1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
石油配給公團法案(政府提出)(第六一號)
配炭公團法案(政府提出)(第六二號)
産業復興公團法案(政府提出)(第六三號)
貿易公團法案(政府提出)(第六四號)
價格調整公團法案(政府提出)(第六五號)
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本委員は昭和二十二年三月二十日(木曜日)議長の指名で次の通り選定された。
加藤一雄君 木村公平君
松永佛骨君 藥師神岩太郎君
山村新治郎君 横田清藏君
稻本早苗君 小野瀬忠兵衞君
岡部得三君 鈴木周次郎君
舟崎由之君 岡田春夫君
金子益太郎君 松尾トシ君
松本七郎君 東隆君
香川兼吉君 増井慶太郎君
三月二十二日委員松永佛骨君及び岡田春夫君辭任につき、その補闕として内海安吉君及び稻村順三君を議長において選定した。
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三月二十二日(土曜日)午後一時三十七分委員長理事互選のため次の委員が參集した。
加藤一雄君 木村公平君
内海安吉君 藥師神岩太郎君
山村新治郎君 横田清藏君
稻本早苗君 小野瀬忠兵衞君
岡部得三君 鈴木周次郎君
舟崎由之君 稻村順三君
金子益太郎君 松尾トシ君
松本七郎君 東隆君
香川兼吉君
〔年長者内海安吉君投票管理者となる〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=0
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001・内海安吉
○内海投票管理者 先例によりまして、私が年長のゆえをもつて投票管理者となり、これより委員長の互選を行います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=1
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002・木村公平
○木村(公)委員 委員長の選擧の方法は投票を用いず、岡部得三君を委員長に御推薦いたしたく存じます。お諮りを願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=2
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003・内海安吉
○内海投票管理者 木村君の御意見に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=3
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004・内海安吉
○内海投票管理者 御異議がないと認めます。よつて岡部得三君は委員長に御當選に相なりました。どうぞ。
〔拍手起る〕
〔岡部得三君委員長席に着く〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=4
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005・岡部得三
○岡部委員長 委員長に推薦せられました岡部であります。私ふつつかの者でありまして、どうも委員長というようなことは今までやつたことはありませんが、いろいろ皆さんの御指示と御支援があつたならば必ずやれると思いますから、どうぞひとつよろしくお願いいたします。引續き理事の互選を行います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=5
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006・木村公平
○木村(公)委員 理事はその數を三名とし、委員長において適當に御指名あらんことを希望いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=6
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007・岡部得三
○岡部委員長 木村君の意見に御異議はありませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=7
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008・岡部得三
○岡部委員長 御異議なきものと認めます。それでは
山村新治郎君 小野瀬忠兵衞君
松本七郎君
を理事に指名いたします。
〔拍手起る〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=8
