1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年三月二十七日（木曜日）
午後二時五十二分開議
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議事日程 第二十七號
昭和二十二年三月二十七日
午後一時開議
第一 私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案（政府提出） 第一讀會
第二 復興金融金庫法の一部を改正する法律案（政府提出） 第一讀會
第三 會計檢査院法を改正する法律案（政府提出、貴族院送付） 第一讀會
第四 檢察廳法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第五 下級裁判所の設立及び管轄區域に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第六 裁判所職員の定員に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第七 裁判官の報酬等の應急的措置に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第八 檢察官の俸給等の應急的措置に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第九 所得税法を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十 法人税法を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十一 特別法人税法の一部を改正する等の法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十二 土地台帳法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十三 家屋台帳法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十四 地方税法の一部を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十五 地方分與税法を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十六 相續税法を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十七 國有財産法の一部を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十八 作業會計法を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十九 燃料局特別會計法を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十 造幣局特別會計法の一部を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十一 國有林野事業特別會計法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十二 勞働者災害補償保險特別會計法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十三 公債金特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十四 企業再建整備法等の一部を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十五 勞働者災害補償保險法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十六 健康保險法の一部を改正する等の法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十七 日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十八 日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十九 日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第三十 船舶公團法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第三十一 財政法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第三十二 會計法を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第三十三 行政官廳法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第三十四 宮内府法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第三十五 恩給法の一部を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第三十六 日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の效力等に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第三十七 衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第三十八 昭和二十年度第一豫備金支出の件
昭和二十年度緊急對策費第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計豫備費支出の件
昭和二十一年度第二豫備金支出の件
昭和二十一年度特別會計第二豫備金支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費外豫算超過支出の件
（承諾を求める件）（委員長報告）
第三十九 國會議員の歳費、旅費及び手當等に關する法律案（大野伴睦君外十九名提出） 第一讀會
第四十 議院に出頭する證人の旅費及び日當に關する法律案（大野伴睦君外十九名提出） 第一讀會
第四十一 國會豫備金に關する法律案（大野伴睦君外十九名提出） 第一讀會
第四十二 議院事務局法案（大野伴睦君外十九名提出） 第一讀會
第四十三 國會圖書館法案（大野伴睦君外十九名提出） 第一讀會
第四十四 國會職員法案（大野伴睦君外十九名提出） 第一讀會
第四十五 青年禁酒法案（和崎ハル君外二十一名提出） 第一讀會
第四十六 標準式ローマ字採用に關する決議案（笠井重治君外五名提出）
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質 問
一 元軍用航空基地塩田化に關する質問（二階堂進君提出）
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〔朗讀を省略した報告〕
一、去る二十二日宮内大臣から山崎議長宛次の通牒を受領した。
通 牒
故載仁親王妃智惠子殿下には本月十九日午後七時五十分薨去せられましたから此の旨御通知する。
一、去る二十三日貴族院において、本院から送付の次の政府提出案を可決した旨、同院から通牒を受領した。
日本銀行法の一部を改正する等の法律案
金融機關債券發行特例法案
臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案
一、去る二十五日貴族院において、本院から送付の次の政府提出案を可決した旨、同院から通牒を受領した。
教育基本法案
昭和十四年法律第七十八號を改正する法律案（寺院等に無償にて貸付しある國有財産の處分に關する件）
郵便法の一部を改正する法律案
昭和二十二年度歳入歳出豫算案
昭和二十二年度特別會計歳入歳出豫算案
（改第二號）昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
（改特第一號）昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
