1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
特別調達廳法案(政府提出)(第七一號)
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昭和二十二年三月三十日(日曜日)午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 石原圓吉君
理事 淵田長一郎君 理事 關谷勝利君
理事 井上良次君
大井直之助君 栗山長次郎君
塚田十一郎君 横田清藏君
太田秋之助君 佐藤久雄君
武藤 常介君 八坂善一郎君
伊藤卯四郎君 金子益太郎君
秋田 大助君 木下榮君
三月三十日委員秋田大助君辭任につきその補闕として鹿島透君を議長に於て選定した。
出席國務大臣
内務大臣 植原悦二郎君
商工大臣 石井光次郎君
國務大臣 高瀬莊太郎君
出席政府委員
内閣事務官 橋井眞君
戰災復興院總裁 阿部美樹志君
内閣事務官 大橋武夫君
大藏事務官 森永貞一郎君
司法事務官 佐藤藤佐君
司法事務官 野本新一君
商工事務官 吉田悌二郎君
委員長の許可を得た出席者
商工事務官 岡田秀男君
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本日の會議に付した議案
特別調達廳法案(政府提出)
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午前十時五十六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=0
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001・石原圓吉
○石原委員長 これより會議を開きます。前會に引續き本案を議題としてその審議を進めます。これより質疑を行います。質疑は通告によりこれを許します。塚田十一郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=1
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002・塚田十一郎
○塚田委員 昨日突然このような法案を議會に提出されまして、委員會にまわつておるようなわけでありますが、一應政府當局の提案の趣旨、それからその間にあつたいろいろな事情を承つたのでありますけれども、必要なものである、やむを得ないものであるというように認識はいたしたのでありますけれども、私しばらく民間におりました時分に、建築事業の職員をいたしておつたことがあるのでありますが、その時分の經驗からいたしまして、これはよほどうまくやらないと、結局今まで政府が御自身でやつておられたことを、その間にもう一つ機關を設けて手續をめんどうにするだけに終つてしまうというような懸念が非常にするのであります。御承知のように、戰爭中に鐵道の工事につきまして中間の會社を一つつくつた實例があるのでありますが、あれは實際に手續をめんどうにしただけで何ら存在の意味のないものに終つてしまつたことは、おそらく復興院總裁も十分御承知の通りだと思うのでありますが、そういう點についての懸念をどういう工合にして克服していかれるつもりであるか、その邊の御所信をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=2
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003・阿部美樹志
○阿部政府委員 今の質問にお答えいたします。お話のように中間機關に終るような懸念もないではありませんができるだけこれは連合軍當局と緊密なる連絡を取りまして、そういう懸念に陷らないようにいたしたいと思います。またさうできると思います。今まで官廳がいろいろ官廳としましてこの事業そのものについて苦心いたし、また査定その他のことにあたつておつたのでありますが、今囘は相當民間人もはいりますし、官廳からもはいります。その點においては從來と變らない程度あるいはもう一層強力に圓滿にやり得るようにしたい。またそうなると考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=3
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004・塚田十一郎
○塚田委員 御答辯によりましてその點懸念をもつておられて、そういう弊害のないように運營していこうという御決意はよくわかるのでありますけれども、これは實際にこの特別調達廳の役職員が、また一部官廳からと一部民間から出てやります。そうするとこの特別調達廳のこの規定によつて仕事をやります行き方からすると、必ず今まで官廳でやつておられたことがそのまま殘つて、またその上に特別調達廳はもう一つ同じようなことをやつて、そうして初めて實際に仕事をする者もしくは勞務を供給する者にいくということに必ずなるに違いないと私ども考える。しかしこの點については議論をいたしておつてもしようがないのでこれを通すとするならば、この點についての十分なる御決意をもつてやつていただかないとうまくいかない。殊に私が非常に懸念をいたしておりますのは、現在のいろいろな官廳の仕事、これは進駐軍の工事を含めての意味でありますが、非常に支拂が遲延して業者が皆困つておる。この支拂が遲延をいたしますことが、必ずまた仕事の面にも惡い影響を及ぼすことがあり得るのでありまして、そういう點にひとつ萬全の御注意をお拂いいただくことを希望する次第であります。
それから次にこの規定をずつと讀んでみますと、これは法人にはなつておりますけれども、事業の上の收支というものは、收支はあるのでありますが利益損失というものがこれは考えられないような機構であるように思うのであります。この利益損失の考えられないような機構で、その規定の上に所得税法を適用するとかしないとかいうことを特に規定して、所得税及び法人税を課さないとか、それからして地方税を課することは原則としてはできないが、特別の場合にはできるというような規定があるのですが、これはどういう意味なのか政府委員の御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=4
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005・大橋武夫
○大橋政府委員 原則としてこの法人に收支がなく、これは直ちに國庫の收支になるような仕組になつておることは御質疑の通りであります。ただ昨日大臣から提案理由の説明にも申し上げましたように、この法人は直接の收支自體は原則としていたしませんけれども、しかしながら物件を所有するような場合もございます。たとえば進駐軍のP・Dによりまして物を買い入れてそうしてそれを進駐軍に納めるまでの間所有し管理する。こういう場合に、それがそのまま進駐軍に納まる場合もありますし、納まらない場合もある。必要がなくてそれが要らなくなつたという場合もございます。そういう場合には、その物件を他に賣却するという必要もあるのであります。かような特殊な場合に多少損益というものが生ずる餘地があるわけでございます。この場合の救濟規定として載せてあるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=5
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006・塚田十一郎
○塚田委員 少し無理な御説明のようにも思われますが、たまにある事例を考えてやつておられるということは、これは了承いたします。
それから次にこの特別調達廳の役職員を、今も復興院總裁から、民間人を入れる、官廳からも入れるということを言われたのでありますが、これについてのもう少し具體的な何か一般的な腹案でもおありになるならば伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=6
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007・大橋武夫
○大橋政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。この法人は法律の制定後速やかに設立委員會を開きまして、その設立委員會において詳細それらの點を檢討せられるものと存じますが、大體私どものただいま豫想しておりますところといたしましては、本法人の業務の内容といたしましては、現在政府機關でもつております部分は復興院の特別建設局の業務の大部分、それから終戰連絡事務局の設營部の業務の一部分、これらの業務がこの法人の業務にはいつてまいる。そのほかに現在民間の團體でありまする交易營團の需品局の業務が全部はいるわけであります。なおそのほかに現在終戰連絡事務局または復興院の補助的な機構といたしまして、純粹の民間の會社でありまする日通とか、あるいは三井、三菱、交易營團というような部分において行つております業務が、この法人の業務としてはいつてくるわけであります。かように現在の民間の業務と現在の官廳の業務とをこの法人が所管していくことになります。他面において進駐軍關係の調達業務は、一日もこれをゆるがせにすることのできないものが大部分でございますから、その間の事務の引繼連絡等は、これを支障なくやるということが必要でございますので將來本法人の人事構成といたしましては、できるだけ民間人を活用いたしまして、實際的な知識なり經驗なりをこの事業の上に活かしていくということが根本でございますが、暫定的の措置といたしましては、官廳業務の一部を引繼ぐ關係上、また官廳及び民間業者の全體の構成をうまくやつていきまする關係上、相當な人を官廳方面からもこれに入れなければなぬ。こういうふうになるわけでございます。なおこれらの職員がすべて官吏または政府職員として取扱われまするという點は、これは中へはいりまする人の前歴等に關係なく、他の公團法と同樣の取扱いをするという意味でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=7
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008・塚田十一郎
○塚田委員 少し御答辯が質問の趣旨とはずれておつたのでありますが、私がお尋ねしたかつたのは、たとえば新しい法人に官廳からどのくらいの人間を連れていくか。民間からどのくらいの人間を連れていくか。また民間から出る人たちをとる場合、どういう人たちを基準として選ぶかということを何か考えておられたならば承りたい。この場合に特に人選について希望しておきたいことは、最初に申し述べたように、あまりに新しい法人に、もと官吏であつた人たちがはいつてくる。その比率が大きくなるということは、やはり新しい法人の運營がうまくいかなくなる懸念を懷くのであります。これは十分愼重にお考え願いたいということであります。それと同時に民間から人をおとりになるという場合には、必らず民間でかつてそういう事業に經驗をもつた人たちをおとりになると思う。そういうことになりますと、これは民間の事業としては非常に利害に關係するものであるからして、新しい役員について、いろいろな割込運動などが必ず起つてくる。そういう點につきまして、この人選には愼重を期していただかなければならないということを切に希望しておく次第であります。最後に新しい建設事業の一般的な政府の方針について、非常に最近統制が強化されている。私もその統制の必要とせられる理由は十分存在すると考えておるのでありますが、ただ私の承知しております範圍におきましては、物をつくる面だけを非常に統制しておられる。そうしてその物の素材になる木材であるとか、その他のものの生産の面についての政府の計畫というものが必ずしも徹底しておらない。具體的に申しますと、待合や、料理屋ができてはならぬからして、そういうものの建設は止める。そうして一般の住宅をつくるということになつておりますけれども、一方政府が統制されてそういう必要なものだけをつくるという場合、それらのものに必要な資材の手配が十分政府の力でできるようになつているのかどうか。結局待合もできない。料理屋もできないが、一般の住宅もできないという結果になるのではないかという懸念を非常にわれわれはもつておるのであります。そうなりますと、統制の目的というものは結局達せられないことになるのでありまして、その邊に對しての政府の施策及び見透しはどうなつておるか。お伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=8
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009・阿部美樹志
○阿部政府委員 お答えいたします。今日御指摘のような統制をいたしますことは、乏しい資材の關係上やむを得ないことであろうと考えます。そこでその結果を有効適切にするという構想のもとに、いろいろなる制限規則を設けてあるのであります。御懸念のように、私もこのいろいろなる法令、勅令が出ました結果、家ができなくなるということになりましては角を矯めて牛を殺すような結果になりますからしてこの點を非常に心配しておつたのであります。そこでその施策の一端といたしましては、物をまず獲得することが第一であろうと考えまして、既に議會の御協賛を經ておりますように、特別會計によりまして、一億圓ほどの運轉資金を整えたわけでございます。それによりまして、できるだけマル公あるいはマル公に近い値段でその資材を獲得し、許可を與えました工事つまり住宅その他重點的な建築に對しましては切符を出す場合、たとえば年賦償還のような建築に對しましては、資材までもつけてやろうと考えて、せつかくその方法を練つているのであります。その資材の見透しがついているかという御懸念でありますが、ただいまのところ、ちようど住宅營團が改組になりまして、それがいま生産機關にはいつておりますが、それの持つております木材その他建築資材が相當量に達しております。そういう物をとりあえずこちらで受取りまして、少くも五大都市あるいは重要都市にそういつたことを扱うものを設けまして、いまお話のいろいろ建築が困るだろうというような懸念を一掃したいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=9
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010・塚田十一郎
○塚田委員 御説明を大體了承いたしました。十分御努力せられんことを希望いたします。
