1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年二月二十一日(金曜日)
午後一時四十四分開議
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議事日程 第七號
昭和二十二年二月二十一日
午後一時開議
一 國務大臣の演説に對する質疑 (前會の續)
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第一 國会法案(大野伴睦君外十九名提出) 第一讀會
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〔朗讀を省略した報告〕
一、昨二十日吉田内閣總理大臣から次の通り政府委員を仰せつけられた旨の通牒を受領した。
外務事務官 太田一郎
同 大野勝己
第九十二囘帝國議會外務省所管事務政府委員
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〔議長山崎猛君副議長井上知治君を演壇に伴う〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=0
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001・山崎猛
○議長(山崎猛君) 本日本院副議長に勅任せられました井上知治君を御紹介いたします。
〔拍 手〕
〔議長山崎猛君議長席に著く〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=1
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002・井上知治
○井上知治君 諸君、私は不敏の身をもつて本院副議長の大任を拜命いたしました。この光榮こそは、ひとえに諸君の御推薦によるのでありまして、衷心感謝の念にたえません。一たび重職を拜しました上は、ただただ全力をあげて最も忠實公平に職務を全ういたしたい覺悟でございます。しかもみずからを顧みましても淺學菲才、殊に議院の典令に暗く、今後この重責を果すためには、ぜひとも皆樣方の御支援にまたなければならない次第でございます。この際一層の御指導と御鞭撻を賜わりたく、切望にたえない次第であります。ここに謹んで御挨拶を申し上げた次第でございます。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=2
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003・山崎猛
○議長(山崎猛君) 前副議長木村小左衞門君より、在職中の御挨拶を述べたいとのことであります。木村小左衞門君。
〔木村小左衞門君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=3
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004・木村小左衞門
○木村小左衞門君 不肖はからずもこのたび農林大臣を拜命いたしましたにつきまして、直ちに辭表を提出し、二月十五日をもつて御聽許を賜わりましたのでございます。
顧みまするのに、昨年五月諸君の御推擧のもとに副議長の榮職を汚すこととなりましてから今日まで、きわめて短期間ではありましたが、しかも戰後國事多端の際、この重責を大過なく果し得ましたるは、ひとえに諸君の御同情と御支援の賜であつたのでございます。ここに謹んで謝意を表する次第であります。微力ではありまするが、再建途上の難局に處して最善を盡し、もつて諸君の御期待に副わんことを期しております。何とぞこの上ながら一層の御鞭撻と御支援を賜わりまするよう切望いたすのであります。これをもつて御挨拶といたします。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=4
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005・山崎猛
○議長(山崎猛君) 副議長竝びに前副議長に對し、年長者より祝辭及び謝辭があります。菅又薫君。
〔菅又薫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=5
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006・菅又薫
○菅又薫君 僣越ながら年長のゆえをもつて、議員一同を代表いたし、副議長、前副議長に對し祝辭竝びに謝辭を申し述べたいと存じます。
本日、本院一致の推薦より井上君が副議長に勅任せられました。御承知の通り井上君は、人格識見ともにすぐれた方であり、副議長の大任を託すべき適任者たることを確信するのであります。願わくば折角御自愛御健鬪あらんことを切望する次第であります。ここに謹んで御祝辭を申し上げます。
なお前副議長木村小左衞門君は、このたび農林大臣御就任のため衆議院副議長の職を辭されたるにつき、ただいま丁重なる御挨拶に接し、はなはだ恐縮に存じます。御在職中は、終戰後の重要議會に際し、精勵よくその職責を全うせられましたことは、私ども一同の感謝にたえないところであります。民主日本の基礎はいよいよ固きを加えつつある今日ではありまするが、しかも再建の前途はなお多難と申すべく、國家のためますます御奮鬪あらんことをお願い申し上げます。
以上簡單ながら、副議長に對し私ども一同衷心の祝意を表するとともに、前副議長に對し謝意を表する次第でございます。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=6
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007・山崎猛
○議長(山崎猛君) これより會議を開きます。日程第一、國会法案の第一讀會を開きます。趣旨辯明を許します。山口喜久一郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=7
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008・会議録情報2
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第一 國会法案(大野伴睦君外十九名提出) 第一讀會(確定議)
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國会法案
國会法
第一章 國会の召集及び開会式
第一條 國会の召集詔書は、集会の期日を定めて、これを公布する。
常会の召集詔書は、少くとも二十日前にこれを公布しなければならない。
臨時会及び特別会(憲法第五十四條により召集された國会をいう)の召集詔書の公布は、前項によることを要しない。
第二條 常会は、毎年十二月上旬にこれを召集する。但し、その会期中に議員の任期が満限に達しないようにこれを召集しなければならない。
第三條 臨時会の召集の決定を要求するには、いずれかの議院の総議員の四分の一以上の議員が連名で、議長を経由して内閣に要求書を提出しなければならない。
第四條 参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、集会の期日を定めて、参議院議長にこれを請求しなければならない。
第五條 議員は、召集詔書に指定された期日に、各議院に集会しなければならない。
第六條 各議院において、召集の当日に議長若しくは副議長がないとき、又は議長及び副議長が共にないときは、その選挙を行わなければならない。
第七條 議長及び副議長が選挙されるまでは、事務総長が、議長の職 第八條 國会の開会式は、会期の始めにこれを行う。
第九條 開会式においては、衆議院議長が、議長の職務を行う。
衆議院議長に事故があるときは、参議院議長が、議長の職務を行う。
第二章 國会の会期及び休会
第十條 常会の会期は、百五十日間とする。
第十一條 臨時会及び特別会の会期は、両議院一致の議決で、これを定める。
第十二條 國会の会期は、両議院一致の議決で、これを延長することができる。
第十三條 前二條の場合において、両議院一致の議決に至らないときは、衆議院の議決したところによる。
第十四條 國会の会期は、召集の当日からこれを起算する。
第十五條 國会の休会は、両議院一致の議決を必要とする。
各議院は、七日以内においてその院の休会を議決することができる。
各議院は、議長において緊急の必要があると認めたとき、又は総議員の四分の一以上の議員から要求があつたときは、國会の休会中又はその院の休会中でも会議を開くことができる。
第三章 役員及び経費
第十六條 各議院の役員は、左の通りとする。
一 議長
二 副議長
三 仮議長
四 常任委員長
五 事務総長
第十七條 各議院の議長及び副議長は、各各一人とする。
第十八條 各議院の議長及び副議長の任期は、各各議員としての任期による。
第十九條 各議院の議長は、その議院の秩序を保持し、議事を整理し、議院の事務を監督し、議院を代表する。
第二十條 議長は、委員会に出席し発言することができる。
第二十一條 各議院において、議長に事故があるとき又は議長が欠けたときは、副議長が、議長の職務を行う。
第二十二條 各議院において、議長及び副議長に共に事故があるときは、仮議長を選挙し議長の職務を行わせる。
議院は、仮議長の選任を議長に委任することができる。
第二十三條 各議院において、議長若しくは副議長が欠けたとき、又は議長及び副議長が共に欠けたときは、直ちにその選挙を行う。
第二十四條 仮議長の選挙の場合及び前條の選挙において議長の職務を行う者がない場合には、事務総長が、議長の職務を行う。
第二十五條 常任委員長は、各議院において各各その常任委員の中からこれを選挙する。
第二十六條 各議院に、事務総長一人、参事その他必要な職員を置く。
第二十七條 事務総長は、各議院において國会議員以外の者からこれを選挙する。
参事その他の職員は、事務総長が、議長の同意を得てこれを任免する。
第二十八條 事務総長は、議長の監督の下に、議院の事務を統理し、公文に署名する。
参事は、事務総長の命を受け事務を掌理する。
第二十九條 事務総長に事故があるとき又は事務総長が欠けたときは、その予め指定する参事が、事務総長の職務を行う。
第三十條 役員は、議院の許可を得て辞任することができる。但し、閉会中は、議長において役員の辞任を許可することができる。
第三十一條 役員は、官吏と兼ねることができない。
第三十二條 両議院の経費は、独立して、國の予算にこれを計上しなければならない。
前項の経費中には、予備金を設けることを要する。
第四章 議員
第三十三條 各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。
第三十四條 参議院の緊急集会中、参議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、参議院の許諾がなければ逮捕されない。
参議院の緊急集会前に逮捕された参議院の議員は、参議院の要求があれば、緊急集会中これを釈放しなければならない。
第三十五條 議員は、一般官吏の最高の給料額より少くない歳費を受ける。
第三十六條 議員は、別に定めるところにより、退職金を受けることができる。
第三十七條 議員は、別に定める規則に從い、会期中及び公務のため自由に國有鉄道に乘車することができる。
第三十八條 議員は、会期中公の書類を郵送し及び公の性質を有する通信をなすため、別に定めるところにより手当を受ける。
第三十九條 議員は、その任期中別に法律で定めた場合を除いては、官吏又は地方公共團体の吏員となることができない。
議員は、その任期中内閣行政各部における各種の委員、顧問、嘱託その他これに準ずる職務に就くことができない。但し、法律で定めた場合又は國会の議決に基く場合は、この限りでない。
第五章 委員及び委員会
第四十條 各議院の委員は、常任委員及び特別委員とする。
第四十一條 常任委員は、会期の始めに議院において選任し、議員の任期中その任にあるものとする。
議員は、少くとも一箇の常任委員となる。但し、同時に三箇を超える常任委員となることができない。
第四十二條 各議院の常任委員会は、左の通りとし、その部門に属する議案、請願、陳情書その他を審査する。
一 外務委員会
二 治安及び地方制度委員会
三 國土計画委員会
四 司法委員会
五 文教委員会
六 文化委員会
七 厚生委員会
八 労働委員会
九 農林委員会
十 水産委員会
十一 商業委員会
十二 鉱工業委員会
十三 電氣委員会
十四 運輸及び交通委員会
十五 通信委員会
十六 財政及び金融委員会
十七 予算委員会
十八 決算委員会
十九 議院運営委員会
二十 図書館運営委員会
二十一 懲罰委員会
各議院において必要と認めたときは、前項各号以外の常任委員会を設けることができる。
第四十三條 各常任委員会には、少くとも二人の國会議員でない專門の知識を有する職員(これを專門的職員という)及び書記を常置する。但し、議院において不必要と認めたものについては、この限りでない。
專門的職員は、相当額の報酬を受け、他の職務を兼ねることができない。
專門的職員は、その職を辞した後二年間は、内閣行政各部における、いかなる職務にも就くことができない。
第四十四條 各議院の常任委員会は、他の議院の常任委員会と協議して合同審査会を開くことができる。
第四十五條 特別委員は、常任委員会の所管に属しない特定の事件を審査するため、議院において選任し、その委員会に付託された事件が、その院で議決されるまでその任にあるものとする。
特別委員長は、その委員がこれを互選する。
第四十六條 常任委員及び特別委員は、各派の所属議員数の比率により、これを各派に割当て選任する。
第四十七條 常任委員会及び特別委員会は、会期中に限り付託された事件を審査する。
常任委員会及び特別委員会は、各議院の議決で特に付託された事件については、閉会中もなお、これを審査することができる。
第四十八條 委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持する。
第四十九條 委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
第五十條 委員会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
第五十一條 委員会は、一般的関心及び目的を有する重要な案件について、公聽会を開き、眞に利害関係を有する者又は学識経驗者等から意見を聽くことができる。
予算及び重要な歳入法案については、前項の公聽会を開かなければならない。
第五十二條 委員会は、議員の外、委員長の許可を得た者が、これを傍聽することができる。但し、その委員会の決議により祕密会とすることができる。
委員長は、秩序保持のため、傍聽人の退場を命ずることができる。
第五十三條 委員長は、委員会の経過及び結果を議院に報告しなければならない。
第五十四條 委員会において廃棄された少数意見は、委員長の報告に次いで少数意見者がこれを議院に報告することができる。
議長は、少数意見の報告につき時間を制限することができる。
少数意見者が簡明な少数意見の報告書を議長に提出したときは、委員会の報告書と共にこれを会議録に掲載する。
第六章 会議
第五十五條 各議院の議長は、議事日程を定め、予めこれを議院に報告する。
第五十六條 すべて議員は、議案を発議することができる。
議案が発議又は提出されたときは、議長は、これを適当の委員会に付託し、その審査を経て会議に付する。但し、特に緊急を要するものは、議院の議決で委員会の審査を省略することができる。
委員会において、議院の会議に付するを要しないと決定した議案は、これを会議に付さない。但し、委員会の決定の日から休会中の期間を除いて七日以内に議員二十人以上の要求があるものは、これを会議に付さなければならない。
前項但書の要求がないときは、その議案は廃案となる。
第五十七條 議案に対する修正の動議を議題とするには、二十人以上の賛成を要する。
第五十八條 内閣は、一の議院に議案を提出したときは、予備審査のため、その翌日以後他の議院に同一の案を送付しなければならない。
第五十九條 内閣が、各議院の会議又は委員会において議題となつた議案を修正し又は撤回するには、その院の承諾を要する。
第六十條 各議院が提出した議案については、その委員長(その代理者を含む)又は発議者は、他の議院において、提案の理由を説明することができる。
第六十一條 各議院の議長は、質疑、討論その他の発言につき、特に議院の議決があつた場合を除いて、時間を制限することができる。
議員が時間制限のため発言を終らなかつた部分につき特に議院の議決があつた場合を除いては、議長の認める範囲内において、これを会議録に掲載する。
第六十二條 各議院の会議は、議長又は議員十人以上の発議により、出席議員の三分の二以上の議決があつたときは、公開を停めることができる。
第六十三條 祕密会議の記録中、特に祕密を要するものとその院において議決した部分は、これを公表しないことができる。
第六十四條 内閣は、内閣総理大臣が欠けたとき、又は辞表を提出したときは、直ちにその旨を両議院に通知しなければならない。
第六十五條 両議院の議決を要する議案について、最後の議決があつた場合、及び衆議院の議決が國会の議決となつた場合には、衆議院議長から、その公布を要するものは、これを内閣を経由して奏上し、その他のものは、これを内閣に送付する。
内閣総理大臣の指名については、衆議院議長から、内閣を経由してこれを奏上する。
第六十六條 法律は、奏上の日から三十日以内にこれを公布しなければならない。
第六十七條 一の地方公共團體のみに適用される特別法については、國会において最後の可決があつた場合は、別に法律で定めるところにより、その地方公共團体の住民の投票に付し、その過半数の同意を得たときに、さきの國会の議決が、確定して法律となる。
第六十八條 会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない。
第七章 國務大臣及び政府委員
第六十九條 内閣は、國会において國務大臣を補佐するため、両議院の議長の承認を得て政府委員を任命することができる。
第七十條 國務大臣及び政府委員が、議院の会議又は委員会において発言しようとするときは、議長又は委員長に通告しなければならない。
第七十一條 委員会は、議長を経由して國務大臣及び政府委員の出席を求めることができる。
第七十二條 委員会は、議長を経由して会計檢査院の長及び檢査官の出席説明を求めることができる。
第七十三條 議院の会議及び委員会に関する報告は、議員に配付すると同時に、これを國務大臣及び政府委員に送付する。
第八章 質問及び自由討議
第七十四條 各議院の議員が、内閣に質問しようとするときは、議長の承認を要する。
質問は、簡明な主意書を作り、これを議長に提出しなければならない。
議長の承認しなかつた質問について、その議員から異議の申立があつたときは、議長は、これを承認するかどうかを議院に諮らなければならない。
議長又は議院の承認しなかつた質問について、その議員から要求があつたときは、議長は、その主意書を会議録に掲載する。
第七十五條 議長又は議院の承認した質問については、議長がその主意書を内閣に轉送する。
内閣は、質問主意書を受け取つた日から七日以内に答弁をしなければならない。その期間内に答弁をしないときは、理由を明示することを要する。
第七十六條 質問が、緊急を要するときは、議院の議決により口頭で質問することができる。
第七十七條 質問に対する内閣の答弁に関し、議員の動議により、討論又は表決に付することができる。
第七十八條 各議院は、國政に関し議員に自由討議の機会を與えるため、少くとも、二週間に一囘その会議を開くことを要する。
自由討議の問題につき、議員の動議により、議院の表決に付することができる。
自由討議における発言の時間は、特に議院の議決があつた場合を除いては、議長がこれを定める。
第九章 請願
第七十九條 各議院に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。
第八十條 請願は、各議院において委員会の審査を経た後これを議決する。
委員会において、議院の会議に付するを要しないと決定した請願は、これを会議に付さない。但し、議員二十人以上の要求があるものは、これを会議に付さなければならない。
