1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に關する法律案(政府提出)(第三七號)
日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に關する法律案(政府提出)(第三八號)
日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に關する法律案(政府提出)(第三九號)
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昭和二十二年三月二十二日(土曜日)午後二時五十八分開議
出席委員
委員長 小林かなえ君
理事 小澤佐重喜君 理事 桂作藏君
小川原政信君 木村義雄君
滝澤脩作君 竹内茂代君
中野武雄君 林田正治君
武藤常介君 石川金次郎君
米山文子君 越原はる君
出席政府委員
司法事務官 佐藤藤佐君
司法事務官 奧野健一君
司法事務官 小澤文雄君
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本日の會議に付した議案
日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に關する法律案(政府提出)
日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に關する法律案(政府提出)
日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に關する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=0
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001・小林かなえ
○小林委員長 會議を開きます。前會會に引續き質疑を進めます。石川金次郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=1
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002・石川金次郎
○石川委員 民事訴訟法の應急措置に關する法律案についてお伺いいたしたいと思います。政府は民事訴訟法の應急措置に關する法律案を提出いたしましたが、その他の手續法全般に對する應急措置に關する法律案は、必要ないでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=2
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003・奧野健一
○奧野政府委員 實はそれらの手續法全般にわたつて改正を加えていかなければならないことは當然であります。ただ民事訴訟法においては、おもに上告に關する事柄が、裁判所法の制定に基いて相當變つてまいりましたので、とりあえず上告に關する事柄を主にして應急措置を講じたのであります。その他の民事訴訟法に關するいろいろな問題、あるいは訂正すべき箇所がたくさんありますが、一應この應急措置は、大體日本國憲法竝びに裁判所法の制定の趣旨に基いて解釋してもらつて、次の機會にそれらの完璧を期したいと思つておるわけであります。
そのほか御指摘の、いわゆる破産であるとか、あるいは非訟事件手續法といつたような法律の中で、裁判所法竝びに裁判所法施行のために、どうしても必要になつてまいる點につきましては、裁判所法施行法の第七條で、「この法律に定めるものの外、裁判所法及びこの法律の施行に關し必要な事項は、政令でこれを定める。」という委任をしておりますので、この政令によつてつじつまを合わせて行きたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=3
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004・石川金次郎
○石川委員 なお第二條に關連して少しお聽きいたしますが、本法の二條によりますと、日本國憲法及び裁判所法の制定の趣旨に適合するように解釋しなければならぬというのでありますから、各條文ともに憲法及び裁判所法の制定趣旨に適合するように解釋せよということは申すまでもございません。そうなつてまいりますと、人事訴訟手續法であつても、非訟事件手續法であつても、破産法、和議法でありましても、一々條文が第二條の精神によつて解釋せられるような方法を講じておきませんと、いけないと考えるのでありますが、どうしてその措置を講ぜられなかつたか。ただいまのところでいいかどうかお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=4
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005・奧野健一
○奧野政府委員 これは大體民事訴訟法だけに關する措置として二條を設けたのでありまして、その他の點の人事訴訟手續法、破産、非訟事件等につきましては、裁判所法施行法ででき得る限り整理いたしたいと思つておるわけでありまして、ただ民事訴訟法に關するものにつきましては、民事訴訟法の應急措置法を制定いたしました結果、民訴に關する限りにおいては、特に二條の規定を設けまして、たとえば民事訴訟法で三十五條に、妻は云々というふうになつておるのは、夫婦平等の憲法の趣旨からいきまして、配偶者を意味するというふうに讀みかえるとか、あるいは戸主、家族というふうな字が現われてまいりますのは、やはり戸主、家族というものがなく、たとえば三十五條二號、五百三十七條、六百十八條、七百三十一條というふうな條文には、戸主または家族、というような字が出てまいるわけでありますが、これらの戸主に關する事柄が削除されてまいる關係上、これらの點も、おのずからその趣旨に適合するように解釋するとか、あるいはまた同法の二百七十四條等では、貴族院とあるのはおのずから參議と讀みかえて適用さるべきものであろう。あるいはまた同法の中には軍人、軍屬に關する特別の規定がありますが、これらのものもやはり憲法の精神から見て、これはないものとして解釋してまいるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=5
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006・石川金次郎