（改追第一號）豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件
一、昨二十六日貴族院において、本院から送付の次の政府提出案を可決した旨、同院から通牒を受領した。
裁判所法案
裁判所法施行法案
通信事業特別會計法を改正する法律案
一、議員から提出された議案は次の通りである。
國會議員の歳費、旅費及び手當等に關する法律案
提出者
大野伴睦君 中島守利君
大久保留次郎君 坂東幸太郎君
葉梨新五郎君 村上勇君
犬養健君 石黒武重君
成島勇君 原夫次郎君
水谷長三郎君 中村高一君
田原春次君 佐竹晴記君
松本瀧藏君 宇田國榮君
鈴木彌五郎君 鈴木憲一君
中野四郎君 徳田球一君
議院に出頭する證人の旅費及び日當に關する法律案
提出者
大野伴睦君 中島守利君
大久保留次郎君 坂東幸太郎君
葉梨新五郎君 村上勇君
犬養健君 石黒武重君
成島勇君 原夫次郎君
水谷長三郎君 中村高一君
田原春次君 佐竹晴記君
松本瀧藏君 宇田國榮君
鈴木彌五郎君 鈴木憲一君
中野四郎君 徳田球一君
國會豫備金に關する法律案
提出者
大野伴睦君 中島守利君
大久保留次郎君 坂東幸太郎君
葉梨新五郎君 村上勇君
犬養健君 石黒武重君
成島勇君 原夫次郎君
水谷長三郎君 中村高一君
田原春次君 佐竹晴記君
松本瀧藏君 宇田國榮君
鈴木彌五郎君 鈴木憲一君
中野四郎君 徳田球一君
議院事務局法案
提出者
大野伴睦君 中島守利君
大久保留次郎君 坂東幸太郎君
葉梨新五郎君 村上勇君
犬養健君 石黒武重君
成島勇君 原 次郎君
水谷長三郎君 中村高一君
田原春次君 佐竹晴記君
松本瀧藏君 宇田國榮君
鈴木彌五郎君 鈴木憲一君
中野四郎君 徳田球一君
國會圖書館法案
提出者
大野伴睦君 中島守利君
大久保留次郎君 坂東幸太郎君
葉梨新五郎君 村上勇君
犬養健君 石黒武重君
成島勇君 原夫次郎君
水谷長三郎君 中村高一君
田原春次君 佐竹晴記君
松本瀧藏君 宇田國榮君
鈴木彌五郎君 鈴木憲一君
中野四郎君 徳田球一君
國會職員法案
提出者
大野伴睦君 中島守利君
大久保留次郎君 坂東幸太郎君
葉梨新五郎君 村上勇君
犬養健君 石黒武重君
成島勇君 原夫次郎君
水谷長三郎君 中村高一君
田原春次君 佐竹晴記君
松本瀧藏君 宇田國榮君
鈴木彌五郎君 鈴木憲一君
中野四郎君 徳田球一君
製鹽事業に對する石炭配給中止反對に關する決議案
提出者 豊澤豊雄君
（以上三月二十五日提出）
一、去る二十三日衆議院規則第十五條但書に依り議長において議席を次の通り變更した。
二 小柳冨太郎君
三 芦田均君
二九六 滋賀縣選出議員
三二一 福岡縣第一區選出議員
一、去る二十三日次の通り特別委員の異動があつた。
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案（政府提出）委員
辭任小野瀬忠兵衞君 補闕稻本早苗君
辭任椎熊三郎君 補闕西山冨佐太君
辭任青木泰助君 補闕小川半次君
辭任日比野民平君 補闕井上東治郎君
辭任小川半次君 補闕生方大吉君
辭任稻本早苗君 補闕大久保傳藏君
所得税法を改正する法律案（政府提出）外六件委員
辭任二階堂進君 補闕的場金右衞門君
行政官廳法案（政府提出）外一件委員
辭任岡部得三君 補闕山崎岩男君
辭任酒井俊雄君 補闕竹山祐太郎君
石油配給公團法案（政府提出）外四件委員
辭任東隆君 補闕竹山祐太郎君
地方競馬法の一部を改正する法律案（小川原政信君外五名提出）委員
辭任川野芳滿君 補闕的場金右衞門君
一、去る二十四日吉田内閣總理大臣から次の通り政府委員を仰せつけられた旨の通牒を受領した。
内閣事務官 岸田實
第九十二囘帝國議會政府委員
大藏參與官 高橋英吉
第九十二囘帝國議會大藏省所管事務政府委員
司法事務官 石井良三
第九十二囘帝國議會司法省所管事務政府委員
厚生事務官 米澤常道
引場援護院次長 大野連治
第九十二囘帝國議會厚生省所管事務政府委員
商工事務官 平井富三郎
同 小山雄二
第九十二囘帝國議會商工省所管事務政府委員
一、去る二十四日委員長理事互選の結果次の通り當選した。
地方競馬法の一部を改正する法律案
（小川原政信君外五名提出）委員
委員長 佐伯忠義君
理事
小川原政信君 大久保傳藏君
正木清君
一、去る二十四日特別委員理事補闕選擧の結果次の通り當選した。
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案（政府提出）委員
理 事 椎熊三郎君（理事荒木武行君去る二十二日委員辭任につきその補闕）
行政官廳法案（政府提出）外一件委員
理 事 山崎岩男君（理事岡部得三君去る二十三日委員辭任につきその補闕）
勞働者災害補償保險法案（政府提出）委員
理 事 山下榮二君（理事松岡駒吉君去る二十四日委員辭任につきその補闕）
一、去る二十四日次の通り特別委員の異動があつた。
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案（政府提出）委員
辭任生方大吉君 補闕椎熊三郎君
辭任井上東治郎君 補闕五坪茂雄君
所得税法を改正する法律案（政府提出）外六件委員
辭任八木佐太治君 補闕林田正治君
辭任菊池長右ェ門君 補闕中野武雄君
辭任綿貫佐民君 補闕田中實司君
辭任厚東常吉君 補闕亘四郎君
財政法案（政府提出）外一件委員
辭任廣川弘禪君 補闕小野孝君
勞働者災害補償保險法案（政府提出）委員
辭任松岡駒吉君 補闕山下榮二君
石油配給公團法案（政府提出）外四件委員
辭任内海安吉君 補闕庄司一郎君
辭任稻本早苗君 補闕寺田榮吉君
辭任金子益太郎君 補闕細田綱吉君
一、去る二十五日次の通り特別委員の異動があつた。
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案（政府提出）委員
辭任大久保傳藏君 補闕山崎岩男君
辭任西山冨佐太君 補闕堀川恭平君
辭任松原一彦君 補闕石田一松君
行政官廳法案（政府提出）外一件委員
辭任原彪之助君 補闕川島金次君
地方競馬法の一部を改正する法律案（小川原政信君外五名提出）委員
辭任瀧澤濱吉君 補闕小池新太郎君
一、昨二十六日衆議院規則第十五條但書に依り議長において議席を次の通り變更した。
五 矢野庄太郎君
六 林平馬君
七 大宮伍三郎君
八 鈴木彌五郎君
九 米山文子君
二二 飯田義茂君
三四 秋田大助君
六五 池上隆祐君
八九 野本品吉君
一八九 山田悟六君
二五一 石原圓吉君
一、昨二十六日次の通り特別委員の異動があつた。
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案（政府提出）委員
辭任大島多藏君 補闕松原一彦君
辭任五坪茂雄君 補闕佐伯忠義君
石油配給公團法案（政府提出）外四件委員
辭任香川兼吉君 補闕豊澤豊雄君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=0
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001・井上知治
○副議長（井上知治君） これより會議を開きます。吉田内閣總理大臣より詔書を傳達せられました。ここに捧讀いたします。諸君の御起立を望みます。
〔總員起立〕
朕は、三月三十一日まで四日間帝國議会の会期の延長を命ずる。
〔總員敬禮〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=1
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002・井上知治
○副議長（井上知治君） この際暫時休憩いたします。
午後二時五十三分休憩
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午後八時五十分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=2
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003・山崎猛
○議長（山崎猛君） これより會議を開きます。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=3
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004・椎熊三郎
○椎熊三郎君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、日程第三十七を繰上げ上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=4