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009・会議録情報2
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昭和二十二年三月二十二日(土曜日)午後一時四十六分開議
出席委員
委員長 岡部得三君
理事 山村新治郎君 理事 小野瀬忠兵衞君
理事 松本七郎君
加藤一雄君 木村公平君
内海安吉君 藥師神岩太郎君
横田清藏君 稻本早苗君
鈴木周次郎君 舟崎由之君
稻村順三君 金子益太郎君
松尾トシ君 東隆君
香川兼吉君
出席國務大臣
商工大臣 石井光次郎君
出席政府委員
物價廳次長 工藤昭四郎君
内閣事務官 小笠公韶君
内閣事務官 窪谷直光君
商工政務次官 保利茂君
商工事務官 吉田悌二郎君
商工事務官 石田磊君
商工事務官 松田太郎君
商工事務官 岡村武君
商工事務官 渡邊誠君
商工事務官 高橋哲君
貿易廳長官 永井幸太郎君
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本日の會議に付した議案
石油配給公團法案(政府提出)
配炭公團法案(政府提出)
産業復興公團法案(政府提出)
貿易公團法案(政府提出)
價格調整公團法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=9
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010・岡部得三
○岡部委員長 それでは引續き會議を繼續いたします。本委員會に付託せられております各案につき、順次政府の説明を聽取いたします。石井商工大臣。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=10
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011・石井光次郎
○石井國務大臣 ただいま議題となりました石油配給公團以下四公團について提案理由の御説明をいたします。
まず石油配給公團について申し上げます。戰後のわが國の復興をはかるためには、基礎物資でありまする石油、石炭等の適正迅速な配給を行うことがその前提條件であります。殊に石油類は産業の復興及び國民生活の安定上、欠くべからざる物資でありまして、これらの配給の適、不適ということは、直接わが國の復興に影響することに相なることは申すまでもないことでありますが、今囘石油配給公團を設立いたしまするのは、主として次のような理由によるのであります。
第一に、石油類の需給が極度に逼迫している現状におきましては、特に配給の適正迅速化をはからなければならないのでありまするが、石油類は毎月の消費量の五分の四以上を連合軍に仰いでいる状態でありまして、連合軍に對し輸入を懇請する前提條件といたしましても、政府の責任において配給を實施する體制を整えねばならないのでございます。
第二に、さきに成立を見ました臨時物資需給調整法に基きまして、重要な物資のすべては、政府が直接公文書で消費者に割當てるという體制が樹立されたのでありますが、石油類につきましては、割り當てるということだけでは配給の的確を期しがたく、當の裏づけでありますところの現物の流通そのものも政府の責任において行わなければならないと存じます。
第三に、石油類の配給を割當公文書だけに放置せず、現物の流通も把握しなければならないような場合、一手買取、一手賣渡機關として考えられますのは、私企業である石油配給株式會社によるか、私企業に一定の監督規定をおきましたところの統制會社によるか、國家が出資する公法人であるところの營團によるか、いずれかでありますが、私企業である石油配給株式會社が一手買取販賣を行うことは、別に本日本會議に提出せられるでありましようところの、私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案の趣旨に反するのであります。また統制會社も營團も、いずれも政府の割當の實施機關といたしましては十分とはいいがたいのであります。すなわち政府の外にある機關として存在しているために、石油類の配給について政府が直接の責任を負うというわけにはまいらないのであります。
第四番目に、それでは政府の專賣事業はいかがかといいますと、專賣事業とするには、巨額の政府投資を要しますので、目下の財政事情では容易にこれが許されないのであります。また官營事業といたしますと、運營の面において種々の拘束を受けまして、この變轉はなはだしい經濟状態におきましては、圓滑な運營は望めないと存じます。さらに近き將來におきまして平常の自由經濟が許容せられますときには、その圓滑な移り變りに大きな障害となるおそれがあるのではないかと思はれます。
