1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
裁判所法案(政府提出)(第一九號)
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昭和二十二年三月十七日(月曜日)午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 小島徹三君
理事 三浦寅之助君 理事 青木泰助君
理事 細野三千雄君
小澤佐重喜君 木村チヨ君
荊木一久君 小林かなえ君
中村又一君 井伊誠一君
菊地養之輔君 田万廣文君
豊澤豊雄君
出席國務大臣
司法大臣 木村篤太郎君
出席政府委員
司法事務官 奧野健一君
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本日の會議に付した議案
裁判所法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=0
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001・小島徹三
○小島委員長 會議を開きます。前囘に引續き質疑を繼續いたします。田万廣文君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=1
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002・田万廣文
○田万委員 前囘磯田委員からお話がありましたが、本法案の五十二條について質問をいたします。第一項によりますと、裁判官は在任中、國會若しくは地方公共團體の議會の議員となり、または積極的に政治運動をすること、これが禁止せられておるのでありまするが、大臣の磯田氏に對する御答辯をちよつと私承りますると、裁判官は積極的にいたしましても消極的にいたしましても、政治運動をする餘裕がないというようなお話もあり、かつまた主體的もしくは主動的な立場でなければ政治運動はやつてもよいというようなある意味においては矛盾したような御答辯もあつたようでありまするが、その餘地がないということであるならば、この積極的に政治運動をするという條文は、これは抹消してもいいのじやないか。しかしながら時代といたしましては、憲法におきましても、既に宗教も政治もあらゆるものにわれわれは自由權を與えられておるのでありますがゆえに、裁判官なるがゆえに政治運動に關與してはいけないということはないということになつておる。この積極的に政治運動をするという文言がまことにわかりにくいのであります。磯田委員も申されたごとく、では消極的な政治運動をやつてもいいかというふうにも解せられる。積極的と消極的との見解の區別はどこにおくかということになりますと、なかなかむずかしい問題であります。しかしながらむずかしい問題であるからといつて、放置しておくわけにはいかないのでありまして、私は裁判官といえども從來の實際の行き方からいくと、社會から非常に遠ざかつておつたということは、政治というものにきわめて疎かつたというところに原因があるのではないかと思うのであります。從いまして五十二條の積極的に政治運動を裁判官がすることを禁じておるのは、時代錯誤的な條文であると思うのであります。主體的主動的でなければよろしいという意味は解し兼ねるのでありますが、この點に對しまして重ねて司法大臣の明確なる御答辯をお願いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=2
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003・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答えいたします。裁判官はその職務の性質上公正であるべきはずであります。中道を履んでいくことが裁判官の職責上望ましい點と考えるのであります。そこでもちろん裁判官といえども國民の一人として政黨に參加し、政治に一種の關心を持つということは、これは許された範圍内であります。政治に關心を持ち政治的の研究をするということと、積極的に政治活動をするということとは全然別個であります。裁判官はむろん今田万君の仰せのごとく、ただ法律技術のみの研究に止まるばかりでなく、社會萬般のことに關して關心を持ち、これを研究するのが當然であります。從つて經濟問題あるいは政治問題について研鑽をし、また進んでその研究をするということは、これは望ましいことであります。少くとも積極的、いわゆる自分が主體的になつて、政治に關與し、政治運動をするということは、これは中道を履むべき判事が遠慮すべきことであらうと考えるのであります。各國においても正にさようになつております。現行の裁判所構成法においてもまたさように取扱われておるのであります。新たな裁判所法が制定されましても、この原則だけは活きていくことは當然であらうと考えております。また積極的に政治運動をなすということは、これは常識的に考えてみてもきわめて明瞭であらうと思います。いわゆる主體となつて、みずから進んで政治運動をなすということなく、受身になつてくることは差支えない。この點は私は常識的に解釋すれば明瞭であらうと考えておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=3
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004・田万廣文
○田万委員 それではなおその點についてお尋ねいたすのでありますが、裁判官が政黨に加入するということにつきましては、ただいまの御意見から考えると是認せらるべきでしようか、いかがでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=4
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005・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答えいたします。差支えございません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=5
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006・田万廣文
○田万委員 私はここに司法大臣の今の御答辯を總合して結論を一つ見出すのでありますが、この點につきましては裁判官は裁判官たるの職務に支障のない限り、政治運動に關與してもよいというふうに私は解したいのでありますが、これはいかがなものでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=6
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007・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 ただいまの御質問の點でありまするが、それはまたさらに進んで、積極的に、主動的にみずから進んで政治活動をするということたとえば自分が演壇に立つてある政黨のために演説するとかいうようなことは禁ぜられておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=7
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008・田万廣文
○田万委員 では次に御質問いたしますが、本法の六十七條、これは司法修習の問題でありますが、本法における司法修習の内容はどういうものであるか。私思うに大體司法官たるにふさわしいところの原則としては、法律的な修習ということは第一の目的としておられることは御異議ないところと思いますが、このほかに私は司法大臣も度度御答辯中において申されておりますごとく、實際の社會學あるいは經濟學というものをも、この修習の中に含ましめるべきものであると考えておるのでありますが、司法修習の内容について御答辯を願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=8
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009・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答えいたします。司法修習生の修習すべき事項につきましては、御承知の通り裁判所法第六十七條第三項に規定されておりますように、すべて最高裁判所がこれを内容的に定めることになつておるのであります。しかしただいま田万君の仰せのごとく、おそらく最高裁判所がこれを定めるにあたりましても、單純に法律學のみでなく、判事としてふさわしい、社會萬般にわたるすべての事象について研究を修めさせなければいかぬのであります。經濟學はもちろんのこと、あるいは政治方面にわたつても、ある點までは修習させることに相なるかと存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=9
