1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
石油配給公團法案(政府提出)(第六一號)
配炭公團法案(政府提出)(第六二號)
産業復興公團法案(政府提出)(第六三號)
貿易公團法案(政府提出)(第六四號)
價格調整公團法案(政府提出)(第六五號)
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昭和二十二年三月二十七日(木曜日)午前十時五十八分開議
出席委員
委員長 岡部得三君
理事 木村公平君 理事 小野瀬忠兵衞君
理事 松本七郎君
内海安吉君 庄司一郎君
藥師神岩太郎君 寺田榮吉君
鈴木周次郎君 小笹耕作君
稻村順三君 細田綱吉君
松尾トシ君 竹山祐太郎君
豊澤豊雄君 増井慶太郎君
三月二十六日委員香川兼吉君辭任につき、その補闕として豊澤豊雄君を議長において選定した。
三月二十七日委員鈴木周次郎君舟崎由之君及び山村新治郎君辭任につきその補闕として九鬼紋十郎君小笹耕作君及び大井直之助君を議長において選定した。
同日委員加藤一雄君及び九鬼紋十郎君辭任につきその補闕として内海安吉君及び鈴木周次郎君を議長において選定した。
三月二十七日理事山村新治郎君の補闕として木村公平君が理事に當選した。
出席國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
内閣事務官 椙杜正太郎君
物價廳次長 工藤昭四郎君
内閣事務官 小笠乞韶君
内閣事務官 窪谷直光君
商工政務次官 保利茂君
商工事務官 吉田悌二郎君
商工事務官 三木秋義君
商工事務官 石田磊君
商工事務官 松田太郎君
商工事務官 岡村武君
商工事務官 平井富三郎君
貿易廳長官 永井幸太郎君
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本日の會議に付した議案
石油配給公團法案(政府提出)
配炭公團法案(政府提出)
産業復興公團法案(政府提出)
貿易公團法案(政府提出)
價格調整公團法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=0
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001・岡部得三
○岡部委員長 開會いたします。昨日質疑を一應打切りましたが、木村君の緊急質疑を許したいと思います。木村君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=1
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002・木村公平
○木村(公)委員 昨日配炭公團につきまして、政府委員からきわめて御懇篤なる答辯がありまして、おおよそ了承いたしたのでありますが、二、三の點についてなお疑念の存すとところもありますので、その點を一つ釋然たらしめたいと思うのであります。政府の御答辯によりますれば、配炭公團において指定販賣制をとらないゆえのものは、一つは量が少いために、業者をかりに指定して經營が成り立たないのじやないかということも、答辯の中にございますが、さらにまた第二の點におきましては、現在の縣炭に近いきわめて少數の指定業者であるから、これを指定したならば結局獨占企業となるおそれすらあるのじやないかというような御答辯も見受けられたのであります。從つて結論的には、これは私も申し上げたのでありますが、出炭の増加、すなわち政府の申しますところのおよそ三千萬トンの出炭量が計晝通り出てまいるような時期を、おそらく政府は適當な時期とおつしやるのだらうと思うのでありますが、かような適當の時期において業者の復活を考慮しても差支えないということが御答辯の中にあつたのであります。さらに進みまして、公團の荷扱店として業者を活用するということは決して無駄ではない。われわれも概ね同感であるというような御趣旨をも伺いまして、私どもは滿足いたしますが、この問題を私どもが取上げましたのは、實は釋迦に説法であるかも存じませんが、わが國の人口からパーセンテージをとりますと、實に中小工業者の比率は全人口からみまして、三二%に及んでおることは政府の御承知の通りであります。いわゆる勞働組合に從事しておるところの勞働者諸君の數は、九%に足りないといわれておるのでありますが、それに比較いたしますれば中小工業者の數は實に三二%に達しておる。そうしてその中小工業者は、長い長い戰爭の間に御承知の通りあらゆる壓迫を受け、ほとんど言語に絶するところの犧牲を強いられてまいつたのであります。しかして現在においてもそれがためにあるいは失業者となり、あるいはそれがためにきわめて危險なる思想を抱懷するという見方も一部においてはあり得るのであります。されば私どもは國家的見地からも、中小工業者の復活育成ということは、各黨各派の黨派を超越いたしました重大問題でなければ相ならないと考えるのであります。たまたま配炭公團の法案が出まして、私どもこれを拜見いたしまするや、いわゆる中小工業者の育成ということは、政府がしばしば天下に聲明はいたしておるのでありますけれども、現實の問題となりますれば、配炭公團法案なんかに盛られておりまするところのイデオロギーから考えますれば、聲を大にして育成を叫びながら、現實の問題としては少しもこれを取上げておらない。昨日來私が申しまするのも、その點がどうしても納得いかないからであります。私どもはこの中小工業育成の見地からも、速やかに石油公團同樣、配炭公團においても販賣業者の指定をなすべきではないか、論理的に考えましても、これは私は最も合理的ではないかと思うのであります。政府はいろいろの見地からいろいろな御答辯はなし得るのでありますけれども、問題は私の質問をいかに巧みに避けるかという形式的な答辯であつてはならない。それでは私どもは滿足できない。ほんとうに中小工業者の育成の見地からこの問題をどう見るかという、割つた腹をひとつこの際伺つておきたいのであります。それから冒頭に申しましたように、昨日の政府委員の御答辯にありますように、數量が少いために業者を指定しても經營が成立たないという仰せがあつたのでありますけれども、現在の地方石炭の扱い量は、出炭總量の約二〇%、二割を占めておりまして、およそ五百トンと想像せられるのでありますが、これを年間二萬を扱い得る店があるといたしますれば、全國二百五十軒の業者を指定することができる。二百五十軒の業者の扱い量に應じて經營が成立ちますがごとく組織をつくるでありましようから、いわゆる引合わないということは、政府からお考えになりますればいろいろの理窟も立ちましようけれども、それは私はあり得ないのではないか。それから縣炭に近いきわきて少數の指定業者しかできないのであるから、いわゆる獨占企業となるというような御答辯もあつたのでありますけれども、かりに一軒について二萬トン扱わせましても二百五十軒である。しからばこれを獨占企業ということは、私どもの觀念からいたしますれば當らないと思うのであります。はたしてしからば政府の昨日の御答辯はことごとく反駁の材料となり、ことごとく納得がいかないとも言い得るのでありますが、この點につきましてもう一度御答辯を願えれば幸いだと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=2
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003・平井富三郎
○平井政府委員 現在の地方石炭の扱い量は、仰せの通り大體二割程度であります。從いまして二百萬トン程度の石炭を月に扱いますれば、大體四十萬トン程度は地方石炭が扱つている石炭であります。ただ普通の石油その他の商品と異なりまして、その四十萬トンのうち大部分と申し上げてよいかも知れませんが、相當の數量が山元發送の際に、既に何々工場向けということで貨車積みになるわけであります。從つて一般のいわゆる暖厨房用のものでありますと、ストツク屋に入れまして、そうしてそれをさらに家庭に配る、あるいは小さい工場に配るというような數量は比較的少いわけであります。從つてそういう意味からいつて、現在の配炭量がさらに増加いたしませんと、いわゆる指定販賣人としてのほんとうのサービスを發揮し得る商賣の分野というものは比較的少いので、既に山元發送のときに何々工場向けということがきまる部分が相當多くあるわけであります。從いましてそういう點からいいまして、ただいまの二割程度の扱い量では、なお不足をするのではないかというふうな意味もあるわけであります。それから指定販賣店を全國について二百五十軒程度のものの指定というお言葉でありますが、石炭の商賣に從事しております者の數が、先ほど申し上げましたように非常に多くございますので、できればもう少し廣く從事できる時期に一緒にやつた方が適正なやり方もできるのではなかろうか、選考の範圍が廣くできるのではないかというふうに考えているわけであります。中小商業者の育成につきましては、これはこの議會に提案されようとしておりますアンチ、トラスト法の精神からいいましても、自由競爭ということが大體本則になるわけであります。從つて物資の流れにつきましても、一手買取機關というものは、ほんとうに過度的な例外機構でございますので、消費者があるいは生産者から直接買うこともよろしゆうございましようし、あるいは問屋を通じて買うということも、消費者の選擇に任すのがほんとうの姿である、こういうふうに考えられるのであります。從いましてそういう時期あるいはそれに近いような時期におきまして、なるべくそれに近い機構に早くもつていきたいというふうに考えているわけであります。それで現在の販賣業者は、轉廢業の結果地方石炭に吸收された業者もあり、あるいは地方石炭にはいらずにおる業者の數も相當あるわけであります。これを一緒に公正に處理し得る時期にやつた方が適當ではないか。それからもう一つは、この公團發足の際に、指定販賣人制度をおくとすれば、現在地方石炭のもつております全國販賣施設というようなものは、これを指定販賣人の數に應じて分割していく、その指定を早急の間にそういう仕事をやつていくということが、かえつてまた公團の設立が遲れるということにも相なりますし、技術的な面から言いましても、今直ちに公團の發足にあたつて指定販賣人制度をとるという點は、過渡的な配給の混亂状況もあるいは豫想されるのではないかという二つの理由から、この際といたしましては、一應現機構を吸收した形でまいりますが、今申し上げましたアンチ・トラストの精神及び制度が過渡的であるという點からいきまして、できるだけ早く本筋に近い機構にもつていきたい。そのための準備は公團の終了時期一年を待たずに、早くどうもつていくかという點を計畫的に研究してまいりたい。こういうふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=3
