1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
石油配給公團法案(政府提出)(第六一號)
配炭公團法案(政府提出)(第六二號)
産業復興公團法案(政府提出)(第六三號)
貿易公團法案(政府提出)(第六四號)
價格調整公團法案(政府提出)(第六五號)
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昭和二十二年三月二十四日(月曜日)午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 岡部得三君
理事 山村新治郎君 理事 小野瀬忠兵衞君
理事 松本七郎君
木村公平君 庄司一郎君
藥師神岩太郎君 寺田榮吉君
鈴木周次郎君 舟崎由之君
稻村順三君 松尾トシ君
竹山祐太郎君 香川兼吉君
増井慶太郎君
三月二十三日委員東隆君辭任につき、その補闕として竹山祐太郎君を議長において選定した。
三月二十四日委員内海安吉君及び稻本早苗君辭任につきその補闕として庄司一郎君及び寺田榮吉君を議長において選定した。
出席國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
運輸大臣 増田甲子七君
商工大臣 石井光次郎君
出席政府委員
内閣事務官 椙杜正太郎君
内閣事務官 小笠公韶君
物價廳次長 工藤昭四郎君
商工政務次官 保利茂君
商工事務官 吉田悌二郎君
商工事務官 石田磊君
商工事務官 松田太郎君
商工事務官 岡村武君
商工事務官 高橋哲君
貿易廳長官 永井幸太郎君
商工事務官 平井富三郎君
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本日の會議に付した議案
石油配給公團法案(政府提出)
配炭公團法案(政府提出)
産業復興公團法案(政府提出)
貿易公團法案(政府提出)
價格調整公團法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=0
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001・岡部得三
○岡部委員長 ただいまより會議を始めます。質疑の通告順通りやるのがあたりまえですが、自由黨の方がまだ見えていませんので、進歩黨の小野瀬忠兵衞君から始めます。小野瀬忠兵衞君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=1
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002・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 私は今囘本會議に提案せられました石油配給公團ほか四公團法案につきまして、商工省の政府委員の方に質問申し上げたいと思います。
まず第一番に、今囘この委員會に付託せられました公團法につきましては、民間各方面から非常に反對の聲が多いのでありますが、かように民間方面にいろいろな反對があるにもかかわらず、この公團法を出さなければならなくなつたということには、何かそれほど急迫した事情があるのでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=2
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003・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 ただいまの御質問少し聽き取れませんでしたが、この公團という形をとりましたのは、今明日中に上程になります獨占禁止法の考えからいたしまして、こういう私的獨占ということを禁止する建前から、國が統制を行いますような仕事は、すべて國のいわゆる政府機關としての性格を備える必要ができましたので、そういう建前からいたしまして、全額政府出資であつて、しかもこれに官吏あるいはその他政府職員が勤務するという公法人の形で仕事をしていくという形にきまりまして、石油、石炭以外の他の公團も立案せられたのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=3
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004・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 この現在提案になつております法案を拜見いたしますと、大體におきまして、内容におきましては、從前の統制會社法とか、あるいは營團に關する規則のようなものと大して變つておらないように存じます。内容があまり變らないで、單にそういつた名稱を變えていく、まづ衣替えをしていくというような程度であるならば、特にかような法律案を幾つも幾つもお出しになつていくということの必要がないように考えられるのでありますが、御説明を承りますれば、私的獨占を排除するのである、なおまたこの機構を全部官吏機構にするというお話でございますが、私どもから考えますと、別に機構を官吏制度にしなくとも、資本金あるいは基金と申しますか、それを政府の全額出資としなくても、この監督を一層嚴重にし、運營の適正を誤らなければ、決して從前の統制會社、あるいは營團というような組織におきましても、一向差支えないのではないかと考えるものであります。なおまた私どもの考えからいたしますれば、むしろ運用するもの、監督するもの一つよりは、かえつて民主的に民間の團體にかような仕事を讓つて、政府は今まで以上に嚴重な監督をなさつた方がかえつていいのではないかと考えられるのでありますが、政府の御見解はいかがでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=4
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005・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 本會議において商工大臣からもお話があつたかと思いますが、統制機構の形といたしまして、先ほど申しましたように獨占禁止法の關係からいたしまして、私的資本、あるいは私的團體いわゆるカルテル、同業團體というものの統制事業というものを全面的に否定をせられることになりますので、それに基礎をおきますところの、從來のごとき統制會社、あるいは營團というものを利用することができなかつたのでございまして、そういう意味ですべて今囘は政府の直接の責任において統制の仕事をやるという建前を明らかにいたすために、全額政府出資及び政府職員がその衝にあたるという特別の形をとつたのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=5
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006・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 政府のお話を承りますれば、私的獨占の排除ということ、あるいは官吏制度にするということも事情やむをえないものと私どもも考えますが、もしどうしてもさような機構にしなければならないとすれば、私どもは内部機構におきましては、やはり從來の民間團體の役職員を活用してお用いになることが一番適切ではないかと思うのですが、この點はいかがでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=6
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007・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 各公團を組成いたしまする役職員というものは、從來の統制會社等のものを使つたらどうかという御質問でございますが、原則としてさようにいたしたいと考えております。そういう配給の仕事なり、あるいは營團の仕事なり熟練いたしておりまする人が、新しい公團を組織することが最も必要でございまして、少くともその優秀な技術的な方面の職員、あるいは事務的な職員の方面、これらは優先いたしまして採用する方針でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=7
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008・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 十五條に今の役職員の問題が規定されておりますが「官吏その他の政府職員とする」という政府職員と官吏というこの御説明を伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=8
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009・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 十五條に「官吏その他の政府職員」とございますが、この官吏と申しますのは狹義の官吏でございまして、官吏法の直接適用を受けるものでございますが、この公團の役職員は狹義の官吏だけでなく、廣く政府の直接雇傭するものすべてを言うておるのでございます。從いましていわゆる本官をもちますもののほか囑託でありますとか、あるいはその他の政府が直接雇傭をしておるものすべてをその他の政府職員、こう呼んでおるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=9
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010・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 御説明によりますれば、大體現在の營團または統制會社等に使用せられております職員は御採用あると承つたのでございますが、ただいまは勞働組合法によりまして、職員組合もできておりますし、おそらく實際にこの役職員の引繼ぎということになりますれば、完全雇傭の問題も出てまいることと思いますが、この點に關します政府の御見解を伺つておきたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=10
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011・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 新しく公團をつくりますについて職員の採用の問題でございますが、これは先ほど申しましたように、そういう仕事に慣れました者をもつてこの役職員に充てることがよろしいのでありまするから、その仕事の配置に應じまして必要な者を採つていく、こういうことでございますが、すべての者をそのまま採用するといふことではございませんので、やはり新しい公團の仕事に必要な者を採つていく、こういう原則をとつてまいりたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=11
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012・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 大體現在の會社または團體がやつております仕事を、もし政府が引繼いでおやりになるとすれば、その從業員の數は現在よりも多くなるお見込みですか、それとももつと少くするお見込みでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=12
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013・石田磊
○石田(磊)政府委員 私の方は石油の關係でございますが、大體石油の方は從來とほぼ同じ程度の人數を考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=13
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014・高橋哲
○高橋政府委員 配炭公團の方の關係を申しますが、これは現在日本石炭でやつております仕事よりも公團の事務が殖えます關係上、人員は増加する豫定になつております。これはつまり山元から發送まで全部公團がやることになりますので、こういう關係からして從來の日本石炭の人員よりも餘計かかる、こういうことになります。それになお亞炭關係の仕事が新しく増加いたします。それからなお地方石炭關係も全部これが新しく接收されることになるので、機構全體が大きくなるのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=14
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015・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 産業復興公團の職員は、これはそのまま引繼ぐ豫定でございますから、現員通り引繼げると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=15
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016・岡村武
○岡村政府委員 貿易公團では、從來のいわゆる輸出物取扱機關の役職員を主たる吸收の目的にいたすのでありますが、そればかりでなしに、一般の民間からも適格者を入れる豫定でございます。しかしながら全體の業務の分量が殖えますので、大體現在の代行機關の役職員と同數程度、雇傭できるのではないかと考えてをります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=16
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017・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 公團の性格上、おのおの採用人員等は違うことはもちろんでございますが、現在の職員については、あまり問題はないと思いますが、統制會社の役員につきましては、官吏となりますれば、これがその他の職を兼ねることができるのでありますか、できないのでありますか。また殊に議員等を兼ねることができるか、できないか。この點をお答え願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=17
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018・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 役員のみならず、職員も他の職を兼任をすることが禁止せられております。議員についても同じでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=18
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019・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 そういうことに相なりますと、現在統制會社あるいはその他の營團等に關係しております役員中には、きわめてその道に練達堪能と申しますか、あるいは達識の方がおられると思うのでありますが、官吏となるのも、永久官吏となるわけでありませんから、その他の兼職を打ち捨てて、わずか一年以内に解散せられるような運命にある今囘の公團の役員に就任することを承諾するかどうか、こういうことに相なりますれば、適任者をこの組織から追放するようなかつこうになりはしないかということをおそれるのでありますが、この點はいかがであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=19
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020・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 お話の通りそういう方もあろうかと思いますが、一面この兼職の禁止は、やはり仕事の適正ということを狙つておりまするので、やむをえないのではないかと考えます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=20
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021・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 今囘の官吏に任用することにつきましては、何か特別の方法をもつて任用せらるる事とすれば、そういう點は今後は考慮になる餘地はないのでありますか、お伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=21
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022・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 ただいまの兼職の問題は、嚴格に勵行をいたしたいと考へます。この仕事は、やはり配給の適正を期するという意味からいたしまして、國民の信頼を得る點からいたしまして、他の仕事を兼ねるということにいたしたくないと考えて、この規定を設けた次策であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=22
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023・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 そういう點につきまして民間では非常に心配をしているわけでございまして、特別任用をもつてするならば、何らかそこにゆとりをおいてもらうといいますか、彈力性をつけてもらうというか、そういうことがきわめて必要ではないかと思うのですが、政府にそのお考えがないとすればやむをえない次第でありますが、十分にこういう點は今後施行細則をつくるとか、その他の規則をつくる上におきましては、御考慮に入れていただきたいと考える次第であります。なお存立期間につきましては、各公團とも臨時物資需給調整法の失効、または經濟安定本部總務長官の命令によつて解散するということでございますので、この條文から見ますと、きはめて存立期間は短いことを豫想されるのであります。しかし經濟情勢によりましてはこれかさらに延長せられるものでありますか。そういう見透しはいかがでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=23
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024・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 お話のように、この公團法はすべて配給公團關係のものは一年間、いわゆる臨時物資需給調整法の施行期間と同一になつております。しかしながらこれは臨時物資調整法が今後一年間という制限がございまするのは、やはり一年後において物資の需給關係を見て、さらにこれを延長するかどうか、その時によつて考慮するということでございますので、もし物資需給調整法の延長がございまするといたしますならば、また一面配給の方面においても、公團組織によつて一手買取り一手販賣を實施していくことが必要であるということでありますれば、一年後において、その状況を見て繼續するかどうかを決定することになると存じます。おそらく今日の經濟状態からいたしますならば、なお一年以上にわたることも豫想せねばならぬかと考えております。それから先ほどちよつとお答え申しました中に、間違つておりましたので正しておきますが、公團の役職員の兼任と申しますのは、その配給公團が關係しておりましたその産業についての利害關係の營業について兼務はいけないという意味であります。そうして議員の問題は、官吏服務紀律による制限があるのであります。その點を申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=24
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025・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 それからもう一つお伺いしたいのでございますが、この法案を見ますと、この公團に必要な設備とか資材とか、そういうものはできるだけ現在の統制會社なり、あるいは營團の所有しまたは使用しておるものを借上げてお使いになるというように承知したのでございますが、現在統制會社なり營團なりが賃借しておりまする施設は、つまり業者の所有しておりまする施設等を賃借しておる場合が非常に多いのであります。業者であるがために特に一般の賃借料よりは安く、しかも家賃、地代等の統制令があるために、相當一般の賃借料は上つておるにもかかわらず、低い賃借料をもつて借入れてあるものが多いのであります。今囘政府がこれを會社、または政府から引繼いで借入れらるる場合には、ただいまの普通の賃借料をもつて借上げていただくということにしていただけるものか。それとも從前の統制會社なり營團なりが、民間人と契約しておる値段をそのままで借上げるのか。この點をお伺いしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=25
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026・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 今日統制會社が借入をいたしておりまする施設の賃借料については、私よく存じませんが、非常に低いのがあるそうであります。これらにつきましては今後公團が借入れますにつきましては、あらゆる事情を參酌いたしまして、適正な賃借料をもつて借入れるようにいたしたいと考えておりまして、その基準は經濟安定本部長官がこれを定めることに相なつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=26