第八十一條 各議院において採択した請願で、内閣において措置するを適当と認めたものはこれを内閣に送付する。
内閣は、前項の請願の処理の経過を毎年議院に報告しなければならない。
第八十二條 各議院は、各別に請願を受け互に干預しない。
第十章 兩議院関係
第八十三條 國会の議決を要する議案を甲議院において可決し、又は修正したときは、これを乙議院に送付し、否決したときは、その旨を乙議院に通知する。
乙議院において甲議院の送付案に同意し、又はこれを否決したときは、その旨を甲議院に通知する。
乙議院において甲議院の送付案を修正したときは、これを甲議院に回付する。
甲議院において乙議院の回付案に同意し、又は同意しなかつたときは、その旨を乙議院に通知する。
第八十四條 法律案について、衆議院において参議院の回付案に同意しなかつたとき、又は参議院において衆議院の送付案を否決し及び衆議院の回付案に同意しなかつたときは、衆議院は、兩院協議会を求めることができる。
第八十五條 予算及び衆議院先議の條約について、衆議院において参議院回付案に同意しなかつたとき、又は参議院において衆議院の送付案を否決したときは、衆議院は、兩院協議会を求めなければならない。
参議院先議の條約について、参議院において衆議院の回付案に同意しなかつたとき、又は衆議院において参議院の送付案を否決したときは、参議院は、兩院協議会を求めなければならない。
第八十六條 各議院において、内閣総理大臣の指名を議決したときは、これを他の議院に通知する。
内閣総理大臣の指名について、兩議院の議決が一致しないときは、参議院は、兩院協議会を求めなければならない。
第八十七條 前三條に規定したものを除いて、國会の議決を要する事件について、後議の議院が先議の議院の議決に同意しないときは、先議の議院は、両院協議会を求めることができる。
第八十八條 一の議院から両院協議会を求められたときは、他の議院は、これを拒むことができない。
第八十九條 両院協議会は、各議院において選挙された各各十人の委員でこれを組織する。
第九十條 両院協議会の議長には、各議院の協議委員において夫々互選された議長が、毎会更代してこれに当る。その初会の議長は、くじでこれを定める。
第九十一條 両院協議会は、各議院の協議委員の各各三分の二以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
第九十二條 両院協議会においては、その意見が一致したときに限り成案を議決する。
両院協議会の議事は、前項の場合を除いては、出席協議委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第九十三條 両院協議会の成案は、両院協議会を求めた議院において先ずこれを議し、他の議院にこれを送付する。
成案については、更に修正することができない。
第九十四條 両院協議会において、成案を得なかつたときは、各議院の協議委員議長は、各各その旨を議院に報告しなければならない。
第九十五條 各議院の議長は、両院協議会に出席して意見を述べることができる。
第九十六條 両院協議会は、國務大臣及び政府委員の出席を要求することができる。
第九十七條 両院協議会は、傍聽を許さない。
第九十八條 この法律に定めるものの外、両院協議会に関する規程は、両議院の議決によりこれを定める。
第十一章 両院法規委員会
第九十九條 両院法規委員会は、両議院及び内閣に対し、新立法の提案並びに現行の法律及び政令に関して勧告し、且つ、國会関係法規を調査研究して、両議院に対し、その改正につき勧告する。
第百條 両院法規委員会は、衆議院から選挙された十人の委員及び参議院から選挙された五人の委員でこれを組織し、その委員長は、委員会でこれを互選する。
委員の任期は、議員としての任期による。
第百一條 両院法規委員会は、両議院において特に議決のない限り閉会中は、これを開くことができない。
第百二條 両院法規委員会に関するその他の規定は、両議院の議決によりこれを定める。
第十二章 議院と國民及び官廳との関係
第百三條 各議院は、審査又は調査のため、議員を派遣することができる。
第百四條 各議院から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに應じなければならない。
第百五條 内閣及び各省は、その刊行物を國会図書館に送付しなければならない。
図書館運営委員会において必要と認めたものについては、内閣及び各省をしてこれを各議員に配付させることができる。
第百六條 各議院は、議案その他の審査又は國政に関する調査のため、証人の出頭を求めたときは、別に定めるところにより旅費及び日当を支給する。
第十三章 辞職、退職、補欠及び資格爭訟
第百七條 各議院は、その議員の辞職を許可することができる。但し、閉会中は、議長においてこれを許可することができる。
第百八條 各議院の議員が、他の議院の議員となり、又は法律により議員たることのできない職務に任ぜられたときは、退職者となる。
第百九條 各議院の議員が、法律に定めた被選の資格を失つたときは、退職者となる。
第百十條 各議院の議員に欠員が生じたときは、その院の議長は、内務大臣に通知しなければならない。
第百十一條 各議院において、その議員の資格につき爭訟があるときは、委員会の審査を経た後これを議決する。
前項の爭訟は、その院の議員から文書でこれを議長に提起しなければならない。
第百十二條 資格爭訟を提起された議員は、二人以内の弁護人を依頼することができる。
前項の弁護人の中一人の費用は、國費でこれを支弁する。
第百十三條 議員は、その資格のないことが証明されるまで、議院において議員としての地位及び権能を失わない。但し、自己の資格爭訟に関する会議において弁明はできるが、その表決に加わることができない。
第十四章 紀律及び警察
第百十四條 國会の会期中各議院の紀律を保持するため、内部警察の権は、この法律及び各議院の定める規則に從い、議長が、これを行う。
参議院の緊急集会中は、前項の規定を準用する。
第百十五條 各議院において、必要とする警察官吏は、議長の要求により内閣がこれを派出し、議長の指揮を受ける。
第百十六條 会議中議員がこの法律又は議事規則に違いその他議場の秩序をみだし又は議院の品位を傷けるときは、議長は、これを警戒し、又は制止し、又は発言を取り消させる。命に從わないときは、議長は、当日の会議を終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。
第百十七條 議長は、議場を整理し難いときは、休憩を宣告し、又は散会することができる。
第百十八條 傍聽人が議場の妨害をするときは、議長は、これを退場させ、必要な場合は、これを警察官廳に引渡すことができる。
傍聽席が騷がしいときは、議長は、すべての傍聽人を退場させることができる。
第百十九條 各議院において、無礼の言を用い、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。
第百二十條 議院の会議又は委員会において、侮辱を被つた議員は、これを議院に訴えて処分を求めることができる。
第十五章 懲罰
第百二十一條 各議院において懲罰事犯があるときは、議長は、先ずこれを懲罰委員会に付し審査させ、議院の議を経てこれを宣告する。
委員会において懲罰事犯があるときは、委員長は、これを議長に報告し処分を求めなければならない。
議員は、二十人以上の賛成で懲罰の動議を提出することができる。この動議は、事犯があつた日から三日以内にこれを提出しなければならない。
第百二十二條 懲罰は、左の通りとする。
一 公開議場における戒告
二 公開議場における陳謝
三 一定期間の登院停止
四 除名
第百二十三條 両議院は、除名された議員で再び当選した者を拒むことができない。
第百二十四條 議員が正当な理由がなくて召集日から七日以内に召集に應じないため、又は正当な理由がなくて会議又は委員会に欠席したため、若しくは請暇の期限を過ぎたため、議長が、特に招状を発し、その招状を受け取つた日から七日以内に、なお、故なく出席しない者は、議長が、これを懲罰委員会に付する。
第十六章 彈劾裁判所
第百二十五條 裁判官の彈劾は、各議院においてその議員の中から選挙された同数の裁判員で組織する彈劾裁判所がこれを行う。
彈劾裁判所の裁判長は、裁判員がこれを互選する。
第百二十六條 裁判官の罷免の訴追は、衆議院においてその議員の中から選挙された訴追委員で組織する訴追委員会がこれを行う。
訴追委員会の委員長は、その委員がこれを互選する。
第百二十七條 彈劾裁判所の裁判員は、同時に訴追委員となることができない。
第百二十八條 各議院において裁判員を選挙する際及び衆議院において訴追委員を選挙する際、その予備員を選挙する。
第百二十九條 この法律に定めるものの外、彈劾裁判所及び訴追委員会に関する事項は、別に法律でこれを定める。
第十七章 國会図書館及び議員会館
第百三十條 議員の調査研究に資するため、國会に國会図書館を置く。
國会図書館は、一般にこれを利用させることができる。
第百三十一條 議員の法制に関する立案に資するため、各議院に法制部を置く。
第百三十二條 議員の職務遂行の便に供するため、議員会館を設け事務室を提供し、及び各議員に一人の事務補助員を付する。
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
議院法は、これを廃止する。
この法律施行の際現に在職する衆議院の議長及び副議長は、この法律により衆議院の議長及び副議長が選挙されるまで、その地位にあるものとする。
この法律施行の際現に在職する衆議院及び貴族院の書記官長は、この法律により衆議院及び参議院の事務総長が選挙されるまで、夫々事務総長としての地位にあるものとする。
参議院成立当初における参議院の会議その他の手続及び内部の規律に関しては、参議院において規則を定めるまでは、衆議院規則の例による。
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〔山口喜久一郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=8
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009・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 ただいま議題となりました國会法案について、各派を代表して、簡單にこれが提案の理由を説明申し上げます。
本年五月新たなる憲法の實施に伴いまして、わが帝國議會は國會となり、國會は國權の最高機關となるのでありまするが、現行議院法では、その運用の全きを期することは不可能であります。從いましてここに新たに國會法を制定して、その運營の完璧を期しようとするのであります。この意味において、衆議院では各派合同の法規委員會を設け、國會法案の内容について、あらゆる角度から愼重に檢討を重ねた結果、ただいま上程されたる成案を得て、これを昨年の第九十一囘議會に提出し、本院においては滿場一致をもつて通過を見た次第でありました。だがたまたま貴族院におきまして審査未了に終りましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。
本日再び本法案を提出するにあたり、詳細にその理由及び案の内容を説明するのが順序ではありまするが、本法案の内容は、前述のごとく、前議會のものと全然同一でありまして、既にその際趣旨辯明に立たれたる田中萬逸君より、詳細に提案理由の説明をなされ、その後國會法案委員長たる井上知治君からも、委員長報告にあたり、その内容については委曲を盡されたことでもありまするので、ここにあらためてこれが説明を繰返すことの煩を省略して、第九十一囘議會に提出せる原案を、そのまま再び提出する次第であります。何とぞ前囘通り、滿場一致をもつて速やかに可決あらんことを希望する次第でございます。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=9
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010・椎熊三郎
○椎熊三郎君 本案は第二、第三讀會の順序を省略して議決せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=10
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011・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=11
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012・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて本案は第二、第三讀會の順序を省略することに決しました。
採決いたします。本案に贊成の諸君の起立を求めます。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=12
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013・山崎猛
○議長(山崎猛君) 起立總員。よつて本案は全會一致可決されました。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=13
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014・山崎猛
○議長(山崎猛君) 内閣總理大臣より、昨日の笹森順造君の質疑に對し、この際答辯したいとのことであります。内閣總理大臣吉田茂君。
〔國務大臣吉田茂君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=14
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015・吉田茂
○國務大臣(吉田茂君) 笹森順造君の質疑に對してお答えをいたします。御質問の趣意は、擧國一致態勢に關する國民的意識の高揚に關する總理としての所信いかんということと承知いたしますが、政府においては、機會あるごとに御趣意同樣の趣意をもつて、擧國態勢の整備と國民各自の奮起を祈念いたしております次第でありますが、議員各位におかれても、國民あげて今後いよいよ擧國態勢、再建の運動が強力にあらゆる職域を通じて盛り上るよう、御協力を願いたいと考えております。
行政官廳の民主化についてのお尋ねでありますが、政府は行政官廳の民主化については特に注意をいたしまして、目下具體案を研究中であります。まず官廳機構の問題、給與の問題、行政運用の方式の問題等、多方面にわたり根本的改革を考えておる次第であります。やがて成案を得ましたならば、議會の審議を請う次第でありますが、御趣意に副うて、政府は既に相當の措置をいたしおるわけでございます。
第三、講和條約締結の時期近しというが、國内態勢を整え、そのためにいかなる準備があるかという御質問のようでありますが、講和條約についてわが國として用意いたすべきことは、この演壇において私がしばしば申し述べておりますが、要するにまずこの日本國が、平和的、民主的の線に沿うて再建せられるということが第一であると考えるのであります。また平和國家として、世界の一員として、十分に列國に日本國の眞價を認めらるるように、また連合國の信頼し得る國である、資格をもつておるということが十分に認められることが第一であると考えて、その方面に向つて政府はあらゆる準備をいたしておるものでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=15
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016・山崎猛
○議長(山崎猛君) 國務大臣の演説に對する質疑を繼續いたします。農林大臣はやむをえない要務のため退席せられました。御諒承を願います。冨吉榮二君
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國務大臣の演説に對する質疑(前會の續)
〔冨吉榮二君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=16
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017・冨吉榮二
○冨吉榮二君 私は日本社會黨を代表いたしまして、先日行われた總理大臣の施政演説に關し、御質疑をいたさんとするものでありまするが、既に水谷、佐竹の兩君から、財政、經濟、勞働、産業諸般の問題にわたりまして、微に入り細をうがつた御質問がなされ、これに對する當局の御答辯がありましたので、私はただ、政府が昨年の十一月四日に御發表になりました六大政策のうちの、憲法精神の普及徹底という問題の線に沿うてのお尋ねをいたしたいと思うものであります。
お尋ねにはいります前に一言いたしたいことは、先日來の御答辯を承りますると、いささかまじめを缺くの感なきを得ないのであります。(拍手)殊に石橋大藏大臣の御答辯のごときは、いささかそのまじめさの點において、首肯しがたき點があることを遺憾といたします。(拍手)自由黨の領袖としての御議論ならば首肯されますけれども、いやしくも國務大臣として、この壇上において一蹴するというような態度は、殊に民主主義をその國是とせられるところの、またその段階におけるところの政府としては、どうかと思われるのでございまして、この點何とぞ政府の深甚なる御勘考を煩わし、御反省を請う次第であります。
まず今日の段階における民主革命の進行について、政府の所信を承りたい。要するに今までの軍閥、財閥、官僚、そうした一部の特權的な支配から脱して、國民大衆の全體の責任において行われるのが、私は民主政治の方式であると、こう理解いたしておるのであります。はたしてしからば、いわゆる民主政治の方式は、強權の政治でなく、彈壓の方式でなく、あくまで納得ずくでなされなければならないと思うのであります。この納得ずくでなす場合に、たれが一體納得させる側に立ち、たれが納得させられる側に立つかと申すならば、政府は納得させる側であり、國民大衆は納得する側でございまするが、この國民大衆の中核をなすものは、言うまでもなく一般勤勞大衆であると思うのであります。こう考えてまいりますると、結局この政治の成功は、勤勞大衆を納得させるか納得させないかで勝負がきまる、こう私は考える。
この政府も、つとに勤勞大衆の協力を求め、石炭の増産にしろ、鋼鐵の増産にしろ、たはまた農業生産の面におきましても、この勤勞大衆に呼びかけて、その協力を求められております。ところが、これらの大衆が、はなはだお氣の毒ながら、あまり納得いたしておらないのであります。組織勞働者、農民はもちろんのこと、あるいは引揚者にいたしましても、戰災者にいたしましても、またその他の中小工業者というような者のうちにも、特に卑俗な言葉で申し上げますると、やみ屋を除く以外のまじめな業者たちは、あまりにこの政府の政策に對して納得しておらないように私は見受けます。(拍手)
すなわち今日の場合は、まじめな者がばかを見て、不まじめな、ずるいやつが確かに得をするというようなことは、國民一般の常識となつておると思うのであります。從いまして道義は頽廢いたしまして、官紀も遺憾ながら紊亂いたしてまいつておるのであります。これらが生産の問題、インフレの問題等と絡み合いまして、今日言われるところの民族危機を生んでおると私どもは思うのであります。これは政府がその納得せしむる力がないのか、あるいはその方策に誤りがあるのかということに歸着すると思うのでありまするが、私どもの見るところによりますると、この政府は常に國民大衆にお呼びかけになり、また勤勞大衆の協力をお求めになりますけれども、私をして言わしむれば、どうも時代の感覺が違つておるように思うのであります。
もとより吉田總理にいたしましても、幣原國務大臣にいたしましても、かつての時代ではまことに立派な指導者であられました。かつて軍閥の行いました戰爭に對して、御協力もなさらなかつた、信念をもつて戰い拔かれた、わが國明治外交のチヤンピオンであつた、そういふ點に對しては十分敬意を表するのであります。しかし遺憾ながら、お氣の毒ながら、もう時代が過ぎておる。いわゆるひたむきに上向線をたどつた日本資本主義の中に成長し、呼吸し、そうしてそれを身につけたものが、その前時代的觀念であり、生活感情であると私は考える。(拍手)
