1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案(政府提出)(第二〇號)
郵便法の一部を改正する法律案(政府提出)(第二三號)
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昭和二十二年三月十九日(水曜日)午前十時四十分開議
出席委員
委員長 加藤一雄君
理事 花村四郎君 理事 山崎岩男君
理事 氏原一郎君
今井はつ君 小島徹三君
左藤義詮君 山下春江君
竹内歌子君 前田榮之助君
丸山修一郎君
三月十九日委員井上東治郎君及び堀川恭平君辭任につき、その補闕として岡部得三君及び山下春江君を議長において選定した。
三月十九日青木泰助君理事辭任につきその補闕として山崎岩男君が理事に當選した
出席國務大臣
遞信大臣 一松定吉君
出席政府委員
遞信參與官 坪川信三君
内閣事務官 椙杜正太郎君
遞信事務官 大野勝三君
遞信事務官 小笠原光壽君
遞信事務官 渡邊音二郎君
委員長の許可を得た出席者
内閣事務官 津田弘孝君
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本日の會議に付した議案
臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案(政府提出)
郵便法の一部を改正する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=0
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001・加藤一雄
○加藤委員長 これより會議を開きます。この際お諮りいたすことがございます。青木泰助君が理事を辭任いたされましたので、これを許可いたすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=1
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002・加藤一雄
○加藤委員長 御異議ございませんければ、先例によりまして後任理事は委員長が指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=2
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003・加藤一雄
○加藤委員長 それでは山崎岩男君を理事に指名いたします。
引續き昨日來の郵便法の一部を改正する法律案に對する質議を繼續いたします。氏原君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=3
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004・氏原一郎
○氏原委員 この際大臣に對する質問事項のほかに、二、三の點について政府當局の御意見を伺つておきたいと思います。
その前に、昨日私が遞信大臣に對しまして、遞信省のいわゆる通信網のほかに、全遞通信網というものが、活動しておるのがあるという事實を指摘いたしましたところ、大臣はそれらのことは全然承知をしていなかつたということで、急速に調査をするという言明を、昨日なさつたのでありますが、事はいやしくも政府機關のほかに、別個の機關が政府の機關と同樣の仕事をしておるという問題でありまして、いわゆる官記の肅正の上からも、この問題は重要な問題であると私は存じます。この點につきましての御調査の結果を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=4
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005・大野勝三
○大野(勝三)政府委員 昨日氏原委員から、全遞通信網の問題についてお尋ねがありまして、大臣よりお答えがあつたのでありますが、實は事務當局のわれわれといたしましても、この問題はまつたく初耳でございまして、もしもさようなことが事實であるといたしますれば、仰せの通り、まことに事重大だと考えまして、調査いたしておりますが、まだただいままでのところ、はつきりとそういうものがあつたという事實を突き止めておりません。なおお話の通り、愼重にこの問題を取扱つていきたいと考えております。
なおついででございますが、昨年から今年の春に引續きましての爭議期間を通じまして、いやしくもこの爭議のために、その他組合運動のために、一般公共のために施設してございますこの通信機關、あるいは通信網というものを、私的に利用することのないように、その都度嚴重な警告を發してまいつておりますので、萬さようなことはないとは考えておりますけれども、御指摘のような事實もございますので、十分ひとつ調べていきたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=5
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006・氏原一郎
○氏原委員 この問題は私は、單に爭儀中において爭議を有利に解決をするというような目的のもとに、爭議手段の一つとして全遞が通信網を利用したということでありますならば、ある點においてこれを許すにやぶさかなものではないのでありますけれども、私どもが事實この全遞通信網を經て配達されたという文書は、全遞と政府との間における爭議行爲と全然關係のない、ある一つの政治的意見を急速に地方へ流布するために利用されておるのであります。私は全遞の爭議が一應解決をいたしまして、政府との間に、内容的にも現段階においては非常に進歩的な團體協約の締結をされて、今後の遞信業務の運營に基礎的な、しかも合理的な解決がついたことを喜ぶものでございますけれども、現在の經濟情勢からいたしまするならば、またいつ何時政府と組合との間に對立爭議というような問題が起らないとも保しがたいのであります。かような場合にあたつて、再びかくのごときことが起るということになりますと、これはまことに國家の公器を私するというだけのことではないのであります。さような考え方が鐵道關係にも、あるいはその他のすべての政府機關の内部にも許されるということになりましたならば、どこに一體國家の權威があるかという、根本的な問題になると思います。こういう意味におきまして、この問題は迅速に御調査をいただいて、今後再びかくの如き國家機關を私するが如きことのないように、十分に徹底した御處置をおとり願いたいということを申し上げておきます。
次にお尋ねをいたしたいのは、戰時中の戰災及び供出の電話の復舊竝びに復活に關する問題でございますが、戰時中戰災にかかりましたところの電話及び政府から供出を命令せられました電話の總數は、大體私の承知するところでは五十八萬と存じております。そうしてそれが昭和二十一年の十二月末までに復舊もしくは復活された數は、二十萬程度の數字だと、これまた私の調査では相なつております。しかもその二十萬という數は、そのほとんど通半數は供出電話の復活でありまして、戰災の復舊というものは、ごくわずかの數字に相なつております。電話の復舊などということにつきましては、資材と技術の不足にも基くではありましようが、ここにもまたいわゆる物を押えている他の官廳と同樣に、電話の早急開始を望む需要者との間に、幾多の不正が生れております。正規の手續を履んで官廳の玄關をお百度を踏んでも、なかなかかけてくれないところの電話が、復舊しないところの電話が、ブローカーの手を經ると、きわめて簡單に開通をする。それからまたその電話架設に要する資材の購入を、架設當事者が需要者に仲介をする。私ども戰前の習慣から見ると、はなはだ奇妙な、疑惑に滿ちたことが公然と行われております。修理や架設に來るところの工員その他技術員の方々に、酒食の餐應が必要であるというようなことは、もうこれはお茶づけでありまして、これは常識でございます。ごく少數の眞面目な正しい復舊工事が進められておりまする半面、右のような奇怪な事實が、全國の電話所有者や復舊希望者の體驗してきたところであります。これは證據を示せとおつしやれば、私はいくらでも證據は具體的にお出しします。今度の本省におけるところのいろいろな不正事實といつたようなものも、遞相は議會においてある程度私どもにそのアウトラインをにおわしたのでありますが、おそらく私はこういうような事實はたくさんあるということを考えるのであります。そうしてあの三福事件や工務局の程度の事件は、もうありそうなことだ、こう一般人は解釋を下している。この戰災及び供出の電話の復舊復活ということは、昭和二十二年度におきましては、大體どういう御計畫であるか、どの程度まで需要者の要望にこたえることができる御計畫であるか、この點をひとつ總括的に數字を示して明らかにしていただきたいと思います。政府委員の方にお尋ねをいたしまするのは妥當ではないかもしれませんが大臣がお見えになりませんから、政府委員から御答辯をいただきたいと思いますることは、今回の遞信省の三福事件その他は、事務系の大臣に對する技術系の官吏の反感に、その根本があるのだということは、消息に通じております者の一致した見解であります。一つの官廳に技術系と事務系とが對立して、いろいろなことでいがみ合つておるというようなことは、私ども國民としておよそ理解しがたいところであります。ただしかしながら、悲しいかなそれは事實である。いかなる官廳においても事務と技術の問にいがみ合いのありますことは事實であります。殊に遞信省のごとく、事務的な仕事とほぼ同樣に技術的な仕事をしていかなければならない所において、さようないがみ合いがあるといたしまするならば、わが國の遞信業務の圓滑なる運營ということは、およそ困難だと私は考える。この意味合におきまして、私は今囘の遞信省の事件がただいま指摘いたしましたように、基本的には事務系の大臣に對する技術系の官吏の反感が、その根源をなしておるものであるか、あるいはそれともそれ以外に原因があつたものであるか、これらの點について一つ明確にしていただきたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=6
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007・渡邊音二郎
○渡邊(音)政府委員 戰災及び戰爭中動員電話の復舊状況竝びに二十二年度におきまする計畫についての數字的な説明と、從來とつておりました方針及び今後の方針につきましてお答え申し上げます。今仰せになりました通り、戰災及び戰爭中動員されました加入者の數は合計五十八萬二千四百五十八でございます。そのうち約十三萬が戰爭中動員されました電話で、將來復舊をお約束申し上げておるわけでございます。この十三萬を含みますところの五十八萬二千四百五十八名のうち、今年度すなわち三月末までに既に復舊し、また復舊せんとしておりますものを見込みますと、約二十三萬名というような豫想になつております。もちろんこの點はまだわずかではございますが、豫想が入つております。殘りますところの三十五萬二千名、このうち私どもといたしまして、どこに、いつかけることを御希望なさるかということを、どうしても承知しなければなりませんので、これを一般に公告いたしましてお屆けを願つておるのでありますが、二十二年度のうちにぜひ復舊してもらいたいという御要求が二十七萬七千九百四十五名でございます。この加入者の方たちは燒かれましたり、または動員されまして、ただいま非常に御不便を忍んでいただいておるのでありますが、この電話の復舊につきましては、まず局舍自身が燒失いたしました場合には、局舍の新設を要します。また加入者線の破壞されました部分につきましては、相當の市内ケーブルを施設しなければなりません。また宅内施設が燒けました場合には、宅内の電話機をすえつけるという點におきまして、資金面、資材面に幾多の制約をこうむらざるを得ないのでありますが、さしあたりまして昭和二十二年度以降、二十三、二十四、二十五年の四箇年におきまして、一應別途御審議を願いました豫算の中には、加入電話の復舊増設といたしまして、二十二年度には七萬三千名、二十三年度には十五萬名、二十四年度には同じく十五萬名、二十五年度には同じく十五萬名を見込んでおります。しかしながらこの二十二年度の七萬三千名は、先ほど申し上げました復舊をぜひ二十二年度中にしてほしいと御希望になつております加入者の數、すなわち二十七萬七千九百四十五名に比較いたしますと、その間約二十萬というものがまだまだ不足でございます。これは市内電話の復舊が産業及び日本の復興に非常に影響があるという點から、一箇でも多く復舊したい。この點は終戰後から本日に至るまで豫算の割當數以上に、工事能力の許す限りどしどしつけていただくように、工事現場には督勵しております。從いまして加入者の増設、復舊については、この二十二年度に七萬三千名ではまだまだ足りないというので、このほかに十二萬四千名の増加計畫をもつております。これはまだこの豫算の中には資材の割當等の關係で盛りこんでおりませんが、できるだけこの二十二年度の七萬三千名は、もつともつと増加していきたいと存じております。なお工事の實際にあたりまして、あるいは饗應、あるいはまた金品を授與するというようなことがなければ、電話も復舊しないというような幾多の事實をあげられた投書も受け取つております。この點につきましては、大臣御就任以來嚴に戒められまして、そうして昨年の夏、遞信局長會議におきましても、電話の架設復舊に伴う不正事件の絶滅につきまして、嚴重な御訓辭もあり、同時に既往にさかのぼつて、電話架設上要求を受けたことがあるかどうか、またどういう御不審の點があるかというような調査まで進めております。それとともに一面どうしても制度手續においてこういう誘惑に陷りやすいという點があるならば、これを改めてみたい。かような見地から豫算總會でも私から御説明申し上げましたが、從來は復舊の際にどうしても順位をきめなければなりませんで、ぼつぼつとその順位をきめながらかけていくという點に非常な弊害がある。むしろかような戰後の經營におきましては、ケーブルを引いた場合には、その附近の需要者には一括してブロツクを畫しまして、そのブロツク内に納まり得る復舊希望加入者は一齊にこれを敷設する。そうすれば一面においてその附近の加入希望者が、復舊希望者に比べて多額の金品を要求された場合にはすぐわかる。同時にできないものをむりに工面して、そこに幣害をかもす危險が少い。かような見地から重要都市について、どの地域は確かに近く囘復する見込みがある、どこは當分の間資材面あるいは工事面で支障があるということを、ブロツク別に地圖にはつきり明示いたしまして、御不審があればその圖面をお見せしてまでも、その區間は當分御辛抱願いたい、あるいはこの區間は近く必ず敷設するというような制度に改めて、要すれば、いついつかまでにおつけいたしましよう、これはいついつかまではむりでありますということの返事のできるように、現場には通牒も出し、また東京のごときは既に圖面もできております。しかしながらかような畫一的なブロツク別復舊主義に對しましては、國會議員の皆樣とか、その他特に東京でお仕事をなさる上で、上京しても電話のない家ではどうしても困るというようなものにつきましては、やはり特殊の例外も認めなければならぬ。かような見地から、原則はどこまでもできるだけ公明に、しかも物件提供主義は、原則として個人の方からはお受けしない。ただ公共團體とか、あるいは電話の復興を目途とする見地から、誰が見ても公然資材提供の使途が明かになるような場合にのみ、物件の提供を受けるようではないかというような方針に改めて、目下やつております。ただいま御指摘になりました過去におきますいろいろの忌まわい不正事實を、私ども全面的に否定することはできませんが、しかし制度の面に、建設の面に、できるだけ國民の方から公明に、かつ誰が見ても納得のできるようなふうにしたいということだけは、今一生懸命にやつているつもりでありますから、今暫くどうぞお待ちを願いたいと思います。その他の點につきましては、私どもとしてお答えするのもいかがと思いますので、以上御答辯申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=7
