1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
勞働者災害補償保險法案(政府提出)(第四七號)
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昭和二十二年三月二十二日(土曜日)午前十時二十九分開議
出席委員
委員長 夏堀源三郎君
理事 水口周平君 理事 小川半次君
理事 松岡駒吉君
木村義雄君 小澤國治君
小野孝君 滝澤脩作君
岡部得三君 加藤高藏君
圖司安正君 中山たま君
長谷川保君 山口靜江君
中原健次君 石田一松君
田中たつ君 鹿島透君
三月二十二日委員大橋喜美君、江崎眞澄君及び山花秀雄君辭任につきその補闕として田中たつ君、木村義雄君及び中原健次君を議長において選定した。
出席政府委員
厚生事務官 石丸敬次君
厚生事務官 友納武人君
厚生技官 濱野規矩雄君
委長員の許可を得た出席者
議員 冨田ふさ君
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本日の會議に付した議案
勞働者災害補償保險法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=0
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001・夏堀源三郎
○夏堀委員長 これから會議を開きます。勞働者災害補償保險法案を議題として質疑にはいります。滝澤脩作君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=1
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002・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 敗戰日本の再建を目指して、日本全國勞働者がこれに參加しておるのは、事實なのでありますがこの勞働者に對しまして、一層生産意欲を増強させ、かつまた勞働者の身邊を、どこまでも守つてやろうという意思のもとに、ここに提案されたものと私は解釋いたすのでありますが、既に戰時中戰前よりいたしまして、勞働者の保護につきましては健康保險あるいは年金保險といつたような保險制度が設けられてあるのでありまして、このたびここに新しく設けられますところの制度と、その健康保險、年金保險に對しまして、どういうふうな關連をもつのでありますか、その邊をお尋ねしたいと思います。勞働者の保護にどこまでも重點を置という場合から考えて見まして健康保險と年金保險等を廢止せずに設けると言いますなれば、事務の繁多とそして醫療におきまして、取扱い上非常にそこに煩雜になるおそれがあるのではないかと思われるのであります、なお併せて政府におきましては、これを一本にして行う考えはないのか、その邊を一つお伺いしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=2
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003・石丸敬次
○石丸政府委員 お答え申し上げます。御質問の第一點につきましては、勞働者の保護を重點に置か、事業主の保護を重點にするかということでありますが、基本觀念といたしましてはわが國の産業再建を目指すということに重點が置かれておるのでございます。そのために一面におきましては勞働者を保護し、他面におきましては事業主が一時に多額の負擔をするということのないように、危險を分散をしてこれを避けるという意味からいたしまして、事業主をも保護するとこういうふうに考えておる次第でございます。御質問の第二點に關しましては年金保險、また今までありまする勞災法そのものを改正することによつて、別な新しい法律をつくらないで、煩瑣を避けることはできるのではないかという御質問であります。ごもつともでございますが、だんだん研究をいたしまするとやはりどういたしましても、こういうふうにした方が便宜であるという結論に達しましたので、かようにいたした次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=3
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004・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 次に本法案の第一章を中心として考えまするに、本法の適用範圍を強制適用と任意適用とに區分してあるようであります。再建を急ぐ敗戰日本の現在におきまして、あらゆる事業または工業、あるいは商業によりまして、急速に舊復さして、そうして全國民が産業再開のために勤勞を惜しまず、生産増強に從事せねばならないときであります。現在國民の生活がかくまで突き落されたという原因は、物の不足にあることは火を見るより明らかなことでありまして、國民の生活を保障して、そうして併せて勤勞者を保護するという眞實な場面があるといたしますなれば事業がいかなる事業でありましようとも、また事業期間が長短を限らず、國民の生活に關連せぬ事業はないと思うのでありまして、この強制適用と任意適用とを區分せずに、全事業に適用すべきようにしてはどうだろうかと思われるのでありまして、この邊の御趣旨をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=4
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005・石丸敬次
○石丸政府委員 お答え申し上げます。災害補償法の實體が、災害を補償するというところに具體的には主眼があるわけであります。從いまして災害の最も多い、また多いであろうという各種の調査の結果のプロパビリテイーが出ておる状態に關しましては、これはどうしても平素保險をかけて、一時に出費することによる經濟的負擔を輕減するという意味で、つまり事業主の負擔の輕減をはかるという觀點から考えまして、どうしてもはいつていただいた方が事業主からいうて非常に得である。またそういう點から考えまして、これはどうしても強制的にはいつていただく。ところが災害はきわめて稀であるというふうな業種業態に對しましてはこれはめつたに事業主がその危險を負擔し、一時に出費をこうむるということはありませんので、かようなものは事業主の任意な自由意思に任せるあるいはまた從業員の多數の意見の決定によつてやる。こういうことにした方がむしろ勞働者も事業主の方も便宜であろうという意味からいたしまして強制適用と任意適用と二つにわけたわけでございます。なお具體的な例等をもうしあげて示せという御要求でございますれば、他の政府委員からとくに御説明申し上げたいと思つております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=5
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006・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 次には保險給付及び保險の成立についてお尋ねしたいのでございます。勞働者が傷害をこうむりまして、醫師による手術とかあるいは處置その他の治療を受けた場合に、その患者に對しまして、從來の健康保險醫のごとき惡質な取扱ひが行われはせぬかというおそれがあるのであります。その實例につきましては、よく當局は御承知のことと存じますが、もちろんそれが設備とか、あるいは醫師の技術とかいつた方面も原因しておる部面もあるとは思いますけれども、保險證をもつてまいりますと、普通の患者の取扱いよりも取扱いが惡い。こういう方面を私は憂慮するのでありましてなお施設につきましても、ほとんどの事業關係は都市に集中しておるのであります。この都市のうち工業を中心といたしますならば、ほとんどが中大都市に集中しておるのでありまして、その大中都市は、御承知の通り戰災のために相當被害を蒙つております。これの復舊に對しまして、醫療施設といたしましては、醫療器その他の施設につきまして、急速にそれを復舊しなければならないという點につきまして、政府におきましては、これらの醫師あるいは醫療關係團體に對しましてどうされるお考えでありますか、その邊も合せてお尋ねしたいと思うのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=6
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007・石丸敬次
○石丸政府委員 お答え申し上げます。御質問の第一點につきましては、被保險者が保險給付を受けるために治療を受けるその際に、お醫者さんがどうもあまり親切でないから、さような状態がこの災害補償の實態についても行われるとするならば、きわめて憂慮にたえないという、きわめて思いやりの深い御意見的の御質問でありましたが、さようなことのないように最大の給付をいたしたいと思いまするが、その根本の問題といたしましては治療する道具、治療に必要なる藥品、かようなものが十分にありませんので、ひいては若干の手違い等も加わりまして、さような結果になるということも一つの原因ではないか、かように思いまするので、ただいまのところ國としましては、藥品を一定の割合の分だけは全部のお醫者さんに配分し、あと殘りの一定の割合は、これを保險醫の方に實績によつてプラスして配給するということを考えておるのであります。近く何分の決定がある方面の御指示によつてきまりますならば直ちにこれを實施するということにいたしておるのであります。なおまたこの醫療費用の算定というようなものにつきましても、社會的な通念によつてきめることはもちろんでありますが、各縣その他に地方別に一つの委員會組織ができておりますが、そこの委員會に御相談を願つて、適正な治療費ということになりますれば、その點も若干緩和されると思います。さらにまた根本的な問題といたしましては、私富山縣の知事をしておりました當時各方面の意見も聞いておりまするし、十分一つ研究しまして、さようなことのないように最大の努力をいたしたい。かように存じておる次第であります。御質問の第二點の、都市の破壞された醫療施設、その他の復舊をいかにするかという御質問でありますが、實は政府委員としては答辯の責任がありまするが、私自身といたしましては、ただいまその資料をもつておりませんので、後刻書面ではつきりしたお答えを申し上げたい、かように思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=7
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008・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 先ほどお尋ねいたしました、破壞されたものを急速に元にかえすということが肝要であることはもちろんでありまするが、戰時中、戰前におきまして、勞働者の傷害を受ける比率關係と、そうして外科醫に對しまする諸機械設備、器具の設備關係等の比率關係がありますなれば、合せて後日一つお知らせ願いたいと思うのであります。
次に保險給付が現金をもつて補償された場合、その傷害の程度が算定された等級點數より意外に重く大きくあつた場合、その手術、處置、治療費の不足は、患者である勞働者が支拂わねばならないのでしようか、また身體傷害箇所は結構治りましたけれども、もとの状況に復すこと二三箇年の後で、傷害が原因となつて、そうして手術、處置、治療を受けねばならないという場合、またこれが本人が費用を支辨しなくちやならないかという點をお尋ねいたして置きます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=8
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009・友納武人
○友納政府委員 お答え申し上げます。第一點の健康保險等によります點數計算というものより以上に實際の費用がかかつた場合に、その差額は一體誰がもつのか、こういう御質問でございますが、この保險におきましては點數計算には必ずしもよらないのでありまして、社會通念によりまして必要な治療費と認められるものは、保險金給付としてこの保險から支拂うようにいたしております。
それから第二點の二三年たつてから疾病負傷が起つた場合に、その治療費はこの保險から支拂うのかという御質問であつたのでありますが、その點は結局その疾病負傷の原因となつておつた事故との因果關係の問題でありますが、原則といたしましては、因果關係のあるものにつきましては何年後に發生いたしましても支拂うということにしております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=9
