1. 会議録本文
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000・会議録情報
委員氏名
委員長 子爵 岡部長職君 副委員長 松岡康毅君
委員
子爵 堤功長君 子爵 新荘直陳君 名村泰藏君
平山成信君 小松原英太郎君 山脇玄君
男爵 吉川重吉君 男爵 藤大路親春君 馬屋原彰君
富井政章君 木下廣次君 菊池武夫君
穗積八束君
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明治三十八年二月十四日（火曜日）午前十時二十四分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=0
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001・岡部長職
○委員長(子爵岡部長職君) 諸君、是ヨリ工場抵當法案ノ委員會ヲ開キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=1
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002・波多野敬直
○國務大臣(波多野敬直君) 本案提出ノ理由ハ本會ニ於テ說明ヲ致シテ置キマシ
タガ、今日ハ此法律ノ大體ニ就キマシテ、政府委員ヨリ說明ヲ致シマス、又各條ニ就テ
ハ御質問次第ニ依ッテ御答辯イタシマス、而シテ此法案ハ今日ノ場合最モ必要ナ法案
デゴザイマシテ、豫テ實業社會ニ於テモ急施ヲ望ンデ居ル次第デコザイマス、議會切迫ノ
際デアリマスケレドモ、ドウカ速ニ御協賛下サリマシテ一日モ早ク法律トナルコトヲ希望イ
タシマス、御勉强ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=2
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003・河村讓三郎
○政府委員(河村讓三郞君) 政府委員ヨリ一應本案ノ大體ニ付テ述ベマスルデゴザ
イマスガ、全國ニ於キマシテ工場ノ數ハ七八千モアリマシテ、工場ヲ擔保ニシマシテ資金
ヲ調達セムトスル場合モ少カラヌノデゴザイマス、其場合ニ土地ト建物トガ抵當物ニナリ
マスコトハ勿論デアリマシテ、其登記ノ手續等モ備ハッテ居リマスノデゴザイマスガ、工場
ナドノ土地建物ハ格別ノ價ヲ有シマセヌ、比較的ニ大ナル價ノアリマスノハ機械器具ノ
類デアリマス、然ルニ機械器具が抵當權ノ目的トナルヤ否ヤニ就キマシテハ疑ガアリマス、
故ニ實際、機械器具ヲ抵當物ノ價格ニ見積ッテ相當ノ資金ヲ調達スル者ガ無イト云フ
コトデゴザイマス、ソレガ爲ニ少カラズ不便ヲ感ジテ居ルノデゴザイマスカラ、其不便ヲ除イ
テ圓滿ナル金融ノ途ヲ開カムトスルノガ卽チ本案ノ大體ノ目的デゴザイマス、其目的ヲ達
スルノ方法トシマシテ前後二樣ノ規定ヲ設ケムトスルノデゴザイマス、前段ノ規定ハ土地
建物ノ上ニ設定シマシタ抵當權ノ效力ガ機械器具ニ及ブト云フコトヲ明ニ致シマシテ、
其機械器具ノ上ニ及ビマスル抵當權ノ效力ニ關シテ種々ナル疑問ガゴザイマスノデ、其
疑問ヲ解決セムトスルノデコザイマス、デ普通ノ僅カノ土地建物ニ機械器具ヲ備付ケテ
居リマス小工場ハ此前段ノ規定ニ依リマシテ充分目的ヲ達スルコトガ出來マセウカト考
ヘマスルノデゴザイマス、デ後段ノ規定ハ工場ニ屬シマスル諸般ノ設備ヲ一括シマシテ、工
場ノ財〓ヲ設ケマシテ、ソレヲ抵當物トスルコトヲ許サムトスルノデゴザイマス、此規定ニ
依リマスルト、完全ナル工場トシテ纒マッタモノガ擔保物トナリマスカラ、充分ノ資金ヲ調
達スルコトガ出來マスル、ノミナラズ多クノ土地建物ガ有リマスル場合ニ一筆每ニ又一棟
每ニ登記ヲ受ケル、時トシマシテハ二三箇所ノ登記所ニ於テ登記ヲ受ケマスルト云フガ
如キ煩雜ナル手續ヲ要シマセヌ、又機械器具ガ多クノ土地建物ノ何レノ附屬物デアル
ヤ判然セヌト云フガ如キ疑問ヲ生ズル憂モアリマセヌノデゴザイマス、併ナガラ一方ニ於キ
マシテ財團ニ屬シマスルモノハ個々別々ニ處分スルコトヲ禁ズル等ノ必要ガゴザイマシテ、
小工場ノ爲ニハ稍〓大袈裟ニ過ギルト云フヤウナ感ジガゴザイマス、併シ造船所、製鐵
所ト云フ如キ大工場ヲ抵當ニシマスル場合ハ最モ適當デアラウト信ズルノデアリマス、本
案ノ大體ノ仕組ハ斯樣ニナッテ居ルノデアリマスガ、再ビ後ニ戾リマシテ今少シ詳細ニ述
ベマスデゴザイマス、前段ノ規定ト申シマスノガ第二條ヨリ第七條マデ、之ニ最後ノ二箇
條ガ加ハリマスノデゴザイマス、卽チ本案ノ四十九條五十條ガ加ハリマスノデアリマス、其
要〓ヲ舉ゲマスルト第一ニ機械器具ノ中ニハせめんと煉瓦等ヲ以チマシテ土地建物
ニシカト取付ケタモノガアリマス、是等ハ所謂定著物デアリマスカラ抵當權ノ目的トナル
コトハ民法三百七十條ノ規定ニ依ッテ自ラ明瞭デアリマスルシ、大審院ノ判決ニ於テモ
認メテ居ルノデゴザイマス、此他ノ多クノ機械器具ハ定著物トハナッテ居リマセヌデ、唯
土地建物ニ備付ケテアルニ過キナイノデアリマス、斯ウ云フ機械器具モ抵當權ノ目的トナ
ルヤ否ヤト云フコトハ不明ニ屬シテ居リマシテ、裁判所ノ裁判モ區々ニナッテ居リマスル、
民法ノ第八十七條第二項ニ「從物ハ主物ノ處分ニ隨フ」ト云フ規定ガゴザイマスカラ、
備付ケノ機械器具ノ抵當權ノ目的トナルト云フ解釋モゴザイマスル、併シ他ノ一方ニ於
