1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年三月三十一日(月曜日)
午前十一時五十五分開議
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議事日程 第三十一號
昭和二十二年三月三十一日
午前十時開議
第一 {昭和十九年度歳入歳出總決算昭和十九年度特別會計歳入歳出決算
第二 昭和十九、二十年度國有財産増減總計算書
第三 私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 特別調達廳法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 青年禁酒法案(和崎ハル君外二十一名提出) 第一讀會
第六 製紙原料輸入懇請に關する決議案(布利秋君外五名提出)
第七 畜産振興に關する決議案(香川兼吉君提出)
第八 標準式ローマ字採用に關する決議案(笠井重治君外五名提出)
第九 暫定衆議院規則案(大野伴睦君十八名提出)
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請 願
第一 (特別報告第一號)復興促進のため特別措置に關する請願) (委員長報告)
第二 (特別報告第二號)開放せられた宮城地域の整備に關する請願 (委員長報告)
第三 (特別報告第三號)土木建築等に機械力使用促進に關する請願 (委員長報告)
第四 (特別報告第四號)各種物資の増産重點主義徹底に關する請願 (委員長報告)
第五 (特別報告第五號)配給公社設置反對の請願 (委員長報告)
第六 (特別報告第六號)ソ連軍占領地からの復員促進に關する請願 (委員長報告)
第七 (特別報告第七號)相模原町座間を座間町に分立の請願 (委員長報告)
第八 (特別報告第八號)旗川築堤工事施行の請願 (委員長報告)
第九 (特別報告第九號)姫路、上郡間道路改修の請願 (委員長報告)
第十 (特別報告第一〇號)姫路下、關間國道第二號線改修の請願 (委員長報告)
第十一 (特別報告第一一號)帶廣、札内間道路を地方費道に編入竝びに札内川に橋梁架設の請願 (委員長報告)
第十二 (特別報告第十二號)自給製塩業者助成に關する請願外一件 (委員長報告)
第十三 (特別報告第一三號)未成年者飲酒禁止法の徹底に關する請願 (委員長報告)
第十四 (特別報告第一四號)未成年者喫煙禁止法の徹底に關する請願 (委員長報告)
第十五 (特別報告第一五號)藏王山國立公園指定に關する請願 (委員長報告)
第十六 (特別報告第一六號)盲唖者處理改善に關する請願 (委員長報告)
第十七 (特別報告第一七號)食糧供出妨害者處罰に關する請願 (委員長報告)
第十八 (特別報告第一八號)新憲法の精神徹底に關する請願 (委員長報告)
第十九 (特別報告第一九號)下田町の史蹟及び天然記念物調査に關する請願 (委員長報告)
第二十 (特別報告第二〇號)米澤工業專門學校昇格に關する請願外一件 (委員長報告)
第二十一 (特別報告第二一號)學童による空閑地利用の桑樹増植に關する請願 (委員長報告)
第二十二 (特別報告第二二號)大谷光瑩の事績を國定教科書に載録の請願 (委員長報告)
第二十三 (特別報告第二三號)大宮村所在舊中島飛行機工場住宅敷地の買戻しに關する請願 (委員長報告)
第二十四 (特別報告第二四號)小野寺郵便局に電話事務開始の請願 (委員長報告)
第二十五 (特別報告第二五號)熱海市所在の農地を農地調整法より除外の請願 (委員長報告)
第二十六 (特別報告第二六號)農耕地の一部に牧草地設置の請願 (委員長報告)
第二十七 (特別報告第二七號)一行政區域内に農地分區制度の再檢討に關する請願(委員長報告)
第二十八 (特別報告第二八號)自動車用木炭増配の請願 (委員長報告)
第二十九 (特別報告第二九號)茶業振興に關する請願 (委員長報告)
第三十 (特別報告第三〇號)酒田市に國營肥料工場設置の請願外一件 (委員長報告)
第三十一 (特別報告第三一號)栃木縣下に大麻作付許可の請願外一件 (委員長報告)
第三十二 (特別報告第三二號)大津魚港修築費國庫補助増額の請願 (委員長報告)
第三十三 (特別報告第三三號)主食の供出方法その他に關する請願 (委員長報告)
第三十四 (特別報告第三四號)供出米用包俵還付の請願 (委員長報告)
第三十五 (特別報告第三五號)苫前村力晝に簡易乘降場設置の請願 (委員長報告)
第三十六 (特別報告第三六號)谷山町坂之上に簡易停車場設置の請願 (委員長報告)
第三十七 (特別報告第三七號)仁木驛の跨線橋新設その他に關する請願 (委員長報告)
第三十八 (特別報告第三八號)唐津、呼子間に鐵道敷設又は省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第三十九 (特別報告第三九號)豐富、沼川間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第四十 (特別報告第四〇號)今市、田島間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第四十一 (特別報告四一號)直江津、六日町間鐵道敷設等の請願 (委員長報告)
第四十二 (特別報告第四二號)水戸、小見川間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第四十三 (特別報告第四三號)岩内、黒松内間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第四十四 (特別報告第四四號)別刈、瀧川間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第四十五 (特別報告第四五號)連合軍の拂下げ自動車による省營トラツク運營制限に關する請願 (委員長報告)
第四十六 (特別報告第四六號)高森、小野屋間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第四十七 (特別報告第四七號)小湊港一般用岸壁竝びに船溜等工事施行に關する請願 (委員長報告)
第四十八 (特別報告第四八號)下田港擴張計畫樹立に關する請願 (委員長報告)
第四十九 (特別報告第四九號)罹災地における廐舍、作業場、堆肥舍等を家屋建築制限より除外の請願 (委員長報告)
第五十 (特別報告第五〇號)飮食料金統制撤廢に關する請願 (委員長報告)
第五十一 (特別報告第五一號)消費節約に關する請願 (委員長報告)
第五十二 (特別報告第五二號)宮崎、都城間國道中一部變更促進の請願 (委員長報告)
第五十三 (特別報告第五三號)大淀川河口の整理固定工事施行に關する請願 (委員長報告)
第五十四 (特別報告第五四號)新北上川に橋梁架設の請願 (委員長報告)
第五十五 (特別報告第五五號)皿貝川改修工事施行の請願 (委員長報告)
第五十六 (特別報告第五六號)泉橋架換えに關する請願 (委員長報告)
第五十七 (特別報告第五七號)宇和島、蒋淵間道路改修の請願 (委員長報告)
第五十八 (特別報告第五八號)土地、家屋等の權利金暴利取締に關する請願 (委員長報告)
第五十九 (特別報告第五九號)闇行爲の取締に關する請願 (委員長報告)
第六十 (特別報告第六〇號)行政書士法制定に關する請願 (委員長報告)
第六十一 (特別報告第六一號)留萠町に市制施行の請願 (委員長報告)
第六十二 (特別報告第六二號)増毛町別刈に船入澗築設の請願 (委員長報告)
第六十三 (特別報告第六三號)稚内港を開港場に指定の請願 (委員長報告)
第六十四 (特別報告第六四號)音更川治水工事施行の請願 (委員長報告)
第六十五 (特別報告第六五號)苫前村力晝に漁港築設の請願 (委員長報告)
第六十六 (特別報告第六六號)羅臼漁港擴張の請願(委員長報告)
第六十七 (特別報告第六七號)力晝、上平間道路改修の請願 (委員長報告)
第六十八 (特別報告第六八號)頓別村に漁港築設の請願 (委員長報告)
第六十九 (特別報告第六九號)名寄支廳設置の請願(委員長報告)
第七十 (特別報告第七一號)朝鮮辯護士試驗受驗出願者に受驗資格付與の請願 (委員長報告)
第七十一 (特別報告第七二號)白山村安養寺に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第七十二 (特別報告第七三號)串良町大園原に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第七十三 (特別報告第七四號)旭川第二工業學校存置に關する請願 (委員長報告)
第七十四 (特別報告第七五號)通信教育用用紙特配の請願 (委員長報告)
第七十五 (特別報告第七六號)暦改訂に關する請願(委員長報告)
第七十六 (特別報告第七七號)性病豫防と撲滅に關する請願 (委員長報告)
第七十七 (特別報告第七八號)アイヌの保護事業に關する請願 (委員長報告)
第七十八 (特別報告第七九號)北海道舊土人保護法中改正に關する請願 (委員長報告)
第七十九 (特別報告第八〇號)外地引揚者に對する生業資金貸出し促進の請願 (委員長報告)
第八十 (特別報告第八一號)闇利得者に對する方策に關する請願 (委員長報告)
第八十一 (特別報告第八二號)宮崎市に煙草工場設置の請願 (委員長報告)
第八十二 (特別報告第八三號)新冠御料牧場竝びに日高種畜牧場開放の請願 (委員長報告)
第八十三 (特別報告第八四號)農地調整法中改正その他に關する請願 (委員長報告)
第八十四 (特別報告第八五號)北會津郡における國有林拂下げの請願 (委員長報告)
第八十五 (特別報告第八六號)木津、加茂兩町所在國有竹林地拂下げに關する請願 (委員長報告)
第八十六 (特別報告第八七號)外地引揚者の自家製木炭搬出認可の通牒徹底に關する請願 (委員長報告)
第八十七 (特別報告第八八號)赤崎林地國營開墾中止の請願 (委員長報告)
第八十八 (特別報告第八九號)鍋田、飛島兩村地先の干拓工事施行に關する請願 (委員長報告)
第八十九 (特別報告第九〇號)北海道産玉蜀黍を藥用に増配の請願 (委員長報告)
第九十 (特別報告第九一號)觀光地の調査指定に關する請願 (委員長報告)
第九十一 (特別報告第九二號)山川、西之表間省營連絡船の開航竝びに西之表、島間間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第九十二 (特別報告第九三號)名寄、上名寄兩驛間に停車場設置の請願 (委員長報告)
第九十三 (特別報告第九四號)釧路、北見相生間鐵道敷設竝びに鶴居村に停車場設置の請願 (委員長報告)
第九十四 (特別報告第九五號)白山、新發田間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第九十五 (特別報告第九六號)多古線復活の請願 (委員長報告)
第九十六 (特別報告第九七號)二俣、佐久間間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第九十七 (特別報告第九八號)伊東、下田間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第九十八 (特別報告第九九號)石卷線を雄勝まで延長促進に關する請願 (委員長報告)
第九十九 (特別報告第一〇〇號)標津、羅臼間省營バス竝びにトラツク運輸開始の請願 (委員長報告)
第百 (特別報告第一〇一號)日ノ影、高森間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第百一 (特別報告第一〇二號)北見を中心とする三路線に省營バス竝びにトラツク運輸開始の請願 (委員長報告)
第百二 (特別報告第一〇三號)標茶、計根別間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第百三 (特別報告第一〇四號)省營バス加治木線牟多田停留場を驛に擴張の請願 (委員長報告)
第百四 (特別報告第一〇五號)長崎、茂木間省營バス竝びにトラツク運輸開始の請願 (委員長報告)
第百五 (特別報告第一〇六號)石卷、雄勝間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第百六 (特別報告第一〇七號)名寄町に測候所設置の請願 (委員長報告)
第百七 (特別報告第一〇八號)連合軍の拂下げ自動車による省營トラツク運營制限に關する請願 (委員長報告)
第百八 (特別報告第一〇九號)自給製塩業者助成に關する請願 (委員長報告)
第百九 (特別報告第一一〇號)豐富、沼川間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第百十 (特別報告第一一一號)公職追放者の再審査に關する請願 (委員長報告)
第百十一 (特別報告第一一二號)住宅復興に關する請願 (委員長報告)
第百十二 (特別報告第一一三號)物價安定に關する請願 (委員長報告)
第百十三 (特別報告第一一四號)老齡元軍人恩給復活の請願 (委員長報告)
第百十四 (特別報告第一一五號)恩給増額に關する請願 (委員長報告)
第百十五 (特別報告第一一六號)農山漁村民に作業衣及び地下足袋配給の請願 (委員長報告)
第百十六 (特別報告第一一七號)商工組合中央金庫擴充強化に關する請願 (委員長報告)
第百十七 (特別報告第一一八號)家庭用縫糸増配の請願 (委員長報告)
第百十八 (特別報告第一一九號)帶廣市に地方裁判所設置の請願 (委員長報告)
第百十九 (特別報告第一二〇號)理療醫師法及び按摩師法制定に關する請願 (委員長報告)
第百二十 (特別報告第一二一號)接骨業者に衞生材料配給の請願 (委員長報告)
第百二十一 (特別報告第一二二號)恙虫病豫防撲滅に關する請願 (委員長報告)
第百二十二 (特別報告第一二三號)英彦山、耶馬溪及び日田盆地を含む地帶を國立公園に指定の請願 (委員長報告)
第百二十三 (特別報告第一二四號)食肉加工品に對する物品税撤廢の請願 (委員長報告)
第百二十四 (特別報告第一二五號)舞踏券に對する課税撤廢等に關する請願外五件 (委員長報告)
第百二十五 (特別報告第一二六號)賠償税新設に關する請願 (委員長報告)
第百二十六 (特別報告第一二七號)浴槽に對する物品税撤廢の請願 (委員長報告)
第百二十七 (特別報告第一二八號)松ノ木平國有地拂下げの請願 (委員長報告)
第百二十八 (特別報告第一二九號)食塩の増産竝びに増配の請願 (委員長報告)
第百二十九 (特別報告第一三〇號)高山町有明に無集配特定郵便局設置の請願 (委員長報告)
第百三十 (特別報告第一三一號)岩代赤井郵便局に電話事務開始の請願 (委員長報告)
第百三十一 (特別報告第一三二號)船岡郵便局に集配事務開始の請願 (委員長報告)
第百三十二 (特別報告第一三三號)幌加局より川下村に電話線架設の請願 (委員長報告)
第百三十三 (特別報告第一三四號)鹿兒島縣に理農科大學設立の請願 (委員長報告)
第百三十四 (特別報告第一三五號)帶廣農業專門學校昇格に關する請願 (委員長報告)
第百三十五 (特別報告第一三六號)新學制を昭和二十二年度より全面的實施その他に關する請願 (委員長報告)
第百三十六 (特別報告第一三七號)鳥取農林專門學校農村工業實科修業年限延長の請願 (委員長報告)
第百三十七 (特別報告第一三八號)日本獸醫畜産專門學校昇格に關する請願 (委員長報告)
第百三十八 (特別報告第一三九號)善通寺町に四國總合大學設立の請願 (委員長報告)
第百三十九 (特別報告第一四〇號)高松經濟專門學校を善通寺町に存置の請願 (委員長報告)
第百四十 (特別報告第一四一號)寒冷地帶營農研究所設置の請願 (委員長報告)
第百四十一 (特別報告第一四二號)地主に耕作權付與に關する請願 (委員長報告)
第百四十二 (特別報告第一四三號)肥料増配の請願 (委員長報告)
第百四十三 (特別報告第一四四號)間接肥料太陽菌販賣認可の請願 (委員長報告)
第百四十四 (特別報告第一四五號)觀光地帶を農地法より除外の請願 (委員長報告)
第百四十五 (特別報告第一四六號)繭價引上げに關する請願 (委員長報告)
第百四十六 (特別報告第一四七號)札幌に緬羊共進會開催の請願 (委員長報告)
第百四十七 (特別報告第一四八號)馬産振興に關する請願 (委員長報告)
第百四十八 (特別報告第一四九號)耳成村木原における御料林拂下げの請願 (委員長報告)
第百四十九 (特別報告第一五〇號)黒松内村に營林區署設置の請願 (委員長報告)
第百五十 (特別報告第一五一號)木曾御料林の一部開放その他に關する請願 (委員長報告)
第百五十一 (特別報告第一五二號)林道飯田、赤石線並びに飯田、豐橋間道路開設の請願 (委員長報告)
第百五十二 (特別報告第一五三號)小倉村に國立園藝試驗場支場設置の請願 (委員長報告)
第百五十三 (特別報告第一五四號)富士山麓における木材利用に關する請願 (委員長報告)
第百五十四 (特別報告第一五五號)米ノ浦漁港船溜災害復舊竝びに第二次工事施行の請願 (委員長報告)
第百五十五 (特別報告第一五六號)魚價公定制撤廢の請願 (委員長報告)
第百五十六 (特別報告第一五七號)漁業權制度の改正に關する請願 (委員長報告)
第百五十七 (特別報告第一五八號)網代漁港擴張に關する請願 (委員長報告)
第百五十八 (特別報告第一五八號)今和泉魚港修築の請願 (委員長報告)
第百五十九 (特別報告第一六〇號)山形縣下土地改良小用排水事業國營施行の請願 (委員長報告)
第百六十 (特別報告第一六一號)畑地の水田化工事費國庫補助の請願 (委員長報告)
第百六十一 (特別報告第一六二號)蒲戸、中浦間並びに河内、西野浦間道路改修の請願 (委員長報告)
第百六十二 (特別報告第一六三號)石卷市北上川新舟場に橋梁架設の請願 (委員長報告)
第百六十三 (特別報告第一六四號)武豊町地内護岸復舊工事施行の請願 (委員長報告)
第百六十四 (特別報告第一六五號)立谷川及び高瀬川改修工事國營施行の請願 (委員長報告)
第百六十五 (特別報告第一六六號)塩見川改修工事施行の請願 (委員長報告)
第百六十六 (特別報告第一六七號)瀧川、濱益間道路改修の請願 (委員長報告)
第百六十七 (特別報告第一六八號)椎葉、湯前間道路開鑿の請願 (委員長報告)
第百六十八 (特別報告第一六九號)瀬戸川改修工事施行の請願 (委員長報告)
第百六十九 (特別報告第一七〇號)松川改修工事促進の請願 (委員長報告)
第百七十 (特別報告第一七一號)熱海、箱根間觀光道路築設の請願 (委員長報告)
第百七十一 (特別報告第一七二號)修善寺、松崎間道路改修に關する請願 (委員長報告)
第百七十二 (特別報告第一七三號)沼津、冨士間道路擴張に關する請願 (委員長報告)
第百七十三 (特別報告第一七四號)冨士山麓、伊豆半島間觀光道路築設の請願 (委員長報告)
第百七十四 (特別報告第一七五號)靜岡、山梨兩縣間に觀光道路築設の請願 (委員長報告)
第百七十五 (特別報告第一七六號)香川縣仲多度、三豐兩郡下における道路擴張に關する請願 (委員長報告)
第百七十六 (特別報告第一七七號)北海道土功組合費國庫補助の請願 (委員長報告)
第百七十七 (特別報告第一七八號)濱益村に漁港築設の請願 (委員長報告)
第百七十八 (特別報告第一七九號)苫小牧に漁港築設等に關する請願 (委員長報告)
第百七十九 (特別報告第一八〇號)網走漁港擴張に關する請願 (委員長報告)
第百八十 (特別報告第一八一號)勇拂原野竝びに白老原野開發に關する請願 (委員長報告)
第百八十一 (特別報告第一八二號)面白山信號所を貨物驛に變更の請願 (委員長報告)
第百八十二 (特別報告第一八三號)冨士山麓に觀光ホテル建設の請願 (委員長報告)
第百八十三 (特別報告第一八四號)磐城西郷信號所を一般驛に變更の請願 (委員長報告)
第百八十四 (特別報告第一八五號)牛馬輸送のため青函連絡航路に機帆船配置の請願 (委員長報告)
第百八十五 (特別報告第一八六號)京都市に觀光ホテル建設の請願 (委員長報告)
第百八十六 (特別報告第一八七號)七日町驛を一般驛に變更の請願 (委員長報告)
第百八十七 (特別報告第一八八號)新庄、清水間鐵道敷設促進の請願 (委員長報告)
第百八十八 (特別報告第一八九號)當別、増毛間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第百八十九 (特別報告第一九〇號)浦臼、沼田間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第百九十 (特別報告第一九一號)瀧川町における鐵道踏切に地下道開鑿の請願 (委員長報告)
第百九十一 (特別報告第一九二號)野澤、宮下間鐵道敷設等の請願 (委員長報告)
第百九十二 (特別報告第一九三號)彦山、大行司間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第百九十三 (特別報告第一九四號)瀧川町に測候所設置の請願 (委員長報告)
第百九十四 (特別報告第一九五號)駿豆鐵道延長に關する請願 (委員長報告)
第百九十五 (特別報告第一九六號)中佐呂間、常呂間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第百九十六 (特別報告第一九七號)沼津、濱松間電化促進の請願 (委員長報告)
第百九十七 (特別報告第一九八號)沼津、靜岡間電化促進の請願 (委員長報告)
第百九十八 (特別報告第一九九號)大樹、浦河間並びに大樹、豐頃間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第百九十九 (特別報告第二〇〇號)緒方、重岡間鐵道敷設並びに緒方、尾平鑛山間省營トラツク運輸開始の請願 (委員長報告)
第二百 (特別報告第二百一號)弟子屈、標津間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第二百一 (特別報告第二百二號)大樹、豐頃間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第二百二 (特別報告第二〇三號)東京驛、常盤臺又は上板橋間にトレーラーバス配車の請願 (委員長報告)
第二百三 (特別報告第二〇四號)長濱、木之本間並びに長濱、大垣間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第二百四 (特別報告第二〇五號)日豐本線加治木驛、山田村役場間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第二百五(特別報告第二〇六號)性病豫防と撲滅に關する請願 (委員長報告)
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建議案
第一 舞鶴海洋氣象臺設立に關する建議案(大石ヨシエ君提出)(第一號) (委員長報告)
第二 山陽道改修工事促進に關する建議案(森崎了三君外三名提出)(第二號) (委員長報告)
第三 人口對策確立に關する建議案(林平馬君提出)(第三號) (委員長報告)
第四 青年層對策確立に關する建議案(林平馬君提出)(第四號) (委員長報告)
第五 國民總勤勞時制定の建議案(林平馬君提出)(第五號) (委員長報告)
第六 國民學校兒童等の醫療施設擴充に關する建議案(本多花子君外一名提出)(第六號) (委員長報告)
第七 舞鶴市元海軍用地返還に關する建議案(大石ヨシエ君提出)(第七號) (委員長報告)
第八 婦人議員の講和會議參加に關する建議案(吉田セイ君提出)(第八號) (委員長報告)
第九 住宅難突破に關する建議案(吉田セイ君提出)(第九號) (委員長報告)
第十 乘物に母子席施設に關する建議案(吉田セイ君提出)(第十號) (委員長報告)
第十一 主食遲配絶滅に關する建議案(吉田セイ君提出)(第十一號) (委員長報告)
第十二 名寄支廳設置に關する建議案(太田鐡太郎君提出)(第十二號) (委員長報告)
第十三 薄荷竝びに除虫菊の國立試驗場設置に關する建議案(東隆君提出)(第十三號) (委員長報告)
第十四 國立農業物理研究所設置に關する建議案(東隆君提出)(第十四號) (委員長報告)
第十五 闇の女更生に關する建議案(吉田セイ君提出)(第十五號) (委員長報告)
第十六 甘藷飴製造に關する建議案(吉田セイ君提出)(第十六號) (委員長報告)
第十七 京都府何鹿郡物部村の理想農村改革試驗地指定に關する建議案(大石ヨシエ君提出)(第十七號) (委員長報告)
第十八 講和會議に婦人代表參加に關する建議案(木村チヨ君外八名提出)(第十八號) (委員長報告)
第十九 帝國大學の助教授、助手、副手等の待遇改善に關する建議案(庄司一郎君提出)(第十九號) (委員長報告)
第二十 洞海灣を第一種重要港灣(國營港)に移管に關する建議案(岡部得三君外二名提出)(第二十號) (委員長報告)
第二十一 久慈川改修速進に關する建議案(武藤常介君外一名提出)(第二十一號) (委員長報告)
第二十二 教育會の第二封鎖預金解除に關する建議案(仲子隆君提出)(第二十二號) (委員長報告)
第二十三 省營自動車運轉開設に關する建議案(仲子隆君提出)(第二十三號) (委員長報告)
第二十四 茨城縣西茨城郡大池田村福田地内國有林伐採に關する建議案(菊池豐君提出)(第二十四號) (委員長報告)
