1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了ノモノヲ除ク)
恩赦法案(政府提出、貴族院送付)(第一三號)
罹災救助基金法の一部を改正する法律案(政府提出)(第一〇號)
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昭和二十二年三月十五日(土曜日)午前十時五十分開議
出席委員
委員長 庄司一郎君
理事 青木泰助君 理事 氏原一郎君
今井はつ君 小澤佐重喜君
小島徹三君 堀川恭平君
森山ヨネ君 松谷天光光君
前田榮之助君 安藤はつ君
丸山修一郎君
出席國務大臣
司法大臣 木村篤太郎君
出席政府委員
内務事務官 岩澤忠恭君
厚生事務官 葛西嘉資君
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本日の會議に付した議案
恩赦法案(政府提出、貴族院送付)
罹災救助基金法の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=0
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001・庄司一郎
○庄司委員長 これより會議を開きます。罹災救助基金法の一部を改正する法律案をこれより議に付します。厚生省當局の大要の御説明があると思いまするが、その點から進めていただきたいと思います。厚生大臣がただいま御都合がつかないようでございますから、もし後刻見えれば、厚生大臣からも重ねて御説明を願い、また質疑に應答していただきたいと思いますが、さしあたり葛西社會局長より一應の御挨拶竝びに御説明を願ひたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=1
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002・葛西嘉資
○葛西政府委員 ただいま議題となりました罹災救助基金法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
非常災害に際しての救護に關する法律といたしましては、罹災救助基金法があるのでありますが、北海道につきましては、その地域が非常に廣大であるために、他の内地の一般府縣に比べまして、多額の基金が必要であるというようなこと、それから基金を非常に急いで造成する必要があつたというような特殊の事情によりまして、特に北海道につきましては、北海道罹災救助基金法が設けられているのは御案内の通りであります。北海道罹災救助基金法は、明治三十八年四月一日から施行されまして、その施行期間は四十年度間と定められておりまして、その施行期間が滿了したのでありますが、北海道罹災救助基金法による基金も既に百三十餘萬圓に達しており、特に北海道について、この際特別法を設けておく必要も認められませんので、この機會におきまして罹災救助基金法に所要の改正を加えまして、北海道にも内地の一般の罹災救助基金法を適用するようにしたいというのでございます。というようなわけで、北海道罹災救助基金法はこの際これを廢止しようとするものであります。なお今囘の改正にあたりまして、北海道關係のもののほかに、必要な字句を改正することも併せてやりたいというのでございます。
改正の箇所を申し上げてみますると、二、三點あるのでございますが、その第一は、法律の中に、「府縣」「府縣會」という文字を使つているのでございますが、これを「都道府縣」、「都道府縣會」と改めたのが第一點でございます。それから第二には内地の罹災救助基金の最少額は、法律で五十萬圓ということに定められているのでありますが、北海道につきましては、從來の北海道罹災救助基金法で百萬圓ということに定められておるのでありますから、内地並にいたしましても、北海道につきましては特に百萬圓という從來の北海道罹災救助基金法と同じような項目を挿入してある點が第二點であります。第三點は罹災救助基金法は厚生省新設前からの法律でありますために、罹災救助基金法の内務大臣の職權の中には厚生、内務兩大臣の職權が含まれておりましたから、今囘關係大臣の名前を明らかにいたしまして、趣旨を明らかにしようという點が第三點でございます。
きわめて事務的な改正でございますが、以上三點が改正のおもなる要點でございます。何とぞ御審議の上、速やかに協贊を與えられんことを切望いたす次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=2
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003・庄司一郎
○庄司委員長 氏原委員。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=3
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004・氏原一郎
○氏原委員 ただいま議題となつておりまする罹災救助基金法の一部改正の法律案につきまして、二、三お尋ねを申し上げたいと思います。
第一は、現行罹災救助基金法第三條に定めましたる府縣の基金最小額五十萬圓、及び本法改正によりまして決定をせられまする北海道百萬圓とありまする、この基金の最小額を、この際各都道府縣を通じまして五百萬圓程度に増額すべきではないかという點でございます。これにつきまして私どもがかような意見をもつておりまする點について、二、三の説明を加えたいと思いまするが、本法は明治三十二年法律第七十七號として制定せられまして、三十二年勅令第三百三十號でもつて七月の一日から施行となつております。同時にこの法律施行とともに、從來の備荒貯蓄法が廢止をされたのでありまして、この法律施行以來既に四十六年という長い年月を經過しておるのでございます。もちろんその間前後八囘にわたりまして本法に關する一部の改正が行われておりますることは、承知いたしておりまするけれども、この基金の最小額ということにつきましては、格段の考慮が拂われていないようでございます。私は單に現在の非常なインフレ下における貨幣價値ということを考えるばかりでなく、罹災救助ということ、特に非常災害の場合における罹災者の救助ということを徹底するがためには、相當の基金を必要とする實際の状況からもこれを考えまして、この最小額五十萬圓は、少くとも十倍程度に引上げなければ妥當ではないということを、考えるのであります。
第二は過般の戰災等によりまして、全國相當多數の都市が罹災をいたしました。その場合におきましても、また舊臘十二月二十一日の南海地方の震災の場合におきましても、實際問題といたしまして、地方廳はこの罹災救助基金によりまするところの救助ということは、ほとんどやつておりません。實際にはすべて國庫の力を借りるという、いわゆる他力本願のやり方だけしかとつておらないのであります。その證據は昭和二十年の年度初めの罹災救助基金の現在高と、昭和二十一年度の救助基金の現在高とを比較せられましたならば、一目瞭然であります。ほとんど地方廳はせつかくこの罹災救助基金というものを積み立てておりながら、非常災害の場合におきまして、この基金というものを運用いたしておりません。かようなことでありまするならば、原則的本質的に言いまするならば、この罹災救助基金というものを地方廳が積み立てをする必要はないということになるのであります。しかしながら、新憲法の施行によりまして、地方制度が改正をせられ、特に地方税制制度が根本的に改正をせられまする結果といたしまして、今後地方自治團體が、必ずしも今までのように中央の政府の力に依存するということは、許されなくなる傾向がだんだんと強化されると私は考える。この意味合いにおきまして、非常災害の場合における罹災ということは、地方廳それみずからの力で徹底をしなければならぬという情勢に相なりますることを考えております。もう一つは、現在の地方財政の關係等から考えまして、萬が一大きな災害等がございまして、この基金の支出をいたしました場合に、それを本法によつて決定せられまするところへまで補填をするというようなことが、非常に困難な状況が生れてくるのではないかと存じます。すなわち萬一大きな災害を受けるというような場合においては、五十萬圓程度の基金では何もできないということが考えられると同時に、もしその基金を一度支出したならば、それが補填ということは、今の地方財政ではなかなか困難である。從いまして、地方廳が災害等の場合において、中央政府の力に依存をして、あえてこの基金の支出をしないという理由はここにあるのであります。一度使つたならば、それを補填する力が現在ないから、なるべくこれを使わないで、政府の力に頼ろう。こういうことになるわけでありまして、この結果がややともいたしまするならば、災害等の場合におきまして、地方の自治體が適切、迅速に手を打つことができないで、中央からのいろいろな援助に依存するということに相なつておるわけであります。ごく輕微なる道路の修理というようなことも、この救助基金法の積立金のうちで、すぐやりまするならば、ごく短時間にでき上りますものを、わざわざ内務省の方へ補助の申請をするというようなことをして、ほつたらかしておる。そしてそれが、地方民の生活に非常な不便を與えておるというようなことは、事實において非常に澤山ございます。こういう意味から申しましても、私はこの基金の最小額を、少くとも十倍程度、五百萬圓以上に引上げることによつて、この基金を設定いたしておりますところの根本の目的を、十二分に達成するように考慮すべき時期は今ではないか、かように考えまするので、本法改正のこの機會において、この三條の最少額というものを引上げるということについての、政府當局の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=4
