1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○罹災都市借地借家臨時處理法案
○訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年七月十五日(月曜日)午前十時十二分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=1
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002・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 是より罹災都市借地借家臨時處理法案の特別委員を開きます、總括的御質問がまだ殘つて居るさうでありますから御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=2
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003・作間耕逸
○作間耕逸君 此の法案に關聯致しまする總括的質問としては差當り一つしか殘つて居ませぬが、其の一つの點は地代家賃は國民生活の日常經濟に於て大衆の爲には相當重要なる支出となつて、家庭生活に影響する所が頗る多いのであります、社會的にも矢張り大きな問題の一つと見て宜しいのでありまするが、其の管轄、所管と申しませうか、それに付てどうも從來少しく迷ふ所があるのですね、地代家賃の額は統制令に依つて一應制約を受けて居るのでありますが是は特別の事情のある時に値上を請求する、改定を請求すると云ふ時には地方廳へ、即ち東京都に於ては都廳へ申請をして、都廳に於ける或種の委員會でそれを裁定するやうにする、是は厚生省が出來る迄は内務省の所轄でありましたが、厚生省が出來てから厚生省、裁決者は都長官の筈でありますが所管はさうなつて居る、處が前囘政府委員の御話では、今は厚生省でなくなつて、戰災復興院に移つて居る、戰災復興院は戰災地域に限らないのかと言つたら、戰災地域以外の所にも一般的に皆地代家賃の問題は戰災復興院に移つてしまつて居る、それは仰せの通りでありませう、さうすると是がをかしな話で、戰災復興院は戰災地の復舊、復興にさへ追はれて居つて迚も進捗しない、衆議院でも促進の決議案も提出せられるやうな現在の場合でありまするのに、戰災地以外の地代家賃の問題迄も取扱はれると云ふことは、私等から考へれば、それはどうも不合理であり、又餘計なことではなからうかと思ふ、それから之に爭があれば是は訴訟でも、和解でも、調停でも、非訟事件でも皆司法省が管轄して居られる、私は單なる改定、例へば値の詐可申請、是も廣い意味に於ける一種の爭に相違ない、然るに値上の許可申請をする場合は、是は現在は戰災復興院で扱はれる、是が事件、即ち訴訟、和解調停若しくは非訟事件、此の手續に依る時には司法省に於て取扱はれると云ふことは、私共矢張り是は何處かで統一されて、さう云ふ重要なる施政の一面として御取扱を願ひたいのである、殊にどちらかと申せば、どうせ統一、一元化せらるるならば、有力なる法相御在任中適當の機會に於て司法省に御纒めになつた方が一番適切ではあるまいか、斯う考へて居るのであります、殊に又もう一つ奇妙なことは、裁判所で和解、非訟事件等に依つても、それが統制令で認めて居る額を超ゆる場合には地方長官の認可が要るんですな、是は政府委員は私と同樣の見解を御持ちになるかどうか、或は私の見解が間違つて居るかも知れませぬから、先づ先に政府委員に對して是から述べる私の見解が法律上間違つて居れば、是は撤囘します、間違つて居るか、居ないかと云ふことに付て念の爲に政府委員に御聽きをしたいと思ひます、其の後に只今の所管問題に付て大臣の御意見を承れば宜いので、先づ政府委員に御尋を致します、只今のやうに調停、和解で決つても矢張り統制令で認めてある以外のものは、それ以上のものは地方長官の認可が要るのであるか、それから今度は反對に地方長官が幾ら値上を認可してもですね、今度は對手方が承諾しない、即ち借家人、借地人がそれを承諾しない場合には、それは矢張りそれを調停か、和解か裁判か、或は非訟事件か、兎に角司法省手に依らなければ、其の認可を得た地代でも家賃でもそれを借地人なり借家人から現實に取立てるべく有效のものにならぬ、即ち之を卒直に平たく申上げますれば、裁判で決つても、裁判と云ふのは必ずしも判決ではない、裁判所で決つても地方廳が認可しなければならぬ、地方廳の認可が要るのだ、それから幾ら地方廳が認可しても借家人、借地人が之を承諾しない場合には、裁判所で之を扱つてやつて、承諾に代る手續をしてやらなければ、其の認可だけでは現實に請求することは出來ない若し私の見解にして誤りなしとせば非常にそれは妙なことで、同じ國家の官廳で一方は承認しても他の一方が承認しなければ、それは有效のものにならぬ、又他の一方が許可してもそれだけでは何にもならぬ、更に他の一方たる裁判所の手續を經なければ請求取立は出來ぬ、是等も若し左樣なことになつて居ると致しまするなれば、矢張り何處かへ統一せられるか、さう云ふやうなことがなくして總て一元化し一本にする、殊にそれを司法省の取扱として願へれば、誠に私は一番當事者の爲、國民の爲に適切であり且便宜である、斯樣に考へるのであります、若し私の只今の見解が違つて居りますか居りませぬか、其の點に付て先づ政府委員の御答を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=3
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004・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 只今御述になりましたやうに、現在の地代家賃統制令の下に於きましては此の額を超ゆる定をする場合に於ては和解、調停の場合でも、矢張り地方長官の許可、場合に依つては許可を條件として調停等をやつて居ることもありますが、矢張り其の枠内に縛られて居ると云ふことになつて居ります、又假に地方長官の許可等に依つて増額が出來た場合でも、之を強制的に支拂を命ずると云ふやうなことは、矢張り正式の裁判上の手續がなければ出來ないと云ふことに相成るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=4
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005・作間耕逸
○作間耕逸君 それでは遡りまして、詰り地代、家賃の統一方針、之に付きまして司法大臣の御所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=5
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006・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御答へ致します、今作間委員の御説に依りますと、地代、家賃の如きは悉く司法省で統一したらどうかと云ふ御考のやうでありますが、御承知の通り司法部は司法權に關して其の權限を行使することが建前になつて居ります、普通の行政事務には關與しないと云ふことを堅持して居ります、從つて地代、家賃の如きに至つても、是が一度紛爭事件となれば司法省で之を取扱ふのでありますが、それ迄の過程に於ける行政問題と云ふものは司法省では關與致すことは出來ないのであります、左樣御承知を願ひます、然らば之を復興院の如き非常に事務の煩多な所で統一をして行くと云ふことはいかぬのぢやないかと云ふ御言葉のやうでありますが、御承知の通り日本では只今戰災地の問題と云ひ其の他の諸般の事項に付て、復興院の事務の忙しいことは尤もでありますが、地代、家賃の問題にしても主として復興事務に關係があるのでありますから、復興院の所管事項として之を處理して行くと云ふことは、最も妥當な取扱と存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=6
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007・作間耕逸
○作間耕逸君 地代、家賃の改定値下の場合は許可が要りますが、値上の場合の許可申請には相手方があるのであつて、是は廣き意味に於ける一種の爭議に相違ない、さうして之を裁定する標準は、矢張り司法省が地代、家賃の爭議を裁定する場合と、其の標準が大體に於て一致して居らなければならぬ、一致すべきものである、其の間區々であることは、不合理であり甚だ實際の事情に適しない、成る程仰せの通り、唯家賃、地代を定むることは普通の行政になつて司法省の職域を脱することにはなりませうが、家賃、地代値上請求此の許可事項は是は爭議の一種と見て司法省に移されて、さうして非訟事件に依つて取扱はれたらどうであるか、私は斯う云ふ趣旨で申上げたのであります、單に家賃地代の標準を一般的に御定め願ふと云ふやうな普通行政に屬する事務に付ては勿論大臣仰せの通りですが、私は値上改定の許可は實質上の一種の爭議であるから、此の許可の事項は他の省に任せずして司法省に適當な機會に於て御包容なされてはどうであるかと云ふ意味で申上げた次第であります、今一度其の點に付て御考を承れれば仕合せであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=7
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008・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 只今仰せられたことは御尤もの次第でありまして、現在でも地方長官が許可をするに付ては、地代、家賃審査委員會の意見を聽いてやることになつて居りますが、此の委員會は大體に於て各地方の判事が其の中に入つて居るのであります、此の點は事柄が稍稍裁判等と共通するものがあると云ふ趣旨で、其の委員會に判事を入れると云ふ風に協定が出來まして、其の中に判事が加つて居る現状であります、それから地代、家賃統制令は、一昨日かにちよつと觸れましたやうに早晩改正せられる豫定でありますさうして其の場合には、裁判とか調停とか和解と云ふことに依つて定められた額は、直ちに統制額と云ふ風になるやうに、我々事務當局としては努力して、其の關係を統一する考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=8
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009・霜山精一
○霜山精一君 私は借地法と本法との關係をもう少し伺つて見たいのであります、本法に依る借地權に付きましては第五條それから第十一條等に依りまして大體存續期間は十年と云ふことに決められて居るのであります、借地法に於ける借地權の存績期間と云ふものは第二條に於きまして六十年とか三十年とか二十年とか云ふ風に大體決つて居るのであります、本法では「借地法第二條の規定にかかはらず、これを十年とする」斯う云ふ風に規定して居るのであります處で借地法の四條の場合の期間の契約の更新に關するもの、第四條の更新に付きましては末項に依りまして、「第五條第一項の規定は第一項の場合に之を準用す」とあるのですから、矢張り更新の時から起算して、三十年、二十年と、斯う云ふことに第四條の更新はなる譯です、借地法の第五條に依つて契約を更新する場合に於きましても、今申上げた通り三十年二十年斯う云ふ風に借地法ではなる、それで借地法第六條の所謂法定更新に付きましても、「前條第一項の規定を準用す」とありますからして矢張り更新の期間は三十年なり二十年なりと、斯う云ふことになる借地法第七條に付きましても此の借地權の消滅した、消滅前に建物が滅失した場合に建物を新たに築造した場合の借地權に付きましては、矢張り三十年二十年と、斯う云ふ風になつて居る、處が本法に依る借地權の更新に付ては何も規定がないのですからして、勢ひ此の四條、五條、六條、七條と云ふものに依つて更新の期間が二十年三十年になることは此の前政府委員の説明せられた通りであらうと思ふ、併し果してそれが正當な結論であるかどうかと云ふことに付ては疑はしいのではないかと思ふ借地法四條、五條、六條、七條で更新の期間を三十年、二十年と決めたのは、基本たる二條の規定に依つて大體二十年以上短期の借地權は認めないのであつて、二十年以上、三十年と云ふやうなことを第二條で決めて居るから、更新の時でも二十年、三十年と斯う云ふ風に規定が出來て居る、果して然らば、本法の規定に依つて基本を十年とした以上は、更新の場合に於ても矢張り借地法の規定に拘らず更新の時には十年とすると云ふことにならざるを得ないのではないかと思ふのです、其の點は私の第一の疑問で、若し更新の場合に是は初は十年だつたけれども、更新して是を二十年三十年にすると云ふ必要が果してあるのかどうかと云ふことは、是は疑問ではないかと思ふ、其の點に付て御説明を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=9
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010・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御尤もの御尋ねでありますが、第五條に依りまして、借地法第二條の規定だけを排斥致しまして、他の點は總て借地法に謂ふ借地權であると云ふ建前を採りましたのでありまして、大體此の十年と決めましたに付ては色々議論がありまして、餘り之を短く三年とか五年に致しますと、折角建築しようと云ふ人々が、僅か三年や五年で取拂はなければならないと云ふことになれば、復興の意欲も阻害されるのではないかと云ふやうなことから十年と致しまして、非常に粗末な家屋でありますれば其の期間滿了前に朽廢に達すと考へられますので但書で其の期間滿了前に朽廢した場合には十年に至らずして消滅すると云ふことに致したのであります、然らば十年經過後に付てどうするか、此の點に付て色々考へましたのでありますが、元來は借地法の借地權と同樣に見て行く建前を採りました關係上、何も規定しなければ借地法を其の儘適用されることに致しまして、特に此處に於て二條の規定のみに拘らずと云ふことに致しまして、それ以外は總て借世法に任すと云ふ建前で進みました關係上、先日申上げましたやうに、更新の場合にも矢張り二十年三十年と云ふことになる考で立案を致したのであります、解釋上は第二條の規定だけを除外して、それを十年として居りますから、解釋と致しましては、其の更新も矢張り十年と解釋されないで矢張り借地法の一般の規定が働くやうに解釋し得るのではないかと思ひます、立法論としては初め十年でありながら、今度二十年三十年と云ふ風なことを認めるのはどうかと云ふことは、是は色々の議論の餘地もあらうと思ひますが、解釋上は大體借地法が懸つて來ると云ふ解釋に入ると考へます、而して假に十年を經過して相當立派な家屋が建つて居ると云ふ場合に於きましては、矢張り一般原則に戻つて借地法の更新の規定を適用せしめてもそれ程不當ではないと云ふ風に考へまして、總て借地法の規定を當然被る頭で立案致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=10
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011・霜山精一
○霜山精一君 「第二條の規定にかかはらず」とありますから、一應さう云ふ解釋も立つと思ひますが、又解釋の仕樣に依つては、更新と云ふことの性質から、基本の存續期間が十年であるに拘らず、更新してそれが二十年三十年に延びると云ふことは、ちよつと更新そのものの性質からも言へないのぢやないかと云ふ風な解釋の方法も付かぬこともないと思ふのですさうなつて來ると、更新の性質から矢張り二十年三十年と云ふ風な存續期間が適用されないで、是は矢張り十年だ、更新の期間は十年だと解釋する餘地も茲に出て來るだらうと思ふ、さうなつて來ると解釋上非常に初めから疑があつてどちらの解釋を採るかと云ふことが疑がある場合になる譯でありますからして、若しさう云ふ風に解釋上議論が岐るる餘地があるならば、どちらにしたら宜いか私も能く分りませぬけれども、理論上は矢張り十年のやつが、急に更新したが爲に三十年になり二十年になると云ふのは理論上おかしいと私は思つて居りますが、若し立法上之を解決することが出來るならば借地法の更新の規定の場合には、借地法の規定に拘らず、更新した後の存續期間は十年だと云ふやうな規定を一條置いたならば簡單に解決される問題ではないかと思ふのですが、如何でせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=11
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012・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 是より以上或は見解の開きと云ふことになりますが、私共の考としましては「借地法第二條の規定にかかはらず」と云ふ二條だけを外したことに依つて、解釋上は、更新の場合には矢張り借地法の五條等が當然被つて來ることは、大體解釋上は明白であらうと云ふ風に思ひまして、斯う云ふやうに致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=12
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013・霜山精一
○霜山精一君 まあそれ以上は議論になりますから此の問題は此の位にして置きます、本法の第八條に先取特權の規定があるのであります、借地法の第十三條にも借賃に付き賃貸人が先取特權を持つて居ると云ふ規定があるのですが、此の規定の關係はどうなるでせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=13
