1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
統計法案(政府提出、貴族院送付)(第一一號)
恩赦法案(政府提出、貴族院送付)(第一三號)
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昭和二十二年三月十二日(水曜日)午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 庄司一郎君
理事 花村四郎君 理事 氏原一郎君
今井はつ君 小島徹三君
堀川恭平君 森山ヨネ君
前田榮之助君 安藤はつ君
丸山修一郎君 越原はる君
三月十一日委員井出一太郎君辭任につきその補闕として丸山修一郎君を議長において選定した
三月十二日前田榮之助君理事辭任につきその補闕として氏原一郎君が理事に當選した。
出席政府委員
内閣事務官 美濃部亮吉君
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本日の會議に付した議案
統計法案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=0
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001・庄司一郎
○庄司委員長 これより會議を開きます。この際お諮りいたすことがございます。前田榮之助君が理事の辭任を申し出でられましたが、これを許可いたすに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=1
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002・庄司一郎
○庄司委員長 御異議なしと認めます。それでは先例によりまして、前田君の後任理事を、委員長より御指名お願い申し上げたいと思います。これはまた恆例でございますから御異議ないと認めまして、氏原一郎君を理事に御指名お願い申し上げます。
本日の會議はもつぱら統計法の御質問を願いたいと思います。委員會の會議の發言の順序は、恆例によつてやはり黨派的の順序と相なつております。ただそれは原則でございまして、委員長はことさら恆例等にこだわりませんで、氏原委員が昨日より質疑の通告がございますので、この際氏原委員に御發言を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=2
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003・氏原一郎
○氏原委員 私は二十前、二十八の年まで官公吏の生活をいたしましたが、大體その半ば以上の期間を統計の實務に携わりました者といたしまして、さらにその後二十年間、いわゆる街の統計研究者の一人、むしろ統計愛好者の一人といたしまして、私どもこの議會に今囘提案をされた統計法のごとき法律の出てまいりますることを、長い間待望いたしておりました者として、この審議に參畫をいたしますることはまことに感慨の深いものを覺えるのでございます。この機會に二、三の問題につきまして、政府側の御所信を伺つておきたいと存じます。
第一には、主として現行官廳統計と實際の數字というか、事實との誤差の問題でございまするが、この問題につきましては、私ども自分の經驗から考えまして、極端な言葉に走るかもわかりませんけれども、今日の官廳統計はほとんどでたらめであるということを斷定するに、はばからないのであります。すなわち中央からの指示によりまして、地方廳がさらにこれを市町村その他の團體に材料の蒐集を願いまして、すべての材料が集められるのでございますけれども、一般的方法論としての材料の蒐集、さらにこれの編成及び分析等につきまして、實際統計の實務者は統計に對する眞實の、しかも深い認識を全然もつていないのでありまして、常にそこには單なる臆測、類推といつたやうなものが働いて、ある一つの數字ができ上るのであります。私ども直接關係をいたしました經驗から申し上げますると、たとえば農林省關係の國有林野の統計に關する調査について、有害鳥獸の驅除をいたしましたところの成績を調査するのでありますが、その調査をいたしまする營林署の擔當區員の、實際に驅除いたしました有害鳥獸の數字などというものは、報告をいたしまする數字の上には、まるきりでたらめであります。ほとんどその前年度の報告にあるいは一割五分をかけるとか、あるいは前年度の報告から二割を減ずるとかいつたようなことをやりまして、そうしてそれをもつてその年度の正確なる數字なりとして上級官廳に提出をいたします。そしてそれが結局農林省において集計されて、全國的な有害鳥獸驅除の數字なりとして公表されるのであります。しかしながら實際問題としてこれを考えてみましても、はたして野鼠を何萬と驅除したとか、あるいはきじをどれだけ驅除したといつたような事柄に、正確な數字が現われてこようはずはありません。そういつたような事實上調査の材料の蒐集、それの編成といつたようなことが、眞實を表わすものでないとわかつておるような統計が、官廳統計の中には少くございません。資料として御提出になりました、現在の中央政府においてお取扱いになつておりまする主要統計項目要覽の中に、厚生省だけで四十八の主要な統計が集計されておるのでありますけれども、私はこれらのもののほとんど大部分が、實際に眞實を數字で表わしておるものではない。クニース・ケトレーによつて統計の本質は數字的大量觀察であるということが定義づけられました、そのいわゆる數字的大量觀察の結果が、數字となつて現われておるのでないということを、私は斷言いたします。かようなことでありまして、官廳統計といつたようなものを基礎といたしまして政治の方針を定め、あるいは政策を決定するというようなことをやつておりましたのでは、これはまことに恐るべき結果を生むことに相なりますることは、申すまでもないと思います。この現在慣行されておりまする官廳統計の、事實との間における誤差を、一日も速やかに眞實のものに近からしめるように、一つの具體的な方法をとらなければならないと思うのでありまするが、政府は現在の官廳統計が、私が今申しましたような、眞實との間に非常なかけ離れた相違があるということを、お考えになつていないのでありまするか。またもし多少でもそういつた傾向があるのであるとお認めになりまするならば、この眞實と統計報告との間にありますところの誤差は、具體的にどういうような方法で正確なものに近寄らさせるお考えでありまするか。その點についてまずお尋ねを申し上げたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=3
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004・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。ただいまの官廳がとつております統計が、眞實を物語るものが非常に少いということには、まつたく御同感でございまして、國の基本的な政策の根本ともならなければならない米の收穫高さえ、正確な數字が出ておりません。また非常に重大であるところの各生産部門における生産高につきましても、私たち統計を比較的專門にしております者から見ますと、あの生産高さえ、どのくらい信頼していいのか、まことに迷うような次第でございまして、たとえば、生産高について見ますと、電力の消費量、あるいは石炭の消費量と比例して、生産高が上つたり下つたりしなければならないのに、その兩者を比較してみますと、非常な差異がございます。その差異は、もちろんこういう非常な混亂期でございまして、通常の統計的な技術でつかめないような事態が起つて來る場合も非常に多いので、この生産高が非常に不正確になるという原因の一つが、官廳に報告する前にやみに流れてしまう部分が非常に多い。それがあまりに多いために、統計上の生産高に現われないというふうなこともあるのでございますが、しかし國の基本的な政策の基礎ともなるべき米の收穫高、生産高。それから失業者の推定、生計指數、最も重要であると思われる統計が少しも信頼できない。まことに嘆かわしい状態にあるということは、ただいま氏原委員の仰せられた通りでございまして、こういう状態を何とかしてよくしていこう。これが日本のデモクラシー發達の基礎でもあるし、また日本が世界の政治、經濟に仲間入りできる基本的な基礎でもあるということは、よく承知をしておりまして、それを何とかしてよい統計を、眞實の統計をできるだけ早く發表していきたいというのが、私達の心からの念願なのでございます。そこでこれをどういうふうにして具體的に達成していくかという御質問でございますが、これは、殘念ながら一朝一夕で到達し得る問題ではない。これほどまでに日本の統計制度の基礎というものは、めちやくちやになつておりまして、いかに努力いたしましても、理想的ではございませんでも、多少でも信頼するに足る數字をつくり上げて行くまでには、相當の年月がかかるのではないかということを憂慮せざるを得ないのでこざいます。しかしそういう目標に向いまして、具體的にもいろいろ考えておりますので、その點二、三御答えいたしたいと思います。
そこでただいまのお話にもございましたが、日本の統計制度と申しまするか、統計の水準を上昇させますための根本的な問題の一つは、地方の統計制度の改善でございます。いろいろなデー夕ーを集めて、そうして府縣なり、あるいは中央なりに集中せしめて、そこで集計をして統計ができていくのでございますが、この統計的な事實を集めます地方の末端の組織が完備しないでは、ただいまの氏原委員の仰せのように正確な統計、眞實な統計というものを望んでもとうていできないわけでございます。それが現在の日本の統計制度においてはこの統計の末端組織が極度に腐敗、墮落、混亂しております事實から、まず改めていかなければならないわけでございまして、そのためには、第一に、まことにはずかしい次第なのでありますが、各府縣、市町村に統計專門に從事する人を置くという、まことに原始的なことから始めなければならないような事態なのでございます。つまり現在は統計に專門に從事する人が府縣にもない所が多いし、市町村に至つては、ますますないのでございます。それでありますから、ほかの行政的な事務を扱つている人達が、片手間に統計の仕事をいじくつておりますので、どうしても、その本職は行政事務になつてしまいまして、統計はまことにおろそかになり、統計に對して何らの熱もございませんし、從つてただいまもおつしやいましたように、でたらめの數字を報告して、何ら良心のとがめを感じないという人たちが多いのでございますから、まず第一に他の行政事務との兼任でなくて、專門に統計に從事する人たちを全國的に備えるというところから始められなければならない。第二にこういう人達の能力を高めるということが問題になつてまいります。それは第十條の統計事務職員という條項に掲げておりますように、一定の統計に從事する者に統計官という職名を與えまして、これには一定の資格を條件とする一定の能力をもつた人でなければ、統計官という職にあることができないという制度を漸次布いていきたい。それでございますから、中央から地方まで、すべて統計に專門に從事する職員を置く。しかもその職員の能力を漸次高めていきたいというのが、第一の私達の目標にしておる次第でございます。