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010・田万廣文
○田万委員 次に司法修習生はその修習を終えてまた試驗を受ける。そうして合格した時分において初めて任官されるようなことになつておりますが、司法修習試驗の委員というものについては、いかなる方々がなられるのであるか。民間人として實際の社會、實際の經濟というものの動きを究めているところの、鍛錬された人もその方面に關する試驗委員として採用されるものであるかという點、もう一つは期間が二年ということになつておりますが、この二年は私は少し長すぎると思う。その理由としては、大體本法にも記載せられておりますごとく、司法修習生は高等試驗司法科試驗に合格した者のうちから、裁判所がこれを命ずるということになつておるのでありまして、最高學府を出て、高等試驗司法科試驗にも合格したいわゆる法律的にはよく通曉した人であります。ただ司法修習の期間におきましては、手續きの實際を習うということが目的であり、その他あらゆる萬般の、裁判官としての資格を備えるにふさわしい勉強をしなければならぬということはもちろんでありますが、手續上の修習の期間といたしましては、またその他の勉學をいたしましても、その二年というものは長過ぎる。少くとも私は一年くらいが適當ではなかろうかと思うのでありますが、司法大臣の御所見はいかがなものでございましようか、承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=10
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011・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 私はむしろ田万君のお説とは反對であります。いかにも二年間というものは長いようでありますが、いやしくも裁判官たるにふさわしい修養をさせるのには、學校を出てから二年間くらいは、あるいは人格的に、あるいは學問的に修習させることが必要ではなかろうかと考えております。われわれはこれは少くとも二年間を最大減少したる期間ということに定めておりますが、最高裁判所においてはあるいはこれ以上の期間を定めるかも知れない。この點については、私は不幸にして田万君とその意見を異にいたす次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=11
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012・田万廣文
○田万委員 見解の相違でありますから、この點はその程度に止めまして、なお次に本法七十六條について質問したいと存じます。七十六條におきましては(意見を述べる義務)として「裁判官は、評議において、その意見を述べなければならない。」當然のことでありますが、もとの裁判所構成法におきましては、その意見發表の順位が規定されておると私は記憶しております。本法におきましてはその發言の順位が記載されておりません。私は意見を述べる義務につきまして、ここに明記すべき必要があると存じます。それはいわゆる裁判所構成法におけるもとのあの發言の順位ということが私は正しいと思います。從いまして下から上へという、このごろ民主的な代表のように使われておるあの言葉でありますが、その言葉通り下級裁判官がまず意見を發表いたし、そうしてこれを裁判長が統理していくというところに、ほんとうの民主的な合議體ができるのではないかと思います。何ゆえに本法においてはその意見を述べる義務だけ活かして、その順位を規定しなかつたか。實際問題としてこれはどういうふうな順位になつておるかということについて、司法大臣の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=12
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013・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答えいたします。今の御質疑の點につきましては、御承知の通り最高裁判所で裁判義務に關するルールを設けることになります。詳細の點はルールに讓つておるのであります。恐らく今のお説のごとき順位に定められることと考えております。それらの點はすべて最高裁判所のルールによることになると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=13
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014・田万廣文
○田万委員 統括した問題でありますが、司法大臣におかれましては、この民主的な時代において、裁判所の封建性を拂拭するについては、具體的にいかなる御所見をもつておいでになるかという點をまず聽きたいと思います。なおそれに並行しまして、從來辯護士から裁判官に任用された人もあるのでありますが、その人の話によると、どうも司法官試補から行つたのでなくては、いわゆる辯護士から司法官を希望して採用せられた場合、外樣扱いをされるということをよく聽くのであります。私はさようなことはあり得ないと思うのであるが、實際に轉向した人のうちにおいて、辯護士の方でさような意見をたびたび實際において言われておるのであります。これは非常に司法内部のいわゆる封建性というものがあるのではないかと思うのであります。これを絶對に拂拭しなければ私はいけないと思います。有能な人はむしろどちらかと言えば辯護士の人にも相當あるのであります。これを採用して今後ほんとうに民主的な裁判を實施するためには、この點も一つはつきりと司法大臣が解決していただきたい。さいわいにして木村司法大臣は法曹界から出られた人である。私の意見とほとんど同一の意見をもつておられると思いますが、ひとつ重ねて御答辯を聽きたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=14
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015・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 まことにごもつともな御意見であります。裁判所における封建性を拂拭しなければならぬ。封建性が今なお殘つておるかどうかということは、相當疑ひの餘地があるのでありますが、少くとも從來辯護士から裁判官になつた人が外樣扱いをされておる、そういうことは事實聞いております。まことに遺憾なことと存じております。但し不肖私が就任以來、裁判官になつてこられた辯護士諸君は實によくやつてくれております。また生え拔きの裁判官と非常に一致協力してやつてくれておりますので、私はまことに嬉しく存じております。と申しますのは、結局は人の問題であろうと思います。今後五月三日を期しまして、裁判所法が實施せられる曉におきましては、そういうたくさんの有力な在野法曹が裁判所に進出してこられることを確信しております。さような點から考えてみましても、裁判所のいわゆる明朗化というものはだんだん發揮せられてくるのじやなかろうか。なほ今後は、司法修習生は、これまで御承知の通り、辯護士の試補と司法官の試補とは別にしておつたのでありますが、これも一緒にしてしまいます。この點からも初めの出發點から一緒になつてしまいますから、非常にその間氣分的にいい結果が出てくるのじやないか、こう考えております。なおまた御承知の通り、裁判官については一種の獨立性をどこまでも保つとともに、一面において國民の龜鑑となり、いわゆる國民審判の點それから彈劾の制度、これから來ますと、やはり裁判官といえども身分保障の蔭に隱れることはできないのであります。非常に大きく世間に浮び上つてきます。世間がまたこれを大いに注意します。内部的、外部的兩々相俟つて、裁判所の明朗化というものは十分期待できるのではなかろうかと、私はこう考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=15
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016・田万廣文
