1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
國有財産法の一部を改正する法律案(政府提出)(第五二號)
作業會計法を改正する法律案(政府提出)(第五四號)
燃料局特別會計法を改正する法律案(政府提出)(第五五號)
造幣局特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出)(第五六號)
國有林野事業特別會計法案(政府提出)(第五七號)
勞働者災害補償保險特別會計法案(政府提出)(第五八號)
公債金特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案(政府提出)(第五九號)
企業再建整備法等の一部を改正する法律案(政府提出)(第六〇號)
昭和二十年度第一豫備金支出の件
昭和二十年度緊急對策費第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計豫備費支出の件
昭和二十一年度第二豫備金支出の件
昭和二十一年度特別會計第二豫備金支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費外豫算超過支出の件
(承諾を求める件)
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昭和二十二年三月二十四日(月曜日)午前十一時二十一分開議
出席委員
委員長 大谷瑩潤君
理事 小笹耕作君 理事 西村榮一君
稻本早苗君 柴田兵一郎君
最上英子君 氏原一郎君
澤田ひさ君 田中松月君
増井慶太郎君 丸山修一郎君
三月二十二日
昭和二十年度第一豫備金支出の件
昭和二十年度緊急對策費第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計豫備費支出の件
昭和二十一年第二豫備金支出の件
昭和二十一年度特別會計第二豫備金支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費外豫算超過支出の件
(承諾を求める件)の審査を本委員に付託された。
出席政府委員
大藏政務次官 北村徳太郎君
大藏事務官 河野一之君
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本日の會議に付した議案
國有財産法の一部を改正する法律案(政府提出)
作業會計法を改正する法律案(政府提出)
燃料局特別會計法を改正する法律案(政府提出)
造幣局特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出)
國有林野事業特別會計法案(政府堤出)
勞働者災害補償保險特別會計法案(政府提出)
公債金特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案(政府提出)
企業再建整備法等の一部を改正する法律案(政府提出)
昭和二十年度第一豫備金支出の件
昭和二十年度緊急對策費第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計豫備費支出の件
昭和二十一年度第二豫備金支出の件
昭和二十一年度特別會計第二豫備金支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費外豫算超過支出の件
(承諾を求める件)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=0
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001・大谷瑩潤
○大谷委員長 これより會議を開きます。國有財産法の一部を改正する法律案、作業會計法を改正する法律案、燃料局特別會計法を改正する法律案、國有林野事業特別會計法案、勞働者災害補償保險特別會計法案、公債金特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案、造幣局特別會計法の一部を改正する法律案、企業再建整備法等の一部を改正する法律案を一括議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。小笹委員。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=1
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002・小笹耕作
○小笹委員 ただいま上程になつております各法案は、いずれも憲法の改正に伴う當然の改正案でもあります。またあるものは企業の發展を期するための特別會計の設置に關する改正案であります。あるものはまた企業再建整備の必要上、その法律の一部の改正であるのでありまして、また存置の必要度の少くなつた法律の廢止に關する法律案でありまして、いずれも必要で、しかも當然の改正であると存じますので、自由黨竝びに進歩黨を代表いたしまして原案の通り贊成する次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=2