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004・木村公平
○木村(公)委員 ただいまきわめて適切な御答辯をいただきまして滿足いたしますが、さよういたしますと、お言葉の中に結局出炭が増加すれば、適當な時期に荷扱業者というものを認めるということについてはやぶさかではない。ただ問題は時期であつて、必ずしも一年ということでなくても、その以前にもかような時期が來ることは、政府としても希望するところであるという結論が推測されるのでありますが、さようなことを前提といたしますならば、たとえばそういういわゆる適當な時期が近き將來にまいりましたような場合には、あるいはその指定に先だちまして、この公團の荷扱店として業者を活用することを考慮しておるというお言葉があるのでありますから、公團の荷扱店として舊業者の活用面を考えるためには、公團に對してこれが活用方を政府が指示するというような御熱意がありまするや否や、この點もちよつと伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=4
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005・平井富三郎
○平井政府委員 ただいま申し上げましたように、指定販賣人制度というものを今早急の間にきめるという事情にございまするが、あるいは暖房炭でありますとか、小口なものに對する配給に對しまして荷扱店をもつということは、配給機構の問題でなくして、既にどうしたら消費者に對して便宜であるかという問題になりますので、その觀點から適當に處理し得られる問題だと考えております。從つて公團の幹部その他の任命ができまして、その運營におきまして、十分公團として考慮さるべき問題ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=5
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006・木村公平
○木村(公)委員 その際政府として公團に伺つて、業者の活用方を指示するというようなことができ得るのであるかということも伺つておきたいのでありますが、できればそういうことをおやりになる御意思ありや否やということもお聽きしておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=6
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007・平井富三郎
○平井政府委員 公團の幹部の任命につきまして、どういう方針をとるかについては、一應公團の意見も聽取いたしたいというように考えておりますが、今申し上げました暖房炭その他につきましては、あるいは荷扱所をもつということも便宜ではないかというふうに私ども考えておりますので、なるべくそういう御趣旨に副うよう考えていきたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=7
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008・木村公平
○木村(公)委員 わかりました。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=8
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009・岡部得三
○岡部委員長 松本君の緊急質疑を許します。松本君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=9
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010・松本七郎
○松本(七)委員 これはすべての公團に共通する點でありますが、この公團を政府自體の官廳機構といたしませんで、特にこういう新しい公法人である政府の代行機關としたのは、この公團が行政機關でなくて、配炭公團で言うならば石炭、コークス、亞炭の配給をなす現業機關であるためであろうと思います。それによつてその運營の自主性と活動の自由、闊達性を期しようとするのであろうと理解しておるのであります。ところがこの公團の職員を、むしろ行政機關の一般官吏と同樣にこれを官吏として、その身分あるいは經理等において、主務官廳あるいは大藏省なんかの直截的監督のもとにおかれることになつて、いわば舊來の封建的官僚組織の制約を受けて、公團の自主的活動が期待できなくなるおそれが多分にあるのぢやないかと思うのであります。そこでこの第十四條もそういうことを考慮しての但書であろうと思いますが、この運營にあたつては、一級官の官吏は役員だけにする、その他の職員はすべて政府の職員として、官吏に關する一般法令の適用はこれを受けしめないような特例を設けて、公團の自主的運營をはかる必要があると思うのであります。この但書によりましても「主務大臣が經濟安定本部總務長官の承認を受けて、給與、服務その他必要な事項に關して特例を定めたときには、これによるものとする」と書いてあるわけであります。こういう特例を設けておやりになるおつもりでありましようか。その點をはつきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=10
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011・石井光次郎
○石井國務大臣 ここに書いてありまする給與の問題は、前にも御説明申したと思いまするが、俸給が今まで關係しておりました日本石炭とか、石油配給會社とかいうようなものにおいては、役人よりも高い者が相當多いわけであります。そういう人たちの給與を今よりも下げないというためのこれは規定であります。今の一級官、二級官という待遇の問題は、別にその範圍においてはあまり考えておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=11
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012・松本七郎
○松本(七)委員 そうすると一級、二級の區別はしても、給與については必ず特例を設けて、今より惡くならないようにするという御意見でありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=12
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013・石井光次郎
○石井國務大臣 今より惡くならないようにするつもりであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=13
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014・松本七郎
○松本(七)委員 もう一點は、せんだつて松尾議員から御質問して、政府委員から御答辯があつたのですが、産業復興公團ができまして、これに切りかえられると、今までの炭鑛向けの物資の配給が混亂し、不圓滑に陷るのではないかという心配を非常にいたしておる向きが多いのであります。これは政府委員の御答辯では、形式的にだけ切りかえる、實質的には今まで通りやつていけるという御答辯でありましたが、この三千萬トン増産の目標にして進むための第四、四半期が、一番大切な時であると思うのであります。もしこの時減産でもするならば、とうていこの三千萬トンは望めないと思うのですが、この間の炭鑛向けの資材の配給については御確信がございますでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=14
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015・石井光次郎
○石井國務大臣 御承知のように、この第一、四半期をよくするためには、この期において十分な手配をしなければならないというので、何囘かいろいろな具體案を説明いたしたと思いますが鐵材等につきましても、どうも出まわりが少し遲れたのでありますが、今月中には大體豫定した數量がはいるような状態になつております。この次の四月からの四半期、またもう一つ次の第二、四半期、ここまでくらいで十分なと申しますか、三千萬トン増産のための月二百萬トンくらい出すような計算のための諸準備が、この半年ぐらいまでの間に完全に終らなければ、どうしても三千萬トンに達しない、再來年はそれよりも多く出す準備もできないのでありますから、いろいろ話合いをいたしておるのでありますが、資材その他の準備の方においては、大體遺漏なくやつていけるという見當がつきまして、これに向いまして私どもは十分の力添えをして、手配をいたしておるつもりであり、またできると思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=15
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016・平井富三郎
○平井政府委員 ただいまの炭鑛資材の取扱いにつきまして、施設組合のお話がちよつと出たように聞えるのでありますが、炭鑛の鑛材その他におきましては、炭鑛の共同購入機關でありまする炭鑛施設組合がありまして、ここで一括購入を相當の資材について行つておつたのでありますが、制限會社がその組合になつております關係上、これの改組を餘儀なくされておりまして、大體早急にこれを切りかえていく必要があるわけであります、從つてその切りかえの方法といたしまして、復興營團に炭鑛の主要の資材についての一括購入の業務を行わせることを研究しておるのであります。その際炭鑛施設組合にいたしまして、その業務を行つております人員はそのまま復興營團に移しまして、施設の切り替えによつて混亂が起きまして、資材の購入に支障を來すというようなことは極力防止するというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=16
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017・松本七郎
○松本(七)委員 前後いたしましてはなはだ恐縮でありますが、先ほどの官吏の點であります。一級、二級の區別をする必要というか、その理由は服務規定に服させるという點にあるのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=17