○石川委員 第二條の意味を考えてみますと、單に現行民事訴訟法を讀みかえるだけでは終らないかと存じます。たとえば憲法には、權利は濫用してならぬ。公共の福祉のために利用しなければならぬという規定があります。これらの規定を活かそうといたしますならば、われわれの考えといたしましては、現行民事訴訟法中の強制執行權に關する規定についても、憲法精神を體して解釋しなければならぬもの、將來改正しなければならぬものがあるかと存じます、そうなつてまいりますと、これらの點について、なお明文的な一つの方法を講じていかなければならぬと思つておるのでありますが、その點いかがですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=6
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007・奧野健一
○奧野政府委員 お説のように強制執行等に關する關係、その他權利の濫用等に關する關係につきましても、やはり憲法の原則に適合するように解釋していかなければならないと考えております。しかしてそういう點については、明文で明らかにすべきではないかという御意見ごもつともと考えるのでありますが、いずれその點につきましては、最近の機會において、それらのすべての點にわたつて、憲法の精神に適合するように、改正すべき箇所を改正してまいりたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=7
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008・石川金次郎
○石川委員 もう一つ第二條に關連してお伺いいたします。事は非常に小さいのですが、この措置法によつて一つの欠陷をもつてくると存じますので、この點を聽いておきたいと存じます。現行民事訴訟法の五百七十條であります。五百七十條の十一號の系譜についてであります。昨日も民法のときに問題になりましたが、この系譜は差押えを許さない。強制執行の對象にならないという規定でありますが、この規定は民法や破産法と相まちまして、いわゆる血統的な家族制度を法律的に保護した一つの規定だと思うのであります、ところが血統的な、血族的な家族制度が、憲法の上において法的保護をされぬことに相なりました結果、この措置法が効力をもつております間、おそらくはこの系譜に對しても差押えが可能となり、競賣が可能になると存じます。そうなつてまいりますると、差押えになる家は、昨日か一昨日局長が仰しやいましたように、遡及法によつて保護することができますけれども、既に競賣が完了してしまつた後においては、その系譜は競賣されたのでありますから、救濟できないことになると存じます、そういうような救濟の方法はどういうふうにして講ぜられるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=8
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009・奧野健一
○奧野政府委員 系譜につきましては、實は民法の暫定措置法には明らかにいたしてはおりませんが、お手もとに配付しております民法の改正法律案におきましては、やはり系譜、債務、墳墓というような所有權は、現在におきましては家督相續人の特權に屬する事項となつておりますが、家督相續を廢止いたしまする關係からして、これらのものの承繼につきましては、大體において慣習あるいは被相續人の指定によつて承繼人がきまるということにいたしておるのであります。その趣旨はもちろん戸相續といふ法律的な制度は廢止しますが、祖先のまつりを掌るといふことは何も直接憲法の精神に反するものとは考えられません。祖先の祭祀をまつるということは、從つて慣習とし、あるいはまたその被相續人の意思として、これを生かして認めていつていいじやないかと、そういう意味から基きまして民法の制度、家督相續の制度は廃止しますけれども、祖先の祭祀ということは慣習的にこれを認めていつていいではないかというふうに考えておりますがゆえに、民法が變つても系譜というものについてはさし押え禁止物である點については變りがないように考えておるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=9
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010・石川金次郎
○石川委員 第三條についてちよつとお伺いします。第三條で判事補が一人で裁判することができる、判決以外のものはできるということの規定であります。これはどういう必要でこれをなされたかをお伺いしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=10
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011・奧野健一
○奧野政府委員 裁判所におきまして判事補というものは他の法律に特別な定めのある場合を除いては一人で裁判をすることができないということを裁判所法二十七條で規定しておりまして、他に法律に特別な定めをおかなければ一人で裁判できない、判決のみならず決定も命令もできないということになります。しかし受命判事あるいは受託判事として證據調べをしたり、あるいは證據調べの期日をきめたりなどするやうな決定等は一人の判事補でも一人でこれをせしめるのが適當であるのでございまして、この裁判所法の二十七條の例外をここに規定したわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=11
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012・石川金次郎
○石川委員 實際問題といたしまして今裁判所法は拜見しておりましたが、これは假處分假差押えの事件等も判檢事補として取扱れるというのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=12
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013・奧野健一
○奧野政府委員 そうなるかと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=13
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014・石川金次郎
○石川委員 舊民訴の三十五條でありますが、この讀みかえが判事とありますのが裁判官と讀みかえるべき性質のものであるかどうか明らかにしておきたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=14
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015・奧野健一
○奧野政府委員 判事とあるものはすべて裁判官と讀みかえるつもりであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=15