第二十五 國道第六號線完全改修に關する建議案(河原田巖君外二名提出)(第二十五號) (委員長報告)
第二十六 常設自衞會結成に關する建議案(河原田巖君外二名提出)(第二十六號) (委員長報告)
第二十七 茨城縣下漁港の築港及び改良に關する建議案(河原田巖君外二名提出)(第二十七號) (委員長報告)
第二十八 常磐線上野水戸間電化實施に關する建議案(河原田巖君外二名提出)(第二十八號) (委員長報告)
第二十九 小樽經濟專門學校の商科大學昇格に關する建議案(苫米地英俊君外二名提出)(第二十九號) (委員長報告)
第三十 人丸驛、川尻港間省營自動車開通促進に關する建議案(疋田敏男君提出)(第三十號) (委員長報告)
第三十一 北海道開發に關する建議案(苫米地俊英君外三名提出)(第三十一號) (委員長報告)
第三十二 鐵道添田線全線開通促進に關する建議案(長尾達生君外九名提出)(第三十二號) (委員長報告)
第三十三 國領川ダム築造に關する建議案(林田哲雄君外三名提出)(第三十三號) (委員長報告)
第三十四 櫻井漁港建設に關する建議案(林田哲雄君外三名提出)(第三十四號) (委員長報告)
第三十五 燧灘沿岸干拓事業に關する議建案(林田哲雄君外三名提出)(第三十五號) (委員長報告)
第三十六 新居濱工業專門學校の大學昇格に關する建議案(林田哲雄君外三名提出)(第三十六號) (委員長報告)
第三十七 兒童保護に關する建議案(紅露みつ君外二十四名提出)(第三十七號) (委員長報告)
第三十八 岐阜市立藥學專門學校の大學昇格に關する建議案(武藤嘉一君外二名提出)(第三十八號) (委員長報告)
第三十九 酪農局設置に關する建議案(鈴木周次郎君外二名提出)(第三十九號) (委員長報告)
第四十 乳肉衞生事務の農林省移管に關する建議案(鈴木周次郎君外二名提出)(第四十號) (委員長報告)
第四十一 羽咋町、氷見町間鐵道敷設促進に關する建議案(殿田孝次君外一名提出)(第四十一號) (委員長報告)
第四十二 省營自動車の強化擴充に關する建議案(今井耕君提出)(第四十二號) (委員長報告)
第四十三 地方競馬法改正に關する建議案(堀川恭平君外五名提出)(第四十三號) (委員長報告)
第四十四 臨時資金調整法改正に關する建議案(堀川恭平君外五名提出)(第四十四號) (委員長報告)
第四十五 土木工事五箇年計畫實施に關する建議案(大塚甚之助君外二名提出)(第四十五號) (委員長報告)
第四十六 古屋谷、二俣間省營バス運轉延長に關する建議案(殿田孝次君外一名提出)(第四十六號) (委員長報告)
第四十七 畜産振興に關する建議案(小川原政信君外三名提出)(第四十七號) (委員長報告)
第四十八 赤崎種畜牧場を擴張し大山種畜大牧場と爲すに關する建議案(稻田直道君外二名提出)(第四十八條) (委員長報告)
第四十九 石手川ダム建設に關する建議案(安平鹿一君外一名提出)(第四十九號) (委員長報告)
第五十 映畫演劇の興行場入場税の免税點引上並びに税率改正に關する建議案(赤松勇君外二名提出)(第五十號) (委員長報告)
第五十一 接骨師法案制定に關する建議案(武藤嘉一君提出)(第五十一號) (委員長報告)
第五十二 長野工業專門學校の大學昇格に關する建議案(小坂善太郎君提出)(第五十二號) (委員長報告)
第五十三 農業技術員設置費國庫補助増額に關する建議案(山下春江君提出)(第五十三號) (委員長報告)
第五十四 戰時整備を強制された機織工業の復元に關する建議案(白木一平君提出)(第五十四號) (委員長報告)
第五十五 引揚者の金融救濟に關する建議案(布利秋君提出)(第五十五號) (委員長報告)
第五十六 接骨師の治療資材配給に關する建議案(布利秋君提出)(第五十六號) (委員長報告)
第五十七 繭價引上げに關する建議案(布利秋君提出)(第五十七號) (委員長報告)
第五十八 宗教家及び教職員の乘車優遇に關する建議案(布利秋君提出)(第五十八號) (委員長報告)
第五十九 戰災者の救援促進に關する建議案(布利秋君提出)(第五十九號) (委員長報告)
第六十 坂出港復舊促進に關する建議案(福田繁芳君提出)(第六十號) (委員長報告)
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〔朗讀を省略した報告〕
一、昨三十日貴族院において、本院から送付の次の政府提出案を可決した旨、同院から通牒を受領した。
檢察廳法案
下級裁判所の設立及び管轄區域に關する法律案
裁判所職員の定員に關する法律案
裁判官の報酬等の應急的措置に關する法律案
檢察官の俸給等の應急的措置に關する法律案
所得税法を改正する法律案
法人税法を改正する法律案
特別法人税法の一部を改正する等の法律案
土地台帳法案
家屋台帳法案
地方税法の一部を改正する法律案
地方分與税法を改正する法律案
相續税法を改正する法律案
國有財産法の一部を改正する法律案
作業會計法を改正する法律案
燃料局特別會計法を改正する法律案(政府提出)
造幣局特別會計法の一部を改正する法律案
國有林野事業特別會計法案
勞働者災害補償保險特別會計法案
公債金特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案
企業再建整備法等の一部を改正する法律案
勞働者災害補償保險法案
健康保險法の一部を改正する等の法律案
行政官廳法案
宮内府法案
恩給法の一部を改正する法律案
日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の效力等に關する法律案
船舶公團法案
昭和二十年度第一豫備金支出の件
昭和二十年度緊急對策費第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計豫備費支出の件
昭和二十一年度第二豫備金支出の件
昭和二十一年度特別會計第二豫備金支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費外豫算超過支出の件
(承諾を求める件)
一、昨三十日貴族院において、本院から送付の次の本院提出案を可決した旨、同院から通牒を受領した。
國會議員の歳費、旅費及び手當等に關する法律案
議院に出頭する證人の旅費及び日當に關する法律案
國會豫備金に關する法律案
議院事務局法案
國會圖書館法案
國會職員法案
地方競馬法の一部を改正する法律案
一、議員から提出された議案は次の通りである。
暫定議院規則案
提出者
大野伴睦君 中島守利君
大久保留次郎君 坂東幸太郎君
葉梨新五郎君 村上勇君
犬養健君 石黒武重君
成島勇君 原夫次郎君
水谷長三郎君 中村高一君
田原春次君 佐竹晴記君
松本瀧藏君 宇田國榮君
鈴木憲一君 中野四郎君
徳田球一君
(以上三月三十日提出)
一、昨三十日次の通り特別委員の異動があつた。
石油配給公團法案(政府提出)外四件委員
辭任藥師神岩太郎君 補闕三ツ林幸三君
特別調達廳法案(政府提出)委員
辭任秋田大助君 補闕鹿島透君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=0
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001・山崎猛
○議長(山崎猛君) これより會議を開きます。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=1
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002・椎熊三郎
○椎熊三郎君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、日程第三を繰上げ上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=2
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003・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=3
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004・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は變更せられました。
日程第三、私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案の第一讀會の續を開きます。委員長の報告を求めます。委員長岡部得三君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=4
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005・会議録情報2
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第三 私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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報告書
一 私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案(政府提出)
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十二年三月三十日
委員長 岡部 得三
衆議院議長山崎 猛殿
附帶決議
一、本法の實施を効果あらしめるため、在來の認可制度による獨占特許の獨占を排除する意味において、これら關係法律を可能な限り速かに改正すると共に、公的獨占の弊を抑制するため、國營事業の民主化を圖ること。
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〔岡部得三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=5
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006・岡部得三
○岡部得三君 ただいま議題となりました私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案の、委員會の審議の經過及び結果について御報告申し上げます。
委員會は、去る二十九日及び三十日の二日間にわたつて開催せられ、まず高瀬國務大臣から同法案に關する提案の理由を説明し、次いで政府委員から要旨の説明が詳細にわたつてなされました。續いて質疑に入り、各委員と、高瀬國務大臣、厚生大臣を初め政府委員との間に、熱心な質疑及び應答が行われたのであります。續いて討論に移り、木村委員が自由黨を代表し、舟崎委員が進歩黨を代表し、増井委員が國民協同黨を代表して、それぞれ贊成の意を表明され、稻村委員が社會黨を代表して、次のような附帶決議を附して贊成の旨を表明されました。稻村委員提出の附帶決議の内容は、
本法の實施を效果あらしめるため、在來の認可制度による獨占特許の獨占を排除する意味において、これら關係法律を可能な限り速かに改正すると共に公的獨占の弊を抑制するため、國營事業の民主化をはかること
ということであります。採決の結果、全員一致をもつて政府提出の原案通り可決し、稻村委員提出の附帶決議案に對しても、全員一致をもつて可決いたしました。
審議内容の詳細については、速記によつて御承知を願います。以上をもつて私の報告を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=6
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007・山崎猛
○議長(山崎猛君) 本案の第二讀會を開くに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=7
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008・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて本案の第二讀會を開くに決しました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=8
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009・椎熊三郎
○椎熊三郎君 直ちに本案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して、委員長報告の通り可決せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=9
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010・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=10
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011・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて直ちに本案の第二讀會を開き、議案全部を議題といたします。
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私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案 第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=11
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012・山崎猛
○議長(山崎猛君) 別に御發議もありません。第三讀會を省略して、委員長報告通り可決確定いたしました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=12
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013・椎熊三郎
○椎熊三郎君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、日程第四を繰上げ上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=13
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014・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=14
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015・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は變更せられました。
日程第四、特別調達廳法案の第一讀會の續を開きます。委員長の報告を求めます。委員長石原圓吉君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=15
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016・会議録情報3
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第四 特別調達廳法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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報告書
一 特別調達廳法案(政府提出)
右は本院において別紙の通り修正すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月三十日
委員長 石原 圓吉
衆議院議長山崎 猛殿
特別調達廳法案の一部を次のように修正する。
第十七條中「特別調達廳は、」の下に「第十八條に規定する」を加える。
第二十三條に次の一号を加える。
三 第十三條の規定に違反した場合第
二十五條 特別調達廳以外の法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人若しくは人の業務に關して第二十三條又は前條の違反行爲をなしたときには、行爲者を罰する外、その法人又は人に對して前二條の罰金刑を科する。
第二十八條を削り、第二十九條を第二十八條とし、以下順次繰り上げる。
附帶決議
特別調達廳が業者となす契約については政府は嚴重な監督を行うと共に、特に國費の濫費を抑制するため、必要なる措置を強力に講ずること。
━━━━━━━━━━━━━
〔石原圓吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=16
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017・石原圓吉
○石原圓吉君 ただいま上程されました特別調達廳法案につきまして、委員會の經過竝びに結果をごく簡單に御報告申し上げます。
本委員會は、一昨日及び昨日の二日間にわたり開催されまして、まず委員長及び理事の互選をなしたる後、直ちに審議に入り、田中國務大臣より提案の趣旨につき改めて詳細なる説明を聽取いたしましたる上、質疑に入り、まず塚田委員より、この種の法人を設置する場合は、往々にして手續をいたずらに複雜化する懸念があるが、これに對し政府はいかなる方策を有するか、また法人の組織、役職員の人事については十分愼重を期せられたい旨の質疑竝びに希望意見の開陳がありました。これに對し阿部戰災復興院總裁よりは、民間有能の士を十分擧用して、能率的に運營する旨の答辯があり、さらに大橋政府委員よりは、特別調達廳の組織について説明がありました。
續いて井上委員より、各製造業者に對する政府の資材割當、發注方法、製品價格の決定等について詳細なる質疑があり、これに對して政府委員より、資材割當は十分檢討の上行つており、價格は公協定價格のあるものはそれにより、公協定價格のないものは、物價廳において關係各省と協議の上價格の決定を行つておるとの答辯がありました。なお同委員より、連合國側の需要物資と物動計畫との調整について、また隱退藏物資の活用について質疑及び意見の開陳があり、これに對して高瀬經濟安定本部長官、石井商工大臣及び植原内務大臣より、それぞれ詳細なる答辯がありました。
次に討論に入り、關谷委員より、特別調達廳は各種公團とその性質がきわめて類似しておる關係上、これらの各種の公團法との均衡を考慮して、本法の第十七條、第二十三條、第二十五條の修正案の提案があり、これに對して井上委員より、修正案贊成の意見開陳とともに、附帶決議の提案があり、續いて大井委員より、修正案竝びに附帶決議の贊成の意見開陳がありました。しこうして修正案及び附帶決議は、採決の結果、全員一致をもつて可決しました。すなわち、本委員會において修正しました點及び附帶決議は、次の通りであります。
特別調達廳法案の一部を次のように修正する。
第十七條中「特別調達廳は、」の下に「第十八條に規定する」を加える。
第二十三條に次の一號を加える。
三、第十三條の規定に違反した場合
第二十五條 特別調達廳以外の法人の代表者、または法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人若しくは人の業務に關して第二十三條又は前條の違反行爲をなしたときには、行爲者を罰する外、その法人又は人に對して前二條の罰金刑を科する。
第二十八條を削り、第二十九條を第二十八條とし、以下順次繰上げる。
附帶決議
特別調達廳が業者となす契約については、政府は嚴重な監督を行うと共に、特に國費の濫費を抑制するため、必要なる措置を強力に講ずること。
以上委員會の經過及び結果を御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=17
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018・山崎猛
○議長(山崎猛君) 本案の第二讀會を開くに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=18
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019・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて本案の第二讀會を開くに決しました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=19
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020・椎熊三郎
○椎熊三郎君 直ちに本案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して、委員長報告の通り可決せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=20
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021・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=21
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022・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて直ちに本案の第二讀會を開き、議案全部を議題といたします。
――――◇―――――
特別調達廳法案 第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=22
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023・山崎猛
○議長(山崎猛君) 別に御發議もありません。第三讀會を省略して、委員長報告の通り可決確定いたしました。
この際暫時休憩いたします。
午後零時六分休憩
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午後四時二十一分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=23
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024・山崎猛
○議長(山崎猛君) 休憩前に引續き會議を開きます。
諸君、第九十二囘帝國議會は本日をもつて終了することに相なりましたので、この際一言御挨拶を申し上げたいと存じます。(拍手)
今期議會においては、昭和二十二年度豫算案を初め、新憲法の實施に必要な諸法律案その他の重要議案が、會期の切迫した時期に提出せられたるにかかわらず、議員諸君は勵精よく全部の審議を果されましたその御勞苦に對しましては、深甚なる感謝と敬意を表します。(拍手)
今期議會が帝國議會としての最後であることを思い、過去五十八年の歴史を顧みるとき、眞に感慨無量なものがあるのであります。(拍手)しかし今や新憲法の實施を目前に控えて、民主日本の建設に全努力を傾注し、自由と平和を基調とする文化國家の實現に邁進することこそ、われわれに課せられた義務であり、責任であると存じます。(拍手)諸君一層の御健鬪を祈る次第であります。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=24
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025・綿貫佐民
○綿貫佐民君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、政府提出、會計檢査院法を改正する法律案及び皇室經濟法の施行に關する法律案の兩案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=25
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026・山崎猛
○議長(山崎猛君) 綿貫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=26
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027・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて日程は變更せられました。
會計檢査院法を改正する法律案、皇室經濟法の施行に關する法律案、右兩案を一括して第一讀會の續を開きます。委員長の報告を求めます。委員長天野久君。
〔議長退席、副議長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=27
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028・会議録情報4