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014・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 本案の第八條に於きましては、是は賃貸人或は借地權の讓渡人は半強制的に借地權を設定せしめなければならないことになり、又借地權の讓渡をしなければならないことになりますので、其の代償の意味で全部の借賃の全額或は借地讓渡の對價全額に付て先取特權を認めたのでありまして、借地法の所謂最後の二年分だけの地代、借賃に付て先取特權を認めたのよりも、廣く債權所有者或は賃貸人借地權の讓渡人を保護する趣旨で立案したものでありまして、第八條があるからと言ひまして、此の借地法の第十三條の規定は相排斥するものではありませぬのでありまして、此の借地法第十三條の最後の二年分と云ふものに關する先取特權の其の範圍に於きましては、此の要件が各各備つて居る場合に於ては、借地法第十三條の先取特權と、第八條の先取特權が競合して併存する譯でございます、唯借地法第十三條の先取特權を保全する爲の登記のやり方は、地上權とか或は賃貸借の登記をなすに依つて其の效力を保全すと云ふことになつて居るのに對して、此の案の第八條に依りましては、建物の登記に付て其の先取特權の登記を出すと云ふ是はまあ一般の先取特權、民法上の先取特權に付てと同じ方針を堅持したのでありまして、此の點は借地法の先取特權の登記の規定が一般の原則に反しますので、之を一般の原則に據らしめたのであります、でありまするから兩方の登記がありまする場合に於ては少なくとも第十三條の規定する最後の二年分の地代、家賃に付ては二重に先取特權の規定が働くことに相成ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=14
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015・霜山精一
○霜山精一君 それから本法の施行の地區と借地法の施行の地區との間には何か關聯があるのでございませうか、同一になるのでありますか、此の本法施行の地區と云ふのは、本法を適用する地區は勅令で定めると云ふことになつて居りますが、此の地區と借地法の地區との間に廣狹の區別があるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=15
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016・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 區別がございます、即ち借地法は現在は全國に施行されて居りますが、此の法律を適用する地區は勅令で定めることに二十七條でなつて居ります、是は今度廢止致します戰時罹災土地物件令の適用地區は勿論でありますが、それよりも更に擴めて適用地區を勅令で決める積りでありますが、借地法のやうに全國全部に付て之を適用する積りではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=16
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017・霜山精一
○霜山精一君 借地法と本法との關係に付きましてはそれ位にして、もう一つ伺ひたいことがあるのであります、戰時罹災土地物件令に依りますと、罹災土地の上にあつた借地權の存續期間は進行を停止して居りまして、それが「戰爭終了後命令を以て定むる期間を經過したる時又は戰爭終了前と雖も借地権者が」云々「假設建築物に非ざる建物の築造を始めたる時より更に其の進行を開始す」と斯う云ふ規定が第三條にあるやうでありますが、此の從前の借地權が「ストツプ」されて居りますが、是が復活して其の働を始めるのは本法では何時になる譯なんでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=17
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018・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 此の舊令即ち戰時罹災土地物件令の三條に謂ふ「命令を以て定むる期間を經過したる時」と云ふ、さう云ふ命令はまだ出て居りませぬ、でありますから、結局は此の法律の施行に依つて戰時罹災土地物件令が廢止された時から存續期間の進行が開始することになるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=18
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019・霜山精一
○霜山精一君 其のことは規定は要らないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=19
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020・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) それは此の土地物件令を廢止する關係上當然さう云ふ風に自動的に進行が開始すると云ふことは、物件令の廢止に依つて當然さう云ふ風に解釋出來るものと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=20
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021・霜山精一
○霜山精一君 是は今迄あつた戰災土地の借地權の復活の問題は非常に一般に關係の深いことで、何時から土地の使用が出來るか、何時から地代家賃を拂はなければならぬのかと云ふ風に、國民全體に非常に影響のある問題で、戰時罹災土地物件令が廢止になつたから當然復活するのだと云ふやうなことは、法律家でも、私はちよつと分りにくいと思ふけれどもちよつと國民一般に徹底しないかも知れないのですが、或は何か規定を置いて、此の「ストツプ」の状態を復活させるのだと云ふことを明確にさせる必要があるものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=21
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022・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御尤もでありますが、此の法案の第三十條に於きまして、尚存續期間の進行を停止する必要のある場合、即ち舊令の所謂四條一項とか、四項に依つて土地を使用する場合は尚其の使用を一年間或は半年間存續せしめ行かうと云ふ建前になつて居りますので、其の場合は矢張り舊令通り其の存續期間を停止して置く必要がございます、そこで三十條に依りまして、さう云ふ場合には矢張り尚進行を停止すると云ふことを明確にして居ります關係上、さう云ふことのない限りは當然進行を開始すると云ふ風に大體解釋が出來るのぢやないかと思つて居るのであります、其の點を明かにする必要はないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=22
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023・霜山精一
○霜山精一君 三十條はまあそれを前提とした規定のやうには見えますけれども、是は法律家が餘程能く讀んで始めて分ることでありますから、國民に法律の趣旨を知らせると云ふ趣旨から申しますともつと丁寧深切に規定を設けて理論上分るのだと云ふことでなしに斯う云ふ一般の人民の權利義務の關係に非常な影響のある事柄でありますから、はつきり規定に書いた方が宜くはないかと思ひます、是は私の意見ですが、法律家から見れば當然だと云ふやうなことでも、それはなかなか國民は承知出來ない、法律の規定を平易明快にする必要があると私は思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=23
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024・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の點に付きましては御注意の點を能く心得まして一般に關知せしめるやうに他の手段に依つてやる積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=24
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025・霜山精一
○霜山精一君 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=25
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026・竹下豐次
○竹下豐次君 戰時罹災土地物件令、此の勅令の名前は罹災都市借地借家臨時處理法案に較べまして範圍が廣くなつて居りますが、土地物件としてありますのを今度は借地借家としてあります、是は私實情が能く分りませぬのですけれども、察するに戰時罹災土地物件令と題目は書いてあるけれども、其の内容を見ると云ふと殆ど家屋と土地に關する問題でありまして其の外の場合は事實大變少いのであるから、今度借地借家と云ふ狹い範圍に極限した名前を御附けになつたのであらうかと云ふ風にも考へられるのであります、實は戰時罹災土地物件令の出來ました當時に問題になりましたのは家屋關係、建物關係だけでなくして建物のない場所、例へば荷揚場に「クレーン」がある、或は何れも設備がない場所、材木置場であるとかさう云ふ所にも色々問題が起つて來るだらうと思ふのであります、それはどうなるのだらうかと云ふ問題がありまして其の時の政府の説明としてはそれは考慮すると云ふやうなことになつて居りましたのが、結局斯う云ふ風の勅令が出たことに依つて現實の規定になつて居ります、實際の事情から見まして、さう云ふものは除外して顧る必要がないから狹い範圍に決めようとして居ると云ふことでありませうか、それとも是以外の部分は別の法令で決めると云ふ御考でありせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=26
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027・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 戰時罹災土地物件令に於きましては、仰せのやうに燒跡の借地關係或は使用の關係を規定致して居る外に、七條以下に依つて戰時緊急の用途に使用する爲に地方長官が公法上の使用權を設定することを土地收用のやうな行き方で公法上の使用權の設定の事柄も規定して居りますし、又其の外に罹災土地に殘存する枯木とか機械類、燒金屬類の處分のことに付ても第十八條で規定して居りまする關係上、單に借地借家の關係以外のことも全般的に規定して居りまするが故に、戰時罹災土地物件令と云ふ名前に致したと心得ますが、本案では罹災或は疎開地關係の借地借家の關係に限定致しました關係上、又關東震災の當時に於ける借地借家臨時處理法と云ふ名前もありました關係上、今回は物件令と云ふ風に云はないで、借地借家臨時處理法と云ふ名前に致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=27
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028・竹下豐次
○竹下豐次君 其の點はさうでありませうが、私の御尋したいのは借地借家關係以外の分ですね、それに付てはもう法律を必要としないのだと云ふことでありますか、必要とするのだが、それは又外の法律で別に拵へると云ふのか、實際の状況が私には其の必要の程度が事實分りませぬので、強ひてさう云ふ法律を別に御作りなすつた方が宜いとか、或は此の中に一緒にお入れなすつた方が宜いのだとか云ふことを今申げる譯ではありませぬ、實質上と關聯して政府の意のある所を御伺ひ致したい次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=28
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029・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 私共の方と致しましては借地借家の關係のみを目標にして立案致したのでありますが、唯仰せのやうに他の使用權を設定して、其處を色々の材木等の置場に使用するとか、或は燒跡の物件の關係をどうするとか云ふやうなことに付きましては本令の第三十三條及第三十四條で處理して居りまして、現在設定せられた使用權を五年の間尚存續する、それから三十四條で燒跡の一應國庫に歸屬することになつて居りまするが、さう云ふものに付て燒跡の燒金屬或は燒機械と云ふやうなものは國庫に歸屬して居るが、是は一般の物品會計規則に依らないで、之を自由に處分し得ると云ふ十八條の規定と三十四條で尚本法施行後と雖も其の效力を有せしめて居りますので、斯う云ふ規定を經過的に效力を存續せしめることに依つて大體其の目的を達するものと云ふ風に復興院等の關係で考へられて居るやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=29
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030・竹下豐次
○竹下豐次君 此の戰時罹災土地物件令が出來ました時の政府の説明と致しましては、材木置場とかさう云ふ「クレーン」のある岸壁と云ふやうな所は含んで居ないと云ふ御説明だつたのです、それは矢張り今の御説明の中技術的に政府の方では御解釋になつて居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=30
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031・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 此の物件令に依つて地方長官が公法上の使用權を設定せしめられた場合には、非常に廣く其の用途に使用する、即ち防空とか生産とか交通とか其の他戰時緊急の用途に充つる爲に、使用設定を認めることになつて居りますから、其の使用に使ふかと云ふことは相當廣いやうに心得て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=31
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032・竹下豐次
○竹下豐次君 さうすると其の當時の會議の席に於ける政府の説明としては、今私の申上げましたやうな説明を承つて居つたのでありますが、併し此の問題は又考慮すると云ふことで、それきりになつて居つたのであります、或は其の取扱に付きまして、我々には分らないけれども、役所内部で指令でもされてさう云ふ取扱になつて居ると、斯う云ふ風に理解して宜しいのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=32
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033・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の當時の政府委員がどう云ふやうに御答辯致したか、實は引繼いで居りませぬのですが、尚其の點は復興院等が主として關係致して居る次第でありまして、先程申上げましたやうに、罹災土地物件令の尚存續せしめて置く必要のある部分だけは、先程申しました條文に依つて存續せしめて居るのでありますが、それ以外に何等かの措置を講ずるかどうか、只今司法省としてはちよつと御答し兼ねる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=33
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034・竹下豐次
○竹下豐次君 尤も私の意見と致しましては、さう云ふ場合にも今「クレーン」とか、材木置場とか云ふことを申しましたが、さう云ふ場合にも矢張り保護する規定が必要であると考へて居りますので斯う云ふ質問を致したのでございます、それに對しまして、先程法律案の附則の第三十三條の條文に付きまして、當分是で保護して行くのだと云ふ現在の政府の御解釋でありますれば、私の希望は達せられる譯でありますから、それがいけないと申上げる意味ではありませぬ、尚復興院の方とも能く御相談されましてはつきりして戴けば結構であります、それから次に是は法律の條項を引張り出せば分ることでありますが、甚だ迂闊で存じませぬから其の儘御伺ひ致しますが、貸間料と云ふものに付きましては法律か何か制限規定があるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=34
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035・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 貸間料と云ふことに付てはないと心得ますが、それが獨立的に使用されて一つの建物と同じやうに取扱はれるやうな状態でありますれば、矢張り家賃として、地代家賃統制令の適用を受けるものと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=35
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036・竹下豐次
○竹下豐次君 是は方々であることだらうと思ひますが、私も實例を知つて居りますので御尋ね致しますが、家賃の方は制限がありまして相當に今の處安い借家料で貸して居り、借家人が其の一室か、二室か、極く一部分を又貸しまして、其の又貸料は自分の拂つて居る家賃の十倍も取つて居るのがある、是は商店街の問題でありますけれども、さう云ふことは非常に何の爲に家賃を法律迄設けて制限するのか、ちよつと疑問になると思ひますが、其の點に付てはどう云ふことになるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=36
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037・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 或は非常な暴利であれば暴利取締令等の規定が適用されるかと思ひます、尚地代家賃統制令も全面的に近く改定せられることと思はれますので、さう云ふ點は十分考慮されることと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=37
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038・竹下豐次