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010・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 次に打切補償についてお尋ねいたしたいと思いますが、補償を打切ります場合に、この打切を誰が宣言いたしますか、治療の結果いよいよ不具者となつて全治いたしましたとすれば、いずれ醫師によつて補償の打切がそこに本人に宣言されることと思いますが、職に復することができませずに、二、三年の後傷害箇所が再治療を要する場合、この補償打切によります場合を痛念いたすのであります。これをまた打切られておりながら、本人がその費用を出さなくちやならないのか、この邊を一つお聞きいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=10
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011・友納武人
○友納政府委員 打切補償の問題でありますが、この點は勞働基準法におきましては事業主が打切ることになつております。この保險におきましてはもちろん保險者たる政府が打切るわけでありますが、政府が打切るというような場合は、特殊な場合、すなわち非常に異例な中毒症とかいうような何十年もかかるという種類のもの、あるいわ特に勞働者が打切ることを望むというような殊特な場合を除きましては、打切補償ということはこの保險においてはないのでありまして、疾病、負傷につきましては療養補償、療養中の休業につきましては休業補償を續けてずつと補償してまいりたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=11
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012・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 次には罰則につきましてお尋ねしたいと思います。官憲が診療録の檢査をいたします場合に、檢査の結果その醫師の業務上の秘密とかあるいは個人の秘密を漏らした場合は罰則がありますが、本法が總則第一條に示します通り、勞働者を特に保護するというもとに行われます官憲の診療施設に對しますところの檢査の結果、醫師の業務上の秘密でありましようが、個人の秘密でありましようがその秘密が患者のために不利であつても、これを漏らしてはいけないという定めになつておるのでありましようか、その邊を一つお尋ねしたいと思います。政府におきましては、納税のごときものには、納税取立てについて密告を奬勵しているような場合であります。私はこの邊を醫師の良心のためにまた醫師の技術を向上するために、相當秘密がありましようとも、それが大切な勞働者の病氣を全治さすためには、どこまでも秘密を秘密とさせずに公開さして、政府當局なりあるいはその關係分野におきまして醫師を助け、患者を助けて、一日も早く全治さしてやらなければならぬと思うのであります。この邊をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=12
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013・友納武人
○友納政府委員 お答え申し上げます。前段の點は御趣旨の通りでありまして、勞働者に不利となるようないかなる秘密をも漏洩した場合には、この罰則に該當するわけであります。後段につきましては、御趣旨の點がはつきりいたさないのでありますが、この取得したことを發表することが醫學的な進歩に貢献するというような場合、それを發表した方がいいのではないかこういうふうな御趣旨に承つたのでありますが、もしそういう御質問でございましたら、個人の名前を秘するとか、あるいは單に一つの設例として、個人の不利にならないような方法で發表する方法があると思うのでありますこの五十一條に規定いたします罰則はこの秘密を漏洩することによりまして勞働者もしくは醫師に不利を與える、そういう場合を規定しているものと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=13
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014・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 本法を完全なものとして適用をいたします上におきまして、以上私が質問した點を完備していただきたいと思うのでありますが、日本の産業再開は中小工業の急速なる進展によつて行われなければならないのでありまして、ただいま再起しつつある中小工業の形態を見てみまするに、戰前あるいは戰時中の中小工業の形態とは趣きを異にしているのであります。すなわち資金の面におきましても、材料あるいは設備その他にいたしましても、眞の中小工業らしい形態ではないのであります。どちらかと申しますと、まとまつた形態でなくして、家庭工業的のものをちよつと引伸ばしたような状態にあるのであります。こういつた考えのもとに考えを進めてまいりますならば、日本の將來の中小工業は、その形態をそのまま續けてゆくのではないか、その場合形態の整つていない、すなわち設備も完備いたしませず、それに從つて勞働者を相當員數使用することができないといつたような方面を考えますならば、いつそこの法案は適用を強制適用とせず、任意適用にしておいた方がいいのではないかと思われるのであります。御承知の通り事業體には經營と勞働と双輪が備わつておりまして、どちらが缺けても進展をしていくことはできない。どちらかが缺けてまいりますならばその結果は非常に大きく目的と相反映するものと思うのでありまして、併せてこの邊を御考慮の上で御實施が願いたいと思うのであります。これをもちまして質問を打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=14
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015・長谷川保
○長谷川委員 第一にお伺いしたいことは、第六條及び第七條の保險關係の成立のことでありますが、保險關係の成立は保險料の拂込みがしてなくても成立するのか、すなわち保險料の拂込みをまだしてないうちに、勞働者が災害をこうむつても保險給付をするのかどうか、その點を伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=15
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016・石丸敬次
○石丸政府委員 保險料を拂つておろうとおるまいと、強制適用になつております團體につきましては、その事業が始まつたそのときには當然保險に加入している。從つて義務が生じてきていると存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=16
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017・長谷川保
○長谷川委員 次にお伺いしたいことは、被保險者の名簿は當然登録すると思うのでありますが、勞働基準法の第百七條によると、日雇の名簿はつくらぬでもよろしいというようになつているが、そういう名簿のない者に對する保險はどうなるのか。單に雇人の勞働者の人數に對して保險をするということであると、こういうような事情が起つてきはしないかと思う。たとえば使用者が、實際は自分で使つている者でなくても、親類の者がよそでその仕事に關係なく怪我したとか、病氣になつたという場合に、それを自分の雇人のごとくにして不正に保險の給付を受ける手續をする。こういうような事件が起てきはしないかと思うのでありますが、その點に對する御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=17
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018・友納武人
○友納政府委員 ただいまの點でありますが、ごもつともな御質問なのであります。この保險においては被保險者の名簿を一々とつておりません。實際に傷害とか疾病とか負傷とかいうものが起りましたときに、給付記録表と稱するものをつくりまして、それに基きまして療養補償費なり、障害補償費なりを繼續して支出するということにいたしておりますが、災害に遇つた者以外の者については名簿をつくつておりません。從つて御説のような點も考えるのでありますが、實際問題といたしまして、われわれこういう組織で勞働者災害扶助責任保險法というものを今まで運用してきているのでありますが、きわめて例外的にそういうことがあつたこともあるのでありますけれども、大體の事業主あるいは被保險者というものはそういうことがないのであります。從つてそういう少數の事件を豫想して、煩瑣な規定を設けて事業主あるいは被保險者に強制するということになるとどうかと考えましたので、從來の樣式をそのまま踏襲することにいたした次第であります。ただ今囘のこの保險法におきましては、罰則のところでごらんいただきますように、不正な請求をして給付を受けたというような者は、六箇月以下もしくは一萬圓以下の罰金、もしくは五千圓以下の罰金というように非常に重い罰則もかけられておりますので、かたがたそういう事故の豫防にもなつているというふうにも考えているのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=18
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019・長谷川保
○長谷川委員 今までの勞災保險關係と違つて、今度は健康保險の方も業務上による傷害、疾病は入れるということになつた。たとえば結核のごとく非常に長期の、そうして非常にたくさんの費用を要する療養を要するような場合におきましては、今私が懸念いたしますようなことになつてくるだろうと思う。それは罰則だけでは防げないと思う。何とかその點について、政府はもつとつつこんだ考え方をすべきではないかと思うのですが、御所見はいかがでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=19
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020・友納武人
○友納政府委員 ただいま御説明の結核は業務外でありまして、その他にも御説明のような疾病、負傷というものがあるかと思うのでありますが、實際のわれわれの經驗もしくは將來の豫想から考えますると、業務上の災害というものは割合にはつきりしているのであります。業務上の災害によつて事故の起つたときには六日以内に屆出るという規定も他の法律にあるわけでありまして、あるいは多數の事故の中にはそういうこともあり得るかとも思うのでありますが、先ほどお答え申し上げましたように、一應例外的な事故としまして、そう懸念する必要もないのではないかというふうにも思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=20
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021・長谷川保
○長谷川委員 今結核は業務外というお話でありますが、たとえば看護婦、殊に結核患者に派出する看護婦とか、結核療養所の看護婦とかいうような場合の結核も業務外となさるのですか。その點はよほど考えなければならぬと思うのでありますが、いかがでありませうか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=21
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022・友納武人
○友納政府委員 今申し上げましたのは一般的な問題でありまして、あるいは御説明のような場合においては、結核を業務上というふうに認定しなければならぬ事態が出てくるかもしれないと思つております。そういう場合には愼重に業務上の疾病であるかどうかを認定してまいりたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=22
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023・長谷川保