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會計檢査院法を改正する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
皇室經濟法の施行に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
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報告書
一 會計檢査院法を改正する法律案 (政府提出、貴族院送付)
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月三十一日
委員長 天野 久
衆議院議長山崎 猛殿
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一 皇室經濟法の施行に關する法律案(政府提出、貴族院送付)
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月三十一日
委員長 天野 久
衆議院議長山崎 猛殿
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〔天野久君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=28
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029・天野久
○天野久君 ただいま議題に相なりました會計檢査院法を改正する法律案、皇室經濟法の施行に關する法律案の二法案について、委員會における審議の經過竝びに結果を御報告申し上げます。
各法案の内容は、過日本會議場において詳細なる説明がありましたゆえ、これを省略いたします。皇室經濟法の施行に關する法律案は、日本國憲法施行後最初の國會まで、大體二箇月を豫定した暫定的な法案でありまするのに反して、會計檢査院法を改正する法律案は、日本國憲法の運用について、きわめて、重要な法律案でありまするので、本委員會の質疑は、もつぱらこの法案に集中された次第であります。今そのおもなる質疑の二、三について御報告を申し上げます。
第一點は、會計檢査院の職掌は獨立であると言われるが、いわゆる三權分立との關係はいかにすべきやとの質疑でありました。これに對して政府より、立法、司法及び内閣の擔當するいわゆる行政の中にも含まれず、憲法から直接流れ出ずる特別な地位をもつものである。もちろん國會のために、國政の會計經理全般の方面を監督するものであるが、他面會計上の裁判所にも比すべき性質をもち、時の流れによつて左右されぬようなもので、從つて國會に對してもある程度の獨立を保たしめるを適當とするとの答辯でありました。
第二點は、會計檢査院という場合において、檢査官會議を指すか、事務總局を指すか、兩者の關係いかんとの點でありました。これに對して政府より、檢査院の仕事のうちには、憲法第九十條に基く會計檢査報告のごとき基本的事項と、その目的を達成するために現實に各所に行つて檢査をする仕事との二つが大別さるべき次第で、後者は前者の基本的重要事項の處理のために、手段として行わるべき純粹の仕事である、これを一緒にして行うことは適當でない、そこでこの法案において兩者を二分して、基本的事項の決定は檢査官會議においてこれを行わしめ、その目的のために行われる純粹な事務的の檢査の仕事は、事務總局をして行わしめる、しかも純粹な事務的の檢査の仕事は、檢査官會議の職掌に缺くべからざる重要な性質を有するものであるから、從つて會計檢査院は、檢査官會議と事務總局の兩者をもつて組織する建前としたということであります。
第三點は、事務總局が檢査官會議と遊離するおそれはないかとの質疑でありました。これに對して政府より、檢査官は認證官で、強固な保障が與えられる一方、事務總局の職員の任免進退は、檢査官の會議により決せられるので、遊離の疑念はないとの答辯がありました。また國會法第七十二條には、委員會がその必要を認めた場合に、議長を通じて檢査官の出席説明を求め得ることの規定があるが、檢査院法第三十條によると、國會から請求すると否とにかかわらず、檢査院の認定によつて必要ありとするならば、本會議であろうと、委員會であろうと、自由に出席説明し得る權限を有することになつて、國會法第七十二條の趣旨とは明らかに矛盾しておるが、議長の許可を得て、としたらいかんとの質疑に對しましては、政府より、憲法第五十八條によつて、「兩議院は、各各その會議その他の手續及び内部の規律に關する規則を定め、」とあり、憲法によつて直接與えられた國會の自治權を有するのである、從つて手續によりいかようにも處置し得るのである、今後における檢査院の地位は、從來のごとく政府の手足の機關でなく、國會が政府を監督するための機關である、從つてその間に承諾の有無を問題とするがごときは、奇異の感を抱かしむるものであるし、せつかく獨立的の機關として伸びかかつておる際に、承諾云々の制限を加えるのはおもしろくないと考えるとの答辯がありました。
かくして本日討論に入り、自由黨の藥師神岩太郎君、進歩黨の星一君、社會黨の森本義夫君より、それぞれ原案に贊成の意見が開陳され、採決の結果、兩案とも滿場一致をもつて可決いたしました。以上、簡單ながら御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=29
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030・井上知治
○副議長(井上知治君) 兩案の第二讀會を開くに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=30
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031・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて兩案の第二讀會を開くに決しました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=31
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032・綿貫佐民
○綿貫佐民君 直ちに兩案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して、委員長報告の通り可決せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=32
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033・井上知治
○副議長(井上知治君) 綿貫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=33
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034・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて直ちに兩案の第二讀會を開き、議案全部を議題といたします。
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會計檢査院法を改正する法律案(政府提出、貴族院送付) 第二讀會(確定議)
皇室経済法の施行に関する法律案(政府提出、貴族院送付) 第二讀會(確定議)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=34
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035・井上知治
○副議長(井上知治君) 別に御發議もありません。第三讀會を省略して、兩案とも委員長報告通り可決確定いたしました。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=35
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036・綿貫佐民
○綿貫佐民君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、日程第九を繰上げ上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=36
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037・井上知治
○副議長(井上知治君) 綿貫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=37
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038・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は變更せられました。
日程第九、暫定衆議院規則案を議題といたします。趣旨辯明を許します。辻寛一君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=38
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039・会議録情報5
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第九 暫定衆議院規則案(大野伴睦君外十八名提出)
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暫定衆議院規則案
暫定衆議院規則
第一條 議員は、召集詔書に指定された期日の午前十時に、衆議院に集会しなければならない。
第二條 議員は、当選証書を事務局に提示し、これと当選人名簿との対照を受けなければならない。
第三條 集会した議員が総議員の三分の一に達したときは、議院は、議長の選挙を行う。
議長の選挙は、單記無名投票でこれを行う。
第四條 議員は、点呼に應じて、投票及び木札の名刺を持参して、演壇に至り投票する。
甲参事は名刺を、乙参事は投票を受け取り、議員に代つて夫々名刺箱及び投票箱に投入する。
第五條 現在議員が、投票を終つたときは、事務総長は、投票箱の閉鎖を宣告する。この宣告があつた後は、投票することができない。
第六條 投票が終つたときは、事務総長は、参事をして直ちに名刺及び投票を計算し、投票を点檢させる。
投票の数が名刺の数に超過したときは、更に投票を行わなければならない。但し、選挙の結果に異動を及ぼさないときは、この限りでない。
第七條 投票の点檢が終つたときは、事務総長は、選挙の結果を報告する。
第八條 投票の過半数を得た者を当選人とする。投票の過半数を得た者がないときは、投票の最多数を得た者二人について決選投票を行い、多数を得た者を当選人とする。但し、得票数が同じときは、くじで当選人を定める。
第九條 選挙について疑義が生じたときは、事務総長は、議院に諮りこれを決する。
第十條 議長の選挙が終つたときは、議院は、副議長の選挙を行う。
副議長の選挙については、議長の選挙の例による。
第十一條 議長及び副議長の選挙が終つたときは、事務総長は、議長及び副議長を議院に紹介し、議長を議長席に導く。
第十二條 議員の議席は、会期の始めに議長がこれを定める。但し、必要があるときは、これを変更することができる。
議席には、号数及び氏名標を附する。
第十三條 臨時会及び特別会の会期は、その会期の始めに両議院の議長が協議した後、議院がこれを議決する。
前項の議決の結果は、直ちにこれを参議院及び内閣に通知する。
第十四條 委員会の委員の員数は、議院がこれを定める。
委員の選任は、すべて議長の指名による。
第十五條 常任委員長の選挙については、議長の選挙の例による。
議院は、常任委員長の選任を議長に委任することができる。
第十六條 事務総長の選挙については、議長の選挙の例による。
議院は、事務総長の選任を議長に委任することができる。
第十七條 内閣総理大臣の指名は、單記記名投票で指名される者を定め、その者について議決する。
投票の過半数を得た者を指名される者とする。投票の過半数を得た者がないときは、投票の最多数を得た者二人について決選投票を行い、多数を得た者を指名される者とする。但し、得票数が同じときは、くじで指名される者を定める。
議院は、投票によらないで、動議その他の方法により指名される者を定めることができる。
第十八條 開会式の日時及び場所は、衆議院議長が参議員議長と協議してこれを定める。
附 則
この規則は、日本國憲法施行後の最初の國会に適用するものとし、あらたに衆議院規則が議決されたときに、その効力を失う。
大正十四年三月二十四日議決の衆議院規則の中、日本國憲法、國会法及びこの規則に反しない規定は、あらたに、衆議院規則が議決されるまで、その効力を有する。
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〔辻寛一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=39
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040・辻寛一
○辻寛一君 ただいま議題となりました暫定衆議院規則につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
御承知のように、次に召集せらるべき國會は、新憲法、新國會法のもとに行われるものでありますから、現行の衆議院規則をもつていたしましては、召集當日から議事の運營の全きを期することはできない次第でございます。從いまして新たに衆議院規則を制定しなければならないのでありますが、この新規則の制定につきましては、新しい國會でこれを定める方が適當と考えておるのであります。しかし國會召集當初におきましては、これに處するだけの最低限度の規則を、今の間に定めなければならないのであります。すなわち少くとも召集日當日の行事に關しましては、この際どうしても規則をつくらなければならないのであります。この意味におきまして、ここに暫定衆議院規則の議決を願つて、もつて國會となつた際における本院の運營に萬遺憾なきを期したいと考えた次第であります。
暫定規則はわずか十八條でありまして、その内容は、議長、副議長その他役員に選任に關するものが大部分を占めておりますが、そのほかに重要な事項として取上げて申し上げることは、内閣總理大臣の指名の議決の方法につきまして規定を設け、また會期及び開會式の決定方法につきまして規定を設けたのでございます。
もちろん、このわずかな規定では、國會當初といえども相當不都合があることと存じますから、附則におきまして、現行の衆議院規則が、新たに衆議院規則の制定せられるまで、新憲法、國會法及びこの規則に反しない部分は、その效力を有することといたしました。
この暫定規則は、國會法の附則によりまして、當然に參議院の召集當初にも適用せらるることでありますから、愼重に審議をして、案を得たのであります。何とぞ諸君の御贊成を得たいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=40
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041・井上知治
○副議長(井上知治君) 本案は可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=41
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042・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=42
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043・綿貫佐民
○綿貫佐民君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、日程第一及び第二の兩件とともに、臨時軍事費歳入歳出決算を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=43
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044・井上知治
○副議長(井上知治君) 綿貫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=44
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045・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は變更せられました。
日程第一、昭和十九年度歳入歳出総決算、昭和十九年度特別会計歳入歳出決算、日程第二、昭和十九、二十年度國有財産増減総計算書、及び臨時軍事費歳入歳出決算の各件を一括して議題といたします。決算委員長の報告を求めます。菅又薫君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=45
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046・会議録情報6
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第一 昭和十九年度歳入歳出總決算
昭和十九年度特別會計歳入歳出決算
第二 昭和十九、二十年度國有財産増減總計算書
臨時軍事費歳入歳出決算
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報告書
一 昭和十九年度歳入歳出総決算、昭和十九年度特別会計歳入歳出決算右は本院において別紙の通り議決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月二十七日
決算委員長 菅又 薫
衆議院議長山崎 猛殿
昭和十九年度歳入歳出総決算、同各特別会計歳入歳出決算及び既往年度未確定決算について左の如く議決する。
一 不當と議決すべきもの
昭和十九年度一般會計
歳入經常部
第一款 租税
第一項 所得税
(一)桐生税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一) 九、〇六六圓
(二)岩村田税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の二) 八、一七七圓
(三)岩村田税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の三) 五、五八八圓
歳入臨時部
第一款 租税
第一項 臨時利得税
(四)新潟税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の四) 三九、八七〇圓
右はいづれも取扱の過誤により徴收不足を生ぜしめたもので不當とする
昭和十九年度特別會計
運輸通信省所管通信事業
業務勘定
歳 出
第一款 通信業務費
第三項 補充費
(五)通信院貯金保險局の支出した(會計檢査院報告の一) 一〇、五二九圓
右は神奈川縣川崎濱町郵便局長岩田某外一名が單獨もしくは共同して業務上保管していた國債證券及び資金の内から横領した總額七万五千八百余円の内差繰補填又は辨償した六万五千円三百余円を除いた殘額に對して缺損補填をしたものである右の外官吏以下の犯罪に基因する事故金に對して本年度において缺損補填をしたものが第二百野戰郵便局外十一郵便局の分一万四千百余円がある依て本件は不當である
既往年度
昭和十五年度一般會計
歳入經常部
第一款 租税
第一項 所得税
(六)西宮税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一) 五五、七一五圓
資本利子税において同署の徴收不足に屬すもの 一、四六八圓
(七)八王子税務署において徴收過に屬すもの(會計檢査院報告の二) 一、〇九八圓
法人資本税において同署の徴收不足に屬すもの 三〇〇圓
臨時利得税において同署の徴收過に屬すもの 八、五〇〇圓
右はいずれも取扱の過誤により徴收過不足を生ぜしめたもので不當とする
昭和十六年度一般會計
歳入經常部
第一款 租税
第一項 所得税
(八)西宮税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の三) 二一一、九五七圓
(九)日本橋税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の四) 六、二六七圓
(一〇)日本橋税務署において微收不足に屬すもの(會計檢査院報告の五) 五、六一三圓
(一一)小田原税務署において微收不足に屬すもの(會計檢査院報告の六) 五、四八五圓
(一二)松山税務署において微收過に屬すもの(會計檢査院報告の七) 五、五九五圓
右はいずれも取扱の過誤により微收過不足を生ぜしめたもので不當とする
第二項 法人税
(一三)東税務署において微收不足に屬するもの(會計檢査院報告の八) 七三八圓
臨時利得税において同署の微收不足に屬すもの 一二、六七五圓
本件は取扱の過誤により微收不足を生ぜしめたもので不當とする
昭和十七年度一般會計
歳入經常部
第一款 租税
第一項 所得税
(一四)日本橋税務署において微收不足に屬すもの(會計檢査院報告の九) 九八、七三三圓
(一五)日本橋税務署において微收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一〇) 六、五〇六圓
(一六)日本橋税務署において微收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一一) 五、二〇四圓
(一七)澁谷税務署において微收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一二) 一四、八九一圓
(一八)澁谷税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一三) 五、五四〇圓
(一九)甲府税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一四) 五、七九六圓
右はいずれも取扱の過誤により徴收不足を生ぜしめたもので不當とする
第二項 法人税
(二〇)港税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一五) 九八六圓
臨時利得税において同署の徴收不足に屬すもの 四、五一六圓
本件は取扱の過誤により徴收不足を生ぜしめたもので不當とする
昭和十八年度一般會計
歳入經常部
第一款 租税
第一項 所得税
(二一)日本橋税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一六) 八〇、六五七圓
(二二)日本橋税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一七) 一三、一七一圓
(二三)日本橋税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一八) 八、九二四圓
(二四)日本橋税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の一九) 五、四六六圓
(二五)小樽税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の二〇) 八、〇一四圓
(二六)臨時利得税において小樽税務署の徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の二一) 五、二六八圓
右はいずれも取扱の過誤により徴收不足を生ぜしめたもので不當とする
第二項 法人税
(二七)飯田税務署において徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の二二) 一、八三〇圓
臨時利得税において同署の徴收不足に屬すもの 五、七六〇圓
(二八)臨時利得税において靜岡税務署の徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の二三) 二六、六〇〇圓
(二九)臨時利得税において諏訪税務署の徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の二四) 二一、八〇〇圓
(三〇)臨時利得税において沼津税務署の徴收不足に屬すもの(會計檢査院報告の二五) 五、六六六圓
右はいずれも取扱の過誤により徴收不足を生ぜしめたもので不當とする
二 其の他は是認すべきものとする
附帶決議
昭和十九年度決算の提出がはなはだしく遲延し且つ又今期議會に提出すべきはずの昭和二十年度決算の未だ提出なきは、はなはだ遺憾とすること。
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一 昭和十九、二十年度國有財産増減総計算書