○田万委員 御意見を承りまして非常に意を強うしたのであります。私は司法内部の封建性という言葉を使いましたが、さようなものを拂拭するには、裁判官が從來のような事務的な裁判をやらずして、いわゆる形式的裁判をやらずして、良心的な裁判をやる必要があると思うのであります。これは一つの話のたとえでありますが、かりに裁判官にして、略式命令に對する正式裁判を受けますその時に、正式裁判において相當同情してやらなければならないような問題についても、その個別性を無視して、罰金なら罰金を輕くしてやらないというような人があつたとしたならば、私は遺憾だと思います。またその人が或る小さな裁判所なら裁判所において、正式裁判をなぜ個別的にしないかというような問題に對して、自分が勤めている裁判所なら、裁判所が、非常に人手が少くて、非常に事件が多いということによつて、これをもし正式裁判を許してやつたならばどんなことになるかわからぬというようなことに對しても、かりにそういう認識をもつておるということになれば、これは私は封建的な存在だと思う。いわゆる事務的、形式的なやり方になつてくると思う。そういう人はないと思いますけれども、もし萬一さような人が裁判官の中におつたならば、大いにこの非を机をならして言わなければならぬと思う。いわゆる司法大臣の良心的な裁判をやらなければならぬ。形式的にやつておると言われても仕方がない。こういう點も、また正式裁判に對してはなるべく取下げをするようにということまでも言われる人がかりにあるとするならば、そういう行動は、司法大臣のいわゆる良心的な裁判官ではない。私はさような者のないことを希い、また希求しておるものでありますが、こういう點がかりに司法大臣のお耳に入り、また事實があるということでありますならば、これは斷乎として處分してもらわなければいかない。それがある意味における司法内部の封建制を打破する一つのことだと思う。私はさような見解をもつておるのでありますが、司法大臣のこれに對する所見を伺つて、參考にしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=16
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017・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答え申し上げます。申すまでもなく裁判は國民の權利義務に重大なる關係があるのであります。愼重の上にも愼重にこれを取扱わなければ相ならぬと思います。從つて裁判の不確實性、あるいはこれを事務的に取扱うというようなことがあつては相ならぬ。事案そのものについての原因、經過を十分に調べて、妥當な判決をすることが裁判官に課された任務であらうと思います。私は刑事事件について、常に考えておるのであります。いやしくも刑事事件については、それを裁くべき裁判官は、一度その被告人の立場に還つてやれ。もし自分が被告人であつたならば、當時どういう行動に出たであろうか。まずもつて被告の立場に裁判官は還つて、この事案の全般をよく見てやれ。しこうして判決を下すときには、一般と高い所から見て、その行動は單にその被告人一人のみに止まらず、社會全般に對して、その判決がいかなる影響をもつかというところまで深く考慮に入れて、事件の審理判決をすべきが裁判官の當然の任務であろうと私は考えておるのであります。そこで裁判官というものは、實にきわめて重大な任務であるとともに、これはむずかしい職務であると考えておるのであります。裁判官はいやしくも不公正なことであつてはならぬ。偏頗の行動をとつてはならぬ。いわゆる神の心に還る。これはむずかしいことであると思います。しかし少くともそういう心がけをもつて裁判事務を取扱うことが、裁判官の行き方であろうと私は考えておるのであります。今後裁判官に對しては、十分にあらゆる修養殊に人間的な修養が一番肝腎であると思います。裁判官にふさわしい資格を身につけて、立派な公正な裁判をしていくように、裁判官自身もしていかなければならぬ。こう考えておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=17
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018・田万廣文
○田万委員 司法大臣の御答辯によりまして、私はその御答辯になつた趣旨が、末端まで裁判官に對して浸透することを希望しておきます。
最後に、これは本法とは關係がありませんが、四國高等裁判所というか、さようなものが四國においては要望せられておるのであります。司法當局におかれましてもその點についていろいろ御研究になり、また具體的にある程度話が進んでおるということを承つております。でき得べくんば、これは司法大臣でなくて結構でありますから、局長さんからでもその點について觸れていただきたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=18
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019・奧野健一
○奧野政府委員 このたび高松に高等裁判所を設立して、四國全般を管轄する高等裁判所をつくりたいという考えをもつております。これは地理的關係、事件の關係、交通の關係等からいろいろ研究の結果、司法省においてそういうふうに決定いたしたわけでありまして、最近の機會において、裁判所設立並びに管轄區域に關する法律案を御審議願うことになつておりますが、その法律案の中にただいま申しました高松高等裁判所の設置に關する關係も規定いたしておるのでありまして、この點近く御審議を願うことになつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=19
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020・田万廣文
○田万委員 私の質問はこれで打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=20
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021・小島徹三
○小島委員長 木村チヨ君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=21
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022・木村チヨ
○木村(チヨ)委員 裁判所法案について、まさに可決されようとしておりまするただいま、婦人の裁判官及び判任官を、司法大臣において適所に使用されるお考えがあるかないかをお尋ねしたいのでございます。裁判所の民主化については、相當これについて各議員からいろいろと論議をされておりましたが、私たち婦人は長い間無能力として取扱われてまいつたのであります。さいわいに婦人參政權を與えられ男女同權という權利も與えられまして今度の新憲法に對してはまことに私ども婦人としては滿足するところであります。それにつきまして、裁判所における婦人の事件も相當ありますが、婦人のもつ心理状態は婦人のみが感知するところではないかと私は感ずるのであります。それゆえに、簡易裁判所は申すまでもありません。地方裁判所、控訴院、大審院に至るまで、裁判所における婦人の裁判官及び判任官を、適所にお使い下さることができるように司法大臣としてお考えがありますかどうかをお伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=22
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023・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答えいたします。日本國憲法におきますると、婦人も男子と同一の取扱いを受けることになつております。もちろん今後適當な時期には、婦人といえども適當な人であれば裁判官に任命されることであろうと考えております。殊に御承知の通り、この裁判所法が施行されますると今後家事審判所というものができることに相なるのであります。家事審判所は申すまでもなく、家庭における一切の紛議がここで裁かれることになります。殊に婦人問題、相續問題等については、重要なる役割をもつことになつております。これらの家事審判所に婦人の裁判官が進出されまして活躍されるということは、まことに望ましいことと考えております。おそらく家事審判所あたりでは、婦人の裁判官も出ていただけるものと考えております。また御承知の通り、簡易裁判所が各地にたくさんな數、でき上ります。これはこの前の委員會でも申し上げました通り、まつたく民衆と接點の深い裁判所であります。これらの裁判所にも、選考委員會において選考され、その土地の徳望ある有力な婦人が、おそらく進出されることであろうと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=23
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024・木村チヨ
○木村(チヨ)委員 大臣のお答えで滿足いたしました。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=24
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025・小島徹三
○小島委員長 井伊誠一君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=25
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026・井伊誠一