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008・大野勝三
○大野(勝三)政府委員 氏原委員からこのたびの遞信爭議の根本の原因は、技術系の官吏の事務系大臣に對する不平不滿というようなところにあるのではないかというような意味の御質問があつたのでございますが、これは私自身まことにそういう微妙な御質問に對してお答えするのに適當でないことを十分承知いたしているのでございますが、省内におります事務の當局の一人といたしまして、實はさような事實はまつたくないということを、この際はつきり申し上げておいた方がよくはないかと思いまして、立ち上りましたような次第でございます。御承知の通り遞信の仕事は、まつたくお話にもありましたが、事務、技術一體となつてやらなければならない關係にあるのでございまして、事務の者といいましても、具體的な個々の仕事の内容に立ち至りますれば、多分に技術的な面を扱わなければなりませんし、また技術系の者と申しましても、これは監督指導の立場にある人、その他多分に事務的な面を受け持たなければならないというようなこともありまして、しかく明確に事務、技術をそういう意味から申しますれば、區分することもいかがかと考えられますけれども、とにもかくにも大きな觀點から、そういう二つのおのずからなる分野というものがあることは、これは常識的には一應仰せの通りだろうと思いますが、しかしながら御承知のように、遞信省の古い歴史を通じまして、決してその兩者の間に何らかの、そういうわだかまりがあるというような事實はございませんし、また現在もそれはございません、將來もあるべきはずのものでないと私は信じているのでございます。このたびの問題の起りは、過日大臣が兩院において御發表になりましたことが直接の動機であることは、これはまつたくその通りであろうと私どもも考えますが、さいわいにまだこの問題は調査中でありますし、調査の結果は漸次すつかり明らかにされまして、圓滿に問題は解決されるべきものと考えております。一部の消息通の方といわれるような人が、まあ、いささか言葉は適切でございませんが、いわゆるうがち過ぎたる批評をなさいますことこそ、省内の一致平和をみだすもとでございまして、私もそういう點をなんと申しますか、むしろ憂慮しているような状況でございます。過日もたしか七日か八日ごろの新聞であつたかと思いますか、一部御指摘のような説にこたえたものと考えますが、今度の技術系の方の方から、そういつた事實によつて今度の問題が起つたのではないという意味の、わざわざ發表がありまして、それが新聞に載つておつたのを私も見たことがございますので、それらのこともやはりただいま申し上げた事實を裏書するものではないかと考えるのでございます。むしろ遞信省の平和のために、また一致團結して重大なる遞信事業の使命遂行のためにという見地から、いわば非常に御同情のある立場からのお尋ねと拜聽いたしたのでございますが、眞相は決してさようなところにはないということを、この際申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=8
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009・氏原一郎
○氏原委員 次にお尋ねいたしたいのは、本會議に政府は地方税法の改正法律案を出しております。そうして、地方税法の第四十八條の、獨立税として課することを得べき府縣税の税目の中に、電話加入權税及びラジオ税というものを決定をいたしております。内務當局の説明を伺いますと、この電話加入權税は、大體電話料の一割程度のものを課税をする。しかもこれは從來ほとんど全國の都道府縣にそういう税目のなかつたところを、法定税として全國的に課税をする。そうして同額の市町村附加税を認める、こういうことでございます。そういたしますと、今度の政府の企圖いたしておりまする電話料の引上げというものと、そうしてこの獨立税として課せられまする電話加入權税及びその附加税というものを合わせますと、結論におきましては、政府の計畫の上にさらに一箇年を通じまして税額だけの電話料が、事實高くなるというような結果に相なるのであります。もちろんただいま資材が非常に少い。そうしてまた新設もしくは復活の電話の申込みにも應ぜられないそういう事情でありますので、むしろ電話というものに對する負擔が重くなつて、加入者が政府の計畫よりも少いということの方が、政府は都合がいいかもわかりませんけれども、このことを他の面から考えて、文化國家としての建前から考えていくというと、ラジオとか電話とかいうようなものに税金をかけて、それが同時にほとんど實際には聽取料、もしくは電話使用料という形になりますことは、私は文化國家建設の上に、非常な障害になるのではないか。少くともかくのごとき文化施設に對して課税をするというようなことは、今日文化國家建設を目標にしておりますわが國といたしまして、妥當な處置ではないというふうに考えられるのであります。この點につきましては、政府はこの地方税の改正に伴う獨立税としての電話加入權税及びラジオ税といつたようなものに對する基本的なお考え及びこの税が一箇年を通じまして聽取料の十二倍の地方税並びに同額の附加税というものをとられることに對する御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=9
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010・渡邊音二郎
○渡邊(音)政府委員 その問題は、閣議決定の上、法案として提出しておりますので、政府委員としては、ここでその點に關する見解を申し上げることはいささか當を失しておると思いますが、事務的に提案に至りますまでの經過だけをお話申し上げたいと思います。お話の通り、實は今囘地方税の法定獨立税の課税對象といたしまして、電話加入權税及びラジオ税が法案に改正せられてまいつておるのでありますが、事は昨年の地方制度改正後の地方の財政の一つの建直しといたしましては、地方のいわゆる府縣會でこれを決定し、同時に獨立税として、設定方を關係廳に認可を仰いでまいるという形勢にございましたので、事務當局といたしましては、御説の通りまず加入權税につきまして、それが理由はともかくも、國民の二重負擔になる。同時に復興途上にある電話の普及及び發達を阻害する。それから物價調整上同じ政府の中で、一方は加入において、一方は租税において負擔を課するという點において、全國まちまちになるという點に、感心できないというような見地から、實は内務省の地方局にも文書をもつて、また私も參りまして縷縷説明いたしたのでありますが、何分にも昨年の地方制度改正の際に、地方に對する權限の委讓あるいは地方自治の獨立ということの裏づけとなる財源がなければ、結局名目倒れになる。それについて現在窮迫している地方財政の面においては、たとえそれが本質上多少の欠陷があつても、非常に把握しやすい課税對象であり、しかも負擔力を推測し得るに足る表示物件があるならば、これをとられて課税するということに對して、内務省としてはむげに反對いたしかねる點もあるので、どうかこの點は一般國民の立場に立つて考えてほしいというような意向もありまして、結局この加入權税につきましては、電話加入者がこれに協力しませんと、もし加入者にあらざる方に課税をする、あるいは燒失した電話、現に使用していないものにまで税金がかかる。あるいは動員休止のものまで税金がかかるというようなことではいけないというので、これの協力につきましても十分な意見の一致を見るまでは實施を延ばしてほしいというようなことも申し入れましたが、結局ある程度税目そのものの設定につきましては、遞信省としてはこれ以上申し上げかねるので、これの協力にはやはり一應の關係廳として御同意申し上げてまいつたのでありますが、その後今囘地方で從來可決しこれを條例に制定いたしまして認可を仰いでくる制度を法律に直接明示いたしまして、認可の手續を省くというような建前で御提案になつたのでありますが、やはりその際におきましても、事務當局としては同樣の見解はもつておりましたが、これはやはり地方財政の確立と地方自治權の裏づけとしての財源の附與という見地に對する閣議の御決定によりまして、今日きまつたようなわけであります。なおラジオ税につきましては私所管外でございますが、一應加入權税とともにラジオ税も問題になつておりますので、併せて御報告申し上げますが、この加入權税と違いまして、ラジオ税は既に昭和六年ごろやはり問題になつておりましたが、この點はラジオの文化性に考えまして、課税すべきものにあらずという見解を一應通しまして、同時に放送協會から公納金の形で内務省に一定額を納めるというところで妥協してまいつたのでありますが、この公納金というものは、いわば國民の批判を受けない一つの上納金でありまして、かようなものはまことに明朗性を缺く。同時に協會そのものの扱いから、いきおい聽取料に影響してくるという見地から、これを撤廢していただいたのであります。その結果今囘やはり府縣でこれを條例に規定し、認可を仰いで課税しておりましたものを改めまして、法定にして提案してまいつたのでありまして、この點もむしろ加入權税以上にラジオの普及竝びに文化向上の見地から反對の意を表しておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=10
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011・氏原一郎
○氏原委員 次に郵便遞送業務についてお尋ねをいたしたいと思います。地方的にはさような制度がとられていないかもわかりませんが、現在の郵便遞送業務は、營利會社等に請負の形で委託されておる面が少くないかのごとくに存ずるのであります。從いましてこの遞送業務に從事いたします團體等は、なんと申しましても營業會社でございますから、いわゆる相當な利潤を要求するということは、これはもう必然的な結果と相なるのであります。むしろ私は今日政府は配給公廳であるとか、やれ公團であるとかいつたようなことを盛んに考えておりますけれども、なかなか政府の手では及びそうもないような方面に手を伸ばすよりも、むしろ政府自體の仕事をそういう方向において、國家自體がやつていくということのために、この際郵便遞送業務の民間團體等による請負というたようなことを改善をいたしまして、むしろこれを強方に政府みずからの仕事としてやつていくというような方法をとるべきではないかと存ずるのであります。殊にこの郵便遞送業務につきましては、地方的にはいろいろな問題がある。むしろ大切な郵便物というものは、郵便物の遞送ということによつて、遞信省を通じて油の配給とか、いろいろな資材の供給を受けながら、その實、遞送業務は二のことにして、その請負人あるいは團體等の他の業務にこれを流用するというような事實も、たくさんございます。そういう面から考えまして、政府はむしろこの際遞信、會計が、いわゆる自給自活、體制をとつたというこの機會に、これらの業務の改善について根本的なる考慮を拂うべき時期ではないかというように考えるのでありますが、この點に對する政府の所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=11
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012・小笠原光壽
○小笠原(光)政府委員 お答え申し上げます。ただいま氏原委員からまことに有難い御意見を拜聽いたしまして、心からお禮を申し上げる次第であります。私ども郵便事業を擔當いたしておりますものといたしましては、郵便事業の最も根幹ともいうべき遞送が、確實圓滑にいくかいかないかということは、實に郵便事業の最も重要なるポイントであると考えておる次第でございます。できればこの遞送業務も、お話のように政府が自分ですべてのものをもつてやれる、特にすべて遞信省の直轄のもとにやれるという状態にあることが、最も理想的な形態であると考えております。しかしながら御承知のように、遞送の最も多くの部面を占めておりますところの鐵道遞送につきましては、御承知の通りこれは同じ政府の一機關ではございますが、運輸省の所管による國有鐵道がもつとも多くの部分を占めておる次第でございまして、そのほか專用自動車あるいは一般の乘合自動車に託送いたしまして、ただいま御指摘のように民間の運輸業者に委託いたしまして郵便物を輸送しておる面が相當多いのでございます。これらの民間業者に委託して遞送を請負わしております面に對しましては、もちろん所要の遞送料を支給しておるわけでございますが、この遞送料の支給にあたりましては、遞信省といたしまして一定の基準を設けまして、いたずらに請負會社をして郵便遞送によつて過當の利潤を追求することのないように十分注意いたしますと同時に、その業務の執行につきまして、常時必要な監督竝びに指導を行つておる次第でございます。さような次第でございまして、まず今日のところでは大體において支障なく運行しておるものと考えておりますが、なお御指摘のようにこれを政府の自分の仕事としてやつてはどうかというお話は、まことに有益なる御意見と拜聽いたしまして、今後十分愼重に研究いたしたいと考える次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=12
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013・氏原一郎
○氏原委員 昨日政府に對しまして電報、電話、爲替、振替その他料金の引上げ計畫に關する資料を要求したのでありましたが、まだ頂戴ができません、なるべく早く頂戴いたしたいと思います。