右は本院において是認すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月二十七日
決算委員長 菅又 薫
衆議院議長山崎 猛殿
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一 臨時軍事費歳入歳出決算
右は本院において別紙の通り議決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十二年三月三十一日
決算委員長 菅又 薫
衆議院議長山崎 猛殿
臨時軍事費歳入歳出決算について左の如く議決する。
一 不當と議決すべきもの
歳 出
第一款 臨時軍事費
大藏省所管(元陸軍省所管)
第一項 陸軍臨時軍事費
(一)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一) 一二、九六七、三一八圓
右は陸軍被服本廠において隨意契約で日本化工及び藤倉工業兩株式會社から購入した被甲(防毒面)、被乙(馬用防毒面)及び被絆(防毒脚絆)の代價である。右の購入單價中に積算した利益率は生産費に對し被甲一割一分九厘、被乙一割二分四厘、被絆九分七厘であつて本廠における他の調辨品の利益率が概ね七分内外であるのに比べて著しく高率であるばかりでなく本件被甲類の利益率は一般會計十一年度契約に際し當局者は日本化工株式會社の實績によつて利益の附與が僅少に失するとの理由で八分から一割三分五厘に引上げたものであつて十二年度においては若干の引下をしたけれども、本件の外一般會計の支辨とした四百參拾八萬餘圓を併算するとその調辨高は十一年度契約高に比べて約十倍に激増しているから前記利益率によつて同會社の取得する利益を推算すればその額は巨額に達し拂込資本に對して著しい高率となり、藤倉工業株式會社にあつても、この種の物件の契約高は激増し利益が多額に達するのは推定に難くないところであつて利益率は過大であると認められる。日本化工株式會社の昭和十二年事業年度分利益額についてこれをみると考課状面の利益は七拾七萬餘圓であつて拂込資本月別平均額百九拾五萬餘圓に對し年約四割に當つているばかりでなく税金引當金百五拾萬圓建物、設備、機械器具に對する償却費否認金六拾參萬餘圓その他の認定利益參拾六萬餘圓を併せた課税利益は參百貳捨六萬餘圓の多きに上り、拂込資本月別平均額に對し十六割餘に當る計算となつているのは本件購入單價の査定が當を得なかつたのによるものと認められる。これに關して當局者の言ふ如く會社の積算した税金引當金は實際の課税額以内であつて軍需品調辨價格決定上至當な税金を經費として取扱うべきものであるとするのはこれを是認することはできない又會社の積算した税金引當金百五拾萬圓の大部分は調辨價格が過大である結果會社が異常の利益を收得したため負擔すべき超過所得税額及び臨時利得税額であるから原價採算上これを經費として取扱うのは過當の利益を前提として調辨價格を査定するのに外ならないものである。又設備、機械器具などは製品の特性上製作仕樣の改變が多い關係でこれらの資産は陳腐化が著しいばかりでなく平和の際における利用價値が少い關係などにかんがみ大藏省の償却是認標準に若干の増加をするのは已むを得ないところであつて、會社が計上した償却費は概ね適當なものと認めるというけれども會社が償却費として計上した費額は八拾七萬餘圓であつて、これは保有價格に對し設備にあつては六割、木造建物、機械器具にあつては約五割、鐵骨、石造建物にあつても二割に當る計算であつて軍需産業である點を考慮しても償却額が概ね適當であるとの辯明はこれを認めるわけにはゆかない。日本化工株式會社は主として軍需品を供給しているものであつて從來株式拂込金額に對する利益率に基いて購入價格を査定したものであるから積立金及び借入金を必ずしも併算する必要はないが假りにこれを加算しても前者月別平均額約百萬圓後者期末現在百參拾萬園に過ぎなく、その收益率は約八割に當つている状況である。又當局者は昭和十一年事業年度のうち四箇月間は事變下に屬しこの間の生産量及び賣上金額は全年度の七割餘に當り増加受注の關係は十分本事業年度利益中に包含されているものとしその利益額が過大ではないと辯明するも右四箇月間の生産額は本件の購入契約高に對して約二割に過ぎないから辯明は當を得たものではない。かように本件は物件の購入に當つて價格の決定宜しきを得ないものである。よつて不當とする。
(二)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の二) 一、九七一、七六一圓
右は陸軍兵器本廠において昭和十三年株式會社鈴木工業所外十五名から購入した各種信管筒千百九十六萬五千四百餘圓の代價である。陸軍造兵廠東京工廠において同年東洋製罐株式會社外一名から購入した同種信管筒の單價に比べて本件單價はいずれも高價に失するものと認められる、しかし本件のうち十三年七月採算の八百四十二萬餘箇の豫定價格を陸軍造兵廠東京工廠の分に比べると、兵器本廠の分は各費目にわたつて著しく多額に積算してあつて當局者のいうように供給者の製罐に關する設備、技術、能力などに差異があるとしてもこのように著しい開差を生ずるものとは認め難く、豫定價格の算定が適實を缺き延いて購入價格を高價にしたものといわなければならない。又兵器本廠の發注先は失業救濟のため主として舊來の家内工業のブリキ職を用いたというのは北海道外六縣所在の工業組合に對して發注した六百二十餘萬箇九拾九萬餘圓を指すものと認められるが本件は比較的構造簡易な物品であつて同時期において岡山、廣島、小倉各陸軍兵器支廠に分割調辨させたものをみると初度注文であり岡山、廣島兩支廠が本件と同樣工業組合を利用したものであるのに對し小倉支廠において專業者から購入したものと大差はなくいずれも東京工廠の購入單價と大體等しい状況であるのに徴して製罐の設備能力などの差異、失業救濟のため未經驗者を利用した事情などを考慮してもなお本件購入價格は高價に失するものと認められる。又五月十日附豫定價格採算の三百五十餘萬箇にあつても初度の注文であるのと納期が比較的短いことによつて工賃において二〇%の割増をする必要があつたとしても右割増關係のない材料費及び平常工賃、雜費、利益ともいずれも過當に計上したものである本件は物件の加工を請負はせるに當り價格の決定が高きに過ぎたものである。よつて不當とする。
(三)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の四) 一、三五四〇〇〇圓
臨時軍時費において陸軍東京經理部の支出した 二、六六〇、一七七圓
右は鹿島師團經理部において昭和十五年十月契約した因島、岩城島、向島軍施設工事(以下甲工事という)、十六年二月契約した小佐木島軍施設工事(以下乙工事)、及び西部軍經理部において十六年四月契約した毛木、西浦、瀬戸崎軍施設工事(以下丙工事)の代價であつていずれも株式會社廣島藤田組の請負に付して施行したもので外に官給材料價格拾四萬餘圓及び廣島師團經理部において支拂つた敷設買收費及び地上物件移轉補償料計百四拾參萬餘圓がある。本件工事は國際情勢上特に購入したドラム罐入揮發油の格納用假倉庫の建設を目的とし格納品の性質と補給輸送の便を顧慮して海濱や島に分散配置したものであるが當初設計によると假倉庫は木造平家建外壁羽目板張とし建坪概ね千八百乃至二千百餘平米の大型倉庫であつて各棟の間隔を約十米乃至十五米とし敷棟乃至數十棟を集團して設置するものであるしかして甲工事にあつては工事著手後になりこのような大型倉庫に多量を格納し各棟の間隔を近接して集團させるのは危險であるからさらに分散配置の必要を認め且つその一部は商船航路に曝露し防諜上位置不適當であるとし十六年五月設計變更を行つて計畫棟數の四割餘を出來高三割餘乃至九割九分餘で中止又は解除した加ふるに乙工事及び丙工事にあつては十六年いずれも竣工濟であるのに本格納品の危險性にかんがみさらに分散貯藏の必要を認め十七年三月になつて各棟の間隔を擴張し一棟三百乃至五百餘平米の小型倉庫とすることとし既設建坪中七割六分餘の解除工事を施行し多額の手戻損失を來たすに至つたのは措置當を得ないのによるものと認める。しかして本件工事は各箇所に大量收容のものを單位として大型倉庫を多數集團して建築し且つ各棟の間隔を僅かに十乃至十五米としたものであつて、當時急速に實施する必要があつた事情は諒とするが、このような設計によつて行うには本件格納品の性質にかんがみて保管上危險が大となるのは豫想に難くないものと認められるのにそのままこれを實施し甲工事の一部においては著手後設計變更を行つて竣功に近い多數の倉庫の解除工事を施行したばかりでなく乙工事及び丙工事にあつては當初計畫の通り工事を續行していずれも竣功し十七年三月になつて別途に解除分散の工事を實施したものであつて措置當を得ないものである。甲工事においてその一郡が當初からこの種施設については防諜上特に考慮を拂うべきは當然であるのに敷地を買收することとして工事に著手した後になつて防諜上必要であるとして工事を中止するに至つたのは當初の注意が周到を缺いたのによるものである。今本件倉庫を一郡解除した結果生じた損失額を推算すると當局者の計算によつても解除費、移築諸材運搬費など合計五拾貳萬餘圓に上り又防諜上工事を中止した敷地の買收費は貳拾貳萬餘圓に達している。なお會計實地檢査の際調査するところによると甲工事中倉庫十九棟この建設費四拾數萬圓の分は竣功後さらに災害豫防のため使用しないで空庫としていた状況である。かように本件工事は施行に當り措置宜しきを得なかつたものである。よつて不當とする。
第四項 臨時軍事費
(四)陸軍東京經理郡の支出した(會計檢査院報告の五) 二、三六三、六三三圓
右は陸軍航空本部において航空機材整備のための工作機械及びその製作材料用として昭和十八年三月足利染色工業組合から購入した業者供出の紡織機械器具千二百餘點の代價である。本件は時局の影響によつて遊休設備となつた足利市及びその附近の染色業者の工場設備を航空機資材に轉用する目的で栃木縣轉廢業者資産評價委員會の評定した價額によつて本費で買收し一部は宇都宮航空廠で原形のまま又はスクラツプとして使用しその他の大部分はスクラツプとして豊田工機株式會社に賣拂い概算貳百萬圓の損失を生ずるに至つたものである。企業整備による轉廢業者の遊休設備を買收し轉用又はスクラツプ處分をするには他に方法がある際に本費支辨で實施したのは措置當を得ないものと認める。しかして本件買收物件を處分した實績(原形のまま竝にスクラツプ)をみると
宇都宮航空廠に交付したもの 一三五、四〇二圓
豊田工機株式會社に賣却したもの 二四〇、四九二圓
であつて買收價格貳百參拾六萬餘圓に對し原形のまま轉用したものは拾六萬餘圓に止りその他はスクラツプ處分をしてその評價は貳拾壹萬餘圓に止まつて概算貳百萬圓の損失を來している。企業整備による遊休設備はこれを産業設備營團又は國民更生金庫において買取りスクラツプ化するものはさらに金屬類囘收統制機關を通じて適正配給を期する機構で運營されている際に直接資材を取得する處置に出て本費支辨で買收をして多額の損失を生ぜしめたのは失當の措置といわなければならない。右發注工作機械の納期をみると十八年度中のもの八十餘臺、十九年度中のもの百餘臺であつてその所要資材は鐵鋼六百瓲餘銅約九瓲に過ぎないので殘餘の九百餘臺は二十年度乃至二十五年度であるのに徴しても特に當會社に對し緊急所要材料として多量のスクラツプを交付する必要があつたものと認めることはできない。かように本件購入はその豫算の使用宜しきを得ないものである。よつて不當とする。
(五)陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の七) 八、〇七〇、七二五圓
右は西部軍直轄部隊において解散を命ぜられた軍人、諸生徒、軍屬に對し俸給、給料戰地増俸及び臨時家族手當の六箇月分を支給したので他の三箇月分を支給した部隊に比し超過した金額に相當するものである。終戰後陸軍では海軍と同樣に解散の軍人、諸生徒などに對し解散手當の外に俸給、給料、戰地増俸及び臨時家族手當の當月を含んだ三箇月分以内を支給できることに指示したのに西部軍においては終戰に伴い早急に解散を要する部隊があり當時通信連絡が惡く中央からの指達が遲延するので隷下部隊の前渡金保有高を考慮し六箇月分以内の俸給などを支給するようにしたのであつて中央からの指達を受けた後も依然六箇月分を支給したのである。元來俸給、手當の前拂は本人が將來も勤務する場合に限るべきものであつて解散の當月分を除いた翌月以降の二箇月分を支給することにした陸海軍中央の指示は必ずしも當を得たものとはいえないが西部軍においては更に三箇月分を増加して支給したのであつてその後中央指示の範圍内となるよう囘收の手續を講じたけれども昭和二十一年六月まで隷下全部隊を通じ貳百拾萬七千餘圓を囘收したに過ぎないのはその措置甚だしく當を失したものでよつて不當とする。
(六)陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の八) 二、〇四〇、八四二圓
右は仙臺陸軍需品支廠で大東輪業株式會社外十名に對し工場設備費などの損害補償として交付したものである。これら業者との契約は終戰によつて解約したのであるがかような補償をする必要があれば別途に處理せらるべきものであるのに當支廠限りで支拂つたのは當を得ないものと認める。しかして終戰後契約の解除により工場設備などの補償をする必要があれば中央部において處理せらるべきものであるのに先に交付した前金拂をその補償にあて或はあらたに支拂つて補償したのは當を得ないものである。當局者は囘收に努めつつあるというが大東輪業株式會社外五名の補償金額百六拾四萬餘圓のごときは無資産などのため囘收の見込がないものである。本件は終戰に伴う契約解除に當り設備などの損害補償をしたものである。よつて不當とする。
(七)陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の九) 一、六〇九、五二七圓
右は福岡陸軍被服支廠において日本ゴム株式會社外三名に對し設備の新設又は擴充などに對する損害補償として交付したもので右補償は終戰に伴い物品賣買契約又は加工契約を解除したために支拂つたものであるが、これら補償は契約上支拂うべきものでないと認める。即ち物品賣買又は加工契約中の損害補償條項はその契約の内容に關する損害に限るものであつて本件のような設備の補償を包含しないものであるのにこれを適用して賠償協定をしたのは妥當の据置ではない、しかもこれが囘收は相當困難と認められる。本件は終戰に伴う契約解除に當り設備などの損害補償をしたもので其の措置宜しきを得ない。よつて不當とする。
第一項 陸軍臨時事軍事費
(八)關東軍經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(1)) 五、四九一圓
(河村部隊經理部に係る)
(九)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(2)) 二七、〇〇〇圓
(小倉陸軍病院別府分院に係る)
(一〇)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(3)) 七、一五四圓
(名古屋陸軍兵器支廠に係る)
(一一)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(4)) 三、五一五圓
(第十四師團工兵第十四聯隊に係る)
(一二)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(5)) 六、六七三圓
(臨時東京第一陸軍病院に係る)
(一三)關東軍經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(6)) 四、五一八圓
(關東軍經理部奉天派出所に係る)
(一四)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(7)) 一一、五四三圓
(久留米陸軍病院佐賀臨時分院に係る)
(一五)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(8)) 四、五五〇圓
(第二十一軍管理部に係る)
(一六)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(9)) 五、七六二圓
(多田部隊經理部天津派出所に係る)
(一七)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(10)) 八、八二四圓
(青森陸軍病院に係る)
(一八)關東軍經理部の支出した會計檢査院報告の一〇(11)) 三、六一八圓
(航空兵團經理部齊々哈爾派出所に係る)
(一九)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(12)) 七、八七五圓
(支那派遣軍第三飛行集團第十五野戰航空廠天津派出所に係る)
第四項 臨時軍事費
(二〇)陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(13)) 一〇、五六五圓
(咸興憲兵隊に係る)
第一項 陸軍臨事軍事費
(二一)關東軍經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(14)) 二、二九六圓
第四項臨時軍事費において同部の支出に屬するもの 一一、八〇九圓
(阿城陸軍病院に係る)
第四項 臨時軍事費
(二二)陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(15)) 四、九四二圓
(支那派遣軍第三飛行集團第二飛行場中隊に係る)
(二三)陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(16)) 七、七五四圓
(山口陸軍病院に係る)
(二四)陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(17)) 四、二一八圓
(察南省源駐屯獨立歩兵第四大隊に係る)
(二五)陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(18)) 八、三五八圓
(高知陸軍病院に係る)
(二六)陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の一〇(19)) 四二、二九九圓
(久留米師管區司令部に係る)
右各件はいずれも元陸軍において職員の犯罪に基因し國庫に損失を生ぜしめたもので不當とする
歳 出
第一款 臨時軍事費
大藏省所管(元海軍省所管)
第四項 臨時軍事費
(二七)海軍省經理局の支出した(會計檢査院報告の一七) 一、五〇〇、〇〇〇圓
右は海軍施設本部補給部で社團法人海軍施設協力會に對し工事用機器の代金として重複支拂し囘收できない金額に相當するものである。右物品は朝鮮にある工事用機器を鎭海海軍施設部で同協力會のものとして代理購入しその後同施設部で該品を直接購入したものであるのにその支拂擔當部局でない海軍施設本部補給部でその代金を支拂つたものである。即ち鎭海海軍施設部では本部承認の上で本件購入契約をしたのであつた代金の支拂も同部で行うことになつていたものであり、既に協力會朝鮮支部に支拂つているものであるのに二十年九月協力會の請求に對し支拂をしたため重複拂となり未だ返納を受けていないのは當を得ないものである。本件は終戰後物件の購入代價の重複支拂をしたものである。よつて不當とする。
(二八)大阪海軍經理部の支出した(會計檢査院報告の一八) 三六四、五〇圓
右は大阪海軍軍需部資金前渡官吏赤廣某が執務時間中事務用机の抽出中に格納していた小切手用紙及び印章を盗用せられたと判斷される同人名義山本某渡の僞造小切手により昭和二十年十月預託金を騙取せられたものである。本件はなんら實際の支拂がないのに本費に決算するに至つたもので不當とする。
第二項 海軍臨時軍事費
(二九)呉海軍經理部の支出した(會計檢査院報告の一九(1)) 一〇、六八一圓
第四項臨時軍事費において同部の支出に屬するもの 九、一一七圓
(呉海軍建築部に係る)
第四項 臨時軍事費
(三〇)佐世保海軍經理部の支出した(會計檢査院報告の一九(2)) 二、五六四圓
(大村海軍航空隊に係る)
(三一)鎭海海軍經理部の支出した(會計檢査院報告の一九(3)) 三、四七四圓
(鎭海海軍病院に係る)
(三二)海軍省經理局の支出した(會計檢査院報告の一九(4)) 五二、〇〇〇圓
(青島海軍航空隊福岡派遣隊に係る)
(三三)第十二海軍航空廠の支出した(會計檢査院報告の一九(5)) 六四、四四〇圓
(第十二海軍航空廠に係る)
右各件はいずれも元海軍において職員の犯罪に基因し國庫に損失を生ぜしめたもので不當とする。
歳 出
第一款 臨時軍事費
商工省所管(元軍需省所管)
第四項 臨時軍事費
(三四)軍需省航空兵器總局の支出した(會計檢査院報告の二〇) 二二、五三〇、三六五圓
右は昭和十九年八月以降大阪商船株式會社外九名から購入した木造船百九十四隻及び機關その地の船舶用品の代價である。當時海陸輸送の逼迫に對處して航空機材の優先輸送を確保するため同局が直接運營する目的で購入したものであるが、その價格は遞信省告示の保險價格算定法に準據した木造機帆船又は漁船の船價基準に比べて著しく高價であつて終戰後これらの船舶を概ね原所有者に賣拂いその價格は購入價格に對比して總額において僅かに二割三分を出でない。元來船舶の價格はその總噸數、機關の種類、馬力、船齡その他の條件によつて異るのを免れないが本件購入當時の戰時標準型木造船の建造價格は機帆船は總噸數一噸當り千貳參百圓、漁船は同じく貳千圓内外であり、又當時徴用船舶の海難補償額算定などに適用された海運總局の複成船價算出基準や遞信省告示の保險價格算定法に準據した船價算定基準による木船の船齡零のものは機帆船千五百圓内外、漁船參千圓を出でなかつたものと認められ本件船舶百九十四隻は概ね船齡數年乃至十數年のいわゆる中古船であるのに噸當り貳千圓を超えているのであつて參千圓を超えるもの八十七隻、五千圓を超えるもの四十一隻に及んでいる。今噸當りの基準價格又は複成船價と購入價格との割合を本件船舶にみれば多くは數倍から最高は二十一倍に達している。且つ本件船舶は數箇月乃至一箇年未満使用して終戰後保險價格算定法に準據し購入價格の二割餘に相當する五百拾壹萬餘圓で概ね原所有者に賣拂つたのであつて、これに徴しても本件購入價格は高きに失するものであつて當時多數の船舶を購入するに際し基準價格や複成船價のみに準據できなかつたにしても、全然これを無視して格段の差異ある高價で購入したのは當を得ないものである。よつて不當とする。
(三五)軍需省航空兵器總局の支出した(會計檢査院報告の二二) 八一六、〇〇〇圓
右は昭和二十年五月千歳亞炭燃料興業所長高橋某に對し亞炭油二千屯の購入代價百參拾餘萬圓に對する前拂金として支拂つたものである。本件は自動車燃料に使用するもので納期を十二月末としたものであるが終戰までに製品の納入なく契約を解除することになつたので前拂金の返納を命じたが未だ納入に至つていない。同所の亞炭タール製造の施設は甚だ不十分なものであるのに大量の發注をすると同時に多額の前金拂をしたのは妥當でないものと認める。即ち千歳亞炭燃料興業所において本件發注後に要した諸經費をみると總額は五拾四萬餘圓であつて、トロ車二十七臺、釘七百貫、二十馬力モーター一臺、二十馬力卷上機一臺、鉛一屯などの買入代價、土地建物の買入代價及び仕掛品など五拾壹萬餘圓を主なるものとしてその大部分は生産設備に屬するものであり又終戰時の殘高試算表によると資本金五拾萬圓の外本件前拂金八拾壹萬餘圓があるに對し生産設備は固定資産未拂建設費など計七拾九萬餘圓があるに過ぎないから契約當時の施設は本件多量の發注に應じ得ないものであつて生産の見込も確實なものと思えないのに前拂金を交付して設備の擴充をなさしめたものと認められる。かようなものに多額の資金を交付し二十一年末において未だ返納をさせることができないのは當を得ない。本件は物件の購入に當り前金拂の措置宜しきを得ないよつて不當とする。
(三六)軍需省航空兵器總局で支出した(會計檢査院報告の二四) 九、六五六、七二〇圓
右は小西某と購入契約を締結した各種棒鋼一萬二千屯の代價七百參拾八萬千貳百圓に對する概算拂四百四拾貳萬八千七百餘圓とエール式弧光電氣爐六基の代價として支拂つた五百貳拾貳萬八千圓との合計額である。右のうち
一、棒鋼の購入契約は昭和二十年四月締結したものであつて同人をして製鋼設備を新設せしめ戰災鐵屑を利用して製造の上二十一年三月までに納入せしめようとするものであるが工場の設備も整わないのに契約と同時に概算拂をなし終戰となつて契約を解除し概算拂の返納を命じたが二十一年末において未だ返納に至つていない。
二、電氣爐は前記製鋼設備用として二十年七月二噸乃至八噸用六基を購入したものであるが、これは小西某の工場設備にあてるためにわざわざ同人から購入したものであつてこれを使用しないうちに終戰となつたので僅かに六拾六萬圓でこれを同人外一名に賣拂い、棒鋼の返納金と同樣に代金六拾萬圓を同人から納入せしめていない。
かようにいずれも措置當を得ないものであり鐵鋼生産の低下した當時においては戰災によつて生じた屑鐵を利用して鐵鋼の増産をはかるにしても小西某に本件棒鋼の生産をさせるには製鋼設備の新設を要したのでこれがためには多くの資材を必要とし電氣關係については所要電力の確保や配線、變壓装置、其の他の受電設備の整備をしなければならないのであるが本件設備に使用する電氣爐は八噸爐以下五基であり所要電力も一萬キロワツトに近いものであるのにこれに相應する受電設備を新設するための資材などの調達計畫は全くなかつたのであり、契約期限までに製品の納入されることは豫期できなかつたものと認められる。このようなものに對し大量の發注をしてその起業資金に充てるため多額の概算拂をしたのは失當の措置といわざるを得ない。