ここはきわめてデリケートな問題で、なるほど民主主義だ、あるいは納得の政治だというようなことは、一應理窟の上ではわかるが、どうもそれが板につかない。(「本論にはいれ」と呼ぶ者あり)本論であります。しかも御兩氏を初め、閣僚各位におかれましては、いわゆる前時代において政治的、經濟的、社會的優位の地位に立たれておりまするので、今日日本再建の中堅勢力たるべき勤勞大衆とは、血のつながりをお感じにならない。從つて勤勞大衆の側からいたしましても、どうしてもわれわれの大臣、われわれの指導者という感じにならないという點が、私は根本的な問題であると考えるのであります。(拍手)不用意に――決して私は心から信じてお出しになつたとは思わぬが、あるいは不逞のやからだとか、あるいは勞働爭議ははしかだとかいうような言葉が出るのは、多年の習性が遂にそういう言葉を發せしめるのであつて、何もこれは意識的ではないが、無意識の間に出て來るということそれ自體が、政府の國民を納得せしめないことと非常に重大な關係を持つて來ると思うのであります。(拍手)
勞働對策にいたしましても、これは民主主義の憲法の精神を論じておるのであります。憲法とはただ文學の學問ではありません。勞働對策におきましても、民主主義がどうの、勞働行政がどうのと、口先にはおつしやつておりまするけれども、一たび勞働者が結束いたしましてストライキを起すなどという事態に當面いたしますると、あたかも獸醫學博士が、動物學は詳しいけれども、猛牛の前には何らのなすことを知らないと同樣に、愕然として色を失うというがごときは、この現れであります。(拍手)
インフレーシヨンの問題にいたしましても――私は石橋さんは尊敬する方でありまして、かくすれば勞働大衆は困る、國民大衆の生活が困るということはよく御存じだと思う。御存じである石橋さんが、このインフレを止められない。かくするればかくなるものとは知りながら、やむにやまれぬ石橋財政(笑聲)というお立場は、個人としてはまことに御同情に値するのでありますけれども、遺憾ながら‥‥‥。
〔發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=17
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018・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=18
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019・冨吉榮二
○冨吉榮二君(續) しかもみづからは、その五百圓のわくにも、あるいは物價騰貴にもお苦しみにならない立場にあり、また金融資本の面から、あるいはその他の面からの進言があれば、因縁淺からぬ方面等の進言があれば、なかなかそういう思い切つたこともおできにならないのが眞情であろうと、私はお察し申し上げておるのであります。(拍手)こういう立場から、國民は信頼をなし得るものではないと考えるのであります。
この議會に、昨日でありましたか、一昨日でありましたか、河合厚生大臣は、私の考えておる勞働對策は、社會黨の政策とまつたく同一であるとおつしやいました、これは見ようによつては、わが黨の勞働政策に屈服せられたと見るべきでありますが、しかしそれはお言葉の上ではそうおつしやいましても、やられることは一向どうも違つておるのであります。やはり立場の相違はいかんともしがたい。おおいがたいものがある。從つてこれに對する信頼感がわいて來ないのであります。
インフレーシヨンの問題でありまするが、先刻もある座談會の放送を聽いておりますと、ああまた石橋さんか、それでは今度薪をどうしても買いこんでおかないとまた値が上ると、ある女中さんが言つたことがある。(笑聲)かくのごときは、諸君は笑われるけれども、これが國民の眞情である。われわれはとにかく石橋財政が少しずつ變革されつつあることは理解いたしております。しかしながら石橋さんがおやりになることは、もう物價騰貴をするんだと、國民がさういうふうに思い込んでおるから、笛を吹けども國民が踊らないという結果になつて、ここに一切合財の政策の行詰りが現われて來るというふうに私は考えておるのであります。(拍手)
從いまして勤勞大衆といえども――私はここに勤勞大衆の立場を申し上げますが、今日の窮状は、決して現内閣の政策の貧困のみではございません。長い間ばかな戰爭をやつた結果がこうなつておるのでありまするから、この事情を國民に訴えて、そうして國民とともに苦しむという態勢ができてまいりまするならば、たれかこの内閣に協力しない者がありましようか。常にそういうことをされ得ないという點に、私は政治が振興しない缺陷があると思う。それは要するに吉田さんやその他の方々が、お氣の毒ながら、もはやこの新しき時代の指導者としての感覺をお缺きになつておるということを、はつきり申し上げなければならないのであります。
そこで私は、國家の財政に關しても、その他の面におきましても、もうここまでやつてまいりましたら、一日も早くおやめになつた方がいいのではないか。現在の政治の現状に對して、もはや指導的立場を失われた政府として、御退陣になつた方がよくはないかと考えるのであるが、政府はかかるところから、いわゆる今日の危機が參つておるということをお感じにならないかどうか。この點についてお尋ねいたしたい。
次に第二の問題といたしまして、私は豫算についてお尋ねをいたしたいのであります。第一點として、政府は昭和二十二年度の豫算案を一體いつごろ御提出になる見込みでありますか。既に今期議會は、諸君御承知のごとく、二十五日間遲れて開會されておるのであります。既に三十數日を閲しておるのでありまするが、未だに豫算が出てまいりません。二月の十四日に、政府は會計法第七條の特例に關する法律案を御提出になりました。議院ではいろいろの議論もございましたが、まつたく異例中の異例として、これに協贊を與えて、その法律案が成立いたしましたために、政府が今日まで豫算案を提出しなかつたことの理由は、既に一應認められて、そして合法化されたのでありまするが、これによつて、政府は今日まで未だ豫算案をお出しになつておりません。一體これはいつ頃お出しになる見込みでありまするかということを、まずお尋ねしたいのであります。
次は現行の議院法によりまするというと、第四十條に、衆議院におきましても、貴族院におきましても、おのおの二十一日間の審議期間が與えられてあるのであります。(發言する者多し)與えられております。そういたしますと、もしこの豫算案が提出されなかつたことになりまして、眞にこの法律通りにわれわれが規定を活用いたしますると、いきおいこの會期だけでは足りない。そういたしますると、當然會期は延長されなければならぬことに相なります。しかるに一方政府は參議院議員選擧、衆議院議員選擧の日どりも既に御決定になつておるようでありますけれども、それとの關連をどうお取扱いになるつもりでありまするか。このお尋ねであります。
次は、諸君御承知の通り、第九十一議會におきましても、政府は會期半ばにして豫算をお出しになつた。そしてまた現在までほとんど法律案が出てまいつておりません。これらに關しましても、政府は常に關係方面ということを仰せになります。これは私ども一應了承いたします。しかしながら私はここに考える。この關係方面と言われるが、私が思い出しますることは、かつていわゆる軍閥の走狗となつた官僚が、軍が承知しない、軍が軍がと言つたことを思い出して、まことに私は遺憾に思うのであります。もとより占領下におきまする今日、關係方面の諒解がなければならぬことぐらいは、私淺學なりといえども心得ております。(發言する者多し)しかしながらこのことは豫定されることでございます。およそ審査の期間を豫定して、早目に審査をお願いいたされましたならば、決して議會提出がかくも遲れることはなかつたと確信するものであります。(拍手)もし豫期せざる結果によつて遲れるといたしまするならば、それは政府の豫算技術の問題でございまして、あえてわれわれが負ふべき責任ではございません。從いまして私どもは、この豫期せざる結果になるとするならば、政府の豫算編成方針が、從來のいわゆるブルジヨア的、資本家的豫算編成方針であるということを言わざるを得ないのであります。(拍手)現に第九十議會におきまして、いわゆる軍需補償打切りに關する九法案のごときも、實に會期ほとんど切迫いたしましてから提出されたのでありますが、その内容を承りますならば、いわゆる關係方面との諒解は、資本家を擁護せんとするその點が引かかつて、遂に長引いたのであります。ここにおいていわゆる政府は、この議會の審議權というものをいかにお考えになるか。この審議權を尊重されるか。この點についてお尋ねをいたしたいのであります。
次は第三の點において、私は官吏制度の問題についてお尋ねをいたすのであります。政府は、いわゆる新しき憲法のもとにおいて公務員法を制定して、もつて官吏制度を改革するということを御發表になつておりましたが、最近傳えられるところによりますると、いわゆる官吏法と公吏法とを別々にお出しになるというお話でありまするが、その構想はいかなるものであるか、承りたいのであります。私どもの考えるところによりますと、從來のいわゆる官吏は、天皇陛下の官吏である。民主憲法のもとにおいては、諸君御承知のごとく、いわゆる國民の公僕としての立場をとられておる。從いまして、制度の上においても非常なる改革が加えられなければならぬことは、言うまでもございません。むしろ今日の官吏は、いわゆる明治憲法によつて規定されたもので、その中で呼吸し、生成發展してまいつたのでありまするが、封建時代の武家階級が、あるいは軍人となり、官吏となりました關係から、それらの思想が受け繼がれ、日本においては官尊民卑の弊風が非常に濃厚であつたのであります。從いましてこの官吏の間には、權力の濫用であるとか、人權蹂躙であるとかいうがごとき事柄がきわめて多く繰り返されておつたのでありまして、殊に戰爭中のごときは、いわゆる統制組合、あるいは統制會社、營團等の間に、醜聞も幾多あり、官紀の紊亂その極に達せりとまで言はれたのであります。敗戰後におきましては、ようやく立ち直るかと見えましたけれども、またしてもこの虚脱状態の中においては、あるいは放出物資をめぐり、あるいはやみの問題等の間に、いろいろなる事柄が國民の間に噂されつつありますることは、まことに遺憾でございます。從いまして政府はこれに對して徹底的な再教育を施さなければならぬと思うのでありますが、それに對する政府の御所見はいかがでありまするか。
しかしながら私はここにおいて申し上げたいことは、官吏という範疇の中における下級官吏の問題でございます。これらの下級官吏は、今日まで生活にあえいで、そうしていわゆる役得もなく、特權もなく、彼らは苦しみ續けてまいつております。官公勞の諸君がストライキを行いまするその裏には、その方式は別といたしまして、同情にたえないものがあるのでありまするが、政府はこれらに對していかなるお考えをおもちであるか、この點承りたいのであります。
次は官吏の追放の問題でございまして、これに對しては、昨日笹森順造君からお尋ねがありましたが、結論だけを申し上げまするならば、今日の官吏の追放は、きわめてその範圍が小範圍に限定されておるように思えるのであります。これにいま少しく嚴重にいたし、しかも範圍を擴大する必要ありと思うが、政府はそれに對してどうお考えになるか。なぜその小範圍でいいか。われわれの納得のいく御説明を願いたいのであります。
次はいわゆる恩給制度をいかにお取扱いになるか。私どもの考えるところによりますと、恩給制度は一種の特權的なものであり、また一面から言えば、非常に封建的な性質をもつておるものと思うのであります。從いまして私は率直に申し上げれば、恩給制度は廢止すべきものなりと確信するものであります。理由については深く申し上げません。しこうしてこれは國民年金制もしくは養老年金制なるものをもつてかゆべきであると思うか、政府はこれをいかにお考えになるか。(拍手)
さらにここにお尋ねいたしたいことは、技術官吏の問題でありまするが、從來わが國の官吏制度は、いわゆる法文系統を重視いたしまして、技術官吏というものをきわめて虐待いたしておつたのであります。(拍手)わが國で今日の科學の劣勢ということが叫ばれまするのも、かかる政府の指導方針によるものであると思いますが、この技術官吏の差別待遇を撤廢し、むしろこれを優遇することこそ私はこの際必要であると思うが、政府のこれに對する意見いかん。(拍手)
さらにこの問題についてもう一つお尋ねいたしたいことは、適所適材主義をどういうふうにするかという問題であります。日本の官吏制度は、官等により、俸給によつてその地位が定められてありまするので、いかに適材であり適任であつても、出世をせしむるためには、どうしても他に轉任させなければならないという状態にあるのであります。從いまして、ここに八箇月、あそこに十箇月、ここに一年、ここに半年という工合に轉々として、ほとんど何ら實際の仕事をやらずに、盲判をついてまわつておるというのが、從來の官吏でございます。
外交官等におきましても、私は上海等で承つたのでありますが、英國の總領事のごときは、四十箇年も支那の總領事として上海に赴任しております。從いまして、支那の財政、經濟はもちろんのこと、支那の大官、財閥、それらの一切の事柄に關しても、きわめて精通いたしておりまするが、わが國の總領事は、あそこに三箇月、ここに五箇月と、英語もろくすつぽ知らなければ、支那語もろくに知らない。何語も知らない。そうしてただダンスくらいを知つておるという状態である。これでは眞に總領事としての仕事はできない。わが國の官吏は、いたずらに出世主義によつて指導されてきておるので、適材適所主義ではありません。これらの問題に關して、政府當局はこれをいかに改めんとするか、この點を私はお尋ねしたいのであります。
次に私は、科學教育に關する第四番目のお尋ねをいたしたいのでありますが、科學教育に對する指導理念いかんというのであります。もちろんこの科學教育というのは、一朝にしてなるものではないのでございまして、古くやはり國民性との關係もありまするし、またいろいろな構想を描きましても、財政經濟との問題もございまするので、ただこれを短日月の間に仕上げるということはできないのでございまするが、しかし、およそ文教の府に立たれる者は、この教育方針についてお考えを願わなければならないと思うのであります。
わが國の文化は、佛教あるいは儒教の影響を受けました關係で、非常に觀念的で、そうして實體を入れず、形式主義になつておると私は考えるのであります。從いまして非科學――科學性に缺けておると思うのであります。言葉の遊戯が多くて、内容がない。こういう状態でございます。そのために、科學するということがなかなか困難な状態なのであります。しかしながら日本國民の素質、必ずしも歐米先進國の民族に比して、本質的に劣つておるものではないと私は考えるのである。指導よろしきを得るならば、必ずや立派な科學者となる。日本の新しき文化國家の裏づけは、科學でなければならぬ。この科學の推進者として世界に貢獻し得る素質は、十分に私はもつものなりと確信するが、政府はこれに對していかなる御所見――殊に新しい文相はいかなる御見解をおもちになるのでありまするか。
このわが國の非科學性は、既に今日言われておるところであり、そうして科學の劣勢も、まことに諸君御承知の通りであります。あれほど必勝不敗の信念をもつて戰つたところの戰爭も、遂に原子爆彈と竹槍という、きわめて皮肉なコントラストの終末をなし、われわれは悲劇の主人公として立つたのでありまするから、この科學のことについては、身をもつて皆さん御關心がおありと思うのでありまするが、政府においては、この科學の劣勢を――從來の軍國主義的な推進力としての科學にあらずして、世界平和に貢獻するところの文化國家の裏づけとしての科學を、いかに御推進なさる御方針でありまするか、この點についての文相の抱負を承りたいと思うのであります。
第五問といたしまして、私は農村の問題をただ一つだけお尋ねいたしたいと思うのである。諸君御承知の通り、第九十議會におきまして、第二次農地制度改正法が決定いたされまして、現在その進行の途上にあるのであります。これはすなわち農地改正と自作農創設特別措置法との二つからなるのでありまするが、私どもがその際にも指摘いたしましたごとく、一町歩の地主を殘し、全國に六十萬戸の地主を殘すことのために、農村の勤勞農民が二つに分裂するということは、最も重大なる點として考えるのであります。何も地主を憎んで、地主から取上げるというのではありません。そうでなしに、眞に日本農村の將來を考えるならば、農民の協力一致がなければならぬ。この勤勞農民が、このことによつて分裂するといいまするのは、土地を得たるところの農民と、土地を得ざるところの農民と二つに分裂するのである。しかもこれは技術的に申し上げましても、農地委員會と地主或は小作、得る小作と得ざる小作の間をめぐつて、種種なるトラブルが起つてまいりますることは、現在の事實がこれを説明しておるのである。從いまして私はこの際政府は百尺竿頭一歩を進めて、第三次農地制度改革法案を議會に提出し、もつて勤勉なる勤勞農民の意欲を増進するということに努むべきであると思うが、それに對する政府の御所信いかんということを伺ひたい。
なおこの問題に關連いたしまして、政府は地主に對する報償金として、二十億を御計上になつております。これは一面からいうと、まことに温情あるやり方でありまするが、この點からいうならば、今日わが國の經濟状態、財政状態から考えてみて、私はいかがかと思うのでありまして、ここに勇斷をもつてこの報償金制度を撤廢して、しかして健全なる農村の發展を期する上において、ぜひとも第三次農地改革を斷行すべきであると思うが、今日は農林大臣御缺席でありまするが、後刻これに對しまして御答辯が願いたいと思うのであります。私は以上をもつて私の質問を終ることにいたします。(拍手)
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=19
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020・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) ただいまの御質問に對して、私に關係いたします分だけお答えいたします。私に直接お尋ねのことは、豫算の提出時期の問題と存じます。これは大體御承知のごとき理由によりまして、豫算の提出が遲れておりますが、もう間もなく整理ができまして、御審議を煩わし得ると考えております。豫算の審議期間等の問題につきましては、なお豫算が提出されました際に十分お打合わせし、また御諒承を得たいと考えておる次第であります。さように御承知を御願いいたします。(拍手)
〔國務大臣高橋誠一郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=20
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021・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 私に對しまする御質問は、科學教育に關するものと心得ます。わが國民の非科學性を改めまするがためには、國民の科學的精神を啓發し、培養することが最も肝要であります。そしてしかもこの科學的精神は、人格の根底に培い、自然及び人文兩科學にわたりまして、調和的な發達をなさしめなければならぬものであると考えます。文部省に科學教育振興會委員會を設置いたしまして、科學的精神の涵養につきましていろいろと具體的に研究しており、またこれに基きまして、種々實施に移しておるのであります。
次に、國民學校などにおける科學教育につきましては、新しい學科課程及び、教科書を作成いたしまして、兒童の科學教育の振興をはかり、また教員の再教育に努め、府縣に科學研究會を設置するなど、教員の指導力、研究心の高揚をはかりまするとともに、兒童、生徒の合理的、實證的精神を涵養すべく、大いに努力いたしておる次第であります。これまでややともいたしますると、科學的研究が、政策的目的のために、殊に誤られたる政策的目的のために使われることが甚だ多かつたのでありまするが、われわれは科學的精神にまず徹しまして、自然的及び社會的現象の間に通ずるところの、不變の法則を求めますることをもつて、第一義としなければならぬと考えるのでございます。(拍手)
〔國務大臣金森徳次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=21