○井伊委員 私は、さきに質問されました委員の諸君の質問に重複しないように、なるべく簡單にお尋ねいたします。第一に裁判所法廷の改造の問題であります。これは久しき前から言われておることでありまして、すなわち法廷の構造は被告のいすが低くて檢事のいすが高いというようなことで、そういう場合におきましても、また一般に民事の法廷は同樣の構造でありますがこの裁判官と一般民衆との感じから申しまして、とかくそこに上下の感じを生ぜしめる。殊に刑事法廷におきましてはそういう感じを著しくしまして、どなたか言われました通りに、既に一方は罪人のような感じをもつようであるし、また從つてある場合には心得違いな檢事などが、ほんとうの罪人扱いでもつてこれに對するというような事實もあつたのであります。かような民主的な法律のできます機會でありますから、この構造からひとつかえていく必要がある。こういうふうに考えるのでありますが、もとよりこれは數多くあるところの法廷を改造するので、經費の問題に關係すると思います。從いましてこれはいずれ經費があるときにおいて、逐次これを改造するということになるやもしれないということを感じられるのでありますが、もしこれを改造するという御意思があるならば、これを一氣にかかる機會において改造するのでなければ意味がない。あるところは眞に民主的にできておるし、あるところはまだ費用の關係で、民主的にならぬというようなことであつては私は相ならぬと思うのでありますが、これに對する改造の御意思があり、また御計畫があるかということを伺つておきたいと思うのであります。
なお併せまして判事、檢事、書記、辯護士というものの服制と申しますか服裝について一定の規定があるのでありますが、最近は戰爭の結果それらのものが失われた。これを補充することができないという關係もありますが、またその中には、この際もう必要がないのではないかという感じが生れておるのかも知れませんが、服裝を用いなくてもよろしいというようなふうにも言われておることもあるやに聞きます。この際ああいう服裝というものも意義のあるもののようには思いますけれども、これは一般の民衆から見ますと、やはり格段に、法官がこういうものを着て、ただ威嚴を備えておるようなものは不必要ではないかというふうに考えるのでありまして、法廷全體の空氣を明朗にし、社會そのままの空氣にするということで、かような服裝は眞に必要もないし、これを廢止するところの御意思がありますか、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=26
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027・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答えいたします。まず法廷の改造の問題でありますが、ただいま司法省におきましては法廷改造委員會を設けまして、これでいろいろ研究しております。現在の程度ではある成案を得ておるのであります。これをいかに實施するかということは今後の問題でありますが、われわれの希望といたしましては、英米式に法廷を改造いたしたいという考えをもつておるのであります。法服の問題でありまするが、これはいろいろな考え方があるようであります。私個人として考えてみますと、法廷は非常に和やかであると同時に、一種の嚴肅味をもたせるのがいいのじやないかと思います。これをどういう工合にしてその嚴肅を保つていくかということは、なかなか容易な問題ではないと思います。御承知の通りイギリスにおきましても裁判官はいわゆるガウンを着ております。御承知でありましようが、實にこれは一種の嚴肅さをもつて法廷を引締めるだけの効果は十分にあるだろうと思います。そこで今後の裁判官の法服の問題でありまするが、これは相當研究をする餘地があろうと思います。私は今直ちにこれを廢止していいかどうかということを、ここで結論的に申し上げることを差控えたいと思います。少し研究したいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=27
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028・井伊誠一
○井伊委員 次に簡易裁判所の判事登用の途でありますが、四十五條によりまして、その前條第一項に該當しない者でも採用される途が開かれておるのでありますが、ただいま木村委員からのお話によりまして婦人登用の途がある。これは結構なことでありますが、年齡のことがどういうふうになりましようか。年齡の制限は何もない。他の方面ではある學校を卒業して試驗を受けてとられるのでありますから、年齡はおのずからある程度の形になりますが、この特別なる任用の場合においては、年齡のことは別にないのであります。ただもつぱら簡易裁判所判事の職務に必要なる學識經驗のある者ということになりますれば、もちろん男女を問いますまいが、年齡の點はどうか。これは非常に自由な規定であるかもしれない。その點については年齡の制限はないのでありますか。それをお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=28
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029・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 裁判官は最高裁判所の判事は七十、それ以下の裁判所においては六十五歳をもつて定年といたしております。その定年に達するまでの年齡の範圍内において、選考委員會において十分判事として勤め得るような人たちを選ぶわけになつております。實際問題といたしまして簡易裁判所の判事に選考される人は、やはり資格のない人から選ぶとすれば、徳望識見の高い名望家ということになりましようから、そう若い人が選ばれることはなかろうと考えております。少くとも六十五歳の定年に達するまでの年齡の範圍であれば、自由に選考できるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=29
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030・井伊誠一
○井伊委員 この裁判所法が憲法と合わせ實施になりますと、司法省とどういうふうな關係になりましようか。これと裁判所はどんな意味において關係をもつかという點を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=30
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031・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 申すまでもなくこの裁判所法が實施されますると、裁判所は全然司法省とは分離するわけであります。司法省は裁判所に對して、大體において關係がなくなるわけであります。しかし殘る司法省におきましては、やはり檢察廳との關係がありまして、それと大きな問題は行刑、それから司法保護の關係であります。その他あるいは今後できまするアンチトラスト法、獨占禁止法に基いて、議會とかあるいは司法關係の各種の法律などについての立案を取扱うことになつております。私のただいまの考えでは、司法省は將來相當大きな役割を持つてくるではないかと考えております。殊に國家治安の任に當りまする檢察廳との關係が相當密接でありまするから、その方面からいたしましても、今後の行き方として司法省の役割というものは、相當大きくなつてくるのではなかろうかと考えております。しかし今申しました通り、裁判所とは全然分離されて、關係がほとんどなくなるということになると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=31
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032・井伊誠一
○井伊委員 彈劾裁判所のことについてお伺いしたいと思います。これは今議會に御提出になるものと考えておりまするが、まだ出ておりませんので、一應大體の構想をお聽きしておきたいと思うのであります。その彈劾裁判所というものが特殊のものでありますだけに、これはたとえばどこに設けられるのであるか。あるいは公開であるかあるいは再審であるか。一審で終審になるものであるか、どうか。それから裁判所の構成、罷免を訴追するものというような點につきまして、いずれこれは別の機會に御質問すべきでありましようけれども、この裁判所法審議の都合上承つておきたいと思います。詳しくなくて結構であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=32
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033・奧野健一