○長谷川委員 次に伺いたいことは、第十七條、第十八條及び第十九條の全般に關する問題でありますが、ここに「保險給付の全部又は一部を支給しないことができる」という場合が書かれております。その條件としましては保險料の算定または保險給付の基礎である重要事項について、使用者つまり保險加入者が不實な申告をした場合あるいは、故意または過失によつて保險料を滯納したような場合、あるいは故意にまたは重大な過失によつて保險加入者が補償の原因である事故を發生させたというときは、保險給付の全部または一部を支給しないでもよいという場合がありますが、こういうような事故や故意もしくは過失を起すような使用者なればこそ、なおさら保險給付については迅速にその勞働者に政府が給付する必要があると思う。第一條の「勞働者の負傷、疾病、廢疾又は死亡に對して迅速且つ公正な保護をする」ということに對しては、こういう加入者の場合こそ政府が十分な、迅速な手を打つて勞働者を保護すべきであつて、もしこういうような規定があつて、おそらく政府の方で給付しないならば、勞働基準法によつて勞働者は使用者に向つてそれまで補償を要求する權利が出てくるわけでありますけれども、その場合にどうしてもうまくいかない。結局まごまごすると勞働者は泣寢入りというようになつてしまうのではないかと私は思う。勞働基準法違反だといつても、どうもそういうようなわけのわからない者にはなかなか話はできないと思う。だからこういう場合こそむしろ私は政府が迅速に適當な給付を與えて行くべきだと思う。そしてその給付については保險加入者の責任でありますから、政府は保險加入者に對する給付についての請求權をもつたらよいと思う。この點いかがでしよう。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=23
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024・友納武人
○友納政府委員 十七條、十八條、十九條につきましての御質問でありますが、まことに適切な御質問でございまして、この點につきまして、この法律の條文中で一番われわれが頭を痛めました條文でもあるわけであります。他の法令であるとか、諸外國の立法例というようなものも參酌をいたしました點であります。一應の理論からいたしますと、保險料を拂わないようなものに保險給付をしないということは、ある意味から言うと當然なことなのでありますが、ただいま御質問にもありましたような、この法律の趣旨としてどうだろうかというような點との、ヂレンマと申しますか、非常に苦しんだのであります。そこでいろいろ研究いたしまして、こういうふうになつたのでありますが「全部又は一部を支給しないことができる。」と申しますのは、勞働基準法に基きまする支拂能力をもつておるような事業主であつて、故意に保險料の納入を遲らしておる者、勞働基準法によつて十分賠償する能力がありながら、わざと遲らしておるというようなものにつきましては、何もこの保險から給付しなくても勞働者の保護については遺憾がないではないか、そういう場合を支給しない例としております。御説明の勞働基準法によつても支拂うことができない事業主があるじやないか、そういうものにこそ保險の方から支拂うべきではないか、こういう點が支給する場合の例でございます。「全部又は一部を支給しないことができる。」というふうに含みをもたしまして、保險料がはいらなくても保險給付はすることができるというふうに書きました趣旨は、そこにあるわけであります。實際の問題といたしましては十七條、十八條、十九條につきましては、運用上御質問のような點を十分留意してまいりたいと思うのであります。なお一つだけ附け加えますと、從來勞災扶助法に十七條、十八條、十九條という規定にやはり類似した規定があつたのでありますが、勞災保險法施行以來、昭和六年に施行したのでありますが、この規定を發動いたしまして支給をしなかつたことは一度もございませんから、將來もごく稀に、あるいは支給しない場合がほとんどないことというふうにも考えておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=24
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025・長谷川保
○長谷川委員 そうするとその場合には、やはり政府は使用者に向つて請求權を保留しておるわけですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=25
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026・友納武人
○友納政府委員 この法律の他の規定のところにあると思うのでありますが、政府はこの事業に要する保險料と申しますものは、強制徴收權をもつておりまして、政府の方には遲れましても保險料を強制的に徴收する權限がございますので、損害はないようになつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=26
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027・長谷川保
○長谷川委員 よくわかりました。次にお尋ねしたいことは、第十一條の任意加入の消滅のところでありますが、任意加入は保險關係成立後一年を經過しているときでなければ消滅することができない、また勞働者の過半數の同意を得たものでなければならないと書いてありますが、一年と規定した理由はどういうわけですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=27
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028・友納武人
○友納政府委員 お答え申し上げます。この一年という期間そのものに特殊な理由があるわけではございませんで、一應一年としたわけでございますが、趣旨としますところは、任意加入の事業主が都合のいいときだけ保險に加入して、災害率の起り得るような事業の時期のときだけ加入して、起り得ない時期のときには脱退をするというふうになりますと、われわれこれを逆選擇というふうに呼んでおりますが、保險經濟の上にもおもしろくない結果があるのであります。一度はいつたものは一應相當期間この保險に加入していく方が、そういつた意味においていいのではないかというふうに考えましたので、一年という期間を設けました次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=28
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029・長谷川保
○長谷川委員 當保險におきましては、先ほどのお話を伺つていると、健康保險などと違つて、勞災保險證というようなものは出さないのではないかと考えられるのでありますが、さようでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=29
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030・友納武人
○友納政府委員 お説の通りでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=30
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031・長谷川保
○長谷川委員 そうすると、保險給付は現金もしくは療養の給付ということになつてまいると思いますが、少しく横道にそれるかもしれませんが、ついででありますから伺つておきたいと思うのであります。大體國民健康保險の料金につきまして、慣行料金というものと二重になつている。いわゆる慣行料金というものを一般に行つておりますが、それと國民健康保險あるいは健康保險の點數計算の料金とが、二本建になつていることが、この保險關係の醫療の實にまずい點だと思うのです。先ほども藥が足らぬというようなお話でございましたが、根本の問題はそうではなしに、そういうことも最近の問題としては確かにありますけれども、根本問題は、治療費、醫療報酬が二本建でいつているということが根本問題である。その問題を解決しなければ、あの保險醫療制度の問題はうまくいかない。これを徹底的に一本にする必要がある。この勞災保險等による醫療給付の場合には、先ほど社會通念によつて云々というお話がありましたけれども、實際問題として慣行料金でやるのか、健康保險等の醫療報酬の規定によるのか、どつちによるのか、また今申しましたような二本建でいつているのを、徹底的に一本にする意思はないのか、その點を伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=31
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032・友納武人
○友納政府委員 お答え申し上げます。まづこの保險に關する御質問から申し上げたいのでありますが、この保險の建前といたしますところは、業務災害による勞働者の負擔というものを全部政府において事業主に代行して支拂うということが眼目でございますので、先ほどもお答え申し上げましたように、勞働者に業務上の災害の損害を與えないように、實際に要した醫療費というものを支拂うということが建前になつております。從つてあるいは國民健康保險における點數計算とは違つた料金で、そういうものよりもより多い料金を支拂うということもあり得ると思うのであります。ただ勞働基準法にも書いてありますが、この保險にも規定してありますが、必要な療養以外の療養、むづかしい言葉で申し上げましたならば、あるいは贅澤診療とか、あるいは醫學的に見て、あるいは社會通念から見て、不必要に贅澤診療をするといつたようなものにつきましてはわざわざこの保險から支拂う必要もないわけでありまして、そういつた場合に勞働者が自身で負擔する部面があるいは出てくる場合もあると思うのであります。
それから慣行料金と社會保險料金との一致の問題でございますが、一番われわれが惱んでいる問題でございますが、慣行料金は現在におきましては、國民醫療法の規定によりまして、日本醫師會が協議をして、醫師の標準料金というものをきめる。そうしてそれを厚生大臣に屆け出ることによつて効力を發生するというふうになつておるのであります。從つてこの慣行料金につきましては、現在におきましては行政的に監督する權限というものは厚生大臣にはないわけでありますが、實際問題としてこれを考えてみますと、やはり社會保險の料金におきましては、いろいろな點があるのであります。たとえば保險經濟の點でありまするとか、その他いかなる醫師をも劃一的に、一本の料金で診療報酬を支拂うというような特殊性がありまして、慣行料金ととことんまで一致しなければいかぬということを現状の社會保險料金のままで要求することは、あるいは無理な點があるのではないかというふうにも思われるわけでありますし、この問題は非常にむずかしい問題でございますがなんとしても慣行料金と社會保險診療料金というものが一致することが、社會保險診療がうまくいく第一要件でありますので、現在政府がやつておりますのは、日本醫師會と法律上の問題ではなくして協定を結びまして、社會保險料金を決定いたしますときには、社會保險料金と慣行料金を一致させるというような附帶條件と申しますか、附則をいたしまして、社會保險料金をきめていつておるような次第であります。しかし何分御承知のようなインフレーシヨンの状況、あるいは醫藥品不足の問題であるとか、あるいは種々雜多な環境にある醫師、たとえば復員の醫者であるとか、あるいは戰災の醫者であるとか、醫師の種々雜多な環境も影響いたしまして、なかなか約束通りには實現をしていないような實情にあるのであります。なおこの點につきましては、將來政府といたしましても、十分一致という點に向いまして社會保險の料金の方も改善し、慣行料金につきましても今言つたような方向で、日本醫師會と協力いたしまして、一致さすというような努力をする考えであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=32
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033・長谷川保
○長谷川委員 今のお話によりますると、どうもあいまいな點が一つあると思うのであります。醫師側としてはこの勞災保險の關係の療養給付につきましては、慣行料金で要求してよろしいこれを要求した場合にそれの査定を、たとえば保險委員會等で加えるのであるか、この點もう一度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=33
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034・友納武人
○友納政府委員 この保險は何條かに規定してございますが、建前は健康保險と違いまして現金給付を建前にいたしております。そうして健康保險におきまするように、被保險者證をもつて行つて醫者から療養を受け、そうして政府がこれに診療報酬を支拂うというような、現物給付の建前は例外にしておるわけであります。そうしてこの保險が現物給付をする場合と申しますのは、政府がみずから建てました直營の病院というような特殊な病院に限つておりますので、御質問のような査定とかそういうような問題は、この保險に關する限りないわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=34
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035・長谷川保
○長谷川委員 けれども、醫療につきましては當然療養費を拂つてきたものについて、政府からこの保險を給付してもらうわけであります。給付してもらうわけだが、當然その内容が先ほど申しました社會通念に合うものであるか、それともそうでないものかについて判定を下さなければならない、その判定は一體どこで下すのか、それを伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=35
