1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
石油配給公團法案(政府提出)(第六一號)
配炭公團法案(政府提出)(第六二號)
産業復興公團法案(政府提出)(第六三號)
貿易公團法案(政府提出)(第六四號)
價格調整公團法案(政府提出)(第六五號)
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昭和二十二年三月二十六日(水曜日)午前十時五十五分開議
出席委員
委員長 岡部得三君
理事 小野瀬忠兵衞君 理事 松本七郎君
加藤一雄君 木村公平君
庄司一郎君 藥師神岩太郎君
稻村順三君 細田綱吉君
松尾トシ君 竹山祐太郎君
増井慶太郎君
出席國務大臣
商工大臣 石井光次郎君
出席政府委員
内閣事務官 椙杜正太郎君
内閣事務官 島本融君
内閣事務官 小笠公韶君
内閣事務官 窪谷直光君
農林次官 楠見義男君
商工政務次官 保利茂君
商工事務官 吉田悌二郎君
商工事務官 石田磊君
商工事務官 古池信三君
商工事務官 松田太郎君
商工事務官 岡村武君
商工事務官 平井富三郎君
貿易廳長官 永井幸太郎君
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本日の會議に付した議案
石油配給公團法案(政府提出)
配炭公團法案(政府提出)
産業復興公團法案(政府提出)
貿易公團法案(政府提出)
價格調整公團法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=0
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001・岡部得三
○岡部委員長 會議を開きます。昨日に引續き質疑を繼續いたします。松尾委員。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=1
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002・松尾トシ
○松尾委員 先ごろから聞くところによりますと、昭和二十二年度の輸入主食は二百十四萬トンなくてはならない、これに引きかえまして、あちらの船の割當が月に二十萬トンであるという關係になつているそうです。そうしますと、一月からこの方三箇月經ても、まだ十七萬トンしか放出されておらないという關係でありますと、もしここに至りまして、すぐにこの二百十四萬トンを許可されましても、船腹がなくて、荷揚げができないというかつこうになりはしないか。そういたしますと、昨年の六月よりも、はるかに食糧危機は來るのではないか。こういう觀點から、關係當局の方にもつと船腹をいただくような交渉をなさつていらつしやるでしようか、その點をお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=2
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003・楠見義男
○楠見政府委員 お答えいたします。ただいまお述べになりました年間を通じての食糧不足量二百十四萬トンと申しますのは、一應私どもの手もとで本食糧年度の需給推算を立てもした際に、いろいろ將來の推定等も加えまして、結局二百十四トン萬程度の食糧輸入を要するという結論になつたのであります。もつともこのこの數字には持越數字というものを見込んでおりますので、もし昨年の端境期のように、大端境期において操作の上において、實は昨年はほとんど持越數量はなかつたのでありますが、あの當時と同じような非常に苦しい状態でありますけれども、しかし何とかやりくりをしていくということにいたしますれば、二百十四萬トンは百五十萬トン程度に縮まるのであります。しかしいずれにしましても、年間を通じて百五十萬トン以上のものはどうしても輸入が必要と考えております。そこでただいまお述べになりました船腹の問題でございます。實は昨食糧年度から、本食糧年度に持ち越されました輸入食糧で、しかも國内にあつて配給許可を受けておらなかつた數量というものが十數萬トンございます。それから十一月以降逐次はいつてきておりますが、しかしこの數量は大した數量ではございません。このことは實は昨年の暮から本年の初めにかけて、世界的食糧不足のさなかで、特にヨーロツパにおける食糧事情が非常に險惡でございました。從つて輸出國、特に大きな輸出國であるアメリカの食糧が、主として最も急を要するヨーロツパに向けられたというような關係もあろうかと思います。しかしこれからの状態はヨーロツパの方を先に手當し、それからあとは東洋向けになるのでございます。もちろん年間を通じて計畫的にどれだけの數量が確保されるかということについては、日本國政府としましては、終始司令部にはつきりしていただくようにお願いしているのでありますが、いろいろな情勢からいたしましてはつきりいたしておりません。しかしながらその準備と申しますか、事前の措置としては、だんだんと船腹が上つてくるというようなことでありまして、ただいまお述べになりました十七萬トンというような數量は、おそらくこれからは一月においてその數量以上のものが逐月はいつてくるものではないか、こういうように豫想し、また期待しているのでありまして、結局先ほど申しますように、年間の計畫的の輸入數量というものがきまることが前提でありますけれども、しかしその下ごしらえとして準備も著々できているものと私は承知いたしているのであります。その點は御安心願つてよいのではないかと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=3
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004・松尾トシ
○松尾委員 この配給公團法の施行の前にあたりまして、遲配の點をどうなさるか。またこんどこの公團法の施行にあたつて、やみが非常に取締られておりますけれども、昨日あたりの新聞を見ますと、職業もないし、甘藷のやみ屋を働いていたが、この際このやみ屋に對する統制があまりはげしくなりましたものですから、これでは生きていけないというので、青酸カリを飮んで死んだとかいう記事も出ておりましたが、この點、この法案を意義あらしめるにはどう始末なさるお考えでございますか。またずつと久しい間遲配が續いておりまして、ようやく昨年十一月から二合五勺になりました。けれどもこの二合五勺は今となつて考えてみますと、實質的なものではなく、單に精神的に安心感を與えるというだけに過ぎなかつたと思われます。實際は二千四百カロリーをとるには三合配給が必要であると思います。この公團法施行にあたつて、とくと關係當局の方にも三合配給を主張していただきたいと思いますが、いかがでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=4
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005・楠見義男
○楠見政府委員 遲配、缺配の問題、竝びにやみ取引の問題と公團との關係は全然ございません。公團ができる、できないにかかわらず、私どもといたしましては遲配をなからしめるように、またやみをなからしめるようにということに努力をしなければならないと考えているのであります。現在遲配の起つております状態竝びにこれが對策につきましては、しばしば豫算總會なり、また本會議なり、その他の機會において詳しく御説明申し上げましたので、これを繰返す煩を避けたいと思いますが、いずれにいたしましても私どもは遲配をなくするということに最善の努力を盡さなければならないと考え、また事實それに對して努力いたしているのであります。要しまするにまずもつて輸入食糧を仰ぐわが國といたしましては、國内における供出を一〇〇%以上完遂し、またこれが輸送にも萬全を期し、しかして遲配をなからしめるということに向わなければならないのでありますが、しかし先ほど申し上げましたように、結局年間を通じて不足しているのでありますから、その不足分はどうしても輸入食糧に仰がざるを得ない。こういうことで今まで進んできております。またやみの問題にしましても、輸入食糧を仰いでいる以上、御承知のことと思いますが、再々食糧使節團が日本に參りましても、日本が世界の食糧不足の國々の中で一番食糧に對する對策なり、また供出状況というものについての手段が甘いと申しますか、寛大である。こういう國にどうして食糧が輸出できようかというようなことがやかましく言われているのであります。從つて私どもはまずもつて國内における對策について最善の努力を盡さなければならぬということで努力をいたしております。しかし遲配がありまする以上、やみを取締るということにつきましても、先ほどお述べになりましたように、これは一面において非常に無理なことであります。從つて徹底的にやみを取締るということをやります以上は、その前提として遲配をなからしめるということに努力をしなければならないということでありますが、さしあたり國内の對策について、御承知のように今月の一日を期して新しく供米對策を實施することにしたのでありますが、しかしその實現を見まするまでの間には、相當の時日を要するので、その急場のしのぎとして輸入食糧放出をお願いいたしたいというふうな實情でございます。公團のできるできないにかかわらず、私どもといたしましてはそういう面に副つて努力をしているというふうなわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=5
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006・松尾トシ
○松尾委員 私の問いたいのは、この公團法が施行になつたときに、遲配があつたらそれをどういうふうにお取扱いになりますか。また見透しとしましては、三合配給はできそうですか。それからもう一つ最後に問いたいのですが、この法案と消費組合とはどういうふうな關係になつていくのでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=6
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007・楠見義男
○楠見政府委員 何か誤解をされておられるのじやないかと思いますが、この公團法という公團は、食糧については實は公團法は全然出しておりません。從つて先ほど申しますように、公團には關係はございませんが、かりに食糧公團というものが問題になりましても、その公團いかんにかかわらず、私どもといたしましては、先ほど申しましたようなことをいたしたいと考えているのであります。それから三合配給の點でありますが、この點は先ほど申しますような全般を通じての需給推算であり、二合五勺を維持する上におきましても、申し上げましたように相當の數量の輸入を仰がなければならないという状態でありまして、從つてこの状態のもとにおいてさらにこれについて輸入食糧を多くし、三合配給を期待するということは、非常に困難であるということをよく御諒承願いたいと思います。結局この問題は、主要食糧以外の問題でどれだけ、カバーできるか、またカバーしなければならないかという問題に歸すると思いますが、いずれにいたしましても、主要食糧を三合に増配するということは、希望といたしましてはぜひそういうふうにありたいのでありますが、現實の姿はそれに對しては、非常に困難な状態にあるということをお答えせざるを得ないのであります。この點はどうぞ御諒承を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=7
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008・松尾トシ
○松尾委員 これで打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=8
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009・岡部得三
○岡部委員長 細田委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=9
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010・細田綱吉
○細田(綱)委員 私も順次農林當局からお伺いすることにいたします。ただいまの御説明によると、食糧公團といふものは考えていないというお話だつたのですが、食糧營團の中央は解散した。主食の配給確保が喫緊の問題となつておるときに、食糧の配給はどういうふうにして、どういうルートで、どういう機關が今後擔當することになるか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=10
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011・楠見義男
○楠見政府委員 私は現在の機構がいいのではないかと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=11
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012・細田綱吉
○細田(綱)委員 現在の機構をひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=12
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013・楠見義男
○楠見政府委員 現在は御承知のように、買上げは政府の食糧需給特別會計で買上げまして、これを食糧營團に賣却し、食糧營團が配給の衝に當つておる、こういうことになつておるのであります。もちろん食糧營團の運營の行き方につきましては、いろいろ改善すべきところもあろうかと存じますけれども、機構といたしましては現在の方法がいいのではないか。こう考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=13
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014・細田綱吉
○細田(綱)委員 中央食糧營團は既に解散したように記憶しております。特に食糧營團の設立は戰時中なされたものであつて、從つて職員その他の考え方から言つても、きわめて民主的な氣持が稀薄であつて、ややもすると戰時中の氣持が出て、いろいろスムースにいかない點がある。特に農村方面の食糧營團の末端機關を見ますると、いろいろ考えなくちやならぬ、あるいはいかがわしい點が多くある。これはやはりこの際一新する必要があるのではないか。もちろんその人達の手によつて改善するということも考えられないでもないが、しかし一旦地方でもつた優越感とでも申しましようか、なかなかそれは一朝にして取去られるものではない。あるいはまたその仕事の仕振りを見ましても、何のことはない、官廳であるのみならず、むしろ威張ることは官廳以上であつて、もうけることだけは商人根性まる出しである、たとえて申しますと、芋その他の問題にしても、竝の芋を上等に配給して高くとつてみたり、あるいはまた農民が俵を返してもらいたいと言つても、そういう物資はそこ自體で處分してしまつたり、いろいろ私詳しいことは用意しておりませんので直ちにここで申し上げることはできないが、農村においては消費者に對してのみならず、生産者たちに對してもきわめて不滿が多い。やはり何とかひとつ刷新した方がいいのではないか、そういうことを考えるのですが、既に中央部が解散したので、地方の營團だけが殘つておる。そうするとこれはこのまま中央の營團がなく地方だけ殘つておるこの形でいかれるのか、今一應伺つてみたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=14
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015・楠見義男
○楠見政府委員 中央食糧營團はお話のごとく解散しておるのであります。しかしこの中央食糧營團と地方食糧營團の關係は、實はあまり大した問題の對象にはならぬのであります。と申しますことは、中央食糧營團は、現在の食糧配給で一番重要な米を全然取扱つておらなかつたのであります。これは御承知のように、戰爭中に主として防空備蓄のために乾麺類、あるいは味噌、醤油類その他の備蓄用の食糧を確保して貯藏しておくというのが、最も大きな任務でございました。それ以前は麥について、政府と精麥業者なりあるいは製粉業者との間に立ちまして、これを委託製粉または委託精麥の斡旋をやつておつたのであります。肝腎の米は全然取扱つておらなかつたのであります。從つてたとえば政府から中央食糧營團に米を賣渡し、またそれを地方食糧營團に賣渡すというような、そういつた關連性をもつた機構では全然なかつたのであります。そこで戰爭が濟みまして、先ほど申しましたような最も大きな任務であつた防空備蓄、防空食糧の貯藏という必要がなくなりましたので、從つて終戰後これを解散せしめたというのが實情であります。從つてお話にございましたように、中央がなくなつたから地方も改組しなければならぬじやないかというようなことは、實は關連のないこととして御諒解願えればいいのではないかと思ひます。また地方の點、特に農村方面につきましては、これもよく御承知の通りでありまして、食糧營團の代行として農業會等が配給事務に携わつておるのが多いのであります。要しまするに、食糧營團の機構という問題と運營の問題と分けて考える必要があろうかと思うのであります。先ほども申し上げましたように、運營自體につきましては、實は食糧營團の運營については、今日は生産者また消費者すべての面から非常に注視されておるのであります。いわばガラス箱の中ですべての監視を受けながら運營をやつておるというのが實情であるように思います。從つて食糧營團の内部の面からの運營上のいろいろの改善というものも必要であろうと思いまするし、また外部からのいろいろの社會的の監督ということも必要であろうかと考えるのであります。從つて私どもは内部的にもいろいろこの運營上の改善の方法については指示いたしておりますが、また外部との連繋におきましても、たとえば消費者代表をも加えた、公正な第三者をも加えた運營委員會というようなものを食糧營團に設置させ、そうして運營の合理化なり、また公正化ということに努力させるように、中央といたしましても督勵をし、また指示をいたしておるのでありますが、いずれにいたしましても、ガラス箱の中で、監視の中でやつておるのでございますから、これはただいま申しますような方法で進めていくのがよいのじやないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=15
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016・細田綱吉
○細田(綱)委員 お話を伺つておると、隨分おめでたい御説明を聽くのですが、食糧營團がガラス張りの中で、きわめて陰日向なく、國民監視の前に素通しの仕事をしておるということは、農林次官に初めて伺つて私は蒙を啓いた。食糧營團が全國到るところに問題が山積しておるということは、あなたまだ御存じないのですね。食糧營團がしかくガラス張りの中で、民衆の監視の前でやつておる特別な例があつたら、私は伺いたい。かくのごときことを農林次官のお口から伺おうとは、私は夢想だもしなかつた。と同時に、農林當局のきわめておめでたい見解に對し、私は今痛憤せざるを得ない。食糧營團が從來非常に非難が多くて、そうしてその運營についてどこでも問題になつておる。從つて最近そこに委員會を設けろとか、あるいは監視委員でしたか、そういうような問題が出てきて、そういう制度を設けるというようなことになつたのも、ガラス張りじやないからでしよう。問題が多いからでしよう。今日この問題については私少し準備が不足だから、突込んだ幾多の例はここで例示することはできませんけれども、少くとも食糧營團がガラス張りで、國民監視の前に素通しの仕事をしておるというようなことをあなたがお考えになつて、食糧の配給を將來取扱われるのだつたら、大きな問題であると同時に、むしろ國民は食糧の配給はあなたにはお任せできないという感じを深くもつのではないかと私は考える。それでは伺いますが、まず食糧營團がこのままの形でよいか、あるいは民主化するために、どういう人にどういうふうに配給するという一つの民間の委員制度をもつた方がよいか、現在もつておる委員制度には、どういう點を改正しなくちやならぬか、あるいはこのままでよいか、もう一度伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=16
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017・楠見義男
○楠見政府委員 食糧營團がガラス張りでやつておるということを申し上げましたのは、ただいまお述べになりましたように、運營委員會あるいは監視委員會というものを設けまして、これらの運營委員會が常時この運營について參畫し、また監視委員が、末端の配給について監視をする、こういう建前にしておるのであります。從つて食糧營團自體の運營が完全であるということが前提でやつておるのではないのでありまして、これは先ほども申しましたように、運営上改善すべき點、また公正を期すべき點が非常に多い、從つてそういう點から運営委員會を設け、監視委員會を設ける。この運營委員會なり、監視委員の十分な活動ということが、よつてもつて結局食糧營團の運營をガラス張りの中に入れるという結論になるという意味を、先ほど申し上げたのであります。從つてこの運營委員會を今後どういうふうに改善いたしていくか。もちろん消費者代表というもののあり方、また監視委員のあり方なり、活動の仕方ということが、われわれが企圖いたしております運營をよくもし、また不十分にもすることであらうと思います。從つてこういう點についての努力は十分致さなければならぬと思うのでありますが、しかし先ほど來申しますように、ガラス張りという意味は、そういうものの運營がよろしきを得るということにかかつているものと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=17
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018・細田綱吉