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027・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 各營團に共通な質問につきましてはこの程度で打切りまして、私は配炭公團法案につきまして二、三質問申し上げたいと思います。第九十議會におきまして、衆議院は石炭配給機構の民主的改善を決議しまして、併せて日本石炭會社の解産を附帶決議したのであります。しかして政府は院議を尊重されまして、關係業者代表竝びに全國的知能を結集しました配給機構改善審議會を設置されまして、本問題を檢討され、その結論に從いまして配給機構の改善を斷行することを言明されたのであります。しかして政府はこの方針に基きまして、審議會におきまして愼重に檢討せられましたる具體案を得たので、この實現につき政府は積極的に努力することを確言したと承知しておるのでございます。改善案はいかなる構想によりてつくられ、いかなる内容を有するものであつたか。なおまた政府は右の實現についてはいかなる努力を拂われましたか。またその答申案は現在いかなる運命におかれてありますか。この點を承知したいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=27
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028・高橋哲
○高橋政府委員 ただいまの御質問に對してお答え申し上げます。石炭及びコークスの配給機構改善協議會をつくりまして御審議を願つたわけでございますが、この答申も政府に出されました内容は、これを要しまするに、公益性をもつた配給統制會社を中央と地方とに設けること、同時に配給計畫及びこれに附帶する重要事項につきましては關係者からなる諮問委員會を設置する。また配給の適正であるかどうかを監査いたしますために、監査委員會を設置する。こういう點が要點に相なつておつた次第であります。第一の會社形態でこれを運營することにつきましては、先ほどから政府委員よりお答えいたしましたように、物資の配給統制に關しまする基本原則を、政府の責任におきまして政府みずからやつていく。こういう建前をとりました關係上、不適當と考えられましたので、この點につきましては答申案の會社形態をとりやめまして、政府に準ずべき機構として配炭公團を設置する。こういうふうに變更に相なつた次第であります。しかしながらそういうような趣旨で考えられましたので、この新しい機構の運用につきましては、できる限り答申者の御趣旨に副いまして、敏活かつ圓滑にいくようにやつていきたい。こういうふうに考えておる次第であります。
なお配給計畫の問題につきましては、これは經濟安定本部が定めることに相なつておる次第でありますが、この決定に當りましては、民間各方面の意見を積極的に聽いて、これを取入れて行くような諮問委員會のごとき制度を安定本部に設ける。こういうことに考慮を拂つておる次第であります。配給の監察制度につきましても同樣、答申案の御趣旨に沿うた委員會といつたようなものをつくりたい。こういうふうに考えております。御諒承を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=28
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029・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 ただいまの御答辯によりまして、私の質問した點は大體において了承いたしました。政府のおとりになりました處置につきましては、まことに機宜を得た處置であると私も考えますが、石炭の増産が絶對に要請されておりまする現在の状態におきましては、配給機構の運營の上においては、若干の考慮を加えることによりまして、生産意欲の高揚に寄與し得ることは最も簡單で、また效果的であると思うのであります。しかるに政府は石炭配給に關し、配給公團なる法人を設立されまして、その從業員を公吏とし、これによつて石炭を專賣していくというようなことを考えておるのでありますが、私どもから考えますと、かような公團というようなものにすることは、かえつて仕事の上にも煩雜を來し、また生産の面におきましても、かえつて増産を阻害するものでないか。かように考えるのであります。今政府委員から答辯されたことは、私が申し上げました審議會の答申案とは、いくらかその内容において異つておるものがあるように考えるのでありますが、答申案に贊意を表し、これが實現に努力せられました政府としましては、これと全然構想の内容を異にしました公團によつて、完全なる配給が可能であるとお考えになるか。また石炭のような尨大複雜なる商品に對して、石油のような簡單な商品と同じような機構としてそれを一元的に取扱うということは、配給上の混亂を來すおそれがないとお考えでありますか。私どもはやはり審議會の方から答申せられました二元配給というように行つた方がいいのじやないかと考えるのでありますが、この點について御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=29
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030・高橋哲
○高橋政府委員 答申案にございました案をそのまま今度の公團法に取入れるということは、ただいまの公團關係が會社組織でなく官廳機構である、こういう關係上この點につきましては、基本の法則として別途になつたわけでございます。そこで答申案では中央配給機關と地方配給機關とが二本建になつておつた次第でございますが、公團となりますると、これが一機關に相なる。官廳またはこれに準ずる形で統制する。こういう原則からいたしまして、地方機構も一つの公團の中に取入れられた形に相なつたのでありまするが、これの運用におきましては、地方機構が活溌に業務を處理できるように、機構の内容において、これを編成していく。こういうふうに考えておりますので、運用上はこの點に支障がないように考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=30
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031・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 御説明は一應ごもつともでございますが、石炭のごとき大貨物と申しますか、重貨物と申しますか、特殊性をもちました商品につきまして、ただいまの最も公共性を有する新しい公團によつてはたしてその事業をし遂げていくことができるかどうか、私ははなはだ疑問に考えるのであります。たとえて申しまするならば、石炭というものは非常に缺斤なんという問題もございまして、こういう問題が手際よく官吏の手によつてうまく處理されていきますか。またガス用石炭だとか、あるいはその他の用途による石炭の適正配給というようなことも、これは非常に重大な問題であると私は考えるのであります。なおまた現在までの統制會社であつてさえ不親切である、官僚的であると言われておるやさきに、さらに官吏制度をもつてこの配炭の業務をいたすということになりますれば、消費者階層から非難等は、現在よりもさらに一層はなはだしくなるのではないかというようにも考えるのであります。こういう點はいかようにして是正されるお考えでありますか、お伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=31
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032・高橋哲
○高橋政府委員 ただいま公團の運營につきまして、いろいろ御質問があつた次第でございまするが、石炭、コークス、亞炭等がいずれも總合的に配給せられ、またこれが山元から消費者の手へ直結する、こういう意味におきまして、取扱いが一公團に取まとめられましたため、公團が非常に大きな機能になりましたので、御質問の通りこの公團を敏活に活用すると同時に、十分機構の總合性による利益を發揮するようにいたさなければ、ただいま御質問のようにかえつて組織が大き過ぎて圓滑な運用ができない、こういうような結果を來すおそれがありますので、この點につきましては十分この公團を組織いたします場合におきまして、注意してまいりたい。それで機構を具體的につくりますときに、今のお話のような點を十分取入れまして、内部機構としてこれの完全な運用ができるようにやつていきたい。こういうふうに考えております。なおお話のように各取扱いの問題、また需要者に對するサービス等の問題もございますが、これにつきましては新しくできまする公團の首腦者、その他の人事の問題を十分注意いたしますと同時に、別途に先ほど申し上げましたように監察委員會等も設置せられますので、これを活用いたしまして、兩々相まつて制度の完全運用といつたようなことを考えてまいりたいと存じておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=32
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033・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 内部機構の十分なる檢討によりまして、配給の不適正だとか、あるいは非能率、あるいはサービスの點等につきましては、十分なる御考慮を拂われるという御答辯を得ましてまことに結構と存じますが、私はあくまでも審議會の答申案に基く新機構による運營が最善であると信ずるものであります。しかし既に公團をどうしてもつくらなくてはならないことになつた以上、まことにやむを得ざるものと考えます。しかしながらその機構等につきまして今後十分なる檢討を遂げるためには、どこまでも從來の統制會社なり營團なりに關係したいわゆる知識經驗者、さような方々を網羅いたしまして、十分なる審議機關をつくり、審議を遂げられることが最も必要ではないかと考えます。殊に審議會の答申しました答申案の精神は、どこまでも活かしていただきたい。でき得る限り活かしていただきたいということを私は念願するものであります。どうかさような意味におきまして、現在民間からとかく反對の聲がありまする配給公團の欠陷を補われまして、民意に副うた民主的な公團たらしめるよう御努力が願いたいということを附け加えまして、私の質問を打切ることといたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=33
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034・岡部得三
○岡部委員長 一時休憩いたします。
午前十一時三十分休憩
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午前十一時四十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=34
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035・岡部得三
○岡部委員長 引續き會議を開きます。竹山祐太郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=35
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036・竹山祐太郎
○竹山委員 私は大臣がお見えになりませんから、政府委員の方に事務的な問題についてごく簡單に數點伺つて見たいと思います。今度の配給公團は安本が非常に強力な權限をもたれるのでありますが、今度出されておるものは商工省として非常に重要なものであります。こういう大きなものをつくられた後において、安本と商工省内部の行政機構に、まつたく變化がないのであるかどうか。その邊はどういうふうになりますか、安本の方にまた役人が殖えて、安本はこのために擴充をされ、商工省も依然として變化がないのであるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=36
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037・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 お答え申し上げます。公團法によりまして總合的な重要な事項は安定本部の方の認可なり、許可なりを要するということになつておるのでありますが、その點は公團の運營に關する總合的な、いわゆる全體計畫的な事項でございまして、それぞれの實施は、たとえば石油公團であれば商工省でやられる、各省でやられることになつております。御存じのように石油、石炭等の重要指定生産資材につきましては、全體の需給計畫は經濟安定本部の方でいたしておりますので、その方策に基きまして、この公團の業務も運營されるわけでございますが、安定本部でいたしますのは總合的な計畫になつております。たとえば石炭の配當を例にとりますと、どういう業種にわけるというふうな計畫になつております。これを個々の事業者にどういうふうにわけるかというのは、各省の仕事になつております。從いまして公團ができましても、計畫事務というものは從來も安定本部でやつておりましたが、今後もいたしますので、それについての若干の人が殖えるわけでございますが、實施事務は從來と同じように各省でやられますので、その點は從來と變りがない。こういうふうに存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=37
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038・岡部得三
○岡部委員長 大藏大臣が見えましたので、松本君に質問を許します。松本七郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=38
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039・松本七郎
○松本(七)委員 私は大藏大臣に御答辯願いたいと思いましたのは、大藏大臣としてでなく、現内閣成立以來の大臣として、また最近は經濟安定本部の總務長官として、關係方面との折衝にも相當御關係なさつたように聞いておりますので、根本問題について石橋さんから御答辯願いたいと思うのであります。先ほどの小野瀬さんのお話と重複いたしますから、なるべく重複を避けてお伺いしたいと思います。
第一はこういう公團法案のような機構をつくらねばならなくなつた理由についてであります。商工大臣からの提案理由の御説明でも、まず第一は統制がどうしても必要であるということ、それに私的獨占の禁止という二つがあげられておつたわけであります。しかし統制の必要であることは申すまでもありませんが、獨占の禁止もはたしてこういう營利を目的としない統制機關においても、獨占禁止法から、この法案に出たような機構にどうしてもしなければならないかどうかという點には、大きな疑いがあるわけであります。結局は機構ではない。機構よりも問題は運營にある。從來の機構でうまくいかなかつたということは、これは機構が惡いのではなく、運營がよくなかつたということなのであります。獨占禁止法によつて必ずしもこの法案のような機構でなければならぬというようなことは言えないと思う。何らかもう少し實情に即した運營のできるような機構に變えることができなかつたものであろうか。從來の機構で運營がうまくいかなかつたということは、結局政府の監督統制がまずかつたことを證明しておるのであります。それならこういう機構にしたらうまくいくかというと、結局そうではない。機構を改めても、從來でさえも運營がうまくいかない、政府の監督がうまくいかなかつたのでありますから、こういう機構にしてますます實情に即しないものになる疑いが多分にあるわけであります。石炭及び石油については、ただ統制の必要、それから獨占禁止ということだけではなく、何かもつと大きな理由がなければ、こういう官僚統制に墮する危險の多分にある機構に改めようとするはずがないと思いますので、その根本理由について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=39
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040・石橋湛山
○石橋國務大臣 お尋ねでありますが、別に今まで御説明申し上げた以外に隱れに事情というものはありません。理論的には商工大臣から説明がありましたように、獨占禁止、あくまでも事業は自由競爭でいく建前を原則としてはとりますが、しかしこの際日本の經濟の特別の事情によりまして統制を必要とするあるものについては、殊に強く必要とする。そこで獨占禁止の趣意とそれとを結びつけて、統制するものは政府の全責任でこれをやる。こういうだけの趣意であります。運用の問題は御説の通りいろいろの運用をやりましても、結局人の問題となりまして、今までうまくいかなかつたということは事實であります。御承知のように戰時中ある部面においては、始まりのうちは政府が直接いろいろなことをやつてみたがうまくいかない。また國民の間にも種々の要求が現われて、そこで一つ民間の手になるべくこれを移す方かいい、こういう趣意で現在の統制機構は大體できておるのでありますが、これまた運用がうまくいかない。これを見まするにいろいろなことがあると思いますけれども、どうも最近の統制會社であるとか――石炭などもその一つでありますが、どうも責任の所在がはつきりしないということが、確かに一つの妨げをなしておるように思います。結局政府がやらなければ運轉はしない。しかしながらさりとて統制機關は政府そのものではないのでありますから、政府もまたこれに思い切つた力を加えることができない。こういう感じを運用上私は確かに強く感ずる。小さなものについてはそれほどでなくても、石炭などについては最近特に痛感しております。これはやはり理論的の趣意にも副うしするから、やるものはやはり政府の責任でやつてしまう。あなた方の方で常に御主張になる炭鑛の國營、肥料の國營とかいうようなことも、結局これはその趣旨によるものであります。これは運營がうまくいかなければ、國營にしようと國家管理にしようとうまくいかないのでありますが、やはりそこまでやれという社會黨の御主張もありますし、われわれ石炭のごときは永久の國營をやるとか、國家管理をやるという考えは今はもつておりませんが、必要によつては國家管理をやろうという決意をしておる。今度の公團の考え方についても同じ考え方であります。それ以外には別段隱れた理由はありません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=40
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041・松本七郎
○松本(七)委員 今石炭のお話がちよつと出ましたが、特に石炭なんかは數量と品質など非常に複雜したもので、これなどは配給業者にやらせても非常にむずかしいのであります。日本石炭なんかが、創立當初は割合によくいつたというようなことを聞いておりますけれども、なかなか業者に任せてもうまくいかない。ましてこういうふうな機構でもつて、末稍的な事務をやつていこうというのは、とても困難であろうと思うのでありますが、今までの制度がどういうところに不合理があるか、あるいは實情に適しておらないかということをどの程度政府は御檢討なさつたか、そういう點を御説明願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=41
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042・石橋湛山
○石橋國務大臣 それはここでこまかく一々申し上げることもできませんが、むろん現在の石油などに限らず、統制についてはごく大ざつぱに今申し上げましたような點を、これは安定本部において檢討し、また各省においてもいろいろ考究したわけであります。殊に短期間の間やろう、これは永久にやろうというわけではありませんから、できれば現在の制度そのままでもやれるまではやつていきたい、こういうことも考えていろいろ檢討したが、これは今の獨占禁止法などの關係もありまして、どうしても何かはつきりした責任の所在をきめる、しかもそれが私的機關でなく公的機關、ガヴァーメント・エージエンシーとしてやるという一つの思想的と申しますか、根本方針が立たぬものでありますから、その根本方針に從つてすべての機構を考え直す。かようなわけで、これは實際問題をもむろん相當檢討しました結果、やはりこの際はこれがいい。こういう結論に到達したわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=42
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043・松本七郎
○松本(七)委員 あまり具體的な問題になりますから、それを省きまして、ただここで一つ石橋さんの率直な御意見を伺つておきたいのは、どうもわれわれの感じでは、もう少し主張すべき點を強く主張する必要があるのじやないか、これは最近一般國民の間にも相當感ぜられておる點でありますが、もう少し主張すべき點を強く主張する必要があるのではないか。この點非常に意思の強固な石橋さんの率直なる御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=43
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044・石橋湛山
○石橋國務大臣 これは政府としても主張することは隨分強く主張しております。また具體的問題については、先方も日本の實情を諒解しないこともなかなか多いのでありますから、これの訂正には隨分力を盡しておるのでありまして、はたから見ますといろいろ御注文があろうと思いますけれども、われわれ内部から見れば、これはいくらやつても十分ということはありませんから、これで百パーセントだとは言い切れませんけれども、隨分その點は外で思うより以上にやつておるということだけ御諒承願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=44
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045・松本七郎