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022・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) ただいま御質疑になりました中におきまして、官吏の制度及び公吏の制度に關係いたしまする點について、一應のお答えを申し上げたいと存じます。
御説のごとき官公吏に關しまする考えは、今囘の憲法の改正によりまして、相當根本的に變化を生じておるわけでありますがゆえに、官公吏に關しましては、制度の面におきましても、實際の運用の面におきましても、十分なる考察を加えなければならぬと存じておる次第であります。そこで官吏につきましては、從來の研究の道程を申しますると、官吏法を起案いたしまして、議會の協贊を仰ぎたいようなつもりでおりましたけれども、なお十分研究を要する點もありまするので、おそらく次の國會になりましてから提出するような運びになろうかと、現在のところでは考えております。また公吏につきましては、現在内務省で必要なる法律を研究せられておりまするので、漸次その結果が現われて來ることと考えております。
なお官吏の追放とか、恩給制度とか、官吏の異動の頻繁を抑制するとかいう、各方面のことについてお尋ねになりましたが、官吏全般につきましても、この公職に適格であるかどうかという點は、漸次解決せられていくものと存じております。恩給制度につきましても、今後これは十分研究をしなければならない問題でありまするし、官吏の異動の頻繁を避けるということは、お説の通りあるべきはずのものと考えております。
これらの官吏制度等につきましては、現に内閣に特別なる調査部門をおきまして、未だかつて類のない程度に、詳細にして眞面目なる研究を果しまして、適當な時期に御滿足を得るような運びになることと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=22
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023・冨吉榮二
○冨吉榮二君 簡單でありますから、自席からお許しを願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=23
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024・山崎猛
○議長(山崎猛君) 許可いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=24
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025・冨吉榮二
○冨吉榮二君 總理大臣の御所見を伺つたのに對して御答辯になりませんし、さらに石橋藏相の審議權そのものに對する御答辯が漏れております。技術官吏の優遇の問題、差別待遇撤廢の問題に對しての御答辯、それらについてさらにお伺いいたしたいと思います。
〔國務大臣吉田茂君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=25
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026・吉田茂
○國務大臣(吉田茂君) 冨吉君にお答えをいたします。私に關してのお尋ねは、現内閣の性格及び私に對する御批評であつて、御批評は御自由であり、私としては辯明をいたすことはあえて差控えます。(拍手)
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=26
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027・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 重ねてのお言葉でありますから、お答えいたします。議會の審議權を尊重することは、これは言うまでもございません。(拍手)
〔國務大臣金森徳次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=27
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028・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) ただいまお尋ねの中で、十分聽き取りにくかつたために、お答えが要領を得ないかもしれませんが、技術官吏を優遇するというような御趣旨であつたかのように存じております。一體技術官吏であるか、事務官吏であるかというような點につきまして、優遇論の起ることそれ自身が筋違いでありまして、すべて平等なる立場において取扱わるべきものと存じております。今までの扱い及び制度におきまして、さような點において不平等がありますならば、これは根本的に是正すべきものと考えております。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=28
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029・山崎猛
○議長(山崎猛君) 福田繁芳君
(福田繁芳君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=29
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030・福田繁芳
○福田繁芳君 私は無所屬倶樂部を代表いたしまして、過ぐる十四日本會議において行われましたる吉田總理大臣の施政の方針に關し、いささか御質問を申し上げたいと思うのでございます。もつとも過日來より承りますのに、各黨の同僚諸君から非常に御熱心に、かつまた廣範圍にわたつての御質疑がありましたので、私が伺わんとするところは大半重複のきらいがありますので、一切さような點は省略いたしまして、今なお國民といたしまして總理に質さんとしても質すことができず、聽かんとしても聽くことのできないところの數點を、無所屬倶樂部の立場をもちまして、大胆率直に、かつ簡單に伺いたいと思うのでございます。(拍手)さようでございまするから、吉田總理はじめ關係大臣ともに、その點よく御了承なさつて、なるべく親切丁寧に御囘答願いたいと思います。
まず私は吉田首相に對しまして、立憲政治に關する信念について伺いたいと存じ上げます。吉田總理は、新憲法に一貫した民主的政治體制に則りまして、内閣制を運用する決定をもつことは、これは當然でございます。また議會の内外におきまして、議會と政黨とを尊重するとしばしば言明されておりまするが、その總理の口にせられまする立憲的精神と、實際の結果に現われまするその事實とが、はたして一致しておると思召しなさつておられますか、この點を伺いたいと思うのでございます。
一般世間では、吉田内閣を官僚内閣だと申されております。殊に與黨のうちにおきましても、御承知のように白晝公々然とかような批評がございます。これを吉田總理は何と思召しでございましようか。なるほど詳細に檢討してみますると、現内閣の閣僚には、國民の投票によりまして議席をもつ大臣は、六名にしか過ぎないのでございます。總理大臣と各省大臣とを合わせて、十二の席がございます。無任所大臣が四名でございますから、今かりに兼任の地位を補充するといたしますれば、十六の席になるのでございます。このうちわずかの六名が、國民の投票によつて議席をもつに過ぎないのでございます。もし改正憲法が今日實施せられるといたしました場合には、この内閣はすぐにでも首のすげかえを行わなければならない、いわゆる月足らずの内閣でございます。(拍手)かような變態内閣をつくつて、國民代表の衆議院からわずか六名の閣僚を入れて、政黨内閣だと言われてみたり、あるいはまた政黨と議會を尊重しているということをしばしば放送されておりまするが、もしさようでございますれば、はたして一體官僚内閣というのは、どういうものを指すのでございましよう。この點はつきり私は伺いたいと存じ上げます。
吉田首相は、國民を基盤とするところの政治とは、いかなる型をとるものと考えておられまするか。また國民の投票、内閣の組織の場合には、その國民投票を考慮する必要がないと思召しなさつておられまするか。要約いたしますれば、現政府の性格が、立憲政治の一つのひな型として、改正憲法の精神に副うておると存じておられまするか。はつきり、僞らないところのお考えを承りたいのでございます。
次にお伺いいたしたいのは、吉田總理は、國民の信頼がなくても、政府はその地位に立ち得ると考えておられまするか。もう一度繰返して申し上げますが、國民の信頼がなくてでも、政府はその地位に立ち續け得るとお考えになつておるか、この點でございます。御承知の通り、吉田内閣が組織せられましたのは、それは吉田總理が昨年自由黨に入婿として迎えられ、第一黨の總裁に就任せられた、それがためでございます。しかし吉田總理は、今日まで九箇月の施政の結果を見まするのに、その政治的の手腕というものは、既に試驗濟みの方でございます。おそらくその間善政を布かれたこともあろうと存じ上げます。それは過日與黨の方からいろいろ申されましたから、私は省略して論及いたしません。しかしながら過去二箇月の政治の實績を見ますれば、吉田總理の政治的の感覺がどういうものであるか、あるいはまた政治的の識見がどの程度であるかということは、一目瞭然わかると考えるのでございます。
一昨日、昨日來、本會議で問題になりましたところのあの連立工作のごときは、どうでありましよう、おそらく吉田總理としては、全知全能力を傾注して、大いに熱情を傾けたことと存ずるのでございます。ちようど一月の上旬から四十日間、わが國三府四十三縣ともに、全國津々浦々に至るまで、その當時、かのゼネストのために國民は不安と焦燥に驅られておりまするその最中に、一度ならばこそ、二度、三度を通り越して、四たびまでも連立工作に夢中になつたことは、御承知の通りであります。その結果がどうかと申しますれば、これまた御承知の通り、もののみごとに失敗しておられます。
それのみならず、かの教授グループとやらいうものに、非常に熱をあげられまして、あらゆる手段をもつて追いまわされたそうでございますが、これも不幸にして、今なお一人もつかまつていないような状態でございます。そうして遂に大改造を行いまして、できましたのがこの現内閣でございます。從つて現在の内閣は、無所屬倶樂部の私をもつて公平に率直に言わしたならば、これは超然内閣でもなければ、あるいは政黨内閣でもない。動物で例をとつて申しますると、くだんかあるいはぬえみたようなものであろうと存じます。
それだけならばまだよろしゆうございまするが、實際自由黨の總裁たる現總理は、昨年四月の總選擧に、自由黨が天下に約束した政綱政策、これをはたして御承知であるだろうかと私は考えるのでございます。もつとも婿養子であるから、養父の約束は知らぬ、かように仰せられるかもしれませんが、もしさようでございますれば、總選擧當時の約束手形を出してごらんくだされば、はつきりこの點はわかるのでございます。おそらくあなたが組閣いたしまして以來というものは、あの總選擧のときに自由黨が國民に約束した政策は、一つも實現していないであろうと私は信じます。(拍手)
諸君、こういうところの政治家、つまり不渡手形を出した政府を、國民に向つて信頼せよと求めるのは、はたして普通の心臟をもつておりまする者のうかがい知り、割り切れる問題でございましようか。あるいはまたうそをつく政府を信用しないと國民が言つたら、それは無理だとお考えになることができましようか。この點をはつきり私は吉田總理に伺いたい。
今一度繰返して申しまするならば、總理大臣は、國民の信頼なくとも政府はその地位に立ち得るとお思いになられますか。この點を併せて明らかに御囘答願いたいと思うのでございます。吉田總理に對してもう少し御質問いたしたいと思いまするが、時間の都合上なるべく二、三十分でやめてもらいたいというお話がございましたので、この點は省略いたしまして、ほかの問題に移つてみたいと存じます。
政府は、過ぐる昨年の第九十議會におきまして、敗戰日本の再建は産業復興以外に方法はない、産業の再建は、目睫に迫つておるところの生産の増強をはかるよりほかに方法はない、こういうところの觀點から、御承知の臨時物資需給調整法、あるいはまた商工協同組合法、あるいは復興金融金庫法、こういうところの經濟法案を相當上程されたのでございます。私初め同僚諸君も、その通り一刻も早く生産増強をはかり、いわゆる産業の再建を求め得たいために、すべての經濟法案は通過いたしたのでございます。それ以來既に六箇月あるいは七箇月經過いたしておりまするが、はたしてこれら法案の所期の目的がどの程度産業に貢獻したか。言いかえれば、かような産業法案によつて、わが國唯一の産業機構でありまするところの中小商工業者、こういうものをどれだけの恩惠に浴せしめることができたか。あるいはまた物の調整、資金の潤澤なる運轉、こういうことによりまして、どれだけ生産の増強をはかり、産業の再建をはかることができたかということを、これまたはつきりと明示してもらいたいと思うのでございます。
次に當面の問題として二、三觸れてみたいと存ずるのでございますが、産業の復興の重點であるという立場から、過日來石炭問題とか、肥料あるいは米麥問題に對しては、相當各位から論議されましたけれども、産業の再建、食糧問題の解決、これに對する必須の物資でありまするところのあの鹽、あるいわまた生ゴム、こういうような問題に對して、どなたも觸れておりませんことを、非常に私遺憾に存じますので、これらについて、これまた當局に質してみたいと考えるのでございます。
まず第一に取上げたいのは、生ゴムの問題でございます。生ゴムと申しますると簡單でございますが、目下政府の致命傷となつておりますところの石炭問題、石炭の増産、あるいは石炭の輸送の確保、あるいは食糧問題、これらを解決づけんといたしますれば、どうしてもこの問題を解決づけなくてはいけないのでございます。
〔議長退席、副議長著席〕
その生ゴムは、御承知のように、わが國何處へ行つても一本の木もないという状態で、いわゆる輸入にまたなければいけないのでございます。今度の商工大臣の石井さんのお國は、地下には石炭がごつそりあるといいますけれども、おそらくゴムの木は一本もありません。どうしても外國から輸入を仰がなければいけない。
こういう點において、昨年の春以來連合國に對し懇請しておりましたが、聞くところによりますれば、昨年の暮れに約四千トンの生ゴムの輸入が許可されて、目下わが國の港灣に入港しておると承つております。これは非常に御同慶至極の話でございます。しかしながらせつかく許可になりましたこの四千トンでは、おそらく二十一年度の第四半期と申しまして、今年の三月までしか賄えないのでございます。本年の四月からは、全然このゴムに對するところの見透しはないのでございます。これに對しましても、政府は連合國にいかなる方針をもつて懇請されておるか。その四月から後を賄うところの生ゴムの輸入の見透しは、どういう状態であるのかということを、明示してもらいたいのでございます。
次に伺いたいのは、いまの鹽でございます。簡單にかいつまんで申し上げまするが、殊に石橋大藏大臣にはつきりお答え願いたいのでございますが、政府はわが國の專賣製鹽業に對しまして、いかなる方針をおもちになつておられるか。伺うところによりますれば、わが國の專賣製鹽業というものは、今までとり來つた方法と相當方針をかえるかに承つておるのでありまするが、はたしてそれは事實でございますか。根本的の方針を御明示願いたいと思うのでございます。併せて自給製鹽もその通り、これは大藏大臣からはつきりと承りたいと存じ上げます。
次にもう一點當面の問題として伺いたいのは、政府が過日發表しましたる石炭の重點産業割當に關しまして、どうしたことか、この石炭をば生命としておりまする製鹽業者の部門を打切つておられます。何かの間違いかと存じますが、どういう根據で、石炭を唯一の生命といたしまする製鹽業者の部門を打切つたか、その根據、もし間違いであつたといたしまするならば、再びこれを復活する方針はないか。あるとするならば復活する時期いかん。これを明確に、今後のわが國産業再建のためにぜひとも承りたいと存ずるのでございます。
次にこれは同一人でありますが、仕事が違いますので、石橋經濟安定本部長官に伺いたいのでありまするが、最近の經濟安定本部の趨勢をみまするときに、わが國經濟が必要といたしまする原料というものは、諸外國より仰がなければならない、輸入にまたなければならない、だから統制はやめることはできない、こういうことを言つておられます。いわゆる自由經濟を目標として示しておられるが、すると自由經濟というものは、いかなる環境のもとに可能でありまするか。言いかえますれば、諸外國からの原料の輸入なくしてもやつていけるとでも言うのでありましようか。いわゆる統制というものと自由經濟というものの觀點に立ちまして、長い目で見たところの日本經濟の動向あるいは過程における經濟の設計、こういう點につきまして、經濟安定本部長官として、御方針を明示されたいと思うのでございます。これも、わが國唯一の再建方法でありまする産業再建のためには、ぜひとも一つの避雷針となるのでございますから、明らかに明示されたいと考えます。
次に厚生大臣にごく簡單に伺いたいと思うのでございまするが、最近の官公廳中心のゼネストが、自主的に解決し得なくして、いわゆる自主的な解決に到來し得なかつたということは、國民ひとしく遺憾千萬に存じております。勞働運動の激化はさりながら、政府の經濟政策、なかんずく物價政策が、根本の失敗の原因になつておるのではなかろうかとかように考えまするが、厚生大臣のお考えいかん。
次に、日々の生活の不安の増大しておりまする今日、現政府がとつておりまするような、のんきなるところの物價政策を行つておりましては、社會不安はますますその止まるところを知らなくして、勞働運動も激化せざるを得ないと私は考えるのでございます。それで勞働對策と經濟政策との關係について、厚生大臣の施策竝びに所見を承りたいと存じ上げます。
最後に一言文部大臣に伺いたいのでございまするが、文部大臣は、承りますれば、民主主義文部行政に非常に御精通されておるようであります。なお昨日、笹森君も質問の時に申されておりましたように、いわゆる文部行政を民主化する意味合いにおきまして、相當決意あるかのごとくに承つております。非常に結構とは存じまするが、そういう立場において、私はごく簡單に一、二の項目にわたつて、箇條的に御質問いたしまするから、お答え願いたいと考えます。
文部大臣も御承知の通り、教育豫算は、全體豫算に比べましてその比率がはなはだ惡いのでございます。教職員の待遇問題は別の機會に論ずることといたしましても、教育施設費のごときは、おそらく皆無にひとしいのでございます。かような状態をもちまして、はたして文化國家として重要視するところの教育を、いかにお取扱いになられようとなさつておられまするか。なお時局の懇請にこたえる研究所、あるいは公民教育施設、あるいは國民學校教育施設、こういうものをいかなる方法をもつて充實されようとなさいまするか、これを腹藏なく承りたいと思います。
なほまた例の高等文官試驗――御承知のやうに今まで官吏の養成機關であるかのごときそしりを受けましたが、この高等文官試驗に對しましても、民主主義的に、根本的に改革して、そうしてほんとうに民主主義的な官吏、いわゆる一般國民の善良なる公僕たる官吏、これをつくるところの制度に改革する意思があるかないか、これを承りたいと思います。
同時に、最後に一點文部大臣に、現在までの文部行政は、御承知の通り官立一點張りでまいつたのでございまするが、今後は民主主義的文部行政を發揮する意味合いにおきまして、官公私立のすべての待遇の差別を撤廢するというところの御意思があるかないか。あれば具體的にお示し願いたい、かように考えるのであります。
以上申し上げましたことを、吉田總理大臣初め、各大臣から親切丁寧にお答えあらんことをお願いいたします。(拍手)
〔國務大臣吉田茂君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=30
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031・吉田茂
○國務大臣(吉田茂君) 福田君にお答えをいたします。現内閣の閣僚が政黨に屬するものは六人に過ぎないと言わるるが、これは何かの誤りであると思います。現在大部分の閣僚は、衆議院もしくは貴族院のいづれかに議席をもつておるものであり、また現に兩院に議席がない者も、政黨には現に所屬しており、もしくはまた近く所屬することになつております。すなわちこの内閣といたしましては、政黨を尊重し、議院を尊重するものであります。