○細田(綱)委員 私はその假定を伺つておるのではないので、運營委員會、監視委員會をいかにして民主的にもてるか、その具體策を伺いたい。もちろん運營委員會をよりよく運營する、監視委員會をよりよく運營して監視せしめる。こうしたらなおいいであろうということは、これはあなたに伺わなくてもわかつている。と同時にまた食糧營團の職員がガラス張りの中にはいつたつもりでやつてくれるなら、これまた委員會をもたなくてもいいであろう、これは私は次官からお話を伺わなくてもわかる、問題は、食糧委員會を民主的に運營し、納得いくように運營するにはどういうふうにしたらよいか。あなたのいわゆる運營委員會というものは、どういう構成で、どういうふうに運營されているか、監視委員會というものは、どういう構成で、どういう監視の方法をとられるか、その具體的な事實を伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=18
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019・楠見義男
○楠見政府委員 運營委員の點につきましては、御承知のように食糧營團には、從業員代表、また食糧營團の資本を出している資本主の代表、こういうような各代表のほかに、消費者代表というものを、この委員の構成に入れておるのであります。具體的の人選は、御承知のように、食糧營團の運營監督は地方長官に委任をしておるのであります。從つて地方長官においてこれを直接監督をしていただき、第二次的に農林省が監督をしておるのでありますが、その運營委員の構成なり、選出方法につきましての一應の指示は、私どもの方で與えておるのであります。そこで今申しますように從業員代表、資本主の代表というもののほかに、第三者の代表を入れる。この第三者の代表、消費者代表というものが問題なのであります。所によりましては、區を代表するものとして區長が出ているものもあります。あるいは區會議員の方方が出ておられる向きもあります。そういうふうに、それぞれ地方長官にお願いをしまして、消費者代表として、もちろん今後この構成はいろいろ變つていくことと思いますけれども、適當妥當な消費者代表を出してもらいたいということで進めております。それから監視委員につきましては、たとえば町内會長でありますとか、あるいは隣組の組長の中から選び出していただきますとか、そういうような基準はいろいろ設けておるのでありますが、これも具體的には第一次的に地方長官をしてこれをきわめさせる、こういうようなことにいたしております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=19
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020・細田綱吉
○細田(綱)委員 大體は地方長官に任してあるという御趣意だと拜聽するのですが、問題は、ときにはきわめて少さくても、食生活の非常に窮迫したときに、それが一般大衆に與える影響が非常に大きい。また相手がややもすると計算にこまかい女性を對象としている關係上、またこういう問題がスムースにいかないということが、食生活の不安をより助長する。否が應でもこうした配給の圓滑化ということは、十二分の注意を拂わなくちやいかぬと思います。それで私伺いたいことは、ただいま運營委員會は、中には區會議員もいる、中には村長さんもいる、この程度の人がはいつて運營するという程度ではたして民主化できるかどうかということであります。あるいはまた隣組の組長さんや、町會長さんが監視委員會にはいる程度で監視ができるかどうか、ちようどたとえて言うと、物價の問題について物價監視委員というものがある。あるいは物價地方委員というものがあつたつて、ちつとも監視もできなければ、事實上やみを防止できなかつたと同じように、何か一つのそういうものを置くということは、私ども國民にとると官廳の氣休めか、責任逃れにやつているような氣が遺憾ながら私はする。それでやはりあなたの言われるこういう問題は、非常に構想はいいと思う、從業員と資本を出しておる人と消費者、この消費者の代表をどう參加させ、どう日常の些細な問題まで、あなたのいわゆるガラス張りの作業をさせるかということなのです。結局この消費者の問題は、消費者代表をどう參加させるかという、その運營いかんにかかわつていると私は思う。從業員の代表を出したところが、大きい勞働組合というわけじやないので、わずか少數のそこに働いている人の代表から出たものと、あまり違いはしない。いわんや資本の代表、この營團の幹部というものがみんな地方の昔の米穀仲買商、米穀商です。だからきわめて商賣根性が強過ぎる。そこに非常に非難がある。だからこれを規正するには、何といつても消費者の代表をいかに合理的に參加させるかということであります。しかもそれが日常の參加の形でなくちやならぬと思う。私の一つの思いつきを申し上げるなら、これは消費者の代表が、隣組ごとに別れて、毎日交代でそこへ詰める。しかもどつちにしてもただ詰めるのじやなくて、お手傳いしながら、給料もその人たちにくれて、順ぐりにその代表がはいるということになると、どういう物が營團に來て、どういうふうに配給されたということは、これは事實上ガラス張りになる。ところがあなたのいわゆる運營委員會の委員なるものは、いわゆる名士を集めて、一月に一囘とか、二囘とか酒の特配をもらつて、御苦勞さん、實際そうなんですよ。それじや何にもならない。監視委員會もまたそうで、かつて戰時中物價監視委員というものができた。警察には物價監視委員とか何とかいうものも、各警察署ごとにできたが、何にもならないのです。やはりそれは現實に消費者の側からいう合理的に選ばれた人を、有機的に繼ぐということをしなかつたから何にもならない。遺憾ながら私はあなたの構想は、まだまだ少しも營團の運營に民主化された方向を示しておるとは考えない。というよりもむしろ、戰時色そのままではないかと考えるのですが、もつとこの運營委員會、監視委員會について、消費者の代表を常時詰めて、それはただ旦那として詰めるのでもなく、監督委員として詰めるのでもなく、一面協力者として詰め、そうして一面監視の實をあげていくという方法は、私は考えればいくらでもあると思うが、いま一應この點についてお伺いしたいと思う。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=20
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021・楠見義男
○楠見政府委員 その常時運營に參畫する案として、ただいまお述べになりました行き方も一つの行き方であろうかと思います。しかし片手間に、一つの仕事をもつている人がそれをやるということ自體が、結局不徹底に終る點ではなかろうかと思うのであります。監視委員につきましても私は同樣であろうかと思います。從つてこの點についてはむしろ常時的に參畫するということでありますれば、そういつた別に仕事をもつている人を片手間にお願いをするということではなくして、常設的にそういう人をお願いするという行き方の方が、私は理想論としてはいいのではないか、こういうふうに考えられるのであります。從つてもし現状を變えていくといたしますれば、私はそういう方向に向つていつた方がいいのではないか、こういうふうに考えます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=21
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022・細田綱吉
○細田(綱)委員 これ以上は意見の相違ですから私は止めますが、私の意見から言うと、次官とまつたく反對です。常時詰めたら、やはりその營團の職員と同じ氣持になつてしまう、同じ氣持になつてしまつて實があがつていかない。だからやはり交代して詰めさせる、もちろん忙しくて手の拔けない人を參加させるのではなく、一隣組員から一人や二人は手のあいている者はある、その者に一日若干の手當をやつて手傳わせる、運搬にも手傳えば、あるいは枡を入れるのにも手傳うというふうにして、また若干の手當を貰つてくるというふうにして、毎日詰めると同時に毎日交代させる、そうしていろいろの監視の眼が協力の形で入るということがよいので、あなたの言われるように常時詰めたら、これは從來の食糧營團の職員と同じ氣持になつてしまう。これは幾多の例がある。嘘だと言うなら私はその幾多の例を申上げてもよいのですが、むしろ私はそれがこうした營團の配給方法に對して、幾多非難の起きている點ではないかと考えますが、しかしこの點はもう意見の相違ですから、この點の質問は打切つて次に移ります。もしほかの人が伺つておりましたら私は質問を打切つてもよろしいのでずが、肥料とか農業藥品等の問題については、まだいわゆる公團法というものが提案されていない。聞くところによるとこの問題は、ただいま審議中の石油、石炭その他の公團法と一樣に審議されて、一應の成案も得られているということを聞いております。特に農林省管下のこの肥料その他のいわゆる公團法が提案されなかつた事情はどういうところにあつたのであろうかという點をお伺いしたいと思います。なお將來肥料あるいは農藥品等についの配給公團が出たならば、現在の農業會はどういう地位に立たせられるか、また農業會の將來は農林當局は解散または他の形を變えて存續せしめるか、あるいは自然消滅を待つのか、どういうふうにこれを取扱われるか、その點をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=22
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023・楠見義男
○楠見政府委員 肥料公團の問題につきましては、私どもも一應研究をいたしました。また素案を事務的にはつくりました。この議會に出さなかつた理由についてのお尋ねでありますが、まだこの議會に提案するには機が熟しておないという結論に達しましたので、今議會には肥料公團などは提案いたさなかつたのであります。もし將來肥料公團というようなものができた場合を假定して、農業會との關係をどういうふうに考えていくかというお尋ねでありますが、もちろんそういつた肥料公團ができますような場合におきましては、私どもは農家の最も生産上必要な肥料の配給について、農家の協同組合組織としての將來考えられる協同組合、あるいは現在で申せば農業會、こういつたものとの關係につきましては十分考慮を加え、緊密な連携がとられて、肥料の配給が公正に、また的確にいけるような方向で研究していきたいと考えております。
それから最後に農業會の將來についてのお尋ねでございますが、農業會は御承知のように、現在強制加入——というよりむしろ當然加入の團體でありまして、戰爭中はこれに對しては、官廳的色彩が非常に濃厚でございましたが、終戰後この官廳的色彩を拂拭いたしまして、いろいろ法律の改正もいたたしたのであります。しかしなお機構それ自體において強制加入なり、あるいは當然加入というような機構でありまして、新しい情勢にそぐわないものと考えられますので、これは農民の自由意思に基いた協同組合というものに移り變りをさしていきたい。こういうふうに考えておるのであります。實は協同組合法というものをこの議會に出したいということで、準備を急いでおつたのでありますが、關係方面との關係等もございまして、結局この議會には間に合わなかつたのでありますが、次の議會にはぜひこれを出したい。こういうふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=23
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024・細田綱吉
○細田(綱)委員 農村方面に對する配給品が、中央から末端にいくに從つて、露骨に言えば數が減つておる。最近各地で農民組合その他の民主團體が、地方事務所あるいは農業會等に行つて、配給品の目録を見せてくれと言つても拒むような事實すらある。けしからぬ話だと思うのですが、しかもそれが末端にいくに從つて品物が減つておる。なおときには全然姿を見せないものすらある。もちろんこの物資が少いときですから、甲村で配給されたからといつて、乙村にも配給されるとは言えない。ときにはひがみもあるかもしれないけれども、とにかく私の調べた範圍内においては、だんだん數が減ることだけは事實である。こういう事實を次官はどういうふうに御覽になるか。またこれに對する對策をどういうふうにとつておられるか。この點をお聽きしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=24
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025・楠見義男
○楠見政府委員 そういう事例のあることは私も聞いております。從つて配給品につきましては、おのおのの段階においてこれを公表するように私の方といたしましては通牒も出し、嚴命をいたしておるのであります。特に末端におきましては、これも御承知のように食糧調整委員會というものができたのでありますが、食糧調整委員會がこの問題には十分にタツチするようにということをやかましく言つておるのであります。殊に最近きめました供米對策におきましては、現在の物資の状況から見て非常に苦しい中を、商工當局にも非常に御協力を願いまして、實は洗いざらいと言つてもいいくらい農村向けの物資を確保していただいたのでございます。從つて全體のうちで農村向けの數字はこれだけである。しかも何縣向けの數量は——たとえば地下たびなら地下たびはどこの縣のどこの製作所から出るのだ、これはいつ出たんだ、それから縣にはいつ着いたんだ、農業會にはいつ着いたんだというふうに、すべてこれこそ元から末端まで公表をいたしまして、そうしてその所在を明らかにする。せつかく供米について最後の努力としての、またできるだけのものを投げ出しての方策でありますので、そういつた方法をもとりまして、結局公正に物事が動いておるさまをはつきりと公表をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=25
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026・細田綱吉
○細田(綱)委員 埼玉縣が昨年度の供出においては、少くとも近縣においては一番成績がよかつた。なぜ成績がよかつたかというと、これは私はむしろ知事の處置がよろしきを得ておつたためだと思う。これは私が申し上げるまでもなく農林次官も御存じのことでしようが、物資を實に巧みに、有效に使つた。ところが大體においてお役所式の配給で、從來といえども時期ぱずれの肥料の配給。せつかく配給してくれたが、來年までとつておくと變質してしまう、寶のもち腐れという例すら幾多ある。何とかして化學肥料等の適期の配給ということを、特にこの物資の非常に不足のときに考えないといけない。そうして先ほども申し上げたように、農村向けの物資を實に有效に、しかも迅速に利用するということが好ましいことであると思いますが、こういうことに對して農林省はどういう見解をもつておられるか。
それから先ほど食糧營團の點で申し上げる方がよかつたかもしれませんが、御承知のように食糧營團には手數料というか、マージンがついておる。從つて玄米をもつてきて、そうして半加工して出してやる。手數料は貰えるし、こぬかは殘る。實に一擧兩得なので、農民が白米供出を希望しても、なかなか營團の方がとり合わないというのが現状ではないかと思う。配給を受ける者から見ましても、白米の配給ということは好ましいのではないか。あの眞黒い、こなれの惡い玄米を、あるいは八分づきを配給されても、一部の醫學者は非常にいいと言うが、なるほど分析してみると、いろいろのものが含まれておつたつて、おなかを素通りしてしまつたのでは、むしろ消化不良を來すだけのものである。殊に農村においてはこぬかの不足から、飼料に、肥料にきわめて不足を來しておるときに、できるだけ白米供出を奬勵し、そうしてこぬかを農村に確保させることが私は適切ではないかと思う。特に最近新潟縣方面のことを伺いますと、こぬかを二重に利用しておる。これは話がこまかくなりますから略しますが、非常に利用の方法が巧みになつておる。これは少いから非常に苦心して、そういうふうに利用方法が發達するのでありましようが、とにかく農村とこぬかというものは、非常な不可分の關係にあるので、何とかして全面的に白米の供出を奬勵して、農村にこぬかを確保させるという方法を講ずることが好ましいのではないかと思いますが、この點について次官の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=26
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027・楠見義男
○楠見政府委員 最初の農家の生産なり、その他の必需物資を、できるだけ早く、また適期に配給するという點についての御意見は、まつたく同感であります。私どももぜひそういう方法で、その線で進みたいと考えております、ただ辯解がましくなりますが、お話に出ました肥料は、結局御話のような現在の生産状況でありますので、先にできる生産のものを引當てにいたしまして、配給計畫を立て、それを北の方の早場地帶から、漸次南の方に移して配給をしておるのであります。すなわちたとえば青森からだんだんと鹿兒島までいく。その配給引當てのものは、あちらこちらの肥料工場でこれからできるものを引當てにしておる。そこで引張るようにして、あちらこちら配給するということになつております。その間にいろいろ不十分な點もあろうかと思いますが、しかしこれはお話のごとく、何としても季節もので、その適期を逸しますれば何にもならないのでございますから、これらの點は特に今後も努力し、十分御期待に副うように進んでいきたいと考えます。
第二點の白米供出の問題は、これもお話のように、農家に肥料として、あるいは苗床その他の蒸熱劑としてのぬかは、非常に重要であります。從つてできるだけぬかは農村に殘したい。また將來の農村加工という觀點から申しましても、ぬかから油を搾り、そのかすを肥料にするということも、非常によい考え方だと思います。ただ問題は二つあるのでありまして、一つは完全なる白米にして出すことについての問題がありますが、現在は御承知のように、九六%の歩留りでやつておるのですが、完全精白しますと、これが九四%となり、あるいは九二%になる。かりに九六%を九四%にするだけでも、現在供出米をそういうふうにいたしますれば、六十萬石違つてくる。六十萬石ということは東京の二月分、四百七十萬を賄うに必要な食糧の二月分が、そこで消えてしまうということで、一方肥料としても非常に重要であるけれども、この九四%に踏み切れるかどうかということが、非常に問題なのであります。從つて私どもといたしましては、現在外から食糧を貰わなければならぬ状態にありますので、なかなかその點には踏み切れない。九六%の白米の供出というところでお願いしたいということで進めておるのであります。
もう一つの問題は、御承知のように今危ない綱渡りをしながら、しよつちゆう端境期をもつて食糧需給の操作をいたしておるようなときでありますので、ちようど中間端境期が過ぎ、また大端境期になつた場合に、東京では新穀をそれこそ一日千秋の思いで待つておるというときに、それがすべて白米にされるということになりますと、その白米になる間、こちらの方では待つておらなければならない。そうすると大端境期にその日暮しをしなければならぬときに、それだけのものがぽつり切れるということについての懸念が、實はあるのでございます。大量的に精白をいたします場合には非常に早いのでありますが、個々の農家なり、あるいは小單位でそれを精白し、それを集めて出す場合に、そこに時間的に問題が出てくるのであります。この問題は需給操作の方がうまくさへいきますれば、當初からそれをやつてもらつてよいのであります。根本的な問題ではなく、今後の需給操作、特に大端境期における需給操作のいかんによりましては、實現は必ずしも不可能ではないと思います。その全體の點が實はいま問題になつておるのであります。御議論といたしましては結構なこととは思いますが、そういつたいろいろな技術上のこまかい問題があるのでございますが、その點を併せて御報告申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=27
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028・細田綱吉
○細田(綱)委員 農林當局に對する質問は、この程度で終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=28
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029・増井慶太郎
○増井委員 先ほど農林次官から食糧營團は今の状態でもつてやるのが一番いいというお話がありました。さきに食糧配給公團ができるというような話が、新聞紙上でありましたが、將來に向いまして食糧配給の公團をつくる方がいいのですか、あるいは現在の状況において地方食糧營團にやらした方がいいのでございますか。それをちよつとお伺いしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=29
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030・楠見義男
○楠見政府委員 公團の問題は、實は御承知のように關係方面との、非常にデリケートな關係があることは、御承知の通りであります。從つて私どもといたしましては一つの考え方をもつております。同時に大きな方針として、たとえば獨占禁止でありますとか、その他民間機構による民間の統制機關の解體でありますとか、そういつた大きな方針によつて左右せられることと思うのであります。實は農林關係につきましても、先ほども細田さんにお答えしましたように、機熟せざるのゆえをもつて、提案を見合わせたものもありまするし、また現段階においては適當でない。そういう機構にいたすことが適當でないということで、提案いたさなかつた問題もあります。食糧營團のごときはその後者に屬するものであります。現段階において食糧營團を配給公團に直すことは適當でないというふうに、私どもは確信いたしましたがゆえに、この提案を差控えたのであります。私としては現在においてはそういうふうに食糧營團については考えております。むしろこれは今後どういうふうに變るか、また政府としてはこれをどういうふうに展開をする上において努力していくかという點にかかつておると思いますが、要しまするに現段階においては、公團に直すことは適當でないというふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=30