○奧野政府委員 私からお答えいたします。實は裁判官彈劾法案もこの議會に提出する準備をいたして、大體の成案も得ておりますが、各方面との關係上、會期の關係からして、今議會には提出困難となつてまいりましたので、次の議會に提出する豫定であります。しこうして裁判官彈劾法のことは、大體において國會法において規定せられるところによつて定めるということになつております。しかし裁判官彈劾法というものが、國會法のほかに別につくられることになつておりまして、大體今考えております構想といたしましては、訴追に關する訴追委員會というものをつくりまして、その訴追委員會の訴追に基きまして、彈劾裁判所が彈劾に關する裁判をするということになつておりまして、彈劾裁判所は衆議院及び參議院の議員によつて構成されることになつております。しこうして公開を原則としておりますが、また審級はその彈劾裁判所一審限りで、上訴の途はないというふうな構想で進みたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=33
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034・井伊誠一
○井伊委員 本法第四十八條でありますが、これもちよつと裁判官の身分保障で、このところで別に法律で定めるということになつておりますが、裁判所はこれはどこでありましようかということと、それから今度は合意をすれば轉官することも轉所もできる。こういうふうに裏の方から解釋せられるのでありますが、この轉官というのはどういうものを豫想しておられるのでありましようか。それから轉所というのは、これももし裁判所が轉所することを欲しないという場合には、轉所というものは、ほんとうにこれから言えば拒み得るというようなことに解釋せられますが、そういうふうに解釋してよろしいのでありましようか。その點をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=34
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035・奧野健一
○奧野政府委員 四十八條の身分保障に關し「別に法律で定めるところにより」というふうになつております。この法律と申しますのは、この次の議會で審議を願うつもりでありますが、裁判所職員の分限に關する法律というものを提出いたしたいと思います。その分限に關する法律案の中には、いわゆる現在の犯罪懲戒法に該當するものとそれから「心身の故障のために職務を執ることができない」場合の、罷免の裁判をなし得る手續と、この二つの事柄を規定しております。しかうしてこれらの懲戒の裁判及び罷免の裁判をなす機關は裁判所でありまして、裁判所と申しましても、たとえば地方裁判所以下の裁判官に關する懲戒なりあるいは罷免の裁判は高等裁判所で行う。それから高等裁判所あるいは最高裁判所の裁判官についての裁判は、最高裁判所で行うというふうに區別する考えでありますが、機關としては裁判所で行うということに考えております。しこうしてなお御質疑の、いわゆる轉官あるいは轉所ということは、現在の裁判所構成法にもこの通りの文字を使つているのでありまして、轉官というのはたとえば裁判官から警察官に變つたというような場合を豫想しており、またあるいは裁判所から司法省の官吏に變るというような場合も豫想されるわけであります。次に轉所と申しますのは現行法にもその通りの文字を使つておりますが、たとえば東京の裁判所から大阪の裁判所に轉所するという場合を考えておるわけでありまして、もしどうしても裁判官において自分が轉所がいやであるということでありますればその意思に反して轉所を命ぜられることはないということになるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=35
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036・井伊誠一
○井伊委員 もう一つ簡單にお尋ねしたいのは、第六十一條に「裁判所技官は上司の命を受けて、技術を掌る。」とありますが、これはいかようなものでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=36
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037・奧野健一
○奧野政府委員 今後裁判所の豫算は司法省の豫算と獨立いたします關係上建築、營繕等につきましても、裁判所の方でやつていかなければならないということになりますので、建築等の技師が必要になる。そういうものも豫想しておるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=37
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038・井伊誠一
○井伊委員 裁判所の營繕の關係が技官によつてやられるという機會に、將來の裁判所の建築等につきまして一言申し上げておきたいと思います。法廷のことはただいま御答辯ありましたように、今御研究中ということでありますが、全體の裁判所の建築というものは、從來はある一つの樣式が定まつておつて、それが到るところに建つておつた。そうしてその中心の考え方というものは、やはり威嚴を備えておつて民衆に臨むという裁判の威嚴を保つことが中心の考え方になつておつた。そういう建築の行き方で、いかにも本館の方は堂々とした御殿つくりのようなことになつておつて、これはその當時目的を達したように思うのでありますけれども、附屬の建物、たとえば辯護士控室等のごときもになりますと、今申した裁判所の威嚴をつけようとする考え方に陷つておつて、そういう方面の建物はまことにふさわしくないものであるということを、到るところの裁判所に行つて感ずるのであります。それが現在火災にもかからずそのまま存しておるところを見ますると、殊にその對比がはなはだしく、一般民衆の出はいりする建物の方は非常に見劣りがする。本館の建物が立派なだけに、かえつてその附屬建物が非常に見劣りがするという感じがしておるのであります。そうしてさまざまな人がはいつておりまして、單に隨分いたんでおるというだけでなく、雜然とした、これがほんとうに裁判所の建物かと思うようなものが相當あるのであります。こういうものはどうしてもひとつ考えをかえていただかなければならぬと思うのであります。裁判所の建物それ自體が堂々たるに比して、採光とか、通風とかいうものについては、あまり感じがよくないということもありますが、一般民衆が見るところの感じから申しますと、附屬建物の方があまりに見劣りがする。これを何とか調和をして、殊にこれから民衆が自分の裁判所であるという感じをもつて出はいりをするということになりますれば、もう少し交通とか、民衆の利便というものについても、相當考慮をしなければならぬと私は考えておるのであります。なお雪國の方の建物に至りますと、吹雪がはいつては困るとでも考えるのか、必ず囘轉窓が囘轉しないというような取付のものをこしらえてみたり、一樣の形式をとつておるので實際に適しないことがあるのであります。これはそういうふうにせずに、將來こういう技官を設けて、裁判所が獨自に營繕をやられるということになりますならば、私は地方のその場所に適するように、これをつくらなければならぬとこういうふうに考えておるのであります。また舊套を重んじてそのままのものを建てられるというようなことでは、私はいけないと考えますので、これらについて希望を申し上げておくわけであります。これに對しましてお考えがありますならば承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=38
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039・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答えいたします。裁判所廳舍の民主化、まことにごもつともなことであると思います。御承知の通り從來の裁判所は、要するに明治二十何年かの治外法權徹廢の機會に建てられたものが多くて、いわゆる威嚴性というものが主體になつてつくられておるのでありますが、今後は特にさような建物にまで威嚴性をもたせるという必要はないと思うのでありまして、民衆の利便ということをまず頭に入れて建てなくちやならぬと考えております。現在われわれが今おりまするもとの民事地方裁判所の廳舍が、これは近代的の、模範的なものであろうと私は考えております。きわめて民主的にできておりまして、何ら威嚴ということを考慮に入れておりません。またただいま應急的の裁判所、あるいは檢事局の廳舍、これもまつたく利便ということを頭に入れてつくつております。今後はさような行き方ですべてやられることと考えております。また畫一性を打破して、各地方に即した建物を建てる。これはまことにごもつともな御意見でありまして、おそらく今後建てられる廳舍というものは、やはり地方性を加味されて建てられるものと信じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=39
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040・井伊誠一
○井伊委員 私はこれで終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=40
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041・小島徹三