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018・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 お話の通り一級、二級、三級の區別がございますが、この中の公團の職員は、いわゆる廣義の本官をもつた官吏ではございませんで、待遇を與えるということを書いてあるわけであります。政府職員でございますから、政府の官吏に大體一級、二級、三級の區別がございますので、他の一般の政府職員もそのどれかの格に當てる、こういう意味で區別を設ける。これは旅費とか何とかいろいろの方に影響がございますので、その意味でこの區別と待遇を書いてあるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=18
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019・松本七郎
○松本(七)委員 そうすると實質的にはどういう變化が來るのでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=19
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020・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 俸給は御承知の通り、官吏は一本の俸給がございます。一號俸から三十號俸までの俸給でありまして、各階に共通のものであります。ただ旅費が一級、二級、三級におきましては待遇が違つております。その點が實質的の違いでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=20
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021・松本七郎
○松本(七)委員 そうするとこの特例を設けるというのは、そういう點について特例を設けるということでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=21
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022・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 そういう旅費の場合も考えられますが、普通の給與につきましては、俸給が一號俸から三十號俸までございますが、その金額とは別な給與を職員に與える、要するに一號俸から三十號俸までの俸給では、現在の收入では賄えないという場合に、特別な給與の例外を設ける、こういうのが但書の趣旨でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=22
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023・岡部得三
○岡部委員長 それでは午後一時まで暫時休憩いたします。
午前十一時三十七分休憩
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午前十一時四十六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=23
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024・岡部得三
○岡部委員長 先ほど一時までの休憩を宣しましたが取消します。ただいまより質疑を續行いたします。稻村順三君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=24
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025・稻村順三
○稻村委員 今度貿易公團ができるようになりまして、その意味合いにおきまして、日本貿易の將來と關連いたしまして、緊急尋ねなければならない用件ができたものですから、大藏大臣を煩わしまして、殊に日本銀行保管のダイヤモンドの問題につきまして、大藏大臣は日本銀行の所管者でありますから、そのために大藏大臣に一應所見を尋ねたいと思つて緊急質問をした次第であります。ダイヤモンドは御承知の通り戰爭中には愛國心を非常に皆が高揚するために、供出せよ、こういうような意味合いにおきまして、民間その他にありますところのダイヤモンドを總動員し、ほとんどこれは公定價格で政府において買上げて、これを交易營團が保管したはずであります。そして交易營團がこれだけのものをもつておりますというと、今日では非常に見返物資が不足であるというようないろいろなことによつて、たとえば食糧その他の輸入が見返物資の不足から非常に困難であるにもかかわらず、今日では年に六十億の輸入超過が大體なされている。こういうような状態にありましては、ダイヤモンドというようなものが、もし今日相當の額存在しておりまするならば、これのための見返物資としましては、實に重要なものであろうと私は思うのであります。日本における交易營團のもつておるこのダイヤモンドが、どういう手續で事實日本銀行の庫の中に保管されるようになつたか私はよくわかりませんが、しかも聞くところによりますると、これが無登録で相當保管されておるという話であります。しかるに實は今月の十九日に經濟安定本部の隱退藏物資等處理委員會委員長代理、副委員長世耕弘一氏の名前をもつて、日本銀行の倉庫において、これが摘發封印されたということを耳にしておるのであります。しかもこういうことを私は世耕氏から直接聽いたわけでもありませんし、はつきりしたことは世耕氏から聽いてみなければわからんのでありますけれども、世間の噂と申しますか、少數の人々の話を傳え聞くところによりますというと、世耕氏は大分前から既にこの問題についてはいろいろと探索して、そうして確信をもつて日本銀行のこのダイヤモンドを摘發封印したということを開いております。しかもこの量はダイヤモンドが約五升であつて、米貨にいたしまして約一億五千萬ドルの量に相當するということを私聞いております。おそらくこれを時價に直すならば、百億以上のものに上るだろうと私は考えているのであります。これがはたして事實であるかどうか、これをまず大藏大臣に質問いたします。しかしながらこれを簡單にここで私たちが輕輕に問題にするのではなくして、實に話を聞きますというと山口氏という人を通じて既に進駐軍にこのダイヤモンドの保管を申請中であるということでありまして、マーカツト代將に對してもこの旨が既に報告せられておるというようなことを、私はこれははつきりしたことはわかりませんが、耳にしている。そうしますと、この問題は決してわれわれが輕々にこれを聞き逃すことができない。私はこれに對して、政府は相當の責任ある答辯をこの議會においてする必要があると信じております。これが第一。第二の問題は隱退藏物資處理委員會の委員長代理副委員長という名前でもつて、世耕氏が令状を發しているということであります。この安定本部に正式にこういう官制があるのかないのか。また官制があつたといたしましても、こういう令状を發するだけの權限があるのかないのか。この點に關してもひとつ御答辯を煩わしたい。私はこの二點に對してまず大藏大臣の責任ある御答辯を得たい。殊に大藏大臣はこの時代でありますと、ちようど三月の十九日でありますからして、事實經濟安定本部の總務長官になつていられたのでありますからして、このことにつきましてはつきりした御答辯を煩わしたいと思います。まず第一にダイヤモンドの摘發の問題、第二は實にこの委員長代理副委員長という名前で世耕氏が出されたのでありますが、この令状を出している事實があるのでありますか。これにつきまして、そういう令状を出す權限のあるものであるかどうか。その官制がどうなつているのか、安定本部の官制としてこういうものが公式にあるのかどうかということ。この二點をまず御質問いたしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=25
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026・石橋湛山
○石橋國務大臣 第一のダイヤモンドの問題でありますが、これはさようなものがあるという噂は聞いておりますが、しかしこれは日本銀行が保護預かりと言いますか、營團から保護預かりをしておつたものであります。それから現在は御承知のように、營團は閉鎖機關になつていますから、依然として多分それらのものは日本銀行に保護預かりとなつているのでしようけれども、これは閉鎖機關ですから、直接日本政府が直ちに手をつけるわけにはいかないものになつて、多分閉鎖機關保管委員會と言いますか、あの方へ直接の管理が移されているのだろうと思うのであります。安定本部で世耕君を副委員長にして隱退藏物資の問題を取扱つておる事實でありますが、しかし日本銀行に對してそのダイヤモンドなどに何かの働きかけをしたことはありません。したくもそれはできないのです。今さつき申しましたように閉鎖機關になつておりますから、勝手にそれを抑えるとか、檢査するとかいうことはできませんので、こちらではやつておりません。ですからただいまのところは、ダイヤモンドには日本政府としては全然關係はもつておりません。しかしその數量がお話のように五升あるのですかいくらですか、私知らないのですが、これはそういうものばかりではなく、ほかの金というようなものについてもできれば解放してもらつて、何らかの利用の途をはかりたいという希望はもつておりますから、これは日本政府としては多分どこからもやつたことはないと思いますが、日本銀行では金などはある程度向うに話はしておることは事實であります。けれどもこれはまつたく非公式であります。ダイヤモンドについての事實はその程度のことであります。
それから世耕副委員長が、令状というのはどんなものを出したか實は知りませんが、そんなやかましい意味の令状を出す表向きの權限はないはずです。それから處理委員會ができておることは、これは安定本部の中に正式にできております。これは今の新長官に申し送つてあるのでありますが、もう少し機構を改めたい。私はそう思つておりました。新長官はどうされるか、これはわからないが、機構を改める必要はあると考えておりますが、さしづめ委員會をつくつて、その委員會は各官廳の係官等、それから民間の人も委員になつておる。相當多數の委員があります。そうして委員長は安定本部總務長官、それから副委員長を別に任命して、これはただいまのところでは世耕代議士がやつておる。その隱退藏物資の調査、それからいろいろな囘收等に働いておることは事實であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=26