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031・増井慶太郎
○増井委員 貿易公團のやる仕事は、現在政府が輸入されておるところの一切のものをやることになるのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=31
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032・岡村武
○岡村政府委員 御承知の通りただいま貿易は、輸出入とも完全なる國營の状況において運營されております。從いまして食糧の輸入につきましては、主食といわずその他の食糧についても、全部貿易廳が政府を代表いたしまして、連合軍總司令部よりこれを受領いたします。その受領いたしました食糧を農林省、主食につきましては食糧管理局、その他の食糧につきましてはそれぞれ擔當の部局に引渡す。かような制度に相なつておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=32
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033・増井慶太郎
○増井委員 そういたしますというと、食糧輸入の關係で、ここに輸出入代行機關一覽表がございますが、このうちでもつてどういう關係のものがそれに入るのでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=33
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034・岡村武
○岡村政府委員 お手もとに差上げてございます輸出入代行機關の一覽表、その下段が輸入の代行機關でございまするが、その中ほどあたりから水産物輸入、協會以下數個の團體の名前が並んでございます。この中には現在輸入をされておりません物資を對象といたしました團體もございまするので、この全部がただいま活溌に活動いたしておるわけではないのでございます。この輸入代行機關の中で現在食糧關係のものは、罐詰、小麥、外米、砂糖、のり、飮食料品、水産物、油糧、鳥卵、かようなものでございます。なお飼料と燐鑛石を食糧に關する物資といたしますならば、これらもその中に差加えて差支えないかと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=34
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035・増井慶太郎
○増井委員 この各協會とかいうようなものは終戰前からあつたものでございますか。あるいはまた終戰後にできたものでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=35
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036・岡村武
○岡村政府委員 代行機關はただいま七十七ございまするが、この中には貿易廳が創設されましたときに既にありましたものもございまするし、また貿易廳が創設されまして代行機關を必要とする段階になりまして、當方の指導あるいは慫慂によりましてつくりました新しいものもございます。從つてその形態もまちまちでございまして、任意團體たる協會が四十五ございます。それから會社——從來統制會社を含んでおりましたが、現在統制會社が、廢止になりましたので、通常の株式會社が二十、貿易組合法によりまする貿易組合が、九、その他三、かような割合になつておるのでございまして、この中會社組織のものと貿易組合の大部分は、終戰前から存在をいたしておつたものでございます。それをそのまま代行機關として指定をいたしまして利用いたしておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=36
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037・増井慶太郎
○増井委員 聞くところによりますと、この中にも終戰後できたものであつて、仕事をしたくてもすることができないために、資金を集めたものが、全部第二封鎖になつてしまつたというようなものもあるようでありますが、そういうふうなものを公團ができて救濟するとかいうようなことはないのでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=37
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038・岡村武
○岡村政府委員 ただいまお示しのように、貿易廳の代行機關として必要を認めましてつくらせましたものの中で、現實に輸入あるいは輸出ができませんために、せつかく人を集めた、資金を集めましてさような團體をつくりましても、事實上何らの活動をいたさないものもあるのでございます。これらは一見むだのようではございますが、いつ何時輸出あるいは輸入が始まるかもしれぬのであります。その際にあわててつくりましては、かえつていろいろ混亂を生ずることもございますので、私どもといたしましては、さしあたり仕事のないことは重々承知の上で、慫慂してつくらせたのでございます。從いまして、今度貿易公團ができ上りますると、これらの團體の處置をつけなければ相ならないのでありまするが、この七十七の團體につきましては、その一つ一つを調べまして、代行團體たることを唯一無二の目的といたしましてつくりました團體は、これを貿易公團設立と同時に解消せしめ、さらにそのもつておりまする債權債務は、必要があればこれを貿易公團において肩替り、引受ける。かようなことができるような制度にいたしておるのでございます。從つてただいまお尋ねの、さような赤字を出しまして困つておりまする團體の救濟は、その債權債務關係が適正なものである限り、これを救濟することができるかと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=38
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039・増井慶太郎
○増井委員 そういたしまするというと、今度の公團になりますると、そうしたような方面の職員とかいうものは、昨日來いろいろ伺つておりますけれども、なるべく多く適材を適所にお使いになるということに結局なるのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=39
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040・岡村武
○岡村政府委員 ただいまお示しの通りでございまして、新設されまする公團の役職員は、現在の輸出入代行機關の役職員中適格をもつております者を選考いたしまして、これに充當するつもりでございます。從いましてその全部が右から左に、完全にこの新しい貿易公團に吸收されると申し上げるわけにはまいりかねますが、大部分はこれに移行するかと思つております。さらに業界一般からも適格者を選びまして、これに吸收いたしたい。かように存じておりますので、必ずしも現在の代行機關からばかりいくわけではございませんけれども、大部分は代行機關に吸收することによりまして、大量の失業問題は起さずに相濟むかと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=40
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041・増井慶太郎
○増井委員 現在輸入されておりますところのすべての食糧の價格というものは、一般に公表されておらぬようでありますけれども、今輸入されているところの小麥とかその他の物の價格はどうなんでございますか。公表はでき得ますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=41
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042・岡村武
○岡村政府委員 輸入食糧の價格につきましては、別段發表をいたさない次第ではないのであります。輸入いたしました食糧の賣渡價格は、國内の統制價格によつておる次第でございます。でございますから、食糧管理局に引渡します主食の賣拂價格は、食糧管理局が消費者に賣渡します際の價格をそのまま採用いたしまして、諸機關に引渡しておる。その他の食糧についても、いずれも國内統制價格によりましてこれを算定いたしておるのであります。但しこれは國内の賣渡價格でございますので、それらの輸入食糧が供給國においていかなる價格を付せられておるかということにつきましては、現在ではちよつとわかりかねる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=42
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043・庄司一郎
○庄司委員 委員長、議事進行に關して……。本員は、ただいま御質問になつておるわれわれの同僚委員は、前の委員の方の御發言の農林省關係に關する限りの關連の御質問であつたように直解いたしまして、委員長が適宜の措置をとられたものであると先ほどから考えておりました。しかるに商工省その他にも關連されて、相當長時間にわたる御質問のようでございまして、私は決して議事進行にかりて委員長の發言の停止を要請するものでも何でもないのですが、この議會の慣例として、前の委員の直後を受けられて一、二簡單な關連質問でもされるものと私は考えておつたのでありますが、議事の進行上、前の委員と現在御質問の方と御懇談くださつて、能率をあげられるよう御提唱願いたいと思います。慣例からいきますと、少々うまくないようでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=43
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044・岡部得三
○岡部委員長 ごもつともな發言と思います。増井委員、長くかかりますか。まだ細田委員の質疑中でありましたから、ただ農林省關係だと思つて許しましたのですが……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=44
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045・増井慶太郎
○増井委員 もうぢきです。價格問題は農林省と兩方でやつてもらわないとわからぬと思つて伺つたのであります。もう一點だけですから……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=45
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046・庄司一郎
○庄司委員 前の委員の方が御承知くだされば何ら言うことはございませんが、ちよつと關連という慣例を破つておるようでございますから……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=46
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047・増井慶太郎
○増井委員 これから食糧公團ができますと、今アメリカ方面から來る物の價格は、やはり公團も商賣をすることですからわかることと思いますが、輸入その他につきましては、價格ははつきりして取引ができることになるのでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=47
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048・岡村武
○岡村政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、貿易廳からそれぞれの相當官廳、あるいは機關に讓り渡しまする食糧の價格は、現在の統制價格でまいります。おそらく御質問の御心配は、これに若干の利益が附加されるのではないか、かようなお考えかと存じますが、食糧貿易公團の運營に要する經費といたしましては、貿易廳の貿易資金特別會計から支拂いまする取扱價格に應ずる手數料によつて賄うことになりますので、中間にありまして食糧貿易公團が買受けました食糧に利ざやを付してこれを轉賣するような關係は起り得ない建前に相なつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=48
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049・稻村順三
○稻村委員 ちよつと關連して……。農林次官がお見えになりますから、私は簡單に結論だけ一つずつまとめて農林次官にお願いいたします。大體商工省關係の肥料公團の問題でありますが、肥料公團と並んで肥料行政の問題、これがわれわれにとつてまだ腑に落ちかねることがたくさんあるのでありますから、その點について三點ばかり質問いたします。
まず第一に生産の方は商工省が大體肥料の行政をやつております。配給の方は農林省がやるという建前になつておるわけであります。今日一番大事なことは肥料増産というのでありますが、そのうちなお大事なことは、増産のために軍需工場その他の轉換工場の問題だろうと思うのであります。その轉換問題に對してわれわれが多くの疑惑を政府に對してもつておることは、見逃すことができないのであります。第一點は、生産の中心である商工省のいわゆる轉換工場の責任者ともいうべき技官の人が——これはかつての昭和電工の技師であつた。そのためにややもすると、商工省の肥料行政は昭和電工の肥料行政だというような非難さえ受けておるのをしばしば聞くのであります。と同時に配給の方面はどちらかといえば、日本肥料の社長はかつての農林次官であつた。そのために農林省關係の肥料行政は即日本肥料の肥料行政である、こういうふうな疑惑をもたれておる傾向が非常に強いのであります。今度新しく肥料公團ということが考えられておるそうでありますから——商工省の關係の方はとにかくといたしまして、この日本肥料の關係に關してこういう疑惑を一掃するような措置を農林省として講じつつあるかどうか。これが第一の質問であります。
第二の質問は、こういうふうな疑惑を一層増させておる問題は、實を言うと現實の肥料行政の中に現われておる。なぜかと申しますならば、肥料場が轉換を許可されるような場合にあたつて、これが實に世間の疑惑を多くしておるのであります。たとえて申しますならば、徳山竝びに四日市の軍需廠を肥料工場に轉換するというような計畫が、日本肥料によつてなされたのであります。元來日本肥料というものは配給統制の會社でありまして、これが直接生産業者に轉換するというようなことは、それ自身私はこれまでの配給統制の建前から、けしからぬことだと思つております。それをここに一億圓かの金を、徳山竝びに四日市の軍需工廠の轉換のために投じたというので、しやにむに轉換を申請しておる。一應就業の許可を得たということが一つの口實でありますけれども、しかし考えてみますと、これだけの許可を得たものは何も徳山、四日市の軍需工廠ばかりではなくて、實によその、たとえば新潟縣における輕金屬も同じくやはり許可を得ておる。それをここに日肥がたくさんな金を投じましてしやにむに——これは常識から言つて軍需工廠ですから、これが簡單に許可になるのは、ほかの工場に比べてはるかに困難なことがわかつておりながら、金を出しておる。それからもう一つ私たちが考えることは、たとえば今後の肥料工場というものを考えてみますと、今燃料が非常に弱つておるときであります。燃料の少いときに石炭、コークスガスによるところの製造をやる。この石炭を原料とするような肥料工場よりも、むしろ電解裝置によるところの工場を、私たちは奬勵しなければならぬと思つておる。ところがコークスガスのようなものでなく、電解裝置といえば、これは電力が非常に大きな問題であります。否、コークスガスの問題は、電力肥料工場にとつて非常に重要な問題であります。關西方面のいわゆる徳山、四日市というような方面のことを考えてみますと、御承知の通りあの附近は花崗岩の山で水持ちが惡い。しかも山には雪が降らないから、水力電氣は非常に不足している。ところが東北や北陸に行きますと、山々は相當腐蝕土ももつておりますし、それにどうかと言えは雪が降るから、水力は比較的豐富であります。從つて東北や北陸方面に行きますと、關西方面に比して電力飢饉というものははるかに少い。そこで電解裝置ということを考えると、立地的な條件から言えば、今後の肥料工場は確かに東北あるいは北陸に設置すべきであるにもかかわらず、東北、北陸の方面におきましては、この肥料工場というものは少いのであります。北海道に一箇所、それから今度は秋田に一箇所、さらに東京と富山、これくらいしか肥料工場がないのであります。肥料工場の大部分はほとんど名古屋から以西にかたまつているのであります。實を言うと、去年新潟縣においては、農業會の人間が九州の大牟田に出かけて、一月から一生懸命に奔走して、生産を督勵し、積込みまで督勵して、しかもわずか四千五百トンという四月の苗代肥料が間に合わなかつたが、こういう遠くの方面からもつてくること自體が東北、北陸の農民が、苗代適期に肥料を使うことをほとんど不可能な状態にする。そうすれば、これを立地的な條件から考えてみると、東北、北陸に轉換可能な工場があるならば、ここに全力をあげて進出しなければならぬはずである。しかるに關西という立地的條件から言えばきわめて惡いところ、しかも許可はどうかと言えば、軍需工廠ですから最も許可がむずかしかろうと思われるものに、日肥が一億何千萬圓の資本を出しているという理由で、しやにむにこれの許可の斡旋をした農林省の人々に、私は實は疑惑をもつている。日肥の理事長が元の農林次官であつたということとひつくるめて、私たちはそういう疑惑を非常に濃くしている。この點に關しましてこの次の議會に公團法を出すというその方針とからみ合いまして、農林省の明確な御答辯をお願いしたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=49
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050・楠見義男
○楠見政府委員 お答えいたします。日本肥料の理事長が前の農林省に關係があつたからということで、いろいろ疑惑の點をもたれての御質問のように承りましたが、もしそうだといたしますれば、全然そういうようなことはございません。また農林省といたしましても、そういつた不公正な取扱いは一切いたしておりませんので、この機會にはつきりとそうでないことを申し上げておきたいと思います。
第一に配給の問題について、日本肥料の肥料行政のようなおそれはないかというようなことでございましたが、これはよく御承知のことと存じますので詳しくは申し上げませんが、配給計畫というものは一切農林省の肥料課で立てております。そうしてそれを日肥に流すだけで、從つてこの肥料行政という部面において、日肥が指導をなしているということは全然ございません。
それから轉換工場の問題についてのお話でございましたが、實は終戰後食糧問題が御承知のような状態でありまして、まず何としても肥料を二百萬トン確保しなければいかぬ。そのためにはあらゆる方面を動員して、また既存設備の擴充なりあるいは轉換なり、その他新設もございましようが、あらゆる面を動員して二百萬トン一日も早くやりたいということで、各方面に手をつけてまいつたのでございます。もちろんこれは立地的のことも、ただいまお述べになりましたことは私どもも同感であります。できるだけこれは電力なり、また原料炭の状況なり、さらに大きな問題としては需要地というものとのにらみ合いにおきまして、立地というものについては十分考慮をしなければならぬと思います。しかし先ほど申しましたように、何としてもできるだけこれは早くやりたい。しかも既存の設備がそう大きな資材も要らずに轉換できるものであれば、何んでもかんでもひとつこれは肥料に動員したい。さいわい當時司令部の方におきましても、日本においては食糧問題は肥料の問題である、肥料は何としてもこれは増産しなければならぬ、という強い支援もございましたし、私どもといたしましてはそういつた意味から申しましても、日本肥料をしてこれに參加せしめたのでございます。日本肥料が參加することは、同時にまた消費者である農民も、直接または間接的にこれに參加し得ることになるわけでありまして、從つてそういうような觀點からいたしましても、日本肥料が參加することが適當であるというふうに實は考えたのでございます。その後轉換工場の問題はいろいろ紆餘曲折を經ているのではありますが、こういつた設備も動員しなければなかなか二百萬トンの至急達成は困難である、こういうふうに考えまして、轉換の實現については、なお私どもといたしましては努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=50
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051・稻村順三