○松本(七)委員 もう一つ石橋さんにお伺いして置きたいと思います。それは機構がこういうようになりましても、運營さえうまくいくならば結構なのでありますが、その運營がうまくいくのもこういう機構でやろうとする以上は、結局人が得られるかどうかという點にかかつてくるだろうと思います。總裁が大體次官と同級または同額だということになつておりますが、この安定本部總務長官の配下にあるくらいのもので、はたして業務に精通した有能な士が民間人からとれるかどうかという點を、私は非常に疑わしく思うのであります。この點何らの不安もございませんか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=45
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046・石橋湛山
○石橋國務大臣 人の問題は御承知のように、經濟界におきましてもパージに大分優秀な專門家がかかつておりますから、これが選擇には確かに困難で、常に惱んでおるところであります。しかし今度は私は今までと考えを變えて、有力な人に、現在殘つておるほんとうに働ける人に各方面ともやつてもらひたい。私は經濟安定本部の總務長官ではなくなりましたが、次の總務長官に十分そのことを申し送るつもりであります。たとえばこの公團ばかりでなく、安定本部の機構もある程度擴充いたす計畫ができておりますが、この人の選擇も今考えております。たとえば安定本部の次長というものは役所の階級そのものから言えば、安定本部總務長官 その下に次長、その下に部長とこうなるわけで、段階から言えば部長の方が次長より低いのでありますが、こういうことは一つ考えを變えて、次長は單に事務的の人であつてもいいかも知れぬが、その下の部長こそ石炭なら石炭に、電氣なら電氣についてほんとうのエキスパートでしつかりした人でなければならぬから、實は次長より部長の方を社會的にみて大きな人を入れるというくらいな考えをもつて、選擇しようじやないかと申し合つておるのでありますが、これにそういう人が來るか來ないかということは、これは實はアメリカ流の考えから言いますと、給料さへ澤山出せばいいじやないか、これは關係方面においては、公團に來てもろう人、あるいは民間から來る人、安定本部にはいつてもろう人には、現在の役所の給與規定などは變えて、思い切つた金を出すようにしなければならぬというアドバイスを常にしておる、それはやるよ、いつからやると言つてやかましくいうようなわけでありますが、これは日本においては給料だけの問題じやないと思いますから、別にいろいろのことを考慮しなければならないということを向うと話し合つているわけであります。たとえば今までの位置を必ずしも全部捨てずに來ていいというようなことも、場合によつては必要ではないか。まつたく官吏になりきつてしまうということでは、なかなか優秀な人は來れないのではないかということもだんだん話しておるわけであります。こういうわけで元來各方面とも、これはと思う優秀な專門的な人たちが大分數が減りましたから、人の選擇に困難なことは申すまでもありませんが、しかしその中においても今申しましたような考え方で、かなり今までの形式主義を打破しまして、そうして各方面の優秀な人にはいつてもらいたい。こういうふうに考えて、實はせつかくやつておるわけであります。安定本部の新長官にもそのことを十分申し傳えるつもりでおります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=46
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047・松本七郎
○松本(七)委員 あとは商工大臣が見えましてからお伺いいたすことにいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=47
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048・岡部得三
○岡部委員長 次は竹山君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=48
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049・竹山祐太郎
○竹山委員 私は一、二の點について大藏大臣にお伺いいたしたいと思います。今度の公團法は豫算總會で十分伺い切れなかつたので恐縮でありますが、いわゆる手數料で自給自足をするという建前のように伺つておるのであります。公團からの政府の納付金でもつてこれに關する經費は賄うという建前のようになるのでありますか、その點の御方針を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=49
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050・石橋湛山
○石橋國務大臣 事務的のことは當局から言わせますが、さような趣意になつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=50
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051・竹山祐太郎
○竹山委員 これは事務的なことを伺うよりも、大藏大臣のお考えを承りたい。國民が感じますのは、今までよりもこれでもつて役人は殖えても、國民の負擔は増さないかどうかという點でありまして、そういう建前でいつておつても、いつの間にかこれが國民の負擔でもつてやらなければならぬようになつてまいりますと、國民はそのためになんぼかの大きな負擔をしなければならぬということになります。その建前を今大藏大臣にお伺いしておけばそれでいいと思いますが、それでもつて從來よりも費用は、いわゆる中間經費というものは大まかに見てたくさんかかるのか、あるいは現状よりもよくなるのか。その點を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=51
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052・石橋湛山
○石橋國務大臣 これはまつたくこれからのやり方でありますので、その點については十分注意をしてやらなければなりませんが、私はこれによつて費用は減らす。こういうつもりでおります。しかしこうではないかと思うのです。方針はこんな政府機關などをもつてやるという期間をできるだけ短くする必要がある。その代りひとつ強力にやりたい。先が見えてこれだけやればこうなるという場合には、私はある程度の國民の負擔も、あるいは我慢してもらつていいのではないか。これは今後にそういうことをきめておるわけではありませんが、今後やつてみて、これもやはり覺悟していいのではないか。これも私の個人的な考えでありますけれども、そう思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=52
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053・竹山祐太郎
○竹山委員 きようは商工省の方だけの法案でありますから、商工省關係のことになるわけですが、ただ國務大臣として大藏大臣に伺つておきたいのは、非常に問題となりました公團の問題が、まだこのほかに主として農林省關係のものが提出せられなければならぬのに、未だ提出になりませんが、これについての政府としての今後の御處置、さらに現在のお考えを伺いたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=53
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054・石橋湛山
○石橋國務大臣 公團は商品の種類は違いますが、考え方は皆同じものでありますから、はなはだ御迷惑でありますが、法案の提出が遲れておるのはどういうわけですか、とつくに出なければならぬものが大分遲れておるようでありますが、肥料とかその他のものはぜひ出したいのであります。御審議を願うのはあるいはこの委員會でないかもしれませんが、その節はひとつお願いいたしたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=54
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055・岡部得三
○岡部委員長 午後一時半まで休憩いたします。
午後零時四分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=55
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056・会議録情報2
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午後一時四十九分開議
○小野瀬委員長代理 午前に引續き質疑を續けます。竹山君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=56
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057・竹山祐太郎
○竹山委員 商工省の政府委員にお伺いいたしますが、先ほど大藏大臣に質問をいたしまして、原則は諒解いたしましたが、各公團の政府の經費は大體明年度二十二億の中で、今度出された分のおのおのについて、大體の額をお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=57
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058・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 事務費、人件費合計約十五億でございます。出資金が大體合計八億になつております。これは各公團全部を合わせての總額であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=58
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059・竹山祐太郎
○竹山委員 十五億という豫算總額は承知しておりますが、先ほど大藏大臣が言われたように、出すべくして出さない公團があるのでありますから、今度出されたものだけで十五億要るとも考えられない。從つて配炭公團がいくら、石油配給公團がいくら、價格調整公團がいくら、産業復興公團がいくら、貿易公團がいくら、これをごめんどうでも一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=59
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060・平井富三郎
○平井政府委員 石炭公團の分は、事務費、人件費合せまして約六億の豫定であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=60
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061・岡村武
○岡村政府委員 貿易公團につきましては、政府出資が四つの公團を合せまして八千萬圓、經費約四千萬圓であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=61
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062・小笠公韶
○小笠政府委員 價格調整公團の關係について申し上げます。資本金が三千萬圓、經費の豫定は六千四、五百萬圓になつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=62
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063・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 産業復興公團につきましては、政府委員があとからまいりますから、後ほど申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=63
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064・竹山祐太郎
○竹山委員 あとで今の足りないところを補足を願いますが、先ほど質問いたしましたように、この六千萬圓なり八千萬圓なりというものは、政府が全部收入を見込んでおるものと承知をしております。貿易については手數料もとられましようが、價格についてはまた切符の配給の手數料等、全部これは各各その公團ごとに自給自足をする建前になつておりますかどうか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=64
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065・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 大體お話のように、公團ごとにつじつまを合わせるように計算をいたしております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=65
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066・竹山祐太郎
○竹山委員 貿易とか、石炭、石油というようなものは、これはとりようでどうでもとれると思いますが、價格調整公團などについては、具體的に言いますと、私は詳しく一々のことはわかりませんが、六千萬圓からの手數料といいますか、そういう費用は、從來の機構ではどこへかけられておつたもので、それが今度政府がそれをとることによつて、新たに負擔が増さないという原則からいうと、どういう形にこれが變つてくるのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=66
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067・小笠公韶
○小笠政府委員 御承知の通りに、從來の價格調整業務は、配給統制會社その他統制組合等、いわゆる統制機關におきまして、配給統制と價格調整事務とが一緒になつて行われておつたのでございます。そこで手數料の徴收につきましては、それらが一括して大體とられておるものが多かつたと考えるのであります。從來の統制機關におきまして徴收しておりました手數料におきましては、いろいろまちまちでありますが、全體を集計いたしますと、相當額が徴收せられておつたと假定されるのであります。それでただいま私どもの方で價格調整公團の經費の豫定といたしまして、先ほど申し上げました數字を一應考えておるのでありますが、この程度の金額は、現在の各種統制機關におきまして價格調整事務を行つている、現實に從事している人、その他の關係の經費と比べまして、そう多くを加えておらないのでありまして、現在の實際やつている分を大體見わたしまして、大差のない程度のものであるというふうに實は考えておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=67
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068・竹山祐太郎
○竹山委員 そういたしますと、今までの各種配給統制會社の手數料を一部わけて、配給の分だけ六千萬圓と見込んで政府が取り上げる、殘つたもので、價格以外の實際の配給の部面はやらせるということで、費用の負擔は増さない、こういうように答辯を伺つたのでありますが、これも詳しく私にはわかりませんが、今度地方廳等に多數の價格調整に關する役人を置いておりますが、これはこの經費の中に含んでおりますかどうか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=68
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069・小笠公韶
○小笠政府委員 お答えいたします。地方廳に現在地方物價事務局等におきまする政府職員の經費につきましては、これは政府の一般豫算の中から出しておりまして、從來の統制機關の手數料とほぼ見合いにしているというようなことがございますが、一應一般の政府職員と同樣にいたしておるのであります。なお先ほど申し上げましたように、今度の價格調整公團において取扱います物資につきましては、配給公團ができますものにつきましては、その配給公團で配給と價格調整とを併せてやる、特別會計とか、あるいは配給公團で扱う以外のものにつきまして、價格調整の必要ある物資につきまして、この公團をして取扱わしめることに相なるのでありますが、それらの物資につきましての配給統制の事務はどうなつておるか、こういうふうな問題もございますが、價格調整をやろうという仕事の實體におきましては、現状とあまり變らないのでありまして、そういう意味におきまして、經費は多くの増嵩を來さない、こういうふうに考えているのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=69
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070・竹山祐太郎
○竹山委員 一番問題の價格調整がそういうことであるといたしますと、全體として、先ほど御答辯のありました十五億と、豫算の二十二億、この差が七億あるのです。收入は十五億であつて、支出の方は二十二億、この七億は收入の伴わない公團の經費でありますが、こういうものが何か今後にも考えられるのでありますか、一應伺つておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=70
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071・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 ただいま公團としてはつきりいたしましたものは、ここに提案いたしたものでございますが、その他にもまだ豫定しておるものもございますので、その經費等もただいま申しましたようなわけでありますが、今後實際やりました上における餘裕をとつておきたいという意味で、それを含めまして七億のものがまだ未定になつているのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=71
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072・竹山祐太郎
○竹山委員 私の伺うのは、原則的に收支バランスをとつていくという建前であれば、十五億の收入のあるもので十五億の公團をつくることが建前のはずである。ところが過般の本年度の豫算から見ますと、經費は二十二億になつているのであります。それに對する公團の政府收入は十五億になつておる。おそらくそれは價格調整公團みたいな、收入のあまり伴わないもの等でいくのか、役人の分なども殖えるのかと考えて伺つたのですが、それは含まない、一般會計でもつ、こういうことであつてみますと、どこに收入の伴わない公團が豫想され得るのか、商工省關係等については、その目標がないということであれば、この豫算の建前がおかしくなると思います。まつたく將來未定だからということであれば、これは議論になりませんが、一應伺つておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=72
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073・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 先ほど申しましたのは訂正いたします。七億圓の差は、別に物資の割當をいたします職員がございます。その物資調整官の經費といたしまして七億圓を留保しておるのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=73
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074・竹山祐太郎
○竹山委員 そういたしますと、物資調整という行政機構が、この公團に伴つて新たに殖えたとこう了解していいのでありますか。先ほども一番最初に伺いましたように、今度のことで行政機構については大した移動はないのだ、こういうふうに御答辯をいただいておつたのでありますが、人件費だけで七億に及ぶところのものが新たに殖えたと了解していいのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=74
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075・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 この配給公團を運營いたしますについて、政府の監督機構というものが特に殖えたわけではないというふうに先ほどは申し上げたわけであると思います。この物資調整官の費用は、從來産業團體が割富をいたしておりまして、それらの資材關係を扱つておりました職員が、今度政府機構といたしまして割當の事務をいたすことになりましたので、その經費を盛つたものでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=75
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076・竹山祐太郎
○竹山委員 そうすると價格調整公團等の制度とはまつたく無關係に、新しい統制をやるために、それだけのものが殖えたと了解いたしてよろしゆうございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=76
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077・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=77
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078・竹山祐太郎
○竹山委員 この統制機構については、今までの制度についても、國民の間に非常な各般の批判があることは政府も御承知だと思うのであります。それが大きくこの公團の制度によつて、これでいいのだという政府の確信の下に切替えられるわけでありますが、今の物資調整、價格調整等にまた非常な官僚のこまかい手を要するようになつてまいつており、これは公團に對する國民の非常な不評判と同樣に、近く必ずまたこの複雜な手數に對して、國民から重大なる批判が出ると私は考えるのであります。今度ただ役所だけの内部で、議會があまり知らない間に、國民には非常に重大な關係のある制度の變改が行われておるのでありますが、この間の事情について政府はどういう確信をもつて、これによつてどう物價及び物資の調整が改善されるか、國民の期待に副い得るようになるかということについて伺いたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=78