次に細かい具體的な問題になるのでありますが、今度の建築制限が大體坪數を基準においていまやつておられる。その坪數が十二坪ということになつていると思いますが、こういう制限を國の規定として全國一律に出されますと非常に困る地方があるということなのであります。私は新潟縣の高田の者なのでありますけれども、私の地方などの實例を申し上げますと、あの地方は冬になりますと非常に雪が降ります關係上、家の中だけが生活の世界と申しますか、そういうことになつております。十二坪じやこれはどうすることもできない。雪の降らない地方というものは、家とその周圍の空地と、そういうようなものが一應生活の區域になつております。家の中だけが生活の區域の所に十二坪なんていうものを建てさしていただいても、これはまつたく生活に困るのでありまして、そういうような點について、何か地方的に特別に御配慮があるかということであります。お尋ねいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=10
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011・阿部美樹志
○阿部政府委員 お尋ねの點きわめてごもつともなことと存じております。私どもといしましても、今日内規的に十二坪ときめておりますことは、必ずしも妥當ではないと考えております。しかし今日木材の建築に利用し得ます量というものが、きわめて制限されておるのであります。御承知のように梱包材その他にも相當量を要するような次第でありまして、その乏しい木材なりその他の建築資材を何とかしましてこの復興建築にできるだけ利用したいという考えのもとに、これは十二坪になつたわけであります。最初われわれといたしましては——これは少し内談になりますけれども、平均十五坪にしたい、こういう考えでありましたが、進駐軍關係でもそれは大きいほどいいが、資材がどうしてもそれだけとれぬじやないかということで、最初十坪という向うの申入れでありましたが、それを十二坪までこぎつけたようなわけであります。この點まことに狹小でありまして、市民諸君に對してもはなはだ遺憾の至りに思うのであります。從つて今お話の雪國に對しましては、十二坪じやどうにもならないじやないかというお考え、これは至極ごもつともと存ずるのでありますが、この點は全國的にいくらか加減をいたしまして、多少そういつたような特別な地方には増さなければならぬのじやないかと、こういうふうに考えております。ただし今出發したばかりでありますので、初めからそれをゆるめるということでは、せつかくの規制と申しますか制限もその目的を達し得ないという感がありますので、當分、二、三箇月と申しますか最初の間はどうしてもこの十二坪で制限しなければならぬと考えられます。漸を追いまして今のような特殊な地方に對して緩和をしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=11
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012・塚田十一郎
○塚田委員 説明を了承いたしました。私の質疑はこれで打切りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=12
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013・石原圓吉
○石原委員長 次は井上良治君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=13
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014・井上良次
○井上(良)委員 本法に關連して二、三質問をいたしたいと思いますが、第一にこの法律を施行するにあたつて一番重要な點は、「經濟安定本部總務長官の定める基本的方策に基き」というのですが、この基本的方策というものが安定本部の方では立つているのでありましようか。これを一應安定本部の方に伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=14
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015・石原圓吉
○石原委員長 今安定本部總務長官を呼びますから、ひとつその次の事項を質問してくれませんか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=15
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016・井上良次
○井上(良)委員 そうですか。しかし大體この基本方策がわかりませんと、次に出てまいります物動計畫に基く生産割當による發注というものが困難になつてまいります。そこでこの機關をつくつても、結局は國家の基本的な方策が確立されて、それに基いて一應物動が立てられ、そして關係方面の要請に基く割當が行われて生産が實施される。こういうことになつていくのじやないかと思いますので、この基本方策を具體的に示してもらわなければなりませんが、今關係大臣がおらぬそうでありますから、さらに進んで伺いたいのであります。問題はこの機關をつくりまして、今まで終連なりあるいは政府の他の機關においてやつておりました仕事をここへ統一して、そして民間の業者に發注または納品をしてもらう、こういう中繼機關になると思うのでありますが、そうしますと、物動計畫に基く生産割當によつて業者にこの發注をする場合のその資材の割當の問題であります。問題はここが一番むつかしいのでありまして、業者の方では現在の經營の状態から大體この品物はこのくらいでなければ生産はできませんという一つの要請があり、その要請に基いて政府の方ではしからばこれだけで契約しようというそこに契約の成立が行われるのでありますが、その契約を行います場合の單價といいますか、基本的な單價は何を標準にして立てようとするのだ。いわゆるマル公によつて契約を請負わそうというのか。これが一番問題になつてまいります。それといま一つ考えなければならぬ點は、その生産割當による資材を業者に渡すその資材の要求高ですが、問題は終戰以來常に業者が必要以上の資材を要求する。それを常にうのみをしてしまつているということであります。たとえて言いますと、印刷を發注する場合に印刷の用紙はこれだけ要りますということを業者から言われたときに、必ず一割なり二割なりというものが餘分に割當をされておる。これは事實であります。この現實を政府は一體どう考えるか。こういうことが具體的に正確になりませんと、常にそれがいろいろな面に大きな影響を與えて、いまわしいうわさがちまたにまき散らされるのでありまして、業者の要求する數量というものと、それを割當てる場合における裁定數量というものの食い違い、それと單價の點、これが一番問題になるのであります。この點に對して一體どう政府はこの機をもつて關公正にやろうとするか。これを伺いたい。一體この仕事はだれがやるのか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=16
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017・岡田秀男
○岡田説明員 資材の割當は商工省で引續きやります。契約は新しくできる機關がメーカーといたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=17
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018・井上良次
○井上(良)委員 資材は商工省という別の機關がやつてその資材がなんぼ要つているから、それに基いてこれだけのものをつくつてくれという契約をする。その場合の單價等については全然ふれないのでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=18
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019・岡田秀男
○岡田説明員 その點をちよつと申し上げますと、現在の組織で申しますと、進駐軍の方から大體これだけのものがこれだけの時期に要るという要求の豫定がまいるのであります。それに對しまして、商工省といたしましては、どれだけの資材が要るということを概算いたしまして、もし國内の需給計畫上過大なものでありますれば、向う側と折衝いたしまして、期間を延ばしてもらいますとか、あるいは數量を減してもらいますとか、いろいろ折衝してやります。大體のめそうなものでありますれば、そのままそれによつて、大體どういうメーカーに製品をつくらしたらよいかということの、メーカーの決定を商工省でいたしまして、そうして向う側に答えますと、向うからそのメーカーを豫定の相手方としまするプログラムデント俗稱P・Dと申しておりますが、それがでるのであります。それによりまして商工省といたしましてはメーカーに生産指示をいたします。その生産指示の寫しが復興院にまいります。あるいは終連の設營部の方へまいりまして、その兩官廳で契約をしていただきまして、そうして私どもの方で所要の資材の割當をいたし、生産の大體おせわをいたしましたものを、その當該契約官廳において契約をされ、物を納入されるわけであります。値段は特定のそういう場合におきましては、商工省におきまして、メーカーから見積書をとりまして復興院等と十分檢討いたしました上で、物價廳へもつてまいりまして、物價廳でさらに各方面から檢討された上で、値段をきめておるという状態であります。今度この機關ができますれば、今の契約關係の擔當廳でありました復興院なり、終連で現にやつておりまする契約の面はこの機關にいくと思います。しかし生産指示なり、資材の割當は商工省に殘るのでありまして、その間切符は切りましたけれども、現實の資材をメーカーに斡施するというふうな仕事は、新機關が商工省と連繋のもとにやるわけであります。物價の決定の關係につきましては大體現在と大差ないと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=19
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020・井上良次
○井上(良)委員 私の聽いておりますのは、そういうふうな事務手續の問題ではなしに、問題は業者とこの機關との間に發注契約をしたときの單價をマル公できめようというのか、何を基礎にしてきめようというのか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=20
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021・岡田秀男
○岡田説明員 その點は先ほど申上げましたように、向うからある規格のテーブルを注文してまいりました場合には、私どもの方で資材を供給する。つまり一切の資材は官給という建前になつておりますので、全部マル公で業者に資材を提供いたしましたことを前提として價格をきめるのが原則であります。ところが中には政府の力で全部官給し得ない面もありますので、そういう點は例外として萬やむを得ず多少考慮しながら、建前はマル公主義で原價計算もとり、各方面とも連絡いたしまして物價廳で査定をしてきめておるが、原則は資材を政府から官給するという建前であります。往々にして時期的に狂いましたり、マル進關係につきましては、いろいろな關係で多少はその例外を認めねばならぬというようなのが實情だということになつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=21
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022・井上良次
○井上(良)委員 よくわかりました。問題は官給をして生産をしてもらう。そうするとその生産をしてもらつたものの單位の問題でありますが、そうなりますとほとんど勞賃が中心になつてまいります。いはゆる可變資本の分が主として計算をされることになり得る。そういうことになつてまいりますると、問題は非常に簡單であるにかかわらず、私はこの問題をなぜこんなに掘下げて聽いておるかと申しますと、これが例の豫算の上の大部分を占めております終戰處理費の一つの經費となつてここに現れてくるのでありますから、從つてこの契約が合理的に行はれておるかどうかということは、國民全般の上に犧牲を少くするか、重くするかということであるし、なお日本再建の上にも非常な大きな影響をもつておりますので、きわめてこの契約は重大でございます。なお一つ注意を願いたい點は、從來の進駐軍下請事業をやつております各種の事業の内容を檢討して見るとどうも正確に行れていない。不正というものが到るところにある。なるほど資材は全部こつちもちで仕事をして、その資材が完全に一體利用されて、最初要求しただけのものがつくられておるかどうかという檢討を加えたことがあるかどうか。たとへばある品物をつくらす場合に、これこれの資材を渡す。そうしてこれは何箇分である。何千箇分であるということで渡すに違いない。ところがいつも一割なり二割の餘分な量というものが渡されておる。これがいわゆるやみに流れて、いろいろな面を暗くしておるということは事實でありまして、それといま一つ注意しておかねばならぬ點は、納品の場合、製品の檢査、またはその數量というものについて、とかく大まかでないか。これについて一體どういう方法でやらうとするかということを、この際伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=22
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023・岡田秀男
○岡田説明員 ただいまの點私からお答えをさしていただきます。メーカーに對しまして商工省から資材を割當てます場合におきましては、お話の通りどれだけのものが要求されておる資材で生産されるかということをにらみまして、與えるのであります。たとえば電氣の機械を千個つくるのに對して鐵が何ぼ要るからくれ、こういうふうに言うてまいりますれば、それを單價を一個についてどのくらいの資材が要るかということをにらみ合わせて、千個に對してはこれだけあればよろしいというので、向うの要求を査定いたしましてこちらから出しておるのであります。それからまたはたしてその千個がそれでできておるかどうかという問題につきましては、その契約擔當廳の方におきまして、ちやんと期限までにできました品物を收納いたすのでありますから、そのときまでにそれだけのものができておりませねば、すぐ連絡がつきまして、メーカーの方へ係官でも行きますし、またその納入の契約官廳の方からも十分その檢討の要求が私どもの方へ參るわけであります。また期限にそれができぬということになりますと、非常に進駐軍關係の方からもやかましく言われます關係上、その製品が具體的にそれだけできておるかという檢討は、絶えず私どもの方でいたしておるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=23