最後に一點だけ總務局長の御答辯を伺つておきたいのは、通信特別會計の自給自足態勢の確立の問題でございます。もちろん政府がただいま計畫いたしております各種料金の引上げということが實現をいたしましたならば、一應遞信會計におきましては、昭和二十二年度以降において赤字公債等によらずして業務の運營が可能である。こういう原則論を御發表になつておるのでありますが、しかしながら私は現下の情勢から考えまして、必ずしもこの豫算でもつて遞信特別會計の自給自足態勢が實現し得るかどうかという點については、疑問をもつております。それは大體において特別會計を編成いたします豫算編成期の基準的な物價、基本的な物價もしくは勞賃等の關係において、今日の状況と豫算編成を始めました當時のそれとの間には、非常に大きな違いがあるということを認めなければなりませんし、また昨日政府委員から左藤委員に對する答辯の中で、いろいろな物價、いろいろな材料の價格が既に今日非常な變動を來しているということも、率直にお認めになつておつたのでございますから、おそらくこの豫算をもつてして、いわゆる通信事業の自給自足態勢を確立するということは、少くとも昭和二十二年度のみを考えましても、不可能な問題であろう。從いまして私がお尋ねをいたしたいのは、二つの點にあるのであります。もし昭和二十二年度においてこの諸料金の引上げを行いまして、そうして自給態勢を確立しようといたしましても、物價の高騰、經濟界の變動、インフレの高進等によつて、實際この豫算が執行できないという場面だ現われました場合には、さらに遞信關係の諸料金の引上げによつて、あくまで赤字公債ということは避ける御方針であるか。それともまたその情勢は一つの時期の間における特別の關係であるという點において、一應やはりその年度内の赤字補填のためには、公債の發行ということを考えるのであるか。少くとも昭和二十二年度に限定をいたしまして、この豫算ではたして通信特別會計の自給自足態勢の採算制を可能ならしめるということに對する、十分なる確信があるのか。すなわち二十二年度においては今囘提案のごとき料金の引上げは再び行わないという御確信のもとに、この本年度の通信特別會計の豫算が編成されているのか。この二つの點について最も明確に、責任のある御答辯を願つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=13
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014・大野勝三
○大野(勝)政府委員 お尋ねになりました第一の點、つまり通信特別會計が自給自足と申しますか、獨立採算の根本方針をとつたということにつきましては、これはまつたくお話の通りでありまして、その内容は申し上げるまでもなく、經常的に必要な業務の運營の經費、これをその時々の外部からの借入金あるいは赤字公債等によつて賄うという行き方は、本來特別會計として企業的に、ということは、必ずしも利潤を目的とするという意味ではありませんが、企業的に運營さるべき事業の本質から見まして、間違つた行き方である。つまり自分の業務運營に必要な經費は、自分の收入によつて賄つていくという原則を立てようということでありまして、このたび通信特別會計法の改正案が議會に提案せられましたのも、まつたくそういう趣旨にほかならないのでありまして、その根本方針は將來にわたつて原則的には守られていくべきものだと考えている次第でございます。
次に第二の、それでは昭和二十二年度の見透しとして、今囘の料金の是正によつて獨立採算の原則を守り通すことができるのかどうか。つまり現在の豫定された經費を、豫定された收入をもつて、はたして賄い得るかどうかというような點についての御尋ねでございましたが、ただいままでのいろいろな情勢からいたしまして、私どもは一應昭和二十二年度はこれで獨立採算の原則は守れるものと考えております。しかしながら昨日も申しましたように、經濟情勢あるいは社會情勢の變化が非常に急である昨今の情勢から見まして、將來のことをただいま確信をもつて申し上げるということは、何人にも不可能なことではないかと思うのであります。その際に、たとえば豫定外の經費を必要とするといつたような事情が起つた場合に、その豫定外の經費をいかなる財源によつて賄うかといつたような問題は、これはまつたく將來の問題でございまして、その時々、その經費の性質あるいはそういう經費増加を必要としております事情その他を十分勘案いたしまして、適當な處置をとらなければならないことは申すまでもございませんので、それらの點は具體的な實情に應じて善處いたさねばならぬかと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=14
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015・氏原一郎
○氏原委員 政府委員は非常に巧みに逃げこまれましたが、その御答辯では私ども引下がるわけにはまいらないのであります。吉田内閣が昭和二十二年度の豫算編成の方針として、特に特別會計の獨立採算制を確立するということを標榜いたしまして、その線に沿うて豫算が編成されている。殊に昨日の一松遞信大臣の御答辯の中にも、少くともこの遞信關係の特別會計というものは、その遞信事業の利用者によつて經費の負擔をしてもらうという原則、すなわち國民一般に租税等の形でもつて負擔をしてもらうのでなくて、少くとも遞信業務の利用者から適當な料金をもらうことによつて獨立採算の基礎を固めていきたい、こういう御答辯であります。これは政府委員といえども御否定なさるまいと思う。さようであるといたしますならば、もし萬が一經費の増加を見ることがあつた場合には、その時々の情勢によつて問題を決定すべきであつて、今からそのことは豫見せられない、こう言うのであります。ところが現在の經濟事情と、この特別會計豫算を編成せられました當時の經濟事情との間には、相當の變化が起つております。それはわずか三月そこそこの期間ではございましようが、とにもかくにも大きな變化が起つている。それは否定できないと思う。その大きな變化が起つているにもかかわらず、今の御答辯によると一應今囘の料金改訂等によつて獨立採算制の原則は確保し得るとおつしやつている。この大きな變化が起つておつても、なおかつ獨立採算制の原則確保についての自信があるといたしまするならば、私は明年三月までの間における現内閣のとろおとしております經濟政策、現内閣がインフレに對してもつておりますところの感覺、現内閣の健全財政の面から考えてみますと、まず獨立採算制ということについては、政府當局は滿腔の自信をもつているものであると考えてよろしいと私は思う。そこで私がお問いしたいのは、もし先程お話のごとく、特別に經費を要するということは、多分大きな災害であるとか、はからざる災害であるとかいうようなことを豫見した場合を言われて、萬一という、平常ならざる場合を考えておられるようにも聞いておりますが、私はさような突發的な經費の増加を必要とすることを考えないで、平常のこの豫算を執行していく場合において、年度内に再び料金の改訂を行わずして、獨立採算の原則を確保し得るだけの自信があるのか、こういうことをお尋ねしておるのでありまして、今の御答辯は巧みにまわりこんで逃げられたようでありますけれども、私の問わんとするところには、十分な御答辯でないと思いますので、くどいようでありますが、この點をもう一囘御答辯を願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=15
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016・大野勝三
○大野(勝三)政府委員 實は逃げたつもりではないのでありまして、大變むずかしい問題なものでございますから、ただ率直に私の考えておりますところを申し上げたのでございます。惡しからず御諒承を願いたいのでありますが、昨日もちよつと申し上げましたように、たとえば來年度の豫算には人件費だけでも六十四億見込んでございますが、その六十四億の人件費と申しますのは、先だつて決定されました月平均千二百圓という給料を土臺にしまして、それで組み上げた總額でございます。この千二百圓というものが、たとえば經濟情勢、生活條件に非常な激變がなければよろしゆうございますけれども、それはないとは保證はできないということでございますれば、これは動く可能性がございます。特にこの千二百圓は暫定的なものでございまして、官公職員の待遇改善委員會におきまして、根本的な官公職員の待遇をさらに決定されるということになりますれば、あるいはこれは動くかもしれません。そういつた事情を考えますれば、これはまつたくお話のような場合が生ずるかもしれないのでございます。しかしながら獨立採算というこの根本原則には變化はないのでありまして、ただその時々の收支の均衡をどういう方法によつて賄うかという問題は、これは具體的事情によつて決定さるべきものでございますので、ただいまのところでは年度内には再び料金値上げは行わないとか、あるいはそういう不時の經費の増加については赤字借入金をもつて賄う趣旨であるとかいうようなことを申し上げますことは、しばらくお許しを願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=16
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017・氏原一郎
○氏原委員 大變自信のない御答辯になつて、ますます私は混亂をいたしましたが、そうだといたしますると、結局獨立採算制というものに對する原則は確保するんだが、豫算に對しては自信がない。結局まず當面の情勢だけを見て今後の政府の施策とかいうような點を總合的に考えてつくつた豫算でないというふうにも考えられるのでありますが、これ以上押問答いたしましたところで、結局結論が得られないと存じますから、この點は打切つておきたいと思います。大體私の政府當局に對する質問はこの程度に止めたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=17
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018・加藤一雄
○加藤委員長 次に竹内君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=18
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019・竹内歌子
○竹内(歌)委員 大體前の質問者によりまして、ほとんど盡されていると思いますので、ごくこまかいことでございますが、一、二お伺いいたしたいと思います。戰災をこうむりました電話復舊の問題は、特に急を要する問題であると思いますので、この點はぜひ御努力を願いたいと思いますが、三等局において電報を取次ぐという方法をしていただくような御計畫はございましようかどうですか、その點をお伺いしたいと思います。
それからなお家庭電話の復舊が非常に遲れております點で、三等局等のを利用する電話も、故障の箇所が非常に多く、需要に應じられないというようなところも數多いように、私各方面から聞いておりますので、せめて一つ一つの資材が足りない場合、こういうふうな公共的に利用させるという方法もぜひひとつ御努力を願いたいと思うのでございます。
それから窓口のサービスにつきましては、もうお述べになつたかと思いますが、どこにまいりましても、第一に考えますことは、ごく若い窓口の從業員の方が非常に不親切だということは、どなたもお認めになることではないかと思うのであります。今、のりとか、はさみとか、そういうものも、どうかすると自分で持つていかなければ、その場所では用が足りないというようなことが大變多いようでございますので、その點についても、お願いいたしたいと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=19
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020・渡邊音二郎
○渡邊(音)政府委員 燒失いたしました電話及び戰爭中動員いたしました電話の復舊の急務でありますことは、まことにお説の通りでございまして、この點につきましては、經濟安定本部にも非常な御援助を願いまして資材の割當を受け、同時に電氣通信委員會というものも今度内閣に設けられまして、製造面の方からもこれに必要な資材の機械化について拍車をかけて、できるだけ工事能力の増進と相まつて、御期待に副いたいと思います。その具體的な計畫數字につきましては、先ほど氏原委員の御質問に對してお答え申し上げた通りでございます。それから郵便局で交換事務をやつておりません地方に對しまする交換事務の開始及び電話の通話の便利をもつておりません局に對しまする通話事務の開始につきましては、これまた戰爭中大都市においては特に不便になつておりますので、復舊計畫について考慮いたしております。具體的に申し上げますと、二十二年度におきましては、交換事務の開始といたしまして二百局、二十三年度三百局、二十四年度もやはり三百局、二十五年二百局、かように復舊してまいりたいと思います。また窓口通話事務の開始につきましても、二十二年度四百、二十三年度六百、二十四年度六百、二十五年度五百というように進めていきまして、逐次農村、漁村の電話の市外通話の便もこれによつてはかりたいと存じております。なお大都市におきまして公衆電話がないために、容易ならぬ御不便を忍んでおられるのでありますが、これにつきましても、今直ちに燒跡に公衆電話をつくると、機械の亡失、破壞等がございまして、みすみす貴重な資材を失うというような關係上、その場所の選定に實は困つております。それで公衆電話所といたしましては、二十二年度には五百、二十三年度千、二十四年度七百五十、二十五年度七百五十というような計畫はございますが、これはもつぱら各遞信局の創意工夫にまつているところでございます。なお御指摘になつた電話の數の少いようなところで、たとえばある役場等の電話を一般の公衆に提供するというような制度、その他一般の加入者の方にそのあいている電話を、ある一定の條件のもとに公衆に使つていただくために、簡易電話所というような制度も既にやつております。これも相當數量二十二年度以降見込んでおります。かような交換事務の開始、通話事務の開始、公衆電話所の普及、簡易電話所の普及によりまして、一方舊加入者の復舊と相まつて、漸次ただいまの御希望に副いたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=20
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021・竹内歌子
○竹内(歌)委員 終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=21
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022・加藤一雄