○稻村委員 質問は繰返さないつもりでおつたのですが、今の最後のことについて、これは御答辯してくださつてもしてくださらなくてもよろしうございますけれども、一箇所だけもう一度言つておきたいのは、たとえば日本肥料が轉換をするということが、大體が日本肥料なるがゆえに轉換をした方がいいというふうなことは、立地的條件からいつて、私は大して問題にならぬと思つております。新潟縣というような日本第一の、とにかく百萬石を越えるところの移出縣におきまして、肥料工場さえないというような場合において、私はこういう所にこそ肥料工場は設置すべきである。しかも電力は豐富にある。私たちはそういうふうに考えております。それからもう一つは、速やかに動員し云々というようなことでありますけれども、これも轉換の條件の問題でありまして、當時轉換を最初に計畫をしたときには、他の工場といえども、日肥の軍需工廠を轉換する場合といえども、條件が同じであつたと思います。しかるに私が聞くところによると、日本肥料の轉換については、とにかく蔭になり日向になり、農林省がある程度やれというようなことを奬めて、そうして正式の手續を履まずして資材をしやにむに集めさせた、こういうようなことを聞いておりますが、これはほんとうであるかどうか、あなた方私の質問に對して答辯できなければしなくてもよろしいですが、こういうふうないろいろな話さえもあるのです。しかもいざ轉換の申請をなすというときになつたら、片つ方の方はどうかというと、一應の規約にしばられまして、電力、電氣機械その他なり、電解裝置なるものはそのままもつておりましても、ほかのものは集められていなかつたけれども、しかしながら徳山と四日市の軍需工廠だけは、そのとき既にあるいは東京から買い集めたり、あるいはよそのものを取外してもつて來たりして、相當資金を出してそういうものを集めておつた。これは許可も何もなしに集めておつた。そうしておいて轉換の申請をしたときには、こういうものがあるからというお膳立でもつてこれを許可させる、こういうふうなことをやつたということを聞いておるのでありますが、その點について實に世間では多くの疑惑をもつております。殊に新潟縣のごときは昨年の苗代肥料がなかつたところへもつてきて、新潟縣において有力な肥料工場のない限りは、新潟縣ではほとんど肥料というものができない。農民はそういう氣持になつております。そこへもつていつて新潟縣におけるいわゆる肥料工場設置の運動というものが、農民大衆の手によつてなされたにもかかわらず、新潟縣の轉換、新潟縣における小さな肥料工揚の擴張というものに對して、はかばかしくいつていないということ自體が、既に農民がこれに對してますます大きな疑惑の目を向けつつあるということを、農林省では十分御承知していただきたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=51
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052・楠見義男
○楠見政府委員 第一段の東北竝びに北陸地帶の立地的の問題でございますが、特に電力關係が豐富でありますので、石灰窒素工場のほとんど大部分は、北陸地帶にあるのであります。これは申すまでもないのであります。硫安の設備につきましては、結局これは新しく資材を投ずるという問題について、資材關係からいろいろの問題があろうかと考えております。日本肥科が轉換工場に著手することについて、農林省のとりました措置でありますが、お述べになりました正規のルート外に資材を集めさせているというようなことは、私は全然承知いたしておりませんし、またそういうことはないと考えます。しかし日本肥料が四日市なり、徳山の工場についてはいりこんでいくということについては、先ほど來申し上げましたような理由で、農林省もこれを慫慂いたしたことは事實であります。それだけ申し上げておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=52
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053・稻村順三
○稻村委員 いろいろまだ質問したいことがありますけれども、この點については、相當資科も集まつておりますので、いずれまた機會を見て別の所で質問をいたしたいと思つておりますから、私の關連質問はこれで終ることにいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=53
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054・岡部得三
○岡部委員長 午後一時三十分より再開することにいたしまして、暫時休憩をいたします。
午後零時三十一分休憩
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午後二時三分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=54
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055・岡部得三
○岡部委員長 午前に引續き再開いたします。休憩前に引續き質疑を行います。細田綱吉君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=55
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056・細田綱吉
○細田(綱)委員 産業の復興について不可分の關係にある日本の電力の供給が、まことに心細い状況に置かれておる。話に聞く世界の水力電氣國スイツツルの例を見まして、あまりにも雲泥の相違がある。地理的條件というならば、スイツツルに次ぐ水力電氣國であるとすら言われる日本が、どうも渇水期にはいると、文字通りに電燈すら止みなくてはならぬというようなことで、いわんや産業の復興に電力が資せられるというようなことは及びもつかない。そこには幾多の考慮を要すべき點があるでありましようが、率直になぜ電力が飢饉であるかということを考えて、何か電力行政の上に、ひとつ畫期的な手を打つ必要があるのではあるまいか。私がこういう質問をいたしますと、あるいは電力當局は、いや石炭の不足でござい、渇水期にはいつて水力の不足でございとおつしやるかもしれませんが、そんなことはもうわかりきつている。冬になれば渇水期になる。石炭が出なくて、火力發電の方へまわらぬ、これはもうわかりきつているのだが、日本の水力發電の上に、もつと畫期的な考えをもつ必要があるのではなかろうか、こういうことをひとつ伺つて、改めて質問を進めていきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=56
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057・古池信三
○古池政府委員 お答え申し上げます。ただいま仰せになりました通りに、電氣は確かに國の産業の基礎であり、また國民生活の必需といたしまして、根本的な重要な産業であると考えます。わが日本の國の地理的條件からいたしまして、豐水期には相當水力があるのでありますけれども、夏及び冬の渇水期に至つては、非常にこれが減る。從つてその補給には火力をもつて充てるべきでありますけれども、最近の石炭事情のもとにおいては、これも十分でないということは、ただいま御指摘になつた通りであります、そこで要するに、率直に申しましてわが國としては、でき得る限り早く渇水期にも利用できるような樣式の發電所、すなわちダム式の發電所を多くつくる。あるいは現在の發電所のありまする川の上流に貯水池をつくつて、その水を渇水期に流して、下流の發電力を増加するということが、最も肝要なことではないかと存ずるのであります、現在運營形態としましては、日本發送電株式會社が發電、送電の部面を受け持ちまして、さらに各地方に九つの配電株式會社がありまして、それぞれ發送電會社より受けた電氣を需要家の方に送るという有機的な仕組になつているのであります。もつとも現在のこの機構が永久に理想的な最善のものであるということは言い得ないと思います。いろいろ機關にも缺陷もないとは決して申しませんけれども、しかしながら現在の機構における利點も多々あるのでありまして、一概に現在の機構が全面的に惡いとも言い切れないのだと思うのであります。ただいま何か將來の方策として、畫期的な手はないかというお尋ねでありますが、たとえばアメリカあたりでやつておりましたようなテネシー・バーレーのああいう開拓局というような思想も、大いに研究してよろしいのではないかと思います。殊に今申しましたような貯水池を大規模につくることになりますと、これによつて得られる影響は非常に多方面にわたりまして、ひとり發電事業によき影響を受けるのみでなく、あるいは灌漑、用水、あるいは日本において年々相當多くの經費を使つておりまする洪水の防止というような、治水の上からも非常に重大な好影響をもたらすものでありますから、これらの方面ともよく綜合的に連絡して、對策を立つべきではないかというようにも思つております。さような場合になつてきますと、現在の日本發送電株式會社をしてのみその開發をやらせることがいいか惡いかという問題になつてまいります。これもこの席上私は輕々に申し上げることはできないと思いまするので、これらについてはそれぞれ專門の有能なる人の參加を得まして、衆智を集めて、今後の日本としてはどういう形態が最もいいか、公正にそういう意見を聽きました上で決定してまいりたいと考えておる次第であります。必ずしも現在の機構にいつまでも拘泥しておるわけではありませんけれども、もしこれを變えるとするならば、輕卒に變えることはよほど考えなければならぬ問題で、十分なる確信を得た上、また國民のその道の練達なる方の意見も十分に聽きました上できめてまいりたい。かように考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=57
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058・細田綱吉
○細田(綱)委員 ひとり發電のみでなくて、それが農村としても灌漑方面に至大な利便を提供するダムを設定する、深甚なる考慮を要する、まことにごもつともであります。お話は局長も實によくおわかりになるのだが、さてそれをどういうふうにやつていくかということになると、ただ民間から衆智を集めてひとつやつていきたい。現在の機構は利點もあるが、しかしこれに拘泥しておるわけではないというきわめて抽象的なお話ですが、たとえて申しますると、電力行政は商工省に電氣廳あり、日發あり、配電會社がある。まるで機構の累積で、屋上どころの騷ぎじやない。末端にいくと今度は工事指定人というものを置いて、それでないと一本の線も敷けないというような、實に動きのとれない機構になつておる。まずこの機構をどういうふうに考えておられるか。こう機構が積み重なつておつたのでは、機構そのものが動きがとれない。機構を何とか整理すれば——こういうふうに積み重ねれば電力が少しでも出てくるならば別ですが、かえつてそれによつてかなり禍いされておるのではあるまいか。戰時中何でもかんでも自由主義經濟を揚棄して、そして官僚統制のもとに機構が整備されたのですが、しかしこれはもう急速に考える必要があるのではないか。ただ民間の衆智を集めるというよりも、地方の都市、農村に行くと毎晩電氣がともらない、籾擢りをするにしても、晝間はできないから夜徹夜するというような、きわめて底をついた飢饉状態になつておる。こうしたことは急速に案が具體化していなくちやならぬと思います。局長がおつしやるように、現在の機構にもあるいは利點もあるだろうけれども、また大きな欠點もあるであろうと思う。こう統制的な一つの機構の累積で、どこに責任があるのやら、また工事が進んでも進まなくとも、自分たちの昇級と給料にはさつぱり影響もないというような機構をいつまでも存續していいとは、局長もお考えになつていないのだが、とりあえず局長はこの機構問題についてはどういうふうにお考えになつておるのか。現機構にもあなたのおつしやるような利點もありましよう。と同時に欠點もあるだけに、これをどういうように現在あなたはお考えになつておるか。もう少し具體的にお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=58
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059・古池信三
○古池政府委員 お答え申し上げます。ただいま電氣事業の運營の形態につきまして、有益なる御意見を承つたのでありまするが、以前には御承知のように非常に複雜多岐にわたつておつたのであります。電氣事業と申せば、あるいは縣營があり、あるいは市營があり、また町村營があり、組合營がある。また事業會社といたしましても、一方に數億圓にも上る資本の大會社があるかと思えば、また一方にはきわめて個人經營にも近いような微々たる會社がある。しかもその數たるや全國に一千にもなんなんとするというような非常に多數の會社が濫立しておつたのであります。從つてそこには非常に設備的にも、あるいは能率的にも、隨分不經濟が行われておつたのであります。これがだんだんと整備されてまいりまして、先ほども申し上げましたように、發電及び送電は全國にわたつて發送電會社が一手に引受ける。また配電の方は九地區にわたつて配電會社が、これもそれぞれの地區において一手に引受けるというように、きわめて分業的になりまして、截然と自分たちの仕事をやつていく。これを監督します機構といたしましては、商工大臣が監督し、その補助機關としてわれわれ電力局の職員がおるというので、きわめてその邊は以前に比べまして簡素化されておるのでありまして、電氣事業としましては、他の産業はともかく、この意味においては非常に合理的になつておると考えております。しかしそれは要するに機構の上の話でございまして、實際に配電會社等の末端の從業員が、その公僕たる觀念に徹して、ほんとうに理想的なよいサービスをしておるかどうかということにつきましては、遺憾ながら私はそこに十分でない點を認めるのであります。これについては、私ども監督の衝に當る者としては、あらゆる機會をとらえ、その責任ある經營者に對して十分なる努力を要請しておるのでありまして、これにもいろいろまた理由はあると存じますけれども、おいおいに改善されていく實績は私どもも認めております。さようなわけでございまして、この機構をどうするかということは、現局現在の發送電會社、九地區の配電會社を一緒にして、たとえば通信事業であるとか、帝國鐵道事業のように、全國の發送配電を一緒にするかどうかというような問題が、大きくそこに現われてくると思うのでありますが、この點は先ほど申しました通り、非常に重大な問題でありまして、なるほど紙上の計畫としてみますれば、發送配電を全國一緒にしてしまうということになれば、大變能率的でよいようにも考えられるのでありまするけれども、また一面から言うと、その責任者、指導者の意思が最末端まで徹底するには、はたしてそれがいいかどうかというようなこともあるのであります。さようなわけから私も先ほど申し上げましたように、よほどこれには愼重なる研究が必要である、こういうふうに申したような次第でございます。現在までの段階としましては、私は今の形態がやはり最もよいのではないか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=59
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060・細田綱吉
○細田(綱)委員 局長は今の形態が非常にいい、こうおつしやつておられるが、私ひとつ方面を變えて伺つてみたいと思うのですが、御承知のように鴨緑江一つで百二十萬キロワツトの發電計畫を立てた。これはほぼ完成しておつたのじやないかと思うが。あの上流の方面における赴戰湖であるとか、長津湖であるとか、黄海に流れるあの水が、日本海方面に流れるような大きな工事をして、そうしてあれだけで百二十萬キロを出すという計畫が朝鮮では可能だ。内地ではおそらく——利根川流域だけのことは詳細な計算の資料がありませんのでわかりませんが、日本の全體の出量から見て、おそらく利根川全流域でせいぜい四、五十萬ぐらいじやないか。あるいはそれ以下かもしれない。利根川は鴨緑江のおそらく三倍ぐらいあるのじやないか。三倍ぐらいある利根川が、鴨緑江の三分の一しか電力が出ない。ここに日本の電力行政の上に何かわれわれは考えなくちやならぬ。あまりにも日本の電力行政が、特に水力發電の方面において致命的な欠陷があるのではないか。あなたも先ほどいい地點があると言われ、一千にも近い水利權が錯綜しておつて、資本家がこの水利權の上に眠つており、あるいはきわめて工事費の安いところだけを、言いかえてみると、贅澤なねずみがまんじうのあんこの一部だけちよつと食いちらすようなことをしておつたがゆえに、私はこういうことになつたのだと思う。從つて世界有數の水力に惠まれた日本が、電燈すらともされないという悲境に陷つているのは、せんじ詰めればここにあると思う。あなたも、さいわいにして今はもう水利權が整理された。どこをどう開發しようと自由であると言われますが、鴨緑江の例を見ても、あれで百二十萬のキロが出るのに、利根川水域を合計しても、三、四十萬キロしか出ないというところに、何か致命的な日本の電力行政の欠陷があると思う。あなたは現機構でまずよかろうと言われておるのですが、私はこうしたおおうべからなる事實、朝鮮でできて、しかも朝鮮の田舍であるあの北鮮の地において、鴨緑江一つで百二十萬キロ出るのに、日本がかくのごとく非能率的なのは、電力行政のどこかに缺陷があると思うが、この事實から推して、あなたは日本がどうしてこういうだらしのない、またもつたいない水の使い方をしているのか、この點を一つ具體的に鴨緑江と日本内地の開發と比較して一つお考え願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=60
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061・古池信三
○古池政府委員 ただいまお話がございましたように、まことに鴨緑江の上流の發電所というものは見事な立派なものであります。あの水を非常に深い山の奧で堰きまして、赴戰湖、長津湖等の滿々たる大湖水をあそこに現出いたしまして、今のお話のあつたような百萬キロ以上の水力電氣を發生しておるということは、これはほとんど日本人がやつたのでありまして、わが國としても大きなる誇りとすべきものであると存じます。ただ遺憾ながらわが内地におきましては、鴨緑江及びその上流のごとく、まつたく水力發電の理想的なよい地點がないのであります。これが致命的な原因の一つであろうかと存じます。ああいう原始的な所でありまするならば、相當思い切つたこともできるのでありますけれども、かりに日本の本州にさようによき地點があつたと假定いたしましても、そこには相當な住民が住んでおり、また農耕地となつている部分が多いのでありまして、あれだけに徹底した開發は内地としては非常に困難ではないかと存じます。むろん相當大きな農耕地を犧牲にし、あるいはその住民を皆よそへ移つてもらつてやるということになれば、これは一つの計畫としてはできぬことはないかもしれませんけれども、實際の問題としてはなかなかむずかしいのではないか。山梨縣全體を一つの池にしてしまうとか、あるいは岐阜縣の飛彈を締め切つて一つの池にするというようなことを考えれば、これは百萬キロ以上もちろん出ると思いますけれども、實際問題としては、ちよつとそういうことはむずかしいのではないか、かように考えております。もつとも利根川のごく上流の尾瀬沿のあります附近、あの邊もよい地點でありますから、これを締め切つて數年工事をやりますならば、まず四、五十萬キロぐらいは出るのではないかというような計算も出ておりますが、何分にもこれには非常に多量な鐵鋼、セメントが要るものですから、具體的に實際の計畫としてはまだそれに着手するまでには至つていないのであります。しかしながらお考えの通りわれわれも、日本における水力の天與の資源はできるだけ有效に利用していきたい、こういう目途のもとに、現在の機構がそれを達成するのに不適當であるならば、いくらでもこれは變えて、最もよい制度にしていきたい、かように考えている次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=61
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062・細田綱吉
○細田(綱)委員 鴨緑江のことばかり申し上げるのもいかがかと思いますが、鴨緑江の電力は例の上流の湖ばかりから出るわけではないので、御承知のごとくに下流方面のダムも輕視できない。あなたのお考えは、何かああした湖でもなければできないがごとく考えているのではないか、山梨縣を一つのダムにするというようなことは夢を考えているのである。日本の面積のうち山間地帶、言いかえれば農耕地帶にならない面積と山間地帶を比較してみれば、いかに山間地帶が多いかということはわかる。そのパーセンテージからいつて、G・H・Qが指摘しているところを見ても、世界でも有數なものである。從つて開墾の餘地もかなりあるではありましようが、今までできなかつたほどに山間地、言いかえれば溪流をたくさんもつているということ、從つて一つのところから四十萬とか五十萬とかは出ない、そこで先ほども私が申し上げた、最も工事費の安く、そうして最も電力の出るという資本家的なものの考え方が、言いかえれば日本の電力危機をもたらしておる。ダムなんかは一度できればこれは半永久的なものである。それこそ國家の手でやらなくてはならぬ。ただ湖だけを利用してやる。單にそうした三つの湖があつたから、鴨緑江が偶然に百二十萬キロワツト出たというのではない。從つてあなたがおつしやるように日本人が拵えたのだから内地にもできないはずはない。會社に任しておくから、そこには營業費とにらみ合わせたり、工事費とにらみ合わせたりして、いろいろの制限がありましようが、水利權ができた今、われわれはこれを非常な機會として、さらに國家的な一つの開發を進めるべき時ではないかと思う。もちろんセメントも自由でない時ですから、直ちにというわけにはいきますまいけれども、今はこの計畫を立てる時ではないだろうか。私はスイツツルの例は詳しく知りませんけれども、おそらくスイツツルなんかは湖ばかり開發して、農村ですら豐富にぜいたくに電力を使つているとは考えられないのでありまして、そこには多くの人爲的な苦勞と申しますか、建設が積み重つていると思います。あなたの今のお考えから言えば、何かそういう湖がありませんとか、あるいはどこだけで四十萬キロワツト出る。あるいは山梨一縣だけやろうというような、やはり資本家的な、あるいはまた夢を描くようなものの考え方をしておるから、ちよつとも進まないで、今の機構が一番いいのではないかということになります。私はこういうふうに機構があまりにも積み重なつておりますと、おのずからそこにあまり制約されて、ものの動きがとれなくなります。また資金の面も融通の範圍がきわめて狹くなると思います。國家の力もまた分散してくる。役所もたくさんある、指定機關と申しますか、統制機關、執行機關もたくさんある。これではお互いに繩張りのなかに眠つているのではないかと考えます。日本の電力をどうするかということは、一にかかつてあなたの責任なのです。たれの責任でもない。なるほど考えれば大臣の責任であるかもしれませんが、大臣は素人である。最高の地位に立たれているのは結局あなたである。しかるに私はあなたの今の御答辯では、何らの建設的な面も遺憾ながら見出すことができない。日本人が鴨緑江を開發したなら内地にもできなければならぬ。御承知のように平地をつぶしてダムはできるのではない。なるほど東京都の例を見ましても、どの例を見ましても、小河内のあれだけのわずかの人を立退かすにしても、隨分苦勞したでしようけれども、それはやむを得ない。かといつて何千、何萬の人を動かすわけではない。それらの山間における多少の人たちを動かすという一つの建設の面に對しては、國家はこれに十二分の補償はできるわけである。全然犧牲なくしては、犧牲といつては語弊がありますが、その對價を十分に拂えばいいのであります。不便なくして建設というものはない。それらの不便を克服してやらなければならぬ。スイツツルの例を見、鴨緑江の例を見、日本の例を見ると、開發が遲れているどころの騷ぎではない。問題にならない時に、あなたは現在の機構がいいと言うなら、日本の電力行政はお話にならないということなのであります。今日本の農村方面はどうしておりますか、現實に東京に近い茨城縣下においても電線一本、電燈一つない村がいくつあるか。それで最高機關にあるあなたが、これで十分だといつて職責を全うし得ますか。私はあなたがこの程度でいいと言うならば、遺憾ながら私はあなたの良心を疑わざるを得ない。水力電氣がこんなにどうにもならぬときに、この機構でよろしうございますというならば、私は日本の商工當局、特に電力局長は電氣の對策なしと斷ぜざるを得ない。まつたく惠まれた日本ですよ。關東平野にダムをこしらえるなんて、ばかなことはたれも考えない。(「機構の問題じやないじやないか」と呼ぶ者あり)なに、要らぬことじやない。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=62