又電氣爐の購入に關して小西某において設備するものをわざわざ同人から購入してこれを貸付ける方法をとつても特に設備を促進できるものとは認められない。のみならず本件電氣爐の大部分はメーカーの手元にあるもので完納されていないのに二十年七月完納したものとして代金の全額を支拂つたのは當を失したもので、これがためその大部分は同人に賣戻すの外なきに至らしめ終戰後購入價格の僅かに一割餘に過ぎない價格で處分し損失を生ぜしめたのはその措置甚だしく當を得ないものである。かように製品の納入の見込のないのに概算拂をなし又納入のない設備を完納したとして代金を支拂い、終戰後これを同人に低價で賣戻すの外なきに至らしめ概算拂の返納と賣拂代金の納入の完了していないのは當を得ない。
右の外前記電氣爐で精錬する目的で同人から戰災地銅層を購入し六十五萬貫の代價として千百七拾萬圓を支拂つたものがあるが精錬したものは皆無であつてそのまま保有し終戰後に二十萬餘貫は參百貳拾餘萬圓で金屬配給統制株式會社に賣拂つたが四十餘萬貫は滅失していてその原因も確認し得ない状況である。本件は物件の購入に當り概算拂又は代金支拂の措置宜しきを得ないよつて不當とする。
(三七)軍需省航空兵器總局の支出した(會計檢査院報告の二五) 四、四七九、九〇六圓
右は昭和二十年八月二十二日生産隊が終戰によつて蒙つた材料損害額貳百五拾壹萬五千九百餘圓工場買收手付損害額百萬圓、下請工場損害額九拾六萬四千圓の損失補償として同隊次長豐田某に交付したものである。本件支拂に關し會計實地檢査の際調査したところにより生産隊は前項(三六)に記載した各種棒鋼及び電氣爐の供給人である小西某を隊長として作つたもので官において補償を要する命令をしたものはないばかりでなく指示したものも適確に判明しないし同隊においてかような業務を實行した證跡もないので、かかる内容の確認し得ないものに對し多額の補償金を交付したのは當を得ないものである。本件は終戰に伴う損害補償に當り措置宜しきを得ない。よつて不當とする。
(三八)軍需省航空兵器總局の支出した(會計檢査院報告の二六) 四、六一〇、五〇〇圓
右は昭和二十年六月合資會社上野商店代表者上野某と九月三十日を納期として契約した作業服三萬着外四點の購入代價參百拾貳萬五千圓及び同年七月東亞鑛學研究所福島某と納期を二十一年三月として契約した電極用鱗状黒鉛千百五十屯外一點の購入代價參百五拾壹萬七千五百圓に對する前拂金として前者に對し貳百五拾萬圓後者に對し貳百拾壹萬五百圓をそれぞれ支拂つたものである。右はいずれも全然納入がなく終戰となつたので契約を解除するのが相當であると認められるのに二十年八月前金拂をしたのは當を得ないものと認める。しかも上野某との契約は當時同人には手持品なく他のブローカーから購入の上納入する豫定のもので履行が必ずしも確實を期し得ないものであり、納期間三ケ月餘のうち二ケ月餘を經た終戰時においても全然納入のないものであるのに契約金額の八割の前金拂としたもので支拂後も全然納入がないのに徴すれば當を失したものである。又福島某との契約に關しても終戰時に納入皆無であるのに契約金額の六割を前金拂したもので當を得たものではない。又當局者は兩者とも一應前拂をなし清算事務を引繼ぐ豫定であつたというが商工省整理部に殘務を引繼ぐこととし前金拂をするの必要があるものとは認められないのに前金拂をして二十一年末において未だ囘收ができないのは妥當の措置ではない。本件は物件の購入に當り前金拂の措置宜しきを得ないよつて不當とする。
二 其の他は是認すべきものとする。
但左の各件については警告を付すべきものとする。
歳 出
第一款 臨時軍事費
大藏省所管(元海軍省所管)
第 四項 臨時軍事費
(一)海軍省經理局の支出した(會計檢査院報告の一三) 二六、七一九、八七五圓
右は昭和十八年七月海軍航空本部において十九年十二月末を納期とし東洋レーヨン株式會社と購入契約を結んだポリアミド合成樹脂三百餘瓲の代價參千五百六拾貳萬六千餘圓に對する前金拂として支拂つたものである。右契約の履行を見ると甚しく不良で終戰時までにわずか九瓲餘この代價百拾五萬餘圓に過ぎないのであるのに契約をそのまま維續し終戰後前金拂の超過額貳千五百五拾六萬餘圓も返納させていないのは妥當の措置でないと認める。しかして本件前拂金は日産三瓲を目途とした設備費、原料藥品費の全額に相當する額を支拂つたものであるが、設備費にあてるために前金拂をしたのは妥當でないし、その設備の實際をみても會社は本件注文に應ずるために日産一瓲の設備を完成したに過ぎないのであつて前拂金は過大なものであつたといわなければならない。又原料藥品費に對する前拂金としても、これは契約全量に要する三百餘瓲に相當するものであるが、本品原料の取得方法は日産五十瓲當りで四半期毎に航空兵器總局に一括申請し割當もしくは斡旋を受けた上取得するものであつて、契約直後に全所要量に要する代價を前拂したのは多きに失するし現に當局の斡旋にもかかわらず原料資材の獲得が困難であつたため、製品約十瓲だけを納入したに止まるのである。かように設備のために前金拂をしたものがあるばかりでなく前金拂も過大に失したため終戰後その超過額の囘收を困難とならしめたのは妥當の措置ではない。本件は物件の購入に當り前金拂の措置が妥當を欠く嫌があるよつて警告する。
(二)海軍省經理局の支出した(會計檢査院報告の一六) 一〇一、六八九、〇二〇圓
右は海軍艦政本部において尼崎金屬工業株式會社外五社と契約したH金物及びSS金物の各昇降装置などの代價として終戰後に工程を査定しこれに基ずいて支拂つたものであるが右のうち
一、尼崎金屬工業株式會社に支拂つたH金物の昇降装置千百餘臺の代價四千六百六拾貳萬千貳百圓はその製造工程を一〇〇%としたものであるが海軍艦政本部第六部生産課長海軍技術大佐高田某などが同會社專務取締役澤田某などと通謀して故意に工程を作爲した疑があり現に東京刑事地方裁判所において審理中に屬しているのであつて當局者の調べたところによると大部分の工程は皆無又は五〇%以下なのに一〇〇%としたものであつて結局參千八百七拾貳萬四千九百餘圓の過拂を生じその返納の能否を確認できないものである。
二、中央精機工業、敷島兵器工業、川崎重工業及び武藏鐵工各株式會社に支拂つたH金物及びSS金物の各昇降装置その他の代價四千貳百參拾貳萬八千餘圓もその製造工程は大部分を一〇〇%としたものであるが、その多くは皆無であつて結局參千貳百八拾四萬六千五百餘圓の過拂を生じその返納は困難な状況である。
三、山田兵器工業株式會社に支拂つた四〇〇VA電動機などの代價千貳百七拾參萬九千七百餘圓も工程の査定に相當疑わしい點があり又工程の當否は判明しないものである。
以上はいずれも終戰後契約物件の製造工程の査定が正しくなく又は正否判明しないものであつて七千百五拾七萬千五百餘圓の巨額の過拂を生ぜしめ囘收ができないものがあるのは妥當を欠く嫌があるよつて警告する。
(三)軍需省航空兵器總局の支出した(會計檢査院報告の二一) 一四、〇五五、七一九圓
右は興東特殊工業株式會社外三社と追加契約した各種自動車などの代價貳千七拾壹萬六千五百餘圓に對する前拂金として支拂つたものである。右のうち
一、興東特殊工業株式會社に對し昭和十八年四月燃料自動車五十臺、代價六拾五萬圓を發注し前拂金四拾參萬參千參百餘圓を交付しわずかに一臺の納入があつただけであるのに十一月以降八百八十臺代價六百壹萬四千貳百圓の購入契約を逐次締結するとともにそれぞれ契約代價の三分の二乃至十分の八に相當する前拂金合計四百拾參萬千百餘圓を支拂つたのであるが、これら契約による納入も納期までにほとんど無く終戰までに前記各契約を通じてわずかに三十一臺代價貳拾壹萬八千六百餘圓を納入したに過ぎないのである。しかも當初の契約の履行がほとんど無かつたのに短期間に逐次これに數倍する發注をしたのであつて會社の資本金は百六拾餘萬圓。設備資産なども八拾餘萬圓に過ぎないのに徴しても過大の發注をしたものというの外はなく履行の見込など無視して契約のつど多きに失する前拂金を交付し終戰後全契約の前拂金のうち四百四拾壹萬餘圓の返納を命じ二十一年末に至るも未だ納入せしめていないのは妥當の措置ではない。
二、日本自動車株式會社に對し十七年十一月契約した電源自動車二十臺代價拾四萬七千百圓に對しては前拂金九萬八千餘圓を交付し十九年一月契約した自動車部品代價七萬千貳百餘圓に對しては前拂金五萬六千九百餘圓を交付したがいずれも納期までに全然納入がないのに十九年十月清掃除雪自動車百臺代價百八拾五萬九千圓の購入契約をして百四拾八萬七千貳百圓の前金拂をなし更に二十年一月同品百八臺代價貳百萬七千七百貳拾圓を契約し百六拾萬六千百餘圓を前金拂をしたのであるが終戰までに清掃除雪自動車がわずかに四臺代價七萬四千參百餘圓の納入があつたに過ぎないのである終戰當時十七年契約の電源自動車二十臺はボデーの完成三臺、ボデー半製品七臺、調速器二十臺分など部品完成又は材料仕掛の程度であり、十九年契約の清掃除雪自動車百臺は未だ鋼材その他材料の一部を買入れたに過ぎないのである。當時本品を必要としたにしても少量の契約品さえ納入しない業者に對し更にこれに數倍する發注をしてそのつど過大の前拂金を交付し終戰後全契約のほとんど全部を解除し前拂金參百拾七萬六千七百七拾九圓の返納を命じたが二十一年末において未だ囘收に至つていないのは妥當の措置ではない。
三、關東電氣工業株式會社に對し十八年六月零式航法目標彈十六萬五千箇代價六百貳拾七萬八千貳百餘圓を發注し四百拾八萬五千五百圓を前拂しわずか二萬餘箇の納入があつたに過ぎないのに更に十月同品十三萬箇代價四百九拾四萬六千五百圓の購入を契約し參百貳拾九萬七千六百餘圓を前拂したが、兩契約とも納期經過後長時日にわたりほとんど未納であるのにそのまま放置し終戰後ようやくこれを解約して全契約の前拂金のうち六百九拾六萬貳千九百餘圓の返納を命じたが二十一年末において未だ納入に至つていない。なお本件發注品を製作する會社の川島工場における生産施設は四拾萬圓に滿たないのに一時に多額の發注をするとともに前金拂をして終戰時までこれを放置し前拂金返納額の未收入を生ぜしめたのは妥當の措置ではない。
四、日東鐵工株式會社に六囘にわたり發注した十九年三月以前を納期とする各種運搬車七百八十臺代價百四拾參萬參千九百餘圓は前拂金九拾五萬五千九百餘圓を交付したが、納期後も大部分は未納となつていたのに更に同年八月會社に對して各種運搬車二千十臺、代價五百八拾八萬九千百餘圓を發注し參百五拾參萬參千四百餘圓を前拂したが終戰までにわずかに五十七臺參拾四萬六千百餘圓の納入があつたに過ぎないので、終戰後兩契約の大部分を解約し全契約の前拂金のうち四百七萬六千九百餘圓の返納を命じたが二十一年末において未だ納入に至つていない。抑々情勢の變化により前契約の履行が遲延するのは已むを得ないとした當時の事情は諒とするが前金拂はその履行の程度に止めなければならないことはもちろんであつて當初契約の七百八十臺のほとんど全部が納入に至らなかつたのにこれに數倍する發注をして多額の前拂金返納額の未收入を生ぜしめたのは妥當の措置ではない。
以上四會社との追加契約はいずれも業者の履行能力を無視して過大の發注をなし、そのつど多額の前拂金を支拂い、終戰後契約の大部分を解約し、しかも前金拂の返納をみるに至らないものであつて當を得たものではない。航空兵器總局において終戰後返納を命じた前金拂及び概算拂のうち二十一年末において未だ納入に至らないものは總額參憶六千六百餘萬圓に上つているが、これらのうちには本件と同樣業者の履行程度を無視して、過大の發注をして、そのつど多額の前金拂又は概算拂をなしその返納も困難となつているものがある。本件は物件の購入に當り前金拂の措置が妥當を欠く嫌がある。よつて警告する。
(四)軍需省航空兵器總局の支出した(會計檢査院報告の二七) 一四、九一八、二一四圓
右は第一軍需工廠及び所屬各製造廠において工廠設立後終戰に至る間に購入した乘用自動車百七十八臺貨物自動車百三十二臺計三百十臺の代價である。右自動車數を工廠設立當時中島飛行機株式會社から承繼したもの乘用車貨物車計三百五十九臺であるのに比し餘りに多いばかりでなくその價格も甚だ高く品質の惡いもの多くして當時空襲及び疎開によつて輸送及び連絡用として自動車の必要があつたとしても乘用車についてみるに會社より工廠に引繼の當時は百七十七臺であるのに約五箇月の短期間に百七十八臺を購入している。又その價格は乘用、貨物とも一臺拾萬圓をこえるものが少くなく中には第四製造廠で購入したリンカーン乘用車貳拾貳萬圓、フオード貨物車捨八萬圓、第十三製造廠で購入したプリムス乘用車拾六萬餘圓、フオード及びシボレー各貨物自動車拾六萬圓及び拾七萬餘圓第二十二製造廠で購入したクライスラー乘用車拾八萬餘圓などのごとき高價なものが多く、その品質程度も極めて惡くブローカーの賣込に應じて購入したものが多く、中には動かない車もあり、本件購入の三百十臺のうち戰災を破つたものの外に判明しているものだけでも百二臺購入價格參百八拾七萬餘圓を終戰後の棚卸で廢却整理されているのであつて本件自動車の購入は多きに過ぎ價格も高きに失するもので當を得たものではない。
第一軍需工廠の經營は約五箇月に過ぎないものであるが、その經費は貳拾九億餘萬圓に達し、うち兵器費は貳拾參億餘萬圓、施設費は五億餘萬圓を占めている。同廠は中島飛行機株式會社の社長以下の職員及び工員をそのまま從事せしめたものであり、資金の制約もなくなつたのにその經費の支出を工廠に一任したためその支拂は放慢に流れたものと認められ、その全貌は帳簿書類を滅失しているので究明し得ないのである。本件は物件の購入に當り數量過大に失し價格の決定が妥當を缺く嫌がある。よつて警告する。
(五)軍需省航空兵器總局の支出した(會計檢査院報告の二九) 二八、〇八八、二七三圓
右は第一軍需工廠所屬の第二十三外五製造廠において協力工場などに對し仕掛品補償又は特別補償として支拂つたものである。
即ち第二十三製造廠においては終戰後協力工場など製造加工契約の相手方から補償支拂の請求があつたところ、その内容につきほとんど調査を行わないで千貳百八拾四萬參千八百餘圓の支拂をなしたところ中には三割位に査定減額するのを相當とするものがあり全般的に支拂が過大であつて結局參百參拾七萬六千九百餘圓の過拂であつたことが明らかになり、第一、第四、第十二、第十三及び第十四の五製造廠において終戰後各協力工場の疎開費、施設擴充費、從業員退職手當などのため特別補償として千五百貳拾四萬四千四百餘圓を支拂つたものであるがこの種の補償は別途に處理すベきものであるのに支拂つたものであり、いずれもその取扱が當を得ないものと認める。しかも
一、第二十三製造廠においては終戰後その協力工場などの仕掛品補償の請求額千參百七萬餘圓に對し僅かに貳拾參萬餘圓の外は査定しないで支拂つたのであるが拾萬餘圓を支拂つた日輪精密機械製作所の分のごときは加工度九〇%とあるが實際は平均五〇%であり、數量の實際は約半數程度を相當とするものがあつた。その後の調査によると支拂總數八十六件中請求額五〇%以下に査定するを相當とするものが十二件もあり甚だしいのは三〇%程度のものもあり、支拂額千貳百八拾四萬餘圓のうち約三〇%に相當する參百參拾七萬餘圓の過拂であることが明らかになつたのであるがほとんど調査もしないで支拂つたのは適當の措置でなく過拂額のうち參拾七萬餘圓を囘收したとにとどまるのである。
二、特別補償は第一外四製造廠において協力工場の疎開費、設備擴充費、從業員退職手當などにあてるため千五百貳拾四萬餘圓を支拂つたものであるが解約により支拂う補償は契約に基ずくものに限るべきで本件のような特別補償は別途に處理すべきものであるのに本件五製造廠においてこれが支拂をしたのであつて、しかもこれら製造廠における取扱をみると一定の基準もなかつたものでいずれも協力工場から提出した貸借對照表のみにより決定し他にこれを確認し得るような資料もないのに補償額を決定し又製造廠間の連絡もとらなかつたもので、その取扱は妥當を缺くものである。ことに第四製造廠において株式會社神護製作所に對し支拂つた補償金貳拾參萬五千圓は同會社を共同協力工場とし戰後の補償の支拂を擔當していた第一製造廠で會社の請求を認めなかつたものであるのに支拂つたものでなお同會社の仕掛品補償も第一製造廠において會社の請求額百八拾貳萬餘圓を百捨八萬餘圓に査定したものであるのに第四製造廠は第一製造廠と連絡もしないで更に會社の請求した仕掛品補償七拾參萬餘圓を支拂つたものである。
以上いずれも協力工場などに對する補償については軍需省の方針が確定しないうちに工廠においては製作中止による損害に對して總括補償すべき命令を發したものであつて商工省整理部で一定の方針を定め箇別的補償をするよう方針を決定したが各製造廠ではそれぞれ自由に總括補償したものが多かつたために過大に失したものであつて措置當を得ない嫌がある。本件は終戰に伴う損害補償に當り措置が妥當を缺く嫌がある。よつて警告する。
(六)軍需省航空兵器總局及び商工省整理部の支出した(會計檢査院報告の三一) 一九五、八〇九、九三五圓
右は第二軍需工廠の協力工場などの既納物品代及び加工賃の外、完成未納品及び仕掛品の代價として支拂つたものである。同工廠は昭和二十年七月九日川西航空機株式會社(以下原會社という)の工場を國營としたもので解散までは四十餘日を經たに過ぎないものであるが、終戰後協力工場などの支拂整理に當り既納物品代及び加工賃壹億九千參百八拾參萬餘圓の外、完成未納品及び仕掛品の出來高その他補償など計參億貳千八百四拾壹萬餘圓とし前金拂などを差引き右金額を支拂つたものであるが、右補償などは設備擴充の損失を補償するために行つたものであり、前記參億貳千八百四拾壹萬餘圓から補償額などを差引くと參億千四百參拾萬餘圓となるが、これを原會社の十九年度における協力工場などからの物品受入額一箇月平均千八百萬圓程度に過ぎなかつたのに比べると十六箇月分に當るので支拂額は過大に失するばかりでなく國に歸屬したこれら物品もそのまま放任している状態である。しかして
一、原會社について調べると協力工場などからの一箇月平均物品受入額は約千八百萬圓程度であつて、その後の仕事量の増加や物價騰貴などを考えても貳千參百萬圓程度としているのに國營期間に總額參億貳千八百四拾壹萬餘圓を支拂つたもので、設備などの補償を差引いても參億千四百參拾萬餘圓となるのである。
る。今既納品についてみるとその額は壹億九千參百八拾參萬餘圓であるが、これは國營期間内十餘日間に協力工場などから納入した物品の代金の支拂が濟んでいないものと、國營の前後にわたり檢收手續が遲れたり、帳簿傳票の整理が濟まなかつたものとであり、檢收遲延や未整理のものは大體一箇月半分程度を普通とし、これらを通じて三箇月分内外を相當とするのであつて、その額も七千萬圓程度と推算してゐるのに對して、當時空襲激化などのために普通より遲れたものがあつたとしても本件支拂が平均八箇月分を超えているのは過大に失したものと認められ、現に支拂當時係員と協力工場で協議の上請求書を書換えなどして増額したものが參千四百餘萬圓に上つており、また完成未納品及び仕掛品は總額壹億貳千四拾六萬餘圓であつて前記貳千參百萬圓に對し平均五箇月分を超えているのであり、當時航空機部品類が非常に不足を告げていた實情であつたのに徴し多きに過ぎるものと認められる。
二、本件支拂中の補償などの千四百拾壹萬餘圓は協力工場百數十箇所に對し特殊扱としてその設備擴充、戰災及び疎開の損失を補償するため契約單價引上げなどの方法によつて増額支拂をしたのであるが、培養強化の必要があつた協力工場の損失は特別の法規に基ずき別途に處理されねばならないのに特殊扱として支拂をしたのは當を得たものではない。
三、本件の完成未納品及び仕掛品の代價は壹億貳千四拾六萬餘圓に相當するのを協力工場などに放置して居り、その外官給材料として交付の見積額五千貳百拾參萬餘圓に上るのに、いまだ整理もしていないのであつて、これら物品の一部については原會社で協力工場などに對し適宜處分すべき旨を指示したものさへあり、その管理も當を得ないものである。終戰後かように原會社の協力工場などの既納品代又は完成未納品及び仕掛品の代價もしくは、補償の支拂は放漫に失するもので、物品の管理もまたその宜しきを得ない嫌がある。よつて警告する。
又左の各件にいつて注意を促すべきものとする。
歳 出
第一款 臨時軍事費
大藏省所管(元陸軍省所管)
第一項 陸軍臨時軍事費
(一)臨時陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の三) 一八一、五七四圓
右は大阪陸軍兵器支廠において昭和十三年七月に納期を同年十一月末として隨意契約で旭工業株式會社から購入した駄載式結束具二千五百餘箇及び乙車載式結束具七千六百餘箇の代價拾九萬參千餘圓のうちであつて壹萬千四百餘圓は一般會計十三年度に屬するものである。右の單價は前者拾八圓後者拾九圓であるがこれを十二年十二月十日に納期を十三年二月及び五月として東京陸軍兵器支廠で齊藤鐡工所から購入した駄載式結束具三百七十五箇及び乙車載式結束具六百七十餘箇の單價がいずれも九圓八十錢であるのに比べて著しく高價に當りその規格は同一であるのに著しく相違している。しかも東京、大阪とも供給者は本品製作上、未經驗工場でその製作に關し當局の指導を要するなどの事情は大差なく且つその構造にかんがみゲーヂ類に多額の支出を要するものとは認められない。そして本件豫定價格の算定内譯をみると材料費及び雜費においては兩者の間に著しい差異はないが工賃において東京陸軍兵器支廠の分は六圓四拾錢であるのに本件は拾四圓八錢餘又は拾四圓五拾貳錢餘であり一二〇%及び一二七%高價に積算したものであつて本件は東京陸軍兵器支廠の分に比べ火造を除き各工賃にわたつて甚しく多額に積算してあるが元來本品は比較的簡易な結束用具であるからその工程において格段の相違を來すものとは認められないし又既往におけるこの種結束具の購入單價にあつても概ね四圓乃至七圓であつた状況でありその後物價勞銀が騰貴した事情を斟酌しても東京陸軍兵器支廠において單價九圓八拾錢で調辨し得たのに徴して本件購入單價は高價に過ぎるものである。本件は物件の購入に當り價格の決定宜しきを得ない嫌がある。よつて注意する。
(二)陸軍東京經理部の支出した(會計檢査院報告の六) 一五六、〇〇三圓
右は浦和陸軍糧秣支廠で昭和二十年八月終戰に伴つて解傭した雇傭人及び工員百六十六名に對して支給した退職賞與のうち過拂となつて囘收に至つていない金額に相當するものである。同支廠においては、終戰に伴い雇傭人及び工員を急速に解傭する必要から支廠長が獨斷で退職賞與として給料及び手當を含めた金額の二箇年分に相當する貳百七萬餘圓を支給したが、その後本省から一箇年分に相當する金額を支給することに指達せられたので過拂となつた金額を返納せしむるよう努めたけれども住所不明などのため囘收に至つていないものである。當支廠は本廠と同一地にあつて本廠との連絡も容易であつたものと認められ他の支廠又は出張所においては本廠の指達に從つたのにひとり當支廠は支廠長の獨斷で指達の倍額に當る金額を支給して囘收に至らないものを生ぜしめたのである。本件は終戰に伴う退職給與の支給に當り措置宜しきを得ない嫌がある。よつて注意する。
大藏省所管(元海軍省所管)
第二項 海軍臨時軍事費
(三)呉海軍經理部の支出した(會計檢査院報告の一一) 三一五、三〇六圓
右は東洋鈩伸銅株式會社外二名に對し材料を交付して加工を請負はせたO式金物及びJRD金物の加工賃である。右のうち
一、貳拾四萬四千貳百餘圓は昭和十二年十二月東洋鈩伸銅株式會社外一名の請負に付しスタンプ粗材、古鍛鋼、彈丸鋼、銅環材、雜用鋼線、銅板を交付し彈體外八廉を製作組合せ外部塗裝を施して完成せしめたO式金物一式一萬千二百餘箇の代價であつてその單價貳拾貳圓は同年十一月陸軍造兵廠名古屋工廠において株式會社豐田自動織機製作所に加工を請負はせた同一規格品の單價四圓九拾九錢に比べてみると兩者請負作業の内容において陸軍の分は換栓の材料として軟鋼乙を交付し且つ塗裝を施さない外は交付スタンプ粗材の厚さに若干の差異があるなどの事情を參酌してもなお著しく高價に當り、
二、七萬千餘圓は十二年十二月廣島縣鐵木工品工業組合連合會外一名の請負に付し材料を交付し加工させたJRD金物四千三百餘組の代價であつてその單價拾參圓五拾參錢及び拾七圓を陸軍造兵廠小倉工廠において材料を交付し同年九月前記工業組合連合會他三名に對し加工を請負はせた同一規格品の單價參圓七拾七錢など概ね四、五圓程度であるのに比べて交付材料の品質その他の點に若干の差異がある事情を參酌してもなお著しく高價に當るのである。
即ち本件製品は陸戰に使用されるものであつて從來陸軍においてのみ製造し海軍としては今次事變の發生に伴い陸軍の圖面を基本として始めて製作せしめたものであるから契約に當つては陸軍における同一品の契約單價を參酌するのが當然の措置と認められるのみでなくO式金物の分は前記陸軍造兵廠名古屋工廠の契約單價四圓九拾九錢に、兩者契約内容の差異に基ずく換栓材料代及び塗裝費などを加算しても五圓七、八拾錢に過ぎないのに三八〇%内外に當る貳拾貳圓で契約したものであり、JRD金物の分は從來陸軍造兵廠から購入していたもので現に同年同廠から完成品を單價八圓貳拾五錢で購入しており且つ陸軍造兵廠名古屋、大阪兩工廠における多數加工請負の事例も小倉工廠の分と同樣に概ね四、五圓程度であるのに比べて本件の加工請負單價を拾參圓餘又は拾七圓として契約したもので數量の多寡や繼續的發注の有無及び使用材料並びにその削代に若干の差異があるなどの事情を參酌しても本件の加工代金はいずれも高價に過ぎるものといわざるを得ない。又、陸軍と同一の砲又は擲彈筒に使用し且つその規格も同一である點から考えて假りに製作に當り多少精度の高いものがあるとしても單價において甚だしく格段の差異を生ずるものとは認めることができない。本件は加工請負代價の決定が宜しきを得ない嫌がある。よつて注意する。