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005・山崎猛
○議長（山崎猛君） 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=5
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006・山崎猛
○議長（山崎猛君） 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は變更せられました。
日程第三十七、衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の第一讀會の續を開きます。委員長の報告を求めます。委員長岩本信行君。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=6
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007・会議録情報2
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第三十七 衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
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報告書
一 衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案（政府提出）
右は本院において別紙の通り修正すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月二十六日
委員長 岩本 信行
衆議院議長山崎 猛殿
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第百條ノ二を削る。
附帶決議
参議院議員選挙法については、本委員会の修正に合致するよう適当の措置を講ずること。
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〔岩本信行君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=7
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008・岩本信行
○岩本信行君 ただいま議題となりました衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の、特別委員會の經過竝びに結果につきまして御報告を申上げます。
本案は、去る十三日、議長指名十八名の委員に付託せられました。委員會は、十四日に委員長、理事の互選を行いました後、直ちに審議に入り、委員各位には、熱心にしてかつ忌憚なき質疑應答を行われたのであります。今法案改正の要點竝びに質疑應答の内容を申し上げますが、何せよ、連日にわたりまして、それぞれの委員から、熱火鐵をもとかすような、ときには泰山まさに崩るるかと危ぶまれるような、眞摯な數百萬言が費やされたのであります。これに對しまして、當局また愼重、滿を持して答辯にあたられたのでありますが、その詳細は、すべて浩瀚なる速記録に讓るといたしまして、ここには政府原案に直接關係のある部分、しかもその二、三についてのみ御報告を申し上げます。
本案の内容とするところは、選擧權、被選擧權の擴張、選擧管理委員會制の採用に伴う規定の整備、兼職禁止の擴大、重複立候補を避けたこと、供託金を五千圓に引上げたこと、繰上補充が從來一年間なりしを、同點の場合を除き當選承諾期間に變更したこと、選擧公報を經歴公報に改めたこと、文書の頒布制限及び事後の挨拶行爲に關する制限撤廢、學校兒童生徒の利用禁止の規定新設、候補者及び政黨の收入支出の公開、費用の最高額基準をその時々命令で定め得ることにしたこと、罰金を十倍にしたこと、葉書一萬枚を無料差出しとしたこと、出訴裁判所を高等裁判所としたこと、演説會公營學校として官立私立もすべて認めたこと等であります。
質疑としましては、從來の選擧、特に前囘の總選擧に見まするのに、たとえば事務所の數は制限せられておりまするにもかかわらず、縣内數百箇所の學校や農業會事務所が選擧事務所となつた例や、何萬人の兒童が公々然と利用せられた等のことがあつて、正直者がばかをみたという結果が出ておるが、こうしたことは根本から拂拭する必要があるがということでありましたが、これに對しまして、お尋ねのような點が遺憾ながら前囘にはあつた、しかしながら今後は、今囘の改正によつて必ず是正せらるるということでありました。
次に、文書、圖畫等の特例がまだ效力を發しておらない前に頒布せられたものがあるが、それはどう取扱うかという質問に對しまして、それは取消させる方針だという答えがあつたのであります。次に、葉書とかポスター等は莫大なる量を必要とするのだが、その準備に手違いはないかという質問に對しまして、萬違算なきを期しておるという答辯があつたのであります。
また繰上當選擧の方法は、從來の通り一年としなければ、再選擧の囘數が多くなつて、かえつて不便ではないかという質問に對しまして、選擧の責任を重大に考え、かかる場合再び民意に問うということが適當と考える、なお當選無效訴訟中のものは、從前通りであるといふ辯答があつたのであります。また法案成立の見透しと會期の關係等について質疑をいたしましたことに對して、政府は最善を盡して善處する用意のある旨の答辯があつたのであります。次に、選擧運動の費用を公營とする意思があるかどうかという質問に對しましては、政府は經費の關係等からできがたいが、選擧運動そのことを、できるだけ公營の方法をとつてまいりたいという答辯があつたのであります。
そこでいよいよ討論に入りまして、日本自由黨の小澤佐重喜君及び日本進歩黨の山下春江君より、おのおの原案に贊成する旨の發言があつたのであります。また日本社會黨の鈴木義男君よりは、比例代表に關しまして、修正意見の開陳がありました。國民協同黨の松原一彦君よりは、第九十六條を削除するという修正意見の開陳があつたのであります。なお日本社會黨の佐竹晴記君よりは、現行法第百條の二を復活して存置するという修正、その他數項にわたる修正につきまして、意見の開陳をせられたのであります。採決の結果、鈴木君提案の修正及び松原君提案の修正は、いずれもお氣の毒ながら少數をもつて否決せられたのであります。（拍手）また佐竹君提案の修正案のうち、現行法第百條の二を復活存置するという修正部分につきましては、各派の贊成するところとなりまして、この分だけは全會一致をもつて、修正提案の通り決しましたが、他の條項に對する修正は、少數をもつて否決となつた次第であります。（拍手）次に原案につきましては、現行法第百條の二を復活存置する修正部分を除きまして、政府提案の通り決した次第であります。
最後に各派より共同の附帶決議が提案せられたのでありますが、今ここにこれを朗讀いたします。
附帶決議
参議院議員選挙法については、本委員會の修正に合致するよう適當の措置を講ずること。
以上であります。これは委員會修正の結果、選擧の期日後におきまして、選擧人にいわゆるお禮まわりや挨拶をする行爲を制限する規定を復活存置することといたしましたから、これに參議院議員選擧法も合致するように、政府において適當の措置を講ずべしという趣旨であります。この附帶決議は全會一致をもつて可決をいたした次第であります。以上をもちまして委員長報告といたします。（拍手）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=8
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009・山崎猛
○議長（山崎猛君） 本案に對しては、大野伴睦君ほか一名、原彪之助君及び徳田球一君ほか二名より、成規により修正案が提出されております。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=9
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010・会議録情報3
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衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案（政府提出）に対する修正案