○小島委員長 三浦君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=41
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042・三浦寅之助
○三浦委員 なるべく重複しない範圍におきまして簡單に二、三お尋ねいたしたいと思います。
先ほど司法省關係のことについて御答辯があつたのでありますが、この點についてもう少しお聽きしたいことは裁判所と司法省が全然別個になるということはわかります。それから司法大臣のお話のうちに、檢察廳とのいろいろ關係があるということであります。まだ檢察廳法が出ていないので、あるいはその方でお尋ねするのが適當かもしれませんが、檢察廳ができましても結局司法大臣がこの檢察廳に關する人事とか、あるいは豫算というようなものまでをやるのかどうか。殊に行政警察の面から申しますると、おそらくこれは内務省關係、あるいは地方自治體の方に大部分委讓されるのであつて、内務省關係において多く取扱うのではないかと思うと、その點も司法省關係はほとんどなくなるような氣もするわけであります。また公訴權の關係においては檢察廳において取扱うとするならば、これまた公訴の指揮あるいは方針というようなことについても、司法大臣は關係がないように考えるし、またこれが指揮するようなことになれば檢察廳との摩擦を來すような考えにもなるのでありまして、この點に對して私は司法省という存在が裁判所に關係がなく、また檢察廳ができ、殊にまた行政警察の面においては、内務省あるいは地方自治團體等において行うということになつて、刑事警察の面が檢察廳方面において取扱うということになると、司法省の權限というものが非常に縮小されはしないか。殊に人事や豫算は、檢察廳方面においてのこれはどうだかわかりませんが、もし檢察廳の方において檢察廳關係の人事、豫算等も立案するというような建前になるならば、これまたその點の人事や豫算が關係ないならば、司法省は實際において檢察廳との交渉が大したことはないではないかというようにも疑いをもつのであります。その點に對してもう少し御答辯を願いたいわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=42
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043・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答えいたします。裁判所が獨立分離した曉における司法省の性格でありますが、申すまでもなくこの檢察廳に關する一切の人事豫算のことは今後司法省でやつていくことになります。と同時にいわゆる警察の關係、これはどうなるか。これは私は將來日本の行き方として非常に考えなくてはならぬと考えております。各位にとくと將來の御研究を願いたいと思います。内務省と司法省との警察に關しての關係、行き方であります。この警察の問題をいかに取上げるかということは、われわれ愼重に考慮しなくてはならぬと考えております。私一つの理想はもつておりますが、ただいま申し上げる時期でありませんから申し上げません。どうしてもこの司法警察に關する點は、これは私は檢察廳ですべてやるべきことが理想であると考えておるのであります。從いまして將來司法省といたしましては、その分野における仕事というものは、殖えるとも少くなくなることはなからうと考えております。かつ先刻申し上げましたように、行刑事務一切、司法事務一切、その他司法に關する法律の制定立案に關することは、一切司法省でやつていかなければならぬので、裁判所が分離された曉における司法省の性格というものは、決して小さいものではなからうこう考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=43
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044・三浦寅之助
○三浦委員 次に裁判の問題で考えさせられることは、裁判官が良心に從つて獨立に判決を下すことは當然であります。ところが往々にして政府の方針あるいは司法省の方針と申しましようか、指令とでも申しませうか。そういうようなことで、判決がその方針に基いて裁判をされたような傾向がないとは言われないと思うのであります。殊に政府の方針あるいは輿論等に左右せられて、そういうような線に沿うて判決されるような傾向があるように考えるわけでありますが、こういうことは司法の獨立というような立場から、まことに感心しないことであると考えるのでありますが、その點に對する御意見を承りたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=44
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045・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答えいたします。從來政府、政府と申しましても司法省でありますが、司法省が裁判所に對して指令をなしたことはおそらくないと思います。檢事局に對しては指令を發しております。その當時の事情に即していろいろな指令は發しております。裁判所の獨立性から考えまして、裁判所に對して指令を發すべきものでもありません。從つてそういうような指令は、事務的のことはやつておりますが、いやしくも裁判の内容に關する點に對しては、指令は發していないと考えております。將來もそうでなくてはならぬと考えます。裁判所はもちろん輿論の動向ということは十分研究しなければなりません。私はしてよからうと思います。するのは當然であります。しかしながらその輿論の動向に支配されて、いやしくも自分の良心に反するような裁判をすることはもつてのほかであります。そこが私は裁判官の一番むずかしいところであらうと考えます。輿論の動向を知り、世上の事柄を十分見定めるということは、これは必要のことでありますが、ある力によつてその自分の意見を左右して判決を下すというようなことは、これはもう裁判官の資格はないと私は思つております。そこが裁判官の獨立性ということをよく心に置いて、事實の審理、裁判をなすべきものであると、こう考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=45
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046・三浦寅之助
○三浦委員 司法大臣の御答辯非常に滿足であるのみならず、私も同感でありますが、どうしてこういうことをお尋ねしたかというと、實はそういうような疑をもたれるようなことが、自分らが實際に取扱う範圍において考えられる點があるのであります。これは具體的に申し上げることは差障つてもいけませんから差控えますが、ただ抽象的に申すならば、判決等に現われる場合において、政府でもこれは嚴罰にしなければならぬというような意見があるから、許すわけにいかないんだ、というようなことを、その判事が判決の場合に敷衍したようなことも再三耳にしたこともあるのであります。それで實ははなはだ遺憾に考えるのみならず今後の司法の獨立、あるいは今後いろいろ周圍の状況等に應じて考える場合において、そういうような點を杞憂いたしましたので、そういうような質問をしたわけであります。
次に強制留置の問題で、まだはつきりしないのでお尋ねするのでありますが、憲法の條章からいつても「何人も現行犯として逮捕される場合を除いては、權限を有する司法官憲が發し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。」それから拘留、抑留、拘禁もされないことになるのであります。ただここで問題は、犯罪の搜査の場合において、一つ嫌疑というような場合において、任意同行というようなことを現に行つているわけでありますが、これらの犯罪の搜査の場合において、官憲が任意同行するというようなことは、任意同行して、そうして犯罪の取調べの便宜上行政留置といいますか、保護留置といいますか、現在現にやつております。またはなはだしきにいたりましては一ケ月くらいのことは平氣で、まだ何らのこともなく現に警察にたくさんおります。はなはだしいのになりますと、これはいろいろなる關係もあつてであるそでありますが、昨年の十二月からまだ警察にいるのもあります。こういうことが今後一體行われるのかどうか。そういうことも一切できないのか。その點がまだはつきりしないので御答辯を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=46
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047・奧野健一