○竹下豐次君 暴利取締令で取締られると云ふことは、是は當然なことだと存じて居りますが、暴利取締令と云ふことだけの説明で行くならば、借家の問題に付ても同じことでありまして、特別に上げてはいけないと云ふことを暴利取締でやるのだと云ふことであつて借家の方に付ては暴利取締令でなくて、又外に一つ作るが、今の場合に付てはないのだと云ふことはちよつと片手落のやうであると思ひます、其の點に付ては尚御研究を御願したいと思ひます、今のは御答辯は要りませぬ、外にまだ逐條に入りましてから御尋したいことがございますけれども、一般的な質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=38
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039・大久保教尚
○子爵大久保教尚君 此の法案の罹災者の保護など社會政策上甚だ結構な御案だと存じて居りますが又一方例へば目下政府で提案中の特別都市計畫法案と云ふやうな何と申しませうか、大所高所より觀た法案との關係は、それはどう云ふ風に御調整になつて居られませうか、即ち此の法案が臨時處理法と云ふ名を見ても、其の邊の事情が多少窺はれるやうな氣がしますが、此の特別都市計畫法のやうに、罹災都市の百年の計の爲に、所謂權原のある罹災者の利益と云ふのも或程度之を抑制して行くやうに存ぜられます、況してや其の土地所有者なる者、借地權者のやうな場合には尚更さう云ふ點があらうと存じます、それで此のやうなことに付て例へば、殊に具體的に言へば、地主や借地權者が民法上の今迄の規定より退歩して居る電と云ふやうな顯著な御心配があれば承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=39
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040・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 仰せのやうに此の法律案は罹災跡地に關する一應の權利關係を調整することを目的として居るのでありまして、他面國家的見地から特別都市計畫法等を設定して百年の計を立てることは勿論望ましいことでありまして、本法に於きましてもそれ等とは全然關係がないのではないのでありまして、此の前にもちよつと御説明申上げましたやうに例へば二條の第一項の但書等で、他の法令に依つて其の土地其の土地に建築をすることに付て許可が要ると云ふやうな場合には、假令罹災者と雖ども是は借地權の設定と云ふやうなことが出來ないことにもなつて居りますし、又九條等の但書に依りましても疎開跡地に付て尚公共團體が其の敷地、換地を自ら使用し、或は所有して居ると云ふ風なことに依つて、社會公共の爲に之を利用して行かうと云ふ場合は、其の方に讓歩して行くと云ふ建前、此の建前は都市計畫法、其の他の一般建築、市街地建築物法とか、さう云つた國家計畫等とは何等矛盾しない限度に於て罹災者を保護して行かうと云ふ建前になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=40
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041・大久保教尚
○子爵大久保教尚君 どうも有難うございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=41
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042・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 外に一般的な御質問はございませぬか別に御質問がないやうでございますから是より逐條審議に入ります第一條から御願致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=42
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043・竹下豐次
○竹下豐次君 御尋ね致します、豫め當局の御了承を御願ひ申上げて置きたいのでございますが、最初の日に政府委員から、各條文に付きまして可成り細かい御話を承りましたので、能く頭に入れて置かなければいけなかつたのでございますが、少し聽き落したのでありますが、量が多いので、一々記憶して居ないものがあります、或は重複したり、脱けて居るやうなものもありませうが、其の點御許しを願ひます、それから私の是から御尋ね致しますることは、餘り手を挾んで、是々と云ふことよりも、寧ろ條文に使つてある文字、其の他の意義の解釋に付ての、御尋が多いのであります、從つて非常に細かいことになります、實際の問題としましては、細かいことが爭ひの種になると思ひますので分らない點を御迷惑と思ひますが、細かい點を御尋ね申上げますが其の點を御了承願ひます、此の第一條に滅失と云ふ言葉が使つてありますが、滅失と云ふのは、例へば「ビルディング」などで、直ぐには使はれない、壞された當時は使へないが、ちよつと手を入れれば使へると云ふやうな物が、相當に殘つて居ります、さう云ふのは滅失した部に入るのでありませうか、入らないのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=43
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044・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 結局それは事實問題に相成るかと思ひますが多少修繕すれば、直ちに使用が出來る程度のものでありますれば、滅失の中に入らないと思ひます、倒壞してしまつたやうなものは滅失に入りますが、修繕に依つて使用出來るものは入らないと云ふ風に解釋して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=44
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045・竹下豐次
○竹下豐次君 それから此の法律の題目には、借地借家と云ふ言葉が使つてありますが、第一條には滅失したる建物として、借家と云ふ言葉と書き分けてありますね、是はどう云ふことになりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=45
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046・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 第一條は、唯是から二條以下に出て來る文字の、一應の定義を致したのでありまして、借家のことは第一條の一番終りに、借家と云ふのは云々と云ふ風に定義を下して居りまして、此の罹災建物と云ふ場合には、直ちに二條等に出て來ます、罹災建物と云ふのは、何を言ふかと云ふことの定義だけを第一條で規定してありまして、別段色々なさう云ふ深い意味がある譯ではありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=46
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047・竹下豐次
○竹下豐次君 借家以外の建物で何か關係があることがございませうか、讀めば分るのでありますが皆な借家だけの問題ならば、建物と云ふ言葉で使ひ分けをする必要はないぢやないか、と私は解釋しますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=47
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048・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 例へば疎開建物を、自分で持つて居つた場合でも、第九條等に依つて、借地權がもうなくなつて居るやうな場合に、更に借地權を持ち得ると云ふ規定がありますので、疎開建物が自分のであつて、自分で借家でなく、使用して居つたやうな場合に、勿論さうなります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=48
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049・作間耕逸
○作間耕逸君 私は此の法律の題名でありますが、矢張り臨時と云ふ字を使つて、臨時處理法と云ふことになつて居りますが、是は此の前、大正大震災の直後に出來ました、借地借家臨時處理法の例に從はれたものと思ふ、處があの借地借家臨時處理法と云ふものは、大震火災後二十有餘年を經て居る今日、尚臨時處理法は其の儘生きて居る、餘り臨時にしては長過ぎる、一體此の臨時と云ふのが、臨時に非ざる原則のものはなんに據つたんであるか、借地法の原則、借家法の原則、之を對象として、臨時と言はれるのでありまするか或は將來何か本則が出來る、之を對象として、それ迄の臨時と言はれるのでありませうか、其の臨時を特に付せられた趣旨と、臨時に對する、臨時に非ざるものは現在あるのですか、將來現はれて來ると云ふことになるのでせうか、之を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=49
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050・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 仰せのやうに、此の前の借地借家臨時處理法は、臨時法として或存續期間を決めて居つたのでしたが、段々其の全部廢止することが出來なくなつて、どんどん延ばして行きまして、現在尚昭和二十三年迄でありますか、存續することになつて居ります、併し現在之に關する、裁判所に係つて居る事件等も全然ありませぬので、此の法律の附則に於きまして、此の前の臨時處理法を廢止致すことに致したのでありますが、本法も初は此の法律は臨時法と云ふことを明かにする爲に、何年間存續すると云ふ風にやることになつて居りましたが、此の前の先例に依りまして、後から又それを延ばさなければならないと云ふことであつては、殆どそれは初に嘘を掲げるやうなことになるので、不必要ならば是は廢止すると云ふことにして置いて、處理法では何年間此の法律が效力を持つのだと云ふことは、表面は規定しないことに致しまして、將來是が必要がなくなつた時機に於きましては、之を廢止すると云ふ意味で、臨時法であると云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=50
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051・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 第一條に別に御質疑はございませぬか…ないと認めます、次に第二條に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=51
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052・作間耕逸
○作間耕逸君 此の法律は建物の場合に於て、居住者を本位とせずして、總て借主を本位として居りますが、此の點が終戰直後、公布せられた物件令と異なる所で、物件令は居住者を本位として居りますが、是は借主は正當な賃貸借の當事者である、其の權利關係を保護するのだ、それ故に借主としたのだと云ふ御趣旨と承つて居りますが、又それは分つて居りますが、實際は前にもちよつと御質問が出たと思ひますが、借主はもう戰時中直ぐ田舍に引込んで、總て荷物を引揚げ、さうして凉しい顏をして避難をして居る、出入の者が留守番に頼まれて、さうして戰時中色々防備警戒に任じて、遂に力及ばずして自分の家具家財と共に建物を燒失したのであります、中には怪我迄した者もある、斯う云ふ場合に於はて國民、國家として同情すべきは法律上の借主其のものにあらずして、實際戰災當時其處に居住して居た、さうして防護に任じ大いに罹災等に市民として活躍した、斯う云ふ者を無視する譯に行かないのであります、而も其の者は不法占據者でない、正當なる借主の爲に其處に來て居るのだから、矢張り司法當局は借主一本で行かれる積りでありませうか、さう云ふ場合の居住者をも認められる御意嚮はないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=52
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053・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 勿論居住者は最も第一位に之を保護しなければならないと存じまして、其の居住者は戰時罹災土地物件令の第四條に依りまして、居住して居る者は其の敷地を自ら使用することが出來ることになつて居ります其の關係を本令の附則に於きまして第二十九條と第三十二條でありますが、一應此の居住者は二十九條に依つて其の儘の状態を一年間保障して居ります、而して其の保障された一年間の間に於て第三十二條に依りまして、此の一番初の二條以下を準用することに依つて借地權の設定を得ることが出來る途を拓いて居るのでありまして、斯う云ふ意味に於きまして、其の建物を居住者を最も厚く保護して居る建前になつて居ります、寧ろ此の二條は借主と言つて居りますが、居住者は第三十二條に依つて其の上の保護を受けて居る建前になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=53
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054・作間耕逸
○作間耕逸君 御説明になつた條項は居住者の爲にも無論適用されますが、是は必ずしも居住者に限らず、居住者以外のものにも適用されるのではありませぬか、居住者に限る特權ではないのではないでいでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=54
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055・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 此の罹災土地物件令第四條では、建物の滅失したる當時、其の建物に居住したるものは敷地を使用することが出來ると云ふことになつて居りまして、第四項に行きまして、其の居住者が使用しない場合に於ては土地所有者は自ら使用するか、或は他人をして使用せしむることが出來ると云ふことになつて居ります、而して本案の二十九條に依りましては、それ等のもの全部に付て保障を與へ、三十二條に依つて此の二條以下が準用されることになります關係上、要するに居住者のみならず、居住者が使はない場合には第三者が入つて來ることがありますが、居住者に先づ第一に保護を與へて居ると云ふ關係になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=55
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056・作間耕逸
○作間耕逸君 それから第二條の第三項ですか、「建物所有の目的で自ら使用すことを必要とする場合」、此の「自ら使用することを必要とする場合」と云ふことが、實際上色々と問題になりがちな場合であります、例へば土地の所有者が、今自分は建てつつあるし建てる用御をして居るのだ、併しながらなかなか資材が間に合はない、大工なんかを傭ひ込めない、殊に資材が間に合ひ大工なんかを傭ひ込むことが出來ても、今日の最も暴騰した時代に私は建てたくない、もう少し安くなつた將來に於て建てたい、だが兎に角建てることは建てるのだ、故に御貸しすることは出來ない、斯う云ふやうに言つて地主が斷つたとしますれば地主は全く自分の自由意思からして、慌てて建物を建てない、いつも其の土地は放任されて居る、地主がさう言ふ以上、誰も使ふことが出來ない、全體から見れば非常に復興が遲れる、斯う云ふ場合が有り得るだらうと思ひますが、さう云ふ地主の辯解は、矢張り拒絶の理由として認められまするかどうか、認められるとすれば、其の根據は何處に在りませうか、それを伺ひよいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=56
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057・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 此 の「自ら使用することを必要とする場合その他正當な事由」と云ふ用法は、御承知のやうに現在の借家法或は借地法等に於ても規定して居るのでありますが、本案に於きましては更に「自ら使用することを必要とする」と云ふだけではなく、「建物所有の目的で自ら使用することを必要とする」と云ふ風に制限を加へて規定致したのであります、結局建物所有の目的で自ら使用することを必要とすると云ふのが一つの正當な事由の代表的なものとして之に掲げたのでありまして、單に自分が使ひたいと云ふだけの意思を持つて居ると云ふ程度では足りないので、それを自ら使用することを必要とすると云ふ事情があつて、それが一つの正當な事由の現れとして、さう云ふ自分で使はなければならないのだと云ふ必要のあることを明かにしなければいけないのでありますが、若し之を拒んで爭ひになつた場合に於ては、第十五條以下の規定に依つて裁判所が、從前よりの借地の關係とか士地とか建物の状況其の他一切の事情を斟酌して之を決める、具體的な場合はさう云ふことになつて參ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=57
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058・作間耕逸
○作間耕逸君 只今の政府委員の御説明は、正當の事由となる使用の目的から仰せられた、それは能く分りましたが、私が申上げるのは主として使用の時期です、所有者が、自分は家が全く燒けた、今田舍へ一時引き移つて居るが、人の家を借りて居る位だから、此の敷地に家を建てて歸つて來る、是はもう事實であつて、誰も之を認めなければならぬ、併し何時歸つて來るやら、十年後に歸つて來るやら、二十年後に歸つて來るやら或は二、三年後に歸つて來るやら其の時期が不明確な場合に於ても矢張り拒絶の正當なる事由となりまするか、時期を標準として主として伺つたんですが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=58