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024・井上良次
○井上(良)委員 ちようど戰爭當時に國内の重要な産業の大部分が軍需産業であり、またその下請産業であつて、軍の仕事さへしておりますならば、マル公で資材がはいり、かつこれによつてどうにか商賣が成立つというところから、軍の下請仕事というものはもうかりませんけれども、資材が豐富にもらえる、この資材の一部分をやみに流すというところに、軍需下請産業の生きて來た途があつたのです。終戰になりまして後において、依然としてその弊風は絶えてないのです。今まで軍の下請産業であつたものが、今度は終戰處理費のうちの進駐軍下請事業の中にはいり込んでいつて、そうしてそれで甘い汁を吸つているということは、到るところでわれわれは耳にするのです。またこれに關連した事件というものが、いかに多く摘發されたかということを、われわれは新聞を通して知つている。だから問題は、この機關をつくります場合は、その資材の割當なり、あるいはそれとの契約の上における面において、よほど嚴正公平なる立場をもつて臨みませんと、非常に危險が横たわつておる。なおまたできた製品を引取る場合におきましても、品質に對して最初の見本とは全然違うものが納められる、あるいは個數が非常に足りない、はなはだしいのは、役人を料亭へ呼んで、あるいはまたは關係者をいろいろな方法でもつて籠絡をいたしまして、そうしてその納入する數量なり質を落しておるという事實を、私どもはたくさん知つておる。またそういうことで檢擧されたものはたくさんあるのです。そこはよほど注意をしておりませんと、非常にこの機關というものは危險な仕事を引受けなければならぬということになりはせぬかというのでありますから、御注意までに私は申し上げておきたいのでありますが、今商工大臣が見えましたから、商工大臣に伺つておきたい點は、問題は、關東方面から要請してまいります建設その他の設營についての資材の割當、これはもう優先的に絶對的に割當てなければならぬことにならうと思いますが、そうした場合、政府の各所管省における資材の割當の上に、常に、物動計畫の上に大きな狂いが生じてきはせぬか。そうなつた場合に、その埋め合わせはどうするかということですね、それから物動というものが常に動く状態にあつたのでは、計畫通りの設營も建設もできませんが、そういう場合は一體どうするのかということであります。この點をまづ一遍大臣から伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=24
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025・石井光次郎
○石井國務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしますが、進駐軍用の資材につきましても、國内のいろいろな方面への資材の配給計畫とともに、その一項目として、連合國側と十分打合せた上で、計畫の中にはいつておりまして、その中の動きでありますから、大體いいと思うのであります。但し、それがはいつたよりも、たとえば四月からはいるのに、三月にちよつと出してくれというようなことがあつて、多少の狂いは時間的に起りますが、それは何とか理め合せのできる程度だと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=25
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026・井上良次
○井上(良)委員 せつかくこの機關をつくりまして、一元的な契約及び製品の引取事業を管掌しようとするのでありますが、問題は、やはり最前同僚議員からも質問がありました通り、物動の中に組まれるところの物資の確保ができるかできぬかという問題、これは全體の基本方策の上に則つてきめることでございましようが、私がこれから質問したい點は、これからの生産計畫に基く物動というものと、現在生産されており、それが一定の政府の物動計畫の中にはいてきていない、いわゆる隱匿資材に對する摘發の問題であります。この問題は、この前の議會以來あらゆる方面で論議をされまして、政府みづからまたこの經濟安定本部の中に隱匿物資摘發の機關を設けましてそれぞれの活動を展開されておりますが、現に昨日決算委員會において、前の内務政務次官でありました世耕弘一君がこの隱匿物資摘發委員會の副委員長として、自分の取扱つてきました摘發の動きについての詳細な報告がされているのであります。それによりますと相當莫大な隱匿物資が全國の各地に隱匿されている。現在まで摘發されたものだけで三、四十億のものがある。これが完全に摘發されるならば、五百億を突破するのじやないかと考えられる。それほどの多くのものが隱匿されているのに、何を苦しんで非常に困難な物動計畫をなし、民間に苦しい思いの生産資材の割當をする必要があるかということなんです。もつと積極的に隱匿物資の摘發に政府は一段の力を添えて、これを物動計畫の中にどんどん繰込む。そうしますならば、作日本會議で問題になつておりました炭鑛用資材の中央割當の場合においても、あるいはまた供米に對する報奬物資の割當確保の問題においても、相當政府はゆつたりした氣持でどんどん計畫通りの仕事ができるんじやないか。何ゆえにこれをもつと活溌にやれないのか。そうすればほんとうの物動というものが國家の要請に副い得る面に生きてくるじやないか、私はこう思いますが、直接この關係大臣が今席を外しておりますが、商工大臣としてはどうお考えになりますか、一應この點について伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=26
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027・石井光次郎
○石井國務大臣 隱匿物資がたくさんあるという聲は、私どもも盛んに聞いたのでありますが、さてそれではどこからどう出てくるかという問題を見ますと、なかなか實際に出てこぬということで、はなはだ殘念であります。私が商工省にきたときも、一番先きに前商工大臣に隱匿物資の摘發をどうしているのか、大體出るのかと聽いたら、どこにもある、ここにもあるという話を聞くが、私の任官中に二件か三件かそういうものがあつたという話でありました。私がなつてからもいろいろの話を聞き、組織も安本に委員會ができており——實際どう動いているかわかりませんが、物がたくさん出てくることを期待しておりますが、その通り何百億圓、何十億圓でも結構でありますが、どんどん出てきますれば、報奬用物資その他について、物資の計畫を立てていますが、適時に適量でということは、なかなか思うようにいきませんので、結局證文の出しおくれになりますから、そういうものがあれば、正常ルートに乘せるようになつていますからそれらを報奬用その他の物資にいたしたいのでありますが、聲だけはいろいろ聞きますが、たくさん出ません。出ましたらお話のように取計らいたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=27
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028・井上良次
○井上(良)委員 これはぜひひとつ大臣の方でも關係大臣と連絡をとられ、これは議會の問題になつておりますから私午後の委員會に直接安定本部長官に出ていただいて、もつと具體的に聽いてみようと思つておりますが、直接商工省としても物動計畫の元締を安本と連絡をとつてやらなければならぬ責任の省でありまするから、これがほんとうに國家の物動計畫の上にはいるということになりまするのは非常に助かるのでありまするから、積極的にひとつやつていただきたい。昨日世耕さんから委員會において公表されましたところによりましても、現に衣料のごときも數十萬反が隱匿されていると、はつきり委員會で公表しているのです。何もかげで内緒話をしているのではないのです。公表している。到るところに隱されている。現に帝大の病院の倉庫にあるということをはつきり言うているのです。ただそれを摘發するかしないかということは、われわれにその權限がありませんから、政府がやらねばならぬ。それを早くやつて國家再建に必要な面に使うことに、一段の努力を願いたい。この問題については、關係大臣がくるまで、このくらいで止めて、保留しておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=28
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029・石原圓吉
○石原委員長 それでは井上君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=29
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030・井上良次
○井上(良)委員 經濟安定本部の關係において二、三質問をいたしたいのでありますが、それは今この委員會に提案されております特別調達廳法の第一條に掲げられてあります「内閣總理大臣の監督の下に、經濟安定本部總務長官の定める基本的方策に基き」という條文がございます。從つてこの法律を施行するにあたりましては、問題となるのは、物動計畫、あるいは生産割當計畫等をいたす場合に、その基本的なものとなるのが、この安本が立てます基本的方策であります。從つてその基本的方策というものが明確にされておりませんというと、實際の運營の上に重大な支障を來してきます。しかもこの法律の第十五條の第三項の業務のところにも、これが明記いたしてあるのでありまして、この十五條の第三項の意味と、今の「定める基本的方策」というのはどういうものかということを一應御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=30
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031・高瀬莊太郎
○高瀬國務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしたいと思います。元來この特別調達廳ができました根本の目的は、お説のように、一定の總合的な計畫のもとにやはりこういうことも實行していかなくてはならないものであるこういう趣旨のもとにできておると思います。從つて經濟安定本部におきまして、物資、資金、輸送等につきまして、そういう總合的な計畫を取扱うことになつておりますので、自然經濟安定本部が各四半期ごとにこういう方面の計畫は立てることになつておりますので、それに照應して自然これを實行していく、こういう趣旨であろうと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=31
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032・井上良次
○井上(良)委員 この問題についてもう少し聽きたいのですが、時間がありませんから、この程度にしておきますが、次に問題は、この廳の仕事をさらに能率化せしめ、關係方面の要請にこたえるためにも、現在わが國内に相當多數の隱退藏物資があるということでありますが、經濟安定本部の中に隱退藏物資處理委員會というものを設け、これの處理についていろいろ活動されていることと存じますが、その今日まで摘發いたしました、あるいは處理いたしましたおもなる品名及び數量、それからその處理方法というものがおわかりになつておりますか。おわかりになつておりますれば、伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=32
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033・高瀬莊太郎
○高瀬國務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。隱退藏物資處理の委員會が安定本部にできております。安定本部長官が委員長ということになつておりまして、いろいろ仕事は始めておりますけれども、まだ十分に行つておりません。むろん非常に重大なことでありますし、至急これをやる必要があると考えますので、私としては就任早々でありますが、ひとつこれを十分推進していきたい、こう考えてはおります。しかし今までやつたところでは、聞いてみますところどうもまだ十分には仕事が進んでおらぬようであります。從つて御質問いただきましたような點につきまして、こまかく具體的に申し上げる程度までまだ行つておらないのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=33
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034・井上良次
○井上(良)委員 實にそれはけしからぬ答辯であろうと思います。昨日衆議院決算委員會において、安定本部隱退藏物資處理委員會の副委員長であります世耕弘一氏、すなわち元内務政務次官が、この隱退藏物資の摘發の經過について詳細な報告をされております。しかも前後一時間にわたつて隱退藏物資の内容についての報告が委員會においてされておるのであります。これは副委員長として活動してきた經過を報告しておる。しかるに委員長である安定本部長官が知らぬというのはおかしい話で、これは一體どうなんですか。しかも世耕君の話によりますと、これは本日の朝日新聞に掲載されておりますが、現在まで摘發したものは公定にして三、四十億圓に達しておるという、なお五百億に相當するものが温存されておるということを明確にしておるのでありますが、こんなことを全然御存じないのでありますか、一應伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=34
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035・高瀬莊太郎