第五に、そこで政府としましては、石油類の配給機構といたしまして、いわば政府の代行機關ともいうべき公法人である石油配給公團を設立しまして、專賣と、營團の中間の形態をとることといたしました次第であります。
第六に、石油配給公團は今まで申し上げました趣旨によりまして、營團とは異なりまして、その役職員が國家の官吏その他の政府職員として、その俸給給與を國庫から支給せられるとともに、官吏に關する一般法令である官吏服務規律、文官分限令、文官懲戒令等に服さなければならないということによつて、國家の代行機關としての性格を明らかにしているのであります。しかしながら同時に、專賣によりますところの豫算の拘束を除くために、公法人としての會計の獨立をはかつているのであります。また所要の施設は、買收によらないで、原則として賃借によるものとしていることは、公團の解散が臨時物資需給調整法とひとしく、昭和二十三年四月一日、あるいは經濟安定本部廢止の時のいずれか早い時か、または經濟安定本部總務長官の解散命令によると規定せられていることと相まちまして、平常の經濟状態に復歸した曉には、直ちに解體することを前提としているのであります。
第七に、また石油配給公團の役職員は民間から採用するのを原則としておりますが、現行の官吏の任用内規等の關係上、相當例外を認めてもなお任用することができない場合が豫想せられますので、政府といたしましては、法律中に、公團の役職員は官吏その他の政府職員となる旨を明らかにいたしまして、何らの手續を用いないで、當然政府の役人となることとし、無用の手續上の澁滯を避けているのであります。
さて、石油配給公團の業務は、經濟安定本部總務長官の定めますところの基本的な割當計畫及び配給手續に基いて、主務大臣の行いますところの個別的な監督處分に服しながら、第一に石油類の一手買取及び賣渡、第二に石油類の保管及び配給上必要な加工業務、第三に石油類の配給及びこれに附帶する輸送等の業務、第四に輸送施設の配置に關する法令に基き、石油類の適切な輸送を行うための措置、第五に販賣業者の指定等を行うのであります。これは從來石油配給株式會社の行つてきた業務の範圍をさらに一段と強化し、石油類の配給に關してはすべて石油配給公團において處理するということを明らかにしてあるのであります。殊に販賣業者の指定につきましては、その及ぼす影響が重大でありますから、この實施につきましては安定本部總務長官が條件を定め、主務大臣が認可を行うこととしてあるのであります。
石油配給株式會社は、本公團の設立とともに解散することとなりますが、その從業員の措置につきましては、現下の勞働事情を考慮いたしまして、遺憾なきを期したいと存じます。すなわち石油配給株式會社の職員は、大部分石油配給公團に引繼ぐことといたしますし、その給與は、現在の給與額を確保していくため、俸給の特例を設け、さらに特別報酬を與え得る餘地を殘しまして、圓滑なる業務の引繼ぎをはかる所存であります。また無用の混亂を避けるため、石油配給株式會社の資材は、原則として石油配給公團に引繼ぎ、石油配給株式會社の施設は、その所有していると、賃借しているとを問わず、すべて一應石油配給公團に引繼ぐこととなつております。但し施設の最終處分につきましては、石油配給株式會社の清算期間中に、關係者と協議の上、でき得る限り迅速に決定していきたいと存じます。
次に配炭公團について申し上げます。第一に、配炭公團の性格については、石油について申し上げた通りでありますから、これを省略いたします。
第二に、配炭公團の業務は、石炭、コークス、及びこの法律に指定する三千五百カロリー以上の亞炭の一手買取竝びに賣渡しがその主たるものであります。公團は、經濟安定本部總務長官の定める割當計畫及び配給手續に從い、これらの物資の適正な配給を行うのでありまして、生産された石炭、コークス及び指定亞炭は、すべて生産業者から公團に賣り渡され、公團はこれを直接需要者に賣り渡すこととするのであります。これに伴いまして配炭公團は、一定の荷渡場所においてこれらの物資の荷渡しを受けるものとし、その際品質、數量等について的確な檢査を行わなければならない規定であります。配炭公團の業務を遂行するため必要な施設は、公團が短期の存續を豫定されておるのと、政府豫算及び貸出に當りまする復興金融金庫の資金關係から、これを買收せずに、公團設立とともに、解散する舊會社その他の第三者から賃借することとし、その使用料は經濟安定本部總務長官が、適正に定めることといたしておるのであります。
第三に、公團の監督は、經濟安定本部總務長官竝びに主務大臣がこれを行うのでありますが、經濟安定本部總務長官は、主として一般的な割當計畫、及び配給手續に關して公團を指導監督するものであり、主務大臣はこれに基いて實施上の具體的個別的な監督を行うという趣旨であります。公團の會計については、その基本金が政府出資である建前から、特に會計檢査院がその檢査に當ることとしております。