○奧野政府委員 これは實は刑事局長からお話申し上げる方が適當であると思いますが、この席におりませんから一應私から申し上げます。ただいま憲法に基きまして刑事訴訟法を改正いたしまして、今議會に提出する手續をとつておりますが、會期等の關係からいたしまして、一應應急措置的な刑事訴訟法の改正案を近日提出することになつております。それによると憲法の條章に基きまして、現行犯以外はすべて司法官憲の——司法官憲と申しますのは裁判所ということになつておりますが、裁判所の發する令状によらなければ、勾引、拘禁ができないという建前で進んでいるわけであります。なお詳細の點は最近の機會に刑事訴訟法の改正案が出ると思いますから、その際に申し上げることにいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=47
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048・三浦寅之助
○三浦委員 ではその時でもよろしいのですが、今の御答辯の點は、憲法を見ても大體わかるのであります。ただ私のわからないのはただいま申しました通り、任意同行とか、あるいは從來保護留置とか、承諾留置とか、名目はいろいろつけているのでありますが、實際上この留置がもし行われないということであれば、犯罪の搜査に非常な支障を來すようにも考えられるし、またこれが強く行われれば、いわゆる憲法の趣旨に反して、人權蹂躙が事實上行われるということになりますので、その點は別の機會に御答辯を願いたいと思います。
それから青年の犯罪が、先般の委員會でもお話があつたのでありますが、最近非常に多いのであります。殊に二十前後の青年、あるいは復員した人の犯罪が非常に多い。こういうような犯罪を考えてみますと、青年が敗戰という大きな事實のために、非常に希望や感激がなくなつて、不良化するというようなこと、あるいは青年がいろいろな社會情勢を見て、それに對するところの一種のやけ氣分とでも申しましようか。窃盗、恐喝、強盗あるいはけんかの結果、傷害致死というような事件が非常に多いわけでありますが、こういうような點に對しては、青年に對して希望や感激をもたせるようにすることが、犯罪の豫防という點において最も必要であると考えるのであります。こういうような青年に向つては、ただ法規による刑罰の判決を下しても少しもよくならない。要は犯罪の豫防方面において、これら青年に對する指導が非常に重要であると考えるのでありますが、犯罪豫防の見地から、これらの青年の指導に對する御意見が承りたいと考えるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=48
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049・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 お答えいたします。まことに適切な御意見であります。青年の犯罪まことに憂うべきものであります。この青年を正しい方向に導いて、將來國家有用の人としていくということは、これは國民全般の責任であり、殊に司法當局としてはその點について十分な關心をもつているのであります。現在の青年が一つの希望を失つている。これに對し目標を與えてやるということは、第一に必要なことであると思うのであります。これまではいわゆる超國家的の考えで、すべて何でも國家のため、御國のためということで一つの目標を與えまして、その方向へすべてを引きずつていつたのでありますが、今後はさようなことは許されないのであります。要するに、日本が先端を切つて世界平和の先達となる。われわれは文化的國民として、世界に先がけて世界の平和を目指していくのだというところへ、目標を與えてゆかなくてはならぬと考えております。これは教育家も、われわれ司法行政にあたつているものも、すべて一團となつて盡力しなくてはならぬかと考えております。そこで司法省がさしあたりなすべきことはどこにあるかと申しますといわゆる犯罪を犯すおそれある青年、あるいは犯罪を犯した青年、これらをまず正しい方向に導いて、國家有用の人材に仕立てあげるということの仕事であります。これは司法保護の方でやつているのであります。現在われわれの仕事といたしましては、この間どこかの委員會で私申し上げたのでありますが、瀬戸の少年保護院、あるいは都下の多摩の少年保護院等は實によくやつております。また日本全國にわたつているのでありますが、その地方々々のそういうことについて關心をもつておられる方の協力を得まして、いわゆる少年保護の方法を活用いたしましてただいまのところでは不完全ながらもまずやつている次第であります。われわれはこの制度を十分に活用いたしまして、かりにも刑法を犯す疑いのあるような少年を、善良に導いていきたいと考えている次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=49
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050・三浦寅之助
○三浦委員 それから三十三條第二項の二「罰金以下の刑にあたる罪又は選擇刑として罰金が定められている罪に係る訴訟」の選擇の問題ですが、選擇刑として罰金と懲役が定められているような罪は、簡易裁判所で取扱うか、地方裁判所で取扱うか。この選擇の事件の分擔はどうしてきめるのでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=50
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051・奧野健一
○奧野政府委員 簡易裁判所におきましては、たとえ選擇刑になつておりましても、禁錮以上の刑を科すことはできないことになつているのでありまして、選擇刑になつている場合は、これを地方裁判所に送致するか、簡易裁判所に起訴するかは、檢事が決定するということになるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=51
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052・三浦寅之助
○三浦委員 それからこれも前に觸れられておつた問題でありますが、司法職員の待遇のことで、司法省關係におきましては、實は役得もなければ何にもないのであつて、實際食糧というようなもののはいることもほとんどないのであります。現在のごとく缺配の續いているような場合において、かりに俸給の點において待遇いたしても、物資を蒐集することができないというような状況下におきましては、良心的に司法事務を取扱うことは、非常に困難に考えるわけでありますが、殊に司法官に對しまして、司法官が良心的に司法事務を取扱う場合におきまして、物資の配給がない。あるいは配給だけで自給自足ができないというような場合においては、いきおい他の方法で物資を入れて食生活をしなければならぬということになると、そこに良心に從つて裁判をすることが非常に困りやしないか、ちよつとあまりとりつけた意見になるかもしれませんが、少くとも良心的生活のでき得ないような状況におかれた場合において、良心に從つて獨立の裁判をすることが、非常に困難なような氣もするのでありますが、私のお願いすることは、ただそういう點に對して司法職員に對するとろの物資における、良心的な生活のでき得る最小限度の考慮を、當局において御考慮願いたいと思うわけであります。この點は御答辯はどちらでもよろしうございますが、私の希望として申し上げまして私の質問を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=52
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053・菊地養之輔
○菊地(養)委員 五十二條の政治運動の禁止の問題で再び司法大臣を煩はします。五十二條の一號の條文を見ますと、國會議員になること、あるいは地方公共團體の議會でありますから、縣會議員になること、市會議員になること、こういうことは禁ぜられておることはもちろんでありますけれども、この程度の積極的な政治運動をしてはならぬというような規定ではないかと思うのであります。裁判官個人として知人から推薦を頼まれて、葉書五枚や十枚出して知人に配布するというような政治的な行動までも禁止する規定じやないと考えるのでありますが、いま一度司法大臣にこの點をお聽きしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=53
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054・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 これはただいま菊地君の仰せのように非常に議論のある點であります。これは今後あらゆる方面からの意見によつて解釋が生れるわけで、私の個人的の意見でありますが、要するに、主動的に自分が政治運動をなしてはいかぬということであります。あるいは自分が選擧權を行使するとか、あるいは政治の講演を聞きに行くとか、あるいはその他人を集めてこれは政治運動じやありません、自分の考え方を述べるとかいうことは差支えなかろうと思いますが、いやしくも主動的にある政治活動をすることは禁止されておると考えておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=54