また第二の質問は、私の政治手腕についての批評であるが、御批評に對しては、あえて私から辯護のことはいたしませんが、しかしながら現内閣に對する國民の信頼なしと言わるるならば、これに對しては一應の抗辯をせざるを得ない。この内閣は自由、進歩の兩黨の上に立つておるのであつて、この兩黨は議會において多數を占めておるからであります。(拍手)この政黨に立つておる内閣が國民の輿望なしとは、私は考えないのであります。(拍手)
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=31
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032・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 私に對するお尋ねは、鹽の問題が一つでありますが、これは御承知のように、日本の製鹽は、原價から申しますと相當高いものではありますが、しかし今日日本政府でやつておりますこの專賣製鹽、その程度のものは、ぜひとも國内でもつてこれを維持しなければならないと考えております。また原價の問題も、將來はどうかはわかりませんが、現在におきましては、輸入鹽は必ずしも安いとも斷定はできないのであります。最近の震災等でもつて大分被害がありましたが、これをぜひとも復舊して維持いたしたいと考えております。さらに戰時以來できました自給製鹽の問題は、御承知のようなわけでありまして、そのうちには相當整理をいたさなければならぬ部分が生じましたことは、はなはだ遺憾であります。その善後處置については、なお萬全を期したいと考えておる次第であります。
それから安定本部長官として答えろというお尋ねの問題は、今後の日本經濟は自由主義で行くのか、それとも統制經濟で行くのかというようなお尋ねかと拜聽しましたが、これは原則としては自由主義で行くことに考えております。しかしながら言うまでもなく當面において、しからば全部のものが自由に解除できるかと申しますと、そうはまいりませんので、統制いたすべきものは、先般總理の演説中にもありましたごとく、十分に強くこれをする。また必要がなく、あるいは弊害があるというようなものは、これを解除していきたいと考えておる次第であります。將來長い計畫といたしましては、これまた各個人の自由の力の發揮を根本といたしまして、國家全體としては、ある程度の計畫のもとに、各個人の自由の活動が十二分に行われるようにいたしていく、かようなことが大體の方針と考えておる次第であります。(拍手)
〔國務大臣河合良成君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=32
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033・河合良成
○國務大臣(河合良成君) ただいま福田君から、勞働政策と經濟政策との關連についての所見を述べろという御質問でありましたが、これはたびたび申します通り、この勞働問題は、民主主義の展開という一つの太い線と、生活不安という一つの大きな事實と、この二つの交錯の上に立つた問題であるということは、私の考えであります。それでその生活不安の問題は、言うまでもなく經濟問題でありまして、そうしてその經濟問題のあらゆる面について、政府は最善の努力をいたしつつある。また將來もいたす考えであります。たとえば賃金の調整のごとき、あるいはインフレ防止のごとき、特にこの點につきましては、國家財政のバランスをとつて、そうしてぐつとこれで締めていくという信念をもつておる次第であります。また増産の問題、この點も石炭を中心にしまして、鐵、肥料その他について全力を注いでおることは、御存じの通りであります。なおまた配給の問題――賃金を餘計もらつても、食う物が十分來なくては困るじやないかということは、これは重大の問題でありまして、遲配を皆なくするとか、あるいは魚その他の配給について根本的に考えるということを、政府は全力を注いでやつております。そういう風にすべて經濟政策を根本的にぐつとやつて、それで勞働問題の解決の根底をつくつていくという信念でおります。
〔國務大臣高橋誠一郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=33
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034・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 御質問にお答えいたします。まことに文部省といたしましては、なすべきの事業はなはだ多く、これに供しますところの豫算のはなはだ少いことに惱まされておるのでありまするが、われわれといたしましては、最善の努力を拂いまして、朝に一人を説き、夕にまた一人を説くというような努力を重ねまして、次第に各方面の御理解、御支援を得ることになりまして、やや前途に光明を認めることができるようになり、著々としてその考えておるところのものを實行に移すことができるように相なつたと、ひそかに喜んでおる次第でございます。
〔副議長退席、議長著席〕
なおまた私學の問題、官私の差別撤廢についてでございまするが、教育制度の上から、本質的に官私の待遇の差別があつてはならぬということは、申し上げるまでもないところであります。文部省といたしましては、むろんかくのごとき差別を設けるという考えは毛頭もつておらぬのであります、ただわが國の教育事情におきましては特に、官學偏重に傾き、私學彈壓を行つた時代すら存じておるのでありまするが、これは今日におきましては、既に昔のことでありまして、少くとも現在の文部省におきましては、かくのごとき考えをいささかももつておるものではないのであります。私學におきましても、その内容を充實し、高き學風を養いまするならば、おのずから社會の尊敬というものがこれに加わりまして、官學以下にこれを見るというようなことはないようになると考えておるのであります。物は賣られ得るだけに値する價値あるものでありまするならば、やがてこれが認められるときが來るのではないかと考えておるのであります。今日までは、私學は彈壓によりまして、その健全なる發達を害せられておつたことがあつたのでありますが、かくのごとき彈壓が排されまするならば、私學は自然にその發達を遂げ得るものであると考えておるのであります。
なお高等試驗制度に關しましては、所管以外と考えまするので、國務相あるいは法制局長官から御説明あることと考えまするが、この點におきましても、私一箇の考えから申しまするならば、試驗委員の人選のごときに當りましても、あまりに官學の教授諸君を多くあげることを止めていただきまして、この點において官私平等の實があげられんことを、私一箇といたしましては希望しておる次第でございます。
〔國務大臣金森徳次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=34
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035・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 福田君から高等試驗制度についての御質疑がありましたが、内閣の所管でありまするがゆえに、私からお答え申し上げます。高等試驗がある意味におきまして、いわゆる官僚の牙城であるという非難を受けましたことは、一理あると考えております。しかしながら試驗制度は漸次改正せられまして、今日におきましては、さような弊害はほとんどなきに近いと存じております。しかしながら民主政治を徹底化いたしまするためには、官吏の任用についての一番根本でありますところのこの試驗制度につきましては、根本的な檢討を加えなければならぬことは當然でありまして、ただいま内閣の行政調査部におきまして研究をいたしておりまして、要するにどうしても官吏には資格をはつきり見定める手段がない限りは、かえつて情實因縁によつて人事が左右さるる恐れがありまするので、かような認定方法はやむをえぬと思いますけれども、しかしその科目とか方法とかいうところは、絶對に公平なる民主的な方法によらなければならぬのでありまして、その線に沿つて研究いたしておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=35
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036・山崎猛
○議長(山崎猛君) 商工大臣は關係方面との打合せのため出席されておりませんから、適當の機會に答辯を願うことにいたします。福田君よろしうございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=36
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037・福田繁芳
○福田繁芳君 いずれ豫算會議で、また今日の御答辯の足りないところは求めたいと思います。本日は結構でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=37
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038・山崎猛
○議長(山崎猛君) 野坂參三君。
〔野坂參三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=38
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039・野坂參三
○野坂參三君 議長、内閣總理大臣と大藏大臣はお見えになりませんか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=39
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040・山崎猛
○議長(山崎猛君) 内閣總理大臣はやむをえざる要務のため退席せられました。御諒解を願います。大藏大臣には直ちに出席を求めます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=40
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041・野坂參三
○野坂參三君(續) 私は日本共産黨を代表しまして、總理大臣の施政方針に對する質疑を行いたいと思います。
第一に經濟問題、第二に勞働問題、第三に農民問題、この三つに、時間の都合上限る、こういうつもりであります。
まず現在の經濟危機、たれもが認めておる經濟危機、これに對する評價、これについてお聽きしたい。大藏大臣、特に總理大臣にお聽きしたい。つい數日前に新聞に載つておりますが、マツカーサー元帥政治顧問アチソン大使が發表された意見に、こういう言葉があります。「日本における切迫した絶望に近い状態を食止めるため、日本の破壞された經濟を早急に建直す必要がある。」、ここで重要なことは、しかも最も責任のある責任者が「絶望に近い状態」とこういうふうに、現在の日本の經濟状態を評價しておること、これは單にアチソン大使だけではありません。最近ポーレー氏、そのほかの責任ある外人は、大體において同樣な見解を發表しておる。絶望に近い状態と言つてゐる。しかるに總理大臣の施政方針、あれを見ても、また大藏大臣の今議會における答辯を見ても、どこにも、この絶望に近い状態を、いかにしてわれわれが克服するかという見解は少しも表われていない。今まで言つたことそのままのあの演説、あの答辯は、去年の九十議會において言つても同じことだと思う。現在のこの緊迫した状態をいかにして打開するか。これは單に何々政黨の問題ではなく、日本民族全體の問題である。この危機を切拔けるために、吉田總理大臣の施政演説、あの大藏大臣の演説、われわれ國民はまことに遺憾千萬――遺憾千萬ではない、こういうふうな内閣に、われわれ全體が絶望してゐる。(拍手)この點についていかなる見解をもたれるか。總理大臣及び大藏大臣から、ほんとうのところを私は聽きたい。國民は眞實を知ろうとしている。惡ければ惡いと言つてもらいたい。何かわからない樂觀論、これによつてもうごまかされるだけの子供では、日本の國民はなくなつている。この點について、アチソン大使のあの日本の經濟状態に對する評價、あれについて總理大理及び大藏大臣はいかにお考えになるのか。この大使の評價はあまりに誇張されたものと考えられるか。もしそうでないとするならば、これは一日、二日を爭う問題である。一體いかなる具體的の方策があるのか。眞劍に答えていただきたい。
さて經濟危機の問題について、一體この經濟危機の本質はどこにあるか。これは石橋大藏大臣が、一月二十五日の議會における財政演説の中でこう言つておられます。「戰爭と敗戰に基いて生じた經濟秩序の破壞と去脱状態、しかしてこれより生じた飢饉現象ないし恐慌現象」、つまり大藏大臣の見解によると、現在の日本の危機は、結局戰爭に負けたから、爆撃されて物が破壞されたから――これに結局歸しようとしている。つまり不可抗力の原因に、現在の状態を歸しようとしている。そうして國民的な危機とか、あるいは民族的危機とか、こういうふうな言葉を用いて、この危機の本質――すなわちこの危機の本質は、これは階級的な性質のものである。これをおおい隱して、たとえば勞働者がストライキをやるとすれば、現在の日本の國民的危機云々だから、だからこれを止めなければならない、こういうことを言つて、勞働者の食えない、自分の餓死を免れるための鬪爭を、國民的の危機とか、民族の危機とかの名前によつて、抑えつけようとする。これが現在の政府のやつておることなのである。經濟の危機というものは、こうした不可抗的な力ではない。もちろん戰爭に負けたここに重大な原因があります。しかしながら眞實の原因はそこではなくて、幣原内閣、吉田内閣のとり來つたところのあの經濟政策、具體的に言えば、すなわちインフレとやみを促進するあの經濟政策、ここに根本的な原因がある。(拍手)言葉をかえて言えば、現在のこの經濟危機は、結局階級的の原因にある。この危機は、結局資本主義制度の缺陷から生れた。資本家的な政策から生れた。これが今度の危機の根本的の原因である。(「ノーノー」)これを除かない限りは、絶對にこの危機は除くことはできない。
さて私は少しくインフレの問題にはいつてみたいと思います。このインフレというものは、御存じのように、大體において初期の間には、生産をともかくも増進する。なぜならば、これは第一囘歐洲大戰後のあのドイツの例を見てもわかるように、物價騰貴によつて勞働者の實質賃金は低下する。ここにおいて資本家階級は、この實質賃金の低下によつて、相對的な――われわれの言葉では剩餘價値、すなわちそれだけもうかる。物價は上り、貸金はそのまま、そこでもうかる。從つてこれが生産にある程度の刺戟を與える。しかしながら現在の日本は、こういう過程を通らずに、インフレの次の段階、すなわちインフレが日本の經濟を破壞するという段階に入つている。これはわれわれにとつて非常に重大な問題だと思う。どういうことかと言えば、資材と資金が生産方面に向けられるのではなくて、不生産的方面、消費の方面、これに向けられている。これがわれわれ日本人として今眞劍に考えなければならない問題である。御存じのように、去年の春から生産は上つてはいる。上つてはいるが、しかしながらこの生産はどこに上つているかといえば、決して日本經濟の再建の基礎を固めるという方向に上つていずに、ただやみ――いま目の前で金がもうかる。このやみ商品の生産が上つている。ここに重大な問題がある。で、去年からの状態を見ますと、最初の間は、ともかくも大きな企業があの敗戰のどさくさまぎれにストツクをもつておつた。しかしこの大企業は、このストツクを生産の方面に使うのではなくて、自分はただこれをもつていて、値上りを待つておつて、この値上りでもうけておつた。そして中小工業にこの物資を若干與えて、中小工業の方は、この與えられた若干の物資をもつて、ただ目の前に金になるような物資だけをつくつておつた。これが初めの段階、第二の段階としては、今言つたような大きな企業、獨占企業は、今度は自分自身でいろいろなやみの物、すぐ目の前に賣れる物をつくり始めた。だからいろいろの會社では、新圓かせぎの特殊部門、こういうものをつくり始めている。これはいろいろの例があります。これは私が言うよりも、皆さんの方がよく御存じだと思います。たとえば三井化學、ああいうふうな所で、原料の藥品をつくる代りに――それもつくつてはいますが、それよりもつとすぐ金になるところのズルチンをつくつている。こういうこともやつている。ある炭鑛では、石炭を、ただ目の前に賣れるところの瓦の生産に使つている。こういうこともある。しかしこれは物をつくつているからまだいい。しかしながらもう日本では、昨年の夏ごろから、もつと破壞的の方面に資材や資金が使われている。これは何かといえば、すなわちこうした大きな會社が、ただ享樂的な方面に金を使おうとしている。たとえば映畫館をつくるとか、ダンスホールをつくるとか、カフエーをつくるとかして、これらの新興會社には、追放組の元軍人とか、あるいは官吏なんかが結託している。いろいろの例があります。千葉縣のある製作所では、敗戰のどさくさまぎれに手に入れたジユラルミンを、今相當豪華な映畫館をつくるために使つている。また東京郊外の某大郊外電鐵では、あの破れた電車を修繕するという方面に資材と資金を使わずに、旅館をつくつておる。映畫館をつくつておる。またある電氣會社では、キヤバレーをつくつておる。そのほかあげればいくらでも例がある。こういうふうにして、今資材がない、資金がないというこの貴重な資材や資金が、實はこの方面に、つまりわれわれの生産に何らの役に立たない、しかも總理大臣が言つたように、日本の道義を頽廢させるような、こういうような方向に、實は資材と資金を使つていること、これは現實の事實です。
それから一つ重大な問題は、いかに資材が浪費されているか。この問題について、御存じの通り、モーターその他の電氣器具をつくる上に非常に貴重な硅素鋼板、あれが今やみ屋の屋根に使はれているということ。この硅素鋼板がないために、日本のモーターの製造、そのほかが非常な停滯状態にある。これがこの貴重な物が實はやみ屋の屋根に使はれてゐる。ブリキと値段が同じである。しかも輕い。これが現在の日本の支配階級のやつておること、資本家階級のやつておることだ。それで御存じのように、わが國の經濟の擴大再生産のためには、生産財生産が、消費財生産よりも急速に擴大していかなければならない。ところが消費財生産の囘復が、生産財生産の囘復を基礎とせずして、ストツクによつてやられている。從つてストツク、貴重な資材が蕩盡され、浪費されている。ことに日本經濟再建の見透しがない、絶望であるところの物質的な原因がある。どうしてもわれわれはこれを除かなければいけない。
このようにして、現在の日本では、貴重な資材、資金がやみに流れ、不生産方面に流れるというだけでなしに、勞働力自身が不生産方面に流れている。すなわち勞働者は、現在の賃金においては食えない。從つて能率が下ること。能率が下るだけではない。もうどうしても食えないから、あるいはほかでかせぐ。そうして日本では現在失業者があふれているが、しかし統計を見ると、失業者が求職者よりも少い。こういう奇現象を呈している。たとえば原綿七十萬俵というものが輸入されました。しかし紡績の方では、計畫の通り生産がはかどつていない。原綿は立ち腐れている。この理由は何かといえば、勞働力が定住しないこと。つまり安いから、田舍の娘さんはこんな所では働かない。昨年の八月の統計によりますと、勞働力の移動率が八〇%あつた。二箇月半で女工が全部代つてしまう。これではたして能率が上るだらうか。もちろん上らない。今紡績産業における生産のはかどらないことは、いろいろ原因がありますが、根本の原因はここにある。これは政府も言つておることです。だから現在の生産の破壞というものの基本的原因は、これは原材料の不足よりも、インフレによる生産破壞、ここにある。
從つてここで一言言わなければならないのは、勞働者の生活をよくすること、すなわち賃金値上の鬪爭、これが實は日本の生産を上げる第一の條件である。(笑聲)お笑いになりますが、つい最近新聞で發表された、經濟科學部工業課長のリデイという人の言つたことでありますが、こう言つています。炭鑛勞働者の衣食住を充足すれば、つまり炭鑛勞働者の生活をよくすれば、三千六百萬トンの生産も可能である。三千萬トンじやない。三千六百萬トンの生産が可能であると、こういうふうに言つている。いかに現在の生産増強の上に勞働者の生活の安定向上というものが根本原因であるかということ。これは私の口から言つてはいない。眞實を見る人は、こういう結論に達せざるを得ない。ただ日本の資本家階級のみがこれに反對する。(拍手)