右成規により提出する。
昭和二十二年三月二十七日
提出者 大野伴睦外一名
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第五十二條第一項第五号但書及び第五十二條ノ二第一項第三號但書中「官位、」を削り、「住居」を「住所」に改める。
第六十八條第一項中「二千圓」を、「五千圓」に改める。
第六十九條第二項中「年齡多キ者ヲ取リ年齡モ亦同シキトキハ」を削り、同條第五項を次のように改める。
第七十二條中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第七十九條第二項中「議院法第八十四條ノ規定ニ依ル衆議院議長ノ通牒」を「衆議院議長ヨリ其ノ旨ノ通知」に、「地方長官」を「都道府縣ノ長ヲ經テ都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改め、同條第三項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府懸會議員選擧管理委員會」に、「選擧ノ期日ヨリ一年以内」を「第七十四條ノ期限前」に、「選擧ノ期日ヨリ一年經過後」を「其ノ期限經過後」に改め、同條第五項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に、「二十日」を「三十日」に改め、同條第六項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改め、同條第八項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又は道府縣會議員選擧委員會」に、「十四日」を「二十五日」に改める。
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衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案（政府提出）に対する修正案
右成規により提出する。
昭和二十二年三月二十七日
提出者 原彪之助
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衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第二十七條 選擧人ハ投票所ニ於テ名簿式投票用紙ニ自ラ議員候補者を其ノ選擧區ノ定員ニ達スル迄記號ヲ附シテ投票スベシ
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衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案（政府提出）に対する修正案
右成規により提出する。
昭和二十二年三月二十七日
提出者 徳田球一外二名
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第一條 衆議院議員は全國を一選挙区とする完全比例代表制でこれを選挙する。
第四條 削除
第二十七條第一項中「左ノ區分ニ從ヒ」、「又ハ數人」及び第一号、第二号、第三号を削る。
第五十二條第一項中「第二十七條第一項第一號ノ規定ノ適用アル選挙區ニ於ケル投票ニシテ」を削る。
第五十二條ノ二 削除
第六十七條第一項中「議員候補者タラムトスル者」の次に「及びそれぞれの党」を加える。
第六十九條 当選者は次の規定で決める。
一 総投票数の総計を議員定数で割り、その数を標準数とし、それで、それぞれの党の投票数を割つて得られた数を、第一次のそれぞれの党の当選者数とする。
二 前号によつても当選者が定員に満たない場合には、それぞれの党の残りの投票数の按分比例によつて議員定数に満ちるまで当選者数を繰り上げる。
三 前二号によつて得られた当選者数だけ、それぞれの党の提出した立候補名簿によつて、上から順に取つて、きめる。
第七十三條中第二項を削る。
第七十九條 議員に闕員を生じたときには、闕員議員の属する党より第六十九條第三号の規定によりこれを満たす。
第百四十四條ノ三 削除
別 表 削除
全法文中「勅令ヲ以テ」はすべて、「國会の承認によつて」と改める。
全法文を口語体に改める。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=10
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011・山崎猛
○議長（山崎猛君） なお本案に對しては、鈴木義男君ほか六名より少數意見が提出されております。この際少數意見の報告を求めます。鈴木義男君。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=11
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012・会議録情報4
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少数者意見書
一 衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案（政府提出）
右は本院において別紙の通り修正すべきものと認めここに少数者意見書を提出する。
昭和二十二年三月二十六日
委員少数者 鈴木義男外五名
〔別紙〕
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第二十七條 第一項中「左ノ區分ニ從ヒ」「又ハ數人」及び第一号乃至第三号を削る。
第六十九條 第一項中「有效投票ノ最多數ヲ得タル者」を「得票最多數ノ者」に、「有效投票ノ總數」を「各議員候補者ノ得票ノ總數」に改め、第一項を第二項とし、以下順次繰下げ新たに左の如く第一項を加える。
「有效投票中第一位ノ多數ヲ得タル者ヲ第一順位ノ當選者トシ其ノ得票中次順位ノ者トノ差數ヲ其ノ當選者ト同一政黨ニ屬スル次順位ノ者ノ得票數ニ加算シ其ノ加算シタル得票數ト前記次順位者ノ得票數トヲ比較シ第二順位ノ當選者トシ以下同一方法ニヨリ同一政黨所屬ノ次順位得票者ニ第一順位以下ノ當選者ノ得票ヲ移讓シ定員數ニ達スル迄ノ得票ノ計算ト爲シ當選人ヲ決定ス」
末項に「議員候補者ハ第六十七條第一項ノ屆出ノ日ニ所屬スル政黨アルトキハ之ヲ選擧管理委員會ニ屆出ズベシ若シ右期日ニ本項ノ屆出ナキトキハ本條第二項ニ依ル得票ノ移讓ヲ受クルコトヲ得ザルモノトス」を加える。
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〔鈴木義男君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=12
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013・鈴木義男
○鈴木義男君 小數意見といえども尊重するのが議會政治と信ずるのであります。少數意見は永久に少數意見でないこともあるからであります。他日人心を得ますれば、多數となり、現實政治の上に實現せらるることがあり得るのであります。現にこの間も參議院議員選擧法改正について、私はこの壇上より反對意見を述べたのであります。時の内務大臣はその必要なしとお答えになつたのであるが、未だ何箇月を出でず、未だ一囘も施行せざる參議院議員の選擧法に對して、私が述べた通りの改正を最近行つたことは、御承知の通りであります。（拍手）
多數決というものは會議體の唯一の實際的運營の方法であります。人類が長い間研究した結果到達した唯一の方法でありまするが、しかしこれはあくまでも便宜に出ずるものでありまして、決してこれは數の專制ではないのであります。專制政治と立憲政治の異なるところは、常に少數意見に對しましても、反對意見に對しましても、これを聽き、これを參考として十分に取入れる雅量を示すという點にあるのであります。（拍手）
かの英國の議會におきましては、さすがに民主主義の祖國だけありまして、常に反對黨に對しても、陛下の反對黨なる名稱をもつて呼び、わが名譽ある紳士よと、必ず反對黨の議員を呼ぶにも冒頭語を用ゆることになつておるのでありまして、わが國におきましても、願わくはかくのごとき敬虔なる氣持を、反對黨に對してももつようにありたいと思うのであります。
この委員會におきまして、まれに見る言論の抑壓の行われたことは遺憾であつたのであります。（拍手）私が最初‥‥‥