キマシテ此八十七條第二項ハ特別規定ノ無イ場合ニ應用スベキ一般ノ解釋法デアル、
然ルニ抵當權ノ效力ニ就テハ特別規定ガ有ッテ其特別規定ハ定著物ニ限ラレテ居ルト
云フガ如キ理由ヲ以テ之ニ反對スル者モアルノデゴザイマス、斯ノ如ク疑問ニナッテ居リマ
スルシ、假ニ第八十七條第二項ヲ抵當ノ場合ニ適用スルコトガ出來ルト致シマシテモ、
其規定ダケデハ未ダ足ラヌ所ガアルト云フコトハ免レマセヌト思ヒマス、ソレ故ニ本案ニ於
キマシテハ備付ケノ機械器具モ亦抵當ノ目的トナルト云フコトヲ明ニ致シテ、同時ニ
抵當權ノ設定行爲ニ別段ノ定メアル等ノ場合ニハ例外トスルト云フコトヲモ規定イタシ
タノデゴザイマス、其別段ノ定メト申シマスルノハ機械器具ノ全體ヲ抵當トナサヌト云
フコトモ出來マスルシ、又重モナル機械、大ナル機械ダケハ抵當ニスルケレドモ瑣細ナル
器具ノ類ハ抵當ニハセヌト云フコトモ出來ル趣意デアリマス、是ハ實際ニ頗ル關係ノ有
ルコトヽ思ヒマスルカラ特ニ明言イタシテ置キマス、第二條ノ規定ガ卽チ唯今述ベマシタ
コトニ當ルノデアリマス、第二ニハ機械器具ガ抵當物トナリマスルニ付テハ其機械器具ヲ
明ニ指定イタシテ置ク必要ガ有ルト信ジマシテ、其方法ヲ攷究イタシマシタノデアリマス、
當事者間ニ於キマシテハ公正證書ニデモ記載シテ置キマスレバ足リルノデゴザイマスルケレ
ドモ、第三者ニ對シテ公示シマスル必要ガゴザイマスルカラ、目錄ヲ提出セシメマシテ、ソレ
ヲ登記ニ代ヘルト云フコトニ致シマシタノデゴザイマス、尙ホ前ニ述ベマシタ別段ノ定メガ
アリマスルトキニハ其別段ノ定メヲモ登記スルト云フコトニ致シマシタノデアリマス、卽チ第
三條及第四條ガ其規定デゴザイマス、第三條ノ書キ方ニ付キマシテチヨット注意ヲ致シ
マスガ、整理ノ際ニ汎博ニ失スルヤウナ書キ方ニ致シマシタノデ定著物マデモ目錄ニ載セ
ルヤウニ見エマスノデゴザイマスガ、定著物マデモ目錄ニ載セマスコトハ實際出來マセヌコ
トデアリマスカラ是ハ備付ケノ機械器具ダケヲ目錄ニ載セルト云フコトニ相成リマセヌケ
レバナラヌコトト考ヘテ居リマス、第三ニハ機械器具ガ抵當物トナリマスルノハ不動產ノ
定著物デアル或ハ其從物デアルト云フ關係ニ基クノデアリマスル、若シ不動產ト分離シ
マシテ其關係ガ止ミマスレバ其物ニ付テハ抵當權ハ消滅スルト云フ立法例モゴザイマスル
ガ、本案ニ於キマシテハ一旦抵當物トナリマシタ以上ハ、假令不動產ト離レテ第三者ノ
手ニ移リマシテモ尙ホ其物ニ對シテ抵當權ヲ行フコトガ出來ルト云フコトニ規定イタシマ
シテ抵當權者ヲ保護スル考デゴザイマス、併ナガラ又一方ニ於キマシテ第三者ノ利害ヲ
モ考ヘナケレバナラヌ、不動產デゴザイマスレバ登記ヲ致シテ置キマスルト決シテ第三者ヲ
誤ラシメル樣ナ憂ハゴザイマセヌケレドモ、機械器具ノ如キモノハ目錄ニ記載シテ置キマシ
テモ、其目錄ニ記載シテ置キマシタ品物ト他ノ品物トノ分界ガ付キマセヌカラ、第三者
ガ抵當物デアルト云フコトヲ知ラズシテ讓受ケマスル樣ナ場合ガ有ラウト思ヒマス、然ルニ
突然抵當權者カラ其品物ヲ取上ゲラレル樣ナコトガ有リマシテハ第三者ハ不測ノ損害
ヲ受ケマス、元來動產デアリマスモノヲ抵當トスルト云フコトニ就キマシテハ、是非或ル特
別ノ規定ヲ設ケマシテ、抵當權者ノ利益ト第三者ノ利益トヲ調和スル必要ガ有ラウト
思ヒマシテ、民法ノ百九十二條、瑞西ノ債權法二百五條、獨逸民法ノ千百二十一條
等ヲ參酌イタシマシテ、善意ノ第三者ヲ保護スルト云フ規定ヲ設ケマシタノデアリマス、
其規定ガ卽チ本案第五條デアリマス、此本條ニ「善意」トアリマスノハ無論善意、無過失
ト云フ主意デゴザイマスガ、民法ノ百九十二條ナドニハ特ニ善意、無過失ト書分ケテゴ
ザイマスカラ、此方モ或ハ書分ケマスル方ガ宜シイカモ知レマセヌ、其書キ方ニ付キマシテハ
尙ホ御攷究ヲ願イタイト存ジマス、第四ニハ唯今述ベマスル如クニ善意ノ第三者ヲ保護セ
ムトシマスルト、實際最モ多クノ場合ニ於キマシテハ第三者ガ善意デアリマシテ、抵當權者
ガ其權利ヲ實行スルコトガ出來ナイコトニナラウト思ヒマスル、民法ノ百三十七條第二
號、三百七十二條、三百四條等ノ規定ハゴザイマスケレドモ、實際是等ノ規定ニ依ッテ
抵當權者ノ利益ヲ全ウスルコトハ出來ナイ場合ガ多イト存ジマス、ソコデ抵當權者ノ利
益ヲ害セズ第三者ノ利益ヲモ害セヌト云フコトニ致シマスニハ、債務者ニ於テ抵當トシマ
シタ機械器具ヲ第三者ニ引渡スト云フコトノ無イヤウニソレヲ豫防スルノ外ハ無イト考
ヘマシテ、其目的ヲ以テ第四十九條ノ制裁ヲ設ケマシタノデゴザイマス、此制裁ハ新シイ
規定デゴザイマスガ、旣ニ刑法ニ於キマシテ自己ノ物ト雖モ差押トナッテ居ル或ハ質物ト
シタモノヲ擅ニ處分スル等ノ所爲ハ罰シテ居ルノデゴザイマスカラ、他人ノ爲ニ抵當權ノ
目的トシマシタモノヲ處分シマシテ、抵當權者ヲ害スルコトガ有ル樣ナ行爲ヲ罰スルト云
フコトハ法理上、決シテ不當ノコトデナイト信ジマスルノデゴザイマス、第五十條ノ規定モ
矢張リ同樣ナ理論ニ基イテ設ケマシタノデアリマス、第五ニハ機械器具ヲ處分スルコトヲ
絕對ニ禁ジマスト又穩當ナラザル場合ガ有ラウト考ヘマスノデゴザイマス、ソレハ例ヘバ或
ル機械器具ガ不用トナリマシタ、或ハ舊式ノモノニナリマシテ新式ノモノト取替ヘマセヌケ
レバ、工場ノ經濟上甚ダ不利益ナ場合ガ有ラウト思ヒマス、デ斯ノ如キ場合ヲ慮リマシ
テ第六條ノ規定ヲ設ケマシタノデアリマス、卽チ抵當權者ノ同意ヲ得マシテ不動產カラ