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059・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) さう云ふ場合には客觀的妥當性を以て諸般の事情を考慮した上に、それが果して妥當であるか、妥當でないかと云ふことから考慮して、裁判所で決めるべき問題と考へますそれから今御説のやうな場合は恐らく正當な事由の中には入らないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=59
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060・作間耕逸
○作間耕逸君 さう云ふ御見解ならばさう承つて置きませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=60
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061・霜山精一
○霜山精一君 今の作間君の御質問に付きましては大臣の御答辯がありましたが、現在の情勢で建物を建てることは非常に困難なことは能く御承知の通りであります、建物を建てようと思つても有らゆる隘路があつて急速に建物を建てることが出來ない現状にあるですから、本當に建物を建てたいと所有者が思つて居るけれども、四圍の事情でどうも手の下しやうがない、斯う云ふ状況の下に於ては二年や三年建てられないからと云つて、是はどうも正當の事由がないのだと云ふ風に判斷されると、所有者としては非常に迷惑になるのぢやないかと思はれるのですが…此の諸般の經濟上の事情を考慮して、矢張り本當に建てる意思が所有者にあると云ふ風に見られる場合には、矢張り正當の事由はあると見るのが、客觀的に妥當性があるのぢやないかと云ふ風に私は思ふのであります、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=61
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062・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 無論さうでまります、それは徒に建てることを制限するのぢやなくて、建てたくても現實の問題として諸般の情勢から建て得ないと云ふ場合には、無論正當な事由の中に入ると云ふことは勿論のことであります、今私が申上げたのは所謂客觀的妥當性がありや否やと云ふことの觀點から、之を解決して行かなくちやならぬと斯う考へて居ります、今政府委員から申上げましたやうに唯建てると云ふことでなしに、自分がそれを使用する現實の必要があるか否か、それが一つの要件になつて居ります、そこに重點を置いて居るのであります、どうしても自分は外に住むべき家がない、建てなくちや住めないのだと云ふやうな現實の必要に迫られた場合以外です、唯建てて人に貸すと云ふやうな目的ではいかぬのだと云ふ是は趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=62
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063・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 外に御質問ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=63
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064・霜山精一
○霜山精一君 第二條の末項に第三者に對抗することの出來ない借地權は第一項の適用に付ては之を借地權でないものと看做すと云ふ規定がありますが、對抗することの出來ない借地權と云ふのは例へばどう云ふものを指して居られるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=64
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065・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 實は此の規定はちよつと變に御感じになるかと思ひますが、唯此の末項の趣旨は、借地權があれば借地權を讓受けると云ふ第三條の方で行く借地權が其の實ない場合に於ては地主に借地權の設定を求めると云ふ第二條で行くと云ふ意味で、二條の場合か三條の場合かを決める場合に、借地權はあるが建物の登記も借地權の登記もないから、さう云ふものは借地權のないものとして取扱つて、第二條で借地權の設定を受ける處迄行くので、若し第三者に對抗し得る借地權があれば、第三條で其の借地權を讓受ける方で行くのだ、どちらに適用せしめるかと云ふことをはつきりする爲に茲に末項を規定した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=65
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066・霜山精一
○霜山精一君 例へば或土地を借受けて借地權を設定して建物を建てて行く、處が其の借地權に付ては登記もしてない、又建物そのものに付ても建物の登記がしてなかつた、斯う云ふ場合には第三者に對抗の出來ない借地權であると云ふことは間違ひない、併しながら土地所有者と借地人との關係に於ては立派な借地權であることには是は間違ひない、處が其の建物が罹災滅失した、其處に其の建物に居住して居つた者が其の借地權を承繼するかどうかと云ふ問題になる譯ですからして、其の建物に居住して居つた者は、建物の借主と云ふものは、別に其の所謂對抗問題に關係のある第三者ぢやない譯なのですね、第三者に對抗することを得ずと云ふ其の第三者と云ふものは決つて居るのですね、建物を借りて居る人は第三者に該當しない譯なのです、ですから其の借地權をないなどと見ると云ふことは少しくをかしな話であつて、當事者間には土地所有者と借地人との間には、立派な借地權がある譯ですから、其の前の立派に成立して居る所の賃貸借を承繼するのが法則であつて、それをないものと見ると云ふのはどうも私の了解することの出來ない所で、それを第三者と見たのぢやないかと思ふのですが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=66
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067・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 只今御質問の場合に於きましては、是は罹災土地物件令で、さう云ふ家屋が滅失した場合に於ては、登記がなくても第三者に對抗し得ると云ふことになつて居りまするし、本令の第十條に於きましても、今後尚五年間第三者に對抗し得る、登記がなくても對抗し得ると云ふ扱に致して居りますから、御質問の場合に於ては借地權があるものとして第三條の適用があると云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=67
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068・霜山精一
○霜山精一君 今の御説明に依りますと、第三者に對抗することの出來ない借地權と云ふのはどう云ふ借地權であるかと云ふことが殆ど分らないことになるのぢやないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=68
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069・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 本法を必ずしも此の罹災地全部に適用と云ひますか、罹災した敷地の場合に於きましては只今申しましたやうに、第十條なり罹災土地物件令と云ふものに依つて、登記がなくても對抗が出來るのでありますかそれ以外の土地に付てはさう云ふ特權を與へて居りませぬから、さう云ふ土地に關する借地權と云ふことも考へ得るのでありますし、それから本法施行前に新らしく借地權を設定して居ると云ふやうな場合に、借地權者が二條に依つて借地權の設定を求める前に、地主との間に借地權を設定したが、まだ登記等をして居ないと云ふやうな場合も考へられるのでありますので、さう云ふやうな場合に果してちやんと借地權があるかどうかと云ふことがあれば、借地權の讓受をしなければならないし、なければ借地權の設定の方で行くと云ふことになりますとで、此の紛はしいと言ひますか、何等の登記も或は手續の登記もない、唯地主との關係で借地の口約束等をしたものが若し假にあつたと云ふやうな場合に、それを探して其の借地權の讓受を受けなければならないと云ふことに致しますことは、借主に非常に何處へ持つて行つて宜いか不明確な場合がありますので、はつきり第三者に對抗出來る借地權がなければ、借地權がないものとして借地權の設定を受け、さう云ふ風な借地權がはつきりある所謂第三者に對抗し得る借地權を持つて居る場合には、第三條でそれを讓受けると云ふ方法で行かうと云ふ風に致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=69
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070・霜山精一
○霜山精一君 私がさつき擧げました例と致しまして建物が罹災したと云ふと、土地物件令の適用があつて、さう云ふ場合には當然其の借地權と云ふものは建物がなくなつたのですから建物の登記がなくても第三者に對抗が出來る譯ですね、さう云ふものに付ては、是は普通の第三者に對抗の出來ない借地權なんだけれども、土地物件令に依つて對抗が出來得るやうになる、さうすると、それを其の建物の借主が今度借地權を得たいと云ふ時には、詰り其の前の所謂對抗の出來なかつた借地權を讓受ける、斯う云ふ風に承知して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=70
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071・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の場合には所謂罹災土地物件令の第六條に依りまして、さう云ふ借地權者は「其の登記及當該土地の上に存する建物の登記なきも之を以て…第三者に對抗することを得」と云ふ規定に依る其の借地權の讓受を第三條に依つて讓受けることになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=71
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072・霜山精一
○霜山精一君 さうすると、此の第二條の末項にある第三者に對抗することの出來ない借地權と云ふ文字は非常に今の御説明に依りまして土地物件令を對照して多少初めて分ることになるのであります普通に使ふ普通の意味で斯う云ふものは之に入るのぢやないかと云ふ風な疑問が起るのですが、若し何でしたら此處で括弧でも入れて此の土地物件令に依つて對抗の出來るものは之に入らぬのだと云ふことを明かにしないと、是だけで讀むと、普通の民法の觀念で讀んでしまふ、非常に不明確になるだらうと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=72
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073・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 御説明御尤もでありまするが是も先程と同じやうに、物件令と對照して讀めば、是は登記がなくても對抗が出來ると云ふことになつて居りまするから此處に對抗出來ないと云ふ字が入らぬことは解釋上明かだと考へたのでありますが、是も先程と同じやうに素人にはちよつと分り兼ねるのぢやないかと云ふ御叱りを受けるかと思ひますが、まあ法律的に言ひますと、明かではないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=73
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074・霜山精一
○霜山精一君 土地物件令は本法に依つて廢止せられるのですから廢止せられると同時に、此の第六條の規定も廢止になつて對抗力を失ふのぢやないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=74
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075・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) それは更に本令の第十條に依つて其の關係を受繼いで行くことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=75
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076・霜山精一
○霜山精一君 此の十條は昭和二十一年七月一日から五箇年内に土地に付て權利を取得した第三者に對抗が出來ると云ふことになつて居るやうにあるのですが、それ以外の第三者には矢張り此の借地權は對抗出來ないのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=76
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077・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の以前のものに付きましては、もう既に先程も罹災土地物件令の第六條で對抗し得たものと致しまして既に對抗し得た效力は當然殘る積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=77
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078・霜山精一
○霜山精一君 此の本法の施行は何時になるか知りませぬが、七月一日に施行すると云ふ譯なんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=78
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079・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) さうではありませぬ、七月一日頃には大體世の中の人が此の法案を知ることになりますから、本法施行迄の間に色々權利者を作つて對抗が出來ないと云ふ風になつては困ると云ふので、七月一日から終期は餘り長くても取引の安全を害しますので、五年以内の權利を取得した者に對抗出來ると云ふ風に致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=79
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080・竹下豐次
○竹下豐次君 第二條の換地と云ふ言葉がありますが、是は何か現行法令に使つてある法律語でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=80
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081・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 是は此の市都市計畫法に依つて、殊に特別都市計畫法に依つて換地處分のあつた場合の換地を意味するのでありまして、是は現在の借地借家臨時處理法等にも換地と云ふ言葉を使つて居ります、それを入れたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=81
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082・竹下豐次
○竹下豐次君 少し何でございますけれども、御説明願ひたいのでございますが、普通換地と云ふ、一度疎開された土地、建物の疎開されまして空地になり、或は道路計晝等の爲に公共團體等で借りたそれを元通りに返すと云ふのは、矢張り換地に入るのか、又は返し地と云ふか、全く素人のやうな御尋でございますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=82
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083・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 是は都市計畫等に依りまして、耕地整理と同じやうな規定が適用されまして、此の區劃整理の區域内にある此の土地は外へやつて、其の代りとしてこちらの士地を、其の土地と同樣に、其の代りに入れると云ふ手續を、區劃整理に依つてやることになつて居りますが、其の場合には前の土地と所謂換地とは、同じものと見ることになつて居ります、ですから區劃整理の結果、甲の土地を取上げて乙の土地を其の代りに入れると云ふことになるのでありまして、其の場合には所謂乙の土地が、茲に謂ふ換地と云ふことになるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=83
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084・竹下豐次
○竹下豐次君 普通の場合には計畫をしつかり立てまして、取上げて、其の換地をやると、云ふことになりますが、今度の戰災のやうな場合は、まだ計畫と云ふものの能く立たない、さうして一應預つた形で、元の土地を其の儘に返すと、それは此の換地ぢやない譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=84