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003・大谷瑩潤
○大谷委員長 氏原委員。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=3
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004・氏原一郎
○氏原委員 私は日本社會黨を代表いたしまして、國有財産法の一部を改正する法律案ほか七件につきましての意見を申し述べたいと存じます。國有財産法の一部改正案、作業會計法の改正案、燃料局特別會計、造幣局特別會計、勞働者災害補償保險特別會計、公債金特別會計法及び企業再建整備法の一部を改正する法律案、この七つの法律案につきましては、種々の都合が政府の方にもおありのこととの御説明でありましたが、それはともかくといたしまして、財政法との關連その他の點につきまして、私ども十分にこれを審議いたしまするところの時間的餘裕を與えられず、この重要な法律案をほとんどうのみにしなければならないということについては、はなはだ遺憾に存ずるものであります。從いまして、質問等につきましてもなお十分意を盡していない點もございまするが、しかし會期も切迫いたしておりまするし、またこれを貴族院へも囘付しなければならないという状態でございまするので一應これらの法律案が憲法改正に伴いまするところの當然の改正であるという點に重きをおきまして、原案をこのまま認めたいと存じます。ただ國有林野事業特別會計法案につきましては、以下申し述べまするごとき附帶條件を附して原案に贊成いたしたいと存じます。
附帶決議
本會計より生ずる餘裕金を、一般會計等に繰入れることは妥當ではない。もし本會計において餘裕ある場合には、造林、樹苗養成、國有林所在地元(都道府縣及び市町村)への交付金、森林輸送路の擴充、林業試驗、林業文化の建設、林業勞働者の福祉施設等、單に直接國有林野事業の整備のみではなく、全森林行政の整備擴充をはかるために、これを放出すべきである。
こういう附帶條件を附しまして、原案に贊成するものであります。私どもがかくのごとき附帶條件を附しまする理由は、國有林野事業特別會計が今囘この議會に提案をされましたことについては、全面的に私ども贊成であります。喜びをもつてこの法案を迎えたのでございます。長い間、内務省、農林省、宮内省というふうに、所管を異にいたしておりましたところの森林が、一つの官廳の規律のある統制と總合的な計畫による管理經營に移されましたことは、まことにわが國森林行政の上において畫期的な出來事でありまして、そのことについては私ども心から喜びをもつてこの法律案を迎えます。だがしかしながら現下のわが國森林生産物の需給の關係、及び長い戰爭中におけるわが國森林の荒廢の状況等を靜かに考えてみました場合におきましては、この國有林野事業會計にもし餘裕金がありました場合に、それを一般會計等に繰入れるということは、絶對に避けねばならないことであると存じます。すなわち單に國有林野の事業を整備するということだけではなくて、日本全體の森林行政の整備擴充をはかるために、國有林野事業の經營によつて生じました餘裕がかりにありました場合には、それを全面的に放出しなければならない責任が政府にあると私どもは存じます。戰爭中の過伐濫伐によりまして、荒廢に歸しておりますところの無立木伐採跡地に對する造林の問題さらにまた過日來の質問應答によつて明らかにされましたごとく、樹苗養成事業の今日におけるところの状態等々を考えてみますると國有林という惠まれたるところの資源を獨占いたしておりまする國家が、この國有林の事業から生れてまいりますところの果實を、ただ單に國の一般會計に繰入れることによつて、いかにも國有林事業の優越性を誇るがごとき考え方であつてはならないと思います。殊に國有林所在地元におきましては、それが國有林でありますことのために、課税の對象ともなりませず、あるいは山火事その他の場合におけるところの地元の協力というものは、何らの得るところなくして、多くの協力を國家に對して與えなければなりません。殊に御料林が國有に編入されまする結果は八百萬町歩という尨大な面積に相なりますので、この所在地元と國との關係におきましては、從来より一層緊密なものがなければ、とうてい國有林の事業の經營というものは圓滑にまいらないと私は考えます。こういう意味合におきまして、この尨大な會計の中から僅かに五百六十萬圓くらいしか地元の町村もしくは府縣等に交付をしないということは、これはなんと申しましても間違つておることであらうと存じます。八百萬町歩の國有林面積に對して五百六十萬圓ということになりますと一町歩に對してどれだけの金額になりまするか、わずか一町歩一圓に足りないということになる。さようなことで萬が一山火事があつたとか、萬が一荒廢があつたとかいう場合に地元の協力を求めるということはまことに不都合の話だと私は思う。しかもこの國有林はいわゆる所在地元都道府縣及び市町村に對する財政的な一つの壓迫ともなつておる場合が少くありません。