〔發言する者あり〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=13
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014・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=14
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015・鈴木義男
○鈴木義男君（續） 私が委員會に臨みましたときに‥‥‥
〔發言する者あり〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=15
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016・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=16
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017・鈴木義男
○鈴木義男君（續） 劈頭第一に‥‥、
〔發言する者あり〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=17
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018・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=18
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019・鈴木義男
○鈴木義男君（續） いたずらに數をたのんで壓迫せんとしましたるがために、かえつて會議は紛糾いたしまして、論議は長きにわたつたのでありまして、勢いの激するところ、遂に委員長のいわゆる勇壯活發なる行動まで展開いたしたのでありまして、（拍手）われ人ともに遺憾とするところであります。
〔發言する者あり〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=19
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020・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=20
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021・鈴木義男
○鈴木義男君（續） これは委員長が言われた言葉であります。委員長が勇壯活發と仰せられたのであります。（「言わない」と呼ぶ者あり）いや、委員會において挨拶に述べられた言葉であります。こういう例が今後再び繰返されないように希望する次第であります。
委員長の少數意見に對する御報告が必ずしも十分でありませんから、念のため、ここに小數意見の補足説明をいたしておくのであります。このわが黨の提案いたしました修正意見は、案文を讀むことを省略いたしまするが、簡單な言葉で申せば、大選擧區單記移讓式比例代表法というのであります。何ゆえこういう修正を提案いたしたかと申しますると、元來わが黨は、この政府が提出いたしましたる手續規定の改正案に對して、これに附帶して、かくのごとき重大なる修正案を提出する素志はなかつたのであります。しかるに自進兩黨が、まさに次の瞬間において御提出にならんとする修正案があるということでありますから、もし修正をいたしますならば、できるだけ合理的なるよき修正をいたしたいという見地から、かくのごとき提案をいたしたのであります。
もちろんわが黨が今にわかに自進兩黨の修正案に贊成でないというのは、理論上の立場からだけでなく、實際上の立場からでもあるのであります。現行法は必ずしも缺點がないとは申しません。しかし選擧戰の開始を近々一週間の後に控えて、各黨各候補者とも、大選擧區を前提としてそれぞれ準備もほぼ整いましたる今日、それを一切御破算にして新しい準備をするのいとまのないことを知りつつ、拔打的に、わが黨の水谷君が申しました、いわゆる巾着切りのように、どさくさまぎれに、數をたのんでがむしやらに、惡く申せば陰謀的にやつてまで、現行法を捨てて中選擧區制に乘り換えなければならないほどの缺陷を認めるわけにはいかないのでありまして、（拍手）現行法は、世界の選擧法の趨勢から申しましても、累積投票法という、少數代表を生かす精神からできておる、相當よい法律でありまして、少くともいま一度くらいは使うに足りる制度であると考えるのであります。
けさの朝日新聞にも、こういうどさくさまぎれの修正というものは、今まさに野球が始まろうとしておる入口で、入場者を待たせておいて、野球のルールを一つこれから變えることにしようという、ルールの變更の相談をしているのに似ていると揶揄しておられたのでありますが、（拍手）まさにその通りであると思うのであります。
また本日の東京新聞は、その「聲」の欄において、こういう記事を掲載しておるのであります。「自進兩派では、議會の會期がわずか旬日を殘すのみとなつた今、にわかに選擧法の改正案――中選擧區制への逆もどり案を提出することに決定した。しかも社、國、共など野黨各派の猛反對をも押し切つて、しやにむに多數で押し切る作戰であると新聞は傳えている。一體選擧法の改變などということは、議會政治を基本とする民主主義國では最も重大な政治問題であり、全國民の十分の討議研究を經た上練り上げらるべきものである。そのような大問題を、會期が切迫し、しかも重要法案の山積しておる議會に、にわかに提案して、國民の聲をも聽かず數をもつて押し切ろうという態度そのものが、まつたく民主主義政治の何たるかを知らぬ、言語道斷の措置というのほかない。選擧法改正については、舊臘の議會開會直後から保守派では問題にしていたのである。彼らがもし眞に中選擧區への逆もどりでわが國の民主政治確立の上に不可缺の要素であると考えるなら、何ゆえに議會開會冒頭に堂々と上程して、全國民の批判をまち、論議を盡すことをしなかつたのか。保守派が唱えている中選擧區制は、過去二十數年わが國で既に經驗濟みのものだ。選擧區を狹くするということは、結局金と顏の横行をきかせ、ボスどもに有利になる以外には、何の效果もないことは明白である。八十九議會では、このゆえにこそ當時堀切内相も言明したごとく、比例代表制への過渡的なやり方として」‥‥発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=21
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022・山崎猛
○議長（山崎猛君） 鈴木君に御注意します。少數意見の報告でありますから、討論にわたらないようお願いいたします。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=22
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023・鈴木義男
○鈴木義男君（續） 承知いたしました。
〔發言する者多し。〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=23
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024・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。
〔發言する者多し〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=24
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025・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=25
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026・鈴木義男
○鈴木義男君（續） このことは、われわれの議論ではなく、天下の輿論であります。とにかく、われわれが實際的でかつ穩健妥當な議論をいたしたにもかかわらず、自進兩黨が、修正に名をかりて、しやにむに選擧法の根幹に手を入れようとされましたがゆえに、わが黨としても、この際思い切つて理論的な、理想的な、よい選擧制度に改めるべく努力したいと存じた次第であるのであります。