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005・葛西嘉資
○葛西政府委員 お答え申し上げます。ただいま氏原さんからのお話がございましたように、この罹災救助基金法に定めております額が五十萬圓あるいは百萬圓ということでありまして、いかにも低いと仰せられましたが、この點は私どもも現在の貨幣價値等から考えまして、まつたくお説の通りに考えておる次第でございます。ただ今囘の罹災救助基金法の改正は、北海道罹災救助基金法の施行期間の滿了に伴いまして、ほんの一部の事務的な改正を、そのことに伴いましてやつたということであるのでございまして、この程度で一應がまんしていただきたいというふうに考えておるのでございます。いずれこの罹災救助の根本の問題につきましては、ただいまだんだんと氏原委員からお述べいただきましたように、根本的な對策はぜひ立てなければ實情に合わぬということを、私ども過般の南海震災等の實例、あるいはその前の震災等の災害の實例で、實は痛感いたしておるのでございましたが、寄り寄り具體的な案等につきまして、研究はいたしておるのでありますが、財政當局、あるいは關係當局等とのいろいろな關係から、まだ成案を得るに至りませんので、とりあえず事務的な改正を提出したような次第でございます。御承知のように、現在におきましても、この基準額が少いのはまさに御指摘の通りでございまして、先般の南海震災等におきましても、國庫から相當額の資金を出してやつたというようなことでございまして、その點はまつたく御指摘の通りでございますが、いずれ根本的な改正は、成案を得た上で、さらに御協贊を仰ぎたいというような心づもりであるということを、第一の質問に對してはお答えといたしたいというように考えております。
第二の御質問でございますが、その證據としては罹災救助基金法はほとんどやつておらぬじやないかというようなことを、實際具體的に二十年度、二十一年度の現在高などを比較されての御所論、これもまつたくお説の通りであります。ただそういう大災害に對しましては、この罹災救助基金法は、ほとんど意味をなしませんようなかつこうになつておるのでございますけれども、御承知のように罹災救助基金法にあります通りに、府縣のごく一部にわたりまする災害等にかかつた場合には、金額等も若干少くて間に合うものでございますから、これを支拂しておるというような實例があるのは、氏原委員御指摘の通りであります。言葉をかえて申しますと、大きな災害については、まず第一點の御指摘の通り、金額が少いものでございますから、ほとんど用はなさぬものでありますが、ごく小さい災害等があつて何とかしなければならぬという場合には、またこの罹災救助基金の方でこれを使いまして相當の救濟をやつておるということは、これも氏原委員御承知の通りであります。現に南海震災等におきましても、若干の罹災救助基金を災害府縣等では支出をいたしております。これはもう足りないのでございますが、一應罹災救助基金法で出し得る程度のものは支出をいたしまして、足らない部分を國庫の方の數千萬圓というような金でやつておるという實情でございます。
第三點の補填の關係でございますが、この補填が非常に困難である。從いましてなかなか地方ではこれを出ししぶる、あるいはまた地方の災害の救助に非常に手間がかかるというような點、これもまた氏原委員御指摘の通りだと思つておるのでございます。補填につきましては御承知のように第七條にその補填の規定があるのでございますが、これも今の貨幣價値から申しますれば、ほとんど何ともなりませんし、地方の財政等から見ましても、なかなか困難なことでありまして、これらの點につきましては、第一の時に申し上げましたように、罹災救助基金に關しまするいろいろな根本的な改正というような點につきまして、はたしてこういうふうな罹災救助基金というものを積み立てておくことによつて、それで地方でやらすというようなことがいいのか。あるいはそうでなくて、國と地方公共團體との被害の程度に應じまする負擔の區分等をあらかじめきめておきまして、そうしてその基準によつてこれだけの支出を府縣が出せば、これだけの國庫補助がもらえるのだというようなことを法律できめて、それで府縣は安んじてあるいは借入金、あるいは府縣の他の資金等を使いまして、罹災救助をやつて行くのがいいのかどうか。それらの點につきましても、根本的な改正を企圖いたしておりますので、そのときにまた成案を得て御審議を願いたい。とりあえず本法改正の機會におきましては、ごく事務的に、期限が切れたその機會に一般に入れていく、一般救助基金竝にやつていくというようなことでやつていきたい。根本的な成案を得ますならば、直ちに帝國議會の協贊を得ましてやつていきたい。殊に私ども最近では南海震災あるいはその前のいろいろな災害等の場合にも、地方において現在の罹災救助基金はどうも工合が惡いというようなことから、何か根本的に案を立てなければならぬということは、非常に痛切に考えてもおりますので、至急に成案を具して、できるだけ早く御協贊を得るような運びにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=5
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006・氏原一郎
○氏原委員 北海道罹災救助基金法の廢止に伴いまする事務的な改正であるから、ごく事務的な改正として受取る。こういうのでありますけれども、私どもの議會側といたしましては、さような事務的な改正であるとはいいながら、結局ただいま申しまする最小額を五百萬圓にするということは、これまた事務的な改正である。しかも戰災及び今囘の震災等を通じて適切に要求せられておるものであるといたしますならば、私は根本的改正、根本的改正というようなことに藉口して、そういう基本的な問題を捨てておくということは、はなはだ厚生當局としては不忠實ではないかと存じます。
次にやはりこの限度に關係をしてでございますが、わが國におきましては、諸外國のように民間社會事業團體が罹災救助等のような仕事に對しまして、十分の活動をする力がございません。むしろ民間社會事業團體は、從來政府または公共團體あるいは財閥等の助成保護等の庇護のもとに、その事業を經營してまいつておる實情であります。ところが憲法の改正等によりまして、民間社會事業に對する政府の補助等も、原則としては與えられないということになり、もし一朝災害等がありました場合において、從來民間社會事業團體が、みずからの力をもつて救助等に努めておりましたようなことも、今後はおそらく不可能になつてまいるであろうということが豫見せられます。現に私ども戰災等の場合におきましては、さいわいに一社會事業團體といたしまして隨分多額の經費を投じまして、縣の仕事ないしは國の仕事であると思われるところにまで、全力を傾倒して助力をしたのでありまするが、それでもその後戰災のためにすべてのものを失いますると、今度の震災にあたつては、もう目の前で救助を迅速に社會事業團體としてやらなければならぬということがわかつておりながら、經費等の關係で何も手が出なかつたのであります。おそらくこれは全國の社會事業團體が、私どもと同樣の惱みをもつておることであろうと思いまするし、今後私設社會事業團體等によつて、罹災救助といつたような仕事を分擔をしてもろうということは、おそらく不可能ではなかろうかと思います。こういう點から考えましても、その基金を充實して萬一に備えるということは、最も必要な時期だと私は思う。この點に對する政府の御意見を伺いたい。