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063・岡部得三
○岡部委員長 私語を禁じます。質疑の繼續を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=63
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064・細田綱吉
○細田(綱)委員 今、日本の農村は、まつたく相當部分は徳川時代のままなんです。菜種の油をともしております。東京から一時間以内の古河から三里はいつた所で、そういう菜種をともしている所がある。今は石油もはいらない。ローソクも高い。そこで菜種油をともしておる。一面工事指定人というようなものがあつて、ほかはたれにも頼まれないというような不便もある。こういう機構が積み重なつている。現場も工事指定人というような一つの利權的な機構にしてしまう。どうにもこれでは動きがとれない。工事指定人のほかは他の人には頼まれないから、米を何俵皆で集めてやるとか、あるいは金を持つて行かなかつたら工事は全然してくれない。それの行き屆くところは、まあ足りない資材をもつてきて、何とかしてくれる。ここには私は何とか一つの考慮の餘地があるのではなかろうか。現機構ではいけないのではなかろうかと、こう考える。
それからお伺いしたいことは、今の日本發電工事の進行状況です。日發に任せておる状況は、戰爭中はかなり活溌に進行しておつたようですが、一時頓挫している。もちろん資材の關係もありましようが、あなたの方の計畫通りに進んでいるかどうか、その點を一つ伺いたい。それから最近御承知のように發電會社が各地で一定の制限以上消費した場合には、いわゆる罰金をとつている。これは會社が私すべきものであるかどうか。この額はあなたの推察によるとどのくらいに上つているか。この點を一つお伺いしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=64
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065・古池信三
○古池政府委員 まず電氣事業の企業形態の問題につきましては、いろいろと意見を承つたのでありますが、私が先ほど申し上げました言葉が、少し足りなかつたためか、その邊に多少誤解していらつしやるような點もありはしないかということをおそれますので、もう一度申し上げますが、要するに現在の電氣事業は發電から送電、配電まで非常に簡素化された段階にあるといふこと、御質問にありましたような複雜な點は非常に少くなつて來ている。それから今までの段階においては、發電から消費までの機構としては、大體これでよかつたのではないかと思ひます。しかしながら今後、先ほども私が申し上げましたような大きなダムをつくつて、これによつてあるいは治水上、あるいはまた灌漑用水上その他の利水の上においても、總合的な計畫的大堰堤計畫を實行するというような場合は、よほどその機構についても考慮しなければならぬ。それについては國民の有職者の意見を十分に聞いて、誤りのないことを期したい。かように私は申し上げたのでありまして、開發の問題につきましても、現在の機構でいつまでも將來續けて十分であるということは、私は申し上げたつもりではないのでありますから、その點は御諒承願いたいと存じます。
發送電會社の工事の進捗模樣でありますが、これは發送電會社も一生懸命やつております。ただ殘念なのはセメントが、特に昨年あたり非常に入手が少かつたのであります。そのために後れておるのもございますけれども、昨年度の暮近くになつて三、四萬キロという發電所ができ上りましたし、また今年度においても相當出力を増加する意氣込みで、今一生懸命やつております。御信頼を願いたいと存じます。
それから先般の電力制限の際、基準量を超えた部分については、超過加算料金を課することにいたしたのであります。これは目的はあくまでも收入ではなくて、これによつて自發的にいくらかでも自制していただきたいということが、目的であつたのであります。私どもといたしましては、この超過加算料金はゼロであることを、理想としておつたのでありますけれども、遺憾ながら實績を見ますると、超過加算料金が意外に多くなつているので、はなはだ殘念に思つております。現在われわれが想定して、概算を考えてみまするに、大體全國で二億圓超過するのではないかと思つております。かような多額に上つてまいつたのであります。この使途につきましては、われわれ今かように考えております。電力が足りないそのために、やむを得ず自家用の發電所に頼みまして、そこで焚いてもらつてようやく間に合わしたというような事例も多々ございました。かような場合に、まずその自家用の火力を焚いてもらつた石炭費でありますとか、そういうものは今の超過加算料金の中から支辨してまいりたいと考えております。あるいはそのためにいろいろ周知宣傳をいたしましたような費用、これもその中から賄つてまいりたいりたいと考えております。なお餘りがありましたならば、先ほど仰せになりましたように、戰災によつて配電設備等が非常な打撃を蒙つたのであります。これは通常の費用でやるのでは、なかなか手の屆かぬような場合もありますので、特にそういう戰災等を受けました方面の、配電設備の急速なる復舊整備をはかるために、今申し上げましたような金は使つてまいりたい。要するに電氣に關係をしておる公益的な性質のある使途に向けてまいりたい。これは商工大臣が指定をすることにしていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=65
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066・細田綱吉
○細田(綱)委員 これは共通にわたりますが、貿易公團の資金が千五百萬圓ないし二千萬圓、産業復興公團の方が二億圓、石油の方が六千萬、價格調整の方が三千萬、あるいは配炭が三億圓、この資金は何にお使いになるか。會社の單なる經營費とすれば、これは相當なものであると思うし、仕事に使おうと思うならば少なすぎるし、おそらく最初の會社經營費として見積られたのじやないかと思う。そうすると時局柄物價もかなり高いから、そう安くもいかないかもしれませんが、相當な額ではないかと思いますが、この點をまず伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=66
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067・平井富三郎
○平井政府委員 配炭公團の例で、資本金の構成を御説明申し上げます。大體配炭公團は一應資本金三億というふうにきめておりますが、これは毎々御説明申し上げました通り、建物であるとか、輸送の荷揚げ施設というような、主として不動産に屬するようなものは、これを現在の統制會社、あるいは現在の統制會社の借入れておる所から借入れるという關係にいたしておりまして、この公團で資本金の基礎になつておりますものは、主としてそういう不動産を除いた什器類であるとか、消耗品等のものを、一應現在の統制會社から借入れる。そのほか自動車であるとか、一種の恆久的施設にあらざる分を買取る資金、及びこれに亞炭關係につきましては、今後主として施設をいたしますので、いろいろな建物、その他についても一部新築する分等も見込んでおりまするが、そういう分と、それから貯炭關係につきましては、普通のいわゆる流通、炭の配給過程に出てまいりまする普通の貯炭については、これは借入資本で賄うことになりまするが、固定いたしますような貯炭、たとえば山元にありまして、日炭が現在買受けておる、しかも早急に出すような見透しのつきにくいような貯炭は、一部固定資本に入れておるわけであります。そういうものの類が大體約三億になつておるわけであります。その他の買入資金につきましては約十九億程度の金が必要でありまして、これは復興金融金庫から借入れるわけであります。これは石炭、コークス、亞炭の買入れに要する運轉資金であります。それから公團の人件費、事務費、これは大體國庫から支給されるということが原則でありまして、これは先ほど申し上げました四億からないし六億程度の間のものが、要るのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=67
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068・細田綱吉
○細田(綱)委員 配炭公團の點はわかりましたが、おそらく他の公團もその例でしようが、一時的な一つの施設費というようなものを含まれておつて、はたしてこれで十二分の機能が發揮できるでしようか。石炭の例でも石油の例でも結構ですが、おそらく石油もいろいろタンクだとか、その他の設備も要るでしようから、六千萬圓というようなことではたしてできるか。特に産業復興公團の二億圓というのは、どういうわけでこういう二億圓の資本になつておるか。これを一つ伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=68
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069・松田太郎
○松田(太)政府委員 産業復興公團の資本金の二億圓につきましても、ただいま配炭公團の方から御説明ありましたのとほぼ同樣でありまして、今日の産業復興公團の設備、それからまた復興公團がさしあたり仕事をやつてまいりますために、相當の金融を受けなければなりません。それに對する一つの擔保といつたような意味が主でありまして、大體二億圓を計上しておりますが、實際産業復興公團がその仕事をしてまいりますのには、二億圓ではとうてい仕事の運營に必要な資金でないことは當然でありまして、實際の仕事といたしましては、復興金融金庫からこれを借入れることを考えておるのであります。それで今日いろいろ計畫を立てて經濟安定本部とも相談をいたしまして、大體の見透しをつけておりますところでは、今後一年間の豫想——それは時勢の推移によりまして、一年間といえども見透しをつけることは非常に困難でございますけれども、大體復興公團の事業の性質といたしまして、一つには設備の整備の問題、それから一つには設備の買上げの問題、それからまた一つには資材の買上げ、またその融通の問題、そういうような點、しかもこの設備の整備の問題につきましては、肥料關係でありますとか、あるいは石炭關係でありますとか、そういつたようないわゆる基礎産業に對する設備の整備の問題と、それから一面にはいわゆる中小企業の振興という問題、それは特に輸出産業ないしは國民生活必需産業というものと中小企業を結びつけまして、中小企業の設備の整備をはからなければならぬのであります。なおこれら兩者に關連しまして、いろいろ資材の斡旋をしなければなりません。この資材につきましてはたとえば産業設備營團、今は閉鎖機關にはいつておりますが、從來の産業設備營團でありますとか、あるいは最近閉鎖機關になりました交易營團でありますとか、あるいは隱退藏物資特殊物件、その他統制機關の解散に伴いまして、現在保有しております物資、資材というようなものを買上げなければなりません。大體そういうものを概算してまいりますと、年間約百億程度の金が要ることになるのであります。今申しましたのは原則としまして復興金融金庫の方から借入れるようにいたしておりまして、そのうち第四四半期としまましては約二十二、三億圓の金が要るようなことになります。別に今囘復興金融金庫法の一部改正に伴いまして、現在の百億の資本金を百五十億増資いたしまして、合計二百五十億になる法案を今議會に提出されることになつておるはずでございますが、それらの點は今申しましたような復興公團その他各關係公團の運用に必要な資金というものも含めておる、こういうような關係になつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=69
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070・細田綱吉
○細田(綱)委員 貿易公團は十五條、その他は各十四條に「官吏その他の政府職員」とありまして、政府職員と官吏と區別されておるようでありますが、これはどういうふうな職員と申しますか、人を指して規定されておるのでありますか、その點をちよつと御説明を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=70
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071・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 「官吏その他の政府職員」と申しておりますが、官吏と申しますのは、いはゆる官制によりまする官をもつて任命されるところの官吏でございます。事務官であるとか、技官であるとかいう官吏であります。「その他の政府職員」と申しますのは政府のすべての使用人、いわゆる本官をもつております者以外の政府の使用人、これを言うておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=71
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072・細田綱吉
○細田(綱)委員 貿易公團法、産業復興公團法は十一條、その他は十條ですが、監事は當該公團の業務を監査するとあります。これは普通の會社のいわゆる監事、監査役とほとんど同じ規定ですが、御承知のように會社の監査役というのは、これはよその國はそうではないそうですが、私はよその國のことは不敏にして知らないのでありますけれども、日本の監査役というのが有名無實であるということは天下の輿論と申しますか、法律家の意見と申しますか、一致しておることであります。話に聞くよその國の監査役のごとき權威はちつともない。この十條に規定されておる監事がどういうふうにして監査に當られる仕組になつておるか。會社の監査役のごときものであるとするならば、むしろ監査機關の缺乏をわれわれは嘆かざるを得ない。事實上何もできない。どういうふうな仕組で監事が監査されるのか。特にこの點に私が重點を置くのは、從來もいろいろな問題を聞くのですが、特に統制會社についてはその非難が多い。またときには例外中の例外ですが、刑事事件もひき起しておる。國家の事務、特にその會計方面については會計檢査院の檢査も受けるし、いろいろな制約もありましようけれども、しかし會社全體の業務の監査ということになると、これは會計檢査院の數字上の消極的な檢査では監査がしきれぬのではないか。たとえて言うならば、賄賂を貰つたというような場合は、これは會計檢査院の問題ではない。もちろん檢事局に關することだといえば檢事局のことだろうし、あるいは警察のことでもあろうが、しかしそういう外の機關によつて忌わしい問題の起きないように、あるいはまた、起きたときの糾彈にはそれが當るというようなことは、考えておられるわけでもないと思いますが、この監事は從來のいわゆる會社の監査役のごとき考えの上に立つて規定されたのか、あるいはそうでないとするならば、どういう構想の上に立つてこの貿易公團の十一條、その他十條の監事が規定されているか、この點を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=72
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073・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 配給公團の監事は、この規定にありますように、配給公團の全部の業務を監査するという意味でございます。もちろん會計上、經理上の監査もいたしまするが、配給公團の内部機關といたしまして、配給公團でやつておりまする事業、業務全般について適正なりや否やを監査をする。こういう任務をもつております。もちろんこれらの監督につきましては主務大臣、あるいは會計檢査院もいたしましようが、監事が公團の内部機關として總ての事業、業務に關する監督をする。こういう立場をとつていきたいと考へます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=73
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074・細田綱吉
○細田(綱)委員 そうするとその趣旨は會社のいわゆる監査役に該當する。そうすると從來の日本の會社の監査役は、先ほど申し上げたように有名無實、ときには取締役にはなるための一つの段階とすら言われておるくらいの有名無實なものであるが、これであなたの言われる全體の監査ができるか、この監査役に付する機構はどういうふうにお考えになつておるか、この點を伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=74
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075・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せの通りに一人の監事がこういう廣い業務を行いますことは、なかなか困難でございます。從いまして公團におきましては、相當のスタフをこの下に配置いたしまして、それらの總合的な力をもつて業務の監査に當る。こういうふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=75
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076・細田綱吉
○細田(綱)委員 私もどうもこの公團法が何か從來の統制會社の燒直しのような感じがしてしようがない。もちろん從來の統制會社であつてはならぬので、それで新たにいわゆる公團法案なるものができたのでありましようが、しかしながら前には政府から特別な權限を授與された統制會社が、その特權の上にややもすると眠つており、特權を振りまわしというか、惡用し、業務のスムースな運營と日本經濟の發展が阻まれた。ところが今度はもつと特權のある官吏になつてしまつて、民主的な機構が少しもこの中にははいつていない。もちろん伺うところによると、經濟安定本部の中にいろいろの委員會を設けるそうですが、これは經濟安定本部の中に設けたからと言つて、直ちに配炭公團、産業復興公團、石油公團に直接の作用をするものだとは考えられない。今吉田さんから伺うところによると、相當のスタフをおいて監査させると言われるのですが、これはどこの會社でも監査役附というものがあつて、相當のスタフがあるけれども何もなつていない。だからその考えだとすると、私はこの機構がより官僚化した一つの機構に陷るおそれが十分あると思う。これに對して直接一つの民主的な機構を附け加える必要があると思うのですが、その點御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=76
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077・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 先ほど簡單にスタフと申しましたが、監事の下には、殊に配給公團につきましては配給監査員というものを相當に置くつもりでございます。貯炭場あるいは配給する現場に配給監査員を置きまして、それを全國的に統括する機關の任に監事が當る、こういうつもりでございます。なおこの運營の民主化という點につきましては、やはり運營の民主化に關しまする一つの委員會、昨日も商工大臣からお答えがあつたと思いますが、そういう趣旨の運營の委員會というものを活發に運用いたします。特に各地方に支部ができますが、地方ごとにそういう委員會をおきまして、これには消費者なり、關係の業者なり、第三者の方なりを入れまして、運營の民主化について常に監視をしていく。そうしてそれらの仕事の第一線の任を承りますものは配給調査員ということで、この配給公團の業務の民主化をはかつていきたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=77
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078・細田綱吉