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079・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 今囘物資の割當竝びに配給につきまして、仰せの通りこれは制度が變るのでございます。從來は産業團體を中心に、これらの經濟統制が運營せられておつたのでございますが、これは先ほど來申しまするように、私的獨占禁止の建前からいたしまして、そういう方向にありますところの産業團體というものが、今後逐次解消してまいります。從いまして一方統制の必要は、現下の物資の状況から申しますと、當然これをまだしばらくの間は續けていく必要があるのでございますが、その統制にどういうものをもつて充てるか。いわゆる産業團體というものが、統制の衝にあたれなくなつてくるということになりますれば、いきおいこれに代るものをどういう形でおくかということが問題になるのでございますが、その際に割當につきましては、政府みずからがその仕事をやり、また配給と申しまする一手買取り、販賣の機關といたしましては、これはいわゆる公團の制度をもつてこれに充てる。こういうことにいたしたのでございます。もつとも配給公團をつくりまする物資というものは、全部の統制物資に行き渡るのではございませんので、ごく基礎的な特に重要なものに限るのでございまして、今囘としては商工省關係といたしましては、石油と石炭、この二つを豫定したわけでございますが、これらについてはこういう公團という形で、政府みずからの責任において統制の仕事をやつていく。そうして民間機構としてはあくまで將來の自由經濟の建前を目ざして、自由なる活動に移行し得るやうにだんだんし向けていく。從いまして物資の流れにつきましても、配給公團をつくるもの以外のものは、從來の問屋制を逐次復活いたしまして、これに切符制度のみをもつて物資の流通をはかつていく、こういう建前にいたしておるのでございます。なお從來産業團體でやつておりましたものを、官吏がその仕事に當るということに對しまして、いわゆる官僚統制の弊に陷ることはないかという御心配でございますが、これは政府といたしましても、そういうことに墮することに非常に心配をいたしております。從いましてこの運營については、いろいろ監査の制度を擴充いたしますとか、あるいは割當をいたしまするときに、消費者なりあるいは關係業者の方々の意見を聽いて立案をし、かつ運用についての御意見を參酌をしていく、こういう點については十分考究いたしてまいりたいと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=79
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080・竹山祐太郎
○竹山委員 そうしますと、今お話の切符制度による各種の配給割當等は、相當廣い範圍に及ぶものと承知をいたしておりますが、その全部について必ずしもその實行機關としての公團をつくることを前提としての制度ではない、こう了解いたしてよろしゆうございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=80
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081・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 お話の通りでございます。ごく基礎的な重要なもののみに限つて、公團をつくつてまいりたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=81
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082・竹山祐太郎
○竹山委員 なお公團の内容については、また私の方の他の同僚から質問を申し上げることにいたしまして、貿易公團について若干伺いたいと思います。その前に、これはできれば大臣をと思いましたが、先般新聞でアメリカの輿論といいますか、日本の紡績は四百萬錘は多過ぎるという意味の報道があつたのであります。これは商工當局が非常な御苦心をされておる事情はよくわかつておるのでありますが、今日本の非常な饑饉に際しての日本國民の、ただ一つの命の綱とも考えておるところのこの纖維工業をまだまだわれわれは四百萬錘ではとても日本は生きていけないと考えておるにもかかわらず、四百萬錘が既に多いというようなことを、しかもアメリカから言われるということは、われわれ勉強が足りないせいかしりませんが、まことに國民といたしましては寢耳に水ほど驚くのであります。貿易の見地からいたしましても、これで日本は生きていけるかどうか。またそのわずかな殘りを國民衣料に割いてもらう點から言いましても、おそらく本年以後國民は食糧饑饉以上の衣料饑饉に遭遇することを今日覺悟をしなければならぬ。ただこのことが、非常に事態が複雜なだけに、一般國民大衆がそのことを自覺することが少いために、食糧饑饉ほど騷がないのでありますが、このことがほんとうに國民に徹底をしてまいれば、おそらく食糧饑饉以上に日本人としては憂慮をいたさなければならぬ。婦人の代議士の方もおられますけれども、この問題は私は重大問題だと思うのであります。その國民衣料の點からも、また貿易を最小限度の食糧輸入の見返りとしての唯一ともいうべき活路たる纖維工業というものが、しかも原料を仰ぐべきアメリカから四百萬錘が多過ぎるというようなことを言われますことについては、日本としては非常な重大問題だと思うのであります。この邊は一體、政府は萬全の處置を講じてはおられると思いますけれども、日本の國情、國民の心情を十分に連合國、殊にアメリカの輿論、アメリカ政府、國民全體にこのことを訴えるということについて十分なる處置をとられておるかどうか。過去における資本家の纖維工業を温存したり支持したりするというようなことだけを商工當局が考えておるとすれば、はなはだこれは不徹底であると思います。これはむしろ國民全體の輿論といたしまして、日本が生きていかなければならぬ最低の纖維工業というものを、とてもこれではいけないのだということを、日本國民にも徹底をさせなければならぬと同時に、アメリカに對してこのことをもつと眞劍に訴えなければならぬと思うのでありますが、過般の情報について政府當局はいかなる御見解をもつておられるか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=82
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083・松田太郎
○松田(太)政府委員 ただいまのお話はまことにごもつともでありまして、いまの四百萬錘が多過ぎるという點につきましては、まだ日本政府としましては何らそういう報道には接しておりません。むしろ、先般御承知のように、今お話のような、また日本の纖維事情というものを十分アメリカ本國等にも知つてもらうという意味からいたしまして、昨年の夏にいわゆる纖維産業の三箇年計畫というものを立てまして、國内の衣料の需要状況、また外國に對する纖維の輸出の計畫等につきまして、それぞれ各業種について專門の方々に委員をお願いしまして、非常に詳細な計畫を立てまして、連合軍總司令部に提出をいたしておいたのでありますが、さいわいにして昨年末に、一應連合軍總司令部として、その計畫に從つて進めてよろしい、但し綿紡績につきましては三百六十萬錘程度に止めておいてもらいたい、こういう要求があつたのでありますが、その後だんだんと國内のいろいろの事情もわかつてもらいました結果でありますが、最近に至りまして、四百萬錘までは連合軍總司令部として國内で増強してよろしい、ということをむしろ諒解を得ているのでありまして、あるいはお話のような點が、本國の方でそういう聲が最近起つているかと思いますが、何らわれわれの方にはそういう正式な話はありません。むしろ日本側に參つておられる連合軍總司令部としては、四百萬錘を突破するように、日本としても資材の關係、錘の關係等できるだけの用意をするように、という報道を聞いておるのであります。なお本國に對する關係におきましては、ただいま申しました三箇年計畫というものを、當時マガニヤという向うの纖維關係の非常な詳しい人がマッカーサー司令部の經濟顧問として見えておりまして、その方にも詳しい今の資料を差上げまして、本國に歸つてからも、どうぞ日本の事情を十分承知してもらうように御協力を願いたいということも再三お願いしておりますので、おそらく今のようなことは、今後われわれの努力いかんにはよりますけれども、そう心配する必要はないのじやないかと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=83
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084・竹山祐太郎
○竹山委員 新聞をお覽になつたと思いますが、先般のものは向うの纖維業者の反對のように私は見たので、これらの點については萬拔かりはないと思いますけれども直接折衝することを許されない立場は同情をいたしますが、どうもまだ心配になるので、そのために、御迷惑でありますけれども、一體今許可をされた四百萬錘、しかも現状におきまして、明年度の國民の消費し得る纖維の量がどのくらいになるか。具體的に言いますと、どんなものがどのくらい一體國民に配給が可能であるか。それを伺つておきたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=84
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085・松田太郎
○松田(太)政府委員 今の四百萬錘にいたしましても、今後原料の輸入は續けてしてもらわなければなりませんし、また同時に、現在稼働しておりますのは約二百六十萬錘程度でありまして、これにさらに設備の改良、修理等をいたしまして、それが約三百五、六十萬錘になるわけでありまして、四百萬錘になりますためには、あと四十萬錘ぐらいは新興の優秀な方にお願いをしなければならぬ。かように考えております。從いまして、この設備の方もだんだんと増強をしてまいつておりまするが、何分にも御承知のように、今日の國際情勢からいたしまして、やはり日本といたしましては、棉花を初め、食糧その他の輸入に對しまして、一刻も早く決濟と申しますか、見返り物資を連合國方面に輸出をしなければならぬのでありまして、從つて生産は漸次殖えてまいつてはおりますけれども、やはり本年四月以降の状況からいたしましても、國内の需要に對しましては相當苦しい立場にあるのであります。大體今の豫定では、一人當りにいたしまして――これはもちろん炭鑛、食糧關係その他に關係しておられる方々も含めまして、生産量から申しますと、一人當り平均二ポンド強くらいの供給ができるかと思うのでありますが、しかし實際の供給に際しましては、やはり從來のような空手形になりましてはいかんと思いまして、大體二ポンド見當を中心といたしまして配給を考えております。しかしながら、今申しましたように、その中には炭鑛關係であるとか、あるいは農村關係とか、そういう方の報奬用物資等にも相當考えなくてはいけませんので、一人當りの平均といたしましては、遺憾ながら一ポンド強くらいのところになるのではないかと思つております。しかしながら今申しましたように、まず今日としましては輸出に重點をおかなければならぬのでありまするのでやむをえぬ點でありまするが、しかしその國内に割當てられますものも、どういうふうに適正に配給をし、またどういうふうにこれを有效に使つていくかということにつきましては、十分檢討をいたしまして、できるだけの許された範圍においての活用を考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=85
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086・竹山祐太郎
○竹山委員 お話を伺つても、なかなか心配は解消いたさぬのであります。お話の通り、貿易を何としてでも殖やさなければならぬ。それには今度の貿易公團というものができますことによつて、業者をほんとうに積極的に振い立たせて、日本の活路を見出さなければならぬと思うのであります。これがただ他動的に、今まであつたものをまとめて形を變えた官吏の手に集結してしまつたということだけでもつて、この日本の唯一の活路たる貿易が積極的によくならなければ何んにもならないので、今政府がやつておられる國家管理、國家の手による貿易よりも、貿易公團をつくつた方がどういう點によりよくなるかということを考えておられるか。政府はとかく、これは統制のわくを變えなければならぬ消極的なる處置としてやむをえずやるんだやるんだということを、しばしば逃口として言はれるのであります。國民から見れば、やむをえずやるなんということは承知はできないのでありまして、今日本は餘裕のあるときではない。いやしくもこれだけのものをやる以上は、これによつて何倍かの效率をあげて、そうして今までの思うようにいかなかつた貿易が一層よくなるという確信のもとでなければ、法案をきめても、國民の期待に副い得ないと思う、政府はこれに對するいかなる確信をもつておられるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=86
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087・永井幸太郎
○永井政府委員 貿易公團を提出いたしました最近の動機、原因は、やはり積極的の意味よりも、七十有餘の取扱機關の活動がすこぶる不滿足でありました。それは從來の戰時中の不自然な實績とか、あるいはそういつたことに囚われまして、一部の業者に獨占を與えるようなおそれがあつたのであります。それを今度の獨占禁止法案ができますれば、それに改組を要することになつておりましたので、かれこれ消極的の理由と、積極的の理由とが、兩方からその必要が起りましたので、消極的の方の理由から申しまして獨占禁止法案のみならず、やはり貿易は御存じの通り相手のある仕事でございまして、こちらだけがこれでよいと思いましても、やはり相手の心持、相手がこうせねば信用がおけぬというような氣持であるなれば、やはり相手の氣持を尊重するというような必要もあつたのであります。そういうわけで生れんとしておるのでありまするが、しかしそればかりが目的でありませんで、この際に貿易振作のために、この公團の組織を活用したいと思うのであります。その方法としましては、從來は限られたる實績をもつておる人のみにその業務を委託しておりましたけれども、今後は廣く力のある人には機會均等にすべて參與させる。そして公團の組織は從來の七十八機關の從業員が、約七千名もありましたけれども、今囘は四公團を合わせまして五千人以下くらいの人員といたしまして、きわめてできるだけ簡素に、そうして業者の働く範圍を從來以上に擴大して、十分に業者の創意工夫もとりいれ、力のある人には十分働いていただくという氣持でおります。殊に今後のいろいろな貿易、ただいまでは支那、南洋等の貿易が、經濟的にもいろいろまだ困離を免れませんので、それら地方の經濟が少しく安定いたしまして、われわれの戰前の大得意先が、物を買つてくれますという時代になりますと、やはり雜貨というようなものの輸出によほど努力をおかねばならぬと思いますが、そういつた場合には、やはり小さい業者が公團を通じて機會均等の活動のできるようにと、こういうふうにし向けるというのが趣旨でありまして、從來の組合が戰前の不自然な實績によりまして、特別の業者のみが獨占して、中小の業者が活動の範圍が狹められるというような障壁を取去る、そうしてたれも彼れも力のある人は輸出産業振作のために大いに努力していただく、そういう積極的な意味をもつておりますので、決してこの公團ができましたということによつて、業者の活動を束縛するとか、輸出振作に障害になるとかいうことは決してないのでありまして、できますれば、こういう時代でなければもつと業者に個々の働きに任せて、公團というようなものの必要をなくするというのが理想でありますけれども、まずそれに至る一階段でありまして、決して積極的な意味がないのではありませんので、御諒承を願いたいと思います。この公團は簡素な組織にいたしまして、斷じて業者の活動を阻止しない。それから決してお役所ふうな考え方でなしに、皆前垂れかけのつもりで十分業者の活動を促進したいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=87
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088・竹山祐太郎
○竹山委員 御熱意のほどはよくわかるのでありますが、先ほど參考にいただきました輸出入の代行機關一覽表というのは、これは今度の公團の内容にはいるものと承知をいたしてよろしいのでありますか。從つてお話のような點から言えば、これ以外には今後は自由に何でも公團が扱える。この四つの大別によつては何でも受入れられるようにする。從來の特權にこだわらない。こういうふうに了解をいたしておるのであります。そういうふうに考えていきますと、今まであつたいわゆる戰前及び戰後における一種の特權組合、會社を一應みな解體をいたして、實力本位にやつていくことになれば、なおさら公團そのものが積極的に出ること自體があまり必要なくなつてくるのであつて、またそこで役人があまりうるさいことを言えば、かえつて御趣旨のような自由な活動を阻害する。むしろなるべく公團というようなものはやるとしても最少限度の小さなものにする。われわれは國家がやればいいように思うのでありますけれども、そうならなければならぬように思う、とかくこういうものをつくれば、つくつたものが自己の範圍以上の分量を確保せんがために、當初は非常に自由な活動を要望しておきながら、また過去のごとくこれが一つのわくに固まつてしまうことになれば、數が多かつたときにはそれぞれの專門にいつておりましたが、
〔小野瀬委員長代理退席、岡部委員長著席〕
數が四つに集結をされてしまつて、たまたま少數の人間で――そう神樣じやないのですから、人間の能力には一定の限りがあつて、非常な幅の廣い貿易をそうなかなかやり得るものではないと思いますが、そうなつて來ますと、これは安本を背景にし、商工省等の貿易局と一緒になつて非常な少數の強力なる獨占機關のようになることをわれわれは憂慮をいたすのでありまして、要は先ほども申したように、貿易の積極的なる振興をやらなければならぬのであります。それに對して私たちは、これでもつてよりよくなるというふうに――先ほどの御説明では、その誠意、熱意のほどはよくわかるのでありますが、なかなか最善のものとは了解をいたしかねる。なおしかしこれは一歩讓つて、ほかの公團同樣に、ごく一時的なものであるということも考えられますが、この次に來る貿易の形態をどういうふうに政府は考えておられますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=88
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089・永井幸太郎
○永井政府委員 今の御質問にお答えいたします。貿易公團というものができれば、やはりその公團がだんだんと仕事を殖やして業者を壓迫しやしないかという御懸念のように思います。ごもつともな御懸念でございまして、業者の方から反對なさる原因もその邊にあるかと思いますが、これにつきましては必ずそういうことのないように、今後商品別にしまして、業者々々に、これまでは業者が引受ける、ここからこれまではわれわれが引受けるから、ここから先のことを公團でやつてくれといつた意見を業者々々からもち出していただきまして、その意見に副いまして公團と貿易廳が一緒になり、よく協議をいたしまして、業者の活動範圍と、公團の活動範圍とに劃然たるラインを引きまして、必ずそのラインを兩方から越えることのないようにいたしまして、ただいまの御懸念のあるところを防ぎたいと思います。今後の貿易のあり方のお尋ねに對しまして、今後の情勢がいかになるかということは御返答ができないと思いますが、最近マツカーサー元帥の新聞記者との會談とか、あるいはトルーマン大統領の演説などによりますと、個人貿易というようなことが大分言われておるようであります。しかしこれは自由貿易とは違うのでありまして、あるいはこの二、三箇月後には多少そういうふうに實現するかと思いますが、今司令部の方で、外國の買入業者の代表者を日本へ招待して、その出てきた代表者が貿易公團なり、あるいは輸出業者なり、あるいはメーカー直接なり、勝手に豫備的交渉をさせて、そうしてまとまつたところを貿易公團なり、貿易廳なりが司令部と相談をして契約をさせるというふうなところへ導きたいというふうな話がございますので、これは日本としても非常に歡迎するところであるから、ぜひそういうふうにやつていただきたいと思います。まず第一歩としてはそういつた個人と個人とが豫備的の交渉をする。そしてそれを國家貿易の方へ移すというような段階へ進みはしないかと思うのであります。しかしながら現状をもつてしますれば、相當長い間、國家の統制計畫貿易ということは打破ることはできないかと思います。殊に輸入の方面のごときは、嚴重な統制が必要と存じますから、手放しの自由貿易ということは、隨分先のことかと考える次第であります。輸出におきましても、あるいは日本として輸出したくないものを輸出させられても困りますし、また日本の經濟状態といたしましては、輸出を自由にしておきましては、たとえば百圓のものを五十圓で爲替を組んで、あとの五十圓は海外に資本が逃避するというようなことになることもありましようし、輸出についても、やはり相當嚴重な計畫統制の必要があると思いますから自由貿易ということはまずまず相當年月の後と思いますので、まず今申し上げたような段階たる個人々々の買入の代表者に日本にきてもらつて、個別に豫備的の折衝をしてもらう、それから契約成立以後は國家の統制計畫のもとに遂行していくというようなことより仕方がないのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=89
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090・竹山祐太郎