さらにそうなりましても全體の地方の統計の組織あるいは統計の制度が完備しておらなければ、何の役にも立ちませんので、この地方の統計制度の完備については、ただいまも愼重に、そうしてできるだけ早く考慮研究しつつあるところでございます、しかしながら、これには非常にいろいろな難關が伴います。第一には相當莫大な豫算が附隨するということもございますし、結局においてまたセンサス的な全國的な一齊調査については、地方に任さないで、中央からの一定の監督と言うのも變ですが、指導連絡というものが必要になつてまいります。
〔委員長退席、今井(は)委員長代理着席〕
それがただいまやろうとしておる地方分權制度のプリンシプルと反するというような問題もございますし、いろいろ困難な問題もございます。しかしながら地方統計制度の完備、組織の完備ということにも、ただいま一生縣命で研究中でございます。
それで一方こういうふうに地方の統計制度が完備せられますと同時に、今度はこの事實を集計いたしましてつくり上げる統計の内容について、いろいろ改善して行かなければならない點が多々ございますので、その點につきましてはこの法律案の第七條におきまして、統計委員會において國の統計大系を完備する上に必要であると思われます統計は、これを指定統計として、そうしてその第一號から第五號に掲げておりますような事項について、統計委員會の承認を得なければならないということにしてございます。それでございますから、統計委員會において、國の統計關係の向上に必要であると思われる統計は指定統計といたしまして、こういう各號について愼重研究いたしまして、惡い點は變更を命じ、あるいは中止を命じ、あるいは必要と思われるもので脱けているものにつきましては、その附加を命ずるというようなこともできるようにしておりますし、またとても大規模な、そして眞實性のある統計をつくることができないような官廳が、ただ何か仕事をしたいためにいたずらに統計をつくりたいというような場合においては、第九條の第二號によりまして、變更もしくわ中止を求めるということもできるというふうにしてございます。しかし實際問題といたしましては、これだけでももう非常な大きな仕事でありまして、たとえば今年度中に行おうとしております大規模なセンサス的な調査といたしましては十月一日に行なうとしております國勢調査と、それから同じ日に行おうとしております經營者調査とがございますし、それから今年度か來年度の一月に行おうとしております工場統計調査がございます。これだけをとり上げる場合におきましても、第一にその産業分類の仕方、職業分類の仕方が、今までは非常にでたらめで、かれこれ比較對照することもできませんし、重復するものも非常に多いというので、産業及び職業のクラシフイケーシヨンという問題から第一に手を染めていかなければならぬもので、ただいまもこの改正を考慮し、研究中でございますが、こういうふうにいろいろの點において統計委員會及び統計事務局が活動して、今までのように各省ちりぢりばらばらに、自分勝手しほうだいな統計をとつていたということをやめまして、そうして連絡統一して、ただいま申上げましたような點に改善を加えて、全體の統計水準を上昇させようというふうに考えております。ただ、ただいまも申しました通り、これは一種の統計における革命でございまして、まだ私この業務をするようになりましてから三箇月も經たないのでございますが、あまりにも難關が多く、はたして使命を全うすることができるかどうか、まことに憂慮するような状態になつておりますので、ただただこういう點においては議會の議員の方々の黨派を超越した御援助による以外に、方法はないというふうにも考えている次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=4
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005・氏原一郎
○氏原委員 本法の第一條の統計の眞實性を確保するということのために、政府が將來いろいろの方策をお立てになつておりますことは、一應諒といたしましたし、また現在の官廳統計がすこぶるでたらめなものであるということを、率直にお認めをいただいたことについて、私どもその政府側の態度をまことに快く思うものであります。ただ私はこの際この眞實性の確保について一言實際の統計の實務というものから立脚いたしまして、お話を申し上げておきたいと思いまするが、昨年の十一月二十一日に南海地方の大震災がございました。私ども選擧區の一番被害のはなはだしかつたある町の災害調査をいたします場合に、とりあえず所管の警察署の調査いたしました數字と、町役場の調査いたしました數字を貰いまして、これを比較檢討してみますと、倒壞家屋の數字あるいは死亡者の數、あるいは重傷者、輕傷者の數といつたようなものが、實に警察の調査と町役場の調査とでは、はなはだしいものは七割も違つておるというような事實があつたのであります。そこで私は青年團の援助を得まして青年團の諸君に活動していただきまして、まるで白紙の立場に立つて私どもがきめましたところの項目について、十分に説明をいたしました上で、調査をしてもらいましたところが、結局この調査が比較的正しかつたということを認めたというのは、重傷者の調査に當りまして、青年團の調査をお願いする傍ら、私は保健所において、この震災の場合に治療をいたしました負傷者の數字を調査したのでありますが、その際專門的な立場から、これは重傷であり、これは輕傷であるという判別をいたしました保健所の報告と、この青年團の調査とが大體において一致したのであります。そこで私は町役場に向つて一體どういう基礎によつて調査をしたのかということを聽き、あるいは警察署においてさらにその點を追究いたしましたところが、いずれもただ單に二、三の人に聽き合わして數字をこしらえたというのであります。こういうような工合に、どうも官廳の統計というものは、むしろなきに勝るというような工合でございまするので、この法律の目的の一つであります統計の眞實性を確保するということのためには、隨分困難があらうと思いまするけれども、これは今のお話の如く統計の革命であるという觀點に立たれまして、十分な御努力を願いたいと存ずるのであります。
次にお尋ね申上げたいのは、統計調査の重複を除くという、このことが本法の目的の一つに相なつておりまするが、このことは私は比較的容易に目的を達する事柄ではないかと存ずるのであります。各官廳の主要なる統計調査を、全體的に比較をいたしましても、隨分同じような内容の調査が各省別々に材料の蒐集をしておりまして、この重複を除くというような事柄は、本法の施行に伴い、さらに統計委員會等の活動によりまして、案外容易に行われるのじやないかと存ずるのであります。大體私はこの統計調査の重複を除くということが行われますならば、それで第一の目的であります統計の眞實性を確保するという方向に向つて進み得るところの一つ途が、開かれるのではないかということを考えるのであります。と同時に、この二つの目的のために統計調査の結果に對する監査の制度が必要ではないかと感ずるのであります、第九條の第三號によりますと關係各廳またはその他のものの行う指定統計調査の實施の状況を監査すると。こうあります。實施の状況を監査するというのでございまして、統計調査の結果に對する監査といつたような事柄まで、これが含まれるかどうかは疑問でありますが、一應すべての官廳統計につきましては、統計委員會等は最も正しい統計をつくるという立場に立つて、自由な立場に立つて、常に統計調査の結果を押えてそれがどういう調査方法によつて、どういう編成によつて、どういう分析によつて生れたかということを、結果から順々に根本の調査方法の所へまでさかのぼつて監査をいたしましたならば、必ず統計調査の統計の眞實性を確保することができると思います。そういうふうにいたしませんことには、いつまで經つても、第九條の三號にありまする實施の状況を監査するというような事柄が、本法によつてきめられましても、それは單なる從來の形式的な行政査察といつたようなものと選ぶところはないのでありまして、一つ一つの統計調査の結果を押えて、それからさかのぼつてその調査員がどういう方法でこれを調査し、どういう編成を行つたかということを、いわゆる統計調査の基礎的な資料でありまする證憑にまでさかのぼつて十二分にこれを監査する。ちようど會計檢査院が行政官廳の經理の事務について嚴重なる檢査を行いまするように、この統計につきましても、同樣な結果に對する監査制度が生れてくる必要があると思うのでありまするが、この點について、政府はどういうふうにお考えになりまするか、伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=5
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006・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。私たちもただいまの御意見とまつたく同感でございまして、私たちが統計について初めからおしまいまで、つまり集めるところから、それが集計されて統計の結果が出てくるまで、全面的にこれを監査していかなければならないということは、まことにただいま仰せの通りでございます。そこで第七條を設けまして、指定統計調査を行おうとする場合には、調査實施者は次の各號の事項について承認を受けなければならないといたしまして、目的、事項、範圍、期日及び方法、集計事項、及び集計方法、結果の公表の方法及び期日、關係書類の保存期間及び保存責任者、經費の概算その他統計委員會が必要と認める事項、こういう詳細な事項について承認を求めなければならないことにいたしまして、そうして統計委員會ないしはそれに附屬しております統計事務局は、これらの内容について詳細に檢討をいたしまして、一つは眞實性のある結果が出るような統計がつくられるかどうかということを、十分に檢討いたしますと同時に、他の統計と重複しているのではないか、そうしてその重複によつて國民がいたずらに迷惑をこうむるのではないかという、この重複の状況につきましても、十分に調査していきたいと思つております。たとえば直ちに今問題になつておりますことは、先ほども申し上げました國勢調査と經營調査、工場統計調査、それからもう一つ商業調査を行おうとしておりますが、この三つの間に非常に重複な點がございますので、これを除去するということに、私たち委員會としては、懸命の努力を拂つております。そうして私たちといたしましては、この一號から五號までの詳細過ぎると思われるほど詳細な事項を承認事項といたしましたことによつて、これだけを十分に研究していけば、結果の正確性についても、相當の點までは責任をもてるのではないかというふうに考えまして、この第七條を設けた次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=6
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007・氏原一郎