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036・友納武人
○友納政府委員 答辯の仕方が惡うございまして失禮いたしましたが、今御質問のような判定の問題は、被保險者すなわち勞働者の醫療費を保險者たる政府が支拂う場合に當然起る問題でございます。先ほど申し上げましたのは健康保險のように醫師に診療報酬を支拂うときに査定というものがない、こういう意味で申し上げたのであります。あとの場合は當然あるわけであります。その場合にはもちろん政府が決定するわけでございますが、それにつきましては、あとの方にもございますが、不服のある場合には保險審査官というような、そういう不服を專門に聽く特殊な役人、あるいは保險審査會というようないわゆる合議制の不服を聽く委員會のようなものを設けまして、實際上においては萬遺憾のないようにいたしていきたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=36
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037・長谷川保
○長谷川委員 その場合判定されて拂つてきたのが不當に拂つてきた、たとえば本來なら五十圓拂つてくるべきところを百圓拂つてきた、それは不當である。そうして保險の給付としては五十圓しかされないというような場合には、勞働者は醫師に對して、その五十圓なら五十圓の不足分を要求することができるか、もし醫師がそれを支拂わぬ場合にはどうなるか、その點をお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=37
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038・友納武人
○友納政府委員 ただいまの場合當然現金給付でございますので、ただいま御質問のような少額の金でありますれば、一應勞働者が拂いまして、あるいは實際の問題といたしますと、事業主が委任拂いのようなかつこうで立替拂いをすることもあるかもしれませんが、一應拂つてそうして政府に要求してくるわけであります。それで先ほども申しましたように、特殊なそういつた不服を迅速に即決できるような取扱いにいたしますために、保險審査官というものを各金錢を支拂う所に置きまして、迅速に當不當の問題を決定していきたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=38
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039・長谷川保
○長谷川委員 その場合やはり健康保險と同じような不親切な診療が行われるようになりはしないかと心配するのでありますが、その點を伺いたいことと、もう一つ、今年度の豫算においては國保の補助金が大分減つたように伺つておりますが、その點政府側としてはもつと努力して補助金を前年通り——實は前年でも足らぬといつておつたのでありますが、それ以上にする意思はないかという點をついでにお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=39
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040・石丸敬次
○石丸政府委員 本年度の國保に關する保助金の絶對額は減つておりますが、その減りました分は、昨年特殊な臨時的な補助に使つておりました分だけが減つておりますので、その分を除きますれば、實質に數字的にはまず減つていないということに相なつておるのであります。しかしながら昨年の物價と今年の物價とは非常に開きがありますし、また設備、資材その他の入手難はますます拍車を加えており、國民健康保險の現状もさらに檢討を要する状態になつておりますので、これをもつて決して滿足はいたしておりませんで、いかなる方法で國保を建直すかということの一つといたしまして、補助金の増額等のことも決してこれを忘却しているものでないということを御諒解願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=40
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041・長谷川保
○長谷川委員 それでは次の問題に移ります。この勞災保險は業務上の負傷疾病については、健康保險料のその部分のところはこつちへ吸收するというように書いてありますが、今までの健康保險料と勞災保險料とを二重に拂うことになると思いますが、今の健康保險料は料金は減らさずにそのままにいくのでしようか。その點を伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=41
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042・友納武人
○友納政府委員 ただいまの點は、健康保險の保險料は當然下げます。現在一般男子勞働者が十圓につきまして四十八錢でございます。これを三十錢程度に下げられるように考えておりますが、實際の問題につきましては、十分に計算をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=42
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043・長谷川保
○長谷川委員 大變時間を長く頂戴して恐縮でありますが、もう一つ伺いたいと思います。第三條の一番しまいに國の直營事業についてはこの法律は適用しないということがありますが、現在たとえば國營の山林の事業等におきましては、この勞働基準法の九十六條にありますような「使用者は、事業の附屬寄宿舍について、換氣、採光、照明、保温、防濕、清潔、避難、定員の收容、就寢に必要な措置その他勞働者の健康、風紀及び生命の保持に必要な措置を講じなければならない」とありますが、こういうような丁寧な保護というようなことは實際においては全然行われておらぬと言つてよろしい。そうすると、そういうような山林等で働いておりまする人々は、いわばこういうようなことについての保護ということが行われていないのでありますが、そういうようなために傷害、疾病等になつた場合も、やはり勞災保險のような保護を加うべきだと思いますが、それらについてはどうなるのでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=43
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044・石丸敬次
○石丸政府委員 御質問の御趣旨に關しましてはごもつともと存じまするが國の直營事業で國が直接事業を經營しておりまする場合、その從業者は現在ありまする共濟組合という制度で救濟を受ける。また官吏でありますならば恩給法の制度で救濟されるということになつておりますので、これらによつて保護を受けておるのでありますが、しからば勞働者災害補償保險法に、また勞働基準法に定めていると同じ程度の保護を受けているか否かということにつきましては、御説の點が相當あるだろうと思います。これは別途國自體がいかにその使用人とか、官吏その他の者を處遇するかということが目下重大な問題とされておりますので、御承知のような給與審議會というものを設け、閣僚その他民間人、官吏もはいりまして適正なる諸種の施設を講ずる、こういうことになつていると私は思います。そこまで御心配をいただきまして、われわれ官僚の仲間といたしまして長谷川さんに敬意を表する次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=44
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045・長谷川保
○長谷川委員 私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=45
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046・夏堀源三郎
○夏堀委員長 鹿島君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=46
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047・鹿島透
○鹿島委員 前の御質疑で、私の聽きたいと思つていたことが大體判明したのでありますが、國の直營事業、官公署の勞務者、これに對してあまりに國としての考え方が乏しいのじやないか。この官公署方面で働いている人に對する災害補償の制度、それを強化されるお考えはないかどうか、それを改めて伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=47
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048・石丸敬次
○石丸政府委員 御意見の點につきましては十分努力するように關係方面に慫慂いたし、またこれを實現させるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=48
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049・鹿島透
○鹿島委員 まだ具體案はないのでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=49
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050・友納武人
○友納政府委員 具體案はまだできておりません。ただいま給與制度審議會で審議しているわけでありますが、民間の方がこういう制度になりますれば、これに應じた改正というものが共濟組合制度なり恩給法なりに加えられなければならぬということは當然なことと思いますので、何らかの成案が至急できることと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=50
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051・鹿島透
○鹿島委員 これも先ほど質疑があつた點でありますが、國民健康保險組合の改正について、地方でいろいろ聞きますと、いろんな不平と申しますか、聲を聞くのでありまして、これは一般の國民からも、また醫者の方からも聞くのでありますが、われわれ考えまするのに、この利用法が大變めんどうくさいということと、それから藥劑がないということ、及び料金が安いというような、そういうことが原因じやないかと素人考えで想像しているわけであります。藥品の方も全國の醫者にある程度配給する、なお保險醫の方には實績によつて特別の配給をするというお話もありましたが、この國保の建直しということは非常に大きな問題でありますから、そういうことについてもう少しはつきりした政府のお考えを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=51
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052・石丸敬次
○石丸政府委員 國民健康保險組合の建直しという問題に關しましては、鹿島さんのきわめて御心配になつておられるほど、さように私は大きな問題だと思います。從いまして、この點をこう直したらすぐ建て直るというほど、それほど簡單な問題ではないと思います。たとえば、こういうことをやつたらということを申し上げる程度の資料はありますけれども、確信をもつて政府はこれこれの建直しにすぐ着手するというまでの研究はできていないのであります。それだけ多岐多端にわたつて問題が複雜でありますし、また國の財政にも響くという點もあるのであります。私は新任早々でありますが、ただいま關係者が夜を日についで各種の調査研究を進めておるのであります。できるだけ速やかに成案を得て、數千萬人の加入者が喜んで醫療ができ、その他の施設が完全に行われるように努力したい。かように思つておる次第であります。大臣ももちろんこの點につきましては、着任早々考えておりまして、むろん憂慮しておるのであります。以上御質問の焦點にあるいは合つていないかもしれませんが事情を申し上げましてお答えといたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=52
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053・鹿島透
○鹿島委員 いろいろ政府の方でもこの問題について御研究になつており、また今後もなることと思うのでありますが、非常に大きな問題でありますので、なるたけ早く成案を得られましてこの國保が十分建直つて、國民全般がこの恩典に浴するように御善處を要望したいと思うのであります。