○細田(綱)委員 いわゆる配給調査員というものは、從來も日本石炭株式會社にはあつた。皆山元へ行つておるのだが、どうも一向役割を果していないというか、役割を果し得なかつた。これらの實情に鑑みますと、あなたのいわゆる監査員制度というようなものは、私はあまり期待をもてない。要はあなたが今言われたような監査委員會というか、監視委員會というか、運營委員會というものをもたれる。特に各地にももちたいというならば、率直にこの法文の中に入れたらいい。ただ單にそういうものを法文外のものとして諮問的におくということは、きわめて權威がない。從つて官僚というか、當該機關の上におる人だけの獨善に陷りやすい。單なる諮問機關ではなくて、相當な權限をもたして、法文の中に入れて必須機關としておくならば、これは相當の權威がもてる。あなた方がこうした配給機關の民主化をはかつて、統制會社をやめて公團に移られたお考えをこのまま進めるならば、むしろあなた方の意圖に反した方向に進むのではないか。そのために民主化した委員會を十二分に活用するとすれば、これはやはり法文の中に入れて十二分の權限をもたせることが必要で、法文外に任意にもたした委員會というものは、結局御苦勞さんでした。今晩御飯でもということだけで濟んでしまう。これは戰時中は幾多の例がある。戰時中でもおそらくただその當該統制機關だけでやつたという例もありましよう。幾多のそうした諮問的な機關を設置した例はありますけれども、何ら効果をあげなかつた事實に顧みてみますならば、あなたのおつしやつた委員會制度こそ法文の中に入れてしかるべきではあるまいか。いま一應お伺いしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=78
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079・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 この點につきましても過日商工大臣からお答えいたしたいと思いますが、そういう委員會を必ずおきたいというふうに私ども考えております。しかしながらその運用はもつぱら民主的にいこうという意味でございまして、民主的に運用するための委員會でございますから、むしろ法文に入れずして、實際の運用に重點をおいていくということでまいりたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=79
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080・細田綱吉
○細田(綱)委員 これは次官にお伺いしたいと思いますが先ほども私は電力問題で、電力局長あり、電氣廳あり、日發あり、配電會社あり、末端には工事指定人まであるというような、あまりにも機構が屋上屋を架しており過ぎるから、機能といいますか、日本の電力開發が發展しないのではないかということをお伺いしたのです。たとえて申しますると石炭廳あり、石炭廳には長官あり、次長あり、また今度の配炭會社には總裁あり、副總裁あり、これでは偉い人ばかりたくさんできてしまつて、同じようなことを混淆して行列をしておるのではないか、こう考えるのですが、行列もよかろう、けれどもそれによつてまた機構が動かなくなつてしまう。敏速スムースな業務ができなくなつたのでは大變なんであります。大臣あり、長官あり、次長あり、總裁あり、副總裁ありというような、屋上屋を架するような機構は、もつと簡素化してよいのではないか。しかしこれは特別な官廳、特別な役所なんで、たとえて言うなら石油、石炭の公團は商工省とは違う。從つて商工省には長官と次長が必要だ。そう言われるのなら、確かにそうかも知れぬ。けれども責任を一途に發すると申しましようか、また責任を一點に集中する、その責任の上に仕事が進められるということは、あらゆる場合に必要だと思う。こういうような役所がたくさんある。片方の役所には總裁あり、副總裁あり、片方の役所には長官あり、次長ありというようなことは、きわめて敏速にして圓滑な業務の遂行に支障ありと考えるのですが、この點次官はどういうようにお考えになるか、お伺いしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=80
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081・保利茂
○保利政府委員 細田さんの御意見は、多分に同感の點がございます。教えられる點が多いわけでありますが、公團組織による統制方法は、どこが責任の所在點であつたか、はなはだ明確を缺くような點がある。が舊來の統制會社等による統制というものからいたしますと、よほどすつきりした統制の方法であることは、これは申すまでもないと思います。なおまた機構運營の機關として、官廳は官廳、公團は公團、それぞれの機關をもつということは、その與えられた責任を果す上におきまして當然のことでありますが、もとより細田さんのお話のように、できるだけこれを簡素化するということはまつたく同感であります。この場合、提出されております公團にとつております各機關は、少くとも私どもの考えとしては最小限展の必要な機關、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=81
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082・細田綱吉
○細田(綱)委員 最後に、官吏がこうした經濟面にタツチして、先ほど申し上げたようないくたの弊害を釀した例がある、しかし日本の官吏制度というのは、長い間のしきたりを見てみますと、みずから責任を負わずに、經濟活動というものは民間の人に任せて、そうしてただ多少軌道のはずれるのは、べからずというこの一言によつて統制してきたというふうに、いわゆる經濟活動の圈外にあつた。ところが今度は、まともに官吏が經濟の實行機關になつてくる。もちろんその一部の、事業官廳であつた運輸省等における事業、これは別でありますが、いわゆる商工行政は今申し上げた範疇にあつたと私は思います。自由奔放な民間の經濟活動を、國家的見地からああしちやいかぬ、こうしちやいかぬ、いわゆるべからず主義のもとに仕事をしておる。從つてその仕事には日時の制約もなければ、あるいはまたみずからその責任を負つたということもちつともない。たとえて申しまするならば、石炭がどれだけ出ないからこれは石炭行政が惡いのだと言つて、石炭の役人が責任を負つたということも聞かなければ、電力がいくら出ないからと言つて、電力關係の役人が責任を負つたということも聞かない。言い換えてみますと、責任の外にあつて一切の仕事の統制と申しましようか、べからず主義の統制をしておつた。しかし現在はもう既に違う。べからずではない、べしである。いくら以上を増産すべし、いくら以上を復興すべし、いくら以上を買上げて輸出すべし。こういうふうな、言い換えてみますと、今までの役人にとつてはきわめて無經驗ではあるが、また同時に考えていなかつたことをしていかなくちやならない。從つて役人の考えも、教育も、また執務の方法も違つてこなくちやならぬと思つておるのですが、從來の役人のいわゆるべからず——ああすべからず、こうすべからずということより、すべしという方面に一歩移行して、言い換えれば役人がそれだけ責任を負つて、日本の基礎産業を背負つて立つのだ。齒車の一つになつたという點に役人の配置、役人の執務方法、あるいはまたその機構について、どういうふうに商工最高當局としてお考えになつておるか。この點をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=82
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083・保利茂
○保利政府委員 お説のように、戰時以來の日本の政治が、いわゆる民主化せられざりしためにお話のような點が多かつたことは、まつたく同樣に存じております。もとより民主化せらるべき政治、新しい憲法のもとに行われていかなければなりません政治のもとにおいては、今までの弊風は一朝にして各機關、官廳から拂拭されるということが最も望ましいと存じます。このためにはもとより十分の努力を拂わなければなりませんが、同時にまた、何を申しましても、ひとしくこれ戰時中も今日も同じ人間でありますから、今日が明日といつて、掌を反したようにすべてが理想通りに行くものとは存じませんけれども、この方向に向つて全力をあぐべきことは全く同感であります。しこうしてそれはまたそういう希望の通り達成せしめるためには、私ども御同樣に議席をもつておる議會側として、大きい責任の一半を負うべきであるということも感ずるわけであります。細田さんの御意見と全く結論においては同感であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=83
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084・細田綱吉
○細田(綱)委員 私は官廳の執務方法についての一番の缺點は、責任の所在をあいまいにするために判この行列をする、これである。殊に經濟活動は一瞬を爭うものである。一瞬を爭う場合に、今のごとく時間の制限のない執務をされたのでは大變である。日本の經濟が止まつてしまう。のみならず、あつちの判こをとり、こつちの判こをとるというふうに、判こが五つも十も行列をすると時間をとる。のみならず先ほど申しました通り、仕事の責任がどこにあるか、もちろん主管の課長もあるだろうし、あるいはまた主管の主査もあるでありましようが、しかし判この行列をすることによつてだんだん責任が埋められていつてしまう。直屬長官だけでいいではないかと思うようなのを、むちやくちやに横の方の判こもとるということが、官廳の弊の一つである。いま一つは、私自身も實は法律家のはしつこでありますが、法科萬能である。ここに日本の官廳の經濟方面の行政の低調がある。もつと民間人も起用して、法科以外の經濟活動に從事した民間人も起用せず、同時にまた技術家も起用しないことが、日本の行政官廳の、私は最も缺點の一つだと思います。從つて何でもかんでも機構はいじる。何でもかんでもべからすと法律は一生懸命でこしらえるが、實體は握つていないというような弊に陷る。これは技術家を輕視する一つの弊であり、また法科萬能の一つの弊である。今ここでそうした大きい問題を私は申し上げるわけではない。特に經濟活動の方面において、こうした法律家が最高指導權をもつて、そうして從來のごとき執務をすることは、ほとんど日本の經濟を握つて立つためには不可能だと思う。從つて私の考えることは、斷乎として、いわゆる特殊官廳である配炭會社、あるいは石油會社だけでなくて、それの行政を握るところの商工省の中にも、斷乎として民間人を起用し、あるいはエンジニアーを起用するようにすることが必要である。また判この行列はきわめて簡素化することが必要ではなからうか。特に一番警戒すべきことは當該官吏の横すべりです。これは商工省と内務省の例をとつてはまことに當らないかもしれませんが、私かつて東京都の東京府時代の警視廳と、東京府のいわゆる高文をとつた人の在職年限を調べたところが、十一箇月が切れる。十一箇月毎に横すべりをして、内務部長になり、知事になり、次官になるというように、何のことはない。これはいわゆる高文をとつた特權組の出世のための一つのポストにしか過ぎない。こんなようなばかなことをやつておつたんでは、日本の行政もたまつたものではないし、特に經濟活動を擔當する官吏は、こういうことがあつてはならぬ。石炭會社の役人であるならば、ひとつどこまでも石炭の權威になるように、一生でもいいのです。なるべく横すべりをやめて、そうしてその道の權威になるようにすること、言いかえれば當該職務の專門外の方面に人のために横すべりしていくというようなことを防ぐということが、私は最も日本の官廳の能率化のためには必要ではないか、こう考えておるのですが、今一應從來の官吏に對する高文偏重の弊、あるいは責任を模糊するための判この行列の弊、あるいは今申し上げた人のためのポストであるか何かわからないような交代の弊を矯めていただきたい、こう思つておりますが、最後にこの點に對する次官の御意見を承つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=84
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085・保利茂
○保利政府委員 御質問、まつたくその通りだと私は簡單に申し上げていいと思います。役所の書類に非常に判こが多い。これはいつでも言われますが、まつたくその通りであるわけであります。これは私はまたああいうふうにつくられている役所の書類、あれほど丁寧に動かされていくために、日本の官廳に比較的誤りが少い。なかつたとは言えないかもしれませんけれども、誤りが少かつたということの一つの大きい功績は、これはもう見逃してはなるまいと思うのでありますが、同時にまた責任の所在を曖昧ならしめるがごときことにつきましては、もしそういう點があれば、これは十分改めていくことに努力をしなければならぬと存じます。同時にまたしかし今日は何といいましてもすべての機構が敏活に運營されるということが、最も重大でありますから、能率という點からも、そういつた書類のつくり方、判この押し方、そういうことも考えて兩々誤りなからんことを期するとともに、いかにして能率をあげていくかということから、改善の工夫をしなければならぬと存ずるのであります。また官吏の横すべりということ、あるいは商工省の中に、もつと技術官吏、あるいは民間の方を重用するようにということでありますが、それはお話の通り、商工省では實現されておるんじやないかと私は思います。たとえば最も重要な貿易廳の長官でも、あるいは石炭廳の長官でも、皆これ民間の方から御苦勞を願つておるようなことでありますし、技術家の方面にもたくさんの技術局長、部長、課長がおられて、お話の趣旨に副うて努力をいたしておるということはお認めいただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=85
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086・細田綱吉
○細田(綱)委員 これで私の質疑を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=86
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087・岡部得三
○岡部委員長 それでは木村委員の質疑を許します。木村公平君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=87
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088・木村公平
○木村(公)委員 きわめて簡單なお尋ねをいたしますが、配炭公團の法案によりますれば、末端の配給まで、あくまで公團をして擔當せしめるという考え方のようであるのでありますが、このことにつきましては議論の餘地もあろうかと思うのでありますが、私どもは從來から公團が生れざる前におきましても、たとえば食糧營團におきましても、やはり末端の配給面には、從來の長い經驗をもつておるところの經驗者、いわゆる業者を活用することが一番ナシヨナルではないかという考えをもつておるのでありまして、しばしばそういう意見を開陳したのでありますが、實際それを行つてみましても、やはりうまくいくようであります。たまたまこの法案を拜見いたしてみますると、石油公團法案においては、いわゆる販賣業者の指定ということがあるのでありますが、配給公團においてはそれがない。しかして政府側の言分を聽いてみますれば、石油の方では現に業者が存在するんだ、しかしながら石炭の方にはそういうものがない、從つて石油の方面においては販賣業者の指定ということがきわめて簡單にいくのだ、石炭の方はしからざるから、新たに開設するということは困難であるから、暫くの間できがたいというようなお考えであるかのように、私どもは仄聞いたしておるのでありますが、はたしてしからばお尋ねしておきたいのは、新たに石炭において販賣業者の指定をなさろうとする場合にはどんな困難があるのだ、あるいはまた經費の方から考えましても、いくばくほどの經費がそれによつて入用であるかということも伺つておく必要があろうかと思うのであります。從來日本において物の少い時においては——これは日本だけではないのでありますが、計畫統制をいたさなければならぬことは、自由論者であるところのわれわれも、これを是認せざるを得ないのでありますが、計畫統制の運營面において最も留意しなければならぬことは、結局誤まられたところの役人的な考えの上に基礎づけられた情味のない運營、これが殊に日本人のごとき血の氣の多いところの消費者には嫌われるのであります。それを長い間の經驗をもちました業者を活用、利用することができますれば、よほどそういう點に對する消費者の不平あるいは物足りなさ、疑點というものが緩和されるのではないか。この點は決して役人に對する不信でもなく、面子の問題にも關することではないと思うのでありますから、私はこの際あつさりと率直に、石油公團と同じく配炭公團においても販賣業者を指定するのだという御言質を得たく、實にお伺いをいたすわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=88
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089・平井富三郎
○平井政府委員 配炭公團におきまして指定販賣人制度をとりません理由は、現在までの機構におきましては日本石炭、地方石炭と二つの統制機關がございまして、地方石炭は大體八地區に設けられておりまして、それぞれの八地區における一元的な販賣機關として、現在その業務を行つておるわけでありますが、この公團におきましてはこの日本石炭、地方石炭の業務を全部一應接收いたします。從いまして全國數百箇所にわたりまする末端配給の施設、それに從事しております人員も、原則的にこれを引繼ぐということになるわけであります。現在の石炭の配給の状況を見ますると、大體日本石炭において扱つておりますものは、主として大口關係でございます。これが大體八割程度を占めております。あとの二割が今申した全國の地方石炭の手を通じて配給されておるわけであります。これも地區的に非常に扱い數量も違うのです。たとえば北海道においては、暖房炭の扱いが多いというように、地區的な特殊性はございますが、その販賣の廣さに對しまして扱い數量は非常に少いわけであります。從いまして今直ちに指定販賣人制度というものを設けますると、どうしても各地區におきまして、指定販賣人として指定する者が比較的少數の者にならざるを得ないというような結果になるのではないか。これは指定販賣人の制度が本質的に惡いというふうに私どもは考えておるわけではございませんけれども、現在の配給數量の極端に少い時期におきまして、いわゆる指定販賣人制度というものを置きますると、今申し上げましたように、各地區に少數の指定販賣人を設置する、それでなければ指定販賣人のいわゆる經濟的な基礎が立ち行かないのでないか。從いまして今少數の指定販賣人をここに選定するにつきましては、獨占禁止法の建前から見ましても、相當の問題になりまするし、從來販賣業者として一旦地炭に接收されました業者の數は、石炭において約一萬六千名以上でございます。これは數年來の統制の結果、その中の相當の部分は既に廢業をし、再び石炭の販賣に從事しようという意思をもたぬ者も相當あると思います。しかし現在地方石炭の株主でありまする相當數の者、及び全國において地方石炭の株主にはなりませんいわゆる轉廢しました業者の數も、相當大きな數でございますので、そういうような者の中から、少數の者を選び出して指定販賣人を設置するということは、またそこに一部の者に獨占的な地位を與えるというような形にもなりまするし、また技術的に考えまして、公團の仕事をする時期はここ一年というように一應きめられております。從いましてさしあたりこの公團の發足については、指定販賣人という制度を設けずに、公團が直接に消費者に賣るという制度の方が、現在の炭の配給量及びこの過渡期の移り變りの技術的な取扱いといたしましても、便宜適當であるのではないか、こういう觀點から一應石炭につきましては、消費者に直賣をいたすというように考えておるわけであります。ただたとえば非常な小口の末端配給、北海道の暖房炭のような、各家に何キロの石炭配給をしていくというような一つの仕事につきましては、あるいは公團の荷扱者というような形で、販賣業者を確保していくというようなことは、もちろんこれは考えられるわけでありますが、いわゆる指定販賣人制度で考えられておりまするものは、相當規模の石炭を公團から買取りまして、自分がそれを需要者に賣りさばくというような意味の指定販賣人制度でありまして、現在公團のスタートにおいてこの制度をとることが、かえつて不適當な點が多いのでないか、こういうように考えるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=89
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090・木村公平
○木村(公)委員 大體御説明によつて納得いたしたのでありますが、およそわが國に三千萬トンくらいの出炭量の決定しました曉には、あながち指定販賣人の設置ということにも反對ではないという政府の意圖もあるかのように仄聞いたしておりますが、その邊につきましてのお考えをついでに伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=90
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091・平井富三郎
○平井政府委員 昭和二十二年度の出炭計畫は、大體三千萬トンを目標にしてやつているわけであります。この公團の一應の存立期間は一箇年であります。從いまして昭和二十二年度中におきまして、三千萬トン出炭が可能であるというような見透しが立ちますれば、昭和二十三年度においては、それ以上の増産ということもまた期待され得る状況になると思います。從いましてそういう場合におきまして、公團という制度をどういう觀點から續けていくか、あるいは廢止すべきか、これは根本的に檢討し直さなければならないじやないか。あるいは公團というものを卵賣部門に止め、末端はいわゆる業者の活用によつた指定販賣人制度でいくか。それらの點につきましてはその状況に應じて適當に考え直すべきではないかというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=91
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092・木村公平