そこで比例代表法の眞の特長を説明いたしますためには、詳細に‥‥
〔發言する者多し〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=26
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027・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=27
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028・鈴木義男
○鈴木義男君（續） 詳しく論じなければならぬのでありますが、既に委員會におきまして詳細申し述べたところでありまするから‥‥
〔發言する者多し〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=28
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029・山崎猛
○議長（山崎猛君） 私語を禁じます。
〔發言する者多し〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=29
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030・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=30
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031・鈴木義男
○鈴木義男君（續） 私の演説の時間は三十分でありまして‥‥
〔發言する者多し〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=31
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032・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=32
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033・鈴木義男
○鈴木義男君（續） 三十分でありまするから、できるだけ靜かに御清聽を願いたいのであります。
普通選擧の‥‥
〔發言する者多し〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=33
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034・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=34
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035・鈴木義男
○鈴木義男君（續） 法的根據はいろいろな特徴がありまするが、民衆の能力の向上ということと、普通選擧を施行したことによりまして、勞働者、無産者の地位の向上、自覺を上昇せしめたということは、世界を通じて爭いのない事實であります。そこでこの選擧法の改正にあたりましては、せつかく勞働者あるいは無産階級に與えられた自覺の向上を妨げざるように配慮することが、最も大切なことであると思うのであります。
選擧は一種の選擧民團という集團的な行爲でありまするから、憲法によつて保障せられたる團結の權利のごとく、これをもつて勞働者あるいは無産者の利害を議會に反映せしむべく、有效に投票權を行使せしむるようにしなければならぬのであります。選擧區が廣いほど、その效果は大きいのでありまして、そのために、せつかく大選擧區制というものが採用されているのである。これを分割することは、明らかに進歩的、民衆的勢力の増進を分割することであり、妨げることであると思うのである。（拍手）
最も合理的なる制度は、全國選擧區の制度でありまして、理論的には確かに全國を一選擧區にすることが正しいのでありまするが、これには實際實施上の缺點がありまするがゆゑに、私どもはにわかにその理論上の要求に從わないのであります。參議院議員選擧法においても、全國選擧區に反對いたしましたのは、實際上の缺點から出ておるのであります。
あるいは小選擧區が一番理想的であるという議論もありまするが、これはわれわれも、政治意識が發達した後におきましては認めるのでありまするが、最大の缺點は、必ずしも多數意見を代表しない。五萬一人の選擧區においては、二萬五千一票をとつた者は當選し、二萬五千票をとつた者は落選する。二萬五千票は殘票となつてしまう缺點があるのでありまして、それらの少數意思というものは反映されないということが最大の缺點であります。
ゆえに大選擧區制が、この缺點をもたざるものとして考えられるのでありますが、その大選擧區制におきましても、いろいろな制度を用いることによりまして、少數代表の實現を期待いたしておるわけであります。あるいは集積投票法、完全連記制というものであります。あるいは有限投票法、ただいまの大選擧區制限連記制がそれであります。いずれも死票をできるだけ少くして、少數代表の精神を入れようというところにあるわけであります。
しかしこれらはいずれも偶然の事情に委ねられる缺點がありまするがゆえに、あたかも國民の輿論を地圖に書き現わすがごとく、比例的に代表せしむるものとして、比例代表法なるものが提唱せられたこと、諸君の御承知の通りであります。この原理は、三つ以上の政黨があることを前提とするのでありまして、政黨支持の國民意思の比率を見ようとするのであります。從つて必ず大選擧區たることを要するのであります。
この制度は、二つの原理の上に立つのでありまして、投票總數を通算いたしまして、一定數ごとに候補者を當選者とする。一名の候補者を當選せしめまするに必要なる一定數を、當選票數――クオータと申すのでありまして、あるいは當選標準數とも言うのである。五千人の有權者がある區におきまして、五人の定員であるといたしますれば、千人が當選標準數である。千點以上をとつた者は當選である。そうすると甲黨の候補者は三千票を得、乙黨の候補者は二千票を得たといたしますれば、三名と二名の比率において當選するということであります。
第二は投票の移讓であります。當選標準數以上の多くの個人の投票は、他の者に讓ることができる。
〔發言する者多し〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=35
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036・山崎猛
○議長（山崎猛君） 靜肅に。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=36
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037・鈴木義男
○鈴木義男君（續） またとうてい當選の見込みのない、二百、三百しかとれない者の票も、當選可能なる者に讓る。これによつて一票も死票がなくなるのであります。少くとも死票というものは非常に少くなるのであります。
時間が制限せられておりまするから、ごく簡略に申し上げておるのでありまするが、以上の方法によりまして、單記移讓式比例代表、名簿式比例代表との二種にわかつわけであります。この單記移讓式は、一種の完全連記と同じ效果をもつものでありまして、つとにデンマークにおいて發明され、その後世界各國に採用せられるに至つたことは、委員會において國名を列擧したところであります。名簿式比例代表制も、つとにスイスにおいて研究せられまして、スイスの各洲に採用せられ、その後世界の各國に採用せられるに至つておるということも、御承知の通りであります。ゆえにわが黨は、この際もし選擧法を修正するならば、できるだけ理想的な案として、この大選擧區比例代表にもつていくことが、最も正しく民意を反映せしむるゆえんである。こう信じまするがゆえに、提案をいたしたわけであります。