○加藤委員長 私ちよつと一言お伺いいたしておきますが、大臣には昨日承りましたが、政府委員に、これは私の縣の例をとりましてまことに恐縮ですが、電話局が富士郡の方面におきましては元吉原、富士、吉原、比奈、富士宮、鷹岡、このように散在いたしております。囘線の關係が裏腹に通つているような關係が相當あるのでございますが、設備の點から、囘線の方面から、人員の方面から、大變なロスがあると思いますが、これは日本全國でも山間に行きますれば、こういう點が相當多かろうと思う。これを一つに統合するような御計畫は現在のところありませんか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=22
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023・渡邊音二郎
○渡邊(音)政府委員 大變恐縮でございますが、これはこの以上の電話の局を一つの電話局にする意思があるかどうかという御質問でございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=23
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024・加藤一雄
○加藤委員長 そうでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=24
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025・渡邊音二郎
○渡邊(音)政府委員 これは具體的にその地方々々を調べてみないとわかりませんが、御承知のように電話交換事務開始につきましては、電話局を中心にいたしまして、加入者のお宅までの線を引いて、できるだけ經濟な回線計畫でやつていく關係上、郵便局のある所ことごとく電話の交換を引くということになりますと、線路經濟上非常に資材も經費もかかりますので、ある程度郵便局がございました場合には、そこのうち一番加入者の御希望の多い郵便局を選びまして、そこにまず電話の交換を開始いたしまして、そうしてその距離も三キロ以上になつたような場合、また三キロ以内でもその間に山があり川がある、獨立して社會生活を營んでおられるというような所につきましては、できるだけ從來の區域を分割いたしまして、またもう一つつくる。かように合併する場合にも、分割する場合にも、距離、地理的條件等を考慮いたしまして、できるだけ經濟的にやつておりますが、さような状況におきまして、やはり全國的に今御指摘になりましたような箇所も相當ございます。具體的に元吉原、富士、鷹岡かような地區がはたして一交換局に收容し得るものであるかどうかはよく調査した上で御答辯申し上げたいと思います。もし囘線計畫上の問題でありますと、地方の農村等の小さな電話局をつなぐ線には、多くかような數局を接續するものがございますが、かような點につきましては、資材あるいは費用の許す限り、直通線を引くという計畫に進めておりますから、さよう御承知を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=25
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026・加藤一雄
○加藤委員長 私が關係いたしておりまする範圍内におきましては、非常にむらがあるように思つております。これは大沼津工業會、商工會議所の方面から遞信省の方に陳情が行くと思います。この一本囘線合同につきましては十分御考慮おき願いまして、ほかにも日本全國にそういう點がございましたら、御調査の上切に統合の實をあげられることを切望しておきます。
これで郵便法を改正する法律案に關する質疑は全部終了いたしました。一應これで休憩いたしまして、直ちに理事會を開いて、あとの取扱いを討議いたしたいと存じます。午後は一時から再開いたします。
午前十一時四十五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=26
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027・会議録情報2
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午後二時十二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=27
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028・加藤一雄
○加藤委員長 これより會議を開きます。氏原君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=28
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029・氏原一郎
○氏原委員 重要な問題についてお尋ねを申すことが漏れておりました點が、一點ございますから、お伺い申し上げたいと思います。從來第三種郵便物につきましては、發行人差出しの日刊新聞と、その他の新聞雜誌の料金と二本建になつておつたのでございますが、今囘はこれらを全部まとめまして、「毎月一囘以上刊行する定斯刊行物」と相なりまして、料金も一本建になつておりますが、これはどういう理由で從來の發行人差出しの日刊新聞と、それ以外のものとの區別を除いたのでございましようか。この點をお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=29
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030・小笠原光壽
○小笠原(光)政府委員 お答え申し上げます。郵便法の第十八條には第三種郵便物の料金といたしまして、ただいま改正案に提出いたしましたように、從來十五錢のを今囘五十錢に改めたいというねらいでございますが、郵便法の十八條の第一項に但書がついておりまして、「但シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ料金ヲ低減スルコトヲ得」という規定がございます。それで郵便法十八條第一項の但書の規定によりまして、從來省令の規定によりまして發行人差出し日刊新聞に對しましては、特に安い料金を規定してまいつた次第でございまして、この方針はこの改正案が通過いたした曉におきましても、同樣やはり發行人差出しの日刊新聞につきましては、大體十五錢の低減料金を規定する豫定にいたしておる次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=30
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031・氏原一郎
○氏原委員 この際この問題について政府の御意見を伺いたいと存じます。このことは相當重要な問題でございまするので、政府におかれましても十分御考慮を煩わすと同時に、委員各位におかれましても相當關心をもつてお聽きを願い い問題でございます。既に政府の方へは書面でもつて陳情書が出ておると存じまするが、内閣用紙割當委員會から用紙の配給を受け、新聞として政府から認められております週刊紙、旬刊紙、隔日日刊紙等を代表して、新聞の郵送料についてお願いを申し上げておるはずであります。その結論はこれらの新聞の郵送料を日刊新聞と同樣に扱うてもらいたいということでございます。その理由としてあげてあるところによりますると、大體ただいま政府委員がお述べになりました省令によつて決定をいたしまする料金の區別のうちに、日刊紙及び月八囘以上發行して、しかも發行部數十萬以上のものについては、郵便料を舊來一部五錢、それからこれに該當しない新聞は一部十五錢、こういうことになつております。ところがただいまの御答辯を類推して私どもが解釋をいたしますると、おそらくは日刊紙及び月八囘以上發行で、しかも部數が十萬以上のものは大體十五錢程度に引上げられ、それから然らざるものは五十錢、こういうことのお取扱いにならうと存じます。おそらくこのような區別を設けました理由は、發行部數の少い新聞は新聞として特別扱いをする價値がないということにあると存じます。しかしながら昨年末、内閣用紙割當委員として決定をした顔ぶれを見ますと、新聞關係定員五名のうちで、三名は日刊紙の代表でありまするが、殘る二名は旬刊、もしくはいわゆる非日刊の代表者でございます。主としてこの非日刊紙は本日教育新聞と日本女性新聞の代表者がこの委員として選ばれておるのでございます。それでこれらの新聞は、いずれも從來郵送料として一部十五錢を支拂つておる新聞でございます。新聞の價値としては、今日のような用紙割當制度においては、發行部數の多寡によるよりも、その内容にあるということも考えられまするし、用紙割當委員會の顔ぶれを考えてみましても、そのことははつきりしております。戰爭前は發行部數の少いものは、いわゆる赤新聞といつたようなものが多くて、新聞としての價値を認めがたいものが大部分でありましたが、今日政府から用紙の割當を受けておりますものは、その内容において立派なものが多く、むしろ週刊紙、旬刊紙等によつて日本のほんとうの新聞がつくられていくのではないかとさえも思われるのであります。用紙割當新聞關係委員五名のうちの二名がこのような意味から週刊紙、旬刊紙から出ておるということは、そのことを的確に物語つているのではないかと存ずるのであります。今日月八囘十萬以上の發行部數を有する新聞は、本社から支局あてに直送するものが多くて、郵便によりますものはまことに少いのであります。またこういう新聞は經營も非常に樂であります。發行部數がそれほど多くないものは、ほとんど郵送による配達でありまして、しかも經營は樂ではありません、といたしまするならばこれらの新聞が從來の十五錢の郵送料から五十錢にまで引上げられるということになりまするならば、いきおい新聞單價の値上げということも免れませんで、いろいろな點から見まして新聞の代金と郵送料との比率が非常に不合理なものとなると存じます。このように郵送料が上るということになりますると、ほとんど郵送料の方が定價に近いものになるような結果になると思います。御參考のために私は正確な資料に基いて申し上げるのでありまするが、今日政府が日刊もしくは月八囘以上十萬以上の新聞として郵送料の低減を認めておりまするものと、發行者から直接發送するもの、その數字を申し上げてみますると、朝日新聞が百四十六萬二千八百四十六の發行に對して、發行者から直接讀者に發送いたしまする數字はわずかに八百九十八部であります。これは比率にとりますると〇・〇六%になります。また毎日新聞――これは東部毎日で、先ほど申しました朝日も東部朝日でありますが、東部毎日新聞も百四十七萬一千二百六十の發行部數に關して直接發行人から送付いたします數は、わずかに二千八百八十四、〇・二%でございます。讀賣新聞が百六十八萬八千四百八十六の發行に對して郵送は一萬四千九百五十一、この比率は〇・八%、こういうことに相なつております、その他の新聞についても調査をいたしておりますけれども、これはあえて申し述べません。以上は中央における大新聞の場合でございますが、地方における代表的な新聞の例をとつて申し上げましても、宮城縣の河北新報が十三萬五千五百八の發行に對して郵送はわずかに百七十三で〇・一三%、中部日本が七十七萬四千五百三十七に對して發行人からの郵送は七十九、〇・〇一%、東海毎日が五萬二千三百八十九の發行部數に對してわずか四十六、このパーセントは〇・〇九一パーセントに足りません。信濃毎日が十萬三千九百に對して百五十八、かような工合で、日刊紙というものは非常に發行人から直接讀者に郵送するという數字が少いのであります。これは政府も御信用いただいてよろしい確實な資料によつて私は申し上げております。これに反しまして旬刊もしくは週刊の新聞、この新聞の發行部數と直接郵送の數との比率關係を申し上げますと、日本教育新聞が九萬四千八百部發行に對して五萬五百部までは直接發送であります。この比率は五四%、さらにわずか一萬、二萬というような部數のものは省略をいたしますが、月六囘發行いたしております日本農業新聞二十萬五千の發行を全部發行人から直接郵送であります、一〇〇%であります。またただいま用紙委員會の委員として代表者がでております。女性新聞のごときは、これは旬刊でございますが四七%というものが發行人から直接送付されております。そのほか日本讀書新聞、週一囘の發行でございますが、十萬のものを三萬七千まで直接發行人が郵送いたしております。こういう點から申しますと、むしろ私は今までの政府の措置は實際に文化の面から見まして間違つた措置をとつていたのではないか。もちろんすべて五千部や三千部の新聞までもこれを發行人から直接讀者に送る場合に料金の低減を考えるということについては、弊害もございましよう。だがしかしながら、ただいま申し上げましたように日本農業新聞でありますとか、あるいは教育新聞であるとかいうようなものは、なるほどその新聞は何百萬人、何十萬人という讀者をもつてはおりませんけれども、たとえば教育新聞のごときは直接一つの國民學校、中等學校に全國的に一部か場合によつては二部程度頒布されまして、それがその教職員全體に囘讀をせられるという工合に、非常に大きな文化的な使命をもつております。そうしてこれらの新聞が大體におきまして産業關係文化關係の專門の新聞であります。この新聞の郵送料金というものを畫一的な、今の發行部數が十萬以上、あるいは月八囘以上というふうなところからわくをはめてこれらの新聞のもつております使命、を減却するようなことがあつては、絶對に許されないことと私は考える。この際本法改正の機會に、政府當局はこれらの週刊紙、旬刊紙等の郵送料金につきましても、發行人から直接送付いたします日刊紙、もしくは月八囘發行、發行部數十萬以上という新聞に對するところの文化的な立場からの恩典に均霑せしめるという御意思はないか、この點について政府當局の御意見を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=31
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032・小笠原光壽
○小笠原政府委員 ただいま氏原委員からまことに實情に即した有益なお話を承りまして非常に傾聽いたしたのであります。實は第三種郵便物のうちで從來は發行人差出しの日刊新聞紙に對しまして、特にその文化的意義に着目いたしましてその頒布を容易ならしめる意味も含めまして、特に低減料金で取扱うことをやつてまいつた次第でございますが、終戰後の今日の實情から考えますと、先ほどお話のありました通り、週刊あるいは旬刊紙が相當多種多樣のものが發行されておりますし、しかもその内容は經濟、産業、文化、學術各方面の相當有益な記事を盛つておるところの新聞が、終戰後、特に用紙なんかの關係もあり、旬刊あるいは週刊等の形で出ておりますことは、先ほど御指摘の通りでありまして、これらのものもまたその文化的意義から見ますると、日刊新聞紙に必ずしも劣るとも申し得ないかもしれないと存じます。私どもといたしましては、この郵便料金の改正の法案の提出と並行いたしまして、この種料金關係につきまして先日來檢討いたしておつた次第でございます。まだ實は最後の結論まではまいつておりませんが、十分實情に副うような結論を得るように至急努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=32