○竹山委員 まだ當局に伺いたいこともありますが、私だけで質問をするのも恐縮でありますから、同僚の方に質問を讓ることにして一應打切りますが、いろいろ政府の御答辯を伺つても、敗戰日本の情なさではありますけれども、これだけの大掛りのものをやるのに對して、國民が納得をするほどの積極的な熱意が、これらの制度、施設に對してわれわれは殘念ながら感得することができない情けない状態であります。とかく今日の政府はいろいろな方面のことに口をかりて、やむをえず消極的な政策をとつておるのであります。これは決して國民の望むところでないのであります。國費を費す費さぬは別問題といたしましても、今日この日本の重大時局にあたりまして、これも政府機構の一部になるのであつて、立案をされる政府も、またこれを實行されるそれぞれの方面も、國民として期待することは、制度を立て施設をやられるについては、困難ではあるけれども、少くとも國民はこれを頼りにして日本再建の一つの曙光を認めるということでなければ、議會は何のために論議をしておるのか實は迷うような氣持がいたすのであります。この點については私は今までの質問について、事務當局の誠意を疑うわけではありませんが、政府全體のこれに對する熱意をきわめて私は疑うのであります。出さなければならないから提出したのだ、何とか審議をしてくれというような態度は、國民としてはきわめて遺憾であります。困難なればなるほど、これを再建の方向に眞劍に考えてやつてもらうのでなければ、おそらくこのためにいろいろややつこしい制度ができてきて、國民は一面においては迷惑を受ける場面もある。しかしそれをやることによつて新しい日本の再建ができるという希望をもてばこそ、あるいは一部の官僚に對する國民の反感もがまんのできる場面も起ると思いますが、どうもその邊について、どういう御都合か知りませんけれども、國民のあらゆる方面からこれほど猛烈な反對のある公團法の審議にあたつて、關係閣僚は一向顔を見せないで、政府委員に答辯をさせておるというような政府の熱意の足りなさに對して、私ははなはだ遺憾の意を表明いたして、一應私の質問を終ることにいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=90
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091・岡部得三
○岡部委員長 松本委員にお諮りしますが、あなたは商工大臣が來られぬとやれませんか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=91
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092・松本七郎
○松本(七)委員 商工大臣が來られるまでお待ちします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=92
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093・岡部得三
○岡部委員長 では商工大臣の來られるまで、寺田委員に質疑を許します。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=93
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094・寺田榮吉
○寺田委員 今囘公團法案が種々出ておりまして、このおのおのについて若干ずつの質問もあるのでありますが、これは同僚議員から既に種々質問も出ておりますので、私は主としてその中の貿易公團法案について若干質問をいたしたいと思います。なぜこの貿易公團法案について最も質問したいかと言いますと、大體貿易廳ができまして、日本の貿易が國家管理の線に沿つていく。これはある程度しかたがないということは、よくわかるのでありますが、その上にまた今度貿易公團ができる。ほかの公團の法案を見ますると、これは大體今までの民間の統制團體をこれにまとめていくということで一應わかるのでありますが、貿易公團につきましては、屋上屋であるという感じが非常に濃厚であるのであります。また先日來の本會議における大藏大臣の御説明によりますと、これはごく短期間のものであつて、一應官制の公團にまとめて、そうして暫定的なものであつて、これを速やかに解消していくのが目的だというふうに説明されておつたのでありますが、大體どのくらいこれが續くものであるかということについて、もし何か目途がありましたならば御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=94
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095・永井幸太郎
○永井政府委員 今の屋上屋というお話でありますが、七十有餘の取扱い機關を整理しまして四つになるわけでございます。屋上屋の屋が、前の屋よりは輕くなると思いますが、前の屋上屋よりは物事が簡單になる、こういう氣持でおります。というのは、貿易公團というものは非常に簡素なものでありますから、屋上屋にならぬと思います。それは貿易廳にすべてを吸收したらどうかというような御議論もあろうかと思います。それもいろいろ檢討いたしたのでありますが、何分貿易というものは複雜多岐でありますので、官廳の現業廳に取入れるということは、人を得る上におきましてもちよつとむずかしいところもあります。あるいは鐵道省だとか、交通運輸というようなものでしたら、仕事は非常に大きいですけれども割合に仕事が單純なので、取入れることと思いますけれども、このいろいろ複雜多岐なものを貿易廳内へ取入れるということがなかなか困難なように思いますので、別の公團にいたしたわけであります。これまでよりも機構が決して複雜にならないのでありまして、公團を簡素にすることによつて、前の屋上屋が幾分簡素になるというつもりでおります。それから繼續期間は、法制上はやはり安定本部と同じ繼續期間であります。それではそれがやめになつたときにはどうなるかというと、これはその時の情勢によつて判斷するよりほかしかたがないと思います。要するに公團は簡素にいたまして、漸次民間の活動範圍を廣めていく。公團というようなものは必要でないというようなことが理想でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=95
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096・寺田榮吉
○寺田委員 ただいまの御説明では、貿易というものは殊に複雜多岐であるというお話もありましたし、また商い、商賣ということは非常に經費を要することでありまして、そういう意味において、殊に現在の敗戰日本の現状においては、まず貿易によつてわれわれは資材を得なければならない。最も肝腎な時はこの一箇年であるというふうに私どもは感じておるものであります。これはしばしば私が豫算總會その他の機會においても申し上げたのでありますが、大體この構想はアメリカの構想を眞似ておるということも聽いておるのであります。しかしアメリカU・S・C・Cというものの活動は、國でやつておるけれどもその活動が非常に活溌である。日本の貿易廳は、今までのわれわれの接觸した經驗によりますと、非常に事務が澁滯するし、商いということを大體考えていないというふうにも感ぜられるのであります。そういう點において、私はこの重大な時にまた貿易公團をこしらえるということについて、非常に不安を感じ、できればこういうものはやめてもらいたいというふうに感じておるのであります。今までの貿易廳のやり方のまた延長になつていくのぢやないかということを痛切に感ずるのであります。たとえば今まで貿易廳のやつておられますことを見ておりましても、各港々の滯貨の状態、これはわれわれの關係しております綿糸布類につきましても、あるいは生絲というようなものを港の倉庫に滯滿していて、入れる倉庫さえない。ちつともそれをはかし得られないというふうな、非常に事務がスムースにいつていないということが現在あるのであります。これがはたして貿易公團ができました際に、そういうものがうまくいくかどうかということを感ずるのであります。これがもし暫定的な機構の改革であるというにしては、あまりに大きい機構の變革であるというふうに感ずるのでありますが、この點についてどういふうに考えておられるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=96
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097・永井幸太郎
○永井政府委員 從來の貿易廳の仕事につきまして、必ずしも完全無欠であつたとは申しません。御注意の點は十分今後氣をつけまして、幾分でも御期待に副うように努力いたしたいと思つております。なお荷物の停滯その他のことにつきましても、貿易廳といたしましても行き屆かぬところがあつたかと思いますが、各港とも御御承知の通り、おもなる港の倉庫設備は大體三分の一以下になつておりまして、のみならず荷揚げ設備の戰災をこうむつたもの、それから艀なども非常に數が減つております。その上横濱その他におきましては、最も便利な波止場は進駐軍のために使えないというような状態でございまして、よほど努力しておるようでもありますけれども、非常にむづかしいのであります。艀だけでも伏木であるとか、青森であるとか、あの邊に遊んでおるものをこちらへまわしたいというようなことも、このごろ計畫をいたしておるのでありますが、何分日本全體が戰爭疲れと言いますか、思うように動きませんので、非常に物の停滯しておることもありますし、そういうことも十分あるのでありますが、御注意を體しまして、せいぜい努力したいと思います。なお公團ということになると、あれの延長になりはせぬかというお話がございましたが、それもそういうことのないように十分氣をつけまして、役人といえども前だれかけのつもりで働くようにしかけます。前々も繰返して申します通り、業者そのものの活動していただく範圍もできるだけ擴げていく。各業者ごとに、これまではもう民間であるから、公廳の役人、公團のお世話にならぬぞということを一々意見を承りたい。そこで公團、貿易廳、業者膝突き合わせて懇談いたしまして、できるだけ業者に多く働いていただきまして、公團の足らぬところを補いたいと思います。それらのことにつきましてもどうか御意見がございましたら、お教えを願いたいと思ます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=97
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098・岡部得三
○岡部委員長 商工大臣がお見えになりましたので、松本君に質疑を許します。松本君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=98
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099・松本七郎
○松本(七)委員 先ほど大藏大臣にお伺いした點とちよつと重複いたしますが、この公團の必要が統制の必要及び獨占禁止にあるということはよくわかるのです。またこれはわれわれも贊成するところなのでありますが、この兩者と關連して考えてみましても、配給機構というものに關する限り、もつと民主的な運營の期待できるような制度に改める餘地が、まだ十分あるのではないかということが考えられるのであります。しかしこの點になりますと、政府のこれまでの再三の説明及び答辯によりまして、この機構が最善だということでありますから、これ以上申し上げても議論にわたりますから申し上げません。ただ問題は今後の運營がどうなるかという點であります。この點に關する限りは、どうしてもよほどの努力をしていただかなければ、國民の期待するような運營はまつたく望めないとわれわれは考えざるを得ないのであります。今までの統制がうまくいかなかつたのは、これは結局政府の監督がまずかつたということなのであります。機構や何かではない。いくら機構を改めても、監督がよほどうまくいかなければ、それは單なる機構いじりに終るということは明らかであります。そこでこういうふうな官僚統制を再びやろうとするからには、既に政府においてよほど民主的な運營を期した具體策がなければならぬと思うのであります。それでまずお伺いしたいのは、たとえばこういう公團をつくつて、總裁その他の人を得なければならぬ。これに關して石橋さんは、その人の方も頭を切り替えてもらわなければならぬというような話でありましたが、商工大臣はこの有能な人材を得るにはたして御自信がおありかどうか。この點をお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=99
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100・石井光次郎
○石井國務大臣 お話の通りに、運營をうまくやつていくにはその人を得なければならぬ。それで今の人たちを大分使うのでありますが、使う人たちにも、ややもすれば官僚的に流れやすい構機でありますから、よつぽどそうでないような氣持でやつていかなければならぬのは當然であります。今までの統制會等について運營がうまくいかなかつた。監督の任にありまするわれわれの責任まことに淺からざるものがあることも當然だと思います。しかしこれはある意味からいえば辯解になりまするが、民主的にものを運ぶ。統制は統制會社を通してやるのだが、その人たちを十分思う存分に働かせようというような氣持が、すなわち民主的にやつて、あまり官僚の容喙しないようにしようというような氣持が、逆にこの統制の運營を誤らしめておつたという面も確かにあるだろうと思つております。今度よし惡しにかかわらずこういうことが行われるとしたら、どういう氣特でやつていくかという問題であります。問題はその責任の衝に當る首腦部にあると思うのでありまするが、首腦部につきましてはわれわれは必ずや皆さん方の御期待に副うような人をというつもりで、内々人選も考えておるのでありますが、御承知のように各方面ともいろいろな理由によりまして、人材が第一線に立てない今日、殘つた人たちで新しくまた芽生えていく人たちの中から優秀な方を選ばなければならぬのでありますから、非常な困難を感じております。また現在その衝に當つておられまする方の中にも立派な人もあるのでありますから、それこれいろいろ取まぜまして、御期待に副うように人事をいたしたいという含みでおりまして、私といたしましては、これならばという首腦部の配置ができるだろうと期待をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=100
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101・松本七郎
○松本(七)委員 首腦もさることながら、機構そのものにおいても、少しでも官僚の弊を阻止するような機關なり、そういうものを考えなければならぬと思いますが、この點については先般本會議の質問で、同僚の細田君から、委員會を設ける意思はないかという質問がありまして、それに對して大臣より、經濟安定本部に委員會をつくるつもりであるというような御答辯がありました。しかし委員會の構成というようなことはまた重要なることになつてまいりますので、これについてどういう構想をもつておいでになるか、明らかにしておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=101
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102・石井光次郎
○石井國務大臣 それは委員會を置こうという程度の話までいたしておりまして、まだ内容についてははつきりどういう方面ということを考えておりませんが、石炭、石油等につきましては、その配給面でありますから、需要者側の關係、それから一般的に公正なる判斷のできる人たちというようなことはすぐ考えられるのでありますが、そのほかどういう程度までの人を入れるかということは、これから研究をいたしたいと思つておりますので、御意見があれば承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=102
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103・松本七郎
○松本(七)委員 たとえば石炭などにおきましては、數量、品質ともになかなか複雜で、これが正確な檢査というようなことになりますと、この事業に精通しておる者でもなかなかむずかしいのであります。こういうものを從來日本石炭ができた當初などもやりかけたように聞いておりますが、結局そこまでやらずに終つたことが、スムースにいかなかつた一つの大きな原因ではないかと思うのですが、規格をはつきりさせて、責任の所在をはつきりする、そうして今大臣からもお話があつたように、消費者が十分に品質、數量等の檢査にあたる。それから生産業者及び需要者側の勞働組合の代表者というようなものが、これに關係して責任をもつてやつていくというところまでいかなければ、的確なる運用はできないのじやないかと思うのであります。この點が一つと、もう一つは、需要者側が石炭なら石炭を受け入れた場合に、直ちにその報告をできるだけ迅速にやるというようなことも必要と思うのでありますが、こういう點について十分準備がなければ、こういう官僚統制の機構では宙に浮いてしまうということははつきりしておるのであります。こういう點のお答えを一つ伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=103
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104・石井光次郎
○石井國務大臣 委員會の構成についての御意見、たとえば勞働組合を入れるという問題等もしかるべきではないかというような心持をもつて話合いはいたしておりますが、まだ部内だけの話でありまして、どの點までということは、さつき申しましたように決定いたしておりませんが、十分御意見の點を考慮いたしてやつていきたいと思います。これは業務の内容の問題になると思うのでありますが、たとえば配給をうまくやつていくという結論になると思いますが、品種、數量等において、はたして完全に山から迅速に需要者に渡つておるか、あるいはその通りに正確なものがいつておるかというようなもの等について報告も受け、そうしてすぐ右から左に直していくというような行き方は、これは今まででもやらなくちやならなかつたことであるし、どの程度までやつておつたか存じませんが、そういう點が一番仕事の上の民主的な面であるべきはずであります。何でも書類の上ばかり整うて、實際の動きの鈍いというのが、官僚行政と言われる面の缺點でありますから、お話のような點は、當然この業務の本體をスムースに動かして、民主的に動いておる、なるほど注文通りの品物が早く來る、そうしてそれは正確な數量が正確な品質において來ているというようなことになるように、これは業務の面として十分注意をいたしたい、こういう面から、こういう名前は公團であり、役人であるけれども、仕事はうまくいくというように導いていきたいと思つている次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=104
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105・松本七郎
○松本(七)委員 民間の人を役人にするので、官僚統制の弊を少しでも矯正できるのじやないかというような考えも多少あるようですが、これはまつたく期待できないと思います。アメリカにもこの公團みたいな組織があるように聞いておりますが、アメリカの官吏自體は既に非常にデモクラテイツクなんで、民間人を官吏にしたから、官僚の弊に陷らないということはまつたく言えない。むしろ今までの例からいつても、統制會にしろ、農業會あるいははなはだしきに至つては町内會までも、ああいう何か國民の奉仕的な仕事をするものをつくると、その職員はすぐ官僚の弊に陷つてしまうというのが、日本の國民のこれまでの大きな通弊でありますから、民間人を官吏にしたということでは、何らの希望ももてないのであります。そこで末端の方にいくほど民主的にやらなければならぬという大臣のお言葉でありましたが、この案によりますと、結局經濟安定本部長官及び主務大臣というようなものの監督を相當受けるので、この監督官廳との事務的折衝というものが、相當忙がしい大きな面を占めてくると思うのです。そういうことばかりに終始して、實情に即した運營ということがおろそかになる、宙に浮いてくるという危險が多分にあると思うのであります。この點御心配されるのが當然と思うのですが、いかがでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=105
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106・石井光次郎
○石井國務大臣 民間の人が官吏になるということだから、官僚行政には陷らぬであろうということは、私は必ずしもその額面通りにはとらないのであります。また額面通りに思つていないのであります。お話のように、これは日本人の性格ということになるかわかりませんが、自分がほかのものよりもちよつとでも何か勢力を強くもち得るような立場になりますと、それがすぐに官僚的な態度をとる、威張るというような例は、日々實情を見るのでありまして、たとえば今までの統制會にいたしましても、そのやり方の内容をずつとひつくり返してみますと、官僚的な行き方も相當多くあつたのじやないか。その大部分の人が官吏になるのであるから、さらにひどくなりはせぬかというような御心配もごもつともであります。そこまでいきますと日本人の再教育の問題になつて來るのでありまするが、私どもはできる限りこういうふうな仕事に從事する人たちが、ほんとうの意味の公僕的な精神を出してくれて、そうして今までのお上から任命されて國の仕事を代行するというような氣持から、國民から選ばれた公僕だという氣持になつていつてくれなければ、これから、何もこの公團に限らないのでありまして、役人そのものが國民からだんだんよけい離れていくようになりはせぬかということを私は考えるのであります。日本の民主主義がだんだん進んで、少くもアメリカのレベルまでいくには、相當の時がかかるだろうと言われるがごとく、官吏の氣持もアメリカ人の官吏の氣持と日本人の官吏の氣持とは、相當にまだ距りがあるだろうということをおそれておるのであります。官吏自體も覺醒の氣持をもち、特にこういうふうな公團の事業に從事する者は、商賣人の氣持でサービスをする、商賣人の利益心は離れるが、商賣人のサービスする氣持はもつてやつていくということをこの公團にわれわれは期待したいのであります。またそういうふうに導いていきたいと思います。同時に商工省と公團との關係において、今までややもすれば、戰時中にもありましたように、中央にむやみやたらに報告を集める、そうしてその報告がどれだけ利用されるかわからないが、ただ報告を書くために皆追われておつたという實情は、苦々しくわれわれも思つて來たところであります。この公團は役所の代行機關であります。政府の責任においてこれが代行をしていく。その首腦者の人たちが配給の面においては全責任を負つてやつていけるような形をしていきたいと思つておりますので、私ども監督上の必要なことは報告もせしめまするが、繁文縟禮になつて、本體の仕事がお留守になるようなことは、十分これを避けるようにやつていきたいということを期待しております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=106