(四)呉海軍經理部の支出した(會計檢査院報告の一二) 三〇二、〇五二圓
右は砲彈製造用として株式會社大阪機械工作所外五名に材料を交付して加工を請負はせた十五RD金物の代價である。右はスタンプ粗材、軟鋼、黄銅丸棒、銅管及び鋼線を交付して栓體外五種を製作の上これらを組合せて右榴彈を製作する加工又は一部加工の契約であるがその各契約單價をみるに、甲加工の契約單價參拾壹圓五拾錢若くは四拾壹圓五拾錢は陸軍造兵廠大阪工廠において十二年十月本件とほぼ同樣の材料を交付し株式會社各和製作所と契約した同種品の加工單價拾七圓六拾錢、同小倉工廠において十三年六月株式會社臼杵鐵工所と契約した同加工單價十八圓八拾錢及び陸軍造兵廠において十二年十二月搾出彈體などを自辨とし銅帶その他一部の材料を交付して株式會社日本製鋼所と契約した同種品の單價四拾圓八拾五錢から自辨の搾出彈體價格約貳拾貳圓を控除した加工單價拾八圓餘などに比較して、加工内容のうち筒體において本件は黄銅丸棒から製作するのに對し陸軍の分は旋造濟製品又は壓搾半成品から製作し、塗裝を施さないなどの差異があるけれども、著しく高價であり、
乙加工の契約單價貳拾參圓は十三年六月陸軍造兵廠小倉工廠において株式會社釜山工作所と契約し、これと同樣搾出彈體を交付の上口締前の内外部を旋削する彈體の加工單價六圓五拾五錢に比べて高價に當り、
丙加工の契約單價拾九圓は甲加工の部分加工であるのに前記甲加工の場合に引例した陸軍の諸單價に比較して却つて高價となる。
しかも本件製品は陸戰に使用せられるものであつて從來陸軍においてのみ製造し、海軍としては今次事變の發生に伴い、陸軍の圖面を基本として初めて製作したものであるか事契約に際しては陸軍における同一品の契約單價を參酌すべきが當然の措置と認められるばかりでなく數量の多寡、繼續的發注の有無及び使用材料並びにその削代について若干の差異がある事情などを參酌しても、本件の加工代金は高價に過ぎるものである、又陸軍に比較して製作上多少精度の高いものがあるとしても陸軍と同一の砲に使用し、且つ完成彈としての寸度が同一であるから單價に格段の開差を生ずるものとは認められないのであつて、本件の加工請負の代價の決定は宜しきを得ない嫌がある。よつて注意する。
(五)海軍省經理局の支出した(會計檢査院報告の一四) 八三四、四六三圓
右は終戰時に大津海軍航空隊小松島派遣隊において支給した退職賞與の過拂額九拾壹萬參千七百餘圓のうち昭和二十一年末において囘收未濟になつている五拾九萬五千參百餘圓及び第一〇八一海軍航空隊において支給した退職賞與の過拂額八拾貳萬千七百餘圓のうち同年三月において囘收未濟になつている貳拾參萬九千餘圓の合計額である。右過拂はいずれも終戰時各所屬長が本省からの指令をまつことなく解員者に對し過大の賞與額を示達したものである。しかして海軍には從來退職賞與内規があり本省からなんらの指令もないのに給與決定權をもたない各所屬長が任意に賞與額を示達しこれがため第一〇八一航空隊においては過拂を生ぜしめ、又小松島派遣隊においてはその指令を誤解して俸給以外の手當などを基本額に加えたばかりでなく本省よりの發令があつたとき、その過拂額を訂正しないどころか更に所定額を併給したため過拂額を増大せしめたのであつて當を得ない。本件は終戰に伴う退職給與などの支給に當り措置宜しきを得ない嫌がある。よつて注意する。
(六)大湊海軍經理部の支出した(會計檢査院報告の一五) 六九一、一八七圓
右は財團法人海仁會から戰地用酒保物品として購入した煙草、飮食物、日用品類の代價である。右は終戰後に購入し大湊防備隊外四十八箇所に無償配給したものであつてその措置は當を得ないものと認める。即ち終戰後になつて、戰地用酒保物品として購入し無償で配給したのは當時中央との連絡をまつ暇もなかつたにしても措置を誤れるものでその後代金を徴收しようとしても不可能の状態に至らしめた措置は宜しきを得ない嫌がある。よつて注意する。
(七)軍需省航空兵器總局の支出した(會計檢査院報告の二三) 二、二九三、六三七圓
右は兵器等製造事業特別助成法により昭和十八年十月株式會社神戸製鋼所に建設させた官設長府工場の建設工事費精算額參千百四拾參萬貳千八百餘圓のうち山口縣に對する會社の寄附金に相當するものである。右寄附金は山口縣が下關地區上水源開發を目的として施行する縣營木屋川利水工事に對し同會社が十四年十二月百五拾萬圓を出捐し十九年四月七拾九萬參千六百餘圓を追加したものであるが、同社が寄附の願出をした十四年當時には工場施設としては民設長府工場があつただけで本件工場は未だ計畫もなかつたばかりでなく本件寄附には縣で給水開始をする日から二十年間無料で毎秒十立方尺の給水を受けることや、會社が必要とする電力の供給を受けること又は優先的に海面埋立の免許を受けることなどの條件を付してあるものであつて官設工場建設のためのみに寄附したものではないのにその全額を附帶經費として容認し國の負擔としたのは妥當でないと認める。即ち會社が山口縣に對し寄附を願出た十四年當時には工場擴張の具體的計畫もなかつたのであり、又その寄附願によると工場用水の割當ばかりでなく民設工場に對する縣からの電力供給會社の社宅地域に對する給水、五十萬坪の海面埋立の優先免許などを條件としたものであつて、現に官設工場と民設工場との各貯水池の間には幹線水道管を設け用水の流用に備えてあり寄附による用水は民設工場の用途に供するためにも必要なものであつたと認められる。本件割當水量は毎秒十立方尺一日量約二萬四千瓲であり官設工場はその規模と作業内容とにおいて民設工場と大差ないものと認められるのに、その答辯は事實に添わないものといわなければならない。かように本件寄附は官設工場の計畫以前のことであつて、官設工場のためのみに要したものではないのに、その經費の全額を國の負擔としたのは當を得ないものである。本件は官設工場建設工事費の決定に當り措置宜しきを得ない嫌がある。よつて注意する。
(八)軍需省航空兵器總局の支出した(會計檢査院報告の二八) 五七、八九六、〇〇八圓
右は第一軍需工廠において終戰に伴い昭和二十年八月解散に際し職員に支給した退職給與六千五百八拾五萬貳千百餘圓のうち中島飛行機株式會社で負擔した七百九拾五萬六千百餘圓を控除したものである。右工廠は同年四月中島飛行機株式會社(以下原會社という)の工場を國營とし原會社の從業員全部を引繼いだものであるが、工廠解散に伴う退職給與として職員に對しては原會社の職員在職手當内規による二十年十二月末の積立額の二倍の退職金の外本俸の二十箇月分乃至六箇月分の賞與、又工員に對しては退職積立金の外勤續年數に從い定額日給の三百六十日分乃至九十日分の特別手當を支給したのであつて、これら給與の總額は壹億貳千九百四拾壹萬餘圓に達したのであるが、原會社の内規による二十年末現在における退職積立額の二倍の外多額の賞與などを加算して支給したのは過大に失するものと認められるばかりでなく、國營期間はわずかに五箇月に過ぎないのに本件給與總額のうち二割餘に過ぎない退職積立額を原會社の負擔としたに止まり大部分を國の負擔としたのは妥當な措 置でないと認める。しかして本件退職給與として支給した額及びその負擔の職員に對する分をみると
一、本件支給に當つては解散四箇月後の二十年末で退職積立額を計算し、この二倍を基準とし更に賞與として本俸に對し參事は二十箇月、主事補、技師補以上は十五箇月などを加算支給したもので、一人平均千參百餘圓に當り、高級職員で勤續七、八年のものは概ね五十箇月以上の支給を受け個人支給額壹萬圓以上のものも五百人に近く、五萬團以上のものも相當に存するのであり、その支給は過大に失するものと認めざるを得ない。軍においてもその給與は一箇年分を基準として最高でも壹萬圓を出なかつたものであつて、軍需工廠であつた點を参酌しても格段の差異があるものといわざるを得ない。
二、職員に對する退職給與六千五百八拾五萬餘圓のうち原會社の負擔としたのは退職手當積立額に相當する七百九給五萬餘圓であつて、僅かに一割餘に止まり五箇月の經營をしたに過ぎない國においてその大部分を負擔したのであるが、本件給與が原會社時代からの在職期間を通じたものであるのにかんがみ過大であるといわざるを得ない。なお高額に失する支給を受けている者から返納させることは困難であるから原會社に負擔させるよう交渉中であるが二十一年末までには實現していない。
軍需工廠の解散に伴い國において職員に對し退職給與を支給するに際しては相當額に止むべきものであるのに多額の支給をしたのは妥當の措置ではない。軍需工廠のように原會社との關係があり、ことに終戰に際し國營の期間の短い本件のような場合にはその負擔區分の適正を期すべきものであるのに多額の退職給與の大部分を國において負擔したのは當を得ない嫌がある。よつて注意する。
(九)軍需省航空兵器總局の支出した(會計檢査院報告の三〇) 四、七九二、二七七圓
右は第二軍需工廠において終戰に伴い昭和二十年八月解散に際し職員に對する退職給與七百四拾五萬七千餘圓のうち川西航空機株式會社で負擔した貳百六拾六萬四千七百餘圓を控除したものである。右工廠は同年川西航空機株式會社(以下原會社という)の工場を國營とし從業員のほとんど全部を引繼いで來たが工廠解散に伴う給與は原會社所定の退職手當を會社負擔で支給した外、國費支辨で職員に對しては退職手當として給料三箇月分百四拾九萬餘圓及び給料前渡しとして五箇月分參百貳拾九萬餘圓、又工員に對しては退職手當として給料三箇月分五百七拾七萬餘圓を支給したのであるが國營開始後解散までは四十餘日に過ぎないのに國の負擔で職員及び工員の全部に對し原會社所定の退職手當の外に退職手當として給料三箇月分を支給したばかりでなく更に職員に對し給料前渡しとして五箇月分を支給したのは妥當でないと認める。即ち本件給與のうち職員に對する分をみると總額七百四拾五萬餘圓のうち原會社では同社所定の退職手當貳百六拾六萬餘圓を負擔したに過ぎない。軍需工廠の解散に伴い相當額の退職給與を支給するにしても、その負擔は適正を期すべきものであるのに僅か四十餘日經營をしたに過ぎない國において約二倍に相當する多額を負擔したのは當を得ないものである。なお答辯によると再檢討の上原會社負擔とするのが適當である部分については、適宜原會社の負擔に切りかえるよう原會社に交渉する豫定であるといつているが、二十一年末までには未だ實現されていない状態である。本件は終戰に伴う退職給與などの支給に當り措置宜しきを得ない嫌がある。よつて注意する。
官有物
軍需省航空兵器總局及び商工省整理部における官有物の件(會計檢査院報告の三二)
(一〇)軍需省航空兵器總局及び商工省整理部で自動車の管理並びに處分が宜しきを得ないものがある。本件は終戰後輸送部の保管していた貨物自動車四百六十一臺を總局で處分したが、その状況を見ると特殊の人に比較的多數の車輛を割當賣拂つたと認められるもの、賣拂代の徴收手續未濟のもの、賣拂代價の大部分が未納となつているもの、賣拂車輛の再配分の結果割當車輛皆無となり、又は減少したためその返納を要する者からの引上げをしていないものがあり、これらは本件車輛配分の當を得なかつたによるものと認められる又その賣拂單價は許可價格を基準とし車輛の程度により上中下の三級及び廢車に區分しその價格を許可價格の六割、四割、二割、廢車は千圓と定め上級は「そのまま運行し得て車體新しきもの」中級は「小修理をなせば大體において運行に差支なきもの」下級は「大修理の上運行可能なるもの」廢車は「修理するも運行不能なるもの」とし過半を下級車及び廢車と評定しているがその評價は低きに失するもので殊に賣拂車輛の過半が下廢車であつたとは認められない。即ち
一、終戰當時新規車輛の供給は望み薄で、しかも陸上輸送力は不足していた際公共機關又は重點企業の輸送力を確保する點からも官公署、公共團體などにこれを優先配分するか或はこれらの諸機關の協力を俟つて賣拂うのを相當と認められるのに緊急處分の必要ありとし、戰爭中輸送部の業務に關係していたもののみに割當てたため一會社又は一個人に對し多數の賣拂をしたもので商工省整理部でも賣拂の再配分をしたが、その是正も未だ完了していないのは當を得ない。
二、車輛の賣拂は品位及び代價を決定しないで車輛を引渡し、代金は後納せしめることにしたために終戰後一年餘を經ても未だその徴收を了しないものが三百十四臺四拾壹萬餘圓あるばかりでなく甚しきは代價すら決めていないものが七十餘臺あり、これらのうちには車輛返還要求に當つて返還車輛價格の差引に支障を生じたものがあつて當初の賣拂の措置が當を得なかつたによるものである。
三、賣拂車輛の品位についても過半を下級車及び廢車とし、賣拂價格も著しく低廉にきめているが輸送部の車輛は中古品のみでもなく終戰前各地において活動していた事實に徴しても多數の自動車が稼動不能となつていたものとは認められないのにその過半を下級車及び廢車とし下級を許可價格の二割すなはち一臺五千六百圓又は五千四百圓、廢車を千圓としたのは低きに失するものであり又終戰に際し車輛部隊をしてその車輛を集結せしめないで解散せしめたため各所に放置したのは當を得たものではない。
かように本件自動車の管理は終戰の際であつたとはいえ措置適正でなく又その處分も當初の配分が適當でなく代金徴收も手續を誤り且つ價格の査定も低きに失し再配分しても支障のため完了していないのは當を得ないものである。
なお本件自動車を併せ終戰後臨時軍事費特別會計終結當時の二十一年二月末までに賣拂つた準備品の總額は四千六百五拾七萬餘圓であつて、その後賣拂つたものを併せると六千八百貳拾參萬餘圓に上るのであるが、これに對し徴收を了したのは參千七拾萬餘圓に過ぎないのであつてこの外に代價の決定すらしてないものも少くない。このように徴收が遲延したのはその賣拂に當つて代金の決定をしないで引渡をなし代金は後納せしめることにしたためであつてその取扱は當を得ない。本件は終戰後自動車の管理及び處分宜しきを得ない嫌がある。よつて注意する。
附帶決議
一 臨時軍事費の整理不適当なるもの多きは、遺憾とする所にして政府は今後嚴重に処理すること。
一 政府は誠意を以つて残額を國庫に囘收するため格段の努力を拂うべきこと。
一 隠退藏物資の摘発及び整理は一層徹底すること。
一 各種生産資材並びに生活必需物資にして統制機関に保有されている物資は速かに適正配給すべきこと。
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〔菅又薫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=46
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047・菅又薫
○菅又薫君 只今上程されました昭和十九年度歳入歳出總決算、同じく特別會計歳入歳出決算及び昭和十九、二十年度國有財産増減總計算書の審査を付託されました決算委員會の審議經過竝びに結果を御報告申し上げます。
まず最初に、右二件の内容の大綱を御紹介いたします。昭和十九年度歳入の總決算額は二百十億四千三十八萬九千餘圓であり、歳出の總決算額は百九十八億七千百九十四萬七千餘圓でありまして、右歳入歳出の差引剩餘額は十一億六千八百四十四萬千餘圓であります。この剩餘額は、會計法第二十六條の規定により、二十年度の歳入に繰入れられたのであります。昭和十九年度特別會計の決算額は、すこぶる多岐にわたりますので、決算書について御承知を願いたいと思います。
しかして昭和十九年度の歳入歳出決算につき、會計檢査院の檢査報告によれば、同年度總決算及び特別會計決算のうち、歳入の賦課徴收竝びに歳出の使用において、豫算または法律勅令に違背した事項が合わせて五件、七萬三千餘圓あります。また既往年度決算確定額中、歳入の賦課徴收において、法律勅令に違背した事項が二十五件、六十四萬餘圓ありました。
本委員會におきましては、先例に基き會計檢査院の檢査報告書を基礎とし、これに對する政府の辯明書を參考といたして審査を行い、その結果は、ただいま申し述べました會計檢査院の指摘しておりまするいわゆる批難事項のごとく、不當なりと認めたのであります。
次に昭和十九、二十兩年中に増加した一般會計及び特別會計を合わせた國有財産の總額は、七十八億二百九萬餘圓であり、その間の減少減額は、百六億二千八百三萬餘圓であります。すなわち右の増減差引額は、二十八億二千五百九十三萬餘圓の減少と相なります。今この計算に基く純減少額を、昭和十八年度末現在における國有財産の總額二百三十四億八千七百餘萬圓より差引きまするときは、二百六億六千二百餘萬圓となります。これが昭和二十年度末現在のわが國有財産の總額であります。
しこうして十九、二十兩年度の國有財産總額には元陸軍海軍兩省以外の各省所管の國有財産で、外國及び朝鮮、臺灣、樺太、南洋、關東州、沖繩などにあるものの増減額は含まれておらず、かつ元陸軍海軍兩省所管の國有財産は、兩省廢止の際、十八年度末の現在額で大藏省へ引繼いだものであります。會計檢査院の檢査報告によれば、その他の國有財産員額は、管理廳の證明に對査して正當と認めておるのであります。
決算の審査にあたりましては、各分科會竝びに小委員會を設定して審議する先例とはなつておりますが、今期議會におきましては、會期切迫した際でもあり、便宜上これら委員を選定せずに審査をいたした次第であります。しこうして委員會は前後十囘開きまして、愼重に審議を進めましたが、終戰後わが國内外の情勢に對處すべく、國政の運營上稗益するところが少くなかつたと存じます。その質疑内容については、何とぞ速記録でごらんを願いたいと思います。
かようにして、委員會は去る二十七日その決定を委員にお諮りいたしましたところ、社會黨の前田榮之助君より動議を提出されまして、昭和十九年度歳入歳出の決算に關しては、會計檢査院の批難事項につき前述の通り決定すること、その他の部分については、全部これを是認することに決しました。また昭和十九、二十年度國有財産増減總計算書は、これを是認することに全會一致議決いたしました。次に前田委員より各派一致による附帶決議を付せられましたが、これまた異議なく議決した次第であります。その附帶決議を朗讀しますれば
附帶決議
昭和十九年度決算の提出がはなはだしく遲延し且つ又今期議會に提出すべきはずの昭和二十年度決算の未だ提出なきははなはだ遺憾とするところである。よつて政府は今後斯くの如き遲滯なきよう特に注意すること。
というのであります。
次に、臨時軍事費歳入歳出決算の審議状況を申し上げます。この決算額はすこぶる複雜多岐にわたりまするから、ここに御紹介することを省略いたしまして、何とぞ決算書につき御承知願いたいのであります。去る三月二十二日政府より提出せられ、同月二十四日北村政務次官より説明があり、昨三十日まで六囘にわたり、委員諸君はいずれもすこぶる熱心に審議を重ねられたのであります。先例によりまして、會計檢査院の報告書を基礎として、これに對する政府の辯明書を參考といたしまして、審議を進めたのであります。
その結果、本三十一日午後決算委員會を再開いたしまして、本委員會に付託されました事件に對する決定を諮りました結果、日本進歩黨の武藤常介君より動議の提出があり、採決の結果、全會一致をもつて次の通り決定いたしました。すなわち檢査院批難事項につきまして、不當なりと議決すべきもの三十八件、警告を發するもの六件、注意を促すベきもの十件といたしまして、その他は全部是認すべきものといたしました。その詳細につきましては、速記録及び委員長報告によつて御承知を願いたいのであります。
最後に武藤君より、次の各派一致の附帶決議を提出されました。採決の結果、全會一致をもつて決定いたしたのであります。すなわち附帶決議を朗讀いたします。
附帶決議
一、臨時軍事費の整理不適當なるもの多きは、遺憾とする所にして政府は今後嚴重に處理すること。
一、政府は誠意を以て殘額を國庫に囘收するため格段の努力を拂うべきこと。
一、隱退藏物資の摘發及び整理は一層徹底すること。
一、各種生産資材並びに生活必需物資にして統制機關に保有されている物資は速かに適正配給すべきこと。
この段御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=47
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048・井上知治
○副議長(井上知治君) 採決いたします。まず昭和十九年度歳入歳出總決算、昭和十九年度特別會計歳入歳出決算につき採決いたします。本件は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=48
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049・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り決しました。(拍手)
次に、昭和十九、二十年度國有財産増減總計算書は委員長報告の通り決するに御異議ありませぬか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=49
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050・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り決しました。
最後に、臨時軍事費歳入歳出決算は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=50
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051・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り決しました。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=51
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052・綿貫佐民
○綿貫佐民君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、請願日程第一ないし第二百五の二百十四件を繰上げ一括上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=52
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053・井上知治
○副議長(井上知治君) 綿貫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=53
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054・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は變更せられました。
請願日程第一ないし第二百五を一括して議題といたします。請願委員長の報告を求めます。請願委員長大塚甚之助君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=54
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055・会議録情報7
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請 願
第一 (特別報告第一號)復興促進のため特別措置に關する請願 (委員長報告)
第二 (特別報告第二號)開放せられた宮城地域の整備に關する請願 (委員長報告)
第三 (特別報告第三號)土木建築等に機械力使用促進に關する請願 (委員長報告)
第四 (特別報告第四號)各種物資の増産重點主義徹底に關する請願 (委員長報告)
第五 (特別報告第五號)配給公社設置反對の請願 (委員長報告)
第六 (特別報告第六號)ソ連軍占領地からの復員促進に關する請願 (委員長報告)
第七 (特別報告第七號)相模原町座間を座間町に分立の請願 (委員長報告)
第八 (特別報告第八號)旗川築堤工事施行の請願 (委員長報告)
第九 (特別報告第九號)姫路、上郡間道路改修の請願 (委員長報告)
第十 (特別報告第一〇號)姫路、下關間國道第二號線改修の請願 (委員長報告)
第十一 (特別報告第一一號)帶廣、札内間道路を地方費道に編入竝びに札内川に橋梁架設の請願 (委員長報告)
第十二 (特別報告第一二號)自給製塩業者助成に關する請願外一件 (委員長報告)
第十三 (特別報告第一三號)未成年者飮酒禁止法の徹底に關する請願 (委員長報告)
第十四 (特別報告第一四號)未成年者喫煙禁止法の徹底に關する請願 (委員長報告)
第十五 (特別報告第一五號)藏王山國立公園指定に關する請願 (委員長報告)
第十六 (特別報告第一六號)盲唖者處理改善に關する請願 (委員長報告)
第十七 (特別報告第一七號)食糧供出妨害者處罰に関する請願 (委員長報告)
第十八 (特別報告第一八號)新憲法の精神徹底に關する請願 (委員長報告)
第十九 (特別報告第一九號)下田町の史蹟及び天然記念物調査に關する請願 (委員長報告)
第二十 (特別報告第二〇號)米澤工業專門學校昇格に關する請願外一件 (委員長報告)