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016・石川金次郎
○石川委員 民事訴訟法第七十九條によりますと、區裁判所においては裁判長の許可を得ますると非辯護士も訴訟代理人となすことができるとなつております。今度裁判所の組織が變りました結果、かりに區裁判所と地方裁判所との事物の管轄が、從來の區裁判所の管轄と地方裁判所の管轄と同じでありますが、簡易裁判所の管轄は必ずしも區裁判所の管轄ではなくなつたのでありますが、こういう場合におきまして地方裁判所におきましても、非辯護士であつても訴訟代理を認められるかどうかをお聽きしておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=16
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017・奧野健一
○奧野政府委員 七十九條の區裁判所といふのは簡易裁判所に讀みかえるつもりであります。これは先ほど申しました裁判所施行法の政令によつてこの點は明らかにしたいと思つております。ここに區裁判所というのは簡易裁判所の讀みかえで、簡易裁判所においては許可を得て辯護士にあらざる者も訴訟代理をなし得ることにいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=17
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018・石川金次郎
○石川委員 そうしますと民事訴訟の區裁判所が全部簡易裁判所と讀みかえるということにお聽きしてよろしうございましようか。讀みかえられない條文もありますかどうかお聽きしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=18
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019・奧野健一
○奧野政府委員 全部區裁判所を簡易裁判所と讀みかえるかどうかということは一概に申されませんので、強制執行に關する行政裁判所のようなものは、地方裁判所の方に出したいと考えております。この點は先ほど申しました裁判所法施行法の政令でその點は必ず明らかにいたす考えであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=19
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020・石川金次郎
○石川委員 それからこの民事訴訟法の第二條人の普通裁判籍の關係でありますが、第二條の「人」という文字の中には天皇も含む、つまり天皇も民事訴訟の當事者になるというふうに解すべきものと思いますが、當局の御意見はいかがでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=20
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021・奧野健一
○奧野政府委員 實際問題としてはほとんど想像できないかと考えておりますが、法律の上の解釋としては、この二條の「人」の中には天皇を包含するものというふうに考えていると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=21
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022・石川金次郎
○石川委員 現行民事訴訟法の二百七十三條と二百七十二條の規定であります。證人尋問における證人唆問の形式でありますが、二百七十二條によりますと、官吏が證人として訊問されます場合には裁判所は當該監督官廳の承認を得なければならぬということがある。二百七十三條におきましては國務大臣以下いろいろ竝べてありますが、これを證人として訊問いたします場合には勅許を必要とするとありますが、このいずれもが今度は不必要になるのではないかと存じますが、この御見解を承りたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=22
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023・奧野健一
○奧野政府委員 内閣總理大臣その他の國務大臣等を證人としての職務上の祕密についての訊問をなす場合におきましては、實はわれわれの草案としてもつている考えでは、内閣の承認を得ることを要す、いわゆる勅許ではなく内閣の承認を得ることを要すというつもりで立案を進めてまいつたのでありますが、その改正案がこの度の上程に間に合ひませんでしたので、その民事訴訟法の正式の改正ができるまでの間は、實はこの規定は勅許を得ることを要すという規定がなくなることになります。その間は勅許を必要としないということに讀まざるを得ないだろうと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=23
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024・石川金次郎
○石川委員 二百七十二條の官廳の承認はいかになりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=24
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025・奧野健一
○奧野政府委員 これはそのままに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=25
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026・石川金次郎
○石川委員 訴訟前におけるところの證據保全でありますが、これは簡易裁判所のみが取扱うことになるのですか、さらに地方裁判所にも支所ができることになるのでありますか、この地方裁判所も訴訟前の證據保全をやり得るか、お聽きしてみたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=26
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027・奧野健一
○奧野政府委員 これは地方裁判所または簡易裁判所というふうに、兩方になり得るようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=27
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028・石川金次郎
○石川委員 それではこの措置法が効力のある間はどうなりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=28
