬圓ということは、これは少し政府の蟲がよすぎると思います、山火事といえばかり出され、山崩れがあるといえば應急の工事にかり出される、そうして税金は全然とれない。政府は四億三千七百萬圓というこの特別會計から一般會計へ繰入れるものを儲けるというと語弊があるかも知れませんが、とにかくそれだけ收益をあげておいて五百六十萬圓を地元へ交付するということで、それほど大きな聲で發表のできることではないと思います。私はこの地元交付金の問題については桁を間違えておられはせんかと思います、これはどうしても政府としてはもつと眞劍になつて考えないと今日ややもすればわが國の國民思想もかわつてきております。今までであれば素朴な山村の人々は、國有林が燒け出したといえば自分の責任のごとく思つて消防にも從事しましたが、これからさきは恐らく私はそういうふうな素朴さがいつまでも山村に殘るということは考えられぬ。どうしてもこれは國有林の地元町村等に對して政府はよほど思い切つた交付金等を出して、もつともつと地元町村等と緊密に結びついていくということを考えなければならぬと思いまするが、恐らく山林局長さんではこの問題に對して御意見を伺いましたところで、結論的な御意見ではなかろうと思いますので、あえてこれはこれ以上答辯を要求するわけではございませんけれども、少し蟲がよすぎるということと桁を間違えておりはせんかということを一つお考えを願いたいと思う。
それから最後に勞働基準法と國有林の事業に從事する勞働者の問題についてほんの二、三伺つておきたいと思います。その第一は勞働基準法の第二十六條に、休業手當に關する規定がございます。すなわち「使用者の責に歸すべき事由による休業においては、使用者は、休業期間中當該勞働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手當を支拂わなければならない」、こういうことになつておりますが、國有林の事業にいつては非常に疑義のある問題が起る。すなわちたとえば雨天のためにトロひきだとか、そまだとか木びきだとかいうものは、雨天のために作業に從事することができない。こういう場合において、これをはたして使用者の責に歸すべき事由による以外の休業と見るかどうか、これは國有林事業については相富たくさんの御料林が入りますと相當たくさんの勞働者を使うことになりますから、こういうことは具體的な問題として起る問題たと存じまするが、こういう場合に、雨天のためにそまとか木びきとかトロひきとかあるいは賃馬ひき、こういつたものが休業した場合に一體基準法二十六條によつて政府は休業手當を出すか出さんか。
それから勞働基準法の九十六條に關連した問題でございますが、この九十六條には「使用者は、事業の附屬寄宿舍について、換氣、採光、照明、保温、防濕、清潔、避難、定員の收容、就寢に必要な措置その他勞働者の健康、風紀及び生命の保持に必要な措置を講じなければならない。」こういうことになつておる。ところが國有林の事業というものは大體におきまして相富山奥の交通の不便な所で多く行われておる。それに從事いたしまするところの勞働者の住宅施設のごときも非常に粗末なものでごさいまして、殊に最近資材が少いために、疊といつたものが宿舍は使われておる所はほとんどない莚の上、せいぜいで疊表の古いものを使つておるくらいのところで中には板の間にそのまま布團を敷いて生活をするといつた工合のところが多いのであります。こういうようなものはこの勞働基準法の第九十六條の生命あるいは保温、防濕、清潔、健康というような點から考えると、今日の國有林事業の現場における宿舍設備というものは、直ぐに引つかかることが多いと私は思う。赤ん坊が生れるのにも、莚さえも敷かない、型の間へそのまま赤ん坊を生んだという産婦もあるのでございます。こういうことになりますと相當改善しなければならない點が多からうと存じますが、これらに對して相當政府はこの勞働基準法の各條項に對して十分應え得るような豫算的措置をとつておられるかどうか、この問題について伺いたいと思います。
なお相當の質問を殘しておりますけれども、時間もございませんし、他の委員の方の御質問もあらうかと思いますので、以上で一應質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=51
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052・中尾勇