○高瀬國務大臣 お答えいたします。先ほど申し上げましたのは調査が全然進んでおらぬという意味では決してありません。進めておるのですけれどもほんとうに具體的にはつきりここにこういうものがあつて、それをどう處分するというところまで進んでおるものが御報告申し上げる程度に行つておらぬ、こういうわけでございます。むろん今まで委員會ができておりますので仕事はある程度進んでおりまして、いろいろ報告もありますが、明確にはつきり斷定できるというところまで行つておらぬ、こういう話であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=35
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036・井上良次
○井上(良)委員 終戰以來既に一年七、八箇月經つ今日、隱退藏物資の摘發ということに對しては過ぐる議會以來非常に大きな問題になりまして、これが今日のインフレを助長し、國民生活及び國家の再建の上に重大な支障を來しておるから、速やかにこれを摘發して正當な國家計畫の中に取入れてやるべきであるという建前でこの委員會はつくられたのであります。しかるにこれが今日今大臣からお話の通りまつたく具體的に何ものもわれわれにつかむことのでき得ないような現状にありますことを、われわれは非常に遺憾に思います。遺憾に思いますとともに、一方副委員長の方では、具體的にここにこうある、あそこにこうあるということを明確にしておる。相當多數あつて一々全部手をつけるわけにいかぬのでここにも書いてあります通り、大體五百萬圓以上のものに摘發の指令を發しておるということを言つておる。五百萬圓以上のものに摘發の指令を發するという以上は、隱匿しておる場所が明確になつておるからこそ指令を發しておるのではないですか、そういうのではないんですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=36
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037・高瀬莊太郎
○高瀬國務大臣 お答えいたします。隱退藏物資の處理につきましては、ごく最近までは各省がそれぞれこれをやつておりまして、各省において今までは相當これが實行されたものがあるのであります。ただ安定本部として委員會をつくつてやり出したというのはごく最近のことであります、その點は御承知願います。それから現在委員會でそういう隱退藏物資についての發見處理の問題について相當進んでやつているというのではないか、こういうようなお話でありますが、いろいろ報告がありまして、こういうふうらしいということはあるのです、けれどもはつきりとそれが隱退藏物資であり、明確にこちらの手でどうにでもやれる隱退藏物資であるかどうかということにつきましては、まだ取調中のものが大部分であります。ですから現在においてそれが全部そうであるという斷定が實はこちらとしては正式にできない状況であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=37
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038・井上良次
○井上(良)委員 そうしますと、その斷定はどこがするのでございますか、それは司法當局なら司法當局の檢察取調べの上の斷定を待たなければ、處理委員會としてはこれは隱退藏物資であるというレツテルがはれぬ、こういうのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=38
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039・高瀬莊太郎
○高瀬國務大臣 それはこちらで調べただけではとうていわからない部分が非常に多いわけであります。從つて司法當局その他各方面と十分連携をして、協力をしてもらいまして、十分に調査をした上でないとできない仕事であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=39
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040・井上良次
○井上(良)委員 はなはだどうも答辯がぬるいのでありますが、これが町のうわさであるとか、あるいはまた無名の氏が事にせんために流言を取上げて言うているのではないのです。あなたの方の委員會の副委員長をしているところの世耕君が公開の席で、しかも議會の委員會において明確に數字をあげて話をしているのです。しかるにあなたはそれと全然違うことを主として答辯されている、はなはだもつてけしからぬじやないかと思うのです。現に昨日の速記録を取寄せて調べてみればわかりましようと思いますから、ぜひひとつ調べていただきたいのでありますが、この新聞に報道されていることを國民が讀んだ場合、一體國民はどう考えるのですか、現在まで摘發したものが三、四十億あつて、これから一生懸命摘發しようとするならば、少くとも五百億は確實にある、これが完全に摘發されるならば、現在の經濟危機なんて問題じやないということを世耕君みずから言明しているのです。そうして毎日のようにいろいろな情報がはいり、現に衣料のごときも數箇所にこれが數十萬反隱匿されているということをはつきり言明しているのですよ、何でもつと早く處理をしないのです。もしこれを摘發しようとすればここにも書いてある通り、警察がまつたくこれらの所有者とグルになつておりますから、いつでもどんな手でも打てるのであります。ほんとうにあなた方が國家の役人として公正な立場に立つて、國家要請にこたえようとするならば、もつと敏速にもつと公正にきちきちとした仕事をしてもらわなければ、こんな委員會をつくつてもそれはごまかしに過ぎないのです、なんにもならないのです。國民は御承知の通りべら棒に重たい税金をかけられ、官業その他の値上りによつて一層惡性インフレーシヨンの中に、またこれから苦しめられる生活をしなければならぬ。しかるにこういうものが國民の大きな犧牲の上において横たわつておるという事實をわれわれが知つたときに、しかもそれが政府において何ら積極的に手をつけないということがわかつたときに、一體國民はどうしたらいいのか。もう少し責任のある自信のある、國民から信頼されるところの答辯をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=40
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041・高瀬莊太郎
○高瀬國務大臣 御趣旨まことにごもつともでありまして、こういうことはたとえば隱退藏物資等があるということは、はなはだけしからぬわけであります。從いましてわれわれとしては御趣旨のようにどこまもで敏速に嚴格にどしどしやるつもりでやつております。また事實動いております。ただ先ほどお話のありました世耕副委員長の報告の點でありますが、これは先ほどから申し上げますように、まだ報告の程度なのであります。嚴格に考えまして、はたしてこの全部が隱匿物資として處理できるのかどうか。これについての明確な決定ができておらぬ。それで先ほどのような御答辯を申し上げたわけであります。しかしこれはどこまでも敏速に早く實行したい。これは十分考えておりますので御諒承願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=41
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042・井上良次
○井上(良)委員 もうこれ以上追究する必要はないと考えますが、問題はこうして議會の大きな問題になりましたし、しかもこれが相當莫大な金額のものが推定されておるのでありますから、速やかに政府はこれら隱退藏物資に對する摘發に對して、非常手段をとられて、國民の疑惑を一掃される處置をとつてもらいたい、なお私はこの問題については午後木村司法大臣に出席を求めまして、現在司法當局において摘發しておりますところの物資の内容について伺いたいと考えますが、安定本部といたしましてこの委員會をもつておる以上は、もつとこれを敏速活發なるものにし、かつ大衆的な一つの協力を求めて、だれのものやらわからぬと言うてぐずぐずしておるうちにその品物は姿を隱すのでありますし、またいろいろな口實を設けて隱退藏物資でないという方法をとるのであります。そういう點をわれわれはよく聞いておるのでありまして、そういうことのないように速やかな適正な處置を私は要求しておきたいと思います。なお午後に私はこの問題について木村司法大臣に質問をいたしたいと思いますから、この點を保留いたしまして、安定本部の方については、この程度にしておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=42
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043・石原圓吉
○石原委員長 それでは午後に司法大臣の出席をお取計らいいたします。午餐のため休憩いたします。一時半より再開いたします。
午後零時四十三分休憩
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午後二時十二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=43
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044・石原圓吉
○石原委員長 休憩前に引續き會議を開きます。質疑を續行いたします。井上君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=44
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045・井上良次
○井上(良)委員 本法案の中で二、三疑問を生じた點がありますので、さらに質問をいたしておきたいと思います點は、この條文を讀んでおりますと、最初政府側からお話がございましたいろいろないきさつもございましようが、議會といたしましては、またわれわれこの法案を審議した委員の一人としては、條文がまことに不完全なものであつて、とうていこれをこのままこの委員會がうのみにするということは、委員會の審議の權威にも關する問題でございますので、私の方の黨といたしましても、一應よく政府當局との質疑の上で諒解がつくならばという申合せもございますので、特に二、三お聽きしたいのは、第一に一番疑問になる點は、第一條の總則において調達廳が法人であるという。それから第三條において「特別調達廳は、基本金又は運營資金を有しない。」として財政上の豫算が全然規定されていない。總則において法人ときめておきながら、第二章の役職員の第十四條におきまして「特別調達廳の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。」となつている。法人として設立される調達廳が、その人を役人とするというようなことは、今まで日本の政府あるいはその他の半官半民のいろいろな機關がございましたけれども、こんな混濁を生ずるがごとき規定をいたしましたものはないのであります。この法律が初めてであります。そういたしますと法人の場合で財政的基礎がなく、運營經費ももたず、しかもその人は役人である。どう解釋しても解釋がつかないのです。こういう解釋のつきかねるような不完全な案を突如としてこの會期の迫つております今日、これを出されて、むりやりうのみにせよという政府の御意向のようでございますけれども、その點もう少し明確になりませんと、今後立法の制定の上において、またわれわれが今後法律を審議する上におきまして、非常な惡影響を殘すとこになると思いますので、この點に對する明確な見解を述べておいてもらいたいのであります。その次に第二十八條の規定を削除する云々の問題が起つておりますので、この第二十八條に規定してあります「會計法第四十六條第二項財政法第十五條及び昭和二十一年法律第六十號の規定の適用については、」いうこの案文の説明をしていただきたいのであります。以上二點についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=45
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046・大橋武夫
○大橋政府委員 政府委員といたしまして第一の問題についてお答えいたします。特別調達廳を法人といたしました理由は、この廳の業務の實體を見ますと、進駐軍の必要といたしまする建造物の建造でありますとか、あるいは物資の調達、勞務の調達というようなことでございまして、これらの業務を執行いたしまするに對しましては、相手方との間に多數の商取引、法律行爲をする必要があるわけでございますその法律行爲は請負契約である場合もありますし、また雇傭契約である場合もありますし、あるいは物の賣買というような性質の行爲になるわけでございます。それからまた物資の調達が相當大きな業務になつておりますが、この間におきまして調達物資を進駐軍の要求する場所へ輸送して、これを引渡しに至るまでの間、この所有者として輸送あるいは保管等について種々の契約をする場合もあります。これらの場合におきまして所有權をもつということが必要になつてくるのでございます。もちろんこれらの法律行爲にいたしましても、あるいはまた所有權の問題にいたしましても、これを國家を主體とすることも考えられるところでございますが、しかしながら何分にも從來の經驗から考えますと、一箇年間に三百億ないし五百億くらいの金額になるものでございます。その件數もきわめてたくさんでございますので、これを國家の名で行うことでなく、この特別調達廳自身の名義をもつて行うことが實際上便利であり、また必要であるというふうに考えられます。かような法律行爲をもち、あるいは所有權の主體となるには、法律上法人格を取得する必要がありますので、これを法人といたした次第でございます。
次に法人でありながら基本金もなければ、また運轉資金もないという規定でございますが、ただいまも申し上げました通り年間三百億ないし五百億にも達する財政的な運用をいたしますが、これらの費用は究極において結局國庫の負擔と相なるわけでございます。從來におきましてもこの厖大なる國庫の負擔がわが國の經濟界に及ぼす影響は種々な方面から注目もせられ、またある點からは批判せられておつたような次第でございますが、かようなわが國の資力から見ましても、また財政的に見ましても、大きな資金が動くのでございますから、これは政府が統制しておりまする豫算の中にこれを組込むことによりまして、財政的に國家財政として運用することが最も實際的であり、また適切であり、それがまた延いては國家の負擔を輕減するゆえんであると思うのでございます。かような理由からしまして、この特別調達廳は、法人ではありませんけれども、自己の會計をもち、その會計が國家の豫算と離れて獨立に運轉されていつて、そうして究極においてそれが最後の時期に、一括して國庫の負擔になつていく。つまり國家の負擔でありながら、そうして國家財政に結局歸屬すべきものでありながら、それが一時的に國家財政と無關係に動いていくというような機構をつくることは、わが國の經濟的な觀點から不得策であるという見地に基きまして、法人に特別の資金なりあるいは資本金というようなものを與えないことにいたした理由でございます。