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027・稻村順三
○稻村委員 令書なるものは實を言うと出す權限がない。こういうふうにおつしやつておりましたが、私日本銀行の方面に令書を三月の十九日に出されたという話を聞いておりますが、その他の點につきましては、實を言うと令書を出しておる事實があるのでありまして、この點もし出したとしたならば、それは世耕という人の個人的な名義でやつたというふうに解釋されることになるのではないかというふうに私は考えるのであります、なぜかと申しますならば、ここにこういうのがあります。私、二通三通持つております。それによりますと、假隱退藏物資摘發指令書、昭和二十二年三月二十日、安定本部隱退藏物資等處理委員會、委員長代理副委員長世耕弘一、ちやんとはんをおしてある。左記隱退藏物資摘發申請書に基き右指令を發す。一、隱退藏場所、日本橋方面柏原洋紙店倉庫内。二、隱退藏物資の種類竝びに數量、多量、軍服竝びに毛布。右摘發物資を確認の上は該物件に對して確實なる保管者を定め右保管者より物資保管の證明書を受領の上直ちに委員會に詳細報告のこと。以上。東京都板橋區小豆澤二ノ一四鈴木辰男殿。備考一、本指令書は指定本人のみ有効とす。二、本指令書の有効期間は發令の日より四日以内とす。」こういうようなものを出しておるわけであります。そうしますというと、もしもこれが今まで大藏大臣が言うように、安定本部の官制上そういうものはあるけれども、これはそういう指令書を出すところの權限がないということになりますと大問題であります。それからもう一つはつきりと大藏大臣にお聽きしたいのは、三月十九日に日本銀行の倉庫内においてもこういうふうに指令書を發して、これを摘發封印したという事實があるかないか。これは日本銀行の保管しているものに對してこういうふうなことがあるものとするならば、これは大藏大臣が知らないはずはないのでありますが、こういうことを私たちは耳にしているのです。それからもう一つは、私は日本銀行が保管しているところのダイヤモンドは無登録であるということを聞いている。私たちから考えてみますならば、こういうふうなはずがないと思う。なぜかという、戰爭中にはほとんど強制的に國民から買上げたところのダイヤモンドでありますから、これは一々登録がなされていなければならぬはずだ。今話しました通り、ダイヤモンドは日本政府の責任において云云とおつしやいますけれども、もし無登録であるならば何も關係方面においてこれを保管するというようなことはあり得ないと思うのでありますが、もし無登録であるものがそこにあつたということがありますれば、私はこれはやはり重大問題であるというふうに考えているのであります。もう一つ第三點は、これは名前まではつきりしているのですが、山口氏とうという人を通じて第八軍においてこれを管理するように申請中だということも私耳にしているのであります。そうして既にマーカツト代將の方にも報告濟であるという。これも事實かどうか知りませんが、そういうことも私聞いているものとしたならば、もしまことしやかにこういう事件をつくつてやつたものだとするならば、こんなに手順よく私の耳にはいるようにやつたということになれば、よほど陰謀が片方に行われているか、そうでなければ一應こういうふうな事實が進行しているということを私たちは認めなければならぬ。政府はその點について、こういうことは耳にしないはずはないのでありますけれども、耳にしているかどうか、またそういう事實が全然無根であるかどうかということについて、もう一度御返答を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=27
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028・石橋湛山
○石橋國務大臣 忘れるといけませんから今の山口問題から申し上げますが、全然聞いたことがありません。どういうことなのか、お話を伺つても何の手續をしているのか一向要領を得ないのでありますが、今事務當局に聞いても山口という名前を聞いたことがないという。しかしそういううわさがありますれば一つ調べてみましよう。
それから世耕君のその指令書は今お讀上げになつたのは、多分調査をさせる人間に對して出した指令のように思うのでありますが、委員會はいろいろの手を使つて調査させておりますから、文句が大變やかましい文句になつているようでありますが、これはその調査者に指令したものと思います。
それからダイヤモンドの登録ということは、營團にはどういうものが手持にしてあつたという書類はむろんあるだらうと思いますか、これは閉鎖機關になつたときに、その手續として、あるいは閉鎖機關保管人委員會にもつていきましたか、あるいは司令部の方にも出しましたか、その手續は知りませんが、それは出ているはずと思います。日本銀行としては、これは保護預りですから、日本銀行自身は内容がわからない、御承知のように保護預りというものは日本銀行には責任がない。ただそれだけのものを預つてくれと言われれば、その倉庫に入れて、その倉庫を貸すだけの話でありますから、日本銀行には何ら内容について登録はあるまいと思います。これは差支えないのでありまして、營團の方に記録があり、營團の責任で倉を借りて中に入れた。かようなことであると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=28
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029・稻村順三
○稻村委員 調査を命令したものというふうに言いますけれども、もう一つの方を讀んでみましても、これは調査だけのものでない。ちやんと調査したものを保管するというようなことを命令しているのです。「保管證明書を受領の上」云々と言つて保管も要求しているのであります。これを見ても、わかります通り、假隱退藏物資摘發指令書はやはりそうなつております。「昭和二十一年三月二十二日、經濟安定本部隱退藏物資處理委員會委員長代理副委員長世耕弘一、」これも官名のものでなくて、實印になつております。「一、左記隱退藏物資摘發申請書に基き」——三月二十二日附の摘發申請書に基いて右指令す。となつております。次いで隱退藏場所もちやんとはつきり調査濟みなのです。「京橋區入船町三町目四番地、永井建設工業株式會社」とちやんと書いてあります。「隱退藏物資の種類竝に數量——紙多量」とちやんと書いてあります。「右摘發物資の確認の上は該物件に對して明確なる保管者を定め」と書いてある。「右保管者より物資保管の證明書を受領の上、直ちに委員會に詳細報告のこと」というふうに書いてあります。これは報告せよということでありますけれども、こちらの方は隱退藏場所、物件數量というものもちやんと書いてある。そして「摘發指令」としてございます。そして最後のところに「本指令書は指定本人のみ有效とす。本指令書の有效期間は發令の日より四日以内とす」となつております。こういうふうな指令書によつて一應物資の摘發をする。もちろんこれは假となつておりますから別だけれども、こういうふうに摘發を一々やつている。一應指令して、申請書に基いて指令書を出して摘發させている。こういうことがこの權限の内部においてできるかどうか。ただそれだけお伺いしたいと思つております。
それからもう一つは日本銀行は保管するだけで、實は公益營團が問題なのであつて、日本銀行はそれが何であるかかんであるかわからない。こういうふうにおつしやいました。これはある程度形式的に言えばもつともな話であります。しかし公益營團が一應閉鎖を命ぜられまして、そこにもつているところの貴金屬類は一應G・H・Qの關係の方面にこれが管理されるものでありますけれども、しかしこういう場合に、その保管にその當時ならずにおいて、そうして公益營團が何等かの形でこれを日本銀行に保管するというような、こういう形をその當時とつたのではないかと思われるような節はありませんですか。これはもちろんあると言うのではありません。そうしてそういうふうなことがもし行われるとしたならば、その當時の公益營團の責任者というものの責任は實に重大であると私は思うのであります。しかもこれをなすとすれば、私は單なる日本銀行にそういうふうなものがなされたものという假定でありますが、そういうふうなことをするならば、これは單に何も事情がわからぬで日本銀行で預かるというようなことも、私は常識としてそれはできないだろう、こういうふうに考えるのであります。そうすれば、この間にいろいろなわれわれが臆説を立てられるのでありまして、こういう點に關しましても、事實公益營團がそういうものをば關係方面の保管以外に何とかなつたとか、そういうような話があるのかないのか、そういうことを聞いておるのか、どうか、また日本銀行といたしましても、そういう事情を、全然ダイヤモンドなんというようなわかつたものは保管しておらん、こういうようなことをはつきり言えるのか、どうか、その點について御答辯を願いたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=29
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030・石橋湛山
○石橋國務大臣 第一の世耕君の指令は、これは非常に曖昧なことでありますが、委員會がこういう仕事をしよう。御承知のように各所にいわゆる隱退藏物資というものが大分ある。これは議會でもしばしば問題になるように、政府としても前から調査して、そうして適當な處理をするということにきまつておる。それによつてそれをやるのにどうするかというと、まずさつき申したようにさしずめ委員會をつくつて、そうしてわかつたものをはじから調べ、適當な保管をして、それが散逸したり横流れしないように手を打たなければならない。それを今やつておるのです。その場合にこれはいろいろな專門的な知識を要するのですから、いろいろな專門家を使います。官吏以外の者を使います。が必ずやるときには官吏がはいり、それからほんとうに差押えるかどうか、その法律上の言葉はわからぬが、實際に封印をするというような場合には、警察官なりあるいは檢事局なりが必ず立會つております。ですからその法的根據としては、今の警察官なりあるいは檢事とかいうものが實際はやつておる。しかしながらそれは一方ではどうしても專門家がいなければならない。その指令をもらつた人はどういう人か知りませんが、それは多分その專門家だろうと思います。それに對しても何かそういうものをもらつておかなければ、勝手な者が行つても困るというわけで、つまり司法官なり警察官なりに、その人間の身分を證明するために、そういうものを出したものと私は思います。ですからその文書がどれだけの法的根據をもつかということは私にはわからぬけれども、實際にやつておることは間違つたことをやつていると思いません。そういうことと思います。それだからそれで見ても、いろいろなことで調査をあらかじめして、どこにどんなものがあるということは大體わかる。だからそこに紙が多量とか何とかありますが、そこへ人をやりまして、警察官なり何なり立ち會いの上で中を調べて、そしてその數量を確認しまして、すつかりリストをつくつて委員會へ報告されるわけです。それを今度どういうふうに處理するかということは、その後また委員會できめよう、こうなつておりますが、今のところ少し機構がそれだけでは今のような疑問の起る餘地もあらうし、間違いもあるといけませんから、そこで正式なはつきりした少し大がかりな機構をつくらうと思つて計畫しておる間に、長官が迭つたわけであります。さようなわけでありますから御諒承願いたいと思います。