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107・松本七郎
○松本(七)委員 末梢の仕事の方のことになりますと、なかなか正確なコントロールをしていくことはむずかしいと思います。そうかといつて全然彈力性なしにやるということは、また實情に即しないので、たとえば石炭を船に積んでもつて行くときに、一つの所に百トンおろし、また遠いはるかに離れた所に百トンもつて行くというようなときに、一つ所に二百トン一度におろしてしまつて、それを二月分にするというふうな融通性のある彈力性をもたせた處置を必要とする場合があるということがしばしばあるのであります。そういう必要から申しますと、やはり消費者とか生産業者、實際の仕事に携わつておる者がそういうことをやるということが望ましいのでありますが、それを官吏がやるということになりますと、實情に詳しい者がやるにしましても、その間に末端の方で不正が増大するおそれがあるんじやないかと思うのであります。最近のいろいろな農村の調査、その他においても、いろいろな不正が行われておるということを聞きます。そういうことがやはり増大して來る。どうしても無理がありますから、その無理からそういふ不正が増大して來るおそれをわれわれは心配するのであります。そういうことに對する監督というようなことについてはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=107
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108・石井光次郎
○石井國務大臣 末端の實際石炭を動かす所で不正の行われやすいことも事實でありまして、今までにおきましても、その問題についてのいろいろな話を私どもは隨分たくさん聞いておりました。特に船に乘せる場合等におきまして、さまざまなる不正手段が行われつつあつたというような例もたくさん聞いたのでありますが、この點を特に注意しなければ、せつかく山から出て適正なる配給をするためにある所へもつて行くという場合においても、宙に消えていくものが起るおそれがあるのであります。これにつきましては實は配給監査員とでも申しますか、特にその方面の責任者を定めまして、港の積込みその他に對しまして監督をし、そうして横に流れて落ちこぼれをこしらえる、それがやみ炭のもとになるということがないように、十分取締つていきたいと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=108
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109・松本七郎
○松本(七)委員 問題は今後人事の問題でいろいろ起つて來るであろうと想像されるのでありますが、これについては既に産業復興營團ができた當時大分いろいろな問題があつたように聞いております。各方面からいろいろなことを言つて來ておりますが、御參考までにその要點を申し上げて、少し御意見を伺つておきたいと存ずるのであります。産業復興營團ができまして、その理事長以下の幹部をきめるのになかなか進捗しなかつた。それが關係方面の督促を受けてやつと理事長がきまつて、その他の幹部二、三名を選定した。それで一月二十三日にやつと設立をみるに至つたような状態であります。しかもその理事長以下の幹部九名中六名は官界出、わずかに理事長のほか二名が民間人であるという状況であつた。當時の議會の要望を少しも反映しておらない、裏切つておるじやないかというような、これは組合側から起つた非難であります。しかもその官界出身者が、自分たちから見れば一流とは思われないいろいろな風評のある人物であつて、納得ができないということも言つておる。またその新營團が創立されてからの事務の進行も、はなはだ遲々として進んでおらない、何も契約らしい契約はしておらないというような點を指摘いたしまして、その事務が本來の仕事を少しもやつておらないということを非難しておるのであります。詳しいことは省きますが、一般職員も職員組合から採つてもらいたいというような要望を出したに拘らず、その根本方針として職員組合の幹部であつた者は、いかに事務的才能があつてもこれを除外するというような方針を堅持した。從來組合に冷淡であるか、あるいは反組合的な態度をとる者を中心として選定した。選定に當つては昨年夏營團のストライキの結果追放された理事、竝びに非組合員たる幹部職員數名の意見のみによつて行つたではないか。それから復興營團の業務の一特色は資材の取扱であるが、これは公益營團幹部の進言によつて、業務中に限られた事情あるにかかわらず、復興營團の理事長は公益營團職員代表の意見を顧みず、一名の採用もしておらない。これはどういうわけであるか。その他いろいろ書いておりますが、これは省き、以上の點に對する御辯明を願いたいのです。そういうわけで産業復興營團が公團法によつて公團に改組されても、今までのようなこの營團の行き方を考えるならば、組合員諸君としては何ら期待がもてない。それで今後の運營について十分注意してほしいということであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=109
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110・石井光次郎
○石井國務大臣 數々のお話は實際どうなつているか、私承知しません。何分にもできあがつたのが二月の初めのことで、わずかな期間であります。前からの興業銀行中心にやつていたものを引繼いだ仕事はたくさんありますけれども、今の營團としては、お話にもあつたように初め二、三名の理事者しかなかつたのであります。事業も十分整つてなかつたというようなことが、この仕事の運びがまだ本筋に乘つていないことにもなると思います。また資金の面においても計畫をまず立てて、復興金融金庫から相當大きな融通を受けなければならぬのでありますが、その資金の問題がまだきまつてないようなことから、本筋になつていないのも相當あると思います。しかし今度復興金融金庫の増資も、大體その筋の諒解を得て近くきまるようでありまするから、また役員の陣容も整え、職員の十分なる配置もできると思いますので、だんだんと仕事の方はうまく運んでいくだろうと期待しております。役員の人選が理事長初め後れたという問題は、追放令の關係で決定のできなかつたようなことも、大きな障害になつておつたと私どもは聞いております。中の人事の行き方、仕事の行き方はあらましはきめてありますが、理事長を全面的に信用して、理事長のもとにそれぞれの人を選んでもらうという形をとりましたので、商工省の方からぜひあの役人を使えというようなことを言うたことはないと私は思つております。私が任官して、數名の人を選ぶということで相談がありました。その人たちがそれぞれの擔當で、君は一番適當な人と思うかと理事長に聽きました。理事長は選ぶ範圍においてはこの人たちが私は一番適當と思うということでありましたので、私はそれだけで終りました。どういう人でどういう手腕のある人かということは、私理事長のお言葉に信頼をおいておる次第で、再びどういう人がなつておるかということは、深く私は存じませんが、前からずつと話が續いていたことでもありますし、今の程度の質問をして私は終りました。今後の配炭公團あるいは石油公團にいたしますれば、まずその一番首腦になる人をきめ、その人の案によつて、その相談を受けて私もきめていくことになると思いますが、今のお話のような御注意の數々は念頭におきまして、善處いたしたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=110
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111・松本七郎
○松本(七)委員 今後いろいろな問題が起ると思いますから、人事については、十分愼重なる態度をとつていただきたいということを要望いたします。この公團に直接關係する點は大體以上で終りたいと思いますが、折角の機會ですから、一つ二つ商工大臣に直接關係はいたしませんが、この際承つておきたいと思います。第一は東亞及び南方諸國との貿易の見透しについてであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=111
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112・石井光次郎
○石井國務大臣 東亞並びに南方諸國との貿易は、將來においては日本の貿易の最も大きな輸出先として、また原料の輸入先として十分なる考慮を今から拂い、研究を續けておかなければならぬ問題だと思つております。今私共は生絲の輸出先としては北米合衆國を考え、その方に管理貿易のもとに物を送つておりますが、生絲の今の状態は御承知の通りで、あまり樂觀状態ではありません。しかしこれは私毎度申しますように、アメリカに對しても、將來は決して悲觀することはないという觀念をもつているのでありますが、その方は別として、たとえば綿の問題にしても、綿花も輸入して綿絲布を外え出すということで、今はアメリカの綿が日本に輸入されておりますが、自由貿易が許されるような將來になりましたときには、アメリカの綿を輸入してアメリカに綿糸布を出すような考えは、あまり實際と離れるのではないか。でき得るならば、綿花にしても、インド棉のような纖維の短かいものでよいのですから、こういうものを相當多量輸入して、日本の混綿の技術その他を利用して、適當なものを作り、最も纖維製品を要望する東洋各地に送り出すようにしたい。それには、この戰爭後インド中國等において、だんだん紡績織布の仕事が盛んになつて來つつありますから、なかなか油斷のならない状態にありますが、これは日本の今までの纖維工業の秀でたる技術に信頼いたしまして、今は戰後、技術がすべてにおいて弱まつておる。ここに專門の方もおられますから、説明するのはおかしいくらいでありますが、今まで紡績工場で一臺の機械を一人ではもてないで、五人も六人もかからなければそれだけの運びができないというように、戰時中に纖維工業が弱くなつていたために、技術も衰えていた。能率も衰えていたということを十分改善していかなければ、東亞の市場は手をあげて待つておるけれども、そこには競爭者があるということを念頭に置いて、日本の纖維工業というものも建て直さなければならぬと思います。そのほかにわれわれ纖維工業だけで、それで輸入を賄つていけるかというと、これは絶對できない。將來どの程度まで認められるかわかりませんが、占領治下において當分の間は今度許されました四百萬錘という紡績機械の範圍において、戰前の約三分の一ぐらいの程度に認められる。これがかりにフルに動きましても國内の需要を充たし、そうして海外に出すという問題になりますと、數量がずつと減つてきます。これから先また大きな工場は、今度の賠償撤去工場として相當もつて行かれますので、われわれの期待するものは中小工業よりほかない。この方面で興つていくものは、日本の雜貨その他の仕事であると思います。自轉車を製造するとか、あるいは地下足袋をつくり出すとか、藥品をつくるとか、いろいろ日本獨特のもので、そうして需要地帶は當然南方の各地でありますから、これらに伺いましてわれわれは送り、その代りにわれわれの欲しいゴム、石油、その他のマテリアルをその地帶から仰ぐということが、これが自然のままにおかれるようになりまする世界經濟の組織のもとにおいては一番當然な流れ方だと思うのであります。わざわざ遠い所までもつて行かぬでも、まず身近かな所に需給の地帶を見つけるのは當然であります。東洋各地、南方各地におけるわれわれの商品をいかなる物をこしらえたらいいかというような面においても、今までありました知識は保存し、温存して、さらに研究を進めていくというようなことをしなければならぬと思つております。そういう問題につきましては、今は管理貿易のもとにあるのでありますから、役所といたしましては貿易廳をして、そういう問題にも十分な研究を續けさしていきたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=112
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113・松本七郎
○松本(七)委員 現在日本の主食の缺乏は、これをアメリカの放出物資のみによつて補充しておるような状態ですが、アメリカ以外の國から、何らか有無相通ずる途を講じて、これを入れるという道はないものでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=113
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114・岡部得三
○岡部委員長 ちよつと速記を止めて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=114
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115・岡部得三
○岡部委員長 速記を始めて下さい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=115
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116・松本七郎
○松本(七)委員 最後にもう一つ伺つておきたいのは、大分前にアメリカから重油の輸入が許されているのであります。本會議でも御發表になりましたように、輸入許可になつている。また總理大臣もその演説の中で、五、六月頃には生産が殖えてくる、生産資材も殖えてくる、いわゆる縮少再生産の惡循還をこれで斷ち切れるのだというようなことを言われているので、國民は非常に期待し、それの導因となるものはアメリカの重油であるというので、非常に注目しているのですが、その後さつぱりこれが入つたというふうな話も聞きません、重油の行方をひとつ……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=116
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117・石井光次郎
○石井國務大臣 重油の輸入問題につきましては、私自身代議士としてよりも非常に關係の深い立場になつてしまつたので、私が全院を代表して重油輸入その他についての感謝決議の趣旨辯明をやつたのは十二月のことであります。その時に一月には物が來るというふうな政府の話でありましたが、その意味において私ども全院あげて感謝の決議をしたのでありましたが、役所に入つてみますと、またその話をすぐ聞いたのでありますが、一月も來ない。今しきりに折衝中であるということでありました。私も任官すると、すぐにG・H・Qのある係りの人に會いました時に、一番先にこの問題をもち出して、自分はこういう立場で感謝決議をした一人であるが、今は當の責任者になつてきたのだが、いつ輸入してくれるのだということについていろいろ懇談をいたしました。一番遲れております問題は、これの貿易資金の問題であります。日本が相當多くの借越しになつておりますために、資金の面がなかなか向うの了承するような立場にもつていけない。しかし日本と約束をしたのであるから、なるべく早い機會にもつて來よう、私はそのとき會つた時も、實は今までその問題について會議をしておつたところだということを言われたのでありますが、未だにまだ現品は日本の領土にはいつておりません。しかし先ごろからしきりにG・H・Qの方も本國と折衝してくれておりますし、私どもの見透しでは、想像でありますが、遲くも來月中には、早ければ來月中頃までには初荷が着くのではないか。どうも一月に着くはずでありました初荷が、四月になるのはまことになさけない話でありますが、以上申しましたような理由で遲れておりますが、これはアメリカ側も一生懸命心配してくれておりますし、近く解決するということを期待いたしております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=117
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118・松本七郎
○松本(七)委員 これで私の質問を終了いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=118
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119・岡部得三
○岡部委員長 寺田君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=119
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120・寺田榮吉
○寺田委員 さつきの質問の繼續をいたします。さいわいに商工大臣もおいでになるので、貿易公團ができる、これは貿易の統制についてだんだん簡素化するのだ、そうしてだんだんよくしていくのだという、さつきから貿易廳長官のお話がありましたのですが、私はどうも貿易というものは、最も商賣の機微に觸れていかなければならぬというために、こういう公團であるとか、あるいは官廳組織のものではどうしてもいけない。そういう點について、ただいま商工大臣も紡績のことを少しお話がありましたので、自分の考えを少し申し上げて、これはあるいは貿易廳長官なんかにとりましては、釋迦に説法かもしれませんが、御參考に聽いていただきたいと思う次第であります。大體日本の紡績がどうして發達したかということにつきましては、非常にいろいろの議論があり、またいろいろの原因がある。しかしながら貿易業者の非常な努力が、一つの大きな發達の原因であるというふうに、これはたれしも感じておるところだろうと思うのであります。たとえば私の知つております友人が、昭和六年の非常に綿業界が不況に陷つたときに、日本では今商工大臣も言われた混綿の技術、こういうことが日本の紡績の一つの大きい特長である、その混綿の技術につきまして、もつと安い綿を探そうというので、エヂプト綿の代りにウガンダ綿を探すということで、私の友達が行つたのでありますが、これはほとんど周圍が土人ばかりという所で、三箇年ほど一人で暮して、そうして日本へウガンダ綿をもつてくるという道を初めて開いた。あるいはカリフオルニア綿を日本に入れるのに、カリフオルニアの綿では少し高いというために、ペルー綿を入れる、そうしてタイヤ、コードをこしらえたり、あるいはカタン糸、そういうものに使つていつて、日本の商品を安くしていく、こういうことは私は官廳組織のことでは絶對にできない、そういう感じをもつておるのであります。そういうところは官廳の會計の觀念ではどうしてもできない、どうしても民間にそういうところは任してもらわないと發達しないんじやないかというふうに感ずるのであります。たとえば今度インド綿を入れてもらうという場合にも、インド綿のどういうものを入れてもらうかというようなことは、これは商賣の機微でありまして、これはただ事務をとつているというようなことではどうしてもできないという感じがするのであります。あるいは今商工大臣も支那の紡績の將來のことを多少言われておりましたが、私は支那の紡績の將來というものは、これは五百萬錘あつても、ほとんど駄目だろうというように感じております。なぜかというと、支那の紡績というものは基礎産業がない。たとえば忽ち現在でも困つているのは、針布が既に消耗されている。これは必ず日本から針布を輸入しなければならぬ。針布がなければ梳綿ができないというために、支那にいくら錘數があつても、これは二、三年すれば動かなくなる。日本の紡績というものは、東亞の全纖維製品の責任を負つていかなければならないというふうに、必然的になつてくるんじやないかという感じを私はもつておるのであります。そういう紡績の部分品につきましても、支那との貿易というものも必ず起つてくると思うのであります。こういうことについて官廳でやつていただいているということは、私はどうしても納得できない。だから、できればこういう貿易公團というようなものはこしらえないようにしていただきたいと思つているのであります。やはり民間の、貿易廳のもとに現在の建前でやつていただきたいと考える次第であります。また現在の貿易廳でさえも、たとえばわれわれが綿布を渡しても、その代金が、書き換えても書き換えても手形がちよつとも現金に換らぬ。これはどこの官廳でもそういうことはよくあるらしいのですが、現金に換らぬ。また輸入した品物を賣つた代金はなかなか囘收しない。これはまつたく官廳の會計觀念のためじやないかというように私は考えるのであります。アメリカなんかと違いまして、日本の産業というものは、まず貿易が興らないといけない。生産が興つて貿易が興るのでなしに、日本では必ずまず貿易が興つてそれから生産が興るという國情にあるときに、これが官廳制度になつていくということは、私は非常に殘念なんであります。これは商工大臣あるいは貿易廳長官はおそらく痛切にそういう感じをもつておられるのであろうと思ひますが、できればこういう法案は撤囘していただきたいというように感ずるのであります。一つ御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=120
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121・石井光次郎