○氏原委員 次に統計の體系整備の問題と、制度の改善發達のことについて伺いたいのであります。いろいろと御計畫もおありでありましようが、統計の體系を整備するという事柄については、これは何といたしましても、單に中央官廳におけるところの構想だけが、全體を支配するものではございませんで、結局末端の統計調査に當りまする調査員が、よほどしつかりしたものが生れてこなければ、統計體系の整備という仕事は、實際には行われないではないかということも考えられるのであります。從いまして私はこの際政府といたしましては、この統計體系の整備のために、少くとも統計委員會が、この指定統計というものについてのみ、いろいろとこまかい規定をせられておりまするけれども、たとえば市町村で發行いたしまする市町村の統計要覽でありまするとか、あるいは都道府縣で發行いたしますところの都道府縣の統計要覽でありまするとか、ないしは統計表といつたようなものを、それが指定統計として指定されるものでありませんでも、地方の官廳が獨自の立場で調査いたしまして、それを集計公表するような場合におきましても、いま少し強力に、現在の過渡的な段階におきましては、地方機關のその體系の整備に容喙すべきではないか、と同時に、思い思いにいろいろの官廳がその所管事項等について統計要覽でありますとか、統計表でありますとかいうようなものを發行いたしますることにつきましても、一應統計委員會がその統制をとつて行くといつたようなことにいたしませんければ、全體的な統計體系の整備及び制度の改善發達という目的は、達せられないのではないかと憂えるのでありますが、これらの問題につきましての政府の御所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=7
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008・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。統計の體系という點につきましてわれわれが頭に浮べておりますことは、まず日本の經濟社會その他萬般に及んでおります比較的あらくはあるけれども、しかしその調査地域及び範圍が全國をカバーしておるような、センサス的ないろいろな調査を一齊に行いまして、全國に對しまして全面的に一つの粗い調査をいたしまして、そしてその上にそれぞれの重要な分野について、もつと詳細ないろいろな統計を積み重ねていくというふうなことをしていつたならば、日本の全體の統計體系が整備されて行くのではないかと考えておる次第でございます。
〔今井(は)委員長代理退席、委員長着席〕
それで指定統計調査だけにつきまして、いろいろ詳細な規定を設けましたのは、ただいまも私が申しましたように、統計の革命でございまして、限られた統計委員會と事務局の能力をもつてしては、とても一時に今申しましたような統計の體系整備を全面的にやつて行く能力は、どううぬぼれてみましてもないというふうに見なければならないと思います。それを欲ばつてどの面にも手を伸ばしますと、どれもこれも不十分になつてしまうというおそれがあるのであります。そこでまず基礎になるようなセンサス的な一齊調査、及びその上に積み重ねらるべき統計であつて、重要な分野に關する統計をまず指定統計として、それによつてそれを眞實な統計にしていく。そしてそれに成功しましたならば、さらにそれを補うようないろいろな統計も順次指定統計にしていく。そして理想といたしましては、ただいまお話しました市町村がとつておるような統計まで、あらゆる日本でとつておる統計を指定統計といたしまして、統計委員會ないしは事務局——もうそこまで參りますれば、おそらく統計省というふうなものをつくつていかなければ、事務の量その他においてとても間に合うまいと思いますが、統計省というふうなものにまで發展いたしまして、そうしてすみずみまでの統計に全部監査していくということにしてまいりますのが、理想であるというふうに考えております。それでございますから、もちろん一部分を指定統計というふうにしてやつて行きますことが、理想的であることは毛頭考えておりませんので、これでは網の目を逃れるものもたくさんあるということも十分承知しておりますが、しかしこの統計の革命に際しまして、限られたる能力でやつていくのには、こういう方法でもつてやつていくのが、一番プラクテイカルではないか、實際的ではないかということを考えまして、こういう方法を選んだわけでございます。そうして今も申しましたように、指定統計調査の範圍を漸次引延ばして行くことによつて、だんだん多くの統計をつかまえて行くことができるというふうにして行きたいと思つておるのでございます。そこでこの問題に關しましてちよつと御説明しておきたいことは、この全國の統計體系を整備して行くという觀點に立ちますならば、民間でとつておる統計につきましても千渉して行く必要があるわけでございます。しかしながらこの統計法におきましては、第二條において政府もしくは公共團體が作製する統計、あるいはその他のものに委託して作製する統計だけの中から、指定統計を指定するわけでございまして、民間の統計に對しましては全然タツチいたしません。この點は一方においては今の統計體系の整備という面から見ますと、手落ちのように見えますが、しかし地方におきましては、たとえば勞働組合が將來統計をとりまして、その統計を基礎として政府の政策を批判するというふうな場合、あるいは議會における野黨が政府の政策批判のために統計をとるというふうな場合に、政府が政治的意圖をもつてそういう統計に干渉をいたしまして、指定統計として指定して、その政府の政策批判を不可能ならしめるような修正變更を加えるということは、これはデモクラテイツクな日本の發達の上に非常な障碍になる。これはむしろデモクラシーのプリンシプルをあくまで尊重して、民間統計は全然タツチしないというふうにした方がいいのではないか。法律の上からそういう政府政策の批判の基礎となる統計だけはタツチしないというふうなことはとてもできませんもので、それにつれまして民間統計は全面的にこの法律はタツチしないということになつておりますが、それはただいま申し上げましたような理由によつてこういうことにしたわけでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=8
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009・氏原一郎
○氏原委員 ただいまの御答辯によりますると、美濃部政府委員は、この法律の制定はいわゆる統計界の革命であるということを述べられましたが、そのあとで、しかもこの統計界の革命を遂行するのには、現在の統計委員會の機能をもつてしては非常に弱い、とうていそういう革命を遂行することが十分でないという意味の御答辯をなさいました。私はこれは非常に大きな矛盾だと存じます。いやしくもこの機會にわが國の統計に革命を斷行しようといたしまするならば、統計委員會は、その革命の主體勢力としての十分なる力をもたなければならないと存ずるのであります。しかるに私が要求いたしました資料によりまして勘案をいたしてみましても、なるほど統計委員會が、その統計革命を遂行する主體勢力にふさわしい力をもつていないということが、一つここに現われておりますが、この日本の官廳統計、公共團體の統計を、革命的な段階にまでひつぱつていこうとするにあたつての統計事務局の豫算といつたようなものは、わずかに百萬圓そこそこである。これで、はたして一體統計の革命を斷行するのだとかいうようなことを申されましても、結局お話のごとく力が弱いということに落ちつくのではないかと存じます。この際私は、むしろこの大きな仕事をやろうといたしまするならば、しかもそれは國策の基本を決定する重要なるモメントになるわけでありますので、この場合において統計委員會のごときは、十分なる豫算を獲得し、そして積極的に統計革命を完遂する主體勢力たるにふさわしい實力をもつという方向に、向わなければならないと思うのであります。しかるにこの豫算の明細書を拜見いたしましても、わずかに人件費及びこれに附隨する消耗品費等が、計上されておるだけでございまして、この統計の革命を遂行するために必要ないろいろな仕事をする餘地は、この豫算の面では見出されないのであります。はたして政府はこの程度の豫算でもつて、昭和二十二年度において所期の目的のどの程度の仕事をなし得るかということを、これは内輪になつたおつもりで、あつさりと御見解を御發表願いたいと存じます。
同時にこの問題に關連をいたしまして、何と申しましても、今日統計制度の改善發達をはかるというようなことにつきましては、統計の理論とか、その實際を、十二分に國民に納得させるような手段を講じなければならないと思います。それは單に普遍的な統計思想の普及とか、啓發とかいうような事柄ではなくて、もつと限られたものを對象といたしまして、統計の理論的な面と、實際的な面とを解明して、理解させる方法がとられなければならない。しかもこれは統計委員會の、否、むしろ統計委員會事務局の非常に大きな仕事でなければならないと思いますが、市町村の統計職員、あるいは都道府縣の統計職員、あるいは民間團體の統計實務者といつたようなものに對して、この際急速に統計の理論及び實際を明らかに理解させるような、そうして正確な統計的理論を把握させるような、定期刊行物といつたようなものが統計委員會から發行されるべきではないかと考えますが、この點についての御意見をも併せてお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=9
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010・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。百萬圓をちよつと超しましたくらいの豫算で、五十人足らずの人數の事務局と、それからそれぞれの仕事をもつておられる十人の委員とからでは、とてもこの統計における革命の仕事を理想的に十分にやつて行くことは、事務局長としての私としては、自信は全くもてません。第一にこの統計委員會の委員の方々に對しましても、それはもう非常な御努力を願いまして、毎週一囘は午後中、定期の委員會を開きますし、そうしてそれぞれの專門的な部門については、專門委員なり小委員なりの會を開いて、毎週二囘くらい午後の時間をつぶしてやつていただいているのでございますが、それに對する報酬といたしましては、ただいまのところ一年に五百圓という、わずかな報酬しか差上げられないような情勢であります。それでは一體どの程度までこの委員の方々が今のような百パーセントの援助をしていただけるのか、わからないような状態でございまして、この點から見ても、きわめて不十分であると見なければならないと思います。アメリカなどでは委員會に出席いたしますれば、こういうふうに實質的な仕事をいたします委員會においては、相當の日當を拂うという制度になつていますそうで、私たちも、少くともそれに似た制度にしなければならないと思いまして、せつかく努力中でございます。しかしもちろん理想よりはただいまの状態ははるかに遠いものであるということは、私率直に認めます。しかしながら、とにかくいろいろな點において能力をもつておられると思われる、日本における最高の知識水準にあると思われる委員の方方が、十人も寄つていただきまして、そうしてほんとうに努力していてくださいます現状から見ますならば、そうして私たちも少い豫算ながら、少い人數ながら、政變その他のことには全く關係なく、終日努力しておりますので、實際問題としては、この状態を二、三年續けますならば、相當の程度にまで効果があがるのではないかということを、やや自負しております。もうただいま申しました産業別、職業別のクラシフイケーシヨンの問題にも手をつけまして、さいわいにアメリカからその方面における一番の堪能なる學者、實際家、つまりアメリカにおいてこの産業別のクラシフイケーシヨンの統一のために、中心になつて働いたという專門家の方も、援助に派遣してくださいますというようなお話もありますし、またそれぞれの分野については、アメリカにおけるほんとうのエキスパートの方々が、一生懸命になつて援助していてくださいますし、こういう方々との間にも、非常に私たちの方では圓滿な交渉が續いておりますので、こういう方々の援助を受けるということによりましても、相當の程度にまで——もちろん理想から申しますならば、はるかに遠いことでございましようが、その理想へ向う第一歩か、あるいは數歩前進することは、今の陣容でできると思います。そうしてとにかくここで一つの礎を築いておきまして、その上に私たちが全面的の努力をすることによりまして、追加豫算をとる、あるいは來年度の豫算をもつと殖やしてもらうことによつて、順次理想的な形にもつていきたいと思つております。率直なことを申しますれば、政府部内においても、なほ統計の重要性については、私としてはとても十分な認識があるとは思いません。まだまだ繼子扱いをいたされますので、何事につけても十分にはまいりません。その點は特に議會の代議士の方々その他の御援助を得るほか、しかたがないのではないかというふうにも考えております。