第四に、公團の設立に伴う諸般の措置でありますが、配炭公團が成立したときには、現在の日本石炭株式會社、各地方の石炭販賣株式會社及び日本亞炭株式會社は解散することとなり、その清算は明二十三年四月一日までに結了いたすこととしております。配炭公團自體は、臨時物資需給調整法の失効、または經濟安定本部總務長官の命令によつて解散することは、前申した石油公團と同じでありまして、この配炭公團法もまた昭和二十三年すなわち明年四月一日、または經濟安定本部の廢止の時のいずれか早い時にその効力を失うのであります。なお現行の石炭及びコークス配給統制法は、配炭公團成立の時をもつて廢止いたし、その後は臨時物資需給調整法の有效期間に限り、該法律竝びにこれに基く省令をもつて、配給に關する必要な統制をなすことといたしております。
これを要しまするに、わが國産業の復興に緊要缺くべからざる石炭、コークス及び亞炭のごとき重要物資に關しましては、需給がきわめて不均衡な期間に限りまして、政府みずからその統制の衝にあたることといたし、民間の會社その他の産業團體が行つてまいりました統制業務は、私的獨占禁止の建前から、これをやめることといたしたのが、公團設立の眼目でありまして、政府は政府機關とも申すべきこの公團の組織と人によりまして、石炭、コークス及び一部亞炭の適切、公正な配給を行わしめたい所信でございます。すなわち政府は公團の組織及び運營に關しましては、以上申し上げましたようにいわゆる官僚統制のごとき弊害は極力これを抑止いたしまして、産業復興と國民經濟生活の安定のために、これら物資の配給に萬全を期せんとするものであります。
次に産業復興公團法案の概要について、御説明申し上げます。
政府におきましては、さきに第九十臨時議會の協贊を經まして、産業復興營團法を制定いたし、これに基きまして去る一月二十五日産業復興營團を設立し、日下着々その事業を推進中でありますが、今般物資配給の分野における公團の設立に伴いまして、從來の營團組織を公團組織に改組いたす必要を生じましたので、ここに新たに産業復興公團法を制定いたしまして、これによつて産業復興公團を設立して、産業復興營團の一切の事務を、これに引き繼がしめることといたした次第であります。
ここに提出いたしましたる産業復興公團法案は、現行の産業復興營團法とその内容におきましては、ほとんど同一であるのでありますが、營團を公團に改めましたるため、次のような相違を有することになつたのであります。
第一は産業復興公團の役員及び職員が、政府職員とせられ、官吏に關する一般法令に從うものとせられた點であります。但しこの場合におきましても、給與その他必要な事項に關しましては、特例を設けることができることとせられております。なほ公團の總裁は、通常次官と同級の官とせられるのでありますが、産業復興公團に關しましては、その業務の分野が廣汎にわたり、總裁の人選に關しましては特に産業界の老練權威ある人材を拔擢する必要があると考えますので、關係方面とも打合せいたしました結果、總裁はこれを親任待遇といたしたのであります。
第二は、公團の業務竝びに會計に對する監督につきましては、他の公團と同樣であります。
第三は、産業復興營團につきましては、役員が法令または定款に違反いたしました場合には、主務大臣がこれを解任することができるものと定められたのでありますが、公團につきましては、右のほか役員が不適任、または業務を適切に遂行していないと認められます場合には、經濟安定本部總務長官が、これを解任できるものといたした點であります。
第四といたしましては、産業設備營團の閉鎖に伴いまして、同營團の設備資材は、これを整理處分することとなつたのでありますが、この法律では特に規定を設けまして、主務大臣は同營團の清算人に對し、右の設備資材を産業復興公團に貸與せしめ、またはその讓渡を命ずることができることといたしました。
以上申し述べましたる通り改正を行いましたるほかに、産業復興公團は、最近における産業の實情に鑑みまして、從來産業復興營團の業務とせられました産業設備及び資材の建設、貸付及び賣買に關しまする業務のほか、經濟安定本部總務長官の指定する事業を隨時實施いたして、産業復興の促進に資せしめることといたしたのであります。また産業復興公團は、さきに申し述べましたるごとく、産業復興營團の業務をそのまま繼承するものでありまするから、現在の營團の權利及び義務は、その一切を公團に引き繼がしめることといたし、公團に對する政府の出資も、産業復興營團に對する出資をもつて、そのまま引き當てることといたした次第であります。
次に貿易公團法の提案理由について申し述べたいと存じます。