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085・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) それは正式に區劃整理に依つて、換地處分を行ふ場合だけの換地でありまして、今度は特別都市計畫等が實施せられて、色々區劃整理が行はれることと思ひます、其の場合を豫想して、換地と云ふ言葉を使つた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=85
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086・竹下豐次
○竹下豐次君 今御尋した場合も換地と云ふ中に入りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=86
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087・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 元の土地を其の儘に返したやうな、其の場合には入らないのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=87
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088・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) ちよつと御諮り致しますが、時刻も大分切迫致しますから明日に御延ばし願ひたいのでございます今日は此の程度で休憩致しまして、午後からは戰災復興院及大藏大臣に御出席願ふことになつて居ります、司法關係は明日午前十時から開會致すことに致します、是で休憩致します
午前十一時五十五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=88
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089・会議録情報3
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午後二時四分開會
午前に引續き開會致します、大藏省の政務次官が御見えになりましたから、是から質疑を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=89
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090・作間耕逸
○作間耕逸君 大藏省の政府委員に申上げます、今私共が審譯致して居りまする法律案は、御承知の通り罹災都市借地家臨時處理法でありますが、國民生活對する政策の上から云へば、住宅難打開の一つの施設的法律になるのであります、そこで其の住宅難打開の方策に付て御伺ひ致したいのは、此の家屋の賣買と云ふものが統制令布されて以來非常に手續が面倒になつて居りまして、之を相當程度緩和することは、家其のものは殖えませぬ、賣買でありますから殖えませぬけれども、大都市に於て家が不用になつた人はそれを賣拂つて、さうして其の金で郷里にでも歸つて歸農でもして、其の金で其の後の生活の基を立てたいと云ふ人もあります、今度はそれとは逆に地方に居る人がどうしても都市に住みたい、又都市に住む必要もあるし、さう云ふ資格も持つて居る、處が家がなくて都市に入れない、さう云ふ場合には一方必要のない人は賣渡し、必要のある人は之を買受けると云ふことになりますと、消極的ながら家屋の融通が付いて、矢張り住宅難もそれに依つて打開される一助ともなりまするし、又人口を調節する方面から見ましても、其の一つの助けになるのでありまうが、現在は建物を賣りましても其の代金は現金では全く受授出來ない、代金は豫め大藏大臣に屆出でて舊債務を償還するか、或は國債を購入するか、或は定期の預貯金にするか若くは保險金等に支拂ふか、其の何れかの處置を執らなければならぬ、豫め之を屆出をして、それから今度賣買が濟んだ後に、其の通り確かに實行致しましたと各關係方面、即ち銀行或は公債の求め先、郵便局保險會社、或は舊債を返したならば、舊債を返した、それ等の事實の證明を取つて今度はそれを此の通り實行致しましたと云ふことを大蔵大臣に報告しなければならない、すると云ふと、賣つても全く現金を一文も手にすることが出來ない、それは資金調整令に規定があるのでありますが、資金調整令が出ました當時は、現在のやうに預貯金の封鎖、即ち金融緊急措置令に依るあの扱ひがなかつたから「インフレ」阻止の上から云つても、家屋は賣買しても現金は一文も受授することが出來ないと云ふ必要はあつたでありませうけれども、現在に於てはもう預貯金は緊急措置令に依つて封鎖されました現金は五百圓生活の範圍内に於て單に生活資金としてのみ拂戻を受けることになつたのでありますから、もう家屋の賣買代金に對するあの現金制限の措置と云ふものは必要がなくなつたから、解消せられて宜いのではないか、さうして成るべく家屋の賣買を、必要のない者から必要のある者に圓滑にするやうにさして、さうして其の代金は專ら金融措置令で處理せられて宜いのではありますまいか、さうすれば、それは消極的ではありまするけれども、矢張り住宅緩和の確に一つの方法に相成ると信じまするが、其の點に對して政府の御見解なり御方針を伺ひたい、斯う云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=90
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091・上塚司
○政府委員(上塚司君) 土地建物の賣買に付きましては、三千圓以上のものに對しましては只今作間委員から仰せになつた通りの方式を採るやうに、確か昭和十八年八月の金融調整令に依つて定められたと記憶致して居ります、其の結果、是は主として大口資金を郵便局其の他に預入せしめまして「インフレーシヨン」を防止すると云ふ方途に出でたのでありまして、其の結果相當の效果を擧げたやうに思はれます、併しながら過般の預金封鎖以來の總ての取引が封鎖預金に依つて爲されることになつて參りましたので、極く少い場合の、現金の取引で家屋や土地の賣買をする場合の外は、先程申されたやうな措置を採る必要がなくなつて參つたのであります、而も昨今は現金の取引と云ふものは極めて少いことになつて居りますからして、實際上から申しますると、此の資金調整令に依る家屋土地の取引の措置と云ふものは、事實に於ては積極的に行はれて居ない状態であります、出來るだけ他の經濟措置と考へ合せまして、早い機會に於て斯う云ふものはなくするやうに致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=91
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092・作間耕逸
○作間耕逸君 能く分りました、唯御答辯の中、大口の賣買と仰せられましたが、是亦御答辯に相成つた通り、三千圓以上は皆さうなんで、今日の通貨の價値から申しますと、三千圓位のものは全く少額でありますから、賣買の大部分が殆どそれに該當するので、今日では三千圓で家屋の賣買が出來るやうな情勢でないことは、政府委員も能く御承知であらうと思ひます、今一つ、現金の賣買がなくなつて居る筈であるからと仰せられましたが、是は案外、家屋の賣買等必要に迫られてやる場合には現金取引が行はれるのでありまして、私共が不可解に存ずる位現金がさう云ふ方面には使用されるのであります、ですから、矢張り是は只今仰せられた如く、一般の預貯金封鎖の例に依つて封鎖なさることは「インフレ」阻止の上から無論必要でありませう、さうして唯封鎖預貯金から生活資金の現金を引出すあの一般の金融措置令に從へばそれで宜しいのでありますが、あの報告、屆出、殊に實行の證明、ああ云ふものは速かに撤廢をして戴きたい、政府委員の御答辯も其の趣旨に拜承致しましたから、其の實現が成るべく速かならむことを希望致しまして、私は政府委員の御答辯を滿足を以て拜承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=92
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093・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) もう御質問はそれで…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=93
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094・作間耕逸
○作間耕逸君 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=94
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095・霜山精一
○霜山精一君 建物が全國的に非常に澤山罹災したのでありますがそれには皆相當の保險が附いて居つた譯であります、さうして關東大震災の場合は、保險約款に地震に依る災害に付ては保險金を支拂はないと云ふことになつて居るに拘らず、色々見舞金のやうなてのを出させて、さうしてそれを以て復興の一助にしたと云ふやうな先例もあるのですが、今度は戰災保險と云ふものでありまして、戰災に依るものは保險金を拂はなければならぬと云ふことになつて居るのでありまするから、此の保險金と云ふものは、物に代はるものなんです、物はなくなつたけれども金がここに浮いて來た、即ち建物が金に代つて居る譯なんです、でありますから、建物を復興するには、此の金を生かす外にはない譯であります、金があれば此の建物が、家の代りの金ですから、金で以て建物を復興し得る譯であります、處が、此の保險金に付ては封鎖預金と云ふものに…封鎖預金ぢやない、特殊預金と云ふものになりまして、殆ど其の大部分を支拂はれない、斯う云ふ情勢になつて居るものですからして、都市の復興を非常に政府としては希望せられて居るに拘らず、保險金の方を押へて之を復興しろと云ふことは、實に難きを責めることに私はなると思ひます、だから此の點はどうしても或一定の限度に於て、此の特殊預金と云ふものを解除しなければ、本當に復興と云ふことは出來ないのぢやないか、其の點に「インフレ」對策と復興と云ふものとの間に非常に困難な問題があると思ひまするけれども、資金がないが爲に復興が出來ないと云ふのも非常に一つの大きな原因ぢやないかと思ふ、是は色々復興に付ては資材がないとか、或は勞力がないとか、或は賃金が高いとか、色々な關係もありまするけれどもまあ金のない、資金がないと云ふことが、最も大きな原因ではないかと私は考へて居ります、其の點に對して大藏當局としてはどう云ふ處置を將來執らうとせられるのであるか、保險金と云ふものは、是は巷間傳へられる所に依ると殆ど特殊預金と云ふものは紙になつて了ふのではないかと云ふやうなことも言つて居るのですが、或程度に於ては之を解除して復興の一助にすると云ふ御考はないでありませうか、其の點に對する大藏當局の御考を一つ十分伺つて置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=95
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096・上塚司
○政府委員(上塚司君) 戰災保險金をどうするかと云ふ御尋に對しましては、目下政府としては其の點に付て程々考慮を致して居ります、尚關係筋等の承認を經る必要がありまして、此の點に付きましては、或は軍事扶助の問題であるとか、國債の問題であるとか、さう云ふ問題と同時に綜合經濟對策と云ふやうなものが議會に出されさうして御承認を仰ぐやうなことになるだらうと思ひます、只今戰災保險に付てどう云ふ處置を執るかと云ふことはまだ發表する時期に達して居りませぬ、其の點を御了承を御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=96
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097・霜山精一
○霜山精一君 保險の問題は只今の御説明で能く了承致しました、是は矢張り住宅問題として急速な解決を要するのでありますが、外の點にも色々御關係があると思ひますけれども、住宅問題の解決を急ぐと云ふ點から、急速に是は解決をしなければならぬ問題ではないかと私は思ひます、それからもう一點戰災を受けた者が家を建てるに付て矢張り金を要する譯ですが、其の金が一面に於ては緊急措置令に依つて封鎖されて居る、建物を建てるが爲に極めて僅かの限度に於て出せることにはなつて居りますけれども、今日の建物を建てるに付て必要とする金額は一萬圓位では實際の處は何も建たないのです、此の限度を相當擴張して戴かないと、矢張り建物の復興と云ふことは出來ないのではないかと云ふ風に考へて居るのでありますが、其の點に付て政府の御所見を一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=97
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098・上塚司
○政府委員(上塚司君) 其の點に付きましても、最近三千圓から一萬圓に引上げたやうな次第でございます、尚最近の經濟状態、建築界の状態等から見ますると、非常に上つて居ります、是は何れ經濟對策が決まりました後にさう云ふ事情も勘案致しまして何等かの處理に出づるやうに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=98
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099・霜山精一
○霜山精一君 私の質問はそれだけでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=99
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100・作間耕逸
○作間耕逸君 只今の霜山さんの質問に關聯してちよつと…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=100
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101・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 宜しございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=101
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102・作間耕逸
○作間耕逸君 只今家屋の建築に付ての代金引出の方法に付ては政府當局に於ても考慮する、さうして他の經濟財政の問題の決裁あつた後にそれを具現するかも知れないと云ふ御答辯の御趣旨は能く分りましたが、賣買代金はあれに含んで居りませぬですな、建築修繕とありましたが、賣買に付てはあの規定に全く入つて居ない、是が實際に於て非常に不便なんです、寧ろ今日は建築よりも賣買に依つて間に合はす方面が多い、賣買を出來るだけ圓滑にして戴かなければならぬと云ふやうなことは先程申上げましたやうな事情でありますから、只今金額擴大を御考慮になる時に、建築修繕の外に賣買もそれと同樣に一つ御考慮を願ひたいと思ふのであります、現在は賣買が除外されて居るやうです、確かさう記憶して居りますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=102
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103・上塚司
○政府委員(上塚司君) 御答へ致します、大藏省告示、昭和二十一年二月十七日の告示第二十七號を以ちまして、其の第四項に戰災者の建物、疎開を命ぜられたるもの又は昭和二十一年二月一日以後外國又は大藏大臣の指定する地域より引揚げたるものの住宅の建築又は修繕の爲に必要なる金額、此の點に付きましては賣買と云ふことも入つて居りますが、住宅の購入又は建築又は修繕の爲に必要なる金額、此分は許されて居ります、購入だけは許されて居ります、賣渡と云ふ…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=103
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104・作間耕逸
○作間耕逸君 購入で宜いのでありますが、それが購入者の資格が外國から復歸したる者、それから何ですか…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=104
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105・上塚司
○政府委員(上塚司君) 戰災者、建物疎開を命ぜられたるもの、又は昭和二十一年二月一日以後外國又は大藏大臣の指定する地域より引揚げたるもの、戰災者と限つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=105
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106・作間耕逸
○作間耕逸君 戰災者に限るのですな、一般的ではないですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=106
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107・上塚司
○政府委員(上塚司君) 一般ではありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=107
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108・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 大藏省關係の質問は是で…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=108
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109・原泰一