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029・奧野健一
○奧野政府委員 これは先ほど申しました裁判所施行法の末條の政令でもつてきめることにいたしてありますが、措置法が生きている間でも、政令でもつて地方裁判所または簡易裁判所というふうに改めるつもりであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=29
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030・石川金次郎
○石川委員 實は私たちは政府がどういうような草案をもつておられるかを知りませんために、質問が非常にくだらないとお思いになると思いますが、何か材料を下さるわけにはいきますまいか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=30
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031・奧野健一
○奧野政府委員 まだ實は關係方面の全部の諒解を得てはおりませんけれども、草案としてもつているものがありますので、あるいは部數が多少足りないかと思いますが、一、二部ならばここにあるそうでございますから差上げたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=31
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032・石川金次郎
○石川委員 公示催告の管轄裁判所でありますが、これは簡易裁判所でやることになりますか。地方裁判所の管轄になつてまいりますか。先ほど局長から、大體において簡易裁判所と區裁判所を讀みかえれば用が足りるようにお聽きしたのでありますが、讀んでまいりますと必ずしもそうまいりませんので、お聽きしてみたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=32
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033・奧野健一
○奧野政府委員 これは區裁判所を簡易裁判所に讀みかえるつもりでおります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=33
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034・石川金次郎
○石川委員 簡易裁判所における訴訟手續の參考書がわれわれに渡つておりませんからお聽きせざるを得ないのでありますが、民事訴訟法の區裁判所の訴訟手續が、大體において準用されるものであるかどうかをお聽きしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=34
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035・奧野健一
○奧野政府委員 實は簡易裁判所の訴訟手續については、非常に簡易迅速になし得るような手續を考えておるのでありますが、それまでの暫定的な處置といたしましては、やはり區裁判所の手續に大體よるという考えでおります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=35
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036・石川金次郎
○石川委員 そこで簡易裁判所は、憲法が施行されますと同時に、五月三日から活動を開始し得るようになつておりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=36
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037・奧野健一
○奧野政府委員 五月三日から活動を開始するつもりであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=37
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038・石川金次郎
○石川委員 最高裁判所は訴訟の手續に關する規則を制定することになつておるのでありますが、それとこの民事訴訟法とどういう限界があるか。つまり民事訴訟を法律的に決定すべき手續法規と、最高裁判所が決定すべき範圍の限界がどういうところにあるかをお聽きしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=38
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039・奧野健一
○奧野政府委員 それは相當むずかしい問題でありまして、國會が唯一の立法機關であると一方において憲法で言いながら、裁判所の訴訟手續その他の點につきまして、最高裁判所に規則の制定權を與えている。この兩者の關係をどういうふうに調和していくかということは、非常にむずかしい問題であると考えますが、殊に刑事訴訟の場合を考えてみますと、憲法におきましても、生命身體に拘束を加える場合には必ず法律にきめた手續によらなければならないということになつておりますので、少くとも刑事訴訟手續に關する限りにおいては、相當法律をもつてきめなければならないと思うのでありますが、民事訴訟の手續に關することでありましても、國民の權利義務に直接影響のあるような事柄は、むしろ法律でもつてこれをきめることが、憲法の精神に適するのではないか。しかしながら一方訴訟の實際のプラクチスの方面からいきまして、一々法律でこれを非常に固く縛るよりも、運用の點について、便宜の點から見て、訴訟に關するいろいろな實際の點につきましては、規則に讓つた方が適當であろうと考えるのであります。しかしてどの範圍を法律できめ、どの範圍を最高裁判所のルールに任すかという限界は、實は非常にむずかしいのでありまして、もちろんわれわれの考えとしましては、法律はやはり規則よりも優位な力をもつものと考えますが、しかしながら憲法がわざわざ訴訟に關する手續を最高裁判所の規則で決めてよろしいということを認めている以上、いくら法律が規則よりも優位であるからと申しましても、その訴訟手續をすべて法律でもつて規定して、最高裁判所の規則できめる餘地のなからしめるようなことは、やはり廣い意味において憲法の精神に反するものと考えますので、そのいずれの點を法律に委ね、いずれの點を規則に委ねるかは、これからの實際の運營にまつて、おのずから裁判所方面と立法方面との話合いで、お互の分野をきめて行くべき問題であろうと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=39