それからこの機會にこの法律を私の申しまするように、基金の最小額を上げることが一番適當な時期であるということを申し上げる理由はこういう點であります。今囘地方税制の改正が行われます。從來國税でありましたところの相當有力な税が、すべて地方に委讓されることに決定をいたしました。こうなりますると、この中で遊興飮食税が地方に委讓されまして、遊興税という名目のもとに、獨立税として取扱われるということに相なつております。この收入は各都道府縣を通じて相當多額に上るべきことが、大體數字的にも明らかにされております。よつてこの相當多額に上ることの豫想せられまする遊興税の收入額のわずかに百分の二・二%を五年間ずつ各都道府縣の收入の中から、翌年度の罹災救助基金の方に繰入れをいたしますならば、現在の各都道府縣の罹災救助基金の現在高が、最低五百萬圓程度に充實をいたしますることはまことに容易なことである。しかも遊興税の百分の二程度のものを、わずかに五箇年間だけこの基金に繰入れるという措置については、決してこれは地方財政の壓迫にもなりませんし、むしろ地方財政は、遊興税に對する脱税防止にほんの少し力をいたしまするならば、百分の二程度の罹災救助基金への繰入れは、易々たるものでございます。こういう點から考えまして、私はこの際國もしくは公共團體の代りに、相當の罹災救助の仕事をやつておつた私設社會事業團體が微力な現段階において、さらにまた罹災救助基金を充實するための一つの財源が地方公共團體に與えられた機會に、どうしてもこの點はこの際改正をいたしまして、根本的な改正が行われなければならないという事情がありまするならば、それは後にまわしても結構でございまするが、この基金の最小額の引上げをやるという點については、この時こそ厚生當局は進んでおやりになるべきではないかといふうに考えるのであります。くどいようでございますけれども、なおこの二つの點について御意見を伺いたい。殊に私はこの遊興税の地方委讓に伴いまする罹災救助基金の充實ということについては、おそらく内務當局においても異論はなかろうと思います。こういう點から考えて罹災救助金を厚生當局が地方にもたす必要がないとするならば、北海道罹災救助基金法廢止と同時に、本法それ自體をも廢止すべきである。だがしかし從來の經驗から考えまして、どうしても置かなければならぬというものならば、私はこの機會に、ぜひともそういう措置をとるべきではないかと考えるのでありまするが、御所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=6
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007・葛西嘉資
○葛西政府委員 ただいま氏原さんから、事務的改正に藉口して、ちつとも改正をしておらぬじやないか。殊にそれは非常に不誠意であるというようなおしかりを受けたのでありますが、實はこの罹災救助の問題につきましては、非常にいろんな問題が考えさせられるのでございます。第一に金の問題にいたしましても、氏原委員は五百萬圓ということを申されたのでありますが、はたして五百萬圓で適當であろうかどうかというようなことを考えてみますると、南海震災等の場合におきましても、國の方から出しました金だけでも、高知縣等に對しましては既に二千八百餘萬圓というような金を交付いたしておるのでありまして、やはり相當大きな規模になつてまいりますると、金も現に不足をしてまいりましたというようなことで、それをいかにきめるかということにつきましても、實は非常に困つている點があるのでございます。
それからもう一つは、先ほどもちよつと申し上げましたように、基金をもつておるということのほかに、國庫補助というような、一つの災害に對して國もいろいろめんどうを見なくてはならぬではないかというような議論も考えられるのであります。そういうような國、公共團體、あるいは公共團體相互の間におきまする負擔の割合というようなものについても、相當考えなければならぬのではないか。過去の幾多の災害の實例から見て、そんなような感を深くいたすのであります。從いましてこの改正をいたすにつきましては、非常に不誠意だというようなおしかりを受けたのでありますが、かすにもう少し時日をいただきたいというふうに思うのであります。
それから第二は物の問題でありますが、今度の南海震災等の實例につきましては、私ども若干東京で保管しておりました物を現地へ送るとか、あるいは現地で救濟用のために備蓄をいたしておりましたものを、これに放出するというような措置を講じたのであります。これらはいずれも終戰の際に若干備蓄いたしておりましたものを利用したわけでありますが、だんだんとそういうような備蓄も減じてまいるのであります。そうなりますと、罹災用の備蓄というようなものについて、現在この物の不足しておる場合に、これをどう備蓄していくかというような問題も、御承知のようにあるわけでございます。
それから第三には今お述べになりましたが、從來とも民間の社會事業施設は自力でいろいろやつていただいておつたのでございます。これらの點につきましては、私どもといたしましても、まことに感謝にたえないのでございまするが、こういうような民間團體、特に終戰後におきまする赤十字社というような團體が、罹災救助というようなことに、どういうような關係をもつているかというような點、これらの點につきましては、日本赤十字社については、アメリカ本國からもアドバイザーなどがまいつておりまして、いろいろこれに對する協力の點等について、私どもにも具體的に御相談があるわけであります。そんなような金、あるいは私設團體の協力というような點につきまして、もう少しまとまりのある一つの罹災保護法というか、災害保護法と言いますか、罹災救助法と申しますかをつくることについては、のんきなことを申さずに現在もできるだけ早く成案を得て御協贊を仰ぎたいと思つておるのであります。
第二に氏原委員からお述べになりました遊興税等の脱税を防止する、あるいは若干のものを繰入れることによつてやる。そうなりますると、税の地方委讓に伴う非常ないい時期じやないかというような、具體的な例をもつての、時期に關する御意見がございましたが、右申し上げましたような事情もありまするので、この點につきましては、もう少しがすに時日をもつてしていただきたいというふうに思つておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=7
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008・氏原一郎
○氏原委員 その次にお尋ねしたいのは、現行法第八條第七項の就業費の問題でございまするが、就業費につきましては本法第十四條の規定によりますると、「價格僅少ナル資料又ハ器具ニ依頼シ業務ニ從事スル者ニシテ罹災ノ爲其ノ資料又ハ器具ヲ亡失シタルモノニ就業ノ爲必要缺クヘカラサル資料又ハ器具ヲ給與スル」ということに相なつております。ところがこの「價格僅少ナル」という條件がありますために、從來罹災救助というお仕事の上で、たとえばその第八條の一號から六號までの避難所の設備とか、食料とか、あるいは被服とか治療とか埋葬とか、小屋掛というようなことは實際上やつておりますが、就業以下學用品の給與とかいうようなことは、實際問題として地方廳はほとんどやつておりません。殊に就業ということについて第十四條の規定が「價格僅少ナル」というような一つの條件がついておりますがために、從來實際問題として罹災救助の場合における就業費の支出ということがないのであります。これは私が申し上げるまでもない。私は相當各府縣の實際上のこれに對する資料をまとめてお話申し上げるのでありますが、やつておりません。むしろ私はこの點は、今お話では、近い將來に根本的な法の改正ということを考えておられるというのでありますが、そういう場合においては、むしろこの就業費とか學用品の給與とかいうような問題は、生活保護法の生業扶助というような方面へ委ねることにいたしまして、かような條項は削除してはどうかというふうに考えるのであります。殊に小屋掛とか埋葬とかいうようなことは、從來罹災救助基金法で經費を支出いたしましたものは、大體身もとがわからない、とりあえず小屋掛で入れなければならぬというようなことで、この基金でやりましたけれども、就業費を資出するということになりましたときには、一應事態が鎭靜いたしまして、どこに住居をしておつた何の某がどういう仕事をしておつた。それに對する就業費を支出しなければならないというようなことでありますので、これは當然生活保護法の對象として生業扶助をやるべきものではないかというふうに考えるのでありますが、御意見を承りたい。