第三の官吏にした理由でございますが、これは本來重要な仕事であり、また分量的に見まして相當重大な仕事であります。そうして國家の負擔に屬すべき仕事でございますから、これの處理にあたる者につきましては、その身分を官吏といたしまして、官吏としての特別の國家的監督のもとに、この國家的事務を處理させるということが實際的に言つて必要である。こういう考えをもちまして官吏その他の政府職員にいたした次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=46
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047・井上良次
○井上(良)委員 内務大臣がみえておりますから、今の質問をもう少し續けたいと思いますが、内務大臣が急がれる關係もございますので、内務大臣に一二點質問しておきたいと思います。この特別調達廳の事務的執行というかこの機關の仕事を遂行する原動力は、政府の物動計畫に基く生産割當でございまして、その物動がどういう工合に組立てられるか、すなわち物動にのるところの資材が國内でどれだけ確保されるかという問題であります。これに關連をいたしまして國内の到るところに重要な資材が隱匿されておる。政府は議會及び國民の要望にこたえまして經濟安定本部の中に隱退藏物資處理委員會を設け、安定本部長官を委員長にしてこれが處理に關して必要なる活動をしておるのでありますが、この必要なる隱退藏物資の摘發あるいは調査にあたりまして、この政府の仕事を援助し、これが敏速なる解決に協力しなければならないところの内務省所管の警察官吏がこの摘發行爲に對する妨害をしておるという事實が明確になつてきたのであります。これは昨日問題の日銀地下倉庫に保管されておるダイヤモンドの事件から、この政府の隱退藏物資處理委員會の副委員長である、しかも前の内務政務次官である世耕弘一君みずからが、議會の公開された決算委員會において明確にその點を指摘しておるのであります。既にこのことは本日の朝日新聞にも報道されまして、國民が非常な疑惑をもつに至つたのであります。その記事の一つを讀んでみますと、摘發については司法當局は協力してくれておるが、警察は協力してもらつている感じが薄く、中には摘發を妨害するような例も證據もあり、はなはだしいものは、隱退藏者と氣脈を通じているものさえあるのは殘念であるということを、この間まで内務省の政務次官であつた世耕君が言うておる。かくのごとき警官がかりにありといたしますならば、いかなる方法をもつて政府がこの隱退藏物資を摘發しようとしても、摘發が實際できない。現にこういうものが隱退藏されておるということが民間側から密告されて、そして實際調べに行こうとする場合に、直ちにそれが所轄の關係の役人に知られ、またそれを保管をしておるいろいろな面の役人その他の取締りの方に内幕がわかつて、それが移動または隱退藏物資でないという擬裝をするところの時間的餘裕を與えることになり得るのです。世耕君の言葉をかつて申しますと、最近のこの隱退藏物資を圍むところの警察官あるいは關係役職員は、なつてないということを極言しておるのであります。これが單に一時のうわさであるとか、あるいはまた取上げることのでき得ないような無名の士の言葉ならわれわれは問題にいたしませんが、隱退藏物資の處理委員會の副委員長であり、内務政務次官たる世耕君がかくのごときことを公開の席上で堂々と一時間にわたつて話をしておる。この事實を一體内務大臣はどうお考えになりますか。こんなことで隱退藏物資の摘發ができるかどうか。現に世耕君は、これを完全にやろうとすれば五百億からの隱退藏物資が國内に温存されておるということを言う。ほんとうに警察當局が國家の要請する隱退藏物資の摘發に協力されて、司法當局と相一致してやりますならば、もつと能率的に、もつと公明正大に、しかもこの物資が日本の再建の上に、國民生活の安定の上にどれだけ大きな役割を演ずるかわからない。それがやみからやみへ動かされるために、どれだけ經濟界を大きな混亂に導いておるかということをわれわれは考えるときに、内務大臣としてこの問題に對してどうお考えになるか。責任のある御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=47
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048・植原悦二郎
○植原國務大臣 井上君にお答えいたします。世耕君が決算委員會でどう言うておりましたか、また新聞にどういう記事が出ておりますか、まだ私よく承知いたしておりません。なぜけさの新聞を見ないかと井上君にお叱りを受けるかも知れぬけれども、事實見ておらぬのでいたし方がないのであります。井上君よく御承知でありましようが、隱退藏物資は非常に複雜な場面をもつております。言葉で言えば隱退藏物資と一口に言いますけれども、隱匿物資にしても、個々の不正な形で入手して隱匿しておるものもありましよう。また戰爭の終りごろのどさくさで、手續は正規であつたけれども、その間にいくらか無理のあつたような點のある隱退藏物資もありますし、また商賣人や何かで當然自分の所有品だけれども、他日の値上りを待つておつて出すべき機會を失つてしまつた。もう出し遲れて今さら出せば大變なことになるから出せないというので、當然自己の所有に歸するものでありながらも、ある場合においてはあまりに多く商賣的に商賣の見込みを見て買い込んでおいたやつが、いろいろなその後の世の中の變化によつて、出し遲れてしまつて出せないというものがある。實に聽いてみますと、この隱退藏物資というのは、個々の場合によつてみんな違つた原因や違つた理由で起つておるようなもので、すこぶる複雜なものであります。それで警察官は、ある場合においてはそれを個人の財産や權利を保護するという考えで護つておるような場合もありましようし、いろいろなことがあると思います。そのためにどうしても、隱退藏物資の摘發にいたしましても、處理にいたしましても、關係官廳がこれを一本建てにいたさなければならないというので、商工省と司法省と内務省と相談いたしまして、その結果、さような物資がいかなる形であつたものにせよ、日本の今日の産業再建のために、また國民生活のために使用するといたしましても、經濟安定本部でこれを取扱うことが一番よろしい。商工、内務、司法と相談をいたししまして、それにもちろん安定本部長官も加わりまして、そうしてこの集つた物資を一番有効適切に處理する。經濟安定本部にその取扱いの本據を置いた方がよろしい。摘發もそこで行つたがよろしい。こういうことで實は經濟安定本部長官を隱退藏物資の處理と申しますか、今井上君のおつしやつたような名で安定本部長官がその長となり、そうして世耕君がその副調査會長といいますか、處理委員會長といいますか、それになることにきまつて、ただいまのような状態で進行しておるのであります。そういうわけで、世耕君が申されたことはどういうことか知りませんが、こういう事實のあつたことは聽いております。世耕君が内務次官でありましたときに、ある場所に隱退藏物資があるというのでそれを調査に行つたところが、それは商工省の關係のものである。商工省のためにそれを護つてやらなければならないというようなことで、はつきりとしたその世耕君の資格がわかるまでは警察官がそれに對して、かりに倉庫がありますればそれに封印をいたすというようなことがあるので、所管がはつきりいたしませんために誤解を受けて、自分は商工省の出張所からその隱退藏物資の保管を依頼されておるとか、あるいは片方の方で行けば、縣の方からそれを注意して隱退藏物資を保管するように護つておれとか言われた。警察官はいろいろの考えで忠實に事をやるつもりだけれども——ただいまのようにすべての隱退藏物資が、商工省も、司法省も、安定本部も、内務省も承諾して一本建てになつておるという場合においては、さようないろいろのごたごたがないと私は承知しております。その前においては所管違いのために世耕君が内務政務次官として行つた場合に、商工省の方から委託されておるような形のものを、すぐ承知いたしましたと言つて、一切を世耕君に言つてはどうかという懸念があつたために、言わなかつたということがまれにあつたと承知いたしております。新聞や世耕君の決算委員會において答辯されたことを私直接にも間接にも聽いておりませんので、ただいま井上君がおつしやつて、初めて承知するような次第でありますから、これに對してはつきり申し上げるわけにはいきませんが、世耕君が隱退藏物資をかつて内務政務次官であつたときに、いろいろ密告されたり、通知して呉れたりする者があつて、出かけて行つた場合に、世耕君が内務政務次官であることを知らなかつたり、身分を知らなかつたりして、はたしてそういう權能をもつているかどうか知らないために、世耕君に對して幾分の支障があつたと申すか、すぐ警察官が協力すべきものであると世耕君が思つておつたにかかわらず、警察官の方から言わせれば、世耕君の職權がはつきりわからなかつたために世耕君の目的を果す上にいくらか遲延せしめた事實があつたということを私は聞いております。しかし最近においては關係官廳が一つになり一本立になつて安定本部長官がすべての隱退藏物資の問題を處理する。世耕君がその副委員長である、こういう資格ができてからはさようなことがないと思つておりますが、かつては世耕君がいろいろのことを聞いたり取り調べ中にその職權がはつきりしなかつたために、いくぶん出先きで支障があつたということを聞いております。多分そのことではなかろうかと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=48
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049・井上良次
○井上(良)委員 そういう行き違いもあるかわかりませんが、問題はそういうことではなく、世耕君が隱退藏物資處理委員會の副委員長としてまた内務政務次官として、いずれの肩書で行かれたかわかりませんが、少なくとも隱退藏物資を摘發するためには、それに必要な證據書類をもつて行つている。無手で行くわけがない。この點ははつきりしている。おそらく世耕君ともあろう者が、何らの證據書類を持たず、また自分が隱退藏物資を摘發する權限をもつているのかどうか、相手方に疑われるごとき、不十分なことではなく、はつきりした、たとえば處理委員會の副委員長なら副委員長としての名刺を持つとか、あるいは證據書類を持つて、隱退藏されている倉庫なり場所に出かけて行かれたと思う。また隱退藏物資處理委員會の構成とかその他決定事項等については官報に載せられ、少なくとも政府の仕事をやつているものとしては、たれがどういう仕事をやるどういうことをやるということについては末端によく知らせておかなければならぬし、またそうすることがあなた方の仕事である。そういう手を打たぬから、行つたときに、直ちに倉庫に入ることを拒絶したり入つている品物の名前を具體的に言わぬ。あるいは隱退藏している本人に警察みずからが氣脈を通じていて、早く處分しなければだめぢやないかということをやつている事實を世耕君みずからが暴露している。こういうことで一體政府が計畫する隱退藏物資の摘發がうまくいくかどうかという問題です。ここを私は質問している。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=49
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050・植原悦二郎
○植原國務大臣 井上君の御趣旨はよくわかりました。世耕君が隱退藏物資處理委員會の副委員長になつていて出かけて後は、さようなことは斷じてないと思います。その前に世耕君が内務政務次官でありましたときに、隱退藏物資に對して特別な權限を與えられておらなかつたので、さようなときにその保管されているいわゆる隱匿物資であるか、退藏物資であるか、その性質によつて違いますけれども、そのものが出先の商工省の所屬に屬しておつたというようなものがあつて、それは内務省の政務官が來ても、商工省の方から命令がないから開けられませんというようなことのあつたことを承知しております。井上君の御質問はよくわかりますけれども、世耕さんがさような權能を與えられておらないときに、隱退藏物資のために心配されて、たまたま政務次官のときに各處に當られた。そのときのできごとを世耕さんは多分言われていることであつて、現在そういうことを世耕君から聞きましたゆえに、それではいかぬ、だからして隱退藏物資というのを統一して、いかなる省であろうともその職責をもつている人があつたらば支障なく目的が敢行されるようにというので、先刻申し上げた通り關係官廳の間に相談いたしまして、安定本部長官のもとに隱退藏物資處理委員會をつくり、世耕君がその副委員長として今日はそれに專念されているわけですから、そう決まりますればあとにはさようなことはないと思います。だからしてその後にさようなことがあつたということならば、井上君のお叱りを受けても私は甘んじますけれども、その場合に世耕君がやつたことはさような職權をもたず、ただ一人の内務省の役人であつたということは事實でありまするけれども、一切それを取扱う責任をもつていかないときには、たまたま出先においていろいろの支障のあつたことだけは聞いておることがありますから、多分そのことではなかろうか、さよう御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=50
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051・井上良次
○井上(良)委員 そうしますと大臣が最近内務省警保局に集まつてきます全國隱退藏物資摘發件數、檢擧件數というか、そういうものについて特に主だつた實例を御存じでございますか。それを伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=51
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052・植原悦二郎