中選擧區單記ということは、これはごうもその合理的な根據を發見することができないのである。ただ實際の便宜だけを標準としたものでありまして、その現われてくる結果が偶然にのみかかるということは、學者の研究の一致しておるところであります。（拍手）單記移讓式は、比例代表法のうちでも最も簡單な制度でありまして、國民の意向を比例的に示すのには、最も適當な制度であると信ずるのであります。かかるがゆえにわが黨は、比例代表法を採用せらるるように、委員會において熱心に主張いたしたのでありまするが、本會議におきましても、何とぞ愼重に審議せられまして、單に黨派的立場ということにとらわれずに、是を是とし、非を非とする御態度から、御贊成あらんことを希望するものであります。（拍手）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=37
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038・山崎猛
○議長（山崎猛君） この少數意見には成規の贊成ありと認めます。よつて小數意見は修正案として成立いたしました。他の三修正案の趣旨辯明は、提出者よりそれぞれ省略の申出がありました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=38
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039・椎熊三郎
○椎熊三郎君 本案に對する審議は、本日はこの程度に止め、ただいま議題となつております新修正案は、愼重に愼議するため、特に議長指名三十名の委員に付託せられんことを望みます。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=39
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040・山崎猛
○議長（山崎猛君） 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=40
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041・山崎猛
○議長（山崎猛君） 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
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042・椎熊三郎
○椎熊三郎君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、日程第四ないし第八の五案を繰上げ一括上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=42
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043・山崎猛
○議長（山崎猛君） 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=43
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044・山崎猛
○議長（山崎猛君） 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は變更せられました。
日程第四、檢察廳法案、日程第五、下級裁判所の設立及び管轄區域に關する法律案、日程第六、裁判所職員の定員に關する法律案、日程第七、裁判官の報酬等の應急的措置に關する法律案、日程第八、檢察官の俸給等の應急的措置に關する法律案、右五案を一括して第一讀會の續を開きます。委員長の報告を求めます。委員長小島徹三君。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=44
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045・会議録情報5
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第四 檢察廳法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第五 下級裁判所の設立及び管轄區域に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第六 裁判所職員の定員に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第七 裁判官の報酬等の應急的措置に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第八 檢察官の俸給等の應急的措置に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
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報告書
一 檢察廳法案（政府提出）
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月二十二日
委員長 小島 徹三
衆議院議長山崎 猛殿
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報告書
一 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律案（政府提出）
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月二十二日
委員長 小島 徹三
衆議院議長山崎 猛殿
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一 裁判所職員の定員に関する法律案（政府提出）
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月二十二日
委員長 小島 徹三
衆議院議長山崎 猛殿
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報告書
一 裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律案（政府提出）
右は本院において別紙の通り修正すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月二十二日
委員長 小島 徹三
衆議院議長山崎 猛殿
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裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律案の一部を次のように修正する。
第二條に次の但書を加える。
但し、東京高等裁判所長官に補せられた者については、当分の間、他の高等裁判所長官の受ける報酬の額より高く、最高裁判所が定める額とする。
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報告書
一 檢察官の俸給等の應急的措置に関する法律案（政府提出）
右は本院において別紙の通り修正すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月二十二日
委員長 小島 徹三
衆議院議長山崎 猛殿
檢察官の俸給等の應急的措置に関する法律案の一部を次のように修正する。
第一條中「國務大臣の受ける俸給の額に次ぐものとし内閣でこれを定める。」を「國務大臣の受ける俸給の額と同額とする。」に改める。
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〔小島徹三君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=45
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046・小島徹三
○小島徹三君 ただいま議題と相なりました檢察廳法案ほか四件の、委員會における經過竝びに結果を御報告申し上げます。
本委員會は、去る十九日、政府當局より以上五件につき順次提案理由の説明を聽取し、引續き三日間にわたり、政府との間に質疑應答をいたしたのでありまするが、詳細は速記録に讓りまして、質疑應答のおもなるもの一、二について御説明申し上げます。