次にお伺いしたいのは、國で結核療養所と申しますか、これを各地にお立てになるような模樣でございますが、これは各縣別でお立てになりますのか、あるいはそれともその適地々々におつくりになりますのか、一向存じませんので、參考のためにお伺いいたしておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=53
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054・友納武人
○友納政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。資料をもつておりませんので、後刻資料をもちまして御説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=54
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055・鹿島透
○鹿島委員 最後にお聽きしておきたいのは、これは大臣にお伺いするのがほんとうかもしれませんが、この治療醫學というようなことも非常に大事でありますけれども、私はやはり豫防醫學ということがもつと大事ではないかと思つておりますが、これらに對して厚生省としてどういつたようなお考えをもつておられるのか、その點御答辯できましたら、お願いいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=55
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056・友納武人
○友納政府委員 ただいまの御質問は前の質問とあわせまして、直接の責任者から午後に御答辯申し上げたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=56
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057・鹿島透
○鹿島委員 それでは以上で終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=57
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058・夏堀源三郎
○夏堀委員長 では午前はこの程度で會議を休憩いたします。午後は一時から會議を開きます。
午前十一時四十二分休憩
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午後一時二十六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=58
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059・夏堀源三郎
○夏堀委員長 會議を開きます。午前中の質疑に對する保留の分について政府委員の説明がございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=59
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060・濱野規矩雄
○濱野政府委員 私午前中出席しておりませんでしたから、もし不明瞭でしたら重ねて申し上げます。戰災地の醫療の復興でありますが、これは醫務局長關係になつておりますが、醫務局長ただいま豫算總會の方へ行つておりますので、私代りまして申し上げます。戰災地の醫療の復興は、ただいま政府におきましてはオープン・システムと申しますか、開業醫の方などが患者を連れていつてできますような施設をつくるように今準備をしております。それによりまして治療の全きを期するようにいたしておりますが、全部病院をつくりますことも、各個人がつくることは困難でありますので、政府といたしまして一つの團體的の病院をつくつて、そこを皆で共同して使います病院であります。その他現在あります建設物を利用いたしまして、そういうことのできますように努力いたしております。
第二番目の將來の醫療行政でございますが、ただいま醫療審議會並びに醫藥制度調査會等におきまして、この問題が議せられつつあるのでございますが、仰せの通り、豫防醫學の面に立脚いたしましてやつてまいるように、政府といたしましてもそういう方針で進んでおります。一例をあげますならばこのごろ問題になつておりまする花柳病のごとき問題も、あらゆる治療施設を利用いたしまして治療もしますが、また豫防措置も講じます。結核その他も在來通りの方法で進んでまいることと存じます。
三番目の療養所の建設の點でありますが、療養所は在來の傷痍軍人療養所今國立療養所と申しますが、これは二萬八千七百床くらいあります。それと醫療團の療養所に一萬四、五千床ございます。その他合わせましてかれこれ五萬床がただいまのところ整備されております。これは新しいものではございませんで、そういう既設の建物を利用になるものが大體五萬床を計畫されております。これでは不十分なのでありまして、もうあと三萬床くらいなければ結核に對しては困難であるというので、あとただいま三萬床の建物につきまして連絡をとりとりしておりますが、近き將來におきましては、結核療養所は約八萬床になります。それでただいま日本の結核死亡がかれこれ二十萬人内外になつております。そうすると一人に對してべツト一箇というと二十萬床なければ、なかなか防ぎ切れぬのでありますが、八萬床とするとかれこれ四十パーセント近くになります。これが今國内にある建物の大體病院として利用し得るマキシマムではないかと思います。これを充實いたしましてあと開業醫の方々、そういう醫療に從事される方々に、先ほど仰せの通り豫防醫學の面から講習といいますか、十分再教育をいたしまして、この八萬床が十萬床に、あるいはそれ以上に活躍する方法を講じたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=60
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061・鹿島透
○鹿島委員 大分わかりましたが、この療養所の問題は、地方によりましては、知識がないせいか、結核に對して非常に恐怖感をもつておりまして、設置についてもいろいろ問題が起るかと思うのであります。むろんこれはよく地方民の諒解を得て、しかるべき所に設置をしなければならぬわけでありまして、ただ利用できる施設があるからということだけで、設置その他の條件をあまりお考えにならぬで御設置になりますと、結果において大變地方民の反感を招くのみならず、またこういつた病氣の傳染ということについては十分お考えになりましようけれども、これが國民學校の附近などにありますと、いろいろ心配もございますので、この設置については、どうかそういつた點を十分御考慮の上、適當な箇所に御設置になるように希望を申し上げまして、質疑を打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=61
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062・夏堀源三郎
○夏堀委員長 水口君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=62
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063・水口周平
○水口委員 私のお尋ねいたしたいと思いますことは、前の質問者によつてほぼ盡されておりますので、ごく簡單に一、二お伺いいたします。今度新たに勞災補償保險を設けられるにつきまして、建康保險とか、厚生年金保險の方から業務上の勞災保險を分離せられてこの法律を設けられましたが、その分離しなければならぬ根據並びにこういうふうに分離してまいりますならば、船員の方はどういうわけで分離せられずにいるか、その根據について承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=63
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064・石丸敬次
○石丸政府委員 お答え申し上げます。建康保險及び厚生年金保險につきましては、勞働基準法の制定に伴いまして、勞働者に對する業務災害を補償するという意味の保險といたしましてただいま御審議いただいております勞働者災害補償保險制度が創設される關係上、從來健康保險及び厚生年金保險におきまして實施しておりました給付の中で、業務上の災害に對する給付だけを、勞働者災害補償保險の方に移す必要が生じましたので、改正することにいたしておるのであります。これは今の厚生年金の保險法の中で、業務上の分を考え、また健康保險法の中で業務上の分を考えるということにいたしますれば、業務上の關係の方が年金の方にもはいつておるし、健康保險法の中にもはいつておるということで、むしろ受ける方の側でも、あるいはまた事務をとる方の側でも、非常に不利不便であるというような事情も手傳いまして、特別に勞働者災害補償保險法というものを一本にまとめることにいたした次第であります。しからば船員保險については何ゆえに勞働者災害補償保險法の中に入れないかという理由は自然お答えしなければならぬことになるわけでありますが、船員の關係は、今までの船員保險法にいたしましても、非常に給付の内容なり業態なりが違つております。特殊な勞働状態にありますものをこの中に入れましても、やはり一々書き分けてやることに相なりまするので、むしろ船員保險をこれに對應するものとして、別に改正をすることにした方が便宜であるということで、船員保險法だけは別にしないで改正するだけにする。しかも勞災の方と別にやるということにいたした次第でございます。要するに事務の便宜あるいは受給者の便宜、それから陸上の勞務と海上の勞務とは各種の點で違つておる點が多い。そういうようなところを彼此考慮いたしまして、今囘のような措置にすることにいたした次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=64
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065・水口周平
○水口委員 御懇篤な御説明で大體了解をいたしましたが、なお一つお尋ねしたいと思います。この法案は主として事務的にわたる法案でありましてそうむづかしい理論はないわけでありますが、一體社會保險というものがいろいろな保險制度にわかれておりますことは、事務的にきわめて煩雜なのであります。ことに醫者は技術者でありまして、病人をみても技術の方に頭ばかり使つておつて、こういう事務についてはきわめて疎いものであります。昔から醫者、坊主と言いますけれども坊主の方はそういう事務は上手ですが、醫者というものは至つて事務的なことが下手なのです。それにもかかわらず、こういうふうにいろいろ保險制度がいくつにもわかれておりますことは、醫者の方でもその事務の取扱いにほとほと困つておるようであります。ひとり醫者ばかりでなしに、被保險者もまたいろいろ、これはどの方でもらつたらいいか。これはどの方で受取つたらいいかというようなことについて迷う場合もあると思います。また保險加入者の方にとつても、事業主などの方におきましても、わざわざこれがために事務員を置いて、これは年金保險でいくとか、これは健康保險でいくとか、これは勞災保險でいくとかいうことを、區別していくことがなかなか困難なのであります。どう考えてもこの社會保險制度をできるだけ簡易にして一本に統一したものにしてゆくことがきわめて理想的だと思う。しかし既にこういう法律ができました以上、今直ちにこれを統合することはきわめて困難だと思いますから、將來こういう點に十分御留意を願つて、社會保險制度の簡易化を御檢討願いたいと思うのであります。また私どもこれをちよつと讀みましても、煩瑣な例を申しますと第三條の第二のロに、船きよ、般舶、岸壁、波止場というようなところにおける貨物の取扱ひ事業と書いてありますが、ちよつと見ると、これは船員ではないかという迷いを生ずるのであります。こんなふうにただいたづらに法ばかりたくさんあつて、そして實際取扱いに不便を感ずることはよほど考えなければならぬ、何とかして將來できるだけこれを統合して、單一化して、そして保險制度の完璧を期せられるように御考慮を願いたいと思います。これに關して御意見を承ることができれば仕合せに存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=65
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066・石丸敬次