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040・石川金次郎
○石川委員 現行民事訴訟法が、辯論主義の上に立つ、直接審理主義に則る自由心證主義であり、そうしてその結果として眞實發見主義なんだというようなことをよく言われておるのでありますが、その原則の上に現行民事訴訟法も立つておると言われておりますが、こういう原則については變更がないだろうか、むしろこの原則が強められてゆくだろうと思つておりますが、どういう關係になりますかをお聽きしておきたい。それから職權主義でありますが、訴訟の眞實發見となりますと、實際においては職權主義が非常に價値があると私たちは見ておるが、職權主義が現在憲法の上においても兩立しないものだと思いません。職權主義はなお現行訴訟法よりも強く働かしむる考えが、將來の訴訟法の上にあるかどうかということをお聽きしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=40
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041・奧野健一
○奧野政府委員 御説のように自由心證主義でありますとか、當事者處分主義というような原則は、今後といえども變りはなかろうと考えております。ただ訴訟のいろいろなやり方、たとえば證人その他の訊問のやり方、たとえばここにクロス・エキミザネーシヨンのような制度をとり入れるというような場合において、それらのやり方、訴訟の運び方等について、訴訟法に規定してもよろしかろうとは思いますが、それらの點は裁判所の定めるルールできめても、民事訴訟法に關する限りにおいてはいいのではないかというふうに考えますので、今後大原則については變りはないと思いますが、實際の訴訟の手續の運び方等におきましては、現在の民事訴訟法の中に規定しております幾多の條文が、そういう最高裁判所の定むる規則の中に包含されて、民事訴訟法から落す方が適當であると思われる部面が相當あるかと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=41
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042・石川金次郎
○石川委員 最後にもう一點伺いたのは、刑法については應急措置法が要らないでしようか、これをお聽きしておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=42
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043・佐藤藤佐
○佐藤(藤)政府委員 御説のように、刑法につきましても、新憲法の精神に副うように改廢いさなければならないのでありますが、今議會に間に合いませんでしたので、とりあえず憲法の精神に從つて當分運用するように、運用の方で十分氣をつけたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=43
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044・石川金次郎
○石川委員 たとえば刑事訴訟法の二條に書いてありますように、刑法の場合も、刑法は日本國憲法及び裁判所法、あるいは檢察廳法の趣旨に則つて解釋すべきものであるという應急的措置規定を必要としないか、ただ單に憲法が既に存するから、しかく解釋さるべきものであるということで、十分なりとする見解かどうかを承りたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=44
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045・佐藤藤佐
○佐藤(藤)政府委員 この議會が終えますれば、早速刑法改正の委員會を設けまして、全面的改正に着手いたしたいと存じておりますが、その全面的改正になるまでの間の運用といたしましては、新憲法の精神に副うて十分運用ができるものと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=45
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046・石川金次郎
○石川委員 刑事訴訟法につきましては、たしか日本國憲法及び裁判所法、檢察廳法の制定の趣旨に適合するようにという文句で書かれてあつたと思いますが、刑事訴訟法はしかくすると御明示になつておるが、刑法においてはよりどころを示さないということは不親切ではないか、刑法の意味からも、刑法の解釋の仕方も刑事訴訟法と同じような原則によるのだということを示すべきが本當だと思うが、どうしてそれをやらないか、もし刑法で要らないとすれば刑事訴訟法の場合も要らないじやないか、こう思うのでありますが、この點に對する御意見をお聽きしておきたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=46
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047・佐藤藤佐
○佐藤(藤)政府委員 刑法の改正案を作成いたします場合には、當然さような規定を設けなければならぬとも考えておりますけれども、現在刑法の改正案が上程する運びに至りませんでしたので、案文としてはなんら現われておりませんけれども、刑法の解釋適用については新憲法施行後は、新憲法の精神に從つて當然解釋適用されるものと考えております。全面的な改正のなされない今日において、ただその點だけの改正案を提出するのもいかがかと存じまして提案いたさなかつたのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=47
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048・石川金次郎
○石川委員 それでは裁判所におきましては、なるほど憲法も改正された。新しく裁判所法もできた。檢察廳法もできた。これは十分知つておるのであります。そこでこれらに基いて解釋しなければならぬということを考え得るかもしれませんけれども、刑事訴訟法のようにこれによるということをはつきり示しておきませんと、裁判所においては實際運營に迷惑するのじやないかと思います。そういうことはどうして救濟されて行くでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=48
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049・佐藤藤佐