ついでにもう一、二點でありますが、現行法第十五條ノ二に、基金の貯蓄が勅令をもつて定むる金額に達した府縣は、ある限度によつて本基金に繰入れるべき金額中から、生活保護法施行に要する經費に充つるということを認めております。これは私は絶對に反對するものであります。というのは、今後のわが國の經濟界を豫想いたしまするならば失業者の増加、戰爭犧牲者の生活難等々、生活保護法によつて保護すべき對象は、増加の一路をたどるべきことが必至であります。從いまして都道府縣及び市町村における生活保護法の施行に要する經費もまた増加せざるを得ないことは、これまた必至であります。といたしますならば、ともすれば非常災害の場合におけるこの基金、非常緊急の場合に役立てるための金が、市町村もしくは都道府縣の恒常的な社會事業施設としての生活保護法の經費に流用されるということは、この罹災救助基金の積立ての精神に反するものではないか。罹災救助基金は一定限度以上に蓄積ができまして、相當ゆたかになりましても、それはあくまで本法第二條にあります非常災害ということを對象として考えるべきであつて、恒常的な生活保護法の經費にその一部を流用するというようなことは、本法の精神を根本的に破壞するものであると考えられるのでありますが、この點についての當局の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=8
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009・葛西嘉資
○葛西政府委員 第一の御質問の點は、御承知のように罹災救助の場合は、ほんの應急の救助でございますので、ほとんど貧富を問わないのであります。生活保護では現に生活の保護を要する状態にある者というような限定があるのでありますが、罹災救助の場合には現實に就業の具がないとか、あるいは學用品を失つたというような者について、應急に給與をしなければならぬというようなことから、生活保護法のような特別な制限は設けていないのであります。從いましてこれを罹災救助の方から削つて生活保護法に全部移してまいりますと、生活保護法にかからないような者で學用品などに困つてくるような者もできてくるのじやないかという心配もあるものでありますから、この點につきましては、やはり罹災救助においてこれを設けておくということが必要のように私は考えるのであります。
なお就業費等について「價格僅少ナル」というような制限があるために、非常に活用ができていないというような御指摘でありますが、この點については、實はその通りのふしもあるのであります。ただこの罹災救助の限度につきましては、生活保護法等とにらみ合わせまして、その時に應じまして給與の額等はきめさせることにいたしております。就業費等は生活保護法と同じように、府縣から申請がありますれば一戸約千圓、生活保護法の制限は現在基準が千圓になつておりますので、その程度までは引上げることを、實は認めているわけであります。縣によりますと、あるいは罹災等がないために、今氏原委員御指摘のように、古いほとんど用をなさぬような限度を縣限りできめている所もありますが、これらの點につきましては、よく指導をいたしまして、今御指摘になつたような實情に合わぬような額でないようにやつてまいりたいと考えております、現に千圓限度まで引上げております縣も三、四あるのが實情でございますので、これは指導の方で今御指摘なりましたようにやつてまいりたいと考えている次第であります。
それから第二は、法律の第十五條ノ二によりまして、一定の金額の範圍内におきまして、生活保護法施行に要する經費に充てることができるという規定は、趣旨としていけないのじやないかという御意見でございましたが、この點につきましても、實は地方の財源等を考慮いたしまして、地方でありますれば、今氏原委員御指摘の通り、地方の財源でやるべきでありまして、罹災救助の基金の方を食うということは、まつたく御指摘の通りと私ども存じております。ただ地方の財政が非常に困難であるような場合におきまして、緊急な生活保護法の施行に關する地方費負擔等が賄えないような場合等も、考えられるものでありますから、かような場合におきましては、生活保護法の施行に要する經費に充てることができるというように規定してあるのでございます。二十年度の實例を見ましても、すなわち生活保護法に充てました金額はわずかで、八十二萬圓ということになつておるのでありまして、實際の運用といたしましては、これをさしあたり活用しているというふうには認められないのでございます。まつたく精神は氏原委員御指摘の通りだと思いますが、地方の財政等で、何ともやりくりのつかない場合においては、この中から出してもよいのだということは、保護法が必要でありますれば必要であるだけ、これだけのことをなし得るということは、やはりきめておきたいというふうに思うのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=9
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010・氏原一郎
○氏原委員 葛西政府委員の御答辯を聽いて、私は非常に遺憾であります。厚生當局は地方における社會事業というものが、特に地方廳の財務當局との間に、どういうふうに摩擦を起しているかということを、ちよつとも御承知がない。ともすれば地方廳におきまして生活保護法によるところの都道府縣の負擔、あるいは市町村の負擔というものを免れんがために、實際に生活に困窮しておりまする、生活保護法の對象として保護すべき人々がずいぶん市町村役場の財政の理由によつて、あるいは都道府縣の財政理由によつて漏れているものが少くないと思います。もちろんこの反對には、生活保護法の對象にならないような人も、對象として取扱われていることもないとは申せませぬけれども、地方の財政の窮迫ということを理由として、いかに生活保護法の運用が阻止されているかということは、地方におきまして社會事業等に從事いたしておりまする私どもには日々わかる。しかも今日におきましては引揚者、戰災者あるいは戰爭犧牲者の遺家族といつたような人々が、だんだんと生活が窮屈になつておるのであります。日々の新聞等におきましても、疎開をしている人々の間に非常に大きな家庭的悲劇が起つておる。あるいは引揚者の方々の生活がだんだんと窮迫しているということは、もうこれは私があえて申し上げるまでもない。少くとも厚生當局としては、特に社會局長としては、この厚生省の所管いたしまする生活保護法というものの面から考えていつて、どうしても都道府縣の財政當局と、都道府縣厚生當局との間において、この財源というものを中心として常に爭うております實情を考えて、厚生當局はむしろ都道府縣の社會厚生事業というものに對しては、財政當局との爭いの場合においても、一應社會事業というものを支持すべきものではないかと私は思う。今お話になりますところによると、二十年度にはわずかに八十萬圓程度しか生活保護の經費に充てられていないから、決して大きなものではないと、こうおつしやるが、私の憂えるのは、先刻來申し上げます通り、今後のわが國經濟界の實情を豫見をする場合において、だんだんとこの生活保護法の對象となるべき人が殖えるのであろう。そうすれば必ず都道府縣は財源ということに藉口して、この仕事に對して消極的になるではないか。特に市町村では、そういうことがあり得るのである。だからどうしてもそういう經費は、ここに基金があるのだからこれを使つてもかまわないというような逃げ道をこしらえておきますることは、この基金本來の目的に對して非常に危險性がある、こう思います。こういう點から考えて、私は根本的な改正をなさる場合に、愼重にひとつお考えを願いたい問題であると存ずるのであります。
なお厚生當局に二、三お尋ねいたしたいことがございまするが、内務省の國土局長がちようどお見えくださつているようでございますから、簡單でございまするから、その方をひとつ先にお尋ねをいたしたいのであります。問題はただ二點でございます。第一の問題は、今囘の南海震災の救援及び復舊に關する國土局關係に限られまた問題について、お伺いを申し上げたいのであります。今囘の震災は、戰災の創痍がまだ全然いえないで、復舊も緒についていない場合に、突如としてまいりましたので、地方廳等におきまして、この復舊に對しては、ほとんど呆然として手がつかないというような實情にございます。殊に和歌山、徳島、高知というような震害の非常に深刻でありました地區におきましては、戰災のときのように、ただ都市の家屋とか工場とかいうようなものだけが被害を受けたのではございませんので、道路、堤防、あるいはその他のいわゆる公共施設に、非常にひどい被害を受けているのでございます。と同時に、それらの被害は少くとも本年の雨季に一應救援復舊の具體的な手を打たないと、この雨季に入りましたならば再び災害を繰返すというふうに考えられる實際の問題が多いのであります。たとえて申しますると高知市でございまするが、高知市を取卷いておりまする堤防二萬メートルのうちで、崩壞、決壞をいたしておりまする部分が一萬メートルに及んでおります。ところで高知市は一方におきましては鏡川に沿うておりまする堤防がほとんど龜裂を生じている。一方においては國分川に向つております堤防がほとんど崩壞、決壞であります。浦戸灣に面しておりまする堤防がこれまた同樣であります。