離シ又ハ其備付ケヲ止メマシタ時分ニハ抵當權ハ消滅スルコトニ致シマシタ、尙抵當權
者ニ於キマシテモ正當ノ事由ガアルトキハ其同意ヲ拒ムコトガ出來ヌト云フコトニ致シマ
シテ、債務者ノ利害ト抵當權者ノ利害ヲ調和スルト云フコトニ致シタイト思ヒマス、第
六ニハ機械器具ノ抵當權ト云フコトニ就キマシテ尙一ツ攷究スベキ點ガ有ラウト思ヒ
マスノハ、若シ他ノ債權者カラ機械器具ダケヲ差押ヘマシテ競賣ニ付スルト云フコトガゴ
ザイマスト、抵當權者ハ代金ノ上ニ優先權ヲ行フコトハ無論出來マスノデゴザイマスガ、
機械器具ヲ取離シテ賣リマスレバ相當ノ價ニ賣ルコトガ出來マセヌカラ、結局抵當權者
ノ損失トナラウト思ヒマス、ソレ故ニ他ノ債權者ガ機械器具ダケヲ離シテ差押ヘルト云フ
コトハ之ヲ禁ジマシテ、若シ他ノ債權者ガ權利ヲ實行セムト欲シマストキハ土地建物ト
一〓ニ差押ヘナケレバナラヌト云フコトニ致シマシタノガ卽チ第七條ノ規定デアリマシテ、
佛蘭西民事訴訟法五百九十二條、獨逸民事訴訟法八百六十五條等ノ規定ヲ參
酌イタシマシタノデアリマス、是等ノ機械器具ニ對シマスル抵當權ノ效力ニ付テノ規定ト
申シマスモノハ、各國ノ立法例ニ於キマシテモ大抵類似ノ規定ノアリマスルコトデゴザイマ
ス、是ヨリ後段ノ規定ニ移リマスガ、第八條以下多クノ箇條ガゴザイマスルデ其要〓ダ
ケヲ摘ンデ申述ベルヤウニ致シマスガ、第一ニ工場財團ヲ設ケマスノハ抵當權ノ目的トス
ル爲デアリマス、ソレ故ニ財團ヲ設ケマシテカラ一定ノ期間內ニ抵當權ヲ設定シマセヌ
トキニハ財團ハ消滅スル、又一旦抵當權ヲ設定シマシタ後ニ債務ノ辨濟等ニ依ッテ抵
常權ガ消滅シマスルト財團モ自然ニ消滅スルト云フコトニ致シマシタノデアリマス、卽チ第
十條ト第四十八條ニ其規定ヲ設ケマシタ、或ハ財團ハ其儘ニ致シテ置イテ重ネテ抵當
權ヲ設定スル場合ノ用ニ供スル方ガ一層便利デアラウト云フ考モ致シマシタガ、財團ノ
存シマスル間ハ個々ノモノヲ處分スルコトヲ禁ジマセヌケレバナラヌ、第三者ノ個々ノモノヽ
上ニ權利ヲ有シ其權利ヲ實行スルト云フコトヲ禁ジマセヌケレバナラヌ、卽チ第三者ノ利
害ニ影響スルコトデゴザイマスルカラ、實際必要ナクシテ財〓ヲ設ケテ置クト云フコトハ許
シマセヌ方ガ宜カラウト思ヒマス、第二ニ工場財團ヲ組成スベキモノハ第十一條ニ列記
シテゴザイマス、主トシテ有體物、有體的ノ設備竝ニ物權ニ止メテゴザイマスルノデ、債
權トカ、或ハ資本等ノ如キハ除イテゴザイマスル、是ハ餘リ關係ガ錯雜ニナリマスルノミナ
ラズ、有體的ニ工場トシテ運轉ノ附クダケノモノガ纏マデ抵當トナッテ居リマスルガ故ニ、
ソレデ十分ノ融通ハ出來ルダラウ、斯樣ニ考ヘマシタノデゴザイマス、第六ニ工業所有權
トゴザイマスルノハ、特許、實用新案、意匠專用權等ノコトヲ申シタノデ、之ヲ財團ニ
組入レテ置キマスルト、工場ヲ······抵當權ノ實行ノ場合ニ工場ヲ讓受ケマシタ者ハ直
ニ其權利ヲ應用スルコトガ出來マシテ便利デアラウト云フ考デアル此第十一條ニ列記
シテゴザイマスルモノハ、必シモ其全部ヲ財團ニ組入レル必要ハ無イ、其一部タケデモ財
團ノ組成ガ出來ルト云フ趣意デアリマス、是ハ財團ニ組入レマスルモノハ他ノ物權ノ目
的ニナッテ居ラナイ、卽チ何モ負擔ノ無イモノニ限リマスノデアリマスカラ、若シ一ノ土地
ガ既ニ抵當ニナッテ居ル、ソレガ爲ニ財〓ガ出來マセヌ樣デハ不便デアリマスカラ、サウ云
フ故障ノアルモノハ除イテ他ノ殘リノモノヲ以テ財〓ヲ作ルト云フコトモ出來ルヤウニシマ
シタ方ガ便利デアラウト云フ考デアリマス、又機械器具等ノ瑣少ナルモノデス、サウ云フ
モノヲ財團ニ組入レテ置キマスルト變更等ノ場合ニ却ッテ煩雜デアリマスルカラ、サウ云フ
モノハ財團ニ入レナイト云フコトモ出來マスルヤウニ、必シモ全部ヲ以テ財團ヲ作ラヌケレ
バナラヌト云フコトニハ致シマセヌノデアリマス、要スルニ財團ノ範圍ノ廣狹伸縮ハ專ラ當
事者雙方ノ便宜ニ任セテ置キマスルガ宜カラウト云フ考デアリマス、他ノ一面ニ於キマシ
テハ獨立ノ工場ガ數箇アリマスル時分ニ、其數箇ノ工場ヲ合ハシテ一ノ財團ヲ作ルコト
モ許シテ置キマス方ガ便利デアラウト思ヒマシテ、第八條ニ其規定ヲ置キマシタ、本案ニ於
キマシテハ、同一ノ所有者卽チ一人ノ所有者ニ屬スル數簡ノ工場ヲ以テ財團ヲ作ルト
云フコトダケハ許ス趣意デアリマスガ、或ハ數人ガ各自ノ工場ヲ合ハシテ一ノ財團ヲ
作ッテ連帶シテ金融ヲ計ルコトヲモ許シマシタ方ガ實際ハ便利デモアリマセウカ、尙ホ其
邊ニ付キマシテハ御孜究ヲ顧ヒタイト思ヒマス、第三ニハ一〓場財團ニ屬シマスルモノハ個々
別々ニ讓渡シマス、或ハ物權、貸借、差押等ノ目的ニスルコトヲ禁ジマシタノデ、旣ニサ
ウ云フ權利ノ目的ニナッテ居リマスモノヲ財團ニ組入レルコトモ許シマセヌノデアリマス、其
規定ガ第十三條第二十九條第三十三條等ニ揭ゲテゴザイマス、若シ此規定ニ違反シ
マシテ、讓渡等ノコトヲ致シマスレバ、其行爲ハ無效デアルト云フ考デ居リマス、尤モ此
場合ニ於キマシテモ民法第百九十二條ノ適用ハアルト云フコトヲ認メテ居リマス、卽チ
善意ノ取得者ヲ保護スルト云フ規定デアリマスガ、此百九十二條ノ適用ハアルト云フコ
トヲ認メテ居リマス、第五條、前ニ述ベマシタ第五條トノ權衡上、或ハ此所ニモ明文ヲ
置キマシタ方ガ適當デアラウカモ知レマセヌ、是モ御攷究ヲ願ヒタイト存ジマス、此規定
ヲ設ケテ置キマセヌト個々別々ノ物ニ對シテ第三者ノ權利ヲ實行イタシマスルタメ財團