第二十一 (特別報告第二一號)學童による空閑地利用の桑樹増植に關する請願 (委員長報告)
第二十二 (特別報告第二二號)大谷光瑩の事績を國定教科書に載録の請願 (委員長報告)
第二十三 (特別報告第二三號)大宮村所在舊中島飛行機工場住宅敷地の買戻しに關する請願 (委員長報告)
第二十四 (特別報告第二四號)小野寺郵便局に電話事務開始の請願 (委員長報告)
第二十五 (特別報告第二五號)熱海市所在の農地を農地調整法より除外の請願 (委員長報告)
第二十六 (特別報告第二六號)農耕地の一部に牧草地設置の請願 (委員長報告)
第二十七 (特別報告第二七號)一行政區域内に農地分區制度の再檢討に關する請願 (委員長報告)
第二十八 (特別報告第二八號)自動車用木炭増配の請願 (委員長報告)
第二十九 (特別報告第二九號)茶業振興に關する請願 (委員長報告)
第三十 (特別報告第三〇號)酒田市に國營肥料工場設置の請願外一件 (委員長報告)
第三十一 (特別報告第三一號)栃木縣下に大麻作付許可の請願外一件 (委員長報告)
第三十二 (特別報告第三二號)大津漁港修築費國庫補助増額の請願 (委員長報告)
第三十三 (特別報告第三三號)主食の供出方法その他に關する請願 (委員長報告)
第三十四 (特別報告第三四號)供出米用包俵還付の請願 (委員長報告)
第三十五 (特別報告第三五號)苫前村力晝に簡易乘降場設置の請願 (委員長報告)
第三十六 (特別報告第三六號)谷山町坂之上に簡易停車場設置の請願 (委員長報告)
第三十七 (特別報告第三七號)仁木驛の跨線橋新設その他に關する請願 (委員長報告)
第三十八 (特別報告第三八號)唐津、呼子間に鐵道敷設又は省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第三十九 (特別報告第三九號)豐富、沼川間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第四十 (特別報告第四〇號)今市、田島間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第四十一 (特別報告第四一號)直江津、六日町間鐵道敷設等の請願 (委員長報告)
第四十二 (特別報告第四二號)水戸、小見川間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第四十三 (特別報告第四三號)岩内、黒松内間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第四十四 (特別報告第四四號)別刈、瀧川間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第四十五 (特別報告第四五號)連合軍の拂下げ自動車による省營トラツク運營制限に關する請願 (委員長報告)
第四十六(特別報告第四六號)高森、小野屋間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第四十七 (特別報告第四七號)小湊港一般用岸壁竝びに船溜等工事施行に關する請願 (委員長報告)
第四十八(特別報告第四八號)下田港擴張計畫樹立に關する請願 (委員長報告)
第四十九(特別報告第四九號)罹災地における廐舍、作業場、堆肥舍等を家屋建築制限より除外の請願 (委員長報告)
第五十(特別報告第五〇號)飮食料金統制撤廢に關する請願 (委員長報告)
第五十一(特別報告第五一號)消費節約に關する請願 (委員長報告)
第五十二(特別報告第五二號)宮崎、都城間國道中一部變更促進の請願 (委員長報告)
第五十三(特別報告第五三號)大淀川河口の整理固定工事施行に關する請願 (委員長報告)
第五十四(特別報告第五四號)新北上川に橋梁架設の請願 (委員長報告)
第五十五(特別報告第五五號)皿貝川改修工事施行の請願 (委員長報告)
第五十六(特別報告第五六號)泉橋架換えに關する請願 (委員長報告)
第五十七(特別報告第五七號)宇和島、蒋淵間道路改修の請願 (委員長報告)
第五十八(特別報告第五八號)土地、家屋等の權利金暴利取締に關する請願 (委員長報告)
第五十九(特別報告第五九號)闇行爲の取締に關する請願 (委員長報告)
第六十(特別報告第六〇號)行政書士法制定に關する請願 (委員長報告)
第六十一(特別報告第六一號)留萠町に市制施行の請願 (委員長報告)
第六十二(特別報告第六二號)増毛町別刈に船入澗築設の請願 (委員長報告)
第六十三(特別報告第六三號)稚内港を開港場に指定の請願 (委員長報告)
第六十四(特別報告第六四號)音更川治水工事施行の請願 (委員長報告)
第六十五(特別報告第六五號)苦前村力晝に漁港築設の請願 (委員長報告)
第六十六(特別報告第六六號)羅臼漁港擴張の請願 (委員長報告)
第六十七(特別報告第六七號)力晝、上平間道路改修の請願 (委員長報告)
第六十八(特別報告第六八號)頓別村に漁港築設の請願 (委員長報告)
第六十九(特別報告第六九號)名寄支廳設置の請願 (委員長報告)
第七十(特別報告第七一號)朝鮮辯護士試驗受驗出願者に受驗資格付與の請願 (委員長報告)
第七十一(特別報告第七二號)白山村安養寺に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第七十二(特別報告第七三號)串良町大園原に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第七十三(特別報告第七四號)旭川第二工業學校存置に關する請願 (委員長報告)
第七十四(特別報告第七五號)通信教育用用紙特配の請願 (委員長報告)
第七十五(特別報告第七六號)暦改訂に關する請願 (委員長報告)
第七十六(特別報告第七七號)性病豫防と撲滅に關する請願 (委員長報告)
第七十七(特別報告第七八號)アイヌの保護事業に關する請願 (委員長報告)
第七十八(特別報告第七九號)北海道舊土人保護法中改正に關する請願 (委員長報告)
第七十九(特別報告第八〇號)外地引揚者に關する生業資金貸出し促進の請願 (委員長報告)
第八十(特別報告第八一號)闇利得者に對する方策に關する請願 (委員長報告)
第八十一(特別報告第八二號)宮崎市に煙草工場設置の請願 (委員長報告)
第八十二(特別報告第八三號)新冠御料牧場竝びに日高種畜牧場開放の請願 (委員長報告)
第八十三(特別報告第八四號)農地調整法中改正その他に關する請願 (委員長報告)
第八十四(特別報告第八五號)北會津郡における國有林拂下げの請願 (委員長報告)
第八十五(特別報告第八六號)木津、加茂兩町所在國有竹林地拂下げに關する請願 (委員長報告)
第八十六(特別報告第八七號)外地引揚者の自家製木炭搬出認可の通牒徹底に關する請願 (委員長報告)
第八十七(特別報告第八八號)赤崎林地國營開墾中止の請願 (委員長報告)
第八十八(特別報告第八九號)鍋田、飛島兩村地先の干拓工事施行に關する請願 (委員長報告)
第八十九(特別報告第九〇號)北海道産玉蜀黍を藥用に増配の請願 (委員長報告)
第九十(特別報告第九一號)觀光地の調査指定に關する請願 (委員長報告)
第九十一(特別報告第九二號)山川、西之表間省營連絡船の開航竝びに西之表、島間間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第九十二(特別報告第九三號)名寄、上名寄兩驛間に停車場設置の請願 (委員長報告)
第九十三(特別報告第九四號)釧路、北見相生間鐵道敷設竝びに鶴居村に停車場設置の請願 (委員長報告)
第九十四(特別報告第九五號)白山、新發田間鐡道速成の請願 (委員長報告)
第九十五(特別報告第九六號)多古線復活の請願 (委員長報告)
第九十六(特別報告第九七號)二俣、佐久間間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第九十七(特別報告第九八號)伊東、下田間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第九十八(特別報告第九九號)石卷線を雄勝まで延長促進に關する請願 (委員長報告)
第九十九(特別報告第一〇〇號)標津、羅臼間省營バス竝びにトラツク運輸開始の請願 (委員長報告)
第百(特別報告第一〇一號)日ノ影、高森間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第百一(特別報告第一〇二號)北見を中心とする三路線に省營バス竝びにトラツク運輸開始の請願 (委員長報告)
第百二 (特別報告第一〇三號)標茶、計根別間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第百三 (特別報告第一〇四號)省營バス加治木線牟多田停留場を驛に擴張の請願 (委員長報告)
第百四 (特別報告第一〇五號)長崎、茂木間省營バス竝びにトラツク運輸開始の請願 (委員長報告)
第百五 (特別報告第一〇六號)石卷、雄勝間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第百六 (特別報告第一〇七號)名寄町に測候所設置の請願 (委員長報告)
第百七 (特別報告第一〇八號)連合軍の拂下げ自動車による省營トラツク運營制限に關する請願 (委員長報告)
第百八 (特別報告第一〇九號)自給製塩業者助成に關する請願 (委員長報告)
第百九 (特別報告第一一〇號)豐富、沼川間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第百十 (特別報告第一一一號)公職追放者の再審査に關する請願 (委員長報告)
第百十一 (特別報告第一一二號)住宅復興に關する請願 (委員長報告)
第百十二 (特別報告第一一三號)物價安定に關する請願 (委員長報告)
第百十三 (特別報告第一一四號)老齡元軍人恩給復活の請願 (委員長報告)
第百十四 (特別報告第一一五號)恩給増額に關する請願 (委員長報告)
第百十五 (特別報告第一一六號)農山漁村民に作業衣及び地下足袋配給の請願 (委員長報告)
第百十六 (特別報告第一一七號)商工組合中央金庫擴充強化に關する請願 (委員長報告)
第百十七 (特別報告第一一八號)家庭用縫糸増配の請願 (委員長報告)
第百十八 (特別報告第一一九號)帶廣市に地方裁判所設置の請願 (委員長報告)
第百十九 (特別報告第一二〇號)理療醫師法及び按摩師法制定に關する請願 (委員長報告)
第百二十 (特別報告第一二一號)接骨業者に衞生材料配給の請願 (委員長報告)
第百二十一 (特別報告第一二二號)恙虫病豫防撲滅に關する請願 (委員長報告)
第百二十二 (特別報告第一二三號)英彦山、耶馬溪及び日田盆地を含む地帶を國立公園に指定の請願 (委員長報告)
第百二十三 (特別報告第一二四號)食肉加工品に對する物品税撤廢の請願 (委員長報告)
第百二十四 (特別報告第一二五號)舞踏券に對する課税撤廢等に關する請願外五件 (委員長報告)
第百二十五 (特別報告第一二六號)賠償税新設に關する請願 (委員長報告)
第百二十六 (特別報告第一二七號)浴槽に對する物品税撤廢の請願 (委員長報告)
第百二十七 (特別報告第一二八號)松ノ木平國有地拂下げの請願 (委員長報告)
第百二十八 (特別報告第一二九號)食塩の増産竝びに増配の請願 (委員長報告)
第百二十九 (特別報告第一三〇號)高山町有明に無集配特定郵便局設置の請願 (委員長報告)
第百三十 (特別報告第一三一號)岩代赤井郵便局に電話事務開始の請願 (委員長報告)
第百三十一 (特別報告第一三二號)船岡郵便局に集配事務開始の請願 (委員長報告)
第百三十二 (特別報告第一三三號)幌加局より川下村に電話線架設の請願 (委員長報告)
第百三十三 (特別報告第一三四號)鹿兒島縣に理農科大學設立の請願 (委員長報告)
第百三十四 (特別報告第一三五號)帶廣農業專門學校昇格に關する請願 (委員長報告)
第百三十五 (特別報告第一三六號)新學制を昭和二十二年度より全面的實施その他に關する請願 (委員長報告)
第百三十六 (特別報告第一三七號)鳥取農林專門學校農村工業實科修業年限延長の請願 (委員長報告)
第百三十七 (特別報告第一三八號)日本獸醫畜産專門學校昇格に關する請願 (委員長報告)
第百三十八 (特別報告第一三九號)善通寺町に四國總合大學設立の請願 (委員長報告)
第百三十九 (特別報告第一四〇號)高松經濟專門學校を善通寺町に存置の請願 (委員長報告)
第百四十 (特別報告第一四一號)寒冷地帶營農研究所設置の請願 (委員長報告)
第百四十一 (特別報告第一四二號)地主に耕作權付與に關する請願 (委員長報告)
第百四十二 (特別報告第一四三號)肥料増配の請願 (委員長報告)
第百四十三 (特別報告第一四四號)間接肥料太陽菌販賣認可の請願 (委員長報告)
第百四十四 (特別報告第一四五號)觀光地帶を農地法より除外の請願 (委員長報告)
第百四十五 (特別報告第一四六號)繭價引上げに關する請願 (委員長報告)
第百四十六 (特別報告第一四七號)札幌に緬羊共進會開催の請願 (委員長報告)
第百四十七 (特別報告第一四八號)馬産振興に關する請願 (委員長報告)
第百四十八 (特別報告第一四九號)耳成村木原における御料林拂下げの請願 (委員長報告)
第百四十九 (特別報告第一五〇號)黒松内村に營林區署設置の請願 (委員長報告)
第百五十 (特別報告第一五一號)木曾御料林の一部開放その他に關する請願 (委員長報告)
第百五十一 (特別報告第一五二號)林道飯田、赤石線並びに飯田、豐橋間道路開設の請願 (委員長報告)
第百五十二 (特別報告第一五三號)小倉村に國立園藝試驗場支場設置の請願 (委員長報告)
第百五十三 (特別報告第一五四號)冨士山麓における木材利用に關する請願 (委員長報告)
第百五十四 (特別報告第一五五號)米ノ浦漁港船溜災害復舊竝びに第二次工事施行の請願 (委員長報告)
第百五十五(特別報告第一五六號)魚價公定制撤廢の請願 (委員長報告)
第百五十六(特別報告第一五七號)漁業權制度の改正に關する請願 (委員長報告)
第百五十七(特別報告第一五八號)網代漁港擴張に關する請願 (委員長報告)
第百五十八(特別報告第一五九號)今和泉漁港修築の請願 (委員長報告)
第百五十九(特別報告第一六〇號)山形縣下土地改良小用排水事業國營施行の請願 (委員長報告)
第百六十(特別報告第一六一號)畑地の水田化工事費國庫補助の請願 (委員長報告)
第百六十一(特別報告第一六二號)蒲戸、中浦間竝びに河内、西野浦間道路改修の請願 (委員長報告)
第百六十二(特別報告第一六三號)石卷市北上川新舟場に橋梁架設の請願 (委員長報告)
第百六十三(特別報告第一六四號)武豊町地内護岸復舊工事施行の請願 (委員長報告)
第百六十四(特別報告第一六五號)立谷川及び高瀬川改修工事國營施行の請願 (委員長報告)
第百六十五(特別報告第一六六號)塩見川改修工事施行の請願 (委員長報告)
第百六十六(特別報告第一六七號)瀧川、濱益間道路改修の請願 (委員長報告)
第百六十七(特別報告第一六八號)椎葉、湯前間道路開鑿の請願 (委員長報告)
第百六十八(特別報告第一六九號)瀬戸川改修工事施行の請願 (委員長報告)
第百六十九(特別報告第一七〇號)松川改修工事促進の請願 (委員長報告)
第百七十(特別報告第一七一號)熱海、箱根間觀光道路築設の請願 (委員長報告)
第百七十一(特別報告第一七二號)修善寺、松崎間道路改修に關する請願 (委員長報告)
第百七十二(特別報告第一七三號)沼津、冨士間道路擴張に關する請願 (委員長報告)
第百七十三(特別報告第一七四號)冨士山麓、伊豆半島間觀光道路築設の請願 (委員長報告)
第百七十四(特別報告第一七五號)靜岡、山梨兩縣間に觀光道路築設の請願 (委員長報告)
第百七十五(特別報告第一七六號)香川縣仲多度、三豐兩郡下における道路擴張に關する請願 (委員長報告)
第百七十六(特別報告第一七七號)北海道土功組合費國庫補助の請願 (委員長報告)
第百七十七(特別報告第一七八號)濱益村に漁港築設の請願 (委員長報告)
第百七十八(特別報告第一七九號)苫小牧に漁港築設等に關する請願 (委員長報告)
第百七十九(特別報告第一八〇號)網走漁港擴張に關する請願 (委員長報告)
第百八十(特別報告第一八一號)勇拂原野竝びに白老原野開發に關する請願 (委員長報告)
第百八十一(特別報告第一八二號)面白山信號所を貨物驛に變更の請願 (委員長報告)
第百八十二(特別報告第一八三號)冨士山麓に觀光ホテル建設の請願 (委員長報告)
第百八十三(特別報告第一八四號)磐城西郷信號所を一般驛に變更の請願 (委員長報告)
第百八十四(特別報告第一八五號)牛馬輸送のため青函連絡航路に機帆船配置の請願 (委員長報告)
第百八十五(特別報告第一八六號)京都市に觀光ホテル建設の請願 (委員長報告)
第百八十六(特別報告第一八七號)七日町驛を一般驛に變更の請願 (委員長報告)
第百八十七(特別報告第一八八號)新庄、清水間鐵道敷設促進の請願 (委員長報告)
第百八十八(特別報告第一八九號)當別、増毛間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第百八十九(特別報告第一九〇號)浦臼、沼田間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第百九十(特別報告第一九一號)瀧川町における鐵道踏切に地下道開鑿の請願 (委員長報告)
第百九十一(特別報告第一九二號)野澤、宮下間鐵道敷設等の請願 (委員長報告)
第百九十二(特別報告第一九三號)彦山、大行司間鐡道速成の請願 (委員長報告)
第百九十三(特別報告第一九四號)瀧川町に測候所設置の請願 (委員長報告)
第百九十四(特別報告第一九五號)駿豆鐵道延長に關する請願 (委員長報告)
第百九十五(特別報告第一九六號)中佐呂間、常呂間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第百九十六(特別報告第一九七號)沼津、濱松間電化促進の請願 (委員長報告)
第百九十七(特別報告第一九八號)沼津、靜岡間電化促進の請願 (委員長報告)
第百九十八(特別報告第一九九號)大樹、浦河間並びに大樹豐頃間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第百九十九(特別報告第二〇〇號)緒方、重岡間鐵道敷設並びに緒方、尾平鑛山間省營トラツク運輸開始の請願 (委員長報告)
第二百(特別報告第二〇一號)弟子屈、標津間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第二百一(特別報告第二〇二號)大樹、豐頃間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第二百二(特別報告第二〇三號)東京驛、常盤臺又は上板橋間にトレーラーバス配車の請願 (委員長報告)
第二百三(特別報告第二〇四號)長濱、木之本間並びに長濱、大垣間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第二百四(特別報告第二〇五號)日豐本線加治木驛、山田村役場間省營バス運輸開始の請願 (委員長報告)
第二百五(特別報告第二〇六號)性病豫防と撲滅に關する請願 (委員長報告)
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〔報告書は省略、意見書は追つて別册に掲載〕
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〔大塚甚之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=55
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056・大塚甚之助
○大塚甚之助君 ただいま上程されました請願特別報告に關しまして、請願委員會の經過竝びに結果を御報告申し上げます。
本委員會は、昨年十二月二十八日にその第一囘總會を開きまして、委員長及び理事の互選を行いました。爾來總會を開くこと三囘でございまして、終日審議をいたしました。受理いたしました請願件數は二百六十八件であります。今その内容につきまして簡單に申し上げます。
戰爭中いろいろの都合で遲れておりました運輸交通關係の整備擴充に關する請願が最も多く、鐵道敷設竝びに省營バスの運輸開始の請願を初め、道路、橋梁、河川、港灣、護岸等の改修または新設の請願が八十三件に達しました。實に全體の三分の一に及んでいるのであります。
次は、本議會といたしまして特に目つきましたのは、學校の昇格問題、すなわち教育關係と、觀光關係の請願であります。戰爭を放棄しましたわが國が、民主主義、合理主義に基き、平和國家、文化國家を建設いたしまするには、まず教育制度の根本的再建を行うことが第一であります。これ、わが國教育界に課せられたるところの至上命令によるものであります。また觀光關係の請願の多かつたのは、わが國の將來を考えまして、まことに意義深いものと存ずるのであります。
さらに農地法關係の請願が數通ございました。これはまた本議會として目新しいところの一つの現われでありまして、將來自作農創設に關しましては、大いに考えなければならぬと存じます。その他數々の受理いたしました請願は、ことごとく國民の僞らざる眞の叫びであります。時局柄まことに痛切なものがあつたのであります。
それで本委員會におきましては、これら受理いたしました請願全部につきまして、それぞれ紹介議員の説明を求め、これに對する政府の意見を徴しまして、愼重審議いたしました結果、採擇すべきものと議決いたしたものが二百十五件、政府に參考として送付すべきものと決定したものが五十三件、會計二百六十八件、すなわち受理いたしました請願の全部を議了いたした次第であります。なお委員會におきましての審議の詳細なることは、速記録によりまして御承知願いたいと思うものであります。
以上、御報告申し上げます。何とぞ本會議におきましても速やかに採擇あらんことを希望いたします。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=56
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057・井上知治
○副議長(井上知治君) 請願日程第一ないし第二百五の各請願は、委員長報告の通り採擇するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=57
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058・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて各請願は委員長報告通り採擇するに決しました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=58
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059・綿貫佐民
○綿貫佐民君 議事日程變更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、建議案日程第一ないし第六十の六十案を繰上一括上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=59
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060・井上知治
○副議長(井上知治君) 綿貫君の動議に御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=60
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061・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は變更せられました。
建議日程第一、舞鶴海洋氣象臺設立に關する建議案外五十九件を一括して議題といたします。建議委員長の報告を求めます。建議委員長村井八郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=61
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062・会議録情報8
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建議案
第一 舞鶴海洋氣象臺設立に關する建議案(大石ヨシエ君提出)(第一號) (委員長報告)
第二 山陽道改修工事促進に關する建議案(森崎了三君外三名提出)(第二號) (委員長報告)
第三 人口對策確立に關する建議案(林平馬君提出)(第三號) (委員長報告)
第四 青年層對策確立に關する健議案(林平馬君提出)(第四號) (委員長報告)
第五 國民總勤勞時制定の健議案(林平馬君提出)(第五號) (委員長報告)
第六 國民學校兒童等の醫療施設擴充に關する建議案(本多花子君外一名提出)(第六號) (委員長報告)
第七 舞鶴市元海軍用地返還に關する建議案(大石ヨシエ君提出)(第七號) (委員長報告)
第八 婦人議員の講和會議參加に關する健議案(吉田セイ君提出)(第八號) (委員長報告)
第九 住宅難突破に關する建議案(吉田セイ君提出)(第九號) (委員長報告)