○石井國務大臣 今外國各地の棉花についての貿易業者の働き等についてのお話があり、まことにその通りだと思うて傾聽いたしました。この管理貿易のもとにおきまして、どの程度までそういうことが許されるかはわからないのでありますが、先ごろも商用手紙のやり取りが認められましたのも一つの現われでありまして、管理貿易の形はなかなか解かれないかもわかりません。しばらくは自由貿易にはならぬと思いますが、この管理貿易下におきましても、個人の貿易的な活動というものは漸次許されていくと思つております。今のような場合には、貿易廳あるいは貿易公團の人たちも行つていろいろ調べることもありましようが、實際の貿易の仕事をする人たちが直接行つて、いろいろそういうことにあたる、管理貿易下においてもそういう人たちが主になつてあたるべきものだと思つております。そういうふうに漸次許されていくということを私どもは期待しておるわけであります。それから金の拂いの惡いものの問題もありますが、この間から、貿易公團ができ、役所になれば、ほかの面のいろいろな役所の拂い等にもよく見るように、要るときには金をよこしてくれないで、實に迷惑なときになつてようやく金が來るという例はたくさんあるので、私どもこの公團ができてそういうことになればまことに申譯ないので、それはぜひほんとうに自分たちが代行機關として商賣していくつもりで、業者の資金の手詰まりにならぬように、手詰まりになればどうしても政府としては援助していかなければならない際におきましては、支拂等について迅速にやるような方法を講ずるというようなことはいたしております。根本の貿易營團返上論は、ちよつと私の今日の場合としては非常に困るのでありまして、これはただ手續上の問題と申しまするか、ただ今までの各代行機關がやつておりましたことに代つて、今後七十七の團體の代りにこの四つの團體でやつていく。それには公團の性質論で既に幾たびか議論が交された問題でありまするが、できるだけ貿易業者の諸君が日本の貿易の將來、日本の貿易というものがいかに大事だかということを考えずに、そうせずに今の形の方がいいではないかというその心持ちは十分わかるのでありますが、この公團を置かねばならない根本の理由、今まで數點あげられておりましたような理由で、貿易問題もそういうふうにやつていけということになつて、それをやつていかなければ責任を負うてわれわれがやる、あるいはそれでは貿易廳そのものが當るかどうかということになりますると、豫算の面であるとか、官吏の任用の關係とか、いろいろなことにおいて混雜を來すばかりであります。この程度ぐらいが、今日の管理貿易下においての状態としては、まあ自由な氣持で言えば、まことに――何かほかに手はないかということも考えられるのでありまするが、管理貿易下においては、そうして獨占的なものはいけないというようなこともいろいろ言われておる場合には、やむをえぬ制度としてわれわれはこれを十分活かしていく。それから貿易業者のもつておられまする能力、今までの貿易に從事しておられる方々がこれら貿易の將來自由貿易になる場合にどうやつていつたらいいかという氣持と、その能力を十分保存し、そしてわれわれの日本の貿易の將來をよくするための協議等は十分あらゆる場合に活かして――貿易廳において實はいろいろな委員會を設けようということをこの間から新長官も申しております。こういうことによつていろいろな準備を今から怠らず、どんな場合が來ても驚かずに世界の貿易界に飛び出せるようなことにいたしたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=121
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122・寺田榮吉
○寺田委員 最後にもう一つ希望を申し上げて終りたいと思うのでありますが、從來の日本の輸出産業につきましては貿易業者、問屋、そういうものは非常に親切に世話をして、そうして製品を集めてこれを輸出しておつたといふうになつておるのでありますが、これが貿易公團になつた場合にそういう點も非常に危惧されるのであります。だからたとえば竹細工なら竹細工というようなものは、官廳的な機構では、そういうこまかいことは世話をしてやらないという弊害がおそらく出て來るのではないかという感じをもつのでありますが、そういう點についても十分これはひとつ親切にやつていただきたいと思う次第であります。私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=122
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123・岡部得三
○岡部委員長 稻村委員の質疑を許します。稻村君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=123
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124・稻村順三
○稻村委員 私の商工大臣に對する質問の一番先は、ちよつと議事進行に關するようなものに似ておりますが、私實はここにおいてこの法案について質問しようと考えておりましたときに、大臣が見えないばかりでなくて、政府委員の中に主として事務關係の政府委員が多く、立法府を代表しておる政務官の顏が出ていない。これは非常に遣憾だと思つております。それにつきまして結局われわれが今委託されて審議すべき法律というものは、これは實を言うと、今日のごとく政黨關係の政治形態をとりますと、政黨を代表しておるところの政務官が主としてその答辯の責任に當るべきでありまして、事務官は單なるこれは事務的執行だと思うのです。それにもかかわらずそういうことについて事務官がこれに答辯をしておるというのは、私は越權ではないかと思う。その點まず第一に大臣の答辯を要求したいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=124
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125・石井光次郎
○石井國務大臣 私自身が今朝から先ほどまで欠席いたしておりました。これは貴族院の豫算分科會でありましたからお許しを願いまして、それが濟みまして出てまいりました。ほかの政務官はやむをえぬ用事で、私がこちらで院内にあるために、一人は私の代りにちよつとほかへ行つてもらつたのであります。政務次官は今日は實は私の代りに午前中出ておりましたそうですが、當然あなたのおつしやるように、出られ得る限りにおいてはこの席において答辯するのが當然であると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=125
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126・稻村順三
○稻村委員 その點は私は事務上のいろいろな規定の問題だとか、そういう問題に關しては確かに政府の委員としての事務官がこれにある種の説明を加えることは當然だろうと思いますけれども、法の運營あるいは立法の問題に關する全責任は私は政務官がもつている。大臣が政黨を代表しておられる限り、大臣に責任があるのでありますけれども、そうでない限りにおきましては、政務官がその責任をもつておるというふうに考えるのでありますが、大臣は私のその見解に同一であるかどうかをお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=126
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127・石井光次郎
○石井國務大臣 私がこの法案の提出または法案の説明につきまして、全責任を負うのであります。私が差支える場合において、政務官が私に代つて責任あるお答えをするというような意味に私は承知いたしております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=127
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128・稻村順三
○稻村委員 それではこの問題にはいつていきたいと思いますが、私のまず第一に質問したいことは、配給公團というものができてまいりますと、これに對する大臣のお心構えについてちよつとお伺いしたいと思います。先ほどから竹山委員その他からも質問がありましたけれども、質問のあるたびに、大臣は四圍の情勢上やむをえないからこういう公團というものをつくるのである。こういうような御答辯が非常に多かつたのであります。私はこの際さらにお伺いしておきたいのは、大臣が自由黨出身の閣僚である、こういう意味におきまして私はお伺いしたいのであります。それはどういうことかと言えば、四圍の事情やむをえない、こういうものが必要だということは、大臣は、でき得る限りこういう統制は短期間にこれをはずしたい、こういうような意味合のことも言つておられます。しかしながら今日の四圍の情勢これやむなし、こういうことは今日において、少くともここ當分の間は、これは統制が必要である、こういうふうに大臣はほんとうにはつきりとお思いになつておるかどうか。その點をお伺いしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=128
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129・石井光次郎
○石井國務大臣 配給公團の組織が四圍の情勢やむを得ずと申しますが、この間から本會議以來繰返しいろいろ申しておりまするが、この公團のような立場をとる以外に、今日の統制をやつていくには方法はないというような意味であります。統制は、統制そのものは、今日において特に重要な物資につきまして、そして需要を充すだけのものがない限りにおいては、これはまことにやむをえざるものであります。できれば私どもは統制をしたくないのであります。けれども統制しなければ、ほんとうに必要なところに配給ができない。少いものを非常な大きな需要の中にまくのならば、重點的に配給せざるを得ぬ。それにはわれわれはどうしたらいいか。今までの統制會社組織では、殘念ながら失敗であつたということがいろいろな例によつて示されております。加うるに今の統制會社の形は、名前はどう變りましても、獨占企業禁止の精神に反する。そうすればどこへもつていくか。強力にこれを統制をやつていく責任を一番はつきりとれば、政府が責任者にはつきり立つよりほかにない。そうすればどこへもつていくか。一番はつきりした場所は專賣ですが、けれども專賣にもつていけば管理に當りまする人々の給與の問題もあるし、運營上の資金の問題等にもいろいろ問題が起つてくる。さればといつて今の統制會社からもう一歩進めた營團組織というようなものにもつていつたらどうかというと、これも半官半民のような形でありまするし、これはやはりはつきりと今の弊害を除くことができないじやないかというので考えましたのが、この新しい形の公團であります。私どもはこの公團が今日の場合においては、一番適當な方法じやないかというふうに考えております。そういう意味においての四圍の事情という意味であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=129
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130・稻村順三
○稻村委員 そうすれば大臣はここ當分の間は統制が――殊に少くとも配給、貿易、そういうものに、價格に關しては統制が必要である、こういう結論になると思いますが、その點をお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=130
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131・石井光次郎
○石井國務大臣 品物が極度に缺乏しておりまするこの状態の續く限りにおいてはやむをえぬことだと私は思うのであります。一日も早くそういう状態から拔けて、この公團組織が解消することを私は期待いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=131
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132・稻村順三
○稻村委員 そうしますというと、大臣は自由黨の代表閣僚でありますからお尋ねしますが、自由黨におきましてもここ當分は統制は必要であるということをはつきり明言して差支えないかどうかということをお尋ねいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=132
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133・石井光次郎
○石井國務大臣 自由黨は結黨の時から、統制のやむをえざるものが、非常に少くして、どうしても統制しなければいけないような、お話のたとえば食糧の問題等についてもそうでありまするが、そういう問題についての統制は否認いたしておりません。但しわれわれの自由黨の目標は、最後において自由經濟にもつていく。一日も早くこの統制を解くような状態に經濟状態をもつていくということを絶えず説いておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=133
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134・稻村順三
○稻村委員 そうしますと今日一つの政治というものは、將來の問題が政治政策ではないのでありまして、政治政策というものは現在の問題であると思うのであります。殊に選擧その他を通じて國民を啓蒙する場合には、現在問題になつているものをいかになすべきかということが問題だと思うのであります。しこうして個々の公團法を見ますというと、相當廣汎にわたりまして、しかも重要な物資に關しまして、これは一應の統制を強化するという形をとつているのでありますが、この際におきましては、政黨と國務大臣としての立場は多少異つておるかもしれませんが、しかし大臣が自由黨に席を置いている以上は、この點自由黨は少くともここ當面は統制が必要であるという建前をとつて、スローガンとして、あるいは綱領として揚げていくことが私は公黨として當然であるというふうに考えておるのでありますが、自由黨はそうしていないというのではありませんけれども、少くとも國民の末端の方にいきますと、私たちの考えるのは、自由黨は純粹な自由黨單獨の内閣でもできるならば、今明日でも統制がはずされるというふうな理解を相當もつておると思うのであります。またそういうふうなことを思わせる一個の議論も出てくると思うのであります。たとえて言いますと、自由黨のうちの相當有力な人と思われる人たちが、どうかすると一切の統制經濟は戰爭の責任だ、統制經濟の論者は戰爭の責任者である、資本主義というか、自由經濟というか、自由經濟はわれわれの最も平和的な、最もデモクラテイックなものとしてわれわれは自由經濟を今日主張するというような建前を堂々と發表しておるのであります。そういうことを考えてみますと、かような場合に國民がややもすると一つの政治層として、自由黨の主張とは言えませんけれども、その自由黨の主張は當面統制經濟が必要であるという、その建前をとつているにもかかわらず、それが非常に逆に解釋せられて、今日直ちに統制を撤廢せられるかのごとく幻想を抱いておつた場合に、自由黨出身の閣僚としての石井商工大臣は、これに對して今日はとにかく統制が必要なんだということを、自分の責任を感じて國民のために強調し、啓蒙する必要があると思うのでありますが、その點大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=134
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135・石井光次郎
○石井國務大臣 自由黨の政策をごらん下さるとわかりますが、自由黨もさつき申し上げましたように、昨年結黨のとき發表したものにも、あらゆる統制を撒廢するとは申しておりません。先ごろ出ましたものにも、生鮮食料品の迅速なる撤廢を期するということは出ておりまするが、ほかの物についての統制を撤廢をする、自由貿易だということを申してはおりません。私は私自身が商工大臣の立場として、また自由黨出身の商工大臣として當然世間で見られておると思いますが、放送その他各地において演説等におきまして、私は配給公團のような式の重要な物資について、この物の少い時において統制を行われるのは當然だ、そうしなければならない、これはしかしわれわれが統制を強化するような逆な形に見える。ちよつといえば官僚統制を民間の統制に移し、民間の統制を自由にもつていくというのが手順のようであるが、今までの民間の統制を逆にこういうように強化する形はなぜかといえば、今のような統制では統制の實があがらない、統制をする必要があるなら統制を確實にやれるような方法をとらなくてはならない。今のような統制會社ではうまくいかないから、われわれはこれを一應強化する。強化して物がほんとうに生産されて、正常なルートにどんどん動き出すようになれば、やがて物が殖えて來るのであります。石炭もうまく増産されて、そうして適當な重要度に應じて配給が行われる、そうしていろいろな鐵、肥料その他の重要度に應じて生産が増してくるということになれば、すなわちこの統制はやがて撤廢する時期が一歩近まるわけであるから、そのためにわれわれは統制を強化せざるを得ぬということをはつきり申しております。その心持は私が商工大臣になつたがために言うにあらずして、私は自由黨員として、また石井光次郎としてそういう心持をもつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=135
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136・稻村順三
○稻村委員 そうしますと、ここ當分の間は大臣の意見によりますれば、むしろ統制は強化しなければならないという御議論になるものと思います。それは生産増強ができた後のことは第二の問題として、ただそれだけを問題にすれば、そういうことになるだろうと思うのです。そうしまして、この統制の強化それ自體が、實はそれを強化していくためにはいわゆる自主的な統制よりも、むしろ官吏によるところの統制、これの方がどちらかというと統制の上からいつて適當である。すなわち俗にいうところの官僚統制といいますか、そういう官吏の統制の方が適當である、こう解釋して差支えないですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=136
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137・石井光次郎
○石井國務大臣 私の申しましたのは、今日は何でもかでも統制をみんなやつていけという意味ではないのであります。重要なもので、そうして物資の非常に少いものには統制をやる。統制する以上はその實效のあがるようにやつていく。これは私の所管という問題ではないのでありますが、自由黨で唱えております生鮮食料品のごときは、統制を撤廢したらよいだろうという意見であります。何でもかんでも統制をしていくという意味ではないのでありまして、統制がぜひ必要なものは統制を強化する。そうして統制せんでもよいという見込みのついておるものはできるだけ統制しないようにした方がよいだろうという私は意見であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=137
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138・稻村順三
○稻村委員 この間私の質問に對してちよつと感違いしておるように思う。私は先ほど言つたように、この公團によつて統制されるものは、とにかく石炭であり石油であります、さらに問題になつてくるのは貿易品であり、そこにもつてきてさらに價格統制というものが強化される、こう思うのであります。こういうことになりますと、もちろん重要産業、重要物資というものがほとんど統制に入つてくる。その他のものについて私言つているのではない。そうすると、それらのものから考えてみると、確かにそれがないよりもある方が統制は強化されてきておるわけであります。そうしてまたその統制を徹底するためには、從來のようなことでは不完全なものであるからして、その從來の弊を補うためにこの公團で職員その他を全部官吏にいたしまして、政府が責任を負うてこれを統制する。こういうふうな御説明であつたのでありますが、そうすれば統制が必要な今日の状態のもとにおいては、自治的な統制よりも、國の責任において官吏が統制する方がより有效である。いわゆる俗に官僚統制といわれておるものの方が特に今のところは必要である、こういう御意見かどうか、こういうことなのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=138
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139・石井光次郎
○石井國務大臣 今まで行れました民間の統制會社の形によりまする統制は、統制の目的から見ますると、十分な實効をあげ得なかつた、そうすればどうしたらいいか。統制が必要である事質はなお解消しない。そうすれば政府が直接責任をとつてそうして配給の仕事をやるべきじやないかというようなことを私ども考えます。それで政府が責任をとる形をどうやつていくか、政府そのままでいけばさつきも申し上げましたように、專賣の形でいくかということも考えられるのであります。專賣にいたしますれば、いろいろ不便な點もあるのであります。この形式がその中間をいくものとして、いくらかでも役所というような感じから離れる氣持において、そうして役所の形でなく、この公團そのものによつてできるだけ商賣人的な氣持と、敏活な動きを期待する。しかし責任は官吏として負うというような意味におきまして、この方法が一番いい方法だと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=139
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140・稻村順三
○稻村委員 官吏による統制ということと、國が責任を負うということとは違う、こういうふうに私は考えておるのでありますけれども、その點に關して大臣はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=140
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141・石井光次郎
○石井國務大臣 國が責任を負う形におきましても、民間にやらして、それを監督して、その責任を負う形もありましよう。今までの統制會社に對する立場におきましても、政府は責任が全然ないとは言えないのでありますが、もつと身近に責任を負つて、そうして自分たちの任命した官吏、その組織において仕事をやらしていくという。この形がいいと思うのであります。もう一つ申し上げたいのは、この公團の氣持はこれは私どもは自分だけの自己滿足的な説明ととられるかもしれませんが、官僚がこの仕事をするということよりは、民間の人たちが官僚の陣にはいつて、政府の國家的な官吏の氣持によつて、公僕たる氣持によつてこの仕事をやつていくのだという心構えにおいて、この公團は運營さるべきものである。それで主としてはいるものは民間人である。民間人が逆に官僚の陣營にはいつて仕事をするのだと思えばいいのだと私はそう思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=141
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142・稻村順三