ガ自然壞ハレテ仕舞フヤウニナリマス、又個々別々ノ權利ヲ實行イタシマスルト競賣ノ場
合ニ競賣代金ノ中カラ個々別々ノ權利ニ對スル配當金ヲ算定スル必要ガ有リマスケレド
モ是ハ實際出來ナイコトデアリマスカラ、財〓ニ屬スルモノハ少シモ他ニ係累ガ無イト云
フコトニ致ス必要ガアラウト思ヒマスノデアリマス、一旦財團ニ組込ミマシタモノハ之ヲ處
分スルコトハ禁ズルノデアリマスケレドモ、實際之ヲ財團カラ除クト云フ必要ノ場合モ有
ラウト思ヒマスカラ、抵當權者ノ同意ヲ得テ財團カラ除ケバ差支ナイト云フコトニ致シマ
スル爲ニ第十五條ノ規定ヲ設ケマシタノデアリマス、第四ニハ工場財團ガ適法ニ設定セ
ラレマスト、其財團ヲ一箇ノ不動產ト看做シマシテ、其不動產ヲ讓渡シ竝抵當物トス
ルコトハ許シマスガ、其他ノ物權ノ目的ニシマシタリ或ハ貸借ノ目的ニシマスコトハ許サヌ
ト云フコトニ致シマシタ、例ヘバ貸借ノ目的ニ致シマスト、民法三百五十九條ノ規定等
ガゴザイマシテ抵當權ノ實行上、不便ヲ來シマスカラソレヲ許シマセヌノデアリマス、其規
定ハ卽チ十四條デアリマス、斯ノ如ク一箇ノ不動產ト看做シマス以上ハ、民法、民事
訴訟法、不動產登記法、競賣法等ノ中ノ不動產ニ關シマス規定ハ當然適用サレルコ
トニナリマス考デアリマス、唯各箇ノ不動產ヲ抵當ニシマシタ場合ノ規定デ工場財團ニ
屬スル不動產ニモ當然適用セラルヽヤ否ヤト云フ疑ノ有リマス規定ダケヲ纒メマシテ第
十六條ニ規定イタシタノデアリマス、第五ニハ工場財團ノ設立、竝抵當權ノ設定ニ關
スル規定ガ多數ゴザイマスカラ之ヲ一括イタシマシテ其筋合グケヲ述ベマスデゴザイマス、
工場財團ノ設立ハ保存登記ヲ受ケテ出來ルコトニナリマス、保存登記ハ工場所在地ノ
登記所デ致シマス、登記申請書ニ目錄ヲ添ヘテ出サセマス、登記所デハ其目錄ニ依リ
マシテ調査ヲ致シマス、目錄ニ揭ゲテアリマス物件ノ中デ登記ノアリマスモノ、卽チ船舶、
土地、建物、地上權、地役權、不動產ノ賃貸借、是等ハ登記簿ニ付テ調査ヲ致シマシ
テ、若シ旣ニ他人ノ權利ノ目的トデモナッテ居リマスレバ保存登記ノ申請ヲ却下シマス、
是等ノ故障ノ有リマセヌ時ニハ登記簿ニ保存登記ノ申請ノ有ッタト云フコトヲ記載イタ
シマシテ、其記載ヲ致シマシタ後ニハ他ノ登記ハシマセヌコトニナル、唯此申請ノ記入ヲ
致シマシタ時カラ愈。保存登記ヲ致シマスマデノ間、又ソレニ次イデ抵當權ノ登記ヲ致
シマスマデノ間ハ極ク急速ヲ要スル、卽チ差押、先取特權ノ登記ハ假ニ致シマス、其後
ニ此保存登記ノ申請ガ却下ニナリマス、或ハ效力ヲ失ヒマス時ニハ假ノ登記ガ確定ノモ
ノトナリマスシ、若シ保存登記ガ出來マシテ、又抵當權ノ登記モ出來マストキニハ假ノ
登記ハ無效トナルト云フコトニ相成リマス、若シ物件ガ他ノ登記所ノ管內ニ在リマスト
キニハ保存登記ノ申請ヲ受ケタ登記所カラ他ノ登記所ニ通知ヲ致シマシテ、登記ノ謄
本ヲ取寄セ、ソレニ依テ調査ヲ致シマス、保存ノ申請ノ有ッタコトハ他ノ登記所ニ於テソ
レ〓〓職權ヲ以テ記入ヲ致シマス、登記所ニ於テハ多少手數ガ掛リマスケレドモ、申請
人ノ爲ニハ極メテ簡便ノ手續ニナルノデアリマス、斯ノ如クニシテ財團ノ登記ガ出來マシ
テカラ後抵當權設定ノ登記ヲ致シマスノデアリマスカラ、假令多クノ物件ガゴザイマシテ
モ工場ガ數箇アリマシテモ抵當權設定ノ登記ハ一箇所ニ於テスレバ宜イ、其手續モ極
メテ簡單ノコトデアリマス、凡ソ三十分、一時間モ掛レバ充分登記ガ出來マスコトニナル
ノデアリマス、是等ノ手續ガ第九條、第十二條、第十七條乃至第二十八條、第三十
四條、第三十七條ニ揭ゲテアリマス、第六ニハ工場財團ニ屬シマスモノハ目錄ニ揭ゲマ
シテ登記所ニ備ヘテ置キマスコトハ先ニ申述ベマシタ通リデアリマス、從ヒマシテ其物ニ增
減變更ヲ生ジマシタトキニハ目錄變更ノ手續ヲ致シマスルコトニナルノデアリマス、其手
續ハ簡單ニナッテ居リマス、又債權者ノ同意ヲ要スルコトモアリマスケレドモ、其同意モ
豫メ得テ置ケバ宜イノデアリマス、或ハ極ク瑣細ナル機械器具等ニ變更ガ有ッタ爲二一々
變更ノ申請ヲスルノハ煩雜ニ堪ヘヌト云フコトモゴザイマセウガ、先ニ述ベマシタ通リニ
瑣細ナル器物等ハ必シモ財團ニ組入レヌデモ宜イノデアリマスノミナラズ之ヲ財團ニ組入
レテ置置ママテテ更ヲ生ジタ場合モ別段變更ノ手續ヲスルニ付テ制裁モ無イノデアリマス
カラ、實際ノ運用ハ如何樣ニモ附キマシテ左マデ煩雜ナル手續ヲ要スルコトハアリマスマ
イカト思ヒマスノデアリマス、最後ニ第七デアリマスガ、抵當權ノ實行ハ民法、民事訴訟
法、競賣法等ニ據リマスノデアリマス、競賣ニ就キマシテハ執行裁判所ト云フノヲ特ニ
定メル必要ガ有リマス、又工場財團ヲ競賣ニセムトシマシテモ買受ケル者モ有リマセヌ
時分ニハ個々別々ニ物ヲ離シテ競賣スルト云フ必要モ有ラウト思ヒマスカラ其事ヲ規定
イタシマシタ、又競落ノ場合ニ抵當權ガ消滅イタシマスト競落人ノ所有權ノ登記ヲ必
要トシマス、ソレヲ職權ヲ以テ囑託シテ個々ノ登記簿ニ登記ヲスルト云フコトハ是ハ特ニ
規定イタシマセヌト一般ノ規定ニハゴザイマセヌカラ特別ノ規定ヲ設ケタノデ、卽チ第四
十五條ヨリ第四十七條マデノ規定デアリマス、工場ニ付キマシテ財團ヲ設クルト云フガ
如キコトハ、外國ニハ其例ヲ見マセヌコトデアリマスルガ、外國ト日本トハ大ニ事情ヲ異
ニシテ居リマス、第土地ト建物ガ別々ノ不動產ニナッテ居ルト云フコトモ是ハ日本ニ
限ルノデアリマス、外國デハ土地ヲ抵當ニスレバ建物モ無論抵當ニナリマス、ソレデ又土