○石丸政府委員 御趣旨きわめてごもつともでございますが、仰せのごとく各種の法規に分立いたしておりまするために、事務的にも、また給付を受ける方でも非常に御迷惑であることはかねてから了承しておるのであります。保險關係の改正委員會におきまして、將來の保險制度をいかにすべきかという諮問に對する答申の第一が、各種の保險制度を網羅してこれを簡素にし、しかもよく一般の人方が諒解できるような制度にして、國民全體が保險によつて給付を受ける、全體が保險の分任をするというところへもつて行くべきだという答申があるのであります。それをいかにするかということは今後に殘されておる重大問題でありまして、相當程度に研究は進んでおりまするが、今直ちに成案を得るというところまでまいつておりません、できるだけお説のような線に沿つて進むようにしたい。かように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=66
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067・水口周平
○水口委員 よく了解いたしました。ぜひ御檢討を願いたいと思います。
なおもう一つお尋ねしたいことは、これは醫務局の方に屬しておることかもしれず、直接本法案に關係ないかもしれませんが、ちよつとお尋ねいたします。先ほど御説明の中にも藥品の問題がありまして、できるだけ今後あらゆる方法のもとに、開業醫の方にも藥品が相當まわるように考慮したいということで、非常に力強く感ずるところでありますが、この藥品の配給にあたつてはどういうものかしりませんが、藥品組合あるいは藥劑師組合から配給する場合に、俗に抱合せと申しまするか、こういう藥をとつてもらうには、こういう藥をとつてもらわなくてはならぬということで、たとえばアスピリンが欲しいと言えば、アスピリンは差上げますが、アスピリンをとつてもらうにはこの藥もとつてもらはなければならぬと言つて、配給組合から抱合わせの藥をよこす。その抱合わせの藥たるやつまらぬ藥品で、買わぬでもいいようなものを抱合わせてよこすのであります。買うものにとつてはその代金の支拂いにまことに困る。從つてそういうものが來ると治療代もやむを得ず高く拂わなければならぬ。藥務局の方に關係しておるかもしれませんが、今後そういうことも十分考慮して配給の適正を期していただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=67
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068・石丸敬次
○石丸政府委員 さようなことのないように十分厚生省としても努めるように關係方面とも連絡をとるようにいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=68
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069・水口周平
○水口委員 以上要望しまして私の質問を打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=69
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070・夏堀源三郎
○夏堀委員長 田中たつ君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=70
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071・田中たつ
○田中(た)委員 私突然に參りまして非常に勉強もしておらず、横道のようなことをお尋ねするかもしれませんけれども、實は國民健康保險組合のことについてお尋ねしたいと思います。國民健康保險組合は民等位數によつて掛金をすることになつております。そうしてできましたときに六割まで加入したときには、あと四割は強制的に加盟させられております。六割の人は掛金をいたしますけれども、あと四割は掛金をいたしませんために、健康保險組合はただいま瀕死の状態になつております。政府ではそれに對して別に補助とか、どうしても拂わない人から取立てるとかいうような考えはございませんのでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=71
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072・友納武人
○友納政府委員 お答え申し上げます。國民健康保險の問題は、財政の問題が非常に大きいのでありまして、ただいま御質問のようなことが全國的の一つの例であります。國民健康保險法の建前からまいりますると、市町村に委託をして強制徴收をする途が開けておるのでありまして、やむを得ない場合には市町村に委託をしまして國民健康保險組合が保險料の強制徴收をするということも可能なわけであります。しかし何分現在のような國民健康保險の状況から考えましても、また國民健康保險の趣旨からいたしましても、なるべく強制というようなことは避けてまいりたいという希望もあるわけでありまして、強制徴收につきましては愼重を期しておるわけでありますが、實は最近ただいまのような事例に關しまして保險料を完納させようというようなことにつきまして、まずいろいろな説得をして、制度の趣旨とか、あるいは制度の重要性とかいうようなことをよく皆さんに納得させて、そうしてその上で保險料を完納するようにいたしたい。またそれについては政府の補助金も赤字の組合に對してなるべく多く差上げて保險料がよくはいるようにいたしたいという方法で、ただいま進んでおるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=72
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073・田中たつ
○田中(た)委員 國民健康保險組合の診療券をもつて診察に參りますと、さつき御質問があつたようでございますけれども、醫者が差別待遇をするという點を大分組合員から私聽いてまいつております。それから醫者の方から聽きますと、今非常に藥品の配給が少いために、やみで藥品を買つて、そうして治療をしますのには、患者が多いと醫者が貧乏になつてしまつて、食つていけないようになるというようなことを申しておるのであります。それで私の意見といたしましては、最近は醫者がたくさん復員いたしましておりますし、看護婦、保健婦も今掃くほどある時代でありますから、國民健康保險組合の醫療ということはおやめになつて、そうして豫防衞生の方に協力なすつたらどうかと思いますが、いかがでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=73
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074・友納武人
○友納政府委員 實はそういう議論もないことはないのでありますが、何ぶんにも國民健康保險は社會保險の一つでありまして、またその制度がつくられました趣旨からいたしましても、一般國民大衆が最も頻繁に遭遇する不時の災害というようなものを保險するという建前になつておりますので、一般國民が最も頻繁に遭遇する不時の災害と申しますれば、やはり何と申しましても病氣ということになるのでありまして、國民健康保險がそういう病氣に關する給付をやめてしまつて、豫防衞生ばかりやるというふうにいたしますのもどうかというような意見もあるわけであります。理論からいたしますれば、兩方を一緒に上手にやつていくことが一番いいのでありますけれども、もちろん保健施設につきましても、豫防衞生につきましても十分に努力をいたしてまいりますが、病氣に對する給付につきましても諦め去るわけにはいかないと思うのであります。十分に努力をいたしたいと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=74
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075・田中たつ
○田中(た)委員 災害保險の方には、いろいろの工場に勤めております工員でも婦人がたくさんおるのでございますが、お産などには何かお考えになつておりましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=75
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076・友納武人
○友納政府委員 お産は業務上の事故ではありませんので、この災害補償保險の方にはございません。但し健康保險の方におきまして産前産後に對して俸給の六〇%を支給する、それからお産の費用を支給するというふうな建前になつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=76
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077・田中たつ
○田中(た)委員 健康保險の方でお産に六割支給されることになつておりますそうですが、それは年末賞與などに關係いたしませんでしようか。お産しましても同じように勤めたことになつて、初めから終りまで勤めた人と同じような賞與をいただけることになつておりますでしようか。減らされますのでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=77
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078・友納武人
○友納政府委員 その點は今度の勞働基準法が衆議院の方は可決になつたのでありますが、その勞働基準法の中に、婦人勞働者の當然の權利として、産前産後に一定日數の休暇を請求しても、それによつて不利な待遇を被らないという權利が認められたというわけでありまして、さようなことは今後ないわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=78
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079・田中たつ
○田中(た)委員 どうも有難うございました。もう一つお願いいたしたいことは、今までは非常に治療衞生の方に政府は重きを置かれまして、一般國民も治療のことを一生懸命に考えて、その方からは博士などもたくさん出ておりますが、豫防衞生の方に重きを置いてこういうことをしたら非常によかつた。たとえて申しますれば、昔の疱瘡ああいう豫防的なことを考えるような醫者が非常に今まで少うございましたので、どうしてもこれからは治療を後囘しにしまして、豫防が徹底いたしましたならば、治療はごく僅かで濟むと思いますから、政府におかれましてはどうぞ今後豫防の上に治療よりもより以上御援助くださいますようお願いをいたしまして、私の質問をこれで終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=79
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080・松岡駒吉
○松岡(駒)委員 この法案それ自體は、私どもにとりまして別に多くの質問をしなければならない點はないのでありますが、關連したこととしてこの機會に伺つておきたいことは、本法案が議會を通過いたしまして、いよいよ施行されることになりますと、言うまでもなく、この法律は純然たる勞働保險なのでありまして、同じ保險と言いましても、一般社會保險などと違つて勞働者と密接な關係のある保險法であります。おそらくは近く勞働省が獨立したものとして、今日の厚生省の行政が分離されることになることは、きわめて明瞭な事柄なのでありますが、そういう場合におきまして、他の一般的な社會保險等と同じように、これもやはり保險だから一緒にしてというような調子で、厚生省にお殘しになるというような方針であるのかどうか。私どもの見解によりますと、それでは困る。かくのごとき保險によつて今後だんだん基準法に規定されてありますこととの關連、あるいは保險の積立金というようなものが、單なる厚生事業ということではなくして、勞働者のために直接に用いられるようなこととも關連して、勞働省が將來獨立することがあるとすれば、かくのごとき保險は勞働省で扱うべきではないか。それでなければせつかく保險がつくられましても、この法律の十分な效果を期待できないと私は考えておるのであります。これに對しての御意見をこの機會に聽かしていただきたい。
もう一つは〓既に今日厚生年金保險すなわち社會保險的なものが古くから行われておるのでありますが、これには二十億という厖大な積立金があるわけであります。これの運用についてどういう考えをもつておられるか。保險給付の大切な財源であるには相違ないのでありますが、この積立金を活用することによりまして、一般被保險者の厚生、あるいは福祉の増進のためにこれを運用すべきであると私は思うのでありますが、こういうことについての當局の御見解はどうであるか、その點を明瞭にお聽かせ願いたい。以上二點をお聽きしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=80
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081・石丸敬次