これをこのままでほんのごく應急の措置だけで捨てておきますると、この五月、六月、七月頃の雨季にはいりましたならば、鏡川の上流地方、國分川の上流地方が、この戰爭中からの過伐、濫伐で二時間も雨が降るとすぐ氾濫いたすような關係から、高知市は全面的に水浸しになるというようなおそれが多分にございます。これについては、殘念なことには現在の地方財政の實情をもつていたしましては、根本的なことはもちろんでございますけれども、ごく應急の措置すらも、とうていできないという實情になつております。また御案内でもございましようが、徳島縣の淺川村附近の海岸に面しました道路といつたようなものも、あのままでこれを放置いたしますると、雨季に入りまするとこの龜裂のところから水が入りまして必ず崩壞をする。和歌山縣にも同樣な箇所が少くございません。御承知の通り高知縣、徳島縣等の今囘の震害の最もひどかつた地區は、非常に交通不便の地區でございまして、府縣道が唯一の交通の幹線でございまするが、それらの幹線の道路が非常に傷んでおつて、しかも雨季までにこれを何とか始末をつけておかなければ危險である。そうして今度は震災の代りに水災が襲うてくる。高知縣幡多郡中村町のごときは、後川とちようど今内務省がおやりになつております四萬十川の改修工事、あの堤防がほとんど壞れてしまつておる。そういたしますと、この雨季までにあの工事が行われなかつたならば、中村町はほとんどもう流れてしまうというような結果になりますることが、豫見されるのでございまするし、これらの點について、國土局といたしましては十分な御調査をなさつて、對策をお立てくださつていることとは思いまするけれども、せつかくそういう對策がお立ちになりましても、この問題は急速にこれを取扱わぬことにおきましては災害を再び繰返さなければならぬ。しかも今度くる災害は、より深刻なものになるというおそれがあるのでありますので、この機會にそれらの點について、南海震災地區全體について、國土局としての河川あるいは道路等の復舊の施設等に對する御所見を伺いたいと存じます。
いま一點は、これは國土局の直接御管掌のことではございませんので、別の機會で結構でございますが、ひとつ適當な御答辯をいただきたいと思うのでありますが、今囘の震災に對しまするところの政府の各省の補助の問題でございます。もちろん災害に對しましては、從來いろいろと補助の率等が決定はしておりまするけれども、少くとも今囘の南海震災というものは、非常に廣汎な範圍にわたりまして、しかもあらゆる産業を通じて大きな打撃を受けたのでございますので、從來の補助という觀念から脱却して、むしろ震災復舊の交付金といつたようなものを、國庫が支出すべきではないか。もちろんそれは個人の營業に對して交付金を出せというのではございませんが、少くとも公共的な施設等につきましての復舊は、國庫交付金という形式で、從來の補助率等にとらわれないで、多額の支出を國庫はすベきではないか、こういうふうに考えるのでございますが、これらの點について國土局としての御意見はいかがでありましうか。この二つの點について御答辯をいただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=10
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011・岩澤忠恭
○岩澤政府委員 お答え申し上げます。昨年十二月に突發いたしました南海震災は、關東大震災以上の震災と言われておつたのでありますが、さいわいに震源地が遠かつたために、地震直接による災害は比較的輕微でありましたけれども、それに伴う津浪の被害は非常に甚大でありまして、御承知の通り高知縣以下十四縣において人畜、家屋、竝びに公共事業が非常な損害をかうむつたことは、既に御承知の通りであります。それにつきまして内務省といたしましては、府縣を督勵し、また内務省自體も調査員を派遣し、またこの震災による地盤の沈下が、はたしてどのくらいの程度沈下をしたかというような調査も、地理調査所員を派遣いたしました結果、現在高知附近におきまして大體一メートルぐらいは沈下しておるという報告を得ました。それからこの十四縣における公共事業の披害の總額は十億一千三百萬圓程度でありまして、その十億一千三百萬圓のうちの八億四千七百萬圓ぐらいは高知縣に屬しておりまして、結局この南海震災というものは、高知縣が大部分を背負つておるわけであります。從いましてこの高知懸の八億四千萬圓のうちで、最も被害の甚大であつたものは、今御指摘になりました高知附近であります。これに次ぐものが幡多郡の中村の附近でありまして、この兩地域とも、お話になりました通りに河川に圍まれておる状態でありますから、この河川の堤防が震災によつて非常に沈下し、また破壞をした。從つて今度の雨季までには、當然水害を免れるようにしなければならぬという考えから、縣當局とも十分打合わせまして、現在においては第一次應急、第二次應急は一應完了しておるような状態であります。すなわち第一次、第二次の應急というのは、結局この高知附近で申し上げますと、堤防の破壞のためと、それから地盤の沈下のために潮が田畑の中にはいる。その潮止め工事は一應完成しておりますけれども、震災による堤防の決壞竝びに龜裂、また堤防が沈下するというような結果から、一朝水が出た場合においては、これが溢流する。それを防止するということが、今後に殘された重大な問題でありますから、この第三期における本工事のものにつきまして、既に高知附近のいろいろの復舊工事につきましては、今相當大規模な工事を段取りをし、著手をしておりますから、少くとも今までの報告によりますと、來るべき水害時季までには一應の被害を免れるような結果になるのではないかと思います。また幡多郡における中村附近の河川につきましては、内務省の方でこれを從來からやつておりましたが、一昨日中國四國出張所長からの報告によりますと、必ず六月の出水季までには、完全に出水を阻止するだけの準備ができたという報告がありましたから、その點は御安心を願いたいと思います。要するに震災による復舊に伴うことは、出水季までには、一應は出水のために災害が再び起らないように私どもは府縣を督勵し、また私どもに直接關係のある工事については、責任をもつてこれをやりたいと存じておるのであります。
次に補助率の問題でありますが、これは從來災害の補助率は、全體の工事費の三分の二を補助するという建前でありました。けれども、震災につきましては額が非常に多くなるし、また突發的なものであるために、三分の二の補助率をもつと高率に上げるというような考えから、今囘の震災の復舊の補助率は大體内務省の方の原案といたしましては七割から十割。これは工事費にもよりますけれども、高知縣のごときは大體われわれの考えておりますところは十割、いわゆる全額國費をもつてこれを支辨するという考え方で進んでおりますけれども、これはなお大藏省と今後十分折衝しなければ、國の財政いかんによつて多少の變更は免れないと考えております。なお交付金を云々というお話もありましたけれども、これは今後における補助をするということについては、氏原さんと私は同意見のように考えておるのです。というのは、税制が改正になりますると、地方財源は相當豐冨になりますから、こういつたようなものは、少くとも縣財政の今後の見透しを十分確立して、そうして縣の財政がこういう災害復舊費を支辨し得ないという程度の大小がわかれば、これに對し國が交付するというような建前にした方が、中央の政府としても、また地方の府縣にしても、すべて從來のように中央依存という觀念を去る意味において、非常に結構なことと思います。しかしながらまだ地方税制の改正が緒についたばかりで、實際においての今後の見透しはつきませんから、これは今後における問題といたしまして、さしあたり應急としましては、從來の補助の觀念におきまして高率にできるように盡力いたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=11
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012・氏原一郎