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033・氏原一郎
○氏原委員 この問題について政府當局がいろいろ御考慮をされておるということについては、御答辯によつてはつきりいたしました。重ねてくどいようでありますが、今日の週刊紙、旬刊紙、あるいは月六囘發行新聞のうちでも、たとえば日本教育新聞、日本電氣新報、日本纖維新聞、日本印刷新聞、日本肥料新聞、日本食糧新聞、日本水産新聞、日本農業新聞、建設工業新聞、藥事日報、油脂塗料時報、キリスト新聞、神社新報、女性新聞、アメリカ・アンド・ジヤパン、スクリーン・アンド・ステージ、科學文化新聞、日本讀書新聞、少年タイムス或は少年マンガ新聞といつたような新聞は、宗教、文化、産業、經濟、あらゆる面から、發行部數はなるほど少いし、日刊ではないが、しかし新聞としての使命はむしろ私は、大變當らない言葉かもわかりませんが、日刊新聞として十萬以上の發行部數をもつております今日の終戰後に生れましたいわゆる新興新聞よりも、もつと國民生活全體に對して寄與貢獻するところが大きいということを確信してはばかりません。この意味合におきまして、どうかひとつただいまの御答辯で政府の意のあるところは諒承いたしまするが、どうかこの問題は急速に何分の御配慮を願わなければならない問題であるということを重ねて申し上げまして、私の質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=33
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034・加藤一雄
○加藤委員長 郵便法の一部を改正する法律案につきましては、明日の午前十一時から討論をいたします。
これより臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑をいたします。左藤義詮君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=34
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035・左藤義詮
○左藤委員 本案改正の趣旨は、政府の責任において國内物資の適正を公平な配分を徹底することが眼目と承りましたが、從來の官僚統制というものに對して、いろいろな弊害がある。時にはいろいろな役得行爲とかいうような惡評すらも世上に少くない。たとえ一部のことであつてもそういう實權を握る者が、この温かい親心眞心をこめてやらないということが、たださえ生活に苦しんでおる國民大衆に對して、非常な不平不満を與え、それがひいては社會道義の頽廢の大きな原因になつておる。そういう點につきましては、從來の臨時物資需給調整法、また今度それを改正いたしますこの趣旨の徹底、ただいま提案されましたようなその目的を達するについての官紀の振肅というようなことにつきまして、當局としてはいかなる決心、また方策を御用意になつておるか、その點を承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=35
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036・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 臨時物資需給調整法の改正案を出しましたのは、ただいまお話もありましたように、第二條關係の産業團體が從來物資の割當をし得る、こういうことになつておつたのでございますが、これは産業團體で物資の割當をすること、具體的には切符を出すなり、割當票を出して統制をいたしておつたのでありますが、これにはいろいろの弊害の點も考えられますし、物資の配給を適切に公正にするという意味におきまして、産業團體で行つておつたものを官廳で行う、こういうことに改正いたしたいと思つたのでございます。但し、さしあたりはいろいろ準備の都合、その他もございますので、この改正案の附則にありますように、一月ごとの期間を限りまして、經濟安定本部の長官が適當と認むる從來の團體には、さしあたり割當をさせる、こういうことにいたしたいと思つております。官廳が行うにつきましては、ただいまお話のような弊害の點も生じますと、この趣旨を非常に沒却いたすことになりますので、それらの點につきましては、十分御指摘のような弊害がないように注意をいたします。と同時に、經濟安定本部におきましても、各省におかれまして、これらの物資の割當を行われますのを監査いたすことになつておりますので、十分それらの監査機能等に努めまして、御指摘のような弊害がなく、この改正の目的が適切に行われるように、十分氣をつけて努力いたして運用してまいりたい、こういうふうに存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=36
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037・左藤義詮
○左藤委員 ただいまの御答辯の趣旨は了承いたしましたが、一つ監査機關というものがミイラとりのミイラにならないように、十分公平な割當のできますことを特に要望いたしておきます。また從來の割當におきまして、切符あるいはわくはもらつたけれども、どうも役所と役所との連絡がうまく行つてない、妙な官僚のセクシヨナリズムのために、どこかに隘路ができてしまつて、事實は、一箇月も二箇月も現物がはいらない。たださえ物の乏しいときに、やむを得ぬこともありましようが、やむを得なければやむを得ないだけ、一層そういう各省の連絡を緊密にして、乏しき物をできるだけ機動的に活用しなければ、日本經濟の復興はできないと思つております。そういう從來の業者間のいろいろな不平に對して、當局はどういうふうにお考えになつておるか、それを今後どういうふうに改善していこうというお見込みをおもちになつておるか、その點を承つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=37
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038・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 從來の物資の割當につきまして、お話のように切符なり割當票だけが出たけれども、それに對して物資の裏づけが十分ない、切符をもつていつても買えない、こういうふうな點がお話にあつたのでございますが、その點はお話のようにほんとうに物資の統制を適切にやつていく上につきましては、ぜひその點を改めたい、こういうふうに思つております。經濟安定本部ができましてから、鐵鋼、非鐵金屬、石炭、コークス、その他の燃料、重要化學製品、木材等のいわゆる指定生産資材につきましては、需要供給の計畫を樹立いたしまして、その計畫に基いて各省がそれぞれ工場別の具體的の割當をする、こういうことになつております。從いまして本法によりまして、原則として切符を出すわけであります。その切符を出す際に、その計畫の範圍内で出す。從つて超過發券等によりまして、物資の裏づけがない切符を出すようなことのないように、十分に各省に連絡して、適切に運用いたしてまいりたい、こういうように思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=38
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039・左藤義詮
○左藤委員 割當切符をもらつておるが、現物がない。そういう場合に、經濟違反にひつかかるけれども、切符さえもつておれば若干、あるいは相當の品物がやみ價格を出せば手にはいる、石炭などについてはそういうことが行われておる。のどから手が出る際ですからついそういう物に高いやみ代金を支拂わなければならぬ。こういう實情を當局は御承知になつておるかどうか。そういうことに對して不通の切符にならないように、やみと何らかの差別をなさるつもりであるか。取締りの方針について承つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=39
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040・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 お話の例としておあげになりました石炭等につきましては、われわれもお話のような點を若干聞いておるのでございますが、今後切符制度を施行いたしますにつきましては、お話のような點がないように、山元といいますか、生産者の方も配給過程にはいりましても、そういう弊害がないようにひとつ十分努めていきたい、こういうように思つております。なおそれにつきましては、それらの弊害がないような監査の方法といいますか、制度も目下研究いたしておりますので、それらと關連いたしまして、お話のような弊害をひとつ除去してまいりたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=40
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041・左藤義詮
○左藤委員 ただいまの御答辯によりますと、十分な監査をする、もし違反した場合には、切符なしでやつた、いわゆるやみからやみでやつたものも、切符のわく内で配給のもらえるべきものだが、現物がないためにやみをやつたという場合も、經濟秩序を亂す經濟違反だという點においてはまつたく同樣だという點で、差別をしないで、嚴重にお取締りになるつもりであるか、念を押しておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=41
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042・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 お話の點は、たとえば切符をもつておつても、物がはいらないために、切符でもつて物を入れるについてやみで買つた。そういうのが經濟違反といいますか、經濟取締りはどうなるかというお話だろうと思いますが、かりに切符をもつておつても、やみで買うといいますか、價格違反があれば、その點の取締りは、ほかの切符のない場合と、價格違反の點では、これは當然同樣に考えていくべきだと考えます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=42
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043・左藤義詮
○左藤委員 本法の改正には罰則が非常に強化されておる。ただいまのお話の監査の強化と相應じて、まことにもつともな點だと思つておりますが、どうも今まではざこばかり網にかかつて、大きなものは非常に功妙な方法で逃れておる。私は涙のこぼれるような陳情を聞いておるのでありますが、結局正直者が損をする政治ばかり行つておる。たとえば汽車に乘つておつても、非常に困つて買出しに行つておるような者が警察官にこずきまわされて、わずかなものを取上げられて、大きなやみ屋は、ときによると貨車一臺を買收したり、あらゆる方法で實に巧妙に逃れておる。こういう暗い不平が、私は非常に道義の頽廢の大きな原因となつておると思う。せつかく罰則を強化されるならば、ただ單に法文を強化してそれで濟むのではなくして、一旦法律として定められた以上は、どこまでも責任をもつてこれを勵行していく。どうも今までは法律の出しつぱなしで、切れない刀を振りまわして威しているだけだという感じが、非常に國民に多いと思いますので、そういう點におきまして、せつかく罰則がこうして強化されまするならば、内務、司法當局とも十分に緊密な連繋をもつて、いやしくも免れて恥なき者のないように、その點については十分な覺悟をおもちにならなければ、この改正は意味をなさぬと思うのでありますが、これに對する御所見を承つておきたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=43
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044・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 本法の運用にあたりまして、お話のように大きな違反を見逃して、小さいというか、輕微な違反だけを罰するということでは、お話のように本法目的の運用の適正を期するということはできませんので、本法の運用にあたりましては、罰則の適用等につきましても、お話のような方針で當然まいりたいと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=44
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045・左藤義詮
○左藤委員 わかりました。これで私の質疑は終了いたしました。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=45
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046・加藤一雄
○加藤委員長 氏原君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=46
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047・氏原一郎
○氏原委員 本法案はさきの議會におきまして、十分基本的な問題を縱横無盡に論議されておりまするので、私はこの際本法の基本的な問題について、政府の御意向を質すというようなことは、あえていたしたくないのでございますが、本改正に伴いまするところの二、三の重要な問題のみにつきまして、一應この際政府の御所信を伺つておく必要があると存じます。