こういう意味におきまして、これらの所在地元への交付金あるいは森林全體の輸送路の擴充、林業試驗事業の擴充乃至は森林文化の建設及び林業一般勞務者の福祉施設の向上といつたようなことに、ここしばらく日本の森林生産物の需給の關係が一應バランスがとれまして、國家が必ずしもさように國有林以外のものに對するところの考えをしなくてもよろしいという時期がまいりますまでは、私は本會計によりますところの餘裕金は日本全體の森林行政の擴充と整備のために積極的にこれを放出するという態度を政府がとるべきであるということを確信するものであります。そうしてそれは結局においては單に森林行政の問題のみではなく、現下の日本が直面をいたしておりますところのすべての産業の危機を救うところの途であると存ずるのでございます。こういう意味合におきましてこの附帶決議を附しまして國有林野事業特別會計法案に對して贊成をするものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=4
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005・大谷瑩潤
○大谷委員長 丸山君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=5
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006・丸山修一郎
○丸山委員 私は國民協同黨を代表して本案に贊成の意を表するものであります。前者も言われましたごとく、新憲法の實施に當つて緊急を要する本法案でありますから本案に對して全面的に贊成の意を表します。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=6
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007・大谷瑩潤
○大谷委員長 討論は終りました。これより社會黨提案の國有林野事業特別會計法案に對する附帶決議案に對して採決をいたします、右附帶決議案に贊成の諸君は起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=7
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008・大谷瑩潤
○大谷委員長 起立總員、よつて本附帶決議案は可決いたしました。これより原案に對する採決をいたします。各案とも原案に贊成の諸君は起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=8
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009・大谷瑩潤
○大谷委員長 起立總員、よつて各案はいづれも原案通り可決いたしましたが、國有林野事業特別會計法案の附帶決議は、これを附けまして可決いたすことにいたします。
引續き二十二日本委員會に付託されました昭和二十年度第一豫備金支出の件、昭和二十年度緊急對策費第一豫備金支出の件、昭和二十年度特別會計第一豫備金支出の件、昭和二十年度特別會計豫備費支出の件、昭和二十一年度第二豫備金支出の件、昭和二十一年度特別會計第二豫備金支出の件、臨時軍事費特別會計第二豫備金支出の件、臨時軍事費特別會計豫備費ほか豫備超過支出の件、右承諾を求むる件を議題といたします。政府の説明を求めます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=9
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010・北村徳太郎
○北村政府委員 ただいま議題と相なりました昭和二十年度第一豫備金支出の件ほか事後承諾を求むる件七件に關しまして、これは既に本會議において大體の御説明を申し上げたのでございますが、當委員會に付託と相なりましたので、この際改めて御説明を簡單に申し上げたいと存じます。昭和二十年度一般會計第一豫備金の豫算額は二億圓でありまして、會計規則等戰時特例第三十二條の二によりましてこの全額を豫算超過支出に充當いたしました。今そのおもなる事項を擧げますれば、内務省所管に屬する警察費連帶支辨金四千三百七十餘萬圓、徴兵及附添旅費四百八十餘萬圓、臨時家族手當千十餘萬圓、司法省所管に屬する臨時家族手當三百七十餘萬圓。文部省所管に屬する義務教育費國庫負擔金七千餘萬圓、青年學校教員費補助六百七十餘萬圓、教員臨時手當補助千五百五十餘萬圓、臨時家族手當六百四十餘萬圓。厚生省所管に屬する傳染病豫防及檢疫諸費二百五十餘萬圓。農林省所管に屬する臨時家族手當三百九十餘萬圓、勤續手當三百三十餘萬圓。運輸省所管に屬する臨時家族手當三百五十餘萬圓等であります。