それから第二の點の統計思想の普及宣傳ということも、切實に考えておりますので、まず今年中には全國の八つのそれぞれの行政區域で、一方においては統計に從事しております統計官の會議を開いて、知識をできるだけ普及するつもりでありますし、またそれぞれの地方に統計の講習會を開きまして、できますならば、中央から最も有能な講師を派遣いたしまして、統計知識の普及宣傳にも努めたいと思つております。また行く行くは定期刊行物というものも、ただいまのお話の通り刊行する計畫も立てておりまして、あるいはラヂオを使い、あるいは新聞を使い、あらゆる面において統計思想の普及宣傳ということが大事なのでございまして、これはもちろん統計に從事しておる職員の水準を上げるということも必要でございますが、さらに國民一般の統計思想を上げるということが、これは眞實な統計をとる一大前提にもなりますもので、文部省の方ともできるだけ交渉いたしまして、小學教育、あるいは中學教育の中にも、統計的な教育をできるだけ盛りこんだ教育を實施していきたいというふうにも考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=10
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011・氏原一郎
○氏原委員 この豫算では自信をもてぬという前提のあとに、まずこれでも相當の仕事はするという自負心をひらめかされましたので、やや私は矛盾の點はあると思いますけれども、その點はおくといたしまして、次にお尋ねを申し上げたいのは、いわゆる監査の制度を考えると同時に、非常に優秀なる統計調査を完了し、あるいはまた優秀な統計職員等に對して、十分にいわゆる信賞必罰の實をあげていくという立前から、少くともこの法律の中にそういうような表彰といつたようなことのできるような條項を加えるべきではないかと、私は考えるのであります。統計調査がほんとうに役立つか役立たないかということは、もう先刻來の質問應答で一應わかつております通りに、これに從事いたしまする調査員及びこれを集計、編成分析するところの事務職員というような人々の能力にかかつておることは、申すまでもございません。政府の内部におきましても、まだ統計というものが繼子扱いになつておりますると同樣に、地方廳等におきましても、ともすれば統計というものはよけいなもののごとくに考えられておりまして、これに從事する職員のごときは、まずその官廳において、もてあまし者といつたような者を、やむをえずいすにすわらせるというのが、今日までの實情であります。從いまして私はこの統計法の制定を機會に、最もすぐれたる統計調査員、あるいは統計事務職員といつたような者に對する表彰の途を考えていくというようなことが、すべての點において統計制度の改善にもなりましようし、また統計というものの一般社會的にも重要視せらるる一つの途ではないかと考えられますが、この表彰制度の問題についての御意見を伺いたい。ついでに時間がございませんから、二、三の問題を併せて伺いたいのでございますが、わが國の統計はどうも圖表統計が非常に遲れておるという感じを、私どもは持つのであります。歐米の先進國における統計はもちろん、學としての統計も體系づけられておりますし、同時にまた理論的にも隨分進んでおります。しかもその統計を大衆に最もわかりやすく頭へ入れるということのために、圖表統計が相當に進歩し發達しておると考えられまするのに、わが日本におけるこの圖表統計に對する理論的な、あるいは實際的な調査研究というものが、大變に遲れておると思います。私は統計思想の普及といつたようなことに對して、今、美濃部政府委員の御答辯になりました中に、講習會、講演會といつたようなこと、あるいはラジオの利用というようなことをお述べになりましたけれども、むしろ私は、今日大衆に統計思想を普及させるためには、映畫を利用することが相當效果があると思う。しかも映畫を利用するには、どうしても圖表統計といつたようなところに重點をおいていかなければならないと考えるのであります。そういたしまして、たとえば東京都なら東京都の常設館で、一齊に一つの道徳統計の圖表を、映畫の上映前に五分なり三分なり都民に説明をつけて理解をさせる。そういうことを三月も四月も繰返しておりますと、結局次の場合にはニユース映畫と一緒に現われて來ますところの圖表統計によつて、東京都におけるところのいろいろな統計的な數字が頭にはいつてきて、これが自然的に統計思想の普及にもなり、また統計を一般國民が重要視するということにもなろうかと思います。從いまして、こういう面から考えましても、圖表統計に對する十分なる研究と指導とが、統計委員會あたりに課せられた任務ではないかと考えられまするが、この點についての御意見も伺つてみたいと思います。
その次に調査員の問題でありますが、私は國勢調査の調査員を前後六囘勤めましたが、私どもごとき者をもつていたしましても、一縣の調査員の中では最も優秀な調査員であるというふうに折紙をつけられた程度であります。私どもの持つておりますところの統計に對する理論的實際的な認識をもつてしても、一つの縣で一番優秀な國勢調査員であるというような折紙をつけられる程度でございますから、全國のセンサスの調査に當ります人々の能力の程度は、およそ判斷がつくのであります。それで今まで政府のセンサス的な調査の調査員を任命をいたしますることが、常に形式的であります。たとえば、今まででありますれば、町内會長とか部落會長とかいうような人々に統計的知識があろうがあるまいが、もう一律にそのまま國勢調査員とか、あるいはその他のセンサス的な調査を委囑する。こういう行き方を、ほとんど大部分の都道府縣がとつておつたようであります。私はこれでは日本の統計が非常に正確なる數字の把握もできないと同時に、結果を集計いたすことにおいても、非常に大きな障害ともなり、さらにまたこの結果をなるべく速やかに公表するということのためにも、大きな障害になつておると思います。つまり第一線的な統計の事務に當る統計調査員の人選といつたようなことが、今日のいわゆる統計の革命期においては、小さい問題であるかもわかりませんが、一番大切な問題である。この點から考えていかなければ、いかに中央の統計委員會が大學教授その他官僚の錚錚たるところを十人も頭を揃えてみましても、それは結局空念佛に終るおそれがある。この意味において、私は私の一つの考えを申し上げたいのでありますが、この統計調査員等は、ただ單にその地區における有力者といつたような封建的なイデオロギーによつて任命をする基準をきめるのではなくて、思い切つて私は新學制による初級中學の生徒といつたようなものを利用する。しかもこれらのものに對しては、學校においてその調査の前に一箇月なり三週間なり、十分センサス的調査の内容について、調査に當る者については特別講習を設けて教育をする。こういうような方法をとれば、全國的に多數の調査員が獲得できるではないか。もちろん專門的な農業統計その他のものについては、必ずしもそれは妥當ではございませんけれども、人口調査といつたような事柄については、そういうことも考えられるのではないかと存ずるのでありますが、これらの點について、ひとつ御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=11
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012・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 御質問にお答えいたします。まず表彰の問題でございますが、私たち計畫にあたつて考えておりますことは、何らかの方法で統計に從事している職員を優遇するような方法を講じたい。アメリカでは聞くところによりますと、統計に從事している人達は、特殊の技術の所有者だということで、俸給その他が、他の官吏よりも高いということでございます。それほどまでではないにしても、あるいは多少有能な統計官は他の者よりも俸給が高いとか、あるいはその地位が早く進むとか、そういうような仕組によつて、ほんとうに有能なる統計官を集めたいというふうに思つて、いろいろ努力しておりますが、まだ實現の所までには、とうてい達しておりません。また表彰するという問題につきましても、統計というものは主としてチーム・ワークと申しますか、一つの統計表をつくりますのに、たくさんの人たちが一團となつて働くものでございますから、一人の有能な人を選んで表彰をするというのは適當かどうかということも考えなければならないと思つております。しかしながら特に有能な、だれが見ても有能であるという統計官がございますれば、これを表彰する途というものはどうしても考えていきたい。要するに一般的に言つて、この統計官の社會的地位というと大げさでございますが、その地位をもつと優遇して、そうして有能な人が統計官の職を望んで集まるというふうにしなければ、とても統計の發達は望み得ないということは十分考えておりますので、その點、氏原委員の仰せられたことは、十分に考慮してやつていきたいと思つております。
それから日本において圖表統計が發達しないという點がございますが、これはまことにその點痛感しております。たとえば前の大藏省の跡における進駐軍の宿舍の前には、毎日の電力の消費量と、それから石炭の消費量とが圖表になつて掲げられておりまして、そうして石炭と電力の消費が上つたか、下つたか、道を行く人に一目でわかるようになつております。あれを見まして、私はアメリカにおける圖表的な通俗的な統計が、非常に發達していることを痛感させられたような次第でございまして、たとえば、日本においてはこれほど石炭の缺乏が叫ばれまして、石炭の増産に國民一般の關心がなければならないにもかかわらず、これが毎日の出炭高が刻々に報告されるというふうなことは全然ございません。また實際において毎日の出炭高もわからないのでございます。ようやく一週間の總計が、よほど後にならなければわからないというふうな状況になつておりますので、最も繁華な、たとえば日比谷とか、あるいは銀座の尾張町とかいう所に、進駐軍式のボールドに毎日の出炭高がだんだんと圖表でもつて表わされまして、そうして豫定量よりも多かつたとか、少かつたとかいうことが、一目瞭然に國民の頭にしみこむようにしたならば、國民の石炭増産に關する關心もどれほど深まるかわからない。また先ほども氏原委員の言われました、これを映畫にして、あらゆるニユース映畫の初めには、その時までの出炭の推移、あるいは鐵鋼の生産高の推移というものを圖表にして表わすということにすれば、これもどれほど國民に現在の日本の經濟状態の眞實を明らかにするよすがになるかわからないということは、私はかねがね痛感しておりますところでございまして、こういう點についても、あまりにいろいろな事務も繁多でございまして、現在のところは具體的な計畫はございませんけれども、統計事務局あるいは統計委員會において、できるだけこういう面においても努力していきたいということは、切實に考えている次第でございます。