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055・菊地養之輔
○菊地(養)委員 大體司法大臣の御意見はわかつたのでありますが、先の質問に戻りまして、そういう御解釋からみますれば、知人の五、六人や十人くらいのものに對して、友人から依頼を受けて推薦状を出すというようなことは、主として積極的に政治運動をすると解釋せずともいいのではないかと考えるのでありますが、これは裁判官の政治的自由の問題でありますから、私は深く考えてみなければらぬと思うのであります。もしこういうこともできぬとしますならば、裁判官は何らの政治運動はできなくなつてしまう、そうして政黨加入の自由を認めておりながら、個人的な推薦状を出せぬというようなことは、これは矛盾してくると考えるのであります。この點をお聽きしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=55
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056・木村篤太郎
○木村(篤)國務大臣 その點については十分また他日の機會に、諸君と御議論をしたいと考えておりますが、たとえばポスターに張つてあるところの自分の友人を推薦するとかいうようなことになりますと、いわゆる裁判官としての地位とどういう關連性をもつておるかということから考えてみますと、相當問題になろうかと思うのであります。葉書で推薦する、これはその限界が非常にむずかしくなるのでありますが、多數の葉書をもつてある友人を裁判官が支援して、推薦状を發するというようなことになりますと、相當これは裁判官としての身分、地位からみて問題になりはしないかと思われるのであります。その點の考慮から、さような點については積極的に政治活動をするものと、いわゆる該當するものと解釋されるべきものではなかろうかと思います。具體的な問題は、要するに積極的に政治活動をするということの解釋いかんの問題、該當するかどうか。それは個々の場合に判定すべき問題だと考えております。私は今の點は、私見でありますが、それは解釋問題だと思います。さように菊地君のごとくに解釋されるかどうかということは、よほど疑問であろうかと私は考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=56
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057・菊地養之輔
○菊地(養)委員 この問題は相當デリケートの問題でありますから、別の機會にまた質問をいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=57
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058・小島徹三
○小島委員長 それではこれにて質疑は終了いたしました。午後は大體において討論にはいりたいと思います。午後一時まで休憩いたします。
午後零時十二分休憩
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午後一時四十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=58
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059・小島徹三
○小島委員長 休憩前に引續き會議を開きます。これより裁判所法案を議題として討論に付します。三浦寅之助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=59
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060・三浦寅之助
○三浦委員 本法案は新憲法の施行に伴う當然の法案でありまして、本法案に對しましては滿腔の敬意をもつて賛成するものであります。今後におきましては、裁判の民主化、また司法の獨立の方針に基きまして、時の政府の方針に迎合し、または輿論にこびるがごときことなくして、どこまでも良心に從い、獨立の裁判を遂行するように希望しいたしまして、本案に賛成いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=60
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061・小島徹三
○小島委員長 進歩黨荊木君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=61
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062・荊木一久
○荊木委員 本法案は新憲法のもと、立法、行政と並んで完全な獨立を確保する裁判所の構成に關する根本法であり、憲法附屬法典の一つをなすものであります。本法律案が現行の構成法と根本的に異なる點は、檢察廳の獨立による本法よりの除外、それから特別裁判制度の廢止をも含んで、最高裁判所の權限が飛躍的に強化された點、その他簡易裁判所の設置等でありまして、論議としては非常に多く存するのでありますが政府の御説明でわれわれは十分了承することができたのであります。なほ人權尊重に關する論議も先般來多々あつたのでありますが、これは遠からず本委員會に併託を豫想せられております檢察廳法案、あるいは刑事訴訟法改正法律案審議の際になお論議の機があろらうと存じます。新憲法の實施が間近に迫つておりますし、併せて議會の會期も餘すところいくばくもなく切迫しておる際でありますから、日本進歩黨は、黨議によりまして原案に對し全幅の賛意を表します。なお先ほど委員諸君からお話がありました裁判の民主化に關する附帶決議、並びに陪審制度の擴充に對し、政府は相當の考慮を拂われたしという附帶決議に關しましても、何ら異存ございません。賛成いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=62
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063・小島徹三
○小島委員長 社會黨菊地君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=63
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064・菊地養之輔
○菊地(養)委員 私は日本社會黨を代表いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。但し左の附帶條件を附したいと存します。
附帶決議
一、裁判所は、憲法が國民に對し保障せる人憲尊重の精神に徹し、官僚獨善の弊風を打破し、形式主義を排除し、眞に國民の信頼に應うる裁判民主化のために努力すべし。
一、陪審制度に關しては、單に公判陪審に止まらず、起訴陪審をも考慮するとともに、民事に關する陪審制度に對しても十分なる研究をなすべし
以上の二點の附帶條件を附して賛成いたしたいと存じます。各派の委員諸君の御賛成を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=64
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065・小島徹三
○小島委員長 討論は終局いたしました。これより採決いたします。まず本案につき採決いたします。本案につき原案の通り決するに賛成の議君の御起立を願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=65
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066・小島徹三
○小島委員長 起立總員。よつて本案は全會一致をもつて原案の通り可決いたしました。
次に社會黨提案の附帶決議につき採決いたします。本附帶決議を附するに賛成の諸君の起立をお願いいたします。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=66
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067・小島徹三
○小島委員長 起立總員。よつて本附帶決議はこれを附するに決しました。
一言御挨拶申し上げます。私ふつつかな身をもつて、委員長といたしまして、この重大なる職責にあたりましたところ、皆樣方の特別の御協力を得まして、おかげをもつて無事に本日原案通り可決されましたことは、まことに感謝にたえないところでございます。厚く御禮を申し上げます。(拍手)本日はこれにて散會いたします。
午後一時四十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009211135X00319470317&spkNum=67
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