第十 乘物に母子席施設に關する建議案(吉田セイ君提出)(第十號) (委員長報告)
第十一 主食遲配絶滅に關する建議案(吉田セイ君提出)(第十一號) (委員長報告)
第十二 名寄支廳設置に關する建議案(太田鐡太郎君提出)(第十二號) (委員長報告)
第十三 薄荷竝びに除虫菊の國立試驗場設置に關する建議案(東隆君提出)(第十三號) (委員長報告)
第十四 國立農業物理研究所設置に關する建議案(東隆君提出)(第十四號) (委員長報告)
第十五 闇の女更生に關する建議案(吉田セイ君提出)(第十五號) (委員長報告)
第十六 甘藷飴製造に關する建議案(吉田セイ君提出)(第十六號) (委員長報告)
第十七 京都府何鹿郡物部村の理想農村改革試驗地指定に關する建議案(大石ヨシエ君提出)(第十七號) (委員長報告)
第十八 講和會議に婦人代表參加に關する建議案(木村チヨ君外八名提出)(第十八號) (委員長報告)
第十九 帝國大學の助教授、助手、副手等の待遇改善に關する建議案(庄司一郎君提出)(第十九號) (委員長報告)
第二十 洞海灣を第一種重要港灣(國營港)に移管に關する建議案(岡部得三君外二名提出)(第二十號) (委員長報告)
第二十一 久慈川改修速進に關する建議案(武藤常介君外一名提出)(第二十一號) (委員長報告)
第二十二 教育會の第二封鎖預金解除に關する建議案(仲子隆君提出)(第二十二號) (委員長報告)
第二十三 省營自動車運轉開設に關する建議案(仲子隆君提出)(第二十三號) (委員長報告)
第二十四 茨城縣西茨城郡大池田村福田地内國有林伐採に關する建議案(菊地豐君提出)(第二十四號) (委員長報告)
第二十五 國道第六號線完全改修に關する建議案(河原田巖君外二名提出)(第二十五號) (委員長報告)
第二十六 常設自衞會結成に關する建議案(河原田巖君外二名提出)(第二十六號) (委員長報告)
第二十七 茨城縣下漁港の築港及び改良に關する建議案(河原田巖君外二名提出)(第二十七號) (委員長報告)
第二十八 常磐線上野水戸間電化實施に關する建議案(河原田巖君外二名提出)(第二十八號) (委員長報告)
第二十九 小樽經濟專門學校の商科大學昇格に關する建議案(苫米地英俊君外二名提出)(第二十九號) (委員長報告)
第三十 人丸驛、川尻港間省營自動車開通促進に關する建議案(疋田敏男君提出)(第三十號) (委員長報告)
第三十一 北海道開發に關する建議案(苫米地英俊君外三名提出)(第三十一號) (委員長報告)
第三十二 鐵道添田線全線開通促進に關する建議案(長尾達生君外九名提出)(第三十二號) (委員長報告)
第三十三 國領川ダタ築造に關する建議案(林田哲雄君外三名提出)(第三十三號) (委員長報告)
第三十四 櫻井漁港建設に關する建議案(林田哲雄君外三名提出)(第三十四號) (委員長報告)
第三十五 燧灘沿岸干拓事業に關する建議案(林田哲雄君外三名提出)(第三十五號) (委員長報告)
第三十六 新居濱工業專門學校の大學昇格に關する建議案(林田哲雄君外三名提出)(第三十六號) (委員長報告)
第三十七 兒童保護に關する建議案(紅露みつ君外二十四名提出)(第三十七號) (委員長報告)
第三十八 岐阜市立藥學專門學校の大學昇格に關する建議案(武藤嘉一君外二名提出)(第三十八號) (委員長報告)
第三十九 酪農局設置に關する建議案(鈴木周次郎君外二名提出)(第三十九號) (委員長報告)
第四十 乳肉衞生事務の農林省移管に關する建議案(鈴木周次郎君外二名提出)(第四十號) (委員長報告)
第四十一 羽咋町、氷見町間鐵道敷設促進に關する建議案(殿田孝次君外一名提出)(第四十一號) (委員長報告)
第四十二 省營自動車の強化擴充に關する建議案(今井耕君提出)(第四十二號) (委員長報告)
第四十三 地方競馬法改正に關する建議案(堀川恭平君外五名提出)(第四十三號) (委員長報告)
第四十四 臨時資金調整法改正に關する建議案(堀川恭平君外五名提出)(第四十四號) (委員長報告)
第四十五 土木工事五箇年計畫實施に關する建議案(大塚甚之助君外二名提出)(第四十五號) (委員長報告)
第四十六 古屋谷、二俣間省營バス運轉延長に關する建議案(殿田孝次君外一名提出)(第四十六號) (委員長報告)
第四十七 畜産振興に關する建議案(小川原政信君外三名提出)(第四十七號) (委員長報告)
第四十八 赤崎種畜牧場を擴張し大山種畜大牧場と爲すに關する建議案(稻田直道君外二名提出)(第四十八號) (委員長報告)
第四十九 石手川ダム建設に關する建議案(安平鹿一君外一名提出)(第四十九號) (委員長報告)
第五十 映畫演劇の興行場入場税の免税點引上並びに税率改正に關する建議案(赤松勇君外二名提出)(第五十號) (委員長報告)
第五十一 接骨師法案制定に關する建議案(武藤嘉一君提出)(第五十一號) (委員長報告)
第五十二 長野工業專門學校の大學昇格に關する建議案(小坂善太郎君提出)(第五十二號) (委員長報告)
第五十三 農業技術員設置費國庫補助増額に關する建議案(山下春江君提出)(第五十三號) (委員長報告)
第五十四 戰時整備を強制された機織工業の復元に關する建議案(白木一平君提出)(第五十四號) (委員長報告)
第五十五 引揚者の金融救濟に關する建議案(布利秋君提出)(第五十五號) (委員長報告)
第五十六 接骨師の治療資材配給に關する建議案(布利秋君提出)(第五十六號) (委員長報告)
第五十七 繭價引上げに關する建議案(布利秋君提出)(第五十七號) (委員長報告)
第五十八 宗教家及び教職員の乘車優遇に關する建議案(布利秋君提出)(第五十八號) (委員長報告)
第五十九 戰災者の救援促進に關する建議案(布利秋君提出)(第五十九號) (委員長報告)
第六十 坂出港復舊促進に關する建議案(福田繁芳君提出)(第六十號) (委員長報告)
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〔報告書及び議案は追つて別册に掲載〕
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〔村井八郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=62
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063・村井八郎
○村井八郎君 ただいま議題となりました建議案の委員會における審議の經過竝びにその結果について、きわめて簡單に御報告を申し上げます。
今議會に提出されました建議案は、總數六十件でありまして、港灣、河川、道路の開發改修竝びに土木工事に關するもの十件、交通運輸に關するもの九件、學校、研究所の昇格竝びに設置等、教育研究に關するもの七件、社會福祉、厚生醫療、保險に關するもの七件、來るべき媾和會議に關するもの二件、その他食糧、金融、人口問題、住宅等に關するもの二十五件に及ぶものでありまして、これらの建議案に對しまして、委員會におきましては、議案の印刷その他諸般の障害を排しまして、會を重ねること五囘、各建議案に對しまして、その都度提出者の出席辯明を求めるとともに、これに對する政府當局の所見を質し、委員より質疑を行つたのであります。これら質疑應答の詳細は、速記録によつて御承知を願うことといたしたいと思います。
以上申し述べました建議案の中には、問題のあるものもなきにしもあらずではありましたが、すべて各案とも時局を反映し、率直に民意を代表しておりますとともに、議院の意思として強く政府に要望すべきものでありましたので、愼重審議の結果、建議案全部、すなわち六十件を可決することにいたしたのであります。
政府におかれましても、院議を尊重し、これら建議案の趣旨をよく諒承せられ、その實現に努力されるよう、委員長としてこの壇上より強く要望しておく次第であります。議員各位におかれましても、何とぞこの委員長の報告に御贊成あらんことを希望いたします。はなはだ簡單でありますが、これをもつて建議委員長の報告といたします。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=63
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064・井上知治
○副議長(井上知治君) 建議案六十件を一括して採決いたします。委員長の報告はいづれも可決であります。六十件とも、委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=64
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065・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて各建議案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
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066・綿貫佐民
○綿貫佐民君 議事日程の變更の緊急動議を提出いたします。すなはちこの際、竹田儀一君外五名提出、殘留同胞歸還促進に關する決議案を議題とし、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=66
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067・井上知治
○副議長(井上知治君) 綿貫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=67
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068・井上知治
○副議長(井上知治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は變更せられました。
殘留同胞歸還促進に關する決議案を議題といたします。提出者の趣旨辯明を許します。提出者田原春次君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=68
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069・会議録情報9
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殘留同胞歸還促進に關する決議案
(竹田儀一君五名提出)
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殘留同胞帰還促進に關する決議案
殘留同胞歸還促進に關する決議
政府は、英、ソ連管下その他の極東諸地域に今なお残留する百四十八万余名の急速帰還実現につき、全力を傾注すべきである。
右決議する。
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〔田原春次君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=69
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070・田原春次
○田原春次君 ただいま議題となりました殘留同胞歸還促進に關する決議案の趣旨を辯明いたします。まずその全文を讀みます。
残留同胞帰還促進に關する決議
政府は、英、ソ連管下その他の極東諸地域に今なお残留する百四十八万余名の急速帰還実現につき、全力を傾注すべきである。
右決議する。
御承知のごとく、昨年の二月に院内の各政黨の共同發議によりまして、海外同胞救援連合會というものが設けられ、主として歸還促進に關する議會としての運動を續けてまいりまして、なおそれが昨年の八月には同胞救援議員連盟ということになり、衆議院議員全員がこれに參加をし、別に貴族院議員の多數の參加もありまして、運動を繼續してきておるのでございます。また議會におきましても、機會あるごとに、歸還促進に關しましては、あるいは建議案、あるいは決議案、あるいは請願、あるいは一般の議案の質問の中におきまして、しばしば各黨各派から繰返し繰返し要望されております。
一例をあげますと、昨年九月二十八日に村島喜代君外數名提出で、ソ連領殘留同胞引揚促進に關する決議案が上程され、これは可決されております。また昨年九月二十日には、米山文子君外數名の提出によりまする終戰後判明せる戰歿者取扱に關する決議案、すなわち今度の戰爭における戰後の戰歿者に對する決議案も出ております。その他ほとんど機會あるごとに、この議場におきまして、各議員諸君から熱烈なる意見の開陳があり、その都度われわれはこれを傾聽し、可決をしてまいつておるのであります。
從つて議會といたしましては、最大限の努力を傾けまして、一日も早く、今なお異境に殘つておりまする將兵諸君竝びに一般同胞の歸還促進の運動を續けておることは、皆樣も御承知の通りであります。終戰當時海外各國に殘つておりました軍人軍屬を含めまして、同胞の數は六百五十萬でありましたが、その後連合國各國の御好意と、連合軍總司令官マツカーサー元帥の絶大なる援助によりまして、本年の一月末現在で、引揚げ、復員の數は五百二十二萬に達しておりまして、約八割は完了しておるのであります。
しかしながらイギリス及びソ連兩管轄地域には、今なお三十六萬餘名の同胞が、悶々たる郷愁のうちに、はるかに故國にある父母妻子をまぶたに浮べつつ、困苦敗殘の勞役生活を送りつつありまして、中には故國の土を踏まずして、病のため、終戰後異郷に朽ち果てておる者も相當數に達して居る模樣であります。これらの心情、その苦境を思うとき、まことにわれわれ同胞といたしましては、痛心に堪えないのであります。(拍手)
もしかくのごとくにして、これら異郷にある同胞の復員、引揚げがこの上遷延すれば、殘れるかれらの焦燥と自暴自棄心はますます募り、一方一家の支柱を失つた留守家族の生活の困難はいよいよ増加するばかりであります。
さらにまた既に内地に歸還した引揚者、復員者、その他一般の戰爭犧牲者の多くは、食うに食なく、住むに家なく、働くに職なく、今や餓死線上に彷徨しておるのでありまして、これらの問題につきましても、議員の各位は、あらゆる機會にこれが生業への定着の援護なり、救援について御努力をされたことは、私どももよく存じ上げておるのであります。政府をこの上一段と督勵いたしまして、引揚の促進竝びに引揚げ後の同胞の生活復歸に關しまして、いま一段の努力を政府に要望するのが、この決議案を提出いたしました動機でございます。(「同感」と呼ぶ者あり、拍手)
なお同胞救援議員連盟の活動につきましては、各派から出ております理事諸君によりまして詳細御報告があつておると思いまするが、一例を申し上げますと、昨年の、さつき讀みました建議案のほかに、九月三十日には、衆議院において決議案が上程され可決されておる。十一月二十七日の衆議院の本會議におきましては、首相の施政方針演説の後、本議員連盟の竹田議員によりまして、引揚同胞に對する政府の所見を質しております。また十二月二十五日、衆議院の本會議におきましては、大久保傳藏議員より、引揚促進に關し政府に質問しております。今年の三月十五日、衆議院の豫算總會におきましても、竹田儀一議員は出席の政府當局に對しまして、引揚げ、復員問題及び援護問題につき質問をしているのであります。
さらにまた別に議員連盟の主催といたしまして、昨年の十一月六日には、日比谷の公會堂で、各黨代表による引揚促進の大會も開いておるのでありまして、かように議員連盟といたしましては、一日も早く歸つてこられるよう、あらゆる方面の運動を續けてまいり、特に對日理事會、あるいは連合國總司令部等に對しましては、しばしば陳情を行い、あるときは各派の婦人議員全員が、對日理事會のアチソン議長に懇願にまいりましたし、あるいはまた連合國最高司令官に懇願にまいつておるのであります。
〔副議長退席、議長著席〕
かように、絶えず議員側としては運動をしておるにもかかわりませず、諸般の状勢は今なお百數十萬の同胞を殘しておるのでありまして、どうかこの議會の終りまする本日ではありまするけれども、政府はさらに一段の努力をいたしまして、少くとも年内に全員歸還のできるように、一段の考慮を願いたいのでございます。
ここに三月の六日、ビルマのラングーンに殘つておりまする三萬五千名の作業隊員の便りが到著いたしております。簡單でございますから、これを讀ましていただきます。
陳情書
緬甸に殘留しある三萬五千名の作業隊員の實状に就ては、曩に歸還せる人々の報告等に依り能く認識せられあることと信ずるも、茲に拙文を綴り、我々の窮境を申述べ、各位の御同情に訴へる次第であります。
長期且苛烈なる戰鬪に續き、終戰後一年有半に亙り、酷熱瘴癘の地に在りて土間に臥し、襤褸を纏ひ、壹錢の報酬もなき最低最惡の生活に耐え、凡百の屈辱を忍びつつ、乾季は灼熱百數十度の炎天下に、雨季には車軸を流す豪雨下に、連日八時間勞働を強制せられある我々作業隊員は、今や心身共に疲勞困憊其の極に達しているのであります。
其の間我々を慰すべき何物もなく、唯祖國歸還を唯一の樂しみとし、相勵まし相援けて今日に至つたのであります。時折入手する内地のニユースは、慘憺たる戰禍、數次に亙る天災地變及び經濟危局に直面せる深刻なる生活難等の總て我々の心を暗くするものであります。斯る苦境に在りて、一家の柱石たる我々の歸還を一日千秋徒ち焦れる家族に思を致す時、實に胸裂け膓斷つの感を禁じ得ないのであります。近時心身衰弱の極、又家郷を憂ふるの餘り、精神に異状を來す者漸増し、深夜鐵窓に監禁せられたる彼等の空虚なる絶叫を耳にする時は、其の悲慘之に過ぐるものはないのであります。
我々作業員は、昨年七月英東南亞細亞司令官の聲明に依り、今年春期には歸還し得るものと確信し、之を唯一の希望として苦難に堪えて來たのでありますが、意外にも去る二月五日英軍司令部より、日本人の送還は三月より開始するも其の終期は豫測し得ずと發表せられ、更に最近三月中に二、九〇〇名を送還する旨の發表に接したるも、我々として斯る輸送程度にては、全く先の見透しもつかず、二箇月後には再びあの恐しき殺人的雨季を控へ、我々の不安益益増大し、一同全く希望を失い、悲痛のどん底に打挫がれている現状であります。
現在の如き疲勞困憊せる心身を以て、又現在の如き環境に於て雨季到來せんか、我々は相踵いで病床に斃れ、遂には歸還を前にして幾多の犧牲者を出すに至ることは、火を賭るより明かなる處であります。
冀くば、遠き異境に在りて斯の如き悲境に呻吟しある同胞の實情を深く御憐察せられ、一日も早く我々の待望の歸還の實現するよう御盡力賜はらんことを、在緬日本將兵三萬五千の總意を以て切に懇願する次第であります。(拍手)
さらに御承知のごとく、シベリアから樺太にかけましては、今なほ數十萬の同胞が殘つておるのでありまするが、これに對しましては、これまたしばしば抑留將兵同胞の家族から、あるいは大會を開き、あるいは文書をもつて、一日も早く全員歸還するようとの嘆願運動は、議會にも政府にも、また關係方面にも續けられておるのでありますが、さる三月二十七日午後一時、都下抑留將兵同胞の家族代表四千名は、お茶の水明大横廣場に集合し、衆議院に向け行進をなし、三時に到着いたしまして、代表者十九名が選ばれて面會にまいり、各黨から代表者が數名まいりまして、面接をしたわけでございます。
その際、かかるその苦境の陳情を受けました際に、これらの大會で決議をされました決議文が來ておりますので、これもこの際朗讀をお許しを願いたいのであります。
決議文
終戰後一年有半、最愛なる夫子、兄弟未だ歸らず、而も我等は一家の支柱なる最も働き手を奪はれ、其日の生活にも苦惱し居るものなり。昨年來政府及全議員の御努力により、相當數の歸還を許されたるも、未だ我々を滿足せしめざるものあるを遺憾に思ふものなり。我等の最低綱領なる本年中全員歸還不可能なる場合は、新政府及全議員諸賢の責任なるを我々は全家族の名を以て決議致すものである。
昭和二十二年三月二十七日
シベリヤ抑留將兵同胞家族一同
衆議院全議員殿
(拍 手)
という決議がまいつたのであります。
かように外におきましては、關係家族によりまして、絶えず陳情と嘆願は續けておられます。これに對しましてお互い議員は、ほとんどわが身につまされ、連日あらゆる角度から、引揚げの促進竝びに引揚げ後の同胞の定着援護に關しまして努力をしておるのでありますが、これと少くとも同じ程度の熱意をもち、また效果的を手を打ちますことを、政府にこの際要望するのがこの決議案の趣旨でございます。どうか全員御贊成くださいまして、直ちに政府がこれらのわれわれ全員の要望を容れまして、効果的な手を打ち、年内に全員歸つて來られるよう、最大の努力を政府に要望いたしまして、この趣旨の説明を終る次第でこざいます。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=70
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071・山崎猛
○議長(山崎猛君) 本案は可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=71
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072・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
ただいま詔書降下の旨内閣總理大臣より傳達せられました。ここにこれを捧讀いたします。諸君の御起立を望みます。
〔總員起立〕
朕は、帝國憲法第七條によつて、衆議院の解散を命ずる。
〔「萬歳」「萬歳」と呼ぶ者あり、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=72
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073・山崎猛
○議長(山崎猛君) これにて散會いたします。
時に午後五時二十三分発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=73
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074・会議録情報10
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〔参照〕
一、今三十一日貴族院において、本院から送付の次の政府提出案を可決した旨、同院から通牒を受領した。
財政法案
會計法を改正する法律案
復興金融金庫法の一部を改正する法律案
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案
石油配給公團法案
配炭公團法案
産業復興公團法案
貿易公團法案
價格調整公團法案
日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に關する法律案
日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に關する法律案
日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に關する法律案
私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案
特別調達廳法案
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本期議會における議案請願及び質問の總數及び結果
政府提出議案八十八件
内
豫算案 六件 可決
決算 二件 委員長報告の通り
議決
國有財産増減總計算書 一件 委員長報告の通り議決
承諾を求める議案 八件 承諾
法律案 七十一件 可決
議員提出議案 九十四件
内
法律案 十三件
内 九件 可決
三件 未決
一件 撤囘
上奏案 一件 可決
建議案 六十件 可決
決議案 十四件
内
四件 可決
七件 未決
三件 撤囘
暫定衆議院規則案 一件 可決
重要動議 五件 可決
請願受理件數二百六十八件
内
特別報告 二百十五件
内 二百十四件 採擇
一件 未決
特種報告 五十三件
質問四件
内
質問 一件 書面答辯
緊急質問 三件 口頭答辯
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一、今三十一日參考として政府に送付した請願書は次の通りである。
世界連合政府樹立に關する請額 一通
各國門戸開放に關する請願 一通
下田町所在了仙寺の復興助成に關する請願 一通
久慈川改修工事の設計變更促進に關する請願 一通
指宿町魚見地區を農地法より除外の請願 一通
アイヌ厚生施設資金充當のため競馬開催許可等に關する請願 一通
舊鶴見臨港鐵道外三鐵道拂下げに關する請願 一通
兵庫縣下における連合軍拂下げ自動車による省營トラツク運營中止その他に關する請願 一通
北海道地方商工局帶廣工場拂下げの請願 一通
青年禁酒法制定に關する請願 二八通
青年禁酒法制定反對の請願 一通
供米完了者に自家用濁酒釀造許可の請願 一通
農家に對し自家用煙草栽培許可の請願 一通
米價の地域的價格制採用に關する請願 一通発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213242X03219470331&spkNum=74
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