○原泰一君 先程の保險金の全文に付きまして適當な機會に御發表になるやうに伺つたのでありますが、私共としまして最近の情勢を見ますると、今の住宅の復興と云ふことも一般的にさることでありますが、最近病人が非常に多い、從ひまして病院であるとか、醫院であるとか云ふものは、戰災保險に入つて居つた爲に、其の保際金が其の儘になつて居るのでありますから、それを見返りにして金を借りまして、さうして復興を急いで居ると云ふ事實は少くないのであります、是は現在の社會状況に即應する意味に於て當然さうあるべきものだと思ふて居りますが、若し假にさう云ふものがどうにもならぬと云ふことになりまするとさう云う社會的機關と云ふものが非常に困惑の状況に陷ると云ふことは目に見えて居る譯でありますが、さう云ふことに付きまして當局と致しまして、相應に考慮を拂はれて居るのでありませうか、其のことを伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=109
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110・上塚司
○政府委員(上塚司君) 一萬圓以内に於きましては、特殊預金から他の封鎖預金に移すことを許されて居りますから、其の範圍内に於ては御利用が出來る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=110
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111・原泰一
○原泰一君 病院のことでございますから、なかなか一萬や二萬、十萬そこそこの金では今迚も出來ないのでありますが、大體少くとも三十萬圓、多ければ百萬圓近い金が要る譯であります、從つて百萬に近い保險金がある譯ですからそれを見返りにして借金をして、社會情勢に適應する爲に急いで居る、斯う云ふ情勢にある譯でありますが、處が一方見返りにして居るやつが物を言はぬやうなことに例へば他の補償を打切ると同じやうに打切りでもされてしまふと云ふことがあれば非常に困ると云ふことが、最近さう云ふ部面から相當に危惧されて居りますので、さう云ふことになりますれば社會問題として非常に重要なことになるのぢやないかと思ひますので、さう云ふやうな補償打切と關聯致しまして、さう云ふやうなものがどうにもならなくなると云ふことがありはしないかどうか、さう云ふことは一般は兎も角として、少くともさう云ふ社會機關に於きましては特殊な考慮が拂はれて居りますかどうかと云ふことを伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=111
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112・上塚司
○政府委員(上塚司君) 特殊預金の見返りとして銀行から融通を受けると云ふことに付きましては、聯合軍司令部の方から禁止されて居りますから、其の點は出來ないことでありまするが、併しながら極めて緊要な社會的事業であるとか、或は今後日本の經濟復興に必要なる所の産業會社であるとか、さう云ふやうなものに付きましては特に何等かの方法を用ひましてさう云ふ融通の出來得るやうに處置致したいと云ふ趣旨を以て、目下研究を致して居りますので、何等かの機關が別に設けられて、それを通じて融通が出來るやうに致されることと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=112
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113・原泰一
○原泰一君 只今の問題は御研究戴いて居ると云ふことでありますれば、非常に有難いことでありまして、私の其の點に關しまする質問は是で終りたいと思ひますが、併しおいで願ひました機會に、罹災の問題でなく、もう一つの他の方の關聯になる譯で、訴訟費用の關聯になる譯でありますが、費用の明細のことよりも、此處で執達吏其の他の手數料の値上をされて居るのであります、其のことに關聯してちよつと御伺したいと思ひますが、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=113
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114・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 今は罹災都市借地借家臨時處理法に牽聯しての御質問だけに限られて居ると存じますから、若し今仰しやつたやうに、訴訟費用其の他の方の法案に付ての御質問なら、後の機會に又大藏省の方を煩はして御聽きになつた方が宜いのぢやないか、斯う私は思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=114
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115・原泰一
○原泰一君 それではさう云ふ風に御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=115
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116・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) それでは大藏省の方は是で終ります、暫時休憩致します
午後二時三十五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=116
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117・会議録情報4
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午後二時四十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=117
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118・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 休憩前に引續きまして質疑を御願します、只今戰災復興院の次長が御見えになりましたので是から質疑を繼續致します竹下君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=118
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119・竹下豐次
○竹下豐次君 只今審議中の罹災都市借地借家臨時處理法と復興計畫とは共に離るべからざる關係があるのでありまして、此の法律案は主として元の借地人、借家人を保護すると云ふことが主たる狙ひであるやうに承つて居るのでありまするが、一面此の大きな災害を成るべく早く復舊して行かなければならないと云ふ必要に迫られて居る譯でありまするが、其の兩者の統合と申しまするか、關聯密接にして法律を作ると云ふことが極めて必要であらうと思ひます、司法省の方では都市計畫其の他の復舊計畫に付ては細かい點は御存じないやうでございまするから、復興院の方で其の點に付きましてどう云ふ風の罹災地の復與に付て御計畫になつて居りますか今日の復興状況がどう云ふことになつて居りますか、其の後の經過を…大方何年位にしてとふ云…是は非常にむづかしいことと思ひますが何年位先に持つて行くか、其の御見込を伺ひたい、問題は廣うございますので、一々御説明を願ふと云ふことは御迷惑だと思ひますので、此の法案に關係のある部分だけ特に御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=119
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120・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 只今の竹下委員からの御質問に御答を致します、此の法案に直接に關係のある所をと云ふ御話でございましたが、一應御理解を容易に致しまする爲に、少しく長くなつて恐縮でございますが、大體の今回の戰災地に對しまする政府の復興の方針と申しますか、さう云ふものを極く概略申上げたいと思ひます、今回の戰災地は全國で百二十ばかりの都市に關係致して參りまするし、其の面積から申しますると一億六千萬坪と云ふやうな極めて厖大なる面積に關聯を致して居るのであります、從ひまして是は非常に此の復興と云ふことは容易でないのでありまして、唯併し又一面から考へますれば、此の機會を失しますれば、日本の都市と云ふものは到底立派なものにする機會は先づないと云つても宜からうかと存じます、其の意味から申しますると、今回の戰災は誠に不幸な出來事ではありまするが、千載一遇の機會であるとも言へるのでありまして、さう云ふ見地から從來の日本の各都市が何れも殆ど無秩序と云つても宜いやうな状態で以て發展して參りまして、或は防災、或は保健、或は能率、さう云ふ點から考へまして極めて遺憾な點が多かつたのを、此の機會に何とか文化日本、平和日本の都市と致しまして立派なものに復興して行きたい、斯う云ふことが根本の我々の方の考になる譯であります、殊に屡屡言はれまする所謂過大都市の防止、非常に横擴がりに大きくなつてしまひました現在の都市、之をもつと立體的な、地域的に申せばもつと小さな、住み宜い、保健的にも宜い、さう云ふ都市にして行きたい、斯う云ふことを實は根本の方針と致しまして、昨年の十二月三十日に閣議を以ちまして復興の基本方針と云ふものが定められたのでございます、其の内容に付て一々申上げますることは非常に時間が取れまするので、極く概略申上げるのでありまするが、第一に色々な都市の施設、例へば道路でありまするとか、廣場でありまするとか、緑地でありまするとか、或は其の他港灣、飛行場、或は軌道、地下鐵、或は上水道、下水道、さう云ふやうなものに付きまして、今回の都市計畫の基本方針では相當まあ思ひ切つた方針を示して居ります、例へば道路に付て申上げますると、主要幹線に付きましては中小都市に於きましては三十六「メーター」以上、大都市に於きましては五十「メーター」以上と云ふやうなことを決めて居りまするし、其の他幹線道路は、中小都市に於きましては、二十五「メーター」以上、大都市に於きましては三十六「メーター」以上、それから補助幹線道路と云ふものがございますが、是は十五「メーター」以上とし、已むことを得ない場合には八「メーター」を下らない範圍に於て決めて宜しい、或は區劃街路と云ふ一番小さな街路になる譯でありますが、是は六「メーター」以上、斯う云ふことになるのであります、そこで現在は例へば道路に付て申しますると、大體都市面積の二十「パーセント」以下であります、道路の占めます面積が二十「パーセント」以下でありまするが、震災で東京が復興致しました地域に於きまして二十二「パーセント」であります、處が今度の此の計畫で參りますると、公園等を除きまして大體三十五「パーセント」位になる豫定でありますそれから罹災緑地に付きましても保健、防災上非常に必要であることは申上げる迄もないのでありますが、今回はそれを敷地十「パーセント」以上、斯う云ふ風なことに一應決めてごいます、それで東京の現在が大體四「パーセント」位でございますから、餘程緑地が殖えることになります、其の外廣場に付きましては驛前とか、さう云ふやうな交通の特に頻繁な場所は五十「メートル」乃至百「メートル」の幅員の場所を取る、斯う云ふことも決めて居る、さう云ふやうな施設、それから土地利用計畫と申しますか、從來から所謂工業地域商業地域、或は住居地域、斯う云ふものが市街地建築物法でもあるのでありますが、能率、保健、防災と云ふやうな見地から考へると此の土地利用計畫と云ふものを今よりはもつと精密化致しまして、或は又特別地區と云ふやうなものを設ける必要がありはしないか、是は例へば住居で申しますと、現在擔當住居地域と申しましても色色なものが混合して居りますが、それを精密な住居地區を造るとか或は特別地區と申しますのは、例へば文教地區、學校の附近に對して文教施設として相應しくないやうなものを除去して行く、造らせないと云ふやうな文教地區、或は病院附近等を一定の醫療地區にする、或は逆に淺草とか、新宿とか澁谷等は一種の歡樂地區と申しますか、消費地區と申しますか、さう云ふやうな地區を造る、斯う云ふ特別地區と云ふか、さう云ふやうなことを考へて居る、但し都市利用計畫に付きましては、市街市建築物法の立法措置を要するので實は未だ案を練つて居りまして、恐らく次の議會あたりに御審議を願ふことにならうと思ひますが、さう云ふやうな問題があります、そこでさう云ふやうなことを色々道路を造る、廣場を造る、或は緑地を造る、さう云ふやうなことをどう云ふ方法でやつて行くか、是が矢張り基本方針の中に、其の方法論として區劃整理或は買收、尚場合に依つては地券の發行を考へても宜いと云ふやうなことが書いてありますが、大體現在では地劵の問題は非常に議論がありますので、區劃整理或は買收の方法でやつて行く、斯う云ふやうな考へ方をして居る、それが爲に實は從來の都市計畫法に依るだけでは現在のやうな非常に澤山な戰災地を、特に土地整理は急連にしなければならぬ關係から、相當立法的措置を要するので、例へば施行地域の擴大な問題であるとか、或は潰地がどうしても多くなるので、それに對して補償限度をどう云ふ風に決めて行くかと云ふやうな問題、それから又過小敷地と申しますか非常に小さな敷地があることは、過剩密度の方針からもいけないし或は「コンクリート」の建物を建てて行くにも色々障碍になるから、それを整理しなければならぬと云ふことから、それを現在の都市計畫法では困難な點があるから、斯う電ふ點は實は今回議會に提案して居る特別都市計畫法でやつて行く、斯う云ふやうなことを實は考へて居る譯であります、それから尚建築物の問題に付きましても、基本方針は將來都市の建築物はどうしても不燃性の「コンクリート」の建物に移行して行かなければならぬ、又住宅に付て申しますならば、成るべく無用の交通を調節すると云ふ點から、「コンクリート・アパート」を或程度都心部に近い所に建てなければならぬと云ふことから防火地區の設定の問題、其の他種々現在の市街地建築物法から十分でない點がありますので、是は先程申上げました市街地建築物法の改正の問題として、目下審議を致して居るやうな譯であります、大體全國で先程も申上げましたやうに百二十程の都市になる譯でありますが、各都市とも非常に都市計畫の事業は進捗状況が宜いのでありまして、實は今日殆ど全部の都市が最早下打合せ濟になつて居ります、建物の委員會を開いて決定した都市だけでも既に半ばを越えて居るやうな状態でありちして、大體街路計畫等は殆どの都市で立つて居ります、東京はそれに加へまして或は緑地の計畫、或は用土地域の決定と云ふやうな所迄濟んで居りまして、此の分で行けば恐らく茲一箇月半ばか二箇月位の中に大體各都市とも、此の方針に則つた都市計畫が大體目鼻が付くと考へて居ります、今回の各都市の復興に付ては、基本方針にありますが、我々の方としてはそれならば斯う云ふことが、例へば震災の後などは政府が直接したが今回は何分全國に互つて居るし、又國家の力の状態は今日のやうな状況でありますので、成るべく各都市の力で一つやつて貰ひたい、從つて事業の施行は市町村長が原則としてやる、已むを得ない場合は府縣知事がやる、之に對して國家は固より補助をする、例へば土地整理に付ては昨年度は九割、今年度は八割の補助を致して居るのでありますが、それは何處迄も補助でありまして、飽く迄も戰災を受けた罹災地の都市自身の力に依つて立上つて貰ひたい、從つて其の計畫も我々の方で色々御注意はするが、各都市の創意工夫に依つて、自分達の本當の町を自分達の手で立派な住み好いものに造り上げる、斯う云ふ心組でやつて貰ひたい、それぞれ其の都市の特徴を生かしてやつて貰ひたい、斯う云ふ根本方針で今日迄取扱つて來て居る譯であります、從つて今回の今司法省から提案になつて居る罹災都市借地借家臨時處理法案とは色々な意味で極めて密接な關聯を持つてやつて行かなければならぬのでありまして、是は問題は具體的なことになつて來ますが、例へば道路なり、或は緑地なり、さう云ふ風な決定を致しました場所に付きましては、色々實際問題としてはそれを勘案致しまして、實際問題の御處理を願つて行かなければならぬと思ひます、是は我々の方もさう云ふ積りで各地方廳の方にもさう云ふ意味の通牒も出して居りまして、將來の道路敷になるやうな場所は、其の道路計畫の支障にならないやうに處理して行く、斯う云ふことで相互關聯をしてやつて居ります、實はそれがあるので道路計畫其の他を非常に急いで決めて行かなければならぬと云ふ状況であります、只今申上げましたやうに大體此の一二箇月の間に各都市とも道路計畫、緑地計畫其の他大體の計畫がはつきり致して參ると思ふのでありますのでさしたる支障を生じないで進行出來ると考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=120
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121・竹下豐次
○竹下豐次君 御話で實は大變意を強くした、今御話を承りましたので、私の一番心配したのは、此の計畫の方が本案の施行に遲れることにつたら途方もないやうなことになりはしないかと思つたが、今の御話を承つて大變能く御進みになつて居るやうでありますが、只今の御話で小さい都市だつたら此の一二箇月の中に計畫がすつかり立つと云ふことも我々素人として考へられますが、東京、大阪見たいな所でさううまく行くだらうか、是は此の前の時私は東京の大きな幹線だけは拜見致しました、併し問題はそれも大事でありますけれども、細かい點が寧ろ都市の面積としては關係が廣いのでありますから、さう云ふ點迄東京を一二箇月の中に手が屆くのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=121
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122・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 東京實は我々の方も非常に大事な場所でありますので、相當急いで居りまする結果、現在では幹線街路は勿論でありますが公園緑地等に付きましても計畫が決定を致しました尚區劃整理を現實に行ひまするのは是は豫算の關係もありまして、全部が一遍に行はれると云ふことには勿論是はなりませぬのでありますが、既にどの地區とどの地區に區劃整理を行ふと云こことも決定を致しまして今設計を樹つて居ります、從ひまして本當に細かい其の土地々々のことになりまするとそこ迄參りませぬことには本當のことは決らない譯でございますが大體先づ東京邊りは寧ろ相當他の都市に較べまして進捗率の宜い方でありまして、全部の區劃整理の設計が此の一二箇月に出來ると云ふことには相成りませぬけれども少くとも差當つてやりますやうな場所、例へば目拔の場所でありますとか云ふやうな處は今設計中でございます、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=122