○佐藤(藤)政府委員 裁判所並びに檢事局において刑法を解釋適用するにあたりましては、當然新憲法施行後、新憲法の精神に則らなければならぬということは明らかなことでありまして、當然のこととは思いますけれども、最近催される全國の判事の會同、檢事の會合においては、必ず新憲法施行後は新憲法の精神に副うて解釋適用するようにということを十分徹底するように示したいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=49
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050・石川金次郎
○石川委員 裁判所竝びに檢事局はそれでよしといたしまして、在野法曹、辯護士の方に對しまして、どういうように刑法を解していくということを、國家が明らかにすべき必要があると思いますが、こちらの方に對してはどういう御措置をなさるか、承りたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=50
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051・佐藤藤佐
○佐藤(藤)政府委員 辯護士會の方面におきましては、これは司法省の方から何らかの通牒を發しませんでも、當然憲法の精神に從つて解釋運用されることと存じておりますので、辯護士會方面には別に何らの措置を講じようとは考えておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=51
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052・石川金次郎
○石川委員 これで私の質問は終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=52
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053・小林かなえ
○小林委員長 私關連してちよつと御質問申し上げたいのですが、ただいま石川君の言われましたように、刑法の臨時措置法が出ておらぬのですが、一例を申しますと、憲法は第二十四條において「個人の尊嚴と兩性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」「夫婦が同等の權利を有することを基本として、」云々という兩性の平等ということを認めておる。たとえば姦通罪のごときは、現行刑法においては夫婦の一方に平等でないのでありますが、日本國憲法の趣旨に則つて解釋していくということになりますと、どういうように處置をされるのでありますか、實際新らしい刑法改正ができぬ前にそういう事案が起つた場合には、刑事裁判としてどういう方法をとられるか、あるいは起訴、不起訴の上に手心を加えられるのであるか、ちよつとその點をお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=53
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054・佐藤藤佐
○佐藤(藤)政府委員 御説のように、現行刑法におきましては妻の姦通罪のみを規定しておりまして、夫の姦通罪の規定がありませんので、その點はなるほど新憲法の兩性の平等という原則に照らしますと、何とかこれを訂正しなければなりませんので、先般法制審議會の答申に基きまして、將來はいわゆる姦通罪の規定は刑法からこれを削除して、すべて姦通の問題は各自の家庭の問題として、各人の道徳心、宗教心に訴えて解決したい、かように考えておるのでありますが、刑法の改正案が未だ上程の運びに至りませんので、將來新憲法の施行されました曉においては、刑法の姦通罪の規定がそのままありましても、當分の間は姦通罪については起訴、不起訴について、十分憲法の精神に合うように取扱つていきたいと思つております。最近の全國の檢事の會同においても、その點は十分撤底するように示したいと考えておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=54
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055・小林かなえ
○小林委員長 米山文子君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=55
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056・米山文子
○米山(文)委員 私は二、三の點についてお伺いいたしたいと思います。第一點は第五條の離婚の原因でございますが、草案を見ますと五項目あります。この法案にはただ「著しい不貞の行爲」という一項目にしたのは、暫定的の措置のためとは思いますが、次の議會でこの民法の細目にわたり改正が行われますまでの間にも、他の四項目の原因が實際にも起り得ると考えます。その場合裁判所はいかなる處置をおとりになりますか、その點についてお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=56
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057・奧野健一
○奧野政府委員 次の議會に民法改正要綱にあるような規定を設けていきたいと考えておりますが、とりあえず應急的措置といたしまして、民法の規定の中で男女の本質的平等に反する部分だけを適用しないという態度をとつたのがこの應急的措置でありまするがゆえに、要綱にはお説のように不貞の行爲のほかに二、三原因を掲げておりますが、これは大體において現行法にもある規定が多いのでありまして、これらの規定は必ずしも男女の本質的平等に反するものではないのでありますから、この點はふれなかつたのでありますが、もしこの要綱に掲げております離婚原因の中で、現行法の離婚原因以外のものがありますれば、これは暫定的の間においては、それらが離婚原因にならないというふうになると考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=57
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058・米山文子