地モ大抵大キナ土地デアリマスカラ一ツノ工場ニサウ幾筆ノ土地ガ有ルト云フヤナコトハ
アリマセヌカラ、實際ハ財團ヲ設ケマシタノト同ジヤウナ結果ニナルノデアリマスケレドモ、
日本ニ於テハ建物ガ土地ト別々ニナッテ居ル、又其上各筆ノ土地ガ小サウゴザイマスカ
ラ、一ツノ工場デモ土地ガ幾筆ニモナッテ居ヲテ各筆每ニ登記ヲセヌケレバナラヌ、建物
モ各棟每ニ登記セヌナラヌト云フコトガアリマスカラ、實際工場財團ヲ設ケルト云フコト
ガ必要ダラウカト存ジマシテ斯樣ナ規定ヲ設ケマシタノデゴザイマス、尙御質問等ガアレバ
御答イタシマス、十分ニ御審議ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=3
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004・堤功長
○委員長代理(子爵堤功長君) チヨット如何デゴザイマス、マグ十二時マデハ時間ガ
アリマスカラ大體ニ就テノ御質問ヲ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=4
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005・吉川重吉
○男爵吉川重吉君 私チヨット伺ヒタイノデ、是ハ他ヲ見マシタラ極ク明カナコトカ存ジ
マセヌガ、此工場抵當法ト鐵道抵當法トノ法案ヲ比較シテ見マスルト、マグ能クハ見マ
セヌガ、大分違ッテ居ル所ガ有ルヤウニ考ヘラレル、ソレデ他ノ抵當法案ニ有ッテ此抵當
法案ニ無イ事柄ガ大分チヨット見當ルヤウニ思ハレルガ、ソレハ何デアルカト申シマスト、
他ノ法案ニハ抵當權者ニ關スル事柄ガ大分規定シテアリマス、ソレカラ競賣ニ關スルコ
トガ餘ホド細密ニ規定シテアリマスガ、ソレラガ此法案ニハソレ程ニ細密ニナイヤウニ存ジ
マスガ、其理由ヲチヨット伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=5
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006・河村讓三郎
○政府委員(河村讓三郞君) 本案ニ於キマシテハ第十四條ヲ以テ工場財團ハ一箇
ノ不動產ト看做スト云フコトニ致シマシタ、不動產ニ關スル民法上ノ規定ハ當然適用
サレルト云フコトニ致シマシタノデアリマス、他ノ法案ニハ或ハ公益上ノ理由等ガアリマシ
テ、民法其他ノ法律中ノ總テノ規定ヲ適用スルコトヲ適當ト致シマセヌノデ、或ル規定
ダケヲ特ニ適用スルト云フ主意デ特別ニ揭ゲテアルノデアラウト思ヒマスガ、本案ニ於キマ
シテハ工場ノコトデアリマスカラ、別段特別ノ規定ヲ設ケル必要ハアリマセヌ、一般ノ規
定ニ依ッテ差支ナイ、一般ノ規定ニ依ル方ガ漏レ無クシテ宜シカラウト云フ考デゴザイマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=6
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007・富井政章
○富井政章君 私ハ各條ニ付テハ幾ツモ質問シタイ點ガアリマスガ、全體ニ關シテハ唯
一ツ此法律案ノ體裁ニ就テ御伺ヒシタイ、實質ニ關シテハ此法律案ハ今日ノ時勢ニ最
モ有用ナモノト考ヘマスルニ依ッテ全然贊成ヲ表スルノデアリマス、形ト申スノハ斯ノ如キ
五十箇條モアル法律ハ是マデ大抵、章ニ分ッテ居ルヤウデアリ。マス、*尤モ信託法、鐵道
抵當法ナドハ是ヨリハ條數ガ多イノデアリマスガ··是程ノ條數ガ有レバ章ニ分ツコトガ
出來ルナラバ分ック方ガ幾ラカ體裁ガ宜カラウト思フ、併シ條文ヲ一讀イタシマスルニ各條
密接ノ關係ヲ持ッテ居ルヤウデアリマスカラ、章ニ分ツト云フコトハ隨分困難デアルトハ考
ヘマス政府委員ニ於テハ是ハドウシテモ分ツコトガ出來ナイト御見込ミニナッタノデアリマ
スカ、此〓ヲ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=7
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008・河村讓三郎
○政府委員(河村讓三郞君) 御尤デアリマスガ、政府委員ニ於キマシテモ一應同樣
ノ考ヲ持チマシタノデアリマスガ、御說ノ通リニ大分前後牽聯シテ居リマスノデ章ニ分ツコ
トガ困難ト見マシタノデ、出來ヌト云フ程デハアリマセヌガ、困難ニ思ヒマシテ斯樣ニ致シ
マシタ、出來レバサウ致シタ方ガ·····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=8
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009・富井政章
○富井政章君 マダ各條ニ付テ質問スルコトハ出來ナイノデアリマスカ、若シ出來ルト
スレバ、ドコヲ問フテモ宜シイノデアリマスカ、其二點ヲ委員長ニ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=9
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010・堤功長
○委員長代理(子爵堤功長君) 御相談シマスガ、如何デゴザイマセウカ、御質問ガ