第一の問題は本法第一條第三項によりまして、經濟安定本部總裁が定める方策に基く供給の特に不足せる物資の生産、この生産命令によりまして生産をいたします場合において、はたしてこの生産に必要なる原材料の供給というものが、これらのことにつては、ただいま左藤委員の御質問もある意味において同樣でありますが、この生産命令に對して裏づけとなるべき原材料の供給ということが、はたして現下の經濟實情から考えて、萬遺憾なきを期することができるかどうかという問題でございます。これは具体的に申し上げればおわかりになろうと存じますけれども、現に政府の計畫生産によるところの命令を受けて物の生産をやつております。ところが現實にはこれに對する原材料の裏づけということは、ほとんど政府の方ではお考えにならないで、結局生産の命令は出すのだけれども、それに對する原材料の手配は業者みずからにおいてこれをやれというような態度をとられております。これは經濟安定本部がそういう御方針であるとは考えられません。私ども商工省關係ではありまするが、事實においてはそういうような工合に、原材料の手當をどうするのかというようなことになりますると、結局いかんともしがたい。ごく近い例でありまするけれども、四月以降に執行せられまするところの各種の選擧に要する投票用紙の生産、これは一應商工省から紙のメーカーに對して、これだけのものをというお話でありまするけれども、しからばこれに對する原料をどうしてくれるかと言うと、業者の方でしかるべくやれということになる。こういうことであると、結局メーカーは政府の生産命令によつて生産するものでありましても、ただいま左藤委員が指摘いたしました通り、いわゆる公定ならざる價格によつて原料をむりに入手する。その結果生産コストは非常に高くなる。政府の計畫生産によつてでき上つたものでもやはり需要者の手もとにまいります場合には、相當に高い單價のものが配給されなければならないというような結果に相なるのでございますが、政府は第一條第三項によりまするところの生産命令を出す場合には、その生産命令の裏ずけとしての原材料、その他藥品等の確保というようなことについては、十分な總合的御計畫が立つておるものであるかどうかということについての御答辯をまずいただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=47
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048・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 お話のございました政府が生産命令を出す場合には、それについて原材料等の供給を確保しなければならぬというお話は、ごもつともでございまして、われわれといたしましても、本法に基きまして生産命令を出します場合には、主要指定生産資材と申しますか、原材料、先ほど申し上げました鐵鋼、燃料等、約十七品目くらいになりますが、それにつきましては需給計畫をつくつておりますので、それらの原材料は生産命令を出すものには確保する。すなわち計畫の中に十分組みこんで確保する、こういうことでいきたいと思つております。但しそれらの計畫物資以外のものがいろいろございますので、これらのものはできるだけ斡旋をいたすとか、その他の方法によらなければならぬのでありますが、計畫をいたしております物資は、計畫によりまして適正にはいるように、ぜひしてまいりたいと思つております。但し從來各省からいろいろ生産の指示がございましたものにつきましては、本法にあります命令ではございませんが、趣旨は同じことであると考えていいと思いますが、それらのものにつきましては、まだ計畫が十分いつていないような點もあつたかと思いますが、お話がありましたように、確保を要する生産につきましては、できるだけ原材料その他の資材を總合的に考えまして、適切に運營されるようにしてまいりたいと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=48
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049・氏原一郎
○氏原委員 私はもつと掘り下げて率直な御答辯がいただけるものと期待しておりました。なるほど本法による重要指定品目十七項目にわたります物資の生産命令を出すというような場合においての原材料の供給は、需給計畫に基いてあくまでもそれを確保せられるという御方針ではありましようが、しかしただいまかりにこの十七品目のうちの一つである鐵鋼なら鐵鋼、石炭なら石炭というものについて考えましても、この生産をあげるためには、いわゆる主要なる原材料だけが整いましても、ごく主要でないところの、たとえばモートルを操作いたしますためのグリスというような、全體の計畫から見れば數量を出すにしても、ほんの小さなものでも、そういうものでも一つだけ缺けますと、結局全體の生産計畫が立たないというような結果になります。實情においては今日政府はこのものを生産するのに、これだけの原材料が主である。これだけのものが供給されればあとのものは一應業者において適當にそれを手に入れることができるであろうというような想定のもとに、實際にこの需給計畫を立てることになつておるのではないかと疑われる向きが非常に多いのでありますから私はこのことを押し返してお尋ねするやぼはいたしませんけれども、今後重要品目につきましての生産命令というものをお考えになります場合には、十分この點をお考え願いたいと思います。
第二に政府は前に臨時物資需給調整法によりまして、指定をいたしますところのものの配給について、新しい配給機構を實施するにあたつて、クーポンを發行をする、切符を發行する。そして、この切符の發行をするがために、割當補助官といつたようなものを學識經驗者竝びに民間業界及び關係民間團體等の中から採用するということを、聲明せられているように存じます。ところで、この本質的なねらいを私ども考えますならば、それは割當に對する公平を期するということがねらいであろうかと存ずるのでございます。物によりましては、既に第四・四半期の切符の發行割當をしなければならないものも相當あるのではないかと考えまするが、その場合、すべての品目についてということは私申しませんけれども、多くの品目につきまして、政府はこの割當をするにあたりまして、消費團體でありますとか、生産者の團體とかいつたようなものの幹部に對して、關係各省から制當擔當補助官の留任について交渉をせられておりますけれども、現在までの經過では、その交渉を受けた關係者は、ほとんど留任を拒否するというような態度に出ておりまして、政府の思うようにこの割當補助官というものは任命ができないという實情にあるかのごとくに仄聞をいたします。思いますのに、この割當補助官の任務というものは非常に重要でありまして、しかも多種多樣にわたりますところの需要者への切符發行というようなことに對して、公正妥當な補助的な任務を務めるというようなことは、現在のような産業界の實情では、言うべくしてなかなか行われないという結果、なかなか政府の思う通りに、割當補助官の任命ということが實現をしないということであらうかと考えられる。私は今日の場合における割當補助官の任命に關する經過竝びにお見透しを第一にお伺いをいたします。第二には割當補助官の從來のいろいろな關係團體の幹部の方々からおとりになりますということは、ほんとうの仕事をやつていく上においての御便宜を考えることもあるかもわかりませんけれども、先刻左藤委員も指摘をされましたように、從來の關係團體の幹部というものにとらわれておりましたならば、おそらく私は今までの産業團體がやつたと同樣なことしかできない。顏によつて、あるいはまた情實によつて需給のバランスが決定される。その結果が重要度の高いところのものが重要度の低いところに供給されるというふうなおそれもないとは言いがたいと思います。大體本法の改正によりまして一定の一箇月ほどの期間を限つて、特定の産業團體を指定して安本長官がこれの統制の權限を與える、このこと自體が既に實際問題としては、政府の不用意のうちに本法を施行したところの缺陷を露呈している。この法律が既に施行されて相當日が經つておりますのに、今になつてなおかつこの附則をつけなければならないということ、これ自體が既に政府がこの法律の施行について今日まで十二分なるところの措置をなし得なかつたということを露呈しているのでありまして、この割當補助官の任命にあたつては、政府としては今後のわが日本の重要物資の生産竝びに配給ということが重要であればあるだけ、この割當の補助的任務を擔當する擔當官を從來の産業團體等の幹部から、因縁情實の相當深いものをもつておりまするところの幹部の中からとるというのでなくして、むしろこれは思い切つて、全然の素人とでもいうような者の中からこれらを採用するということが、かえつて本法の目的を達成する上において有效ではないか。ほんとの白紙の立場にある人、今までのいろいろな産業團體に關係のなかつた白紙の立場にある人を選ぶということの方が、むしろ本法の目的を達成する上においては效果的ではないか。こういうふうに考えるのでありますが、この點を第二點として御答辯を願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=49
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050・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 お話にございました割當補助官と申しますか、要するに割當の事務をいたす割當官吏の點でございますが、それにつきまして、お話にありましたように、大體物資によつて違いますが、四月ぐらいから切符制度を實施いたす豫定になつておりまして、目下その擔當の方を關係方面に依囑しております。但しお話にありましたように、未だ全部は埋つておらないのでありますが、お話のように非常に重大な職責をする方でございますので、是非割當事務の方におつきを願えるように、各方面に勸奬しておるような次第でございます。これはできるだけ努力しまして、なるべく留任してもらいたい。こう思つております。なおこの方々を選ぶにつきましては、從來の産業界なり、あるいは産業團體等にも、專門家の方がおるのでありますが、お話のように廣く各方面からほんとうの適任者を物色いたしまして、充足をしてまいる。こういうふうにいたしたいと存じておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=50
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051・氏原一郎
○氏原委員 次にお尋ねいたしたいのは、今囘の改正によりまして、物資の輸送ということが、第三條の一項中、に挿入せられたのでございます。まことにこの改正は、本法の目的から考えまして、妥當なる改正でございますが、この際この點について、一言政府の注意を喚起すると同時に、御所信を承つておきたい點がございます。むしろこの問題は運輸當局の御出席を願つて、ともにお聽きを願わなければならぬ問題であるかの如くにも存じますけれども、現下わが國の輸送力というものが、非常に石炭事情等に累いせられまして、弱體化しておるにもかかわらず、一面においては進駐軍の輸送力を優先しなければならない。こういうようなことの關係上、さなきだに弱體化いたしました輸送力が、この特殊の條件によつてさらに何十パーセントか食われておるという實状にある。私の特にお尋ねいたして御注意を喚起したいのは、この進駐軍の輸送に名をかりて、國内におけるところの進駐軍の物資の輸送でない輸送が、非常に多く現在行われておる。これは政府當局はそういう事實はないとおつしやるかもわかりませんが、事實あるのでありますからやむを得ないのであります。地方軍政部その他の進駐軍の機關にとりこんで、個人が別に進駐軍の輸送でもないものを、進駐軍の輸送なりとして、優先的に輸送機關を使つておるという事實は相當多いのであります。この問題を十分に究明をいたしまして、これらに對する強力な取締りを斷行するというような方策が、まず講ぜられんければ、今囘の臨時物資需給調整法の改正をいたしまして、輸送ということを取上げました目的は、十分に發揮されないではないかということを、私はおそれるものでございますが、これらの諸點に對する政府の御見解はいかがでしようか。また地方におきまして、今囘の、輸送という字句を挿入し改正をいたしましたその輸送ということの中には、小運送と荷役というものが含まれておるという政府の説明でありますが、この小運送等については、まことに末端のごとくでありまするけれども、現下本法によつて指定をされておりまする十七品目の物の生産、配給というようなことを圓滑にしようとするならば、この小運送というものは、まことに重要な要素を占めております。從いましてこの小運送といつたようなものが、今どちらかと申しますると、地方等におきましては、非常にその機構が終戰後の混亂に乘じて亂れておる。そしてこの小運送にこそ、いろいろな資材等を購入するにしましても、やみの價格が横行して、從つて小運送料金等についても、非常なやみの料金が正常化されておるというのが實情でございます。これは經濟安定本部が、この法律に輸送ということを取上げましたことは結構ではありまするけれども、現實具體的な問題としてこれを考えてみました場合には、非常な困難が伴うのではないか。特に小運送という點において非常に隘路が多いではないかということを、私は實際の面にあたつて考えるものでございまするが、この點については、政府はどういうお見透しであるか。小運送までも上つて、政府がいわゆる本法によつて命令をし、あるいは禁止をするといつたようなことが、はたして十分にそういう措置が効果的に行えるというお見透しでありますか。ついででありまするから、もう一つお伺いをしておきたいと思いまするが、今囘の改正によつて、本法の第二條を削除いたしましたことは、政府の計畫、構想をいたしておりまする配給公廳というものに、關連性を多分にもつものであると私は解釋いたしております。つまり政府は本法第二條を削除いたしました根本の理由として、政府の企圖いたしておりまする配給公廳、もしくは公社といつたような組織が生れるから、本法の第二條は別にこれを存置する必要がないのだという結論の上に立つておられるものでありましようか。なおそのほかに第二條削除の基本的な理由がありますれば、伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=51
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052・加藤一雄
○加藤委員長 この際特に説明員として津田弘孝君の發言を許可いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=52
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053・津田弘孝