御承知の通りわが國の輸出入貿易は、連合國總司令部の理解ある取扱いによりまして、終戰以來漸次軌道にのり、食糧、棉花、石油、肥料等の必需物資の輸入、竝びにこれが見返りとしての生絲、維纖製品、機械類、農水産物、その他各種商品の輸出等、輸出入共に相當の進展を見ております。申すまでもなく、これら輸出入貿易は連合軍總司令部の管理のもとに運行されておる特殊貿易であり、またわが國としては唯一の貿易業務專管機關たる貿易廳の責任によつて運營される一種の國營貿易であります。貿易業務はすべてこのように貿易廳を中心とする政府機構で行うことが建前でありますが、官廳機構では豫算、經理、人員等の制約もあり、また貿易業務はその内容が複雜多岐で、しかも敏速圓滑にこれを處理することを要し、從つて實務の末端まで官廳業務として行うことは能率上必ずしも適當でない點もありますので、便宜昨年初めより輸出入の品目別に七十有余の民間團體を輸出入取扱機關に指定して、貿易廳のもとで實務を行わせてまいりました。しかし何分にも當初の急速整備を要する情勢に應ずるため、取急ぎ指定した關係上、取扱機關の形態も貿易組合あり、任意團體たる協會あり、また株式會社組織の會社あり、その他特殊の形態をとるものありというように、種々雜多で、かつその數も多きに過ぎ、業務の進展に伴い、運營上不便を感ずるに至り、早晩再檢討の上、あらためて適當なる整備を要する時期に立ち到つておつたのであります。しかもこれら輸出入取扱機關はそれを通じなければ事實上輸出入が困難なものもあること、一部の取扱機關はその加入が必ずしも自由でないこと等からして、私的獨占禁止の趣旨に副わないおそれがあり、種々檢討の結果、これらの民間團體たる取扱機關により實務を行わしめる現行制度については、修正を加へざるを得ない事態になつたのであります。
從つて政府としては、貿易廳の責任を完全に果すための措置として、私的獨占禁止の趣旨に即應しつつ、能率的なる事務運營を期し、かつ民間業界の創意と協力を十二分に生かす方針のもとに、關係方面の意見を徴して愼重に檢討した結果、この際貿易公團を設け、これにより圓滑、適正な輸出入業務の遂行をはかることが最も時宜に適したものであると思い、この貿易公團法案の提出をいたす次第であります。
次に本案の骨子とする所を概略申しのべたいと存じます。第一に本公團の目的でありますが、貿易公團は經濟安定本部總務長官の定める輸出入に關する基本的な政策及び計畫に基き、主務大臣の定める輸出入計畫及び輸出入手續に從い、輸出入に關する業務を行うことを目的とする法人であります。
第二に公團の種類でありますが、取扱物資の種類及び内容においてきわめて複雜多岐、かつ尨大なる輸出入業務を單一の公團で處理することは、運營の點から見ても、能率の點から見ても、とうてい不可能と考えられますので、鑛工品、纖維、食糧及び原材料の四箇の公團を設け、迅速的確なる運營をはかることといたした次第であります。
第三に資金につきましては、基本金は鑛工品貿易公團千五百萬圓、纖維貿易公團三千萬圓、食糧貿易公團千五百萬圓、原材料貿易公團二千萬圓であり、各公團の運營資金は貿易資金特別會計の資金から借り入れることとし、貿易資金經理の統一をはかることといたしました。
第四に業務につきましては、輸出品の發注、買取、保管、輸送、引渡がその主たるものであります。他方輸出入に關する原材料、包装材料の取得、配分の業務もあるのでありますが、これはもつぱら原材料貿易公團の專管事項であります。さらに以上の諸業務に附帶する業務を營み得ることは一般の例の通りであります。以上のことは公團の職能、すなわちこれらの業務は公團の責任のもとに行われるといふ意味でありまして、集荷、輸送、積込、積取等の實務は、一般業者の活動にまつのが、能率の點からいつても望ましいものもありますので、從來通り極力練達なる業者を十分に活用する方針であります。
第五に、公團の監督は經濟安定本部總務長官及び主務大臣が、それぞれ各事項について當る建前でありますが、經濟安定本部總務長官が貿易公團に對して監督命令を出す場合には、貿易團の主管たる主務大臣を通じてこれをなすことになつております。
第六に、輸出入取扱機關の處置について申しますと、現在の輸出入取扱機關で統制機能を營むものは、命令の指定するところによつて公團成立とともに解散し、これらの財産または債務は公團に承け繼がれることとなつてをります。
第七に、公團設立に附隨して貿易資金特別會計法を改正し、その資金を五千萬圓より十億圓に増額し、公團への融資を可能ならしめることといたしました。
以上申し上げました事項以外の點については、大體一般の公團の規定と同樣でありますから省略さしていただきます。
以上四つの公團法案につきまして何とぞ速やかに御審議の上可決せられんことを希望いたす次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=11
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012・岡部得三
○岡部委員長 物價廳次長工藤昭四郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=12