次に昭和二十年度一般會計緊急對策費第一豫備金の豫算額は貳拾億圓でありまして、内會計規則等戰時特例第三十二條の二により補充いたしました金額は十八億三千九百五十餘萬圓であります。今そのおもなる事項を擧げますれば、内務省に屬する戰時住區整備費、補助に要する經費千六百六十餘萬圓、横穴式防空地下施設費補助費に要する經費五千四百萬圓、戰災者其の他就農對策に要する經費四千五百十餘萬圓、防毒面整備竝びに分散保管に要する經費七百萬圓、戰災及疎開勤勞署復舊に要する經費五百十餘萬圓、大藏省所管に屬する住宅供給應急施設に要する經費四千七百七十餘萬圓、戰災財務局其の他復舊に要する經費五百萬圓、簡易住宅建設及び罹災上下水道の應急復舊に要する經費九千四百七十餘萬圓、損害保險中央會、補助及び生命保險會社損失補償に要する經費一億千四百九十萬餘圓、生命保險中央會損失補助に要する經費三千七十余萬圓。次に司法省所管に屬する分、司法本省及び各廳廳舍戰災復舊等に要する經費千六百餘萬圓。厚生省所管に屬するもの母子及び妊婦疎開施設に要する經費六百四十餘萬圓、都道府縣及び戰災援護會補助に要する經費五千三十餘萬圓、戰時災害保護費八億圓。次に農林省所管に屬するもの、戰災者その他就農對策に要する經費九千二百二十餘萬圓。運輸省所管に屬するもの、歸還輸送に要する經費四億二千四百九十餘萬圓等であります。
次に昭和二十年度各特別會計第一豫備金豫算の總額は、外地關係特別會計に屬する分を除きまして、七億千六百八十餘万圓でありまして、うち各費途に補充いたしました金額は、造幣局及び十四の特別會計にわたり、合計九千五百二十餘萬圓であります。なお外地關係の特別會計、朝鮮總督府ほか七特別會計の第一豫備金または豫備費の支出に關しましては、終戰に伴いまして、經理状況を明らかにすることができなくなりました今日、その事後承諾を求めますることが困難の状況にありますので、右諸特別會計の昭和二十年度歳入歳出決算とともに、當分の間これを延期いたしたいと考えます。
次に昭和二十年度各特別會計豫備費豫算の總額は三億九百五十餘萬圓でございまして、うち各費途に充用いたしました金額は、食糧管理及び帝國鐵道の二特別會計でございまして、合計一億二千二十餘萬圓となつておるのでございます。
次に昭和二十一年度一般會計改定豫算における當初の第二豫備金豫算額は六億圓であります。もつともこの金額は今期帝國議會に提出しておりまする追加豫算案において四億七千萬圓に減額することとしております。しかして昭和二十一年十月二十三日より同年十一月二十二日までの間において、これを豫算外に生じました必要の費途に充用いたしました金額は、四億五千七百九十餘萬圓でありまして、そのおもなる事項を申し上げますると、内務省所管に屬するものとして、道路調査費三百八十餘萬圓、測地基準點調査及び復舊費三百三十餘萬圓、警察電話災害復舊諸費四百十餘萬圓、資格審査諸費三百五十餘萬圓、臨時勤勞對策諸費一千四十餘萬圓、臨時事務費補足千七百六十餘萬圓、臨時勞働對策諸費三百餘萬圓、地方職員費補助、補足千七百六十餘萬圓であります。大藏省所管に屬する分は、大藏本省分室用建物その他買收費三千五百萬圓、地代家賃統制諸費三百九十餘萬圓、小額紙幣製造費の補足千三十餘萬圓、通貨安定對策諸費七百二十餘萬圓、人口動態調査改善諸費千三十餘萬圓、文部省所管に屬するものは、演習林臨時諸費六百九十余萬圓。厚生省所管に屬するもの、臨時豫防對策諸費七千二百六十余萬圓。農林省所管に屬するもの、開拓營農資金融通補助四千五百萬圓、まゆ檢定施設整備費補助五百八十余萬圓、水産試驗船その他建造及び修繕費三百七十萬圓、種畜牧場事業費補足七百七十余萬圓、試驗研究機關事業費補足七百三十余萬圓。商工省所管に屬するもの、臨時商工行政諸費二千七十余萬圓、特許標準局建物その他復舊費三百八十余萬圓、國産原油價格調整補給金二千五百三十余萬圓、金屬囘收株式會社補助千萬圓、石炭増産對策諸費二千七百六十余萬圓。次に運輸省所管に屬する分、航路標識その他緊急整備費五百五十萬余圓、臨時海軍事務處理費七百五十余萬圓、船員臨時補修教育費四百五十萬余圓等であります。
次に昭和二十一年度各特別會計改定豫算第二豫備金の豫算額は三千八百余萬圓でありまして、うち豫算外の費途に充用いたしました金額は、專賣局特別會計におきまして、專賣局機構整備費といたしまして、百八十萬余圓であります。
次に臨時軍事費特別會計における豫備費支出及び豫備費外豫算超過支出の事後承諾を求むる件について御説明申し上げます。
臨時軍事費特別會計は、御承知のごとく、昭和十二年法律第八十五號をもつて設置され、戰爭の終局までを一會計年度といたしまして、特別に整理されてまいりましたところ、昭和二十一年勅令第百十號によりまして昭和二十一年二月二十八日をもつてその年度を終結されましたのでありますが、その間、第七十二囘帝國議會において成立いたしました豫算額に對し、第八十六囘帝國議會までに十二囘の追加豫算が成立いたし、それに本會計設置當時において一般會計から移し整理いたしました額を加えまして、豫算總額は二千二百十九億三千五百餘萬圓に達しました。しかしてそのうち豫備費豫算額は五百十億八千萬圓でありまして、戰局の推移に伴いまして、臨時軍事費の支出が多く、その豫算に不足を生じましたために補充いたしました額は、昭和十二年十月三十日から昭和二十年十二月一日までの間におきまして、三十二囘にわたり三百四十五億二千八百餘萬圓でありまして、その所管別の内譯は、大藏省所管において五億四千七百萬圓。元陸軍省所管において百五十九億七千百餘萬圓。元海軍省所管において百二十九億八千九百餘萬圓。元軍需省所管において五十億千三百餘萬圓となつております。