○植原國務大臣 はつきりいたしませんが、内務省の警保局にどこに退藏物資があつてどうだ、それが取扱われた件數の巨細のことを承知しているかという御質問ならばさような件數や個々の問題がいかに處理されているかは承知しておりません。もし特別な具體的の問題がありまして、井上君が御指摘になるならばそれは早速取調べてはつきりしたお答えができると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=52
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053・井上良次
○井上(良)委員 實に私は驚くのでありますが、現在までこの處理委員會において摘發いたしたものが、公定にして三、四十億に上つておる。しかもその數が非常に多いので、こまかい金額のものについては、手が伸びない。これは大體五百萬圓程度のものに摘發の指令を出している。こういう世耕君の話なんです、そうしますと、相當これは大口の摘發が行われていることなんであります。三、四十億といえば莫大な數量でありますが、これに關して、内務省が全然知らない。しかも大臣のところに何らそういうことが報告もされていなければ、あなたの頭にそういう記憶が殘つていないというようなことになつてきますと、これはあなた大變ですぞ、治安確保の上においても、そういうことは大體において大きなやつはどこどこでどういう物があつた。どこどこでは世耕君も言うておる通り、衣料のごときも一箇所に數十萬反も隱されておつたということを言われておりますから、そういうことは直ちに警察なり、檢事局なりに連絡をとつて、そうしてこれの移動を禁止するとか、あるいはまた必要な面にこれを割當てるとか、處置が講ぜられなければなりません。この場合に警察や檢事局が、全然ほおかぶりしておるわけにはいかないのであります。それを全然大臣にも報告もしていなければ、また大臣がそういうことの重要な隱退藏物資の摘發について、何ら頭に上つておらぬというがごときことでは、いかに隱退藏物資の摘發に内務當局が寛大な處置をとり、またこれが下部官僚に移りまして、上がそういうことならわれわれもひとつできるだけ見て見ぬふりをしておろうかというようなことになるのはあたりまえなのです。そういうことでは、いかに各省が統一的な隱退藏物資の摘發本部を設けてやろうとしても、警察權をもつておるところの——ただ一つ日本の治安を確保するのに警察權が殘つているだけですが、その警察官の元締であるところのあなたが全然そういうことについて無關心な状態におられたのでは、この仕事は完遂できません。今まで全然そういう大きな事件について何もお聽きでございませんか。それで將來一體どうしてこれをもつと能率的に處理をされようとするのでありますか。その點について伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=53
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054・植原悦二郎
○植原國務大臣 よくわかりました。先刻井上君は、隱退藏物資が何件あつてどうだということを大臣は知つとるかという、こういうお尋ねだが、何件どうなつておるかということは、實は私よく存じておりません。殊に毎日そういう問題が起つているので正確な數字はわかりませんが、そのおもなるものは承知しております。そうして京都方面や、岡山方面や、東京の近郊に起りましたものは、全部承知して、はつきりした問題はすぐ檢事局の諒解を得て、警察が立會つて動かないように封印しておるところも何箇所もあります。そうしてその數量もかなり嚴密に取調べてあつて、その記録も見せられております。ただそういうこまかしいことを一々記憶しておらぬということであります。金額を井上君は四十億とかいろいろおつしやられましたが、その金額も實は見積りようであります。そのものの隱退藏物資のそこに取入れました帳簿價格とその時價と見積る場合においては、時價四億のものがあるいは四十億にも見積られるようなこともあるので、價格のことも大體ここにはその帳簿價格でいくらある。そうしてこれを時價に評價すればいくらの見當になる。どこに毛布がいくらあつて、どこに木綿の反物、あるいは高級な着物というものがいくらある。あるいはどこに電球がいくらあつて、どこに鐵がどれだけあつたというようなことは一々報告を受けております。受けておりますけれども、そういうことは全部記憶いたしておりません。從つて隱退藏物資の既に摘發されましたところは、正規の手續をとりまして、嚴重に移動のできないように檢事局立會で封印されております。それを出すときには、かつては商工省のものであつたとか、あるいはかつては内務省の管轄に屬する件のものであるというようなことをばらばらにしてはいけない。ゆえに先刻申し上げました通り、安定本部に隱退藏物資の處理委員會をつくつて、そこで統一することになつております。そうして實は非常にあると言われた所に出かけて行つて見ても、一向ないような場合もあるし、そうでないという所へ行つて見て、かえつて隨分大きなものがあるという場合の事實も一々報告を受けておりますけれども、その一々の過去の問題をここで申し上げてもいたし方ないと思うし、その數を述べろと言われても、私も記憶をいたしておりませんが、ただ取調べは非常にむずかしいものであります。どこに何があるといつたときに、すぐそこににわかに出張して、そうしてその一切の經路を見て、それを調べて、事實その通りあれば、その經路であるとか、あるいは現在の所有はどういう状態になつておるか、そういうものを一切確かめて、そうして綿密なるリストをつくつて、檢事局が立會で封印しておるというような實情でありまして、そういうものが亂雜になつたりするという井上君の御懸念のようなものは、現在統一された安定本部内における隱退藏物資處理委員會ができましてやつて以後はないと思います。ただまだほんとうにすべての陣容が完成されておるとは言えませんから、思うように日本全國に向つて敏活に動かない點はあるようにも聞いておりますけれども、しかし現在の交通機關、現在の通信機關、現在のその機關をつくつておりますところの機能の運營の立場から申せば、萬遺漏なく行われておると思いますから、井上君どうかその點は御安心くださるようにお願いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=54
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055・井上良次
○井上(良)委員 大臣は非常にものを大まかに見て答辯をされておるのでありますが、しかし問題は隱退藏物資であるかどうかということを速やかに鑑定をいたしまして、そうしてその處置を速やかに決定するという敏速なる行動をとらなければならぬということに私はあると思います。そこでこれら隱退藏物資の摘發及び檢擧、それの處置、こういうものについて、司法當局と内務當局との間における連絡というものがどうもうまいこといつていない。これは世耕君がみずから暴露しておるところでありまして、今ここに司法當局の方が見えておりますから、司法當局からも御説明を願いたいと思いまするが、司法當局として、現在まで大體その摘發いたしました隱退藏物資のおもなる件數及びその品名、それからそれの處置等についてわかつておりましたら、その點を一應説明をしてもらいたい。そうしてそういうもののあつた場合に、いわゆる隱退藏物資の隱退されておる事實がわかつた場合の取扱いの方法はどういう工合にやつておるか。直ちに警察に連絡をし、そうしてその現場を襲うて保管なら保管、處置なら處置の方法を講じておるかどうか。この問題について伺いたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=55
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056・野本新一
○野本政府委員 ただいまお尋ねの事件、件名、件數、そうしたものについては、今殘念ながら具體的な數字はまだとつておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=56
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057・植原悦二郎
○植原國務大臣 井上君のもし隱退藏物資があつて發見された場合にはどうするかという今のお尋ねですが、その點は井上君御安心下さつてよいと思います。そういうものが確實でありましたときには、すぐ司法當局と連絡をとつて、警察官が立會つて、その數量等、一切リストをつくりまして、その控えをとつて、そうして封印している。その處理方法はただいま安定本部のもとにおいて商工省、内務省、安定本部と大藏省も立會つておりますが、これらがみな諒解のもとに、安定本部長官のもとにおける隱退藏物資處理委員會においてその處理方法を決定するということで、從來と違いましてかなり機敏に、遺漏なく行われている。その點は御安心願いたい。件數等は私承知いたしません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=57
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058・井上良次
○井上(良)委員 そうすると摘發の責任者は内務省でありますか、司法省でありますか、その點を伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=58
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059・植原悦二郎
○植原國務大臣 摘發の責任は安定本部の處理委員會でやる。そうして司法省と連絡をとつて内務省の警察が摘發する。だれか報告してそれを發見する。それで今の處理委員會が行つて發見する。すぐその數量等を調べ、内容を確かめる。リストをつくる。そうして司法省立會の上で警察官が寄つて封印して保管している。その處理は安定本部の委員會においてきめた方法によつて處理する。こう御諒解を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=59
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060・井上良次
○井上(良)委員 私はこの際特に大臣にお願いをしておきたい點は、そういう手順を履んでおりますというと、實際大臣も御説明されました通り、今日の經濟上のもろもろの關係、通信、運輸その他の關係から迅速なる、また公正なる處理というものが非常に手遲れになりつつあるのであります。時間をここに相當與えますということは、結局隱退藏物資が隱退藏物資でないというふうに僞裝される危險が百パーセント起つてまいります。これは現に私どもそういう例をたくさん聞いております。問題は、そういう安定本部の隱退藏物資處理委員會の權限だけにこれを任すのでなしに、少くとも相當多數の隱退藏物資が、調べただけでも五百億に近いところのものがあるという推定であります。そうしますと、これをもつと嚴重にやりますならば、さらに大きな數量になるかもわかりません。政府は昨年臨時物資需給調整法という非常法律を出して、この資材の困難な現状において、できるだけ有効な面に資材を活用しようという法律を、議會の協賛を經て實施しております。ああいう法律をつくらなければならぬほどにまで、日本の經濟の現状は行き詰つている。しかるに一方においては、日本再建のために必要な物資が、多數隱匿されているというこの事實、これはやはり、われわれとしても日本の再建のために、國民生活安定のために役立つような方向にもつていかなければならぬ。それには政府だけがどのくらい力をいたしましても、またわれわれが政府にその實行を迫りましても、實際人と經費と時間の關係でなかなか困難である。そこでこれを民主的な勞働組合なり農民組合なり、あるいは政黨なり、そういうもので相當信用と責任の負える團體に對してこれの摘發を委任する。そうしてその摘發された物は、直ちにこれが隱退藏物資であるかないかということを政府と協議して、もし隱退藏物資であるということが大衆監視のうちにおいて決定されましたならば、直ちにその處理についての適切な方法を講ずる。こういうふうにその隱退藏物資の摘發においても民主的な方法を採用されて、そうして大衆の監視の上に、批判の上にこれを實行するということが最も公平なやり方ではないかと私は思いますが、大臣はどうお考えでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=60
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061・植原悦二郎
○植原國務大臣 井上君の御趣旨はよくわかりました。隱退藏物資を日本の再建のために、國民の需要を滿たすために、できるだけ早く摘發して、そうしてその實證を確かめてこれを有利に使うようにせよというお説、まことにごもつともであります。實は一昨日もある方が私に、北海道のどこそこにどういう物があるといううわさだつたので、私はすぐそこに電報を打つて取調べるようにいたしたのであります。これはたれがやつていけないということはないのでありますから、どうか井上君も御協力を願いたいのであります。もし隱退藏物資が僞裝して逃れそうだつたら、どうか早速お知らせくださつて、そうしてそれが確實であるならば、私よくは記憶しませんが、ある褒賞をもらえるはずであります。ですから全國民が協力して、特別の委員會をつくるより、どなたでも、そういう志のある方は、内務省にでも、商工省にでも、安定本部にでもおいでくださつて、お知らせ願いたいのであります。そうすれば早速迅速な手配をいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=61
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062・井上良次