○津田説明員 ただいま氏原委員から御指摘のありました點のうち、輸送に關係いたしますることにつきまして御答辯を申し上げます。當初お話がございましたように、今日の輸送機關は鐵道といわず、船といわず、小運送といわず、戰災等によりまして、非常な損害、荒廢をこうむつておりまして、戰前に比べますと非常に弱體化しておるのでございますが、この輸送力の増強につきましては、政府といたしましてもあらゆる手段を講じつつあるのでありますが、この輸送の中で、ただいまお話のありました進駐軍の輸送の占める割合と申しまするものは、旅客貨物ともに少からざるパーセンテージに上るのでございます。貨物輸送について申し上げますならば、私はつきりした數字は今ここに記憶いたしませんが、大體の見當といたしましては、進駐軍の直接の用に供する、いわゆる軍用の貨物は國鐵だけの例によりますと、大體一割前後だというふうに記憶いたしておりますが、これは進駐軍の證明書をとりまして輸送される貨物、いわゆる證明書附貨物、その中にはG・H・Qが出す證明書と地方のR・T・Oと申しまして、レールウエイ・トランスポーテーシヨン・オフイスというものがございますが、これが發券する證明書、それから進駐軍の委任を受けまして地方長官が發行する證明書、この三種あるのでございますが、そういつた證明書附の貨物の數量が全鐵道輸送量のうちの、どの程度の割合を占むるかということを申し上げますと、これは昨年の十二月に調べました表でございますが、約全數量の三〇%にも及ぶというわけでございます。これによりまして進駐軍が證明書を發給いたしました貨物のうち、もちろん相當の部分は眞に進駐軍の用に供せられる、土建用に供せられる貨物だと思うのでありますが、しかしその中には日本の土建業者その他が進駐軍の證明書をとりつけまして、その名稱を使つて鐵道に輸送するものが相當あるのではないかということが想像せられるわけであります。しかしながら運輸機關といたしましては一應條件を整えてまいりました證明書附の貨物に對しましては、これを排除するということは、その眞僞の立證の方法も運輸機關としてはもちませんで、やむを得ずに託送しておるというようなこともございます。そのようなことで、さなきだに逼迫しておりまする鐵道輸送、あるいは海上輸送というものを、こういつたにせの、何と申しますか、實質は進駐軍の用に供せられない貨物が、その名をかりて輸送せられるということを防止するためには、この證明書の發給につきまして、進駐軍の方面におきましてできるだけ警戒していただく。要すれば進駐軍の證明書の發給機關を進駐軍の方におきまして統制してもらう。あるいは中央一本にしてもらうというような方法につきまして、先日進駐軍の方に書面をもちまして、日本政府からもお願いをいたしておるわけでございます。それからなおやみ輸送の取締りにつきましては、やみ撲滅の一環といたしまして、輸送の面からもできるだけこのやみ防止に、やみの撲滅に協力いたしたいということで、目下運輸當局と主管廳であります農林、商工當局との間に、よりより話を進めておるような次第でございます。
その次にお話のありました小運送の増強の面でございますが、これは御指摘のように非常にこれまた戰災等によりまして弱體化しておるのでございまして、輸送の隘路はむしろ小運送にあるというふうに考えられるのでありますが、運輸省におきましても、その小運送關係を專管いたしまする陸運管理局という役所がありまして、小運送力の増強に、これは資材の面におきましても、あるいは資金の面におきましてもいろいろと擔當いたしてやつておるわけでございますが、御承知かと思いますが、先般進駐軍から約八千臺のトラツクと八千臺のトレーラー、約一萬六千輛の車輛の拂下げを受けまして、これらが小運送の増強に相當役立つのではないかというふうに考えられております。小運送に對する手當といたしましては、自動車の燃料の問題、あるいはタイヤ、チユーブの問題、あるいは荷牛馬車のいろいろな資材、あるいは馬や牛の車というような問題がありますが、これらについても運輸省としてはそれぞれ關係省と連絡をし、また日本にない資材、たとえばタイヤとか燃料については、進駐軍の助力を懇請していくというような次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=53
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054・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 氏原委員から御質問がございましたあとの點の、いわゆる政府の計畫しておる配給公廳というか、配給公團と本法の第二條削除との關係でありますが、その點についてお答え申し上げたいと思います。第二條を削除いたしますのは、先ほど來お話もありましたように、具體的に言えば、物資の割當の切符その他の證票を出すことになりますが、その事務を官廳でいたす、こういうわけでございます。それで大體原則として指定生産資材というものは、切符制度で消費者まで渡る、こういう仕組になるわけでございます。但しその際に製造業者が非常に澤山あるとか、消費者が各地にわかれておるとか、品質が相當複雜であるとか、物資の輸送に相當の輸送機關を要する。こういうようなものについては、從來も配給統制會社というものがありまして、そこに一度集めて、それから指示によつて配給するということもいたしておりましたが、いわゆる一手買取、一手販賣という必要な機構、いわゆる配給公廳、配給公團というものによつて營みたい、こういうふうに存じております。從つて言いかえますと、原則として切符によつて――クーポンによつて物は流れてまいりますが、供給の非常に不足しておるものであるとか、先ほど申しました必要なものについては、配給公團というものが必要かと思いまして、ただいま研先をしておるのでございます。從つて第二條の點は物資の割當の點でございますが、ただいま研究いたしております配給公團というものは、その割當に基いて物資が現實に流れる、いわゆる物資の受渡しの點になつてまいります。從つてかりに配給公團というものができましても、割當をするのは公團ではないのでありまして、割當は官廳の方でいたしまして、その割當に基いて物資を現實に集めて流すのが配給公團である、こういうことに相なるのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=54
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055・氏原一郎
○氏原委員 今囘の改正によりまして削除いたされまする第二條の中に、物資需給調停委員會といつたような制度を設けて、これはその必要な事項は勅令で定める。この物資需給調停委員會の性格、任務等につきましては、本法が提案をされましたときに、いろいろな角度から論ぜられて、政府もこれに對する明確な答辯を與えておりますが、物資需給調停委員會というものの任務は、この改正案の施行に伴いまして消えてなくなるということになるのでございます。しかし政府が原案をさきの議會に提案をいたしましたときに、物資需給調停委員會の任務について十分な御説明をなされ、その必要なるゆえんを論ぜられておるのでございまして、ただいま申しました通り、一應官廳がこの割當を切符によつてやるという制度になりましても、その割當が妥當であるかないかということについての、いろいろな問題といつたものが起つた場合に、何らかの形において、それに對して割當の決定に不服のあるとき、そういつたような場合に、それを聽いてもらう機關といつたようなものが生れなければならないかと存じまするが、この點に對しては、どういうふうな救濟方法がとられるのでありますか。この點を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=55
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056・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 第二條の物資需給調停委員會の關係に對しまする氏原委員のお尋ねでごいまして、これは第二條によりまして産業團體が割當を行います場合に、産業團體の行つた割當に、適切でないという不服をもつておるものは、それぞれの主務大臣に申立をいたしまして、それで物資需給調停委員會でそれの採決と言いますか、審査をする、こういう規定でございます。これは先ほども申し上げましたような事情によりまして、第二條が削除になるのでございますが、先般出ました内閣訓令第十號によりまして、各省の行います今後の物資の割當について、それが適切でないという不服、異議を申し立てる方は、經濟安定本部の方に申し立てることになつております。そうしますと經濟安定本部の方ではそれを審査をいたしまして、適當に處斷をする。必要があればさらに割當の改正、その他の處置をする。こういうことになつております。なお第二條の削除は先ほど來申し上げましたように割當を適切にする、こういう趣旨でございますが、昨年十二月十一日に連合軍司令部から民間の産業團體等で割當をするのはいかぬ。こういう指令が出ておりまするので、それらの趣旨で第二條を削除になつたわけでございますが、お話のように必ずしも各省官廳がやりましても、それに全然異議がない、こういうことはないと思いますので、その不服の申立の途は、内閣訓令によりまして經濟安定本部に申立をされまして、經濟安定本部の方でそれを審査をして決定する。こういうことにいたすことになつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=56
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057・氏原一郎
○氏原委員 念のために伺つておきたいのでありますが、連合軍の覺え書によりまして、第二條が削除されるという事情は一應諒といたします。そしてこの第二條が削除される場合において、從來割當をしておつた産業團體の割當に不服のある場合に、物資需給調停委員會に對して、異議の申立をする。そうして公正な調査と審議を受けた上で公益に適した決定を受けるということが、同時に自然的に止まつたが、しかし別に内閣訓令第十號によつて既にこれらのことは經濟安定本部長官へ申し出でて、そういう場合には十分救濟の途がある。こういう御答辯でありましたが、その内閣訓令第十號というものが、一體第二條を基盤にして、第二條からそういう訓令が自然に流れて出ておるものではないか。この點つまり第二條の精神を敷行するために、昨年の暮に内閣訓令を出したということではないか。もしそうだとするとその基盤となる第二條を削除すれば、その内閣訓令もおのずから消滅するというような結果になりはしないかということを、私どもはおそれるわけでありますから、この點はもう一囘御所見をお漏らしを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=57
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058・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 内閣訓令第十號は、官廳が割當をする、その割當の方法は各省が各方面から出ました需要をまとめて、經濟安定本部に提出をいたしまして、經濟安定本部がそれを審議して、需給計畫を定めるというのが第一點でございます。と同時に、經濟安定本部が定めました需給計畫に基いて、各省がそれぞれの具體的な計畫をいたしました場合に、その各省の計畫に異議のあるものは、不服を經濟安定本部に申し立てる。そうしますと、その不服に對して、經濟安定本部は審査をいたして決定をする。こういうのが趣旨でございまして、内閣訓令第十號の不服の申立は、官廳が行つた決定割當に對して、異議ある者の申立の規定でございます。從いまして二條は民間の産業團體が行つたもので異議のある者は、各省の物資需給調停委員會に申立てるということでございまして、内閣訓令の方は各省の行つた割當に對して、異議ある者は經濟安定本部に申立てる、こういう規定でございます。從つて二條は民間の産業團體の行つたものに對しての不服でありますが、内閣訓令の方は各省それぞれ主務官廳の行つた割當に對してのもので、違つてはおりますが、趣旨といたしましては、先ほど申し上げましたように、各省の行つたものに不服のある者は、經濟安定本部でひとつ十分審査して適切に割當を行う。こういうようにいたしたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=58
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059・氏原一郎
○氏原委員 最後に中小商工業の振興と本法との關連性について、一、二お尋ねを申し上げておきたいと存じます。本法によりまして指定をいたされておりまするところの十七品目、これらの重要なる物資の生産等に關しましても、現在のわが國産業の置かれておりまするいろいろな條件の上に立つて考えるならば、これらのものの生産が中小工業に依存をしなければならない面が、今後多々ますます擴大されるのではないかということを私どもは考えるのでございます。しかも政府の總合的な需給計畫の面から、これらの中小工業者を一人々々押えた場合におきましては、特に供給の不足する物資の生産の量というものは、必ずしも政府の總合的な需給計畫の中へ加えるほどの量でないところの生産量しかあげ得ないような中小工業も必ず生まれてくるし、またそういうものを育成しなければならないのでございまするが、こういうような場合に本法はこれらの中小工業がもつておりまするところの特質を十二分に助長いたしまして、そうして同時に本法の目的を達しまするために、この中小工業の協同體と申しまするか、政府も近時商工協同組合法によつて、中小工業の育成に乘り出しておりまするが、そういつたような中小工業の協同體が共同工場、また共同作業等によつて、一人々々の中小工業者の生産は、少いけれども、その共同體を集めた場合は相當の生産をあげるというような場合には、そういう共同體を一つの單位とみなして、この重要物資の特に供給の不足する物の生産に當らしむるというようなふうのお考えをおもちでありましようか、この點について御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=59
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060・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 氏原委員からお話がございましたように、わが國の現状ないし將來といたしましては、いろいろな角度から考えまして、中小工業を非常に重要視しなくてはならぬ。中小工業の振興をはからなければならないということは、議論の餘地のない點でございます。これもこの指定生産資材におきましても、それぞれの生産過程と言いますか、いわゆる業種によりまして、いろいろ違つてはまいると思いますが、方針といたしましては、中小工業でできるものは、できるだけそれを重要視してまいる、こういうことは是非行つてまいりたい。こういうふうに存じまして、大體本法の運用は、これによりまして物資の生産なり、配給なりをいたすのでございますが、それらにあたりましても、中小工業で適當なものは、それら中小工業もできるだけ助成育成してまいる。お話のように協同組合等の共同作業所等を設ける場合におきましても、それら適切な品種のものは十分重要視して、運用してまいりたいと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=60
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061・加藤一雄