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123・竹下豐次
○竹下豐次君 司法當局に御伺ひ致しまするが、此の本案が通過致しますれば施行は何時頃になる譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=123
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124・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 本案が通過致しますと大體周知の期間を置きまして出來るだけ早く施行致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=124
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125・竹下豐次
○竹下豐次君 出來るだけ早くでせうが大方の見當…私の御尋したい趣旨は只今復興院の方の御説明と、あなた方の施行とは調子が合はないと云ふことです、それは非常に大事な問題です、細かい點を復興院で御決めになるには幾ら御急ぎになりましても相當に手の要ることだらうと思ひます、法律の施行の方は御急ぎになりさへすれば私は相當に速く出來るものだと思つて居ります、處がそこの調子が合ひませぬと折角權利は得た家は拵へたが又其處から引拂はなければならぬと云ふ問題が起つて來るだらうと思ふのであります、是は復興計畫にも非常に邪魔になりますし權利を得た本人に致しましても非常に迷惑のことになると思ひます、復興院と司法省との兩方の連絡非常に大事だと私は思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=125
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126・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の點に付きましては復興院とも能く連絡を保つた上で適當に成るべく速く施行致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=126
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127・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 尚私から附加へて申上げます、只今の御質問がはつきり致しましたが、例へば建築物を現實に建つたと云ふ場合に將來それが路線なり、何なり該當する場合はどうするか、斯う云ふことが御質問の點だと私は伺ひましたが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=127
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128・竹下豐次
○竹下豐次君 それは私の心配の點でもあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=128
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129・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) それは私共の方と致しましては斯う云ふ風に考へて居ります、勿論計畫路線其の他が決りました場合には一應例へば堅牢建築物と云ふやうなものは是は御建て願ふ譯に行かぬと思ひます、併し假設建築物は…現在建てますのは恐らく假設建築物と云ふやうなものでございますが假設建築物は例へば道路が決りましても、それ迄止めると云ふ意思はございませぬ、それから併しさう云ふ場合には將來或は無償で撤去すると云ふやうなことを條件に附する場合もあるかと思ひますが、實際問題と致しましては今日家が少しでも欲しい時に唯計畫が決つたからと云つて、それを壞してしまふと云ふやうなことは實際問題と致しましても考へられませぬので、私共の方と致しましては計畫の決定致しました、例へば道路とかさう云ふやうなものに決りました處は只今申上げましたやうに成るべく假設建築物を建てるなら建てて貰ひたいと思ひますが假にさう云ふふとになりましても之を實際に撤去すると云ふやうなことは、先づ此の處當分の間はなかなか來ないだらうと思ひます、今回の道路計畫は尚御注意迄に申上げまするが、道路計畫を決めましても、それが翌日から直ちに道路になると云ふやうなことにはなかなか今日の實情から申しましてなりませぬ、一應の詰り謂はば繩張を決めると云ふのが今日の大體の建前でございますから、其の繩張の中に例へば新らしく建てたものでなくても、從來からある建物の場合もございませう、さう云ふものを勿論急に明日から直ぐに除けてしまふと云ふことは實際問題としては致す所存もございませぬし、又出來もしませぬ、それから新しく建てるもに致しましては、只今申上げた趣旨で堅牢建築物等は將來撤去が不可能でありますから、さう云ふものは路線に從つて建てて戴かなければなりませぬが計畫が決つたから立どころに從來ありまする所の建物が除けられてしまふと云ふやうなことは、私共の方としては別に今の處考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=129
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130・竹下豐次
○竹下豐次君 堅牢建築物のことに付きましても、御尋したいと思つて居りましたが、先に御説明を戴きまして有難うございました、本案に依りますると云ふと十年から下は契約を許さない、十年以上の契約は當事者の合意があれば宜いと云ふことになつて居ります、さう云ふ點から見て私は是は堅牢建築物を御許になる積りか、さうするとちよつと困る、斯う云ふ疑を持つたのでありますが、堅牢建築物を許さないと云ふことは、何か法律が別に出來ることになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=130
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131・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 本案の二條の但書等で、他の法令に依つて其の土地に建物を築造するに付て許可を必要とする場合に、其の許可がない時は申出が出來ないと云ふことになつて居りまして、此の他の法令と云ふ中には今回の特別都市計畫法であるとか、市街地建築物法とか、其の他色々なさう云ふ復興關係の法令も含めまして其の法令の範圍内に於て本法は借地權の設定の申出等が出來ることになつて居りますから、大體に於て二重復興計畫と矛盾しない建前で行けるだらうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=131
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132・竹下豐次
○竹下豐次君 御尤もでありますが、唯其の他の法令で云々と云ふことは、堅牢建物は許さないとか何處から何處の繩張にするのだとか云ふやうな法令が出來ない限り今司法當局の御説明のやうには行かないと思ひます、現在の法令でやつて見た處でそれは仕樣がない此の後の計畫の分に付て調子を合せて行かなければならぬのぢやないかと思ひます、ですから要するに計畫の方を急いで早く法令を決めてしまはないと云ふと後先になつてしまふ、さうすると堅牢建物も許されてしまふ、法律の上から見ればさう云ふことになりはしないかと云ふやうな疑問でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=132
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133・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 「コンクリート」建築物に付きましては現在の市街地建築物法に依りましても、今度の特別都市計畫法に依りましても、何れも相當制限を附けて許可を受けなければならぬ譯であります、從ひまして先程申上げましたやうに道路敷なら道路敷になることに確定を致して居るやうな場合には、それ等の法令に依りまして之を其の道路内には許可しない、抑へて行くと云ふことが出來る譯でございます、それ以外の詰り容易に將來、移轉或は取壤し得るやうなものに付きましては現下の實情に鑑みまして、成るべく大目に見て行きたいと云ふのが先程來申上げたことになる譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=133
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134・竹下豐次
○竹下豐次君 さうするとどうなりますか、堅牢建築物は道路敷の決つて居る所は今の御話で分りましたが、道路敷の計畫がまだはつきりしない分でも、建築物に付ては許可を得なければならないと云ふ現在の規定になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=134
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135・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 現在は建築許可は有らゆる建築物に付て建築許可を要するのであります、從ひまして「コンクリート」建築は勿論當然でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=135
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136・竹下豐次
○竹下豐次君 御方針として只今十五坪以上のものを許さないと云ふことになつて居りますね、特に許可のあつた場合は大體此の十年と云ふことを標準とされたのは、今の掘立小屋見たやうな十五坪以下の分を狙つて十年と云ふことが決つた譯なのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=136
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137・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 十年の問題は別に致しましても、十五坪の問題に付て御質問がありましたから、私共の方の考をちよつと申上げますが、十五坪の問題ばかりでなく、例へば料理店、待合等は大體建築を許さない、所謂臨時建築制限令の問題ですが、其の中に十五坪以上は許さない、特別の許可を得た場合の外は許さないと云ふことがあるのでありますが、是は實は私の方と致しましては當分の間と書いてございますが、其の當分の間と云ふのは、大體ここ一年間と云ふ見透しを持つて居ります、何故それが出て來たかと申しますと、此の制限令を公布致しました理由は、申上げる迄もなく現在の非常に窮屈な資材状況から致しまして、今日不要不急の建物を建てるのは現在の國民生活の實情に照らしまして、稍稍大きい建物を抑制して行きたい斯う云ふ見地から略略一年間位の見透しの下に當分の間さう云ふやうな建物を建てる場合には特別に許可を要する斯う云ふ實は先般勅令を出して戴いたのであります、從ひまして是は資材事情から全く出て來て居ることでありますので、資材事情なり其の他の或は資金の關係もございますが、さう云ふことが漸次好轉して參りますれば、勿論此の制限は當然解除されて行く方向にあると云ふことを申上げて宜からうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=137
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138・竹下豐次
○竹下豐次君 此の間御願ひ致しまして建設計畫に付きましての表を戴きました、處が木材の供出が今日のやうな状況ではなかなか此の計畫通りには行かないのぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=138
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139・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 住宅の建設計畫に付きましては、實は私共も非常に之を完全に遂行し得るや否やと云ふことは憂慮致して居ります、大體私共の方の住宅の必要性から判定を致したのでございます、先づ非常に少な目に見積りまして、現在の日本の状況では、どうしても一年間に五十萬戸を建てませぬと追つかないのでございます、處が只今も御話のありましたやうに、最近の木材事情、獨り木材ばかりではない、其の他の資材の事情等の點から考へまして、實は其の五十萬戸と云ふことを一應樹つたのでありますが、之を半分の二十五萬戸と云ふものに變更致しまして、其の中の約半分が所謂計畫住宅、公共團體なり、住宅營團が建てまする計畫住宅、それ以外の半分が大體個人の建てるもの、斯う云ふやうな實は今の所案になつて居ります、木材の御話が出ましたが、其の二十五萬戸建てまするのは、大體今のやうな十二坪乃至十五坪の家と致しまして、大體千二百萬戸要る、此の千二百萬戸の木材は正しく割當を頂戴致して居ります、併し割當だけ頂戴致しましても、木材の方が果してそれが現物化がどこ迄出來まするかと云ふことになりますると、是はなかなか容易な努力では出來ませぬ、出來ませぬが、併しながら兎に角此の四十萬戸以上も住宅の不足して居ります現在に於きまして、少くとも二十五萬戸程度のものはどうしても建てなければ是は相濟まぬことであると思ひますので、實は千二百萬戸の木材を取ることに、現物化すべく努力を致して居ります、住宅營團等か從來から相當手持で持つて來て居る木材も若干ありまするし、其の他色々考へまして、私共と致しましては最少限度計畫住宅は、即ち先程申上げました二十五萬戸の約半分でありまする十二萬四千戸の分として、大體木材に付ては心配ないと云ふ見透しを持つて居ります、併しながの其の他の資材、例へば釘でありますとか、「セメント」でありますとか、或は鐵鋼と云ふものでありまするとか、さう云ふ問題になつて參りますると、商工省の第一四半期の割當と云ふものは我々の需要量に較べて相當少ないのであります、それはどうするか、是はまだ色々今後の問題に屬することが多いのでありまするが、結局それは昨年來の所謂軍の特殊物件に依存をする外はないのである實は斯う云ふ積りで目下其の方面と色々交渉をして獲得すべく努力を致して居ります、從ひまして計畫住宅以外の個人住宅と云ふものになりますと、木材の點では大體或程度の見透しは付いて居りますが、釘とか、「セメント」とか云ふものになつて來ますと、餘程是は困難な事柄になるのではないかと思つて居りますが、併しそれに付ても何とか二十五萬戸建てたいと云ふ豫定で、最近大體計畫住宅、個人住宅、何も彼も入れまして中央の大體の趨勢は、本年一月以降の統計に依りますと、毎月二萬戸位建つて居ります、それから參りますと、先づ空手形に大體終らせないでやれるのぢやないか、今後惡化をして參りますれば別でありますが、一月から今日迄の状況では大體見込があると我々は實は考へて居るのでありまして少くとも目標だけは今年建てたい、斯樣に考へて今努力を致して居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=139
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140・竹下豐次
○竹下豐次君 木材の供給のことに付きましては、相當に御自信があるやうでありますが、私の見透しと云ふか、見て居ります所ではどうも是は油斷が出來ないのぢやないか、一月、二月に良かつたと云ふことは、其の前の分の「ストツク」があつた譯でありますから今後はなかなか貴方の方の註文通りに履行することは骨が折れる、私共の希望としては、貴方の方の計畫を大體やつて戴きたいが、他は別として木材だけでも只今聞いて見ますと、是以上に大きな計畫を爲さらない方が、私等の方としては申上げられませぬが、現在の計畫を遂行されれば復興院としては或程度の御成功ぢやないかと思ひます、今御話のやうに行きますれば結構でありますが、多少氣になる點もありますが、大體擔任局と連絡を御取り下さいまして、出來るだけ完成されますやうに御願ひしたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=140
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141・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 只今の御質問に關聯して復興院副次長に御質問がおありなら此の際願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=141
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142・作間耕逸