さて總理大臣は施政演説の中で、政府のインフレ對策について言われております。また大久保君の質問に對する總理大臣の御答辯の中にも、現在インフレを克服する途は生産の増強であると言つている。もちろんこれは一つの眞理ですが、しかしながら今日の日本では、もう既に手後れである。生産自身がやみにまわつている。不生産方面に向けられている。現在の危機を克服するためには、この壇上でいろいろ問題になりました新圓封鎖ということもあるが、こういうことも今では意味がない。こういうものはみな小手先政策で、これで現在のインフレを克服することは絶對にできないと思う。一體どうして目前のインフレが起るかといえば、これは要するに赤字公債を中心とする厖大な擬制資本を流動化して、これによつて不換紙幣を増發すること。さらにいろいろの國際關係について、國内において不換紙幣を増發しなければならない。さらに銀行資本の不當な膨脹による不換紙幣の増發、こういういろいろな問題がありますが、これに對して斷固たるメスを入れない限りは、現在のインフレを退治することは、われわれは絶對にできないと思う。これに對して總理大臣は四つの方策をここで發表されました。第一は貯蓄増強運動、第二は財政收支の均衡、第三は産業資金の貸出の合理化、第四は監査制度、この四つの問題について、私は意見を述べてみたいし、これについてまた總理大臣、大藏大臣に御質問したいと思います。
第一の貯蓄増強運動、これは實におかしなことだ。一體今日の勤勞者に貯蓄するだけの金がありますか。もちろんない。もしこの貯蓄増強運動が將來成功するためには、配給制によつて最低の生活が保障されること、第二には人民が最低生活水準に甘んじて服從する氣持にあること、この二つの條件なしには、貯蓄運動といつたところで、これはお念佛に過ぎない。ところが現在の日本には、この二つとも條件はありません。しかも去年のあの新圓封鎖、五百圓のわくをはめること、これ自身がすなわち強制的な、強權をもつたところの貯蓄運動である。これ以上一體勤勞大衆に貯蓄しろと言つて、どこから出せるか。これは將來のインフレ對策として、ほとんど價値のないものだと思う。しかも總理大臣はこのインフレ對策を、貯蓄増強を、インフレ退治の第一の方策としてあげている。これから見ても、このインフレ對策というものが、いかに無意味なもので、效力のないものであるかということがわかると思います。
さて第二に、政府は財政收支均衝ということをあげています。この根本は、われわれが今までの政府の財政政策を見た場合、結局一言に還元することができる。すなわち勤勞人民大衆に犧牲を拂わすこと。これに財政收支の重點を置くということであります。まず支出の方面を見ます。われわれがこの財政收支の均衝を保つためには、支出の方面ではあの厖大な擬制資本、これの中心は、ここでしばしば問題になつた公債です。とくに戰時公債。これの元利を打切ることなしに、このインフレを克服することは絶對にできない。しかし大藏大臣は、もしこういうことをやれば銀行がつぶれるとか、あるいは預金者がどうだとか言いますが、この公債の九〇%は、結局金融機關かもつている。われわれはこれに預けているところの零細な預金者に對しては、保護を加える完全な政策をもつことができるし、金融機關がかりにつぶれたとしたところで、われわれは少しも心配は要らない、これらの日本の全金融機關を國有にしたらいい。そして預金者に迷惑をかけない。たれにも迷惑をかけないで濟むことができる。
また一つ問題になるのは、つい昨日の新聞を見ますと、今議會に出される豫算が――これは全部ではありませんで、一部が發表されていますが、この中を見ますと、支出の方面で、交付公債に財源を求めるものとして、金融機關に對する損失補償として百五十億圓をあげている。その次には戰時保險損失補償として二百億圓をあげている。合計して三百五十億圓があがつている。これは何か。結局戰爭中にうんともうけた、戰犯に屬するこれらの金融機關を援助すること。こういうふうな厖大な金、三百五十億。しかも大藏大臣は、繰返し繰返し官公勞働者職員のある要求に對して、もし完全に要求を認めるならば財政は破綻すると言つている。しかして、どうしてこの三百五十億圓を大きな金持に出さなければならぬか。人民を食うか食わないかの状態に置きながら、三百五十億圓という大きな金を、なぜこうした大きな金持にやらなければならないか。ここに現在の政府、石橋財政の根本的な性格がある。それがすなわち階級的な性格である。(拍手)
支出の問題について第一の問題は、擬制資本を徹底的にわれわれは打切り、整理すること。第二には、やむを得ない出費として、國際關係上の出費があります。これはわれわれも認める。しかしながらこの額は、よく見る場合において、たくさんな節約の部分がある。何のために使われているかというよりも、いかに使われているかということ、そこに問題がある。すなわち現在は、たとえば土建業者にそのまま請負はせている。六、七割はやみでまかなわれている。一體政府はなぜこういうことを取締らないのか。なぜ政府は自分の手でこれをやらないのか。こうやればこの額も非常に下げることができると思う。なぜこういうことを政府はやつておるのか。われわれはある疑惑をもたざるを得ない。これについて大藏大臣の明快な答辯を私たちは求めたいと思う。すなわちこういうふうな國際關係から生ずる出費がいくらであるか。もしこれが言えなければ、いかにしてこれが使われておるか。これに對して政府はいかなる對策、いかなる統制をやつておるか、これをお聽きしたいと思う。
次にはいろいろの補給金があります。この額はあげませんが、資本家救濟の補給金をすつかり打切つたらいい、こういうふうにしてくれば、われわれは支出の方面において多くの節約ができると思うが、しかし現在の政府には、これをやる意志はない。これは今度の財政豫算に見てもはつきり分つておる。
さて財政收支の問題では、收支の問題にはいりますが、これはさつきも申しましたように、政府は結局せんじ詰めれば、勤勞大衆に負擔をかけるということ、たとえば最近發表されたところでも、何かいうと、すぐ專賣局益金がどうだこうだと言う。やあ鐵道運賃を上げるとか、これはみな消費税で、すべて人民が拂わなければならない。勤勞人民が主として拂わなければならない。われわれとしては、こういう收入の方面において勤勞者に負擔をかけないで、むしろ勤勞者の負擔を輕くする方向へ行かなければいけない。たとえば勤勞所得税を撤廢すること。私たちは撤廢を要求しておる。また乙種事業所得税も撤廢してもらいたい。さらに綜合所得税の免税點を、今勞働組合の方では三萬圓といつていますが、しかしこれではもう今はいけない。現在のような物價高の状態においては、五萬圓をわれわれは要求なければしならぬ。こういうふうにして、勤勞者に對する非常に重い負擔を輕くする。同時にわれわれは、小數の日本の今實際にもうけておる者、これに對して重税を課すこと、たとえば政府は、去年の春、財産税として二千億圓ぐらいとれる、こういうことを最初に發表しましたが、實際どのくらいとつたかというと、四百五十億ぐらいしかとつていない。ここに大きな開きがある。まだたくさんとれる所がある。しかし政府はまだこれをとつていない。われわれとして必要ならば、第二、第三の財産税を要求する。そうして特にインフレによつて、やみによつてもうけておる、いわゆる大きな新圓階級、これに對してわれわれは重税を課する。この方向へわれわれの收入を求めなければならない。
その外、私は大藏大臣にお聽きしたいのは、價格差益金というものがありますが、これが今どういう状態になつているかということ。ある計算によれば、相當多きに達していますが、どのくらいあつて、政府としては、これをいくら、いかにしてとらうとしているかということ。さて、これが收入の方面でありますが、これによつてわれわれが財政の收入を償うという場合において、支出の方面においてはまだたくさん節約し得る點があると思う。すなわち日本における大きな金持に對する補助金、これに類するもの一切をなくすこと。收入の方面においては、われわれは大衆の課税を撤廢して、今實際にこのやみを利用し、インフレ状態を利用してもうけている、この大きな新圓階級に對して重税を課すること。これによつて初めてわれわれは正しい財政の均衡状態をつくり上げ得ると思ふ。
さて大藏大臣は、第三の問題として、産業資金の貸出を合理化すと言つていますが、問題は、内容と運營、用途の問題であります。資金貸出の制限というものが、實際に市中の銀行に任されている。これらの銀行は、ただ利潤のあがる方面にだけ資金をまわしている。これは資本主義制度の下においては、やむを得ないことである。從つてこれらの銀行は、一つの産業があつて、この産業に投資すれば日本の再建に役立つ、こういう状態にあつても、もしこれがもうからなければ金を出さない。ただ今出せば金がもうかつてくる方面にだけ資金を融通する。これが資本主義制度の原則であります。從つて今實際において金さえ――資金さえ與えれば、何とか日本の再建に役立つというような工場があつても、融資は受けられない。私は名前をあげませんが、これは困り拔いている。もし銀行が、もう少し犧牲的精神をもつて金を與えるならば、明らかに日本の再建に役に立つ。しかしこれを銀行はやつていない。なぜならば、銀行は日本の經濟の再建を考えて商賣をやつているのではない。彼らはただ利潤があがればよい。從つてこういう政策をとらざるを得ないと思う。特にこれに苦しめられているのは、御存じのように中小企業です。彼らはもうにつちもさつちもいかない。それでわれわれとしては資本貸出の主體を改めること。われわれの要求は、日銀のみならず、市中の銀行その他一切の金融機關を統一して、これを統合して、國有化の方向にもつていくこと。そしてこれを官僚の統制ではなく、民主的な統制をやること。この銀行を統一し、國有にするということ、これは非常に簡單にできる。きようここで法律一つ出しても、すぐあすからできる問題です。これによつて日本の預金者が一文の損をするわけでもない。銀行の從業員が首を切られるわけではない。ただ少數の重役だけでしよう。これによつてわれわれは、全日本の金融機關を國家の統一のもとに置いて、そうしてここに計畫的に資金の融通ができる。やみを防止することができる。この方向に行つて初めてわれわれは、現在の日本のインフレによるところの、もろもろのの弊害を除くことができる。
第四に、總理大臣は監査制度ということを言つていますが、この監査制度の内容がさつぱりわかつていません。これを私は大藏大臣にお聽きしたい。一體具體的にどういうような構成によつて、だれがやるのか。今までの政府のやり方を見れば、結局今までのあの官僚制度、あの官僚機關、あれと恐らく同じものだろうと思ふ。こういうものではいけない。ほんとうにきれいな、正しい監査ができるためには、實際現在のやみとインフレに苦しんでいる人民、これが直接に監査すること。具體的に言えば、勞働者も、農民も、中小商工業者及び今相當困難な状態にあるところの一部の産業資本家、これらの代表、これらの團體による監査制度、これを設けることによつて、初めてほんとうの監査ができる。これをわれわれは主張したいと思う。これについて、總理大臣または大藏大臣の所見を伺いたいと思う。
經濟問題について私の質問したいことは、大體これですが、一言いえば、今まで言つたように、政府のあげたインフレ對策、そのほかの經濟政策、これによつて現在の危機の根本原因を取除くことは絶對にできない。われわれは效果を豫期することはできない。ただ多少でも緩和することがあつたとするならば、これは勤勞人民大衆に對する犧牲によつてやられることである。これに對してわれわれは絶對に反對しなければならない。この反對の運動が、すなわち勞働者のあの鬪爭になつてくる。
さて第二の問題にはいりたいと思います。時間があまりありませんから、なるべく急いでやりますが、首相はこう申しています。危機克服のためには、全勤勞者の積極的な協力を要請する、こう總理大臣は言われているが、しかし總理大臣はただ要請する、希望する、求めるだけで、實際に勤勞者が協力し得るような條件を一つもつくつていない。政府の勞働問題、勞働者に對する基本態度は、もう既に何度も言われているように、總理大臣の一月一日のあの演説の中によく表われている。また政府の勞働者やあるいはストライキに對する考え方は、ストライキ自身を犯罪視すること、ここに政府の勞働政策の根本がある。詳しくは申しませんが、今問題になつているところの官公職員のあの經濟的要求、あれをわれわれがしさいに見る場合において、勞働者側の要求は、非常につつましい要求であります。しかし政府はこれをあくまで拒絶するという態度をとつておる。税を除いたところの一千二百圓、これが平均賃金の要求であります。最低は六百五十圓要求している。これに對して政府は、財源がないと言つている。しかしこれはうそです。さつきも申したように、われわれが財政支出の面を見ても、收入の面を見ても、いくらでも節約ができるし、いくらでもとることができる。三百五十億というような、ああいう厖大な今後の豫算で金持に援助しながら、勞働者の少しばかりの賃金を上げることが、なぜ一體承認できないのか。あまり詳しくは申しませんが、さつきの言葉を繰返して言えば、あのリデイ氏の言葉をもう一度引用したら、よくおわかりでしよう。つまり今生産減退をしておる、危機と言われておるが、これの根本の一つは、勞働者の生活をよくすること、これにある。そのよくるすために、勞働者が生活權獲得のために鬪爭を起す。この場合において、資本家は幸か不幸か慈善家ではない。彼らはいつでもいろいろな理窟をつけて拒絶をする。やむなくこれがストライキになつてくる。
私はストライキの問題について、内務大臣及び司法大臣に質問したいと思います。このストライキの問題について、二月一日のあのいわゆるゼネスト禁止という問題について、警保局長の名前でこういう聲明が出ています。今囘のゼネストに掲げられた共通の要求を何ら變えることなく、同樣の爭議目的でスト態勢を強化し、個別ストにはいいることは、いわゆる二・一ゼネストの繼續とみなす、從つてマ元帥聲明に違反するものとみなす。こういう見解が發表されています。そうすると一體警保局長、内務大臣のこの見解はマツカーサー元帥の見解であるのか、自分個人の見解であるのか。もし自分個人の見解であるとするならば、これはマツカーサーのあの三十一日の聲明と同じものであるかどうか。また極東委員會で發表された、日本の勞働組合運動の十六原則というものがありますが、これにはこう書いてあります。ストライキその他の作業停止は、これが直接占領目的ないし必要を阻害すると占領軍當局が考えない限り禁止されないとしてある。三十一日のあの聲明は、マツカーサー元帥の聲明である。占領軍當局の聲明である。しかし次いで出されたところの警保局長、これの見解は、單獨的なストライキをも禁止する、こういう意味のことを書いているが、そうすると一體極東委員會の十六原則、あれに反するのではないか。これは占領軍當局の命令なら禁止することができるが、内務大臣の命令では禁止することはできないことになつておる。しかし内務大臣または警保局長は、これと違つた見解を發表しておる。これについて私は内務大臣及び必要ならば厚生大臣の見解が伺いたいと思う。
さてその次には、これはストライキとは直接關係はありませんが、十六原則の中でこういうことがあります。勞働組合は政治活動への參加竝びに政黨支持の自由を有すべきである、勞働組合は政治活動へ參加したり、あるいは政黨を支持する、こういう自由をもつておる。これについて政府の見解がお伺いしたい。もつと具體的に言えば、勞働組合が來るべき選擧において、自己の組合から自己の候補者を立てる。そして選擧運動をやるということが、勞働組合として許されるかどうかという問題。これは今勞働者が、組織勞働者が聽かんとする問題だと思う。これについてお聽きしたい。また同時にこういう場合があり得る。勞働組合が直接自分の候補者は立てないが、他で立てた候補者を組合として支持し、應援するということが、一體許されるかどうかという問題。また組合がある候補者のために選擧資金のカンパをやつたとする。これも一體よいことか惡いことかということを私はお聽きしたいと思う。さらにその次に十六原則には、日本政府は、諸外國における勞働組合に關する情報の入手について、できる限り組合役員に援助を與えるべきである、右の目的は、用紙割當竝びに外國刊行物の輸入等に際しては、十分考慮されなければならない、こう言われていますが、これについて政府は一體今までどんなことをやられておつたか、又將來やられようとされるか。これをお聽きしたい。
さて政府の勞働對策についてもう一、二點お聽きしたいことは、最近再び軍閥時代におけるような勞働者の彈壓というものが、頻々として現われていることであります。ある場合においては、あの特高警察が復活したのではないか、こういう結論を見出さなければならないような状態も生れてきています。いろいろの會場に臨席するとか、神奈川縣ですが、何十名かのある小さい會合の中で話したことが、そのまま警察の手から檢事局に渡つている。こういう事實もある。これは結局前の特高警察と同じことだ。それから最近はストライキに對する警察の彈壓というものが、頻々として起つています。これは一々申しません。
東京で一番だれでも知つていることは、去年の夏のいわゆる新聞のストライキの時に、毎日新聞の爭議團が檢束されるとか、放送局で四名の者がさらに檢束されるとか、あるいは十二月には文部省で教員が示威運動をやつて、ここで八名檢束される。また九州では、寶珠山で警官の彈壓事件があつたとか、高萩炭鑛で暴力團の事件があつたとか、いろいろあります。特に私がここで申し上げたいことは、ついわれわれの目の前で起つている東洋時計上尾工場、あそこにおける事件です。この事件はもともと生産管理の状態から生れた事件ですが、十二月十二日に、金原組及び町の不良青年二百名ばかりの者が、隊を組んで生産管理をしているところの工場になだれこんで、そうしてここの勞働者をたたき出してしまつた。そしてたたき出されたこの勞働者は、再びこの工場に整然たる隊伍を組んではいろうとした。そうすると、あろうことかあるまいことか、この暴力團が待ち伏せておつて、――暴力團が棒をもつ、バツトをもつ、あらゆる手當り次第な凶器をもつて、勞働者に襲いかかつて、そうして一人の勞働者が殺害された。さらに重傷者を四名出している。輕傷者は百名近くいる。この中には女の子もいる。これが諸君、つい目の前で行われている。しかしこのときに重大なことは、警官がいないわけではない。ちやんと警官は工場の中にいた。しかしこの警官は、こういうふうな暴行が公然と行われているにかかわらず、知らぬ顔をしている。實はそれでこの間この下に爭議團の者が來て私に話したときに、この人が自分が目で見たが、このときに警官は火にあたつてじつと背中を向けていた。それで勞働者が行つて、一體なぜこれを取締らないかと言うと、いや、これは上から命令がないから、それまではわれわれは動かない。これが民主的な日本において公然と行われておることです。それだけではない。さらについ最近、二月四日のことです。既にこの時計工場は、十二月十二日に生産管理というものはぶつつぶされて、もうない。それにもかかわらず、檢事局の方では、生産管理は不法であるという理由によつて、二百名の警官を動員して、浦和檢事局の小幅次席檢事、東京控訴院の關檢事、これの指揮のもとに、工場内にはいつて、女の寄宿舍の家宅搜索をやつた。そこからいわゆる證據物件を取り上げた。その證據物件はどんなものかといえば、そこらにあるいろいろな書物、生産管理とは何の關係もない日記とか、歌の本とか、寫眞とか、しかも病氣で寢ている女工さんの蒲團の下までかき探した。しかも押收物件の目録というものは一つもよこさない。これが諸君、このおひざもとでやられておる。これに對して一體司法大臣及び内務大臣はいかなる見解をもたれるか。いかなる取締りをやられているか。またこの事件全體に對する最近の當局の態度を私は伺いたいと思う。
さらに政府の今やつているこの勞働政策、すなわち勞働者を敵視するこの政策は、間接にはあの聽濤事件を喚び起している。産別會議の議長である聽濤君が、二人の凶漢に襲われて傷ついた。この事件は一體今どうなつていますか。これについても内務大臣及び司法大臣の詳細な報告を願いたい。つかまつたということは聞いたが、しかしいわゆる新鋭大衆黨とかいうのは、これは一體どんなものなのか。この二人の青年の背後にはどういう勢力があるか。これに對して一體政府は今何をやつているか。われわれはこの事件がやみからやみへ葬られやしないかという。こういう疑惑を今もつている。これに對して政府の明快な答辯をわれわれは要求しなければならぬ。