第三の調査員の問題につきましては、今度國勢調査を行いますし、あるいは經營調査を行いますし、また商業調査を行いますし、それから農産物の作物調査を行います。こういうものに非常にたくさんの調査員を使いますので、どういうふうにして有能な調査員を選擇するか、まことに頭を痛めております。これをたとえば委員會が指名するということにいたしましても、これは事實上委員會が地方の市町村における調査員がその能力があるかどうかということは、まつたくわからないのだ。そういうふうなことにしてはだめだし、また今まで通り市町村に任しておつても、その人をあげることができないと思つて考えておつたところでございます。ただいま中學の初年級の人を使つたらというお考えは、まことに結構なお考えと思いますので、そういうことも十分に考慮して、今年度におけるセンサス的な調査には、できるだけ優秀な調査員を依頼して、そうして十分正確な統計をとつていきたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=12
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013・氏原一郎
○氏原委員 次に統計調査の結果の公表の問題について二、三お尋ねいたしたいと思います。從前の日本の官廳統計、公共團體等の統計が、常に調査の結果を公表するまでの間に、非常な時間を空費しておつた。比較的早く結果が公表されるものでも、まず翌々年度でなければ、一般にはわからないというような状況でございます。現に内閣統計局でやつておりまする厚生省の勞働統計の調査、これは私も勞働統計調査員の一人でありますが、私どもは隨分苦心をして十九年度の調査をやつた。それを内閣の方へ集めてから、燒いてしまつてなくしている。二十年度の勞働統計調査の結果については、今まだ集計中であるというような工合に、比較的集計統計等の設備のできております統計局あたりでやつても、やはり二十年度の結果は二十二年度の後半でなければ發表ができない。しかもこの勞働統計調査等はそれほど複雜な調査ではございませんで、集計等においても比較的うまく行くんじやないかと思われる程度のものでありますが、こういうことで、結局この結果を公表する時期は、調査の時期から非常に離れるということから、統計そのものに對する利用價値というものが、だんだんと薄れてまいるのであります。それで結局私ども第一線の調査員はこういうふうな事實を知りますと、ますますその調査そのものを粗漏にする。これはどうでもいいのだ。政府は別にこれを大して重要に考えていないのだというふうに、私ども調査員には響くのであります。從つてセンサス的な調査等が行われました場合には、何と申しますか一部集計等の結果でも、なるべく早くこれを國民に公表するということを考えますることが、統計の知識の普及あるいは制度の改善等の上に資するところが少くないと、私は考えるのであります。それと言いますのは、この統計調査の結果の公表がこういうふうに遲れるということは、もう一つの點から私どもが見ますならば、結局それぞれの官廳が資材も足りない、或は集計能力も足りないにもかかわらず、そのそれぞれの官廳がおのおの自分の調査したものは、どうでも自分の所でその統計調査の結果を公表しなければならないというようなセクシヨナリズムが、この統計調査の結果の公表ということを、遲らせている一つの原因であるというように私は觀察している。こういつたような問題については、少くとも統計委員會のごときは、十分にそこをえぐつてこの弊害を除去して、ほんとうに國民から親しまれる統計、國民から利用される統計、そうしてまた政治のすべての政策の實施にあたつて役に立つ統計、これをつくることが必要ではないかと考えまするが、この點の御意見を伺いたい。
それともう一つついででありまするが、私は統計委員會のことに關連をいたしまして、二、三お尋ねを申し上げたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=13
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014・庄司一郎
○庄司委員長 氏原委員にちよつと御照會いたしますが、時間的にあとどのくらいかかる御豫想でございますか。長いなら午後に囘わしていただきたいと存じますが……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=14
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015・氏原一郎
○氏原委員 あと少しばかり時間が欲しいのですが……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=15
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016・庄司一郎
○庄司委員長 それでは午後に繼續していただきます。それから森山さんにちよつと御照會いたしますが、午後お差支えで御出席できないそうですが、あなたの御質問は長くかかりましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=16
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017・森山ヨネ
○森山委員 二、三分で結構でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=17
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018・庄司一郎
○庄司委員長 それではただいまの氏原委員の御質問に對する政府の御答辯を願いまして、そのあとに森山委員の簡單な御質問を願いたいと思ひます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=18
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019・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 ただいまの御質問及び御意見は、まことにその通りでございまして、どんなに眞實な統計がとられましても、それが時期を失して公表せられるならば何にもならない。この點は私たちが特に最も注意してやつていかなければならぬことであるというふうに考えております。それで具體的に申しますれば、たとえば十月一日に今度國勢調査をいたしまして、その中で重要なる部分は、その年内にどうしても公表するということにしていきたいと思つております。今統計局には機械も何もすつかり燒けておりますので、それにはそろばんによらなければならない。そのためには地方において分業的にやつていかなければならないので、適當なところに四つか五つの地方分散の場所をつくりまして、地方統計局というふうな名前でそれをつくつて、そこに集めてそうして分業的にできるだけ早く公表していくという方法をとりたいと思つております。のみならず、現在においてはまだ不可能でございますが、できますならば、統計委員會なり、事務局なりに附屬しました印刷工場ぐらいはもちまして、各省から參ります統計の結果をここでできるだけ早く、しかも低廉に印刷して渡す。アメリカのブリユー・ブツクみたいなふうに、低廉で、しかも早く正確なものを國民に渡すということにしたいと思いますし、またそれをしなければ、ほかのことがどんなに完備いたしましても、日本統計の水準を上げることは、とうてい實質的に不可能であるというふうに考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=19
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020・庄司一郎
○庄司委員長 それでは森山委員。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=20
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021・森山ヨネ
○森山委員 私は統計のことにつきましては全く素人でございまして、それもただいま少し時間が餘りそうだというお話で、とつさに考えましたことで、深く研究もいたしませず御質問申し上げることでございますので、あるいは的はずれのことをお伺いするかと存じますけれども、ただ一點だけお尋ねを申し上げたいと存じます。
從來統計と申しますと、經濟方面のことが主でございまして、この委員會の委員の方々の人選を見ましても、ほとんど全部經濟方面の方のような感じをもつのでございますが、私は社會道徳の動きというふうなものを的確に把握するために、先ほど氏原さんからも一言おつしやつたのでございますけれども、道徳統計というようなものが、ぜひ必要ではないかと考えるのでございます。たとえて申しますと、生活保護というようなことにいたしましても、經濟的な統計は多少はあるでございましようけれども、大體まことに大まかで、感情的な慈善時代をまだ脱していないという現状のように思います。百數十年も前に、英國ではチヤールス・ブースという人が、ソーシヤル・サービスでございますか、社會診斷ということを言い始めまして、生物學的に生活状態を統計しまして、貧乏線というものを設定しまして、そうして的確な救濟を行つたというようなことを聞いているのであります。ぜひこういうふうな道徳統計というようなことも整備していただいて、教育とか、宗教とか、文化などの面の、そういう面における政治の運營とか、また生活の指導というような資料とされたい、こう考えるのでございますが、それにつきまして政府のお考えを伺いたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=21
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022・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 ただいまの御質問、まことに御もつともでございまして、單に經濟統計だけでなく、社會統計また自然現象統計、こういうようなものも十分發達させていかなければならない。そうして殊に社會統計のようなものは特に日本において遲れておりますので、こういう點にも十分努力していかなければならないと痛感しております。しかし一方においては、何と申しましても經濟の再建ということが焦眉の急になつておりまして、そうしてその經濟再建に必要である經濟的な統計が不備な状態であつて、そうしてその面における統計の完備ということが焦眉の急に迫られておりますので、どうしてもそちらの方に先に著手しがちになつてしまう自然的な傾向が現われるのでございますが、しかしながら、ただいまの御質問のように、社會統計、あるいは技術統計、そういつたふうなものが非常に重要であるということは十分認識しておりますので、できるだけ早く委員の中にもそういつた方の專門家をできるだけ増していきたいというふうに考えております。ただ殘念ながら日本におきましては專門の統計學者というものが、きわめて寥々たるものでございまして、社會統計、今申された道徳統計というようなものを發達せしむるに適當な方がございましたならば、できるだけ早くこれを委員會の中に入れて、そうしてただいま申されたような方面にも向上發達させていきたいということを念願しております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=22