無クバ各條ニ付テ質問ヲ始メマセウカ、今日ハ止メマシテ明日ヤリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=10
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011・小松原英太郎
○小松原英太郞君 モウチット質問ヲ續ケタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=11
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012・堤功長
○委員長代理(子爵堤功長君) 續ケテ御異存ガ無クバ續ケテヤルコトニ致シマス、富
井君此內ドコナリトモ御尋ニナルヤウニ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=12
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013・富井政章
○富井政章君 細カナ質問ハ第一條カラアルノデアリマスガ、大抵ハ皆細カナ事デアリ
マシテ、强ヒテスル必要モ無イノデアリマス、少シ大キナ點ニ付テ伺フ所ガ一二アリマス、
ソレハ第一ハ第五條ノ所デアリマス、是ハ本案中最モ重要ナル規定ノ一ト思ヒマス、卽
チ本案ノ目的ハ工場ヲ抵當トシタ場合ハ唯不動產グケガ抵當權ノ目的トナルノデハナ
イ、工場ニ備付ケテアル機械、其他ノ動產モ舉ゲテ抵當權ノ目的トナルト云フノデアリ
マスガ、併シツレト民法トノ原則卽チ動產ト云フモノハ第三者ニ公示スル途ガ無イカラ、
第三取得者ノ占有ト云フコトヲ保護セネバナラヌト云フ考デ調和スルコトヲ欲セラレタ規
定ト認メマス、此調和ト云フコトガ詰リ本案ノ骨子デアリマスルガ、又之ト同時ニ極メテ
困難ナコトデアルト考ヘマス、私ハ本案ニ對シテハ斯ウ云フ考ヲ持ッテ居ルノデアリマス、
抑〓斯ノ如キ法律案ヲ設ケル以上ハ、卽チ機械其他ノ動產ヲ抵當權ノ目的ト爲スト云
フ方針ヲ採ッタ以上ハ、其動產ノ範圍ハ極ク廣クナクテモ宜シイ、細カナモノハ止メテモ
宜シイ、其代リニ大キナ機械、抵當權ノ目的ニ包含セネバ困ルト云フ大キナ動產ニ付テ
ハ成ルベグ抵當權者ヲ保護スルト云フコトニセネバ此法律案ノ目的ニ完全ニ達セナイト
思フ、成ルベク此善意トカ云フ無形ノ事實ヲ證明セネバナラヌト云フコトノ無イヤウニシ
タイト思フ、サウデナイト同ジヤウナ場合デ今日、甲裁判所ガ白イト判決シタモノヲ明
日ハ乙裁判所ニ於テ黑イト判決スルト云フノデハ抵當權者ノ權利ト云フモノハ甚ダ薄
弱ナルモノト考ヘマス、ソレ故ニ登記ト云フ方法ガ設ケテアル以上ハ不完全デハアルケレ
ドモ、目錄ヲ提出シテ登記簿ニクッ付ケタナラバ登記ト同一ノ效力ヲ有スルト云フコトニ
シタ以上ハ隨分類似ノモノガ多イコトデアッテモ、成ルタケ抵當權者ヲ保護スルト云フコ
トヲ希望イタスノデアリマス、此趣意カラ第五條ニ付テ少シク贊成イタシ兼ル〓モアルノ
デゴザイマスガ、今修正意見ヲ提出スルコトガ出來マセヌカラ、先ヅ第五條ノ趣意ヲ念ノ
爲ニ伺シテ置キタイト思ヒマス、或ハ御答ニ依テハ私ノ疑〓ガ晴レテ修正案ヲ提出スルノ
必要ナキニ至ルカモ知レマセヌ、先刻政府委員ノ御說明ニ依レバ此案ハ二ツノ場合ヲ
規定シテ居ルノデアル、第一ハ工場ニ屬スル不動產ヲ抵當トシタ場合、卽チ第七條マ
デ、第二ハ工場財團ト云フモラヲ設定シテ之ヲ抵當權ノ目的トスル、第八條以下、如
何ニモ其通リニ解スルノデアリマス、而シテ此第五條ハ其第一ノ場合ニ當ルモノデアルト
云フ御說明デアッタガ、如何ニモ場所カラ云ヘバ其通リデアルガ、サウスルト此第二ノ場
合、此工場財團ヲ設定シテ之ヲ抵當權ノ目的ト爲シタ場合ニ第五條ニ揭ゲテアルヤウ
ナ事實ガアッタトキハ如何ナル結果ニナルノデアリマスカ、卽チ一ノ動產ヲ抵當權ノ實行
前ニ處分シテ第三取得者ニ引渡スト云フヤウナ場合ニハ第五條ニハ「其ノ物ニ付之ヲ
行フコトヲ得但シ第三取得者カ善意ナリシトキハ此ノ限ニ在ラス」ト、財團ノ場合ハドウ
ナリマスルノデアリマスカ、或ハ第三十五條ニ依テ目錄ノ記載ハ之ヲ登記ト看做スト云フ
ノデアリマスカラ、此場合ハ登記ト同一ニ抵當權者ヲ保護スルト云フコトニナル御趣意
カトモ思ヒマスガ、併シ第三取得者ガ善意デアッタトキハドウナルノデアリマスカ、元來ガ
動產デアリマスカラ、民法第百九十二條ノ規定ガ行ハレルノデアルカ、ソレトモ抵當權ノ
目的トナッテ仕舞フノデアルカラ不動產ト見テ民法第百七十七條デアッタト思ヒマスガ、
物權ノ總則ニ依テ絕對的ニ保護セラレルト云フコトニナルノデアリマセウカ、リレガ第一ニ
伺ヒタイ、ソレカラ第二ニハ此第五條ノ規定ト云フモノハ素ヨリ登記ガアッタ後ニ適用ヲ
生ズル場合デアラウト思ヒマス、其〓モ念ノ爲ニチヨット伺ヒマス、ソレカラ但書デアリマ
ス、「第三取得者ノ善意ナリシトキハ此ノ限ニ在ラス」トアリマスガ、政府委員ノ御說明
ニ依レバ是ハ民法第百九十二條ト同一ノコトデアッテ卽チ善意バカリデハ足リナイ、過失
ノ有ッタ場合モ含ムト云フ御說明デアッタヤウニ思ヒマスガ、私ハサウハドウシテモ讀メナイ、
私ハ全ク善意デアッタ場合ノミガ規定シテアルト解シタノデアリマス、ソレデ此規定ヲ此儘
デ可決スルコトニナッテモ過失ノ場合ダケハ是非入レテ御貰ヒ申シタイサウデナイト抵當
權ノ保護ト云フモノガ非常ニ薄弱ニナラウト思ヒマス、卽チ登記シテアッテモ善意デアレバ