○作間耕逸君 復興院次長の御説明で都市計畫方面が相當進んで居ると云ふことは承知致しました、誠に結構に存じます、それと一面同時に否それよりも寧ろ國民は住宅の増設、それをどうかして今少しく簡便に、今少しく容易に安く建設し得るか、是が一番心配もし又希望致して居る所であります、實は假建築は都市計畫に關係なく許されるのが原則なのでありますから、此の方面を進捗さして戴けば一層精構と思ふ、併しそれに付きましては、今竹下君からの御質問に付ての次長の御答辯で大體分りました、私は次長の御心勞、御努力是は十分察して居りますけれども、其の市民の住宅の増設、之を早く安く建築の出來るやうにする、之に付て何等か格段の御施設を爲さつたかどうか、それを一つ伺ひたいのですが、もう御事情は十分御察し、御苦勞は十分御察し申上げて居りますけれども、何等か手を御打ちにならなければ、住宅難の問題は到底此の儘ぢや解決は出來ないのでありますから、先づ住宅、是が國民、殊に罹災民の第一の要望なんでありますが、都市計畫の立案は寧ろ其の後でも宜しい位なぞと云ふ意向を持つて居るだらうと思ふのです、其の假建築さへもが今日一坪に付て、縱令營團から運好く組立資材が手に入りましても、それでも一坪三四千圓は掛る、況や自分で全部の資材を持つて、さうして初めから建築するとなると、それが假建築でもそれ以上の金が掛る、是では迚も罹災民は自力を以て建てて行くと云ふことは容易なことではない、それで先刻も霜山委員から御話も出ましたが、此の引當にした火災保險が特殊預金として全く封鎖されて居る今日、もう少し樂にと申すよりも、もう少し苦勞少く、自分の假建築せめて「バラツク」だけは建てられるやうに此の御方策に付て如何なる特段の御工夫と御施設を行はれたか、又は考へられて居りますか、此の點を一つ伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=142
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143・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 住宅問題に付きましての御質問でございましたが、御話の通り、此の復興の面で都市計畫の面は謂はば恒久的の復興の面でございます、處が今日の實情はそんなことでない、明日の日の住宅に困ると云ふのが一般の状況でありまして、住宅問題に付きましては、昨年來政府と致しましても非常に苦心をして參つたのであります、昨年來のことをちよつと簡單に申上げますと、まだ戰災復興院の出來る前でございますが、即ち厚生省時代に越冬住宅と致しまして、所謂簡易住宅之を三十萬戸計畫致しました、正確に申上げますと、二十六萬何がしの計畫となるのでありますが、六坪二合五勺位の粗末なものでありますが、當時四十二萬と稱せられました壕舍生活者の爲に取敢ず大急ぎで建てると云ふことで、所謂三十萬戸計畫と云ふものを政府と企圖致しましてやつたのでありますが、結果に於きまして、此の簡易住宅は誠に色々な惡事情に災ひされまして、本年の三月末で約三分の一しか建たなかつたのであります、大體矢張り地方では中小都市が割合に成績が好いのでありまして、例へば岐阜とか、或は前橋とか、或は大垣とか、さう云ふやうな所は今日相當復興を致して居ります、さう云ふ意味の復興を致して居るのでありますが、大都會である東京であるとか、大阪であるとか、さう云ふ所はまだ思はしい状況になつて居りませぬが、全體と致しまして、簡易住宅は當時政府の計畫致しました三十萬戸の約三分の一が建つたのであります、其の外に政府は轉用住宅即ち軍の建物でありますとか、或は工場の寄宿舍でありますとか、或は罹災を致しました「ビルデイング」でありますとか、さう云ふものを住宅に轉用すると云ふ方針を立てまして、其の爲に昨年の十一月に住宅緊急措置令を公布致しまして轉用に努めましたのでありますが、大體本年の三月末にそれ等に依りまして二萬二千戸餘の住宅化が行はれたのであります、其の外に個人で建てました計畫外の住宅が約十六萬戸程三月末迄にございまして、結局合計致しまして三月末迄に二十七萬戸程の住宅が出來たと、斯う云ふ状況で本年度に入つた譯でございます、そこで本年度は先程來申上げましたやうに、どうしても我々としては先づ少なくとも五十萬戸位のものは最少限度欲しいのでありまするが、現在の資材事情其の他から是は到底不可能であると云ふ結論に到達を致しましたので、先程來申上げましたやうに、一應本年度は三つの方策を以て住宅對策を立つたのであります、其の第一は新設計畫でありまして、是が先刻來申上げました二十五萬戸の計畫でございます、但し本年度の住宅營團其の他が建てまする住宅は、昨年の越冬住宅の六坪二合五勺は餘りにも貧弱てありまして、到底之に長きに亙つて住むと云ふことは困難でございますので、本年は大體十二坪乃至十五坪と云ふ所を規格に致しまして、此の新設計畫に依りましてやつて行きたい、斯う云ふ風に考へて居るのであります、其の二十五萬戸の中約半分の十二萬四千戸が計畫住宅でありまして、其の十二萬四千戸の中十萬戸が新築であります、是は都會、或は農村等に岐れるのでありますが、本年度の特徴と致しましては、或は肥料工場の勞務者の爲に特別な住宅を計畫するとか、或は炭坑の勞務者の爲に特別な住宅を計畫すると云ふ、所謂給與住宅と我々の方で呼んで居りますが、職場で住宅を與へると、斯う云ふ風なものも之に含まれて居ります、大體さう云ふものを十萬戸、此の中一千戸を「コンクリート・アパート」を建てたいと思ひまして、今資材の手配、敷地の選定、或は建築の設計等を進めて居る次第であります、それから殘りの二萬四千戸と云ふのが先程來申上げました轉用住宅を繼續する譯でありまして、之に對しましては、大體二萬戸が普通の木造の軍用建物其の他の轉用であり、四千戸、大體一戸は十坪と計算して居りますが、大體四千戸が罹災「ビルデイング」の利用でございます、さう云ふ風に致しまして十二萬四千戸の計畫住宅を計晝致しました、其の外に大體個人住宅は見透し十二萬六千戸、今日と致しまして二十五萬戸の計畫住宅が出來上つて居るのであります是が第一の新設の計畫でありますそれから第二は、先般來新聞で御承知と思ひますが、事情斯くのやうな有樣でありまするので、少しでも餘裕のある方には住宅を提供して戴きたい、斯う云ふ意味から餘裕住宅の利用と云ふ方針を、住宅緊急措置令の一部を改正致しまして、法的の根據を持たしたのであります、是は大體八室以上、或は四十二疊を超える家を一應の標準と致しまして、其の外に其の以下でも特に人數が少い場合は住宅に提供をして欲しい、斯う云ふことを、餘裕住宅の利用、普通の言葉で申せば大邸宅の開放と云ふことを實は先般來實施して居るのであります、それから第三が、先程ちよつと申上げました今度は資材の面から此の際料理屋とか「ダンスホール」とか或は劇場とか、さう云ふものを木造で建てられては困る、或は十五坪以上の住宅を木造で建てられては困る、斯う云ふ見地から不要不急の建築物を抑制する臨時建築制限令を公布致しまして、資材の確保を圖り、先づ此の新築と利用の強化とそれから抑制と、此の三本建てで二十一年度の住宅政策を何とかやつて參りたい、斯う云ふのが今年度の計畫であります、之に對しまして昨年は簡易住宅の一部、又轉用住宅に付きましてはそれぞれ若干の國庫補助を出したのでありますが、本年度も何とか一つ相當な國庫補助を御願をしたいと云ふことで、先般來の「マツカーサー」司令部の方の所謂六十億の公共事業費の一部として是非御願したいと思ひまして、目下財務當局と折衝中であります、と申しまするのは、今日の一般の物價水準から申しまして、どう安く建てましても小さい家で矢張り相當高い家賃を取らなければならぬと云ふのが實情であることは御承知の通りであります、處がそれでは一向戰災者其の他の庶民には實用にならない、其の意味に於きましてどうしても茲に一定の補助を國庫からすることに依りまして、比較的低廉な家賃で以て戰災者其の他を收容したい、斯う云ふ見地から目下其の點に付きまして、大藏省當局と折衝を致して居るやうな次第でございまして、大體まあ昨年から本年の住宅政策と申しますか、極く概略申上げると左樣な状況であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=143
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144・作間耕逸
○作間耕逸君 私の主として御尋ね致したいと思つたのは、今の貸家建築に對する政府の助成獎勵の方策でありましたが、それは今次長の説明で一應了解致しました、唯率直に申上げますと住宅營團、或は其の他の手を經て民間に渡る此の一番安いのは、現在に於て一戸分、一棟分是は幾らに當るのですか、さうしてそれを配給を受けた市民が完全に、いや完全と申しても、實際住めるやうにするには幾ら位掛ると云ふことを御調査が付いて居りますか、先づ其の拂下げになる一番安いのと一番高いのと、色々種類に依つて違ひませう規格に依つて違ひませう、面倒ですから、現在の處一番高いのはどれ位、一番安いのはどれ位でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=144
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145・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 現在としては、住宅營團では大體先づ幾ら安く見積りましても坪二千圓は掛かると思ひます、從ひまして假に十坪の家と致しましても二萬圓と云ふことになりまするので、其の家賃を普通の計算を致しますと二百圓位戴かなくてはならぬと云ふことになつてしまふのであります、併し是は非常に安く見た場合の話でありまして、恐らく實際のことから申しますると、或は二萬圓と考へて居るのが三萬圓でも必ずしも十分ではない、斯う云ふやうな恐らく物價の状況ではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=145
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146・作間耕逸
○作間耕逸君 貸家の點は、先程の聯合國司令部の了解を得て、若しくは政府に交渉して補助計畫中であると云ふので分りましたが、さうでなく、貸家とせずして市民一戸分下げ渡される組立資材、此の一棟分、是が現在の所で坪二千圓と仰せられるのですか、さうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=146
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147・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 非常に安く見てでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=147
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148・作間耕逸
○作間耕逸君 現實住宅營團等で引渡される價格がさうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=148
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149・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) さうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=149
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150・作間耕逸
○作間耕逸君 それから兎に角市民が住めるやうに其の上の手入をして、自分のものにして、それに入り込む、是迄に幾ら掛つたか、幾ら掛かるであらうかと云ふことを御調になつたことがありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=150
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151・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 昨年度の六坪二合六勺、先程申上げました所謂簡易住宅でありますが、あれが當時確か三千八百圓位で賣却したと思ふのでありますが、其の當時の話と致しまして、先づ之に相當自分の思ふやうに手を入れて入ると云ふことになりますると、大體一萬圓位になる、斯う云ふ風に承知致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=151
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152・作間耕逸
○作間耕逸君 實際は一萬圓でも足りない位でありますが、それはさうとして別の問題に移りますのは、復興院では一般に地代家賃の標準ですか、尤も地代は土地に依つて違ひ、家賃は家に依つて違ふのでありまするが、一般的標準を原則として決められるとか云ふことで、或は厚生省であつたかも知れませぬが、近頃既に新聞に發表になつて、最近之を實施するのだ疊一疊が貸家なら幾ら、それから貸間なら幾ら、それから「アパート」なら幾ら、既にこれを堂々と發表された新聞紙もあつたやうでありまするが、其の後それは無期延期になつたか、見合せになつたか、立消えになつたか未だ實施されない、是は勿論家に依り又所に依り、其の土地建物の場所、種類階級、構造等に依つて一樣には行きますまい、けれども大體一般的に、原則的に凡そ是が適正である是なら相當の地代家賃であると云ふ標準を御決めになつて、之を御發表になる思召があるのでありまするか、先日來新聞でさう云ふやうに傳へられて居つたのは、あれは根據のないことであつたのでありませうか、さう云ふ御意思があるかないか、若しおありになれば凡そどれ位を現在相當だと御考になつて居りまするか、序に承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=152
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153・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 地代家賃の統制令に付ての御御質問でございましたが、御承知の通りに地代家賃統制令は國家總動員法に基いて出て居るのでありまして、其の母法が本年九月三十日を以て廢止されることになりますので、從つて地代家賃統制令を九月三十日を以て廢止をされることになる譯であります、處が現在の社會の實情では、地代家賃統制令を全然撤廢してしまふのには少しく状況が惡いと考へまするので、從來の統制令に代る新らしい統制法式を出したいと考へまして、目下實は色色研究を致して居るのでありますまあ地代のことは別に致しまして家賃で申しますると、現在の實情は例へば修繕費と云ふものを若し大家さんが持つてやると致しますれば、非常に高い金を出さなければ出來ぬ譯でありまして、從ひまして先づ修繕は一切しない、從つて家はどんどん傷んで腐朽してしまふ、是は現在のやうな住宅不足の實状に非常に勿體ないことであります、そこでさう云ふやうなものは相當修繕もし、手入れもして成るべく家の耐久力を強めると云ふ爲には、矢張り現在の家賃の統制と云ふものが數年前の所謂「ストップ」令になつて居りまするので、之を何等かの意味で合理化しなければならぬと云ふことが一面で考へられるのであります、併しながら又現在の物價から申しますると假に十分家主が賄ひ得るだけのものを家賃に見込むと致しますれば相當多額な家賃を取らなければならない、それは五百圓生活と云ふ枠の中で國民の生活の上に於て相當矢張り困難な問題を惹起する、其の二つの面を何處で調節さしてやつて行くかと云ふのが新らしい今囘の統制方針の根本の實は考へ方になつて來る譯でありまして、實は色々案は出來て居りまして、色々土地に依り、家屋の實態に依り從來の單なる「ストップ」をしたと云ふ統制令でないものを作りたいと思ひまして、今研究致して居るのでありますが、關係方面と折衝に實は大變手間取りまして、未だに其の改正の統制令が公布されないのは非常に遺憾に考へて居ります、が併しながらさう云ふ大體の考へ方で從來のストップ令の廢止迄に何とか間に合せて新らしい統制方式のやり方を公布したいと、斯樣に考へて努力して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=153
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154・作間耕逸
○作間耕逸君 家賃に付ては今考慮中で居つて、統制撤廢後の標準價格を決める積りであると云ふ御方針でありまするが、原物の價格是は矢張り九・一八以後の新規の建物に付ては一應其の制限標準が決して居りますが、其の以前の古く取得した建物、或は土地等に付ては全く今日放任されて居る、統制はない、今日土地建物の値段が殊に建物の値段が非常に暴騰したと云ふのは、十四年九月十八日以前に取得した建物の價格は何等統制されて居ない、放置されて居ると云ふことにも原因することが多からうと思ひます、是も嘗つては何とか一つ統制して價格を一般的に決めるか、又は決める標準を定めると云ふやうな説が行はれたことがありまするが、其の點に付て現在の政府當局たる復興院次長はどう御考になつて居りますか、序に伺つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=154
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155・重田忠保
○政府委員(重田忠保君) 宅地建物の價格に付きましても、全く地代家賃と同じやうな關係になつて居りますので、宅地建物の統制方式に付きまして新らしい合理的な統制方式を作りたいと思ひまして是亦同樣に今實は研究を致して居る最中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=155
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156・高木正得
○委員長(子爵高木正得君) 大體御質問も終つたやうでありますから、今日は此の程度で散會致したいと思ひます、次の委員會は明日午前十時から開きます、是で散會致します
午後三時四十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=156
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157・会議録情報5
出席者左の如し
委員長 子爵 高木正得君
副委員長 男爵 肝付兼英君
委員 侯爵 東郷彪君
侯爵 嵯峨實勝君
伯爵 東久世通忠君
子爵 森俊成君
子爵 大久保教尚君
霜山精一君
男爵 林忠一君
竹下豐次君
原泰一君
作間耕逸君
國務大臣
司法大臣 木村篤太郎君
政府委員
戰災復興院次長 重田忠保君
大藏政務次官 上塚司君
司法事務官 奧野健一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009003795X00319460715&spkNum=157
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