○氏原委員 もう一點お尋ねをいたしたいと思います。震災地區における都市計畫の關係でございますが、ただいま國土局長がお話になりました通り、高知市におきましては地盤の低下一メートル、室戸崎におきましては地盤の隆起これまた一メートル以上というような工合で、非常に地理的な變化が起つております。殊に高知市の都市計畫でありますが、高知市は全國二番目に本省の許可を受けて都市計畫を實行すべく計畫を立てておるのであります。ところが今囘地盤の變化によりまして低下いたしました地區は、さいわいに戰災を免れて殘つておつた地區でありまして、この地區がすなわち高知市の約六分の一程度のものが水中に沒しておるのであります。ところがこの都市計畫の實行につきまして、高知縣及び高知市等は、既に本省の許可を受けたものだから、この計畫は絶對に變更しない。こういう大きな震災によるところの變化が起つたにもかかわらず、この都市計畫は本省の許可を受けたからして、あくまでもこれを強行するという態度を相當強くとりまして、現在市民と縣及び市との間に、震災後におきまして非常に大きな對立が生れております。過日それらの代表の方々がわざわざ上京までせられておるようなわけでございますが、私は都市計畫の實行、殊に震災地區における都市計畫の實行といつたようなことは、一應科學的な調査も終り、また全體的な總合的な計畫が立つまでそれらの計畫の實行は延期をするとかいうような措置がとられなければ、ほんとうに都市計畫が、市民の納得の上に實行されるものではない、こういうふうに考えるのであります。これはまことに地方的な問題で御迷惑であるかもわかりませんけれども、この問題についての御所見をひとつこの機會に伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=12
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013・岩澤忠恭
○岩澤政府委員 御所見ごもつともだと思いますが、高知市の都市計畫につきましては、高知市が戰災を受けたために、戰災地の都市計畫は戰災復興院でやつておる状態です。私どもがこの際ここでかれこれ申し上げるのもいかがかと存じますから、差控えたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=13
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014・氏原一郎
○氏原委員 内務省への質問はこれで終ります。
それでは元にもどりまして、厚生當局にもう一、二點お伺いを申し上げたいと思います。先刻來の御答辯によりまして、罹災救助基金法というものについて、本質的な、基本的な態度を厚生省としてはきめなければならない時期に直面をしておるという御意圖が、伺われるのであります。しからばこの法律の基本的な根本的な改正は、新憲法の施行までに行われます選擧によつて新しく生れてまいります國會、その當初の新しい議會に、御提出になる御用意があるかないか。この點を一つ伺つておきたいと思います。それからその場合基本的な問題として、先刻來私が申しました罹災救助基金というものを設置すべきものであると考えるならば、私はかりに五百萬圓という最小限の限度を示しましたけれども、その最小限度を現在の五十萬圓、北海道の百萬圓から引上げていくということの根本的な問題についてはどうであるかということを、ひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
それから重複しますけれども、現在のわが國における私設社會事業に對する厚生省の態度を、この際私はもう一應掘り下げて伺つておきたいと思う。一體政府は、戰爭中はほとんど社會事業などというものについては十分な關心を示されないで、むしろこれは中央の政府においても、厚生省は勤勞關係の仕事以外の、いわゆる救貧、防貧、という仕事は、第二義的に考えられておつたのではないかと私ども考えられる。ところが戰爭終了後、にわかに厚生事業、社會事業が非常に範圍を廣くして取上げられてきた。ところでわが國におきましては、社會事業そのものが本質的に十分に發達をしていない。しかも公共團體、政府等のやります社會事業には、非常な官僚的な、畫一的な欠陷がある。從つてわが國の社會事業の中軸をなしてまいりましたものは、一應民間私設社會事業が、今日までの日本の社會事業の中軸をなしてきたものであると私どもは考えておる。ところが憲法改正によつて、國家の補助はこれに與えることはできないというふうにも相なつたでありましようし、財閥の解體等によりまして、從來の民間私設社會事業が、その方面からの保護を受けることもできなくなつた。一體日本の私設社會事業は死か生かという、最後の關頭に追いこまれておるものが少くありません。私の乏しい調査でございますけれども、全國の私設社會事業團體の中で約四百というものは開店休業の形でございます。これは特に關西地方を中心として調べたのでありますが、約四百の、戰時中もしくは戰前には相當活動しておりました團體が、看板だけは出ておりますけれども、事業休止の状態に陷つております。これをそのまま滅ぼすのか、それともこれに活を入れるのかということは、罹災救助という問題、あるいは政府の今後の生活保護法の徹底の場合におきましても、外郭團體としての活動が行われることによつて初めてこれができる。たとえば生活保護法によつて、生活上保護いたしましても、それだけでは足りません。一部の私設社會事業の授産事業がそれとタイアツプいたしまして、初めて要生活保護者の家庭生活が成り立つていくのである。こういう意味から申しますと、民間社會事業に對しては十分考える餘地のある問題である。しかもこの場合これを根本的に考えてやらなければならない時期ではないかと私ども考えるのでありますが、これらの點について、政府の統合的な御意見と、民間社會事業に對する厚生當局のお考えを、ひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=14
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015・葛西嘉資
○葛西政府委員 第一のお尋ねの罹災救助法と申しますか、根本的な對策に對する法案を、來るべき新議會に提出の用意あるかというふうな御質問でございましたが、私ども事務當局といたしましては、これは財政當局と非常に關連があるのでございますから、鋭意財政當局と折衝をして、なるべく近い機會にこれを提出する準備をいたしたいという心づもりでおります。法案の提出につきまして、私ごときものが來議會に提出するということを申すことはいかがと思いますので、今のようなことでひとつ御諒承いただきたいと思います。それからもしそういうふうな場合におきまして基金を設置するものとするならば、その基金を上げるかどうかという點でございますが、一番初めに申し上げましたように、一般の五十萬圓といい、あるいは北海道の百萬圓といい、現在の状態におきましてこれらのものが府縣の全部または一部にわたる非常災害の救助ということについて、いかに過小なものであるかという點についての認識は、十分いたしておるつもりでございますので、改正等の機會におきましては、これらの點もぜひ相當の金額まで引上げたいという希望をもつておるということで、御諒承いただきたいと思います。
第三の私設社會事業に對する政府としての態度はどうかということにつきまして、あるいは公の社會事業がとかく惡い意味の官僚的、あるいは畫一的な欠陷があるという點、あるいは新憲法を引いての私設社會事業に對しまする御懸念等の點から、御質問があつたのでございますが、この點は第九十帝國議會生活保護法の審議のときにおきましても、そういう趣旨の御質問がございまして、河合厚生大臣から、私設社會事業に對しては、政府はできるだけの援助をしたいと思つておるというお答えがあつたのでございます。根本はまことにさようなことでございます。ただ今御指摘のありましたように、現在のいろいろな困難からして、相當な數の私設社會事業が、事業休止のやむなきに至つておるという實情のあることも、よく存じております。事業休止の原因につきましては、第一はほとんど戰災によつて傷手をこうむつてしまつたものと、第二は經營の點から非常に困つておるものとがあるようでございます。御承知のように生活保護法によりますと、生活保護法の保護施設ということになりますれば、御承知のように生活保護法から施設事務費というものが支出できることになつておりますので、大體の傾向といたしましては、生活保護法の保護施設によつたものについては、若干息を吹き返しているのではないかというような觀測ももつております。殊に施設事務費は現在の物價高、あるいは待遇改善費等に伴いまして、二倍弱の増額を企圖いたしておりますし、來年度におきましては、保護施設になつたものについては、相當のことができるのじやないかというふうに思つております。ただ生活保護法にかからない、何と申しますか、ボーダー・ラインにあるものと申しましようか、具體的に申しますれば生活保護法でない保育施設をやつているとか、あるいはセツツルメント、隣保事業をやつているとか、いろいろな廣い意味の社會事業——社會事業法に含まれているものの中には、生活保護法にかけられないものも若干御承知のようにあるのでございます。これらのものにつきましては、社會事業法によりまする補助があるわけでございますが、これらの額はきわめて少いのでございまして、私どもはできるだけいろいろな經費不足を補う方法につきまして、目下苦慮をいたしているような實情でございます、一昨日でございますか、民間の社會事業家と政府の方の側と、それからG・H・Qのウエルフエアー・セクシヨンの人たちと實は集まつて、こういう方面についていろいろほんとうのフリー・トーキングで研究をいたしたような次第であります。