○中尾政府委員 第一番の雨天の際の休業手當の問題でありますが、これは御承知の通り勞務者が一箇月間の實働いたします日數は、大體月二十日から二十五日の間で、これは業種別によつて違いますけれども、この間の計數をとりまして、公定資金というものも決めておるのであります。雨天のために事業ができなかつたのを、そのために休業手當を與えるということはできないじやないかと私は考えますが、この點なお研究をいたしてみます。次の勞務者の宿舍の問題、これはまことに御意見の通りで、申譯なく存じておる次第であります。これは以前から、國有林事業の勞務者の施設の改修、管理につきましては、意を用いたのでありますけれども、戰時中もいろいろと資材が不足し、また戰後におきましても資材の不足等で、思う通りの改修どころか、むしろ以前よりも惡いようなところもできておりますことは、まことに遺憾に思つておる次第であります。この勞務施設の改善につきましては、今後できるだけの努力もいたしますし、またこの點につきましては、既に營林局の事業部長會議等におきましても、この勞務施設の改善につきましては、特に努力するように申し傳えてあるのであります。豫算措置といたしましては、勞務者の施設といたしまして、現在千二百二十萬圓程度をみておるのでありますが、さらに勞務施設の點につきましては、ただいまの物價等に比べますと、不足の點もあるかもしれませんが、その場合にはできるだけほかの方を融通しましても、こちらの方は急速に完備をはかつていきたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=52
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053・大谷瑩潤
○大谷委員長 丸山修一郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=53
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054・丸山修一郎
○丸山委員 私は企業再建整備法の改正法律案に關しましてお尋ねいたします。企業再建整備法に基く企業の再建整備は、現在のところ非常に延び延びになつておるようでありますが、大體いつになれば目鼻がつくのであるかという點に對して、お答えを願いたい。
次は整備計畫の出發點と相なります評價の基準、未拂込みの問題なども、大綱がきまつたようであるが、これもまたいつになれば具體的方針がきまるのかということをお尋ねしたい。會社では方針がよくわからないために、まだ迷つておる状態にありますので、以上の點について政府の御答辯を得たいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=54
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055・伊原隆
○伊原政府委員 企業再建整備法に基きます企業の整備に關しましては、再建整備の出發點になります評價基準の問題が、いろいろな事情からはなはだ決定が延び延びになりましたので、從いまして全體の再建整備が後れました點につきましては、はなはだ遺憾に存じておるのでございます。ただいま御指摘になりましたような評價基準の問題、未拂込みの問題等につきましては、過般内閣にできました企業再建整備委員會におきまして、大綱が決定いたされたのでございまして、それに基きまして、目下細目につきまして、取急いで立案をいたしておる次第でございます。今囘この委員會に付議せられました企業再建整備の改正法案等につきまして、御制定願いましたならば、それらに基きまして、評價基準と未拂込みの細目等に關します規定につきましては、四月の初め早々にはこれを公表いたすことができる段取になると思つております。從いまして、各企業體といたしましては、この四月早々きまりました評價基準竝びに末拂込みの問題等に關します方針を基礎にいたしまして、補償の打切りによる損失を計算をいたし、かつこれに基きまして、整備計畫をきめまして、大體四、五、六の三箇月以内に、すなわち六月の末ころまでには、各會社とも再建整備計畫を提出し得る運びに相なるものと考えております。なおただいま御指摘になりましたように、會社等では一體どういうふうなことになるのか、方針がわからないということをよく私どもも聞かされておりまして、その點は申譯なく思うのでありますが、本日別に會議に提案になりました獨占禁止法におきましても、大體どういう方角で會社が整備計畫を立てたらよいかということの、一應の目安が示されておりまするし、なおそのほかどういう方針によつて會社が整備計畫を立てたらよいかということにつきましては、できるだけ早い機會に、あらかじめその大體の方針を決定いたしまして、これを公表して會社によるべき基準を與えることが適當ではないか。こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=55
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056・丸山修一郎
○丸山委員 私の質問は以上で終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=56
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057・大谷瑩潤
○大谷委員長 質疑はこれにて終了いたしました。今日はこれにて散會をいたします。
午後四時五十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00719470322&spkNum=57
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