それからダイヤモンドか公益營團にあつて、そうしてかねて日本銀行に保護預りをしているものは、そのまま正式に閉鎖機關になつた場合に、それだけの手續をされたはずであります。それ以外にそのときにごまかして何かあつたかどうかということは、私はさようなことは聞いておりません。それから日本銀行としては、これは日本銀行に聽いてみればわかるのでありますが、手續上保護預りの日本銀行が立ち入るわけがないのでありますから、日本銀行は營團なら營團から保護預りをしたならば、それはそのまま預かつているので、それを正式のルートから何か書類が來て、その方に渡したのでありましよう。それからそのほかに委員會がごまかしたとしたならば、營團の人がほかの人の名前で保護預りをしたならばそれはあるかも知れませんが、營團の名前でやつておれば、これは横流れをするようなことは絶對にないと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=30
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031・稻村順三
○稻村委員 最後にこれは重要な問題ですから、一個づつひとつだめを押して、私の質問を打切りたいと思つております。まづ第一に、世耕氏がこういうふうな摘發の權限を一應受けておれば、こういう摘發指令書を發するというようなことは當然だと思つております。この點に關しまして、私はなんらの異議を申し立てたり、これがいかぬというのではないのであります。だがここで問題になることは、こういうふうな令書が世耕氏の名前において、日本銀行内にあつたところのものをもしやるとしたならば、大藏大臣はこれを知つていなければならぬはずである。ここにあるものを摘發するということになつて、封印するということになれば、知つていなければならぬはずであります。もしそうであるとするならば、やはりその當時安定本部總務長官であつた大藏大臣、それからその下に副委員長をやつておつた世耕君との間に、こういうふうなことはあるはずがないのでありますけれども、もしもこういう事實があつたとしたならば、私はこれは政府部内におけるところの十分な統一のいかないことだと思つて、はなはだ遺憾に存ずる次第でありまして、もしそういうことがあつたとしたならば、これは大藏大臣の重大な責任問題だと私は考えるのでありますが、こういう事實が確實になかつたかどうか、こういうことをまずお尋ねしてみたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=31
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032・石橋湛山
○石橋國務大臣 先ほどお答えするのを落しましたが、世耕副委員長が日本銀行に對して指令だか令書だか知りませんが、さようなものを發した事實はないということを確言はできます。これはかりにあつても、大歳大臣には關係がないのです。つまり、日本銀行に對して安定本部が何かの指令を出す、今の保護預りのものを見せろとかなんとかいうことを出してはいませんが、かりに出しても、これは大藏大臣ではなく、安定本部對日本銀行でありますから、すぐに大藏大臣には關係がないだろうと思います。しかしこれは假定ですからどうでもいいですが、事實は日本銀行に對して實はそういうものがあるというので調べたいというような氣持は、それはないではないのでありますけれども、これは調べられないということがはつきりしておりますから、その令状なんか出したにとはありません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=32
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033・稻村順三
○稻村委員 それからもう一つは、こういう問題が山口という人を通じて關係方面に嚴重な保管を申請中だということと、それからこれらのいろいろな經路というものが、これがマーカツト少將方面に既に一應報告されているというような事實があるかないか、もう一度それをお伺いして、私の質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=33
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034・石橋湛山
○石橋國務大臣 先ほども申しましたように、山口なるものがどういう人であるか聞いたことがありませんし、それがかつてさようなことをやつているというようなことも聞いたことがありません。それからマーカツト少將にどういう事實が傳わつておるか知りませんが、私は最近も、マーカツトは病氣で引込んでおりますが、しばしば會いましたが、さような話の出ておることはありません。おそらくそういふ問題は、別段ありません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=34
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035・稻村順三
○稻村委員 私たちもこういうふうな臆測をいろいろ聽いたというのは、第一こういうふうな臆測が、財界方面到るところに亂れ飛ぶような傾向が今日あるのであります。そのためにいろいろな疑心暗鬼が行われておりますし、またこれを裏ずけるような小さな問題が、かえつてこういう大きなうわさを裏ずけるようなこともまま見受けられるわけでありますので、この點に關しまして、政府はもしこういうふうなデマがあるならば、このデマをはつきりと粉碎するような態度をとられんことを切に希望いたしまして、私の質問を終えたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=35
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036・増井慶太郎
○増井委員 ただいま稻村委員からいろいろ質問がありましたが、私もちよつとこの機會にお伺いしておきたいと思います。實は私の方に同胞引揚の新生會とかいうものがありまして、その會の者が、軍服を拂下げるが十萬著とかあるという話であつた。その當時は大臣が摘發物資委員長か何かやつておる。それで一著が六十何圓かで拂下げる。それに對してほかの委員が、個人的か何か知りませんけれども、お禮を百圓ずつ出せ。それでもつて十萬著だか拂下げになるということでもつて、まじめに聽いて、今その方面で言つておるのですが、私は狸御殿のようなことではないかと考えますけれども、實際においてそういうような摘發物資をそういうルートへ流すようなことのお話になつておつたかどうか。もしそうでないと、そういうふうなことのために、いろいろ詐欺師や何かが出て世の中があやふやになりますから、それに對してはつきりした、あなたが委員長當時にそういうことがないとか、あるとかいうことをちよつと承りたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=36
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037・石橋湛山
○石橋國務大臣 さような事實は絶對にありません。それからただいままでに多少、いわゆる摘發というような言葉ですけれども、そういう品物も出て保管しておりますが、まだ少しも處分しておりません。これは專門家にリストをつくつて——これは種々雜多なものがあつて、われわれが見たら軍服ぐらいのものはわかりますが、何にどう利用すべきものかということがはつきりしないものが多い。そこでそれぞれそれは處理を早くしたいとは考えておりましたが、まだ處理をしておりません。まず第一に炭鑛、それから農村——今の軍服などは、その種類によつては農村とか何とかいう方面へ向けるつもりでおりましたから、今後もまずもつてそういう方向に行くと思います。いろいろそういうものが出てきたというので、種々なるものがまわりにたかつてくることは事實でありまして、非常に危いのでありますが、デマは飛びますけれども、斷じてそれはまだやつておりませんし、また今後も決してやらせるつもりはありませんから、御安心を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=37
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038・岡部得三
○岡部委員長 緊急質問も終りましたゆえ、質疑を打切ります。午後一時半から再開いたし、討論に入りたいと思います。どうぞ黨にお歸りの上取まとめられて、全員御參集のほどをお願いいたします。ではこれにて休憩いたします。
午後零時二十四分休憩
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午後四時十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=38
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039・岡部得三
○岡部委員長 これより再開いたします。この際お諮りいたすことがございます。本日理事山村新治郎君が委員を辭任いたされましたので、理事の補缺選擧を行わねばなりませんが、これは先例によりまして委員長指名ということに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=39
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040・岡部得三
○岡部委員長 御異議なきものと認めます。それでは木村公平君を理事に指名いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=40