ぜひ私どもとして何とかしてやつてまいりたいというふうに思つております。なお私設社會事業に對する政府の態度といたしましては、これは常に大臣からも私は言われているのでございまして、私どもその通り實施してまいりたいと思つているのでございますが、大分施設が燒けたり、あるいは相當な社會施設をつくるにつきましては、民間の方々のお力では、現在のような状態ではなかなかできないのでありまして、これらの施設を縣なり、あるいは市町村なりで設置いたしまして、これを民間のそういうふうな達識な、經驗に富んだものを活かす意味におきまして、民間のかような團體に委託をするというようなことをやつてまいつているのでございますが、將來ともこういうふうなことは、ぜひやつてまいりたい。言葉をかえて申しますれば、公有民營というようなかつこうになるものと思うのであります。かような點によりまして、畫一的な、あるいは事務的に直接處理されやすい社會事業に血を通わすことになるのじやないかというように考えております。休止をされております施設等の職員等で適當な方がありますれば、そういうふうなものに事業を委託するというようなことで、やつてまいりたいと思つております。實例といたしましは、多分御存じだと思いますが、特に申し上げておきたいと思いますのは、第九十帝國議會での生活保護法の委員會でも問題になつたのでありますが、轉落をいたしましたいわゆるやみの女などの保護施設を、政府におきましては千數百萬圓の金を投じて今いたしているのであります。これらの施設等は、經營等が非常にめんどうでありますし、畫一的に、事務的にやるというようなことでは、改過遷善をさしていくことは、なかなかむずかしいというようなことから、あるいは救世軍でありますとか、あるいは婦人矯風會であるとかいうような、民間の經驗をもつた人に、それらの施設の全部を委託するという方針でやつております。ほかのいろいろな施設等につきましても、でき得る限りそういうふうなことでやつてまいりたいという心持で、これらの點につきましては、地方廳等にも指示いたしているような次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=15
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016・氏原一郎
○氏原委員 以上で質問を打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=16
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017・庄司一郎
○庄司委員長 いかがでございましようか。ただいま議題となつている本法案は、まだ貴族院にもまわらない法案でありますので、この際皆さんの御諒解を得まして、討論を終結し、可否を決したいと思いますが、各黨の御相談の必要もあると考えられますので、午後再開の時に態度の御決定を願うことにいたしましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=17
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018・庄司一郎
○庄司委員長 御異議ないようでありますから、さようにいたすことにしまして、暫時休憩して、午后は一時より再開したいと思います。なおその際昨日お願い申し上げておきました恩赦法案に關する態度もおきめの上、御參集願いたいと思います。
午后零時五分休憩
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午后一時三十五分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=18
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019・庄司一郎
○庄司委員長 午前に引續きましてこれより本委員會を再開いたします。
これより恩赦法案を議題として討論に付すことにいたしまして、討論はこれを逐次許します。自由黨代表今井はつ委員。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=19
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020・今井はつ
○今井(は)委員 私は日本自由黨を代表いたしまして、本案に贊成をいたします。その贊成の理由は、人身擁護の見地から罪を憎んで人を憎まず、犯罪者たりとも人の子、同じ同胞のことですから、それが、過つて罪を犯し法の裁きを受ける不幸に前非を悔い、涙に生活する者に對し、恩赦の惠みを與える本案に何をもつて反對できましようか。私は日本國民友愛の精神から感謝をいたしまして贊成するものでございます。
終りに臨みまして、一言希望を申し上げたいと思います。わが國日本は、小さな島國とは言いながら、八千萬の人口を有し、無冠の帝王と言われるところの多數のジヤーナリストを有するところの言論機關もあり、また國會もあれば、貴族院もあり、樞密院もあり、またあまたの重臣もおりながら、ただ一人の爲政者なく、ただ一人の經世者なく、ただ一人の義人もおりませずして、立派な憲法がありながら、その行使の途を誤り、少數の軍國主義者、軍閥の獨裁を許しまして、現在の敗戰の苦汁をなめる有樣となつたのでございます。それに鑑みまして、司法官におかれましても、官紀肅正、本案を同胞愛の精神をもつて、公平かつ無私をもつて、正しい行使のほどを希望いたしますとともに、大臣及び政府委員の御答辯を誠實に實行され、次に起草されますところの刑法に、必ず前科抹消を取入れられんことを望みまして、贊成をいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=20
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021・庄司一郎
○庄司委員長 進歩黨、森山ヨネさん。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=21
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022・森山ヨネ
○森山委員 日本進歩黨を代表いたしまして贊意を表したいと思います。この恩赦法がこのたび法律として制定されますということは、まことに當然のことでありまして、これは人道的、民主的であると思います。今後これが間違いなくその運營がされまして、所期の目的が達せられますことを希望いたしまして、贊成いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=22
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023・庄司一郎
○庄司委員長 社會黨代表氏原一郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=23
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024・氏原一郎
○氏原委員 私は日本社會黨を代表いたしまして、政府提出の恩赦法案に對して贊意を表したいと思います。本法は新憲法實施に伴いまする最も適切なる法の制定でございます。從來の天皇の名によるところの恩赦ということが、天皇の認證によりまして、國民全體の納得と理解の上に立つて、先刻今井委員が申されましたように、人類愛的な見地から公然となされるところの法律であるわけでございます。この運用に誤りがなければ必ずや法の目的は十分に達せられる次第でございますので、日本社會黨といたしましては、政府の原案を支持いたしまするとともに、今井委員の御發言のありましたように、本法の運用について、政府は萬遺憾なきを期するようにしていただきたいという希望意見を付しまして、原案に贊成いたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=24
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025・庄司一郎
○庄司委員長 國民協同黨代表、丸山修一郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=25
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026・丸山修一郎