○井上(良)委員 ちよつとそれは誤解があります。民間には摘發する權限はありません。密告し、投書するということは自由でありますけれども、こういう物がここに隱退藏物資としてあるということを摘發する權限はない。警察權をもつておりません。從つてそういう場合には警察官を連れて行かなければなりません。それを連れて行く場合、お前は一體何者だと言われたときには、何者でもありませんから、引下がるよりしようがない。そういう場合、政府から隱退藏物資摘發の委囑を受けた證票をもつておりまして、これによつてわれわれはやつているということになれば、明確にその隱退藏物資の倉庫なり工場なりを臨檢して、直ちにそれを摘發することができる。しかし實際にここにあるということを押えておりながら、權力がないからやろうとしてもやれない。それには警察官が行かなければならない。その警察官がいわゆる隱退藏者と結託して氣脈を通じて動く實情が多いから、かんじんの隱退藏物資が僞裝されて隱退藏物資でないということにされる危險が多いということを世耕君は突いているのですし、私らもそれを考えている。それだからそういういき方はいけませんからできるだけ多くの人に、しかも信用のおける一つの組合の代表なり、あるいは團體の代表者なり、あるいは指導者にそういうことを委囑をしたならば、それらの者はそれぞれの職場あるいは地域において必要な隱退藏物資を摘發する活動を展開いたしましよう。また勞働組合、農民組合はそれぞれの組織をもつておりますから、その組織網を通してどこにどういうものがどう隱されているということが直ちにわかるのでありますから、その代表者に言えば代表者は直ちにその民主的な組識を活用して隱退藏物資の所在を突きとめ、これを摘發することができるのでありますから、そういう場合に正式に摘發する權限を與えなければなりません。そうしませんと實際の摘發はできませんから、この點はあなたの今のお話と大分事實は違うのです。もしそういうことが自由にできるということならば大臣は直ちに官報なりラジオをもつて隱退藏物資の所在を丙務大臣まで知らせそういう事實があるならば褒賞をやる、こういうことをひとつ國民に徹底さして速やかに疑惑を一掃されて隱退藏物資が日の目を見るような對策をとつてもらいたいことをひとつ私からも頼みたい。實際を調べてみると事實は違うのです。その點は一應警保局と相談をしてもらいまして、ぜひこういうことが議會の大きな問題になつて、しかもわずかのことならばよいけれども五百億もの多くの物資が隱されておつて、これが摘發されて正當な配給ルートへ上りますならば、經濟危機なんか問題でないと、この間世耕君は言うているのです。これはあなたもお述べになつたように、隱退藏物資の處理委員會の副委員長が言うているのですよ、ほかの人が言うているなら問題にしないのです。政府の機關を代表する者が言うているのです。だから問題なんです。しかもこれは議會で、公開の席でみずからが詳しく説明をしているのでありますから問題なんです。これを摘發するせぬは實に内務當局の熱意いかんにあるのであります。しかもそれを指揮監督するあなたの熱意いかんにかかつているのでありますから、その點はひとつよく含んでいただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=62
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063・植原悦二郎
○植原國務大臣 井上君にお答えいたします。御意見はよく含んでおります。どうも世耗君の前のことと隱退藏物資處理委員會のできたのちのことと、一緒に絡めてくださらぬように私はお願いしたいのであります。實際隱退藏物資を摘發するところは今は一本建になりました。これをばらばらにすると誤解があつたりいろいろするので一本建にして、安定本部の隱退藏物資處理委員會のもとに統一するようになりました。そんなところに統一しないで、勞働組合にもたれにもやらしたがいいということになると、これはどうもそうは私は考えません。やはりこういうものは一本建でなければいけない個人々々氣づいた人があつたら、迅速にそこで働くような機關ができておりますから、こういう所に隱退藏物資があるということを指摘していただく。それは密告であろうとも直接であろうとも、そのことを私井上君にお願いしておるのです。僞裝して逃げるものがたくさんあるというから、井上君御承知ならばどうかその隱退藏物資處理委員會の方に早速お告げくだされば大變都合がいい。どなたでもそこにその事實を告げて、國家のためにこれを利用する途を早く講ずることはちつとも差支えない。またさような御協力を願わなければならぬ。しかしそういう機關を個人々々に與えたらどうか、隱退藏物資處理委員會の手もとにおいて手足となるものをたくさんつくれという御意見なら納得できますが、どういう者にもそういう資格を與えて摘發させようという御意見ならば、どうも殘念ながら井上君とは所見を異にすると申すよりいたし方ないのであります。現在は内務省がやるというよりは、内務省はこれに協力する立場におるのであるけれども、一本にしなければあるいは世耕君が述べられたとおつしやるような場合が過去においては存在しておりましたがゆえに、そういうことを繰返さないように、一本建としてそれに強い權力を與えて、いかなる場合でも、どこにでも行つて、自由自在に摘發のできるようにしたい。ただその摘發をすべき物のある場所は、どなたでもいいからそれに間接でも直接でも、お知りになつた方はお知らせくださるならば、その機關はただいまのところではかなり敏活に動くと思いますから、その點はどうか井上君御安心くださつて可なりと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=63
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064・井上良次
○井上(良)委員 大體この程度にしておきたいと思いますが、ただ遺憾に思いますのは、終戰以來現在まで約一年半以上も經つているのに、隱退藏物資の摘發の件數、及びその品目、それから金額、その處理等についての具體的なことがわかりませんのは、まことに遺憾に存じます。これは政府當局において、至急に具體的なことを調査されまして、報告を願いたいと思います。これは私から特に願つておきたいと思います。内務大臣に對する質疑は、この程度にしておきます。
そこで最初の質問にはいりますが、本案は大體問題になる點は第一條のこの機關を法人とするというところが一番問題になりはせぬかと思うのです。つまりその機關のやる仕事は、政府及び關係方面からの要求に基く仕事をやろうとするし、その人は政府から任命されるし、またその經費も政府の方から支出される。ただ行うところの商行爲と言いますか、あるいは契約行爲等が個人會社との關係にある。事業會社との關係になる商取引がそこに行われるからということで、そのために法人を必要とするのだ、こういうことらしいのです。それだからこれは石油配給公廳法案を見ましても、あるいはその他の公廳法案を見ましても、別にそんなややこしいことをしていないのです。何ゆえにこの案だけそういうことにしなければならぬか。問題はそこなんです。だからこの際一そのこと改正のしついでに、第一條の「特別調達法は、法人とする。」という、これを削除してしまつたらどうかと思います。そうすればこの法案は非常にはつきりして來ますが、これがあるために、法人としてまつたく脱けがらの形式的な機關がここにあるだけなんです。實質は全部政府の仕事をやるわけなんです。また政府がそれを賄うわけなんです。責任も政府が負うわけなんです。何もそんな形式的な名前だけこしらへなくても、實際はいいじやないか。これは削つてしまつたらどうですか。この點について政府の御意見を伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=64
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065・大橋武夫
○大橋政府委員 この特別調達廳は、將來の處置といたしましては、日本政府のために建造物の營繕、あるいは物資等の調達に關する業務をも實施することが第一條に豫定せられておるのでありまするが、しかしさしあたりといたしましては、進駐軍關係の需要に應ずることが目的と相成つておるのでございます。從いまして進駐軍のためにするところの種々の法律行爲につきましては、これを政府の行爲と見るよりも、この特別機關、民間的な機關でありまするこの法人の行爲といたす方が種々なる點から見て便宜であると思いまして、法人とするという條項が規定せられた次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=65
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066・井上良次
○井上(良)委員 私は專門的な法律家ではありませんから、法制に明るい方に伺いたいのですが、法人と官廳とどう區別したらいいのですか。その點を伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=66
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067・大橋武夫
○大橋政府委員 官廳はそれ自身人格をもつものではなく、これは國家という法律主體の一つの意思機關、あるいは實施機關であると考えます。法人はそれが國家的目的のために設けられた場合におきましても、それ自身國家の人格から獨立した一つの別の人格、こういうふうに觀念いたしております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=67
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068・井上良次
○井上(良)委員 國家の意思と獨立した別の機關である。しかしこの法案全體を貫いているものは、全部國家意思を代行しようとしておるものであります。勿論政府の代行機關としていろいろな特殊法人會社はございますが、この法律のごとく、法人の役職員も法人自身がきめることができず、總理大臣が任命をする。あるいはまた上級機關の一々の監督を受けなければならぬ。しかもその經費は法人自身が何ら豫算決算をもつていない。一體そんな法人というものがあるのでございましようか。疑問ですね。そんな法人がもしあるとすればちよつと伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=68
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069・大橋武夫
○大橋政府委員 井上さんのただいまの御質問はまことにごもつともな點であると思いますが、この特別調達廳の任務は、わが國の現在の情勢を背景にいたしまして、現在の情勢のもとに進駐軍の需要に必要な調達にあたるという機能を與えられておるのでありまして、かような前提のもとにこれを法人とした次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=69
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070・井上良次
○井上(良)委員 政府當局の御苦勞されている點はわれわれもよくわかりますが、立法機關としての衆議院において、かくのごとき法案が通過をして、貴族院にこれがまわつた場合に、衆議院としていろいろな點から見て不完全きわまるものを、そのままうのみにして貴族院にまわした場合は、衆議院の恥さらしであります。立法機關として少しも權威ある審議がされていないことを暴露することになるのでありますから、われわれとしては、かりにこれが日本の現在立つておる客觀的な諸情勢の上で、やむにやまれぬ要請に基く法律であるとしても、一應われわれとしては質すべきところは質し、また日本の客觀的情勢に合致するような立派な法律をつくるという氣持で、われわれはこれを審議しなければならぬと思います。從つてことさらに私はここで必要以上の質疑をしているわけでありません。またことさらにこれにけちをつけるとかどうとかいう、そういうさもしい氣持で申しているのでありません。今申し上げましたように、われわれに付託されたところの立法機關としての權限を十分尊重して、その使命を十分われわれは盡さなければならぬという自覺の上に立つて質問を展開しておるのでありますから、この點は十分ひとつ御諒承をいただきたい。
そこで問題は、要はこの法案にあります通り、進駐軍の需要に基く建築でありますとか、あるいは設備の營繕であるとか、あるいは人や物の調達であるとかいうこういうものを行うのについて、何ゆえこういう機關を連合國がわが政府に要請してきているかということをわれわれが考える場合に、あまりにも現在の機關があちらにもこちらにも、そつちにもというふうに、統一性を缺いておる。總合性を缺いておるというところから、統一と總合性のある一貫性ある機關をつくれ、これが向うの要請であろうと考えておる。打てば響くところの仕事のできる機關をつくつてもらいたい。そうしなければ軍としての目的と言いますか、軍の意思に副う仕事が能率的にできないではないか。だからこの機關をつくれ。こういうのではないかと私は思う。だからわれわれとしては、連合國のその要請にこたえ得る立派な法律をつくればよいのであつて、何もこの際ここで特にこれを法人にしなければならぬ必要はないのである。政府の責任においてやればよいことであつて、政府が金も出し、人もつくる。しかも實際の責任を政府が負うということなら、十分相手方に納得でき得る仕事をするものでないかと、私は考えますから、ことさら疑惑を生じ、不文律でありますところのこの矛盾を、このままわれわれとしてここで認めるわけにまいらぬではないかと思います。これはこれ以上は議論になりますから申し上げませんけれどもまたいろいろ何かと政府側からもお話があろうかもしれませんが、この問題については、これ以上私は申しません。これはあとで委員長にお願い申し上げまして、一應政府側とわれわれ委員側においてもうしばらく懇談する機會を與えていただきたい。そうして衆議院の審議の結果が他から非難攻撃され、いろいろな問題を殘すようなことのないようにして、成立させるものなら成立させたいと考えますから、この點は委員長においてお含みを願いたい。
それで、先ほど私が質問をいたしました、政府が修正を希望しております第二十八條の關係の各條項についての内容を御説明をしていただきたいのでありますが、この點おわかりになりませんか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=70
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071・森永貞一郎
○森永政府委員 先ほど御質問のございました原案の第二十八條の趣旨を御説明申し上げます。實は擔當の政府委員が今日參つておりませんので、便宜私から申し上げることにいたします。特別調達廳の事業形式、これは先ほどから御質問もありましたし、また政府の答辯もあつたと思いますが、これは今までにない一つの新しい形式でございまして、その制度と、現行の財政金融に關する制度、あるいはまた今議會に提案されておりますところの他の財政、會計に關する制度との間に調和をはかろうとするのが、この原案第二十八條の趣旨でございまして、そのおもな點と申しますのは、ここに書いてございますように、會計法の第四十六條第二項、財政法の第十五條および昭和二十一年法律第六十號、この三つの規定でございます。その内容をごく簡單に申し上げます。