○加藤委員長 この際委員長から二、三點お伺いいたしておきたいと思います。臨時物資需給調整法は、九十議會に提案になりまして、可決いたしたのでありますが、その後まだ時日が經過いたしませんのに、第二條を削除いたしまして、民主的に組織せられたるところの産業團體に物事をやらせるというものを、全面的に官僚統制に移行せねばならぬという社會情勢は、どこにあるか、この點を御説明を得たいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=61
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062・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 お話がございましたように、臨時物資需給調整法は、制定になりまして日がまだ淺いのでございますが、その後の情勢の推移と申しますか、物資の需給計畫をいたしてまいる點におきまして、いろいろ考えてまいりますと、第二條におきまして、必要がある場合には、必要なる産業團體に割當權を認める。こういうことになつているのでありますが、わが國の現状といたしましては、物資の生産もなかなか豫定したようにあがつてまいりませんで、非常に需要供給が窮屈でございますので、その窮屈の物資を緊要な方面に重點的に配給するということにおきましては、どうしても産業團體でいたすということが適切でない點もございますし、なお物資の配給を公正にして行くという意味におきまして、官廳において割當をしていく、但し官廳におきまして割當をいたすにつきましても、實情を知らない者がするといふ弊害には至りませんように、これの運用にあたりましては、擔當する官吏は、特に民間各方面から最も事情に詳しい適任の士を起用いたしまして、これらの運營にあたつてまいりたい。こういうふうに思つております。なおこれにつきましては、昨年十二月十一日の連合軍司令部の覺書もございまして、民間産業界におけるこれらの割當權は削除しなければいかぬというふうな指令もございますので、これらの指令によりまして、この改正案をお願いしたような次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=62
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063・加藤一雄
○加藤委員長 次にお伺いしたい點は、臨時物資需給調整法實施以來、政府が生産命令をお出しになりました相手工場、事業場及びその成果を簡單に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=63
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064・椙杜正太郎
○椙杜政府委員 本法と生産命令との關係でございますが、これにつきましては、生産命令を本法によつて出します以上は、それに要しまする原材料等を總合的に見て確保いたす必要がございますので、現在までのところは、まだ本法に基く生産命令を出したものはございません。但し重要物資の指定生産者につきましては、需給の計畫はいたしておりますので、それぞれの主務官廳の指導によりまして、いろいろ生産指示等はされているかと思いますが、本法によりまするものは、現在のところございません。これは今後需給計畫の推移等を見まして、もし本法によつて生産命令を出します場合には、原材料その他を十分確保するという總合的の計畫をつくりました上で、生産命令の規定を運用してまいる、こういうふうにいたしてまいりたいと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=64
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065・加藤一雄
○加藤委員長 その次にお伺いいたして置きたい點は、輸送の問題と船舶公團の問題でありますが、この問題の因果關係を今、氏原君の質問もございましたが、あまり十分でないと思いますので、もう一度御説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=65
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066・津田弘孝
○津田説明員 輸送につきましては、實は臨時物資需給調整法が制定せられました當時に、輸送に關しましても、輸送命令、輸送制限禁止令が、この物調法に基きまして出せるようにすべきであつたのでありますが、當時の情勢といたしまして、運輸省におきまして現在ありまする地方鐵道に關する法律、あるいは自動車小運送に關する法律、それから海運に關します法律等をそれぞれ改正あるいは新しく制定いたしまして、輸送についての公益命令を挿入した法律をつくる、こういうようなことに相なつておりましたので、當時輸送關係を除いたのでありますが、その後いろいろの事情によりまして、そういつた單行法を制定することを取りやめにいたしました、と言うよりも、今度の議會でいろいろと法案の數を整理するというような關係で本議會に提出することを見送るということに相なりました。一方輸送についてのいろいろな緊急問題につきまして、輸送に關する命令を發するというような必要は生ずるであろうということが考えられますので、今度物調法の改正の際に、この輸送關係を加えたような次第でありまして、ただいまお尋ねの船舶輸送關係を物調法に入れたことと、船舶公團とは直接の關係はございません。御承知のように船舶公團は、船舶の建造、修理等についての公團でございまして、この物調法の改正とは直接の因果關係はございません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=66
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067・加藤一雄
○加藤委員長 もう一點輸送についてお伺いいたしておきます。輸送關係で命令を聽かなかつたものがありましたら、いかような處置をおとりになりますか、この點をちよつと承つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=67
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068・津田弘孝
○津田説明員 これにつきましては罰則の適用がございます。これは物調法の第四條に、「第一條第一項の規定による命令に違反した者は、これを十年以下の懲役又は十萬圓以下の罰金に處する」ということになつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=68
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069・加藤一雄
○加藤委員長 今のお話の公益命令規定というものは、お出しになるお考えがございますか、いかがでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=69
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070・津田弘孝
○津田説明員 これは運輸省といたしましては、來議會にでも出したいという希望をもつております。御承知のように國有鐵道は國營でございますので、物調法の直接の適用の範圍ではございません。現在は地方鐵道軌道法というのがございますが、これを合併いたしまして鐵道事業法とでもいうべき法律をつくりたい、その中に公益命令を入れる、それから現在は自動車交通事業法というのが自動車關係についてございます。また小運送につきましては小運送業法というのがございますが、この二つを合併いたしまして道路運送法という法律を制定いたしまして、その中に公益命令を入れたい。それから海運につきましては、現在は臨時船舶管理法によりまして、政府が運航業者に對しまして航路、就航區域、運送すべき人または物を指定して航海を命ずることができるというのがございますが、これが昭和十二年當時に制定せられましたもので、當時と大分事情も異なつておりますし、海運に關しましても、海上運送法というような法律を出したいというように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=70
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071・加藤一雄
○加藤委員長 私から希望を述べておきますが、先般運輸省の豫算の分科會におきまして、拂下自動車を中心に、業界の方面に民主的に物事をやらせないで、非常に官僚統制で壓迫するという聲が盛んになつております。今お聽きいたしますれば、またこの方面に相當業界に摩擦が起るようなお考えがあるようでありますが、乏しいながらも民主的に物事をやりまして、國民總意のもとに日本の再建がわれわれといたしましては最も望ましいところでありますから、そのお考えの下に最小限度に官僚統制は止められまして、でき得る限り民間方面の總意を伸暢いたしますように、政府といたしましても格段の御高配を願つておきます。
これで質疑の通告を全部終了いたしました。討論に入りますが、今進歩黨が黨議をまとめに歸つておりますから、しばらく速記を中止いたします。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=71
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072・加藤一雄
○加藤委員長 それでは速記を始めてください。ただいまより臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案につき討論に付します。左藤義詮君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=72
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073・左藤義詮
○左藤委員 私は日本自由黨を代表いたしまして本改正法律案に對して、現下の國情から、この改正のやむを得ないことは認めるのでありますが、しかしあくまでこれは非常措置であつて、一日も早く本法の正しい運用によつて物資需給の圓滑、それによる經濟の復興を目ざして、できるだけ早い機會に正常な自由經濟に復歸されるように、この點は特にわが黨といたしまして政府に要望いたします。また一方におきましては、先ほど質問しました罰則等についても、必ず嚴正公平を期せられるように、この希望を付しまして本改正法律案に贊成をいたすものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=73
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074・加藤一雄
○加藤委員長 竹内君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=74
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075・竹内歌子
○竹内(歌)委員 私は日本進歩黨を代表いたしまして、本法改正は諸般の事情から鑑みまして、やむを得ざるものとしてこの原案に贊成いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=75
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076・加藤一雄
○加藤委員長 氏原君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=76
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077・氏原一郎
○氏原委員 私は日本社會黨を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案に贊意を表するものでございます。この際一二の希望意見を申し述べまして政府の善處を要望したい。
第一の點は、本法の運用にあたりまして、いわゆる公益命令を發しますることによつて、政府が現在の經濟的危機を克服するという大きな目的を達しようといたします場合に、戰後特に弱體化いたしましたいわゆる官僚組織竝びに政治勢力というようなものでは、とうていこの法律の目的は達せられないと思います。從いまして本法が經濟危機突破のために眞に必要なる法律であるといたしまする限りにおいては、この法律の目的を達成するためには、十分その法の精神を貫くということを考えなければ、ややもすればこの法律は死文化するおそれがないといたしません、この點について政府は深甚の御考慮をお願いいたしたい。
同時にこの法律によりまして公益命令を發しまする場合、たとえば生産命令を發しまする場合等におきましては、あくまでもその生産の裏づけとなりまする原料、副資材等についても、必ずそれが生産確保のために支障を來さないように十二分の措置を講すべきであるという點。
いま一點は本法か經濟危機突破のために迅速果敢に法の目的を達成しなければならない現下の國情からいたしまして、政府がややもすれは民間の自田主義經濟復歸への要望におもねつて、本法のせつかくの精神を發揮することのために勇氣を欠く、決斷を欠くというようなことがありましたならば、これまた本法を死文化せしめるおそれがございますので、この法律が自由經濟への反逆的な立場をもつものでもなく、祖國の經濟再建のため、危機突破のための重要なる法律であるという點を十分に御認識をせられて、信するところに向つて斷固として邁進をする不退轉の勇氣をもつて、この法の運用に當られたい。
以上の三つの希望意見を附しまして、私は原案を認めたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=77
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078・加藤一雄
○加藤委員長 討論は終局いたしました。これより採決をいたします。原案に贊成の諸君は起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=78
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079・加藤一雄
○加藤委員長 起立總員。よつて本案は原案通り可決いたしました。
明日は午前十一時より會議を開きます。本日はこれをもつて散會いたします。
午後三時五十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00719470319&spkNum=79
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