○米山(文)委員 次に第六條でございますが、「親權は、父母が共同してこれを行う。父母が離婚するとき、」その次に「又は父が子を認知するときは、」とありますが、この法律案は民法法典中親族編、相續編の封建的家族主義の一掃竝びに新憲法の精神による個人の尊嚴、兩性の本質的平等を目的とするにもかかわらず、「父が子を認知するのこの字句は、封建臭紛々たるものがあると思います。またこの字句をここに掲げますことは、婦人を侮辱するもはなはだしいと私は思います。すなわち過去におきましては、不貞ということは妻にのみ強いて夫に強いなかつた習慣が馴致したものと思いますが、直接的には前の第五條の「著しい不貞の行爲」にまず該當します。それから非民主主義的でもあり、間接的には優生學上また人口政策上の見地からも、はなはだ遺憾の點が多いと存じます。アメリカではかかることは絶對にそれを恥としていることだそうでございます。これは日本及び日本人の大なる恥辱だと私は信じます。なお家庭の中は夫婦が中心になつて、夫婦平等の權限で子供の幸福が意圖せられるのでございます。にもかかわらず、かかることが認められますときには、一夫一婦の婚姻關係を破壞するものでもあり、夫婦間の誠實、貞操の義務の違反でもあると言わざるを得ません、繰返しますが、第五條の「著しい不貞の行爲」を離婚の原因とした規定にももとります。一方建設規定があるにもかかわらず、またかように他方で破壞的の規定を設けることによつて、本法案の目的を覆えすことになるのではないかと思います。この意味において、よろしくこの字句を私は削除さるべきだということを強く主張して、明快なる御答辯を得たいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=58
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059・奧野健一
○奧野政府委員 婚姻外に子供ができるということは、もちろん望ましいことではないのでありまして、極力そういうことのないことを欲しておるのでありますが、事實において婚姻外に子供ができました場合に、父がその子を認知するという途を開いておきませんと、その子供が永久に父の子供になり得ない、母の子供だけであつて、父をして扶養せしめるとか、あるいは父の親權に服するとかいうようなことがあり得ないというみじめな状態になるのであります。子供の保護という點から考えてみますると、もし裕福な實際の父が、婚姻外に父がおつた場合に、それらのものの認知を請求して、認知せしめてその扶養をせしめるといふことは、子供に罪があるわけではありませんからして、子供の保護の立場から申しますると、父親が子供を認知するという制度は、どうしても置かなければならないのでありまして、これは世の中がほんとにそういつたような、婚姻外に子供をつくることが全然ない程度に道徳、文化が發達すればとにかくでありますが、その域に達するまでは、子供の保護のためには父がみずから認知をする。あるいは父に對して強制的に認知をせしめるという制度は、どうしても必要でありまして、認知した場合に、母親の今までの親權と、父の親權との間におきまして、誰を親權者にしていくかということについて、協議してきめていこうというのが、第六條の第二項の規定で、父が子を認知するということは、どうしても置いておかないと、子供の保護の上からいたしまして、永久に父と名乘る途がない。また父の保護を受ける途がないことになりますので、この點はどうしてもこれを削除することには贊成いたしかねるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=59
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060・米山文子
○米山(文)委員 御意見はよくわかりましたけれども、事實こういうことはあり得ることでございます。それはどんな方法によつてもそれを處置することはできると思います。何もこうした條文に堂々と掲げなくても——掲げることが、私が前に述べたような點から非常に惡いことであるのですから、その子供のことから言えばそうでございますけれども、ここに掲げてある以上、どこまでも男の方にそうした行爲を認めることになりますので、そういつた行爲がなければ自然子供もできないわけなのですから、その子供の處置については、ほかに方法があると思います。どうしても私は今おつしやつたような御意見に對して反駁するものであります。これはG・H・Qの方をお通しになつたと伺つておりますが、あちらの方ではこれについては何も御意見がなかつたのでございましようか。この點を一つお聽きいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=60
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061・奧野健一
○奧野政府委員 ちよつと速記をとめて……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=61
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062・小林かなえ
○小林委員長 では速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=62
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063・小林かなえ
○小林委員長 速記を始めて……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=63
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064・米山文子
○米山(文)委員 前の御説明で今の國民の道徳がまだそこまでいつていないというお言葉がございましたが、憲法實施後、ある程度國民の道徳が進んだ場合に、これを削除するお氣持はございますか。その點を伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=64
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065・奧野健一
○奧野政府委員 世の中にそういうことが全然起らないことになりますと、自然こういう場合も起りませんので、不必要になつた曉はもちろん削除するということには異存はないわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=65
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066・米山文子
○米山(文)委員 この字句を削除することを私はこの議會で實は強く御願いしたいのでございますが、ただ自分の意見として強く主張するにとどめまして、またこの次の議會でもつと婦人全部に呼びかけて、これを削除することを強く主張したいと考えております。