次に臨時軍事費特別會計におきまして、その豫備費の豫算が拂い切りとなりましたため、一般會計からの繰入金を財源として豫算超過支出をいたしました額は、昭和十六年十一月一日及び同五日の二囘にわたりまして、一億九千三百四十餘萬圓でありまして、その所管別内譯は、元陸軍省所管において一億六千四百六十余萬圓。元海軍省所管において二千八百八十萬圓となつておりますが、これまたいずれも戰局の推移に伴いまして、臨時軍事費の支出が多く、その豫算に不足を生じたためでございます。
以上をもちまして昭和二十年度第一豫備金支出の件ほか事後承諾を求むる件七件の説明をいたしました次第であります。何とぞ速やかに御承諾を與えられんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=10
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011・大谷瑩潤
○大谷委員長 これより質疑に入ります。氏原一郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=11
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012・氏原一郎
○氏原委員 大藏省の方がお見えになつておりまする機會に、一、二お尋ね申し上げたいと思います。
まず第一に臨時軍事費特別會計豫備費支出の件でございますが、ただいま承諾をお求めになつております分は、大體昭和二十年九月、十月、十二月ごろまでのいわゆる豫備金支出でございまするが、この臨事軍事費の決算というものは一體、たとえば比島派遣軍、あるいは南海派遣軍、各派遣軍の決算といつたようなもののすべてが終了いたします時期は、一體いつ頃になるものでございましようか。それからまたこれらの各現地部隊等においては經理等の書類を全部終戰の際に燒却したようであります。そういうことになりますと、これらの完全な決算はできないのではないかということが考えられるのでありまするが、一體臨時軍事費につきましては、陸海軍その他各省關係の部分は、どの程度の時期において決算が完了することになりましようか、その點を第一に伺いたいと思います。
それからただいま承諾を求められております豫備費の支出以外に、なおまだ豫備費の支出を求める分が後に殘つておるのてあるかどうか、もしありといたしまするならば、その大體のお見込みの金額は、どの程度のものであるか。この二つについてまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=12
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013・河野一之
○河野政府委員 便宜上後の御質問からお答え申し上げた方がよいかと思います。ただいま政務次官が大體御説明になつたのでありますが、ちよつと出ておりますこの八件の豫備費の支出の承諾を求める件についての相互の關連を申し上げておいた方がわかりよいと思うのでありますが、お手もとに三册いつておると思いますが、一册は二十年度分であり、一册は二十一年度分であり、それからもう一つは臨時軍事費の關係でございます。御承知のように豫備費には大體三つの種類がございまして、第一豫備金、第二豫備金、それから特別會計で申しますと單に豫備費と言つておりますが、その豫備費、これが普通にある豫備費でありまして、そのほかにここに出ております緊急對策費第一豫備金というのがあるわけであります。第一豫備金と申しますのは、豫算の超過支出に當るものでありまして、豫算の積算の一つになつておつた數量の増加あるいは單價の騰貴等によつて金が足りなくなつた場合に第一豫備金が出せる。豫備費は特別會計の鐵道とか通信とかいうところでありますが、そこでは事業の量の増加その他避くべからざる事情に基いて豫備費が出せることになつております。それで二十年度分といたしましては、一般會計におきましては、第一豫備金と緊急對策費、第一豫備費は特別會計において第一豫備金と豫備費、こう四つにわかれておるわけでありますが、一般會計の第二豫備金支出につきましては、既にこの前の議會において事後承諾をえております。それから特別會計の第二豫備金ついても既に承諾をえておるわけであります。從いまして二十一年度分につきましては、もう既にこれをもちまして全部御承諾をえてしもうわけであります。
それから二册目の分は、二十一年度に相なつておりまするが、二十一年度の第二豫備金は、今囘の議會に提出して御承諾を求め、第一豫備金の方は今度の冬の議會に全部決算をいたいまして御承諾をお求めすることになる、こういう關係でございます。從いまして第一豫備金については、まだ支出いたしておりまして、毎日數字が動いておりますが……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=13
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014・氏原一郎
○氏原委員 ちよつと、私は第一豫備金、第二豫備金、一般會計、特別會計の關係でなしに、臨時軍事費の關係について伺いたいのです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=14