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023・森山ヨネ
○森山委員 この上とも御努力をお願いいたしまして、私の質問を終えさしていただきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=23
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024・庄司一郎
○庄司委員長 それでは午後一時まで休憩をいたしまして、一時に再開をして、先ほど保留されている氏原委員の御質問の繼續をしたいと思います。なお他の委員各位の御質問大歡迎でございますから、それぞれお申込みを願いたいと存じております。それでは暫時休憩いたします。
午後零時十分休憩
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午後一時二十七分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=24
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025・庄司一郎
○庄司委員長 午前に引續いて再開いたします。氏原君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=25
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026・氏原一郎
○氏原委員 次に私は統計委員會のことに關連をいたしまして、二、三お尋ねをいたしたいと思います。過日本法案が本會議に上程されましたときに、私の同志松本七郎君が、統計委員會の性格について、政府の御所信を質したのでありますが、その場合統計委員會は諮問機關であるか、決定機關であるかという質問に對して、法制局長官が、双方の性格をもつものである、こういう御答辯をなさつております。さらにまた統計局との關係につきましては、統計局は實施機關であるということを明確になされたのであります。そういたしますと統計局は實施機關であるということをもつと深く掘り下げてみますと、資料として頂戴いたしましたものの中にありまする通り、統計局において掌る事務が、官制の第六條で明らかにされておる。ところで統計局の昭和二十二年度の豫算の明細書を見てみますと、この中に當然統計委員會において處理すべき事柄ではないかと思われるものが含まれております。たとえば人口動態改善委員會といつたものが統計局の中にありまするが、この人口動態改善委員會のごときは、これは當然統計委員會の仕事の範圍に屬すべきものであつて、内閣統計局と統計委員會との關係から考えまするならば、この人口動態改善委員會を統計委員會の仕事の中に入れるのが、妥當ではないかと考えるのであります。この點についての御意見を伺いたいと思います。さらに統計委員會の構成メンパーは、先ほど美濃部事務局長は御自身をも含めた十名の委員が現在の日本における最高の統計の權威者であるというふうに仰せられましたし、私どもそれを了承するのであります。しかしながらこの顔觸れを拜見いたして見ますと、官公立大學の教授でありますとか、あるいは經濟安定本部の部長でありますとか、あるいは統計局長でありますとかいうふうに、言葉は當らぬかもわかりませんけれども、やはり主として官僚的な委員會のごとき感が深いのであります。もちろん有澤、近藤、中山、高橋、大内といつたような、いわゆる統計學會におきましても、あるいはまた統計界の全體におきましても、最高水準を行かれる人でありますことに異論はございませんが、しかしこの統計委員會の性格竝びに任務から考えまして、これは最も民主的な組織にならなければならないものではないかと考えるのであります。また委員會の官制によりましても、委員になられる人々は、ある一定のわくをはめて、そのわくの中にはまる人だけを委員として任命するというようなことではなくて、相當幅の廣い學識經驗といつたようなものを考えておるようであります。ところで私はそういう統計委員會の今後の任務等に鑑みまして、どうしても統計委員會の委員には、いわゆる國民の代表者たる新憲法によつて成立いたしますところの國會の議員といつたような人の中から、學識經驗ある者を委員會の委員にとるべきものではないかということを、切實に考えるのであります。もちろん政府が現在の貴衆兩院の議員の中に、いわゆる官制第四條の、統計に關し學識經驗ある者がいなかつたという見方をせられての結果、現在の委員はそういう方面から一人もとられなかつたということは認めますけれども、しかし何を申しましても、先刻來美濃部政府委員の私の質問に對する御答辯によりましても、今後の統計というものが、もつとこの統計法の目的に達するようにつくられ、そして國民にこれが利用されることになるためには、十分な豫算も獲得しなければならぬでありましようし、また國民全體に統計思想を普及せしめ、統計知識を啓發するというような、幅の廣い仕事をする上から申しますと、どうしても委員會の構成というものは、今少しく議會というものにも關心をもつべきではないかということを考えるのでありますが、これに對する御意見を伺いたい。
またもう一つは、この官制の中に臨時委員のことが出ておりますが、現在すでに臨時委員といつたようなものは選考もしくは御任命が濟んでおるのでありましようか。その點も伺いたい。
もう一つは專門委員會のことでございますが、だいたい、ただいまのところでは、どういう專門の部會を設けられておられるのでありますか、その内容等についても御明示を願いたいと思います。とりあえず以上政府の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=26
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027・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 御質問にお答えいたします。豫算につきましては、統計委員會は昨年の十二月に發足いたしましたが、この統計委員會の法律的な權能その他は、最近に至るまで決定いたしておりませんでしたから、從つてそれが豫算の時期にかち合いましたので、統計局の豫算におきましても、元來ならば統計委員會の豫算になるべきものが、各省に組みこまれているものが、相當實際の問題としてあるのでございます。たとえば地方統計制度の改善に關するような豫算が各省別々にとつてございまして、重複するような點も多々ございますので、その點は一本にいたしまして、できるだけ重複を避けて、今年度は統計委員會の豫算として實施することは、あるいはむつかしいかもしれませんが、一遍きまつたものでございますから、各省の豫算として殘すにしても、それを統合してできるだけ節約していきたいというふうに考えております。
ただいま御質問の人口動態改善委員會の委員に對する經費というふうなものは、必ずしも統計委員會においてなすべき業務とも考えられません。これは個々の作業廳においてとつている統計の改善に關する問題でありまして、そうして各省においてその改善を考究いたしまして、考究した結果を統計委員會にはかりまして、統計委員會がその改善策が適當であるかどうかを檢討するわけなのでございまして個々の統計に關しましての改善の努力をすることは、むしろ各省においてなすことを奬勵したいほどの考えをもつております。それでございますから、御指摘のように統計局のみならず、各省において今年度は統計委員會に出すべき事務でもつて、各省及び統計局でなされるように豫算の割振りができていることは、ただいま申しましたようなことから出て參りました。これは來年度からは嚴格に區別していきたいと思つております。
それから統計委員會のメンバーの問題でございますが、これもまことに御説の通りでございまして、只今までは統計の制度改善の理論的な基礎というふうなことが、主として問題になつておりますので、内閣關係、あるいは統計に關する理論家というものが中心になつて、委員會がつくられておるのでございます。しかしながら、今後は單にこういう理論的のエキスパートだけではなく、實際の實務に從事しておる人たち、それからただいまお話の國會議員でもつて統計の知識を豐富にもつておられる方、そういう方々までも包括いたしまして、できるだけ民主主義的に委員會の構成を形づくつていきたいと思つております。
最後に臨時委員及び專門委員會の點でごさいますが、臨時委員といたしましては、今日まで統計局におられ、それ以前は安本において物動その他について盡力しておられました正木千冬氏、人口問題研究所の岡崎氏、日本銀行の統計局の篠原氏、そういう方々を臨時委員に任命して、毎囘委員會には御出席を願つております。なお委員會においては各省の事務官も多數列席していただきまして、殊に各省との連絡を緊密にするために、各省の事務官だけには別にまた毎週集まつていただいて、連絡の緊密をはかつておるというふうな状態でございます。さらに專門委員會と申しますか、小委員會につきましては、非常にたくさんつくつておりますが、それを簡單に御紹介いたしますと、第一に各委員が專門委員長になつていただきまして、この法律がもし御協贊を得て法律になりました時には、できるだけ早く指定統計の指定をいたしまして、その内容を調査していかなければなりませんので、商工省とか、農林省とか、あるいは厚生省とか遞信省とかいうふうに各官廳別に指定統計の準備調査委員會を設けております。それから昨日の午前中にも話が出ましたが、地方統計制度の改善に關する小委員會も設けております。それから國勢調査、經營調査、工場統計調査、商業調査、これらも今年度に行おうと思つております。センサス的な調査につきまして、その重複を除くことを主たる目標としております。何という名前になりますか、センサス的調査における重複除去を檢討する小委員會も設けております。できますならば、こういうセンサス的調査を機會といたしまして、産業分類、職業分類、これを根本的に變えていきたいというので、産業及び職業のクラシフイケーシヨンの小委員會をも設けております。それから勞働省が新設せられようとしておりますが、この新しい勞働省に強力な勞働に關する統計局を設けなければなりませんので、組織人事その他を最も強力に活動が可能であり、正確な統計を作製し得るような機關にしたいということを考えまして、この新設の勞働省における勞働統計局の機構、その他を檢討する小委員會も設けられております。ただいまは小委員會として活動をしておりますのは、そういうものでございますが、なお今後は問題が非常に多岐にわたつてまいりますので、たくさんの小委員會を開きまして、事務局がその連絡機關となりまして、考究していかなければなるまいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=27