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041・稻村順三
○稻村委員 議事進行に關して一言します。實は本日午前中におきまして交易營團のダイヤモンドが無登録のままに日本銀行の金庫の中にあつたのを、經濟安定本部の隱匿物資等處理委員會の副委員長の名前で、世耕弘一君の手によつてこれが封印されて、そうして第八軍の手もとにおいて保管すべきよう申請中である。しかもこれが既にマーカツト少將のもとに報告されておるというようなことを耳にしたのでありまして、その點につきまして大藏大臣に私質問をいたしましたところ、大藏大臣はまだその點については何ら聞知しておらないというような話でありました。しかし私もその當時の材料から申しまして、それ以上追究することができなかつたものでありますから、それだけで質疑を打切つたのであります。しかしながらその後世耕君から直接聽いた人の話によりますと、世耕君はいわゆる處理委員會に對して摘發の指令をして、それで差押えたのではなく、實に世耕君みずから日本銀行の金庫に趣いてこれを封印してしまつたものである。こういうふうなことを言つておることを世耕君から直接聽いた人が話しておつた次第なのであります。既に事ここに至りまして、これがマーカツト少將の手もとにまで報告せられておるという話でありますけれども、そうしますと、われわれ議員としてこれをただ默認しておるわけにいかないと思うのであります。殊にこの委員會においては、一度それが問題になつた以上は、ほんとうは常識的に考えれば、これに對して徹底的な糺明をしなければならぬのでありますけれども、目下世耕君は關西方面に旅行中であつて、ここにその證言を求めることができないことは非常に遺憾に思う次第であります。しかも議事規則から申しましても、一度打切つたものをさらにここに質疑を續行するというようなことも、先例としてなかなか困難のようであります。私は一度問題になつたものは、議員みずからがその責任において徹底的に糺明する必要を感じております。そしてまたそのためには、私は世耕君が登院の曉には、さらにその證言を得て——これは國際的な問題でもありますし、占領治下におけるわが國の政治の上においても重大な問題であります。從つてわれわれはこの問題の糺明にさらにさらに努力を傾けなければならぬと存ずる次第であります。その意味におきまして私はわずかな時間をいただいたのでありますが、この委員會で初めて問題になつたことでありますから、今後うやむやに終らぬように、特に議員諸君に對しても切望して、私の意見をこれで終りたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=41
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042・庄司一郎
○庄司委員 稻村委員のただいまお述べになられましたダイヤモンド問題關係の御所論は、午前中より篤と承りました。またただいま重ねて該問題の根本的な糺明に關して、縁あつて委員となりましたるわれわれ委員一同にまで協力を求められる意味における御發言があられたのであります。本問題は稻村委員の申されるがごとく、お間違いのない、確實なる根據によるところの問題であるとするならば、相當大きな問題であると考えるのであります。國際的な問題にまであるいは發展せんとするものである。また日本銀行の倉庫の中に登録のないものがあつて、安本内にある處理委員會の委員長あらざるがゆえに、委員長代理としての副委員長の世耕君の、一應差押えの指令書でありますか命令書でありますか——そういう命令の權限ありや否やという問題、官制上において委員長を代理する副委員長は、さような處置をなし得る權限を有するや否や。また官制によつて、いわゆる相當高位高官の待遇を受けている地位であると考えられますが、まことに稻村委員のお説のごとき、また御研究のごとき結果があるとするならば、これは相當重大問題である。等閑に付すべき問題ではございません。この委員會は遺憾ながらこれをもつて終結を告ぐるというようなことになれば、本委員會としての糺明に與えられるところの時間はないのであります。政府においてもこういう問題は相當明快に調査の上、多少なりとも疑問のある問題については——午前中に大藏大臣の御答辯もあつたのでありまするが、不十分な點もあつたように拜承いたしました。だが委員會としても、あるいは本委員としても、議員としての何らかの行動であるならば、これを喚問して證言を得ることがあり得るという前例もあると思うのでありますが、處理委員會の副委員長として管制上の職務にわたつて行われたことを、われわれがここに證人として、あるいは關係者として招致してこれを訊問する權限ありや否やは、まだ相當研究しなければならないのであります。新憲法においては、あるいる新國會法においては證人その他關係者を招致し得ることは御承知の通りでありますが、現在の制度、慣例、恒例上においてはどういうことになるか。一沫の疑惑を受けた世耕君みずからが、反面において本院に議席を有するがゆえに、自發的に公明正大に速やかにこの疑惑等を氷解せんとしてここに出頭されることは、もとより願わしいことと思います。けれども權限の上においてこれを召喚し、あるいは訊問するということは、どうかと考えるのであります。ともかく稻村委員の御發言は事重大であります。私は自分の知人であり、議員としての先輩である世耕君の御經歴、あるいは今までの政治的行動の上から、そこには何らいわゆるやましいとか、あるいは不正とか、不義とかいうものがあり得るわけがない。現に稻村委員がお讀みになりました指令書の最後には、これを處理委員會に速やかに報告せよという公明正大なことが明示せられております。さようなことを副委員長としての世耕君がみずから書いたか、また所長をして書かしめたかわからないけれども、それが公文書になつておるということを稻村委員みずからが先ほど御朗讀くださいました。その意味においてこの委員長においても、この委員會における最も重大なる發言であり、特に政府關係の一官制による委員會の副委員長の御行動であり、同時に本院に議席をもつておられ、地位をもつておられるわれわれの同僚であり、先輩であるがゆえに、愼重なる御態度を要望してやまないのであります。まして稻村委員の御發言では、人の一身上に關すことで、公人としても私人としても重大なことでありますから、稻村委員におかれても責任ある御態度をもつていただくことを切望しておく次第であります。終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=42
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043・岡部得三
○岡部委員長 それではこれより石油配給公團法案、配炭公團法案、産業復興公團法案、貿易公團法案、價格調整公團法案を一括議題として討論に付します。討論はこれを通告順によつて許します。木村公平君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=43
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044・木村公平
○木村(公)委員 私は日本自由黨を代表いたしまして、ただいま上程になりました五法案につきまして、贊意を表したいと思うのであります。私どもの黨の從來の主張竝びに考え方からいたしますれば、この法案の考え方とは裏腹の關係にあるのであります。しかしながら敗戰後の極度に窮乏いたしました物資の面に想到いたします時には、しばしば私が本議場においても申し述べましたごとく、計畫的統制を好むと好まざるとにかかわらず行わなければ相ならぬのであります。たまたまこの重大法案が上程されまするや、私どもはその意味におきまして、きわめて愼重なる態度を持しまして、日夜法案の内容を檢討いたしました結果、政府の意のあるところを諒といたしまして、自由黨といたしましてはこの五法案に對しまして、贊成をすることに決定いたしたのであります。但しこの法案中、配炭の法案に對しましては、わが黨といたしまして、附帶決議を付したく思うわけであります。附帶決議をここで朗讀をさしていただきたいと思います。
配炭公團に對する附帶決議
石炭、コークス、亞炭の特異性に鑑みその配給實務については、速やかに業界の經驗者を廣く活用し、單純なる官僚統制より一歩を進めて本法運營の妙を發揮し、生産と配給の圓滑を圖るため萬全の機構を確立せむことを要望する。以上であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=44
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045・岡部得三
○岡部委員長 小野瀬忠兵衞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=45
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046・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 私は日本進歩黨を代表いたしまして、本委員會に付託せられました石油配給公團法案ほか四件のうち、石油配給公團法案、配炭公團法案、産業復興公團法案の三法案に對しまして、左の條件を付して贊成の意を表するものであります。石油配給公團に對しましては、
石油配給公團の業務運營の根本方針は、運營委員會に諮つて總裁がこれを決定すること。
運營委員會は關係各方面の代表者を以て構成すること。
配炭公團法案に對しましては、
配炭公團の業務運營の根本方針は、運營委員會に諮つて總裁がこれを決定すること。
運營委員會は關係各方面の代表者を以て構成すること。
産業復興公團法案に對しましては、
産業復興公團の業務運營の根本方針は、運營委員會に諮つて總裁がこれを決定すること。
運營委員會は關係各方面の代表者を以て構成すること。
この條件を付して贊成を表するのでありますが、この理由は、今囘の公團法案なるものは、その性格上、官廳の制度に相なりますので、この民主化とか、あるいは運營の適正化をはかるために、以上の委員會を設けたいと存ずるのであります。なお私はこの際特に二、三の點を強く要望いたしておきたいと思うのでありますが、今囘の公團法案は關係業者の反對、または一般民衆の不評があつたにかかわらず、押切つて政府が本法案を提案したことは、四圍の情勢まことにやむを得ないものがあるとは存じますが、一般民間におきましては、いろいろの點でこの法案に對しまして憂慮しておるのでございます。まず第一番にこの法案の内容を見ますと、かえつて現在の統制會社や、あるいは營團等よりも非民主化するのではないか、あるいは官僚化するのではないかというようなことを憂慮するとともに、業務の非能率化ということに對しても、非常な不安をもつておるのであります。なおまた從つて經費も膨張するのではないか、そうしてみればこれは單なる機構いじりのために、かえつて今までよりも結果から見て、まずいものになるのではないかというように心配しておるのでございますが、この國民の憂慮を杞憂に終らしめるように、政府におかれましてはこの實施にあたりましては、十分なる御研究が願わしいのでございます。