まず檢察廳法について御説明申します。質疑の第一は、檢察官と、他の法令により搜査の權限を有するものとの關係は、本法中に規定すべきものであり、これを檢察廳法第六條第二項で、手續法たる刑事訴訟法に讓ることは、適當ではないのではないかということでありました。これに對し政府より、質問の趣旨には同感であるが、警察制度の改革とにらみ合わせて、適當の規定をおく考えであり、それまで一應刑事訟訴法に讓つたものであるとの答辯がありました。
質疑の第二は、刑事訴訟法改正に對する臨時法制調査會の附帶決議には、「司法警察官はこれを檢察廳の所屬に移すべきものなるも、その適當な時期に至るまで檢察廳は司法警察官に對する指導監督及び教養を嚴にし、搜査の適正と迅速を期すべきものとする。」ということであつたが、これに對し政府はいかに考えるのかということでありました。これに對し政府より、この點は十分考慮する、さきに定めた檢察補佐官制度もその趣旨であるとの答辯がございました。
かくして二十三日質疑を終了いたして討論にはいりましたところ、日本自由黨の山口好一君、日本進歩黨の中村又一君より、それぞれその黨を代表して、原案に對する全面的贊成の意を表せられました。次いで日本社會黨黒田壽男君より、「政府は、司法制度を構成する人的要素の民主的改革を徹底せしめる見地より、將來、檢察官の任免につき善處すべし。」との希望條件を附して贊成意見を述べられました。次いで採決に入り、全員一致をもつて原案を可決いたした次第であります。
次に、下級裁判所の設立及び管轄區域に關する法律案につき御説明申し上げます。本法案は、さきに當院を通過いたしました裁判所法案第二條第二項に基いて提出せられたものでありまするが、提出の趣旨及び質疑は、これを速記録に讓ります。本法に基き設けらるる簡易裁判所につきましては、新しい裁判所でありまするので、その設置箇所及び管轄區域につきましては、政府においても詳細に現地の事情を調査した上で決定する方針で、今なお鋭意調査研究中であり、從つて今囘はこの法律の規定に基いて、暫定的に政令でこれを定めることとせられたのであつて、新憲法施行後の最初の國會に、この點に關する改正法案の提出が豫定せられておるとのことでありました。しこうして本委員會におきましては、別段の質疑もなく、本法案は全員一致をもつて原案通り可決いたされました。
次に、裁判所職員の定員に關する法律案について申し上げます。本法案は、裁判所法において、下級裁判所の裁判官、司法研修所教官、裁判所調査官、裁判所事務官、裁判所技官の各員數は、別に法律でこれを定めるように規定しておりまするので、これらの規定に基いて提出せられたのでありますが、これまた本委員會において別段の質疑なく、全員一致をもつて原案通り可決せられました。
次に、裁判官の報酬等の應急的措置に關する法律案について御報告申し上げます。本法案は、裁判所法案において、裁判官の受ける報酬については別に法律でこれを定めることとし、また司法修習生には、國庫から一定額の給與を支給することと規定いたしておりますので、これらの規定に基いて提出せられたのであります。その審議の經過の詳しい點につきましては、前法案同樣速記録に讓ることといたしまして、ここでは委員會で特に問題となりました東京高等裁判所長官の受ける報酬の額の問題についてその概要を申し上げます。
原案は、その第二條において、「高等裁判所長官の受ける報酬の額は、當分の間、各省次官の受ける俸給の額より高く、國務大臣の受ける俸給の額より低い額の範圍内で最高裁判所が定める額とする。」と規定しておりますが、御承知の通り東京高等裁判所は、その機構において、またその規模において、他の全國七箇所の高等裁判所と比較にならぬ大きなものと相なりまするので、これが長官たる者の受ける報酬の額は、當然他の高等裁判所長官の受ける報酬の額より高く定めらるべきであるとの見地からいたしまして、自由黨山口好一君より、日本自由黨、日本進歩黨、日本社會黨及び國民協同黨の共同提案として、第二條に次に述べるような但書を加うべしとの修正案が提出せられたのであります。修正案文を朗讀いたします。
但し東京高等裁判所長官に補せられた者については、當分の間、他の高等裁判所長官の受ける報酬の額より高く、最高裁判所が定める額とする。というのであります。しかして右修正案は、採決の結果、全員一致で可決せられました。次いで右修正部分以外の點について採決の結果、すべて全員一致をもちまして原案通り可決いたしました。
次に、檢察官の俸給等の應急的措置に關する法律案について申し上げます。本法案は、檢察廳法第二十一條の規定に基いて提出せられたものであります。本法案の審議におきましても、格別の質疑もなく、進歩黨の中村又一君より、原案可決の動議の提出がありまして、採決の結果、全員一致をもつて可決せられた次第であります。
以上五件、はなはだ簡單でございまするが、御報告申し上げます。（拍手）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=46
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047・山崎猛
○議長（山崎猛君） 五案の第二讀會を開くに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=47
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048・山崎猛
○議長（山崎猛君） 御異議なしと認めます。よつて五案の第二讀會を開くに決しました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=48
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049・椎熊三郎
○椎熊三郎君 直ちに五案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して、委員長報告の通り可決せられんことを望みます。発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=49
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050・山崎猛
○議長（山崎猛君） 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=50
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051・山崎猛
○議長（山崎猛君） 御異議なしと認めます。よつて直ちに五案の第二讀會を開き、議案全部を議題といたします。
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檢察廳法案 第二讀會（確定議）
下級裁判所の設立及び管轄區域に關する法律案 第二讀會（確定議）
裁判所職員の定員に關する法律案 第二讀會（確定議）
裁判官の報酬等の應急的措置に關する法律案 第二讀會（確定議）
檢察官の俸給等の應急的措置に關する法律案 第二讀會（確定議）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=51
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052・山崎猛
○議長（山崎猛君） 別に御發議もありません。第三讀會を省略して、五案とも委員長報告通り可決確定いたしました。（拍手）
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=52
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053・椎熊三郎
○椎熊三郎君 殘餘の日程はこれを延期し、明二十八日定刻より特に本會議を開くこととし、本日はこれにて散會せられんことを望みます。が議長（山崎猛君） 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=53
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054・山崎猛
○議長（山崎猛君） 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散會いたします。
午後九時三十七分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X02819470327&spkNum=54
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