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028・氏原一郎
○氏原委員 從來の日本の統計につきまして、私どもがまことに不愉快でならなかつたことは、統計の必要性、重要性といつたようなものを、統計に關係のある官廳、もしくはそれらの團體の人々は非常に熱心に唱導をするのでありまするけれども、さてそれを一般に普及させるための努力を拂うというような事柄については、あまりにも門戸を固く鎖して、部内の專門家でない者はこれに參畫をさせない。またもう一つ言うならば官僚獨善とでも申しまするか、民間の専門的な學識經驗者を拒むというような傾向が、特に統計界においては濃厚であつた。このことは統計局が發行せられておりまする統計講習會小史をごらんになりましたらすぐわかる。あの統計講習會小史の中に出ておりまするが、年々統計局がおやりになりましたあの講習會の講師というものに、民間の統計學者とでも申しまするか、そういつたような人々は一度だつて講師として迎えられたこともなければ、そうしてそれが理論的にも實際的にも、その講習生に講演をするというような機會が與えられていなかつた。それならば一體日本の民間には統計研究の機關がなかつたのかというと、そうではない。たとえば大原社會問題研究所における、あるいは矢内原統計研究所における、ないしは民間側の統計學者あるいは實際家というものは、相當たくさんおつたのであります。横山氏の率いられますところの統計學者が、政府からの助成もなくて、あれだけ日本の統計というものに盡しました巧績というものは、おそらく官廳側といえども、これはお認めになつておるでありましようし、矢内原統計研究所の巧績というようなものについても相當の實果があがつております。また大原社會問題研究所が勞働問題、農民問題等を中心といたしまして、定期的に刊行いたしましたところの統計といつたようなものは、むしろ私どもは政府の發行いたしまする勞働統計といつたようなものの結果より、もつと實際的に利用價値が高いものであるというふうに受取つておつたのであります。そういつた民間側の人々は、從來ややもすれば政府のやりまするところの、すべての統計の仕事から除外されておつたということは、これは私ども大胆率直に政府の今までのやり方が間違つておつたということを責めるものであります。少くとも今後統計委員會が中心となつて、この法律に基いて日本の統計の改善發達をはかつていこうとするならば、さような今までの官僚獨善的な行き方では、おそらく私は効果をあげることは不可能ではないかと思います。こういうことについて從來のやり方とよほど趣を異にいたしまして、そうして廣く民間側の權威者をも今後統計委員會、あるいは統計局あたりでいろいろ計畫をされますることの中に包含をしていくということについては、どういうお考えでありましようか。これを伺いたい。
さらにもうひとつついででありますが、國際統計機關との結びつきの問題でございまするが、私は少くとも日本の統計というものは、現段階におきましては恐らくは諸外國の統計等に比較いたしまして、あらゆる點において遜色があるのでありまするけれども、しかし講和會議の終りました後において、あらゆる文化的な方面におきましても、諸外國との間に手を握つていかなければならない問題が起ると思いまするが、特にこの統計につきましては、國際統計會議といつたようなものもございまするし、そしてわが日本におきましても、故人の阪谷芳郎男爵その他、たしかに昭和十二年度において四名かの會員が推薦をされておつたようでありまするが、そういうような國際統計機關等に對しては、一日も速やかに參加いたしまして、わが國統計の發達改善の一つの助けともすると同時に、わが國の統計をして世界の水準に近寄らしめるような方法を、とらなければならないと思うのでありまするが、これらの諸外國もしくは國際的な統計研究機關及び統計機關等との連絡等について、どういうふうにお考えでありましようか、伺いたいと思います。まずそれだけをお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=28
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029・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 統計委員會の構成を、官僚獨善的な色彩から、できるだけそういう色彩を拂拭しようということは、まことに御説の通りでございまして、統計委員の中には、安本の第一部長、あるいは大藏省の主計局長も入つておりますが、大内兵衛教授といい、有澤教授といい、高橋教授といい、また近藤氏も中山氏も官立大學に教授ではございますが、しかしこういう方々は、むしろ官僚的というよりも、日本の民主化のために奮鬪されてきた方々であり、その多くはそのために數年間獄に投ぜられたという經歴ももつておられるような方々であり、そういう方々を中心にしている點において、官僚獨善的な色彩を最も拂拭した委員會であるというふうに考えて、さしつかえないのではないかと思います。また私自身のことを申しますのも變でございますが、今でこそこうして政府委員という變なものになつておりますが、今までは官僚になつたことも全然なく、元民間の新聞の論説委員をしておりましたような經歴をもつておりますので、そういう私がこの事務局の仕事をしているという點においても、最も官僚的な色彩のない役所であるというふうに言つて、大した誤りはないと思つております。しかしながら、ただいまもお話の通り、この統計におきましては最も官僚的色彩を拂拭して、そうして純客觀的に日本の實體を數字で表わすという目的を達しなければならないのでございますから、お話の通り、今後もなおのこと官僚的な色彩は、この委員會、それからなおそれに附屬いたします事務局からも拂拭することに、できるだけの努力をいたしたいと思つております。
それから第二の御質問の國際的なつながりの問題でございますが、これも私たちが痛切に念願しておりますところでございまして、ただいまのところは、大した効果をとうてい得られないような状況に日本全體がありますが、しかしながら先日もアメリカから參りました統計のミツシヨンのヘツドであつたドクターライスという人も、できるだけ早く、できるならばこの九月の國際統計會議に、日本の委員を出席し得るようにしてやりたいということを申し殘されて歸られたようでありまして、その後どういうふうになつておりますか、私たちは關知いたしませんが、しかしながらおそらく統計が國際的な連繋をもち得る最初の機會になるのではないか、またぜひそうしたいということを熱望しております。さらに戰爭中アメリカなどは統計のいろいろな面における發達が、非常に速やかでございまして、日本とはまつたく比べものにならないほどの高い水準に達しておりますので、そういう状態を知りますために、アメリカにおける統計の本、統計に關する調査書類、そういうふうなものは、できるだけたくさんいただけるようにお願いもいたしましたし、またそのお願いも大體聽き屆けられるような状況になつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=29
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030・氏原一郎
○氏原委員 私は大内兵衞教授を會長といたしまする現在の統計委員會の人人が、官僚的な色彩が濃厚であるという意味を申したのではございませんし、美濃部統計委員會事務局長が、特に民主的な立場であるということも、一應諒といたしております。ただ私の質問が十分におわかりにならなかつたと存じますが、從來統計局がいろいろな講習會とか、あるいは職員の養成所とかいうようなものをおやりになりまするときに、いつも講師のような指導せられまする人が、主として官廳の人人であつて、民間の統計研究家とかいつたようなものを、あまり使わなかつた、そうしてやはり廣い意味においての統計というようなものについて、十分教育をすることができなかつたのであるが、今後はその點についてはどういうふうに考えるかということをお尋ねしたのでありまして、御答辯が少しピントをはずれているように思います。
それからもう一つ現在内閣統計局が職員養成所をおやりになつておりますが、この職員養成所は、昔は六箇月の期間であつたのであります。戰爭中これが中絶いたしておりまして、二十二年度の豫算を拜見しますと、引續き繼續せられるようなことに相なつておりますが、しかしその内容によりますると、養成所の期間は三箇月というふうに期間を短くしているようであります。過日同志松本七郎君の政府に對する質問の場合に、答辯の中にもあられましたが、將來、統計專門學校のごときを設けるといつたような御答辯も伺つたのであります。それで統計專門學校のごときを設けるということは、現在の日本の國力からいたしまして、なかなか簡單にはまいらないことではないかと思います。しかし統計局の職員養成所の養成期間を三箇月に短縮するといつたようなことは、これはむしろ非常に時代錯誤であつて、むしろ私は、この際養成期間を一箇年程度に延長すると同時に、將來統計專門學校の生れる場合には、この統計職員養成所が昇格をして、統計專門學校というようなふうになるべきではないかと考えるのでありますが、この點についてどういう御見解でありましようか、伺つておきたいと思います。以上であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=30
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031・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 私がこの仕事をするようになりましてから、率直に申して、ただいまお話のように、内閣統計局が非常に官僚的過ぎるという非難と申しますか、批評はしばしば耳にいたしました、その點そういうことではならないのでありまして、統計局長も今度森田優三氏に代りましたし、次長という正式の席はまだ設けられませんが、その森田優三氏の補助として、これもやはり元來は民間人である正木千冬氏がなりましたので、多少的がはずれた答辯かもしれませんが、最初の御質問に對する答辯といたしましては、統計局の官僚的性格というものも拂拭されるのではないか。單に内閣統計局のみならず、全般の統計における官僚色というものも、漸次拂拭されていくのではないか。またできるだけ速やかに拂拭するようにしていかなければならないということは、衷心から考えておる次第でございます。それから内閣統計局の職員教習所の問題でありますが、この統計職員の養成は、こういうふうな小規模のものではございませんで、お話の通り、できるだけ大規模にして、そうして完備した設備でもつて、できるだけ早くやつていきたい。それにはあるいは大學に統計學部というものを設けたらいいというふうな話もございますし、また先日本會議でも問題になりましたように、普通教育の中に織りこむというふうな問題も考えられておるのでございます。しかしまことに御説の通り、三箇月に縮めましたのは、妥当でないということも考えられますが、これは主として、豫算を非常に節約せざるを得ないような状態になつている現在の日本の諸般の状況から、むしろやむを得ずこういう状況になりましたので、このわずかな豫算の範圍において、できる限りのことをいたしたいと思つておりますし、またできますならば、追加豫算において、職員養成のための豫算をとりまして、そうして職員の養成を、もつともつと完璧を期したいというふうに思つております。決して三箇月でいいといつて滿足しているわけではないのでございまして、非常に不滿足ではありますが、しかたがなくこういう状況になつておりますので、これからお話の通りあらゆる努力を拂いまして、もつともつとこの養成機構を擴充しなければならないと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=31