さて一言勞働問題について最後にお聽きしたいことは、失業者とか、戰災者、引揚者に對する政府の對策、九十議會においては、總理大臣の施政演説の中に、この問題を相當取扱つていましたが、しかし今度の施政演説の中では、一言も觸れていない。一體これはどうしたわけか。もうこういう問題はないのか。政府はどういう對策を講じているか、これを具體的に私はお聽きしたい。以上が、勞働問題に對して私が政府に聽かなければならない點です。
最後の問題は、農民問題について――政府は米の供出が不振であると盛んに言つていますが、しかし根本原因をきわめて、これを除去する、こういう方向に向いていない。なぜお百姓さんは米を出すことをしぶつておるかといえば、これは第一には、米の値段が生産價格を下囘り、半分以下であること、出せば出すほど損をする、こういう状態で、一體出せと言つても出しにくい。第二には、政府が何度も約束したように、肥料とか、あるいはそのほかの見返物資は、百姓はとることができない。供給がない。あつても、これはやみで買わなければならぬ。高値で買わなければならぬ。これが第二の原因。第三には、供出に對する強權の發動。第四には、根本的には結局土地問題に歸する。農地改革が結局不徹底に終つておること、百姓が自分の土地で、自分の手で、自分が働いた收穫物を自分が收める、こういう状態にない。ここに供出不振の根本問題がある。われわれとしては、米の公定價格を上げること、この問題についてはもう既にこの議場で何度も他の議員からも質問があり、應答がありましたから、それは尋ねません。今政府では、この米の公定價格を上げるということを考慮中であり、交渉中であると言われていますが、われわれとしては、これが單に五百五十圓に四百圓を加えるというだけではなしに、眞に農民の現在の生産費、これをカバーするような値段にしてもらいたい。四百圓上げるだけでは十分ではない。農民組合は千二百圓を要求していますが、最近はこれではやつていけない。そこで千五百圓、千八百圓を今要求して來ている。政府はこの點について具體的にどういう額を定めようとされているか、これがお聽きしたい。
それからもう一つこれについてお聽きしたいことは、昨年の十月二十二日に、農林大臣は、米價五百五十圓を決定する場合に、一般物價、特に肥料價格を抑制する、こういうふうに言われたが、しかしその後の状態はどうなつているかといえば、結局政府の約束はすべてが覆えされて來ている。肥料その他の物價は少しも下つていない。一體この約束を政府はどうするつもりか。なぜ政府は約束を實行しないのか、これを私はお聽きしたい。
それからさらにお聽きしたいことは、今の強權發動法令、この法令を政府は撤廢する意圖があるのか、ないのか。われわれはこれはぜひ直ちに撤廢してもらいたい。これを要求するが、政府ははたしてこれを撤廢する意圖があるかどうか。
その次には、昨年の臨時議會で、食糧調整委員會というものを民主的につくるということを政府は約束した。食糧調整委員會を民主的につくるということを政府は約束したが、そして食糧緊急措置令を出して官制をきめると言つたが、その後この問題はどうなつたのか。もう何箇月も經つている今日においても、これができたということを私は聞かない。官制もできたということを聞かない。これはどうなつておるのか、これがお聽きしたい。
さらに最後に、土地改革の問題についてお聽きしたい。昨年中に小作人から地主の取上げた土地の件數が、百萬件を超えているといわれています。百萬件を超えている。これは政府では、いけないとか、やらないとか言つておつた。政府は不當な土地取上げに對しては、體刑または罰金をもつて臨む、こういうことを言つた。しかし實際過去一年において政府は何をやつたか。嚴重に取締ると政府は言つたが、一體實際どんなことを具體的にやつたか、これを私はお聽きしたい。
さらに農地調整法に基いて、全國に町村農地委員會の選擧が最近行われましたが、御存じのように、その結果は四七%が無競爭で終つておる。大多數のところにおいて、前のままのあの地主が、選擧という形において選擧されておる。ひどい所になると、たとえば群馬縣などでは、何百萬圓という財産をもつておるブローカーが、これが地主代表としてしやあしやあと出て來た。これに對して私たちの共産黨や農民組合が反對して、やつとこれを取下げるという、こういう事實がある。こういうふうな例は全國到るところにある。それはなぜこういう結果が生れたかと言えば、自作農創設特別措置法、農地調整法改正、これらに對する知識を農民に與えるという手を政府は少しも打つていない。ただこの選擧をやるから、皆選擧をやれ。この土地改革に對して、どういう性質のものであるか、農民はこれに對してどういうふうにやらなければならないか、これに對する政府の宣傳、教育等はほとんどやられていない。從つてこういうふうな結果を招かざるを得ない。これは明らかに政府の怠慢ではなくて、むしろ意識的に地主によつてこの農地委員會を占領する、こういう意圖をもつてやられたとしか、われわれは考えることはできない。政府は新しく選ばれたところの農地委員をリコールする、呼び還すということを言つておるが、これだけではもうだめです。われわれはこの選擧を再びやり直してもらいたい。
これで私は農民問題についての質問を終りまして、最後に一つお聽きしたいことがある。これはさつきも申しましたように、吉田内閣の全政策は、結局少數者の利益にはなるが、勤勞人民の利益にはならない。たとえば總理大臣の施政演説の中で、石炭、鐵鋼、肥料、これらの重點企業に資金と資材を集中するために、他の産業または國民生活に對して相當の犧牲を要求され、耐乏生活を要望すると、こういうふうに總理大臣は言つています。ところがこの重點産業は、一體たれが持つておるか。すなわち石炭、鐵、肥料、これの七〇%から八〇%が、いわゆる財閥や、大資本家の手にある。從つて政府の言うところの重點産業にすべてのものを集中する、他を犧牲にする、結局これは少數の金持だけにもうけさして、その他のもの全體を犧牲にするということである。結局せんじ詰めればこういうことになる。事實を申します。たとえばここに國民所得の内譯に關する統計が一つあります。これは去年の一月から四月までの間に、日本では國民所得全體を千二百十九億圓といつている。この國民所得の中で、勤勞所得、つまり働かなければ食えないものは、この全所得の中のわずかに二一%しか得ていない。そのあとの七一%はたれが持つているかといえば、いわゆるここに書いてある個人業者、すなわち資本家とか地主――小さいものがあつても問題にならない。千二百億圓の中の七一%が、これらの金持の所得になつている。ただ二一%だけが勤勞者の所得である。この事實を見ただけでも、一體今までの幣原、吉田政府の政策はどんな性質のものであるか、よくわかると思う。大藏大臣は、數日前の議場でも、自分は何も資本家のためにやつているんじやない、こう言われる。しかしながらこうした客觀的な、こういう具體的な事實はこれは何だ。
さてそれでは最後に申します。吉田總理大臣は、先刻この演壇から、吉田内閣に對する人民の信頼は失つていないと言はれた。なぜなれば與黨である自由黨、進歩黨が多數であるからだ。しかしこの選擧は結局昨年の四月にやられたものである。それから既に十箇月經つておる。
〔發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=41
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042・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=42
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043・野坂參三
○野坂參三君(續) 現在のごとき日本の變革期における十箇月は、十箇年に匹敵する。この十年前に於ける選擧を基礎にして、自分らが今ここで人民の信頼を得ておるというのは、いかにこれはずうずうしいか。(笑聲)それで人民の信頼を失いつつあるということは、これは私の口から言うのではなくて、この内閣自體の中においても、この内閣に不信を懷いておる。これは不可思議なことである。齋藤國務大臣が新聞に發表されたところの意見として、二月十日の新聞にこういう記事が載つております。これは齋藤隆夫談となつております。讀んでみますから、もうしばらく靜かに聽いて下さい。「終戰後今までの政治を見てみれば、吉田内閣の政策が一つも圖に中らず、官僚の腐敗もあつて、後手ばかり打つておる。國民は一般感情として吉田内閣に不信の意をもつておる。」、これは私が言うのではありません。齋藤國務大臣が言つておる。(拍手)さらに國務大臣に續けていわく、「外交官でなければ敗戰日本の總理大臣になり得ぬというような考え方もあるようだが」、これはおそらく吉田首相の考えに違いない。(笑聲)「民主治政は政黨政治であつて、官僚の古手を黨首にいただいているような國はない。」(拍手)日本だけだ。「私は外交官や官僚が黨人となりきれないのは、加藤高明氏以來あまりにも痛切に感じている。」、私はこの言葉について何も齋藤國務大臣から辯明を聽きたくは思いません。こういうふうに、もう人民は内閣から離れようとしている。たとえば朝日新聞の輿論調査を見ても、内閣を支持しているものはわずかに二八%、そのほかはみなこの内閣はだめだと言つている。これは單に日本國内において吉田内閣の信頼が失われておるだけではない。外國においてもそうであること。例えばニユーヨーク・ヘラルド・トリビユーンには、二月十一日日本の新聞に現われたところによると、こういう社説を掲げておる。これは眞劍に聽いてください。「日本の政情は、米國から見ればはなはだおもしろくない有樣である。極端な保守派が政權を握つておる。もし吉田内閣がこれ以上存續するならば、アメリカの威信はひどく傷つけられるに違いない。」
私は現在の日本の政治的、經濟的危機、社會的不安、これを切拔ける一つの方法があると思う。ただ一つ、それは吉田内閣が即刻辭職して、人民に政權を與えること、これ以外にない。(拍手)
〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=43
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044・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 野坂君の最初の部分のインフレ論は、元來誤謬と矛盾に滿ちた共産黨の立場を擁護するための議論に過ぎず、(拍手)これに對しては特にお答えする必要はありません。しかしその議論でも、遂にインフレなるものは不換紙幣の増發が唯一の原因であるという結論にこられたのでありますが、その點はすなわち私共の考えと全然一致することを喜びます。
〔發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=44
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045・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=45
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046・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君)(續) ところで、その不換紙幣の増發がインフレの原因だということに結論がなつたが、しからばその不換紙幣の増發を避けるにはどうするか。それを吉田總理は四點あげた。その四點について一々野坂君は駁論をされ、それに對する返答を求められておるようであります。第一に、貯蓄増進運動は無益であるというお話でありますが、しかしこれは無益であるかどうかはしりませんが、とにかく最近月に百億圓づつの貯金ができておるということは事實である。(拍手)近ごろの消費階級がいかなる人たちであるか、いわゆる勤勞階級なるものがどの範圍にあるかは、これは定義によつて違うでありませうけれども、とにかく相當の消費階級がその中にある。しこうして野坂君があとでしきりに米の値段の引上げを論ぜられた、その農民もまた勤勞階級ではないでしようか。(拍手)しからばそこには相當の貯蓄能力があるということをわれわれに認める、それが事實また最近月百億圓の貯蓄があるのでありますから、これは相當の效果がある、こうお答えいたします。
次に財政收支の均衡をすることが必要だと吉田總理が言い、またわれわれも言うておるが、それに對する野坂君のお話によりますと、何か國債の元利の打切りをしなければ財政の收支の均衡がとれない。
一體國債の利子の支拂はいくらかということを御承知になつておるでしようか。現在の豫算においては、五、六十億圓のものであります。それを全部打切つたからといつて、それだけでインフレが克服できるものでも、財政が收縮できるものでもありません。(拍手)しかしてまたこれを打切つた場合に、私が既に預金者に對して非常に迷惑を及ぼすと言つたことに對しては、それは銀行の國有をやればよろしい、預金者は別に保護すればよろしいと、こう言うのでありますが、銀行の國有をやつたところが、利子が拂えなければ、やはり預金者は困るのでありますから、そうすると利子を拂う、すればやはり國庫から何かの形で四、五十億圓のものを出さなければならない。かような理窟になりまするから、利子を打切るならば、先般申し上げたように、國債は、もしも戰時でなくなつた擬制資本であるから、これを打切りせねばならぬというならば、すつぼり預金を打切らなければいかぬのです。預金そのものが擬制資本であります。
さらに政府が昭和二十一年度及び二十二年度において、金融機關に對する補償をいたす、それからまた戰時保險のための支拂をする、その豫算を計上するということをお聽きになつて、これは金持の保護だと言うが、とんでもないことであります。御承知のように補償打切りの結果、すべての銀行預金あるいは郵便貯金も、それから生命保險も、第一及び第二封鎖になりましたが、その第一封鎖というものは、御承知のように、大體一萬五千圓以下の預金でありますから、そういう少額預金を保護するために第一封鎖預金をつくつたのでありますが、その第一封鎖預金を保護するために政府はこれを補償するのでありますから、決して金持に拂うのじやございません。こまかい――殊に郵便貯金のごときがこれによつて保護されるのであります。(拍手)戰時保險の支拂も同樣でありまして、これまた御承知でありましようが、五萬圓以下の火災保險を保護する。それ以上のものは全部打切るのであります。五萬圓以下の支拂をする、そのために戰時保險の支拂をする、それには政府がこれを補償いたさなければならぬと、こういうことで豫算を出すのでありまして、斷じて金持のものじやございません。(拍手)さような事實を誤つて批評されることは、政府としても非常に迷惑であります。また共産黨にとつても御迷惑のことだろうと思いますから、もう少し事實の御研究をなさるようにお願いしたい。(拍手)
それから國際關係より生ずる支出について、どんな支拂をしておるかというお話のようでありますが、これはしばしば申し上げますように、昨年の夏からずいぶん嚴重な檢査をいたしております。それからこの前の臨時議會に、契約に關する特例という法律をわざわざ御協贊を願いまして、それによつていわゆる終戰處理より生ずるところの支出の嚴重な監察、節約を行つている次第であります。
それから補給金を打切ればいいじやないかと言いますが、補給金は現在これは打切りたいのであります。實際の話は、米の値段になります。米の値段の補給金、それに續いては石炭でありますが、大部分は米であります。そうすると先ほどお話の農民は、千二百圓以上の米の値段を要求しておりますが、それをどうするかという、これが出てきます。(拍手)それから農民に安く拂うか、消費者に高い米を食わせるか、それ以外にこの補給金の打切りようはないのでありますから、この點もどうかもう少し事實の御研究を願つておきたい。(拍手)
以上が歳出の方においてです。野坂君は歳出をうんと減せるじやないか、つまり國債の元利を打切ればいいじやないか、それから政府は金融機關や戰時保險の支拂をするじやないか、それも打切ればいいじやないか、國際關係の支出をどうかできぬか、補給金をどうかできぬかと、こうおつしやるのでありますが、それは以上申し上げる通りでありまして、野坂君のお説によつては、この歳出の節約はまずお考えのようにはできません。やりますれば、いわゆる庶民階級といいますか、勤勞階級と申しますか、比較的一般の大衆に迷惑を及ぼしていく結果になる、かようなことを申し上げるわけであります。
それから次に歳入の方について、勤勞所得税その他をやめろ。これはいつも申しますように、今明年度においては、所得税その他の税制を相當根本的に改正するのみならず、近く所得税については暫定措置として御協贊を仰ぐことになつております。現在の所得税が、相當小額所得者に強い負擔になつておるということは、これは政府も認めますので、改正をいたすつもりであります。しかしながら同時にその代りに、野坂君は財産税をとつたらよいじやないか、財産税は元來政府は千億圓とか、二千億圓とかいつておつたが、四百何十億圓になつた、これは金持を擁護するのじやないかというお話でありますが、これまたまつたく事實と相違いたします。つまり十万圓以下の財産に財産税をかけなくなつたから、これだけ減つたのであります。すなわちこまかい財産に税をかけないから減つたのであります。
もう一つは、同時に戰時補償を打切るということであります。戰時補償を打切らずに財産税をとるか、それとも補償を打切るか、こういう問題でありまして、戰時補償を打切りましたために、法人税は一應かけません。しかしながら財産税と戰時補償の打切りと合わせますと、やはり千億圓を超えるのであります。以前の財産税の計畫と、金額においては同じであります。
それから新圓階級の課税というお話でありますが、これは、具體的にはやはり先般からしばしば申しますように、高額の所得者に多くの課税をするということは當然のことであります。先般の臨時議會で設定いたしました増加所得税のごときも、その目標のもとにやつておるのであります。明年度からの所得税その他の課税は、いずれもさような考えで、高額所得の者にはそれだけの課税をいたすようにやるのでありまして、これは何も異論はありません。しかし特に新圓階級の課税というようなものが、これは具體的にはできるものではありません。
それから價格差益金の問題は、しばしば徳田君等からも今までお話を伺つたのであります。これは二十一年度の豫算に、たしか十五億圓、價格差益金、つまり公定價格をかえたために、それだけの差益が出た統制會社等に對して、差益金をとつておるでありますが、たしかその十五億圓というのは、ある時の説明に、これは全體の差益の七割ほどに當るという説明をしたところが、その七割を一割と聽き損つて、一割ならば百五十億圓あるじやないかと、こういう説になつたということを伺いましたが、はたしてほんとうですか、どうですか、この邊はわかりませんが、(拍手)いずれにしても、さようなわけで御説はいずれも事實に違うか、あるいは抽象論でありまして、遺憾ながらそのままでは御説のような結論には相ならぬ、こういうように私は考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり)
それから産業資金の貸出でありますが、これも同じことでありまして、大體お考えは同じなのでありますが、銀行が健全投資、すなわち貸倒れをしては困るという考えを持つのは當然のことでありまして、銀行は人の金を預かつておる。生命保險も、保險會社も、人の金を預かつておるのでありますから、それを貸す場合、損をしても構はぬ、こんな貸出をされては迷惑な話でありますから、いわゆる健全な貸出をしたい、こういう觀點から、貸出を嚴選することはもちろんの話であります。それがたまたま利益があるところに貸すというような形に、實際においてはなるということも私は承認をいたします。しかしながらそれだけでは今日の場合いけませんから、いわゆる復興金融金庫等をつくりまして、そうして普通の金融機關では貸出はできない、しかしながら社會のためにぜひとも金融しなければならぬというものには、特別の機關をつくつてやつておることは御承知の通りであります。
そこで、もう一つ申し上げたいことは、ここで始終申しますけれども、いや實際においては、今野坂君のお話にも、名前は言わないけれども、實際に非常によい立派な事業、それが金に詰まつて困つているということでありますが、それは御遠慮なくどうぞその名前をおつしやつていただきたいのであります。(拍手)本當にそうであるならば、これはいくらでも金融をいたします。中小企業に對しましても同樣でありまして、私は組合等の方に會うたびにそう言つておるのであります。どうも抽象的に困る困ると言われて困るのでありますが、本當にこういうものがあつて困る。これだけの金が欲しい、こうおつしやつてくだされば必ず考えます。こう申しておるのであります。