要望の第二點は新機構に變るために、現在の團體または會社に奉職しておりまする職員が、公團の性格によつてもいろいろと變ることとは思いますが、場合によつては職員中不適格者として職を離れる者があると思うのでございます。この場合に從來の會社または營團は、團體または會社の性格上、純然たる營利會社でなかつたために、退職積立金とかその他の積立金を豐富には持つていないのが普通であります。この際失職した者に對して悲慘なる事件ができないように、政府におきましては十分なる御考慮を願いたいと存ずるのであります。なおでき得るならば完全雇傭という線に向つて、政府におかれましては努力せられんことを希望いたす次第でございます。
第三點といたしましては、今後さらにいくつかの公團というものが設立せられるやに仄聞しておるのでございますが、今後つくりまする公團につきましては、まず今囘設立せられますところの公團の實績を見まして、この經驗に徴しまして、どうしても必要やむを得ないものであれば速やかにつくるべきでありますが、必ずしも公團に改組する必要がないと思われるものも多々私どもから考えますとあるのであります。こういう種類のものにつきましては、關係方面からも特に取立てて言われているものは、石炭竝びに固形燃料等だけなのでございますからなるべくよくその結果を見透しまして、見透しがついた上で公團を設立されるように望むのであります。
以上の三點を強く要望いたしまして、今囘提案せられました五つの公團法案に對し、贊意を表する次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=46
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047・庄司一郎
○庄司委員 議事進行上質しておきたいと思うのでありますが、ただいま御朗讀なされた關係の案文の前後において、二度條件附というお言葉をおつしやられております。附帶決議という意味における條件という意味でございましうか。または希望決議という意味における條件という輕い意味でございましようか。委員長よりこの點御照會賜わりまして釋然といたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=47
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048・小野瀬忠兵衞
○小野瀬委員 ただいま條件と申しましたのは誤りでございます。附帶決議の意味でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=48
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049・庄司一郎
○庄司委員 わかりました。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=49
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050・岡部得三
○岡部委員長 松本七郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=50
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051・松本七郎
○松本委員 私は日本社會黨を代表いたしまして、配炭公團法案、石油配給公團法案竝びに産業復興公團法案に對する修正意見を申し述べたいと存ずるのであります。元來現在のような極端な缺乏經濟のもとにあつて、統制が絶對に必要であるということは申すまでもないことであります。戰時中行われた統制が、官僚統制であつたということはよく言われるのでありますが、私どもに言わしむるならば、むしろあの當時の經濟は統制經濟ではない。統制ではなくて掠奪經濟であつたのであります。今後はああいうふうな亂雜な經濟であつてはならないことはもちろんでありますが、統制するにも官僚統制に陷らないということが主眼點にならなければならないと考えるのであります。從いまして先般からの質疑應答で、政府の考えておられまするこの公團の運營方針も大體諒解いたしまして、できるだけこれを民主的に運營していこう、いわゆる官僚統制の弊に陷らないようにやつていこうという政府の熱意は、十分これを諒とすることができたのであります。しかしながらこの法案そのままでは、この政府の目標とする民主的な運營ということが望めない。政府の御答辯では經濟安定本部の中に運營委員會、あるいは監査委員會というようなものを兼ねた委員會をつくるという御言明がございましたけれども、そういうことをこの條文に入れる必要がある。現在敗戰國として外國の管理下にあるわが國としましては、どうしても關係方面の意向というものが尊重されねばなりませんし、關係方面の日本に對する認識が、いろいろなことに影響してくるということはやむを得ないことでありますし、またアメリカのような進んだ民主主義の國が、後れた日本に民主主義を強化する一つの有力な教師として臨んでいるということは、われわれにとつてはありがたいことであります。しかしながら何と申しましても、わが國の實情を一番よく知つているのは、そして權力を握つているのは日本の政府であります。そこで私も質問のときに最初にお伺いしましたように、主張すべきことはもつと強く主張していただきたい。その點で政府の努力が足りないのではないかということを、われわれは最近相當強く感ずるのでありますが、この法案におきましても運營委員會、あるいは監査委員會というものを條文化するというような點に、もう少し努力してしかるべきものではなかつたろうかと考えるのであります。われわれの考えといたしましては、第一に役員、總裁、副總裁、理事の選任等につきましても、やはりこれは理事ということになりますと、總裁の役員選考委員會に諮る程度で、總裁が任命してもいいでありましようけれども、總裁及び副總裁、また監事というようなものは、これはやはり役員選考委員會の推薦した者の中から選ぶというような行き方が、ほんとうであろうと思うのであります。しかしこの點は理窟から言えばそれが最もいいようでありますけれども、これこそその實情に即したものでなければ動きのとれない、運營がかえつてうまくいかないというようなことになるおそれがあるのであります。ただこういう役員選考委員會をつくつてみたが、實際にはなかなかきまらない。たださえこういう公團の人事ということはなかなか——特に今の日本においては困難があるとわれわれも考えますし、また石橋大藏大臣もそういうことを御答辯されておつたような状態であるのに、そういうものをつくつてうまくいくかどうかという點は、政府が疑問に思われるのはゆえなきことではないと考えるのであります。しかしながらそれによつてこの天降り的な人事に陷るおそれがある。いわゆる官僚制の弊に陷るおそれがある。一應理想的な形にしておきながら、できるだけ運營を圓滑にするように努力すべきか、あるいはまだ日本の現状からしてそこまでいくことは早過ぎるという點を考えて、原案のようなものに止めるかという點には、認識の相違があるのでありまして、この點は政府の御答辯によつて、われわれも現状のところはこういう原案のようなものでよかろうと了解したのであります。しかしそれだけに、この運營を民主的にやつていただくことに格段の努力をしていただきたい。そのためにはどうしても業務の運營についての委員會の制度、及び監査委員會制度を法文に明記するということが、絶對に必要であるとわれわれは確信するのであります。そこで修正案を申し上げてみますならば、配炭公團法案第十八條に左の規定を追加する。
「配炭公團の業務運營の根本方針は
運營委員會に諮つて總裁か決定する。
運營委員會は石炭及びコークス竝に指定亞炭の生産業及び消費産業竝に輸送業の各勞資代表、一般消費者代表新配給機關の役員竝に從業員組合代表及び學識經驗者をもつて構成する。
運營委員會の決定事項はこれを公表しなければならない。」
第二點は配炭公團法案第二十一條に左の規定を追加する。
「配炭公團の業務は配給監査委員會が常時これを監査する。配給監査委員會は消費産業、輸送業の各勞資代表、一般消費者の代表及び學識經驗者をもつて構成する。
配給監査委員會は監査の結果に基き配炭公團の運營に關し必要な措置を講ずべきことを總裁に對して具申する事が出來る。この場合總裁はその權限の範圍内に於て速かに適當な措置を講じなければならない。」
石油配給公團法案に關する修正案。石油配給公團法案第十七條に左の規定を追加する。
「石油配給公團の業務運營の根本方針は運營委員會に諮つて總裁が決定する。
運營委員會は石油の生産業及び消費産業竝に輸送業の各勞資代表、一般消費者代表、新配給機關の役員竝に從業員組合代表及び學識經驗者をもつて構成する。運營委員會の決定事項はこれを公表しなければならない。」
石油配給公團法案第二十條に左の規定を追加する。
「石油配給公團の業務は配給監査委員會が常時これを監査する。配給監査委員會は消費産業、輸送業の各勞資代表、一般消費者の代表及び學識經驗者をもつて構成する。
配給監査委員會は監査の結果に基き石油配給公團の運營に關し必要な措置を講ずべきことを總裁に對して具申する事が出來る。この場合總裁はこの權限の範圍内に於て速かに適當な措置を講じなければならない。」
次に産業復興公團法案に關する修正案。産業復興公團法案第十八條に左の規定を追加する。
「産業復興公團の業務運營の根本方針は運營委員會に諮つて總裁が決定する。
運營委員會は關係産業の各勞資代表、産業復興公團の役員竝に從業員組合代表及び學識經驗者をもつて構成する。
運營委員會の決定事項はこれを公表しなければならない。」
産業復興公團法案第二十一條に左の規定を追加する。
「産業復興公團の業務は復興監査委員會が常時これを監査する。復興監査委員會は關係産業の勞資代表、及び學識經驗者をもつて構成する。
復興監査委員會は監査の結果に基き産業復興公團の運營に關し必要な措置を講ずべきことを總裁に對して具申する事が出來る。この場合總裁はその權限の範圍内に於いて速かに適當な措置を講じなければならない。」