會計法の第四十六條第二項と申しますのは、政府がいたしました工事等につきまして、工事の請負契約者、または物品の納入者、または補助金の交付を受けた者、そういう政府との關係にあるものにつきまして、大藏大臣は豫算の執行の適正を期するために、自分であるいはまた各省、各廳の長に委任いたしまして、その状況を監査させ、あるいはまた報告を徴することができる、そういう規定でございます。
次に財政法の第十五條でございますが、これは法律に基くもの、または歳出豫算の金額の範圍内におけるもののほかにおきまして、國が債務を負擔する行爲をしますのには、あらかじめ豫算をもつて國會の議決を經なければならない。從來の豫算外の負擔となる契約に關すると同樣の考えでございますが、そういう財政上の制約を負つておるわけでございます。この特別調達廳は、先ほどいろいろ議論があつたのでありますが、政府みずからではございません。別個の人格を有する法人でございます。從つてこれを放置いたしますれば、ただいまの會計法の規定、あるいは財政法の規定は直接には適用がないわけなのであります。しかしこの特別調達廳の事業の實體は、あくまでも政府がやらなければならない事業でございまして、政府が全額負擔をもつて執行する事業であります。從いましてその支出の適正を期する必要があることは、他の國の豫算の執行の場合と同樣でございますので、この場合には、國ではございませんが、國と同樣に取扱うことを明らかにいたしまして、この特別調達廳と契約をいたしました相手方に對しましては、監査をすることもできるし、また報告をとることもできる。また財政法第十五條の豫算外負擔の契約の關係では、他の政府みずからの場合と同樣に取扱つていく、そういう意味の調整をしようとする趣旨でございます。
さらにもう一つの昭和二十一年法律第六十號の規定でございますが、これはいわゆる政府の契約の特例に關する件という法律でございまして、この前の議會に御協賛を願つた法律でございます。この法律の趣旨とするところは政府との請負工事契約等の中で契約金額が特定していないものにつきましては、政府がその相手方の經理状況をみずから監査し、その監査の結果に從いまして契約金額を指定することができる、そういう趣旨でございまして、その主たるねらいは、進駐軍關係の建設工事等につきまして、その工事執行の適正を期したい、そういうねらいから出ている法律でございます。この規定につきましても、特別調達廳は國と別個の法人でございますので、その法人が自己の名において契約した相手方に對しましては、ただいまの法律の規定の適用が排除せられることと解せられるわけであります。しかるにこの特別調達廳はさしあたりは、先ほども御説明がございましたように、主として進駐軍關係の工事を擔當するわけでございますから、もしただいまの政府契約の特例に關する法律をこの特別調達廳の場合に適用しないことになりますと、この法律の趣旨の大半は沒却されることになる。そこでその間の調和をはかりますために、特別調達廳は形の上では國と別個の法人ではございますが、それとの契約につきましては、やはり政府を當事者とする契約と同樣に取扱うことをはつきりしまして、ただいまの政府の契約の特例に關する件を適用していただき、それによつて工事執行の適正を期していきたい、そういう趣旨で第二十八條の規定が原案には設けられているわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=71
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072・井上良次
○井上(良)委員 なお質疑應答において十分質したい點を發見するのでありますけれども、政府當局からの御説明もございます通り、本案は連合國の要請に基くものでございまして、實際上占領下のわれわれといたしましては、速やかにその要請にこたえるべきが當然でございますが、ただ立法機關へこれが上程されました以上は、やはり立法機關としての權限があるのでございますから、一應立法機關としては當然筋道の通つたことをしておきませんと、今後いろいろな審議の上に惡例を殘すことになりますから、この點議事進行の必要上暫時休憩をいたしまして、政府側、またわれわれ自身の上において、十分ひとつこの案の取扱いについて懇談をしたいと考えます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=72
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073・石原圓吉
○石原委員長 よくわかりました。私の希望といたしましては、一應この質疑を終結を告げておきまして、それから修正の可否については十分御懇談、研究を重ねたい、こういう希望があるのでありますが、その點はいかがでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=73
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074・井上良次
○井上(良)委員 他の會派はどうか存じませんが、私の方の社會黨といたしましては、一應疑問とする點がございますので、それを今申したような方法によつて十分懇談協議をいたした結果、のみこみました上で、それでよければ質問を終了されて、修正すべきものは修正する、そしてまた採決するなら採決をする。こういう行き方をとつていただきたいと思います。そうしませんと、今ここで質疑を打切られますと、もしあとで質疑をしておかなければならぬようなことがあつた場合には困りますから、質疑打切りは暫時御猶豫を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=74
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075・石原圓吉
○石原委員長 それでは暫時休憩をいたします。
午後三時三十六分休憩
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午後七時四十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=75
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076・石原圓吉
○石原委員長 休憩前に引續き會議を開きます。質疑を續行いたします。塚田君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=76
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077・塚田十一郎
○塚田委員 本法案第二十八條の趣旨は、先ほど井上委員からの質問に對しての政府委員の御答辯によりまして、よく了解いたしましたが、しかし本議會に同時に上程されて、既にもう本院を通過しております各種の公團法案には、これと同じ趣旨の規定がないように承知しているのであります。從つてそれと同じような性質をもつた本法案においてもこの規定はなくてもよいのではないか、むしろない方が體裁を整えるという意味において適當なのではないかと考えられる節もある。もちろん本條の意味するところはこれは十分本廳の業務の運營の上において實現していかなければならないことは申すまでもないのでありますけれども、ただ繰返して申し上げますが、形式の問題として必ずしもこれを存置する必要がないように考えるのですが、その點に關する政府當局の御答辯をいただきたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=77
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078・森永貞一郎
○森永政府委員 先ほど申し上げましたのは、原案第二十八條の立法趣旨であつたわけでございますが、この規定はただいま御指摘のごとく、他の公團法案には全然ございません。この規定がない場合におきましても、國費の濫費を抑制するために、政府といたしましては嚴重な措置をとることは當然と考えます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=78
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079・塚田十一郎
○塚田委員 説明の趣旨は了承いたしました。私の質疑はこれで打切りにいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=79
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080・石原圓吉
○石原委員長 これにて質疑の通告は全部終りました。すなわち質疑は終局いたしました。これより本案を議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。關谷君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=80
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081・關谷勝利
○關谷委員 原案修正の動議を提出いたします。本法はその性質上各種公團法ときわめて類似しており、各種公團法との均衡を考慮いたしまして、左記のように修正いたしたいと思います。
すなわち第十七條中の「特別調達廳は」の下に「第十八條に規定する」を加える。第二十三條に次の一號を加える。「第十三條の規定に違反した場合」第二十五條を次のように改める。「特別調達廳以外の法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人若しくは人の業務に關して第二十三條又は前條の違反行爲をなしたときには、行爲者を罰する外、その法人又は人に對して前二條の罰金刑を科する。」第二十八條を削り第二十九條を第二十八條とし、以下順次繰上げる。以上であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=81
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082・石原圓吉
○石原委員長 井上君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=82
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083・井上良次
○井上(良)委員 私は日本社會黨を代表しましてただいま提案されております原案並に修正案に賛成をいたしたいと存じます。ただこの原案及び修正案をわれわれが賛成するにあたりまして、この際私は本法運用に關して特に政府の注意を促したいためにこれに附帶決議を付したいと思うのであります。その案文を讀んでみます。
附帶決議
特別調達廳が業者となす契約については、政府は嚴重な監督を行うと共に、特に國費の濫費を抑制するため必要なる措置を強力に講ずること。
以上の附帶決議を付しまして本案に賛成いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=83
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084・石原圓吉
○石原委員長 大井君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=84
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085・大井直之助
○大井委員 私は日本自由黨を代表いたしまして本案に對する修正案並びに社會黨から出ました附帶決議に賛意を表するものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=85
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086・井上良次
○井上(良)委員 この際討論終結の動議を提出いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=86
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087・石原圓吉
○石原委員長 ただいまの討論打切りの動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=87
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088・石原圓吉
○石原委員長 それでは討論は終局いたしました。引續き採決いたします。採決の順序はまず修正案について、次に原案について採決し、終つて附帶決議案について採決をいたします。まず關谷君提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君は御起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=88
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089・石原圓吉
○石原委員長 起立全員、よつて本修正案は可決いたしました。次にただいま修正と確定いたしました部分を除く原案について採決いたします。賛成の諸君は起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=89
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090・石原圓吉
○石原委員長 起立總員、よつて修正以外の部分の原案は可決いたしました。
次に附帶決議案について採決いたします。本附帶決議を付するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=90
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091・石原圓吉
○石原委員長 御異議なしと認めます。よつて本附帶決議を付するに決しました。これにて本委員會における議事は全部終了いたしました。これにて散會いたします。
午後七時五十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212785X00219470330&spkNum=91
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