○丸山委員 私は國民協同黨を代表しまして、本案に贊成の意を表する次第であります。ただいま氏原委員からお話のありましたように、從來の恩赦は天皇の大權によつて行われまして、罪ある者もその恩赦に浴するという感激をもつて、善良なる國民になつたというわけでありますが、今日は憲法の精神によつて、國民の意思によつて、また國民の友愛によつて、同胞愛によつてこの恩典に浴するということに相なつたのであります。本法案の制定せられました意味またそこにあるのであります。法の運營にあたつては、既に各委員から申されましたように、公正明朗にこの精神の徹底を期せられたいことを當局に希望いたしまして、本案に贊成いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=26
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027・庄司一郎
○庄司委員長 それでは討論はこれをもつて終局いたしました。これより採決を行います。原案に贊成の諸君は御起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=27
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028・庄司一郎
○庄司委員長 起立總員、全會一致をもつて恩赦法案は可決いたしました。
これより罹災救助基金法の一部を改正する法律案の本委員會における討論をやりたいと思いますが、その前に最後的に御發言を御希望の方はいらつしやいませんでしようか。——ございませんならば、これより罹災救助基金法の一部を改正する法律案を議題として、討論に付します。討論はこれを許します。自由黨代表、今井はつ君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=28
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029・今井はつ
○今井(は)委員 私は日本自由黨を代表しまして、本案に贊成の意を表するものでりあます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=29
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030・庄司一郎
○庄司委員長 日本進歩黨代表森山ヨネ君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=30
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031・森山ヨネ
○森山委員 私は日本進歩黨を代表いたしまして、この原案に贊成いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=31
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032・庄司一郎
○庄司委員長 日本社會黨代表氏原一郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=32
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033・氏原一郎
○氏原委員 私は罹災救助基金基金法の一部を改正する法律案に對しまして、原案に贊成の意を表したいと存じます。ただこの際贊成の意見を申し述べますると同時に、一、二希望意見を申し上げたいと存じます。
その一は、本法運用について、從來地方廳ははなはだ消極的であつて、せつかくの基金を有効適切に支出しなかつた。政府は將來これらの點についての、地方廳に對する指導監督に誤りなきを期せられたい。二は、本法により都道府縣の現に有する基金の額は、必ずしも本法の目的を達成するに十分でない。政府ほ積立金の最小額の増加その他本法の全般にわたつて根本的な檢討を遂げ、眞に本法の目的を達成するごとく、近き將來これが根本的な改正案を議會に提出せられたい。この二つの希望意見を付しまして原案に贊成いたしたいと存じます。私どもがなぜこの希望意見を付するかと申しますと、第一は、なるほど各都道府縣に罹災救助基金法によりますところの積立金ができておりますけれども、震災あるいは戰災等、ごく最近の事實を基礎として檢討してみましても、地方廳は中央政府の助力に依存して、都道府縣において非常災害の場合、當然支出すべき基金を有効適切に支出をしていないのであります。かくのごとくいたしますならば、罹災救助基金というものは、單に形式的に府縣に積立てられるのであつて、非常災害の場合、中央政府との連絡が十分とれない前に迅速に、しかも適切にこの基金の運用によつて罹災民の救助をするということが不可能であろうかと存じます。政府はこれらの點について地方廳に對する適切なる指導監督をしてもらいたいというのが第一の理由であります。また本法によりますところの都道府縣の現に有する基金の額は、なるほど、最小積立額よりは多額であります。ある府縣のごときは五百萬圓以上の基金をもつているものもございますが、總體的に考えまして、現在の經濟情勢というものを基礎にして考えるだけでなく、非常災害の場合における救助という目的の上から考えただけでも、必ずしもこの法律の目的を達するに十分の積立は行われておりません。この點は午前中の本員との質問應答によつて、政府みずからもまた、この積立金の最小額というものに檢討を加えなければならないことをお認めになつている次第でありまして、私はこの機會に、政府はこの積立金の最小額の増額の問題、その他本法の基本的なすべての問題について、根本的に檢討を遂げられて、ほんとうにこの法律の目的を達成するように、完全なものをおつくりになつて、近く生れてまいるでありましようところの新しい國會にその案を提出されて、本法の目的を十二分に達するように御配慮を願わんければならぬものであるということの建前に立ちまして、この二つの希望意見を付しまして原案に贊成するものでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=33
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034・庄司一郎
○庄司委員長 國民協同黨代表丸山修一郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=34
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035・丸山修一郎
○丸山委員 私は國民協同黨を代表しまして、本案に贊成の意を表します。本委員會において論議せられたことによつて明らかになりましたように、また政府をその意圖を表明せられましたように、最も近い機會において、國家の現段階に處するような、根本的な妥當な法案を來るべき國會に提出せられることを希望すると同時に、その施行運營にあたつては、迅速に、果敢に、公正に、本法案の趣旨の徹底を期するように、十全の指導と努力をお願いしたい。かように希望を申し上げで、本案に贊成します。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=35
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036・庄司一郎
○庄司委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決を行います。原案に御贊成の諸君は御起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=36
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037・庄司一郎
○庄司委員長 起立總員、以上をもつて本案は全會一致をもつて可決せられた。
ちようど本日をもつて正味四日間でございますが、萬障お繰合わせの上、本委員會に最後まで御出席を賜わり、御熱心に三案を御審議賜わりましたる委員各位の勞を、深く感謝するものであります。乏しきをもつて、御縁があつて委員長となり、まことに氣のきかない不肖なる私でございまして、いろいろ御迷惑をかけたことと思うのでございます。しかるに御支援によりまして、さいわいに大過なくここにこの三法案の委員會審議を終えましたことは、重ねて各位の深厚なる御同情に深く感謝いたします。これをもつて閉會いたします。ありがとうございました。
午後一時五十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00419470315&spkNum=37
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