以上であります。これははつきり書いてありますように、根本方針をこの運營委員會に諮つて總裁が決定するのであります。從いまして、こういうものをつくつて業務が澁滯しやしないかというようなおそれも懷かれる方があると思いますけれども、末端のこまかいことにまでこれをやるのでなくて、根本方針について運營につきその方針をきめ、また監査の役目を果そうとするものであります。以上をもちまして日本社會黨の修正案に對する説明を終る次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=51
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052・岡部得三
○岡部委員長 竹山祐太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=52
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053・竹山祐太郎
○竹山委員 私は國民協同黨を代表いたしまして、ただいま議題になつております五つの公團法案に對して、全面的に反對をいたすものであります。根本論は省略いたしまして、簡單にその理由を申し上げてみたいと思います、委員會における政府の答辯を通じまして石炭及び石油について連合軍司令部からの御意向を伺つておるのであります。その政府の責任において行えということについては、われわれもまつたく同感をいたすのであります。しかしながらその具體的な現われとしてのこの今囘提案になりましたる公團の制度全體を、いかに研究をいたしましても、今直ちにこれをもつて最適の案なりと了承いたすことにわれわれはなりきらないのであります。このことは今までの各黨の御意見の中にも十分伺われるのであり、また政府自身も國民の澎湃たる輿論、反對論というものは十分御承知のはずであると思うのであります。また委員會における政府當局の答辯を通じて伺ひましても、はたしてこの案をもつて連合軍司令部の要請にこたえ得る確固たる確信をもつて、また國民に對してもこの國家非常時に處して十分に目的を貫徹いたすことの確信をもつておるとは、私は十分に了解しきれなかつたのであります。かような、ある意味においては確信に缺けた感じのある案を、政府が今日會期切迫をいたしましたこの議會に急遽上程をいたさなければならぬという緊急なる必要というものを、われわれは十分に了解をいたしかねるのであります。元來この公團に對する世論の反對は、官僚に對する國民の反撃であります。これは官僚個人に對してはまことにお氣の毒でありますけれども、戰爭中及び戰後における日本の行政の缺陷の暴露が、國民に——理窟は別といたしまして、官僚に對する信頼感をまつたく失つたに近い現状であります。これは九十議會以來、われわれは日本の再建にあたつては、この官僚の陣營というものを眞に國民の信頼をかち得るものにしなければ、日本の再建の根底は培われない。早く政府はこの處置を講じなければならぬということを、われわれは再々要求をいたしてまいつたのであります。いろいろ準備不十分ということもありましようけれども、今日まで、今議會においてもわれわれはこれの滿足すべき政府の對策を示されておりません。さようなことではこの國民の澎湃たる官僚に對する憤懣、反撃というものを前提にいたしまして、いかに立派な法案をつくりましても、この公團というものが國民の信頼をかち得ることは、私はできがたいと考えるのであります。このことは從つて、この公團の問題と、これを裏づけいたしますところの國民の官僚に對する信頼感をつなぎ得る政府の政治的處置、行政的處置というものとが一體にならなければ、これは決してこの法律だけをもつて所期の效果をあげ得るとは信じられないのであります。この點に對する政府の處置、答辯もわれわれは滿足をいたしておりません。こういう經過から見まして、私はもうすぐに選擧を通じて新議會が開かれる目前に迫つた今日、これを急遽無理に通過をいたすということは、決して日本再建のためにいいことであるとは考えられません。なおわれわれの黨の立場として一點憂慮をいたしておる問題は、先般來から商工大臣も、私は豫算總會、分科會等においても十分納得をいたしておると思つておつたのでありますが、昨日の與黨と政府當局との問答を聽いておりましても、石油などの一例について、農業者や漁業者の配給を現在の現状を取上げてしまおうというような意見、また政府もそれをまつたく否定をいたしきれないというようなことを私は聽きまして、これはわれわれが、主張をいたしております今後の日本の經濟の基本にならなければならぬ中小工業者、農業者、漁業者等の協同組織というものを、いかに政府が統制をいたしましようとも、そのもとにおけるこの組織の健全なる發達ということは、いかなる黨といえども、また政府ももちろん承知のはずと思いますが、これを抑壓するがごとき政府の考え方が、この公團の運營にあるということを、私は重大な憂慮をいたす者である。かような考え方でいくならば、これは過去において一部に現われましたごとく、官僚と一部資本家との結托によつて、相變らず中小工業者、農民、漁業者等がまた非常な困難なる立場に立たなければならぬということのまことに近道な公團になることを、私はこの委員會を通じて痛切に感じたわけであります。これではわれわれはあくまで贊成をするわけにいかないというふうに決意をいたさざるを得ないのであります。もちろん國家の現状におきまして、連合軍の好意ある處置に對して、國家の責任においてなさなければならぬ、また貿易のごときは國家の強力な統制をもつていかなければならぬという實情はよく承知をいたしております。從つて制度全體に對しまして、よくひとつ今後われわれも檢討をいたし、ほんとうに日本のためにいいものを、皆が喜んで贊成して、國民もこれに協力をいたすような案を議會はほんとうに責任をもつて議決すべきものと考えるのであります。心から十分なる納得のいたしかねる案を、今日即急の間にわれわれは贊成をいたしかねる。時期尚早ということにおいて反對をいたすわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=53
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054・岡部得三
○岡部委員長 討論は終局いたしました。これより採決を行いますが、その前に採決の順序を申上げます。最初石油配給公團法案、配炭公團法案及び産業復興公團法案の三案に對する社會黨提出の修正案について採決を行い、次に各三案の原案につき採決を行います。その次に貿易公團法案及價格調整公團法案の原案について採決を行い、さらに木村公平君より提出されました附帶決議案を採決いたしまして、最後に小野瀬忠兵衞君より提出されました附帶決議案を採決いたします。
では、ただいまより採決をいたします。まず石油配給公團法案、配炭公團法案及び産業復興公團法案の三案に對する社會黨提出の修正案に贊成の諸君の起立を求めます。
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=54
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055・岡部得三
○岡部委員長 起立少數。よつてこの修正案は否法されました。
次に右三案の原案に贊成の諸君の起立を求めます。
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=55
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056・岡部得三
○岡部委員長 起立多數。よつて本三案はいずれも原案の通り可決いたしました。
次に貿易公團法案及び價格調整公團法案の原案に贊成の諸君の起立をお願いいたします。
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=56
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057・岡部得三
○岡部委員長 起立多數。よつて兩案はいずれも原案の通り可決いたしました。
次に木村公平君より提出されました附帶決議案に贊成の諸君の起立を求めます。
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=57
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058・岡部得三
○岡部委員長 起立多數。よつてこの附帶決議案は決定いたしました。
最後に小野瀬忠兵衞君より提出の附帶決議案に贊成の諸君の起立を求めます。
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=58
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059・岡部得三
○岡部委員長 起立多數。よつてこの附帶決議案を決定いたしました。
不消不慣れの委員長のもとで、長い間、この大事な重大な法案を愼重に朝早くから夜遲くまで、審議していただきましたことを深く感謝いたします。また政府委員の方もこれに對して、熱心に御答辯をいただきましたことを深く感謝いたします。どうもありがとうございました。——石井商工大臣。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=59
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060・石井光次郎
○石井國務大臣 まことに會期差迫つた際に、たくさんの法案を一遍に提出いたしまして、皆樣のその間における御熱心なる御審議によりまして、本日決定せられましたことを厚くお禮を申し上げます。同時に附帶決議の問題につきましては、その附帶決議以外にも、同じ趣旨のもとに法案に織りこむというような社會黨の方々の意見等の心持も、われわれくみまして、運營の委員會が設けられ、そしてこれが民主的に、同時にこの仕事のブレーキにならないで仕事が順調によく動くように、この委員會が働いていただけますように組織と人選ができまして運營することを期待しているわけであります。どうも長い間御審議をいただきまして、政府といたしまして厚く御禮を申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=60
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061・岡部得三
○岡部委員長 本日はこれにて散會いたします。
午後五時一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212018X00519470327&spkNum=61
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