○稻村委員 實は先ほど松本委員からも指摘されたところでありますけれども、從來官吏というものは、私個人個人から見れば、決して官僚イデオロギーをもつておるとは思つておらぬ。しかしながら官吏が官吏たるゆえんのものは、一個のやはり官吏としての身分が問題になつてくると思うのであります。その點民間から官吏として採用されましても、それが官吏として一群をなしておるものの中にはいつてみますと、やはり官吏という身分のために、遂に從來いうところの官僚的な方向に次第に向いていくような危險がないかどうか。この點を大臣にお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=142
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143・石井光次郎
○石井國務大臣 その點は先ほどもお答えいたしたのでありまするが、力をもてば皆何となく威張りたがるような國民性を日本人がもつておるのであります。根本から申せば、日本人の再教育の問題になると思います。私は官吏になつて皆今の民間の統制會社におるときよりも、公僕の氣持でへりくだつた氣持で、そうして働いてくれということを期待し、またそうなるためのいろいろなできるだけの方法は講じまするが、そこに從事いたします役人が、皆そういう立派な態度をとるかどうかという問題になりますと、私は必ずしもその通りだということは言い得ないと思うのであります。しかしこれはおそらく官吏でなくても、統制會社であつても、そういう状態はあると私は思うのであります。しかし官吏になればなおそうじやないかという點を私どもも心配するものであります。いろいろさつき委員會等の問題もありましたが、そういう面について官吏と名がついても、こういう行き方をすればこううまくいくのだという例になるくらいにまでこれをよく運んでいきたいと希望し、そのつもりでやつていきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=143
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144・稻村順三
○稻村委員 この點大臣の答辯を聽いておりますと、官吏という主觀的な氣持でもつて官僚的なものになる、こういうふうにお考えになつておるようでありますけれども、私から言いますと、これはもうすべてそうなんでありまして、官吏の本質というものが、やはりそういうようないわゆる官僚かたぎをもたざるを得ないような本質になつておるものだと考えられるのであります。從つて官吏が官僚的にならないためには、常にこれに對する制肘を加える。これは間接的な、先ほど大臣が申されるには、たとえば安定本部の中に委員會を設けるとかいうような話は聽きましたが、安定本部へ委員會を設けまして、安定本部を通じてさらにそれが商工省の方にまわつてきます。大臣は要するに仕事の決裁はいたしますけれども、實際上の仕事は商工省の官吏がすると思うのであります。さらに官吏の手を通じまして、それが今度は公團の方にまわつていきまして、公團の仕事というふうになつてまいりますと、その間ずつと官吏のいわゆる組織部門を通じまして、安定本部内にできた委員會に反映したところの業者、あるいは需要者というような人々の意見は、次第々々に内容を失いまして、そのたびごとに形式さえ通つておれば一應いいのでありますから、次第に抽象化されて、そうしてこの公團の中にいくという危險性があると思うのであります。また責任の問題から申しましても、官吏としての責任を果すというのは、一應の形式を通じておるということが一番大事なことなのであります。そういう形を通じていきますと、この公團なら公團というものは直接需要者なり、あるいは業者、またこれに品物を提供する生産者なりというものの意思が、次第にそこで形式化されていく、抽象化されていく、そうして次第に官吏が官吏としてのいわゆる形式的な仕事をするという形にならざるを得ないと思うのであります。この點もしも官吏になりましても、官吏の嚴格なる紀律のもとに――形式的な紀律、私はこの官吏のもつておる形式的な紀律というものは非常に大事なことだと思いますが、これは内容を伴つてはつきりと各業者なり、需要者なり、生産者なりの意思を直接反映していくためには、この末端の方にこそ私はむしろこういう公團なら公團というものを官吏にするということは、公團自身の中にこれらの人々の意思を代表するところの機關によつてこれを制肘し、ある場合にはこれに對して一應の方針を與えるというような組織を必要とすると思うのでありますけれども、大臣はその點に關してどういう御意見であるかどうか伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=144
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145・石井光次郎
○石井國務大臣 中央の委員會もその委員會できまつたものを商工大臣を通し、あるいは局長を通し、公團に傳えるというような形の必要はないと思つでおります。私は委員會と公團と直結していいと思つております。それから地方の問題はまことにお話の通りでありまして、私は地方の問題が一番大事だと思つている。地方に監査委員會というようなものを置きまして、中央におきまするような、實際に近いような、地方の情勢にいろいろ明るい人々をもつて地方監査委員會を置いて、今お話のような實效をあげたいつもりでおります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=145
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146・岡部得三
○岡部委員長 稻村君にちよつとお諮りいたしますが、運輸大臣大分急がれておるらしいので、質問を變更して運輸大臣に對する質問を先に願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=146
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147・稻村順三
○稻村委員 運輸大臣がお急ぎになるようなお話でありますので、運輸大臣にお尋ねいたします。それは運輸とそれから今後のいわゆる重要物資の配給統制との間には、非常に密接な關係のあることはこれはたれも否定ができないと思うのであります。殊にこれが圓滑なるところの一つの手段として、運輸事業には非常に重要な關係があると思うのであります。特にその中で重要なのは、いわゆる小運送であろうと私は思つております。ところが今日その小運送の實情をみますと、實に停滯状態にありと言えると思うのであります。たとえて申しますれば、私たち自分の郷里の驛などへ行つてみますと、貨車が足りない足りないと言いながら、荷物が積んだまま何日もおろさないで、そのまま貨車が置きざりにされておるという實情も私は見ておるのであります。どういうわけでこういうような状態に置かれておるかといいますと、私は何も小運送に從事しておる從業員諸君が怠けておるというようなことは決して言わないのでありまして、これは實を言うと、まつたく手が足りないということが實情であろうと思うのであります。こういうような状態を私たちは見ておりますと、どうも小運送業というようなものに對しても、俗にマル通と言われまする日本通運株式會社という一箇の國策會社でありますが、この國策會社のやり方にいろいろ無理があるのじやないか、かように考えております。特にマル通の關係で働いておる勞働者諸君の給料がきわめて惡い。これは同じ状態であまりよいとは言えませんが、國鐵從業員に比しましてはるかに勞働條件が惡いのであります。從つてあまり勞働者がどうかというと喜んで働かない、喜んでやつて來ないという状態があるのでありまして、そのために、どちらかといえば、今日の状態にあつてもなお手不足を感じているような事態にあると思います。そこへもつてきて、その結果といたしましてどういうことになつているかと申しますと、マル通では、品物を、たとえば荷主の所から停車場まで運んで行くというのには、確かに運搬料をとつているはずであります。運賃はとつているけれども、結局においてどこでも、ここの議員諸君でも皆御承知だろうと思うけれども、マル通がとりに行つた、日本通運株式會社がとりに行つたというような實例は一つもないのであります。大體こいつは荷主みずからが自分で頼み込んで、トラツクならトラツクを頼み込んで、それを日本通運にもつて行くのであります。もつて行きますと、日本通運ではそのときの運賃には、ちやんと自分が集荷したと同じだけの運賃を加算している。そうしますと荷主は、實に二重の運賃を拂つております。もしもそれに對して文句を言うならば、通運がおれの方では取扱わないと言えばそれまでのものであります。仕方がないからやみの運賃でもつて高いものを運んで、さらに形式的な書式をまとめるために、どうしてもマル通に運賃を拂う。こういうふうな状態でありまして、しかも從業員の待遇が非常に惡いという結果といたしまして、たとえばそういうふうな金錢の誘惑にも非常に弱いという關係で、私らの郷里へ行きますと、重要物資でもつて貨車が統制されて云々というときに、とにかく一貨車二千圓を與えれば貨車が動かせるといううわささえ聞いております。こういうような状況のもとに、私はこの公團案がいくら出ても、その配給は非常に圓滑にいかない、かように考えておるのであります。この際もし運輸大臣がこういうふうな問題に對して對策がおありになるなら、その對策をこの公團の審議と並んでお示しを願いたい。たとえて申しますならば、こういう弊を除くために日本通運株式會社を解散して、今度はやはりここにも小運送公團をつくるとか、あるいはまたこれを解散して、ここに昔のままのような、これだけならば競爭をやつてもそうひどいことにもなるまいからして、競爭して數社の人間に分解するとかいうようなことについて、もし御方針があるならばお伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=147
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148・増田甲子七
○増田國務大臣 稻村委員の御質疑にお答え申し上げます。現在の小運送が非常に圓滑を缺いておるということは、これは世の中の非難もありますし、私も承知いたしております。この原因は今御指摘の從業員の勤勞條件が、國鐵の勤勞條件に比較いたしまして相當よくないというようなことが主要な原因のようにも拜聽いたしましたが、先般來日通關係の從業員は爭議をいたしておりましたが、だんだん國鐵その他と均衡のとれた、平仄のあつた勤勞條件の維持改善がなされておりますから、この方面は私は漸次なくなり、またなくなさなければならぬ。こう存じております。それから今拜聽いたしましたいろいろな非難は、私もかねがね拜聽いたしております。しかしとにかく集荷したと同じような費用を、實際荷主が集荷したにもかかわらず、二重に拂わしておるというような事實は、私は初めて聽きましたから、これはよく調査いたしたいと存じております。ただ一貨車についていくら拂わなければ貨車が獲得できないといううわさは、運輸省にはいる前から聞いておりますから、この點はよく調査をいたしたいと思います。それにつけてもその原因の一つが、從業員の勤勞條件が他に比べてあまり改善せられていないということが原因であるならば、これを極力改めたい。これは勤勞條件を少くとも國鐵同樣のものにして、喜んで働かせるようにいたしたいと存じます。將來しかし日通なりマル通を改組して公團にするかどうかというような御質問に對しましては、私はただいまのところでは、日通は何も全然獨占的というわけではございませんし、ほかにも小運送業者は現在御承知のように二百八十もございます。しかし事實上やはり獨占に近いような形態に相なつております。これを公團にするということは考えておりません。將來やはり監督と助長とを強化することによつて、立派に小運送を運營さしていきたいと存じております。また荷主がせつかくトラツク等で自分の費用と危險と計算において集荷したにもかかわらず、これを二重に費用を計算するということはけしからぬことでありますが、それを調査すると同時に、もしトラツク等でせつかく驛まで運べるならば、今度は驛長によく話をすれば、そのトラツクで運んだ荷物は自分で貨車に積み込めばよいのでありますから、これは荷役さえあればよい。ただトンネル的の扱いをして、コンミツシヨンをとつていくというようなことのないようにいたすと同時に、また荷主等に對しても直き扱いという方法がよくあるのでありますが、直き扱いをしてもし意地惡でもされれば、これは監督しますけれども、直き扱いの方法もあるということをよく國民に周知せしめたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=148
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149・稻村順三
○稻村委員 小運送免許法と言いますか、そういうふうなものによりまして免許を受けた小運送業者もあるわけでありますけれども、實際上驛扱いというものは、その場合にはほとんど無力でありまして、實際上のところから言えば、各驛に全部日本通運の出張所がありまして、ここでほとんど一手に引受けておると言つて差支えない状態であろうと思うのであります。このためにどちらかと言えば、明らかに實質上日本通運なるものが、一個の何と申しますか、獨占事業としてできておるのでありまして、まだ二百いくつか全國にあつたとしても、あのたくさんな驛のある中に二百いくつくらいあつたところで、これは決して日本通運が獨占會社ではないということはできないと思うのであります。その意味から申しますと、日本通運株式會社なるものは、ある意味において獨占禁止法に牴觸するものであるというふうに考えますけれども、この點運輸大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=149
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150・増田甲子七
○増田國務大臣 お答え申し上げます。今囘提案された獨占禁止法案の趣旨に、日本通運は事實上獨占的形態だから觸れはせぬかという御質問にお答えします。御承知の通り、また御説の通り二百八十いくつありましても、やはり全國で小運送を經濟的見地、社會的見地から見て、獨占的形態で運營しておる點はやはり日通であると思います。從つてこの獨占禁止法案が通過いたしますれば、これに牴觸するきらいがございますから、その間どういうふうにやつたならばよいか、つまりその善處方について研究をいたしたい。こう存じております。但し獨占禁止法案に正面から觸れるというわけでもございませんで、その法案の中に公益的性質を有するものは、また除外規定を設けることもできます。しかし獨占ということがいろいろな小運送の隘路になつているならば、そういう見地からも、またこの除外規定がありましても再檢討をする必要がございますから、研究いたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=150
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151・稻村順三
○稻村委員 獨占的ないろいろな弊害は、事實到るところで私たちは聞かされているわけでありますけれども、何らかの方法において早く一應の方針を立ててそれを明示しないと、全國十三萬に及ぶ日通の從業員諸君の非常な不安と申しますか、たださえどつちかと言うと、いろいろな點で實は勞働強化になつておりますし、また不安のためにその強化に應ずることができないような條件になつている從業員諸君が、さらに激しい動搖を來すおそれありと思うのでありまして、この點今まで獨占禁止法案が出るだろうというようなことも言われておりましたし、また日通はその獨占企業に相當するというようなうわさすらもがしばしばあるのであります。實はここにも新聞の切拔をもつてまいつておりますが、これはどこの新聞かよくわかりませんけれども、今年の二月二十二日の新聞にこの點をとらえて書いております。こういうことからして從業員諸君の動搖はきわめて大きいと思うのであります。これに對して 決してこういうものは獨占禁止法には牴觸しないから、これは殘していく。荷主その他の不安に對しては、こういうものは大體こういう方向でもつて抑えるとか、あるいはそうでなかつたならば小運送業なら小運送業の免許制度を廢止することによつてたくさんできるということになる。むしろこれらの勞働者の人々を、小運送業に從事する運送業者が優先的に雇傭するようにしてやるとかいうようなことによつて、荷主の不安竝に從業員の不安を兩方ともなからしむることができる。それがためには、もはやこういう獨占禁止法案ができて、いろいろな飛説が起つている時でありますから、運輸省としてはどうしてもこれに對する對策をあらかじめ早く出しておかないというのは、私は手落ちではないかというふうに感ずるのであります。これに對しての大臣の答辯をお願いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=151
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152・増田甲子七
○増田國務大臣 お答え申し上げます。お説ごもつともの點が多々あるのでありますが、ただ私先ほども申し上げましたけれども、獨占禁止法案に正面から牴觸するとまでは言えない、直接牴觸はいたしませんが、しかし實質的に觸れるおそれもありますから考究いたしたい。それから從來マル通が統制のために、いろいろな小運送の隘路を來しておつたということもございましたでしよう。しかし統制の非常によい方面も發揮しておりまして、從來非常に公益的方面において活動してくれて、小運送の實を發揮しておる。私は從業員の全部が、運送業のために相當盡瘁してくれたことは多としなければならぬと思つております。ただ將來はやはり小運送業の民主化という方面に向つて考究しなければならぬ。かたがた獨占法案に牴觸するおそれがある點もございますから、今研究しております。ただ小運送業を無條件に民主化することは考えられません。やはりおつしやる通り從業員が相當素質がよくなくてはなりません。規律の點も大事であります。いろいろな盜難事故とか、あるいは涜職的行爲があつてもいけません。また小運送業者自身が相當資産もあり、信用もなくては立派な小運送を營むことができませんし、ともかく從業員についてもそうでございますし、また運送業者についてもそうでございますから、ある一定の基準をつくるということにせつかく研究中でございますし、だんだん成案を得つつあるということであります。さよう御諒承願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=152
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153・稻村順三
○稻村委員 そういう方針はでき得るだけ早く示していただきたいということが一つと、もう一つにはそういうふうな一つの對處するようなことがある場合にはどうかというと、今日日本通運株式會社法というものができて、そうして一つのこれは國策會社と申しますか、ある程度特權的な一つの會社のような形をとり、これに對してどうかと言えば、あるいは當時の鐵道次官が社長になるとか、あるいは部長には局長がなるとかいうような形で、どつちかというとまつたく官廳のうば捨山のような感じが非常に深かつたのであります。こういうふうな意味合におきましても、日本通運株式會社法というような法律が、非常に多くの公益會社を官僚化するというような危險を多分に含んでいる。戰爭中はそれでもよかつたと思うのであります。なぜかというと、戰爭には軍という一個の大きな力がありまして、その力によつてこういうふうになつたのでありますから、その力の方向にだけ忠實にくつついていけばそれでよかつたのでありますけれども、今度の場合には、少くとも重點的に運送をやると申しましても、それを民事的に見た重點的な運輸でなければならぬというようなことを考えますと、こういう法律自體は廢止しなければならないというふうに考えるのであります。さらに免許小運送業法というようなものも、これもどうかというとその當時としては、ある程度こういうものによつて日本通運なら通運というものに、軍事輸送一本やりでむしろいくような勢いでやるためには、そういうような運送というものをある程度抑えるということが必要であつたために、こういうふうな免許小運送業法というようなものもあつたと思うのでありますが、新しい事態がもし發生いたしますと、こういうふうなむしろ運ぶところのものが、貨車なら貨車というものがある程度まわるならば、その限りにおいてはどうかというと、こういう日本通運株式會社法とか、免許小運送業法というようなものを廢止するということを運輸大臣はお考えになつているかどうか。この點もお伺いしてみたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=153
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154・増田甲子七
○増田國務大臣 お答えしますが、まず第一に日通は官吏等の相當の高官の者が引退した場合に、うば捨山のようなものになつている感があるというお言葉でございますが、私は人材であるならば官民いずれを問はず、殊に運送行政とか運送事務自體について、造詣や經驗を何十年も積んだ者を大いに重用するということは、やはりわが國小運送の發達のために利益である。いわゆる人材であるならば官民いずれを問はず重用すべきものである。これは主義として考えております。それから日本通運に關する法律、免許小運送業に關する法令等を廢止する意思があるかどうか。これは廢止するということは私ははつきり申し上げ兼ねます。ともかくもこれをモデフアイするとか、調整するというようなことは考えております。ただ先ほど申し上げました通り、從業員とかあるいは小運送業者の免許に關する一定の基準というものについて今研究中であります。一定の基準は設けられなくてはならぬ。こう存じている次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=154
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155・稻村順三
○稻村委員 運輸大臣に對する私の質問はそれくらいにしておきたいと思います。殘餘の質疑は明日の午前十時から引續き繼續したいと思います。本日はこれにて散會いたします。
午後四時四十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00219470324&spkNum=155
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