○石丸政府委員 御質問の第一點につきましてまずお答え申し上げます。私保險關係の事務にはきわめて新らしいのでありますが、從來厚生省内で研究討議をした大體の結論を聽いてみますと、こういうことになつているのでございます。保險行政について今日まで日本は相當他の國に比べて進歩した制度ができている。これは保險行政というものをある一ビユーローでまとめてやる。そこである方面の研究をするとなれば、あるスタツフがそれに動員される。別にまたある方面のことを研究するとなれば、そのスタツフがそちらの方に動員されるということで、研究調査等の便宜がきわめて敏速かつ能率的にあげられる。これがもし分散するとなれば、人間の數にいたしましても、能力にしても、非常に落ちるのではないかという點から考えて、保險行政は一本にやつたらよかろう。
第二は受ける方の側で、勞働關係の分は醫療給付についても、これは甲の省だ。船員關係の醫療給付だつたら同じお醫者がやつておつても乙の省だ。一般の方は、同じお醫者がやつておつても丙の省だ。もし質問等があつた場合、あるいはわからぬことを問合わす場合、どの省に行つたらよろしいかというので、非常に受ける方の側、また給付に携わる側で不利不便が多い。保險の關係はここで大丈夫だ。これで大體仕事ができるという一本でいつた方がいいだろうという考え方が第二の理由になつておつたようであります。その他第三の理由は療養の關係でありますが、療養の關係ですとまず醫養關係等に密接している所でやつた方がよいだろうというようなことも考えられるし、かたがたもつてこれを別に分けないで一本でやつた方がよいであろうという一應の結論を得ているのであります。しからば一本になつているものをどの省にもつていくかということに關しましては、第二段の研究をしなければならぬのであまりすが、ただいま私共の了承している範圍内においては、これをばらばらにもつていくより、ある一省でまとめてやることがよいであろう。その實施につきましても、關係の省を十分連絡をとつてやつていくことによつて不利不便を打開し、所期の效果をあげるようにするというようにしたい、こういうふうにただいまのところ了承しております。しかしながら御意見の點はさらに十分研究をいたさなければならぬ、かように存じておる次第であります。
厚生年金の積立金の運用につきましては、私は全く御意見の通りしたいと、かように考えております。ただ關係の當局との各種の連絡、説明等が實は思うようにいつておりませんが、將來の問題としてよりも、現實の問題として折衝を重ねまして、御意思に副うように十分努力いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=81
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082・松岡駒吉
○松岡(駒)委員 それ以上にわたつて特に議論がましく申し上げることは止めまして、質問はこれで打切ることにいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=82
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083・夏堀源三郎
○夏堀委員長 滝澤君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=83
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084・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 補償保險と申す本法案はまことに結構でありますが、勞働者が補償保險の給付を受けるまでに、勞働者の日常生活ということが、一旦傷害を受けたときに非常に影響があるということをお含みおき願いたいと思うのでありますが、これにつきまして御當局は、勞務者の日常生活についてどの程度お心持を使つておりますか。しかも食糧不足の折柄、日に日に健康は低下しつつあるのであります。しかもそういつた場合に勞働者自身といたしましては、その健康を囘復するために努力しなくてはならないし、そしてなお一面生産の増強にも努力しなければならないといつたふうな、献身的の精神までそこに漲つている矢先に、すでに勞働者自體は榮養不良に陷つている、そのときにたまたま傷害疾病の状態がそこに現われたとなると、一層ここに憂慮いたします點は、その全治について期間が長くかかりはしないかというような方面を考えられるのであります。これについて政府は、勞働者の平常の生活について何か御意見がございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=84
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085・友納武人
○友納政府委員 ただいまの勞働者が災害にかかる前の状況に關する關心は、どういう法律で示しておるかというような御質問に關してお答え申上げたいのでありますが、勞働者が人たるにふさわしい生活をさせる、勞働者の平素の生活程度を向上させるというような目的のために、先般御審議をいただきました勞働基準法という法律を御提案申上げた次第でありますが、そのほか勞働者の地位の向上に關する、またそれによつて平素の生活内容を引上げる社會的衞生的なあるいはその他各方面の勞働者の地位を向上させるということにつきましては、政府といたしましても次々と各種の法律を提案をいたしまして、勞働組合法であるとか、調整法であるとか、あるいは勞働基準法であるとかいうふうに留意をしておるつもりであります。具體的に法律以外の面につきまして、どういうふうな手を打つておるかというようなことにつきましては、非常に煩瑣になりますので、ただいまは法的にどういう措置をとつておるかということを申上げまして、お答えといたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=85
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086・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 政府はいつも法律を發布されますときには元氣よく發布されるのでありますが、その實行に當ります場合に、乏しい觀念が浮んでくるのであります。この點につきまして、ただいま私が質問いたしました平常生活が一旦傷を受け、病氣を起した場合に、その囘復に對して非常に關係があるということについては、政府においても日常生活の指導はもちろん、配給物資の關係につきましても、相當考慮していただかなくてはならぬと思うのであります。その結果、一旦患者になつたとき、榮養不良というような場合には、療養の期間が長くなり、しかもその勞働者が貯蓄した程度のものはほとんど食い盡しているといつたような關係で、あるいは新しく設けられた法によつて保護を受けますものの、まだまだそれではあきたらぬところがあるのであります。そういつた方面をよろしくお含みの上で、實行あるいは勞働者の愛護に力を入れていただきたいと思うのであります。
次に勞働者がたまたま國家再建のために志しており、そうして職務熱心のために危險を冒した結果、とり返えしのつかない怪我をした。それはしかも骨折であるとしたならば、この場合に醫師によつて治療を施していただくことはもちろんでありますが、御承知の通り骨折醫というあの柔道の極意を修めております先生にかかりますと、これが至つて早く治るのであります。この接骨をいたします方面に對しまして、政府御當局は、これを今後いかように扱つて行かれる御計畫でありますか、その點を一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=86
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087・友納武人
○友納政府委員 柔道接骨師の場合でありますが、これは從前から現在ありまする健康保險におきましても、療養の給付として取入れております。從つてこの勞働者災害補償保險法におきましても、第十三條の中に處置、手術その他の治療という文字でそれを現わしておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=87
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088・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 この接骨技術者を醫師としてお認めになるお考えはございませんか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=88
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089・友納武人
○友納政府委員 ただいまのところ柔道接骨師を醫師として認めるような考えは、厚生省としてないわけであります。ただ、他のいろいろな療術行爲であるとかいうような、非醫師というようなものを、どの範圍で一體療養の機關と認めるかということにつきまして、醫制審議會という委員會をつくりまして、そこで研究しておるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=89
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090・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 研究を重ねていただきますことはまことに結構であるのでありますが、その研究の結果を早く實現していただきたいと思うのであります。これは繰返して申し上げるのでありますが、全治が早いのであります。技術的の關係によりますか、あるいは專門的の關係によりますか、私は素人でわかりませんが、非常に全治が早いのであります。しかもそういつた接骨師は、國で定められております醫師の檢定と申しますか、いろいろの資格が得られぬのであるから、一層自分達は勉強を重ねて行かなくてはならないといつたように、非常に研究を重ねておるのでありまして、ある人によりますと、相當な專門の醫師としての學校を卒業した以上の實力を具えておる人があるのであります。こういつた人に對して、政府では何か試驗をして醫師に認めてやるといつたようなお考え、あるいはそういつたような誠實がありますか、ございませんか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=90
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091・友納武人
○友納政府委員 ただいまのところ、お答え申し上げ得る可能の範圍といたしましては、國民醫療法の改正に關する事項といたしまして、研究中であるということ以外に申し上げられないわけでありますが、御意見の點は十分にその委員會の方にもお傳えをいたして善處いたしたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=91
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092・滝澤脩作
○滝澤(脩)委員 どうか一つこの點はその委員會が十分なる結果を現わしていただきますようお努め願いたいと思います。以上をもちまして私の質問を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=92
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093・夏堀源三郎
○夏堀委員長 委員諸君にお諮りいたします。委員外の方から質疑の希望がありまするが、いかがいたしましようか。これは前例もありますので許可いたしてよろしいと思いますが、いかがでありましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=93
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094・夏堀源三郎
○夏堀委員長 それでは許可いたします。冨田ふさ君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=94
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095・冨田ふさ
○冨田ふさ君 委員外として質問を許していただきまして感謝いたします。私は醫師といたしましてちよつと質問いたしたいのでございますが、先ほど醫者は保險證を出しても快くみてくれないという話がございましたので、私醫師としてそれにつきまして一言申さしていただきたいと思います。それには何か醫者としての言い分もございましようが、私は常にそれに携わつておりましたので、ちよつと申さしていただきます。これは保險料の支拂いが大變遲れるということに一つの原因があるのではないかと思います。診察いたしました患者が、今度診察料を支拂うまでほとんど半年も遲れる、しかも藥品はやみで買わなければならぬ。こういうことが醫者の立場として大變苦しいのではないかと考えますので、これは政府としてもぜひ考えていただかなければならぬ。こういうことがなければ大した苦勞なくみて上げられるのではないかと考えますので、ぜひ政府としても心がけていただきたい。これは健康保險でなくとも、他の醫療費の政府としての支拂いが遲れるのであります。また今日引揚げて來たお醫者さんで、藥品を一つもおもちにならないお醫者さんが相當おりますので、この點を申し上げておきます。