次になお續いて、離婚訴訟中の、特にこの要綱には第十七條に、「離婚したる者の一方は相手方に對し相當の生計を維持するに足べき財産の分與」云々とございますが、特に妻の生活保護に關する規定を設けていただきたいと思うのでございます。何となれば妻は經濟的に弱者であり、また一度離婚すると、あらゆる不幸がそこにつきまとうものであります。アメリカでは離婚した場合、女が再婚するまで夫であつた者から扶助料を受けるということを聞いております。この點について大體どのようなお考えをもつていらつしやいますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=66
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067・奧野健一
○奧野政府委員 お説ごもつともと考えてます。ただ應急措置法であります關係上、離婚の場合の妻の財産分與の請求權は、憲法の夫婦平等の關係からどうしても出て來なければならないという歸結ではないと考えましたので、この應急措置法にはその點には觸れなかつたのでありますが、このことは既に司法法制審議會、臨時法制調査會等においても決定された要綱でありますので、この次の改正にはこの點について規定を設けたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=67
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068・米山文子
○米山(文)委員 では次の改正に至りますまでの間には、その御用意はないのでありましうか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=68
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069・奧野健一
○奧野政府委員 その點は一昨日でありましたが、榊原委員に對する答辯の際にも觸れましたが、この點は場合によつては新しき民法改正法の經過規程として、あるいは附則として、この措置法と新しい民法改正法の施行との間において、離婚したる場合においても、やはりそういつた規定を準用するというふうなことも考慮していいのではないかと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=69
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070・米山文子
○米山(文)委員 それと續いて、離婚した場合、母が親權を行うことになりましたときに、その子供の養育料については、やはり今と同じようなお考えでございましようか。いかがなものでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=70
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071・奧野健一
○奧野政府委員 離婚になりましても父はやはり子供の父でありまする關係上、父と子供との間においては、やはり扶養の義務が父にあるわけでありますから、父母離婚して子供が母とともに生活しておりましても、母に生活の十分な資力がないというような場合においては、父から養育費を出すということは、扶養の關係からして當然父にそういう義務があると考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=71
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072・米山文子
○米山(文)委員 今の問題ですが、アメリカでは十八歳まで養育料を支拂つておるそうでございますが、その點はいかがでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=72
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073・奧野健一
○奧野政府委員 日本の民法におきましては、別に年齡の制限なく、生活ができない場合におきましては扶養の義務者は扶養しなければならないことになつておるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=73
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074・米山文子
○米山(文)委員 次に遺言のことについてちよつとお尋ねいたします。遺言について遺産相續の相續身分が變つてくると思いますので、これが改正はどの程度になりますか、それを伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=74
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075・奧野健一
○奧野政府委員 遺言は、この措置法の第九條で遺留分としてきめられておる額を遺言でもつて破ることはできませんが、これ以外の點については遺言が自由であるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=75
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076・米山文子
○米山(文)委員 次にこれは私の希望でございますが、この民法は國民生活に直接影響する法典でありまするので、その表現はできるだけ平明でなければならないと思います。現行民法に使用してあります文字は著しく難解の文字がありまして、民衆に理解ができない。こういう點にもこまかい注意を拂つて、ほんとうに民衆のものになるように、民主化をはからなければならない。この點について特に御注意を促したいと思います。
それからもう一つは、この暫定法案に親族、相續の身分關係についてのみ改正を行つた。これは石川委員からも前にございましたので、私はその理由を伺いたかつたのでございますが、これは社會生活の根幹である財産關係にもぜひ次の改正には及んでいただきたい。財産關係に十分なる關心を拂つて改正していただきたい。この二つのことをお願いして、私の質問を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=76
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077・小林かなえ
○小林委員長 本日はこれにて散會いたします。この次は質疑を終つて討論にはいりたいと思いますから、どうか御用意をお願いいたします。次會は明後二十四日午前十時より開會いたします。
午後四時五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212856X00319470322&spkNum=77
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