イケナイト云フ方ガ原則ニナッテ、容易ニ過失ノ推定ト云フモノガ下セナイ、是ハ幸ニ立
法ノ主意ハ過失ノ場合モ惡意ト同一トスルコトニナル以上ハ、過失ト云フコトハ是非書
キ表ハシタイト思ヒマス、ソレハ畢竟修正意見ニナリマスカラ、今申スノデハアリマセヌ、唯
過失モ一要件トナルト云フコトニ先刻聽イタノデアリマス、念ノ爲ニ一應其〓ヲ伺ッテ置
キタイ、極メテ重大ナコトデアリマス、最後ニ卽チ第四ニ伺ヒタイコトハ善意ガ推定セラル
ルノデアルカ、又ハ惡意若クハ過失ガ推定セラルヽノデアリマスカ、言葉ヲ換ヘテ言ヘバ抵
當權者ノ方カラ進ンデ第三者ガ惡意デアルカ又ハ過失ガアッタカト云フコトヲ證明セネバ
ナラヌノデアリマスカ、或ハ第三者ノ方カラ自分ハ善意デアッタ、且ツ過失ガ無カッタト云
フコトヲ證明シナケレバナラヌノデアルカ、是モ此法律案ノ運用上ニ於テ非常ニ利害ノ結
果ヲ異ニスルモノデアラウト思ヒマスカラ、其〓ヲ伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=13
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014・河村讓三郎
○政府委員(河村讓三郞君) 唯今ノ御尋ハ四點デアリマシタ樣デアリマスガ、便宜
上第四ノ點カラ御答イタシマス、立證ノ責任ハ第三取得者ノ方ニアルト云フ立法上ノ
考デアッタノデアリマス、第三ノ〓ハ前ノ說明ノ際ニモ申シマシタ通リ善意無過失ト云フ
考デアリマス、第二ノ點ハ登記ヲ致シマシタ後ニ此適用ガ生ズル、第一ノ〓ハ御說ノ如
クニ極メテ困難ナ問題デアリマス、是ガ不動產デアリマスレバ少シモ疑ハ生ジマセヌノデア
リマスガ、本來動產デアリマシテ不動產ト一種ノ關係ガ有ル爲ニ抵當權ノ目的トナルト
云フコトヲ規定セムトシマスルノデアリマスカラ、ドウモ不動產ト同一ニ見ラレマスマイカト
思ヒマス、卽チ第三者ハ其モノガ抵當物デアルト云フコトヲ如何ニシテモ知リ得ルコトガ
出來ヌ場合ガ往々アラウト思ヒマス、其場合ニ第三者ヲ保護スルト云フ規定ガアリマセ
ヌト、工場ノ機械器具ト云フモノハ不安心デ決シテ買受ケルコトハ出來ナイト云フ樣ナ
結果ニナラウト思ヒマス、却ッテ機械器具ノ融通ト云フコトガ塞ッテ仕舞フ樣ナ結果ニ
ナラウト思ヒマス、ソレガ爲ニ善意ノ第三者ヲ保護スルコトガ必要デアラウト考ヘマス、然
ラバ其大キナ機械、容易ニ動カセヌ樣ナ機械ダケニシテ置イテ、其代リ如何ナル場合デモ
抵當權ヲ實行スルト云フコトニ付キマシテハ誠ニ御尤デアリマスガ、實際ハ前ニモ述ベマ
シタ通リ別段ニ定メテサウ云フコトニ致シテ置キマスレバ御考ノ通リニナラウト思ヒマス、
微細ナモノハ抵當ニ入レヌト云フコトニ致シテ置キマスレバ疑ハ起リマセヌカト思ヒマス、
併シ當事者ガ便宜上總テノモノヲ抵當ニ致シマスノヲ禁ズルマデノ必要モアリマセヌカト
思ヒマス、若シ總テノモノヲ抵當ニスルト云フコトニナリマスレバ其抵當權ノ主意ヲ飽クマ
デ貫徹スルト云フコトハ少シ困難デハアルマイカト云フ考デゴザイマス、尙相當ノ修正ノ
御意見デモアリマスレバ承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=14
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015・富井政章
○富井政章君 最後ノ御意見ニ付キマシテハ實質上、私。共ノ希望スル通リノ主意デ
アルコトガ分リマシタ、甚ダ滿足スルノデゴザイマスガ、此文字デハ少シ其主意ガ貫徹シナ
イト思ヒマス、尙政府委員竝ニ諸君ト御相談ノ上、修正意見ヲ出シ得ル際ニ少シ修
正ヲ加ヘタイト思ヒマス、第一ノ點デアリマスガ、私ノ伺ッタ〓ハ未ダ少シ明瞭ナ解決ヲ
得ナイト思ヒマス、財團ヲ抵當權ノ目的ト爲シタ場合ニモ善意ノ第三者ヲ保護スル精
神デアルカノ樣ニ聽取リマシタガ、サウ致スト第三十五條ノ規定アルニ拘ラズ民法第百
九十二條ト云フモノハ當然適用セラルヽト云フ御見解デアルノデアリマスガ、卽チ善意ノ
第三者ガ保護セラルヽト一云フコトハ明交ヲ要セナイ、民法第百九十二條ガ當然行ハレ
ルト云フ結果デアルノデアリマスカ、若シサウデアレバ第五條ノ場合ニモ明文ヲ要セナイト
云フコトニナリハセヌデセウカ、若シ第五條ノ場合ニ付テ民法第百九十二條アルヲ以テ
足レリトセナクテ此所ニアル樣ナ規定ヲ要スルトスルナラバ財〓ノ場合ニモ何カ規定ガ必
要デハナイノデアリマセウカ、其〓ガ分ラナイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=15
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016・河村讓三郎
○政府委員(河村讓三郞君) 先刻御答ヲ漏シマシタガ、五條ノ規定ハ土地建物ヲ
抵當ニイタシマシタ場合ダケニ適用サレマス、財團ヲ造リマシタ場合ハ十三條ニ依リマシ
テ財團ニ組込マレテ居リマス備付ケノ機械器具モ讓渡スコトハ出來ヌト云フコトノ考デ
アリマス、其場合ニ民法百九十二條ノ適用ガアルカ否ヤト云フコトニ付キマシテハ先刻
チヨット說明ノトキニ申シマシタが、矢張リ其適用ハ有ルト云フ考デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=16