○木村(公)委員 大體この公團は一箇年をもつて存在意義を失うようになることを希望するのでありますが、現段階の見透しといたしましては、なかなかそう私どもの希望いたすようにはなつていかないのじやないかというおそれも、實は多分にあるのであります。たまたまこのときこの際において、政府では二十二年には大體計畫通りいけば三千萬トンの石炭を出し得る見込みがあるというお話でありますが、はたしてそういう見込みがありますれば、卒然と販賣業者を指定するとか、あるいは卒然と指定販賣制を實施するということは、これは無謀な話でありまして、本年そういう見込みが大體お立ちになつておりますならば、かりに指定販賣人を設置する場合にはどうしたらよかろうかという具體的のお考えが、もはや今から樹立されなければならぬ時期だと私は思うのであります。さいわいにして公團が廢止されればよろしいが、存續する場合にはどうするかということも、この際併せて考えておくことは決してむだでない。まして今の日本からいけば、廢止されないような状況が續くのではないかというおそれがあるから、たとえこれが來年のことでありましようとも、またかりに事態があなた方の計畫通り石炭が出てまいりまして、いよいよ販賣業者を指定して、指定販賣人の申請ということが、ちようどいい時期だと思われる時期に到達した場合でも、その時に至りまして卒然とやるのではなくて、今から御計畫になつておらなければならぬ。既にそういうような具體的な御計畫があろうかと思うのでありますが、この點につきましてのお考えもついでに伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=92
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093・平井富三郎
○平井政府委員 公團の廢止後の構想につきましては、さいわい増産の問題が豫期通りに進捗してまいりました場合に、直ちに公團全部を廢止いたしまして、たとえば統制を行うにしても、切符制のみに依存するという方法によるか、あるいは先ほど申し上げましたような、公團の業務の範圍を、山から石炭を一元的に買い取るという仕事に壓縮してしまうかというような問題につきましても、その需要の状況とも十分にらみ合わして考える必要があるじやないかと考えております。それから指定販賣人の制度につきましても、これはただいまの現状に照らし合せて、現在としてはかえつて不適當ではないかという結論でございますので、私どもといたしまては公團の期間が一年というふうに限定されております關係上、その後の機構として指定販賣人制度を設けるとすれば、いかなる範圍にいかなる方法で設けていくかというような點につきましても、公團の廢止直前に至つてこれを決するということでなく、相當事前に、前もつて研究を進めてまいりたいというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=93
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094・木村公平
○木村(公)委員 先ほど來石油公團における販賣業者の指定と、石炭公團における販賣業者の指定との相違というものは、大體政府委員の説明によつて了承いたしたのでありますが、そのお話の中に、石炭は消費の面から見ていわゆる幅が廣いのだ、從つて萬一指定販賣人制度を設けるとすると、少數の者が利益を獨占すをのではないか。これは今日の社會の考え方からいつてもおもしろくない。そういうような論據から石炭公團においては販賣業者の指定をしないということも論據の一つになつておるように伺つたのでありますが、その點はただいまだめを押すようでありますが、あなた方の考えによりますければ、石炭は消費の幅が廣いから、萬一販賣指定業者を指定するならば、いわゆる利益を獨占して少數者の横暴に陷る弊があるというお考えを今なおおもちでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=94
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095・平井富三郎
○平井政府委員 幅が廣いと申し上げましたのは、非常に相手方消費者の數が多い。それに對しまして扱い量が現在では非常に少いという意味でございます。それから獨占的利益云々ということにつきましては、もしこれを少數の指定販賣人制度をもつて運用しますれば、現在の地方石炭、あるいはその一つ前の制度であります縣單位の地方石炭會社というものをつくつておりましたが、そういうような制度に大體實質的に類似してまいる。これは現在のアンチ・トラストの考えからいつても不適當なものができはしないか。むしろ指定販賣人制度というものを認めます場合には、ある程度の業務を扱いますと同時に、ある程度の數の指定販賣人を認めるという際に、これを指定した方が適當ではないか。特に石炭關係の販賣業者が、現在としては相當數減つておりますとはいえ、販賣業で整理されましたものが一萬名を超えておるような状態でありますから、そういう點を十分考慮し得る時期においてこれを決する。こう考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=95
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096・木村公平
○木村(公)委員 最後に、これは私民間人として伺つておきたいのでありますが、政府の考え方によりますれば、長い間の經驗、その民間側にあります長い間の經驗というものを今こそ活かす時期だと私ども考えておるのでありますが、これはあらゆる部面においてそう言われておることでありますし、大臣の説明中にもいろいろそれと同じ考え方のことが申されておるのでありますが、ひとり石炭公團においては長い間の經驗者というのがまつたく締め出されておるということが結論的になるのでありまして、いわゆる業界エキスパートなどの從來の手腕力量というものが、少しも買われていない。他のあらゆる面においては、それを買わなければならないという状況にあるときに、特にこれに締め出しを食わされるというような考え方は、今の國の考え方と背馳するものではないかと私ども考えるのでありますが、この點についても少し伺つておきたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=96
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097・平井富三郎
○平井政府委員 ただいまの地方石炭の業務の執行ぶりにつきまして、私ども決して滿足しておるわけではありませんし、あるいはサービスが惡い、あるいはやみがあるというようなことも再三聞き及んでおるわけであります。元來地方石炭の組成員というものは、大體において石炭の販賣業者オンリーと申してよいくらいに、販賣業者から成つておるわけであります。これが數年來統制會社形態でまいりました關係で、いわゆる官僚化した、あるいは非常に不親切になつたという點はございますが、やはり販賣業者としての技術經驗というものはもつておるものであります。ただそれのみに今後の公團の組成員を限定するというようなこともいかがと思いますので、この公團の設置にあたりましてはやはり人事の刷新、その他監査制度の併用ともちよりまして、十分それらの點は考慮してまいりたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=97
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098・木村公平
○木村(公)委員 大體私の質疑は終りました。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=98
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099・細田綱吉
○細田(綱)委員 安本の中にこの公團の運營の委員會をもつということですが、安本としてはどういうふうな公團と結びつけた委員會をもつことになつておるか、その點をひとつ伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=99
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100・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 お答え申し上げます。公團法によりますと、公團の計畫その他相互的事項は、安本の方で監督をいたすことになつておりますので、安定本部といたしましても、この公團法の御協贊を經ましたならば一つの部、たとえば監査部というようなものをつくりまして、そこで公團の監査、適切に配給され公團の目的を達成するように監査をしてまいりたい、こういうふうに思つております。その監査部に昨日來商工大臣のお話がありましたように、消費者その他の關係者もおはいりになりました配給監査委員會、こういうふうなものを設けまして、その監査委員會を中心としまして、その監査委員會の意向を十分伺いまして、各公團が適切に運用されるように監査、監督をしてまいりたい、こういうふうに思つております。なお監事につきましても、先ほどお話がありましたように、監事のもとに、各公團にもできますが、監査部もできますので、それらともにらみ合わせて連絡をいたしまして、十分監査を進めるようにしてまいりたい。なお地方にも安定本部の機構を必要によつて設けたいと思いますので、地方にも設けました際には、これも商工大臣からお話がありましたように、地方にも配給監査委員會というようなものを設けまして、それを中心にして公團の事務が圓滑に運營されるように監査、監督をしてまいりたい、こういうふうに存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=100
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101・細田綱吉
○細田(綱)委員 そうするとただいま監査委員會のことを伺つたのですが、いわゆる運營委員會というものを安定本部の中にもたれるのであるか。それから今一つその委員會は公團別にもたれるのか。あるいは共通にもたれるのか。かりに共通にもつとすると、はたしてこれはできるかどうか。隨分形のかわつた、石炭と石油、あるいは貿易、全然違つた方面の仕事をするので、これは共通だとすると、私は實際これは仕事のできない一つの名擧職的存在になると思うのです。これをどういうふうにお考えになつておるのか、その點をひとつ伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=101
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102・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 委員會を公團別にと言いますか、結局業種別に設けるか、あるいは一般的に設けるかということにつきましては、ただいま研究をいたしておるのでございまして、この法案の協贊を得ますまでには、當然これは具體案を進めてまいりたいと思つておりますが、あまり公團別につくつて仕事をやつていくより、一應できるだけ包括的な委員會をつくりまして、その中で必要があればそれぞれの部會を設ける。たとえば燃料でも、石炭のごとき固體の燃料と、石油等の液體で違います。あるいは貿易も違いますので、部會制を設けていつたらどうか、こういうように存じております。從いまして一應委員會としましては包括的な委員會をつくりまして、そこに各關係方面の方のおいでを願いまして、それぞれ部會を設けて業體に基づく特殊なことを審議していく。同時に公團全體に通ずる總括的な事項もございますので、それらは一つ全體の會議で審議していく、こういうようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=102
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103・細田綱吉
○細田(綱)委員 運營委員會はどうなりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=103
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104・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 名前は實はつけておりませんけれども、要するに公團の行う配給計畫を樹立する場合の點もございますし、さらに公團自身の運營なり、あるいはその配給が適正かどうか、配給監視の問題もありますが、それらを含めまして監査部で監督いたします場合の一つの機關として、何らかの委員會を設けたいと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=104
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105・岡部得三
○岡部委員長 加藤委員の質疑を許します。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=105
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106・加藤一雄
○加藤(一)委員 鑛山局の方に伺います。私も二十五點ばかりもつておつたのですが、病氣をしまして出席できませんでしたので、三點ばかりお伺ひいたしたいと思います。現在の石油の價格はどのように相なつておりますか。價格の形成體系と申しますか、その點をお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=106
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107・石田磊
○石田(磊)政府委員 大體石油から精製、それから販賣までの各段階におきまして、物價廳の方で價格をきめまして、それによつてやつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=107
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108・加藤一雄
○加藤(一)委員 輸入の石油と國内産油の石油との價格の調整は、どのようにやつておりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=108
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109・石田磊
○石田(磊)政府委員 石油配給會社におきましてプールでやつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=109
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110・加藤一雄
○加藤(一)委員 プールをやつておいでになりますことは結構なことであると思いますが、將來外油がどんどん日本にはいつてくることになりました場合の、日本の國内産油というものの關係はいかようになつておりますか。この點のお見透しを價格的に承つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=110
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111・石田磊
○石田(磊)政府委員 將來原油竝びに加工油の輸入がどういうようになりますか、殊に爲替の關係がどういうようになりますか、はつきりわからぬことではありますが、非常にむずかしい場合が豫想されるのでありまして、われわれといたしましては關係方面と打合わせて、できるだけ國産原油につきましてはそのコストを引下げるような努力をしていかなければならぬ。かように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=111
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112・加藤一雄
○加藤(一)委員 今のお話の最後の點が非常に重要であります。國産原油の價格の引下げをやることはよろしいと私は思いますが、それは一體今の國内情勢、及び將來外國の原油及び製品が來る段階になりますときに、できますかできませんか、そのお見透しいかがでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=112
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113・石田磊
○石田(磊)政府委員 實ははつきりした見透しもつきかねるのでありますが、いずれ外油が今よりか多量にはいつてくるということは、當然豫想できることでありまして、一日も早くと申しましても、現状におきましては非常に困難な條件が多いのでございますが、コストの切下げを極力はかつていかなければならぬ、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=113
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114・加藤一雄
○加藤(一)委員 その點まだはつきりわかりません、こういうように考えられませんか。今のような状況でまいりまして、外國の原油なり外國の石油製品がどんどん日本にはいるような時期になりますれば、日本の國内の石油業というものは成り立たぬとお考えになられませんか。この點はいかがでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=114
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115・石田磊
○石田(磊)政府委員 何と申しますか、外國からはいつてくる油、これは日本において需要いたしますすべての種類の油を入れるということは、輸送の關係等によりまして、必ずしもそういうふうになるとは考えておりません。殊に數百種類の石油製品を需要しておる現状におきましては、十分國産品の食いこみと申しますか、それによつて需要を賄わなければならぬ部面が相當あると思つておりますので、少くともその面におきましては、國内の油關係業者も立ち行くことと思います。その他の外國品とまともからとつ組むについては、これは極力コストを切下げていくよりかしようがなかろう。さように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=115
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116・加藤一雄
○加藤(一)委員 非常に押し問答になつて恐縮ですが、原料——外國の製品と日本の製品で、一體日本の製品でなければならぬという石油がありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=116
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117・石田磊
○石田(磊)政府委員 これは業界の方もよくそういうことを申されておりますが、結局外國からはいる油の種類は、事實上限定されざるを得ぬ。從つてこれを使う場合に、たとえばガソリンとか重油のごとく、そのまま使えるものもあるわけでありますが、加工しなければならぬものがかなりの量ある。從つてそれによつて國内の業者が生き、かつまた國産原油をそういう方面にできるだけまわしていくというようなことで、相當生きていく途がある。かように考えております。結論といたしまして、この問題に對して政府は將來補助金のごときものはお出しにならぬ方針のように結論で承りますが、この點はいかがでしようか。山に對しましては……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=117
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118・石田磊
○石田(磊)政府委員 明年度の豫算におきまして、試掘に對しまして經費の半分を助成するというようなこになつております。その他につきましてはただいまのところ、補助金ということは考えておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=118
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119・加藤一雄
○加藤(一)委員 次に話をかえましてお伺いいたしますが、配給の機關の問題でございまするが、この點は今も配給業者の方から陳情を受けたばかりでございます。先般來この委員會でもお話があつたと心得ておりますが、もう一遍念を押してもらいたいという話でございますからして、お答えいただきたいと思います。お答えによりますれば農業會、水産會方面におきましては、縣單位のものは、設備をもつておりますものは認める。いわゆる共同購買というような線で認める。このようなお答えがあつたように承つておりまするが、さよういたしますれば現状通りであります。上の一番の注水塔が拔けただけであります。配給業者といたしましては、これははなはだ迷惑至極と自分も考えております。そもそもこれが起りましたのは最近の年代でありまして、それ以前は承りますれば、日本石油配給業者が配給をしておつたわけであります。この際日本は完全に負けて、諸制度を更新せなければならぬような時期になつておりますが、配給公團のごとく最も強力なるものをおつくりになる時勢ともなつた次第でございますれば、さような意味合で全部の點をよく御認識いただきまして、一本に配給ができて、計畫も一本で監督も一本、このように私は諸制度を御改革が願いたいと思います。現状でございますから、經濟安定本部がそのことを總括的にやるということは、時勢の關係でいたし方ないと思いますが、農林省が石油配給を擔當するとか、商工省がやるとかいうようなことはやめていただきまして、あとの關係は全部商工省がおもちになる。その點でずつと末端の配給を、從來やつておつたものを全部もつていく、このようにやりませんと、なかなか石油のごとく複雜な問題の配給はうまくいかぬと思いますが、もう一度この點を重ねて伺つておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=119