それからもう一つは、これは保險の點數がちよつと間違つております。これは故意で間違つたのは大變いけませんが、故意でなくて、過失で間違つておりましたような場合でも大變に犯罪視されるような點がございます。それで地方としましては、ずいぶんそれについて意見が出ておるのでありますが、これは地方の醫師會でしますより、中央からおいでを願つてお調べいただく方がよいのじやないかと考えますので、この點も一つ政府としてお考え願いたいと思うのであります。これについて御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=95
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096・石丸敬次
○石丸政府委員 いろいろ御體驗に基く有力なる御意見を伺いまして非常に參考になりました。保險料の支拂いの遲延につきましては、かねがねから憂慮いたしておるところであります。事務的にいかにやるか、あるいはまた國民健康保險そのものの建直しと非常に關係が深いのであります。そういう面から各般の施策を講じたい。かように思つております。保險料の支拂いが遲くとも、情をかけて困つた人に治療していただくように、この機會におきまして選良であられます皆樣方に折いつてお願いいたします。
第二の點數を間違つた場合に犯罪視されるというお話につきましては、さような問題が健康保險、あるいは勞災の實施等につきましていろいろあるかと思います。そこで純粹に公平な第三者としてこれを調査し、審議するというようなことをいたしまする民主的な委員會に一々これをかけるということも非常に手數であります。その中間をとるために、ちようど調停裁判をする裁判官のような立場の役人を各府縣に相當數新しく設置することになつております。その人が役所と民間の間をまわつて、そして間違いのないように、不行屆きのないように、またお互いに誤解を解くように、あるいはまた誤解がありました場合に、それを裁量することに相なるわけであります。今度の法律にもさような制度をおくことがうたわれております。そういう點をできるだけ速やかに是正するようにいたしたい。かように考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=96
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097・冨田ふさ
○冨田ふさ君 もう一つお尋ねいたしたいことは、私立及び國立の結核療養所を御活用されるということは大變結構でございますが、今日の情勢では各結核療養所は戰前の半數以下、半數どころではございません、三分の一以下に下つております。それと申しますのも、今日の配給では滿足して入院さしていただくことができない食糧事情にございますので、その點が大變に影響しているのではないかと考えます。殊に家庭配給よりも結核療養所の配給が少いというほど、榮養物の配給が少いのでございます。殊に私立においておびただしいのでございます。こういう點によく政府としては御考慮していただきまして、今日脂肪でございますとかその他——この頃一合の増配ができたということは私ども大變喜んでいるところでございますが、特に箇々の榮養品につきましても御考慮をいただきまして、結核者だけは特に榮養を高めてやつていただく、今日社會施設の病院はララの物資をいただいておりますが、健康保險の方はララの物資をいただいておらない。病室をお隣りにしまして、片方はララの物資をあげるし、片方にはあげられないという大變つらい點がございますので、こういう點なんかはバターなどの配給をいただくようにいたせば、結核療養所に多數の入院患者ができまして、この開放性結核はすべて入院に導くという方法ができるではないかと思いますので、この點を十分御考慮していただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=97
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098・石丸敬次
○石丸政府委員 まつたく同感であります。餘計な話になりますが、私富山の知事をしておりました當時そういう話を聞きましたので、本省の意見を待たず特別に食糧物資の増配をやりました。實際現地にまいりますと、さようないろいろな缺陷が多いので、さようなことのないように、しかも勞働者あるいは無産者の困つた入院している者に對する熾烈なる同情を禁じ得ないので、最善の努力をしたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=98
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099・冨田ふさ
○冨田ふさ君 最後に、先ほどから委員の方からお話のございました豫防醫學につきましては、われわれ醫者としてほんとうに深甚の努力を拂つているのでございます。今日進駐軍の方々が見えまして、徹底的に豫防の方に御努力をいただいているということは、われわれ日本人として大變に感謝しなければならぬところでございます。豫防法の施設の状態を見ましても大變徹底している。私ども京都におりますが、京都病院には六百人ほどの結核患者を今までずつと收容しておつたのでございますが、今日は二十人しかおらない。それほど傳染病の數が少いということは、ほんとうに今日の豫防醫學が徹底している、これはアメリカ式でございますが、どうぞひとつ今後におきましても、日本でぜひとも豫防の施設を徹底さしていただき、結核とか花柳病、トラホームというようなことにつきましても、上つ面でなく、ほんとうに最後まで、種痘なども三囘ともやる、こういうふうにやつていただきましたならば、まことに徹底して豫防ができるのではないか、今までは豫防注射も規則だけで、やらない人が出てもそのまま放つておいたというようなことでは、どうしても徹底しませんから、どうぞひとつ徹底した豫防醫學を實行していただきたいと考えております。その點については御所見を伺いませんで、私の希望として申し上げておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=99
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100・夏堀源三郎
○夏堀委員長 この際委員諸君の御諒解を得まして、私よりも二、三質疑をいたしたいと存じます。勞働者災害補償關係事務について勞働基準法には災害補償審査委員會、本法では災害補償保險委員會及び災害補償保險審査機關、いずれも勞働者、使用者及び公益を代表する者につき任命せらるることになつているようでありますが、右のうち基準法の災害補償審査委員會と、本法の同審査機關とはまつたく同一のように考えられるのであります。これは、統合するを適當と考えるのでありますが、この點に對していかように考えておられるか、お伺いしたい。
第十六條について、基準法第八十二條によれば、災害補償は一時拂いを原則としている。使用者が支拂能力あることを證明せられ、且つ補償を受くる勞働者の同意のあるときに限り六年間の分割拂いを認めている。且つこの場合の補償額は一時拂いに比較して七ないし八%總額において増加補償せらるることになつておりますが、本條では分割拂いとなつており、しかもその補償額は基準法の一時拂いの金額と同額となつている。しかも本法により保險の給付を受けたときは、その限度において基準法による使用者から補償は受けられぬことになつておりますから、勞働者の立場より見れば保險給付になつたためにその同意なくして分割拂いとせられ、基準法によつて與えられた權利は本法によつて縮減せられた結果となつているということはいかがであるか。なお等しく分割拂いであつて基準法の總補償額と本法の給付額とは總額を異にするが、その差額は使用主が基準法により補償すべきものなりや否や。一時拂いの場合、千三百四十日分、分割拂は二百四十日分かける六千四百四十日分となるのであります。ここに百日分の違いを生じている。こういう數字の違いは何によつて生じたのでありますか、これをお伺いしたいのであります。
第十九條について、第八條によれば數次の請負の場合は元請のみが保險加入者として責任を負うことになつておるが、本條の場合、元請には故意過失なく下請に故意過失のあつたとき保險給付の支給はいかがであるか。支給せずとすれば、元請は何ら故意過失なきにもかかわらず過當に負擔を課せられることになります。少くとも納付した保險料だけは過重負擔になると認められる點もあるのでありますが、この點どのようにお考えになつているか、この三點について伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=100
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101・友納武人
○友納政府委員 第一點でありますが、基準法の災害補償審査委員會と本法の災害補償保險委員會と、災害補償保險審査機關はいずれも同じものであるから、一本にしたらどうかという御質問であつたと思ひますが、この點は適用の範圍が違いますので、法の建前といたしましては、一應別々にいたさざるを得なかつたのであります。しかし實際の實施の面におきましては、勞働基準法の審査委員會と保險法の審査委員會とは別々の結論を出すというようなことになりますと、非常に問題を生ずるわけでございますので、實際の人員、具體的な人間につきましては、なるべく一致させるような方向をとりまして、矛盾のないようにいたしてまいりたいと考えております。
それから基準法における分割拂いの日數と保險法の一時拂いの日數との間に相違があるが、それはどういうわけか、こういうことでありますが、これはいわゆる利息計算の關係でこういつたようになつておるのでありまして、一時拂いを受けたものは利息計算において一時にもらうのでありますから、それだけ利息を付さなくてもよいわけです。從つて利益の關係でこういう差があるというように御承知願いたいと思うのであります。さらにこの保險法における給付と勞働基準法における給付との分割と、一時拂いとのいろいろなごちやごちやした關係で差引きの計算はどういうふうになるのか、こういうことでありますが、この點はやはり利息の點を考慮いたしまして、事業主及び勞働者に損害のないように勅令において規定してまいりたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=101
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102・石丸敬次
○石丸政府委員 請負の場合には二段も三段も五段にもわたつて下請ということになつている場合が非常に多い。そこでそういうような場合におきまして、この一段々々をつかまえて、そうして誰が、保險料を支拂いする責任者であるかということをつかまえてやるということは、非常にめんどうでありますから、實際から申しますと實態をつかんでやつたらいいのでありますけれども、責任者をはつきりきめて行くという點から申しますと、どうしても一番元の請負人に全部の責任を負わすという建前をとらなければ、勞働基準法におきましても保險法におきましても、はつきりこれを適用して行く上に效果があがらないという意味で、元請負人にすべての責任を負わせておるわけであります。從いまして元請負人が過失がなく、下請負人の故意または過失によつて保險給付を一部または全部給付されないというような場合がありましても、これは元請負人の責任としなければならんのであります。そこで下請負人の過失のために元請負人が勞働基準法の原則にかえつて多額に負擔をするということになれば、公的の關係においてはこれは當然負擔しなければならんのでありますが、私的關係におきましては、それは元請負人と下請負人との民法上の損害賠償、その他の關係でもつていくというほか道がないことに相なつておるわけであります。多少めんどうでありますけれども、さような原則で八條を御解釋願つたらどうかと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=102
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103・夏堀源三郎
○夏堀委員長 それでは質疑はこれで終結いたしました。次に討論に付するのでありますが、ちよつと休憩いたします。
午後二時四十三分休憩のまま散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213764X00219470322&spkNum=103
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