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015・河野一之
○河野政府委員 後の質問から先に申上げた方がおわかりがよいと思いまして申し上げるのであります。額がどのくらい殘つておるかというお尋ねでありましたが、二十一年度の分については第一豫備金が殘つておりますが、この數字は毎日動いております。たしか四千萬圓現在殘つておると思います。臨時軍事費はここに北支事件第一豫備金から引續いて十數囘にわたつて出しておるわけでありますが、これの決算がいつできるかということでありますが、先ほど政務次官から申し上げました通り、昨年の二月二十八日で一應その時に打切つてしまつてあるわけであります。しかし現地方面からのいろいろの書類がまいりませんので、實際にははつきりした決算はできません。それで一應そのときにおいてわかつておる數字でもつて決算をいたしまして、毎年々々經理が明らかになる分だけはその年の一般會計の決算に添附して一緒に出す。こういうような建前になつております。從つてこれは今のところいつまで續きますか、大部分のものは今年及び明年中に濟むと思いますが、事情によりましては全然書類その他紛失して状況のわからぬものもあるだらうと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=15
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016・氏原一郎
○氏原委員 この豫備會の支出のことにつきましては、第一豫備金については年度經過後の最初の議會に、第二豫備金についてはその年度經過中に開かれるところの議會に報告するということになつておることは承知しておりますが、ただいま御提案になつておりますすべての關係を一應拜見いたしますと、まず主として、第一豫備金第二豫備金についても、どちらかと申すと、給與の改善であるとか、その他一應やむをえざる支出のごとくに私どもも了承いたします。了承いたしますが、私は會計檢査院の仕事に暫く從事しておつたこともございますので、これらの問題についてはいくらか現在の會計檢査院の構成と申しますか、あるいは地方の獨立官廳に對する會計檢査制度の問題でありますとかいうことについて、自分が檢査を受けます側のみに立つた場合と、そうして自分が會計檢査の衝にあたります場合とにおいて、おのおの二つの立場からの經驗をもつておるのでありますが、豫備金の支出あるいは豫備費の支出といつたような事柄だけについて考えるのではなくて、全體的に考えて、特に最近におけるところの官廳の經理事務というものについてはまことに杜撰きわまるものがあると思われます。たとえば最近議會で問題になりました遞信省の工務局に關連いたします經費の支出のやり方といつたようなものの以外にまた都道府縣市町村等の經理事務處理の實情をみておりますと、まことに不安に堪えられない場合が多いのでありますが、政府の方ではこの豫備金支出の、これは承諾を求むる議案に直接關係はないのでありますけれど、今度の會計檢査院法の改正であるとか、會計法の改正であるとかいうような畫期的な國家經理事務とでも申しますか、そういう面にわたつて大きな變革が行われます場合に是非とも國家公共團體を通じての經理の事務にあたりますものにいま少し有能の士と申しますか、專門的な知識をもつた人をそのポストにすえて經理事務の嚴正ならんことを期するということが必要ではないか。われわれにこういうふうに印刷物をおまわし下さつても、別に證憑書類がついているわけでもない。はたしてこれに承諾を與え得るものであるかどうかということについては疑をもちます。疑をもちますけれども、さりとて豫備金支出に關する證憑書類を竝べて内容を檢討しろと言われましても、事實において檢討できないのでありまして、結局事實においてこの印刷物をこのままうのみにするというようにしかならないのであります。一體政府のおやりになつておりますことを重箱の隅を揚子でつつくというわけではないのでありますけれども、實際を言えば、私どもがこの承諾を求められた場合には、この一件ごとの支出について證憑書類を拜見をして十分な審査をしなけばならない。ところが特に終戰後において各官廳の經理事務をやつておりますところで、はたしてある程度まで專門的な經理上の仕事をやつていくことのできるといつたようなエキスパートが置かれているかというと、これは非常に大きな疑問である。そこにいろいろな問題が起るわけでありまして、私ども遞信省事件などの内容を伺つてみますと、もしあの場合において經理關係の人で少し眼のあいた人がやかましく言つたならば、すぐわかるような問題があんなに大きな議會の問題にまで發展したのだというふうに考えざるを得ないのでありますが、こういう點について大藏當局は現在の各官廳關係の經理の事務に從事しております職員等に對して、もう少し再教育するとかあるいは配置替をするとかいうようなことについて何かお考えになつている點がおありではないか。この點について一つ御意見を伺つてみたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=16
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017・北村徳太郎