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032・氏原一郎
○氏原委員 最後に私は一點伺つておきたいと思います。それは質問が午前中のものにもどるきらいはございますけれども、統計職員の再配置の問題でございます。私どもの乏しい經驗と、狹い見解からいたしまするならば、現在の日本の統計業務が、まことに貧弱な状態にありますることは、統計職員の適材が、適所に配置されていないということが、一番大きな原因であると存ずるのであります。この際統計法の制定に伴いまして、統計委員會がお取上げにならなければならない仕事は、隨分たくさんございまするが、むしろ私は先ほど伺いました專門委員會等におきましては、この統計職員の再配置の問題といつたようなことが、一つの專門委員會において取上げられて、そしてそれが一定の方針を示して、全國の地方公共團體等において急速に、少くとも昭和二十二年度中には、ある程度までそれが整備せられるという方向をとらなければならないと考えるのであります。この點につきましては、私はこういうことをぜひ來年度、昭和二十二年度中に御實行の御意思はないであろうかということを伺いたい。すなわち統計專任職員に對しては、試驗制度を——試驗制度と申しますと、いくらか語弊がございますけれども、その統計の專任職員が、統計というものに對して一體どれだけの知識をもつておるか。學問的にも、また實際的にも、どれだけの知識をもつておるのかということを、中央統計委員會あたりで一つテストをしていただく。そうして一應そのテストの眼鏡に適つた者を、まず統計官として各府縣に配置する。もしその場合において、そのテストに合格しない者は、絶對に統計官等には採用しない。それがたとえ三級官でありましても、二級官でありましても、一應そういう國家試驗のようなものに通つた者を、それぞれ各地方廳の統計主任官として配置する。こういうことにいたしませんと、現在のところ一體統計というものに對する何らの學問的な研究も行わず、また實際の業務の改善についても、何らの熱意ももたないで、漫然として配置された地位におつて、食を食んでおるという統計官が少くないのであります。このことはぜひ御實行願いたいと思いますが、御所見を伺いたいと思います。それと關連して、職員待遇の問題については、いろいろ御案もおありのようでありますが、先だつものは豫算であるということに、結論が落ちつくようであります。中央においてすら、なおかつそういう嘆きを見ておりますと同樣に、地方官廳においては、統計というものに對しては、實にもうやつかい者のような取扱いを受けております。最近連合軍側から週報的なものを要求されまして、それを各地方廳から毎週統計局へ集めてきますようなことから、統計というものがその地方廳、都道府縣等の内部、その他獨立官廳の内部等においても、いくらか認識を缺いたような傾向がございますけれども、實際問題として申しますと、從來の統計職員というようなものは、他の係の人々のように、どんどん現地へ出張して行つて仕事の實果を見て來るとか、あるいはその仕事を指導するというような機會も全然與えられないで、もう、ただ集まつてきた資料と首引きで、事務的なことをやつておるというような状態でございまして、その點においては、まことに縁の下の下積みのような努力を拂つておる。その縁の下の下積みが、少しも結果において現われてまいりませんものですから、自然氣をくさらしてしまいまして、地方の統計職員というようなものは、だんだんと氣分の上においても投げやりになつて來る。それが集まり集まつて日本の官廳統計の、いわゆる眞實との間の誤差を大きくしてきておるというふうに考えられるのでありますから、これらの點につきましては、豫算の伴うことでありますけれども、今後はむしろ統計職員は、實際に、街頭に進出するとでも申しますか、もつと廣く、どんどん各官廳でも出張等の機會を與えて、廣い視野からその事象を觀察するというような方向へ考えていくべきではないかと思いますし、またそれはただ單に地方廳だけで十分になし得ることでなく、中央の統計官廳、あるいは行政機關等がそういう方向を一つお示しにならなければ、なかなかそういうふうは馴致されないのでございますから、そういう點についての努力が、一應統計委員會あたりに與えられる大きな任務ではないかと、私は考えるのであります。これらについての御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=32
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033・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 ただいまの第一の點、統計官に對する何らかの試驗をしたらどうかという點は、私たちも痛切に考えておりますところで、今年度中にどうしても全國的にこれをやろうと思つております。四月早々には、まず東京における農林省、商工省その他各省の統計事務に從事しておる人、できますならば、局長以下でもやつてみたいと思つておるのでありますが、少くとも課長以下の人たちに對しましては、一定の講習會をして、それに出席させまして、そうしてその後で口頭試問及び筆記試驗をしまして、その能力を試してみたいと思つております。それを今年中に全國に及ぼしたいと思います。しかし二級官のものと三級官のものと同じような試驗では無理かとも思われますので、試驗及び講習會も二樣にわけて、A級のものとB級のものにわけて、全國的にやつてみたいと考えております。
それから、第二の點におきましても、まつたく御同感でありまして、地方とのつながりにおいても、できるだけ統計委員會ないし統計事務局が先だちとなりまして、どんどんと出張もするし、また東京へも連絡に來るし、そういうふうにして、統計に從事しておるということが、何らかの方法において、非常に國の重要な職務をやつておるのだというような誇りをもたせるようにいたしますし、またその誇りに應じた實質的な裏づけというようなことを、いろいろな面においてやつてまいりたいと思つております。既にこの統計法ができましただけでも、各地方においてまじめに統計をやつている方々からは、隨分熱心な御質問、御依頼、それから御聲援をいただいておりますような有樣で、今年中に私たちの、方からも、各地方に出かけてまいりますし、それから地方の方からも、またこちらに出かけていただくというふうにして、ただいまお話のような目的も、できるだけ早く實現していきたいものだと念願しております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=33
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034・氏原一郎
○氏原委員 大分長い時間質問をお許しいただきましたが、大體以上で打切りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=34
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035・庄司一郎
○庄司委員長 今井委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=35
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036・今井はつ
○今井(は)委員 私は一言希望を申し述べたいと思います。實は私も長年調査を業としてまいりました者でございますが、この内閣統計局をやはり私も信じきれなかつた中の一人でございます。この内閣統計局が民間に信じられなかつたところのことは、一言にして申しますと、調査が不完全であるということから來ていると私は思います。ですから、これから、机上の計算ではなく、巧妙なるところの調査の力によつて、完全なるところの統計をひとつやつていただきたいことを希望いたしまして、一言お願いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=36
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037・美濃部亮吉
○美濃部政府委員 まことにその通りでございまして、この統計法をきめましたのも、まつたくその趣旨でございますし、それから統計事務局もまたただいまの御趣旨の通りの目的をもつて、一生懸命に努力しているわけでございますから、私の方からも、どうぞ議會及び議員の方々がほんとうに聲援をしていただく、先ほどもお話いたしましたように、官僚と申しましても、統計委員會及び統計事務局は、できるだけそういふ色彩を拂拭しているわけでございまして、そうして純客觀的な數字を發表いたしまして、與黨の方にも野黨の方にも、政府の政策を批判する純客觀的な基礎を提供するということを、任務としたいと思つておりますので、どうぞ何分の御聲援を私の方からもお願いする次第でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=37
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038・庄司一郎
○庄司委員長 ほかに御質問ございませんか、この程度の御質問で、ほかに御缺席の方からも御申込みもないようでございますから。一應本案に對する質疑はこの程度で打切りたいと思います。なお討論等の直前に緊急餘儀なき統計に關する質問等がありました場合は、委員長におきましては、恆例により理事會にお諮りいたしまして、その際は適當に善處したいと思うのでございます。ただいま申し上げたように、本法案に關する質問は一應この程度で打切らしていただき、また本法案に對して、原案そのまま本委員會が滿場一致をもつて御贊成をいただけるものであるかどうか、その過程において各派は各派の政務調査會、あるいは代議士會等にお諮りをくださいまして、贊否、あるいは修正、あるいはまた希望並びに附帶條件等を附さるる等のことがもしございました場合は、それぞれ委員各位より適當な機會に委員長までお示しをいただきたいのでございます。討論終結の場合において、以上申し上げたような委員會の處理をつけさせていただくことをあらかじめお願い申し上げておきます。明日は恩赦法に關する質問をやりたいと思います。政府委員におかれましても、また氏原委員初め各委員御熱誠に、一應統計に關する御質問をいただきました。ありがとうございました。本日はこれをもつて散會いたします。
午後二時十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009212758X00219470312&spkNum=38
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