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017・富井政章
○富井政章君 分リマシタ······尙一ツ唯今質問イタシマシタ第五條ノ適用ニ大關係
アルコトト思フ、第四十九條ノ適用ニ付テチヨット伺ヒマス、抵當權ノ目的トナスモノヲ
處分シタ場合ニハ重禁錮ニ處スルト云フコトガアリマス、是ハ登記ノ有ッタ無カッタニ依テ
被害者ガ違フノデアル、抵當權者ガ抵當權ヲ失フト云フ結果ニナル場合ニハ卽チ抵當
權者ヲ保護スル爲ニ斯ノ如キ强イ制裁ヲ設ケラルヽコトニナル、本案ノ趣旨トスル所ハ
其點ニアルノデアラウト思フ併ナガラ其處分ガ無效デアルト云フ場合ニハ抵當權者ハ
何ノ損害モ受ケナイ、此場合ニハ第三所得者ガ損害ヲ被ムル、卽チ讓受人ガ損害ヲ被
ムルト云フコトニナルノデアリマス、矢張リ讓受人ヲモ保護スル目的ヲ以テ其場合ニモ卽
チ抵當權者ニハ何ノ損害モ生ジナイト云フ場合ニモ、矢張リ此刑罰ニ關スル規定ヲ適用
スルト云フ御趣意デアリマスカ······分リマシタカ知ラヌ、モウ一遍言フテモ宜ウゴザイマス、
卽チ讓渡其他ノ處分ガ有效デアル場合ニ限ラズ、無效デアル場合ニモ矢張リ此規定ト
云フモノハ適用セラルルノデアリマセウカ、其場合ニハ抵當權者ハ損害ヲ被ムラナイ場合
デス、讓受人ハ損害ヲ被ムルカモ知レナイ、刑法ノ冒認罪ニ就テモ同ジヤウナ問題ガ起
ルト思フノデスナ登記法ノ出來ルマデハ公正デアリマスカラ公正又ハ登記ノ有ル無シニ拘
ラズアノ不動產ノ不當處分ニ關スル刑法ノ規定ト云フモノガ行ハルヽノデ有ルカ無イカ
判決例ハ行ハルヽコトニナッテ居リマス、大ニ議論ハ有ルヤウデアリマスケレドモ、此規定
ヲ設ケラレタ趣意ハ何レニアルカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=17
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018・河村讓三郎
○政府委員(河村讓三郞君) チヨット伺ヒマスガ、登記ヲシタ場合トセヌ場合トニ依
テ區別ガアルカト云フヤウナ御尋デアリマシタガ、其所ノ所ノ關係ハドウ云フコトデアリマ
シタカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=18
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019・富井政章
○富井政章君 尙言葉ヲ換ヘテ申シマスレバ、第三取得者、讓受人ガ善意ニシテ且ツ
過失ナキ場合ニモ惡意又ハ過失ノアッタ場合ニモ區別ナク此規定ガ適用セラレル、第三
者ガ惡意デアッタカ又ハ過失ガアッタ場合ニハ抵當權者ハ損害ヲ被ムラナイ、卽チ其處
分ト云フモノハ無效デアル、讓渡ト云フモノハ無效デアルカラ債務者ヲ刑ニ處セナクテモ
抵當權者ハ損害ヲ被ムルコトハ無イ、併ナガラ其場合ニハ讓受人ハ損害ヲ被ムルデアリ
マセウ、兎ニ角サウ云フコトヲシテハ宜シクナイ、誰ニカ損害ヲ生ズルト云フ極メテ不當ナ
行爲デ罰スルト云フ廣イ趣意ニ出テ居ルノダカラ、ソレナラバ此儘デ文章ハ宜イト思ヒマ
スガ、若シ抵當權者ノミヲ保護スルト云フ趣意ニ出テ居ッテ、抵當權ガ害セラルヽト云フ
コトヲ防グト云フ目的ニ出タモノナラバモウ少シ文章ヲ狹メニヤ行クマイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=19
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020・河村讓三郎
○政府委員(河村讓三郞君) 御答イタシマス、此第四十九條ノ趣意ハ第三取得者
ガ善意ニテ卽チ抵當權者ガ權利ヲ失フト云フ場合ハ勿論デアリマスルシ第三取得者ガ
惡意デアリマシテ、卽チ抵當權ノ實行ハ妨ゲナイ場合、其場合モ矢張リ罰スルト云フ精神
デアリマスル、ソレハ第三者ヲ保護スル趣意モゴザイマスガ、寧ロ矢張リ抵當權者ヲ保護
スルト云フ方ノ考デアリマス、ト申シマスルノハ善意惡意ノ疑問ヲ決スルト云フコトハ實
際困難デアラウト思ヒマスルカラ、兎ニ角此讓渡ヲシマスレバ第三者ノ善意ノ場合ガ有
リ得ベキコトデアル、而シテ抵當權者ヲ害スベキコトガ有リ得ベキコトデアルカラ、絕對的
ニ罰スベキモノデアルト云フ趣意デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=20
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021・岡部長職
○委員長(子爵岡部長職君) 諸君、本日ハ是ニテ〓會ヲ致シマス
午前十一時五十二分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵岡部長職君委員長代理子爵堤功長君
委員
子爵新莊直陳君名村泰藏君平山成信君
小松原英太郞君男爵吉川重吉君男爵藤大路親春君
馬屋原彰君富井政章君
國務大臣
農商務大臣男爵〓浦奎吾君司法大臣波多野敬直君
政府委員
司法省民刑局長河村讓三郞君農商務省商工局長森田茂吉君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002100879X00119050214&spkNum=21
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