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120・石田磊
○石田(磊)政府委員 石油につきましは、明年度から規制が嚴重に施行されまして、各需要者ごとに切符を出し、それと引換えに現物を配給するという制度になるわけであります。從つてただいまの御質問にございました農業會、あるいは水産會關係の油の配給については、今までいろいろ經緯はございますが、この際におきまして需要者が農業會あるいは水産會に委託いたしまして、油の引取りをするということになりますれば、これはやはりそれに應じて油を減らさなければならぬのではあるまいか。かように考えております。但しそれにしても從來農業會あるいは水産會が扱います油、これは重油だけでございますが、これについては取扱い數量の制限もいたしたのでございまして、その範圍内において共同購入というか、そういうものを認めていくほかない。さように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=120
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121・加藤一雄
○加藤(一)委員 私はまた鑛山局長に異なことを承りますが、この際昔七萬三千キロのあの農業方面あるいは水産方面にやつた油、あれをお認めになつていらつしやるのですか。この期に及んであの七萬三千キロを……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=121
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122・石田磊
○石田(磊)政府委員 現在までのわくの中で續いてきております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=122
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123・加藤一雄
○加藤(一)委員 安定本部なり商工省はこの問題に對して、何らかの對策はとれぬものでございますか。この七萬三千キロに對して……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=123
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124・石田磊
○石田(磊)政府委員 この問題はお説のごとく、從來特約店というか販賣業者を通じて配給できるようになれば、一番すつきりした形になるわけでありますが、現に農業會あるいは水産會も、設備をもたないために、販賣店に委託して油を流すというような實例もあり、できればお説のごとくいたしたいものと考えますが、現下の情勢上、直ちにそれを實施するというわけにもなかなかまいらぬようないろいろな事情がございまして、ただいま申し上げたようなことで落着かざるを得ないのではないか。かように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=124
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125・加藤一雄
○加藤(一)委員 そこでこの七萬三千キロの中には、機械油はございませんでしような。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=125
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126・石田磊
○石田(磊)政府委員 たしか重油だけと承知しております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=126
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127・加藤一雄
○加藤(一)委員 機械油がございませんので、なかなかうまくまわらない。漁業でも農村でもこんなかたわのものを、みすみす惡いとわかつておつて、がんばる農林省もがんばられる商工省も、この點少々おかしいと思いますが、いかがでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=127
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128・石田磊
○石田(磊)政府委員 なおこの問題につきましては農林省側と十分話合いまして、適當な解決をいたしたい。かように考えます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=128
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129・加藤一雄
○加藤(一)委員 そこで現在水産農林關係で、配給業者の方へ委託販賣をさせておる縣名がわかりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=129
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130・石田磊
○石田(磊)政府委員 大體中水關係で配給を委託しておる縣は、ただいまの調べでは北海道、青森、茨城、愛知、福井、滋賀、和歌山、長崎、鹿兒島、徳島、愛媛、以上十一縣、それから農業會關係でやつておりますのが、新潟、青森、岐阜、富山、福井、奈良、長崎、宮崎、茨城、以上九縣というふうになつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=130
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131・加藤一雄
○加藤(一)委員 その他の縣は全部水産關係、農業關係で施設をもつて自分で配給をいたしておる、こう了解いたしてよろしうございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=131
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132・石田磊
○石田(磊)政府委員 大體さようでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=132
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133・加藤一雄
○加藤(一)委員 その次、もう二點伺つておきます。公團と生産の關係をちよつと承りたいのであります。公團組織が今度できるように相なりましたが、生産が盛んになりませんと、公團ができましてもあぶはちとらずということになつてまいります。公團の組織に並行いたしまして、稀少なる資材で最大の生産をあげる政府の御見解はどのようにやつておいでになりますか。また御施策はどのように手をお打ちになるお考えでございますか。その點を伺いたいと思います。たくさん物資がございますからひとつ物資別に重要物資だけをお願いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=133
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134・石田磊
○石田(磊)政府委員 それでは石油の方の關係についてお答えいたします。お説のごとく生産が起らなくては、配給面のみに力を入れてもいたし方ない次第でございまして、並行いたしまして生産増強のあらゆる手を打たなければならぬ次第でございます。石油につきましては先ほどちよつと申し上げましたごとく、試掘井をできるだけ多くやりまして、この經費の半額を助成していく。たしか明年度の計畫では、數字はちよつと忘れましたが、百七十本くらいの豫定になつておつたかと記憶しております。實は穴をなんぼ掘りましても、むやみやたらに掘つても出るわけではないのでありまして、そのために實はG・H・Qの方の支援もあり、先般鑛山局内に非公式ではございますが、石油開發促進委員會というものを設けまして、關係各方面の權威者を委員として御委囑申し上げまして、大體明年度以降どこの地點に試掘井を掘つていくか、またどの井戸から着手するかというようなことを、いろいろ資材あるいは人の點等とにらみ合わせまして、優先順位をきめて、これを實施するというようなことにいたしております。何と申しましても油の出る井戸がよけいにならなければ、これは生産増強にならぬのでありますから、その試掘には特に力を添えてまいりました次第でもあり、また今後一層努力してまいりたい、かように考えております。と同時に、なおその前提といたしまして、地質の調査を組織的にやつていく。石炭の方について炭田調査がありますごとく、油田の地質等につきましても、一層精細な調査をやつていきたい。これはすぐあすの日にも効果を現わすというものではございませんが、今後長きにわたるための基礎的の調査を行いたいと思います。その他鑿井のための資材につきましては、關係方面と連絡しまして、できるだけの確保をはかる。さらに從事員の勞務物資あるいは勞務加配等についても、相當關係方面の御協力を得ております。また資金的の面におきましても、たとえば帝石の資金については、復興金融金庫から特に運轉資金竝びに建設資金の借入れをするというようなことで、できるだけの援助をいたしまして、生産が増進するようにはかつていきたいとかように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=134
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135・加藤一雄
○加藤(一)委員 石炭はどうですか。簡單で結構です。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=135
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136・平井富三郎
○平井政府委員 石炭の増産對策につきましては、今議會におきましても、累次大臣その他から御説明申し上げた點でありますが、増産の基礎的な條件として、最も現在努力をいたさなければならぬのは、資材の投入と勞務問題の解決だらうと思います。これに附隨しまして資金の問題等も、もちろんあるわけでありますが、根本の問題は資材の整備とそれによる炭鑛の能力の増強と、勞務の解決によりまする能率の増進、この二つの問題が一番重要な點であろうと思います。資材の問題については、これも從來しばしば政府委員から御説明申し上げておるように、現在の物資の配當計畫におきまして、石炭の資材を最優先に現在取扱つております。この資材の取得につきまして、配當計畫において最優先に取扱いますと同時に、その現物の取得につきまして、あるいは進駐軍の取得物資と競合するような場合におきましても、その都度やはり進駐軍の方にお願いをいたしまして、石炭の分を最優先にとつておるというような状況でありまして、最近計畫面におきましても、あるいは現物の取得面におきましても、ようやく軌道に乘りつつあるわけでありまして、今後この方面を一層強めてまいりたい。こういうふうに考えております。この資材の取得の仕方についても、從來のいわゆるる炭鑛とその資材の供給者のみで話合いのつきません問題につきましては、國家が必要な強力な手段に訴えても、これを取得せしめるというように考えております。勞務の問題につきましては、これは勞働者、經營者の圓滿な話合いのもとに、經營を進めていくということが、根本の問題になるのでありますが、過般の賃上げの問題につきましても、勞資双方非常な誠意をもつてこれが妥結を見るに至りまして、經營者、勞働者ともに三千萬トン達成に邁進するというような態勢になりまして、基礎的な固めはここででき上がりつつある状況であります。今後も勞務者用の食糧の問題であるとか、あるいは副食物の問題であるとか、住宅の問題であるとか、それらに對して十分の手をつくしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=136
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137・加藤一雄
○加藤(一)委員 安定本部にちよつとお伺いいたしますが、今の御答辯によれば、現状は石炭に對しまする生産關係物資は優先的に配給する、こういう話であります。一つ藥品に例をとりましよう。豫算委員會のときもこの點は伺つたのですが、政府の御答辯がはつきりいたしません。要するに炭鑛に働く方に藥品を優先的に配給する、こうなりますれば、現状からもつていたしますれば、一般の國民が藥品に飢えておるから、その面が非常に少くなると思う。さようになりますれば勞働豫備軍というものの體質が低下いたしまして、三千萬トン掘らうといつたところで、國民の間から、勞働能力がございませんければ、これも炭鑛に人間を運ぶことができません。そこで私は配給公團と政府との關係はどうかと、こう聽いておるわけです。要するに石炭第一主義ということはよくわかります。わかりますからもつと政府は大きく眼を開かれまして、藥品なら藥品というものを、炭鑛の背後におる國民の休養を十分にやらすという意味合で、どんどん生産しておやりになりませんと、戰時中に行いました産業重點主義と同じになりまして、どこもかたわになつて經濟復興というものは、なかなか政府が今日お考えになつておるような工合にはいかぬと私は思う。もう少し大きな意味合で石炭重點主義は石炭重點主義でよろしうございますから、國民の病氣で死ぬる者を殺さぬようにする藥品をどんどん生産するような意味合で生産増強を願わぬと困る。こういふ點につきまして安定本部はいかようなお考えをもち、またどのような政策を實行せられんとしておりますか。ごく簡單でよろしうございますから、附け加えて御答辯を願つておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=137
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138・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 お答え申し上げます。安定本部におきましては、石炭鐵鋼その他のいわゆる重要指定生産資材の需給計畫をいたしております。先ほど政府委員からお話がありましたように、石炭用の鐵鋼でありますとか、その他のものを優先確保をいたしております。お尋ねは藥品でございまして、藥品につきましてはただいままでのところ、他の指定生産資材のような、はつきりこれだけの供給、これだけの需要と、いわゆる需給計畫はできておらないのでございますが、炭鑛にもお話がありましたように、相當の藥品を要します。たとえばD・D・Tが要るというような話もございますので、それらの確保も考えているのでございますが、藥品のできない理由もいろいろございますが、やはりこれが石炭の問題に、内情を申しますとなつております。結局石炭の供給が十分ないために藥品ができないというふうな關係になつておりますが、お話のように炭鑛にも要りますし、一般國民にも要る、非常に重要なものでございますから、藥品その他の生活物資等もございますが、それらのものの需給計畫、いわゆる最低限の供給を確保する計畫をつくりまして、できるだけ確保いたしたいというふうに存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=138
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139・加藤一雄
○加藤(一)委員 今のお話で私は一例として藥品を示しただけでありまして、あとに紙の問題もいろいろたくさんございますが、二月三月の配給計畫を見まして、暖房用にたくさん出ているのを見、あるいは鐵道が各ブランチで石炭をどんどんたいているということを見ましたときに國民は唖然たるものがあることは十分御承知だろうと思う。それで藥品の方に石炭の配給がない、こういう御答辯では納得いたしません。これはあなた方地方をおまわりになりまして、よく見ていただきたいと思う。どこにどういうむだな石炭をたいているかくらいのことはわかると思う。寒いから暖房用で配給せられることはわかりますけれども、どうせ國民も今日炭もなく薪もなくて困りきつている現情でありますから、政府關係機關のみが石炭をたいて暖房で暖まるという手はないと思う。二月、三月の配給計畫を御覽になりますと、暖房用というものははつきり出ております。話をかえまして、もう一點だけ伺わさしていただきます。一例を石油にとりますれば、石油は今日日本が生産いたしましても、足らぬことはわかつておりまするから、現状におきましては、見返物資が要ると思います。見返物資の御計畫が今日ございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=139
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140・永井幸太郎
○永井政府委員 今のお尋ねは、國民一同が非常に心配しておるところでございますが、殊に當局者におきましては、日夜苦心しております。それにつきましては、あらゆる輸出産業に從事せられる方と協議をいたしまして、でき得る限りの輸出物資の蒐集、生産を奬勵いたしておるのでありますけれども、御承知のように生糸の賣れ行きが、ナイロンその他の關係で思わしくまいりませんというような關係で、非常に輸入のバランスがとれておりません。石油はさておき、食糧を輸入するという見返りも不十分である。去年の輸入の全體の六割が食糧でありまして、今年もそれ以上の食糧輸入が必要だ。その上もつとも重要な石油の輸入が必要だというのでありますけれども、現状におきましては、見返物資を出しまして、支拂能力をもつている相手の買先が、ほとんどアメリカというような状況でありまして、從來日本の生産物を買つてくれておりました生糸以外の生産物の上得意の東亞、南洋諸國は戰亂の結果、經濟状態も不安定でありますし、支拂能力がありませんので、そういう見返品の製造がかりにできましても、なかなか輸出するのに困難な状態であります。しかしだんだんと總司令部とも相談いたしまして、東亞諸國とも米國商事會社を經ずに、東亞諸國と個別に、向うの物資であつて、わが國國民の最低生活に必要な物資と、こちらの生産品とをバーター式に交換するというような途をも開きたいと思つておりまして、最近フイリピンとも多少の交渉を始めております。交渉が妥結せられたかのごとく傳えられておりますけれども、まだ妥結には至つておりませんけれども、それの手初めとしてフイリピンにそういう問題が起つたのであります。その他の東洋諸國は、日本が最も必要とするような基礎的生産資材は、支那のごときもどうにかしてドル資金をもつてきて買うてくれるのでありますが、こちらから賣りたいというような自轉車とか、電球だとか、雜貨だとか、しいたけだとか、そういつたものをなかなか買うだけのドル資金がありませんので、非常にそのところがむずかしいのであります。しかしどうしても輸出産業の見返物資をこしらえませねば、いつまでも食糧、石油その他の必需品をアメリカの好意によつてもつてきていただくということはやつていけぬことでありますから、極力輸出産業促進ということの方へ、官民ともに力を向けていただきましてやらなければならぬと思つております。そういうような状態でありますから、はつきりこれが見返物資になるということは申し上げかねます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=140
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141・加藤一雄
○加藤(一)委員 結論としてちよつと伺いますが、これは政務次官にひとつよく聽いておいていただきたいと思います。今の政府委員の御答辯で、私は大變滿足いたします。そこで現状日本の國民の生活を保持するということは、日本は非常に物資が欠乏いたしておる國でありますから、輸入にまたなければならぬと思います。見返物資がございませんと、現状日本の國民は干上るということでありますから、この點を國民に向つて政府は大々的に宣傳と申しますか、よく納得いくように御運動を願いまして、國民の心持をこの點から振い起させるようにおはかりいただきたいと私は思つております。これがございませんと私は日本民族は死ぬと思います。特にこの點だけは結論としてお願いいたしておきます。
もう一點は石油配給諸社の問題でございますが、ただいまの政府の御答辯ではまだ意に滿たぬところがございます。できる限り一本に配給ができますように、配給諸社の方面から、水産關係、農林關係の諸設備を正當なる價格で買うという運動と申しますか、行動がございました場合には、政府は格段の御配慮いただきまして、その方面に推進ができますようにお心掛いただきたい。こう考えております。以上をもつて私の質問を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=141
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142・岡部得三
○岡部委員長 皆樣にお諮りいたします。各法案に對する質疑は大體出盡したようでありますから、一應本日をもつて質疑を打切りたいと存じます。なお緊急やむを得ざる質疑がある場合には、討論の前に適宜委員長においてこれを許可いたしたいと思いますが、いかがでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=142
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143・岡部得三
○岡部委員長 それではこれをもつて一應質疑を打切ります。明日は午前十時より開會いたし、でき得るならば直ちに討論、採決を行いたいと思いますから、各黨にお歸りになつてそれぞれ態度を決定していただきたいと思ます。なお多數御出席あらんことを切望いたします。本日はこれにて散會いたします。
午後四時三十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00419470326&spkNum=143
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