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013・工藤昭四郎
○工藤政府委員 價格統制公團法案につきましては、高瀬長官から御説明申し上げるはずになつておりましたが、長官が病氣で御缺勤でありますので、私から御説明申し上げます。價格調整公團法案提案の理由は、本會議において申し述べた通りでありますが、現在の困難な經濟條件下において、合理的かつ均衡ある物價體系を確立維持いたしますためには、必要に應じて、價格調整を實施しなければならないと存じます。これらの價格調整の業務は、從來配給統制會社等によつて實施せられて來たのでありますが、臨時物資需給調整法に基く物質の配給方式の改變に基き、これら統制機關は一手買取、販賣、及び物資の割當業務等の統制機能を喪失し、解散が豫定せられるに至りましたので、從來これらの統制機關が實施してまいりました價格調整のうち、配給公團の設立せられます物資については、それぞれの公團において價格調整を實施せしめ、それ以外の物資についてなお價格調整を繼續して實施する必要のありますものにつきまして、價格調整公團を設立せんとするものであります。
價格調整公團は、經濟安定本部總務長官の定める基本的な政策及び計畫に基いて、物價廳長官のなす指導監督に從い、價格調整のための資金の受入または交付、買取及び賣戻竝びにこれらの附帶業務を行うものであります。從つてこの公團におきましては、他の配給公團と異り、配給業務は全く行わず、もつぱら價格調整の業務のみを行うのであります。價格調整公團において行います價格調整の一般方針といたしましては、特別會計及び配給公團取扱物資以外の重要物資につきまして、次に申し述べますような事情がある場合に、價格平準制、價格差補給制及び運賃プール制を實施しようとするものであります。すなわち第一に、自然的條件その他やむをえない生産諸條件の相違によつて生産費の差異が著しい場合、第二に、生産方法の相違によつて生産費の差異が著しい場合、第三に一般物價水準に比べて價格が著しく騰貴している國内品と同種の物品の輸入が相當程度に豫定されます場合、第四に、現在の操業度は異状に低位であるが、近い將來操業度が高度化することが豫想されます場合におきまして、生産者價格は現在の操業度において決定し、消費者價格を將來の想定操業度によつて決定するような場合、第五に、生産費がその物の効用度に適合してゐない場合、第六に、運賃が價格の主要部分を占めるような場合、ないし平均運賃込みの統制額を設定すれば配給が著しく不圓滑となるおそれのあるような場合、第七に、國民生活必需品であつて、消費者價格をなるべく低位に維持するに必要のある場合、以上のような場合に價格調整公團において價格調整を實施する豫定でありますが、その豫定品目はさしあたり金屬關係におきましては、銑鐵、普通鋼々材、硫化鑛、銅、鉛、亞鉛、硅酸鑛、アルミニウム、化學工業關係におきましては、セメント、ソーダ、硫酸、タール製品、石綿、加里鹽等であります。纖維關係におきましては、綿紡績賃、綿糸、人造絹糸、スフその他では、砂利、砂、石材であります。
價格調整公團におきましては、ただいま申し述べましたように、種々の物資につきまして價格調整をいたしますが、この際事業費關係は物資別、調整方法別に勘定を獨立して處理することを原則といたしたいと考へております。價格調整公團の圓滑な業務運營を確保いたしますため、價格調整公團は、關係者から報告を受け、檢査を行うことができますほか、物資の購入者がその賣主に支拂うべき代金を代理受領する業務も實施できる途を開いております。價格調整公團は、できる限り、速やかに成立せしめたい所存でありますが、これが成立いたしましたときには、この公團で價格調整を行う物資等の統制機關は速やかに解散し、昭和二十三年四月一日までに清算を結了することに相なるのであります。
なお、價格調整公團の役職員が政府職員であることは、他の公團と同樣でありますが、できる限り民間の優秀な經驗者を採用し、業務運營の圓滑適正を期したいと存じます。
以上をもちまして、價格調整公團法案の提案理由の説明を終ります。何とぞ御審議の上速やかに御贊成あらんことを切望いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=13
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014・岡部得三
○岡部委員長 皆樣にお諮りいたしますが、本日はこの程度にいたしまして、次會は明後二十四日月曜日午前十時より開會いたし、直ちに質疑に入りたいと存じます。本日はこれにて散會いたします。
午後二時二十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00119470322&spkNum=14
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