○北村政府委員 ただいまの御質問はきわめてごもつともなことでありまして、御承知の通りだんだん國家全體の經理事務が大きなものになります。國家支出が非常に大きくなるに從つて經理の構成とか整頓とか、あるいは能率化というようなことが、今日最も急務であると私ども痛感いたしております。大藏省管内におきましても、ただいまお話のような再教育については相當に努力をいたしておるのであります。新しい法案が出れば、その研究會を開いて末端に至るまで眞の精神が滲透するように、そういうふうなことは實は繰返していろいろな意味において再教育いたしておるのでありますが、なお經理全體にわたる根本的な考え方とか、殊にまた財政法が今度通りますと、これに從つて經理の建て方などについてはだんだんかわつてまいりましようし、また特別會計に屬する諸案につきましても、現に御審議を願いつつあることでありまするが、これもいわば一つの特別會計によつてやつている事業、一つの公企業として、一企業形態としての經理情勢が損益計算等が今までよりはもつとはつきりするようにしようというような建前を講じておりまするし、今後ただいまお話のような方向に向つて一層努力したい。これは非常に痛感している點でありまして、御指摘のところはきわめてごもつともと存じております。一層そういう方向にまいりますように努力をいたしたい。何分長い間戰爭の眞最中にそれぞれの最も堪能の者が應召いたしましたり、それに仕事の方は非常に増大してくるというようなことから來る若干の遺憾な點がいたるところにおいて見られたのでございますけれども、これも今は既に秩序が囘復いたしまして、漸次昔のような戰時中にあつたように仕事は殖るが馴れた人がないというふうないろいろなところから來る破綻というもがもはや解消いたしましたと存じますしお話の再教育その他の點については私ども努力をいたしております。必ず御希望に副い得るかと存じている次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=17
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018・大谷瑩潤
○大谷委員長 それではこれより昭和二十年度第一豫備金支出の件以下七件を一括議題といたしまして討論に付します。討論は通告順によりましてこれを許します。小笹君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=18
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019・小笹耕作
○小笹委員 自由黨竝びに進歩黨を代表いたしまして、原案の通り承諾を求むる件を承認いたしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=19
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020・大谷瑩潤
○大谷委員長 氏原君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=20
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021・氏原一郎
○氏原委員 日本社會黨は昭和二十年度第一豫備金支出の件外七件に對しましては承諾を與うべきものであるということの意見を申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=21
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022・大谷瑩潤
○大谷委員長 増井君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=22
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023・増井慶太郎
○増井委員 私は國民協同黨を代表いたしまして本案に全面的に贊意を表するものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=23
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024・大谷瑩潤
○大谷委員長 討論は終局いたしました、これより採決いたします。各案とも原案に贊成の諸君は起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=24
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025・大谷瑩潤
○大谷委員長 起立總員、よつて各案はいずれも原案通り可決いたしました。本日はこれにて散會いたします。
午後零時八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211715X00819470324&spkNum=25
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