それから銀行の國營のことについてのお話がありましたが、これは私はいつも申しますように、銀行の國營は、ここには時間もありませんから詳しく申し上げませんが、國有國營は弊害のみあるものである、こう考えております。殊にこれはやつぱり官僚になります、いわゆる官僚的になります。民主的とか何とか言いますが、これは具體的にお考えになれば、どんなものができるかということはわかるのであります。監査制度も同樣でありまして、これは監査というものは、やはり專門の知識を要します。むろん多くの人の目というものは必要でありますから、それこそインフオーマー・ジスエムの利用とかいうようなことで、いろいろ利用の途がありますが、監査はやはり專門家でなくてはならぬ。單に民主的と言いますと大變よいように聞えますが、具體的に御考案になれば、大概官僚的になると思います。
それから勤勞官公職員に對する給與の問題について、政府は財源がないと言つているけれども、財源があるじやないかというお話でありますが、これは前にも申しました通り、事實財源がないのであります。むろん政府としてはできるだけの財源をつくつて、租税もとり、その他の收入もはかつておりますが、これはとつたものを全部官公職員の給與にまわすというわけにはいかないのであります。ほかにいろいろの、御承知の通りの必要なる支出がありますので、その全部を給與にまわすことができない。こういう次第であります。
それからなほ最後に、大きな石炭とか何とかいう重點産業は財閥だ、從つて重點産業政策というものは財閥を保護することになると言うが、これも事實に非常に違うのでありまして、今日はもはや財閥はありません。今日の新聞にも出ているやうに、財閥の中の家族でさえも指定をきれまして、その資産というものは、自分のものでは事實上なくなつてしまつている。それでいわゆる財閥會社なるものは、全部制限會社になつている。この制限會社であるために、實は經營が非常に困難になつて、何とかしなければならぬという段階になつておる次第であります。でありますから、重點産業の保護すなわち財閥の保護であるというようなことは、昔だつたらそうかもしれませんが、今日は全然事情が違うということを、共産黨の諸君もよく御承知を願いたいのであります。(拍手)
〔國務大臣植原悦二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=46
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047・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 野坂君の御質問にお答えいたします。いくらか順序が變るかもしれませんが、それは御諒承願いたいと思います。
第一に、勞働組合が選擧の場合に候補者を立てて、それを支持應援することができるか、許されるかということ。それからまた勞働組合が、他に自分らと意見を同じうすると思うような候補者があつた場合には、組合員外の候補者に應援することができるか。もう一つは、勞働組合が資金を出して、他の候補者を應援することができるかという、主として三點であつたようであります。勞働組合は、組合本來の目的が組合法において規定されておるのでありますので、政治運動は主たる目的ではありませんけれども、勞働組合が候補者を立てまして、それを應援するということは差支えないと思います。また他の候補者を應援なさることも差支えなし、金をお出しになつてやることも差支えないと思いますが、この場合には、政治運動をするのでありますから、選擧法上における政黨その他の政治團體と同一な取締りを受けることだけを御諒承願いたいのであります。
次に勞働組合運動について警察が彈壓をするとかいうようなお話がありましたが、勞働組合運動はもちろん、勞働爭議自體についても、警察としては絶對に干渉しないのであります。ただ爭議において不法行爲を發生する恐れある場合は、勞資雙方いずれの側にあるを問わず、不法行爲の發生に備えて、警察は臨機取締りをいたして、秩序の維持に當らなければならないのであります。
次にいわゆる二・一ゼネストに對する内務大臣の聲明が、勞働運動の干渉、壓迫であるではないかとか、あるいはこれがマツカーサーの聲明と反するものではないのか、またこれが極東委員會におけるいわゆる十六原則と矛盾するものでないかというような御意見の質問があつたように思われます。いわゆる二・一ストに對して内務大臣が聲明したのは、かようなことであります。國鐵、全遞を中心とする全官公廳勞組の二月一日ゼネストが、日本の現在の情勢下において行われることは、日本を破滅に陷らしめ、經濟の復興も日本の再建も危殆に頻せしめ、ひいては連合國軍の占領目的をも阻害するに至るものと考え、閣議決定を經たる上、かかる爭議行爲は爭議權の濫用なりとして、取締る方針を決定いたしたのであります。(拍手)これはマツカーサーの聲明と食違つておるところはありません。のみならず、野坂さんが指定されました極東委員會における十六の原則というのは、勞働組合の發達を健全なる方向に向つて進める上には、できるだけこれを助成する、その發達を助ける、これを育成するということに、十六原則はほぼ盡きておるもののようであります。從つて御承知のごとくアメリカにおいてすら、かのアンスラサイト・コール・マインのストライキの場合に、あの自由を與えておる國においてさえも、公共の福祉に反するという場合においては、大統領がこれに對して、言葉を強く申せば、干渉いたしたと思われるくらいの事實のあることを御承知でありましよう。(拍手)勞働運動が健全に發達することは、政府の熱望するところであります。しかし勞働組合は、勞働組合としてどこまでも經濟的の活動で、しかも社會の安寧秩序を維持し、公共の福祉と相伴うものでなければならないのであります。(拍手)公共の福祉に反する行動は、これはいかなる行動といえども、新憲法のもとにおいてさえ、政府としてはこれを取締らなければならないことを御承知願いたいのであります。(拍手)
次に埼玉縣における上尾工場の事件でありまするが、その經過はこういうことでありますから、御承知を願いたいのであります。野坂君の御陳述に相なりました事實が、大分違つておるように思うのであります。東洋時計上尾工場は、約一千二百名の從業員を擁して、時計の部分品を製作しておるが、その勞組は、他の姉妹會社のそれと異なり、産別傘下のもので、昨年二月、七月の二囘にわたり、爭議によりその要求の大部分を貫徹したのでありますが、さらに十月二十五日、給與は八割値上げの要求をしたのであります。この態度にあきたらないところの一部の勞働者は、十一月二日勞組を脱退しまして、上尾町の上寺に集まつて、總同盟系の勞組の應援を得て、對峙する形になつたのであります。十一月五日、産別派は、すなわち共産黨埼玉地方委員日向和夫君の指導によりましてデモを行つた、後上寺に參り、脱退派中から二十三名をトラツクにて上尾工場に拉致、さらに女子寮に伴い、同日夕刻より翌朝までの間に不法監禁、暴行を加えながら、いわゆる人民裁判を行い、産別復歸を強要したのであります。右の事實は、當時十分に警察において探知し得なかつたので、人民裁判事件を未然に防止し得なかつたことは遺憾でありますが、屆出によつて搜査を開始し、檢事局の指揮の下に、十一月九日以後において、日向和夫以下八名を檢擧し、うち五名が起訴され、目下公判繋屬中であります。なお右は純然たる刑法上の不法逮捕、監禁竝びに暴行事件でありまして、これをもつて組合運動の壓迫などと申す餘地は毛頭ないのであります。(拍手)
それからなお十一月六日、脱退派は東洋時計再建勞働組合を組織し、正式に總同盟に加入し、産別系組合側は、十一月二十五日より生産管理に入つたのであります。右のごとくにして對峙中、漸次再建派が増強し、兩者拮抗の態勢になつたのであります。かようにして十二月十一日に至り、會社は翌十二日より會社の管理によつて一齊に就業するように兩組合に下命したのであります。十二月十二日の朝、再建派は應援隊を加えて約千二百名をもつて工場に入場し、兩組合對峙の下に交渉を行いましたが、纏まらず、遂にその夜を徹して翌朝に至り、再建派は錠前を破り、釘づけの窓を排して工場建物に侵入し、實力をもつて産別派の大部分を工場構外に出し、全工場を占領したのであります。産別派は一應女子寮に引揚げた後、十二月十三日午後一時半過ぎ女子寮を出で、約五百名が工場正門に向い、再建派と對立しておる際、他の約五百名をもつて工場南口より侵入、一臺のトラツクをもつて時計製品を搬出せんと企てたのであります。ここにおいて再建派もこれを防止抑壓せんとし、兩派の間に亂鬪が行われ、産別派は場外に押し出されましたが、この亂鬪の結果、傷害致死した者が一名、負傷者が數十名であります。上寺事件以後警察は警戒を怠らなかつたのでありますが、十二月十二日から十三日にかけて、所轄大宮署員のほか約八十名の應援警察隊を派遣し、大宮署長指揮のもとに特に警備を嚴にして、なお兩派に對してくれぐれも暴行沙汰に出でざるように警告したのであります。十二日の朝再建派の入場及び十三日朝再建派の工場建物内侵入に際しては、大した不法行爲を認められなかつたのであります。元來が一工場内の問題であるので、なるべくこれを靜かにしたいと努めておりましたが、十三日の午後の亂鬪に際しては、正門に四十五名の警察官を配して不慮の事態に備えておりましたが、警官が守つておりました南の方の門から侵入せずして、まつたく豫想もつかぬ他の南側の門から侵入いたした者がありまして、警察官はそこからよもや亂入するとは思いませんでしたので、正門のみを守つておりましたからして、守らざる所から多數の者がはいつてまいり、時計を搬出せんとしてトラツクをもつてまいりましたので、再建派の方はこれに備えて、そうしてこの暴行に對抗したのであります。この事件に對して、警察は直ちに檢事局の指揮を仰いで、再建派を加害者とし、産別を被害者として搜索を開始したのであります。さようにして傷害致死犯人以下二十名、これは再建派及び會社側の金原組員の人であります。これを檢擧したうち、十二名が起訴されたのであります。なお檢事局は、産別派の行つた生産管理の内容について不法なものもありまして、これらに關して産別派より五名を檢擧し、うち三名を起訴したのであります。本件搜査に當り、豫審判事及び檢事の指揮によりまして、司法警察官が女子寮の家宅搜索をしたが、これはいずれも法規に則る正當なことで、職務上の行爲で、少しも勞働者を壓迫するとか、彈壓するとかいう行爲ではありません。
さらに聽濤事件の眞相について發表せられたという御質問があつたと思いますが、産別議長の聽濤克己氏に對して傷害事件が發生したことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。一月二十日に事件が發生いたしましたので、警察當局といたしましては、直ちに犯人を搜査したのでありますが、二十二日に、淺草區千束町に本部を置く、正當に屆出ている政黨新鋭大衆黨の黨首眞木康年氏に伴われて、犯人である同黨の黨員大塚廣男、佐久間隆太郎が警視廳に自首したので、取調べの結果犯人であることが判明したので留置し、その背後關係をも徹底的に追及するために、眞木康年を留置し、嚴重に取調べしたのであります。その結果、犯人の兩名が單獨で犯行をしたのであつて、眞木康年氏はまつたく本事件には關係がなく、また他に背後の關係のないことが判明いたしましたので、同月二十七日に眞木氏を釋放したのであります。犯人の佐久間、大塚の兩名に對しては、一月二十七日起訴前の強制處分に付して小菅刑務所に移し、目下檢事局において取調べ中であります。(拍手)
〔國務大臣木村篤太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=47
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048・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) ただいま内務大臣より詳細なる答辯がありましたので、ほとんど何ものをも加える必要はないと思います。ただ一言いたしたいのは、司法當局といたしましては、いずれの事件に對しても公正嚴格に事件を處理しております。また將來も處理するつもりであります。爭議行爲についても、決して彈壓するの意思はありません。政府は公正なる態度に出て、この組合運動の健全なる發達を希うのみであります。
なおこの際聽濤事件について一言いたしたいのであります。私はいづれの問題についても、暴力行爲というものは絶對に排すべきものだという信念をもつております。(拍手)聽濤事件についても、私はかくのごとき暴力行爲が行われたことを非常に遺憾に思つております。司法當局といたしましては、この事件を十分に調査いたしまして、法規の命ずるところによつて處置いたしたいと考えております。さよう御承知を願います。
〔國務大臣木村小左衞門君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=48
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049・木村小左衞門
○國務大臣(木村小左衞門君) 御答辯いたします。まことにわかり切つたような御答辯でありますが、食糧輸入の前提といたしまして、國内における供出に對して萬全を期するということの必要なことは、申すまでもないのであります。從つてこれが對策につきましては、衆議院に設けられております食糧對策委員會において愼重審議をお願いいたしまして、各般の努力をいたしまして、遺憾なきを期しておるような次第であります。
今日の米價が低廉であるという農民の聲は、私たちとしてもよく承知をいたしております。しかし米價の問題は、今日の財政状況において、これが引上げは消費者の負擔の増加となる關係がございますので、ただいま大藏大臣の御答辯にもあつた通りでありまして、非常に愼重に檢討せねばならぬと思います。政府といたしましては、米の供出の圓滑に完遂せられることにつきまして、今後とも食糧對策委員會の御協力を得て、萬全を期したい所存でございます。
さらにまた農地改革につきましては、第二次改革の線に沿いまして目下折角實施中であつて、働く農民に農地を與え、農業生産力の増進を期しておるのでありまして、政府といたしましては、本農地改革は、農民諸君の供出に對しても好影響を與えておるということを確信しておる次第であります。また土地の國有に關しましては、日本農村の民主化のために農地改革の重要なることは言うまでもありません。これがため政府といたしましては、さきの議會の協贊を得て、いわゆる第二次農地改革を目下實施中でありますので、御承知の通りであります。政府といたしましては、第二次農地改革の線に沿つて、これが實施を期しておる次第でありまして、わが國の農業、農民の現實に即しまして、農村の民主化をはかりつつあるのでございます。從つて農地の國有政策は、政府といたしまして考慮しておりません。今後農業の生産力の増加をはからねばならぬことは言うまでもありません。政府といたしましては、今後わが國農業に科學技術を普及しつつ、經營の改善、合理化に努めたいと考えております。
山林を國有にするという御質問に關しましては、農地について申し上げました通りでありまして、わが國林業の現實に鑑みまして、政府といたしましては、山林の國有制につきましては考慮いたしておりません。國有林につきましても、開墾適地につきましても、できるだけこれを開放いたしまして、民生の安定を期したいと考えておるのでございます。(拍手)
なお肥料價格の抑制につきましては、目下關係方面と引續いてその線に沿うて交渉努力を繼續いたしておりますることを御承知願いたいと思います。
強權發動の點は、おそらく食糧緊急措置令を指しておいでになると思いまするが、これは政府といたしましては、廢止をいたしまする考えはございません。
農地委員の選擧につきましては、リコールの點は考えております。各層の公平なる代表としては、ただいまのこの運用で十分いけるという考えをもつております。御答辯いたします。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=49
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050・野坂參三
○野坂參三君 自席より發言を‥‥。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=50
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051・山崎猛
○議長(山崎猛君) 許可いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=51
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052・野坂參三
○野坂參三君 大藏大臣の答辯については豫算委員會で、さらに他の大臣にも質問するつもりであります。内務大臣のお答えの中には、私の質問しない點に對してお答えになつておる。私の質問したのは、あのゼネストについて警保局長の名前で出されたもので、二・一ゼネストではなく、その後に起る可能のある單獨ストに對して禁止する。これに對してどうするか、これに對してお答えがなかつた。ピントが外れておる。そのほか内務大臣のお答えについて多々不滿の點がありますが、これはさらに別の機會にお尋ねしたいと思います。それから農林大臣のお答えについては、私の聽かないことについて――山林の國有問題については私は聽かなかつた。これについてお答えになつた。こういうような不滿な點がありますが、今日はこれで打切ります。
〔國務大臣植原悦二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=52
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053・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) ただいまの野坂君の再質問で、なお一點御質問のかどがはつきりいたしました。二・一スト後の單獨ストに對する警保局長の意見として發表されたものが、マツカーサー元帥の聲明に反するものと認めるかどうかこういうような御意見ですな。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=53
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054・野坂參三
○野坂參三君 そうです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=54
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055・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 警保局長の意見は、二月一日後において各勞組が單獨にストを行う場合も、それが二・一ストの延長と認められる場合には、マ元帥聲明の趣旨に反するものと認めるというのであります。ストライキが爭議權の濫用と認められる限り、またこれが單獨でありましても、公共の福祉に反すると認定される場合において、これが同時に占領政策にも反することは明らかでありますがゆゑに、かような爭議權の濫用については、マ元帥の聲明と相反しないものと認めるのであります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=55
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056・山崎猛
○議長(山崎猛君) これにて國務大臣の演説に對する質疑は終了いたしました。次會の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散會いたします。
午後五時二十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X00819470221&spkNum=56
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